説明

パッケージ・ブランクを送る方法および装置

本発明は、マガジン(1)内に直立状態で並べられ、1縁部分をマガジン(1)の底部(3)に支えられて列すなわち並びとして配置され、また、個別に排出するために出口端部のストップ(6)へ向けてマガジン(1)を通して前進駆動されるように配置されたパッケージ・ブランク(2)を送る方法に関するものである。これは、ブランクの列すなわち並びが2つの圧力区画、すなわちそれらの圧力区画の間の区画境界からストップまで延在して、隣接するブランク(2)の間に第1の相互圧力を与える第1前部圧力区画、および隣接するブランク(2)の間に第2の相互圧力を与える後部第2圧力区画(13)に分けられることと、前記第1の相互圧力が前記第2の相互圧力よりも高いことをふくむ。本発明はまたこの方法を実施する装置にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マガジン内に直立状態で並べられ、1つの縁部の側面をマガジン底部に支えられて配置されたパッケージ・ブランクを送る方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層されているか否かに拘わらずに例えばカートンのような平坦に折曲げられたパッケージ・ブランクを立上げて充填を行うために、充填機へ自動給送する装置はこの技術分野で既に知られている。そのような装置の1つは、パッケージ・ブランクのマガジンと、マガジンからそれらのブランクを一枚ずつ個別に排出する送出し装置とを備えている。
【0003】
マガジンは、通常、マガジンを通してブランクを送出し装置へ給送するためにブランクを一列すなわち並べた状態で収容する通路を備えている。この通路はブランクを支持する底部と、通路側方を定めてブランクをガイドする側壁と、マガジンから排出する送出し装置によりグリップできる位置となるようにマガジン内の最初のブランクが押し当てられる前部ストップと、後方からマガジン内の最後のブランクに力を加えることでマガジン内の最初のブランクをストップに押し当てるキャリヤとを備えている。
【0004】
上述形式のマガジンでは、マガジンを通る移動においてブランクの滑らかで一定した送りを実現することが望ましい。これは、これまでは、マガジン底部とその底部に支えられるブランク部分との間に生じる摩擦を最小限に抑えるためにさまざまな対策を講じて実現されてきた。
【0005】
この技術分野で提案されてきた他の対策は、キャリヤを経てマガジン内の最後のブランクに作用する力、すなわちマガジン内の他の全てのブランクを経て力が伝達されて最終的にマガジン内の最初のブランクをストップに押し当てる力を調整する制御装置を備えることであった。この力は、マガジンが満杯のときは大きく、マガジン内のブランクが少量になるほど小さくなることを提案された。
【0006】
ブランクがマガジンを通して送られるときに考慮すべき他の現象は、いわゆるスプリング・バック(弾性戻り)効果である。これは、平坦に折曲げられた折重ね/平坦ブランクが平衡状態となるように弾性的に戻ろうとするときに生じ、例えば準備された制御状態を無視するように送り力に影響を及ぼす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、マガジンを通してマガジン出口端部に位置するストップへ向けたパッケージ・ブランクの確実な送りを実現させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、マガジン内に直立状態で並べられ、それぞれの下縁部分をマガジン底部に支えられて連続して配置され、また、個別に排出するために出口端部のストップへ向けてマガジンを通して前進駆動されるように配置されたパッケージ・ブランクを送る、特許請求の範囲の独立項に記載された特徴を備えた方法および装置によって達成される。
【0009】
一実施例において、この方法は、ブランクの列すなわち並びを2つの圧力区画、すなわちそれらの圧力区画の間の区画境界からストップまで延在して、隣接するブランクの間に第1の相互圧力を与える第1前部圧力区画、および隣接するブランクの間に第2の相互圧力を与える後部第2圧力区画に分ける段階と、前記第1の相互圧力が前記第2の相互圧力よりも高いことを含む。
【0010】
他の実施例において、前記前部圧力区画に比較的高い圧力を形成するために、高い周速度を有する装置が区画境界にて反対両方向から局部的にブランクに作用されることができる。
【0011】
さらに他の実施例において、ブランクに接触するこの装置の周速度は、ブランクをマガジン出口端部へ向けて駆動する方向に向けられ、また、適切なマガジンからの排出速度として要求されるブランクの送り速度よりも速い。
【0012】
本発明による装置は、ブランク列の各側において排出端部に関連して、マガジン内に配置された複数ブランクに接触して配置される摩擦手段を与える。この摩擦手段は、それぞれの接触において、適切な排出速度として要求されるブランクの送り速度よりも速い周速度を出口端部へ向かって与える。このようにして、ブランク列の残部における支配的な圧力に比較して相対的に高い圧力の区画が摩擦手段およびストップの間に形成される。この場合、その区画は、前記ストップに対する最前ブランクの配置状態を修正するための動的圧力適応区画として説明される。
【0013】
さらに、その他の実施例において、摩擦手段は、ブランクと摩擦接触するように配置された可撓性突起を備えることができる。
【0014】
摩擦手段のこの可撓性突起は、一実施例において、ブランクの送り方向に対して、またマガジンの底部に対して回転軸線が直角である回転中央シャフトによって支持できる。
【0015】
他の実施例において、摩擦手段はブランクと接触する毛を備えることができる。
【0016】
例として、この摩擦手段は、例えばシャフトやシリンダなどの回転コア、またはウェブ状ベルトまたは同様キャリヤから突出した長短のプラスチック製突起を有する回転して形成されるブラシを備えることができる。
【0017】
ここに挙げた以外の他の構造および詳細な解決策も、各個の特別な例において本発明を実施するために論議される。
【0018】
本発明の一実施例が添付図面を参照して以下に非常に詳細に説明される。図面では、同じまたは同様な部分は同じ符号を付されている。
【実施例1】
【0019】
図1を参照すれば、同図は、1つの縁部がマガジンの底部3に支えられて並べられ、主面が互いに接触している並びすなわち列として直立状態で配置された平坦に折曲げられたパッケージ・ブランク2を有するマガジン1の一例を示している。
【0020】
ブランク2は、反対両側に配置されてそのブランク2と摩擦係合する2つの回転ブラシ4によって、マガジン1の前端部を通して前進駆動される。
【0021】
マガジン1の後部から回転ブラシ4に2個の新しいブランク2を供給するために押圧器またはキャリヤ5が備えられており、このキャリヤ5は、生じ得るマガジン1に抗するあらゆる摩擦力に打ち勝ってブラシ4へブランク2を連続して供給することを保証するために、押圧力F1を後方からマガジン1内の最後方ブランク2に加える。
【0022】
マガジン1を通るブランク2の送りは、その目的として、マガジン1内の最前方ブランクをストップ6に押圧し、その後に適当な送出し装置7によってブランクがマガジン1から排出されるための位置に整列させることである。さらに、この目的は、殺菌のブランクが排出された後に次のブランクをその位置に配置させることである。
【0023】
送出し装置7は、通常、何れかの形態のキャリヤを備えており、このキャリヤは排出位置にあるブランク(最前方ブランク)と係合して、そのブランクをマガジン1から送出す。図1に示された例では、これは2個のスプロケット・ホイールの回りで駆動される無端チェーン9に配置されているキャリヤ8で示されている。キャリヤ8は、排出位置に位置された(ストップ6に当てて配置された)ブランクの1端部と係合して、排出間隙10を通してそのブランクを横方向へ移動させるように配置される。ブランクが間隙10を通過すると、そのブランクは2個の給送ホイール11の間に把持される。給送ホイール11はそのブランクを、例えば立上げ、充填およびシールを行う包装機械へ向けてさらに移動させる。
【0024】
マガジン1からの排出をどのように行うかという技術的な解決策は、技術に詳しい本明細書の読者には明白であるので、ここでは詳細に説明しない。しかしながら、ほとんど全ての送出し装置に共通した特徴は、マガジン1から排出される番となるブランク2が毎回予測できる所定位置に位置決めされるということである。
【0025】
マガジン1の前部区画内に、ブランク列における並びの各側で互いに整合させて回転ブラシ4を配置することにより、ブラシ4とストップ6との間には限られた個数のブランク2が位置され、ブラシ4よりも前方に位置するそれらのブランクは(第1圧力区画12内)、ブランク2の側部間にてさらに自己調整して一様に分布された高い圧力によって動的に作動され、これによって、マガジン1内の先行側の位置から生じ得るあらゆる圧力変動を均して、先頭のブランクがストップ6の接触位置に正しく当接することを保証する位置となされるであろう。
【0026】
前部圧力区画12内のブランクが少な過ぎると過度状態を形成して不安定を招くのに対して、慣性を有するブランクが多すぎると、前部圧力区画12内の列における並びの動的配向および修正は行われない。
【0027】
ブラシ半径の選定も、ストップ6にどれほど近づけるかというブラシ4を配置できる機械的な限界を設定する。
【0028】
一実施例において、数十個のブランク2がブラシ4の中心よりも前方に配置でき、後部区画13内のブランクの個数はそれほど重要でない。図1に示された実施例においては、前部圧力区画12内に約50個のブランクが置かれる。
【0029】
前部圧力区画12を形成することにより、従来技術のマガジンでストップ6に対する前部ブランクの接触点の間にしばしば生じる圧力変動は処理し、対処できる。これらの圧力変動は、通常、ブランクが常には完全に平坦ではなく、その範囲内で厚さの変動を有する(例えば、折曲げまたは接合のため)という事実の結果として生じる。ブランクは並んで同様に配向されるので、ブランクの両側面間の厚さの変動は並んだブランクの個数につき加算され、その並びはずれを生じて弧状を形成する。
【0030】
後部キャリヤ5によってブランク2の送りを行うだけの同様形式の従来のマガジンと比較すれば、キャリヤ5がマガジン1内の最後のブランクに加える力は、非常に小さい。キャリヤ5は排出されるブランクをストップ6の当接位置に当接させ、整列させることに直接には関与せず、単にブランクをブラシ4の届く位置へ送るだけである。
【0031】
これはまた、本発明の一実施例によるマガジンが補充することができ(マガジンの後部区画に)、これにおいてキャリヤ5は後退されて新しいブランク2が追加され、その間ブラシ4は継続して、前部圧力区画12内のブランク2が相互圧力を保持することを保証し、また、最前ブランクの送りおよび排出位置への位置決めを保証する。この補充に当てることのできる時間は、一方においてはマガジン1からの送出し速度に依存し、また他方においてはパッケージ厚さおよびブラシ4が同時に接触することのできるブランク2の個数に依存する。ブラシ4がブランクの送り速度vよりも速い周速度vを有する場合、マガジン1が再び新しいブランク2を供給するときに、ブラシ4は補充時にマガジン1に形成された間隙を再設定して満たすことができる。
【0032】
この実施例における幾つかの重要な点は、先頭のブランクとストップ6との間にできるだけ良好な接触を得るために、ブランクの両外側面に圧力が一様に分布されることである。特に両側に分布されると、通過においてブランクは間隙10を通して排出され、他側に与えられれば、キャリヤはこのブランクとだけ係合される。
【0033】
前部区画12にガイド形状部が形成され、マガジン1の底部3と接触していないブランク2を上から押下げることが有利である。このガイドは揺動または振動されるスライド面であることが有利である。
【0034】
マガジン1の側壁は回転ブラシ4のための開口を備えることができる。
【0035】
マガジン1の側壁は垂直方向に限られた範囲内で、ブランクにアクセスできるように設計できる。例えば、側壁はロッド形状とされて、その場合、ブラシ4は幾つかの部分に分割されるが、同じ回転軸線の回りに駆動されてロッド形状の側壁のそれぞれ下方または上方に作用する。
【0036】
図示実施例では、ブラシは80mmの直径を有する。
【0037】
ブラシ4は、圧力上昇を達成できるブランクの列すなわち並びに対する接触領域を有する。そのために、圧力上昇が起こらないならば、その列すなわち並びにおいて後方に位置するブランクはストップまでの全行程のガイド/配向に影響を及ぼす。換言すれば、後方からの圧力は前部圧力区画12内の圧力(ブラシ4が発生する圧力)と同程度に大きいならば、圧力上昇が生じることはなく、したがって先頭ブランクがストップ6に対して完全に押圧されて正確に配向されることはできない。
【0038】
図1に示された実施例において、ブラシ4はブランク2を前部圧力区画12へ向けて進める(picking or riffling)ための摩擦手段の例として使用された。摩擦手段の他の例には、弾性突起、例えばごむフィンガー、インペラ式ブレードなどが含まれ、これらは列すなわち並びにおける幾つかのブランクとの摩擦接触を形成し、また、適当な駆動手段、例えば使用された駆動シャフト、ベルト、リンク・アームなどで駆動される。
【0039】
本発明は、上述で説明し、図面に示されたものに制限されると考えるべきではなく、多くの変更例が特許請求の範囲に記載された範囲から逸脱することなく考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は本発明を具現化する装置を備えたマガジンの一実施例を概略的に示している。
【符号の説明】
【0041】
1 マガジン
2 ブランク
3 底部
4 ブラシ
5 キャリヤ
6 ストップ
7 送出し装置
8 キャリヤ
9 無端チェーン
10 排出間隙
11 給送ホイール
12 前部圧力区画
13 後部区画

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マガジン(1)内に直立状態で並べられ、1縁部分をマガジン(1)の底部(3)に支えられて列すなわち並びとして配置され、また、個別に排出するために出口端部のストップ(6)へ向けてマガジン(1)を通して前進駆動されるように配置されたパッケージ・ブランク(2)を送る方法であって、ブランク(2)の列すなわち並びが2つの圧力区画、すなわちそれらの圧力区画の間の区画境界からストップまで延在して、隣接するブランク(2)の間に第1の相互圧力を与える第1前部圧力区画と、隣接するブランク(2)の間に第2の相互圧力を与える後部第2圧力区画(13)とに分けられること、および前記第1の相互圧力が前記第2の相互圧力よりも高いことを特徴とする方法。
【請求項2】
速い周速度(v)を有する手段(4)が区画境界において反対両方向からブランク(2)の列すなわち並びに対して局部的に与えられることを特徴とする請求項1に記載された方法。
【請求項3】
ブランク(2)と接触する手段(4)の周速度(v)は、ブランクをマガジン(1)の排出すなわち出口端部へ向けて駆動する方向に向けられ、マガジン(1)の関連する排出速度として要求されたブランクの送り速度(v)よりも速いことを特徴とする請求項2に記載された方法。
【請求項4】
マガジン(1)内に直立状態で並べられ、1縁部分をマガジンの底部(3)に支えられてブランク(2)の列すなわち並びとして配置され、また、個別に排出するために出口端部のストップ(6)へ向けてマガジン(1)を通して前進駆動されるように配置されたパッケージ・ブランク(2)を送る装置であって、列すなわち並びの各側にて出口端部に関連して、マガジン(1)内に配置されている複数のブランク(2)と接触する摩擦手段(4)が配置されていること、および、それぞれ接触する摩擦手段(4)が出口端部へ向かう方向に周速度(v)を有し、この速度はマガジン(1)の適切な送出し速度として要求されたブランクの送り速度(v)よりも速いことを特徴とする装置。
【請求項5】
摩擦手段(4)がブランク(2)と接触する可撓性突起を備えていることを特徴とする請求項4に記載された装置。
【請求項6】
摩擦手段(4)の可撓性突起が、ブランク(2)の送り方向に対して、また、マガジン(1)の底部(3)に対して直角に配置された回転軸線を有する回転中央シャフトによって支持されることを特徴とする請求項5に記載された装置。
【請求項7】
摩擦手段(4)がブランク(2)と接触する毛を備えたことを特徴とする請求項4から請求項6までのいずれか一項に記載されたことを特徴とする装置。
【請求項8】
摩擦手段(4)が回転して形成されるブラシを有することを特徴とする請求項7に記載された装置。

【図1】
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【公表番号】特表2008−519740(P2008−519740A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541145(P2007−541145)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【国際出願番号】PCT/SE2005/001760
【国際公開番号】WO2006/071167
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(591007424)テトラ ラバル ホールデイングス エ フイナンス ソシエテ アノニム (190)
【Fターム(参考)】