説明

パッケージ化ウイルス様粒子

本発明は、ワクチン接種学、免疫学および医学の分野に関連する。本発明は、免疫賦活性核酸、好ましくは少なくとも一つの非メチル化CpG配列を含むオリゴヌクレオチドおよびtoll様レセプタ(TLR)リガンドをパッケージ化したウイルス様粒子(VLP)に結合あるいは融合した抗原に対して免疫学的応答を亢進するための組成物及び方法を提供する。本発明は、特にアレルギー、腫瘍および慢性ウイルス病並びに他の慢性疾患の治療に有効な強い抗体およびT細胞応答を誘発するために用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
(発明の背景)
発明の分野
本発明は、ワクチン接種学、免疫学および医学の分野に関する。本発明は、免疫賦活性核酸、好ましくは少なくとも1つの非メチル化CpG配列及びtoll様レセプター(TLR)リガンドを含むオリゴヌクレオチドをVLPにパッケージ化したウイルス様粒子(VLP)に結合又は融合した抗原に対する免疫応答を高めるための、組成物および方法を提供する。本発明を使用して、アレルギー、腫瘍および慢性ウイルス性疾患、並びに他の慢性疾患を治療するのに特に有用な、強力な抗体とT細胞応答を誘導することができる。
【0002】
関連技術
一般的に、自己抗原に対する抗体応答を誘発することは困難である。ワクチン接種の効率を改善する一つの方法は、用いる抗体の反復程度を増やすことである。単離したタンパク質とは異なって、ウイルスはT細胞の援助がある時でもないときでも任意のアジュバントの不在下にて即時的な効率のよい免疫応答が誘導される(Bachmann及びZinkernagel, Ann. Rev. Immunol: 15:235-270 (1991))。ウイルスの多くはわずかなタンパク質からなるにもかかわらず、それらの単離した成分よりもより強い免疫応答の誘因となりうる。B細胞応答について、ウイルスの免疫厳正の重要な一因子は表面上エピトープの反復と配列であることが知られている。多くのウイルスはB細胞上のエピトープ特異的免疫グロブリンと効率よく架橋する一定のエピトープ配列を表示する類似の結晶性表面を提示している(Bachmann及びZinkernagel, Immunol. Today 17:553-558 (1996))。このB細胞上の表面免疫グロブリンの架橋は細胞周期の進行及びIgM抗体の産生を直接的に誘導する強い活性化シグナルである。さらに、このように引き起こされたB細胞はヘルパーT細胞を活性化することができ、それによって次に、ワクチン接種の目標である、B細胞でのIgMからIgG抗体産生の転換と長く残るB細胞メモリーの生成が起こる(Bachmann及びZinkernagel, Ann. Rev. Immunol. 15:235-270 (1997))。ウイルス構造は、自己免疫疾患の抗-抗体の生成と病原体への自然な応答の一部にも関連している(Fehr, T., ら., J Exp. Med. 185:1785-1792 (1997)を参照)。ゆえに、非常に体系化されたウイルス表面によって提示される抗原は抗原に対する強い抗体応答を誘導することができる。
【0003】
記載したように、通常免疫系は自己由来の構造に対して抗体を生成することはない。低濃度で存在する可溶性抗原はTh細胞レベルでの耐性によるものである。この条件下で、Tヘルプを運搬しうる担体に自己抗原を結合すると寛容性が壊れうる。可溶性タンパク質が高濃度であるか膜タンパク質が低濃度であるためにはB及びTh細胞が寛容でありうる。しかしながら、B細胞の寛容性は可逆的(無反応)であり、外来性の担体に結合した非常に体系化された様式の抗体の投与により破壊されうる(Bachmann及びZinkernagel, Ann. Rev. Immunol. 15:235-270 (1997))。
【0004】
最近の所見により、パッケージ化CpGを含むウイルス様粒子(VLP)がVLPにコンジュゲートした抗原に対するT細胞応答の誘因となることができることが示されている(WO03/024481)。加えて、パッケージ化CpGはその安定性が亢進し、マウスの脾腫およびリンパ節腫脹を伴う髄外造血を引き起こすなどの上述した副作用を実質的に取り除いた。
APC上にTLR9を拘束するCpGと対照的に、他のTLRリガンド単独ではVLP誘発性T細胞応答を亢進することはない(Schwarzら., (2003) Eur. J. Immunol., 33, 1465-1470)。具体的に、ペプチドグリカン、TLR2のリガンド、ポリ(I:C)、TLR3のリガンド、LPS、TLR4のリガンド、フラゲリン、TLR5およびイミクイモード(imiquimode)のリガンド、TLR7のリガンドのすべてはCpGと類似の方法でVLP誘発性CTL応答を亢進することはない。
【0005】
近年ワクチン接種戦略ではめざましい進歩があったが、現行の戦略に必要な改善点が残されている。特に当分野では、深刻な副作用を伴わずにT及びB細胞の強い応答を引き起こす、とりわけ強いCTL免疫応答を促進して、天然の病原体と同じくらい効率よく抗病原性防御を与える新規で改良されたワクチンの開発が必要である。
【0006】
(発明の要約)
本発明は、免疫賦活性核酸、典型的及び好ましくは、Toll様レセプター9(TLR9)を刺激するCpGモチーフを含み、VLPないにパッケージ化されたDNAオリゴヌクレオチドがVLPに結合した抗原又はともに用いた抗原、すなわちパッケージ化VLPと混合した抗原へのB及びT細胞応答を亢進する一方で、ペプチドグリカン、TLR2のリガンド、ポリ(I:C)、TLR3のリガンド、LPS、TLR4のリガンド、フラゲリン、TLR5およびイミクイモード(imiquimode)のリガンド、TLR7のリガンドを含む他のTLRリガンドすべてはCpGと類似の方法でVLP誘発性CTL応答を亢進しないという驚くべき発見に基づく(Schwarzら., (2003) Eur. J. Immunol., 33, 1465-1470)。しかしながら驚くべきことに、TLR9以外のTLRリガンド、例えばTLR4がVLPに結合又は融合した抗原に対してT細胞応答を亢進しないにもかかわらず、免疫賦活性核酸、特に非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドの存在下でそれらはT細胞応答を効率よく亢進した。ゆえに、TLRリガンドと免疫賦活性核酸の間に相乗的効果があった。
【0007】
第一の実施態様では、本発明は、(a)ウイルス様粒子(VLP)、(b)免疫賦活性核酸、好ましくは核酸又はオリゴヌクレオチドがウイルス様粒子に接合、融合、さもなければ接着あるいは封入されている、すなわち結合及び好ましくはパッケージ化されている非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチド、(c)VLPに結合又は融合した少なくとも一抗原、あるいはVLPと混合された抗原、及び(d)少なくとも一TLRリガンドを含む、動物の免疫応答を亢進するための組成物を提供する。好ましくは、TLRリガンド(d)は本発明のVLP(a)と混合している。
同様に好ましい実施態様では、本発明は、(a)VLP、(b)免疫賦活性核酸、好ましくは核酸又はオリゴヌクレオチドがウイルス様粒子と混合している非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチド、(c)VLPに結合又は融合した少なくとも一抗原、あるいはウイルス様粒子と混合された抗原、及び(d)少なくとも一TLRリガンドを含む、動物の免疫応答を亢進するための組成物を提供する。
【0008】
更なる好ましい実施態様では、免疫賦活性核酸はCpGモチーフを含んでいないにもかかわらず免疫賦活性を示す。このような核酸はWO01/22972に記載されている。ここに記載のすべての配列は出典明記によりここに組み込まれる。
本発明の好ましい実施態様では、非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドはリン酸ジエステル骨格のホスホロチオエート修飾体により安定化されていない。
好ましい実施態様では、非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドはヒト細胞のIFNαを誘導する。他の好ましい実施態様では、オリゴヌクレオチドを誘導するIFNαはグアノシン豊富なリピート配列に隣接し、パリンドローム配列を含む。
【0009】
更なる好ましい実施態様では、ウイルス様粒子は、組み換えウイルス様粒子である。ウイルス様粒子がリポタンパク質のエンベロープを含まないことも好ましい。組み換えウイルス様粒子は、B型肝炎ウイルス、はしかウイルス、シンビス(Sindbis)・ウイルス、ロタ・ウイルス、口蹄疫ウイルス、レトロウイルス、ノーウォーク・ウイルス、又はヒト・パピローマ・ウイルス、RNAファージ、Qβ−ファージ、GA−ファージ、fr−ファージ、AP205−ファージおよびTyの組み換えタンパク質を含むか、あるいは選択的にこれらからなることが好ましい。特定の実施態様では、ウイルス様粒子は、1つ又は複数の異なるB型肝炎ウイルスのコア(キャプシド)タンパク質(HBcAg)を含むか、あるいは選択的にこれらからなる。
更なる好ましい実施態様では、ウイルス様粒子は、RNAファージの組み換えタンパク質、又はその断片を含む。好ましいRNAファージは、Qβ−ファージ、AP205−ファージ、GA−ファージ、fr−ファージである。
【0010】
他の実施態様では、抗原又は抗原混合物は組み換え抗原である。他の実施態様では、抗原又は抗原混合物を天然源、限定するものではないが:花粉、塵、真菌類、昆虫、食物、哺乳類の表皮性物質、毛髪、唾液、血清、ミツバチ、腫瘍、病原体および羽毛から抽出する。
他の実施態様では、抗原はウイルス様粒子と結合している、あるいは遺伝学的にウイルス様粒子と融合している。
【0011】
また他の実施態様では、抗原を(1)癌細胞に対する免疫応答を誘導するのに適したポリペプチド;(2)感染病に対する免疫応答を誘導するのに適したポリペプチド;(3)アレルゲンに対する免疫応答を誘導するのに適したポリペプチド;(4)自己抗原に対する免疫応答を誘導するのに適したポリペプチド;及び(5)家畜又はペットの免疫応答を誘導するのに適したポリペプチドからなる群から選択することができる。
更なる実施態様では、抗原又は抗原混合物を(1)癌細胞に対する免疫応答を誘導するのに適した有機分子;(2)感染病に対する免疫応答を誘導するのに適した有機分子;(3)アレルゲンに対する免疫応答を誘導するのに適した有機分子;(4)自己抗原に対する免疫応答を誘導するのに適した有機分子;(5)家畜又はペットの免疫応答を誘導するのに適した有機分子;および(6)薬剤、ホルモン又は毒性化合物に対する免疫応答を誘導するのに適した有機分子からなる群から選択することができる。
【0012】
特定の実施態様では、抗原は、細胞傷害性T細胞又はTh細胞のエピトープを含むか、あるいは選択的にこれからなる。関連実施態様では、抗原はB細胞エピトープを含むか、あるいは選択的にこれからなる。関連実施態様では、ウイルス様粒子はB型肝炎ウイルスのコア・タンパク質を含む。
好ましい実施態様では、CpGを負荷したウイルス様粒子に添加した付加的なTLRリガンドはTLR4により認識される。そのようなリガンドはLPS、あるいは好ましくは解毒したLPS、例としてMPL(Nat Biotechnol 17: 1075)や合成TLR4リガンドであってもよい。
【0013】
本発明の他の態様では、(a)VLP、(b)免疫賦活性核酸、好ましくは核酸又はオリゴヌクレオチドがウイルス様粒子に混合、接合、融合、さもなければ接着あるいは封入されている、すなわち結合及び好ましくはパッケージ化されている非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチド、(c)VLPに結合又は融合した少なくとも一抗原、あるいはウイルス様粒子と混合された抗原、及び(d)少なくとも一TLRリガンドを含んでなる組成物を動物に導入することを含む、ヒト又は他の動物種の免疫応答を亢進するための方法を提供する。
本発明の更に他の実施態様では、本組成物は動物に、皮下、筋肉内、鼻腔内、皮内、静脈内あるいはリンパ節内に直接導入する。同様に好ましい実施態様では、免疫亢進性組成物は局所的、腫瘍付近あるいはワクチン接種しようとする局所的ウイルス蓄積場に適用する。
【0014】
本発明の好ましい態様では、免疫応答はT細胞応答であり、抗原に対するT細胞応答が亢進される。特定の実施態様では、T細胞応答は細胞障害性T細胞応答であり、抗原に対する細胞障害性T細胞応答が亢進される。本発明の他の実施態様では、免疫応答はB細胞応答であり、抗原に対するB細胞応答が亢進される。
また、本発明は、薬学的に受容可能な希釈剤、担体又は賦形剤とともに免疫学的に有効な量の本発明の免疫亢進性組成物を含むワクチンに関する。また、本発明は、免疫学的に有効な量の開示されたワクチンを動物に投与することを含む、動物の免疫化及び/又は治療の方法を提供する。
【0015】
本発明の好ましい実施態様では、免疫賦活性核酸含有VLP、好ましくは非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドVLPを、改変したVLPに結合又は混合した抗原に対して動物又はヒトのワクチン接種に用いる。改変型VLPを使用して、たとえば、腫瘍、ウイルス性疾患、あるいは自己分子に対してワクチン接種することができる。ワクチン接種は、予防又は治療目的、あるいはその両方であってよい。さらに、改変型VLPを使用して、アレルギーあるいは喘息などのアレルギー関連疾患に対するワクチン接種をして、アレルゲンに対する免疫偏向及び/又は抗体応答を誘導することができる。そして、そのようなワクチン接種と治療それぞれにより、例えば前記のアレルギー性動物及び患者それぞれの脱感作を引き起こすことができる。
多くの場合、所望の免疫応答は、免疫賦活性核酸含有VLP、好ましくは非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドVLPと結合しているか又は混合している抗原に直接対するものであろう。抗原は、ペプチド、タンパク質又はドメイン、並びにそれらの混合であり得る。
【0016】
注射の経路は、好ましくは皮下又は筋肉内であるが、CpG含有VLPを皮内、鼻腔内、静脈内あるいはリンパ節に直接用いることもできる。同様に好ましい実施態様では、抗原と混合又は結合したCpG含有VLPを局所的、腫瘍付近あるいはワクチン接種しようとする局所的ウイルス蓄積場に適用する。
前述の一般的な記載及び以下の詳細な記載はいずれも例示的及び解説的なものであり、権利を主張する本発明を更に解説することを意図するものである。
【0017】
(発明の詳細な説明)
他に定義しない限り、本明細書で使用する技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されているのと、同じ意味を有する。本明細書に記載するものと同等あるいは均等である任意の方法および物質を、本発明を実施又は試験する際に使用することができ、好ましい方法および物質は、本明細書で以下に記載する。
【0018】
1.定義
アミノ酸リンカー:本明細書で使用する「アミノ酸リンカー」、又は本明細書中で単に「リンカー」と呼ばれるものは、抗原又は抗原決定基を第2の付着部位と会合させるか、あるいは、必ずしもではないが典型的には、1つのアミノ酸残基として、より好ましくはシステイン残基として、既に第2の付着部位からなっているか、あるいはそれを含むことがより好ましい。しかしながら、本明細書で使用する「アミノ酸リンカー」という用語は、アミノ酸残基からなるアミノ酸リンカーが本発明の好ましい実施態様である場合でも、このようなアミノ酸リンカーがアミノ酸残基のみからなることを、示すことを目的とするものではない。アミノ酸リンカーのアミノ酸残基は、当分野で知られている天然に存在するアミノ酸又は非天然アミノ酸、すべてのL型又はすべてのD型、あるいはこれらの混合物から構成されることが好ましい。しかしながら、スルフヒドリル基又はシステイン残基を有する分子を含むアミノ酸リンカーも、本発明内に含まれる。このような分子は、C1〜C6アルキル−、シクロアルキル(C5、C6)、アリール、又はヘテロアリール部分を含むことが好ましい。しかしながら、アミノ酸リンカーに加えて、C1〜C6アルキル−、シクロアルキル(C5、C6)、アリール、又はヘテロアリール部分を好ましくは含み、任意のアミノ酸を欠いているリンカーも、本発明内に含まれるものとする。抗原又は抗原決定基、又は場合によっては第2の付着部位と、アミノ酸リンカーの間の会合は、少なくとも1つの共有結合によるものであることが好ましく、少なくとも1つのペプチド結合によるものであることがより好ましい。
【0019】
動物:本明細書で使用するように、「動物」という用語は、たとえばヒト、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、鳥類、爬虫類、魚類、昆虫、および蛛形網を含むことを意味する。
抗体:本明細書で使用するように、「抗体」という用語は、エピトープ又は抗原決定基と結合することができる分子を指す。この用語は、単鎖抗体を含めた、すべての抗体およびそれらの抗原結合断片を含むことを意味する。抗体はヒト抗原結合抗体断片であることが最も好ましく、Fab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、単鎖Fvs(scFv)、単鎖抗体、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、およびV又はVドメインを含む断片だけには限られないが、これらを含む。抗体は、鳥類および哺乳動物を含めた、任意の動物起源のものであってよい。抗体は、ヒト、ネズミ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ又はニワトリであることが好ましい。本明細書で使用する「ヒト」抗体は、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を含み、ヒト免疫グロブリンのライブラリーから、あるいは、たとえばKucherlapati他による米国特許第5,939,598号中に記載されたような、1つ又は複数の免疫グロブリンの遺伝子が導入され、内因性の免疫グロブリンを発現しない動物から単離された抗体を含む。
【0020】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の組成物はアレルギーの治療のためのワクチンの構築に使用しうる。IgEイソ型の抗体はアレルギー反応の重要な成分である。肥満細胞がその表面上でIgE抗体と結合し、肥満細胞表面上に結合したIgE分子への特定の抗原が結合するとヒスタミン及びアレルギー反応の他のメディエータが放出される。ゆえに、IgE抗体産生を抑制すると標的がアレルギーに対して防御する。これは所望のTヘルパー細胞応答を起こすことによって可能となる。Tヘルパー細胞応答はタイプ1(T1)とタイプ2(T2)のTヘルパー細胞応答に分類することができる(Romagnani, Immunol. Today 18:263-266 (1997))。T1細胞はB細胞がIgG抗体を産生する誘因となるインターフェロンγ及び他のサイトカインを分泌する。対照的に、T2細胞によって産生される重要なサイトカインはB細胞にIgEを産生させるIL−4である。多くの実験系では、T1細胞がT2細胞の誘導を抑制し、逆の場合も同じなので、T1及びT2の応答の発生は相互に限定的なものある。ゆえに、同時に強いT1応答を引き起こす抗原はT2応答の発生とその後のIgE抗体の産生を抑制する。高濃度のIgG抗体により、IgEを結合する肥満細胞へのアレルゲンの結合が阻害され、それによってヒスタミンの放出が抑制される。ゆえに、IgG抗体がIgE媒介性アレルギー反応を防御する。アレルギーの原因となる典型的な物質には、限定するものではないが:花粉(例えば草、ブタクサ、カバノキ又は山スギ);ハウスダストおよび塵ダニ;哺乳類の表皮のアレルゲンおよび動物の垢;糸状菌および真菌類;昆虫体および昆虫毒物;羽毛;食物;及び、薬剤(例えばペニシリン)が含まれる。Shough, H. ら., REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES, 第19版, (82章), Mack Publishing Company, Mack Publishing Group, Easton, Pennsylvania (1995)を参照し、出典明記によりここにその内容全体が組み込まれる。ゆえに、非メチル化CGモチーフ内にパッケージ化された豊富なDNAを含むウイルス様粒子と混合したアレルゲンを用いて個体を免疫化するとアレルギー発生前だけでなくその後も利点がある。
【0021】
抗原:本明細書で使用するように、「抗原」という用語は、MHC分子によって提示される場合、抗体又はT細胞受容体(TCR)によって結合することができる分子を指す。「抗原」という用語は、本明細書で使用するように、T細胞エピトープも含む。さらに抗原は、免疫系によって認識することができ、及び/又は、体液性免疫応答及び/又は細胞性免疫応答を誘導することができ、B及び/又はTリンパ球の活性化がもたらされる。しかしながら、このことは、少なくともいくつかの場合、抗原がTh細胞エピトープを含むかあるいはこれと連結し、アジュバント中に与えられることを必要とする可能性がある。抗原は、1つ又は複数のエピトープ(BおよびTエピトープ)を有することができる。前述の特異的反応は、抗原は、好ましくは典型的には非常に選択的な方式で、その対応する抗体又はTCRと反応し、他の抗原によって誘発される可能性がある多数の他の抗体又はTCRとは反応しないことが示されることを意味する。また、ここで用いた抗原はいくつかの別々の抗原の混合でもよい。
【0022】
本明細書で使用する「微生物抗原」という用語は、微生物の抗原であり、感染ウイルス、感染細菌、寄生虫および感染真菌だけには限られないが、これらを含む。このような抗原には、無傷微生物、および天然単離体およびその断片、さらに、天然微生物抗原と同一であるか類似しており、その微生物に特異的な免疫応答を誘導する、合成又は組み換え化合物がある。化合物は、それが免疫応答(体液性及び/又は細胞性)を誘導する場合、天然微生物抗原と類似している。このような抗原は当分野では日常的に使用され、当業者によく知られている。
ここで用いる微生物抗原である感染性ウイルス、細菌及び感染性糸状菌の例はWO03/024481(23頁最後の段落から25頁3段落目まで)に記載されており、出典明記によりその開示がここに組み込まれる。
【0023】
本発明の組成物および方法は、癌抗原に対する抗原特異的な免疫応答を刺激することによって、癌を治療するためにも有用である。本明細書で使用する「腫瘍抗原」は、腫瘍又は癌と関係があり免疫応答を誘発することができる、ペプチドなどの化合物である。特に、MHC分子の概念で提示されるとき、化合物は免疫応答を誘発することができる。腫瘍抗原は、たとえばCohen他、Cancer Research、54:1055(1994)中に記載されたのと同様に、癌細胞の粗製抽出物を調製することによって、抗原を部分的に精製することによって、組み換え技術によって、あるいは知られている抗原の新規合成によって、癌細胞から作製することができる。腫瘍抗原は、腫瘍又は癌ポリペプチド全体であるかあるいはその抗原部分である、抗原を含む。このような抗原は、組み換えによって、あるいは当分野で知られている任意の他の手段によって、単離又は作製することができる。癌又は腫瘍には、胆管癌、脳癌、乳癌、子宮頚癌、絨毛上皮腫、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃癌、上皮内新生物、リンパ腫、肝臓癌、肺癌、(たとえば、小細胞および非小細胞);メラノーマ、神経芽腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、直腸癌、肉腫、皮膚癌、精巣癌、甲状腺癌、および腎臓癌、並びに他の癌腫および肉腫があるが、これらだけには限られない。
【0024】
また、アレルゲンは脊椎動物では抗原として作用する。ここで「アレルゲン」なる用語は、「アレルゲン抽出物」及び「アレルゲンのエピトープ」も包含する。アレルゲンの例として、限定するものではないが:花粉(例えば草、ブタクサ、カバノキ又は山スギ);ハウスダストおよび塵ダニ;哺乳類の表皮のアレルゲンおよび動物の垢;糸状菌および真菌類;昆虫体および昆虫毒物;羽毛;食物;及び、薬剤(例えばペニシリン)が含まれる。
抗原決定基:ここで用いる「抗原決定基」なる用語は、B又はTリンパ球によって特異的に認識される抗原の、その一部分を指すことを意味する。抗原決定基に応答したBリンパ球は抗体を産生し、一方Tリンパ球は細胞性免疫及び/又は体液性免疫の媒介に重要なエフェクター機能の核酸や構築によって抗原決定基に応答する。
【0025】
抗原掲示細胞:本明細書で使用するように、「抗原提示細胞」という用語は、免疫賦活能力を有する異種群の白血球、又は骨髄由来細胞を指すことを意味する。たとえば、これらの細胞は、T細胞によって認識することができるMHC分子と結合するペプチドを、生成することができる。この用語は、用語「補助細胞」と同義であり、たとえばランゲルハンス細胞、指状突起細胞、樹状細胞、B細胞、およびマクロファージを含む。いくつかの条件下では、上皮細胞、内皮細胞、および他の非骨髄由来細胞も、抗原提示細胞として働くことができる。
会合(association):ここで用いる第一および第二の付着部位に適用する際の「会合」なる用語は、好ましくは少なくとも一非ペプチド結合によるものである第一付着部位と第二付着部位の結合を指す。会合の性質は共有性、イオン性、疎水性、極性、又はこれらの何れかの組合せであってよく、好ましくは会合の性質は共有性であり、更により好ましくは会合は少なくとも一、好ましくは一つの非ペプチド結合を介する。ここで用いる第一及び第二の付着部位に適用する際の「会合」なる用語は、本発明の組成物を形成する第一付着部位と第二付着部位の直接結合又は会合を包含するだけでなく、場合によって好ましくは、本発明の組成物となる第一付着部位と第二付着部位の直接会合又は結合をも包含するものであり、この結果典型的に及び好ましくは異種二機能性架橋によるものである。
【0026】
第1の付着部位:ここで用いる「第一付着部位」なる用語は、典型的かつ好ましくはウイルス様粒子により含まれる、典型的かつ好ましくは抗原又は抗原決定基により含まれる第二付着部位が会合しうる非天然又は天然起源の要素を指す。第一付着部位は、タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、ペプチド、糖、ポリ核酸、天然又は合成ポリマー、二次的代謝産物又は化合物(ビオチン、フルオレセイン、レンチノール、ジゴキシゲニン、金属イオン、フェニルメチルスルホニルフルオリド)、又はこれらの組合せ、又はこれらの化学反応基であってよい。第一付着部位は、典型的かつ好ましくは、ウイルス様粒子の表面上に位置する。多数の第一付着部位が、典型的には反復形状で、ウイルス様粒子の表面上に存在する。好ましくは、第一付着部位がアミノ酸又はその化学的反応基である。
【0027】
第二付着部位:ここで用いる「第二付着部位」なる用語は、ウイルス様粒子の表面上に位置する第一付着部位が会合することができる、抗原又は抗原決定基と関係がある、典型的かつ好ましくはそれにより含まれる要素を指す。第二付着部位は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、糖、ポリヌクレオチド、天然又は合成ポリマー、二次的代謝産物又は化合物(ビオチン、フルオレセイン、レンチノール、ジゴキシゲニン、金属イオン、フェニルメチルスルホニルフルオリド)、又はこれらの組合せ、又はこれらの化学反応基であってよい。少なくとも1つの第二付着部位が、抗原又は抗原決定基上に存在する。したがって、「少なくとも1つの第二付着部位を有する抗原又は抗原決定基」なる用語は、少なくとも1つの抗原又は抗原決定基および第二付着部位を含む、抗原又は抗原構築体を指す。しかしながら、特に、非天然起源である、すなわち抗原又は抗原決定基中に本来存在しない第二付着部位に関しては、これらの抗原又は抗原構築体は、「アミノ酸リンカー」を含む。
【0028】
結合(bound):本発明で用いる「結合」なる用語は、共有、たとえば本発明の免疫賦活性核酸のウイルス様粒子への化学的結合による、又は非共有、たとえばイオン性相互作用、疎水性相互作用、水素結合などであってよい結合を指す。共有結合は、たとえばエステル、エーテル、リン酸エステル、アミド、ペプチド、イミド、炭素−イオウ結合、炭素−リン結合などであってよい。この用語は、物質の封入、又は部分的封入も含む。「結合」なる用語は、「連結(coupled)」、「融合(fused)」、「封入(enclosed)」、および「付着(attached)」などより広義であり、これらを含む。さらに、ウイルス様粒子を結合した免疫賦活性物質に関して、「結合」なる用語も免疫賦活性物質の封入又は部分的封入を含む。ゆえに、ウイルス様粒子に結合した免疫賦活性核酸に関して、「結合」なる用語は「連結(coupled)」、「融合(fused)」、「封入(enclosed)」、「パッケージ化」および「付着(attached)」などより広義であり、これらを含む。たとえば、非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドなどの免疫賦活性核酸を、単に「パッケージする」ともいわれるオリゴヌクレオチドが保持されるように、実際の結合の存在なしで、共有的でも非共有的でもなく、VLPによって封入することができる。
【0029】
連結(coupled):ここで用いる「連結」なる用語は、共有結合による、あるいは強力な非共有的相互作用による付着、典型的かつ好ましくは共有結合による付着を指す。さらに、抗原のウイルス様粒子への結合に関して「連結」なる用語は、好ましくはそれぞれ少なくとも一つの非ペプチド結合による会合及び付着を意味する。生物学的に活性がある物質を連結させるために、当業者により通常使用されている任意の方法を、本発明において使用することができる。
融合(fusion):ここで用いる「融合」なる用語は、コード化ヌクレオチド配列をイン・フレームで組み合わせることによる、一つのポリペプチド中の異なる起源のアミノ酸配列の組合せを指す。「融合」なる用語は、内部融合、すなわちポリペプチド鎖内の異なる起源の配列の挿入、さらにその末端の一端への融合を明確に含む。
【0030】
CpG:ここで用いる「CpG」なる用語は、少なくとも一の非メチル化シトシン、グアニンジヌクレオチド配列(たとえば、シトシンの次にグアノシンを含み、リン酸結合によって連結している「CpG-オリゴヌクレオチド」又はDNA)を含み、脊椎動物骨髄由来細胞によるサイトカイン発現を刺激する/活性化する、たとえばそれに対する促進効果を有する、あるいはそれを誘導するか増大させる、オリゴヌクレオチドを指す。たとえばCpGは、B細胞、NK細胞および抗原提示細胞、たとえば、樹状細胞、単球およびマクロファージなどの活性化において、有用であることができる。CpGは、ヌクレオチド類似体、たとえば、ホスホロチオエステル結合を含む類似体などを含むことができ、二本鎖又は一本鎖であってよい。一般に、二本鎖分子はインビボにおいてより安定性があり、一方で一本鎖分子は高い免疫活性を有する。
【0031】
コート・タンパク質:ここで用いる「コート・タンパク質」なる用語は、バクテリオファージ又はRNAファージのキャプシド集合体内に取り込むことができる、バクテリオファージ又はRNAファージのタンパク質を指す。しかしながら、RNAファージのコート・タンパク質遺伝子の特異的遺伝子産物を指すときは、「CP」なる用語を使用する。たとえば、RNAファージQβのコート・タンパク質遺伝子の特異的遺伝子産物は「QβCP」と呼び、一方でバクテリオファージQbの「コート・タンパク質」は、「QβCP」並びにA1タンパク質を含む。バクテリオファージQβのキャプシドは、主にQβCP、および少ない含量のA1タンパク質で構成される。同様に、VLPQβのコート・タンパク質は、主にQβCP、および少ない含量のA1タンパク質を含む。
【0032】
エピトープ:ここで用いる「エピトープ」なる用語は、動物、好ましくは哺乳動物、および最も好ましくはヒト中で、抗原又は免疫活性を有するポリペプチドの連続的又は非連続的一部分を指す。エピトープはMHC分子の関係でそのT細胞レセプターを介して抗体又はT細胞により認識される。ここで用いる「免疫原生エピトープ」は、当分野で知られている任意の方法によって決定される(たとえば、Geysen他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA81:3998-4002(1983)を参照のこと)、動物の抗体応答を誘発するかあるいはT細胞応答を誘導する、ポリペプチドの一部分として定義する。本明細書で使用する「抗原性エピトープ」は、当分野でよく知られている任意の方法によって決定される、タンパク質の一部分として定義し、抗体はその抗原に免疫特異的に結合することができる。免疫特異的結合は非特異的結合を除外するが、他の抗原との交差反応性は必ずしも除外しない。抗原性エピトープは、必ずしも免疫原性である必要はない。抗原性エピトープはT細胞エピトープであってもよく、この場合抗原性エピトープを、MHC分子の概念でT細胞レセプターによって免疫特異的に結合させることができる。
【0033】
エピトープは、空間構造中に3個のアミノ酸を含むことができ、これはエピトープに特有である。一般にエピトープは、少なくとも約5個のこのようなアミノ酸からなり、少なくとも約8〜10個のこのようなアミノ酸からなることがより普通である。エピトープが有機分子である場合、それはニトロフェニルと同じくらい小さくてよい。
免疫応答:本明細書で使用するように、「免疫応答」なる用語は、B及び/又はTリンパ球及び/又は抗原提示細胞の活性化又は増殖をもたらす、体液性免疫応答及び/又は細胞性免疫応答を指す。しかしながら、いくつかの場合、免疫応答は強度が低い可能性があり、本発明の少なくとも1つの物質を使用するときのみ、検出可能となる可能性がある。「免疫原」は、免疫系の1つ又は複数の機能が高まり、免疫原物質を対象とするように、生物の免疫系を刺激するために使用される作用剤を指す。「免疫原性ポリペプチド」は、アジュバントの存在下又は不在下で、単独あるいは担体と結び付いて、細胞及び/又は体液性免疫応答を誘導するポリペプチドである。好ましくは、抗原提示細胞は活性化されてもよい。
【0034】
免疫化:本明細書で使用するように、「免疫化する」又は「免疫化」なる用語、又は関連用語は、標的抗原又はエピトープに対する、十分な免疫応答(抗体及び/又は細胞免疫、エフェクターCTLなどを含む)を備えるための能力を与えることを指す。これらの用語は、完全な免疫が生み出されることは必要としないが、基本レベルより大幅に免疫応答の増強が生じることを必要とする。たとえば哺乳動物は、本発明の方法の適用後に、標的抗原に対する細胞及び/又は体液性免疫応答が起こる場合、標的抗原に対して免疫化することができると考えられる。
【0035】
免疫賦活性核酸:本明細書で使用するように、免疫賦活性核酸という用語は、免疫応答を誘導する、及び/又は高めることができる核酸を指す。本明細書で使用するように、免疫賦活性核酸は、リボ核酸、特にデオキシリボ核酸を含む。免疫賦活性核酸は、少なくとも1つのCpGモチーフ、たとえばCが非メチル化状態であるCGジヌクレオチドを含むことが好ましい。CGジヌクレオチドはパリンドローム配列の一部であってよく、あるいは非パリンドローム配列中に含まれてよい。前述したCpGモチーフを含まない免疫賦活性核酸は、たとえばCpGジヌクレオチドを欠いた核酸、ならびにメチル化CGジヌクレオチドを有するCGモチーフを含む核酸を包含する。本明細書で使用するように、「免疫賦活性核酸」なる用語は、4−ブロモ−シトシンなどの修飾体を含む核酸も指すはずである。
【0036】
免疫賦活物質:本明細書で使用するように、「免疫賦活物質」なる用語は、免疫応答を誘導する、及び/又は高めることができる物質を指す。本明細書で使用するように、免疫賦活物質は、toll様レセプター(toll-like receptor)活性化物質およびサイトカイン分泌誘導物質だけには限られないが、これらを含む。Toll様レセプター活性化物質は、免疫賦活性核酸、ペプチドグリカン、リポ多糖、リポテイコ酸、イミダゾキノリン化合物、フラジェリン、リポタンパク質、および免疫賦活有機分子、たとえばタクソールなどだけには限られないが、これらを含む。
混合(mixed):ここで用いる「混合」なる用語は、ともに添加される、互いに化学的に結合しない、さらに分離することができる二以上の物質、成分又はヨウ素の混合を意味する。
【0037】
オリゴヌクレオチド:本明細書で使用するように、「オリゴヌクレオチド」又は「オリゴマー」なる用語は、2個以上のヌクレオチド、一般に少なくとも約6〜約100,000個のヌクレオチド、好ましくは約6〜約2000個のヌクレオチド、より好ましくは約6〜約300個のヌクレオチド、より好ましくは約20〜約300個のヌクレオチド、より好ましくは約20〜約100個のヌクレオチドを含む核酸配列を指す。「オリゴヌクレオチド」又は「オリゴマー」なる用語は、100以上〜約2000個のヌクレオチド、好ましくは100以上〜約1000個のヌクレオチド、より好ましくは100以上〜約500個のヌクレオチドを含む核酸配列も指す。「オリゴヌクレオチド」は一般に、任意のポリリボヌクレオチド又はポリデオキシリボヌクレオチドも指し、これは非修飾RNA又はDNA、あるいは修飾RNA又はDNAであってよい。該修飾は骨格又はヌクレオチド類似体を含んでもよい。「オリゴヌクレオチド」は、一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖および二本鎖RNA、および一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNA、一本鎖、又はより典型的には、二本鎖又は一本鎖および二本鎖領域の混合物であってよいDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子を、非制限的に含む。さらに「オリゴヌクレオチド」は、RNA又はDNA、あるいはRNAおよびDNAを含む三本鎖領域を指す。さらにオリゴヌクレオチドは、合成、ゲノム又は組み換え、たとえばλ−DNA、コスミドDNA、人工細菌染色体、酵母菌人工染色体、および糸状ファージ、たとえばM13などであってよい。
【0038】
また、「オリゴヌクレオチド」なる用語は、1つ又は複数の修飾体を含むDNA又はRNA、および安定性又は他の理由で修飾された骨格を有するDNA又はRNAも含む。たとえば、適切なヌクレオチド修飾体/類似体には、ペプチド核酸、イノシン、トリチル化塩基、ホスホロチオエート、アルキルホスホロチオエート、5−ニトロインドールデオキシリボフラノシル、5−メチルデオキシシトシン、および5,6−ジヒドロ−5,6−ジヒドロキシデオキシチミジンがある。さまざまな修飾がDNAおよびRNAになされてきており、したがって、「オリゴヌクレオチド」は、化学的に、酵素によって、あるいは代謝によって修飾された形のポリヌクレオチド、自然界に典型的に見られるもの、およびウイルスおよび細胞に特有の化学形のDNAおよびRNAを含む。他のヌクレオチド類似体/修飾体は、当業者に明らかであろう。
【0039】
パッケージ化:本明細書で使用するように、「パッケージ化」という用語は、VLPと関係がある免疫賦活物質、特に免疫賦活性核酸の状態を指す。本明細書で使用するように、「パッケージ化」という用語は、共有、たとえば化学的連結による、又は非共有、たとえばイオン性相互作用、疎水性相互作用、水素結合などであってよい結合を含む。共有結合は、たとえばエステル、エーテル、リン酸エステル、アミド、ペプチド、イミド、炭素−イオウ結合、炭素−リン結合などであってよい。「パッケージ化」なる用語は「連結」および「付着」などの用語を含み、また特に好ましくは、「パッケージ化」なる用語は物質の封入、又は部分的封入も含む。たとえば、非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドなどの免疫賦活物質を、実際の結合の存在なしで、共有的でも非共有的でもなく、VLPによって封入することができる。ゆえに、「パッケージ化」なる用語を意味する場合、特に、免疫賦活性核酸が免疫賦活物質である場合、「パッケージ化」という用語は、パッケージ化された状態の核酸が、DNAse又はRNAseによる加水分解に曝されないことを示す。好ましい実施態様では、免疫賦活性核酸は、VLPキャプシド中に、最も好ましくは非共有方式でパッケージ化されている。
【0040】
PCR産物:ここで用いる「PCR産物」なる用語は、PCRの開始材料である標的DNA配列の増幅されたコピーを指す。標的配列は、例えば二本鎖DNAを含みうる。PCRのためのDNAは「cDNA」ともいわれる相補的DNAを起源とするものであり、逆転写酵素を用いたmRNAの転換産物であり得る。PCRのためのDNA源は細胞から抽出したゲノムDNAであり得る。PCRのためにDNAを抽出した細胞源は、限定するものではなく、血液試料;ヒト、動物又は植物組織;糸状菌;及び細菌由来のものを含む。PCRの開始材料であるDNAは未精製、ある程度精製もしくは高度に精製されうる。PCRのためのDNA源は、限定するものではなく、プラスミドベクター及びバクテリオファージベクターを含むベクター内にクローン化された挿入物(インサート)由来でもよい。「PCR産物」なる用語は、「ポリメラーゼ連鎖反応産物」と置き換え可能である。
【0041】
本発明の組成物は、場合によっては薬剤として許容可能な担体と組み合わせることができる。本明細書で使用するように、「薬学的に受容可能な担体」なる用語は、ヒト又は他の動物に投与するのに適した、1つ又は複数の適合性のある固体又は液体充填剤、希釈剤又は被包性物質を意味する。「担体」という用語は、活性成分と組み合わせて施用を容易にする、有機又は無機成分、天然又は合成物を示す。
ポリペプチド:本明細書で使用するように、「ポリペプチド」なる用語は、アミド結合(ペプチド結合としても知られる)によって直線的に連結したモノマー(アミノ酸)から構成される分子を指す。これはアミノ酸の分子鎖を示し、特定の長さの生成物を指すわけではない。したがって、ペプチド、オリゴペプチドおよびタンパク質は、ポリペプチドの定義中に含まれる。この用語は、たとえば、グリコシル化、アシル化、リン酸化など、発現後に修飾されたポリペプチドも指すことを目的とする。組み換え体又は誘導ポリペプチドは、必ずしも指定の核酸配列から翻訳されるわけではない。それらは、化学合成を含めた任意の方法で生成させることができる。
【0042】
免疫応答を「高める」物質は、その物質を加えることによって、その物質を加えずに測定した同じ免疫応答と比較して、より高まった、あるいは増大した、あるいは任意の方向に偏向した免疫応答が観察される物質を指す。たとえば、細胞傷害性T細胞の溶菌活性は、たとえばこの物質ありおよびなしで51Cr放出アッセイを使用して、測定することができる。これは、この物質なしのCTL溶菌活性と比較して、CTL溶菌活性が高まる物質の量が、抗原に対する動物の免疫応答を高めるのに十分量であると言える。好ましい実施態様では、免疫応答は、少なくとも約2倍、より好ましくは約3倍以上高まる。分泌するサイトカインの量又はそのタイプも、変わる可能性がある。あるいは、誘導された抗体の量又はそれらのサブクラスが変更するかもしれない。
【0043】
有効量:本明細書で使用するように、「有効量」なる用語は、所望の生物学的効果を実現するのに必要あるいは十分量を指す。組成物の有効量は、この選択した結果を得る量であると思われ、このような量は当業者により常套法にて決定することができると思われる。たとえば、免疫系不全を治療するのに有効量は、免疫系の活性化を引き起こし、抗原への暴露により抗原特異的な免疫応答の進行をもたらすのに必要な量であると思われる。この用語は、「十分量」とも同義である。
任意の個々の適用例に関する有効量は、治療する疾患又は状態、投与される個々の組成物、被験体の大きさ、及び/又は疾患又は状態の重度などの要因に応じて変わる可能性がある。当業者は、過度の実験を必要とせずに、本発明の個々の組成物の有効量を経験的に決定することができる。
【0044】
Toll様レセプター(TLR)リガンド:ここで用いる「Toll様レセプターリガンド」なる用語は、少なくとも一のTLRを活性化することができる任意のリガンドを指す(例としてBeutler, B. 2002, Curr. Opin. Hematol., 9, 2-10, Schwarzら., 2003, Eur.J.Immunol., 33, 1465-1470を参照)。本発明のTLRリガンドは、限定しないが、少なくとも一のtoll様レセプター1(TLR1)、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、又はTLR11を活性化する。例えば、ペプチドグリカン(PGN)又はリポテイコ酸(LTA)は典型的かつ好ましくはTLR2を活性化し(Aliprantisら., Science (1999), 285:736-9;Underhill, ら., Nature, (1999), 401:811-5);ポリ(I:C)などの二本鎖RNAは典型的かつ好ましくはTLR3を活性化し(Alexopoulou ら., Nature (2001), 413:732-8);リポ多糖類(LPS)は典型的かつ好ましくはTLR4を活性化し(Poltorak, ら., Science (1998), 282:2085-8);フラゲリンは典型的かつ好ましくはTLR5を活性化し(Hayashiら. Nature (2001), 410:1099-103);バクテリアRNAなどの一本鎖RNA及びイミダゾキノリン(imidazoquinoline)などのある種の合成物質は典型的かつ好ましくはTLR7及びTLR8を活性化し(Diebold S.ら. Science 303:1529;Heil, FH.ら. Science 303:1526);バクテリアDNA、特にCpGモチーフを含むDNAは典型的かつ好ましくはTLR9を活性化する(Schnareら. Curr. Biol. (2000), 10:1139-42;Hemmi H ら. Nature (2000), 408: 740-5)。ここに挙げた論文は出典明記によりここに組み込まれる。TLRリガンドの概要は、Abreuの論文の表に挙げられており、出典明記によりここに組み込まれ(Abreu M.T.及びArditi M. J., Pediatrics (2004), 421-9)、TLR11とそのリガンドについての参考文献はZhangら., Science, (2004), 303:1522-6に記載されている。当業者の一般的な知識とともにこれら組み込まれる論文を参照すると、ある分子が本発明に基づくTLRリガンドであるかどうか、TLRリガンドが少なくとも一のTLRを活性化するかどうかを試験することは常套法の範囲内である。そのような試験の典型的かつ好ましい例は以下の通りである:3×10個のHEK293細胞に1μgのTLR発現プラスミドと20ngのNF−kBルシフェラーゼレポータープラスミドを200ボルトで960μFにて電気穿孔法を行う。適当な空の発現ベクターを添加することによって一度の電気穿孔につき全量のプラスミドDNAを15μgに保つ。1ウェルあたり10個の細胞をまき、一晩培養した後、試験すべきリガンドにてさらに7〜10時間刺激する。公知のTLRリガンドの濃度範囲は、典型的な例として25μg/ml RNA40−42とDOTAPの複合体(RNAの細胞内への内部移行を促進する)、1μM CpG−ODN2006、10μM R−848、50μg/ml ポリ(I:C)、又は1μg/ml Pam3Cysである(Heil, FH.ら. Science 303:1526)。刺激した細胞をレポーター溶解バッファ(Promega, Mannheim, Germany)を用いて溶解し、製造者の指示書にしたがって照度計、典型的かつ好ましくはBerthold照度計(Wildbad, Germany)を用いて溶解物のルシフェラーゼ活性を評価する。これは当業者の知識の範囲内であり、したがって任意のリガンドの試験のための前述の実験を適用する。
【0045】
ついで、誘導されたルシフェラーゼ活性がネガティブ対照(試験すべきリガンドを添加しないで同じ条件で行った同じ実験)の活性より測定される閾値より統計学的に顕著に高い場合、本発明に関するTLRを活性化すると考えられる。ここで閾値は、6つの別々の実験と6つの実験から3度求めたルシフェラーゼ活性の標準偏差により定義される。ついで、リガンドのルシフェラーゼ活性が上記のように決定された閾値より高い場合、典型的かつ好ましくは「統計学的に顕著に」TLRを活性化すると考えられる。好ましくは、リガンドのルシフェラーゼ活性が上記のように決定された閾値より少なくとも2倍、好ましくは3倍、さらに好ましくは5倍高い場合、リガンドは「統計学的に顕著に」TLRを活性化すると考えられる。
典型的かつ好ましくは、本発明の免疫賦活性核酸がTLRを活性化する場合、本発明のTLRリガンド(d)は免疫賦活性核酸により活性化されるTLRとは異なるTLRを活性化する。例えば、免疫賦活性核酸がTLR9のリガンドであるCpGであるならば、しかして本発明の組成物のTLRリガンド(d)と第二TLRリガンドはTLR9以外の何れかのTLRである第二TLR、例えばTLR1、2、3、4、5、6、7、8、10又は11を活性化する。一方、例えば、免疫賦活性核酸がTLR3のリガンドであるポリ(I:C)であるならば、しかして本発明の組成物のTLRリガンド(d)と第二TLRリガンドはTLR3以外の何れかのTLRである第二TLR、と例えばTLR1、2、4、5、6、7、8、9、10又は11を活性化する。
【0046】
Toll様レセプター4(TLR4)リガンド:TLR4リガンドはTLR4依存性様式で細胞内にシグナル伝達をすることができる。典型的かつ好ましい例として、LPS及びその誘導体、gp96、熱タンパク質及びデフェンシンである。好ましいTLR4リガンドは、LPS及び例えば脂質Aテールの側鎖を欠如した解毒化したLPSなどの誘導体(Persingら., (2002), Trends Microbiol., 10 (10 Suppl), 32-37)、例としてMPL、モノリン酸化脂質A及びその誘導体(Johnsonら., (1999), J Med Chem., 42(22), 4640-4649)、又は化学的に変更したLPS及びLPSの合成類似体(Fernandesら, (1997), 34 (8-9) 569-576;Przetakら, (2003), 21, 961-970)である。ここに挙げたすべての参考文献は出典明記によりここに組み込まれる。本発明の好ましいLPS誘導体、例としてLPSの解毒化した型、化学的に変更した又は合成したLPS類似体は、当業者に公知のウサギを用いた発熱試験の対象となる。典型的かつ好ましくは、好適なLPS誘導体はウサギの発熱試験で有意差を示さない。
【0047】
自己抗原:本明細書で使用するように、「自己抗原」なる用語は、宿主のゲノム又はDNAによってコードされたタンパク質と、宿主のゲノム又はDNAによってコードされたタンパク質又はRNAによって生成される生成物を指し、自己として定義する。好ましくはここで用いる「自己抗原」なる用語は、ヒトのゲノム又はDNAによってコードされたタンパク質と、ヒトのゲノム又はDNAによってコードされたタンパク質又はRNAによって生成される生成物を指し、自己として定義する。自己抗原を含む本発明の組成物、薬剤組成物及びワクチンは特に、宿主に適用する場合自己抗原に対する認容性を破壊する。ここで、「自己抗原に対する認容性を破壊する」とは、宿主への自己抗原を含む本発明の組成物、薬剤組成物及びワクチンを適応したときに自己抗原特異的にここで定義するような免疫応答、好ましくはB又はT細胞応答を亢進することを指す。さらに、2つ又は数個の分子の組合せから生じるタンパク質、又は自己分子の画分であるタンパク質、および前に定義した2つの自己分子と高い相同性(>95%、好ましくは>97%、より好ましくは>99%)を有するタンパク質も、自己とみなすことができる。本発明の他の好ましい実施態様では、抗原は自己抗原である。本発明に関して有用な、自己抗原の非常に好ましい実施態様は、WO02/056905に記載されており、その開示は参照によりその全容がここに組み込まれている。
【0048】
治療:本明細書で使用するように、「治療」、「治療する」、「治療した」、又は「治療している」なる用語は、予防及び/又は療法を指す。感染病に関して使用するとき、たとえば、この用語は、病原体による感染に対する被験者の耐性を増大させる、あるいは言い換えると、被験者が病原体によって感染するか、あるいは感染に起因する病気の徴候を示す可能性を低下させる予防的治療、および感染と戦うため、たとえば感染を低下させるか除外するため、あるいは感染が悪化するのを防ぐための、被験者が感染した後の治療を指す。
ワクチン:本明細書で使用するように、「ワクチン」という用語は、本発明の組成物を含み、動物に投与することができる形である調合物を指す。典型的にはワクチンは、通常の生理食塩水又は緩衝水溶液媒体を含み、本発明の組成物がその中に懸濁又は溶解している。この形で、本発明の組成物を都合よく使用して、疾患を予防、改善、あるいはそれ以外の場合は治療することができる。宿主に導入することによって、ワクチンは、これだけに限らないが、抗体及び/又はサイトカインの生成、及び/又は細胞障害性T細胞、抗原提示細胞、ヘルパーT細胞、樹状細胞及び/又は他の細胞応答を含む免疫応答を誘発することができる。
【0049】
場合によっては、本発明のワクチンは、本発明の化合物に比較して少量又は多量で存在することができる、アジュバントをさらに含む。本明細書で使用するように、「アジュバント」なる用語は、免疫応答の非特異的刺激物質、又は宿主中でデポー作用を生み出すことができる物質を指し、これを本発明のワクチンと組み合わせると、より一層免疫応答の増強が与えられる。さまざまなアジュバントを使用することができる。その例には、不完全フロイント・アジュバント、水酸化アルミニウム、および改変型ムラミルジペプチドがある。
ウイルス様粒子:本明細書で使用するように、「ウイルス様粒子」(VLP)なる用語は、ウイルスに似ているが、病原性であることは証明されていない構造を指す。典型的には、本発明のウイルス様粒子は、ウイルス様粒子のタンパク質をコードする遺伝情報を保有していない。一般に、ウイルス様粒子はウイルス・ゲノムを欠いており、したがって非感染性である。さらにウイルス様粒子は、異種の発現によって多量に生成できることが多く、容易に精製することができる。いくつかのウイルス様粒子は、それらのゲノムと異なる核酸を含むことができる。一般的に、本発明のウイルス様粒子は、非反復性かつ非感染性である。なぜならそれは、ウイルス・ゲノムのすべて又は一部、特にウイルス・ゲノムの反復性かつ感染性要素を欠いているからである。本発明のウイルス様粒子は、それらのゲノムと異なる核酸を含むことができる。本発明のウイルス様粒子の典型的かつ好ましい実施態様は、対応するウイルス、バクテリオファージ、又はRNAファージのウイルス・キャプシドなどの、ウイルス・キャプシドである。本明細書で互換的に使用する、「ウイルス・キャプシド」又は「キャプシド」なる用語は、ウイルス・タンパク質のサブユニットから構成されるマクロ分子の集合体を指す。典型的かつ好ましくは、ウイルス・タンパク質のサブユニットは、固有の反復編成である構造を有する、ウイルス・キャプシドおよびキャプシド中にそれぞれ集合し、前記構造は典型的には球状又は管状である。たとえば、RNAファージ又はHBcAgのキャプシドは、正二十面体様対称性の球状形を有する。本明細書で使用するように、「キャプシド様構造」なる用語は、前に定義した意味でキャプシドの形態に似ているが十分な程度の状態および反復性を保ちながらも、典型的な対称集合体からは逸脱する、ウイルス・タンパク質のサブユニットから構成されるマクロ分子の集合体を指す。
【0050】
RNAファージ・コート・タンパク質のVLP:RNAファージ・コート・タンパク質の180サブユニットの自己組織化体から形成され、場合によっては宿主のRNAを含むキャプシド構造を、「RNAファージ・コート・タンパク質のVLP」と呼ぶ。1つの具体例は、Qβコート・タンパク質のVLPである。この特定の場合、Qβコート・タンパク質のVLPは、たとえば、抑制によって大きなA1タンパク質の任意の発現を邪魔するTAA停止コドンを含む、QβCP遺伝子の発現によって生じるQβCPサブユニット(配列番号1)(Kozlovska,T.M.他、Intervirology 39:9〜15(1996)を参照のこと)であり、あるいはキャプシド集合体中にA1タンパク質サブユニット(配列番号2)をさらに含んでもよい。リードスルーな工程は効率が低く、VLP中にほんのわずかな量のA1タンパク質しかない。パッケージ化ISSと連結した抗原の異なる組み合わせを用いて多くの数の実験が行われている。QβCPサブユニットから限局的に集積したQβコートタンパク質のVLP、又はキャプシド内にA1タンパク質サブユニットをさらに含むQβコートタンパク質のVLPを用いる場合、連結効率とパッケージ化効率に違いは観察されなかった。さらに、QβVLP調整物間に免疫応答の違いも観察されなかった。ゆえに、明確にするために「QβVLP」なる用語はQβCPサブユニットから限局的に集積したQβコートタンパク質のVLP又はキャプシド内にA1タンパク質をさらに含むQβコートタンパク質のVLP何れの実施例についての記載全体を通して用いる。
【0051】
本明細書で使用するように、「ウイルス粒子」なる用語は、ウイルスの形態を指す。いくつかのウイルス型では、ウイルスはタンパク質キャプシドに囲まれたゲノムを含み、他のウイルスは追加的な構造(たとえば、エンベロープ、尾部など)を有する。
非エンベロープ・ウイルス粒子は、ウイルス・ゲノムを囲み保護するタンパク質キャプシドでできている。エンベロープで覆われたウイルスは、ウイルスの遺伝物質を囲むキャプシド構造も有するが、さらに、キャプシドを囲む脂質二重層エンベロープを有する。
本発明の好ましい実施態様では、VLPは、リポタンパク質エンベロープ又はリポタンパク質含有エンベロープを含まない。更なる好ましい実施態様では、VLPはエンベロープをまったく含まない。
One、a、又はan:用語「one」、「a」、又は「an」を本開示中で使用するとき、それらは、特に示さない限りは、「少なくとも1つ」、又は「1つ又は複数」を意味する。
【0052】
当業者には明らかであろうが、本発明のいくつかの実施態様は、クローニング、ポリメラーゼ連鎖反応、DNAおよびRNAの精製、原核および真核細胞などにおける組み換えタンパク質の発現などの、核酸組み換え技術の使用に関するものである。このような方法は当業者によく知られており、公開されている研究室の方法マニュアル中で都合よく発見することができる(たとえば、Sambrook, J.他, eds.,MOLECULAR CLONING,A LABORATORY MANUAL, 2nd.edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.(1989);Ausubel,F.他, eds., CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John H.Wiley & Sons,Inc.(1997))。組織培養細胞系を用いた作業に関する、基礎的な研究室の技法(Cells,J.,ed., CELL BIOLOGY, Academic Press, 2nd edition, (1998))、および抗体系の技術(Harlow,E.and Lane,D., 「Antibodies:A Laboratory Manual」Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.(1988);Deutscher,M.P., 「Guide to Protein Purification」Meth.Enzymol.128, Academic Press San Diego(1990);Scopes,R.K., 「Protein Purification Principles and Practice」3rd ed., SpringerVerlag, New York(1994))も文献中に十分に記載されており、これらはすべて参照により本明細書に組み込まれている。
【0053】
2.免疫応答を高めるための組成物および方法
開示する本発明は、動物の1つ又は複数の抗原に対する、免疫応答を高めるための組成物および方法を提供する。本発明の組成物は、(a)ウイルス様粒子、(b)免疫賦活性核酸、好ましくは核酸又はオリゴヌクレオチドがウイルス様粒子に接合、融合、さもなければ接着あるいは封入されている、すなわち結合及び好ましくはパッケージ化されている非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチド、(c)VLPに結合又は融合した少なくとも一抗原、あるいはVLPと混合された抗原、及び(d)少なくとも一のTLRリガンドを含む、あるいは選択的にこれらからなる。好ましくは、TLRリガンド(d)は本発明のVLP(a)と混合している。さらに、本発明によって実践者は、例えば、感染病並びに慢性感染病の予防及び/又は治療、癌の予防及び/又は治療、喘息などのアレルギー又はアレルギー関連疾患の予防及び/又は治療を含む様々な治療及び/又は予防目的の、このような組成物を都合よく構築することができる。
【0054】
本出願に述べるウイルス様粒子は、WO03/024481の39〜59頁に詳述されているVLPを指し、その開示内容は出典明記によりここに組み込まれる。VLPの例には、限定するものではないが、B型肝炎ウイルス、RNAファージ、Ty、fr−ファージ、GA−ファージ、AP205−ファージ、及び特にQβ−ファージが含まれる。より特定の実施態様では、VLPは、組み換えポリペプチド、又はその断片を含むか、あるいは選択的にこれから本質的になるか、あるいは選択的にこれらからなる。好ましい実施態様では、ウイルス様粒子は、RNAファージの組み換えタンパク質、又はその断片を含むか、本質的にこれらからなるか、あるいは選択的にこれらからなる。好ましくは、RNAファージは、a)バクテリオファージQβ;b)バクテリオファージR17;c)バクテリオファージfr;d)バクテリオファージGA;e)バクテリオファージSP;f)バクテリオファージMS2;g)バクテリオファージM11;h)バクテリオファージMX1;i)バクテリオファージNL95;k)バクテリオファージf2;l)バクテリオファージPP7;及びm)バクテリオファージAP205からなる群から選択されることが好ましい。本発明の更に好ましい実施態様では、組み換えタンパク質はRNAファージのコートタンパク質を含むか、実質的にそれらからなるか、あるいは選択的にそれらからなる。
【0055】
本発明の組成物を調製するために使用することができる、バクテリオファージのコート・タンパク質の具体的な好ましい例には、WO03/024481(41頁最終段落〜49頁第2段落)に詳細に記載されており、その開示内容は出典明記によりここに組み込まれ、バクテリオファージQβ(PIRデータベース、受託番号VCBPQβはQβCPを指し、および受託番号AAA16663はQβA1タンパク質を指す)、バクテリオファージR17(PIR受託番号VCBPR7)、バクテリオファージfr(PIR受託番号VCBPFR)、バクテリオファージGA(GenBank受託番号NP−040754)、バクテリオファージSP(GenBank受託番号CAA30374はSPCPを指し、および受託番号NP695026はSPA1タンパク質を指す)、バクテリオファージMS2(PIR受託番号VCBPM2)、バクテリオファージM11(GenBank受託番号AAC06250)、バクテリオファージMX1(GenBank受託番号AAC14699)、バクテリオファージNL95(GenBank受託番号AAC14704)、バクテリオファージf2(GenBank受託番号P03611)、バクテリオファージPP7(配列番号3)、バクテリオファージAP205(配列番号32又は33)などのRNAバクテリオファージのコート・タンパク質が含まれる。
【0056】
4個のリシン残基が、Qβコート・タンパク質のキャプシドの表面上で露出している。露出したリシン残基がアルギニンによって置換されている、Qβ変異体も、本発明用に使用することができる。したがって、以下のQβコート・タンパク質変異体、および変異体Qβ VLPを、本発明を実施する際に使用することができる:「Qβ−240」(Lysl3−Arg;配列番号4)、「Qβ−243」(Asn10−Lys;配列番号5)、「Qβ−250」(Lys2−Arg、Lysl3−Arg;配列番号6)、「Qβ−251」(配列番号7)および「Qβ−259」(Lys2−Arg、Lys16−Arg;配列番号8)。したがって、本発明の他の好ましい実施態様では、ウイルス様粒子は、変異体Qβコート・タンパク質の組み換えタンパク質を含むか、あるいはこれらから本質的になるか、あるいは選択的にこれらからなり、ウイルス様粒子は、a)配列番号4のアミノ酸配列;b)配列番号5のアミノ酸配列;c)配列番号6のアミノ酸配列;d)配列番号7のアミノ酸配列;およびe)配列番号8のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含む。前述したQβコート・タンパク質、変異体Qβコート・タンパク質VLPおよびキャプシドそれぞれの構築、発現および精製は、WO02/056905に記載されている。
【0057】
更に、本発明は上記したアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%又は99%の同一性であるアミノ酸配列を含むか、あるいは選択的にこれから実質的になるか、あるいは選択的にこれからなるタンパク質を含む組成物を包含する。免疫応答を誘導する能力を保持するVLPの断片は、約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450又は500個のアミノ酸長のポリペプチドであるが、VLPを含むサブユニットの配列の長さに明らかに依存するポリペプチドを含むか、あるいは選択的にこれらからなっていてよい。このような断片の例は、免疫応答促進組成物を調製するのに適した、本明細書で論じるタンパク質の断片を含む。
前述したように、本発明は、ウイルス様粒子又はそれに由来する組み換え体を含む。当業者は、このような粒子を生成させ抗原をそれに混合させる知識を有している。他の例を示すことによって、本明細書において本発明は、ウイルス様粒子としてのB型肝炎ウイルス様粒子の生成を提供する(実施例1)。
【0058】
一実施態様では、本発明の組成物中に使用する粒子は、B型肝炎キャプシド(コア)タンパク質(HBcAg)、又はHBcAgの断片から構成されており、これが改変されて、遊離システイン残基の数がなくなっているかあるいは減少している。例えば、配列番号9に示すHBcAg又はその変異体などのHBcAgタンパク質であり、本発明の組成物を調整するのに用いることができるHBcAgタンパク質の具体的な好ましい例には、WO03/024481(52頁第4段落〜58頁最終段落)に詳細に記載されており、その開示内容は出典明記によりここに組み込まれる。本発明に用いることができるB型肝炎ウイルス様粒子の調整は、例えばWO00/32227の特に実施例17〜19及び21〜24、並びにWO01/85208の特に実施例17〜19、21〜24、31及び41、及びWO02/056905に開示されている。後者の出願は特に実施例23、24、31及び51を指す。3つすべての明細書は出典明記により明確にここに組み込まれる。
【0059】
本発明を実施する際に使用するのに適した、いくつかの天然に存在するHBcAg変異体が同定されてきている(たとえば、Yuan他(J.Virol.73:10122-10128(1999))。更に、本発明を実施する際に使用するのに適したHBcAg変異体は、WO03/024481(54頁第3段落〜55頁第1段落)に記載されており、その開示内容は出典明記によりここに組み込まれる。
本発明で使用するのに適したHBcAgは、非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドを封入、又は結合、又はさもなくば付着することができ、免疫応答を誘導することができる限りは、任意の生物に由来するものであってよい。
【0060】
本発明のいくつかの実施態様では、リシン残基をHBcAgポリペプチドに導入して、抗原又は抗原決定基とHBcAgのVLPの結合を仲介させる。好ましい実施態様では、本発明の組成物を、配列番号10のアミノ酸1〜144、又は1〜149、1〜185を含むか、あるいは選択的にこれらからなるHBcAgを用いて調整するものであり、そのHBcAgは改変されて、位置79および80に対応するアミノ酸が、Gly−Gly−Lys−Gly−Glyのアミノ酸配列(配列番号34)を有するペプチドで置換された結果生じた配列番号96のアミノ酸配列を有するHBcAg変異体である。更なる好ましい実施態様では、配列番号10の位置48および107におけるシステイン残基が、セリンに変異する(配列番号36)。更に本発明は、上述したアミノ酸変異を有するWO03/024481(54頁第3段落〜55頁第1段落)に示すアミノ酸配列を有する対応するポリペプチドを含む組成物を含む。更には、キャプシド又はVLPを形成するために結合することができ、上記アミノ酸の変異を有する付加的なHBcAgも本発明の範囲内である。したがって、本発明は、任意の野生型アミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、又は99%同一であり、プロセッシングされており、適切な場合はN末端リーダー配列が除去されており、前に示した変更によって改変されている、これらのタンパク質を形成するアミノ酸配列を含むか、あるいは選択的にこれらからなる、HBcAgポリペプチドを含む、組成物をさらに含む。
【0061】
本発明の一態様では、非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドが結合したウイルス様粒子は、亢進した免疫応答が望まれる抗原/免疫源と連結又は混合している。ある場合では、単一抗原がそのように変更されたウイルス様粒子と連結又は混合するであろう。他の場合では、そのように変更したVLPは他の抗原や更なる複合抗原混合と連結又は混合する。抗原は組み換えして産生するか天然源から抽出することができ、その天然源には限定するものではないが、花粉、塵、真菌類、昆虫、食物、哺乳類の表皮、羽毛、ミツバチ、腫瘍、病原体及び羽毛が含まれる。
本発明の一実施態様では、少なくとも一の免疫賦活性核酸、好ましくは少なくとも一の非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドと、VLPに連結又は融合するかVLPと混合した抗原と、少なくとも一のTLRリガンドを含有するVLPを含んでなる組成物を添加した物質は、TLRの活性、典型的かつ好ましくは本発明の免疫賦活性核酸によって活性化されない第二TLRの活性を誘発することができる。
【0062】
一実施態様では、本発明は、(a)ウイルス様粒子(VLP)、(b)免疫賦活性核酸、好ましくは核酸又はオリゴヌクレオチドがウイルス様粒子に接合、融合、さもなければ接着あるいは封入されている、すなわち結合及び好ましくはパッケージ化されている非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチド、(c)VLPに結合又は融合した少なくとも一抗原、あるいはVLPと混合された抗原、及び(d)少なくとも一TLRリガンドを含む、動物の免疫応答を亢進するための組成物を提供する。好ましくは、TLRリガンド(d)は本発明のVLP(a)と混合している。好ましくは、免疫賦活性核酸(b)はリガンド(d)により活性化されるTLRと異なるTLRを活性化する。
【0063】
TLRは、免疫系による自己/非自己識別のための鍵であるとよく記載されるパターン認識分子である。今日までに10個のヒトtoll様レセプタが知られている。それらは種々のリガンドによって活性化される。TLR2は、ペプチドグリカン、リポタンパク、リポポリサッカリド、リポテイコ酸およびザイモサン、およびマクロファージ活性化リポペプチドMALP-2によって活性化される;TLR3は、ポリ(I:C)などの二本鎖RNAによって活性化する;TLR4は、リポポリサッカリド、リポテイコ酸およびタキソール、および熱ショックタンパク質HSP-60、Gp96およびデフェンシンなどの熱ショックタンパク質によって活性化される;TLR5は、細菌鞭毛、特にフラゲリンタンパク質によって活性化される;TLR6はペプチドグリカンによって活性化され、TLR7はイミキモド(imiquimoid)およびイミダゾキノリン化合物、例えばR―848、ロキソリビン(loxoribine)およびブロピリミン(bropirimine)によって活性化され、TLR9は細菌DNA、特にCpG-オリゴヌクレオチドによって活性化される。TLR1、TLR8、TLR10およびTLR11のリガンドは今までに知られていない。しかしながら、最近の報告により、同じレセプタが異なるリガンドと反応することができること、更にレセプタが存在することが示される。リガンドの上記リストは網羅的なものではなく、更にリガンドは当業者の知識の範囲内である。一般に、TLRの誘因により抗原提示細胞(APC)が活性化される。したがって、TLRsの誘因によりAPCの活性化によって、T細胞応答が亢進されるかもしれない。本発明において、発明者は、異なるTLRの刺激により相乗的応答が引き起こされるという驚くべき発見をした。具体的には、VLP内にパッケージ化されたCpGによるTLR9の刺激は、LPS又は他のTLR4リガンドによるTLR4の刺激と相乗作用するかもしれない。したがって、好ましい実施態様では、CpGによりTLR9に付加的に刺激されたTLRは、TLR4であってもよい。TLR4について様々なリガンドが知られている。それらはLPSを含み、LPSはTLR4の天然リガンドである。加えて、例えばリピドA尾部の側鎖を欠いているLPSの解毒された型はまた、TLR4の強力な活性化因子である。モノスホリルリピドA及びその誘導体は当分野において周知である。好適な誘導体は、3de-o-アシル化モノリン酸化リピドAであって、英国特許番号2220211から知られている。TLR4を刺激する能力にもかかわらず、これらの非天然リガンドは、相対的に非中毒性であるため、ワクチン製剤におけるTLR4刺激のための好適な物質である(Curr Drug Targets Infect Disord. 2001 Nov;1(3):273-86.)。近年では、TLRリガンドのファミリは、熱ショックタンパク質(J Biol Chem. 2002 Apr 26;277(17): 15107-12.)及びデフェンシン(Science. 2002 Nov 1;298(5595): 1025-9.)を含むように範囲が広がっている。ゆえに、デフェンシンおよび熱ショックタンパク質もまたこの発明の範囲内である。
【0064】
一実施態様では、本発明の組成物における免疫賦活性核酸が、(a)リボ核酸;(b)デオキシリボ核酸;(c)キメラ核酸;及び(d)(a)、(b)及び/又は(c)の少なくとも何れか一の核酸の混合物からなる群から選択される。好ましい実施態様では、本発明の免疫賦活性核酸がポリ-(I:C)である。他の実施態様では、免疫賦活性核酸が免疫賦活性核酸が、(a)非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチド;及び(b)非メチル化CpGモチーフを含まないオリゴヌクレオチドからなる群から選択され、好ましくは本発明の免疫賦活性核酸が非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドである。
2クラスの核酸、すなわち1)免疫賦活性配列を含む細菌DNA、特に特定の隣接塩基内の非メチル化CpGジヌクレオチド(CpGモチーフと呼ばれる)、および2)さまざまな型のウイルスによって合成される二本鎖RNAが、免疫応答を高める細菌成分中の重要な構成要素である。ポリイノシン−ポリシチジル酸(ポリI:C)などの合成二本鎖(ds)RNAは、樹状細胞に前炎症性サイトカインの生成を誘導させ、高レベルの共賦活分子を発現させることができる。
【0065】
TokunagaおよびYamamotoらによる一連の研究によって、細菌DNA又は合成オリゴデオキシヌクレオチドが、ヒトPBMCおよびマウス脾臓細胞を誘発して、I型インターフェロン(IFN)を生成させることが示されている(Yamamotoら、Springer Semin Immunopathol.22:11-19中に概説されている)。ポリ(I:C)は、本来はI型IFNの強力な誘導物質として合成されたが、IL−12などの他のサイトカインも誘導する。
好ましいリボ核酸は、ポリイノシン−ポリシチジル酸の二本鎖RNA(ポリI:C)を含む。リボ核酸およびその修飾体、およびそれらを生成するための方法は、Levy、H.B(Methods Enzymol.1981、78:242-251)、DeClercq,E(Methods Enzymol.1981、78:227-236)、およびTorrence,P.F.(Methods Enzymol 1981;78:326-331)、およびその中の参照によって記載されている。更なる好適なリボ核酸は、二本の鎖が二本鎖RNAを形成しているポリ(IC)などイノシン酸およびシチジル酸のポリヌクレオチドを含む。リボ核酸は、生物から単離することができる。リボ核酸は、他の合成リボ核酸、特に合成ポリ(I:C)オリゴヌクレオチドも含み、これらはリン酸ジエステル骨格の修飾によって、特にホスホロチオエートの修飾によって、ヌクレアーゼ耐性になっている。他の好ましい実施態様では、ポリ(I:C)のリボース骨格が、デオキシリボースによって置換されている。当業者は、合成オリゴヌクレオチドの合成の仕方の手順を知っている。
【0066】
一般的に、前記非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドは、X、X、XおよびXが任意のヌクレオチドである配列
5’XCGX3’
を含む。さらにオリゴヌクレオチドは、約6〜約100,000個のヌクレオチド、好ましくは約6〜約2000個のヌクレオチド、より好ましくは約20〜約2000個のヌクレオチド、より好ましくは約20〜約300個のヌクレオチドを含むことができる。さらにオリゴヌクレオチドは、100超〜約2000個のヌクレオチド、好ましくは100超〜約1000個のヌクレオチド、より好ましくは100超〜約500個のヌクレオチドを含むことができる。
好ましい実施態様では、CpG含有オリゴヌクレオチドは、リン酸骨格の1つ又は複数のホスホチオエステル修飾体を含む。たとえば、リン酸骨格の1つ又は複数のリン酸の修飾体を有するか、あるいは修飾されたリン酸骨格のすべてを有するCpG含有オリゴヌクレオチド、および1個、数個、あるいはすべてのヌクレオチドのリン酸骨格の修飾体が、ホスホロチオエート修飾体であるCpG含有オリゴヌクレオチドは、本発明の範囲内に含まれる。
【0067】
CpG含有オリゴヌクレオチドは、組み換え体、ゲノム、合成、cDNA、プラスミド由来、および一本又は二本鎖であってもよい。本発明において使用するために、当分野でよく知られているいくつかの手順のいずれかを使用して、核酸を新たに合成することができる。たとえば、b−シアノエチル・ホスホアミダイト法(Beaucage,S.L.,and Caruthers,M.H.、Tet.Let.22:1859(1981);ヌクレオシドH−リン酸法(Gareggら、Tet.Let.27:4051-4054(1986);Froehlerら、Nucl.Acid.Res.14:5399-5407(1986);Gareggら、Tet.Let.27:4055-4058(1986)、Gaffneyら、Tet.Let.29:2619-2622(1988))。これらの化学的方法は、市場で入手可能なさまざまな自動式オリゴヌクレオチド合成装置によって、実施することができる。あるいは、CpGをプラスミド中において大規模で生成させることができ(Sambrook,T.ら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor laboratory Press、New York、1989を参照のこと)、これは被験者に投与された後にオリゴヌクレオチドに分解される。オリゴヌクレオチドは、知られている技法、制限酵素、エクソヌクレアーゼ又はエンドヌクレアーゼを利用する技法を使用して、既存の核酸配列(たとえば、ゲノム又はcDNA)から作製することができる。
【0068】
免疫賦活性核酸、並びに非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドは、当分野で知られている任意の方法によってVLPに結合することができ、その組成物は動物の免疫応答を高めるものとする。たとえば、オリゴヌクレオチドは、共有的又は非共有的に結合することができる。さらに、VLPは、完全あるいは部分的に、免疫賦活性核酸並びに非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドを封入することができる。免疫賦活性核酸、および非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド結合部位(本来存在するもの又は本来存在しないもの)、DNA結合部位、又はRNA結合部位などのVLP部位に結合することができることが好ましい。他の実施態様では、VLP部位はアルギニンリッチリピート又はリジンリッチリピートを含む。本発明の免疫賦活性核酸を本発明のVLP、例えばHBcAg、RNAファージQβ又はAP205にパッケージ化する方法は、当分野で公知であり、WO03/024481(特に実施例11〜17)に記載されており、その開示はその全体が出典明記によりここに組み込まれる。
【0069】
本発明の組成物の1つの具体的な使用は、抗原に対する特定の免疫応答を高める目的で、樹状細胞を活性化させることである。樹状細胞は、エキソビボ又はインビボの技法を使用して、亢進することができる。エキソビボの手順を、自己又は異種細胞に使用することができるが、自己細胞に使用することが好ましい。好ましい実施態様では、樹状細胞を末梢血液又は骨髄から単離するが、これは樹状細胞の任意の源から単離することができる。癌の免疫療法の目的での、樹状細胞のエキソビボでの操作は、Engleman,E.G., Cytotechnology 25:1(1997);Van Schooten,W.ら, Molecular Medicine Today, June, 255(1997);Steinman,R.M., Experimental Hematology 24:849(1996);及びGluckman,J.C., Cytokines,Cellular and Molecular Therapy 3:187(1997)を含めた、当分野のいくつかの参照文献に記載されてきている。
樹状細胞を、インビボでの方法を使用して、本発明の組成物と接触させることもできる。これを実施するために、CpGを、抗原に連結又は抗原と混合したVLPと付加的なTLRリガンドとを組み合わせて、免疫療法を必要とする被験者に直接投与する。いくつかの実施態様では、VLP/CpGを腫瘍の局所領域に投与することが好ましく、当分野で知られている任意の方法、たとえば腫瘍への直接的な注射によって、これを実施することができる。
【0070】
本発明の更なるとても好ましい実施態様では、非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドが、配列GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号54)を含むか、あるいは選択的にこれから本質的になるか、あるいは選択的にこれからなる。後者はインビトロで血液細胞を刺激することができるということがすでに明らかとなった(Kuramoto E.ら., Japanese Journal Cancer Research 83, 1128-1131 (1992)。
本発明の他の好ましい実施態様では、免疫賦活性核酸が非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドであり、該非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドのCpGモチーフがパリンドローム配列の一部である。好ましくは、前記パリンドローム配列がGACGATCGTC(配列番号39)である。他の好ましい実施態様では、前記パリンドローム配列が、10以下のグアノシン自体によりその3’末端及びその5’末端に隣接しており、好ましくは、該パリンドローム配列がGACGATCGTC(配列番号39)である。更なる好ましい実施態様では、前記パリンドローム配列が少なくとも3及び多くとも9のグアノシン自体によってそのN末端に隣接し、該パリンドローム配列が少なくとも6及び多くとも9グアノシン自体によってそのC末端に隣接する。これら本発明の免疫賦活性核酸はVLP内にとても効率よくパッケージ化されることが思いがけなく明らかとなった。この結果、パッケージ化する能力は、配列GACGATCGTC(配列番号39)を10のグアノシン自体によりその3’末端及びその5’末端に隣接して有する対応する免疫賦活性核酸と比較して亢進された。
【0071】
本発明の好ましい実施態様では、前記パリンドローム配列がGACGATCGTC(配列番号39)を含むか、あるいは選択的にそれから実質的になるか、あるいは選択的にそれからなるものであり、該パリンドローム配列が少なくとも3及び多くとも9のグアノシン自体によってその5’末端に隣接し、該パリンドローム配列が少なくとも6及び多くとも9グアノシン自体によってその3’末端に隣接する。
本発明の更にとても好ましい実施態様では、免疫賦活性核酸が非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドであり、該非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドのCpGモチーフがパリンドローム配列の一部であり、非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドが、(a)GGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号40);及び主としてここではG3−6と略す、(b)GGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号41);及び主としてここではG4−6と略す、(c)GGGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号42);及び主としてここではG5−6と略す、(d)GGGGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号43);及び主としてここではG6−6と略す、(e)GGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGG(配列番号44);及び主としてここではG7−7と略す、(f)GGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGG(配列番号45);及び主としてここではG8−8と略す、(g)GGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGG(配列番号46);及び主としてここではG9−9と略す、及び(h)GGGGGGCGACGACGATCGTCGTCGGGGGGG(配列番号47)及び主としてここではG6と略す、からなる群から選択される核酸配列を有する。
【0072】
本発明の更なる好ましい実施態様では、免疫賦活性核酸が非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドであり、該非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドのCpGモチーフがパリンドローム配列の一部であり、該パリンドローム配列がGACGATCGTC(配列番号39)であり、該パリンドローム配列が少なくとも4及び多くとも9のグアノシン自体によってその5’末端に隣接し、該パリンドローム配列が少なくとも6及び多くとも9グアノシン自体によってその3’末端に隣接する。
本発明の更なる好ましい実施態様では、免疫賦活性核酸が非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドであり、該非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドのCpGモチーフがパリンドローム配列の一部であり、該パリンドローム配列がGACGATCGTC(配列番号39)であり、該パリンドローム配列が少なくとも5及び多くとも8のグアノシン自体によってその5’末端に隣接し、該パリンドローム配列が少なくとも6及び多くとも8グアノシン自体によってその3’末端に隣接する。
【0073】
実験的データにより、パリンドローム配列がより少ないグアノシン自体により隣接する場合、好適な本発明の免疫賦活性核酸、すなわちパリンドローム配列がGACGATCGTC(配列番号39)であり、該パリンドローム配列が10以下のグアノシン自体によってその3’末端及び5’末端に隣接しているグアノシン隣接、パリンドローム配列及び非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドをVLP内にパッケージ化する場合が増加する。しかしながら、パリンドローム配列を隣接するグアノシン自体の数が少なくなると、インビトロの血液細胞の刺激が減少する。ゆえに、パッケージ化能は示した本発明の免疫賦活性核酸の生物学的活性の減少による。ゆえに好適な実施態様は、パッケージ化能と生物学的活性とが調和されている。
本発明の更なる好ましい実施態様では、免疫賦活性核酸が非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドであり、該非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドのCpGモチーフがパリンドローム配列の一部であり、該非メチル化が配列番号45の核酸配列を持つ、すなわち免疫賦活性核酸がG8−8である。
【0074】
本発明の特に好ましい実施態様では、本組成物は、(a)VLP、(b)少なくとも一の免疫賦活性核酸、(c)少なくとも一の抗原、及び(d)少なくとも一のTLRリガンドを含み、該免疫賦活性核酸(b)が非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドであり、該リガンド(d)がTLR1、2、3、4、5、6、7、8、10又は11のリガンドであり、該TLRのリガンドがTLR1、2、3、4、5、6、7、8、10及び11からなる群から選択した少なくとも一のTLRを活性化する。
本発明の更なる特に好ましい実施態様では、本組成物は、(a)VLP、(b)少なくとも一の免疫賦活性核酸、(c)少なくとも一の抗原、及び(d)少なくとも一のTLRリガンドを含み、該免疫賦活性核酸(b)がポリ(I:C)であり、該リガンド(d)がTLR1、2、4、5、6、7、8、9、10又は11のリガンドであり、該TLRのリガンドがTLR1、2、4、5、6、7、8、9、10及び11からなる群から選択した少なくとも一のTLRを活性化する。
【0075】
更に本発明の組成物は、変更したウイルス様粒子と混合した又は連結した抗原ないし抗原決定基を含む。本発明は、所望の治療効果を考慮して選択された抗原ないし抗原決定基によって異なる組成物を提供する。本発明の使用に適する抗原又は抗原決定基はWO00/32227、WO01/85208及びWO02/056905に開示されており、その開示内容は出典明記によりその全体がここに組み込まれる。
抗原は公知又はまだ知られていない起源の任意の抗原でよい。それは感受性のある患者にアレルギー反応を引き起こすことが知られているバクテリア;ウイルス又は他の病原体;腫瘍;又は、木、草、雑草、植物、真菌類、糸状菌、塵ダニ、食物又は動物から単離することができる。あるいは、抗原は好適なコード化核酸の発現から得られる組み換え抗原であり得る。好ましい実施態様では、抗原は組み換え抗原である。もちろん、抗原の選択は所望する免疫学的応答と宿主に依存する。
【0076】
本発明は広く多種の抗原に適用できる。好ましい実施態様では、抗原はタンパク質、ポリペプチド又はペプチドである。
本発明の抗原は、以下の:(a)癌細胞に対する免疫応答を誘導するのに適したポリペプチド;(b)感染病に対する免疫応答を誘導するのに適したポリペプチド;(c)アレルゲンに対する免疫応答を誘導するのに適したポリペプチド;(d)家畜又はペットの免疫応答を誘導するのに適したポリペプチド;および(e)ポリペプチドに天然に存在する糖鎖、及び(f)(a)〜(e)で述べた何れかのポリペプチドの断片(たとえば、ドメイン)からなる群から選択することができる。
好ましい抗原には、病原体(たとえば、ウイルス、細菌、寄生虫、真菌)由来の抗原、および腫瘍由来の抗原(特に腫瘍関連抗原、すなわち「腫瘍マーカー」)及びアレルゲンがある。他の好ましい抗原は、自己抗原(それぞれautoantigen、self antigen)である。
いくつかの実施例では、ペプチドp33を含むVLPを用いた。ペプチドp33を含むVLPはその便利さゆえのみにより用いたのであり、野生型のVLPを更に本発明に用いることができることを注記する。ペプチドp33はリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)に由来した。p33ペプチドはもっとも適するCTLエピトープの一つを表出している。p33特異的T細胞はトランスジェニックマウスに致死的な糖尿病を引き起こすことが示されている(Speiserら., J. Exp. Med. 186:645 (1997))。ゆえに、この特異的エピトープは特に自己免疫、腫瘍免疫学並びにウイルス性疾患の研究によく適する。
【0077】
本発明の一特異的実施態様では、抗原又は抗原決定基は感染性疾患の予防に有用なものである。このような処置は、例としてヒト、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ、他の哺乳動物種又は非哺乳動物種も同様に広く影響する非常に様々な感染性疾患の治療に有用であろう。感染性疾患は当業者によく知られており、その例には、HIV、インフルエンザ、ヘルペス、ウイルス性肝炎、イプシュタインバー、ポリオ、ウイルス性脳炎、はしか、水痘、パピローマウイルスなどのウイルス病因の感染症;または、肺炎、結核、梅毒などの細菌病因の感染症;又は、マラリア、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、トリコモナス症、アメーバ症などの寄生虫病因の感染症が含まれる。ゆえに、本発明の組成物に選択された抗原又は抗原決定基は医学の分野でよく知られているものであり;抗原又は抗原決定基には、以下の:HIV抗原gp140およびgp160;インフルエンザ抗原血球凝集素、M2タンパク質およびノイラミニダーゼ、B型肝炎表面抗原又はマラリアのスポロゾイト周囲タンパク質又はそれらの断片を含む。
上記のように、抗原には、天然源由来の又は合成したウイルス、細菌及び真菌などの感染性微生物及びその断片が含まれる。
【0078】
ウイルスなどの感染性微生物、脊椎動物の抗原であり、本発明の組成物の使用に用いることができるRNAウイルスの例、又は例示的DNAウイルスは、例としてWO03/024481(特に86〜89頁)に記載されており、その開示は出典明記によりここに組み込まれる。
本発明の特定の実施態様では、抗原は一以上の細胞障害性T細胞エピトープ、Th細胞エピトープ、又は細胞障害性T細胞エピトープとTh細胞エピトープの組み合わせを含む。
ヒトの抗原特異的免疫応答を亢進するために、好ましい実施態様の方法は、他の哺乳動物又は他の動物、例として雌鶏、ニワトリ、シチメンチョウ、カモ、ガチョウ、ウズラおよびキジなどの鳥の治療に特によく適している。鳥は、多くのタイプの感染症の第一標的である。本発明の組成物に用いることができる抗原の他の例はWO03/024481(90〜93頁)に記載されている。
【0079】
本発明の他の態様では、「自己」遺伝子産物(例として、腫瘍壊死因子)が原因となる又は悪化する疾患ないし症状を予防する及び/又は寛解する方法に用いるのに適したワクチン組成物を提供する。ゆえに、本発明のワクチン組成物は、「自己」遺伝子産物が原因となる又は悪化する疾患ないし症状を予防及び/又は寛解する抗体の産生を引き起こす組成物を含む。このような疾患ないし症状の例には、移植片対宿主病、IgE媒介性アレルギー反応、アナフィラキシー、成人呼吸窮迫症候群、クローン病、アレルギー性喘息、急性リンパ性白血病(ALL)、非ホジキン性リンパ腫(NHL)、グレーブス病、全身エリテマトーデス(SLE)、炎症性自己免疫疾患、重症筋無力症、免疫増生病、リンパ節腫脹(IPL)、血管免疫増生性リンパ節腫脹(AIL)、免疫芽細胞性リンパ節腫脹(IBL)、慢性関節リウマチ、糖尿病、多発性硬化症、アルツハイマー病および骨粗鬆症芽含まれる。
関連する特定の実施態様では、本発明の組成物はアレルギー、癌又は薬剤中毒の治療及び/又は予防のために用いることができる。
【0080】
組成物の調整及びアレルギー治療の方法に用いるための抗原ないし抗原決定基の選択は、このような疾患を治療する医学分野の技術者に公知であろう。そのような抗原ないし抗原決定基の代表例には以下の:蜂毒ホスホリパーゼA2;Amb a 1(ブタクサ花粉アレルゲン)、Bet v I(カバノキ花粉アレルゲン);5Dol m V(白色顔クロスズメバチ(white-faced hornet)毒物アレルゲン);Der p 1、Der f 2及びDer 2(イエダニアレルゲン);Lep d 2(塵ダニアレルゲン);Alt 1、Asp f 1、及びAsp f 16(真菌類アレルゲン);Ara h1、Ara h2及びAra h3(ピーナッツアレルゲン)、並びに免疫学応答を誘発するために用いることができるそれぞれの断片が含まれる。さらに、本発明は花粉抽出物又は蜂毒などの有機体又は有機体の一部から単離したアレルゲン混合物の使用に特に有用である。
【0081】
好ましい実施態様では、花粉抽出物は樹木、草、雑草および栽培植物を含むか、あるいは選択的にこれからなる。樹木花粉抽出物の例には、限定するものではないが、以下の:アカシア、ハンノキ(灰色)、アーモンド、リンゴ、アプリコット、小脳活樹(arbor vitae)、トネリコ、ポプラ(aspen)、ヤマモモ、ブナノキ、カバノキ(春季)、カバノキ(白)、ボトルブラッシュ、トネリコバカエデ、イナゴマメ木、スギ、限定するものでなく日本スギを含む、サクランボ、クリ、ハコヤナギ、イトスギ、ニワトコの木、ニレ(アメリカ)、ユーカリノキ、モミ、エノキ、ヘイゼルナッツ、ヘムロック(hemlock)、ヒッコリ、アサダ、鉄木、ビャクシン、イナゴ、カエデ、コバノブラッシノキ(melaleuca)、メスキート、バイカウツギ、クワ、オーク(白)、オリーブ、オレンジ、オーセージ・オレンジ(osage orang)、パロ・バーデ(palo verde)、桃、西洋ナシ、ペカン、コショウの木、松、プラム、ポプラ、イボタノキ、アメリカスギ材、ホソバグミ、トウヒ、モミジバフウ、スズカケノキ、アメリカカラマツ、神樹、クルミおよびヤナギを含む。草花粉抽出物の例には、限定するものではないが、以下の:バヒア(bahia)、オオムギ、浜辺の雑草、カヤツリ草、バミューダ草、ブルーグラス(ケンタッキー)、スズメノチャヒキ、バンチ(brome)、カナリアクサヨシ、チェス(chess)、とうもろこし、ウシノケグサ(草原)、グラーマグラス、ジョンソン(johnson)、ジューン(johnson)草、コエラー(koeler's)、オート麦、カモガヤ、インチキ草(quack)、コヌカグサ、ライ麦草(多年草)、塩(salt)、モロコシ、スーダングラス、甘い芽生えの草(sweet vernal grass)、オオアワガエリ、ベルベットグラス(velvetgrass)、小麦およびホイートグラスを含む。雑草及び栽培植物抽出物の例には、限定するものではないが、以下の:アルファルファ、アマランス、シナギク、ホウセンカ根、バッシア(bassia)、浜辺イガ、花をつける雑草(broomwood)、バローブッシュ(burrow bush)、ケアレス雑草、トウゴマ、chamise、クローバ、オナモミ、ハルシャギク、コスモス、スイセン、ダリア、デイジー、タンポポ、ギシギシ(dock)、カミルレモドキ、焼け跡に生える雑草、グラジオラス、アキノキリンソウ、グリースウッド、アサ、スイカズラ、ホップ、イオドンブッシュ(iodone bush)、エルサレムオーク、コキア、子羊のクォータース(lamb's quarters)、ユリ、マリゴールド、キンセンカ(marshelder)、メキシコのお茶、ヨモギ、マスタード、イラクサ(nettle)、ピックルウィード(pickleweed)、アカザ、未加工緑のバナナ(イギリス)、ポピー、貧窮状態の雑草(povertyweed)、ウズラ草(quailbush)、ブタクサ(巨大なもの)、ブタクサ(短いもの)、ブタクサ(西洋のもの)、バラ、ラッシャンシスル、よもぎ、ソルトブラッシュ(saltbrush)、鱗屑、エニシダ、マツナ、ヒメスイバ、キンギョソウ、テンサイ、ヒマワリ、西洋の水麻、ウィンターファット(winter fat)、駆虫草、ヨモギを含む。
【0082】
好ましい実施態様では、花粉抽出物はライ麦を含むか、あるいは選択的にそれからなる。
ブタクサ花粉の季節的な出現(9月〜10月)は、多くの個体において喘息を誘発する(Marshall, J.ら., J. Allergy Clin. Immunol.108: 191-197 (2001))。喘息は、肺炎症、可逆気流閉塞および気道過敏反応によって特徴づけられる。空気アレルゲンに対する免疫学的応答の複合的カスケードにより気道の白血球が漸増する。具体的には、リンパ球、マクロファージ、好酸球、好中球、プラズマ細胞およびマスト細胞は、気管支の粘膜に浸透する(Redman, T.ら., Exp. Lung Res. 27: 433-451 (2001))。好酸球漸増は、TH2サイトカインIL―4およびIL―5の産生増加と関連しており、慢性の炎症性過程を起こす喘息病因における重要な要因である(Justice, J.ら., Am. J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol. 282: L302-L309 (2002)、その内容全体が出典明記によりここに組み込まれる。短いブタクサ(Ambrosia artemisiifolia)の免疫主体ブタクサアレルゲンは、Amb a 1である (Santeliz, J.ら., J. Allergy Clin. Immunol. 109:455-462 (2002))。本発明の特定の実施態様では、組成物は、ウイルス様粒子と混合した又は連結したAmb a 1を含む。
さらに他の好ましい実施態様では、塵抽出物は、ハウスダストおよび塵ダニを含むか、あるいは選択的にそれよりなる。ハウスダストの例には、限定するものではなく:ハウスダスト、マットレス塵およびupholstrey塵を含む。塵ダニの例には、限定するものでなく、コナヒョウヒダニ(D. farniae)、ヤケヒョウヒダニ(D. ptreronysiinus)、ダニ混合物およびサヤアシニクダニ(L. destructor)を含む。塵抽出物もまた、限定するものでなく、スギおよびベイスギ粉塵、綿繰り機塵、オーク粉、穀物(昇降機)の粉末、パドック(paduk)塵および木材の塵を含む。
【0083】
粉塵ダニは、先進諸国の湿潤な気候の家の長期に存在する屋内のアレルゲンの重要な出所である(Arlian, L., Current Allergy and Asthma Reports I: 581-586 (2001))。全てのアレルギー性気管支喘息患者の約60〜85%は、ハウスダストダニであるヤケヒョウヒダニ(Dermatophogoldes pteronyssinus)に対して感受性が高い(Arlian, L., Current Allergy and Asthma Reports I: 581-586 (2001))。免疫主体ヤケヒョウヒダニ(D. pteronyssinus)粉塵ダニアレルゲンにはDer p 1、Der f 2及びDer 2が含まれ(Kircher, M.ら., J. Allergy Clin. Immunol.109: 517-523 (2002)及びClarke, A.ら., Int. Arch. Allergy Immunol. 120:126-134 (1999)、その内容の全体は出典明記により本明細書中に組み込まれる。本発明の特定の実施態様では、組成物がウイルス様粒子に連結又は混合したDer p 1、Der f 2、Der 2又はその断片、あるいはその抗原性部位の混合を含む。粉塵に対するアレルギー反応の重要な原因は、特に農業地域において、サヤアシニクダニ(Lepidoglyphus destructor)である(Ericksson, T.ら., Clinical and Exp. Allergy 31:1181-1890 (2001))。免疫優性サヤアシニクダニ粉塵ダニアレルゲンは、Lep d 2である (Ericksson, T.ら., Clinical and Exp. Allergy 31:1181-1890 (2001))。本発明の特定の実施態様では、組成物は、ウイルス様粒子に連結した又はウイルス様粒子と混合したLep d 2を含む。
【0084】
好ましい実施態様では、真菌類抽出物は、アルタナリア、コウジカビ、ボトリティス、カンジダ、セファロスポリウム、セファロセシウム(cephalothecium)、ケトミウム、クラドスポリウム、クリトコッカス(crytococcus)、カルバラリア、エピコッカム、エピデルモフィトン、フザリウム、ゲラシノスポラ(gelasinospora)、ゲオトリクム、グリオクラジウム(gliocladium)、ヘルミント スポリウム、ホルモデンドラム(hormodendrum), ミクロスポラム(microsporium)、ムコール、マイコゴン(mycogone)、ニグロスポラ(nigraspora)、パエキロミケス(paecilomyces)、ペニシリウム、フォーマ(phoma)、プルラリア(pullularia)、リゾプス、ロドトルラ、ルスツ(rusts)、サッカロマイセス、スムツ(smuts)、スポンディロクラジウム(spondylocladium)、ステムフィリウム(trichoderma)、トリコフィトン及びバーティシリウムを含むか、あるいは選択的にこれからなる。
アルテルナリア・アルテルナータは、米国で最も重要な真菌原因アレルギー疾患の一つと考えられている。アルテルナリアは米国及びオーストラリアの砂漠地域での主な喘息関連アレルゲンであり、米国ミッドウェスト地域で深刻な呼吸停止と死を引き起こすことが報告されている(Vailes, L.ら., J. Allergy Clin. Immunol. 107:641 (2001)及びShampain, M.ら., Am. Rev. Respir. Dis. 126:493-498 (1982)、その内容の全体が出典明記により本明細書中に組み込まれる)。免疫主体アルテルナリア・アルテルナータ抗原はAlt a 1である(Vailes, L.ら., J. Allergy Clin. Immunol. 107:641 (2001))。アルテルナリア感受性個体の80%以上はAlt a 1に対してIgE抗体を持つ(Vailes, L.ら., Clinical and Exp. Allergy 31:1891-1895 (2001))。本発明の特定の実施態様では、本組成物はウイルス様粒子と連結した又はウイルス様粒子と混合したAlt a 1を含む。
【0085】
他の日和見性真菌類はアスペルギルス・フミガタスであり、その真菌はアレルギー性喘息を含む肺疾患の広域抗菌スペクトルに関与する。免疫主体アスペルギルス・フミガタステストは、Asp f 1と、Asp f 16とを含む(Vailes, L.ら., J. Allergy Clin. Immunol. 107:641 (2001))。本発明の特定の実施態様では、本組成物はウイルス様粒子と連結した又はウイルス様粒子と混合したAsp f 1又はAsp f 16又はその抗原の混合を含む。
他の好ましい実施態様では、昆虫抽出物には、全身にアレルギー性反応を誘発する刺す虫、毒物タンパク質がアレルギー性反応を誘発する刺す虫、及び吸入してアレルギー性反応を誘発する昆虫を含むか、あるいは選択的にこれからなる。限定するものではないが、全身にアレルギー性反応を誘発する刺す虫の例として、アリ(黒)、アリ(赤)、アリ(カーペンター)、アリ混合(黒/赤)、アリ(ファイア)が含まれる。限定するものではないが、毒物タンパク質がアレルギー性反応を誘発する刺す虫の例には、蜂蜜ミツバチ、黄色のスズメバチ(yellow hornet)、スズメバチ(wasp)、ホホナガスズメバチ(yellow jacket)、クロスズメバチ(white-faced hornet)および混合スズメバチが含まれる。限定するものではないが、吸入してアレルギー性反応を誘発する昆虫の例には、アブラムシ、黒色のハエ、チョウ、トビケラ、セミ/イナゴ、コオロギ、ゴキブリ、ミジンコ、シギアブ、ショウジョウバエ、蜂蜜ミツバチ(全身)、アブ、イエバエ、ヨコバイ、トビケラ、メキシコの豆ゾウムシ、ダニ(粉塵)、蚊、ガ、キノコハエ、ラセンウジバエ、ワラジムシ、クモ、及び、ミジンコ科が含まれる。
【0086】
他の好ましい実施態様では、食物抽出物は動物製品及び植物製品を含むか、あるいは選択的にこれからなる。
限定するものではないが、動物製品の例には、牛肉、ニワトリ、シカ、カモ、卵(ニワトリ)、魚、ヤギ、ガチョウ、ラム、牛乳(ウシ)、牛乳(ヤギ)、豚肉、ウサギ、甲殻類およびシチメンチョウが含まれる。限定するものではないが、植物製品の例には、リンゴ、アプリコット、クズウコン、アーティチョーク、アスパラガス、アボガド、バナナ、豆、ビート、ベリー類、キャベツ科、ニンジン、セロリ、サクランボ、チョコレート、柑橘類果実、ココナッツ、コーヒー、キュウリ、ナツメヤシ、ナス、穀物、ブドウ、グリーン、ゴム、ホップ、レタス、麦芽、マンゴー、メロン、キノコ、ナッツ類、オクラ、オリーブ、タマネギ、パパイア、通称サトウニンジン、エンドウ、南京豆、西洋ナシ、ピーマン、パイナップル、プラム、ジャガイモ、プルーン、西洋カボチャ、ラディッシュ、ダイオウ、香辛料/調味料、ホウレンソウ、カボチャ、タピオカ、お茶、トマト、スイカおよび酵母が含まれる。
【0087】
95%以上のピーナッツアレルギー患者に感知される2つの主なアレルギーピーナッツタンパク質は、Ara h 1とAra h 2である(Bannon, G.,ら., Int. Arch. Allergy Immunol. 124:70-72 (2001)及びLi, X.ら., J. Allergy Clin. Immunol. 106:150-158 (2000)、この内容の全体は出典明記により本明細書中に組み込まれる)。Ara h 3は約45%のピーナッツアレルギー患者に感知される(Li, X.,ら., J Allergy Clin. Immunol. 106:150-158 (2000))。本発明の特定の実施態様では、本組成物はウイルス様粒子と連結した又はウイルス様粒子と混合した抗原Ara h 1、Ara h 2又はAra h 3又はその抗原の混合を含む。
【0088】
他の好ましい実施態様では、限定するものではないが、哺乳動物上皮性アレルゲンには、ラクダ、ネコ体毛、ネコの毛皮、チンチラ、ウシ、シカ、イヌ、スナネズミ、ヤギ、モルモット、ハムスター、ブタ、ウマ、アンゴラ山羊の毛(モヘア)、サル、マウス、ウサギ、ウール(ヒツジ)が含まれる。更に他の好ましい実施態様では、限定するものではないが、羽毛にはカナリア、ニワトリ、カモ、ガチョウ、インコ、ハト、シチメンチョウが含まれる。他の好ましい実施態様では、限定するものではないが、他の吸入物質には、アカシア、藻類、ヒマの実、木綿リンター、綿実、デリス、シダ胞子、穀物粉塵、アサ繊維、ヘンナ、亜麻仁、ガーゴム、ジュート、インドゴム、カポック、革、リコポジウム、オリス根、ジョチュウギク、絹(生)、サイザル麻、タバコの葉、トラガカントゴムおよび木材の粉塵が含まれる。
他の好ましい実施態様では、一般的に定義された哺乳動物のアレルゲンは、天然源から生成したもの又は組み換え発現させたものの何れかを含む。限定するものではないが、これらには、ネコからのFel d 1、Fel d 3(シスタチン)、及び、ネコ、ラクダ、チンチラ、ウシ、シカ、イヌ、スナネズミ、ヤギ、モルモット、ハムスター、ブタ、ウマ、アンゴラ山羊の毛、サル、マウス、ウサギ、ウール(ヒツジ)からのアルブミンが含まれる。
【0089】
癌を治療する組成物および方法に関する、抗原又は抗原決定基の選択は、このような障害を治療する医学分野の当業者には知られていると思われ(参照により組み込まれている、Renkvist他、Cancer.Immunol.Immunother.50:3-15(2001)を参照のこと)、このような抗原又は抗原決定基は本発明の範囲内に含まれる。このような型の抗原又は抗原決定基の代表的な例には、以下のもの:Her2(乳癌);GD2(神経芽細胞腫);EGF−R(悪性神経こう腫);CEA(延髄甲状腺癌);CD52(白血病);ヒト・メラノーマ・タンパク質gp100;ヒト・メラノーマ・タンパク質gp100エピトープ、例としてアミノ酸154−162(配列:KTWGQYWQV、配列番号14)、209−217(ITDQVPFSV、配列番号15)、280−288(YLEPGPVTA、配列番号16)、457−466(LLDGTATLRL、配列番号17)および476−485(VLYRYGSFSV、配列番号18)など;ヒト・メラノーマ・タンパク質メラン−A/MART−1;ヒト・メラノーマ・タンパク質メラン−A/MART−1エピトープ、例としてアミノ酸26−35(EAAGIGILTV)(配列番号37)、26−35AL(ELAGIGICTV、配列番号38)、27−35(AAGIGILTV、配列番号19)、および32−40(ILTVILGVL、配列番号20)など;チロシナーゼおよびチロシナーゼ関連タンパク質(たとえば、TRP−1およびTRP−2);チロシナーゼ・エピトープ、例としてアミノ酸1−9(MLLAVLYCL、配列番号21)および368−376(YMDGTMSQV、配列番号22)など;NA17−A ntタンパク質;NA17−A ntタンパク質エピトープ、例としてアミノ酸38−64(VLPDVFIRC、配列番号23)など;MAGE−3タンパク質;MAGE−3タンパク質エピトープ、例としてアミノ酸271−279(FLWGPRALV、配列番号24)など;他のヒト腫瘍抗原、たとえばCEAエピトープ、例としてアミノ酸571−579(YLSGANLNL、配列番号25)など;p53タンパク質;p53タンパク質エピトープ、例としてアミノ酸65−73(RMPEAAPPV、配列番号26)、149−157(STPPPGTRV、配列番号27)および264−272(LLGRNSFEV、配列番号28)など;Her2/neuエピトープ、例としてアミノ酸369−377(KIFGSLAFL、配列番号29)および654−662(IISAVVGIL、配列番号30)など;HPV16 E7タンパク質;HPV16 E7タンパク質エピトープ、例としてアミノ酸86−93(TLGIVCPI、配列番号31)など;およびそれぞれの断片又は変異体があり、これらを使用して免疫応答を誘導することができる。
【0090】
自己抗原と関連がある他の疾患又は状態を治療する組成物および方法に関する、抗原又は抗原決定基の選択も、このような障害を治療する医学分野の当業者には知られていると思われる。このような抗原又は抗原決定基の代表的な例は、たとえばリンフォトキシン(たとえば、リンフォトキシンα(LTα)、リンフォトキシンβ(LTβ)、およびリンフォトキシン受容体、核因子kappaBリガンドの受容体活性化物質(RANKL)、破骨細胞関連レセプター(OSCAR)、血管内皮増殖因子(VEGF)および血管内皮増殖因子受容体(VEGF−R)、インターロイキン17およびアミロイドβペプチド(Aβ1−42)、TNFα、MIF、MCP−1、SDF−1、Rank−L、M−CSF、オンギオテンシノーゲン、アンギオテンシンI、アンギオテンシンII、エンドグリン、エオタキシン、グレーリン、BLC、CCL21、IL−13、IL−17、IL−5、IL−8、IL−15、ブラジキニン、レジスチン、LHRH、GHRH、GIH、CRH、TRHおよびガストリン、およびそれぞれの断片であり、これらを使用して免疫応答を誘導することができる。
【0091】
本発明の特定の実施態様では、抗原又は抗原決定基は(a)HIVの組み換えポリペプチド;(b)インフルエンザ・ウイルスの組み換えポリペプチド(たとえば、インフルエンザ・ウイルスM2ポリペプチド又はその断片);(c)C型肝炎ウイルスの組み換えポリペプチド;(d)B型肝炎ウイルスの組み換えポリペプチド;(e)Toxoplasmaの組み換えポリペプチド;(f)Plasmodium falciparumの組み換えポリペプチド;(g)Plasmodium vivaxの組み換えポリペプチド;(h)Plasmodium ovaleの組み換えポリペプチド;(i)Plasmodium malariaeの組み換えポリペプチド;(j)乳癌細胞の組み換えポリペプチド;(k)腎臓癌細胞の組み換えポリペプチド;(l)前立腺癌細胞の組み換えポリペプチド;(m)皮膚癌細胞の組み換えポリペプチド;(n)脳癌細胞の組み換えポリペプチド;(o)白血病細胞の組み換えポリペプチド;(p)組み換えプロファイル;(q)ハチ刺されアレルギーの組み換えポリペプチド;(r)ナッツ・アレルギーの組み換えポリペプチド;(s)花粉の組み換えポリペプチド;(t)室内埃の組み換えポリペプチド;(u)ネコ又はネコの毛アレルギーの組み換えポリペプチド;(v)食物アレルギーの組み換えタンパク質;(w)喘息の組み換えタンパク質;(x)Chlamydiaの組み換えタンパク質;(y)(a−x)に挙げた何れかのタンパク質源から抽出した抗原;および(z)(a)〜(x)に挙げた何れかのタンパク質の断片からなる群から選択される。
【0092】
本発明の他の実施態様では、本発明の免疫賦活性核酸、好ましくは非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドをパッケージ化したウイルス様粒子と連結あるいは混合した抗原は、細胞障害性又はTh細胞何れかのT細胞エピトープである。本発明の他の実施態様では、本発明の免疫賦活性核酸、好ましくは非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドをパッケージ化したウイルス様粒子と連結あるいは混合した抗原は、B細胞エピトープである。更なる好ましい実施態様では、抗原は、少なくとも2つの、好ましくは異なるエピトープの組み合わせであり、その少なくとも2つのエピトープは直接又はリンカー配列によって連結している。このエピトープは好ましくは細胞障害性及びTh細胞エピトープからなる群から選択される。
本発明の抗原、および特に示した1個又は複数個のエピトープは、組み換えDNA技法を使用して、合成、あるいは組み換えによって発現、ウイルス様粒子と結合、あるいはウイルス様粒子と融合することができる。抗原とウイルス様粒子の結合を記載する代表的な手順は、WO00/32227中、WO01/85208中、およびWO02/056905中に開示されており、それらの開示は参照によりここに組み込まれている。
【0093】
また本発明は疾患又は症状を予防する及び/又は寛解するために用いることができるワクチン組成物を提供する。本発明のワクチン組成物は、免疫学的に有効な量の本発明の免疫亢進組成物と薬学的に受容可能な希釈剤、担体又は賦形剤とを含むか、あるいは選択的にそれらからなる。
さらに本発明は動物の疾患又は症状を予防する及び/又は寛解するためのワクチン接種方法を提供する。一実施態様では、本発明は広い範囲の動物種、特にヒト、サル、ウシ、イヌ、ネコ、ウマ、ブタなどの哺乳動物種の感染性疾患を予防するためのワクチンを提供する。ワクチンは、ウイルス病因の感染症、例えばHIV、インフルエンザ、ヘルペス、ウイルス性肝炎、イプシュタインバー、ポリオ、ウイルス性脳炎、はしか、水痘など;または、細菌病因の感染症、例えば肺炎、結核、梅毒など;または、寄生虫病因の感染症、例えばマラリア、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、トリコモナス症、アメーバ症などの治療をするために設定することができる。
他の実施態様では、本発明は広い範囲の動物種、特にヒト、サル、ウシ、イヌ、ネコ、ウマ、ブタなどの哺乳動物種の癌を予防するためのワクチンを提供する。ワクチンは、限定するものではないが、リンパ腫、上皮癌、肉腫および黒色腫を含むすべてのタイプの癌を治療するために設定することができる。
【0094】
当業者は理解されていると思われるが、本発明の組成物を動物に投与するとき、それらは、組成物の有効性を向上させるのに望ましい、塩、バッファー、アジュバント又は他の物質を含む、組成物の形であってよい。薬剤組成物の調製において使用するのに適した物質の例は、REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES(Osol,A,ed.、Mack Publishing Co.、(1990))を含めた多数の源中に与えられる。
本発明の組成物は、その投与がレシピエント個体によって許容可能である場合、「薬理学的に許容可能である」と言える。さらに、本発明の組成物は、「治療上有効量」(すなわち、望ましい生理学的効果を生み出す量)で投与される。
本発明の組成物は、当分野で知られているさまざまな方法によって投与することができる。選択される個々の形式は、選択される個々の組成物、治療される状態の重度、および治療効果のために必要とされる用量に、当然ながら依存するであろう。本発明の方法は、一般的に述べると、医学的に許容される任意の投与形式、すなわち臨床上許容されない副作用を引き起こさずに有効レベルの活性化合物を生成する、任意の形式を使用して行うことができる。このような投与形式には、経口、直腸、非経口、脳槽内(intracistemal)、膣内、腹膜内、局所(粉末、軟膏、滴下剤又は経皮パッチによって)、頬投与、あるいは経口又は鼻部スプレーとしての投与がある。本明細書で使用する、用語「非経口的」は、静脈内、筋肉内、腹膜内、胸骨内、皮下および関節内注射および注入を含む、投与形式を指す。本発明の組成物は、リンパ節に直接注射することもできる。
【0095】
投与用の組成物の成分には、滅菌水溶液(たとえば、生理食塩水)又は非水溶液および懸濁液がある。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルである。担体又は密封包帯を使用して、皮膚の浸透性を高め、抗原吸着を増大させることができる。
付随的に、たとえば混合物として、あるいは別々に、組合せを投与することができるが、一斉にすなわち同時に、あるいは順次に投与することもできる。このことは、組合せ物質が治療用混合物と共に投与されること、および組合せ物質が一斉にではなく別々に、たとえば別の静脈内経路によって同じ個体に投与される手順の表示を含む。「組合せ」投与は、所与の成分又は物質の1つを最初に、次に第2のものを別々に投与することをさらに含む。
用量レベルは、投与形式、被験者の性質、および担体/アジュバント製剤の質に依存する。VLP、抗原及びアジュバントの典型的な量は、被験者当たり約0.001μg〜約20mgの範囲内である。好ましい量は、被験者当たり少なくとも約10μg〜約500μgである。被験者を免疫化するために多重投与が好ましく、プロトコルは、問題の被験者に適合させた当分野の標準的なものである。抗原の典型的な量はVLPを添加しないで投与するときに典型的に用いる範囲に匹敵するか、同様であるか、同じである。
【0096】
本組成物は、好都合なことに単位用量の形で存在することができ、製薬の分野でよく知られている任意の方法によって調製することができる。それらの方法は、本発明の組成物と1つ又は複数の追加成分を構成する担体を結合させるステップを含む。一般に、これらの組成物は、本発明の組成物を均一かつ完全に、液状担体、微細固形担体、又はこの両方と結合させ、次いで必要な場合は、生成物の形状を整えることによって調製する。
経口投与に適した組成物は、カプセル、錠剤又はトローチ剤などの、分離した単位として存在することができ、それぞれが所定量の本発明の組成物を含む。他の組成物には、水性の液体又は非水性の液体に懸濁させた懸濁液、シロップ、エリキシル剤又はエマルジョンなどがある。
他の送達系は、時間放出、遅延放出又は徐放送達系を含んでよい。このような送達系によって、前に記載した本発明の組成物の繰り返しの投与を避けることができ、被験者および医者に対する利便性が高まる。多くの型の放出送達系が利用可能であり、当業者に知られている。
本発明の他の実施態様は、本発明の組成物を生成するための方法、および前記組成物を使用する癌およびアレルギーの医学的な治療の方法を含む。
【0097】
ゆえに、特に本発明は、ウイルス様粒子(VLP)と連結又は混合した抗原及びTLRリガンドとともに、免疫賦活性核酸、好ましくは非メチル化C及びG(CpG)内のDNAオリゴヌクレオチドリッチを負荷した又はパッケージ化したVLPがその抗原に対する免疫応答の亢進を誘導するという発見に関する。驚くことに、TLRリガンドを組成物に添加するとこの免疫原生は劇的に亢進する。加えて、抗原に対するT細胞応答は特にTh1型に関する。
【0098】
以下の実施例は単なる例示的なものであり、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を制限することを目的とするものではない。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更形態および変形形態を本発明の方法で作製することができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、本発明の変更形態および変形形態を、それらが添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内に入るという条件で、含むことが考えられる。
本明細書で言及するすべての特許、特許出願及び刊行物は、その全容を参照により明確に組み込んである。
【実施例】
【0099】
実施例1
VLPの生成
LCMV由来のペプチドp33を含むHBcAgのDNA配列を、配列番号12に示す。p33−HBcAg VLP(p33−VLP)を、以下のように生成させた:B型肝炎ウイルスの完全なウイルス・ゲノムを含むB型肝炎クローンpEco63を、ATCCから購入した。発現プラスミドの生成についてはすでに記載されている(WO03/024481を参照)。
よく発現させるために選択した大腸菌K802のクローンにプラスミドを形質移入し、細胞を増殖させ、5mlの溶解バッファー(10mMのNaHPO、30mMのNaCl、10mMのEDTA、0.25%のTween−20、pH7.0)中に再懸濁した。200μlのリゾチーム溶液(20mg/ml)を加えた。超音波処理の後、4μlのベンゾナーゼおよび10mMのMgC1を加え、懸濁液を室温で30分間インキュベートし、4℃、15,000rpmで15分間遠心分離し、上澄みを保持した。
【0100】
次に、20%(w/v)(0.2g/mlの溶解物)硫酸アンモニウムを、上澄みに加えた。氷上で30分間のインキュベーション、および4℃、20,000rpmで15分間遠心分離した後、上澄みを捨て、ペレットを2〜3mlのPBS中に再懸濁させた。20mlのPBS溶液を、Sephacryl S−400ゲル濾過カラム(アマシャム ファルマシア バイオテクノロジーAG)に負荷し、画分をSDS−Pageゲルに負荷し、精製したp33−HBcAg VLPキャプシドを含む画分を集めた。集めた画分は、ヒドロキシアパタイト・カラムに負荷した。流動物(精製したp33−HBcAg VLPキャプシドを含む)を回収した。電子顕微鏡法は、標準的なプロトコルに従って行った。代表的な例を、Storni T.,ら.,(2002) J Immunol.; 168(6):2880-6の表1に示す。
ペプチドp33を含むVLPは都合よいという理由でのみ用いたのであって、同様に野生型VLPは本発明に用いることができるということを注記する。本明細書にわたって、p33-HBcAg VLP、HBcAg-p33 VLP、p33-VLP及びHBc33は交換可能に用いた。
【0101】
実施例2
CpG含有オリゴヌクレオチドはHBcAg VLP中にパッケージ化することができる
実施例1に記載した組み換えVLPに、純粋なアガロース・ゲルの電気泳動(1%アガロース)を行い、RNA/DNA又はタンパク質を検出するために臭化エチジウム又はクーマシーブルーで染色した(図1)。細菌生成VLPは高レベルの一本鎖RNAを含み、これはおそらく、HBcAgタンパク質のC末端の近くに現れ、X線結晶解析によって示されるように、形状的にはVLPの内側に位置している、アルギニン反復配列と結合している。混入したRNAは容易に消化し、VLPとRNaseAをインキュベートすることによって排除することができる。非常に活性があるRNase A酵素は、約14kDaの分子量を有しており、おそらく十分小さいので、VLPに入り望ましくないリボ核酸を排除する。
組み換えVLPに、RNase Aによる消化前に、CpG豊富なオリゴヌクレオチド(配列番号11を参照)を補った。図2に示すように、未処理p33−VLPと比較して同じ移動を示すので、CpG−オリゴヌクレオチドはキャプシド構造を有している。CpG−オリゴヌクレオチド含有VLPを、透析(300kDaのMWCO透析膜を使用して、24時間、PBSにて4500倍希釈)によって、非結合オリゴヌクレオチドから精製した(図3を参照)。
【0102】
実施例3
CpG−含有オリゴヌクレオチドは、RNAseによりRNAを除去し、その後オリゴヌクレオチドをVLP中にパッケージ化することによって、VLP中にパッケージ化することができる
VLP(細菌一本鎖RNAを含み、実施例1に示すように生成した)を、第一には、RNase Aと共にインキュベートしてRNAを除去し、第二のステップでは、免疫賦活CpG−オリゴヌクレオチド(通常のリン酸ジエステル分子を含むだけでなく、リン酸骨格のホスホロチオエート修飾体も含む)を、サンプルに補った(図4)。この実験によって、CpG−オリゴヌクレオチドがRNA分解反応中に必ずしも同時に必要とされるわけではなく、後で加えることができることが明らかに示される。
【0103】
実施例4
RNAse消化によるRNAバクテリオファージQb内へのCpGオリゴヌクレオチドのパッケージ化
RNAバクテリオファージQbのコートタンパク質によって形成されたVLPをこの実験に用いた。未処理のままかリン骨格のホスホロチオエート修飾体を有するCpG-2006オリゴヌクレオチド(配列番号114)とパッケージ化した後に用いた。CpG-2006のパッケージ化は、0.2mlの100mM ZnSO溶液の存在下にて8mlのQbVLP溶液(2.2mg/ml)を60℃で一晩インキュベーションすることによって行った。この処理によって、QbVLP内に含まれるRNAの加水分解が行われる。透析チューブ(カットオフMWCO300000)を用いて20mM Hepes,pH7.5にて透析した後、1ml VLP溶液当たり130nmolのCpG-2006を添加し、650rpmで振とうさせながら37℃で3時間インキュベートした。続いて、1mM MgClの存在下にて50U/mlのベンゾナーゼ(Merck)にて37℃で3時間処理して、上記のように20mM Hepes,pH7.5にて透析することによって、パッケージ化されなかったCpG-2006を除去した。パッケージ化されたCpG-2006をアガロースゲル電気泳動を行ってエチジウムブロマイドにて核酸を可視化し、続いてクーマシーブルーにてタンパク質を可視化して、確認した。加えて、パッケージ化VLPをTBE尿素ゲルにて分析し、パッケージ化されたCpG-オリゴヌクレオチドの量を推定した。約6.7nmolのCpG-2006が100μgのQbVLP内にパッケージ化された。
【0104】
実施例5
VLP内への免疫賦活性核酸のパッケージ化
VLPの核酸内容物の分解に関与するRNaseA及びZnSO
低イオン強度条件(20mM Hepes,pH7.4又は4mM Hepes、30mM NaCl,pH7.4)下にてQβ VLPをRNaseA処理した。あるいは、実施例11と同様に低イオン強度条件(20mM Hepes,pH7.4又は4mM Hepes、30mM NaCl,pH7.4)下にてAP205 VLPをZnSO処理した。20mM Hepes,pH7.4又は20mM Hepes,1mM Tris,pH7.4の何れかにあるAP205 VLP(1mg/ml)を550rpmのEppendorfサーモミキサーを用いて2.5mM ZnSOにて50℃で48時間処理し、AP205 VLP試料を14000rpmで遠心分離し、上清を10.000MWCO Spectra/Por(登録商標)透析チューブ(Spectrum,カタログ番号128118)を用いてはじめに2120mM Hepes,pH7.4にて4℃で2時間、バッファー交換の後一晩透析した。透析後、実施例4に記載のように試料を確認し、上清中のタンパク質濃度をBradford分析によって測定した。
【0105】
RNaseA及びZnSO処理したVLP内へのISSのパッケージ化
RNA加水分解及び透析の後、Qβ及びAP205 VLPs(1−1.5mg/ml)をVLP 1ml当たり130μlのCpGオリゴヌクレオチド(NKCpG−表1を参照;G3−6、G8−8−表2を参照;10mM Tris,pH8に含まれる1mM オリゴヌクレオチド)と混合した。試料を650rpmのサーモシェイカーを用いて37℃で3時間インキュベートした。続いて、試料を2mM MgClの存在下にてVLP 1ml当たり125 Uのベンゾナーゼ(Merck KGaA, Darmstadt, Germany)にて処理し、透析前に37℃で3時間インキュベートした。試料を300.000MWCO Spectra/Por(登録商標)透析チューブ(Spectrum,カタログ番号131447)を用いて20mM Hepes,pH7.4にて4℃で2時間、バッファー交換の後同じバッファーにて一晩透析した。透析後、試料を14000rpmで遠心分離し、上清中のタンパク質濃度をBradford分析によって測定した。
アガロースゲル電気泳動の後、エチジウムブロマイド及びクーマシーブルーにて染色してVLP内にパッケージ化されたオリゴヌクレオチドを確認した。
【0106】
実施例6
VLP内にパッケージ化されるリボ核酸
VLPの核酸内容物のZnSO依存性分解
実施例11の記載と同様に、低イオン強度条件(20mM Hepes,pH7.4又は4mM Hepes、30mM NaCl,pH7.4)下にてQβ VLPをRNaseA処理した。20mM Hepes,pH7.4又は20mM Hepes,1mM Tris,pH7.4の何れかにあるAP205 VLP(1mg/ml)を550rpmのEppendorfサーモミキサーを用いて2.5mM ZnSOにて50℃で48時間処理した。Qβ及びAP205 VLP試料を14000rpmで遠心分離し、実施例8のように20mM Hepes,pH7.4にて透析した。
ZnSO処理したVLP内へのポリ(I:C)のパッケージ化
免疫賦活性核酸ポリ(I:C)(カタログ番号27−4732−01、poly(I)・poly(C), Pharmacia Biotech)をPBS(Invitrogen カタログ番号14040)又は水にて4mg/ml(9μM)の濃度に溶解した。ポリ(I:C)を60℃で10分間インキュベートして、37℃に冷ました。インキュベートしたポリ(I:C)をZnSO処理したQβ又はAP205 VLP(1−1.5mg/ml)何れかに10倍モル過剰量で添加し、この混合物を650rpmのサーモミキサーにて37℃で3時間インキュベートした。続いて、300rpmのサーモミキサーを用いて2mM MgClの存在下にてVLP 1ml当たり125Uのベンゾナーゼにて37℃で3時間インキュベーションすることによって過剰な遊離ポリ(I:C)を酵素学的に加水分解した。ベンゾナーゼ加水分解の後、試料を14000rpmで遠心分離し、上清を300.000MWCO Spectra/Por(登録商標)透析チューブ(Spectrum,カタログ番号131447)を用いて2120mM Hepes,pH7.4にて4℃で2時間、バッファー交換の後同じバッファーにて一晩透析した。透析後、試料を14000rpmで遠心分離し、上清中のタンパク質濃度をBradford分析によって測定した。
パッケージ化は1%アガロースゲル、及びプロテイナーゼK消化の後にTBE/尿素ゲルにて確認した。
【0107】
実施例7
HBcAg VLP内にパッケージ化されるリボ核酸
実施例11の記載と同様に、低イオン強度条件(20mM Hepes,pH7.4又は4mM Hepes、30mM NaCl,pH7.4)下にてHBcAg VLPをZnSO処理し、実施例22のように20mM Hepes,pH7.4にて透析する。ポリ(I:C)を10倍モル過剰量でHBcAg VLP(1−1.5mg/ml)に添加し、実施例24に記載のように650rpmのサーモミキサーにて37℃で3時間インキュベートした。続いて、300rpmのサーモミキサーを用いて2mM MgClの存在下にてVLP混合物 1ml当たり125Uのベンゾナーゼにて37℃で3時間インキュベーションすることによって過剰な遊離ポリ(I:C)を酵素学的に加水分解した。実施例4の記載と同様にベンゾナーゼ加水分解の後、試料を確認し、実施例9のように透析する。透析後、試料を14000rpmで遠心分離し、上清中のタンパク質濃度をBradford分析によって測定した。
【0108】
実施例8
CpGのみがp33融合HBcAg(p33-VLP)に対してCTL応答を亢進することができる。
p33-VLPを以下のように生成した:B型肝炎ウイルスの完全なウイルス・ゲノムを含むB型肝炎クローンpEco63を、ATCCから購入した。HBcAgをコードする遺伝子を発現ベクターpKK223.3(Amersham Pharmacia Biotech Inc., NJ)のtacプロモータ制御下にあるEcoRI/HindIII制限酵素部位に導入した。標準的PCR法によって3つのロイシンリンカーを介してLCMV由来のp33ペプチド(KAVYNFATM)(配列番号60)をHBcAg(aa1−183)のC末端に融合した。大腸菌K802dにプラスミドを形質移入し、2リッター培養液にて好適な集密度1(600nm波長)になるまで成長させた。最終濃度1mMになるようにIPTC(Sigma, Division of Fluka AG, Switzerland)を4時間添加することによって細胞を誘導した。ついで、遠心分離によって細菌を回収し、5mlの溶解バッファー(10mM NaHPO、30mM NaCl、10mM EDTA、0.25% Tween−20、pH 7.0)に再懸濁した。200μlのリゾチーム溶液(20mg/ml)を加えた。超音波処理後、4μlのベンゾナーゼ(Merck, Darmstadt, Germany)及び10mM MgClを細胞溶解物に添加した。ついで、懸濁液を室温にて30分インキュベートし、27000×gにて15分間遠心分離した。取り出した上清に20%(w/v)アンモニウム硫酸塩を添加した。氷上にて30分間インキュベートして48000×gにて15分間遠心分離した後の上清を捨て、ペレットを2−3mlのリン酸生理的緩衝液に再懸濁した。この調整物をSephacryl S−400ゲル濾過カラム(Amersham Pharmacia Biotech Inc., NJ)に負荷して精製した。分画をタンパク質内容物についてSDS PAGEゲルにて分析し、純粋なHBcキャプシドを含む試料を貯蔵した。常套的なプロトコールに従って電子顕微鏡検査を行った。マウスを種種のTLRリガンド(各100μg)を有するp33 VLP(100μg)にて免疫化した(図5参照):
【0109】
LPS(大腸菌K-235)をシグマ(Buchs, Switzerland)より、ポリ(I:C)をアマシャムバイオサイエンス(Dubendorf, Switzerland)より、ペプチドグリカン(黄色ブドウ球菌(S. aureus))をFluka(Buchs, Switzerland)より、, イミクイモダム(Imiquimodum)(AldaraTMクリームとして3M(Ruschlikon, Switzerland)より購入した。リポテイコ酸(黄色ブドウ球菌及び連鎖球菌)はLUNAMeD AG(Zurich, Schwitzerland)より快く提供していただいた。ホスホロチオエート修飾体CpG-ODNはMicrosynth(Balgach, Switzerland)により合成した。12日後、血中のp33特異的T細胞の頻度を四量体染色によって評価した。血液をFACSバッファー(PBS、2% FBS、5mM EDTA)に回収し、Lympholyte-M 溶液(Cedarlane Laboratories Ltd., Hornby, Canada)にて1200g、22℃で20分間の密度勾配遠心分離を行うことによってリンパ球を単離した。洗浄の後、リンパ球をFACSバッファーに再懸濁し、PE-標識p33-H-2四量体複合体にて4℃で10分間染色した後、抗マウスCD8α-FITC抗体(Pharmingen, クローン53-6.7)にて37℃で30分間処理した。CellQuestソフトウェア(BD Biosciences, Mountain View, CA)を用いてFACSCaliburにて細胞を分析した。
図5は、TLR9リガンドCpGを除いて、多種のTLRリガンドがB型肝炎コア抗原に融合したペプチドp33(p33−VLPs)に対してT細胞応答を亢進しないことを示す。PBS又はTLRの示した刺激の存在下でp33−VLPsにてマウスを免疫化した。100μgのHBc33と100μgのアジュバントを用いた。p33特異的T細胞の頻度を四量体染色によって8日後に評価した。それぞれのバーは個々のマウスを示す。(LTA=リポテイコ酸、PGN=ペプチドグリカン、大腸菌K−235由来のLPS、Sigma)。
【0110】
実施例9
Alum及びIFAなどの古典的アジュバンドはp33特異的CTL応答を亢進しない
常套的プロトコールに従ってCyCpGpt(20nmol)、Alum又はIFAの存在下にて100μgのp33融合HBcAg(p33-VLP)でマウスを免疫化して、12日後、肝臓LCMV(200pfu)にて負荷試験して、抗ウイルス保護を評価した。5日後、脾臓中のウイルス力価を測定した。グルタミン、アール塩類及び抗生物質(ペニシリン/ストレプトマイシン/アンホテリシン)を添加した2%胎仔ウシ血清を含む最小必須培地(Gibco)中でホモジナイザーを用いて脾臓をすりつぶした。懸濁液を10倍希釈工程でMC57細胞にて力価測定した。1時間のインキュベーション後、5%胎仔ウシ血清、1%メチルセルロース及び抗生物質(ペニシリン/ストレプトマイシン/アンホテリシン)を含むDMEMにて細胞の表面を覆った。37℃で2時間のインキュベーションの後、細胞内染色手順(ウイルスの各タンパク質を染色する)によって細胞のLCMV感染について評価した:細胞を4%ホルムアルデヒドで30分間固定した後、1%トリトンX-100にて20分間溶解を行った。10%胎仔ウシ血清にて1時間インキュベートすることによって非特異的結合をブロックした。ラット抗LCMV抗体(VL-4)にて細胞を1時間染色した。ペルオキシダーゼコンジュゲートヤギ抗ラットIgG(Jackson ImmunoResearch Laboratories, Inc)を二次抗体として用いて、標準的な手順に従ってODP基質の色素反応を行った(図6)。
図6は、代表的なアジュバントであるAlum及びIFAがVLP誘導性免疫を亢進しないことを示す。PBS、CpG、Alum又はIFAの存在下にてp33−VLPsでマウスをワクチン処理して、8日後、肝臓LCMV(200pfu)にて負荷試験した。脾臓中のウイルス力価を5日後に測定した。
【0111】
実施例10
TLR4リガンドはCpGを負荷したVLPによって誘導されたT細胞応答を亢進する
ペプチドp33をQbに連結して、実施例7のようにCpGを負荷した。この実験に用いたCpGはNK CpG(GGGGTCAACGTTGAGGGGG)(配列番号52)である。続いて、PBS、MPL(Sigma、製造者の指示に従って1:1に混合して用いる)又はLPS(20μg、大腸菌K-235、Sigma)の存在下にてp33-Qb/CpG(180μg)にてマウスを免疫化した。10日後、四量体染色によってp33特異的T細胞の頻度を測定した(図7A)。血液をFACSバッファー(PBS、2% FBS、5mM EDTA)に回収し、Lympholyte−M溶液(Cedarlane Laboratories Ltd., Hornby, Canada)にて1200g、22℃で20分間の密度勾配遠心分離を行うことによってリンパ球を単離した。洗浄の後、リンパ球をFACSバッファーに再懸濁し、PE-標識p33-H-2四量体複合体にて4℃で10分間染色した後、抗マウスCD8α-FITC抗体(Pharmingen, クローン53-6.7)にて37℃で30分間処理した。CellQuestソフトウェア(BD Biosciences, Mountain View, CA)を用いてFACSCaliburにて細胞を分析した。
【0112】
同日、LCMV-GP(ペプチドp33由来)を発現する組み換えワクチンウイルスを腹腔内投与することによってマウスを負荷試験し、5日後に卵巣内のウイルス力価を測定した(図7B)。グルタミン、アール塩類及び抗生物質(ペニシリン/ストレプトマイシン/アンホテリシン)を添加した5%胎仔ウシ血清を含む最小必須培地(Gibco)中でホモジナイザーを用いて卵巣をすりつぶした。懸濁液を10倍希釈工程でBSC40細胞にて力価測定した。37℃で一晩インキュベートした後、付着細胞層を、50%エタノール、2%クリスタル・バイオレット及び150mM NaClを含む溶液にて染色して、ウイルスプラークを可視化した。
図7は、TLR4リガンドがCpGを負荷したp33連結VLPに対するCTL応答を亢進することを示す。PBS、LPS又はMPL(1:1混合)の存在下にてNK−PO CpGを負荷したp33連結Qbにてマウスをワクチン処理した。8日後、p33特異的T細胞の頻度を四量体染色(A)によって評価した。同日に、LCMV−GPを発現する組み換えワクチンウイルスにてマウスを負荷試験し、卵巣中のウイルス力価を5日後に測定した(B)。
【0113】
実施例11
従来のアジュバンドはCpGを負荷したVLPによって誘導されるT細胞応答を亢進する
ペプチドp33をQbに連結して、実施例21のようにCpGを負荷した。この実験に用いたCpGはNK CpG(GGGGTCAACGTTGAGGGGG)(配列番号52)、又はG10−PO(GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG)(配列番号54)である。続いて、標準的なプロトコールに従って、PBS、Alum又はIFAの存在下にてp33-Qb/CpG(180μg)にてマウスを免疫化した。10日後、四量体染色によってp33特異的T細胞の頻度を測定した。血液をFACSバッファー(PBS、2% FBS、5mM EDTA)に回収し、Lympholyte−M溶液(Cedarlane Laboratories Ltd., Hornby, Canada)にて1200g、22℃で20分間の密度勾配遠心分離を行うことによってリンパ球を単離した。洗浄の後、リンパ球をFACSバッファーに再懸濁し、PE-標識p33-H-2四量体複合体にて4℃で10分間染色した後、抗マウスCD8α-FITC抗体(Pharmingen, クローン53-6.7)にて37℃で30分間処理した。CellQuestソフトウェア(BD Biosciences, Mountain View, CA)を用いてFACSCaliburにて細胞を分析した。
【0114】
同日、LCMV-GP(ペプチドp33由来)を発現する組み換えワクチンウイルスを腹腔内投与することによってマウスを負荷試験し、5日後に卵巣内のウイルス力価を測定した。グルタミン、アール塩類及び抗生物質(ペニシリン/ストレプトマイシン/アンホテリシン)を添加した5%胎仔ウシ血清を含む最小必須培地(Gibco)中でホモジナイザーを用いて卵巣をすりつぶした。懸濁液を10倍希釈工程でBSC40細胞にて力価測定した。37℃で一晩インキュベートした後、付着細胞層を、50%エタノール、2%クリスタル・バイオレット及び150mM NaClを含む溶液にて染色して、ウイルスプラークを可視化した。
【0115】
表1:本明細書にわたって使用したいくつかの免疫賦活性核酸の用語と配列
小文字はホスホロチオエート結合によって結合したデオキシヌクレオチドを示し、一方で大文字はホスホジエステル結合によって結合したデオキシヌクレオチドを示す。

【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】RNA又はタンパク質の存在を評価するために、臭化エチジウム(A)又はクーマシーブルー(B)で染色して、コントロールのインキュベーション後、又はRNase Aによる消化後の、純粋なアガロース・ゲル電気泳動(1%アガロース)におけるVLPを示す。組み換えによって生成させたVLPを、PBSバッファーにて0.5μg/μlタンパク質最終濃度に希釈し、RNase A(100μg/ml)(Sigma、Division of Fluka AG、Switzerland)の不在下(レーン1)又は存在下(レーン2)において、37℃で2時間インキュベートした。その後これらのサンプルに、6倍濃縮したDNAローディング・バッファー(MBS Fermentas GmbH、Heidelberg、Germany)を添加し、1%の純粋なアガロース・ゲル中に100ボルトで30分間展開した。Gene Rulerマーカー(MBS Fermentas GmbH、Heidelberg、Germany)を、VLPの移動速度に関する参照として使用した(レーンM)。列は、VLPに含有されるRNA(A)又はVLP自体(B)の存在を示している。独立した3実験において、同一の結果を得た。
【図2】RNA/DNA又はタンパク質の存在を評価するために、臭化エチジウム(A)又はクーマシーブルー(B)で染色して、バッファーのみ又はCpG含有DNAオリゴヌクレオチドの存在下での、コントロールのインキュベーション後、又はRNase Aによる消化後の、純粋なアガロース・ゲル電気泳動(1%アガロース)におけるVLPを示す。組み換えVLPを、PBSバッファーにて0.5μg/μlタンパク質最終濃度に希釈し、RNase A(100μg/ml)(Sigma、Division of Fluka AG、Switzerland)の不在下(レーン1)又は存在下(レーン2および3)において、37℃で2時間インキュベートした。5nmolのCpG−オリゴヌクレオチド(リン酸骨格のホスホロチオエート修飾体を含む)を、RNase Aによる消化の前にサンプル3に加えた。Gene Rulerマーカー(MBS Fermentas GmbH、Heidelberg、Germany)を、p33−VLPの移動速度に関する参照として使用した(レーンM)。列は、p33−VLP内に含有されるRNA又はCpG−オリゴヌクレオチド(A)又はp33−VLP自体(B)の存在を示している。正常なリン結合を有するCpGオリゴヌクレオチドを、VLPとRNase Aの同時インキュベーション用に使用すると、同一の結果を得た。
【図3】DNA又はタンパク質の存在を評価するために、臭化エチジウム(A)又はクーマシーブルー(B)で染色して、CpG含有DNAオリゴヌクレオチドの存在下でのRNase Aによる消化とその後の透析(VLP非結合CpGオリゴヌクレオチドを排除するため)の前後の、純粋なアガロース・ゲル電気泳動(1%アガロース)におけるp33−VLPを示す。組み換えVLPを、PBSバッファーにて0.5μg/μlタンパク質最終濃度に希釈し、RNase A(100μg/ml)(Sigma、Division of Fluka AG、Switzerland)の不在下(レーン1)又は存在下(レーン2から5)において、37℃で2時間インキュベートした。50nmolのCpG−オリゴヌクレオチド(リン酸骨格のホスホロチオエート結合を含む:レーン2および3、リン酸骨格の正常なリン修飾体を含む:レーン4および5)を、RNase Aによる消化の前にVLPに加えた。処理した試料を、300kDaのMWCO透析膜(Spectrum Medical Industries Inc.、Houston、USA)を用いてPBS(4500倍希釈)で24時間かけて十分に透析して、過剰なDNAを排除した(レーン3および5)。Gene Rulerマーカー(MBS Fermentas GmbH、Heidelberg、Germany)を、p33−VLPの移動速度に関する参照として使用した(レーンM)。列は、VLP内に含有されるRNA又はCpG−DNA(A)又はVLP自体(B)の存在を示している。
【図4】RNA/DNA又はタンパク質の存在を評価するために、臭化エチジウム(A)又はクーマシーブルー(B)で染色して、RNA消化が終了した後にのみCpG含有オリゴヌクレオチドを加えた、コントロールのインキュベーション後、又はRNase Aによる消化後の、純粋なアガロース・ゲル電気泳動(1%アガロース)におけるVLPを示す。組み換えVLPを、PBSバッファーにて0.5μg/μlタンパク質最終濃度に希釈し、RNase A(100μg/ml)(Sigma、Division of Fluka AG、Switzerland)の不在下(レーン1)又は存在下(レーン2および3)において、37℃で2時間インキュベートした。5nmolのCpG−オリゴヌクレオチド(リン酸骨格のホスホロチオエート修飾体を含む)を、RNase Aによる消化の後にのみサンプル3に加えた。Gene Rulerマーカー(MBS Fermentas GmbH、Heidelberg、Germany)を、p33−VLPの移動速度に関する参照として使用した(レーンM)。列は、VLP内に含有されるRNA又はCpG−DNA(A)又はVLP自体(B)の存在を示している。正常なリン結合を有するCpGオリゴヌクレオチドを、VLPの再構築に使用すると、同一の結果を得た。
【図5】TLR9リガンドCpGを除いて、多種のTLRリガンドがB型肝炎コア抗原に融合したペプチドp33(p33−VLPs)に対するT細胞応答を亢進しないことを示す。PBS又はTLRの示した刺激の存在下でp33−VLPsにてマウスを免疫化した。100μgのHBc33と100μgのアジュバントを用いた。p33特異的T細胞の頻度を四量体染色によって8日後に評価した。それぞれのバーは個々のマウスを示す。(LTA=リポテイコ酸、PGN=ペプチドグリカン、大腸菌K−235由来のLPS、Sigma)。
【図6】代表的なアジュバントであるAlum及びIFAがVLP誘導性免疫を亢進しないことを示す。PBS、CpG、Alum又はIFAの存在下にてp33−VLPsでマウスをワクチン処理して、8日後、肝臓LCMVにて負荷試験した(200pfu、静脈内)。脾臓中のウイルス力価を5日後に測定した。
【図7A】TLR4リガンドがCpGを負荷したp33結合VLPに対するCTL応答を亢進することを示す。PBS、LPS又はMPL(1:1混合)の存在下にてNK−PO CpGを負荷したp33結合Qbにてマウスをワクチン処理した。8日後、p33特異的T細胞の頻度を四量体染色によって評価した。
【図7B】TLR4リガンドがCpGを負荷したp33結合VLPに対するCTL応答を亢進することを示す。PBS、LPS又はMPL(1:1混合)の存在下にてNK−PO CpGを負荷したp33結合Qbにてマウスをワクチン処理した。(A)と同日に(8日後に)、LCMV−GPを発現する組み換えワクチンウイルスにてマウスを負荷試験し、卵巣中のウイルス力価を5日後に測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ウイルス様粒子;
(b)免疫賦活性核酸;
該免疫賦活性核酸(b)が該ウイルス様粒子(a)と結合しており、
(c)該ウイルス様粒子と混合している又は結合している、少なくとも一抗原;と
(d)少なくとも一toll様レセプター(TLR)リガンド
を含んでなる、動物の免疫応答を高めるための組成物。
【請求項2】
前記TLRリガンド(d)が前記VLPと混合している、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記TLRリガンドが、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、およびTLR11からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記免疫賦活性核酸(b)が、リガンド(d)によって活性化されるTLRと異なるTLRを活性化する、請求項1ないし3の何れか一に記載の組成物。
【請求項5】
前記リガンド(d)がTLR4のリガンドである、請求項1ないし4の何れか一に記載の組成物。
【請求項6】
前記リガンド(d)が、
(a)LPS及びその誘導体;
(b)モノスフォリル脂質A及びその誘導体;
(c)LPSの合成類似体;
(d)gp96及びその誘導体;
(e)熱ショックタンパク質;及び
(f)デフェンシン
からなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記免疫賦活性核酸が、
(a)リボ核酸;
(b)デオキシリボ核酸;
(c)キメラ核酸;及び
(d)(a)、(b)及び/又は(c)の少なくとも何れか一の核酸の混合物、
からなる群から選択される、請求項1ないし6の何れか一に記載の組成物。
【請求項8】
前記リボ核酸がポリ-(I:C)又はその誘導体である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記デオキシリボ核酸が、
(a)非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチド、及び
(b)非メチル化CpGモチーフを含まないオリゴヌクレオチド、
からなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記免疫賦活性核酸が非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドである、請求項1ないし7及び9の何れか一に記載の組成物。
【請求項11】
前記非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドが、X、X、XおよびXが任意のヌクレオチドである配列
5’XCGX3’
を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記ヌクレオチドX、X、XおよびXの少なくとも1つがリン酸骨格の修飾体を有する、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドが、
(a)TCCATGACGTTCCTGAATAAT(配列番号49);
(b)TCCATGACGTTCCTGACGTT(配列番号51);
(c)GGGGTCAACGTTGAGGGGG(配列番号52);
(d)GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号54);及び
(e)「dsCyCpG−253」(配列番号59)
からなる群から選択される配列を含むか、あるいは選択的にこれから本質的になるか、あるいは選択的にこれからなる、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
前記非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドのCpGモチーフがパリンドローム配列の一部である、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
前記パリンドローム配列がGACGATCGTC(配列番号39)である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドが、配列GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号54)を含むか、あるいは選択的にこれから本質的になるか、あるいは選択的にこれからなる、請求項10に記載の組成物。
【請求項17】
前記非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドが、リン酸骨格の1つまたは複数のホスホロチオエート修飾体を含むか、あるいは前記オリゴヌクレオチドの前記リン酸骨格のそれぞれのリン酸部分がホスホロチオエート修飾体である、請求項10ないし16の何れか一に記載の組成物。
【請求項18】
前記免疫賦活性核酸及び好ましくは前記非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドが、前記ウイルス様粒子と非共有結合をしている、請求項1ないし17の何れか一に記載の組成物。
【請求項19】
前記免疫賦活性核酸及び好ましくは前記非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドが、前記ウイルス様粒子内にパッケージ化される、請求項1ないし18の何れか一に記載の組成物。
【請求項20】
前記免疫賦活性核酸及び好ましくは前記非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドが、前記ウイルス様粒子(a)に封入される、請求項1ないし19の何れか一に記載の組成物。
【請求項21】
前記パリンドローム配列が、10以下のグアノシン自体によりその3’末端及びその5’末端に隣接する、請求項14又は15に記載の組成物。
【請求項22】
前記パリンドローム配列が少なくとも3及び多くとも9のグアノシン自体によってそのN末端に隣接し、該パリンドローム配列が少なくとも6及び多くとも9グアノシン自体によってそのC末端に隣接する、請求項14又は15に記載の組成物。
【請求項23】
前記非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドが、
(a)GGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号40);
(b)GGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号41);
(c)GGGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号42);
(d)GGGGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号43);
(e)GGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGG(配列番号44);
(f)GGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGG(配列番号45);
(g)GGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGG(配列番号46);及び
(h)GGGGGGCGACGACGATCGTCGTCGGGGGGG(配列番号47)
から選択される核酸配列を有する、請求項14又は15に記載の組成物。
【請求項24】
前記パリンドローム配列が少なくとも4及び多くとも9のグアノシン自体の5’末端に隣接し、該パリンドローム配列が少なくとも6及び多くとも9グアノシン自体の3’末端に隣接し、好ましくは該パリンドローム配列が少なくとも5及び多くとも8のグアノシン自体の5’末端に隣接し、該パリンドローム配列が少なくとも6及び多くとも8グアノシン自体の3’末端に隣接する、請求項14又は15に記載の組成物。
【請求項25】
前記非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドが配列番号45の核酸配列を有する、請求項14又は15に記載の組成物。
【請求項26】
前記免疫賦活性核酸、および好ましくは前記非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドが約6〜約300個のヌクレオチド、好ましくは約6〜約100個のヌクレオチド、さらにより好ましくは約6〜約40個のヌクレオチドを含む、請求項1ないし25の何れか一に記載の組成物。
【請求項27】
前記免疫賦活性核酸、および好ましくは前記非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドが約20〜約300個のヌクレオチド、好ましくは約20〜約100個のヌクレオチド、さらにより好ましくは約20〜約40個のヌクレオチドを含む、請求項1ないし26の何れか一に記載の組成物。
【請求項28】
前記免疫賦活性核酸、および好ましくは前記非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドが約10〜約30個のヌクレオチドを含む、請求項1ないし27の何れか一に記載の組成物。
【請求項29】
前記免疫賦活性核酸、および好ましくは前記非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドが、
(a)組み換えオリゴヌクレオチド;
(b)ゲノムオリゴヌクレオチド;
(c)合成オリゴヌクレオチド;
(d)プラスミド由来オリゴヌクレオチド;
(e)PCR産物;
(f)一本鎖オリゴヌクレオチド;及び
(g)二本鎖オリゴヌクレオチド
から選択される、請求項1ないし28の何れか一に記載の組成物。
【請求項30】
前記免疫賦活性核酸、および好ましくは前記非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチド(b)が、オリゴヌクレオチド結合部位、DNA結合部位、及びRNA結合部位からなる群から選択されるウイルス様粒子部位に結合する、請求項1ないし29の何れか一に記載の組成物。
【請求項31】
前記オリゴヌクレオチド結合部位が非天然に生じるオリゴヌクレオチド結合部位である、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記ウイルス様粒子部位がアルギニン豊富なリピート配列を含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項33】
前記免疫賦活性核酸(b)が非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドであり、前記リガンド(d)がTLR1、2、3、4、5、6、7、8、10又は11のリガンドである、請求項1ないし32の何れか一に記載の組成物。
【請求項34】
前記免疫賦活性核酸(b)が非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドであり、前記リガンド(d)がTLR4のリガンド、好ましくはLPS又はその誘導体である、請求項1ないし33の何れか一に記載の組成物。
【請求項35】
前記免疫賦活性核酸(b)がポリ(I:C)であり、前記リガンド(d)がTLR1、2、4、5、6、7、8、10又は11のリガンドである、請求項1ないし32の何れか一に記載の組成物。
【請求項36】
前記免疫賦活性核酸(b)、及び好ましくは前記非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドが、リン酸骨格の1つまたは複数のホスホロチオエート修飾体を含むか、あるいは前記オリゴヌクレオチドの前記リン酸骨格のそれぞれのリン酸部分がホスホロチオエート修飾体である、請求項1ないし35の何れか一に記載の組成物。
【請求項37】
前記ウイルス様粒子(a)がリポタンパク質含有エンベロープを欠いている、請求項1ないし36の何れか一に記載の組成物。
【請求項38】
前記ウイルス様粒子(a)が組み換えウイルス様粒子であり、好ましくは該ウイルス様粒子が、
(a)RNAファージの組み換えタンパク質;
(b)はしかウイルスの組み換えタンパク質;
(c)シンビス・ウイルスの組み換えタンパク質;
(d)ロタ・ウイルスの組み換えタンパク質;
(e)口蹄疫ウイルスの組み換えタンパク質;
(f)レトロ・ウイルスの組み換えタンパク質;
(g)ノーウォーク・ウイルスの組み換えタンパク質;
(h)アルファウイルスの組み換えタンパク質;
(i)ヒト・パピローマ・ウイルスの組み換えタンパク質;
(j)ポリオーマウイルスの組み換えタンパク質;
(k)バクテリオファージの組み換えタンパク質;
(l)B型肝炎ウイルスの組み換えタンパク質;
(m)Qβ−ファージの組み換えタンパク質;
(n)GA−ファージの組み換えタンパク質;
(o)fr−ファージの組み換えタンパク質;
(p)AP205ファージの組み換えタンパク質;
(q)Tyの組み換えタンパク質;及び
(r)(a)〜(q)の組み換えタンパク質の何れかの断片
からなる群から選択される、請求項1ないし37の何れか一に記載の組成物。
【請求項39】
前記組み換えウイルス様粒子が、B型肝炎ウイルスのコア・タンパク質又はBKウイルスVP1タンパク質である、請求項1ないし38の何れか一に記載の組成物。
【請求項40】
前記ウイルス様粒子が、RNAファージの組み換えタンパク質又はその断片を含むか、あるいは選択的にそれから実質的になるか、あるいは選択的にそれからなり、該RNAファージが、
(a)バクテリオファージQβ;
(b)バクテリオファージR17;
(c)バクテリオファージfr;
(d)バクテリオファージGA;
(e)バクテリオファージSP;
(f)バクテリオファージMS2;
(g)バクテリオファージM11;
(h)バクテリオファージMX1;
(i)バクテリオファージNL95;
(k)バクテリオファージf2;
(l)バクテリオファージPP7;及び
(m)バクテリオファージAP205
からなる群から選択される、請求項1ないし38の何れか一に記載の組成物。
【請求項41】
前記ウイルス様粒子がRNAファージの組み換えタンパク質、又はその断片を含み、該RNAファージがバクテリオファージQB又はバクテリオファージAP205である、請求項1ないし38の何れか一に記載の組成物。
【請求項42】
前記ウイルス様粒子が少なくとも一の第一付着部位を含み、さらに前記抗原(c)が、
(a)前記抗原または抗原決定基を有する天然に存在しない付着部位;及び
(b)前記抗原または抗原決定基を有する天然に存在する付着部位;
からなる群から選択される少なくとも一の第二の付着部位を含み、該第二付着部位が該第一付着部位に結合することができる、請求項1ないし41の何れか一に記載の組成物。
【請求項43】
アミノ酸リンカーをさらに含み、該アミノ酸リンカーが前記第二付着部位を含むか、あるいは選択的にこれからなる、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
前記抗原(c)が、
(a)ポリペプチド;
(b)リポタンパク質;及び
(c)糖タンパク質
からなる群から選択される、請求項1ないし43の何れか一に記載の組成物。
【請求項45】
前記抗原(c)が組み換え抗原である、請求項1ないし44の何れか一に記載の組成物。
【請求項46】
前記抗原(c)が天然源から単離される、請求項1ないし44の何れか一に記載の組成物。
【請求項47】
前記天然源が、
(a)花粉エキス;
(b)塵抽出物;
(c)塵ダニ抽出物;
(d)菌類の抽出物;
(e)哺乳類の表皮の抽出物;
(f)羽毛抽出物;
(g)昆虫抽出物;
(h)食物抽出物;
(i)毛髪抽出物;
(j)唾液抽出物、及び、
(k)血清抽出物
からなる群から選択される、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
前記抗原(c)が、
(a)ウイルス;
(b)細菌;
(c)寄生虫;
(d)プリオン;
(e)腫瘍;
(f)自己分子;
(g)非ペプチド・ハプテン分子;
(h)アレルゲン;および
(i)ホルモン
からなる群に由来する、請求項1ないし44の何れか一に記載の組成物。
【請求項49】
前記抗原(c)が腫瘍抗原である、請求項1ないし44の何れか一に記載の組成物。
【請求項50】
前記腫瘍抗原が、
(a)Her2;
(b)GD2;
(c)EGF−R;
(d)CEA;
(e)CD52;
(f)ヒト・メラノーマ・タンパク質gp100;
(g)ヒト・メラノーマ・タンパク質メラン−A/MART−1;
(h)チロシナーゼ;
(i)NA17−A ntタンパク質;
(j)MAGE−3タンパク質;
(k)p53タンパク質;
(l)HPV16 E7タンパク質;
(m)(a)〜(l)の何れかの抗原の類似体;及び
(n)(a)〜(m)の何れかの腫瘍抗原の抗原性断片
からなる群から選択される、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
前記抗原(c)がアレルゲンである、請求項1ないし44の何れか一に記載の組成物。
【請求項52】
前記アレルゲンが、
(a)花粉エキス;
(b)塵抽出物;
(c)塵ダニ抽出物;
(d)菌類の抽出物;
(e)哺乳類の表皮の抽出物;
(f)羽毛抽出物;
(g)昆虫抽出物;
(h)食物抽出物;
(i)毛髪抽出物;
(j)唾液抽出物、及び、
(k)血清抽出物
からなる群由来である、請求項51に記載の組成物。
【請求項53】
前記アレルゲンが、
(a)木;
(b)草;
(c)ハウスダスト;
(d)イエダニ;
(e)コウジカビ;
(f)動物の毛髪;
(g)動物の羽毛;
(h)蜂毒;
(i)動物性製品;及び、
(j)植物性製品
からなる群から選択される、請求項51に記載の組成物。
【請求項54】
前記抗原(c)が、
(a)蜂毒ホスホリパーゼA2;
(b)ブタクサ花粉Amb a 1;
(c)カバノキ花粉Bet v I;
(d)白色顔スズメバチ(white faced hornet)毒物5Dol m V;
(e)イエダニDer p 1;
(f)イエダニDer f 2;
(g)イエダニDer 2;
(h)塵ダニLep d;
(i)真菌類アレルゲンAlt a 1;
(j)真菌類アレルゲンAsp f 1;
(k)真菌類アレルゲンAsp f 16;及び、
(l)ピーナッツアレルゲン
からなる群から選択される、請求項1ないし44の何れか一に記載の組成物。
【請求項55】
前記抗原(c)が細胞障害性T細胞エピトープ、Th細胞エピトープ又は該エピトープの少なくとも2つの組み合わせであり、当該少なくとも2つのエピトープが直接又は連結配列により結合している、請求項1ないし44の何れか一に記載の組成物。
【請求項56】
前記細胞障害性T細胞エピトープが、
(a)ウイルス性エピトープ;
(b)腫瘍性エピトープ;及び
(c)アレルゲン性エピトープ
からなる群から選択される、請求項53に記載の組成物。
【請求項57】
前記動物に請求項1ないし56の何れか一に記載の組成物を含んでなる組成物を導入することを含む、動物の免疫応答を亢進する方法。
【請求項58】
前記動物が、哺乳動物、好ましくはヒトである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記組成物が前記動物に、皮下、筋内、静脈内、鼻腔内、あるいはリンパ節内に直接導入する、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
薬学的に受容可能な希釈剤、担体あるいは賦形剤とともに、免疫学的に有効な量の請求項1ないし56の何れか一に記載の組成物を含んでなるワクチン。
【請求項61】
前記動物に免疫学的に有効な量の請求項60に記載のワクチンを投与することを含む、動物を免疫化又は治療する方法。
【請求項62】
前記動物が哺乳動物、好ましくはヒトである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
アレルギー、腫瘍、慢性疾患及び慢性ウイルス性疾患を含む疾病又は疾患、及び好ましくはそれらからなる群から選択される疾病又は疾患の治療のための薬剤の製造における請求項1ないし56の何れか一に記載の組成物の使用、あるいは請求項60に記載のワクチンの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2009−513532(P2009−513532A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518174(P2006−518174)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007679
【国際公開番号】WO2005/004907
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(304042375)サイトス バイオテクノロジー アーゲー (26)
【Fターム(参考)】