説明

パネル体

【課題】特別の設備を必要とせずに且つ時間をかけずにパネルとフレームとを容易に分離することができるパネル体を提供する。
【解決手段】本発明に係るパネル体1は、パネル3aと、パネル3aの縁に取付けるフレーム5と、フレーム5とパネル3aを接着する接着材15と、フレーム5とパネル3aとの間に配置する挿入材7とを備えており、挿入材7は少なくとも一部を接着材15に埋設して且つ端部7bをパネル3aとフレーム5の間から外側に食み出してある。分解するときには、挿入材7の端部7bを引くことにより、接着材15を切断してパネル3aとフレーム5との分離を容易にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルの縁にフレームを取付けたパネル体に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス製のパネルの縁に樹脂製や金属製のフレームを取付けたパネル体では、パネル体を廃棄するときに、材料が異なるパネルとフレームとを分別して廃棄することにより、リサイクル資源の回収を容易にすることが望まれている。
しかし、パネルとフレームとは接着材により接着されている為、容易に分離し難いという問題があった。
これに対して、特許文献1の技術では、パネル体を廃棄するときにパネルとフレームとの間に溶剤を注入して接着材を溶かし、その後フレームとパネルとを分離することが開示されている。
また、特許文献2には、フレームとパネルを接着する接着材として加熱剥離型接着剤を用い、パネル体の廃棄時には、パネル体を温水に浸漬することにより接着材を軟化させた後、フレームとパネルとを分離することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−125186号公報
【特許文献2】特開2009−148426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、溶剤が接着材に浸透して溶解するまでに時間がかかるという不都合がある。
また、特許文献2の技術では、パネル体を温水に浸漬させる為、浴層等の設備が必要になると共に接着材が軟化するまでに時間がかかるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、特別の設備を必要とせずに且つ時間をかけずにパネルとフレームとを容易に分離することができるパネル体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、パネルと、パネルの縁に取付けるフレームと、フレームとパネルを接着する接着材と、フレームとパネルとの間に配置する挿入材とを備え、挿入材は少なくとも一部を接着材に埋設して且つ端部をパネルとフレームの間から外側に食み出してあることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、挿入材はパネルの略全周に亘って配置してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、パネル体の廃棄時には、パネルとフレームとの間から食み出している挿入材の端部を引っ張り、接着材の少なくとも一部を挿入材で切断することにより接着材の接着力を弱めて、パネルとフレームとの分離を容易にする。
従って、本発明によれば、挿入材を引っ張るだけで瞬時に接着材を切断することができるから、特許文献2のように浴槽等の特別な設備を必要とせず且つ時間をかけずにパネルとフレームとを分離することができる。
接着材はその全てを切断するものであってもよいし、上述のように部分的に切断することにより接着力を弱めてからパネルとフレームとを分離するものであっても良い。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様な作用効果を奏すると共に、挿入材によりパネルの略全周に亘って接着材を切断できるから、パネルとフレームとの分離が更に容易である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】パネル体を図3に示すA−A位置で切断した断面図である。
【図2】パネル体を図3に示すB−B位置で切断した断面図である。
【図3】本実施の形態にかかるパネル体の正面図である。
【図4】他の実施の形態にかかるパネル体を図3に示すB−B位置と同じ位置で切断して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、添付図面の図1〜図3を参照して本発明の実施の形態を説明する。本実施の形態にかかるパネル体1は、遊戯機器としてのパチンコ台に用いられるものであり、パチンコ台の前面に取付けてある。
図1に示すように、パネル体1は、2枚のパネル3a、3bと、フレーム5と、接着材15と、挿入材7とを備えている。2枚のパネル3a、3bは共にガラス製であるが、一方のパネル3aは強化ガラスであり、他方のパネル3bは普通ガラスである。また、2枚のパネル3a、3bは同一形状であり、互いに間隔をあけて配置されている。
【0012】
フレーム5は、樹脂製(例えば、ABS樹脂)であり、パネル3a、3bの縁の全周に亘って設けてある。フレーム5は、内周側に突設した突部11と、パネル3a、3bの端面4に対向するパネル端面対向部12とを有しており、パネル端面対向部12は、突部11の左右両側に各々設けてある。
接着材15は、図2に示すように、フレーム5の一方の見付け面13aと一方のパネル3aとの間に塗布されており、同様に、フレーム5の他方の見付け面13bと他方のパネル3bとの間にも接着材15が塗布されており、各パネル3a、3bをフレーム5に接着してある。
【0013】
挿入材7及び接着材15は、フレーム5と一方のパネル3aとの間及びフレーム5と他方のパネル3bとの間に各々設けてあるが、同じ構成であるからフレーム5と一方のパネル3aとの間に設けてある挿入材7及び接着材15について説明し、フレーム5と他方のパネル3bとの間に設けてある挿入材7及び接着材15について説明を省略する。
挿入材7は、ワイヤであり、一端部7aを図3に示すように起点Eに配置して、図1に示すように、接着材15の内周側に固定されている。図3に示すように、挿入材7はフレーム5の内周側で突部11の先端に沿ってパネル3aの略全周に亘って配置し、略一周したA−A位置では、他端部(端部)7bをパネル3a端面4とフレーム5のパネル端面対向部12との間から外側に食み出している。
挿入材7の他端部7bが外側に食み出している位置では、図1に示すように、挿入材7はフレーム5の内周側から外周側に位置して接着材15に埋設されている。
【0014】
次に、本実施の形態にかかるパネル体の製造、廃棄について説明する。
パネル体1の製造は、フレーム5の突部11の一方の見付け面13aに接着材15を塗布し、挿入材7をその一端部7aからフレーム5の突部11の先端で接着材15に接触させつつフレームの長手方向に沿って配置する。フレーム7を略一周したところで、図1に示すように、フレーム5の突部11の一方の見付け面13aに塗布した接着材15を横断して配置し、更に挿入材7の他端部7b側をフレーム5の外周側に食み出すように配置する。フレーム5の突部11の他方のパネル3b側においても同様にして接着材15及び挿入材7を配置する。
接着材15及び挿入材7を設けたフレーム5の一方の見付け面13aに一方のパネル3aの端部を押し当てて、他方の見付け面13bに他方のパネル3bの端部を押し当てると共にパネル端面4をフレーム5のパネル端面対向部12に押し当てて、接着材15により一方のパネル3a及び他方のパネル3bをフレーム5に接着固定する。
【0015】
パネル体1の廃棄時には、フレーム5と一方のパネル3aの間から食み出している挿入材7の他端部7bをパネル体1の周方向に沿って引っ張る。これにより、挿入材7はパネルの周方向に沿って順次接着材15を切断するので、パネル体1の略全周に亘って接着材15を切断後、フレーム5と一方のパネル3aを分離する。同様にして、他方のパネル3bについてもフレーム5と他方のパネル3bの間から食み出している挿入材7の他端部7bをパネル体1の周方向に沿って引っ張ることにより、フレーム5と他方のパネル3bを分離する。
このように、ガラス製のパネル3a、3bと、樹脂製のフレーム5とを分離できるので、材料毎に分別した廃棄ができる。
【0016】
本実施の形態によれば、挿入材7を引っ張るだけで瞬時に接着材15を切断することができるから、特許文献2のように浴槽等の特別な設備を必要とせず且つ時間がかからずにパネル3a、3bとフレーム5とを分離することができる。
挿入材7によりパネル3a、3bの略全周に亘って接着材15を切断できるから、パネル3a、3bとフレーム5との分離が容易にできる。
また、接着材15は、フレーム5の一方の見付け面13aと一方のパネル3aとの間のみ塗布してあり、一方のパネル3aのパネル端面4とパネル端面対向部12との間には塗布していないから、小さい力で接着材15の切断ができる。
【0017】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、図4に示すように、挿入材7は、接着材15の内周側部に配置することに限らず、接着材15の内周側と外周側との中間に埋め込むものであっても良い。この場合、挿入材7を引っ張った後に、フレーム5と各パネル3a、3bとを接着している接着材15はその内周側部が切断されずに残るが、接着の強度が低下するので、フレーム5と各パネル3a、3bとを容易に分離することができる。
また、接着材15は、フレーム5の一方の見付け面13aと一方のパネル3aとの間のみ限らず、図4に示すように、一方のパネル3aのパネル端面4とパネル端面対向部12との間にも塗布しても良い。このように接着材15を一方の見付け面13aとパネル端面対向部12との2面に塗布することにより、フレーム5とパネル3aとの接着強度を高めることができる。尚、他方のパネル3bについても同様である。
挿入材7は、パネル3a、3bの周囲全体に亘って配置することに限らず、パネル3a、3bの周囲に複数の挿入材7を間隔をあけて設けると共に各挿入材7を周囲方向に沿って部分的に配置し、パネル体1の廃棄時には、パネル体1の周方向において接着材15を間欠的に切断して、フレーム5と各パネル3a、3bとの接着強度を低下させるものであっても良い。
接着材15をフレーム5の全周に設けることなく、所定のピッチで配置して、接着材15でフレーム5とパネル3a、3bを接着している箇所にのみ挿入材を配置するものであっても良い。
挿入材7は、ワイヤ等の策条体に限らず、帯状の部材であってもよいし、その形状や材質は制限されない。
パネル体1は、フレーム5の両側に2枚のパネル3a、3bを設けることに限らず、フレーム5には一枚のパネル3aのみを接着材15で固定するものであっても良い。
パネル体1は、サッシやドア用に用いるものであっても良く、用途は問わない。
【符号の説明】
【0018】
1 パネル体
3a、3b パネル
5 フレーム
7 挿入材
7b 他端部(端部)
15 接着材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルと、パネルの縁に取付けるフレームと、フレームとパネルを接着する接着材と、フレームとパネルとの間に配置する挿入材とを備え、挿入材は少なくとも一部を接着材に埋設して且つ端部をパネルとフレームの間から外側に食み出してあることを特徴とするパネル体。
【請求項2】
挿入材はパネルの略全周に亘って配置してあることを特徴とする請求項1に記載のパネル体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−192130(P2012−192130A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60286(P2011−60286)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【出願人】(391015786)三芝硝材株式会社 (7)
【Fターム(参考)】