説明

パルス化された加熱処理の間に熱収支を最適化する方法

パルス化された加熱処理の間に熱収支を最適化する方法が開示されている。ヒートシンク板または熱移動板は、物体、例えば半導体ウェーハの付近に構成されかつ位置し、熱処理に掛けられる。ヒートシンク板は、物体からの熱伝導率を増大させるために構成されており、したがってこの物体は、エネルギーパルス後にピーク温度から急速低下される。高熱伝導性材料は、板と物体との間に位置していてよい。板は、突起、リブ、ホール、凹所および他の非連続部を有することができ、熱移動を増大させ、熱サイクル中の物体への物理的損傷を回避させる。付加的に、板の光学的性質は、板からのエネルギー測定による温度測定のために選択することができるかまたはエネルギーパルスに対する異なる熱応答を提供するために選択することができる。この板は、ウェーハを予熱することもできるし、活性的に冷却することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
他の出願とのクロス・リファレンス
本願は、2005年6月1日に出願された暫定的な米国特許出願第60/686506号明細書を優先権とする特許保護を請求するものであり、この暫定的な特許出願は参考のために引用されている。
【0002】
発明の背景
半導体デバイスの製造は、材料特性の正確な制御を必要とする。このようなデバイスの製造は、しばしば、半導体材料の制御された加熱を含む。例えば、製造過程中に、半導体ウェーハ(および他のデバイス)は、イオン注入法またはウェーハを不純物でドープする方法に掛けることができる。イオンが注入された後、ウェーハの結晶格子構造は、ウェーハを高温に加熱することによって焼鈍される。熱処理を利用する他の典型的な方法は、被膜層の成長および付着、結晶化、および相変換法を含む。
【0003】
しかし、殊に高温での熱処理は、多くの望ましくない副作用を有しうる。例えば、焼鈍処理において、高温は、予測不能かまたは望ましくない半導体特性をまねくであろうドーパント原子の望ましくない拡散をまねきうる。このような拡散は、任意の熱処理工程の経過中に起こりうるけれども、当該拡散は、エネルギーパルスがウェーハの熱処理に使用される場合に殊に問題となりうる。
【0004】
基板の厚さを通して熱を拡散させる必要がある時間に対して、エネルギーパルスが短い時間尺度に亘ってウェーハに搬送された場合には、ウェーハの表面は、反対側の表面よりも実質的に熱くなるであろう。厚さが775μmまでである典型的なシリコンウェーハに関しては、800℃までの温度で、パルスが20ミリ秒までの時間である際に、エネルギーがウェーハの表面よりも200μm未満の下方である領域内で吸収される場合に、このような表面加熱が達成される。長い作用のためには、エネルギーは、表面から20μm未満内で吸収され、パルスは、典型的には5ミリ秒未満の時間であるべきである。
【0005】
パルスからのエネルギーが吸収された直後に、熱は、ウェーハの厚さを通して拡散し、結果としてウェーハの平均温度を上昇させる。この温度上昇は、ウェーハの厚さを通しての熱拡散速度によって定義される時間尺度に亘って起こり、この場合この熱拡散速度は、典型的に300mmの直径のウェーハの場合に厚さが775μmであるウェーハに対して800℃で典型的には50ミリ秒までである。それ故に、パルス化された加熱は、むしろウェーハ全体の温度の急速な上昇を生じる。ウェーハ温度のその後の展開は、ウェーハの表面から周囲への熱損失の性質に依存する。例えば、ウェーハの裏面がヒートシンクと熱的に接触されて維持される場合には、熱は、ウェーハとヒートシンクとの間の間隙を通じてヒートシンクに導出されうる。また、ウェーハが2、3箇所の位置で支持され、隣接して冷却器表面が存在しない場合には、熱は、該表面から対流または伝導によってウェーハを包囲する周囲のガス中に失われる可能性があり、および熱放射の放出によって失われる可能性もある。
【0006】
熱が表面からウェーハ本体中に失われる速度は、典型的には極めて高速である。それというのも、固体内での熱伝導は、極めて急速であり、熱移動の効率的な機構であるからである。これとは異なり、ウェーハ表面からの熱移動は、殆んど不可避的にウェーハ表面から周囲媒体中への熱伝導を妨害する熱接触抵抗を含むかまたは対流または放射の比較的に非効率的な熱移動機構を含む。結果として、ウェーハ本体は、パルス後に昇温傾向を有し、ウェーハ内の繊細な構造の熱照射量(ときどき、熱収支と呼称される)は、望ましくない程度に増加されうる。このような熱照射量は、有害な作用、例えばウェーハ中に導入されたドーパント種の過度の導入拡散を有しうる。結果として、ウェーハの熱照射量を制限する改善された方法を特定することが必要とされる。
【0007】
しばしば、ウェーハ表面のパルス化された加熱処理をエネルギーパルスの適用前にウェーハを予熱する、バックグラウンドヒーティングと呼ばれる加熱からの第2の加熱処理と組み合わせることが望ましい。典型的にはこのような加熱は有用である。それというのも、よりいっそう低いエネルギーパルスの使用は、パルス化された加熱処理に晒されるウェーハの側面の任意の望ましい加熱度を達成することが可能である。また、パルス化された加熱処理と関連した温度パルスの大きさは、減少され、ウェーハ内で減少された応力を生じ、ならびにウェーハ表面へのエネルギーパルスの搬送の点で不均一性に関連した加熱処理の任意の不均一性の大きさを減少させる。このウェーハ表面へのエネルギーパルスの搬送の点で不均一性に関連した加熱処理の任意の不均一性の大きさを減少させるという後者の例は、パルス化された加熱処理に晒される表面を横切って組成の点で変動する材料でウェーハを被覆する場合に生じる。このような不均一な被覆がエネルギーパルスに晒される場合には、生じる温度の不均一性の大きさは、エネルギーパルスの減少の大きさとして減少する。更に、ウェーハを予熱するための能力は、所定の値までのバックグラウンド温度のランピングの可能性、ひいては表面加熱のエネルギーパルスの適用を含めてよりいっそう高度な加熱サイクルの設計を可能にする。パルス化後、バックグラウンドヒーティングは、減少されることができ、ウェーハは、冷却することができる。種々の方法が米国特許第6849831号明細書および米国特許第6594446号明細書中に記載されている。
【0008】
表面加熱のパルス化後にウェーハを急速に冷却する能力は、熱への暴露を減少させるために明らかに重要である。熱への暴露を制限し、かつ冷却を改善する方法は、米国特許第6594446号明細書、米国特許第5561735号明細書、2003年7月28日に出願された米国特許第10/629400号明細書、2003年11月12日に出願された米国特許第10/706367号明細書、2003年8月22日に出願された米国特許第10/646144号明細書および2000年3月17日に出願された米国特許第09/527873号明細書中に記載されている。
【0009】
発明の要約
1つの物体を熱処理する方法は、1つの物体を熱処理チャンバー内に準備し、熱移動板が該物体の熱質量の約3倍以下である熱質量(即ち、熱容量)を有する程度に熱移動板を配置することを含む。熱移動板は、物体との隣接した熱伝達状態で位置し、予熱後に、該物体は、約1秒未満の時間で少なくとも1つのエネルギーパルスを物体に向けることによって加熱される。この熱移動板は、パルスが熱伝導によって停止された後に物体からの熱移動を増加させ、物体だけを放射冷却する場合に有効である熱移動よりも物体からの大きな熱移動を可能にする。1つの実施態様において、熱移動板は、物体の近似的な熱質量以下である熱質量を有する。
【0010】
本明細書中でヒートシンクとも呼称される熱移動板は、材料、例えば珪素、炭化珪素、窒化珪素、二酸化珪素、酸化アルミニウム、サファイア、石英、窒化アルミニウム、窒化硼素、オキシ窒化アルミニウム、黒鉛、炭素、ダイヤモンド、イットリウムアルミニウムガーネットまたはセラミックおよび金属を含む他の適当な材料を有することができる。
【0011】
前記物体は、ランプのパルス配列、レーザーでの走査または他の適当な加熱方法論によって加熱されうる。熱移動板は、物体が直接に熱移動板上に静止するかまたは該板と物体の表面が互いにほぼ平行であり、かつ間隙を定義するように位置していてよい。1つの実施態様において、間隙距離は、約0.2mm未満である。
【0012】
前記物体の冷却は、1つの物質を熱移動板と物体との間に配置することによって遙かに強化させることができ、この場合この物質は、1つの実施態様においてガスである。好ましくは、このガスは、高い熱伝導率を有し、例えばヘリウムを有することができる。
【0013】
幾つかの実施態様において、異なる物質は、物体と熱移動板との間の熱結合度が熱処理工程中に差を生じるように間隙中に搬送されてよい。
【0014】
熱移動板は、例えば予熱過程の一部としての熱移動板からの熱の放出によって物体を予熱することにより、処理工程の他の部分に使用されることができる。
【0015】
熱移動板は、付加的な特徴、例えば直径が約2mm未満である複数のホール、または有利に熱処理への使用に関連して熱拡散長さより短い、板表面内の非連続部、例えばスリット、リブ、凹所、突起およびホールを有することができる。更に、前記板の表面は、模様を付けることができ、さらに前記板と物体との間の熱移動を増加させることができる。
【0016】
熱移動板は、多重片または多重部材で構成されていてよく、多種多様の材料またはその組合せを有することができる。1つの実施態様において、前記板は、物体からの熱移動を最適化するために選択された温度で相変化を受ける材料を含むように構成されていてよい。
【0017】
更に、処理工程は、活性の判断基準によって冷却を増大させること、例えば冷却ガスを単独でかまたは組み合わせた物体または熱移動板に方向を向けることを含むことができる。
【0018】
熱処理工程の一部として、物体の温度は、物体および/または熱移動板から放出され、反射され、伝達される、またはさもなければ測定されるエネルギーを監視することによって直接的または間接的に監視されうる。このような監視は、光学センサー、例えば高温計の使用を含むことができる。
【0019】
チャンバー内で物体を熱処理するためのシステムは、開示されており、このシステムは、物体、例えば半導体ウェーハの表面にエネルギーパルスを向けるために配置された加熱装置を含む。エネルギーは、ランプ配列または走査エネルギー源、例えばレーザーを利用することにより形成されうる。また、このシステムは、物体の表面と平行に位置した熱移動板を含み、この板は、物体の熱質量の約3倍以下の熱質量を有する。他の実施態様において、前記板の熱質量または熱容量は、物体の近似的な熱質量以下である。前記物体は、直接に板上静止させることができるか、または定義された間隔で板から離れて間隔を置くことができ、間隙間隔は、約0.2mm未満である。
【0020】
この間隙は、部分的または全体的に、物体とヒートシンクとの間で熱移動速度を増加させるために選択された物質、例えば高い熱活性を有するガスで充填させることができる。間隙中に搬送されるかかるガスは、ヘリウムであることができる。
【0021】
更に、このシステムは、物体を予熱するために配置された付加的な熱源を有することができる。付加的な熱源は、幾つかの実施態様において、熱を発生させかつ放出させるために配置された熱移動板であることができるか、またはこの板を介して間接的に物体を予熱する別々の源を有することができる。
【0022】
更に、このシステムは、測定デバイスを含むか、または物体および/または熱移動板から放出され、伝達され、反射され、伝達される、またはさもなければ物体および/または熱移動板に関連したエネルギーに基づく物体の温度を監視するために配置されたデバイスを含む。
【0023】
物体を熱処理するための実施態様は、パルス化されたエネルギー源を用いて半導体ウェーハを処理するために適用することができ、規定された熱質量および/または他の定義された熱特性を有するヒートシンクまたは熱移動板の選択および代替によって特殊な熱プロフィールを達成することができる。このような方法は、半導体ウェーハを急速熱処理チャンバー中に置き、このウェーハを予熱し、および半導体ウェーハの平均温度がまさにパルス以前のウェーハの平均温度(T1)とパルスが停止した後のウェーハの最大平均温度(T2)との温度差ΔTによって増加されるように、前記ウェーハを約1秒未満の少なくとも1つのエネルギーパルスに晒すことを含む。パルス後のウェーハからの熱移動は、別の方法で冷却が達成されうることを超えて増大される。このような増大は、ウェーハとの隣接した熱伝達状態で熱移動板を置くことによって得られる。前記板は、ウェーハの熱質量の約3倍以下の熱質量を有するように配置されていてよく、ウェーハの平均温度が1.0秒内でΔTの値の少なくとも50%でT2から減少するように適当に配置されていてよくかつ位置していてよい。
【0024】
1つの実施態様において、T1は、少なくとも約600℃であることができ、ΔTは、少なくとも50℃であることができる。他の実施態様において、ウェーハの温度は、0.5秒内でΔTの50%減少し、さらになお他の実施態様において0.3秒内で減少する。
【0025】
発明の詳細な説明
更に、本発明の実施態様が詳細に参照され、この実施態様の1つ以上の例は、添付図に示されており、この場合類似した数字は、実質的に同一の構造要素を表わす。それぞれの例は、説明されているが、これに限定されるものではない。実際に、当業者にとって、変更および変法は、開示および請求項の範囲または精神を逸脱することなく作製しうることは、明らかなことである。例えば、1つの実施態様の一部として説明されるかまたは記載される特徴は、別の実施態様に使用されることができ、なお他の実施態様を生じる。従って、本明細書中に開示された発明は、係属された請求項の範囲内の記載された変更および変法ならびにそれらの等価のものを含む。
【0026】
幾つかの方法は、パルス化された表面加熱サイクルの間に熱収支をよりいっそう正確に制御するという記載内容の点で重要である。前記方法は、パルス化された加熱がどのようにして実現されるのかに拘わらず有用であり、それ故に、この方法は、幅広い範囲の熱源、処理モードおよび加熱構造と組み合わせて使用されることができる。例えば、前記方法は、ランプ、レーザー、他の電磁的エネルギー源(例えば、RP、マイクロウェーブ、ミリメートルウェイブ、THz放射線源)、粒子線、ガス流、プラズマ、火炎、化学反応、相変換等からのエネルギーでのパルス化された加熱処理に適用されることができる。例えば、エネルギーは、ウェーハ表面の全表面または表面の選択された領域に適用されることができる。このエネルギーは、ウェーハ表面を横切るようにエネルギー源を走査することによって加えることもできるし、局在化された領域内でウェーハを一連のパルスに晒すことによって加えることもできる。パルス時間は、10-15秒〜1秒の範囲であることができ、この場合典型的な適用は、10マイクロ秒〜10ミリ秒の時間でのパルスを含む。ウェーハ表面のピーク温度は、50℃〜2000℃であり、この場合典型的な適用は、900℃〜1400℃の処理を含む。
【0027】
ウェーハからの熱移動の効率は、多種多様の手段によって増加させることができる。例えば、ウェーハが所定の温度で維持されているヒートシンクに隣接して保持されている場合には、ウェーハと前記ヒートシンクとの間の伝導熱移動は、ウェーハとヒートシンクとの間の高い熱伝導率を有する材料を導入することによって改善されうる。例えば、良好な熱結合は、金属元素または合金によって導入されうる。これは、殊にウェーハ表面とヒートシンク表面との間の空間内を充填するために軟質で簡単に変形される材料にとって確かなことであり、こうしてウェーハまたはヒートシンクの任意の表面粗さまたは非平坦性に適応できる。同様の利点は、問題にしている温度で液体である材料を用いることにより生じる。改善された熱接触面は、圧力をウェーハまたはヒートシンクに加えることによって達成されてもよく、よりいっそう緊密な接触に押し込まれる。このような圧力は、機械的締め付け、慣性力、静電締め付け、またはガス圧または真空チャックによって生じうる。
【0028】
前記の方法は、伝導熱移動を改善しうるが、しかし、幾つかの問題を生じる。例えば、ウェーハとヒートシンク、例えば液体または軟質金属との間の熱移動を改善しうる最善の固体または液体の多くは、ウェーハと反応する傾向にあるかまたは望ましくない不純物で汚染される傾向にある。更に、殆んどの材料は、清浄化処理で除去されなければならない或る程度の残留物を処理後にウェーハの裏面または端面に留めうる。清浄剤材料、例えばエラストマー材料は、ウェーハ上に殆んど汚染物を留めないことを見出すことができるが、前記エラストマー材料を使用する際の温度範囲は、幾つかの用途に対してかなり制限されていてよい。
【0029】
下記によりいっそう詳細に議論された1つの選択的方法は、熱を移動させるためにガスを使用することである。例えば、高い熱伝導率のガス、例えば約0.1Wm-1-1より大きい伝導率を有するガスを間隙中に導入することによって、改善された熱移動の幾つかの利点は、保持されうる。適当なガスは、He、H2、D2およびその混合物を含むことができる。よりいっそう低い熱伝導率のガス、例えばN2、O2、H2O、D2O、NH3、N2O、NO、HCl、SiH4、Si26、GeH4、CH4、CF4、C26、C22、C24、C38CO2、CO、NF3、Ne、Ar、KrおよびXeを含めて他のガスは、例えば混合物で前記混合物の熱伝導率を制御するために使用されてもよいし、熱移動条件を"切り換え"てウェーハ温度を調節するために使用されてもよい。ガスは、ウェーハと前記板との間またはウェーハとチャンバーとの間の熱移動条件に影響を及ぼすために使用されてよいが、しかし、このガスは、ウェーハの処理を補助するために使用されてもよい。例えば、前記ガスは、酸化、窒化、珪化、化合物形成、被膜の付着、腐蝕、再流動、焼鈍、改変表面トポグラフィー等を補助するために使用されることができる。また、前記ガスは、ウェーハの清浄化の補助に使用されてもよく、さらに処理チャンバー内の他の成分の清浄化の補助に使用されてもよい。前記ガスは、反応して水蒸気を形成しうる混合物、例えばO2およびH2、または例えば化学蒸着によって被膜の付着を促進しうる混合物を含めて混合物で使用されることができる。
【0030】
例えば100ppb〜10%のO2の僅かな濃度は、例えば極めて薄手の酸化物層を形成させるかまたは熱腐蝕またはウェーハ表面からのドーパント損失を回避させることによって、高温処理中の表面反応の制御に役立つように第2のガス、例えばN2またはArと組み合わせることができる。前記ガスは、放射エネルギーまたは電磁エネルギーを処理環境に搬送することによって形成される化学的に反応性の種と組み合わせてもよい。例えば、放射線またはイオンは、UV線によってかまたはプラズマを発生させることによって形成されてよい。チャンバー内のガスは、高められた圧力(例えば、10気圧)、大気圧または減圧、例えば0.1Torr程度に低く減少された圧力であることができる。しかし、ガス中の熱伝導は、〜1Torr未満での圧力では非効率になり、本明細書中に記載された方法は、この圧力を上廻り最も効率的になるであろう。ガス、その混合物および圧力は、パルス化された加熱処理中の熱変形の経歴に関連して最善の機械制動または緩衝作用を提供するために最適化されてもよい。例えば、これは、ガスまたはガス混合物の最適な密度および粘度を選択することによって行われてよい。
【0031】
ヒートシンクそれ自体は、熱伝導性材料、例えば金属、半導体またはセラミック、例えばSiCから形成されていてよい。高い熱伝導性は、ヒートシンクの表面を横切る温度を均一にするのに役立ち、それ故にウェーハを横切るよりいっそう均一な温度分布を導く。我々は、"ヒートシンク"に言及するけれども、ヒートシンクも上記したようなバックグラウンド加熱を提供するための熱源として作用しうる。この記載内容において、ヒートシンク作用は、パルス化された加熱処理によって導入された熱の吸収によりいっそう関連し、別の方法でウェーハの温度を上昇させる。ヒートシンクは、加熱要素、例えば抵抗加熱要素を含むことができ、この抵抗加熱要素は、ヒートシンクの温度均一性を調整するのに望ましい場合には、別々に独立に制御可能な帯域に配置されていてよい。更に、制御可能な方法でヒートシンク構造から大量の熱を抽出することが望ましい場合には、ヒートシンクは、冷却チャンネルを含むこともできる。ヒートシンクは、温度パターンの最適な制御およびヒートシンク構造の熱応答のために加熱チャンネルおよび冷却チャンネルの双方を含むことができる。ヒートシンクは、ウェーハ支持体を改善するための要素、例えば流動ガスまたは引抜真空のための一連の通路を含むこともできる。このような通路によるガスの流れまたは真空の適用は、必要な場合には、ウェーハ支持体で補助することができる。更に、ヒートシンクは、静電チャックまたは他の締付手段を含むことができる。
【0032】
ウェーハからの熱移動の最適化は、他の方法で有用であることもできる。ウェーハがウェーハ表面を横切って走査されるエネルギービームの使用によって処理される場合に出くわす1つの困難な問題は、ウェーハの端縁での熱不連続性のために生じる。走査されたビームが避けがたいこととして、ウェーハ表面と平行に側方の温度勾配を発生させるので、常にこの方向に或る程度の側方の熱が存在する。結果として、ビームがウェーハの端縁に接近した場合には、端縁付近に熱の"パイルアップ"が存在し、これは、極めて大きな温度不均一性またはさらにウェーハの損傷をまねきうる。これを改善するための1つの方法は、ウェーハの端縁に対する走査を回避すること、または放射線照射から端縁をマスクすることであるが、しかし、この方法は、均一性を崩壊しうるかまたは処理されうる領域を制限しうる。別の方法は、走査速度を増加することであり、したがって熱流は、熱流を支配するウェーハ厚さによって熱伝導を有するよりいっそう"一次元"パターンになる。1−D熱流レジームで操作を保証するための1つの判断基準は、操作ビームの停止時間がビーム幅に亘っての側方の拡散時間より著しく短いことを保証することができる。幅2bのビームおよびVの走査速度のために、停止時間は、τ〜2b/Vである。前記ビーム幅を横切る熱拡散のための時間は、(2b)2/Dwとして評価されることができ、Dwは、問題にしているバックグラウンド温度でのウェーハの熱拡散率である。それ故に、我々は、判定基準τ>>(2b)2/wに到達する。これは、停止時間に対する最小走査速度に関連する判定基準、V>>(Dw/τ)1/2として作り直されてもよい。〜800℃での珪素、Dw〜10-52/秒、即ち1ミリ秒での加熱処理のために、Vは、〜10cm/秒を上廻るべきである。判定基準は、任意の記載されたビーム幅のための走査速度に対する判定基準として述べられてもよい。10μmのビーム幅のためには、Vは、100cm/秒を上廻るべきであり、これに反して200μmのビーム幅のためには、5Vは、5cm/秒を上廻るべきである。処理に使用される多くのビームは、先鋭な端縁を有することができず、例えばガウス強度プロフィール(Gaussian intensity profile)を有することができる。このような場合には、ビーム幅は、ビームエネルギーの大部分を含む領域として定義されることができる。ガウスビームに関連して、このガウスビームは、例えば強度幅1/eまたは強度幅1/e2であることができる。比較的に高い走査速度および/またはビーム幅は、約1−Dの熱流パターンで使用されるけれども、同じピーク温度の上昇を達成させるために、よりいっそう高い走査速度またはビーム幅の使用には、よりいっそう高いビーム力が必要であるという損失が存在する。これは、実用的でないかまたは走査で網羅されうる領域の寸法が制限されうる。他の選択可能な方法は、本明細書中で議論されているようなウェーハからの熱移動を増加させるという概念を開発することである。
【0033】
この開発は、殊に、ウェーハの端縁付近での過熱傾向を減少させるために端縁領域からの熱移動を増加させるのに有用である。例えば、ウェーハが予熱を提供するのにも役立つヒートシンク上で保持される場合には、ヒートシンク中の温度分布および熱流は、ビームがさもなければ加熱を引き起こす位置でウェーハの端縁での冷却の機能拡張を調整することができる。別の方法は、ウェーハの端縁とこのウェーハの端縁と近接して位置したヒートシンク構造との間でよりいっそう良好な熱接触の提供を含むことができる。本明細書中で議論された任意の方法は、ウェーハの端縁からヒートシンク構造への側方の熱移動を増大させるために使用されることができる。
【0034】
ウェーハの端縁からの熱の除去を伴なう1つの困難は、ウェーハが熱膨張することから生じる。ウェーハが予熱のために使用されるヒートシンク上に負荷される場合には、ウェーハは、選択された予熱温度に依存する程度に膨脹するであろう。更に、ウェーハの直径の差が存在しうる。固定されたヒートシンク構造は、問題にしている温度でウェーハのための予想される寸法に適合するように設計することができるが、しかし、ウェーハが大きくなり過ぎかつヒートシンクおよび破損部に押し付けられるという危険が存在する。また、ウェーハが少しばかり小さ過ぎ、ヒートシンク構造と適度に接触せず、端縁の不適当な冷却を引き起こすという危険が存在する。この問題は、ヒートシンクとウェーハとの間に圧縮性媒体を使用することによって緩和されうるが、しかし、この圧縮性媒体は、寸法の不適合を含みうる。また、ヒートシンクは、ばね荷重式であることができ、したがってこのヒートシンクは、少なくとも必要とされるウェーハの部分に対して一定の圧力を維持する。この部分は、ウェーハの全円周であることはできない。それというのも、典型的に走査ビームは、ウェーハの全端縁に同時には衝突しないからである。
【0035】
幾つかの場合には、例えば熱移動条件がウェーハの加熱不足を引き起こしうるような位置で反対の条件も必要とされる可能性があることに注目すべきである。このような条件は、走査が開始する場所で生じうる。それというのも、側方の熱移動は、"走査ビームの前方"では存在しないからである。このような非均一性は、ヒートシンク構造中での温度分布または熱流分布を調整すること、および必要な場合にはウェーハの端縁で可変ヒートシンクを使用することによって少なくとも部分的に補正することができる。
【0036】
このような方法は、ウェーハがヒートシンク上で保持される場合には、有用であるけれども、ウェーハが高いランプ速度で予熱または冷却されるべきである場合に適用することはよりいっそう困難である。それというのも、ヒートシンク構造は、しばしば大きな熱質量を有する可能性があり、この熱質量は、バックグラウンドヒーティング条件で極めて急速な変化の可能性を阻止するからである。
【0037】
この場合には、上記の特許出願明細書に記載されて種々の手段またはウェーハ表面での吸熱反応の使用のような他の手段によって改善された冷却を提供することが可能であるけれども、さらに改善することが望ましい。
【0038】
他の選択可能な方法は、ウェーハでも加熱される"動的"ヒートシンクとしてのよりいっそう小型の熱質量板状の物体を使用することである。ウェーハは、この板状の物体の上面上に置くことができ、板状の物体に近接していてよいかまたは、例えば距離を置くかまたはガスクッション等によって僅かに板状の物体の上方に保持することができる。この板状の物体がウェーハのための機械的支持体として作用することは不要であるが、このような構成は、可能である。
【0039】
種々のヒートシンク板(本明細書中で、"熱移動板"とも呼称される)を使用する前記方法は、ウェーハの片側の表面加熱後にウェーハの熱への暴露を制御する問題に関連してよりいっそう詳細に記載されるであろう。
【0040】
1つの構成において、ヒートシンク板は、ウェーハの下方にあり、ウェーハの上面は、パルス化された加熱処理に晒される。ヒートシンク板とウェーハとの間の熱移動が極めて効率的である場合には、熱は、急速にウェーハから支持体板中に通過し、ウェーハを冷却する間にヒートシンク板の温度を上昇させる傾向にある。
【0041】
図1は、反射壁10、ランプ12aおよび12b、光学窓14aおよび14b、およびウェーハ16を含む例示的な急速熱処理(RTF)チャンバーを示す側面図である。センサー30eおよび30aは、ウェーハおよび熱移動板の温度を監視し、例えば当業者に公知のように構成された光学高温計を有することができる。センサー30eは、ウェーハ上へのパルス照射の入射量を監視する。センサー30dは、ウェーハから反射されるかまたは散乱される放射線を監視し、センサー30bは、ウェーハによって透過される放射線を監視する。前記センサーは、光検出器または熱検出器であることができる。ウェーハ16は、前記図において間隙19によって熱移動板20から分離されており、少なくとも一部分が端縁環18によって取り囲まれている。当業者であれば、端縁環18は、熱移動板20との関連で明らかに開示された視点を含むことができると認識するであろう。例えば、環18は、冷却機構および/または加熱機構を含むことができる。
【0042】
システムの構成に応じて、間隙19は、寸法が変動しうるかまたは全く省略されてよい(即ち、ウェーハが直接に熱移動板20上に載置されている場合)。間隙19は、熱移動板の或る部分が他の部分より隣接していてよいように、熱移動板の心違い、突起部または他の機構によって部分的または全体的に橋架けされていてよい。従って、本明細書中で議論されたように、間隙19は、一般にウェーハと熱移動板の本体20との距離に帰因する。
【0043】
当業者であれば、本発明で使用するのに適したRTFチャンバーが他の付加的な構成成分、例えばガス流弁、入口、排気口および他の調整構成成分、ならびに制御装置、例えば処理工程を監視および制御するためのコンピューターを含むことは、評価するであろう。例えば、図1に示されているように、RTFチャンバーは、さらにウェーハを横切り、間隙19を通過するようにガス流を方向付けるのに適当な構成成分を含む。
【0044】
図2は、ガス通路22を有する熱移動板20−1を含めてRTFチャンバーの第2の例示的な配置を示す側面図である。付加的に、ガス流/真空系は、ガスを間隙19から通路22に通過させるように方向付けるために構成されている。更に、ガス流/真空系は、間隙19の領域に真空を印加し、ガスを除去することができる。下記に詳細に議論されているように、このようなガスは、ウェーハと熱移動板との間の熱伝導率を管理するために使用されてよい。図2には、ランプ配列よりもむしろ放射エネルギー源12’が説明されており、この放射エネルギー源は、ウェーハ16の表面を走査することによってウェーハ16を加熱するために構成されている。
【0045】
図3は、側面からよりもむしろ同軸方向に見た例示的な熱移動板20−2を示す。熱移動板20−2は、離れた機構26に沿ってガス通路22を含み、この離れた機構26は、リブ、島部、または該板の表面からの材料の他の突起部を有することができる。付加的に、凹所領域24は、前記板の表面に亘って散乱されており、この凹所領域24の幾つかは、一定のガス通路22を包囲している。凹所領域24は、通路22を通過しかつ熱移動板とウェーハとの間の間隙19中に入るガスのクッション効果を変えるために構成されていてよい。付加的に、下記に議論されているように、装荷される凹所またはスロット25は、装荷装置、例えばロボットアームのための隙間空間を許容することによってウェーハをよりいっそう簡単に装荷するかまたは装荷しないことを可能にするように構成されていてよい。
【0046】
図4は、再び同軸方向に見た別の例示的な熱移動板20−3を示す。熱移動板20−3は、ガス通路22および多数の離れた機構26、この実施形式の場合には複数のリブを備えている。図3の板20−2中に示された機構と図4に示されたような板20−3は、該板の両側が同じであってもよいか、またはRTF法に望ましい熱特性に依存して異なっていてよい。ホール、リブ、凹所等の密度は、図中でかなり均一に示されているが、前記密度は、表面を横切って変動しうることも注目すべきである。これは、ウェーハ支持体の位置およびウェーハと熱移動板との間のガス相の緩衝/クッション効果を変えるために有用であり、この場合この緩衝/クッション効果は、パルス化された加熱処理に応答してウェーハおよび熱移動板の変形を制御するために有用である。
【0047】
同様に、リブ機構および突起の密度も変動しうる。これは、熱移動板の柔軟性の程度を変えるために有用であり、例えば該板の第2の領域よりも簡単に変形された領域が形成される。一般に、熱移動板の柔軟性は、材料、厚さ、表面コーティングおよび構成(リブ機構およびホール等を含めて)を選択することによって最適化されうることに注目すべきである。該板の機構の密度を変えることは、例えばどのようにして光学的エネルギーまたは熱的エネルギーを吸収または照射するかに影響を及ぼしうる、熱移動板の表面を横切る光学的特性を変えることができることによって熱の均一性の促進にも役立つことができる。
【0048】
該板の光学的特性は、コーティングを該板の表面の全部または一部に適用することによって変えることもできる。例えば、薄膜のコーティングは、局部的に該板の領域に適用することができ、第2の領域よりも温時または冷時に形成させることができる。同様に、該板の機構の変化または該板の表面を横切って該板の構成に使用される材料であっても該材料の変化は、該板の異なる領域の単位領域当たりの熱質量を局部的に調整するために使用されることができる。最も簡単な場合には、単位面積当たりの熱質量は、一定であり、最適な設計のためには、この熱質量は、ウェーハの単位面積当たりの熱質量と同様に維持される(典型的な範囲は、ウェーハの質量の0.5〜3倍である)。しかし、幾つかの場合には、熱質量は、よりいっそう多くの熱を吸収するためによりいっそう高くともよいし、よりいっそう少ない熱を吸収するためによりいっそう低くともよい。このような変形は、処理の均一性を最適化するために調整されることができる。1つの厚さの板の単位面積当たりの熱質量Dplate、但し、比熱容量Cplateおよび密度ρplate、は、ρplateplateplateによって記載されることに注目することができる。それ故に、単位面積当たりの熱質量は、有利に前記の3つのパラメーターのいずれかを変えることによって変動されうる(局部的であっても該板の全体を横切っても)。また、熱質量は、性質を変えるために他の材料の付加的な層または突起部を使用することによって変えることもできるし、局部的な平均熱質量を減少させるホールまたは間隙を導入することによって変えることもできる。
【0049】
図5aおよび5bは、熱移動板のなお他の選択的な実施形式の側面図を示し、この場合には、それぞれ20−4および20−5として図示されている。双方の板は、ふくすうのガス通路22、離れた機構26および凹所領域24を含み、一方で、図5bも装荷される凹所25を含む。更に、板20−4および20−5は、埋め込まれたガス溜め領域またはブラインドホール28を含み、この埋め込まれたガス溜め領域またはブラインドホールは、さらに該板のクッション効果を変えることができる。
【0050】
付加的に、図示されていないけれども、溜め領域28は、熱移動板の熱応答を変えるために、選択された材料で充填されていてよく、さらに密封されていてよい。
【0051】
更に、上記に議論されたように熱移動板を用いてのRTF系の操作は、図6〜9に示された、シミュレートされた温度結果と関連して議論される。図6は、ヒートシンク板を有するかまたは有しない、パルス化された加熱処理中にウェーハが受ける温度−時間サイクルのシミュレーションからの結果を有する概念が示されている。曲線Aは、該板なしに処理した場合の平均ウェーハ温度の経過を示す。加熱サイクルの開始時に、ウェーハ温度は、800℃までランピングアップし、次にエネルギーパルスが適用され、この直後に熱源は失活される。示される温度プロフィールは、直接に表面加熱それ自体を示さないが、しかし、表示された点Pでの平均温度での増大は、パルス化された熱が搬送されかつウェーハの厚さを通して拡散した直後に生じる平均温度への比較的急速な上昇を示す。本明細書中で考慮されている実施例中で、内部温度での生じる上昇は、100℃であり、したがってパルス化された加熱処理からの熱がウェーハの厚さを通して拡散した直後に900℃である。パルス化された加熱処理後、ウェーハは、熱放射によって冷却されるものと推測される。
【0052】
曲線Bは、ヒートシンク板20が存在する場合のウェーハ温度の動向を示す。この場合には、ヒートシンク板は、ウェーハと同じ熱特性および同じ厚さ(775μm)を有し、ウェーハとヒートシンク板20との間隔19は、100μmであり、およびこの間隔は、0.5W-1mK-1の熱伝導率を有する媒体で充填されるものと推測された。この媒体は、例えば図2−5に示されたようにガス通路22を介して導入されるかなり高い熱伝導率を有するガスであることができるか、またはさもなければ、直接に間隔19内に導入されるかなり高い熱伝導率を有するガスであることができる。曲線Cは、ヒートシンク板それ自体のための温度−時間プロフィールを示し、このプロフィールは、ランピングアップ中のウェーハのプロフィールに適合する。曲線Bからは、ヒートシンク板が存在する場合に、900℃からのウェーハの最初の冷却は、ウェーハからヒートシンク板への熱の急速な伝導の結果として著しく促進されることが確認される。曲線Cは、ヒートシンク板がウェーハからの熱を吸収する場合にどのようにヒートシンク板の温度が上昇し、さらにウェーハとヒートシンク板が通常の温度に到達し、そのポイント後に同じ速度で冷却されるのかを示す。また、ウェーハの照射冷却速度は、ヒートシンク板によって減少されることも確認される。それというのも、ウェーハとヒートシンク板との組合せは、ウェーハ単独での熱質量の2倍の熱質量を有するからである。それ故に、熱への暴露は、例えば本実施例でウェーハが〜800℃未満の温度に冷却されるように実際によりいっそう大きくなる。
【0053】
これにも拘わらず、ヒートシンク板の操作は、なお利点を有することができる。それというのも、この温度で起こる多くの望ましくない工程、例えばドーパント原子の拡散は、速度が温度への指数依存性を有する熱活性化された工程であるからである。その結果、よりいっそう高い温度での急速冷却は、しばしばよりいっそう低い温度での冷却速度よりも著しく重要である。
【0054】
ウェーハの急速冷却のために、ウェーハからヒートシンク板への効率的な熱移動が存在することは、重要である。或る程度の熱が熱放射によって移動されるけれども、最も効率的な方法は、ウェーハとヒートシンク板との間の媒体を通しての熱伝導に依存する。熱伝導は、ウェーハとヒートシンク板との間で媒体の熱伝導率を増加させかつこれら2つの間の間隙(19)の寸法を減少させることによって増大される。図7には、間隙19の寸法を変動させることによる効果が図示されている。この場合、この媒体は、図6の場合と同様に0.5Wm-1-1の熱伝導率を有するものと推測される。曲線Aは、ヒートシンク板なしのウェーハのための温度−時間プロフィールであり、曲線Bは、ヒートシンク板がウェーハから0.1mm離れた場合であり、および曲線Cは、ヒートシンク板がウェーハから0.2mm離れた場合である。曲線DおよびEは、これらの曲線がウェーハからそれぞれ0.1mmまたは0.2mm離れた場合のヒートシンク板のための温度サイクルである。図7は、該板がウェーハから0.2mm離れた場合に最初の冷却速度はなお増大するけれども、大きな間隙を横切っての減少された熱伝導率の結果として冷却効率が減少されることを示す。
【0055】
図8は、ウェーハとヒートシンク板との間での媒体の熱伝導率の選択の効果を示す。曲線A、BおよびDは、図7と同様である。曲線CおよびEはそれぞれ、ウェーハと該板との間の媒体が0.05Wm-1-1だけの熱伝導率を有する場合に関する、ウェーハおよび板加熱サイクルである。この比較で、ヒートシンク板の導入は、冷却速度を減速させることが確認される。このような低い熱伝導率を有する媒体中でのヒートシンク板の概念を使用するために、該板は、伝導結合を増大させるためにウェーハによりいっそう近接するようにもたらされなければならない。
【0056】
また、ウェーハが受ける熱への暴露の程度は、ヒートシンク板の性質によって影響を及ぼされるであろう。ヒートシンク板が極めて薄手に形成されるかまたは低い熱容量で形成される場合には、このヒートシンク板は、パルス化された加熱処理によってウェーハ中に導入される多量の過剰の熱を吸収することができず、ウェーハ中で受ける温度を制限することは殆んどない。図9には、ヒートシンク板が100μmの厚さであるように選択される場合の挙動を示すことによって問題が説明されている。曲線A、BおよびDは、図7および8と同様である。曲線Cは、存在するヒートシンク板とのウェーハの応答であり、曲線Eは、該板それ自体の相応する応答である。該板の導入は、最初の冷却速度で小さな改善を提供したが、しかし、冷却速度は、ウェーハ単独の場合よりも低くなり、温度は、直ちに〜830℃未満に降下した。冷却効率の損失が生じる。それというのも、曲線Eで示されているように、薄手のヒートシンク板は、該ヒートシンク板に熱移動されると極めて急速に昇温されるからである。
【0057】
最初の冷却速度は、厚手のヒートシンク板または大きな熱容量を有するヒートシンク板を使用することによって増大されうるけれども、ウェーハの温度をランピングアップおよびランピングダウンする能力は、制限されている。それというのも、ヒートシンク板の熱質量は、大きいからである。実際に、ヒートシンク板は、放射冷却だけによって可能である冷却速度を超えてウェーハおよび該板の冷却速度を加速させるのに有用である。例えば、ウェーハおよび/または熱移動板に向けられたガス流は、放射冷却だけの熱損失率を超えて熱損失率を増加しうる。このガス流は、全加熱サイクルに亘って適用されることができるかまたは予熱工程またはパルス化された加熱処理に時間的に関連して始動されることができる。ガス冷却は、ガスがチャンバー内に流入する速度を増加させるかまたは直接にウェーハの表面上および/または熱移動板上に衝突するガスを流すことによって適用されうる。例えば、シャワーヘッド装置またはガス管配列は、ガス冷却をウェーハの表面および/または熱移動板に向けるために使用されることができる。選択可能な冷却機構は、ウェーハまたは熱移動板を冷却するために使用されてもよい。例えば、冷却は、相変化または熱移動板またはウェーハからの熱エネルギーを吸収しうる吸熱化学反応を受ける液体または媒体の流れで可能である。幾つかの場合には、このような冷却は、ウェーハよりも簡単に熱移動板に適用されることができる。それというのも、ウェーハ表面は、極めて清潔に異質物質での汚染がないように維持されなければならないからである。熱移動板は、該熱移動板からの熱移動の速度を増加させ、それ故に冷却を促進するような冷却機構を構成するように設計されていてもよい。ウェーハおよび熱移動板が隣接した熱伝達状態にあるという事実は、熱移動板が急速に冷却されうる場合には、さらにウェーハを急速に冷却するという意味である。更に、熱移動板は、冷却媒体の流れを表面または内部に直接に結合するという関係を有することができる。例えば、熱移動板は、熱移動板内で冷却チャンネルを有することができる。また、熱移動板は、必要に応じて、熱電冷却法の使用を許容しうる電気的接続を有することができる。このような接続は、電気的温度センサー、例えば熱電対または感温性抵抗体を含むことも可能である。熱移動板の種々の機構、例えば上記のリブは、例えば熱を散逸させるのに有効である表面領域を増加させる冷却フィンとして作用することによって熱損失を増大させるために使用されてもよい。前記機構は、熱放射率および放出領域を増加させることもでき、放射熱損失率を増加させる。
【0058】
一般に、ヒートシンク板の厚さおよび熱容量は、望ましい熱サイクルのタイプに関連して最適化させることができる。最適な熱サイクルの性質は、一般に熱処理中に起こる物理的現象の運動学に依存するであろう。特別の最適化は、ウェーハとヒートシンク板との間の熱伝導率の制御、例えばウェーハとヒートシンク板との間隙およびウェーハとヒートシンク板との間のガス環境の性質を制御することによって可能である。
【0059】
幾つかの実施形式において、パルス化された加熱処理が適用される前にヒートシンク板がウェーハと同じ温度にランピングされることは、不要である。実際に、ウェーハからの熱損失率は、ウェーハと比較して比較的低い温度でヒートシンク板を維持することによって増加されうる。これは、ウェーハとヒートシンク板との間の物理的近接の必要性およびウェーハとヒートシンク板との間の高い熱伝導率の必要性を減少させるのに役立ちうる。例えば、冷却ガスは、ヒートシンク構造に直接に向けることができるかまたはヒートシンク構造を通じて、例えばチャンネル22を介して導くことができる。また、ヒートシンク構造は、冷却系に結合した別々の内部チャンネル、例えば水冷ランプ等に使用されるタイプの構造を含むことができる。このような方法での1つの厄介な問題は、ウェーハとヒートシンク板の双方の温度を高温計で測定し、したがって加熱源および冷却源を制御することによってウェーハとヒートシンク板の温度を別々に制御することが必要であることである。
【0060】
必要に応じて、ヒートシンク板の放射特性は、ウェーハとは異なる熱応答を保証するために最適化することができる。例えば、ヒートシンク板の放射率または吸収率は、必要に応じてウェーハよりも大きく最適化されてもよいし、小さく最適化されてもよい。先に注目したように、ウェーハとヒートシンク板との間で異なる熱応答を保証するための1つの方法は、予め定められた温度でヒートシンク板の温度を明らかにするような容量で、予め定められた温度で相変化を受けるヒートシンク板内に1つの材料を内蔵することを含むことができる。例えば、このような材料は、ヒートシンク構造の溜め28内に封止されていてよいかまたはさもなければ、チャンバーまたは他の内部構造内に組み込まれていてよい。該板に対してよりいっそう加熱することの適用は、さらに僅かに相の変化を駆り立て、一方で、該板の温度は、一定のままであった。この方法は、制御系に対する要求を減少させる。
【0061】
ウェーハとヒートシンク板が隣接した熱伝達状態にあるような構成を使用することの1つの利点は、ヒートシンク板がサセプタ板としても役立ちうることにある。ウェーハとヒートシンク板との熱結合が十分に強力である場合には、ヒートシンク板の温度は、ウェーハ温度のインジケータとして使用されてよい。これは、処理温度の制御に使用される温度測定法を簡易化することができる。例えば、ウェーハの裏面は、放射率に影響を及ぼす被膜でしばしば被覆されている。この結果、ウェーハ温度の高温測定は、放射率の変法に対して広範囲な予防が正しく為されていない場合には、しばしば誤差を被りやすい。
【0062】
ヒートシンク板は、十分に特性決定された放射率を有する公知の材料から形成させることができるので、高温計で温度を正確に測定することが可能である。ウェーハとヒートシンク板との熱結合は、パルス化された加熱処理が適用される前に小さな温度差だけがウェーハとヒートシンク板との間に発生しうる程度である場合には、ウェーハ温度は、加熱サイクルの一部分中で詳細に制御されてもよい。この方法は、ウェーハの極めて繰り返し可能な予熱のための簡単な方法を提供する。熱移動板とウェーハとの間の熱結合が不完全であっても、熱移動板の温度を測定し、次にウェーハの温度を熱モデルから評価することによってウェーハの温度を論理的に推論することが可能である。このモデルは、ウェーハと熱移動板との熱的接触の程度、ウェーハと板との間の媒体の性質、ならびにウェーハの表面および熱移動板に侵入するかまたは離れる光学的エネルギーまたは熱的エネルギーを考慮することができる。ウェーハに侵入するかまたは離れる光学的エネルギーの評価は、センサー、例えば30b、30cおよび30dによる測定を使用することによってよりいっそう正確に行なうことができる。
【0063】
ヒートシンク板とウェーハとが同じ温度であることを保証するための他の選択可能な方法は、図1に示されているように両側の照明を使用することである。ヒートシンク板とウェーハとが同じ熱容量を有する場合には、これらヒートシンク板とウェーハは、両側加熱系からの同じ出力密度で照明され、同じ熱サイクルに従う傾向を有する。ランプ12bは、制御されることができ、ウェーハおよび熱移動板を予熱することができる。この予熱は、ランプ12aからのエネルギーの搬送と組み合わされてもよい。更に、熱パルスは、ランプ12aまたは別の適当なエネルギー源を使用することにより提供されてもよい。両側の照明と隣接した熱伝達状態との組合せは、ウェーハおよびヒートシンク板の温度の十分に隣接した追跡を、パルス化された加熱処理がウェーハに適用されるまで提供される。
【0064】
ヒートシンク板を使用することの1つの困難は、ウェーハをヒートシンク板上に装荷する必要性があることから発生する。物理的近接は、該板とウェーハとのアクセスを必要とするウェーハ装荷機構の使用を阻止する。ウェーハは、ヒートシンク板20中のホールを通過する一組のピンを使用することによって該板上に装荷されることができる。ウェーハは、ウェーハを該板上に位置させることができ、次に該板上に降下させるような機構を有する端部でウェーハが保持される場合には、直接に該板上に装荷されてもよい。ヒートシンク板は、図3および5bに示された機構、例えば装荷凹所またはスロット25を簡易化するために適合されてもよい。ウェーハは、上方から保持する方法、例えばベルヌーイのピックアップ法(Bernoulli pick-up)によって支持されてもよい。別の方法は、ウェーハを端縁付近に保持する支持部材上にウェーハを装荷し、次にヒートシンク板をウェーハと近接するようにもたらすことを含むことができる。ウェーハが載置される構成成分は、極めて薄手であり、したがってヒートシンク板とウェーハとの間に適合する。
【0065】
また、ヒートシンク板は、カットアウト区分を有することができ、したがって該ヒートシンク板は、ウェーハ支持体に妨害を与えない。
【0066】
他の選択可能な方法は、1つの部分より多いヒートシンク板を形成することであり、したがって該ヒートシンク板は、ウェーハがヒートシンク板の部分上に装荷された後に"継ぎ合わせる"ことができる。例えば、ヒートシンク板の1つの部分は、定義された位置でウェーハを支持するための機構、例えば一般に図2〜5で突起部26として示された島部およびリブを有することができる。この突起は、ウェーハ装荷機構に妨害を与えないように設計されていてよい。ウェーハがヒートシンク板の支持部分上に装荷されたら直ちに、ヒートシンク板の第2の部分(および任意の他の部分)は、載置されてよく、ヒートシンク装置が完成される。
【0067】
別の困難は、ウェーハと該板との間の間隙が比較的小さいためにウェーハと該板とが"互いにくっつきあう(stick together)"傾向の結果として処理後にウェーハをヒートシンク板から取り外した場合に生じる可能性があり、この場合この傾向は、ウェーハと該板を引き離すのに必要とされるガス流を妨害する。この問題は、ウェーハと該板との間の間隙を十分に維持することによって緩和させることができるが、しかし、この方法は、冷却効率を損ないうる。別の方法は、ガスを貫流させる、ヒートシンク板中の一連のホール、例えば図2〜5に示されているようなガス通路22および凹所領域24を備えることである。しかし、ホールの数および寸法は、加熱サイクル中にウェーハに対する均一な温度に影響を及ぼさないように十分に小さくなければならない。これは、熱拡散が例えばホール付近でのヒートシンク板への不均一な熱移動の結果としてウェーハ中に生じる傾向にある任意の温度の不均一性を均等化するのに十分に小さくホールの寸法が維持される場合に可能である。この判断基準は、約2mm以下、好ましくは1mm未満の寸法でホールの寸法を形成させることによって適合されうる。最善の均一性は、問題にしている加熱処理のための熱拡散長さと比較して機構が小型に形成される場合に達成されうる。この規定は、ウェーハまたは該板の装荷または非装荷を簡易化するために導入されたものを含めて、ヒートシンク板中の任意の機構に適用されうる。前記の規定は、二次部材から継ぎ合わされる任意のヒートシンク装置の部材間の任意の間隙にも適用されうる。前記の規定は、例えばウェーハと該板との間に間隙を設定する離れた機構を備えさせるために使用されうる、該板上の突起部26の寸法にも適用されうる。ホールをヒートシンク板内に形成させる1つの方法は、該板の熱質量を最適化しかつ放射特性に影響を及ぼすために使用されてもよいことにも注目することができる。
【0068】
重要であるかもしれない別の問題は、熱処理中のウェーハまたは該板の変形傾向から生じる。該板の存在は、前記挙動に影響を及ぼし、設計は、変形挙動を考慮して最適化されうる。ウェーハに近接して板を使用することは、加熱処理中に発生される熱応力の結果としてのウェーハの変形傾向を減少させることができる。該板の設計は、例えば比較的剛性である材料を選択するかまたは該板を比較的厚手に形成させることによって変形を減少させるために十分に最適化させることができる。他の機構、例えばリブ、凹所、突起部またはスリットは、該板の柔軟性を定めるために使用されることができる。勿論、このような機構の性質および寸法は、該板の熱操作と関連して最適化されなければならない。例えば、前記機構は、問題にしている処理に関連して熱拡散長さよりも短く形成させることができ、したがって前記機構は、熱処理の均一性を劣化させない。
【0069】
ヒートシンク板は、種々の材料から構成させることができ、該ヒートシンク板の物理的性質、熱的性質および光学的性質は、最適化させることができる。該板のための1つの有利な選択は、ウェーハの性質、良好な機械的特性および熱的特性、および高純度への密接な適合性を考慮してシリコンである。シリコンのドーピングは、熱移動特性を最適化するために選択されることができる。例えば、0.1Ωcm未満の抵抗を有する著しくドープされたシリコンは、近赤外領域で比較的不明である板を形成させるために使用されることができ、これは、板の温度を〜1μmを上廻る波長での高温計の操作で監視することができる場合には、有用である。これとは異なり、例えばウェーハ温度を監視するために、ウェーハから発散されるかまたはウェーハによって透過される赤外線を検出することが望ましい場合には、近赤外領域で透明である、0.1Ωcmより大きい抵抗を有する、軽くドープされたシリコン板を使用することができる。しかし、他の材料、例えば炭化珪素、二酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム、サファイア、石英、窒化アルミニウム、窒化硼素、オキシ窒化アルミニウム、黒鉛、炭素、ダイヤモンド、イットリウムアルミニウムガーネットまたは高純度の他のセラミック材料が使用されてもよい。前記板は、性質を増大しうる層で任意の表面上で塗布されてもよい。例えば、該板の本体の材料が十分な純度または処理環境に対する十分な化学的耐性を有していないと思われる場合には、該板の本体の材料は、不純物のガス発生または化学的攻撃に対するバリヤーとして役立つ層で被覆されていてよい。
【0070】
コーティングおよび表面変性は、該板の熱的性質または光学的性質を最適化するのにも役立ちうる。例えば、高温計が該板の温度を測定するために使用される場合には、コーティングを使用し、検出温度のための手段としての高温計が検出する放射線の波長に対して抗反射層を形成させることは、有用である。この方法は、該板の放射率を増大させ、高温計システム中への逆光放射の反射から生じる、温度測定時の誤差を減少させるのに役立つことができ、ならびに高温計によって検出される信号を増加しかつ精度を改善する、放射率の高い値を定義するのに役立つ。ヒートシンク板の光学的性質の最適化は、他の方法で有用であることもできる。例えば、材料およびコーティングの選択は、加熱サイクルの性質の定義に役立ちうる。例えば、加熱に使用される放射線の一部に対して少なくとも部分的に透明である材料の選択は、ウェーハの温度を比較して加熱サイクル中に到達される温度を減少させる傾向にあり、それ故に冷却効率を改善する。別の例は、該板が熱放射線を放出する、波長範囲を横切って放射率を増加させる材料またはコーティングを選択することである。これは、放射冷却の効率を増加させ、冷却速度を加速することができる。
【0071】
一定の条件で該板の操作に役立ちうる別の視点は、該板中への熱伝導がよりいっそう効率的であるような方法でウェーハの表面を仕上げる、表面の調整法である。幾つかの熱伝導条件下で、表面に対するガスによる熱伝導は、表面組織に対して敏感であることができる。この場合、前記表面が、熱伝導の効率を改善するような方法で組織化されることは、有用である。組織化は、溝、突起および類似物を形成する任意の常法によって実施されることができる。
【0072】
本発明が上記に詳細に示されかつ記載された事実によって制限されないことは、当業者によって評価される。むしろ、特許請求の範囲の記載のように、本発明の範囲は、本明細書中で議論された種々の機構の組合せおよび二次的な組合せを含み、それと共に種々の変形および変更が当業者によって実施されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】熱移動板を含む例示的な処理チャンバーを示す側面図。
【図2】熱移動板を含む例示的な処理チャンバーを示す別の側面図。
【図3】例示的な熱移動板を同軸方向に見た略図。
【図4】例示的な別の熱移動板を同軸方向に見た略図。
【図5a】さらになお例示的な熱移動板を示す側面図。
【図5b】さらになお例示的な熱移動板を示す側面図。
【図6】熱処理システム時間に亘ってシミュレートされた温度プロフィールを示す線図。
【図7】熱処理システム時間に亘ってシミュレートされた温度プロフィールを示す線図。
【図8】熱処理システム時間に亘ってシミュレートされた温度プロフィールを示す線図。
【図9】熱処理システム時間に亘ってシミュレートされた温度プロフィールを示す線図。
【符号の説明】
【0074】
10 反射壁、 12a、12b ランプ、 12’ 放射エネルギー源、 14a、14b 光学窓、 16 ウェーハ、 18 端縁環、 19 間隙、 20、20−1、20−2、20−3 熱移動板、 22 ガス通路、 24 凹所領域、 25 装荷される凹所またはスロット、 26 離れた機構、 30a、30b、30d、30e センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を熱処理する方法において、
物体を熱処理チャンバー内に準備し;
熱移動板を、物体との隣接した熱伝達状態で位置し、この場合熱移動板は、該物体の熱質量の約3倍以下である熱質量を有し;
該物体を予熱し;および
該物体を、約1秒未満の時間で少なくとも1つのエネルギーパルスを物体に向けることによって加熱し;
熱移動板を物体からの熱伝導率が増加するように構成しかつ位置させることを特徴とする、物体を熱処理する方法。
【請求項2】
熱移動板は、物体の近似的な熱質量以下である熱質量を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
物体を加熱し、物体の表面をレーザーで走査することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
物体を加熱し、物体を少なくとも1つのランプで照明することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
熱移動板は、次の群:珪素、炭化珪素、二酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム、サファイア、石英、窒化アルミニウム、窒化硼素、オキシ窒化アルミニウム、黒鉛、炭素、ダイヤモンド、イットリウムアルミニウムガーネットから選択される少なくとも1つの材料を有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
熱移動板を板と物体の表面とが互いにほぼ平行でありかつ間隙を定義するように位置させる、請求項1記載の方法。
【請求項7】
間隙間隔は、約0.2mm未満である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
さらに、材料を間隙中に搬送し、物体と板との間で熱伝導を増大させる、請求項6または7記載の方法。
【請求項9】
材料はガスを有する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
ガスは、少なくとも1つの0.1Wm-1-1の熱伝導率を有する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
ガスはヘリウムを有する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
少なくとも2つの異なる材料を物体と熱移動板との間の熱結合度が熱処理工程中に差を生じるように間隙中に搬送する、請求項8記載の方法。
【請求項13】
熱移動板からの熱の放出により物体を予熱する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
板は直径約2mm未満の複数のホールを有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
板は板表面内に非連続部を有し、この非連続部は、処理に関連した熱拡散長さよりも寸法が短い、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの非連続部は、スリット、リブ、凹所、突起およびホールから構成される群から選択される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
板の表面は、板と物体との間で熱伝導をさらに増大させるために組織化される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
板の内部は、物体からの熱移動を最適化するために選択された温度で相変化を受ける材料を有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
さらに物体の冷却速度を活性的に増大させる、請求項1記載の方法。
【請求項20】
冷却ガスを物体に向けることによって冷却速度を増大させる、請求項19記載の方法。
【請求項21】
冷却ガスを熱移動板に向けることによって冷却速度を増大させる、請求項19または20記載の方法。
【請求項22】
さらに物体の温度を監視する、請求項1記載の方法。
【請求項23】
物体の温度を少なくとも1つの光学的高温計を用いて監視する、請求項22記載の方法。
【請求項24】
物体の温度を熱移動板からのエネルギー測定に基づいて測定する、請求項1記載の方法。
【請求項25】
チャンバー内で物体を熱処理するためのシステムにおいて、
エネルギーパルスを物体の表面に向けるようにするために構成された加熱装置;および
物体の表面と平行に位置した熱移動板を有し、この場合熱移動板は、該物体の熱質量の約3倍以下である熱質量を有することを特徴とする、チャンバー内で物体を熱処理するためのシステム。
【請求項26】
熱移動板の熱質量が物体の近似的な熱質量以下である、請求項25記載のシステム。
【請求項27】
さらに予熱エネルギーを物体に搬送するために構成された熱源を有する、請求項25記載のシステム。
【請求項28】
熱移動板が次の群:珪素、炭化珪素、二酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム、サファイア、石英、窒化アルミニウム、窒化硼素、オキシ窒化アルミニウム、黒鉛、炭素、ダイヤモンド、イットリウムアルミニウムガーネットから選択される少なくとも1つの材料を有する、請求項25、26または27に記載のシステム。
【請求項29】
熱移動板が熱移動板と物体の表面とが間隙を定義するように間隔を有している、請求項25、25または26に記載のシステム。
【請求項30】
間隙間隔が約0.2mm未満である、請求項29記載のシステム。
【請求項31】
間隙が物体と熱移動板との間で熱伝導率を増大させるために選択された材料で充填されている、請求項30記載のシステム。
【請求項32】
材料がガスを有する、請求項31記載のシステム。
【請求項33】
ガスが少なくとも1つの0.1Wm-1-1の熱伝導率を有する、請求項32記載のシステム。
【請求項34】
ガスがヘリウムを有する、請求項33記載のシステム。
【請求項35】
加熱装置がランプ配列を有する、請求項25、26または27に記載のシステム。
【請求項36】
加熱装置が物体の表面を走査するために構成されたレーザーを有する、請求項25、26または27に記載のシステム。
【請求項37】
さらに少なくとも1つの温度測定装置を有する、請求項25、26または27に記載のシステム。
【請求項38】
温度測定装置は高温計を有する、請求項37記載のシステム。
【請求項39】
測定装置が熱移動板からのエネルギー測定に基づいて物体の温度を測定するために構成されている、請求項37記載のシステム。
【請求項40】
熱移動板が熱源として選択的に作用するために構成されている、請求項25、26または27に記載のシステム。
【請求項41】
熱移動板が約2mm未満の直径を有する複数のホールを有する、請求項25、26または27に記載のシステム。
【請求項42】
熱移動板が次の群:スリット、リブ、凹所、突起およびホールから選択される非連続部を有し、この非連続部が熱処理法に関連した熱拡散長さより短い、請求項25、26または27に記載のシステム。
【請求項43】
熱移動板が内部および外部を有し、この内部の少なくとも一部分が選択された温度で相変化を受けるように構成されている、請求項25、26または27に記載のシステム。
【請求項44】
熱移動板の表面が組織化されている、請求項25、26または27に記載のシステム。
【請求項45】
半導体ウェーハを処理する方法において、
半導体ウェーハを急速熱処理チャンバー中に置き;この半導体ウェーハを平均温度T1に予熱し;予熱後、半導体ウェーハの平均温度がまさにパルス以前のウェーハの平均温度(T1)とパルスが停止した後のウェーハの最大平均温度(T2)との温度差ΔTによって増加されるように、半導体ウェーハを約1秒未満の少なくとも1つのエネルギーパルスに晒し;ウェーハからの熱移動を、ウェーハとの隣接した熱伝達状態で熱移動板を置くことによって増大させ、この場合この熱移動板は、半導体ウェーハの熱質量の約3倍以下の熱質量を有し;
熱移動板は、ウェーハの平均温度が1.0秒内でΔTの値の少なくとも50%でT2から減少するように構成されかつ位置していていることを特徴とする、半導体ウェーハを処理する方法。
【請求項46】
1は少なくとも約600℃である、請求項45記載の方法。
【請求項47】
ΔTは、少なくとも50℃である、請求項45記載の方法。
【請求項48】
ウェーハの平均温度は、0.5秒内でΔTの値の少なくとも50%でT2から減少する、請求項45、46または47に記載の方法。
【請求項49】
ウェーハの平均温度は、0.3秒内でΔTの値の少なくとも50%でT2から減少する、請求項49記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2008−546203(P2008−546203A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514762(P2008−514762)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/020813
【国際公開番号】WO2006/130573
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(502278714)マットソン テクノロジー インコーポレイテッド (11)
【氏名又は名称原語表記】Mattson Technology, Inc.
【住所又は居所原語表記】47131 Bayside Parkway, Fremont, CA 94538, USA