説明

パッケージされたパーソナルケア用組成物

熱硬化性樹脂の内面コーティングを有するアルミニウムベースの容器を含む、パッケージされたムース形成パーソナルケア用組成物であって、組成物は、水性基剤および噴射剤を含み、水性基剤は、0.16重量%以下の塩化物イオンを含み、5.0から8.0のpHを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化ポリアミドイミド樹脂の内部コーティングを有するアルミニウム缶にパッケージされた特定のムース形成パーソナルケア用組成物に関する。この組合せにより、極端な条件下で容器を腐食させることのない保存が可能になる。
【背景技術】
【0002】
ムース類は、パーソナルケア用製剤用に特に好都合であり、使用に快適な製品形態である。ムースの小出し(dispensing)および塗布の容易さは消費者により認められている。製品は、一般に使用者の手に付けられ、そこで毛髪または身体に容易に作用させることができるクリーム状の泡を形成する。
【0003】
このようなムース類は、整髪製品に関して広く使用されているが、最近では、ムース製品形態における濯ぎ用界面活性剤基剤のクレンジングシャンプー類も開示されている。このようなエアゾールシャンプー類は、目に入ることなく毛髪に作用することができ、これは、時に目に不快で刺激性のクレンジング界面活性剤に主に基づく製剤に関して特に有利である。
【0004】
エアゾール容器は、加圧性でなければならず、一般に金属性であり、伝統的にはスズメッキされている。エアゾール分野においてよく知られた問題は、金属性容器とその内容物との反応の問題である。これが、容器の腐食ならびにそこに入れられた製品の劣化を招く。腐食は、例えば、組成物における見苦しい沈殿および噴射剤の損失として現れる。腐食がかなり深刻になると、内部製品の汚染に加えて最後には缶からの漏出を生じ得る。例えば、酸化により、芳香を構成する成分などの製剤成分が変質し、結果として臭気への悪影響を伴うことがある。したがって、パーソナルケア製品には厳密な腐食制御が必要とされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
缶が水基剤製剤の収納に使用されるときに、腐食の問題は特に明らかとなり、塩類および界面活性剤などの電解質の存在によりさらに悪化する。したがって、腐食は、高濃度の塩化ナトリウムならびに界面活性剤系を典型的に含有するシャンプーなどの製剤にとって特に問題である。
【0006】
この問題を克服するために、アルミニウム缶が使用されてきた。しかしながら、アルミニウム缶もまた、腐食の影響を受ける。さらなる技法としては、容器の内面に高耐性コーティングを導入することである。しかしながら、本発明者らは今日まで製剤が水基剤であり、その機能を果たすために十分に高濃度の電解質を含有し、かつ、今日のパーソナル製品市場の高品質要求および有効貯蔵期間を満たすような満足すべき耐腐食性容器およびエアゾール製剤の系を、見出すことができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは今回、アルミニウム製であり、硬化ポリアミドイミド樹脂でコーティングされた容器中で、規定された塩化物イオン濃度およびpH特性を有するパーソナルケア用水性組成物を使用することにより腐食を阻止できることを見出した。
【0008】
先行技術
米国特許第5750223号(TadaおよびHayashi)は、腐食および内容物の吸着に対して耐性を示す内面がコーティングされた容器を開示している。コーティング材料は、金属性エアゾール缶の内面に適用される規定された吸収性の熱硬化性の硬化ポリアミドイミドである。ポリアミドイミドコーティングは、好ましくはポリアミドイミド樹脂およびエポキシ樹脂を含む硬化剤から形成される。食品、染毛剤および同様の化学製品など、このような容器での使用に好適な広範囲の内容物が開示されている。
【0009】
国際公開第99/32070号(Unilever)は、改良されたコンディショニング性能を有するムース形成シャンプー組成物を開示している。組成物は、加圧性容器に使用するために界面活性剤、乳化コンディショニング剤、堆積ポリマーおよび噴射剤を含む。より高濃度のコンディショニングをエアゾールシャンプーから髪に供給する問題が扱われている。
【0010】
発明の定義
本発明の第1の態様によれば、アルミニウム容器内にパッケージされたムース形成パーソナルケア用組成物が提供され、該組成物は:
(a)少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%の水を含む、80重量%から98重量%の水性基剤;および
(b)2重量%から20重量%の噴射剤を含み、
水性基剤(a)は、0.16重量%以下の塩化物イオンを含み、水性基剤(a)のpHは、5.0から8.0であり、アルミニウム容器は、熱硬化性樹脂の内面コーティングを有する。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、
(i)アルミニウム容器に水性基剤を充填するステップ、
(ii)容器を密閉するステップ、および
(iii)バルブを通して噴射剤を加えるステップを含み、本発明のパッケージされたムース形成組成物の調製法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のムース形成パーソナルケア用組成物は、熱硬化性樹脂、好ましくは硬化ポリアミドイミド樹脂の耐性内面コーティングを有するアルミニウム容器にパッケージされる。
【0013】
本発明のムース形成パーソナルケア用組成物は、水性基剤(a)および噴射剤(b)を含む。用語の「水性基剤」は、噴射剤以外のパーソナルケア用組成物の液体成分を指すために使用される。本明細書に用いられる用語の「ムース」は、泡と同じであり、他の意味が指示されない限り、小出しされた製品を指す。
【0014】
水性基剤(a)
水性基剤(a)は、ムース形成パーソナルケア用組成物の80重量%から98重量%、好ましくは83重量%から91重量%の量で存在する。
【0015】
水性基剤は、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%の量で存在する水を含む。典型的に水性基剤は、水性基剤の50重量%から99重量%、好ましくは50重量%から90重量%、最も好ましくは55重量%から80重量%の水を含む。
【0016】
水性基剤(a)は、好ましくは500mPas以下(21s−1および25℃で円錐および平板レオメータで測定)の粘度を有する。
【0017】
塩化物イオンの重量
水性基剤は、0.16重量%以下、好ましくは0から0.15重量%の量で塩化物イオンを含む。塩化物イオン源は、パーソナルケア用組成物のタイプに依存する。例えば、塩化ナトリウムは、シャンプーにおける増粘剤または粘度調節剤として一般に用いられる。塩化物イオンはまた、幾つかの界面活性剤における普通の不純物であり、幾つかのイオン性化合物においては対イオンを形成する。
【0018】
水性基剤のpH
水性基剤が、5.0から8.0、より好ましくは5.5から7.0の範囲のpH(25℃でガラス電極により測定)を有することが、本発明の本質的特徴である。明瞭さのため、そのpHは、水性基剤のものである。
【0019】
本発明の安定性の利点は、中性のpH条件下で特に顕著であることが分かった。
【0020】
本発明による水性パーソナルケア用組成物は、pH調整剤を含むことが好ましい。この試剤は、組成物のpHを変化できる任意の好適な物質であり得る。このような物質は、当業者によく知られている。pH調整剤は、クエン酸、アルギニンおよびそれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0021】
シャンプー組成物
水性基剤がシャンプー組成物である場合、本発明の腐食阻止条件は、特に有用である。シャンプー組成物とは、毛髪用シャンプーまたはシャワー用ジェルなどの濯ぎ用クレンジング組成物を意味する。
【0022】
シャンプー類(すなわち、本発明によらないシャンプー類)中の塩化物イオン源は、通常、界面活性剤の不純物であるか増粘剤または粘度調節剤として用いられる塩化ナトリウムに由来する。
【0023】
本発明によれば、シャンプー組成物は、上記のpHおよび塩化物イオン濃度を有さなければならない。
【0024】
本発明によるシャンプー組成物は、化粧品として許容でき、毛髪への局所適用に好適である1種以上のクレンジング用界面活性剤を含むことが好ましい。さらなる界面活性剤が、組成物中に存在する何らかの疎水性化合物のための乳化剤として存在し得る。
【0025】
好適なクレンジング用界面活性剤は、アニオン性、両性イオン性および双性イオン性界面活性剤、およびそれらの混合物から選択される。クレンジング用界面活性剤は、乳化剤と同一の界面活性剤であっても、または異なっていてもよい。好ましくは、低塩界面活性剤、より好ましくは、無塩界面活性剤が使用される。ベタイン類が使用される場合、低塩ベタイン類、より好ましくは、無塩ベタイン類を使用することが特に好ましい。製造過程の結果として、両性界面活性剤、ベタイン類は、通常、塩化ナトリウムを含有する。低塩界面活性剤とは、界面活性剤対塩化ナトリウムの重量比が、好ましくは30:1以上、より好ましくは300:1以上、最も好ましくは600:1以上である界面活性剤を意味する。好適な無塩ベタインは、日本国三洋化成工業により供給されるLebon 2000HGである。明瞭性のため、本明細書に用いられる用語ベタインとは、トリメチルグリシンの意味を含まない。
【0026】
アニオン性クレンジング界面活性剤
本発明への使用に好適なシャンプー組成物は、化粧品的に許容でき、毛髪への局所適用に好適である1種以上のアニオン性クレンジング用界面活性剤を典型的に含む。
【0027】
好適なアニオン性クレンジング用界面活性剤の例は、硫酸アルキル類、硫酸アルキルエーテル類、スルホン酸アルカリール類、イセチオン酸アルカノイル類、コハク酸アルキル類、スルホコハク酸アルキル類、サルコシン酸N−アルキル類、リン酸アルキル類、リン酸アルキルエーテル類、カルボン酸アルキルエーテル類、カルボン酸アルキルエステル類、およびアルファ−オレフィンスルホン酸類、特にそれらのナトリウム塩類、マグネシウム塩類、アンモニウム塩類およびモノ−、ジ−およびトリエタノールアミン塩類である。アルキルおよびアシル基は、一般に8個から18個の炭素原子を含有し、不飽和であってもよい。硫酸アルキルエーテル類、リン酸アルキルエーテル類およびカルボン酸アルキルエーテル類は、1分子当たり1つから10のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位を含有し得る。
【0028】
本発明での使用目的の典型的なアニオン性クレンジング用界面活性剤としては、オレイルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウムおよびN−ラウリルサルコシン酸ナトリウムが挙げられる。最も好ましいアニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸(n)EOナトリウム(ここでnは1から3までである)、ラウリル硫酸アンモニウムおよびラウリルエーテル硫酸(n)EOアンモニウム(ここでnは1から3までである)である。
【0029】
本発明への使用に好適であるシャンプー組成物中のアニオン性クレンジング用界面活性剤の全重量は、一般に組成物の5重量%から30重量%、好ましくは6重量%から20重量%、より好ましくは8重量%から16重量%である。
【0030】
共界面活性剤
シャンプー組成物は、共界面活性剤、好ましくは両性または双性界面活性剤を場合によっては含むことができ、これらは、組成物の0から約8重量%、好ましくは1重量%から4重量%の範囲の量で含むことができる。これらの共界面活性剤は、好ましくは低塩であり、より好ましくは無塩である。
【0031】
両性または双性界面活性剤の例としては、アルキルベタイン類、アルキルアミドプロピルベタイン類、アルキルスルホベタイン類(スルタイン類)、グリシン酸アルキル類、カルボキシグリシン酸アルキル類、アンホプロピオン酸アルキル類、アンホグリシン酸アルキル類、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタイン類、タウリン酸アシル類およびグルタミン酸アシル類が挙げられ、ここでアルキル基およびアシル基は、8個から19個の炭素原子を有する。本発明のシャンプー類に使用の典型的な両性および双性界面活性剤としては、ラウリルアミンオキシド、ココジメチルスルホプロピルベタインおよび好ましくはラウリルベタイン、コカミドプロピルベタインおよびコカンホプロピオン酸ナトリウムが挙げられる。
【0032】
他の好ましい共界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であり、これは、組成物の0から8重量%、好ましくは2重量%から5重量%の範囲の量で含むことができる。
【0033】
例えば、本発明のシャンプー組成物に含むことができる代表的な非イオン性界面活性剤としては、脂肪族(C〜C18)第一級または第二級直鎖または分枝鎖アルコール類またはフェノール類と、通常はエチレンオキシドおよび一般に6から30のエチレンオキシド基を有するアルキレンオキシド類との縮合生成物が挙げられる。
【0034】
本発明のシャンプー組成物に含むことができるさらなる非イオン性界面活性剤は、アルキルポリグリコシド(APG)類である。典型的にAPGは、1つ以上のグリコシル基のブロックに結合された(場合によっては架橋基を経て)アルキル基を含むものである。好ましいAPG類は、下式:
RO−(G)
により定義され、式中、Rは、分枝鎖または直鎖のCからC20アルキル基またはアルケニル基であり、Gは、糖基であり、nは、1から10である。
【0035】
本発明のシャンプー組成物に含むことができる他の糖誘導体非イオン性界面活性剤としては、例えば、国際公開第92 06154号および米国特許第5194639号に記載されているC12〜C18N−メチルグルカミド類などのC10〜C18N−アルキル(C〜C)ポリヒドロキシ脂肪酸アミド類、およびC10〜C18N−(3−メトキシプロピル)グルカミドなどのN−アルコキシポリヒドロキシ脂肪酸アミド類が挙げられる。
【0036】
カチオン性界面活性剤
シャンプー組成物はまた、組成物の0.01重量%から10重量%、より好ましくは0.05重量%から5重量%、最も好ましくは0.05重量%から2重量%の範囲の量で含まれる1種以上のカチオン性共界面活性剤を場合によっては含むことができる。本発明の組成物に有用なカチオン性界面活性剤は、本発明の水性組成物に溶解される場合、陽性に荷電されるアミノ部分または第四級アンモニウム親水性部分を含有する。
【0037】
カチオン性ポリマー
シャンプー組成物は、カチオン性ポリマー(類)を場合によっては含むことができる。これらは、ホモポリマー類であっても、または2種以上のタイプのモノマー類から形成されていてもよい。このポリマーの分子量は、一般に5,000Daから10,000,000Daの間、典型的には少なくとも10,000Da、好ましくは100,000Daから約2,000,000Daである。ポリマー類は、第四級アンモニウム基またはプロトン化アミノ基、またはそれらの混合物などのカチオン性窒素含有基を有する。
【0038】
好適なカチオン性窒素ポリマー類は、CTFA Cosmetic Ingredient Directory、第3版に記載されている。
【0039】
カチオン性ポリマー類は、アミン−および/または第四級アンモニウム置換モノマーおよび/または適合性スペーサモノマー類から誘導されたモノマー単位の混合物を含むことができる。
【0040】
好適なカチオン性ポリマー類としては、1−ビニル−2−ピロリジンと1−ビニル−3−メチル−イミダゾリウム塩類(CTFA名称ポリクオータニウム−16)とのコポリマー類;1−ビニル−2−ピロリジンとジメチルアミノエチルメタクリレート(CTFA名称ポリクオータニウム−11)とのコポリマー類;特にCTFAポリクオータニウム6およびポリクオータニウム7等のカチオン性ジアリル第四級アンモニウム含有ポリマー類、ポリクオータニウム47、米国特許第4009256号に記載の不飽和カルボン酸のホモ−およびコポリマー類のアミノアルキルエステル類の鉱酸塩類、およびカチオン性ポリアクリルアミド類(国際公開第95/22311号に記載されている)が挙げられる。
【0041】
本発明への水性基剤組成物への使用に好適なカチオン性多糖ポリマー類としては、澱粉またはセルロースなどのアンヒドログルコース残基を有するものが挙げられる。カチオン性セルロース類は、産業界(CTFA)でポリクオータニウム10と称されるトリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの塩類として、それらのポリマーJR(商標)およびLR(商標)シリーズのポリマー類としてAmerchol社(米国ニュージャージー州エディソン)から入手できる。カチオン性セルロースの他のタイプとしては、産業界(CTFA)でポリクオータニウム24と称されるラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの重合性第四級アンモニウム塩類が挙げられる。これらの材料は、商標Polymer LM−200の下にAmerchol社(米国ニュージャージー州エディソン)から入手できる。
【0042】
他の好適なカチオン性多糖ポリマー類としては、第四級窒素含有セルロースエーテル類(例えば、米国特許第3962418号に記載されている)、エーテル化セルロースと澱粉とのコポリマー類(例えば、米国特許第3958581号に記載されている)が挙げられる。
【0043】
使用できるカチオン性多糖ポリマーの特に好適なタイプは、グアー塩化ヒドロキシプロピルトリモニウム(JAGUAR商標シリーズにおいてRhodia社から商品として入手できる)などのカチオン性グアーガム誘導体である。特に好ましいカチオン性ポリマー類は、JAGUAR C13S、JAGUAR C14、JAGUAR C15、JAGUAR C17およびJAGUAR C16、Jaguar CHTおよびJAGUAR C162である。さらに好ましいカチオン性ポリマーは、米国Nalco Chemical社から商品として入手できるポリクオータニウム47である。
【0044】
カチオン性ポリマーは、一般に組成物の0.01重量%から5重量%、好ましくは0.05重量%から1重量%、より好ましくは0.08重量%から0.5重量%の濃度で本発明の水性基剤組成物に存在する。
【0045】
噴射剤(b)
本発明の組成物は、エアゾール噴射剤(b)を含有する。この試剤は、容器から他の物質を排出し、ムース特性を形成する原因となる。
【0046】
噴射剤ガスは、エアゾール容器に従来から用いられる任意の液化性ガスであり得る。好適な噴射剤の例としては、ジメチルエーテル、プロパン、n−ブタンおよびイソブタンが挙げられ、単独にまたは混合して用いられる。本発明の好ましい噴射剤は、全てBritish Petroleumにより供給されるBPAP 40、BPAP 48およびBPAP 70などのようなプロパン、n−ブタンおよびイソブタンの混合物である。さらなる好ましい噴射剤は、LPG(液化石油ガス)である。噴射剤の他の例は、窒素、二酸化炭素、圧縮空気および商標DYMEL 152aでDu Pontにより販売される物質などのフルオロ炭化水素類である。
【0047】
本発明のムースに関して、噴射剤の濃度は、パーソナルケア用組成物の2重量%から20重量%、好ましくは3重量%から15重量%、最適には4重量%から10重量%である。
【0048】
任意選択の成分
本発明による組成物は、パーソナルケア用組成物に普通用いられ、かつ組成物の意図された使用に依存して任意の他の成分を含有してもよい。これらの他の成分としては、脱臭剤用の静菌剤(トリクロサンなど)、制汗剤用の発汗抑制剤(アルミニウム塩類またはジルコニウム塩類など)、洗髪後のコンディショナー毛髪またはボディコンディショニングシャンプー類およびシェービングフォーム類などの皮膚または毛髪コンディショニング製品用のコンディショニング剤(皮膚軟化剤、潤滑剤および湿潤化剤など)、着色剤、消泡剤、抗酸化剤、芳香剤、抗菌剤、整髪用ポリマー類などの成分用溶媒、および日焼け止めを挙げることができる。これらの成分の各々は、その目的を達成するための有効な量、一般に全組成物の2重量%まで、好ましくは1重量%までの濃度で存在させる。
【0049】
本発明の組成物における好ましい任意選択の成分の例は、ヘアケアに好適なアジュバントである。これらとしては、整髪用樹脂、着色剤、蛋白質、アミノ酸、湿潤化剤、芳香剤、抗菌剤、日焼け止めおよび毛髪繊維利益付与剤(例えば、セラミド類および脂肪酸類)を挙げることができる。
【0050】
上記有効成分の任意の混合物もまた使用できる。
【0051】
アルミニウムベースの容器
本発明に使用の容器は、アルミニウムを含むエアゾール容器としての使用に好適な任意の容器である。好ましくは、容器は、純粋なアルミニウム、または少なくとも90重量%のアルミニウムを含むアルミニウム合金である。好適な容器としては、米国特許第5750223号に記載のものが挙げられる。
【0052】
熱硬化性樹脂
本発明の熱硬化性樹脂は、任意の好適な耐性熱硬化性樹脂であり得る。
【0053】
熱硬化性樹脂は、プロトンに対して低透過性を有することが好ましい。
【0054】
熱硬化性樹脂は、アミノ基、カルボキシル基、およびそれらの混合物からなる群から選択される化学基を含むことが好ましい。
【0055】
熱硬化性樹脂は、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂およびエポキシフェノール性樹脂から製造されたものなどの、ポリビニルオルガノゾル類を含まないことが好ましい。
【0056】
大いに好ましい実施形態において、熱硬化性樹脂は、硬化ポリアミドイミド樹脂である。
【0057】
硬化ポリアミドイミド樹脂は、ポリアミドイミド樹脂および硬化剤を含む組成物から形成されることが好ましい。好ましくは、硬化剤は、本質的にエポキシ樹脂からなる。
【0058】
本発明に使用の好適な硬化ポリアミドイミドコーティング材料は、ポリアミドイミド樹脂の溶液と硬化剤(好ましくはエポキシ樹脂)の溶液とを混合することにより得られる。これらの溶液を得るために特に好適な有機溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、キシレン、メチルエーテルケトンなど、またそれらの混合物などの缶コーティングの製造に通常使用されるものである。さらなる試剤として、改質樹脂、潤滑剤、粘度低下剤、安定化剤、抗酸化剤、架橋剤および硬化触媒などを、ポリアミドイミド/エポキシ樹脂混合物に加えてもよい。硬化ポリアミドイミドコーティングは、ポリアミドイミド樹脂と硬化剤との混合物を、アルミニウムエアゾール容器の内面に適用してから、予め決められた温度で硬化することにより形成される。コーティングを適用する好ましい方法は、スプレー乾燥による。
【0059】
好適な硬化ポリアミドイミド樹脂、それらの合成およびエアゾール容器へのその適用方法は、米国特許第5750223号に記載されている。
【0060】
パッキング法
本発明の組成物は、当業者によく知られている技法に従って水性基剤(a)を最初に調製することにより典型的に製造される。次いで内面コーティングされたアルミニウム容器に、水性基剤(a)を充填し、噴射剤(b)が添加される前に従来の方法に従って密封する。噴射剤は、バルブを通して添加することが好ましい。容器を密封する好ましい手段は、クリンプ密封による。
【実施例】
【0061】
次に本発明を、以下の非限定的な例によってさらに説明するが、部およびパーセンテージは、全組成物(水性基剤プラス噴射剤)のうちの重量である。
【0062】
【表1】

【0063】
(実施例1)
硬化ポリアミドイミドの内面コーティングを有するアルミニウム容器に、表1に記載の組成物を有するシャンプー基剤を充填し、実施例1のパッケージされた組成物を製造した。低塩コカミドプロピルベタインは、塩化物イオン濃度を最小化するために用いた。塩化物イオン濃度は、全組成物(シャンプー基剤(a)+噴射剤(b))の0.15重量%であり、シャンプー基剤のpHは、6.0であった。次にアルミニウム容器を密封し、噴射剤を加えた(LPG、シャンプー基剤+噴射剤の全重量の5重量%の濃度で0.37MPa)。
【0064】
【表2】

【0065】
(比較例A、BおよびC)
硬化ポリアミドイミドの内部コーティングを有するアルミニウム容器に、表2に記載の組成物を有するシャンプー基剤を充填し、比較例A、BおよびCを製造した。無塩でないコカミドプロピルベタインを用い、SLS濃度は、組成物の塩化物イオン濃度を変えるために変化させた。pHは、各サンプルについて6.0に調整した。比較例A、BおよびCは、0.16重量%を超える塩化物イオン濃度を有するので、本発明によるものではない。次いでアルミニウム容器を密封し、噴射剤を加えた(LPG、シャンプー基剤+噴射剤の全重量の5重量%の濃度で0.37MPa)。
【0066】
【表3】

【0067】
(比較例DおよびE)
硬化ポリアミドイミドの内部コーティングを有するアルミニウム容器に、表3に記載の組成物を有するシャンプー基剤を充填し、比較例DおよびEを製造した。クエン酸およびアルギニン含量は、pHを本発明によらない値に変えるために選択した。次いでアルミニウム容器を密封し、噴射剤を加えた(LPG、シャンプー基剤+噴射剤の全重量のうちの5重量%の濃度で0.37MPa)。
【0068】
【表4】

【0069】
(比較例F)
熱硬化性ポリビニルオルガノゾル、Micoflex(商標)の内部コーティングを有するアルミニウム容器に、上記の表1に記載のシャンプー基剤を充填し、比較例Fを製造した。次いでアルミニウム容器を密封し、噴射剤を加えた(LPG、シャンプー基剤+噴射剤の全重量のうちの5重量%の濃度で0.37MPa)。
【0070】
(実施例5)
保存安定性の評価
実施例1および比較例AからFの保存安定性を、50℃で6カ月の保存により評価した。安定性は、缶の腐食の視覚効果の外観、特にピンホールの形成(すなわち、缶の内部内容物の漏れ)および膨れ(すなわち、容器内面の腐食)により評価された。
【0071】
【表5】

【0072】
保存安定性は、硬化ポリアミドイミド内部コーティングを有するアルミニウム容器における本発明による組成物の使用によって劇的に改善されたことが分かるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%の水を含む、80重量%から98重量%の水性基剤;および
(b)2重量%から20重量%の噴射剤を含み、
水性基剤(a)は、0.16重量%以下の塩化物イオンを含み、水性基剤(a)のpHは、5.0から8.0であり、アルミニウム容器は、硬化した熱硬化性樹脂の内面コーティングを有する、アルミニウム容器にパッケージされたムース形成パーソナルケア用組成物。
【請求項2】
水性基剤(a)が、クレンジング用界面活性剤を含むシャンプー基剤である請求項1に記載のパッケージされた組成物。
【請求項3】
クレンジング用界面活性剤が、全組成物の5重量%から40重量%の量で存在する請求項2に記載のパッケージされた組成物。
【請求項4】
クレンジング用界面活性剤対塩化ナトリウムの重量比が、30:1以上、好ましくは300:1以上、より好ましくは600:1以上である請求項2に記載のパッケージされた組成物。
【請求項5】
pH調整剤をさらに含む請求項1から4のいずれかに記載のパッケージされた組成物。
【請求項6】
pH調整剤がクエン酸である請求項5に記載のパッケージされた組成物。
【請求項7】
pH調整剤がアルギニンである請求項5に記載のパッケージされた組成物。
【請求項8】
水性基剤(a)が、21s−1および25℃で500mPas以下の粘度を有する請求項1から7のいずれかに記載のパッケージされた組成物。
【請求項9】
噴射剤が、n−ブタン、イソ−ブタン、プロパンおよびそれらの混合物から選択される請求項1から8のいずれかに記載のパッケージされた組成物。
【請求項10】
熱硬化性樹脂が、硬化ポリアミドイミド樹脂である請求項1から9のいずれかに記載のパッケージされた組成物。
【請求項11】
(i)アルミニウム容器に水性基剤を充填するステップ、
(ii)容器を密封するステップ、および
(iii)バルブを通して噴射剤を加えるステップ、
を含む請求項1から10のいずれかに記載のパッケージされた組成物の製造法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%の水を含む、80重量%から98重量%の水性基剤;および
(b)2重量%から20重量%の噴射剤を含み、
水性基剤(a)は、0.16重量%以下の塩化物イオンを含み、水性基剤(a)のpHは、5.0から8.0であり、アルミニウム容器は、硬化した熱硬化性樹脂の内面コーティングを有し、熱硬化性樹脂は、硬化したポリアミドイミド樹脂である、アルミニウム容器にパッケージされたムース形成パーソナルケア用組成物。
【請求項2】
水性基剤(a)が、クレンジング用界面活性剤を含むシャンプー基剤である請求項1に記載のパッケージされた組成物。
【請求項3】
クレンジング用界面活性剤が、全組成物の5重量%から40重量%の量で存在する請求項2に記載のパッケージされた組成物。
【請求項4】
クレンジング用界面活性剤対塩化ナトリウムの重量比が、30:1以上、好ましくは300:1以上、より好ましくは600:1以上である請求項2に記載のパッケージされた組成物。
【請求項5】
pH調整剤をさらに含む請求項1から4のいずれかに記載のパッケージされた組成物。
【請求項6】
pH調整剤がクエン酸である請求項5に記載のパッケージされた組成物。
【請求項7】
pH調整剤がアルギニンである請求項5に記載のパッケージされた組成物。
【請求項8】
水性基剤(a)が、21s−1および25℃で500mPas以下の粘度を有する請求項1から7のいずれかに記載のパッケージされた組成物。
【請求項9】
噴射剤が、n−ブタン、イソ−ブタン、プロパンおよびそれらの混合物から選択される請求項1から8のいずれかに記載のパッケージされた組成物。
【請求項10】
(i)アルミニウム容器に水性基剤を充填するステップ、
(ii)容器を密封するステップ、および
(iii)バルブを通して噴射剤を加えるステップ、
を含む請求項1から9のいずれかに記載のパッケージされた組成物の製造法。

【公表番号】特表2006−505535(P2006−505535A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−538972(P2004−538972)
【出願日】平成15年9月19日(2003.9.19)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010506
【国際公開番号】WO2004/028482
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】