説明

パラジウム触媒によるオルトフッ素化

パラジウム触媒反応で、アリールのC−H結合がアリールのC−F結合で直接置換される、オルトフッ素化の新規な方法が提供される。前記方法は、トリフルアミド保護ベンジルアミンのオルトフッ素化と、Pd(OTf)などのパラジウム触媒と、N−フルオロ−2,4,6−トリメチルピリジニウムトリフラートなどのフッ素化試薬と、N−メチルピロリジノン(NMP)などの反応を促進するための配位子とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施態様は、C−H結合をC−F結合により位置選択的に直接置換するための方法に関する。かかる方法により合成される組成物は、フッ素化された分子を含む。
【背景技術】
【0002】
先行出願との関係
本出願は、その全体が引用により本明細書に取り込まれる、2009年4月3日出願の米国仮出願第61/166,599号を基礎とする優先権を主張する。
【0003】
フッ化アリール(ArF)部分は特別なファーマコフォア(pharmacophore)として長らく認識されており、該フッ化アリールは親である非フッ素化アレーンに対して等比体積であるだけでなく、代謝的変換に対して不活性であるとともに、より高い親油性を示す(非特許文献1−3)。よって、アレーンへフッ素を導入する新規な方法の開発は、重要な課題である。Snieckus及びDavisにより報告されたフッ素源を用いたオルトリチオ化/フッ素化プロトコルは、アレーンの位置選択的なフッ素化のためのアプローチの代表例である(非特許文献4)。Pd(0)触媒による炭素ヘテロ原子形成過程、特に、ブッフバルト・ハートウィッグアミノ化反応の注目すべき成功を踏まえると(非特許文献5)、Pd(0)触媒を用いたハロゲン化物のフッ素による置換が最も実行可能なアプローチであると推測されるであろう。しかし、Pd−F結合の強度が強いために、Pd(II)種からのフッ素の還元的脱離が困難であることは広く知られており、解消すべき大きな課題であった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Shimizu,M.,Hiyama,T.,Angew.Chem.,Int.Ed.2005,44,214
【非特許文献2】Tredwell,M.,Gouverneur,V.,Org.Biomol.Chem.2006,4,26
【非特許文献3】Muller,K.,Faeh,C.,Diederich,F.,Science 2007,317,1881
【非特許文献4】Snieckus,V.ら,Tetrahedron Lett.1994,35,3465
【非特許文献5】Handbook of Organopalladium Chemistry for Organic Synthesis,Negishi,E.I.,Ed.,Wiley−Interscience,New York,2002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この概要は、本発明の性質及び実体を簡潔に表すための本発明の概要を示すために提供される。概要は、特許請求の範囲又は意味を解釈するか、あるいは限定するために用いられないであろうとの理解のもとに提示される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
パラジウム(II)触媒と、フッ素化試薬と、促進剤とを用いたアレーンの効率的なオルトフッ素化法が本明細書で提供される。かかる方法は、N−保護アミノメチルアレーンのオルト位への1個又は2個のフッ素基の直接添加を提供する。
【0007】
1の実施態様では、効果的なオルトフッ素化法は、例えばPd(OTf)などのパラジウム触媒と、フッ素源として例えばN−フルオロ−2,4,6−トリメチルピリジニウムトリフラートなどのトリフルアミド(triflamide)と、前記反応を促進するための配位子としてN−メチルピロリジノン(NMP)とを含む。
【0008】
前記アミノメチルアレーン上の保護基は種々のヘテロ原子及び炭素求核試薬により、容易に置換され、これにより、前記フッ素化プロトコルを合成的応用に広く利用することが可能となる。
【0009】
本発明の他の局面が以下に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の多くの局面が、例示のための応用例に関連して以下に説明される。多数の具体的な詳細、相互関係及び方法が、本発明の完全な理解を提供するために列挙されると理解されるべきである。しかし、当業者は、本発明が1つ又は2つ以上の具体的な詳細なしにか、あるいは別の方法とともに実施される場合があると容易に認識するであろう。本発明は、いくつかの作業が、異なる順番で、及び/又は、別の作業又は事象と同時に起こる場合があるように、作業又は事象の図示された順番によって限定されない。さらに、図示された作業又は事象の全てが、本発明による方法を実行するために必要とされるわけではない。
【0011】
定義
本明細書で用いられる用語は、特定の実施態様のみを説明することを目的としており、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で用いられるところの単数形の「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「前記又は該(the)」は、状況が別に明示される場合を除いて、複数形も含むことが意図される。さらに、詳細な説明及び/又は特許請求の範囲のいずれかで用いられる「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」又はそれらの変形(variants)の用語である限り、かかる用語は前記用語の「含む」と類似するやり方で含むことが意図される。
【0012】
「約(about)」又は「おおよそ(approximately)」という用語は、当業者によって決定される特定の値についての許容可能な誤差範囲を意味し、該誤差範囲は、どのように前記値が測定されるか、決定されるか、すなわち、測定システムの限界に部分的に依存するであろう。例えば、「約」は、本技術分野における実務の上で、標準偏差の1倍以上の範囲内を意味する場合がある。代替的に、「約」は、特定の値の20%までの範囲を意味する場合があり、10%までが好ましく、5%までがより好ましく、1%までがさらにより好ましい。代替的に、特に生物学的システム又は過程に関して、前記用語は、10倍以内(order of magnitude)を意味する場合があり、値の5倍以内が好ましく、2倍以内がより好ましい。特定の値が、明細書及び特許請求の範囲に記載されるとき、別に記載される場合を除いて、前記特定の値についての許容可能な誤差範囲を意味する「約」という前記用語は推定されるべきである。
【0013】
本明細書で用いられるところの「アルキル」という用語は、所望により置換された、飽和の、直鎖又は分岐鎖の炭化水素を指し、該炭化水素は約1ないし約20個の炭素原子(及びその炭素原子の範囲と、特定数とのあらゆる組み合せ及び部分的組み合せ(subcombination))を有し、好ましくは約1ないし約8個の炭素原子を有し、より好ましくは約1ないし約6個の炭素原子を有し、さらに好ましくは約1ないし約4個の炭素原子を有し、さらに好ましくは約1ないし約3個の炭素原子を有し、1個の炭素原子を有することが複数の実施態様のうち特に好ましい。例えば、「C1−6アルキル」という用語は、少なくとも1個、最大で6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖のアルキルを意味する。いくつかの実施態様では、前記アルキルは所望により置換される。例えば、前記アルキル基上の1個又は2個以上の水素原子、好ましくは1ないし約6個、より好ましくは約1ないし約3個の前記アルキル基上の水素原子は、F、Cl、Br、NH、NO、N、CN、COOH、OHなどで置換される。アルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル及び2,3−ジメチルブチルを含むが、これらに限定されない。
【0014】
本明細書中で用いられるところの「シクロアルキル」という用語は、それぞれ、約3ないし約20個の炭素原子(及びその炭素原子の範囲と特定数とのあらゆる組み合わせ及び部分的組み合わせ)を有する、所望により置換される、単環式、二環式、三環式又は他の多環式の脂環式環系を指す。いくつかの好ましい実施態様では、前記シクロアルキル基は、約3ないし約10個の炭素原子を有し、より好ましくは約3ないし約8個の炭素原子を有し、約3ないし約6個の炭素原子が好ましい。例えば、「C3−6シクロアルキル」という用語は、少なくとも3個、最大で6個の炭素原子を含む単環式又は二環式の飽和環構造を意味する。多環構造は架橋された環構造又は縮環構造である場合があり、前記シクロアルキル環に融合又は架橋されるさらなる基は、所望により置換されるシクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリール環を含む場合がある。代表的なシクロアルキル基は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、アダマンチル、2−[4−イソプロピル−1−メチル−7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル]及び2−[1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレニル]を含む場合があるが、これらに限定されない。
【0015】
本明細書で用いられるところの「アルキルシクロアルキル」という用語は、1個又は2個以上のアルキル置換基で置換されたシクロアルキル基を含む所望により置換された環系を指し、ここで、シクロアルキル及びアルキルは各々先に定義された通りである。典型的なアルキルシクロアルキル基は、例えば、2−メチルシクロヘキシル、3,3−ジメチルシクロペンチル、トランス−2,3−ジメチルシクロオクチル及び4−メチルデカヒドロナフタレニルを含む。
【0016】
基又は基の一部として、本明細書で用いられるところの「アルケニル」という用語は、特定数の炭素原子と、少なくとも1個の二重結合とを含む、所望により置換された直鎖又は分岐鎖の炭化水素鎖を指す。例えば、「C2−6アルケニル」という用語は、少なくとも2個、最大で6個の炭素原子と、少なくとも1個の二重結合とを含む直鎖又は分岐鎖のアルケニルを意味する。複数の二重結合は、隣接か(=C=)、共役か(=C−C=)、非隣接及び非共役かの場合がある。特に、複数の二重結合は、共役か、非隣接及び非共役かである。当然のことながら、−O−C2−6アルケニルの形の基では、前記二重結合は、好ましくは酸素に隣接しない。好ましくは、本発明の前記アルケニル基は、所望により置換され、約2ないし約10個の炭素原子(及びその炭素原子の範囲と特定数とのあらゆる組み合わせ及び部分的組み合わせ)を有する場合があり、より好ましくは2ないし6個の炭素原子を有する場合がある。本明細書で用いられるところの「アルケニル」の例としては、エテニル、2−プロペニル、3−ブテニル、2−ブテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、3−メチル−2−ブテニル、3−メチルブト−2−エニル、3−ヘキセニル及び1,1−ジメチルブト−2−エニルを含むが、これらに限定されない。
【0017】
基又は基の一部として、本明細書で用いられるところの「アルキニル」という用語は、特定数の炭素原子と、少なくとも1個の三重結合とを含む、所望により置換された直鎖又は分岐鎖の炭化水素鎖を指す。例えば、「C2−6アルキニル」という用語は、少なくとも2個、最大で6個の炭素原子と、少なくとも1個の三重結合とを含む直鎖又は分岐鎖のアルキニルを意味する。複数の三重結合は、共役か、非共役かの場合がある。特に、複数の三重結合は非共役である。当然のことながら、−O−C2−6アルキニルの形の基では、前記三重結合は、好ましくは酸素に隣接しない。好ましくは、本発明の前記アルキニル基は、所望により置換され、約2ないし約10個の炭素原子(及びその炭素原子の範囲と特定数とのあらゆる組み合わせ及び部分的組み合わせ)を有する場合があり、より好ましくは2ないし6個の炭素原子を有する場合がある。本明細書で用いられるところの「アルキニル」の例としては、エチニル、2−プロピニル、3−ブチニル、2−ブチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、3−メチル−2−ブチニル、3−メチルブト−2−イニル、3−ヘキシニル及び1,1−ジメチルブト−2−イニルを含むが、これらに限定されない。
【0018】
本明細書中で用いられるところの「アリール」という用語は、約6ないし約50個の炭素原子(及びその炭素原子の範囲と特定数とのあらゆる組み合わせ及び部分的組み合わせ)を有する、所望により置換される、単環式、二環式、三環式又は他の多環式の芳香族環系を指し、好ましくは約6ないし約14個の炭素を有し、約6ないし約10個の炭素原子を有することが好ましい。非限定的な例としては、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル及びフェナントレニルを含む。アリールは、所望により脂肪族基又はアリール基にさらに結合される場合があるか、ハロゲン(フッ素、塩素及び/又は臭素)か、ヒドロキシ基か、アルキル基か、アルコキシ基又はアリールオキシ基か、アミド基か、ニトロ基か、アルキレンジオキシ基か、アルキルチオ基又はアリールチオ基か、アルキルスルホニル基か、シアノ基か、第一級、第二級又は第三級アミノ基かなどの1個又は2個以上の置換基で置換される場合がある。
【0019】
本明細書で用いられるところの「アルコキシ」という用語は、所望により置換された直鎖又は分岐鎖のアルキル−O−基であり、ここで、アルキルは先に定義した通りである。例えば、C1−6アルコキシという用語は、少なくとも1個、最大で6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖のアルコキシを意味する。本明細書で用いられる「アルコキシ」の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、プロプ−2−オキシ、ブトキシ、ブト−2−オキシ、2−メチルプロプ−1−オキシ、2−メチルプロプ−2−オキシ、ペントキシ及びヘキシルオキシを含むが、これらに限定されない。例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、プロプ−2−オキシ、ブトキシ、ブト−2−オキシ又は2−メチルプロプ−2−オキシなどのC1−4アルコキシ基が好ましい。いくつかの好ましい実施態様では、前記アルコキシ基の前記アルキル部分は、約1ないし約4個の炭素原子を有する。本明細書で用いられるところの「アリールオキシ」という用語は、所望により置換されたアリール−O−基を指し、ここでアリールは先に定義された通りである。代表的なアリールオキシ基は、フェノキシ(フェニル−O−)及びナフトキシ(ナフチル−O)を含むが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書で用いられるところの「ヘテロアリール」という用語は、所望により置換されたアリール環系を指し、ここで、該環の少なくとも1つでは、炭素原子環メンバーの1個又は2個以上が、独立して、S、O、N、及びNH又はNRからなる群から選択されるヘテロ原子基で置換され、ここで、アリールは先に定義された通りであり、Rは本明細書に定義される任意の置換基である。合計約5ないし約14個の炭素原子環メンバー及びヘテロ原子環メンバー(及びその炭素原子環メンバー及びヘテロ原子環メンバーの範囲と特定数とのあらゆる組み合わせ及び部分的組み合わせ)を有するヘテロアリール基が、好ましい。合計約5ないし約10個の炭素原子環メンバー及びヘテロ原子環メンバー(及びその炭素原子環メンバー及びヘテロ原子環メンバーの範囲と特定数とのあらゆる組み合わせ及び部分的組み合わせ)を有するヘテロアリール基が、より好ましい。代表的なヘテロアリール基としては、ピリル、フリル、ピリジル、ピリジン−N−オキシド、1,2,4−チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、チオフェニル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル及びイソオキサゾリルを含むが、これらに限定されない。ヘテロアリールは、炭素又はヘテロ原子を介して、その分子の残りの部分に結合される場合がある。
【0021】
本明細書で用いられるところの「ヘテロアリールアルキル」は、各々先に定義された通り、ヘテロアリール置換基を有するアルキル基を含む所望により置換された環系を指し、約6ないし約50個の炭素原子(及びその炭素原子の範囲と特定数とのあらゆる組み合わせ及び部分的組み合わせ)を有し、約6ないし約25個の炭素原子を有することが好ましい。非限定的な例としては、2−(1H−ピロール−3−イル)エチル、3−ピリジルメチル、5−(2H−テトラゾリル)メチル及び3−(ピリミジン−2−イル)−2−メチルシクロペンタニルを含む。
【0022】
本明細書で用いられるところの「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロ環」及び「ヘテロシクリル」という用語は、各々、シクロアルキル基から構成される所望により置換された環系を指し、該環の少なくとも1つでは、炭素原子環メンバーの1個又は2個以上が、独立して、O、S、N、及びNH又はNRからなる群から選択されるヘテロ原子基で置換され、ここで、シクロアルキルは先に定義された通りであり、Rは本明細書に定義される任意の置換基である。合計約3ないし約14個の炭素原子環メンバー及びヘテロ原子環メンバー(及びその炭素原子環メンバー及びヘテロ原子環メンバーの範囲と特定数とのあらゆる組み合わせ及び部分的組み合わせ)を有するヘテロシクロアルキル環系が好ましく、約3ないし約10個の環原子メンバーがより好ましい。他の好ましい実施態様では、前記複素環基は、1個又は2個以上の芳香族環に融合される場合がある。ある特定の好ましい実施態様において、ヘテロシクロアルキル部分は、環炭素原子を介して分子の残りの部分に結合する。代表的なヘテロシクロアルキル基は、アゼパニル、テトラヒドロフラニル、ヘキサヒドロピリミジニル、テトラヒドロチエニル、ピペリジニル、ピロリジニル、イソオキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペラジニル、2−オキソ−モルホリニル、モルホリニル、2−オキソ−ピペリジニル、ピペラジニル、デカヒドロキノリル、オクタヒドロクロメニル、オクタヒドロ−シクロペンタピラニル、1,2,3,4,−テトラヒドロキノリル、1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリニル、オクタヒドロ−[2]ピリジニル、デカヒドロ−シクロオクタフラニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリル、2−オキソ−イミダゾリジニル及びイミダゾリジニルを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施態様では、ヘテロ原子に結合する2つの部分は共に取り込まれ、ヘテロシクロアルキル環を形成する場合がある。これらの実施態様のうちある実施態様では、前記ヘテロシクロアルキル環炭素原子のうち1個又は2個が、1個(−O−、−S−、−N(R)−)又は2個(−N(R10)−C(=O)−又は−C(=O)−N(R10)−)の環置換原子を含む他の部分により置換される場合がある。1個の環置換原子を含む部分が環炭素原子を置換するとき、環原子を前記部分で置換した後に生じる環は、環原子が置換される前の環と同じ数の環原子を含むことになる。2個の環置換原子を含む部分が環炭素原子を置換するとき、置換後に生じる環は、前記部分で置換される前の環よりも1つ多い環原子を含むことになる。例えば、ピペリジン環において、その環炭素原子のうちの1個が−N(R10)−C(=O)−で置換されるとき、生じる環はもとのピペリジン環由来の他の4個の炭素環原子(CH基)に加えて2個の環窒素原子及びカルボニル基の1個の炭素を含む7員環である。一般的には、前記環系は、飽和である場合か、部分的に不飽和、すなわち、前記環系が1個又は2個以上の非芳香族のC−C又はC−N二重結合を含む場合がある。
【0023】
「所望により置換された」という用語は、問題となっている基が置換されない場合か、1ないし3回又は1ないし5回など、1回又は数回置換される場合かがある。例えば、1ないし5個の塩素原子で「所望により置換された」アルキル基は、置換されていない場合か、1、2、3、4又は5個の塩素原子を含む場合がある。
【0024】
典型的には、置換された化学的部分は、水素と置き換わる1個又は2個以上の置換基を含む。代表的な置換基は、例えば、ハロ(例えば、F、Cl、Br、I)、アルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、トリフルオロアルキルを含むハロアルキル、アラルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、スピロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシル(−OH)、アルコキシル、アリールオキシル、アラルコキシル(aralkoxyl)、ニトロ(−NO)、シアノ(−CN)、アミノ(−NH)、N−置換アミノ(−NHR”)、N,N−二置換アミノ(−N(R”)R”)、カルボキシル(−COOH)、−C(=O)R”、−OR”、−C(=O)OR”、−C(=O)NHSOR”、−NHC(=O)R”、アミノカルボニル(−C(=O)NH)、N−置換アミノカルボニル(−C(=O)NHR”)、N,N−二置換アミノカルボニル(−C(=O)N(R”)R”)、チオラト(SR”)、スルホン酸及びそのエステル(−SOR”)、ホスホン酸及びそのモノエステル(−P(=O)(OR”)(OH)及びそのジエステル(−P(=O)(OR”)(OR”)、−S(=O)R”、−S(=O)NH、−S(=O)NHR”、−S(=O)NR”R”、−SONHC(=O)R”、−NHS(=O)R”、−NR”S(=O)R”、−CF、−CFCF、−NHC(=O)NHR”、−NHC(=O)NR”R”、−NR”C(=O)NHR”、−NR”C(=O)NR”R”、−NR”C(=O)R”及びこれらに類するものを含む。前記の置換基に関して、各R”部分は独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルのいずれかである場合があるか、又は(R”(R”))基が同一窒素原子に結合する場合に、R”及びR”はそれらが結合する該窒素原子と共に取り込まれ、4ないし8員の窒素複素環を形成する場合があり、ここで、前記ヘテロシクロアルキル環は、所望により、さらに1個又は2個以上の例えば、−O−、−S−、−SO、−SO−、−NH−、−N(アルキル)−又は−N(アリール)−基により置換される。ある実施態様では、化学部分は、前述のような少なくとも1個の任意の置換基で置換される。本発明では、化学部分が任意の置換基で置換されるとき、特記がない限り、前記任意の置換基はさらに置換されない。例えば、Rがアルキル基であるとき、化学的部分は、本明細書に記載されるところの「アルキル」の定義に基づいて、所望により置換される。いくつかの実施態様では、Rが任意のアリールで置換されるアルキルであるとき、前記任意のアリール置換基はさらに置換されない。
【0025】
化合物の構成又は式で何らかの変化が1回又は2回以上生じるとき、発生するごとのその定義は、他の全ての発生の定義から独立している。よって、例えば、もしR基が0−2個の置換基で置換されることが示されているとき、前記基は2個までの置換基で所望により置換される場合があり、各置換基は先に定義された所望により置換されるという定義から独立して選択される。また、置換基及び/又は変化の組み合せは、該組み合せにより安定した化合物が得られる場合に限り、許容される。
【0026】
置換基への結合が環内の2個の原子をつなぐ結合に架かって示されているとき、該置換基は結合する水素原子を有する環上の任意の原子に結合する場合がある。置換基がどの原子を介してある式の化合物の残りの部分に結合するかが示されずに、該置換基が列記されるとき、置換基は該置換基の任意の原子を介して結合される場合がある。置換基及び/又は変化の組み合わせは該組み合せにより安定した化合物が得られる場合に限り、許容される。
【0027】
「キラル」という用語は鏡像パートナーを重ね合わせることができない特性を有する分子を指し、他方で、「アキラル」という用語はそれらの鏡像パートナーを重ね合わせることができる分子を指す。
【0028】
「ジアステレオマー」という用語は、2個又は3個以上の不斉中心を有し、その分子が互いの鏡像ではない立体異性体を指す。「エナンチオマー」という用語は、互いの鏡像と重ならない化合物の2種類の立体異性体を指す。2種類のエナンチオマーの等モル混合物は、「ラセミ混合物」又は「ラセミ化合物」と呼ばれる。「異性体」又は「立体異性体」という用語は、同一の化学組成を有しているが、原子又は基の空間配置が異なる化合物を指す。
【0029】
さらに、炭素−炭素二重結合を隔てる立体配置の表示は、「シス」(同じ側)と呼ばれる配座のことを「Z」と呼び、他方、「トランス」(反対側)と呼ばれる配座のことを「E」と呼ぶ。シス/トランス、及び/又は、Z/Eにかかわらず、両方の立体配置が、本発明で用いられる化合物として考慮される。キラル中心の命名に関して、「d」及び「l」配置、「R」及び「S」配置という用語は、IUPAC勧告の定義による。ジアステレオマー、ラセミ体、エピマー及び鏡像異性体という用語の使用については、該用語は生成物の立体化学を説明するための通常の文脈で使用される。
【0030】
特記がない限り、本明細書に記載される前記化合物は、立体異性体、ラセミ化合物又はそれらの混合物のいずれかを含む場合がある。
【0031】
別段の指定がない限り、本発明で用いられる前記化合物により表される天然アミノ酸は、「L」型である。本発明で用いられる前記化合物により表される非天然アミノ酸又は合成アミノ酸は、「D」型配置又は「L」型配置のどちらかの場合がある。
【0032】
他の局面は、本明細書に記載された任意の式の放射性標識化合物である。前記化合物は、該化合物に導入された1個又は2個以上の(例えば、H、H、14C、13C、35S、32P、125I、131Iなどの)放射性の原子を有する。前記化合物は、治療への応用と共に、薬物代謝研究及び診断に有用である。
【0033】
「置換された」とは、1個又は2個以上の水素原子が、同一又は異なる種類の置換基で、各々独立に置換された基を指す。
【0034】
「保護」、「脱保護」及び「保護された」官能基に関連する専門用語が、本出願を通じて記載される。前記専門用語は、当業者によって十分理解され、一連の試薬を用いた連続処理を含むプロセスに関連して用いられる。その意味で、保護基は、反応をすると考えられるが、反応が望ましくない反応段階での機能性をマスクするために用いられる基を指す。前記保護基はかかるステップでの反応を抑制するが、その後、本来の機能性を顕在化させるために除去される場合がある。前記除去又は「脱保護」は、前記機能性が阻害する1つ又は複数の反応の完了後に起こる。官能基の保護及び脱保護は、当該技術分野で公知の方法により実施される場合がある(例えば、Green and Wuts Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley and Sons,New York,1999を参照せよ)。他の部分に記載の前記保護基に加えて、ヒドロキシル基又はアミノ基が任意のヒドロキシル保護基又はアミノ保護基で保護される場合がある。前記アミノ保護基は、従来の技術により除去される場合がある。アルカノイル基、アルコキシカルボニル基及びアロイル基などのアシル基は、例えば、酸又は塩基条件下での加水分解などの加溶媒分解により除去される場合がある。(例えば、ベンジルオキシカルボニルなどの)アリールメトキシカルボニル基は、パラジウム−炭(palladium−on−charcoal)などの触媒の存在下で水素化分解により切断される場合がある。
【0035】
フッ素化アレーン及び他の化合物
アリールのフッ素化物部分は候補薬剤の有効性と、薬らしさ(drugability)とを向上させることが多いので、アレーンの位置選択的なフッ素化は創薬を含む合成化学の多くの分野で非常に重要である。しかし、フッ素をアレーンに導入するための実用的な方法が極めて不足している。本発明の実施態様は、C−H結合をC−F結合で直接、位置選択的に置換する新規の方法について記載する。
【0036】
一般的に、前記方法は、以下の反応スキームで表されるように、式(I)を有する化合物を、パラジウム(II)触媒及び式(II)を有する促進剤の存在下で、フッ素源としてのフッ素化試薬と反応させ、式(IV)及び(V)を有するオルトフッ素化化合物のうち少なくとも1つを形成させるステップを含み、
【化1】

【0037】
ここで、式(I)、(IV)及び(V)中の可変部は、以下の意味を有し、
【0038】
各YはC、CR、CH、CH、N、O又はSであり、YがN、O又はSであるとき、Yに隣接する少なくとも1個の環原子はCRであり、
【0039】
各Rは、独立して、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C−C20アルコキシ、C−C20アリール、C−C20アルキルアリール、C−C20ヘテロ環、C−C20ヘテロアリール、C−C20アルキルヘテロ環、C−C20アルキルヘテロアリール、C−C20アリールオキシ、−OH、−CO、−COOH、−CN、−N、ハロ、−CF、−OCF、−NH、−NO、−NR3’、−N(O)R、−SH、−SR、−SOR、−SO、−C(O)R、−CO、−C(O)NR3’及び−OC(O)Rからなる基の群から選択され、
ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール又はアリールオキシは置換されているか、置換されていない場合があり、前記アルキル部分(alkyl portion)では、1個又は2個以上の−CH−、−CHCH−又は−(CH)基が、それぞれ所望により、−O−又は−NH−で置換され、ここで、nは1又は2以上であるか、又は、
【0040】
2個のRが共に結合し、該2個のRは環に結合され、二環式又は三環式のアルキル又はアリールを形成し、該二環式又は三環式のアルキル又はアリールがヘテロ環であるとき、へテロ原子に隣接する少なくとも1個の環原子は置換され、
【0041】
及びR3’は、それぞれ独立して、H、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C−C20アリール、C−C20アルキルアリール、C−C20ヘテロ環、C−C20ヘテロアリール、C−C20アルキルヘテロ環及びC−C20アルキルヘテロアリールからなる基の群から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロ環又はヘテロアリールは置換されているか、置換されていないかであり、前記アルキル部分では、1個又は2個以上の−CH−、−CHCH−基が、それぞれ所望により、−O−又は−NH−で置換され、
Prは、保護基であり、
xは、0、1、2、3又は4である。
【0042】
1の実施態様では、各Yは、CH又はCRである。他の実施態様では、1個のYは−N−であり、残りのY基は−CHCH−、−CH−、−(CH−又はCRである。ここで明らかなように、YがO又はSであるとき、式(I)の前記ヘテロアリールは該O又はSに隣接する単結合を有する。nは、1又は2以上の整数である。
【0043】
その他の実施態様では、各YはCH、CR又は芳香環である。
【0044】
式(I)、(IV)及び(V)の化合物がヘテロ原子を含む(すなわち、六員芳香環がピリジル環を意味する)とき、該へテロ原子は保護される(shielded)。保護されたヘテロ原子は、フッ素化反応から該へテロ原子を保護可能な基で置換されたヘテロ原子に隣接する1個又は2個の環原子を有し、よって、このY基に隣接する少なくとも1個の環原子はCRである。1の実施態様では、前記保護R基は、C1−6アルキル又はハロゲンである。
【0045】
ある実施態様では、Rは、好ましくは、Cl又はBrである。これは、合成の更なる精密さのために特に有用である。
【0046】
他の実施態様では、各Rは、独立して、アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシル、ハロ、ハロアルキル、アミノ、シアノ、アルコキシ、アロイルアルキル、アリールアミノのうち1個又は2個以上で所望により置換されたヘテロアリール;ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、シアノ、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、アミド、アリールオキシ又はメチレンジオキシのうち1個又は2個以上で所望により置換されたアリール(anaryl);アリールオキシ、ヒドロキシアルキル、ジヒドロキシアルキル、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミド、アルキルアミド、アミノアルキルアミド、アルキルアミノアルキルアミド、ジアルキルアミノアルキルアミド、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アミドアルキル、アルキルアミドアルキル、アリールアミドアルキル、アラルキルアミノアルキル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、カルボキシアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキルアミノ、アルキルアミノアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキルアミノ;ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリールで所望により置換されたヘテロシクリルアルキルアミノ;アルキル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、シアノ、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、アリールオキシ、アミドで所望により置換されたヘテロアリールアミノ;ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、シアノ、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、アミド、アリールオキシで所望により置換されたアリールアミノ;アルカノイル;アリールカルボニル;アラルキルカルボニル;アルキル、ヒドロキシル、アミノ、ハロ、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、アミド、アリールオキシで所望により置換されたヘテロシクリル;アルキル、ヒドロキシル、アミノ、ハロ、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、アリール、ヘテロアリール、カルボキシ、アミド、アリールオキシ、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキルアミノアルキルで所望により置換されたヘテロシクリルアルキル;ヒドロキシルで所望により置換されたヘテロシクリルアルキルアミド;ヘテロシクリルカルボニルアルキル;アルキル、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、アルコキシで所望により置換されたヘテロシクリルカルボニル;又はハロ、アルキル、アルコキシ、アミノ、シアノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリルで所望により置換されたアルコキシカルボニルアルキル、アリールアミドである。
【0047】
1の実施態様では、xは0、1又は2である。他の実施態様では、各Rは、独立して、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C−Cアルコキシ、−OH、−CO、−COOH、−CN、−N、ハロ、−CF、−OCF、−NH、−NO、−NR3’、−N(O)R、−SH、−SR、−SOR、−SO、−C(O)R、−CO、−C(O)NR3’及び−OC(O)Rからなる基の群から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル又はアルコキシは置換されているか、置換されていない場合があり、前記アルキル部分では、1個又は2個以上の−CH−、−CHCH−基が、それぞれ所望により、−O−又は−NH−で置換され、R及びR3’は、それぞれ独立して、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル及びC2−6アルキニルからなる基の群から選択される。
【0048】
さらに他の実施態様では、前記式(I)の化合物は、前記環のアルファ位の前記メチレン基が置換されるように修飾される。例えば、前記置換は、C1−6アルキルの場合がある。
【0049】
Prは、反応で十分な収率を提供する任意のアミン保護基である場合がある。好ましい実施態様では、前記アミン保護基は、トリフラート(トリフルオロメタンスルホニル;Tf)、トリフルオロアセチルスルホニル(TFA)、4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル(Mtr)、メタンスルホニル又はトルエンスルホニルなどのスルホニル部分か;カルボベンゾキシ(CBZ)、t−ブトキシカルボニル(BOC)及び9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)などの他の保護基かである場合がある。他の適当なアミン保護基は、Greene,“Protecting Groups in Organic Synthesis,”John Wiley及びSons,Second Edition(1991)に記載される。
【0050】
いくつかの実施態様では、前記保護基は、好ましくは、Tf、SA又はTFAである。他の実施態様では、前記保護基はTfである。
【0051】
本発明は、パラジウム触媒反応を含む。原理上は、任意の既知のパラジウム(II)触媒が使用される場合がある。1の実施態様では、前記触媒は、5%又はそれ以上のパラジウム(II)である。しかし、反応速度がより大きい他の触媒が好ましい。例えば、いくつかの好ましい実施態様では、触媒は、Pd(OAc)、Pd(CHCN)(OTs)、Pd(CHCN)(OTf)、Pd(NTf、Pd(OTf)又はそれらのうちの2種類又は3種類以上の組み合わせである。さらに他の実施態様では、前記触媒は、Pd(NTf及び/又はPd(OTf)である。
【0052】
前記触媒は、一般的には、触媒的に有効な量で使用される。例えば、後述の実施例の段落を参照せよ。
【0053】
本発明の実施態様は、C−H結合を直接フッ素により位置選択的に置換するための新規な方法について記載する。
【0054】
前記位置選択性を制御するために使用される配向基は、その後、合成的に望ましい多種類の官能基に変換される場合があり、これにより、医薬品的に関心がある種々のフッ素化分子を製造するために、本方法の用途は非常に広いものとなる。
【0055】
下記のスキームは、トリフルアミド保護ベンジルアミン類の好適なオルトフッ素化法の実施態様を図示するものである。
【化2】

【0056】
上述のように、本発明の実施態様は、パラジウム触媒反応を含む。任意の既知のパラジウム(II)触媒が使用される場合がある。1の実施態様では、前記触媒は5%又はそれ以上のパラジウム(II)である。しかし、反応速度がより大きい他の触媒が好ましい。例えば、いくつかの好ましい実施態様では、触媒は、Pd(OAc)、Pd(CHCN)(OTs)、Pd(CHCN)(OTf)、Pd(NTf、Pd(OTf)又はそれらの組み合わせである。さらに他の実施態様では、前記触媒は、Pd(NTf又はPd(OTf)である。
【0057】
好ましい実施態様では、前記パラジウム触媒反応は、式(I)の化合物のオルトフッ素化を提供し、
【化3】

式中、
各YはCR、CH、N、O又はSであり、ここで、YがN、O又はSであるとき、Yに隣接する少なくとも1個の環原子はCRであり、
各Rは、独立して、C1−20アルキル、C1−20アルケニル、C1−20アルキニル、C−C20アルコキシ、C−C20アリール、C−C20アルキルアリール、C−C20ヘテロ環、C−C20ヘテロアリール、C−C20アルキルヘテロ環、C−C20アルキルヘテロアリール、C−C20アリールオキシ、−OH、−CO、−COOH、−CN、−N、ハロ、−CF、−OCF、−NH、−NO、−NR3’、−N(O)R、−SH、−SR、−SOR、−SO、−C(O)R、−CO、−C(O)NR3’及び−OCRからなる基の群から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール又はアリールオキシは置換されているか、置換されていない場合があり、前記アルキル部分では、1個又は2個以上の−CH−、−CHCH−又は−(CH基が、それぞれ所望により、−O−又は−NH−で置換され、ここで、nは1又は2以上の整数であるか、又は、
2個のRが共に結合し、該2個のRは環に結合され、二環式又は三環式のアルキル又はアリールを形成し、該二環式又は三環式のアルキル又はアリールがヘテロ環であるとき、へテロ原子に隣接する少なくとも1個の環原子は置換され、
及びR3’は、それぞれ独立して、H、C1−20アルキル、C1−20アルケニル、C1−20アルキニル、C−C20アリール、C−C20アルキルアリール、C−C20ヘテロ環、C−C20ヘテロアリール、C−C20アルキルヘテロ環及びC−C20アルキルヘテロアリールからなる基の群から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロ環又はヘテロアリールは置換されているか、置換されていないかであり、前記アルキル部分では、1個又は2個以上の−CHCH−基が、それぞれ所望により、−O−又は−NH−で置換され、
Prは、保護基であり、
xは、0、1、2、3又は4である。
【0058】
1の実施態様では、各Yは、CH又はCRである。他の実施態様では、1個のYは−N−であり、残りのY基はCH又はCRである。ここで明らかなように、YがO又はSであるとき、式(I)の前記ヘテロアリールは該O又はSに隣接する単結合を有する。
【0059】
式(I)の前記化合物がヘテロ原子を含む(すなわち、ピリジル環である)とき、該へテロ原子は保護される。保護されたヘテロ原子は、フッ素化反応から該へテロ原子を保護可能な基で置換されたヘテロ原子に隣接する1個又は2個の環原子を有し、よって、このY基に隣接する少なくとも1個の環原子はCRである。1の実施態様では、前記保護R基は、C1−6アルキル又はハロゲンである。
【0060】
Prは、反応で十分な収率を提供する任意のアミン保護基である場合がある。好ましい実施態様では、前記アミン保護基は、トリフラート(トリフルオロメタンスルホニル;Tf)、トリフルオロアセチルスルホニル(TFA)、4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル(Mtr)、メタンスルホニル又はトルエンスルホニルなどのスルホニル部分か;カルボベンゾキシ(CBZ)、t−ブトキシカルボニル(BOC)及び9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)などのその他の保護基かである場合がある。他の適したアミン保護基は、Greene,“Protecting Groups in Organic Synthesis,”John Wiley及びSons,Second Edition(1991)に記載される。
【0061】
いくつかの実施態様では、前記保護基は、好ましくは、Tf、SA又はTFAである。他の実施態様では、前記保護基はTfである。
【0062】
1の実施態様では、xは0、1又は2である。他の実施態様では、各Rは、独立して、C1−6アルキル、C1−6アルケニル、C1−6アルキニル、C−Cアルコキシ、−OH、−CO、−COOH、−CN、−N、ハロ、−CF、−OCF、−NH、−NO、−NR3’、−N(O)R、−SH、−SR、−SOR、−SO、−C(O)R、−CO、−C(O)NR3’及び−OCRからなる基の群から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル又はアルコキシは置換されているか、置換されていない場合があり、前記アルキル部分では、1個又は2個以上の−CHCH−基が、それぞれ所望により、−O−又は−NH−で置換され、R及びR3’は、それぞれ独立して、H、C1−6アルキル、C1−6アルケニル及びC1−6アルキニルからなる基の群から選択される。
【0063】
さらに他の実施態様では、前記式(I)の化合物は、前記環のアルファ位の前記メチレン基が置換されるように修飾される。例えば、前記置換は、C1−6アルキルの場合がある。
【0064】
1の実施態様では、任意のフッ素化試薬が使用される場合がある。1の実施態様では、前記フッ素化試薬は、求電子フッ素化試薬である。
【0065】
他の実施態様では、前記フッ素化反応で用いられる前記フッ素化試薬は以下の式(II)を有し、
【化4】

式中、
は、対イオンであり、
、R4’及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン、C1−12アルキル又はC2−12アルケニルであり、ここで、前記アルキル又はアルケニルは1個又は2個以上のハロゲンで置換される場合がある。
【0066】
1の実施態様では、前記フッ素化試薬は式(II)を有し、AはOTf、BF又はPFであり、R及びR4’は、それぞれ独立して、C1−6アルキルであり、RはH又はC1−6アルキルである。
【0067】
さらに他の実施態様では、前記フッ素化反応で用いられる前記フッ素化試薬は以下の式(II)を有し、
【化5】

式中、
はOTf、BF又はPFであり、
及びR4’は、それぞれ独立して、C1−6アルキルであり、
はH又はC1−6アルキルである。
【0068】
1の実施態様では、AはOTfである。他の実施態様では、前記フッ素化試薬は、N−フルオロ−2,4,6−トリメチルピリジニウムトリフラートである。1の実施態様では、1−5当量の前記フッ素化試薬が用いられる。
【0069】
また、促進剤が前記フッ素化反応で用いられ、ここで該促進剤は以下の式(III)を有し、
【化6】

式中、
及びR6’は、それぞれ独立して、H又はC1−6アルキルであり、R及びR6’のうち少なくとも1個はHではなく、
はH又はC1−6アルキルであるか又は、
及びR6’はそれらが結合する窒素原子と共にか、又はR及びRはそれらが結合する窒素原子及びカルボニルと共に、置換されないか、1個又は2個以上のC1−6アルキル基で置換される場合がある5又は6員環を形成する。
【0070】
1の実施態様では、前記促進剤はN−メチルピロリジノン(NMP)である。かかる化合物が、反応速度と、多種類のアレーンの収率とを増加させるのに特に有用であることが見出された。
【0071】
他の実施態様では、前記促進剤はN−メチルピロリジノン(NMP)であり、前記触媒はPd(OTf)である。
【0072】
さらに他の実施態様では、前記促進剤はDMFである。前記促進剤が0.5当量のDMFであるときに前記反応が行われると、後の実施例、表1に化合物2aとして定義されるモノフッ素化生成物の最高収率は、41%(〜7% 2aa)であった。
【0073】
1の実施態様では、0.1−5当量の前記促進剤が用いられる。他の実施態様では、0.3−0.7当量の前記促進剤が用いられる。1の実施態様では、促進剤及び該促進剤の量は、所望の生成物を最適な収率で得るために調整される。
【0074】
一般的に、任意のフッ素化試薬が用いられる場合がある。1の実施態様では、前記フッ素化試薬は、求電子フッ素化試薬である。
【0075】
他の実施態様では、前記フッ素化反応で用いられる前記フッ素化試薬は、以下の式(II)を有し、
【化7】

式中、
は、対イオンであり
、R4’及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン、C1−12アルキル又はC2−12アルケニルであり、ここで、前記アルキル又はアルケニルは1個又は2個以上のハロゲンで置換される場合がある。
【0076】
1の実施態様では、前記フッ素化試薬は式(II)を有し、AはOTf、BF又はPFであり、R及びR4’は、それぞれ独立して、C1−6アルキルであり、RはH又はC1−6アルキルである。
【0077】
さらに他の実施態様では、前記フッ素化反応で用いられる前記フッ素化試薬は以下の式(II)を有し、
【化8】

式中、
はOTf、BF又はPFであり、
及びR4’は、それぞれ独立して、C1−6アルキルであり、
はH又はC1−6アルキルである。
【0078】
1の実施態様では、AはOTfである。他の実施態様では、前記フッ素化試薬は、N−フルオロ−2,4,6−トリメチルピリジニウムトリフラートである。1の実施態様では、1−5当量の前記フッ素化試薬が用いられる。
【0079】
いくつかの好ましい実施態様では、前記フッ素源はN−フルオロ−2,4,6−トリメチルピリジニウムトリフラートを含み、前記促進剤はNMPを含む。
【0080】
他の好ましい実施態様では、前記触媒はPd(OTf)であり、式(I)の前記化合物は変換可能な配向基としてトリフルアミドを含み、前記反応を促進するための配位子としてN−メチルピロリジノン(NMP)が用いられる。
【0081】
2型機構でのフッ素源によるLPdArI(Lは、一般的に、配位子を表す)の酸化により、陽イオン性の五配位LPd(IV)ArIF錯体が生じると考えられる(Furuya,T.;Ritter,T.J.Am.Chem.Soc.2008,130,10060)。理論上、結合される可能性が低くても、Pd(IV)中間体類似物がフッ素化反応に含まれる場合がある。前記トリフルアミドと、NMPなどの促進剤の触媒量との組み合わせは、かかる中間体の形成に重要である。
【0082】
前記反応は、一般的に、非プロトン性溶媒中で行われ、該溶媒は非極性又は極性の場合がある。プロトン性溶媒は、水素結合を介して陰イオン(負に帯電した溶質)と強く溶媒和する。水は、プロトン性溶媒である。アセトン又はジクロロメタンなどの非プロトン性溶媒は、大きな双極子モーメント(同一の分子内での部分正電荷と部分負電荷の分離)を有する傾向があり、その負の双極子を介して正に帯電した種が溶媒和する傾向がある。化学反応では、極性プロトン性溶媒の使用はSN反応機構に有利に働くが、極性非プロトン性溶媒はSN反応機構に有利に働く。任意の非プロトン性溶媒が用いられる場合がある。
【0083】
1の実施態様では、前記溶媒は、1,1−ジクロロエタン(DCE)又はPhCFである。
【0084】
他の好ましい実施態様では、本明細書に記載されるところの反応は、広い温度範囲で実施される場合がある。例えば、反応は、室温(約23℃)から180℃までか、前記溶媒の沸点までかの任意の温度で実施される場合がある。
【0085】
1の実施態様では、前記触媒の転換(catalytic turnover)及び反応時間は、約5分ないし12時間かかる。他の実施態様では、前記反応は、5分ないし4時間かかる。さらに他の実施態様では、前記反応は60分以下であり、さらに他の実施態様では、前記反応は20分以内である。
【0086】
一般的に、前記モノフッ素化生成物及びジフッ素化生成物の量は、出発物質及び/又は触媒の選択により最適化される場合がある。例えば、いくつかの実施態様では、前記触媒Pd(NTf又はPd(OTf)の使用により、主にジフッ素化生成物が得られる。メタ置換アレーンのフッ素化により、主にモノフッ素化生成物が得られる。
【0087】
さらなる実施態様では、ジフッ素化生成物の前記収率は少なくとも30%である。さらに他の実施態様では、ジフッ素化生成物の前記収率は少なくとも50%である。他の実施態様では、モノフッ素化生成物の前記収率は少なくとも30%である。他の実施態様では、モノフッ素化生成物の前記収率は少なくとも40%である。他の実施態様では、モノフッ素化生成物の前記収率は少なくとも60%である。
【0088】
一般的に、式(I)でN−Prとして表される前記N−保護アミノ基は、前記フッ素化の位置選択性を制御することにより、配向基として働く。式(IV)及び(V)の前記配向基は合成的に望ましい多種類の官能基に変換される場合があり、これにより、医薬品的に関心がある多種類のフッ素化分子を製造するために、本方法の用途は非常に広いものとなる。トリフルアミドから合成的に有用な多種類の官能基への変換により、かかるフッ素化プロトコルは医薬品化学及び合成の分野で幅広く応用可能なものとなる。
【0089】
下記のスキームは、トリフルアミド保護ベンジルアミンの好適なオルトフッ素化方法及び前記配向基のその後の変換方法に関する実施態様を図示するものである。
【化9】

【0090】
本明細書で提供される前記方法のさらなる利点は、前記反応でマイクロ波加熱を使用する必要がないことである。
【0091】
本明細書に記載される本方法の他の利点は、臭素化とその後の置換を経由するのではなく、C−H結合の直接のフッ素化と、前記配向基がアルデヒド、アジド、ニトリル及びアルキルカルボン酸などの多種類の官能基に変換される場合があり、フッ素を含有する、例えばピリジンなどの多種類の化合物の合成を可能にすることと、前記反応速度が非常に速いことと、大量生産の達成に拡大することができることとを含む。前記フッ素を含有する化合物は、スクリーニング検定の一部又は治療薬として、特に候補薬剤として、有用である。
【0092】
フッ素18源を用いるとき、本明細書に記載されるところの前記触媒反応により、18Fを前記ベンジルアミンへ容易に取り込むことが可能となる。18Fの取り込みは、例えば、特に有力な製剤のための非常に重要な技術であるポジトロン放出断層撮影法、非侵襲性分子(noninvasive molecular)イメージング化に有用である。前記ベンジルアミンへの18Fの取り込みは、前記フッ素化反応が迅速、すなわち1時間未満、ある実施態様では20分未満で進むときに、特に有用である。
【0093】
反応生成物
前記フッ素化反応は広範囲にわたり有用であり、多種類のフッ素化アレーン、特に薬らしい(drug−like)複素環(heterocyle)の合成を可能にする。例えば、子宮内膜症治療用の現在第2相臨床化合物であるエラゴリックス(elagolix)は、オルトフッ素化ベンジルアミンを含む。かかる化合物を得るために用いられるスクリーニングはフッ素化ベンジルアミンの不足のために主に制限されたが、本明細書に記載される方法は多種類のかかる化合物を容易に提供することができ、該スクリーン及び他のスクリーンの生物学的特性を改善することができ、ここで、フッ素化ベンジルアミンは標的とされる生物学的作用物質に対する活性を有する。
【0094】
本発明の他の実施態様は、フッ素化化合物の製造方法を含み、
該方法は、前記式(I)を有する化合物と、
パラジウム(II)触媒と、
前記式(II)を有するフッ素化試薬と、
前記式(III)を有する促進剤とを反応させ、前記式(IV)及び式(V)を有する前記オルトフッ素化化合物のうち少なくとも1つを形成させるステップと、
式(IV)又は(V)の前記オルトフッ素化化合物を試薬と反応させ、以下の式(VI)及び(VII)を有する化合物のうち少なくとも1つを得るステップとを含み、
【化10】

ここで、式(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)は、それぞれ上述の通りであり、
式中、
各Rは、独立して、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C−C20アルコキシ、C−C20アリール、C−C20アルキルアリール、C−C20ヘテロ環、C−C20ヘテロアリール、C−C20アルキルヘテロ環、C−C20アルキルヘテロアリール、C−C20アリールオキシ、−OH、−CO、−COOH、−CN、−N、ハロ、−CF、−OCF、−NH、−NO、−NR3’、−N(O)R、−SH、−SR、−SOR、−SO、−C(O)R、−CO、−C(O)NR3’及び−OC(O)Rからなる基の群から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール又はアリールオキシは置換されているか、置換されていない場合があり、前記アルキル部分では、1個又は2個以上の−CH−、−CHCH−又は−(CH−基が、それぞれ所望により、−O−又は−NH−で置換され、ここで、nは1又は2以上の整数であり、
及びR3’は、それぞれ独立して、H、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C−C20アリール、C−C20アルキルアリール、C−C20ヘテロ環、C−C20ヘテロアリール、C−C20アルキルヘテロ環及びC−C20アルキルヘテロアリールからなる基の群から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロ環又はヘテロアリールは置換されているか、置換されていないかであり、前記アルキル部分では、1個又は2個以上の−CH−、−CHCH−又は−(CH−基が、それぞれ所望により、−O−又は−NH−で置換され、ここで、nは1又は2以上の整数であり、
ここで、R、Y及びxは上述の通りである。
【0095】
実施態様では、式(IV)又は(V)の前記化合物は反応前に単離され、式(VI)又は(VII)の前記化合物が形成される。他の実施態様では、前記生成物は、実質的には、式(VI)の前記化合物である。他の実施態様では、前記生成物は、実質的には、式(VII)の前記化合物である。
【0096】
式(VI)又は(VII)の前記オルトフッ素化化合物は、例えば、以下の反応スキームに示されるように、容易に変換される場合がある。
【化11】

【0097】
前記トリフルアミド基は、当該技術分野で公知の任意の方法により容易に除去される場合がある。例えば、前記トリフルアミドは、ヘンドリクソン法(すなわち、還流下で、ジエチルエーテル中で、1当量のLiAlHと反応させる)により除去される場合がある(J.B.Hendrickson,R.Bergeron,Tetrahedron Lett:1973,14,3839)。
【0098】
前記フッ素がオルト位の特定の配向基に導入されるという前記制限を最小限にするために、トリフルアミドは、既知の反応性を十分に引き出す合成に有用な多種類の官能基に変換される。かかる変換は、オルトフッ素化シントンの少なくとも5種類の主要な分類、すなわちベンズアルデヒド、ベンジルアミン、ベンジルアジド、フェニルアセトニトリル及びフェニルプロパン酸を入手することを可能にし、ArF合成の範囲を大幅に拡大できる。前記オルトフッ素化フェニルプロピオン酸は、既に報告された配向基を用いて、オルトリチオ化又はパラジウム化によって得ることができないために、特に有用である。
【0099】
他の好ましい実施態様では、本明細書に記載される方法の実施態様により得られる化合物は、抗増殖剤、抗炎症薬、免疫調節薬、神経栄養因子、循環器疾患治療薬、肝疾患治療薬、抗ウイルス薬、血液疾患治療薬、糖尿病治療薬及び免疫不全疾患治療薬から選択される治療薬である。
【0100】
1の実施態様では、本明細書に記載される方法により製造される前記化合物は、種々の異性体を包含する。かかる異性体は、例えば、ジアステレオマー、及びラセミ体などの鏡像異性体などのキラル化合物などの立体異性体を含む。「ラセミ体」は、1対の鏡像異性体の等モル混合物である。ラセミ体は、光学活性を示さない。ラセミ体の前記化学名又は式は、接頭辞(±)又はrac−(又はラセミ−)によるか、記号RS及びSRによるかで、前記鏡像異性体の化学名又は式と区別される。
【0101】
本発明は、塩、溶媒和物、プロドラッグ及び活性代謝物をさらに包含する。
【0102】
前記「塩」という用語は、酸付加塩又は遊離塩基の付加塩を含む。好ましくは、前記塩は薬学的に許容可能である。薬学的に許容可能な酸付加塩を形成するために用いられる場合がある酸は、例えば、硝酸、リン酸、硫酸、又は臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、亜リン酸などの無毒性の無機酸から生じる塩と、脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシルアルカン酸、アルカンジオン酸、芳香族酸、脂肪族スルホン酸及び芳香族スルホン酸、酢酸、マレイン酸、コハク酸又はクエン酸などの無毒性の有機酸から生じる塩とを含むがこれらに限定されない。かかる塩の例は、ナパジシル酸、ベシル酸、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩及びこれらに類するものを含むがこれらに限定されない。また、アルギン酸塩(arginate)及びこれらに類するものなどのアミノ酸の塩、グルコン酸塩、ガラクツロン酸塩が検討される(例えば、Bergeら“Pharmaceutical Salts,”J.Pharma.Sci.1977;66:1を参照せよ)。
【0103】
化合物、材料、組成物及び/又は投与形態に関連して使用される「薬学的に許容される」という用語は、正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、炎症、アレルギー反応又は他の症状又は合併症なしに、妥当なリスク・ベネフィット比に応じてヒト及び動物の組織と接触させるのに好適である。好ましくは、本明細書で用いられるところの「薬学的に許容される」という用語は、哺乳類、より具体的にはヒトに使用されるために、連邦政府又は州政府の監督官庁により承認されるか、米国薬局方又は一般的に認識されている医局方に列挙されるかであることを意味する。
【0104】
典型的には、本発明の方法により製造される化合物の薬学的に許容される塩は、必要に応じて、所望の酸又は塩基を用いて調製される場合がある。前記塩は溶液から沈殿させ、濾過により回収されるか、又は溶媒の蒸発により回収される場合がある。例えば、塩酸などの酸性の水溶液は、式(I)の化合物の水性懸濁液に添加され、得られた混合物は蒸発乾固(凍結乾燥)され、固体として前記酸付加塩が得られる場合がある。また、化合物は、例えばイソプロパノールなどのアルコールなど適当な溶媒に溶解され、前記酸が同一の溶媒又は他の適当な溶媒に添加される場合がある。得られた酸付加塩は、その後、直接沈殿させるか、又はジイソプロピルエーテル又はヘキサンなどの低極性溶媒の添加により沈殿させ、濾過により単離される場合がある。
【0105】
前記化合物の前記酸付加塩は、前記遊離塩基型を十分な量の所望の酸と接触させ、従来の方法で、該塩を生成させることにより、調製される場合がある。前記遊離塩基型は、従来の方法で、前記塩型を塩基と接触させ、該遊離型塩基を単離することにより、再生される場合がある。前記遊離塩基型は、極性溶媒への溶解度などの特定の物理的特性の点で、それらの各塩型とは多少異なるが、他の点は、本発明の目的では、該塩とそれらの各遊離塩基は等しい。
【0106】
薬学的に許容される塩基付加塩は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属又は有機アミンなどの金属又はアミンと反応させて、形成させる。陽イオンとして用いられる金属は、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム及びそれらに類するものである。適当なアミンは、例えば、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン及びプロカインである。
【0107】
前記酸性化合物の前記塩基付加塩は、前記遊離酸型を十分な量の所望の塩基と接触させ、従来の方法で、該塩を生成させることにより調製される。前記遊離酸型は、前記塩型を酸と接触させ、該遊離型酸を単離することにより、再生される場合がある。
【0108】
有機化学分野の当業者は、多種類の有機化合物が、溶媒中で反応するか、溶媒から沈殿又は結晶化することにより、溶媒と複合体(complex)を形成する場合があることを十分に理解するであろう。かかる複合体は、「溶媒和物」として知られている。例えば、水との複合体は、「水和物」として知られている。本発明の前記化合物の溶媒和物は、本発明の範囲内である。式(I)の前記化合物の塩は、溶媒和物(例えば水和物)を形成している場合があり、本発明はかかる溶媒和物の全てを含む。「溶媒和物」という用語の意味は、溶媒と溶質の相互作用(すなわち、溶媒和)によって形成される化合物として当業者に公知である。溶媒和物の調製のための技法は、当該技術分野で確立されている(例えば、Brittain.Polymorphism in Pharmaceutical solids.Marcel Decker,New York,1999を参照せよ)。溶媒和物は、例えば、式R・(溶媒)で表される場合があり、式中、Rは本発明の化合物である。任意の化合物は、例えば、一溶媒和物(R(溶媒))か、例えば二溶媒和物(R(溶媒))、三溶媒和物(R(溶媒))及びこれらに類するものなどを含むポリ溶媒和物(R(溶媒))か、例えばR(溶媒)n/2、R(溶媒)n/3、R(溶媒)n/4及びこれらに類するものなどを含む半溶媒和物かを含む1種類又は2種類以上の溶媒和物を形成する場合があり、式中、nは整数である。前記溶媒は、例えばメタノール/水などの混合溶媒を含み、このとき、前記溶媒和物は該溶媒和物内に1種類又は2種類以上の溶媒を包含する場合がある。
【0109】
「プロドラッグ」という用語は、in vivoで代謝可能な部分を有する化合物を含む。一般的に、前記プロドラッグは、in vivoで、エステラーゼか、他の機構かによって代謝され、活性薬剤になる。プロドラッグ及びそれらの使用の例は、当該技術分野で公知である(例えば、Bergeら(1977)“Pharmaceutical Salts”,J.Pharm.Sci.66:1−19;Silverman(2004)The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action,第2版,Elsevier Press,第8章,第497−549頁を参照せよ)。前記プロドラッグは、前記化合物の最終分離及び精製の際に、又は、遊離酸型又はヒドロキシルの前記精製化合物を適当なエステル化試薬と別々に反応させることにより、in situで調製される場合がある。ヒドロキシル基はカルボン酸で処理されることにより、エステルに変換される場合がある。プロドラッグ部分は、例えば、置換された及び置換されない、分岐鎖又は非分岐鎖の低級アルキルエステル部分(例えば、プロピオン酸エステル)、低級アルケニルエステル、ジ低級アルキルアミノ低級アルキルエステル(例えば、ジメチルアミノエチルエステル)、アシルアミノ低級アルキルエステル(例えば、アセチルオキシメチルエステル)、アシルオキシ低級アルキルエステル(例えば、ピバロイルオキシメチルエステル)、アリールエステル(フェニルエステル)、アリール低級アルキルエステル(例えば、ベンジルエステル)、(例えば、メチル、ハロゲン又はメトキシ置換基で)置換されたアリール及びアリール低級アルキルエステル、アミド、低級アルキルアミド、ジ低級アルキルアミド及びヒドロキシアミドを含む。他のプロドラッグ部分は、プロピオン酸及びコハク酸エステル、アシルエステル及び置換されたカルバミン酸を含む。また、in vivoでの他の機構により、活性型に変換されるプロドラッグも含まれる。
【0110】
本明細書で用いられるところの「水和物」という用語は、分子形態で水と会合している、すなわち、H−OH結合が壊れていない本発明の化合物を指し、例えば、式R・HOで表される場合があり、式中Rは本発明の化合物である。任意の化合物は、例えば、一水和物(R−HO)か、例えば二水和物(R(HO))、三水和物(R(HO))及びこれらに類するものなどを含むポリ水和物(R(HO))(式中nは1より大きい整数である)か、例えばR(HO)n/2、R(HO)n/3、R(HO)n/4及びこれらに類するものなどを含む半水和物(式中、nは整数である)かを含む1種類又は2種類以上の水和物を形成する場合がある。
【0111】
本明細書で用いられるところの「酸水和物」という用語は、1個又は2個以上の塩基部分を有する化合物と1個又は2個以上の酸部分を有する少なくとも1つの化合物との会合、又は1個又は2個以上の酸部分を有する化合物と1個又は2個以上の塩基部分を有する少なくとも1つの化合物との会合によって形成される場合がある複合体のことを指し、該複合体は水和物を形成するように水分子とさらに会合し、ここで、該水和物は先に定義されたものであり、Rは上記の本明細書中の複合体である。
【0112】
本発明の前記化合物の及びそれらの中間体の多くは互変異性を示し、よって、ある条件下で異なる互変異性型で存在する場合がある。本明細書で用いられるところの「互変体」又は「互変異性型」は、低いエネルギー障壁を介して相互交換可能な異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、(プロトトロピック(prototropic)互変異性体としても知られる)プロトン互変異性体は、例えば、ケト−エノール異性化及びイミン−エナミン異性化などのプロトンの移動を介した相互転換を含む。プロトン互変体の具体例は、水素が環窒素の間を移動する場合があるイミダゾール部分である。原子価互変異性体は、結合電子のいくつかの再配合による相互転換を含む。(例えば、全てのケト−エノール型及びイミン−エナミン型など)あらゆる互変異性型は、本発明の範囲内である。本明細書で任意の構造式で記載される特定の互変異性型は、あらゆる互変体の代表例を意味するものであり、その型に限定することを意図するものではない。
【0113】
本明細書に記載される化合物は、別の形式で用いられ、調製される場合がある。例えば、多数のアミノ含有化合物が、酸付加塩として使用又は調製される場合がある。かかる塩は、前記化合物の単離特性及び取扱特性を向上させる場合が多い。例えば、前記試薬、反応条件及びこれらに類するものに応じて、本明細書に記載される例えば、それらの塩酸塩又はトシラート塩などの化合物が使用又は調製される場合がある。また、同一構造の結晶形、全てのキラル型及びラセミ体、N−オキシド、水和物、溶媒和物及び酸性塩水和物が、本発明の範囲内であることが理解される。
【0114】
本発明のある酸化合物又は塩基化合物は、両性イオンとして存在する場合がある。遊離酸、遊離塩基及び両性イオンを含む全ての形態の化合物が、本発明の範囲内であることが理解される。塩基性窒素原子及び酸性基の両方を含む化合物はその両性イオンの形態と平衡状態で存在していることがよくあることが当該技術分野で公知である。よって、本明細書を通じて記載される任意の前記化合物、例えば、塩基性窒素及び酸性基の両方を含む化合物が、それらの対応する両性イオンを相互に含む。
【0115】
本明細書中で下記の略記が使用されるとき、該略記は以下の意味を有する。
Ac アセチル
aq 水性の
BOC tert−ブチルオキシカルボニル
(Boc)O ジ−tert−ブチルジカーボネート
CBZ カルボベンゾキシ
CDCl 重水素化クロロホルム
DMF ジメチルホルムアミド
ESI エレクトロスプレー(質量分析法)
ESI−TOF エレクトロスプレー/時間飛行型質量分析法
EtOAc 酢酸エチル
Fmoc 9−フルオレニルメトキシカルボニル
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
Hz ヘルツ
IR 赤外分光法
LC−MS 液体クロマトグラフィー/質量分析法
mg ミリグラム
MHz メガヘルツ
min 分
mL ミリリットル
mmol ミリモル
mol モル
MS 質量分析法
Ms メタンスルホニル
Mtr 4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル
NMP N−メチルピロリジノン
NMR 核磁気共鳴
Ph フェニル
ppm 100万分の1
rm 室温
Tf トリフルオロメタンスルホニル
TFA トリフルオロアセチル
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
TOF 飛行時間型(質量分析)
Ts トルエンスルホニル
w/w 単位重量当たりの重量
【0116】
有機化学者(すなわち、当業者)によって用いられる略記の総覧は、Journal of Organic Chemistryの各巻の第1刊に記載されている。一般的に、“Standard List of Abbreviations”という題の表に示されている総覧が、引用により本明細書に取り込まれる。
【0117】
本発明の実施態様は、理論的局面が示されることなしに実施される場合がある。また、示される前記理論によって制約されることを出願人は意図していないという了解の下に、前記理論的局面が示される。
【0118】
本発明の種々の実施態様は先に記載されるが、該実施態様は例示に過ぎず、限定されるものではないことが理解されるべきである。本明細書の趣旨又は範囲から逸脱しない範囲で、本明細書の開示内容に従って、開示された実施態様への多くの変形が可能である。このように、本発明の幅及び範囲は、上述のいずれの実施態様にも制限されるものではない。
【0119】
本明細書で言及された文献全てが引用により取り込まれる。本出願で引用された全ての刊行物及び特許文献は、あたかも刊行物又は特許文献の各々が個別に表示されるように、同一の程度に全ての目的のために引用により取り込まれる。本明細書において様々な引用文献を引用することによっては、特定の引用文献が本発明に対して「先行技術」でない旨を本発明の出願人は認める。本発明の組成物及び方法の実施態様は、以下の実施例で例示される。
【実施例】
【0120】
以下の非限定的な例は、本発明の選択された実施態様を例示するために役立つ。比率の変化と、示された構成要素の要素の変更とが当業者に明らかとなるであろうし、本発明の実施態様の技術的範囲内であると理解されるであろう。
【0121】
一般事項:溶媒はアクロス社又はアルドリッチ社から入手され、さらに精製されずに、そのまま使用された。赤外線スペクトルは、パーキン・エルマーFT−IR分光光度計で記録された。NMRスペクトルは、SiMeシグナル又はクロロホルムを内部標準として、バリアン社イノバ装置(Hは400MHz、13Cは100MHz、19Fは376MHz)と、ブルカー社DRX装置(Hは500MHz、13Cは125MHz)とで記録された。高分解能質量スペクトルは、ザ・スクリップス・リサーチ・インスティテュートの質量分析センターで記録された。前記ベンジルアミンは全て、オークウッド社、シグマ・アルドリッチ社及びアルファ・エイサー社から購入され、購入されたそのままの状態で使用された。前記フッ素試薬は全て、アルファ・エイサー社、シグマ・アルドリッチ社及びTCI社から商業的に入手可能である。N−メチルピロリジノン(NMP)はアクロス社から入手され、購入されたそのままの状態で使用された。酢酸パラジウムはシグマ・アルドリッチ社から入手された。Pd(CHCN)(OTs)、Pd(CHCN)(OTf)、Pd(NTf及びPd(OTf)・2HOは、報告された以下の方法で合成された。
【表1】

【実施例1】
【0122】
トリフルオロメタンスルホンアミド1a−o及び2aの合成
【化12】

【0123】
基本手順:窒素下、−78℃で、ベンジルアミン(50mmol、1.0当量)を含むジクロロメタン(100mL)の撹拌溶液にトリエチルアミン(7.0mL、50mmol、1.0当量)が添加された。−78℃で5分間撹拌後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(8.8mL、52.5mmol、1.05当量)が滴加され、混合物は該温度で1時間撹拌され、水(100mL)で急冷された。有機層が分離され、水層はジクロロメタン(50mL×2)で抽出された。混合した前記有機層は食塩水(100mL)で洗浄された後、NaSOで乾燥された。蒸発及びシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液として、酢酸エチル/ヘキサン=1:100−1:5)により、対応するトリフルオロメタンスルホンアミド1a−o及び2aが、無色か、淡黄色かの油又は固体として、全ての場合で90%を超える収率で得られた。
【0124】
【化13】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.30-7.21 (m, 4H), 4.82 (br, 1H), 4.46 (d, J = 5.6 Hz, 2H), 2.38 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 136.5, 132.7, 131.0, 129.0, 128.9, 126.6, 119.7 (q, JC-F = 319.6 Hz), 46.3, 18.8; IR (neat) 3315, 2928, 1733, 1429, 1372, 1230, 1191, 1145, 1044, 878, 745, 597 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C9H9F3NO2S ([M-H]-)として理論値: 252.0312, 実測値: 252.0308。
【0125】
【化14】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.44-7.39 (m, 2H), 7.35-7.28 (m, 2H), 5.31 (br, 1H), 4.55 (d, J = 6.0 Hz, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 133.6, 133.0, 130.3, 130.2, 129.8, 127.5, 119.5 (q, JC-F = 319.3 Hz), 46.1; IR (neat) 3318, 2931, 1732, 1445, 1374, 1231, 1194, 1145, 1043, 1063, 850, 753, 612 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C8H6ClF3NO2S ([M-H]-)として理論値: 271.9765, 実測値: 271.9760。
【0126】
【化15】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.60 (dd, J = 8.0, 1.2 Hz, 1H), 7.42 (dd, J = 7.6, 2.0 Hz, 1H), 7.35 (dt, J = 7.6, 1.2 Hz, 1H), 7.24 (dt, J = 7.6, 2.0 Hz, 1H), 5.35 (br, 1H), 4.54 (d, J= 6.0 Hz, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 134.7, 133.1, 130.5, 130.4, 128.2, 123.6, 119.5 (q, JC-F = 319.4 Hz), 48.4; IR (neat) 3320, 2360, 1736, 1440, 1374, 1230, 1193, 1144, 1056, 1029, 874, 751, 612 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C8H6BrF3NO2S ([M-H]-)として理論値: 315.9260, 実測値: 315.9264。
【0127】
【化16】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.34 (dt, J= 8.0, 1.6 Hz, 1H), 7.23 (dd, J= 7.2, 1.6 Hz, 1H), 6.96 (dt, J = 7.6, 0.8 Hz, 1H), 6.91 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 5.49 (br, 1H), 4.42 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 3.89 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 157.4, 130.1, 129.7, 123.7, 120.8, 119.6 (q, JC-F = 319.4 Hz), 110.4, 55.3, 44.9; IR (neat) 3315, 2945, 2360, 1604, 1420, 1370, 1228, 1187, 1143, 1030, 871, 753, 616 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C9H9F3NO3S ([M-H]-)として理論値: 268.0261, 実測値: 268.0262。
【0128】
【化17】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.71 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.65-7.61 (m, 2H), 7.53-7.48 (m, 1H), 5.11 (br, 1H), 4.62 (d, J= 6.4 Hz, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 133.5, 132.8, 131.0, 128.9, 128.4 (q, JC-F= 30.4 Hz), 126.4 (q, JC-F = 5.5 Hz), 121.4 (q, JC-F = 272.1 Hz), 119.6 (q, JC-F = 319.2 Hz), 44.8 (q, JC-F = 2.2 Hz); IR (neat) 3314, 2926, 2360, 1610, 1433, 1376, 1315, 1195, 1172, 1144, 1119, 1040, 854, 763, 603 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C9H6F6NO2S ([M-H]-)として理論値: 306.0029, 実測値: 306.0031。
【0129】
【化18】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.15 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.04 (s, 1H), 7.03 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.72 (br, 1H), 4.41 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 2.34 (s, 3H), 2.32 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 138.9, 136.4, 131.8, 129.7, 129.0, 127.2, 119.7 (q, JC-F= 319.8 Hz), 46.1, 30.0, 18.7; IR (neat) 3311, 2925, 1617, 1426, 1371, 1231, 1200, 1145, 1041, 872, 610 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C10H11F3NO2S ([M-H]-)として理論値: 266.0468, 実測値: 266.0473。
【0130】
【化19】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.39 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.22-7.17 (m, 2H),4.81 (br, 1H), 4.49 (s, 2H), 2.42 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 135.8, 134.7, 134.6, 130.0, 127.4, 127.2, 119.6 (q, JC-F = 319.5 Hz), 46.8, 15.6; IR (neat) 3314, 2927, 2360, 1573, 1430, 1371, 1231, 1192, 1143, 1088, 1046, 857, 783, 606 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C9H8ClF3NO2S ([M-H]-)として理論値: 285.9922, 実測値: 285.9925。
【0131】
【化20】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.33-7.30 (m, 3H), 7.23-7.20 (m, 1H), 5.20 (br,1H), 4.42 (d, J = 6.0 Hz, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 137.2, 134.8, 130.3, 128.7, 127.8, 125.8, 119.6 (q, JC-F = 319.3 Hz), 47.4; IR (neat) 3312, 2340, 1578, 1431, 1369, 1229, 1187, 1140, 1099, 1055, 872, 782, 597 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C8H6ClF3NO2S ([M-H]-)として理論値: 271.9765, 実測値: 271.9771。
【0132】
【化21】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.49-7.46 (m, 2H), 7.26-7.24 (m, 2H), 5.36 (br, 1H), 4.39 (d, J= 6.0 Hz, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 137.4, 131.6, 130.7, 130.5, 126.3, 122.8, 119.5 (q, JC-F = 319.3 Hz), 47.3; IR (neat) 3314, 1573, 1430, 1370, 1229, 1190, 1142, 1056, 852, 780, 597 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C8H6BrF3NO2S ([M-H]-)として理論値: 315.9260, 実測値: 315.9271。
【0133】
【化22】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.64-7.52 (m, 4H), 5.20 (br, 1H), 4.52 (d, J =6.0 Hz, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 136.3, 131.5 (q, JC-F = 32.5 Hz), 131.1, 129.7, 125.5 (q, JC-F = 3.7 Hz), 124.5 (q, JC-F = 3.7 Hz), 123.7 (q, JC-F = 270.8 Hz), 119.6 (q, JC-F = 319.2 Hz), 47.6; IR (neat) 3310, 2924, 1432, 1371, 1328, 1193, 1122, 1071, 879, 799, 606 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C9H6CF6NO2S ([M-H]-)として理論値: 306.0029, 実測値: 306.0034。
【0134】
【化23】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.26 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 7.16-7.09 (m, 3H), 5.09 (br, 1H), 4.38 (d, J = 5.6 Hz, 2H), 2.36 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 138.8, 135.1, 129.2, 128.8, 128.5, 124.8, 119.7 (q, JC-F = 319.1 Hz), 48.0, 21.1 ; IR (neat) 3313, 2925, 2334, 1612, 1427, 1370, 1229, 1188, 1142, 1051, 852, 783, 697, 596 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C9H9F3NO2S ([M-H]-)として理論値: 252.0312, 実測値: 252.0314。
【0135】
【化24】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.25-7.15 (m, 4H), 4.92 (br, 1H), 4.40 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 2.36 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 138.6, 132.1, 129.7, 127.8, 119.7 (q, JC-F = 319.4 Hz), 48.0, 21.1; IR (neat) 3314, 2927, 1517, 1428, 1370, 1230, 1189, 1143, 1049, 861, 807, 608 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C9H9F3NO2S ([M-H]-)として理論値: 252.0312, 実測値: 252.0310。
【0136】
【化25】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.67 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.47 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 5.12 (br, 1H), 4.53 (d, J= 6.0 Hz, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 139.1, 130.9 (q, JC-F = 32.5 Hz), 128.0, 126.0 (q, JC-F = 3.8 Hz), 123.8 (q, JC-F = 270.8 Hz), 119.6 (q, JC-F = 319.1 Hz), 47.6; IR (neat) 3312, 2925, 1622, 1430, 1372, 1324, 1193, 1167, 1125, 1065, 1018, 864, 821, 601 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C9H6F6NO2S ([M-H]-) として理論値: 306.0029, 実測値: 306.0028。
【0137】
【化26】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.41-7.30 (m, 5H), 5.13 (br, 1H), 4.80 (dq, J1 = J2 = 7.2 Hz, 1H), 1.64 (d, J = 6.8 Hz, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 141.1, 128.9, 128.1 , 125.8, 119.5 (q, JC-F = 319.2 Hz), 55.3, 23.3; IR (neat) 3303, 2985, 2359, 1496, 1430, 1369, 1229, 1189, 1145, 1080, 1022, 979, 868, 761, 698, 623, 592 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C9H9F3NO2S ([M-H]-)として理論値: 252.0312, 実測値: 252.0315。
【0138】
【化27】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.39-7.34 (m, 2H), 7.18 (dt, J = 7.6, 1.2 Hz, 1H), 7.13-7.08 (m, 1H), 5.12 (br, 1H), 4.51 (s, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 160.9 (d, JC-F = 245.8 Hz), 130.7 (d, JC-F = 8.2 Hz), 130.1 (d, JC-F = 3.6 Hz), 124.7 (d, JC-F= 3.6 Hz), 122.6 (d, JC-F = 14.5 Hz), 119.5 (q, JC-F = 319.2 Hz), 115.7 (d, JC-F = 20.8 Hz), 42.4 (d, JC-F = 3.9 Hz); 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -77.6, -118.8; IR (neat) 3316, 2925, 2360, 2340, 1620, 1590, 1494, 1433, 1373, 1230, 1190, 1143, 1108, 1052, 860, 757, 612 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C8H6F4NO2S ([M-H]-)として理論値: 256.0061, 実測値: 256.0060。
【実施例2】
【0139】
Pd(OTf)触媒によるオルトフッ素化の基本手順
【0140】
20mLの封管内で、ベンジルアミントリフルアミド1(0.2mmol、1.0当量)、Pd(OTf)・2HO(8.8mg、0.02mmol、0.1当量)、N−フルオロ−2,4,6−トリメチルピリジニウムトリフラート10(1b−1h及び2aの場合は1.5当量、1i−1l及び1aのモノフッ素化の場合は2.0当量、1a及び1m−1hのジフッ素化の場合は3.0当量)、NMP(10μL、0.1mmol、0.5当量)[又は1a及び1lのモノフッ素化の場合はDMF(0.5当量)]が、0.5mL乾燥DCE(又は、1a及び1m−1hのジフッ素化の場合はPhCF)に大気下で溶解された。前記管はポリテトラフルオロエチレンで裏打ちされたキャップで封止され、前記反応混合物は120℃で表1−2の所定時間撹拌された。室温に冷却された後、前記混合物は減圧下で濃縮され、残渣はヘキサン及び酢酸エチルの勾配溶離液を用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製され、生成物2が得られた。
【0141】
【化28】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.39-7.31 (m, 1H), 6.99-6.93 (m, 2H), 5.27 (br, 1H), 4.58 (d, J= 5.6 Hz, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 161.1 (dd, JC-F = 248.8, 7.3 Hz), 131.0 (t, JC-F = 10.4 Hz), 119.5 (q, JC-F = 319.2 Hz), 117.3 (t, JC-F = 18.8 Hz), 117.2 (dd, JC-F = 19.0, 6.0 Hz), 36.0 (t, JC-F = 3.9 Hz); 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -77.7, -115.2; IR (neat) 3312, 2922, 2360, 1628, 1594, 1472, 1436, 1374, 1230, 1190, 1141, 1046, 929, 849, 784, 605 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C8H5F5NO2S ([M-H]-)として理論値: 273.9967, 実測値: 273.9964。
【0142】
【化29】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.27-7.21 (m, 1H), 7.02 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.95 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.14 (br, 1H), 4.52 (d, J = 5.6 Hz, 2H), 2.42 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 161.7 (d, JC-F= 244.6 Hz), 139.2 (d, JC-F = 3.0 Hz), 130.2 (d, JC-F = 9.5 Hz), 126.5 (d, JC-F = 3.0 Hz), 120.8 (d, JC-F = 14.0 Hz), 119.6 (q, JC-F = 319.5 Hz), 113.2 (d, JC-F = 22.0 Hz), 39.1 (d, JC-F = 5.1 Hz), 18.7 (d, JC-F = 2.6 Hz); 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -77.4, -118.3; IR (neat) 3314, 2926, 2360, 1619, 1585, 1429, 1230, 1190, 1143, 1046, 911, 854, 781, 608 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C9H8F4NO2S ([M-H]-)として理論値: 270.0217, 実測値: 270.0221。
【0143】
【化30】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.25 (dt, J = 8.4, 6.0 Hz, 1H), 7.18 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 7.00 (dt, J = 9.2, 1.2 Hz, 1H), 5.27 (br, 1H), 4.59 (s, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 161.3 (d, JC-F = 250.1 Hz), 135.2 (d, JC-F = 4.7 Hz), 131.0 (d, JC-F = 9.7 Hz), 125.7 (d, JC-F = 3.6 Hz), 121.5 (d, JC-F = 17.3 Hz), 119.8 (q, JC-F = 319.3 Hz), 114.6 (d, JC-F = 22.3 Hz), 39.2 (d, JC-F = 4.2 Hz); 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -77.7, -113.3; IR (neat) 3312, 2357, 1608, 1582, 1456, 1433, 1377, 1231, 1195, 1143, 1051, 880, 783, 606 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C8H5ClF4NO2S ([M-H]-)として理論値: 289.9671, 実測値: 289.9678。
【0144】
【化31】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.34 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.21-7.15 (m, 1H), 7.03 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 5.44 (br, 1H), 4.59 (s, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 161.2 (d, JC-F = 251.3 Hz), 131.5 (d, JC-F = 9.4 Hz), 128.9 (d, JC-F = 3.6 Hz), 124.9 (d, JC-F= 3.8 Hz), 123.1 (d, JC-F = 17.1 Hz), 119.5 (q, JC-F = 319.5 Hz), 115.3 (d, JC-F = 22.5 Hz), 41.5 (d, JC-F = 4.0 Hz); 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -77.6, -111.9; IR (neat) 3311, 2360, 1605, 1577, 1452, 1431, 1376, 1230, 1194, 1144, 1050, 866, 781, 604 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C8H5BrF4NO2S ([M-H]-)として理論値: 333.9166, 実測値: 333.9171。
【0145】
【化32】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.25-7.19 (m, 1H), 6.67 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 6.64 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 5.42 (br, 1H), 4.45 (s, 2H), 3.83 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 160.7 (d, JC-F= 246.2 Hz), 158.7 (d, JC-F = 7.0 Hz), 130.5 (d, JC-F = 10.6 Hz), 119.6 (q, JC-F = 319.4 Hz), 111.5 (d, JC-F = 17.8 Hz), 108.4 (d, JC-F = 22.5 Hz), 106.3 (d, JC-F = 3.1 Hz), 56.1, 36.9 (d, JC-F = 5.6 Hz); 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -77.8, -117.0; IR (neat) 3314, 2927, 2358, 1619, 1590, 1475, 1423, 1373, 1229, 1188, 1143, 1094, 1048, 910, 858, 778, 609 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C9H8F4NO3S ([M-H]-)として理論値: 286.0166, 実測値: 286.0163。
【0146】
【化33】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.56-7.50 (m, 2H), 7.41-7.36 (m, 1H), 5.17 (br, 1H), 4.68 (d, J = 5.2 Hz, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 161.8 (d, JC-F = 249.5 Hz), 131.1 (d, JC-F = 9.2 Hz), 130.8 (dq, JC-F = 31.0, 3.2 Hz), 123.3 (dq, JC-F = 272.5, 3.6 Hz), 122.3 (dq, JC-F = 5.5, 3.5 Hz), 120.9 (d, JC-F = 16.2 Hz), 120.1 (d, JC-F = 21.7 Hz), 119.5 (q, JC-F = 319.3 Hz), 38.3 (dq, JC-F1 = JC-F2 = 2.3 Hz); 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -58.9, -77.5, -112.8; IR (neat) 3314, 2923, 2853, 2358, 1592, 1468, 1436, 1378, 1318, 1232, 1185, 1118, 1053, 1048, 999, 889, 801, 726, 602 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C9H5F7NO2S ([M-H]-)として理論値: 323.9935, 実測値: 323.9933。
【0147】
【化34】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.83 (s, 1H), 6.76 (d, J= 8.8 Hz, 1H), 5.07 (br, 1H), 4.47 (d, J = 4.4 Hz, 2H), 2.37 (s, 3H), 2.31 (s, 3H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 161.6 (d, JC-F = 244.0 Hz), 140.9 (d, JC-F = 9.4 Hz), 138.7 (d, JC-F = 3.4 Hz), 127.2 (d, JC-F= 2.8 Hz), 119.6 (q, JC-F = 319.4 Hz), 117.6 (d, JC-F = 14.0 Hz), 113.7 (d, JC-F = 21.8 Hz), 39.0 (d, JC-F = 5.0 Hz), 21.1 (d, JC-F = 1.9 Hz), 18.7 (d, JC-F = 2.8 Hz); 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -77.5, -119.4; IR (neat) 3325, 2928, 2360, 1625, 1578, 1495, 1420, 1373, 1302, 1227, 1184, 1142, 1041, 951, 849, 797, 612 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C10H10F4NO2S ([M-H]-)として理論値: 284.0374, 実測値: 284.0377。
【0148】
【化35】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.36 (dd, J= 8.8, 5.2 Hz, 1H), 6.93 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 5.20 (br, 1H), 4.55 (d, J = 4.8 Hz, 2H), 2.46 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 160.0 (d, JC-F = 245.0 Hz), 137.1 (d, JC-F = 3.0 Hz), 130.9 (d, JC-F = 9.2 Hz), 130.6 (d, JC-F = 3.1 Hz), 122.5 (d, JC-F = 15.0 Hz), 119.5 (q, JC-F = 319.5 Hz), 114.1 (d, JC-F = 23.8 Hz), 39.5 (d, JC-F = 5.0 Hz), 16.2 (d, JC-F= 2.0 Hz); 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -77.4, -118.6; IR (neat) 3309, 2926, 2334, 1609, 1581, 1461, 1435, 1373, 1231, 1187, 1144, 1050, 934, 847, 814, 607 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C9H7ClF4NO2S ([M-H]-)として理論値: 303.9828, 実測値: 303.9833。
【0149】
【化36】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.37-7.31 (m, 2H), 7.06 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 5.23 (br, 1H), 4.47 (d, J = 4.8 Hz, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 159.3 (d, JC-F = 245.6 Hz), 130.5 (d, JC-F= 8.3 Hz), 129.9 (d, JC-F = 3.7 Hz), 124.5 (d, JC-F = 16.1 Hz), 119.5 (q, JC-F = 319.1 Hz), 117.1 (d, JC-F = 22.7 Hz), 42.0 (d, JC-F = 3.6 Hz); 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -77.5, -121.4; IR (neat) 3313, 2919, 1489, 1434, 1374, 1231, 1193, 1144, 1116, 1058, 886, 819, 603 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C8H5ClF4NO2S ([M-H]-)理論値: 289.9671, 実測値: 289.9676。
【0150】
【化37】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.51-7.45 (m, 2H), 7.01 (t, J = 9.2 Hz, 1H), 5.30 (br, 1H), 4.47 (s, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 159.9 (d, JC-F = 246.5 Hz), 133.6 (d, JC-F = 8.4 Hz), 132.8 (d, JC-F = 5.6 Hz), 124.8 (d, JC-F = 15.8 Hz), 119.5 (q, JC-F = 319.2 Hz), 117.6 (d, JC-F = 22.5 Hz), 117.1 (d, JC-F = 3.5 Hz), 41.9 (d, JC-F = 3.6 Hz); 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -77.5, -120.8; IR (neat) 3313, 2925, 2360, 1485, 1435, 1375, 1231, 1195, 1145, 1117, 1058, 878, 818, 605 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C8H5BrF4NO2S ([M-H]-)として理論値: 333.9166, 実測値: 333.9167。
【0151】
【化38】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.67-7.64 (m, 2H), 7.26-7.22 (m, 1H), 4.55 (s, 2H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 162.6 (d, JC-F= 251.8 Hz), 128.2 (dq, JC-F = 9.5, 3.6 Hz), 127.6 (dq, JC-F1= JC-F2 = 3.9 Hz), 127.5 (dq, JC-F = 33.1, 3.5 Hz), 123.9 (d, JC-F = 15.5 Hz), 123.3 (q, JC-F = 270.4 Hz), 119.5 (q, JC-F = 318.9 Hz), 116.5 (d, JC-F = 22.2 Hz), 42.0 (d, JC-F = 3.5 Hz); 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -62.4, -77.6, -113.0; IR (neat) 3310, 2924, 2360, 1627, 1607, 1509, 1432, 1373, 1330, 1230, 1171, 1118, 1072, 983, 901, 831, 606 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C9H5F7NO2S ([M-H]-)として理論値: 323.9935, 実測値: 323.9935。
【0152】
【化39】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.15-7.12 (m, 2H), 7.00-6.96 (m, 1H), 5.11 (br, 1H), 4.46 (s, 2H), 2.33 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 159.1 (d, JC-F = 242.9 Hz), 134.4 (d, JC-F = 3.7 Hz), 131.0 (d, JC-F = 8.0 Hz), 130.5 (d, JC-F = 3.5 Hz), 122.1 (d, JC-F = 14.5 Hz), 119.6 (q, JC-F = 319.3 Hz), 115.4 (d, JC-F = 20.9 Hz), 42.6 (d, JC-F = 3.7 Hz), 20.6; 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -77.6, -124.3; IR (neat) 3311, 2918, 2850, 2360, 1751, 1619, 1503, 1433, 1372, 1229, 1188, 1141, 1117, 1048, 911, 887, 815, 598 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C9H8F4NO2S ([M-H]-)として理論値: 270.0217, 実測値: 270.0221。
【0153】
【化40】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.77 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 5.16 (br, 1H), 4.53 (s, 2H), 2.36 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 160.8 (dd, JC-F = 247.8, 8.2 Hz), 142.4 (t, JC-F = 10.0 Hz), 119.5 (q, JC-F = 319.2 Hz), 117.2 (dd, JC-F = 18.6, 6.0 Hz), 108.5 (t, JC-F = 19.1 Hz), 35.9 (t, JC-F = 3.7 Hz), 21.4 (t, JC-F = 1.9 Hz); 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -77.8, -116.6; IR (neat) 3312, 2923, 2360, 1641, 1587, 1433, 1374, 1230, 1190, 1143, 1053, 936, 841, 609 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C9H7F5NO2S ([M-H]-)として理論値: 288.0123, 実測値: 288.0127。
【0154】
【化41】

反応条件:溶媒としてPhCF、触媒として20mol%Pd(OTf)・2HO、マイクロ波(300W)、150℃、2時間。2nは、モノフッ素化生成物との混合物として単離された(H NMRによると、ジ/モノ=9.5/1であり、該比率を用いて収率が算出された)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.29-7.24 (m, 2H), 4.61 (s, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 161.0 (dd, JC-F = 251.6, 7.5 Hz), 133.7 (tq, JC-F = 34.8, 10.1 Hz), 122.3 (tq, JC-F = 271.5, 3.4 Hz), 119.4 (q, JC-F= 319.1 Hz), 115.7 (t, JC-F = 18.3 Hz), 109.5 (dm, JC-F = 19.9 Hz), 35.7 (t, JC-F1 = 3.4 Hz); 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -63.6, -77.7, -111.4; IR (neat) 3317, 2363, 1596, 1441, 1358, 1332, 1232, 1195, 1140, 1068, 947, 912, 868, 608 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C9H4F8NO2S ([M-H]-)として理論値: 341.9840, 実測値: 341.9842。
【0155】
【化42】

1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.33-7.26 (m, 1H), 6.97-6.91 (m, 2H), 5.57 (br, 1H), 5.21 (q, J = 7.2 Hz, 1H), 1.67 (d, J = 7.2 Hz, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 160.1 (dd, JC-F = 246.7, 7.8 Hz), 130.0 (t, JC-F = 10.7 Hz), 119.4 (q, JC-F = 319.1 Hz), 117.3 (t, JC-F = 17.6 Hz), 112.0 (dd, JC-F = 19.3, 6.2 Hz), 46.3 (t, JC-F = 3.0 Hz), 22.7; 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -78.2, -116.3; IR (neat) 3310, 2926, 2360, 1747, 1628, 1593, 1473, 1435, 1379, 1232, 1194, 1147, 1085, 1034, 997, 964, 789, 614 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C9H7F5NO2S ([M-H]-)として理論値: 288.0123, 実測値: 288.0130。
【実施例3】
【0156】
トリフルアミドの変換
【0157】
16の合成。
【化43】

【0158】
アセトン(10mL)中に2a(514.4mg、2.0mmol、1.0当量)を含む撹拌溶液にKCO(414.7mg、3.0mmol、1.5当量)が添加され、MeI(373.5μL、6.0mmol、3.0当量)が室温(r.t.)で滴加された。前記反応混合物は加熱還流され、8時間撹拌された。室温に冷却後、減圧下でアセトンが除去され、前記残渣に水(10mL)が添加され、ジエチルエーテル(15mL×3)で抽出され、NaSO上で乾燥され、減圧下で濃縮された。(溶離液としてヘキサン−酢酸エチル=50/1を用いた)シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによる前記残渣の精製により、16(500mg、収率92%)が無色油として得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.43 (dt, J= 7.6, 1.6 Hz, 1H), 7.39-7.33 (m, 1H), 7.21 (dt, J = 7.6, 1.2 Hz, 1H), 7.13-7.08 (m, 1H), 4.57 (br, 2H), 2.96 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 161.0 (d, JC-F = 246.0 Hz), 130.6, 130.5 (d, JC-F = 5.0 Hz), 124.8 (d, JC-F = 3.6 Hz), 121.2 (d, JC-F = 14.0 Hz), 120.2 (q, JC-F = 321.6 Hz), 115.7 (d, JC-F = 21.4 Hz), 47.5 (d, JC-F = 4.2 Hz), 34.9; 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -75.1, -119.1; IR (neat) 2957, 2361, 2339, 1619, 1589, 1493, 1457, 1388, 1338, 1227, 1183, 1150, 1119, 988, 925, 759, 590 cm-1; HRMS (ESI-TOF) C9H8F4NO2S ([M-H]-)として理論値: 270.0217, 実測値: 270.0213。
【実施例4】
【0159】
2−フルオロ−N−メチルベンジルアミン11の合成
【化44】

【0160】
乾燥THF(5mL)に16(135.6mg、0.5mmol、1.0当量)を含む撹拌溶液にLiAlH(38mg、1.0mmol、2.0当量)が、0℃、窒素下で添加された。その後、前記反応混合物は加熱還流され、10時間撹拌された。室温まで冷却後、前記反応混合物は水で急冷され、ジエチルエーテル(10mL×3)で抽出された。2−フルオロ−N−メチルベンジルアミン11は、2N HCl及び2N NaOHを用いて酸/塩基抽出及び減圧下(15トール)での蒸発により、無色油として単離された(60mg、収率86%)。1H ΝMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.32 (dt, J = 7.6, 1.6 Hz, 1H), 7.26-7.21 (m, 1H), 7.10 (dt, J= 7.6, 1.2 Hz, 1H), 7.06-7.01 (m, 1H), 3.81 (s, 2H), 2.45 (s, 3H)。
【実施例5】
【0161】
2−フルオロベンズアルデヒド12の合成
【化45】

【0162】
乾燥DMF(3mL)中に16(135.6mg、0.5mmol、1.0当量)を含む撹拌溶液に、NaH(36mg、1.5mmol、3.0当量)が、室温、窒素下で添加された。前記反応混合物は、100℃まで過熱され、10時間撹拌された。室温まで冷却後、前記反応混合物にTHF/2N HCl(2/1、4mL)が添加された後、窒素下で2時間、加熱還流された。前記溶液は、再度、室温まで冷却され、ジエチルエーテル(25mL)で希釈され、水(10mL×3)で洗浄された。アルデヒド12の収率(86%)は、p−NO−ベンズアルデヒドを内部標準として用い、GC(SHRXI−5MSカラム(30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を備えたShimadzu GCMS−QP2010S)で測定された。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.38 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 7.88 (dt, J = 7.6, 2.0 Hz, 1H), 7.64-7.58 (m, 1H), 7.30-7.26 (m, 1H), 7.20-7.15 (m, 1H)。
【実施例6】
【0163】
求核置換の基本手順
【化46】

【0164】
乾燥ジクロロメタン(3mL)に2a(135.6mg、0.5mmol、1.0当量)を含む撹拌溶液に、NaH(12mg、0.5mmol、1.0当量)が、−78℃、窒素下で添加された。前記温度で5分間撹拌後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(84.2μL、0.5mmol、1.0当量)が滴加された。前記反応混合物は、−78℃で1.5時間、0℃で0.5時間撹拌された後、氷水でクエンチングされ、ジクロロメタン(10mL×3)で抽出された。前記溶媒は(約10−15℃で)減圧下で除去され、残渣はオイルポンプで数分間乾燥された。その後、前記残渣はHMPT(3mL)中に溶解され、前記反応混合物は氷水で冷却され、NaNu(0.75mmol、1.5当量)が1箇所に添加された。室温で8時間撹拌後、0℃で前記反応混合物は水(5mL)で希釈され、ジエチルエーテル(10mL×3)で抽出された後、前記有機層は混合され、水(10mL×3)で洗浄された。蒸発及びシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより、13−15は全て無色油として得られた。
【0165】
【化47】

収率 70%;1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.36-7.31 (m, 2H), 7.17 (dt, J = 7.6, 1.2 Hz, 1H), 7.13-7.08 (m, 1H), 4.41 (s, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 160.8 (d, JC-F = 246.4 Hz), 130.3 (d, JC-F = 3.8 Hz), 130.1 (d, JC-F = 8.1 Hz), 124.3 (d, JC-F = 3.7 Hz), 122.6 (d, JC-F = 15.1 Hz), 115.5 (d, JC-F = 21.1 Hz), 48.3 (d, JC-F = 3.4 Hz); 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -118.2; IR (neat) 2930, 2095, 1618, 1588, 1491, 1454, 1349, 1234, 1179, 1105, 1034, 884, 840, 755, 670 cm-1
【0166】
【化48】

収率 68%; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.44 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.37-7.31 (m, 1H), 7.18 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.10 (t, J= 9.2 Hz, 1H), 3.77 (s, 2H)。
【0167】
【化49】

in situで、NaH(1.5mmol)及びCH(COOBu(1.5mmol)を含むHMPT(0.5mL)から、NaCH(COOBuが収率65%で得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.22-7.15 (m, 2H), 7.04-6.97 (m, 2H), 3.56 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 3.15 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 1.39 (s, 18H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 168.0, 161.3 (d, JC-F = 244.2 Hz), 131.4 (d, JC-F = 4.7 Hz), 128.4 (d, JC-F = 8.1 Hz), 125.1 (d, JC-F = 15.3 Hz), 123.8 (d, JC-F = 3.4 Hz), 115.2 (d, JC-F = 21.7 Hz), 81.5, 53.7 (d, JC-F = 1.5 Hz), 28.3 (d, JC-F = 2.3 Hz), 27.8; 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -117.7; IR (neat) 2978, 2934, 1725, 1585, 1493, 1455, 1393, 1368, 1243, 1134, 1103, 1060, 1033, 996, 846, 755 cm-1;HRMS (ESI-TOF) C18H25FNaO4([M+Na]+)として理論値: 347.1629, 実測値: 347.1632。
【実施例7】
【0168】
促進剤としてNMPを用いた汎用のPd(OTf)触媒によるオルトフッ素化
【化50】

【0169】
トリフルアミド配向性オルトパラジウム化は、確立されている(Li,J.−J.;Mei,T.−S.;Yu,J.−Q.Angew.Chem.,Int.Ed.2008,47,6452)。反応媒体として、CsCO存在下でのDCE/DMF(20:1)混合物又はDCEの使用が、パラジウム化を生じさせるために重要であることがわかった。しかし、Sanford(3−6)(Hull,K.L.;Anani,W.Q.;Sanford,M.S.J.Am.Chem.Soc.2006,128,7134)により以前用いられた10mol%のPd(OAc)及び種々のフッ素源と、他のフッ素化試薬7及び8とを用いた同様の条件下(DMF及びCsCOなどの穏やかな塩基の存在する種々の溶媒)での1aの反応は、所望のフッ素化生成物の少量から中程度の収率しかもたらさない。DCE中に0.5当量のNMP(N−メチルピロリジノン)が存在することにより、N−フルオロ−2,4,6−トリメチルピリジニウムテトラフルオロボラート(6)を用いると、収率は45%まで増加するが、他のフッ素源3−8を用いると、収率はこれよりも低くなるということがスクリーニングによりわかった(表2)。
【表2】

【0170】
このスクリーニング過程で、2種類の競合する副経路である、アセトキシル化及びカルボニル化的ラクタム化(carbonylative lactamization)がフッ素化に付随して起こることがわかった。前記カルボニル化的ラクタム化のカルボニル源は、アセタートの分解に起因するものと考えられる。かかる結果は、フッ素化試薬9及び10が前記副反応を抑制することができるか、又はフッ化物の還元的脱離の速度を上昇させることができるかどうかという試験につながった。N−フルオロ−2,4,6−トリメチルピリジニウムトリフラート10を使用することにより、収率が大幅に上昇し、2a(20%)及び2aa(51%)の混合物が生成物として得られることが明らかになった(表2)。基質(substrate)、触媒、フッ素源及び促進剤のかかる組み合わせでの最も良い結果は、DCE、PhCF中で得られた。BFをOTfに置き換えることによるこのような改善点は、Pd(CHCN)(OTs)、Pd(CHCN)(OTf)、Pd(NTf又はPd(OTf)を用いることによるアセタートアニオンが存在しないこの反応への再考を促した。かかる触媒のうちどの触媒を使用しても、前記反応はある程度改善されることがわかった。Pd(NTf又はPd(OTf)を用いて最も良い結果が得られ、12時間から4時間に反応時間を短縮して、それぞれ収率65%及び68%でジフッ素化生成物2aaが主に得られた。また、前記反応はNMPの量に左右され、基質、触媒、フッ素源及び促進剤のかかる組み合わせに対して、0.5当量が最適であった。0.1又は5当量のNMPの使用は、収率を30%にまで減少させる。
【0171】
新たに確立されたフッ素化プロトコルでは、オルト置換基質(substrate)がフッ素化され、対応する生成物が収率60−88%で得られた(表3を参照せよ)。電子供与基(OMe)と、電子求引基(CF、F、Cl、Br)とはどちらも、許容された(2aa、2b−h)。より長い反応時間を要するが、使用するPd触媒は5mol%で十分であった(2b及び2c)。前記生成物中にCl及びBrが含まれることは、さらなる合成の精密化に非常に有用である。メタ置換アレーンのフッ素化により、主にモノフッ素化生成物が得られる(2i−l)。非置換ベンジルアミントリフルアミドを用いてモノ選択性を達成するという試みは、ある程度成功した。NMPの代わりに0.5当量のDMFを用いて、前記反応が実施されたとき、ジフッ素化生成物2aaは収率68%(〜4% 2a)で得られたが、モノフッ素化生成物2aの最高収率は41%(〜7% 2aa)であった。
【表3】

【0172】
オルトフッ素化シントンの5種類の主要な分類、すなわち、ベンズアルデヒド、ベンジルアミン、ベンジルアジド、フェニルアセトニトリル及びフェニルプロパン酸は、オルトフッ素化アリールから合成され、ArF合成の範囲を大幅に拡大させた。前記オルトフッ素化フェニルプロピオン酸は、既に報告された配向基を用いて、オルトリチオ化又はパラジウム化によって得ることができないので、特に有用である。
【化51】

【0173】
このように、本発明は、例えば、前記触媒としてPd(OTf)、前記フッ素源としてN−フルオロ−2,4,6−トリメチルピリジニウムトリフラート及び前記促進剤としてNMPを用いる、効率的なオルトフッ素化のための新たなプロトコルを提供する。前記トリフルアミド配向基は多種類のヘテロ原子及び炭素求核試薬により容易に置換され得るものであり、これにより前記フッ素化プロトコルは合成的応用に広く利用することが可能となる。
【0174】
分子量などの物理的性質又は化学式などの化学的特性のために範囲が用いられるとき、本明細書に記載される組み合わせ及び部分的組み合わせと、具体例とが全て、含まれることが意図される。
【0175】
本発明は1つ又は2つ以上の実施態様に関して図示され、説明されたが、均等の変化及び改変は、この明細書及び添付図面を読み、理解することで当業者が想到するであろう。さらに、本発明の特定の特徴が多数の実施態様のうち1つのみに関して開示される場合がある際に、かかる特徴は、特定又は特別な用途のいずれかのために所望され、長所となる場合に、他の実施態様の1つ又は2つ以上の別の特徴と組み合わされる場合がある。
【0176】
要約書の意図は、読者に技術的開示内容の性質を素早く確かめることができるようにすることである。要約書は、以下の請求項の範囲又は意味を解釈するか、又は限定するために用いられないであろうとの理解のもとに提示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物のフッ素化方法であって、
下記の式(I)を有する化合物と、
【化1】

[式中、
各YはCR、CH、N、O又はSであり、ここで、YがN、O又はSであるとき、Yに隣接する少なくとも1個の環原子はCRであり、
1.各Rは、独立して、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C−C20アルコキシ、C−C20アリール、C−C20アルキルアリール、C−C20ヘテロ環、C−C20ヘテロアリール、C−C20アルキルヘテロ環、C−C20アルキルヘテロアリール、C−C20アリールオキシ、−OH、−CO、−COOH、−CN、−N、ハロ、−CF、−OCF、−NH、−NO、−NR3’、−N(O)R、−SH、−SR、−SOR、−SO、−C(O)R、−CO、−C(O)NR3’及び−OC(O)Rからなる基の群から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール又はアリールオキシは置換されているか、置換されていない場合があり、前記アルキル部分では、1個又は2個以上の−CH−、−CHCH−又は−(CH−基が、それぞれ所望により、−O−又は−NH−で置換され、ここで、nは1又は2以上の整数であるか、
又は2個のRが共に結合し、該2個のRは環に結合され、二環式又は三環式のアルキル又はアリールを形成し、該二環式又は三環式のアルキル又はアリールがヘテロ環であるとき、へテロ原子に隣接する少なくとも1個の環原子は置換され、
及びR3’は、それぞれ独立して、H、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C−C20アリール、C−C20アルキルアリール、C−C20ヘテロ環、C−C20ヘテロアリール、C−C20アルキルヘテロ環及びC−C20アルキルヘテロアリールからなる基の群から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロ環又はヘテロアリールは置換されているか、置換されていないかであり、前記アルキル部分では、1個又は2個以上の−CH−、−CHCH−、−(CH−基が、それぞれ所望により、−O−又は−NH−で置換され、nは1又は2以上の整数であり、
Prは、保護基であり、
xは、0、1、2、3又は4である。]
パラジウム(II)触媒と、
フッ素化試薬と、
下記の式(III)を有する促進剤とを反応させ、
【化2】

[式中、
及びR6’は、それぞれ、H又はC1−6アルキルであり、R及びR6’のうち少なくとも1つはHではなく、
はH又はC1−6アルキルであるか、
又は、R及びR6’はそれらが結合する窒素原子と共にか、又はR及びRはそれらが結合する窒素原子及びカルボニルと共に、置換されないか、1個又は2個以上のC1−6アルキル基で置換される場合がある5又は6員環を形成する。]
下記の式(IV)及び(V)
【化3】

[式中、R、x及びPrは上記の通りである]
を有するオルトフッ素化化合物のうち少なくとも1つを形成させるステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
Prはトリフルオロメタンスルホニル基であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
xが0、1又は2であり、各Rは、独立して、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C−Cアルコキシ、−OH、−CO、−COOH、−CN、−N、ハロ、−CF、−OCF、−NH、−NO、−NR3’、−N(O)R、−SH、−SR、−SOR、−SO、−C(O)R、−CO、−C(O)NR3’及び−OC(O)Rからなる基の群から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル又はアルコキシは置換されているか、置換されていない場合があり、前記アルキル部分では、1個又は2個以上の−CH−、−CHCH−、−(CH−基が、それぞれ所望により、−O−又は−NH−で置換され、R及びR3’は、それぞれ独立して、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル及びC2−6アルキニルからなる基の群から選択され、nは1又は2以上の整数であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記式(I)の化合物が、下記の式(Ia)を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【化4】

【請求項5】
前記パラジウム(II)触媒が、Pd(CHCN)(OTs)、Pd(CHCN)(OTf)、Pd(NTf又はPd(OTf)であり、ここで、Tsがトルエンスルホニルであり、Tfがトリフルオロメタンスルホニルであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記パラジウム(II)触媒が、Pd(NTf又はPd(OTf)であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
5−20mol%の前記パラジウム(II)触媒を使用することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記フッ素化試薬が下記の式(II)を有する化合物であり、
【化5】

式中、
は、対イオンであり、
、R4’及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン、C1−12アルキル又はC2−12アルケニルであり、ここで、前記アルキル又はアルケニルは1個又は2個以上のハロゲンで置換される場合があることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
は、OTf、BF又はPFであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記フッ素化試薬は下記の式(II)を有し、
【化6】

式中、
は、OTf、BF又はPFであり、
及びR4’は、それぞれ独立して、C1−6アルキルであり、
はH又はC1−6アルキルであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記フッ素化試薬は、N−フルオロ−2,4,6−トリメチルピリジニウムトリフラートであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
1−5当量の前記フッ素化試薬が使用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記促進剤が、N−メチルピロリジノン(NPM)であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
0.1−5当量の前記促進剤が使用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
0.3−0.7当量の前記促進剤が使用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記促進剤が、ジメチルホルムアミド(DMF)であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
溶媒が、1,1−ジクロロエタン(DCE)又はPhCFであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
ジフッ素化生成物の収率が、少なくとも50%であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
モノフッ素化生成物の収率が、少なくとも40%であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記反応で、マイクロ波加熱が使用されないことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
フッ素化化合物の製造方法であって、
(a)下記の式(I)を有する化合物と、
【化7】

[式中、
各YはCR、CH、N、O又はSであり、ここで、YがN、O又はSであるとき、Yに隣接する少なくとも1個の環原子はCRであり、
各Rは、独立して、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C−C20アルコキシ、C−C20アリール、C−C20アルキルアリール、C−C20ヘテロ環、C−C20ヘテロアリール、C−C20アルキルヘテロ環、C−C20アルキルヘテロアリール、C−C20アリールオキシ、−OH、−CO、−COOH、−CN、−N、ハロ、−CF、−OCF、−NH、−NO、−NR3’、−N(O)R、−SH、−SR、−SOR、−SO、−C(O)R、−CO、−C(O)NR3’及び−OC(O)Rからなる基の群から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール又はアリールオキシは置換されているか、置換されていない場合があり、前記アルキル部分では、1個又は2個以上の−CH−、−CHCH−又は−(CH−基が、それぞれ所望により、−O−又は−NH−で置換され、ここで、nは1又は2以上の整数であるか、
又は2個のRが共に結合し、該2個のRは環に結合され、二環式又は三環式のアルキル又はアリールを形成し、該二環式又は三環式のアルキル又はアリールがヘテロ環であるとき、へテロ原子に隣接する少なくとも1個の環原子は置換され、
及びR3’は、それぞれ独立して、H、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C−C20アリール、C−C20アルキルアリール、C−C20ヘテロ環、C−C20ヘテロアリール、C−C20アルキルヘテロ環及びC−C20アルキルヘテロアリールからなる基の群から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロ環又はヘテロアリールは置換されているか、置換されていないかであり、前記アルキル部分では、1個又は2個以上のCH−、−CHCH−、−(CH− −CHCH−基が、それぞれ所望により、−O−又は−NH−で置換され、nは1又は2以上の整数であり、
Prは、保護基であり、
xは、0、1、2、3又は4である。]
パラジウム(II)触媒と、
フッ素化試薬と、
下記の式(III)を有する促進剤とを反応させ、
【化8】

[式中、
及びR6’は、それぞれ、H又はC1−6アルキルであり、R及びR6’のうち少なくとも1つはHではなく、
はH又はC1−6アルキルであるか、
又は、R及びR6’はそれらが結合する窒素原子と共にか、又はR及びRはそれらが結合する窒素原子及びカルボニルと共に、置換されないか、1個又は2個以上のC1−6アルキル基で置換される場合がある5又は6員環を形成する。]
下記の式(IV)及び(V)
【化9】

[式中、R、x及びPrは上記の通りである。]
を有するオルトフッ素化化合物のうち少なくとも1つを形成させるステップと、
(b)上記の式(IV)又は(V)の該化合物を試薬と反応させ、下記の式(VI)及び(VII)を有する化合物のうち少なくとも1つを得るステップとを含む
【化10】

[式中、
各Rは、独立して、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C−C20アルコキシ、C−C20アリール、C−C20アルキルアリール、C−C20ヘテロ環、C−C20ヘテロアリール、C−C20アルキルヘテロ環、C−C20アルキルヘテロアリール、C−C20アリールオキシ、−OH、−CO、−COOH、−CN、−N、ハロ、−CF、−OCF、−NH、−NO、−NR3’、−N(O)R、−SH、−SR、−SOR、−SO、−C(O)R、−CO、−C(O)NR3’及び−OC(O)Rからなる基の群から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール又はアリールオキシは置換されているか、置換されていない場合があり、前記アルキル部分では、1個又は2個以上の−CH−、−CHCH−又は−(CH−基が、それぞれ所望により、−O−又は−NH−で置換され、ここで、nは1又は2以上の整数であり、
及びR3’は、それぞれ独立して、H、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C−C20アリール、C−C20アルキルアリール、C−C20ヘテロ環、C−C20ヘテロアリール、C−C20アルキルヘテロ環及びC−C20アルキルヘテロアリールからなる基の群から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロ環又はヘテロアリールは置換されているか、置換されていないかであり、前記アルキル部分では、1個又は2個以上の−CH−、−CHCH−又は−(CH−基が、それぞれ所望により、−O−又は−NH−で置換され、ここで、nは1又は2以上の整数であり、
ここで、R、Y及びxは上述の通りである]ことを特徴とする、方法。
【請求項22】
Prはトリフルオロメタンスルホニル基であることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
各Yは、CH又はCRであることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記パラジウム(II)触媒が、Pd(CHCN)(OTs)、Pd(CHCN)(OTf)、Pd(NTf又はPd(OTf)であり、ここで、Tsがトルエンスルホニルであり、Tfがトリフルオロメタンスルホニルであることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記パラジウム(II)触媒が、Pd(NTf又はPd(OTf)であることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記フッ素化試薬が下記の式(II)を有する化合物であり、
【化11】

式中、
は、対イオンであり、
、R4’及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン、C1−12アルキル又はC2−12アルケニルであり、ここで、前記アルキル又はアルケニルは1個又は2個以上のハロゲンで置換される場合があることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
は、OTf、BF又はPFであることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記フッ素化試薬は下記の式(II)を有し、
【化12】

式中、
は、OTf、BF又はPFであり、
及びR4’は、それぞれ独立して、C1−6アルキルであり、
はH又はC1−6アルキルであることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記フッ素化試薬は、N−フルオロ−2,4,6−トリメチルピリジニウムトリフラートであることを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記促進剤が、N−メチルピロリジノン(NPM)であることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記促進剤が、ジメチルホルムアミド(DMF)であることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
前記式(VII)の化合物の収率が、少なくとも50%であることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項33】
前記式(VI)の化合物の収率が、少なくとも40%であることを特徴とする、請求項21に記載の方法。

【公表番号】特表2012−522804(P2012−522804A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503739(P2012−503739)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/029775
【国際公開番号】WO2010/115098
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(399038620)ザ スクリプス リサーチ インスティチュート (51)
【Fターム(参考)】