説明

パネル取付構造体

【課題】方形枠体へのパネルの取付作業性が良く、上下の横フレームとして同じフレーム材を共用できるパネル取付構造体を提供する。
【解決手段】片側の側壁部1cの高さ寸法が反対側の側壁部1dの高さ寸法より小さい溝型フレーム材1からなる上下の横フレーム1Aと左右の縦フレームを、各フレームの底壁部1eが外周側となるように方形に枠組みして方形枠体10を形成し、この方形枠体10に片側から方形のパネル2を嵌め込むと共に、各フレームの片側の側壁部1cにパネル外れ防止用のアタッチ部材3を付設した構成のパネル取付構造体とする。方形枠体10にパネル2を嵌め込んでからアタッチ部材3を各フレーム1Aに付設してパネル2を外れないように取付けるため、取付作業性が良く、上下の横フレーム1Aとして同じフレーム材1を共用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方形枠体へのパネルの取付作業性が良好なパネル取付構造体に関し、特に、窓、壁などを構築する場合や扉を作製する場合に好適に採用されるパネル取付構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、採光用の壁体として、透光性合成樹脂製のパネルを幅方向に複数枚接続し、上下の横フレームと左右の縦フレームを方形に枠組みしてなる方形枠体に嵌め込んだものが採用されるようになってきた。
【0003】
本出願人も、採光用の壁体として、縦長の前板と、この前板の両側端から後方へ折れ曲がる左右の側板と、これらの側板の後端から内側へ折れ曲がるフランジ部とが一体に形成されてなる合成樹脂製の壁材を複数枚並べ、下方に設けられた断面が凹形のレール材と、上方に設けられた断面が逆凹形のレール材とに、各壁材の下端部と上端部をそれぞれ嵌め込んで立設し、各壁材の前板下端部と下方のレール材の前側板部との間にバックアップ材を押し込んで、このバックアップ材の上方に生じた隙間にシーリング材を充填すると共に、各壁材の前板上端部と上方のレール材の前側板部との間にバックアップ材を押し込んで、このバックアップ材の下方に生じた隙間にシーリング材を充填し、各壁材の前板下端部と下方のレール材の後側板部との間、及び、各壁材の前板上端部と上方のレール材の後側板部との間に、壁材下端部固定用の固定部材と壁材上端部固定用の固定部材をそれぞれ圧入した構造の壁体を既に出願した(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−321923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の壁体のように、透光性合成樹脂製のパネルを幅方向に複数枚接続して方形枠体に外れないように嵌め込んで取付ける作業は容易でなく、前記特許文献1の壁体の場合も、上下のレール材と左右のレール材とで方形枠体を予め形成すると、最後の一枚の壁材を嵌め込む作業がし辛いという問題があった。
【0005】
また、前記特許文献1の壁体は、壁材を持ち上げて壁材の上端部を上方のレール材の内部に突っ込みながら、壁材の下端部を下方のレール材の前側板部を越えて下方のレール材の真上まで移動させ、壁材を下げて、壁材の上下両端部を上下のレール材の内部に嵌め込むものであるから、上方のレール材として、前後の側板部の高さ寸法が下方のレール材の前後の側板部の高さ寸法よりも大きいレール材を使用する必要があり、上下のレール材として同じレール材を共用できないという問題もあった。
【0006】
本発明は上記事情の下になされたものであって、その解決しようとする主たる課題は、方形枠体へのパネルの取付作業性が良く、上下の横フレームとして同じフレーム材を共用できるパネル取付構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係るパネル取付構造体は、片側の側壁部の高さ寸法が反対側の側壁部の高さ寸法より小さい溝型フレーム材からなる上下の横フレームと左右の縦フレームを、各フレームの底壁部が外周側となるように方形に枠組みして方形枠体を形成し、この方形枠体に片側から方形のパネルを嵌め込むと共に、各フレームの片側の側壁部にパネル外れ防止用のアタッチ部材を付設したことを特徴とするものである。
【0008】
本発明のパネル取付構造体においては、アタッチ部材が、取付基部と、この取付基部の片側に形成された側板部と、この取付基部の下側に形成された一対の脚部を有するものであって、これらの脚部を、各フレームの片側の側壁部の内側に形成された略L形の支持部に支持させると共に、これらの脚部に形成された屈曲係合部を、各フレームの片側の側壁部の内面に形成された係合凸部と上記略L型の支持部に形成された係合凸部に係合させて、アタッチ部材の側板部が各フレームの片側の側壁部の延長線上に位置するようにアタッチ部材を付設することが好ましい。そして、アタッチ部材の取付基部を各フレームの略L型の支持部にビス止めすることが好ましい。
【0009】
また、本発明のパネル取付構造体においては、各フレームに設けたアタッチ部材の側板部とパネルの端縁部との間に、バックアップ材とシーリング材を詰める一方、各フレームの反対側の側壁部とパネルの端縁部との間にゴムパッキンを挟み込むことが好ましい。そして、各フレームの反対側の側壁部から内側に向かって、上面が片側の側壁部の先端と同じ高さの棚板部を突設することが好ましい。
【0010】
更に、本発明のパネル取付構造体においては、左右の縦フレームの両側壁部の内面間の間隔を、上下の横フレームの両側壁部の外面間の間隔と同一にし、左右の縦フレームの上下両端部の両側壁部の内面を平坦面にして、左右の縦フレームの上下両端部の両側壁部の間に上下の横フレームの両端部を嵌合すると共に、左右の縦フレームの上下両端部の底壁部に形成されたネジ挿通孔から、上下の横フレームの両側壁部の内側に形成された開環筒状部に、ネジをねじ込んで、方形枠体を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のパネル取付構造体は、片側の側壁部の高さ寸法が反対側の側壁部の高さ寸法より小さい溝型フレーム材からなる上下の横フレームと左右の縦フレームを、各フレームの底壁部が外周側となるように方形に枠組みして方形枠体を形成するため、該方形枠体に対応した寸法の方形のパネルを、該方形枠体に片側から横移動させて簡単に嵌め込むことができ、このようにパネルを嵌め込んでから、各フレームの片側の側壁部にパネル外れ防止用のアタッチ部材を付設することによって、パネルを該方形枠体に外れないように取付けることができる。従って、本発明のパネル取付構造体は、方形枠体へのパネル取付作業性が良好である。また、上記のようにパネルを横移動させて方形枠体に嵌め込んでからアタッチ部材を付設してパネルの外れを防止すると、前記特許文献1の壁体のように、上方のフレーム(レール材)として、側壁部の高さ寸法が下方のフレーム(レール材)の側壁部の高さ寸法より大きいものを使用することが不要となり、上下の横フレームとして同じフレーム材を共用することができる。
【0012】
本発明のパネル取付構造体において、アタッチ部材として、取付基部と、この取付基部の片側に形成された側板部と、この取付基部の下側に形成された一対の脚部を有するアタッチ部材を使用し、このアタッチ部材の脚部を、各フレームの片側の側壁部の内側に形成された略L形の支持部に支持させると共に、これらの脚部に形成された屈曲係合部を、各フレームの片側の側壁部の内面に形成された係合凸部と上記略L型の支持部に形成された係合凸部に係合させて、アタッチ部材の側板部が各フレームの片側の側壁部の延長線上に位置するように付設したものは、アタッチ部材の付設作業(取付作業)が簡単で、脱落し難く、アタッチ部材の側板部によってパネルが外れるのを防止することができる。そして、アタッチ部材の取付基部を各フレームの略L型の支持部にビス止めしたものは、アタッチ部材の脱落を確実に防止することができる。
【0013】
また、本発明のパネル取付構造において、各フレームに設けたアタッチ部材の側板部とパネルの端縁部との間に、バックアップ材とシーリング材を詰める一方、各フレームの反対側の側壁部とパネルの端縁部との間にゴムパッキンを挟み込んだものは、シーリング材とゴムパッキンによって水密性や気密性を高めることができ、パネルのガタツキを防止することもできる。
【0014】
そして、各フレームの反対側の側壁部から内側に向かって、上面が片側の側壁部の先端と同じ高さの棚板部を突設したものは、横移動させて方形枠内に嵌め込んだパネルを、下側の横フレームの棚板部によってそのままの高さで支持でき、パネルの下端縁が下側の横フレームの内部に落ち込むことがないので、側板部がパネルの外れ防止に必要最小限の高さ寸法に設定されたアタッチ部材によって、パネルを外れないように取付けることが可能となり、また、上側の横フレームや左右の縦フレームの棚板部によって、パネルの上方への移動や左右への移動を規制することも可能となる。
【0015】
更に、左右の縦フレームの両側壁部の内面間の間隔を、上下の横フレームの両側壁部の外面間の間隔と同一にし、左右の縦フレームの上下両端部の両側壁部の内面を平坦面にして、左右の縦フレームの上下両端部の両側壁部の間に上下の横フレームの両端部を嵌合すると共に、左右の縦フレームの上下両端部の底壁部に形成されたネジ挿通孔から、上下の横フレームの両側壁部の内側に形成された開環筒状部に、ネジをねじ込んで方形枠体を形成したものは、方形枠体の組立作業を容易に行える利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0017】
図1は本発明の一実施形態に係るパネル取付構造体の概略正面図、図2は同パネル取付構造体の縦断面図、図3は同パネル取付構造体の横断面図、図4は同パネル取付構造体の部分拡大正面図、図5は同パネル取付構造体に使用される溝型フレーム材とアタッチ部材を分解して示す断面図、図6は同パネル取付構造体のパネルの取付手順を説明する概略説明図、図7は同パネル取付構造体に使用されるパネルの斜視図、図8は同パネルの横断面図、図9は同パネルの接続部分の横断面図である。
【0018】
このパネル取付構造体は、図1に示すように、方形枠体10と、この方形枠体10に嵌め込まれたパネル2と、このパネル2が外れるのを防止するアタッチ部材3などの主要部材からなるものであり、例えば、壁体、窓体、扉体などの用途に好ましく利用されるものである。
【0019】
方形枠体10は、図1に示すように、上下の横フレーム1A,1Aと左右の縦フレーム1B,1Bを方形に枠組みしたものであって、これらのフレーム1A,1A,1B,1Bはいずれも、図5に示すようなアルミニウム等の金属製の溝型フレーム材1からなるものである。
【0020】
横フレーム1A及び縦フレーム1Bとして使用される上記の溝型フレーム材1は、図5,図2,図3に示すように、片側の側壁部1cの高さ寸法Hcが反対側の側壁部1dの高さ寸法Hdより小さい溝型フレーム材であって、その底壁部1eにはL形の断面形状を有する一対の支脚部1f,1fがフレーム材全長に亘って形成されている。そして、方形枠体10の下側の横フレーム1Aとして使用される溝型フレーム材1は、その底壁部1eの片側端に水抜き孔1gが形成されている。
【0021】
また、溝型フレーム材1の片側の側壁部1cの内側には、後述するアタッチ部材3の一対の脚部3c,3cを支持する断面略L形の支持部1hがフレーム材全長に亘って形成されている。この略L形支持部1hの立上り部の先端(上端)と片側の側壁部1cの先端(上端)は同じ高さとされており、側壁部1cの内面と該立上り部の対向面には、上記脚部3c,3cに形成された屈曲係合部3d,3dと係合する係合凸部1i,1iが相対向して形成されている。
【0022】
上記略L形支持部1hの付根部分の下面には、開環筒状部1jが側壁部1cの内側沿いにフレーム材全長に亘って形成されており、反対側の側壁部1dの内面にも、同様の開環筒状部1jがフレーム材全長に亘って形成されている。これらの開環筒状部1j,1jは、後述するように上下左右のフレーム1A,1A,1B,1Bを方形に枠組みするときに、固定用のネジをねじ込むものである。尚、これらの開環筒状部1j,1jは、左右の縦フレーム1B,1Bには不要なものであるから、図3に示すように、縦フレーム1B,1Bには形成されていない。
【0023】
溝型フレーム材1の反対側の側壁部1dの内面には、上面が片側の側壁部1cの先端(上端)と同じ高さの棚板部1kが内側に向かってフレーム材全長に亘って突設されており、この棚板部1kの内側への突出寸法は、略L形支持部1hの立上り部と棚板部1kの先端との間に、後述するパネル2の接続用凸条2gが挿入される空間を確保できるような突出寸法とされている。この棚板部1kは、溝型フレーム材1を下側の横フレーム1Aとして使用したときに、パネル2を下方から支える支持板としての役割を果たし、溝型フレーム材1を上側の横フレーム1Aや左右の縦フレーム1B,1Bとして使用したときに、パネル2の上方への移動や左右への移動を規制する規制板としての役割を果たすものである。
【0024】
更に、上記棚板部1kより上方の側壁部1dの内面には、複数の小リブ1m,1nがフレーム材全長に亘って形成されており、これらの小リブ1m,1nによって、後述するゴムパッキン13が位置決めされると共に位置ズレが防止されるようになっている。
【0025】
左右の縦フレーム1Bとして使用される溝型フレーム材1(以下、縦フレーム1Bという)は、開環筒状部1j,1jが形成されていない点を除いて、上下の横フレーム1Aとして使用される溝型フレーム材1(以下、横フレーム1Aという)と実質的に同じ断面形状を有するものであるが、縦フレーム1Bの底壁部1eの幅寸法は、横フレーム1Aの底壁部1eの幅寸法よりも両側壁部1c,1dの厚み寸法分だけ拡大されており、縦フレーム1Bの両側壁部1c,1dの内面間の間隔が、横フレーム1Aの両側壁部1c,1dの外面間の間隔と同一になっている。そして、縦フレーム1Bの上下両端部の両側壁部1c,1dの内面は、略L形支持部1h、係合凸部1i、棚板部1k、小リブ1m,1nなどを切除することによって、平坦面とされている。
【0026】
方形枠体10は、上記のような溝型フレーム材1からなる上下の横フレーム1A,1Aと左右の縦フレーム1B,1Bを用いて、図1,図4に示すように、左右の縦フレーム1B,1Bの上下両端部の両側壁部1c,1dの間(内面が平坦面とされた上下両端部の両側壁部の間)に、上下の横フレーム1A,1Aの両端部を嵌合して、各フレーム1A,1A,1B,1Bの底壁部1eが外周側となるように方形に枠組みすると共に、左右の縦フレーム1B,1Bの上下両端部の底壁部1e,1eに形成されたネジ挿通孔から、上下の横フレーム1A,1Aの両側壁部1c,1dの内側に形成された前記の開環筒状部1j,1jに、固定用のネジ4をねじ込むことによって組立てられている。
【0027】
このような方形枠体10は、本発明のパネル取付構造体によって例えば窓体を構築する場合には、窓体を構築すべき外壁の方形開口部分に、各フレーム1A,1A,1B,1Bの片側の側壁部1cを屋外側にして設置される。そして、図2に示すように、上下のフレーム1A,1Aの底壁部1e,1eがアンカーボルト5aとナット5bによって方形開口部分の上下の内面6,6に固定され、図3に示すように、左右のフレーム1B,1Bの一対の支脚部1f,1fが固定金具7によって方形開口部の左右の内面8,8に固定される。また、本発明のパネル取付構造体によって壁体を構築する場合は、壁体を構築すべき箇所に方形枠体10が設置され、上記と同様に上下左右のフレーム1A,1A,1B,1Bが固定される。
【0028】
上記の方形枠体1に嵌め込まれる方形のパネル2は、淡く着色したポリカーボネート(好ましくは紫外線吸収剤や光安定剤を配合して耐候性を高めたポリカーボネート)等の透光性樹脂を押出成形した採光性の良好なパネルであって、図7,図8に示すように、パネル表面層2aとパネル裏面層2bとの間に多数の縦、横、斜めの隔壁部2c,2d,2eを設けたハニカム構造の中空パネルとされており、これらの隔壁部2c,2d,2eによって、パネル長さ方向に貫通する多数の中空部2fがパネル表面層2aとパネル裏面層2bとの間に形成されたものである。このようなハニカム構造の中空パネル2は、軽量であるにもかかわらず実用的な荷重たわみ強度を備えており、また、採光性が良好であるにもかかわらず、淡く着色されていることと相俟って充分な隠蔽性を備えている。特に、パネル表面層2a及び/又はパネル裏面層2b、場合によっては更に隔壁部2c,2d,2eをエンボス加工すると、隠蔽性を更に向上させることができる。
【0029】
この中空パネル2の一側端には、略楕円環状の横断面を有する中空の接続用凸条2gがパネル全長に亘って形成されており、これに対応して、中空パネル2の他側端には、接続用凸条2gを嵌合させる略楕円開環状の接続用凹条2hがパネル全長に亘って形成されている。従って、図9に示すように中空パネル2の一側端の接続用凸条2gを、隣接する中空パネル2の他側端の接続用凹条2hに嵌合させるだけで、簡単に中空パネル2,2同士を幅方向に接続できるようになっている。尚、この中空パネル2の上下両端にアルミニウムテープなどを貼着して上下両端の中空開口部を封止すると、雨水の侵入や結露を防止することができ、断熱性を向上させることもできる。
【0030】
この中空パネル2は、各フレーム1A,1A,1B,1Bの両側壁部1c,1dの間隔よりも小さい厚みを有する必要があり、好ましくは、両側壁部1c,1dの間隔の2/3程度の厚みを有するものが使用される。具体的には、各フレームとして両側壁部1c,1dの間隔が60mm程度の溝型フレーム材1が使用されるので、40mm程度の厚み有する中空パネル2を用いることが好ましい。この中空パネル2の横(幅)寸法は特に限定されないが、持ち運びや取り扱いのし易さを考慮すると、500mm程度であることが好ましく、また、中空パネル2の縦(長さ)寸法は、方形枠体10における上下フレーム1A,1Aの片側の側壁部1c,1cの先端間の寸法よりも極く僅かに短く、反対側の側壁部1d,1dの先端間の寸法よりも長い寸法となるように切断される。
【0031】
このようなパネル2は、方形枠体10の横寸法に対応して複数枚(図1の実施形態では3枚)準備される。そして、これらのパネル2は、その縦(長さ)寸法が、方形枠体10の片側(屋外側)の開口の縦寸法(上下フレーム1A,1Aの片側の側壁部1c,1cの先端間の寸法)よりも極く僅かに小さいため、方形枠体10に片側から横移動させて順々に嵌め込まれ、その接続用凸条2gを隣りのパネル2の接続用凹条2hに嵌合することによって幅方向に順々に接続される。このようにパネル2を方形枠体10に嵌め込んで接続すると、図2に示すように、パネル2の下端が下側の横フレーム1Aの棚板部1kと略L形支持部1hの立上り部によって下方から支持され、該フレーム1Aの内部に落ち込むことなく、嵌め込まれた高さのままで方形枠体10に取付けられることになる。そして、上側のフレーム1Aや左右のフレーム1B,1Bの棚板部1kと略L形支持部1hの立上り部によって、パネル2の上方への移動や左右への移動が規制されることになる。また、図3に示すように、右端のパネル2の接続用凸条2gは、右側の縦フレーム1Bの棚板部1kと略L形支持部1hとの間から該縦フレーム1Bの内部へ嵌め込まれた状態となる。
【0032】
上記のように方形枠体10に嵌め込まれたパネル2は、各フレーム1A,1A,1B,1Bの反対側の側壁部1dの高さ寸法が大きいので、方形枠体10の反対側(屋内側)に外れることはないが、片側の側壁部1cの高さ寸法が小さく、上下フレーム1A,1Aの側壁部1c,1cの先端間の寸法がパネル2の縦寸法より僅かに大きいので、パネル2は方形枠体10の片側(屋外側)に外れることになる。そこで、各フレーム1A,1A,1B,1Bの高さ寸法が小さい片側の側壁部1cにパネル外れ防止用のアタッチ部材3を付設し、パネル2が外れないようにしている。
【0033】
このアタッチ部材3は、アルミニウム等の金属製の押出し型材からなるものであって、図5に示すように、取付基部3aと、この取付基部3aの片側から上向きに形成された側板部3bと、この取付基部3aの下側に形成された一対の脚部3c,3cを有しており、これらの脚部3c,3cには屈曲係合部3d,3dが形成されている。そして、下側の横フレーム1Aに付設されるアタッチ部材3の取付基部3aの片側端には、水切り片3eが形成されている。この水切り片3eは、上側の横フレーム1Aや左右の縦フレーム1Bに付設されるアタッチ部材3には形成されていない。
【0034】
上記アタッチ部材3は、図2,図3に示すように、その一対の脚部3c,3cを上下左右のフレーム1A,1A,1B,1Bの略L形支持部1hに支持させると共に、該脚部3c,3cに形成された屈曲係合部3d,3dを、各フレームの片側の側壁部1cの内面に形成された前記係合凸部1iと、略L形支持部1hの立上り部の対向面に形成された前記係合凸部1iに係合させることによって、アタッチ部材3の側板部3bが各フレームの片側の側壁部1cの延長線上に位置するように付設され、脱落しないように、取付基部3aがタッピングビス9で略L形支持部1hにビス止めされている。
【0035】
そして、図2,図3に示すように、上下左右のフレーム1A,1A,1B,1Bに付設されたアタッチ部材3の側板部3bとパネル2の端縁部との間に、発泡ポリエチレン等の紐材からなるバックアップ材11とシーリング材12を詰め込み、各フレームの反対側の側壁部1dの先端部(小リブ1m,1nが形成された先端部)とパネル2の端縁部との間に、エチレン−プロピレン−ジエンゴムなどのゴムパッキン13を挟み込むことによって、パネル2がガタツキなく方形枠体10に取付けられ、水密性や気密性が高められている。また、上下左右のフレーム1A,1A,1B,1Bの底壁部1eと、窓体を構築すべき外壁の方形開口部分の上下内面6,6及び左右内面8,8との間にも、バックアップ材11とシーリング材12が詰め込まれて、水密性等が高められている。
【0036】
次に、図6を参照して、上記パネル取付構造体のパネルの取付手順について説明する。
【0037】
先ず、(a)に示すように、方形枠体10の片側(屋外側、図6では左側)からパネル2を横移動させて方形枠体10に複数枚嵌め込みながらパネル2同士を接続し、各フレーム1A,1Aの反対側(図6では右側)の側壁部1dにパネル2の端縁部を押し付ける。そして、(b)に示すように、パネル外れ防止用のアタッチ部材3を、その側板部3bが各フレーム1A,1Aの片側の側壁部1cの延長線上に位置するように、既述した要領で付設し、アタッチ部材3の取付基部3aを略L形支持部1hにタッピングビス(不図示)でビス止めする。次いで、(c)に示すように、パネル2を各フレーム1A,1Aの両側壁部1c,1dの中間位置に移動させて、反対側の側壁部1dとパネル2の端縁部との間にゴムパッキン13を挟み込み、更に、(d)に示すように、片側の側壁部1cとパネル2の端縁部との間にバックアップ材11とシーリング材12を詰め込んで、パネルの取付作業を完了する。
【0038】
以上のように、このパネル取付構造体は、方形枠体10の枠組作業性、方形枠体10へのパネル2の取付作業性、方形枠体10の各フレームへのアタッチ部材3の付設(取付)作業性が良好であり、パネル2が外れたりガタついたりすることがなく、水密性等も高められるので、窓体や壁体などの構築に適している。そして、上下の横フレーム1A,1Aとして同じ溝型フレーム材を共用でき、左右の縦フレーム1B,1Bとして横フレームよりも両側壁部1c,1dの厚さ分だけ幅広で且つ開環筒状部のない溝型フレーム材を共用できるので、フレーム材の種類が少なくなり、その分だけ材料費の節約も可能となる。
【0039】
ところで、上記のパネル取付構造体に使用されるハニカム構造の中空パネル2は、刃物で比較的簡単に切り裂かれたり、バーナーやトーチで加熱すると軟化溶融して穴があくなど、破壊されやすいものであるため、故意に中空パネル2を破壊して人が侵入する心配がある。このような心配を解消するためには、図8に破線で示すように、侵入防止用条材2iを、人の侵入を阻止するに足る相互間隔をあけて、中空パネル2の厚さ方向中間部に位置する大きい中空部2fの幾つかに挿通し、各侵入防止用条材2iの両端を、中空パネル2の縦(長さ)方向両端に添設された板材(不図示)に固定して成る防犯用パネルを使用することが好ましい。また、場合によっては、侵入防止用条材2iの両端を方形枠体10の上下の横フレーム1A,1Aに直接固定するようにしてもよい。
【0040】
尚、本発明のパネル取付構造体に使用される方形のパネルは、上記の中空パネル2や防犯用パネルに限定されるものではなく、例えば、中実の一枚板や積層板なども使用することができる。また、パネルの材質も熱可塑性合成樹脂に限られず、ガラス、合板、無機ボードなど、種々の材質のパネルを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係るパネル取付構造体の概略正面図である。
【図2】同パネル取付構造体の縦断面図である。
【図3】同パネル取付構造体の横断面図である。
【図4】同パネル取付構造体の部分拡大正面図である。
【図5】同パネル取付構造体に使用される溝型フレーム材とアタッチ部材を分解して示す断面図である。
【図6】同パネル取付構造体のパネルの取付手順を説明する概略説明図である。
【図7】図7は同パネル取付構造体に使用されるパネルの斜視図である。
【図8】同パネルの横断面図である。
【図9】同パネルの接続部分の横断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 溝型フレーム材
1A 横フレーム
1B 縦フレーム
1c 片側の側壁部
1d 反対側の側壁部
1e 底壁部
1h 略L型の支持部
1i 係合凸部
1j 開環筒状部
1k 棚板部
2 パネル
3 アタッチ部材
3a 取付基部
3b 側板部
3c 脚部
3d 屈曲係合部
4 ネジ
9 ビス
10 方形枠体
11 バックアップ材
12 シーリング材
13 ゴムパッキン
Hc 片側の側壁部の高さ寸法
Hd 反対側の側壁部の高さ寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片側の側壁部の高さ寸法が反対側の側壁部の高さ寸法より小さい溝型フレーム材からなる上下の横フレームと左右の縦フレームを、各フレームの底壁部が外周側となるように方形に枠組みして方形枠体を形成し、この方形枠体に片側から方形のパネルを嵌め込むと共に、各フレームの片側の側壁部にパネル外れ防止用のアタッチ部材を付設したことを特徴とするパネル取付構造体。
【請求項2】
アタッチ部材が、取付基部と、この取付基部の片側に形成された側板部と、この取付基部の下側に形成された一対の脚部を有するものであって、これらの脚部を、各フレームの片側の側壁部の内側に形成された略L形の支持部に支持させると共に、これらの脚部に形成された屈曲係合部を、各フレームの片側の側壁部の内面に形成された係合凸部と上記略L型の支持部に形成された係合凸部に係合させて、アタッチ部材の側板部が各フレームの片側の側壁部の延長線上に位置するようにアタッチ部材を付設したことを特徴とする請求項1に記載のパネル取付構造体。
【請求項3】
アタッチ部材の取付基部を各フレームの略L型の支持部にビス止めしたことを特徴とする請求項2に記載のパネル取付構造体。
【請求項4】
各フレームに設けたアタッチ部材の側板部とパネルの端縁部との間に、バックアップ材とシーリング材を詰める一方、各フレームの反対側の側壁部とパネルの端縁部との間にゴムパッキンを挟み込んだことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のパネル取付構造体。
【請求項5】
各フレームの反対側の側壁部から内側に向かって、上面が片側の側壁部の先端と同じ高さの棚板部を突設したことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のパネル取付構造体。
【請求項6】
左右の縦フレームの両側壁部の内面間の間隔を、上下の横フレームの両側壁部の外面間の間隔と同一にし、左右の縦フレームの上下両端部の両側壁部の内面を平坦面にして、左右の縦フレームの上下両端部の両側壁部の間に上下の横フレームの両端部を嵌合すると共に、左右の縦フレームの上下両端部の底壁部に形成されたネジ挿通孔から、上下の横フレームの両側壁部の内側に形成された開環筒状部に、ネジをねじ込んで、方形枠体を形成したことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のパネル取付構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−91722(P2009−91722A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−260498(P2007−260498)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000108719)タキロン株式会社 (421)
【Fターム(参考)】