パラボラアンテナ
【課題】パラボラアンテナを、低コストでありながら、電波吸収特性および耐久性に優れたものとする。
【解決手段】レフレクタ2、シュラウド3、一次放射器4を備えたパラボラアンテナ1において、シュラウド3の内周面に木片からなるプレート状の電波吸収体10を複数並べて設けるようにした。
また、電波吸収体10の形状、厚さを調整することで、電波吸収特性を向上させ、サイドローブ特性を改善する。さらに、電波吸収体10の間隔D1を確保することで、電波の斜入射の反射特性を改善する。
【解決手段】レフレクタ2、シュラウド3、一次放射器4を備えたパラボラアンテナ1において、シュラウド3の内周面に木片からなるプレート状の電波吸収体10を複数並べて設けるようにした。
また、電波吸収体10の形状、厚さを調整することで、電波吸収特性を向上させ、サイドローブ特性を改善する。さらに、電波吸収体10の間隔D1を確保することで、電波の斜入射の反射特性を改善する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上マイクロ波通信に用いられるパラボラアンテナに関し、特に、低サイドローブで安価なパラボラアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
地上マイクロ波通信に用いられるパラボラアンテナは、1対1、すなわち、POINT TO POINTの通信に用いられるため、対向する相手局以外の方向には、電波を極力放射しないようにする必要がある。そのため、アンテナ自身のサイドローブを低く抑える必要がある。
このため、図20に示すように、一次放射器201から放射される電波を反射するレフレクタ(パラボラ反射鏡)202の反射面202a側に、筒状のシュラウド203を設け、シュラウド203の内周面に電波吸収体204を貼り付ける構成がある。
【0003】
特許文献1には、電波吸収体204として、木炭粒子を樹脂バインダーによって固め、木炭層、スペーサ層、反射層から構成されたものが開示されている。
【0004】
特許文献2、3には、電波吸収体204として、木材チップと、導電性繊維、すなわちカーボンや金属片とを混合分散して、板状に成型したものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−141691号公報
【特許文献2】特開2004−128223号公報
【特許文献3】特開2005−167179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、電波吸収体として、木炭粒子をバインダーで固めているため、その作成にコストがかかる。
また、スペーサ層にスポンジやポリエチレンを用いており、その作成に手間がかかる。また、スペーサ層で損失になるものがなく、木炭層が薄いため、電波が木炭層に斜めに入射されたときの斜入射特性が良くないという問題がある。例えば、入射角度の15°異なるだけで減衰量が10dBも異なることがある。さらに構造的に、15GHz以上の周波数での高性能な吸収体の実現が困難と考えられる。
【0007】
また、特許文献2、3に記載の技術では、特許文献1に記載の技術と同様、木材チップと導電体繊維とをバインダーで固めているため、その作成にコストがかかる。また、特許文献2、3においては、5.8GHz帯の電波において10dB程度の減衰効果が認められるものの、具体的な使用状態での効果が不明確である。
【0008】
さらに、特許文献2、3に記載の電波吸収体は、スポンジ状または毛状(繊維状)であるため、シュラウドに確実に取付固定するのが難しい。また、スポンジ状または毛状の電波吸収体が時間の経過とともに劣化し、粉状になって飛散したり、ばらばらに破損したりする。すると、その粉や破片が反射鏡(レフレクタ)に付着し、電波の反射性能を劣化させることがある。また、シュラウドに設けられた電波吸収体が減ってしまうので、電波吸収特性が劣化し、サイドローブ特性が劣化する。
そこでなされた本発明の目的は、低コストでありながら、電波吸収特性および耐久性に優れるパラボラアンテナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明のパラボラアンテナは、電波を放射する一次放射器と、一次放射器で放射された電波を反射するパラボラレフレクタと、パラボラレフレクタの開口側の端部に設けられ、当該パラボラレフレクタにより電波を放射する方向に軸線を有した円筒状のシュラウドと、シュラウドの内周面に複数並べられ、木片からなる電波吸収体と、を備えることを特徴している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電波吸収体を木片により形成したので、長期の使用にともなって電波吸収体が損傷したり劣化したりしにくく、耐久性に優れ、電波吸収特性の劣化、サイドローブ特性の劣化を抑えることができる。しかも、木片は安価でその加工や取り扱いも容易であり、パラボラアンテナを安価に作成することができる。さらに、木片からなる電波吸収体は、シュラウドへの取り付けも容易かつ確実に行える。このようにして、低コストでありながら、電波吸収特性および耐久性に優れるパラボラアンテナを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態におけるパラボラアンテナの構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は反射面側から見た正面図である。
【図2】電波吸収体の取り付け方法の第一の例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は反射面側から見た正面拡大図である。
【図3】電波吸収体の取り付け方法の第二の例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は要部拡大図である。
【図4】電波吸収体の取り付け方法の第三の例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は要部拡大図、(c)はシュラウドの軸線方向における側面図である。
【図5】電波吸収体の取り付け方法の第四の例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は電波吸収体を収容するカバーの展開図、(c)は電波吸収体をカバー内に収容した状態を示す斜視図である。
【図6】シュラウドおよび電波吸収体の有無による電波の状況を示す図であり、(a)はシュラウド及び電波吸収体を備えないパラボラアンテナの例、(b)はシュラウド及び電波吸収体を備えたパラボラアンテナの例である。
【図7】本実施形態におけるパラボラアンテナの放射パターン特性の一例である。
【図8】電波吸収体に電波が入射したときの様子を示す図である。
【図9】電波吸収体を、間隔を隔てて配置したときの電波の吸収について説明する図である。
【図10】第2の実施形態におけるパラボラアンテナの構成を示す斜視図である。
【図11】第3の実施形態におけるパラボラアンテナの構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)、(d)は電波吸収体の断面形状を示す図である。
【図12】第4の実施形態におけるパラボラアンテナの構成を示す斜視図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
【図13】スペーサを設けた場合における、電波吸収体に電波が入射したときの様子を示す図である。
【図14】スペーサを全面に設けた場合における、電波吸収体に電波が入射したときの様子を示す図である。
【図15】第5の実施形態におけるパラボラアンテナの構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は反射面側から見た正面図である。
【図16】図15の構成における、電波吸収体に電波が入射したときの様子を示す図である。
【図17】第6の実施形態におけるパラボラアンテナの構成を示す図である。
【図18】電波吸収体の一例を示す斜視図である。
【図19】炭化層を設けた電波吸収体の例を示す図である。
【図20】従来のパラボラアンテナの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明によるパラボラアンテナを実施するための最良の形態を説明する。しかし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0013】
(第1の実施形態)
図1、本実施形態におけるパラボラアンテナ1の構成を示す図である。
この図1に示すように、パラボラアンテナ1は、凹面状の反射面2aを有して電波を反射するレフレクタ2と、レフレクタ2の反射面2a側に設けられ、レフレクタ2の外周部に連続して反射面2aからその反射方向に向けて延びる筒状で金属製のシュラウド3と、レフレクタ2の中央部に設けられ、電波を放射する一次放射器4と、電波吸収体10と、を備えて構成されている。
なお、図1に示した構成においては、パラボラアンテナ1は、シュラウド3の先端部の開口を塞ぐレドーム5を備えている。ただし、このレドーム5は必須ではなく、レドーム5が付加されていないパラボラアンテナ1もある。
【0014】
図1に示すように、電波吸収体10は、木材(材木)から切り出されたプレート状の木片であり、シュラウド3の内周面に沿って、その円周方向において複数が並べて配置されている。シュラウド3の円周方向において互いに隣接する電波吸収体10、10は、互いに密着していても良いし、間隔D1を隔てて配置されていても良い。一方、電波吸収体10の電波放射方向における長さは任意であるが、例えばシュラウド3の軸線方向における長さとすることができる。
なお、図1において、電波吸収体10が、シュラウド3の内周面の円周方向の一部のみに配置された構成となっているが、電波吸収体10は、全方位において電波の放射を防止する場合には、シュラウド3の内周面に円周方向全周にわたって設けることがより望ましい。
電波吸収体10は、木片より構成されるため、虫害や腐敗が問題となる可能性がある。このため、電波吸収体10に、くんじょう処理、塗装、またはその両方を予め施しておくのが好ましい。
【0015】
電波吸収体10をシュラウド3に取り付ける方法は、いかなる手法を用いても良いが、以下にその具体例を複数示す。
図2は、電波吸収体10の取り付け方法の第一の例を示している。
図2に示すように、電波吸収体10に穴81を設けておき、シュラウド3の電波吸収体10の取り付け箇所にも穴82を設けておく。そして、誘電体または金属より構成されるピン(固定部材)83を、シュラウド3の穴82及び電波吸収体10の穴81に貫通させ、その先端に、反対方向から止め具である、誘電体または金属より構成されるリング状のストッパ85を挿入し、ピン84に設けられている溝84aにはめ込んで固定する。すなわち、ストッパ85の内径は、ピン84の外径よりもわずかに小さく、このストッパ85を弾性変形させてピン84に挿入していき、溝84aに嵌め込む。なお、ピン83及びストッパ85は、ボルトとナット、ネジ等でも代用可能である。なお、電波の反射を抑制するという観点では、ピン83及びストッパ85は金属より誘電体で形成するのが好ましい。
【0016】
図3は、電波吸収体10の取り付け方法の第二の例を示すものである。
この図3に示すように、電波吸収体10には、穴81を設けておく。そして、シュラウド3の電波吸収体10の取り付け箇所に、L字状の金具(固定部材)91を取り付けておく。金具91の取り付け方法は、ビスとナット、リベット、半田付け、または溶接等による方法がある。このとき、金具91は幅が穴81の内径よりも小さくなるよう設定する。
そして、L字状の金具91を電波吸収体10の穴81に貫通させ、その先端91aを折り曲げて電波吸収体10に沿わせる。なお、電波の反射を抑制するという観点では、L字金具91は、金属よりも誘電体で形成するのが好ましい。
【0017】
図4は、電波吸収体10の取り付け方法の第三の例を示している。
この図4に示すように、電波吸収体10には、穴81を設けておく。そして、シュラウド3の電波吸収体10の取り付け箇所に、基端部93aがL字状で、先端部(弾性変形部)93bが鋭角に折り曲げられた金具(固定部材)93を、基端部93aにおいて取り付けておく。この基端部93aの取り付け方法は、ビスとナット、リベット、半田付け、溶接等による方法がある。先端部93bは、穴81よりも若干大きく広がるよう形成されている。
そして、金具93の鋭角に折り曲げられている先端部93bを、電波吸収体10の穴81に貫通させる。先端部93bは、穴81を貫通するときに、穴81の内周面に接触することで、弾性変形により若干内側に曲げられ、穴81を貫通後、開放されて穴81よりも広がるようになっている。これにより、電波吸収体10は、金具93から引き抜くことができなくなり、シュラウド3に固定される。このような金具93を用いることで、電波吸収体10を押し込むのみでワンタッチで形成することができる。なお、電波の反射を抑制するという観点では、金具93は、金属より誘電体で形成するのが好ましい。
【0018】
図5は、電波吸収体10の取り付け方法の第四の例を示している。
図5に示すように、電波吸収体10を、金属以外の布または誘電体のシート101aから形成された袋状のカバー101に収容する。ここでカバー101内は、糸で縫ったり、熱溶着、接着等によって形成された仕切り102により複数に区切られている。この仕切り102により、カバー101内に、複数個の電波吸収体10が、なるべく動かないようそれぞれ個別に収容されて、電波吸収体10、10の間隙が確保されている。
このようにして電波吸収体10を収容したカバー101は、シュラウド3の内側に貼り付け固定されている。この場合の固定は、接着、ビス及びナット、リベット、あるいは図2〜図4に示したのと同様の取付方法が採用可能である。なお、カバー101の構成、形成方法はいかなるものとしても良く、例えば1枚の大きな誘電体シートを2つ折にしてはさむようにしても良い。このようにしても、電波吸収体10をシュラウド3の内周面に固定できる。
【0019】
次に、上記したようなパラボラアンテナ1の電気的な動作原理及び特性について示す。
図6(a)に、比較対象として電波吸収体10およびシュラウド3を備えないパラボラアンテナとの断面図を示し、図6(b)に、電波吸収体10および電波吸収体10を貼り付けるシュラウド3を備えたパラボラアンテナ1の断面図を示している。
パラボラアンテナ1では、一次放射器4の先端部からレフレクタ2に向かって電波Wが放射される。レフレクタ2の曲面を回転方物面(パラボラ曲面)とすることで、一次放射器4からレフレクタ2に向かって放射された電波Wは、同じ位相で同じ方向に放射され、合成されて、高い利得を得ることができる。一方、一次放射器4から放射される電波Wは、なるべくレフレクタ2に照射するように設計されるが、図6(a)に示したように、シュラウド3が無い場合、電波Wd、Weのように、その一部が外側に漏れていく。これが、サイドローブとなり、アンテナの特性を劣化させる原因となっている。
これに対し、図6(b)に示すように、円筒状のシュラウド3を設け、この内側に電波吸収体10を貼り付けた本実施形態の構成では、レフレクタ2に向けた方向以外に放散された電波Wd、Weは、電波吸収体10に当たることで吸収されてしまう。これにより、サイドローブを抑えることができ、アンテナの特性を向上させる。
【0020】
図7は、本実施形態におけるパラボラアンテナ1の放射パターン特性の一例である。この放射パターンは、パラボラアンテナ1を、有効開口直径が約30cmの15GHz帯のものとしたときの、放射パターンオアターンの測定値である。偏波は、垂直偏波の方位方向を測定したものである。横軸は、角度、縦軸は、0°の値で正規化した相対レベルを示している。実線は、図1の構成において電波吸収体10として木片を用いた場合、破線10は電波吸収体10を備えないパラボラアンテナの場合である。また、ETSIと記載されている実線は、この種のアンテナに適用される放射パターンの規格であり、欧州標準規格のETSI EN 302 217に基づくものである。電波吸収体なしの場合は、ETSI規格に対して、マージンが約1dB程度であるが、木片を用いた本実施形態のパラボラアンテナ1においては、規格とのマージンが10dB程度となり、大きなサイドローブ低減効果が得られることがわかる。
【0021】
図8は、電波吸収体10の厚さSの最適値についての検討を説明するものである。図8(a)は、電波Wが、電波吸収体10に垂直に入射した場合である。この場合、入射した電波fiは、電波吸収体10の表面で反射されるfr1と、電波吸収体10の内部に入っていく電波ftに分けられる。電波ftは、電波吸収体10で減衰し、金属のシュラウド3で反射され、されに電波吸収体10で減衰し、反射波fr2として放射される。この場合、反射を最も小さくするためには、以下の方法がある。
1) 反射波fr1を小さくする。
2) 反射波fr1とfr2を逆位相にしてキャンセルする。
【0022】
図8の例では、上記2)の方法を適用することができる。すなわち、図8(a)において、木片の比誘電率をεrとするとき、木片の電波吸収体10の厚さSが、電波Wの周波数の波長λの約1/4であれば、電波ftは往復で1/2波長伝搬し、位相が180°回転し、トータルの結果として逆相となる。これにより、反射波fr2をキャンセルできる。この場合、
S=(λ/4)×(1/(εr)0.5)
とすればよい。(比誘電率εの誘電体中では、電波Wの波長は、1/(ε)0.5になる。)。
【0023】
図8(b)に示すように、電波吸収体10に対し、電波が斜めに入射する場合も同様である。電波吸収体10に斜めに入射した電波giは、電波吸収体10の表面で反射されるgr1と、電波吸収体10の内部に入っていく電波gtに分けられる。電波gtは、電波吸収体10で減衰し、金属のシュラウド3で反射され、されに電波吸収体10で減衰し、反射波gr2として放射される。この場合、スネルの法則より、入射角θi=反射角θrとなる。よって、反射波gtの伝搬は、2S‘=2S/cosθiとなる。したがって、この場合、
S=S’cosθi=(λ/4)×(1/(εr)0.5)×cosθi
とすればよい。電波吸収体10に電波が斜めに入射することを考慮するのは、θi=30°程度である。このとき、cosθi(θi=30°)は、0.866となり、したがって、電波吸収体10は図8(a)の場合に比較し、13.4%薄くてよいことになる。通常は、垂直入射との両方を考慮するので、13.4%の半分とし、約7%薄くするような選定も有効である。すなわち、
S=(λ/4)×(1/(εr)0.5)×(1−0.07)
となる。
上記は、入射角0度(垂直入射)〜入射角30度の間の入射電波の吸収を主に考え、両境界値で有効とするための設計である。
また、入射角0度(垂直入射)〜入射角45度までを考えるのであれば、θi=45°とし、このとき、cosθi(θi=45°)は、0.707となり、したがって、電波吸収体10は図8(a)の場合に比較し、29.3%薄くてよいことになる。上記同様に、垂直入射との両方を考慮すると、29.3%の半分とし、約14.7%薄くすればよいことになる。すなわち、
S=(λ/4)×(1/(εr)0.5)×(1−0.147)
となる。
ただし、上記のように、あまり広い角度範囲を狙って、Sの値を選んでも、中間値で、狙った角度範囲での十分な電波吸収特性が得られるとは限らない。これは、根本的原理が、S‘=λ/4が最良点であるからである。したがって、状況に応じては、必ずしも中間値を選ぶ必要なない。上式において電波吸収体の厚さの控除する割合をXとして、
S=(λ/4)×(1/(εr)0.5)×(1―X)
とするならば、上記の例では、Xの値は、0<X<0.147の範疇で最適値を選択すればよい。
基本的には、入射角0度について、最も大きな減衰を与えたいのであれば、S=λ/4とすべきであるし、入射角30度で、最も大きな減衰を与えたいのであれば、S=λ/4×0.866とすべきである。
【0024】
また、電波吸収体10を形成する木片の材質によって、電波吸収体10内での電波の減衰が非常に大きい場合は、電波吸収体10の厚さSはさらに薄くすることが可能となる。これは、上記1)の、反射波を小さくするという手法に相当する。
図8(c)において、電波の入射波hiに対して、反射波hrが最小になるためには、シュラウド3内の空間から電波吸収体10を見たときの入力インピーダンスZiが、空間インピーダンスZwとしたときに、
Zi=Zw
と等しくなればよい。ここで、
S=(λ/4)×(1/(εr)0.5)
と仮定すると、空間から電波吸収体10を見た入力インピーダンスZiは、電波吸収体10のインピーダンスをZa、シュラウド3のインピーダンスをZsとおくと、
Zi=Za2/Zs
となる。このとき、シュラウド3は金属板のため、Zs=0となり、Zi=∞となる。しかし、電波吸収体10での減衰が大きい場合は、シュラウド3まで電波が到達せず、Zs=Zaと見なせるため、
Zi=Za
となる。一般に、木片の比誘電率は、2前後であるため、
Za=Zw(εr)0.5=1.41Zw
となり、空間とのインピーダンス不整合は大きくない。さらに、このときの電波吸収体10上の電流分布は、図8(c)のように考えられ、電波の入射面で最大となり、電波吸収体10において大きな減衰が得られることになる。よって、電波吸収体10の減衰が比較的大きい場合には、電波吸収体10の厚さSは
S=(λ/4)×(1/(εr)0.5)
とする選択がよいことになる。この場合、電波吸収体10を薄くできるので、材料費用も節約できるというメリットがある。
【0025】
また、図1に示したように、互いに隣接する電波吸収体10、10の間に間隔D1を隔てると、斜入射特性の改善、および、インピーダンス整合特性の改善が図れる。以下、これについて説明する。
まず、斜入射の改善の観点について説明する。一般に、電波吸収体10は、空間からの斜入射に対して、媒質が異なることにより、斜入射になるほど反射しやすくなる。そのため、図9のように、互いに隣接する電波吸収体10、10を隔てておき、電波miのように、その隙間に斜入射波を入れ込み、その反射波mrを反対側の電波吸収体10の側面で吸収させることができる。このような手法が有効なのは、特に、電波吸収体10の厚さSが厚いときである。入射角θi以上の電波を抑制したい場合は、間隔D1は、
D1<2Stanθi
とすればよい。
【0026】
次に、インピーダンス整合特性の改善の観点で説明する。図8に示したように、
S=(λ/4)×(1/(εr)0.5)
とすると、
Za=Zw(εr)0.5=1.41Zw
となる。よって、Za=Zwに近づけるには、εr=1に近づければよい。したがって、図1における電波吸収体10、10の間に空気層を設けることで、電波吸収体10の配置されている層空間の平均的なインピーダンスは、Zaより下がることになる。これにより、Za=Zwにより近い状態となり、吸収性能は改善する場合がある。ただし、互いに隣接する電波吸収体10、10の間隙を過大に設けると、間隙部分における電波減衰が行われなくなる。
このようにして、互いに隣接する電波吸収体10、10の間隙D1は、所望の電波減衰が得られるように適宜調整するのが好ましい。
【0027】
上述したような構成によれば、シュラウド3の内周面に設ける電波吸収体10として木片を用いることで、長期の使用にともなって電波吸収体10が損傷したり劣化したりしにくく、耐久性に優れ、電波吸収特性の劣化、サイドローブ特性の劣化を抑えることができる。しかも、木片は安価でその加工や取り扱いも容易であり、パラボラアンテナ1を安価に作成することができる。さらに、木片からなる電波吸収体10は、シュラウド3への取り付けも容易かつ確実に行える。
また、電波吸収体10の形状、厚さを調整することで、電波吸収特性を向上させ、サイドローブ特性を改善することができる。このとき、電波吸収体10の形状や厚さは、電波吸収体10がブロック状の木片であるために、容易かつ低コストで調整することができる。
さらに、電波吸収体10の間隔D1を確保することで、電波の斜入射の反射特性を改善することができる。その結果、電波吸収特性を向上させ、サイドローブ特性を改善することができる。
【0028】
(第1の実施形態の変形例:電波吸収体の配置の変形例)
次に、上記第1の実施形態の変形例として、電波吸収体の配置の変形例を複数示す。以下に示す各変形例においては、上記第1の実施形態と異なる構成のみを説明するものとし、上記第1の実施形態と共通する構成については、その説明を省略している。
(第2の実施形態)
まず、図10(a)は、電波吸収体11を、シュラウド3の内周面に、その円周方向に間隔D1を隔てて配置するのに加え、パラボラアンテナ1における電波の放射方向(シュラウド3の軸線方向)に間隔D2を隔てて配置する構成としている。これにより、上記第1の実施形態で示した電波吸収体11を、パラボラアンテナ1における電波の放射方向に、複数に分割した構造とされている。これにより、上記第1の実施形態で示した電波吸収体10に対し、単位面積がより細かい電波吸収体11を配置した構成となっている。
【0029】
また、図10(b)においては、図10(a)に示したのと同様の大きさの電波吸収体11を、シュラウド3の内周面の円周方向において千鳥状に配置した構成としている。この構成においても、電波吸収体11は、シュラウド3の内周面において、その円周方向に間隔D1を隔て、電波の放射方向に間隔D2を隔てて配置されている。
【0030】
このように電波吸収体11が、電波の放射方向にも間隔D2を隔てて配置されることにより、シュラウド3の周方向に間隔D1を隔てる場合と同様、互いに隣接する電波吸収体10、10の隙間に斜入射波を入れ込み、その反射波mrを反対側の電波吸収体10の側面で吸収させるとともに、間隔D2の空間で電波減衰することで、電波を抑制できる。
【0031】
(第3の実施形態)
図11に示す例においては、電波吸収体20は、プレート状の木片を円弧状に形成し、シュラウド3の内周面に沿って貼り付けている。
図11に示すように、電波吸収体20は、シュラウド3の内周面に、円周方向に複数枚が並べて配置されている。ここでシュラウド3の内周面の周方向において互いに隣接するシュラウド3どうしは、間隔D1を隔てていても良いし、互いに突き合わされていても良い。
【0032】
このような電波吸収体20の断面図を図11(c)に示す。ここに示す電波吸収体20は、プレート状の木片を円弧状に湾曲させて形成したものである。
また、図11(d)に示すように、電波吸収体20は、木材の板の片面20aを曲面に加工し、他面20bを平面に加工して、全体としてカマボコ状とすることもできる。
電波吸収体21は、木材であるので、いわゆる成型だけでなく、削り、切り出し等の加工を容易に行える。
【0033】
(第4の実施形態)
図12に示す変形例では、電波吸収体30は、木片より構成され、その両端部30a、30bが、誘電体より構成されるスペーサ31を介してシュラウド3の内周面に設けられている。これにより、電波吸収体30は、スペーサ31を土台とし、スペーサ31の高さ分S2だけシュラウド3から浮かした状態で配置されている。この場合、スペーサ31は、部分的、離散的に用いられる場合もあれば、シュラウド3の内周面上に隙間なく、一様に貼られる場合もある。
スペーサ31の素材としては、電波吸収体30と同じ木片、その他に軽量なポリプロピレンなどのプラスティック材等を用いることができる。
【0034】
このように、スペーサ31を用いて電波吸収体30を取り付けた場合、図13(a)に示すように、スペーサ31を設けることで、電波吸収体30に入射した電波niが、電波吸収体30を減衰・透過して、透過波ntとなる。そして、高さS2のスペーサ31により形成された空間において、その一部が、電波吸収体30とシュラウドの3の間を多重反射して減衰していくことにより、全体としての電波吸収性能を改良することができる。
【0035】
また、図13(b)に示すように、スペーサ31の間隔D3及び電波吸収体30の間隔D4を調整することで、図9と同様、互いに隣接する電波吸収体30、30の間、スペーサ31、31の間に斜入射波を入れ込み、その反射波を隣接する電波吸収体30やスペーサ31の側面で吸収させるという原理で、斜入射反射特性を改善することができる。
なお、図13(a)(b)のいずれの場合でも、スペーサ31においても反射波を吸収させるため、スペーサ31は、木片を使用するのが有効である。
【0036】
さらに、図14に示すように、スペーサ31をシュラウド3の内周面全周に設ける場合、電波吸収体30の高さS及びスペーサ31の高さS2について、
S=S2=(λ/4)×(1/(εr)0.5)
とすると、スペーサ31、電波吸収体30だけを見たとき、電波吸収体30のインピーダンスZaおよびスペーサ31のインピーダンスZbと、空間から見た入力インピーダンスZiとの関係は、
Zi=Za2/Zb
となる。ここで、電波吸収体30には木片を使用するので、空間のインピーダンスZwに対する電波吸収体30のインピーダンスZaは、
Za=1.4Zw
となる。また、
Zi=Zw
が最良の状態であるから、
Zw=(1.4Zw)2/Zb
となる。これより、
Zb=2Zw
とすれば、反射がゼロの状態となる。
Zb=2Zwとなるためには、εr2=22=4
となればよい。この値は、適当なプラスティックが該当する。なお、上記のインピーダンス整合の考え方で、スペーサ31を含む電波吸収体30の回路の減衰が十分大きければ、シュラウド3における反射の効果は考えなくてもよいことになる。
【0037】
このようにして、スペーサ31を設けることで、パラボラアンテナ1における空間インピーダンス整合特性を改善し、電波吸収特性を向上させ、サイドローブ特性を改善することができる。
【0038】
(第5の実施形態)
図15に示す変形例では、シュラウド3の内周面において、周方向に並べて設けられた複数の電波吸収体40は、その一端部40aが、前記周方向において隣接する他の電波吸収体40の他端部40bの上に重なるようにして配置されている。
【0039】
図16は、電波吸収体40の端部を重ねて配置した場合の説明図である。図16では、電波吸収体40の一端部40aと他の電波吸収体40の他端部40bとを重ねることで、電波吸収体40自身が斜めに配置されている。このため、入射波uiについては、図13と同様、電波吸収体40の一端部40aと他の電波吸収体40の他端部40bとを重ねることでシュラウド3との間に形成された空間において、入射波uiの一部が、電波吸収体40とシュラウドの3の間を多重反射して減衰していくことにより、全体としての電波吸収性能を改良することができる。また、電波吸収体40が、シュラウド3に近い場所では、図8(a)に示したのと同様にして、反射波fr2をキャンセルすることができる。また、電波吸収体40がシュラウド3から離れている場所では、図13(a)に示したのと同様、電波が電波吸収体30とシュラウドの3の間を多重反射して減衰していくことにより、全体としての電波吸収性能を改良することができる。
【0040】
(第6の実施形態)
図17に示す変形例では、電波吸収体50は、木片より構成され、シュラウド3の内周面において、その周方向に複数が設けられるとともに、電波の放射方向にも複数が並べて設けられている。そして、電波の放射方向において、互いに前後する電波吸収体50、50において、一方の電波吸収体50一端部50aが、他方の電波吸収体50の他端部50b上に重なるように配置されている。
この場合、電波吸収体50、50を重ねる方向としては、図17(a)に示すように、シュラウド3において、レフレクタ2側の電波吸収体50の一端部50aが、レフレクタ2から遠い側の電波吸収体50の他端部50b上に重なるようにしても良い。また、図17(b)に示すように、シュラウド3において、レフレクタ2から遠い側の電波吸収体50一端部50aが、レフレクタ2側の電波吸収体50の他端部50b上に重なるようにしても良い。
【0041】
(第1の実施形態の変形例:電波吸収体の構造の変形例)
次に、電波吸収体自体の変形例について示す。以下に示す変形例の電波吸収体60、70は、上記各実施形態で示した電波吸収体11、20、30、40、50に代えて用いることができるものである。
(第7の実施形態)
図18に示す変形例では、電波吸収体60に、その表面に複数の穴62が設けられている。
ここで、穴62を設けることにより、図1に示した、互いに隣接する電波吸収体10、10の間に間隔D1を隔てた場合と同様、穴62内の空隙により、斜入射特性の改善、および、インピーダンス整合特性の改善が図れる。その結果、パラボラアンテナ1におけるサイドローブ特性を改善することができる。
なお、穴62の形状は、正方形、長方形、三角形、多角形など任意の形状でよく、その最大開口寸法(開口径)を間隔D1に当てはめて考えれば良い。
【0042】
(第8の実施形態)
図19に示す変形例では、木片から形成された電波吸収体70の表面に、炭化層71が形成されている。この炭化層71は、電波吸収体70の表面を焦がして炭化させることで形成されている。
炭化層71は、粉状化して飛散する可能性があるため、塗装等により保護層を形成するのが好ましい。
炭化層71は、図19(b)に示すように、電波吸収体70の一方の表面のみに設けても良いし、図19(c)に示すように、電波吸収体70の両面に設けても良いし、また、図19(d)に示すように、複数枚の木片72を積層して電波吸収体70を形成し、木片72の任意の表面に炭化層71を形成しても良い。
【0043】
前記したように、電波吸収体70においては、厚さSを
S=(λ/4)×(1/(εr)0.5)
とすると、空間のインピーダンスZw、電波吸収体70のインピーダンスZaの関係が、
Za=Zw(εr)0.5=1.41Zw
となる。よって、空間とのインピーダンスとは完全に整合がとれている訳ではなく、若干Zaが大きい値となっている。このため、電波吸収体70の空間境界面において炭化層71を形成することで、抵抗率を小さくするができる。これにより、Za=Zwの状態に近づけることができる。したがって、電波吸収体70における電波の反射を少なくすることができ、電波吸収性を向上させることができる。その結果、パラボラアンテナ1におけるサイドローブ特性を改善することができる。
【0044】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、上記各実施形態で示した構成を組み合わせたり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 パラボラアンテナ
2 レフレクタ
3 シュラウド
4 一次放射器
10、20、21、30、40、50、60、70 電波吸収体
71 炭化層
72 木片
83 ピン(固定部材)
93 金具(固定部材)
93b 先端部(弾性変形部)
101 カバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上マイクロ波通信に用いられるパラボラアンテナに関し、特に、低サイドローブで安価なパラボラアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
地上マイクロ波通信に用いられるパラボラアンテナは、1対1、すなわち、POINT TO POINTの通信に用いられるため、対向する相手局以外の方向には、電波を極力放射しないようにする必要がある。そのため、アンテナ自身のサイドローブを低く抑える必要がある。
このため、図20に示すように、一次放射器201から放射される電波を反射するレフレクタ(パラボラ反射鏡)202の反射面202a側に、筒状のシュラウド203を設け、シュラウド203の内周面に電波吸収体204を貼り付ける構成がある。
【0003】
特許文献1には、電波吸収体204として、木炭粒子を樹脂バインダーによって固め、木炭層、スペーサ層、反射層から構成されたものが開示されている。
【0004】
特許文献2、3には、電波吸収体204として、木材チップと、導電性繊維、すなわちカーボンや金属片とを混合分散して、板状に成型したものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−141691号公報
【特許文献2】特開2004−128223号公報
【特許文献3】特開2005−167179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、電波吸収体として、木炭粒子をバインダーで固めているため、その作成にコストがかかる。
また、スペーサ層にスポンジやポリエチレンを用いており、その作成に手間がかかる。また、スペーサ層で損失になるものがなく、木炭層が薄いため、電波が木炭層に斜めに入射されたときの斜入射特性が良くないという問題がある。例えば、入射角度の15°異なるだけで減衰量が10dBも異なることがある。さらに構造的に、15GHz以上の周波数での高性能な吸収体の実現が困難と考えられる。
【0007】
また、特許文献2、3に記載の技術では、特許文献1に記載の技術と同様、木材チップと導電体繊維とをバインダーで固めているため、その作成にコストがかかる。また、特許文献2、3においては、5.8GHz帯の電波において10dB程度の減衰効果が認められるものの、具体的な使用状態での効果が不明確である。
【0008】
さらに、特許文献2、3に記載の電波吸収体は、スポンジ状または毛状(繊維状)であるため、シュラウドに確実に取付固定するのが難しい。また、スポンジ状または毛状の電波吸収体が時間の経過とともに劣化し、粉状になって飛散したり、ばらばらに破損したりする。すると、その粉や破片が反射鏡(レフレクタ)に付着し、電波の反射性能を劣化させることがある。また、シュラウドに設けられた電波吸収体が減ってしまうので、電波吸収特性が劣化し、サイドローブ特性が劣化する。
そこでなされた本発明の目的は、低コストでありながら、電波吸収特性および耐久性に優れるパラボラアンテナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明のパラボラアンテナは、電波を放射する一次放射器と、一次放射器で放射された電波を反射するパラボラレフレクタと、パラボラレフレクタの開口側の端部に設けられ、当該パラボラレフレクタにより電波を放射する方向に軸線を有した円筒状のシュラウドと、シュラウドの内周面に複数並べられ、木片からなる電波吸収体と、を備えることを特徴している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電波吸収体を木片により形成したので、長期の使用にともなって電波吸収体が損傷したり劣化したりしにくく、耐久性に優れ、電波吸収特性の劣化、サイドローブ特性の劣化を抑えることができる。しかも、木片は安価でその加工や取り扱いも容易であり、パラボラアンテナを安価に作成することができる。さらに、木片からなる電波吸収体は、シュラウドへの取り付けも容易かつ確実に行える。このようにして、低コストでありながら、電波吸収特性および耐久性に優れるパラボラアンテナを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態におけるパラボラアンテナの構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は反射面側から見た正面図である。
【図2】電波吸収体の取り付け方法の第一の例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は反射面側から見た正面拡大図である。
【図3】電波吸収体の取り付け方法の第二の例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は要部拡大図である。
【図4】電波吸収体の取り付け方法の第三の例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は要部拡大図、(c)はシュラウドの軸線方向における側面図である。
【図5】電波吸収体の取り付け方法の第四の例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は電波吸収体を収容するカバーの展開図、(c)は電波吸収体をカバー内に収容した状態を示す斜視図である。
【図6】シュラウドおよび電波吸収体の有無による電波の状況を示す図であり、(a)はシュラウド及び電波吸収体を備えないパラボラアンテナの例、(b)はシュラウド及び電波吸収体を備えたパラボラアンテナの例である。
【図7】本実施形態におけるパラボラアンテナの放射パターン特性の一例である。
【図8】電波吸収体に電波が入射したときの様子を示す図である。
【図9】電波吸収体を、間隔を隔てて配置したときの電波の吸収について説明する図である。
【図10】第2の実施形態におけるパラボラアンテナの構成を示す斜視図である。
【図11】第3の実施形態におけるパラボラアンテナの構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)、(d)は電波吸収体の断面形状を示す図である。
【図12】第4の実施形態におけるパラボラアンテナの構成を示す斜視図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
【図13】スペーサを設けた場合における、電波吸収体に電波が入射したときの様子を示す図である。
【図14】スペーサを全面に設けた場合における、電波吸収体に電波が入射したときの様子を示す図である。
【図15】第5の実施形態におけるパラボラアンテナの構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は反射面側から見た正面図である。
【図16】図15の構成における、電波吸収体に電波が入射したときの様子を示す図である。
【図17】第6の実施形態におけるパラボラアンテナの構成を示す図である。
【図18】電波吸収体の一例を示す斜視図である。
【図19】炭化層を設けた電波吸収体の例を示す図である。
【図20】従来のパラボラアンテナの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明によるパラボラアンテナを実施するための最良の形態を説明する。しかし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0013】
(第1の実施形態)
図1、本実施形態におけるパラボラアンテナ1の構成を示す図である。
この図1に示すように、パラボラアンテナ1は、凹面状の反射面2aを有して電波を反射するレフレクタ2と、レフレクタ2の反射面2a側に設けられ、レフレクタ2の外周部に連続して反射面2aからその反射方向に向けて延びる筒状で金属製のシュラウド3と、レフレクタ2の中央部に設けられ、電波を放射する一次放射器4と、電波吸収体10と、を備えて構成されている。
なお、図1に示した構成においては、パラボラアンテナ1は、シュラウド3の先端部の開口を塞ぐレドーム5を備えている。ただし、このレドーム5は必須ではなく、レドーム5が付加されていないパラボラアンテナ1もある。
【0014】
図1に示すように、電波吸収体10は、木材(材木)から切り出されたプレート状の木片であり、シュラウド3の内周面に沿って、その円周方向において複数が並べて配置されている。シュラウド3の円周方向において互いに隣接する電波吸収体10、10は、互いに密着していても良いし、間隔D1を隔てて配置されていても良い。一方、電波吸収体10の電波放射方向における長さは任意であるが、例えばシュラウド3の軸線方向における長さとすることができる。
なお、図1において、電波吸収体10が、シュラウド3の内周面の円周方向の一部のみに配置された構成となっているが、電波吸収体10は、全方位において電波の放射を防止する場合には、シュラウド3の内周面に円周方向全周にわたって設けることがより望ましい。
電波吸収体10は、木片より構成されるため、虫害や腐敗が問題となる可能性がある。このため、電波吸収体10に、くんじょう処理、塗装、またはその両方を予め施しておくのが好ましい。
【0015】
電波吸収体10をシュラウド3に取り付ける方法は、いかなる手法を用いても良いが、以下にその具体例を複数示す。
図2は、電波吸収体10の取り付け方法の第一の例を示している。
図2に示すように、電波吸収体10に穴81を設けておき、シュラウド3の電波吸収体10の取り付け箇所にも穴82を設けておく。そして、誘電体または金属より構成されるピン(固定部材)83を、シュラウド3の穴82及び電波吸収体10の穴81に貫通させ、その先端に、反対方向から止め具である、誘電体または金属より構成されるリング状のストッパ85を挿入し、ピン84に設けられている溝84aにはめ込んで固定する。すなわち、ストッパ85の内径は、ピン84の外径よりもわずかに小さく、このストッパ85を弾性変形させてピン84に挿入していき、溝84aに嵌め込む。なお、ピン83及びストッパ85は、ボルトとナット、ネジ等でも代用可能である。なお、電波の反射を抑制するという観点では、ピン83及びストッパ85は金属より誘電体で形成するのが好ましい。
【0016】
図3は、電波吸収体10の取り付け方法の第二の例を示すものである。
この図3に示すように、電波吸収体10には、穴81を設けておく。そして、シュラウド3の電波吸収体10の取り付け箇所に、L字状の金具(固定部材)91を取り付けておく。金具91の取り付け方法は、ビスとナット、リベット、半田付け、または溶接等による方法がある。このとき、金具91は幅が穴81の内径よりも小さくなるよう設定する。
そして、L字状の金具91を電波吸収体10の穴81に貫通させ、その先端91aを折り曲げて電波吸収体10に沿わせる。なお、電波の反射を抑制するという観点では、L字金具91は、金属よりも誘電体で形成するのが好ましい。
【0017】
図4は、電波吸収体10の取り付け方法の第三の例を示している。
この図4に示すように、電波吸収体10には、穴81を設けておく。そして、シュラウド3の電波吸収体10の取り付け箇所に、基端部93aがL字状で、先端部(弾性変形部)93bが鋭角に折り曲げられた金具(固定部材)93を、基端部93aにおいて取り付けておく。この基端部93aの取り付け方法は、ビスとナット、リベット、半田付け、溶接等による方法がある。先端部93bは、穴81よりも若干大きく広がるよう形成されている。
そして、金具93の鋭角に折り曲げられている先端部93bを、電波吸収体10の穴81に貫通させる。先端部93bは、穴81を貫通するときに、穴81の内周面に接触することで、弾性変形により若干内側に曲げられ、穴81を貫通後、開放されて穴81よりも広がるようになっている。これにより、電波吸収体10は、金具93から引き抜くことができなくなり、シュラウド3に固定される。このような金具93を用いることで、電波吸収体10を押し込むのみでワンタッチで形成することができる。なお、電波の反射を抑制するという観点では、金具93は、金属より誘電体で形成するのが好ましい。
【0018】
図5は、電波吸収体10の取り付け方法の第四の例を示している。
図5に示すように、電波吸収体10を、金属以外の布または誘電体のシート101aから形成された袋状のカバー101に収容する。ここでカバー101内は、糸で縫ったり、熱溶着、接着等によって形成された仕切り102により複数に区切られている。この仕切り102により、カバー101内に、複数個の電波吸収体10が、なるべく動かないようそれぞれ個別に収容されて、電波吸収体10、10の間隙が確保されている。
このようにして電波吸収体10を収容したカバー101は、シュラウド3の内側に貼り付け固定されている。この場合の固定は、接着、ビス及びナット、リベット、あるいは図2〜図4に示したのと同様の取付方法が採用可能である。なお、カバー101の構成、形成方法はいかなるものとしても良く、例えば1枚の大きな誘電体シートを2つ折にしてはさむようにしても良い。このようにしても、電波吸収体10をシュラウド3の内周面に固定できる。
【0019】
次に、上記したようなパラボラアンテナ1の電気的な動作原理及び特性について示す。
図6(a)に、比較対象として電波吸収体10およびシュラウド3を備えないパラボラアンテナとの断面図を示し、図6(b)に、電波吸収体10および電波吸収体10を貼り付けるシュラウド3を備えたパラボラアンテナ1の断面図を示している。
パラボラアンテナ1では、一次放射器4の先端部からレフレクタ2に向かって電波Wが放射される。レフレクタ2の曲面を回転方物面(パラボラ曲面)とすることで、一次放射器4からレフレクタ2に向かって放射された電波Wは、同じ位相で同じ方向に放射され、合成されて、高い利得を得ることができる。一方、一次放射器4から放射される電波Wは、なるべくレフレクタ2に照射するように設計されるが、図6(a)に示したように、シュラウド3が無い場合、電波Wd、Weのように、その一部が外側に漏れていく。これが、サイドローブとなり、アンテナの特性を劣化させる原因となっている。
これに対し、図6(b)に示すように、円筒状のシュラウド3を設け、この内側に電波吸収体10を貼り付けた本実施形態の構成では、レフレクタ2に向けた方向以外に放散された電波Wd、Weは、電波吸収体10に当たることで吸収されてしまう。これにより、サイドローブを抑えることができ、アンテナの特性を向上させる。
【0020】
図7は、本実施形態におけるパラボラアンテナ1の放射パターン特性の一例である。この放射パターンは、パラボラアンテナ1を、有効開口直径が約30cmの15GHz帯のものとしたときの、放射パターンオアターンの測定値である。偏波は、垂直偏波の方位方向を測定したものである。横軸は、角度、縦軸は、0°の値で正規化した相対レベルを示している。実線は、図1の構成において電波吸収体10として木片を用いた場合、破線10は電波吸収体10を備えないパラボラアンテナの場合である。また、ETSIと記載されている実線は、この種のアンテナに適用される放射パターンの規格であり、欧州標準規格のETSI EN 302 217に基づくものである。電波吸収体なしの場合は、ETSI規格に対して、マージンが約1dB程度であるが、木片を用いた本実施形態のパラボラアンテナ1においては、規格とのマージンが10dB程度となり、大きなサイドローブ低減効果が得られることがわかる。
【0021】
図8は、電波吸収体10の厚さSの最適値についての検討を説明するものである。図8(a)は、電波Wが、電波吸収体10に垂直に入射した場合である。この場合、入射した電波fiは、電波吸収体10の表面で反射されるfr1と、電波吸収体10の内部に入っていく電波ftに分けられる。電波ftは、電波吸収体10で減衰し、金属のシュラウド3で反射され、されに電波吸収体10で減衰し、反射波fr2として放射される。この場合、反射を最も小さくするためには、以下の方法がある。
1) 反射波fr1を小さくする。
2) 反射波fr1とfr2を逆位相にしてキャンセルする。
【0022】
図8の例では、上記2)の方法を適用することができる。すなわち、図8(a)において、木片の比誘電率をεrとするとき、木片の電波吸収体10の厚さSが、電波Wの周波数の波長λの約1/4であれば、電波ftは往復で1/2波長伝搬し、位相が180°回転し、トータルの結果として逆相となる。これにより、反射波fr2をキャンセルできる。この場合、
S=(λ/4)×(1/(εr)0.5)
とすればよい。(比誘電率εの誘電体中では、電波Wの波長は、1/(ε)0.5になる。)。
【0023】
図8(b)に示すように、電波吸収体10に対し、電波が斜めに入射する場合も同様である。電波吸収体10に斜めに入射した電波giは、電波吸収体10の表面で反射されるgr1と、電波吸収体10の内部に入っていく電波gtに分けられる。電波gtは、電波吸収体10で減衰し、金属のシュラウド3で反射され、されに電波吸収体10で減衰し、反射波gr2として放射される。この場合、スネルの法則より、入射角θi=反射角θrとなる。よって、反射波gtの伝搬は、2S‘=2S/cosθiとなる。したがって、この場合、
S=S’cosθi=(λ/4)×(1/(εr)0.5)×cosθi
とすればよい。電波吸収体10に電波が斜めに入射することを考慮するのは、θi=30°程度である。このとき、cosθi(θi=30°)は、0.866となり、したがって、電波吸収体10は図8(a)の場合に比較し、13.4%薄くてよいことになる。通常は、垂直入射との両方を考慮するので、13.4%の半分とし、約7%薄くするような選定も有効である。すなわち、
S=(λ/4)×(1/(εr)0.5)×(1−0.07)
となる。
上記は、入射角0度(垂直入射)〜入射角30度の間の入射電波の吸収を主に考え、両境界値で有効とするための設計である。
また、入射角0度(垂直入射)〜入射角45度までを考えるのであれば、θi=45°とし、このとき、cosθi(θi=45°)は、0.707となり、したがって、電波吸収体10は図8(a)の場合に比較し、29.3%薄くてよいことになる。上記同様に、垂直入射との両方を考慮すると、29.3%の半分とし、約14.7%薄くすればよいことになる。すなわち、
S=(λ/4)×(1/(εr)0.5)×(1−0.147)
となる。
ただし、上記のように、あまり広い角度範囲を狙って、Sの値を選んでも、中間値で、狙った角度範囲での十分な電波吸収特性が得られるとは限らない。これは、根本的原理が、S‘=λ/4が最良点であるからである。したがって、状況に応じては、必ずしも中間値を選ぶ必要なない。上式において電波吸収体の厚さの控除する割合をXとして、
S=(λ/4)×(1/(εr)0.5)×(1―X)
とするならば、上記の例では、Xの値は、0<X<0.147の範疇で最適値を選択すればよい。
基本的には、入射角0度について、最も大きな減衰を与えたいのであれば、S=λ/4とすべきであるし、入射角30度で、最も大きな減衰を与えたいのであれば、S=λ/4×0.866とすべきである。
【0024】
また、電波吸収体10を形成する木片の材質によって、電波吸収体10内での電波の減衰が非常に大きい場合は、電波吸収体10の厚さSはさらに薄くすることが可能となる。これは、上記1)の、反射波を小さくするという手法に相当する。
図8(c)において、電波の入射波hiに対して、反射波hrが最小になるためには、シュラウド3内の空間から電波吸収体10を見たときの入力インピーダンスZiが、空間インピーダンスZwとしたときに、
Zi=Zw
と等しくなればよい。ここで、
S=(λ/4)×(1/(εr)0.5)
と仮定すると、空間から電波吸収体10を見た入力インピーダンスZiは、電波吸収体10のインピーダンスをZa、シュラウド3のインピーダンスをZsとおくと、
Zi=Za2/Zs
となる。このとき、シュラウド3は金属板のため、Zs=0となり、Zi=∞となる。しかし、電波吸収体10での減衰が大きい場合は、シュラウド3まで電波が到達せず、Zs=Zaと見なせるため、
Zi=Za
となる。一般に、木片の比誘電率は、2前後であるため、
Za=Zw(εr)0.5=1.41Zw
となり、空間とのインピーダンス不整合は大きくない。さらに、このときの電波吸収体10上の電流分布は、図8(c)のように考えられ、電波の入射面で最大となり、電波吸収体10において大きな減衰が得られることになる。よって、電波吸収体10の減衰が比較的大きい場合には、電波吸収体10の厚さSは
S=(λ/4)×(1/(εr)0.5)
とする選択がよいことになる。この場合、電波吸収体10を薄くできるので、材料費用も節約できるというメリットがある。
【0025】
また、図1に示したように、互いに隣接する電波吸収体10、10の間に間隔D1を隔てると、斜入射特性の改善、および、インピーダンス整合特性の改善が図れる。以下、これについて説明する。
まず、斜入射の改善の観点について説明する。一般に、電波吸収体10は、空間からの斜入射に対して、媒質が異なることにより、斜入射になるほど反射しやすくなる。そのため、図9のように、互いに隣接する電波吸収体10、10を隔てておき、電波miのように、その隙間に斜入射波を入れ込み、その反射波mrを反対側の電波吸収体10の側面で吸収させることができる。このような手法が有効なのは、特に、電波吸収体10の厚さSが厚いときである。入射角θi以上の電波を抑制したい場合は、間隔D1は、
D1<2Stanθi
とすればよい。
【0026】
次に、インピーダンス整合特性の改善の観点で説明する。図8に示したように、
S=(λ/4)×(1/(εr)0.5)
とすると、
Za=Zw(εr)0.5=1.41Zw
となる。よって、Za=Zwに近づけるには、εr=1に近づければよい。したがって、図1における電波吸収体10、10の間に空気層を設けることで、電波吸収体10の配置されている層空間の平均的なインピーダンスは、Zaより下がることになる。これにより、Za=Zwにより近い状態となり、吸収性能は改善する場合がある。ただし、互いに隣接する電波吸収体10、10の間隙を過大に設けると、間隙部分における電波減衰が行われなくなる。
このようにして、互いに隣接する電波吸収体10、10の間隙D1は、所望の電波減衰が得られるように適宜調整するのが好ましい。
【0027】
上述したような構成によれば、シュラウド3の内周面に設ける電波吸収体10として木片を用いることで、長期の使用にともなって電波吸収体10が損傷したり劣化したりしにくく、耐久性に優れ、電波吸収特性の劣化、サイドローブ特性の劣化を抑えることができる。しかも、木片は安価でその加工や取り扱いも容易であり、パラボラアンテナ1を安価に作成することができる。さらに、木片からなる電波吸収体10は、シュラウド3への取り付けも容易かつ確実に行える。
また、電波吸収体10の形状、厚さを調整することで、電波吸収特性を向上させ、サイドローブ特性を改善することができる。このとき、電波吸収体10の形状や厚さは、電波吸収体10がブロック状の木片であるために、容易かつ低コストで調整することができる。
さらに、電波吸収体10の間隔D1を確保することで、電波の斜入射の反射特性を改善することができる。その結果、電波吸収特性を向上させ、サイドローブ特性を改善することができる。
【0028】
(第1の実施形態の変形例:電波吸収体の配置の変形例)
次に、上記第1の実施形態の変形例として、電波吸収体の配置の変形例を複数示す。以下に示す各変形例においては、上記第1の実施形態と異なる構成のみを説明するものとし、上記第1の実施形態と共通する構成については、その説明を省略している。
(第2の実施形態)
まず、図10(a)は、電波吸収体11を、シュラウド3の内周面に、その円周方向に間隔D1を隔てて配置するのに加え、パラボラアンテナ1における電波の放射方向(シュラウド3の軸線方向)に間隔D2を隔てて配置する構成としている。これにより、上記第1の実施形態で示した電波吸収体11を、パラボラアンテナ1における電波の放射方向に、複数に分割した構造とされている。これにより、上記第1の実施形態で示した電波吸収体10に対し、単位面積がより細かい電波吸収体11を配置した構成となっている。
【0029】
また、図10(b)においては、図10(a)に示したのと同様の大きさの電波吸収体11を、シュラウド3の内周面の円周方向において千鳥状に配置した構成としている。この構成においても、電波吸収体11は、シュラウド3の内周面において、その円周方向に間隔D1を隔て、電波の放射方向に間隔D2を隔てて配置されている。
【0030】
このように電波吸収体11が、電波の放射方向にも間隔D2を隔てて配置されることにより、シュラウド3の周方向に間隔D1を隔てる場合と同様、互いに隣接する電波吸収体10、10の隙間に斜入射波を入れ込み、その反射波mrを反対側の電波吸収体10の側面で吸収させるとともに、間隔D2の空間で電波減衰することで、電波を抑制できる。
【0031】
(第3の実施形態)
図11に示す例においては、電波吸収体20は、プレート状の木片を円弧状に形成し、シュラウド3の内周面に沿って貼り付けている。
図11に示すように、電波吸収体20は、シュラウド3の内周面に、円周方向に複数枚が並べて配置されている。ここでシュラウド3の内周面の周方向において互いに隣接するシュラウド3どうしは、間隔D1を隔てていても良いし、互いに突き合わされていても良い。
【0032】
このような電波吸収体20の断面図を図11(c)に示す。ここに示す電波吸収体20は、プレート状の木片を円弧状に湾曲させて形成したものである。
また、図11(d)に示すように、電波吸収体20は、木材の板の片面20aを曲面に加工し、他面20bを平面に加工して、全体としてカマボコ状とすることもできる。
電波吸収体21は、木材であるので、いわゆる成型だけでなく、削り、切り出し等の加工を容易に行える。
【0033】
(第4の実施形態)
図12に示す変形例では、電波吸収体30は、木片より構成され、その両端部30a、30bが、誘電体より構成されるスペーサ31を介してシュラウド3の内周面に設けられている。これにより、電波吸収体30は、スペーサ31を土台とし、スペーサ31の高さ分S2だけシュラウド3から浮かした状態で配置されている。この場合、スペーサ31は、部分的、離散的に用いられる場合もあれば、シュラウド3の内周面上に隙間なく、一様に貼られる場合もある。
スペーサ31の素材としては、電波吸収体30と同じ木片、その他に軽量なポリプロピレンなどのプラスティック材等を用いることができる。
【0034】
このように、スペーサ31を用いて電波吸収体30を取り付けた場合、図13(a)に示すように、スペーサ31を設けることで、電波吸収体30に入射した電波niが、電波吸収体30を減衰・透過して、透過波ntとなる。そして、高さS2のスペーサ31により形成された空間において、その一部が、電波吸収体30とシュラウドの3の間を多重反射して減衰していくことにより、全体としての電波吸収性能を改良することができる。
【0035】
また、図13(b)に示すように、スペーサ31の間隔D3及び電波吸収体30の間隔D4を調整することで、図9と同様、互いに隣接する電波吸収体30、30の間、スペーサ31、31の間に斜入射波を入れ込み、その反射波を隣接する電波吸収体30やスペーサ31の側面で吸収させるという原理で、斜入射反射特性を改善することができる。
なお、図13(a)(b)のいずれの場合でも、スペーサ31においても反射波を吸収させるため、スペーサ31は、木片を使用するのが有効である。
【0036】
さらに、図14に示すように、スペーサ31をシュラウド3の内周面全周に設ける場合、電波吸収体30の高さS及びスペーサ31の高さS2について、
S=S2=(λ/4)×(1/(εr)0.5)
とすると、スペーサ31、電波吸収体30だけを見たとき、電波吸収体30のインピーダンスZaおよびスペーサ31のインピーダンスZbと、空間から見た入力インピーダンスZiとの関係は、
Zi=Za2/Zb
となる。ここで、電波吸収体30には木片を使用するので、空間のインピーダンスZwに対する電波吸収体30のインピーダンスZaは、
Za=1.4Zw
となる。また、
Zi=Zw
が最良の状態であるから、
Zw=(1.4Zw)2/Zb
となる。これより、
Zb=2Zw
とすれば、反射がゼロの状態となる。
Zb=2Zwとなるためには、εr2=22=4
となればよい。この値は、適当なプラスティックが該当する。なお、上記のインピーダンス整合の考え方で、スペーサ31を含む電波吸収体30の回路の減衰が十分大きければ、シュラウド3における反射の効果は考えなくてもよいことになる。
【0037】
このようにして、スペーサ31を設けることで、パラボラアンテナ1における空間インピーダンス整合特性を改善し、電波吸収特性を向上させ、サイドローブ特性を改善することができる。
【0038】
(第5の実施形態)
図15に示す変形例では、シュラウド3の内周面において、周方向に並べて設けられた複数の電波吸収体40は、その一端部40aが、前記周方向において隣接する他の電波吸収体40の他端部40bの上に重なるようにして配置されている。
【0039】
図16は、電波吸収体40の端部を重ねて配置した場合の説明図である。図16では、電波吸収体40の一端部40aと他の電波吸収体40の他端部40bとを重ねることで、電波吸収体40自身が斜めに配置されている。このため、入射波uiについては、図13と同様、電波吸収体40の一端部40aと他の電波吸収体40の他端部40bとを重ねることでシュラウド3との間に形成された空間において、入射波uiの一部が、電波吸収体40とシュラウドの3の間を多重反射して減衰していくことにより、全体としての電波吸収性能を改良することができる。また、電波吸収体40が、シュラウド3に近い場所では、図8(a)に示したのと同様にして、反射波fr2をキャンセルすることができる。また、電波吸収体40がシュラウド3から離れている場所では、図13(a)に示したのと同様、電波が電波吸収体30とシュラウドの3の間を多重反射して減衰していくことにより、全体としての電波吸収性能を改良することができる。
【0040】
(第6の実施形態)
図17に示す変形例では、電波吸収体50は、木片より構成され、シュラウド3の内周面において、その周方向に複数が設けられるとともに、電波の放射方向にも複数が並べて設けられている。そして、電波の放射方向において、互いに前後する電波吸収体50、50において、一方の電波吸収体50一端部50aが、他方の電波吸収体50の他端部50b上に重なるように配置されている。
この場合、電波吸収体50、50を重ねる方向としては、図17(a)に示すように、シュラウド3において、レフレクタ2側の電波吸収体50の一端部50aが、レフレクタ2から遠い側の電波吸収体50の他端部50b上に重なるようにしても良い。また、図17(b)に示すように、シュラウド3において、レフレクタ2から遠い側の電波吸収体50一端部50aが、レフレクタ2側の電波吸収体50の他端部50b上に重なるようにしても良い。
【0041】
(第1の実施形態の変形例:電波吸収体の構造の変形例)
次に、電波吸収体自体の変形例について示す。以下に示す変形例の電波吸収体60、70は、上記各実施形態で示した電波吸収体11、20、30、40、50に代えて用いることができるものである。
(第7の実施形態)
図18に示す変形例では、電波吸収体60に、その表面に複数の穴62が設けられている。
ここで、穴62を設けることにより、図1に示した、互いに隣接する電波吸収体10、10の間に間隔D1を隔てた場合と同様、穴62内の空隙により、斜入射特性の改善、および、インピーダンス整合特性の改善が図れる。その結果、パラボラアンテナ1におけるサイドローブ特性を改善することができる。
なお、穴62の形状は、正方形、長方形、三角形、多角形など任意の形状でよく、その最大開口寸法(開口径)を間隔D1に当てはめて考えれば良い。
【0042】
(第8の実施形態)
図19に示す変形例では、木片から形成された電波吸収体70の表面に、炭化層71が形成されている。この炭化層71は、電波吸収体70の表面を焦がして炭化させることで形成されている。
炭化層71は、粉状化して飛散する可能性があるため、塗装等により保護層を形成するのが好ましい。
炭化層71は、図19(b)に示すように、電波吸収体70の一方の表面のみに設けても良いし、図19(c)に示すように、電波吸収体70の両面に設けても良いし、また、図19(d)に示すように、複数枚の木片72を積層して電波吸収体70を形成し、木片72の任意の表面に炭化層71を形成しても良い。
【0043】
前記したように、電波吸収体70においては、厚さSを
S=(λ/4)×(1/(εr)0.5)
とすると、空間のインピーダンスZw、電波吸収体70のインピーダンスZaの関係が、
Za=Zw(εr)0.5=1.41Zw
となる。よって、空間とのインピーダンスとは完全に整合がとれている訳ではなく、若干Zaが大きい値となっている。このため、電波吸収体70の空間境界面において炭化層71を形成することで、抵抗率を小さくするができる。これにより、Za=Zwの状態に近づけることができる。したがって、電波吸収体70における電波の反射を少なくすることができ、電波吸収性を向上させることができる。その結果、パラボラアンテナ1におけるサイドローブ特性を改善することができる。
【0044】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、上記各実施形態で示した構成を組み合わせたり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 パラボラアンテナ
2 レフレクタ
3 シュラウド
4 一次放射器
10、20、21、30、40、50、60、70 電波吸収体
71 炭化層
72 木片
83 ピン(固定部材)
93 金具(固定部材)
93b 先端部(弾性変形部)
101 カバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を放射する一次放射器と、
前記一次放射器で放射された電波を反射するパラボラレフレクタと、
前記パラボラレフレクタの開口側の端部に設けられ、当該パラボラレフレクタにより電波を放射する方向に軸線を有した円筒状のシュラウドと、
前記シュラウドの内周面に複数が並べて設けられ、木片からなる電波吸収体と、
を備えることを特徴とするパラボラアンテナ。
【請求項2】
前記電波吸収体が平板状であることを特徴とする請求項1に記載のパラボラアンテナ。
【請求項3】
前記電波吸収体が、前記シュラウドの内周面の曲面に沿わせた形状であることを特徴とする請求項1に記載のパラボラアンテナ。
【請求項4】
前記シュラウドの内周面にスペーサが設けられ、
前記電波吸収体が、前記スペーサを介して前記シュラウドに設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のパラボラアンテナ。
【請求項5】
前記シュラウドの内周面において、その周方向に前記電波吸収体が複数設けられ、
前記シュラウドの前記周方向において互いに隣接する前記電波吸収体どうしのうち、一方の前記電波吸収体の端部が、他方の前記電波吸収体の端部上に重なって配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のパラボラアンテナ。
【請求項6】
前記シュラウドの内周面において、当該シュラウドの軸線方向に前記電波吸収体が複数設けられ、
前記シュラウドの前記軸線方向において互いに隣接する前記電波吸収体どうしのうち、一方の前記電波吸収体の端部が、他方の前記電波吸収体の端部上に重なって配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のパラボラアンテナ。
【請求項7】
前記シュラウドの内周面において、その周方向に前記電波吸収体が複数設けられ、
前記シュラウドの前記周方向において互いに隣接する前記電波吸収体どうしが、定められた間隔を隔てて周期的に配置されていることを特徴とする請求項1から4および6のいずれか一項に記載のパラボラアンテナ。
【請求項8】
前記シュラウドの内周面において、当該シュラウドの軸線方向に前記電波吸収体が複数設けられ、
前記軸線方向において互いに隣接する前記電波吸収体どうしが、定められた間隔を隔てて周期的に配置されていることを特徴とする請求項1から5および7のいずれか一項に記載のパラボラアンテナ。
【請求項9】
前記電波吸収体の厚さSが、当該電波吸収体の比誘電率をεrとし、前記一次放射器から放射される電波の波長をλとしたとき、
S=(λ/4)×(1/(εr)0.5)
を満たすことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のパラボラアンテナ。
【請求項10】
前記電波吸収体について、電波の吸収を調整してサイドローブ特性を最良にするために、前記電波吸収体の厚さを、当該電波吸収体の比誘電率、及び電波の波長を考慮して、調整したことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のパラボラアンテナ。
【請求項11】
前記電波吸収体に、穴が複数形成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のパラボラアンテナ。
【請求項12】
前記電波吸収体において、少なくとも前記シュラウドの内方に対向する側の表面に炭化層が形成されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のパラボラアンテナ。
【請求項13】
前記電波吸収体が、複数枚のプレート状の前記木片を積層することで形成され、
複数枚の前記木片の表面の少なくとも一面に前記炭化層が形成されていることを特徴とする請求項12に記載のパラボラアンテナ。
【請求項14】
前記炭化層が、前記木片を焦がすことで形成されていることを特徴とする請求項12または13に記載のパラボラアンテナ。
【請求項15】
前記電波吸収体が、前記シュラウドの内周面に、固定部材により固定されていることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載のパラボラアンテナ。
【請求項16】
前記電波吸収体に取付穴が形成され、
前記固定部材は、前記取付穴よりも外径寸法が大きく、当該固定部材が前記取付穴を貫通するときに前記貫通孔との接触により弾性変形する弾性変形部を有することを特徴とする請求項15に記載のパラボラアンテナ。
【請求項17】
前記電波吸収体が、布または誘電体からなるカバーに収容され、
前記カバーが前記シュラウドの内周面に固定されていることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載のパラボラアンテナ。
【請求項1】
電波を放射する一次放射器と、
前記一次放射器で放射された電波を反射するパラボラレフレクタと、
前記パラボラレフレクタの開口側の端部に設けられ、当該パラボラレフレクタにより電波を放射する方向に軸線を有した円筒状のシュラウドと、
前記シュラウドの内周面に複数が並べて設けられ、木片からなる電波吸収体と、
を備えることを特徴とするパラボラアンテナ。
【請求項2】
前記電波吸収体が平板状であることを特徴とする請求項1に記載のパラボラアンテナ。
【請求項3】
前記電波吸収体が、前記シュラウドの内周面の曲面に沿わせた形状であることを特徴とする請求項1に記載のパラボラアンテナ。
【請求項4】
前記シュラウドの内周面にスペーサが設けられ、
前記電波吸収体が、前記スペーサを介して前記シュラウドに設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のパラボラアンテナ。
【請求項5】
前記シュラウドの内周面において、その周方向に前記電波吸収体が複数設けられ、
前記シュラウドの前記周方向において互いに隣接する前記電波吸収体どうしのうち、一方の前記電波吸収体の端部が、他方の前記電波吸収体の端部上に重なって配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のパラボラアンテナ。
【請求項6】
前記シュラウドの内周面において、当該シュラウドの軸線方向に前記電波吸収体が複数設けられ、
前記シュラウドの前記軸線方向において互いに隣接する前記電波吸収体どうしのうち、一方の前記電波吸収体の端部が、他方の前記電波吸収体の端部上に重なって配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のパラボラアンテナ。
【請求項7】
前記シュラウドの内周面において、その周方向に前記電波吸収体が複数設けられ、
前記シュラウドの前記周方向において互いに隣接する前記電波吸収体どうしが、定められた間隔を隔てて周期的に配置されていることを特徴とする請求項1から4および6のいずれか一項に記載のパラボラアンテナ。
【請求項8】
前記シュラウドの内周面において、当該シュラウドの軸線方向に前記電波吸収体が複数設けられ、
前記軸線方向において互いに隣接する前記電波吸収体どうしが、定められた間隔を隔てて周期的に配置されていることを特徴とする請求項1から5および7のいずれか一項に記載のパラボラアンテナ。
【請求項9】
前記電波吸収体の厚さSが、当該電波吸収体の比誘電率をεrとし、前記一次放射器から放射される電波の波長をλとしたとき、
S=(λ/4)×(1/(εr)0.5)
を満たすことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のパラボラアンテナ。
【請求項10】
前記電波吸収体について、電波の吸収を調整してサイドローブ特性を最良にするために、前記電波吸収体の厚さを、当該電波吸収体の比誘電率、及び電波の波長を考慮して、調整したことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のパラボラアンテナ。
【請求項11】
前記電波吸収体に、穴が複数形成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のパラボラアンテナ。
【請求項12】
前記電波吸収体において、少なくとも前記シュラウドの内方に対向する側の表面に炭化層が形成されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のパラボラアンテナ。
【請求項13】
前記電波吸収体が、複数枚のプレート状の前記木片を積層することで形成され、
複数枚の前記木片の表面の少なくとも一面に前記炭化層が形成されていることを特徴とする請求項12に記載のパラボラアンテナ。
【請求項14】
前記炭化層が、前記木片を焦がすことで形成されていることを特徴とする請求項12または13に記載のパラボラアンテナ。
【請求項15】
前記電波吸収体が、前記シュラウドの内周面に、固定部材により固定されていることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載のパラボラアンテナ。
【請求項16】
前記電波吸収体に取付穴が形成され、
前記固定部材は、前記取付穴よりも外径寸法が大きく、当該固定部材が前記取付穴を貫通するときに前記貫通孔との接触により弾性変形する弾性変形部を有することを特徴とする請求項15に記載のパラボラアンテナ。
【請求項17】
前記電波吸収体が、布または誘電体からなるカバーに収容され、
前記カバーが前記シュラウドの内周面に固定されていることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載のパラボラアンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−142504(P2011−142504A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1985(P2010−1985)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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