説明

パネル駆動処理装置

【課題】パネル駆動処理装置において、パネルの自己起動時にエラーを検出する手段を提供する。
【解決手段】パネル駆動処理装置のパネル駆動LSI2内部に、パネル起動モード選択部6と、自己起動用のクロック、リセット制御部7と、DMA転送制御部8と、転送プロトコル変換部9と、チェックサム算出部10と、エラー検出部11とを備え、チェックサム算出部10とチェックサム期待値が一致しなければ、指定回数を最大として、起動シーケンス制御をパネル起動モード選択部6から再実行し、エラー時にはLSI端子にエラーフラグを出力するように構成した。チェックサム算出部10は、主記憶部4から読み出した制御コマンド、データ群からなる複数種類のデータセットの中でデータ群に対するチェックサムを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどのパネル駆動処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイは、映像データ受信回路部、画質調整回路部、パネル駆動回路部から構成されており、TV、業務用ディスプレイ、外販用ディスプレイ等の目的に応じて上記回路の実現方式が異なる。
【0003】
外販用ディスプレイのパネル検査工程では、映像データ受信回路部、画質調整回路部がなく、外部からのパネル制御が不可能な状態でパネルを使用するケースがあるため、電源をオンすることだけによりパネルを自動的に起動出来ること(以下、自己起動と略記する)が要求されており、エラー発生時にはパネルに対して適切な制御を行うことが必要である。システム起動時のエラー検出手段については、たとえば下記特許文献1に開示されているものが知られており、主記憶部からRAMへのデータ転送時に書込みエラーになったアドレスのデータのみ再書込みすることを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−12132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、パネルの自己起動時にエラーを検出し、エラー時のパネル破壊防止、エラー要因の特定を行うことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために、本発明のパネル駆動処理装置は、パネル駆動LSI内部に、パネル起動モード選択部と、自己起動用のクロック、リセット制御部と、DMA転送制御部と、転送プロトコル変換部と、チェックサム算出部と、エラー検出部とを備え、前記チェックサム算出部とチェックサム期待値が一致しなければ、指定回数を最大として起動シーケンスを最初からやり直し、エラー時にはLSI端子にエラーフラグを出力することを特徴としている。前記チェックサム算出部は、前記パネル駆動LSI外部の主記憶部から読み出した、制御コマンド、データ群からなる複数種類のデータセットの中でデータ群に対するチェックサムを算出する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パネルの自己起動時にエラーが発生した場合に、パネルを破壊することなく安全に起動できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】パネル駆動処理装置の概略構成を示す図
【図2】パネル駆動処理装置の詳細構成を示す図
【図3】主記憶部のデータ構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明の実施の形態について、図1〜図3を使用して詳細に説明する。本実施形態の自己起動システムは、図1に示すように、電源IC1、パネル駆動LSI2、パネル3、主記憶部4、パネル識別部5から構成される。
【0010】
パネル駆動LSI2は、図2に示すようにパネル起動モード選択部6と自己起動用のクロック、リセット制御部7と、DMA転送制御部8と、転送プロトコル変換部9と、チェックサム算出部10と、エラー検出部11と、画像処理部12と、駆動制御部13を備えている。
【0011】
次にパネル自己起動の制御方法について図2を用いて説明する。利用者はまずパネル駆動処理装置への電源投入を行う。すると電源IC1の制御によって電源IC1からパネル起動モード選択部6に対してリセット信号を送信する。また、パネル起動モード選択部6はパネル識別部5より、パネル種、パネル起動モード識別信号を受信し、自己起動をするか否かを判断するためのモード信号を自己起動用のクロック、リセット制御部7に出力する。
【0012】
自己起動モード時には、クロック、リセット制御部7でクロック、リセット制御後、DMA転送開始信号をDMA転送制御部8に出力する。DMA転送制御部8から、主記憶部4に対して読み出し制御信号を出力すると、主記憶部4から自己起動用の各種レジスタ設定値が入力され、前記各種レジスタ設定値を転送プロトコル変換部9に出力すると同時に、チェックサム算出部10に出力する。転送プロトコル変換部9で画質処理部12と駆動処理部13の各種レジスタにデータを書込み可能なプロトコルに変換して、各種設定を実現する。
【0013】
チェックサム算出部10は、主記憶部4から読み出したデータのチェックサムを算出する。図3に示すように、主記憶部4に格納されているデータの中で、自己起動用各種設定は、制御コマンド、データ群からなる複数種類のデータセットであり、チェックサム算出部10で算出する部分は、各データセットのデータ群のチェックサムである。また、チェックサム期待値についても、上記データ群の一部に含まれる。
【0014】
チェックサム算出部10と前記チェックサム期待値が一致しなければ、指定回数を最大として起動シーケンス制御をパネル起動モード選択部6から再実行する。エラー検出部11でのエラー検出時には、LSI端子にエラーフラグを出力して、パネル駆動LSI2の外部から状態を確認できるようにする。
【0015】
以上のように本発明によれば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどで、パネル破壊なく自己起動可能なパネル駆動処理装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどのパネル駆動処理装置に適用可能な、パネルを破壊することなく、自動起動可能なパネル駆動処理装置である。
【符号の説明】
【0017】
1 電源IC
2 パネル駆動LSI
3 パネル
4 主記憶部
5 パネル識別部
6 パネル起動モード選択部
7 クロック、リセット制御部
8 DMA転送制御部
9 転送プロトコル変換部
10 チェックサム算出部
11 エラー検出部
12 画質処理部
13 駆動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル駆動LSI内部に、パネル起動モード選択部と、自己起動用のクロック、リセット制御部を備え、パネルの電源起動時にDMA転送制御部を介して、前記パネル駆動LSIに接続された主記憶部から、制御コマンドとデータ群を複数セット読み出し、パネルの自己起動に必要なデータを、前記パネル駆動LSI内部の転送プロトコル変換部により、画質設定、パネル駆動設定レジスタに書き込むのと同時に、前記パネル駆動LSI内部のチェックサム算出部で前記データ群のチェックサムを算出し、前記チェックサム算出部と前記主記憶部から読み出したチェックサム期待値の比較によりエラー検出を行い、エラー検出時に指定回数を最大として起動シーケンス制御を最初から再実行し、指定回数実行後エラー時に前記LSI端子にエラーフラグを出力することを特徴とするパネル駆動処理装置。
【請求項2】
パネル自己起動時のエラー発生時に、前記フラグエラーフラグを外部から読み出し、パネル電源をオフ制御することを特徴とする請求項1に記載のパネル駆動処理装置。
【請求項3】
パネル自己起動のステータス、エラーステータスを前記パネル駆動LSI内部のレジスタに格納し、パネル自己起動時のエラー発生時にエラー要因の特定を行うことを特徴とする請求項1ないしは2に記載のパネル駆動処理装置。
【請求項4】
高精細パネル使用時等に、前記LSIを複数個使用し、全てのLSIの前記エラーフラグからの自己起動エラー状態判定部を有して、エラー処理を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のパネル駆動処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−2838(P2012−2838A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134756(P2010−134756)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】