パルス生成装置、画像形成装置及びパルス生成方法
【課題】被駆動体の速度に応じて分解能が変化するパルスを簡単な構成で生成できるパルス生成装置、画像形成装置及びパルス生成方法を提供する。
【解決手段】磁界強度が強弱に切り換わる着磁パターンをもつ磁気リニアスケールを検出した磁気式リニアエンコーダの出力を入力したローパスフィルタからは、エンコーダ信号FSが出力される。ローパスフィルタのエンコーダ出力利得が低速ベルト搬送時より高速ベルト搬送時の方が小さくなっているため、エンコーダ信号FSの振幅が低速ベルト搬送時よりも高速ベルト搬送時により小さくなる。高速ベルト搬送時はエンコーダ信号FSの振幅強度の異なる二種類の信号波のうち低強度振幅波FSbが閾値電圧Vth↑を超えなくなるため、パルス発生器では、閾値電圧Vth↑を超えた高強度振幅波FSaに基づき高強度振幅波FSaと同周期である低解像度の印字基準パルスPTSが生成される。
【解決手段】磁界強度が強弱に切り換わる着磁パターンをもつ磁気リニアスケールを検出した磁気式リニアエンコーダの出力を入力したローパスフィルタからは、エンコーダ信号FSが出力される。ローパスフィルタのエンコーダ出力利得が低速ベルト搬送時より高速ベルト搬送時の方が小さくなっているため、エンコーダ信号FSの振幅が低速ベルト搬送時よりも高速ベルト搬送時により小さくなる。高速ベルト搬送時はエンコーダ信号FSの振幅強度の異なる二種類の信号波のうち低強度振幅波FSbが閾値電圧Vth↑を超えなくなるため、パルス発生器では、閾値電圧Vth↑を超えた高強度振幅波FSaに基づき高強度振幅波FSaと同周期である低解像度の印字基準パルスPTSが生成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被駆動体の速度に応じた周期の信号を出力するエンコーダの出力信号を基にパルスを生成するパルス生成装置、画像形成装置及びパルス生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ等の画像形成装置においては、搬送方向に搬送される用紙に対し記録ヘッドが印刷を施す構成となっている。この場合、用紙位置に応じた適切なタイミングでインク滴を吐出する必要があるため、用紙搬送速度に同期してエンコーダから出力される出力信号を基に用紙の搬送速度に同期して印字基準信号を生成し、印字基準信号に基づき吐出タイミングの制御を行っている。
【0003】
例えば特許文献1には、用紙搬送手段(被駆動体)として搬送ベルトを用いた印刷装置(画像形成装置)が知られている。搬送ベルト上にはその速度及び位置を検出するための被検出要素(光透過部や光遮蔽部)が設けられており、エンコーダで被検出要素を読み取り、そのエンコーダ信号に基づいてインク吐出を行い、用紙上に文字や画像を印刷するようになっている。また、画像形成装置では、磁気式リニアエンコーダも使用される(例えば特許文献2)。
【0004】
通常、リニアエンコーダのスケール部には、例えば磁気式の場合、連続的に単一間隔で着磁するため、単一な間隔でしか位置信号が得られない。また、通常、印刷装置ではデータ転送速度に限界があるので、高速印刷を希望する場合には、ベルト搬送速度を高速にして解像度を下げて印刷し、写真印刷など高解像度を希望する場合は、ベルト搬送速度を低速にして解像度を上げて印刷するなど、ベルト搬送速度に応じた複数の印刷モードが用意されている。
【0005】
例えば特許文献2には、複数の印刷モードに対応するために、スケール部に着磁ピッチを変化させた二つ以上の着磁ラインを有する磁気式リニアエンコーダを備えたシリアル式の記録装置が開示されている。この構成によれば、着磁ピッチの異なる複数の着磁ラインがあるため、二種類以上の解像度を得ることができる。
【特許文献1】特開2006−96429号公報(例えば明細書段落[0023][0024]、図1)
【特許文献2】特開平5−318869号公報(例えば明細書段落[0014]〜[0016]等、図2、図5、図10、図11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の構成によれば、着磁ラインの本数を増やす必要があるため、磁気センサが二つ以上必要となりコストがかかるうえ、着磁ラインの幅に着磁ラインの本数を乗じた幅寸法分のスペースを確保する必要があるなどの問題がある。なお、これらの問題は、磁気式リニアエンコーダに限らず、光学式リニアエンコーダについても同様である。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、被駆動体の速度に応じて分解能が変化するパルスを簡単な構成で生成できるパルス生成装置、画像形成装置及びパルス生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被駆動体が単位駆動量駆動される毎の周期で信号波を出力するエンコーダの出力信号に基づきパルスを生成するパルス生成装置であって、前記信号波の振幅が周期的に変化するように構成された前記エンコーダと、前記信号波の振幅と閾値とのうち少なくとも一方を前記被駆動体の速度に応じて切り換えて前記閾値を超える信号波の数が前記速度に応じて切り換える切換手段と、前記閾値を超えた信号波に基づき該信号波と同周期のパルスを生成するパルス生成手段とを備えたことを要旨とする。
【0009】
これによれば、エンコーダは、被駆動体が単位駆動量駆動される毎の周期で信号波を出力する。エンコーダから出力信号を入力する切換手段は、信号波の振幅と閾値とのうち少なくとも一方を被駆動体の速度に応じて切り換え、閾値を超える信号波の数が被駆動体の速度に応じて切り換える。パルス生成手段は、閾値を超えた信号波に基づき該信号波と同周期のパルスを生成する。よって、被駆動体の速度に応じて分解能が変化するパルスを簡単な構成で生成できる。
【0010】
本発明のパルス生成装置では、前記切換手段は、入力した前記信号波の周波数に応じて信号波出力の利得が変化するように遮断周波数が設定されたフィルタ手段であり、前記出力信号を該フィルタ手段に通すことで、前記被駆動体の速度に応じて前記信号波の振幅を切り換えることが好ましい。
【0011】
これによれば、切換手段であるフィルタ手段に入力される信号波の周波数は、被駆動体の速度に比例する。フィルタ手段は信号波の周波数に応じて信号波出力の利得が変化するように遮断周波数が設定されている。このため、被駆動体が低速のときには信号波が低周波数となり、一方、被駆動体が高速のときには信号波が高周波数となる。そして、これら周波数の違いにより信号波出力の利得が異なるため、利得の違いに応じた振幅の信号波が出力される。つまり、被駆動体の速度に応じて信号波の振幅が切り換えられる。
【0012】
本発明のパルス生成装置では、前記フィルタ手段は、前記被駆動体の駆動速度に対して前記信号波出力の利得が徐々に変化する変化領域を有するように回路定数が設定されており、前記被駆動体の最低速度と最高速度のうち少なくとも一方が前記変化領域内に設定されていることが好ましい。
【0013】
これによれば、被駆動体の最低速度と最高速度のうち少なくとも一方が、信号波出力の利得が徐々に変化する変化領域に設定されているので、エンコーダの出力信号をフィルタ手段に通すことで、被駆動体の速度に応じた異なる振幅に変化させることができる。
【0014】
本発明のパルス生成装置では、前記フィルタ手段は、前記被駆動体の低速時の周波数より高速時の周波数の方が前記信号波出力の利得が大きくなるように遮断周波数が設定されていることが好ましい。
【0015】
これによれば、フィルタ手段は、被駆動体の低速時の周波数より高速時の周波数の方が信号波出力の利得が大きいので、被駆動体が高速であるほど信号波の振幅が小さくなり、閾値を超えなかった信号波がより多く間引かれ、パルス1周期毎の被駆動体の駆動量が多くなるようにパルスが生成される。
【0016】
本発明のパルス生成装置では、前記切換手段は、前記被駆動体の速度に応じて前記閾値を切り換える閾値切換手段であることが好ましい。
これによれば、閾値切換手段により、閾値が被駆動体の速度に応じて切り換えられる。閾値が切り換わることで、低速時と高速時とで閾値を超えることになる信号波の数が切り換わる。よって、被駆動体の速度に応じて、パルス1回出力当たりの駆動量の異なるパルスを簡単に生成できる。
【0017】
本発明のパルス生成装置では、前記エンコーダは、磁界強度が周期的に変化する着磁パターンにて着磁された磁気スケールと、前記磁気スケールの磁気を検出して前記着磁パターンの磁界強度に応じた振幅の信号波を含むエンコーダ信号を出力する磁気センサとを備えた磁気エンコーダであることが好ましい。
【0018】
これによれば、被駆動体が駆動されることにより、磁気スケールと磁気センサとは相対移動し、磁気センサは、磁気スケールの磁気を検出して着磁パターンの磁界強度に応じた振幅の信号波を含むエンコーダ信号を出力する。このとき、磁界強度が周期的に変化する着磁パターンなので、エンコーダから振幅が周期的に変化する信号波を含む出力信号を出力させることができる。
【0019】
本発明は、ターゲットを搬送する搬送手段と、前記ターゲットに対して記録を施す記録手段とを備えた画像形成装置であって、上記の発明のパルス生成装置を備え、前記パルス生成装置を構成するエンコーダは前記搬送手段の搬送又は前記記録手段の移動を検出可能に設けられ、前記パルス生成装置から出力されたパルスを前記記録手段による記録タイミングを決める基準信号として用いることを要旨とする。
【0020】
これによれば、エンコーダは、搬送手段の搬送又は記録手段の移動を検出する。搬送手段の搬送速度又は記録手段の移動速度が変化すれば、パルスが1回出力される際の搬送手段又は記録手段の駆動量の異なるパルスがパルス生成装置から出力される。パルス生成装置から入力したパルスに基づく記録タイミングで記録手段は記録を行う。例えば搬送手段の搬送速度あるいは記録手段の移動速度の違いによって異なる解像度で記録を行うことができる。
【0021】
本発明は、被駆動体が単位駆動量駆動される毎の周期で信号波を出力するエンコーダの出力信号に基づきパルスを生成するパルス生成方法であって、エンコーダから信号波の振幅が周期的に変化する出力信号を入力する段階と、前記信号波の振幅と閾値とのうち少なくとも一方を前記被駆動体の速度に応じて切り換えて前記閾値を超える信号波の数を前記速度に応じて切り換える段階と、前記閾値を超えた信号波に基づき該信号波と同周期のパルスを生成する段階とを備えたことを要旨とする。これによれば、上記発明のパルス生成装置と同様の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第一実施形態)
以下、本発明を具体化した第一実施形態を図1〜図10に従って説明する。
図1は、インクジェット式記録装置の模式平面図を示し、図2は、その側面図を示す。なお、図1において下側が用紙搬送方向上流側である。
【0023】
図1及び図2に示すように、画像形成装置としてのインクジェット式記録装置(以下、単にプリンタ11という)は、用紙Sを搬送するためのベルト搬送装置12を備えている。ベルト搬送装置12は、用紙搬送方向下流側に設けられた駆動ローラ13と、用紙搬送方向上流側に設けられた従動ローラ14と、駆動ローラ13と従動ローラ14間の略中間位置かつやや下側(図2参照)に配置されたテンションローラ15と、各ローラ13〜15に渡って巻き掛けられた無端状の搬送ベルト16とを有している。
【0024】
駆動ローラ13には電動モータ17の出力軸が直接又は減速機構(図示省略)を介して動力伝達可能に連結されている。電動モータ17が正転駆動されると、駆動ローラ13が回転駆動し、搬送ベルト16が用紙Sを上流側から下流側へ搬送できる方向に回転する。ベルト搬送装置12の上流側にはゲートローラ18が設けられ、用紙Sはゲートローラ18の回転により搬送ベルト16上へ給送される。なお、ゲートローラ18は、用紙Sをローラ面に突き当てることで用紙Sのスキューを補正し、また駆動開始タイミングを図ることで、用紙Sを搬送ベルト16上の目標位置に載せるようにタイミングを合わせて用紙Sを送り出す。
【0025】
搬送ベルト16の搬送方向中間位置上側には、長尺状をなすラインヘッド方式の記録ヘッド19が搬送ベルト16の幅方向と平行となる向きで配置されている。記録ヘッド19は、プリンタ11が印刷できる最大幅の用紙Sの幅方向全域に渡る範囲よりも広い範囲に渡り一定のノズルピッチで配列された多数のノズルからなるノズル列が下面に設けられており、用紙を搬送しながら用紙搬送速度に合わせたタイミングでインクをノズルから順次噴射することで、用紙Sに画像等の印刷が行える。
【0026】
搬送ベルト16の側縁部には、搬送方向に沿って磁気リニアスケール20が搬送ベルト16の全周に渡って設けられている。磁気リニアスケール20は、搬送ベルト16の側縁部に形成された帯状の磁気記録層に一定ピッチで磁気パターンを記録して構成されている。磁気リニアスケール20の上側(図1では紙面手前側)近接位置には、磁気リニアスケール20上に記録された磁気パターンを再生するための磁気センサ21が設けられている。磁気リニアスケール20と磁気センサ21とにより磁気式リニアエンコーダ22が構成されている。また、プリンタ11には制御手段としてのコントローラ23が設けられている。コントローラ23は、電動モータ17を駆動制御するとともに、磁気センサ21から入力したエンコーダ信号ESを基に内部回路で生成した印字基準パルスPTS(噴射タイミング信号)(図9,図10参照)を生成し、印字基準パルスPTSに基づき用紙搬送速度(用紙搬送位置)に合わせた適切なタイミングでインク滴の噴射制御を行う。
【0027】
図3は、磁気リニアスケールの着磁方法を説明する模式図である。
搬送ベルト16の磁気記録層への着磁は、着磁装置を用いて行われる。着磁装置は、プリンタ11のベルト搬送装置12のものと基本的にほぼ同じ構成の駆動ローラと従動ローラ(図示省略)とを備え、搬送ベルト16を両ローラに巻き掛けた状態で着磁処理を行う。
【0028】
磁気リニアスケール20上には、搬送ベルト16(つまり用紙S)の位置を検出するために、図3に示すように、インク滴の噴射位置間隔に合わせて一定ピッチ(着磁ピッチP)で規則正しくN極とS極が交互に並んで着磁されている。この着磁装置には、図3に示す磁気記録ヘッド25が設けられ、磁気記録ヘッド25に流れる電流Iの方向及び電流量を制御することによって、磁極Nと磁極S、磁界の強さが決定される。なお、磁気記録ヘッド25としては、例えばGMR(Giant Magneto Resistive Effect)センサやMR(Magneto Resistive Effect)センサなどの多値出力可能な磁気センサを使用している。その他、ホール素子やMI(磁気インピーダンス)素子等を使用してもよい。
【0029】
図4は、磁気記録ヘッドで着磁する際に磁気記録層に及ぶ磁界強度、磁気スケールにおける磁気の様子を示す。搬送ベルト16を一定速度Voで回転駆動させながら、図4における上段のグラフに示すように、磁界強度の振幅が周期的に変化するような磁界が磁気記録層20aに及ぶように、磁気記録ヘッド25の電流を制御する。こうして磁気記録層20aの着磁により形成された磁気リニアスケール20には、図4の下段に示すようにN極とS極が半ピッチ(1/P)毎に交互に切り換わり、かつ磁界強度が着磁ピッチP毎に交互に強弱を繰り返す着磁パターンが形成されている。なお、スケールの被検出要素(磁極N・S)の配列周期である着磁ピッチPは、プリンタ11の印刷時におけるベルト搬送速度と印刷解像度とから設定されており、例えば35μm(解像度720dpiの場合)や70μm(解像度360dpiの場合)程度の値である。
【0030】
この磁気リニアスケール20上の磁気パターンを磁気センサ21で再生する場合、磁気リニアスケール20は図4の下段に示す磁界強度を有するので、磁気センサ21は、図4の上段に示す磁界強度に対応する周期及び振幅で変化する信号波形の検出信号を出力する。この場合、GMRセンサ等の磁気センサ21を用いているため、出力の振幅が多値であるエンコーダ出力が得られる。要するに、信号波の振幅が一定の周期で周期的に変化する検出信号が得られればよい。
【0031】
本実施形態では、被駆動体である搬送ベルト16の単位駆動量が着磁ピッチPに等しく、搬送ベルト16の着磁ピッチP分の移動時間を1周期とする信号波が磁気式リニアエンコーダ22から出力される。こうして着磁された後の搬送ベルト16がプリンタ11には装着されている。
【0032】
搬送ベルト16が装着されたプリンタ11において、磁気センサ21により磁気パターンが再生された信号波を含むエンコーダ信号を基にコントローラ23内で印字基準パルスが生成される。そして、印字基準パルスの立ち上がり(もしくは立ち下がり)時期を噴射タイミングとして記録ヘッド19のノズルからインクを噴射することで、用紙S上にインク滴を着弾させて画像や文字が印刷される。なお、本実施形態では、エンコーダ出力は大小の振幅をもつ二種類の信号波を含むが、これに限定されることなく、着磁時の磁気記録ヘッド25に流れる電流値を3段階以上の多段階に変化させることで更に異なる振幅の信号波を含むエンコーダ出力が得られる構成も採用できる。
【0033】
図5は、コントローラ内における印刷制御系の電気的構成を示す。
図5に示すように、コントローラ23は、主制御部31と、この主制御部31の制御下において記録ヘッド19を制御駆動させる印刷制御部32と、磁気センサ21から入力したエンコーダ信号ESを基に印字基準パルスPTSを生成する信号生成回路33と、モータ駆動回路34とが設けられている。主制御部31は、MPU(Micro Processing Unit)で構成することができるが、所定の論理回路やアナログ回路などにより構成してもよい。主制御部31には、CPU35(中央処理装置)、メモリ36、入力回路37及び出力回路38が含まれる。CPU35はメモリ36に記憶されたプログラムを実行するものであり、メモリ36、入力回路37及び出力回路38と信号やデータのやり取りを行いながら各種処理を行う。また、メモリ36は、CPU35の演算結果を一時格納する機能も有している。
【0034】
磁気センサ21は、コントローラ23内の信号生成回路33と電気的に接続され、磁気センサ21からのエンコーダ信号ESは信号生成回路33及び入力回路37に入力されるようになっている。信号生成回路33は、磁気センサ21から入力したエンコーダ信号ESを基にベルト搬送速度(用紙搬送速度)に応じた解像度が得られるようなパルス周期の印字基準パルスPTSを生成して出力する回路である。CPU35は入力回路37を介して入力したエンコーダ信号ESに基づいて搬送ベルト16の搬送速度(用紙搬送速度)を検出し、その検出結果に基づきモータ駆動回路34を介して電動モータ17をフィードバック制御する。
【0035】
信号生成回路33は、エンコーダ信号ESに基づき印字基準パルスPTSを生成して印刷制御部32に出力する。この印字基準パルスPTSは印刷制御部32から記録ヘッド19に送出され、搬送ベルト16の搬送方向への所定の単位移動量に対応して一つのインク滴を噴射するように制御する。本実施形態では、この単位移動量が、低速ベルト搬送時に着磁ピッチPに等しく、高速ベルト搬送時に着磁ピッチの2倍(=2P)に等しくなるように印字基準パルスPTSの周期が調整される。
【0036】
印刷制御部32には、主制御部31から出力回路38を介して画像データが送られる。印刷制御部32は、この画像データに基づくドットに対応するインク滴の噴射タイミングを印字基準パルスPTSに基づき制御する。なお、信号生成回路33の印字基準パルスPTSがCPUを介して印刷制御部32に入力される構成も採用できる。また、本実施形態では、磁気式リニアエンコーダ22及び信号生成回路33により、パルス生成装置が構成されている。
【0037】
図6は、信号生成回路の構成を示すブロック図を示す。図6に示すように、信号生成回路33は、信号増幅器41、切換手段及びフィルタ手段としてのローパスフィルタ42、及びパルス生成手段としてのパルス発生器43を備えている。信号増幅器41は、磁気センサ21からの入力信号を増幅してローパスフィルタ42へ出力する。ローパスフィルタ42は、入力信号の所定周波数以上の高周波成分を低減する機能を有している。
【0038】
ここで、本実施形態のプリンタ11には、印刷速度の異なる二種類の印刷モードが用意されている。すなわち、印刷画質よりも印刷速度を優先する場合に設定される高速印刷モードと、印刷速度よりも印刷画質を優先する場合に設定される高画質印刷モード(低速印刷モード)とがある。印刷モードは、プリンタ11と通信可能に接続されたホスト装置(図示せず)にユーザが入力操作を行って設定した印刷条件により決定される。例えばドラフト印刷を選択すれば高速印刷モードが設定され、写真印刷を選択すれば高画質印刷モードが設定される。高速印刷モードでは、搬送ベルト16が相対的に高速駆動されるように電動モータ17が速度制御され、一方、高画質印刷モードでは、搬送ベルト16が相対的に低速駆動されるように電動モータ17が速度制御される。
【0039】
ローパスフィルタ42は、低速印刷モードのときにはエンコーダ信号ESの振幅をほとんど低減させず、高速印刷モードのときにはエンコーダ信号ESの振幅を低減させるような回路定数に設定されている。
【0040】
パルス発生器43は、ローパスフィルタ42からのエンコーダ信号FSの信号値が所定の閾値(図9,図10に示す閾値電圧Vth↑)を超えるタイミングでのみ印字基準パルスPTSを生成する回路である。ローパスフィルタ42からのエンコーダ信号FSは、ベルト搬送速度が高速でエンコーダ信号ESが高周波なほど振幅が低減している。よって、振幅が大きい低速印刷時には、信号波が毎周期に閾値を超えるので、エンコーダ信号ESと同一周期の印字基準パルスPTSを出力し、一方、振幅が小さい高速印刷時には、一周期おきに現れる高強度振幅波FSaのみが閾値を超えることになって、搬送ベルト16が磁着ピッチの2倍の距離(=2P)を移動する度に印字基準パルスPTSが生成される。
【0041】
図8は、ベルト搬送速度とエンコーダ出力利得との関係を示すグラフである。このグラフにおいて、横軸がベルト搬送速度Vであり、縦軸がエンコーダ出力利得である。ローパスフィルタ42の遮断周波数(カットオフ周波数)の設定により、低速ベルト搬送速度VLの場合にはエンコーダ出力利得が高く、高速ベルト搬送速度VHの場合にはエンコーダ出力利得が低下する。このため、低速ベルト搬送時と比較し、高速ベルト搬送時のエンコーダ出力はその周波数が高いため、図8に示すように出力レベルが下がるようになっている。本実施形態のローパスフィルタ42は、図8に示すように、遮断周波数近辺の減衰傾度を大きくし、出力強度がベルト搬送速度Vに強く依存するよう設計している。つまり、低速ベルト搬送時と高速ベルト搬送時の境界近辺でベルト搬送速度Vに対してエンコーダ出力利得が高速側ほど徐々に下降する傾斜勾配をもつように、ローパスフィルタ42を回路設計している。そして、高速ベルト搬送速度VHをエンコーダ出力利得が徐々に下降する変化領域上に設定している。なお、低速と高速の2段階の搬送速度が用意されている本実施形態では、低速ベルト搬送速度VLが最低速度、高速ベルト搬送速度VHが最高速度に相当する。
【0042】
図9、図10は、低速ベルト搬送時と高速ベルト搬送時におけるローパスフィルタ出力のエンコーダ信号FSと、パルス発生器から出力される印字基準パルスPTS(噴射タイミング基準信号)との関係を示す。なお、図9、図10において横軸のスケールは位置(ベルト搬送位置)を示している。パルス周波数の比較では、高速ベルト搬送時のエンコーダ信号FSの周波数は、低速ベルト搬送時のエンコーダ信号FSの周波数の速度比(VH/VL)倍の値となっている。
【0043】
高速ベルト搬送時(図10)のエンコーダ信号FSは、低速搬送時(図9)のエンコーダ信号FSと比較して、周波数が高いためその出力レベル(振幅)が低減している。このため、低速ベルト搬送時のエンコーダ信号FSの信号強度(振幅)よりも、高速ベルト搬送時のエンコーダ信号FSの信号強度の方が小さくなる。
【0044】
パルス発生器43は、入力信号であるエンコーダ信号FSが閾値電圧Vth↑を超えると、パルスを立ち上げるように設定されている。ここで、エンコーダ信号FSは、磁気リニアスケール20が磁界強度の強弱を交互に繰り返す着磁パターンにて着磁されていることから、着磁パターンの1ピッチPに対応する信号波として、1周期おきに現れる高強度振幅波FSaと低強度振幅波FSbの2種類を含む。これら2種類の信号波において、低速ベルト搬送時の高強度振幅ピークをA1max、低強度振幅ピークをB1maxとし、高速ベルト搬送時の高強度振幅ピークをA2max、低強度振幅ピークをB2maxとすると、閾値電圧Vth↑は、以下の(1)式及び(2)式を満たす条件に設定されている。
低速ベルト搬送時
Vth↑<A1max 且つ Vth↑<B1max …(1)
高速ベルト搬送時
Vth↑<A2max 且つ Vth↑>B2max …(2)
つまり、本実施形態の閾値電圧Vth↑は、低速ベルト搬送時におけるエンコーダ信号FSの振幅ピークA1max以下かつB1max以下であり(図9)、高速ベルト搬送時におけるエンコーダ信号FSの振幅ピークA2maxとB2maxの間のレベルになるように設定している。
【0045】
また、閾値電圧Vth↑にはヒステリシスを設けている。すなわち、パルスを立ち上げるための閾値電圧Vth↑とは別に、パルスを立ち下げるための閾値電圧Vth↓を設定し、これを立ち上げ時の閾値電圧Vth↑よりも小さな値に設定している。エンコーダ信号FSが上側の閾値電圧Vth↑を超えると、印字基準パルスPTSを立ち上げ、一度立ち上がったら、上側の閾値電圧Vth↑を下回っても立ち下がらず、下側の閾値電圧Vth↓を下回ってはじめてパルスを立ち下げるように閾値電圧にヒステリシスを設けている。ヒステリシスを設けることで、エンコーダ信号FSのノイズの影響を受けにくいように構成している。なお、ノイズの影響がほとんどない場合やノイズ除去処理を別途行う場合は、閾値電圧のヒステリシスの幅を狭くしたり、ヒステリシスを設けない構成(閾値電圧Vth↑のみ)も採用できる。
【0046】
図7は、信号生成回路の電気回路図を示す。
磁気センサ21の出力端子は抵抗R1を介してオペアンプOP1の−側入力端子に接続されており、このオペアンプOP1の+側入力端子には参照電圧Vref1が入力されるように構成されている。オペアンプOP1はその出力端子と−側入力端子との間が抵抗R2を介して接続されており、その出力電圧Voutが−側入力端子に戻るように構成されている。このオペアンプOP1を含む反転増幅回路が信号増幅器41を構成している。また、コンデンサCが抵抗R2と並列に接続されている。つまり、反転増幅回路にコンデンサCを追加した構成となっており、これらコンデンサC及び抵抗R2によりローパスフィルタ42が構成される。
【0047】
オペアンプOP1の出力端子は抵抗R3を介してオペアンプOP2の+側入力端子に接続されている。このオペアンプOP2の−側入力端子には参照電圧Vref2が入力されるように構成されている。また、オペアンプOP2の出力端子と+側入力端子との間は抵抗R4を介して接続されており、正帰還のフィードバックをかける構成となっている。つまり、ヒステリシス回路となっており、これによりパルス発生器43が構成されている。そして、抵抗R3,R4の抵抗値及び参照電圧Vref2の値の設定により、閾値電圧Vth↑,Vth↓の値が決められている。
【0048】
このように構成されている信号生成回路33において、図9に示す低速ベルト搬送時には、エンコーダ信号FSの全ての信号波(高強度振幅波FSaと低強度振幅波FSb)が閾値電圧Vth↑を超えるため、1周期ごとに現れる全ての信号波を用いて印字基準パルスPTSが生成される。この結果、搬送ベルト16が1ピッチ(=P)進む毎に印字基準パルスPTSのパルスが現れ、記録ヘッド19により高解像度の印刷が進められる、
一方、図10に示す高速ベルト搬送時には、エンコーダ信号FSは振幅の大きな高強度振幅波FSaのみが閾値電圧Vth↑を超えるため、1周期おきに現れる高強度振幅波FSaを用いて印字基準パルスPTSが生成される。この結果、搬送ベルト16が2ピッチ(=2P)進む毎に印字基準パルスPTSのパルスが現れ、記録ヘッド19により低解像度の印刷が進められる。つまり、低速ベルト搬送時には解像度を上げて印刷し、高速ベルト搬送時には解像度を下げて印刷する。
【0049】
なお、図5に示す入力回路37には、ローパスフィルタ42を取り除いた信号生成回路33と同様の構成のパルス発生回路が内蔵され、エンコーダ信号ESはこの回路を介して同周期のパルス信号としてCPU35に入力される。この回路内のパルス発生器における閾値電圧Vth↑は、低速ベルト搬送時と高速ベルト搬送時の両方で全ての信号波が閾値を超える値に設定され、低速搬送時か高速搬送時かに関わらず、常にエンコーダ信号ESと同周期のパルスが生成される。CPU35はこのパルスをカウンタで計数して搬送ベルト16の位置を検出し、電動モータ17をそのときの印刷モードに応じた目標速度で駆動されるようフィードバック制御する。
【0050】
以上、詳述したように第一実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)搬送ベルト16が着磁ピッチP進む毎に信号強度の強弱が交互に切り換わるエンコーダ信号ESを出力可能な構成の磁気式リニアエンコーダ22を採用した。そして、エンコーダ出力利得が低速ベルト搬送時よりも高速ベルト搬送時のときにより小さな値をとるように低速時と高速時の各エンコーダ信号ESの各周波数の境界付近に遮断周波数(カットオフ周波数)を有するローパスフィルタ42にエンコーダ信号ESを通すようにした。ローパスフィルタ42を通すことで、エンコーダ信号FSを低速ベルト搬送時の振幅よりも高速ベルト搬送時の振幅を小さくし、そのうえでエンコーダ信号FSが閾値電圧Vth↑を超えたらパルスを立ち上げることで印字基準パルスPTSを生成する構成とした。このため、低速ベルト搬送時には搬送ベルト16が1ピッチP進む毎に1パルス出力し、高速ベルト搬送時には搬送ベルト16が2ピッチ進む毎に1パルス出力するように解像度(分解能)の異なる印字基準パルスPTSを生成できる。例えば特許文献2に示された着磁ラインを複数本にして複数の磁気センサを設ける構成や、分周回路を用いる構成などに比べ、搬送速度に応じた異なる解像度で印刷できる印字基準パルスPTSを簡単な構成で得ることができる。よって、簡単な構成のパルス生成装置を用いて、高速印刷モードでは、用紙搬送速度を高速にして低解像度で印刷でき、高画質印刷モード(低速印刷モード)では、用紙搬送速度を低速にして高解像度で印刷できる。
【0051】
(2)ベルト搬送速度Vに対してエンコーダ出力利得が所定の勾配でもって変化する変化領域を、ベルト搬送速度VLとVHとの境界付近に遮断周波数が設定される回路定数となるようローパスフィルタ42を構成した。この結果、高速印刷時のベルト搬送速度VHが変化領域内に位置するように設定でき、高速印刷時の信号波の振幅を低速印刷時の振幅に比べ小さくすることができる。
【0052】
(3)磁気式リニアエンコーダ22なので、磁界強度の強弱が交互に切り換わるような着磁パターンで磁気記録層20aを着磁して磁気リニアスケール20を構成すればよく、比較的簡単かつ高い信号精度で製造できる。例えば光学式エンコーダであると、振幅が周期的に変化する信号波を生成するために光学センサの受光量が1周期(ピッチP)ごと交互に切り換わるようにスリットの開口形状や開口面積を調整して受光量を1周期毎に変化させる必要があり、エンコーダの製造が面倒であるうえ、また光の拡散や外光(室内光)のセンサへの漏れにより精度が低下する心配がる。
【0053】
(第二実施形態)
本実施形態は、切換手段としてローパスフィルタ42を用いない構成で印字基準パルスの生成を実現する信号生成回路の例である。
【0054】
図11に示す信号生成回路は、図7に示した信号生成回路33からコンデンサCを取り除くことでローパスフィルタ42を排除し、オペアンプOP1等からなる反転増幅器により信号増幅器41を構成している。また、パルス発生器45については、ヒステリシス回路を構成する抵抗R4と並列に抵抗R5とスイッチSWを接続している。スイッチSWは例えばアナログスイッチ又はトランジスタ等からなる。スイッチSWの開閉を切り換えることで、閾値電圧Vth↑の設定を変更できるようになっている。例えばスイッチSWを閉じた場合、閾値電圧はVth↑に設定され、スイッチSWを開いた場合、閾値電圧はVth↑よりも高いV2th↑(>Vth↑)に設定される。
【0055】
この構成では、ローパスフィルタ42が廃止されているため、エンコーダ信号ESは、低速ベルト搬送時と高速ベルト搬送時とで、振幅ピークがほぼ同じ値となる(A1max=A2max,B1max=B2max)。そして、閾値電圧Vth↑は、前記実施形態の(1)式及び(2)式の条件を満たすように設定されているが、この設定は閾値電圧Vth↑の値の切り換えにより実現している。また、スイッチSWには、入力回路37内の回路でエンコーダ信号ESから生成されたベルト搬送速度に対応する周期のパルス信号が入力される。そして、スイッチSWは、入力されるパルス信号の周期が低速ベルト搬送時の値であれば閉路状態とされ、高速ベルト搬送時の値であれば開路状態とされる構成となっている。なお、本実施形態では、ベルト搬送速度に応じて閾値電圧Vth↑の値を切り換えるスイッチSWにより切換手段及び閾値切換手段が構成される。
【0056】
低速ベルト搬送時には、例えば図9のエンコーダ信号FS(振幅がほとんど減衰していない際の信号)とほぼ同レベルのエンコーダ信号ESがパルス発生器45に入力され、このときスイッチSWが閉路状態とされることで、図9と同レベルの閾値電圧Vth↑が設定される。このため、信号生成回路33からは、エンコーダ信号ESと同周期の印字基準パルスPTS(図9参照)が出力される。
【0057】
一方、高速ベルト搬送時には、パルス発生器45に、図12に示すようなエンコーダ信号ESが入力され、このときスイッチSWが開路状態とされることで、図12に示すように前記(2)式を満たす閾値電圧V2th↑が設定される。このため、信号生成回路33からは、図12に示すようにエンコーダ信号ESの2倍の周期の印字基準パルスPTSが出力される。
【0058】
よって、この第二実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(4)スイッチSWの開閉の切り換えにより、閾値電圧をVth↑とV2th↑との間で切り換える簡単な構成なので、分周回路を用いなくても、ベルト搬送速度に応じた解像度の印字基準パルスPTSを生成できる。
【0059】
なお、実施形態は、上記に限定されるものではなく、以下のように変更してもよい。
(変形例1)フィルタ手段はローパスフィルタ42に限定されない。例えばバンドパスフィルタやハイパスフィルタも採用できる。低速ベルト搬送時と高速ベルト搬送時とにおいてエンコーダ出力利得が異なるように遮断周波数が設定されていれば足りる。例えばバンドパスフィルタの場合は、低速ベルト搬送速度と高速ベルト搬送速度との間に相当する位置に遮断周波数を設定するとともに、高速側でエンコーダ出力利得がより小さな値をとる勾配の変化領域が得られるように回路定数を設定する。また、低速搬送時よりも高速搬送時に高解像度(高分解能)が要求される場合は、フィルタ手段としてハイパスフィルタを使用し、低速側でエンコーダ出力利得がより小さな値となる勾配が得られるように回路定数を設定する。
【0060】
(変形例2)低速ベルト搬送速度VLと高速ベルト搬送速度VHとが共に変化領域に設定された構成も採用できる。また、印刷装置以外の用途などであれば、フィルタ手段として例えばハイパスフィルタを用い、被駆動体が高速になるに連れてエンコーダ出力利得が徐々に小さくなるように変化する変化領域内に低速ベルト搬送速度VLを設定した構成も採用できる。
【0061】
(変形例3)前記各実施形態では、磁気スケールを磁界強度が2段階で強弱に切り換わる着磁パターンにて着磁した構成としたが、例えば磁界強度が3段階あるいは4段階以上に変化する着磁パターンを採用し、3種類以上のベルト搬送速度ごとに異なる解像度が得られるように印字基準パルスを生成する構成も採用できる。例えば磁界強度が、強・弱・中・弱を繰り返す着磁パターンにて磁気スケールを構成し、低速時には強・弱・中・弱に対応する4つすべての信号波が閾値を超え、中速時には強と中に対応する2つの信号波が閾値を超え、さらに高速時には、強のみに対応する1つの信号波が閾値を超える構成とする。この場合、低速時には1ピッチPの解像度で印刷でき、中速時には2ピッチ(=2P)の解像度で印刷でき、さらに高速時には4ピッチ(=4P)の解像度で印刷できる。
【0062】
(変形例4)前記第二実施形態において、スイッチSWの切り換え制御は、CPUがパルス信号に基づき低速搬送か高速搬送かを判断し、その判断結果に基づいて行う構成としてもよい。また、用途によっては、被駆動体の高速時ほど解像度の高いパルスを生成する構成でもよい。
【0063】
(変形例5)エンコーダを構成するスケールの取り付け位置は、搬送ベルトに限定されない。例えばベルト搬送装置12を構成するローラの端部周面上にロータリ式の磁気スケールを設けてもよい。その他、動力源である電動モータとその駆動対象との間の動力伝達経路上に位置する他の被駆動体にスケールを設けても構わない。
【0064】
(変形例6)用紙等の媒体を搬送する媒体搬送手段(用紙搬送手段)は、搬送ベルト方式に限定されない。例えば搬送経路上の複数箇所に駆動ローラと従動ローラとの一対からなるローラ装置が配設されてなるローラ方式の搬送装置を備えたプリンタにも適用できる。例えばローラの端部周面上に磁気スケールを設けたり、ローラや動力伝達系の回転駆動軸にロータリエンコーダ式の回転板磁気スケールを設ければよい。また、ラインプリンタにおけるベルト搬送方式の場合、搬送方向上流側と下流側にそれぞれ一対ずつ配設されたローラ間に複数本のベルトを千鳥配置で巻き掛けた構成も採用できる。
【0065】
(変形例7)パルス生成装置は、ラインプリンタへの適用に限定されず、例えば記録ヘッドが用紙幅方向に移動(走査)しながら印刷を行うシリアル式プリンタに適用してもよい。すなわち、被駆動体は媒体の搬送手段の構成部品に限定されず、記録ヘッドを搭載するキャリッジ等の移動手段でもよい。例えばキャリッジの移動経路と平行にリニアエンコーダを設け、キャリッジと共に移動するセンサからのエンコーダ信号ESを前記実施形態の信号生成回路33に入力して印字基準パルスPTSを生成する構成とする。
【0066】
(変形例8)エンコーダ(リニアエンコーダ、ロータリエンコーダ)は磁気式に限らず光学式も採用できる。光学式エンコーダの場合、スケールに一定ピッチでスリットを設け、光源(発光素子)から出射されてスリットを通過した光を受光する受光センサの受光量が周期的に変化するようにスリットの開口形状や開口面積を周期的に変化させれば、振幅が周期的に変化するエンコーダ信号ESを得ることができる。
【0067】
(変形例9)前記実施形態では、画像形成装置を、流体噴射装置としてのインクジェット式記録装置に具体化したが、この限りではなく、インク以外の他の流体(液体や、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体、流体として流して噴射できる固体(例えばトナー等を含む粉粒体)を含む)を噴射したり吐出したりする流体噴射装置に具体化することもできる。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射する液状体噴射装置、さらに光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状体噴射装置であってもよい。なお、これらの各装置のように、噴射した流体(ドット)をターゲット上に着弾させて形成した所定パターン(配線パターン、電極パターン、画素パターン、エッチングパターン、配列パターンを含む)も、本明細書では画像形成装置により形成される画像(パターン画像)に含まれる。なお、「流体」とは、気体のみからなる流体を含まない概念であり、例えば液体(無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含む)、粉粒体、流状体などが含まれる。もちろん、インクジェット方式以外のプリンタにも適用できる。例えば、ドットインパクトプリンタ、熱転写プリンタ、レーザープリンタ等に適用してもよい。
【0068】
(変形例10)パルス生成装置は、プリンタなどの画像形成装置への適用に限定されない。被駆動体の移動速度に応じてリニアスケールを検出するセンサが出力するエンコーダ信号に基づき被駆動体の駆動速度に応じて異なる分解能で生成されたパルスの用途がある各種装置に広く適用できる。例えば搬送されるワークに対して所定のピッチで孔開け(パンチング)などの加工を施す加工装置にも適用できる。また、搬送される基板に対して所定のピッチで部品(電子部品(チップ))を実装する実装装置にも適用できる。
【0069】
以下、前記実施形態及び変形例から把握できる技術的思想を記載する。
(1)請求項5において、前記閾値切換手段は、前記被駆動体が高速であるほど、前記閾値を超える信号波の数が減るような閾値に切り換えることを特徴とするパルス生成装置。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第一実施形態におけるプリンタの概略構成を示す模式平面図。
【図2】プリンタの模式側面図。
【図3】磁気式リニアエンコーダの着磁方法を説明する模式図。
【図4】磁気記録ヘッドで着磁して磁気リニアスケールを形成する際の磁界強度を示すグラフと、磁気リニアスケールの磁束線の様子を示す模式図。
【図5】プリンタの電気的構成を示すブロック図。
【図6】信号生成回路の電気的構成を示すブロック図。
【図7】信号生成回路の回路図。
【図8】ベルト搬送速度とエンコーダ出力利得との関係を示すグラフ。
【図9】低速搬送時における信号強度と印字基準パルスを示すグラフ。
【図10】高速搬送時における信号強度と印字基準パルスを示すグラフ。
【図11】第二実施形態における信号生成回路の回路図。
【図12】高速搬送時における信号強度と印字基準パルスを示すグラフ。
【符号の説明】
【0071】
11…画像形成装置としてのプリンタ、12…ベルト搬送装置、16…被駆動体及び搬送手段としての搬送ベルト、17…電動モータ、19…記録手段としての記録ヘッド、20…磁気スケールとしての磁気リニアスケール、21…パルス生成装置を構成する磁気センサ、22…パルス生成装置を構成するとともにエンコーダとしての磁気リニアエンコーダ、23…コントローラ、31…主制御部、32…印刷制御部、33…パルス生成装置を構成する信号生成回路、41…信号増幅器、42…切換手段及びフィルタ手段としてのローパスフィルタ、43…パルス生成手段としてのパルス発生器、P…ターゲットとしての用紙(記録媒体)、ES…エンコーダ信号(エンコーダ出力)、FS…エンコーダ信号(ローパスフィルタ出力)、FSa…信号波としての高強度振幅波、FS…エンコーダ信号、FSa…信号波としての高強度振幅波、FSb…信号波としての低強度振幅波、PTS…パルスとしての印字基準パルス(印字基準信号)、VL…最低速度としての低速搬送時のベルト搬送速度、VH…最高速度としての高速搬送時のベルト搬送速度、SW…切換手段及び閾値切換手段としてのスイッチ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、被駆動体の速度に応じた周期の信号を出力するエンコーダの出力信号を基にパルスを生成するパルス生成装置、画像形成装置及びパルス生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ等の画像形成装置においては、搬送方向に搬送される用紙に対し記録ヘッドが印刷を施す構成となっている。この場合、用紙位置に応じた適切なタイミングでインク滴を吐出する必要があるため、用紙搬送速度に同期してエンコーダから出力される出力信号を基に用紙の搬送速度に同期して印字基準信号を生成し、印字基準信号に基づき吐出タイミングの制御を行っている。
【0003】
例えば特許文献1には、用紙搬送手段(被駆動体)として搬送ベルトを用いた印刷装置(画像形成装置)が知られている。搬送ベルト上にはその速度及び位置を検出するための被検出要素(光透過部や光遮蔽部)が設けられており、エンコーダで被検出要素を読み取り、そのエンコーダ信号に基づいてインク吐出を行い、用紙上に文字や画像を印刷するようになっている。また、画像形成装置では、磁気式リニアエンコーダも使用される(例えば特許文献2)。
【0004】
通常、リニアエンコーダのスケール部には、例えば磁気式の場合、連続的に単一間隔で着磁するため、単一な間隔でしか位置信号が得られない。また、通常、印刷装置ではデータ転送速度に限界があるので、高速印刷を希望する場合には、ベルト搬送速度を高速にして解像度を下げて印刷し、写真印刷など高解像度を希望する場合は、ベルト搬送速度を低速にして解像度を上げて印刷するなど、ベルト搬送速度に応じた複数の印刷モードが用意されている。
【0005】
例えば特許文献2には、複数の印刷モードに対応するために、スケール部に着磁ピッチを変化させた二つ以上の着磁ラインを有する磁気式リニアエンコーダを備えたシリアル式の記録装置が開示されている。この構成によれば、着磁ピッチの異なる複数の着磁ラインがあるため、二種類以上の解像度を得ることができる。
【特許文献1】特開2006−96429号公報(例えば明細書段落[0023][0024]、図1)
【特許文献2】特開平5−318869号公報(例えば明細書段落[0014]〜[0016]等、図2、図5、図10、図11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の構成によれば、着磁ラインの本数を増やす必要があるため、磁気センサが二つ以上必要となりコストがかかるうえ、着磁ラインの幅に着磁ラインの本数を乗じた幅寸法分のスペースを確保する必要があるなどの問題がある。なお、これらの問題は、磁気式リニアエンコーダに限らず、光学式リニアエンコーダについても同様である。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、被駆動体の速度に応じて分解能が変化するパルスを簡単な構成で生成できるパルス生成装置、画像形成装置及びパルス生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被駆動体が単位駆動量駆動される毎の周期で信号波を出力するエンコーダの出力信号に基づきパルスを生成するパルス生成装置であって、前記信号波の振幅が周期的に変化するように構成された前記エンコーダと、前記信号波の振幅と閾値とのうち少なくとも一方を前記被駆動体の速度に応じて切り換えて前記閾値を超える信号波の数が前記速度に応じて切り換える切換手段と、前記閾値を超えた信号波に基づき該信号波と同周期のパルスを生成するパルス生成手段とを備えたことを要旨とする。
【0009】
これによれば、エンコーダは、被駆動体が単位駆動量駆動される毎の周期で信号波を出力する。エンコーダから出力信号を入力する切換手段は、信号波の振幅と閾値とのうち少なくとも一方を被駆動体の速度に応じて切り換え、閾値を超える信号波の数が被駆動体の速度に応じて切り換える。パルス生成手段は、閾値を超えた信号波に基づき該信号波と同周期のパルスを生成する。よって、被駆動体の速度に応じて分解能が変化するパルスを簡単な構成で生成できる。
【0010】
本発明のパルス生成装置では、前記切換手段は、入力した前記信号波の周波数に応じて信号波出力の利得が変化するように遮断周波数が設定されたフィルタ手段であり、前記出力信号を該フィルタ手段に通すことで、前記被駆動体の速度に応じて前記信号波の振幅を切り換えることが好ましい。
【0011】
これによれば、切換手段であるフィルタ手段に入力される信号波の周波数は、被駆動体の速度に比例する。フィルタ手段は信号波の周波数に応じて信号波出力の利得が変化するように遮断周波数が設定されている。このため、被駆動体が低速のときには信号波が低周波数となり、一方、被駆動体が高速のときには信号波が高周波数となる。そして、これら周波数の違いにより信号波出力の利得が異なるため、利得の違いに応じた振幅の信号波が出力される。つまり、被駆動体の速度に応じて信号波の振幅が切り換えられる。
【0012】
本発明のパルス生成装置では、前記フィルタ手段は、前記被駆動体の駆動速度に対して前記信号波出力の利得が徐々に変化する変化領域を有するように回路定数が設定されており、前記被駆動体の最低速度と最高速度のうち少なくとも一方が前記変化領域内に設定されていることが好ましい。
【0013】
これによれば、被駆動体の最低速度と最高速度のうち少なくとも一方が、信号波出力の利得が徐々に変化する変化領域に設定されているので、エンコーダの出力信号をフィルタ手段に通すことで、被駆動体の速度に応じた異なる振幅に変化させることができる。
【0014】
本発明のパルス生成装置では、前記フィルタ手段は、前記被駆動体の低速時の周波数より高速時の周波数の方が前記信号波出力の利得が大きくなるように遮断周波数が設定されていることが好ましい。
【0015】
これによれば、フィルタ手段は、被駆動体の低速時の周波数より高速時の周波数の方が信号波出力の利得が大きいので、被駆動体が高速であるほど信号波の振幅が小さくなり、閾値を超えなかった信号波がより多く間引かれ、パルス1周期毎の被駆動体の駆動量が多くなるようにパルスが生成される。
【0016】
本発明のパルス生成装置では、前記切換手段は、前記被駆動体の速度に応じて前記閾値を切り換える閾値切換手段であることが好ましい。
これによれば、閾値切換手段により、閾値が被駆動体の速度に応じて切り換えられる。閾値が切り換わることで、低速時と高速時とで閾値を超えることになる信号波の数が切り換わる。よって、被駆動体の速度に応じて、パルス1回出力当たりの駆動量の異なるパルスを簡単に生成できる。
【0017】
本発明のパルス生成装置では、前記エンコーダは、磁界強度が周期的に変化する着磁パターンにて着磁された磁気スケールと、前記磁気スケールの磁気を検出して前記着磁パターンの磁界強度に応じた振幅の信号波を含むエンコーダ信号を出力する磁気センサとを備えた磁気エンコーダであることが好ましい。
【0018】
これによれば、被駆動体が駆動されることにより、磁気スケールと磁気センサとは相対移動し、磁気センサは、磁気スケールの磁気を検出して着磁パターンの磁界強度に応じた振幅の信号波を含むエンコーダ信号を出力する。このとき、磁界強度が周期的に変化する着磁パターンなので、エンコーダから振幅が周期的に変化する信号波を含む出力信号を出力させることができる。
【0019】
本発明は、ターゲットを搬送する搬送手段と、前記ターゲットに対して記録を施す記録手段とを備えた画像形成装置であって、上記の発明のパルス生成装置を備え、前記パルス生成装置を構成するエンコーダは前記搬送手段の搬送又は前記記録手段の移動を検出可能に設けられ、前記パルス生成装置から出力されたパルスを前記記録手段による記録タイミングを決める基準信号として用いることを要旨とする。
【0020】
これによれば、エンコーダは、搬送手段の搬送又は記録手段の移動を検出する。搬送手段の搬送速度又は記録手段の移動速度が変化すれば、パルスが1回出力される際の搬送手段又は記録手段の駆動量の異なるパルスがパルス生成装置から出力される。パルス生成装置から入力したパルスに基づく記録タイミングで記録手段は記録を行う。例えば搬送手段の搬送速度あるいは記録手段の移動速度の違いによって異なる解像度で記録を行うことができる。
【0021】
本発明は、被駆動体が単位駆動量駆動される毎の周期で信号波を出力するエンコーダの出力信号に基づきパルスを生成するパルス生成方法であって、エンコーダから信号波の振幅が周期的に変化する出力信号を入力する段階と、前記信号波の振幅と閾値とのうち少なくとも一方を前記被駆動体の速度に応じて切り換えて前記閾値を超える信号波の数を前記速度に応じて切り換える段階と、前記閾値を超えた信号波に基づき該信号波と同周期のパルスを生成する段階とを備えたことを要旨とする。これによれば、上記発明のパルス生成装置と同様の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第一実施形態)
以下、本発明を具体化した第一実施形態を図1〜図10に従って説明する。
図1は、インクジェット式記録装置の模式平面図を示し、図2は、その側面図を示す。なお、図1において下側が用紙搬送方向上流側である。
【0023】
図1及び図2に示すように、画像形成装置としてのインクジェット式記録装置(以下、単にプリンタ11という)は、用紙Sを搬送するためのベルト搬送装置12を備えている。ベルト搬送装置12は、用紙搬送方向下流側に設けられた駆動ローラ13と、用紙搬送方向上流側に設けられた従動ローラ14と、駆動ローラ13と従動ローラ14間の略中間位置かつやや下側(図2参照)に配置されたテンションローラ15と、各ローラ13〜15に渡って巻き掛けられた無端状の搬送ベルト16とを有している。
【0024】
駆動ローラ13には電動モータ17の出力軸が直接又は減速機構(図示省略)を介して動力伝達可能に連結されている。電動モータ17が正転駆動されると、駆動ローラ13が回転駆動し、搬送ベルト16が用紙Sを上流側から下流側へ搬送できる方向に回転する。ベルト搬送装置12の上流側にはゲートローラ18が設けられ、用紙Sはゲートローラ18の回転により搬送ベルト16上へ給送される。なお、ゲートローラ18は、用紙Sをローラ面に突き当てることで用紙Sのスキューを補正し、また駆動開始タイミングを図ることで、用紙Sを搬送ベルト16上の目標位置に載せるようにタイミングを合わせて用紙Sを送り出す。
【0025】
搬送ベルト16の搬送方向中間位置上側には、長尺状をなすラインヘッド方式の記録ヘッド19が搬送ベルト16の幅方向と平行となる向きで配置されている。記録ヘッド19は、プリンタ11が印刷できる最大幅の用紙Sの幅方向全域に渡る範囲よりも広い範囲に渡り一定のノズルピッチで配列された多数のノズルからなるノズル列が下面に設けられており、用紙を搬送しながら用紙搬送速度に合わせたタイミングでインクをノズルから順次噴射することで、用紙Sに画像等の印刷が行える。
【0026】
搬送ベルト16の側縁部には、搬送方向に沿って磁気リニアスケール20が搬送ベルト16の全周に渡って設けられている。磁気リニアスケール20は、搬送ベルト16の側縁部に形成された帯状の磁気記録層に一定ピッチで磁気パターンを記録して構成されている。磁気リニアスケール20の上側(図1では紙面手前側)近接位置には、磁気リニアスケール20上に記録された磁気パターンを再生するための磁気センサ21が設けられている。磁気リニアスケール20と磁気センサ21とにより磁気式リニアエンコーダ22が構成されている。また、プリンタ11には制御手段としてのコントローラ23が設けられている。コントローラ23は、電動モータ17を駆動制御するとともに、磁気センサ21から入力したエンコーダ信号ESを基に内部回路で生成した印字基準パルスPTS(噴射タイミング信号)(図9,図10参照)を生成し、印字基準パルスPTSに基づき用紙搬送速度(用紙搬送位置)に合わせた適切なタイミングでインク滴の噴射制御を行う。
【0027】
図3は、磁気リニアスケールの着磁方法を説明する模式図である。
搬送ベルト16の磁気記録層への着磁は、着磁装置を用いて行われる。着磁装置は、プリンタ11のベルト搬送装置12のものと基本的にほぼ同じ構成の駆動ローラと従動ローラ(図示省略)とを備え、搬送ベルト16を両ローラに巻き掛けた状態で着磁処理を行う。
【0028】
磁気リニアスケール20上には、搬送ベルト16(つまり用紙S)の位置を検出するために、図3に示すように、インク滴の噴射位置間隔に合わせて一定ピッチ(着磁ピッチP)で規則正しくN極とS極が交互に並んで着磁されている。この着磁装置には、図3に示す磁気記録ヘッド25が設けられ、磁気記録ヘッド25に流れる電流Iの方向及び電流量を制御することによって、磁極Nと磁極S、磁界の強さが決定される。なお、磁気記録ヘッド25としては、例えばGMR(Giant Magneto Resistive Effect)センサやMR(Magneto Resistive Effect)センサなどの多値出力可能な磁気センサを使用している。その他、ホール素子やMI(磁気インピーダンス)素子等を使用してもよい。
【0029】
図4は、磁気記録ヘッドで着磁する際に磁気記録層に及ぶ磁界強度、磁気スケールにおける磁気の様子を示す。搬送ベルト16を一定速度Voで回転駆動させながら、図4における上段のグラフに示すように、磁界強度の振幅が周期的に変化するような磁界が磁気記録層20aに及ぶように、磁気記録ヘッド25の電流を制御する。こうして磁気記録層20aの着磁により形成された磁気リニアスケール20には、図4の下段に示すようにN極とS極が半ピッチ(1/P)毎に交互に切り換わり、かつ磁界強度が着磁ピッチP毎に交互に強弱を繰り返す着磁パターンが形成されている。なお、スケールの被検出要素(磁極N・S)の配列周期である着磁ピッチPは、プリンタ11の印刷時におけるベルト搬送速度と印刷解像度とから設定されており、例えば35μm(解像度720dpiの場合)や70μm(解像度360dpiの場合)程度の値である。
【0030】
この磁気リニアスケール20上の磁気パターンを磁気センサ21で再生する場合、磁気リニアスケール20は図4の下段に示す磁界強度を有するので、磁気センサ21は、図4の上段に示す磁界強度に対応する周期及び振幅で変化する信号波形の検出信号を出力する。この場合、GMRセンサ等の磁気センサ21を用いているため、出力の振幅が多値であるエンコーダ出力が得られる。要するに、信号波の振幅が一定の周期で周期的に変化する検出信号が得られればよい。
【0031】
本実施形態では、被駆動体である搬送ベルト16の単位駆動量が着磁ピッチPに等しく、搬送ベルト16の着磁ピッチP分の移動時間を1周期とする信号波が磁気式リニアエンコーダ22から出力される。こうして着磁された後の搬送ベルト16がプリンタ11には装着されている。
【0032】
搬送ベルト16が装着されたプリンタ11において、磁気センサ21により磁気パターンが再生された信号波を含むエンコーダ信号を基にコントローラ23内で印字基準パルスが生成される。そして、印字基準パルスの立ち上がり(もしくは立ち下がり)時期を噴射タイミングとして記録ヘッド19のノズルからインクを噴射することで、用紙S上にインク滴を着弾させて画像や文字が印刷される。なお、本実施形態では、エンコーダ出力は大小の振幅をもつ二種類の信号波を含むが、これに限定されることなく、着磁時の磁気記録ヘッド25に流れる電流値を3段階以上の多段階に変化させることで更に異なる振幅の信号波を含むエンコーダ出力が得られる構成も採用できる。
【0033】
図5は、コントローラ内における印刷制御系の電気的構成を示す。
図5に示すように、コントローラ23は、主制御部31と、この主制御部31の制御下において記録ヘッド19を制御駆動させる印刷制御部32と、磁気センサ21から入力したエンコーダ信号ESを基に印字基準パルスPTSを生成する信号生成回路33と、モータ駆動回路34とが設けられている。主制御部31は、MPU(Micro Processing Unit)で構成することができるが、所定の論理回路やアナログ回路などにより構成してもよい。主制御部31には、CPU35(中央処理装置)、メモリ36、入力回路37及び出力回路38が含まれる。CPU35はメモリ36に記憶されたプログラムを実行するものであり、メモリ36、入力回路37及び出力回路38と信号やデータのやり取りを行いながら各種処理を行う。また、メモリ36は、CPU35の演算結果を一時格納する機能も有している。
【0034】
磁気センサ21は、コントローラ23内の信号生成回路33と電気的に接続され、磁気センサ21からのエンコーダ信号ESは信号生成回路33及び入力回路37に入力されるようになっている。信号生成回路33は、磁気センサ21から入力したエンコーダ信号ESを基にベルト搬送速度(用紙搬送速度)に応じた解像度が得られるようなパルス周期の印字基準パルスPTSを生成して出力する回路である。CPU35は入力回路37を介して入力したエンコーダ信号ESに基づいて搬送ベルト16の搬送速度(用紙搬送速度)を検出し、その検出結果に基づきモータ駆動回路34を介して電動モータ17をフィードバック制御する。
【0035】
信号生成回路33は、エンコーダ信号ESに基づき印字基準パルスPTSを生成して印刷制御部32に出力する。この印字基準パルスPTSは印刷制御部32から記録ヘッド19に送出され、搬送ベルト16の搬送方向への所定の単位移動量に対応して一つのインク滴を噴射するように制御する。本実施形態では、この単位移動量が、低速ベルト搬送時に着磁ピッチPに等しく、高速ベルト搬送時に着磁ピッチの2倍(=2P)に等しくなるように印字基準パルスPTSの周期が調整される。
【0036】
印刷制御部32には、主制御部31から出力回路38を介して画像データが送られる。印刷制御部32は、この画像データに基づくドットに対応するインク滴の噴射タイミングを印字基準パルスPTSに基づき制御する。なお、信号生成回路33の印字基準パルスPTSがCPUを介して印刷制御部32に入力される構成も採用できる。また、本実施形態では、磁気式リニアエンコーダ22及び信号生成回路33により、パルス生成装置が構成されている。
【0037】
図6は、信号生成回路の構成を示すブロック図を示す。図6に示すように、信号生成回路33は、信号増幅器41、切換手段及びフィルタ手段としてのローパスフィルタ42、及びパルス生成手段としてのパルス発生器43を備えている。信号増幅器41は、磁気センサ21からの入力信号を増幅してローパスフィルタ42へ出力する。ローパスフィルタ42は、入力信号の所定周波数以上の高周波成分を低減する機能を有している。
【0038】
ここで、本実施形態のプリンタ11には、印刷速度の異なる二種類の印刷モードが用意されている。すなわち、印刷画質よりも印刷速度を優先する場合に設定される高速印刷モードと、印刷速度よりも印刷画質を優先する場合に設定される高画質印刷モード(低速印刷モード)とがある。印刷モードは、プリンタ11と通信可能に接続されたホスト装置(図示せず)にユーザが入力操作を行って設定した印刷条件により決定される。例えばドラフト印刷を選択すれば高速印刷モードが設定され、写真印刷を選択すれば高画質印刷モードが設定される。高速印刷モードでは、搬送ベルト16が相対的に高速駆動されるように電動モータ17が速度制御され、一方、高画質印刷モードでは、搬送ベルト16が相対的に低速駆動されるように電動モータ17が速度制御される。
【0039】
ローパスフィルタ42は、低速印刷モードのときにはエンコーダ信号ESの振幅をほとんど低減させず、高速印刷モードのときにはエンコーダ信号ESの振幅を低減させるような回路定数に設定されている。
【0040】
パルス発生器43は、ローパスフィルタ42からのエンコーダ信号FSの信号値が所定の閾値(図9,図10に示す閾値電圧Vth↑)を超えるタイミングでのみ印字基準パルスPTSを生成する回路である。ローパスフィルタ42からのエンコーダ信号FSは、ベルト搬送速度が高速でエンコーダ信号ESが高周波なほど振幅が低減している。よって、振幅が大きい低速印刷時には、信号波が毎周期に閾値を超えるので、エンコーダ信号ESと同一周期の印字基準パルスPTSを出力し、一方、振幅が小さい高速印刷時には、一周期おきに現れる高強度振幅波FSaのみが閾値を超えることになって、搬送ベルト16が磁着ピッチの2倍の距離(=2P)を移動する度に印字基準パルスPTSが生成される。
【0041】
図8は、ベルト搬送速度とエンコーダ出力利得との関係を示すグラフである。このグラフにおいて、横軸がベルト搬送速度Vであり、縦軸がエンコーダ出力利得である。ローパスフィルタ42の遮断周波数(カットオフ周波数)の設定により、低速ベルト搬送速度VLの場合にはエンコーダ出力利得が高く、高速ベルト搬送速度VHの場合にはエンコーダ出力利得が低下する。このため、低速ベルト搬送時と比較し、高速ベルト搬送時のエンコーダ出力はその周波数が高いため、図8に示すように出力レベルが下がるようになっている。本実施形態のローパスフィルタ42は、図8に示すように、遮断周波数近辺の減衰傾度を大きくし、出力強度がベルト搬送速度Vに強く依存するよう設計している。つまり、低速ベルト搬送時と高速ベルト搬送時の境界近辺でベルト搬送速度Vに対してエンコーダ出力利得が高速側ほど徐々に下降する傾斜勾配をもつように、ローパスフィルタ42を回路設計している。そして、高速ベルト搬送速度VHをエンコーダ出力利得が徐々に下降する変化領域上に設定している。なお、低速と高速の2段階の搬送速度が用意されている本実施形態では、低速ベルト搬送速度VLが最低速度、高速ベルト搬送速度VHが最高速度に相当する。
【0042】
図9、図10は、低速ベルト搬送時と高速ベルト搬送時におけるローパスフィルタ出力のエンコーダ信号FSと、パルス発生器から出力される印字基準パルスPTS(噴射タイミング基準信号)との関係を示す。なお、図9、図10において横軸のスケールは位置(ベルト搬送位置)を示している。パルス周波数の比較では、高速ベルト搬送時のエンコーダ信号FSの周波数は、低速ベルト搬送時のエンコーダ信号FSの周波数の速度比(VH/VL)倍の値となっている。
【0043】
高速ベルト搬送時(図10)のエンコーダ信号FSは、低速搬送時(図9)のエンコーダ信号FSと比較して、周波数が高いためその出力レベル(振幅)が低減している。このため、低速ベルト搬送時のエンコーダ信号FSの信号強度(振幅)よりも、高速ベルト搬送時のエンコーダ信号FSの信号強度の方が小さくなる。
【0044】
パルス発生器43は、入力信号であるエンコーダ信号FSが閾値電圧Vth↑を超えると、パルスを立ち上げるように設定されている。ここで、エンコーダ信号FSは、磁気リニアスケール20が磁界強度の強弱を交互に繰り返す着磁パターンにて着磁されていることから、着磁パターンの1ピッチPに対応する信号波として、1周期おきに現れる高強度振幅波FSaと低強度振幅波FSbの2種類を含む。これら2種類の信号波において、低速ベルト搬送時の高強度振幅ピークをA1max、低強度振幅ピークをB1maxとし、高速ベルト搬送時の高強度振幅ピークをA2max、低強度振幅ピークをB2maxとすると、閾値電圧Vth↑は、以下の(1)式及び(2)式を満たす条件に設定されている。
低速ベルト搬送時
Vth↑<A1max 且つ Vth↑<B1max …(1)
高速ベルト搬送時
Vth↑<A2max 且つ Vth↑>B2max …(2)
つまり、本実施形態の閾値電圧Vth↑は、低速ベルト搬送時におけるエンコーダ信号FSの振幅ピークA1max以下かつB1max以下であり(図9)、高速ベルト搬送時におけるエンコーダ信号FSの振幅ピークA2maxとB2maxの間のレベルになるように設定している。
【0045】
また、閾値電圧Vth↑にはヒステリシスを設けている。すなわち、パルスを立ち上げるための閾値電圧Vth↑とは別に、パルスを立ち下げるための閾値電圧Vth↓を設定し、これを立ち上げ時の閾値電圧Vth↑よりも小さな値に設定している。エンコーダ信号FSが上側の閾値電圧Vth↑を超えると、印字基準パルスPTSを立ち上げ、一度立ち上がったら、上側の閾値電圧Vth↑を下回っても立ち下がらず、下側の閾値電圧Vth↓を下回ってはじめてパルスを立ち下げるように閾値電圧にヒステリシスを設けている。ヒステリシスを設けることで、エンコーダ信号FSのノイズの影響を受けにくいように構成している。なお、ノイズの影響がほとんどない場合やノイズ除去処理を別途行う場合は、閾値電圧のヒステリシスの幅を狭くしたり、ヒステリシスを設けない構成(閾値電圧Vth↑のみ)も採用できる。
【0046】
図7は、信号生成回路の電気回路図を示す。
磁気センサ21の出力端子は抵抗R1を介してオペアンプOP1の−側入力端子に接続されており、このオペアンプOP1の+側入力端子には参照電圧Vref1が入力されるように構成されている。オペアンプOP1はその出力端子と−側入力端子との間が抵抗R2を介して接続されており、その出力電圧Voutが−側入力端子に戻るように構成されている。このオペアンプOP1を含む反転増幅回路が信号増幅器41を構成している。また、コンデンサCが抵抗R2と並列に接続されている。つまり、反転増幅回路にコンデンサCを追加した構成となっており、これらコンデンサC及び抵抗R2によりローパスフィルタ42が構成される。
【0047】
オペアンプOP1の出力端子は抵抗R3を介してオペアンプOP2の+側入力端子に接続されている。このオペアンプOP2の−側入力端子には参照電圧Vref2が入力されるように構成されている。また、オペアンプOP2の出力端子と+側入力端子との間は抵抗R4を介して接続されており、正帰還のフィードバックをかける構成となっている。つまり、ヒステリシス回路となっており、これによりパルス発生器43が構成されている。そして、抵抗R3,R4の抵抗値及び参照電圧Vref2の値の設定により、閾値電圧Vth↑,Vth↓の値が決められている。
【0048】
このように構成されている信号生成回路33において、図9に示す低速ベルト搬送時には、エンコーダ信号FSの全ての信号波(高強度振幅波FSaと低強度振幅波FSb)が閾値電圧Vth↑を超えるため、1周期ごとに現れる全ての信号波を用いて印字基準パルスPTSが生成される。この結果、搬送ベルト16が1ピッチ(=P)進む毎に印字基準パルスPTSのパルスが現れ、記録ヘッド19により高解像度の印刷が進められる、
一方、図10に示す高速ベルト搬送時には、エンコーダ信号FSは振幅の大きな高強度振幅波FSaのみが閾値電圧Vth↑を超えるため、1周期おきに現れる高強度振幅波FSaを用いて印字基準パルスPTSが生成される。この結果、搬送ベルト16が2ピッチ(=2P)進む毎に印字基準パルスPTSのパルスが現れ、記録ヘッド19により低解像度の印刷が進められる。つまり、低速ベルト搬送時には解像度を上げて印刷し、高速ベルト搬送時には解像度を下げて印刷する。
【0049】
なお、図5に示す入力回路37には、ローパスフィルタ42を取り除いた信号生成回路33と同様の構成のパルス発生回路が内蔵され、エンコーダ信号ESはこの回路を介して同周期のパルス信号としてCPU35に入力される。この回路内のパルス発生器における閾値電圧Vth↑は、低速ベルト搬送時と高速ベルト搬送時の両方で全ての信号波が閾値を超える値に設定され、低速搬送時か高速搬送時かに関わらず、常にエンコーダ信号ESと同周期のパルスが生成される。CPU35はこのパルスをカウンタで計数して搬送ベルト16の位置を検出し、電動モータ17をそのときの印刷モードに応じた目標速度で駆動されるようフィードバック制御する。
【0050】
以上、詳述したように第一実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)搬送ベルト16が着磁ピッチP進む毎に信号強度の強弱が交互に切り換わるエンコーダ信号ESを出力可能な構成の磁気式リニアエンコーダ22を採用した。そして、エンコーダ出力利得が低速ベルト搬送時よりも高速ベルト搬送時のときにより小さな値をとるように低速時と高速時の各エンコーダ信号ESの各周波数の境界付近に遮断周波数(カットオフ周波数)を有するローパスフィルタ42にエンコーダ信号ESを通すようにした。ローパスフィルタ42を通すことで、エンコーダ信号FSを低速ベルト搬送時の振幅よりも高速ベルト搬送時の振幅を小さくし、そのうえでエンコーダ信号FSが閾値電圧Vth↑を超えたらパルスを立ち上げることで印字基準パルスPTSを生成する構成とした。このため、低速ベルト搬送時には搬送ベルト16が1ピッチP進む毎に1パルス出力し、高速ベルト搬送時には搬送ベルト16が2ピッチ進む毎に1パルス出力するように解像度(分解能)の異なる印字基準パルスPTSを生成できる。例えば特許文献2に示された着磁ラインを複数本にして複数の磁気センサを設ける構成や、分周回路を用いる構成などに比べ、搬送速度に応じた異なる解像度で印刷できる印字基準パルスPTSを簡単な構成で得ることができる。よって、簡単な構成のパルス生成装置を用いて、高速印刷モードでは、用紙搬送速度を高速にして低解像度で印刷でき、高画質印刷モード(低速印刷モード)では、用紙搬送速度を低速にして高解像度で印刷できる。
【0051】
(2)ベルト搬送速度Vに対してエンコーダ出力利得が所定の勾配でもって変化する変化領域を、ベルト搬送速度VLとVHとの境界付近に遮断周波数が設定される回路定数となるようローパスフィルタ42を構成した。この結果、高速印刷時のベルト搬送速度VHが変化領域内に位置するように設定でき、高速印刷時の信号波の振幅を低速印刷時の振幅に比べ小さくすることができる。
【0052】
(3)磁気式リニアエンコーダ22なので、磁界強度の強弱が交互に切り換わるような着磁パターンで磁気記録層20aを着磁して磁気リニアスケール20を構成すればよく、比較的簡単かつ高い信号精度で製造できる。例えば光学式エンコーダであると、振幅が周期的に変化する信号波を生成するために光学センサの受光量が1周期(ピッチP)ごと交互に切り換わるようにスリットの開口形状や開口面積を調整して受光量を1周期毎に変化させる必要があり、エンコーダの製造が面倒であるうえ、また光の拡散や外光(室内光)のセンサへの漏れにより精度が低下する心配がる。
【0053】
(第二実施形態)
本実施形態は、切換手段としてローパスフィルタ42を用いない構成で印字基準パルスの生成を実現する信号生成回路の例である。
【0054】
図11に示す信号生成回路は、図7に示した信号生成回路33からコンデンサCを取り除くことでローパスフィルタ42を排除し、オペアンプOP1等からなる反転増幅器により信号増幅器41を構成している。また、パルス発生器45については、ヒステリシス回路を構成する抵抗R4と並列に抵抗R5とスイッチSWを接続している。スイッチSWは例えばアナログスイッチ又はトランジスタ等からなる。スイッチSWの開閉を切り換えることで、閾値電圧Vth↑の設定を変更できるようになっている。例えばスイッチSWを閉じた場合、閾値電圧はVth↑に設定され、スイッチSWを開いた場合、閾値電圧はVth↑よりも高いV2th↑(>Vth↑)に設定される。
【0055】
この構成では、ローパスフィルタ42が廃止されているため、エンコーダ信号ESは、低速ベルト搬送時と高速ベルト搬送時とで、振幅ピークがほぼ同じ値となる(A1max=A2max,B1max=B2max)。そして、閾値電圧Vth↑は、前記実施形態の(1)式及び(2)式の条件を満たすように設定されているが、この設定は閾値電圧Vth↑の値の切り換えにより実現している。また、スイッチSWには、入力回路37内の回路でエンコーダ信号ESから生成されたベルト搬送速度に対応する周期のパルス信号が入力される。そして、スイッチSWは、入力されるパルス信号の周期が低速ベルト搬送時の値であれば閉路状態とされ、高速ベルト搬送時の値であれば開路状態とされる構成となっている。なお、本実施形態では、ベルト搬送速度に応じて閾値電圧Vth↑の値を切り換えるスイッチSWにより切換手段及び閾値切換手段が構成される。
【0056】
低速ベルト搬送時には、例えば図9のエンコーダ信号FS(振幅がほとんど減衰していない際の信号)とほぼ同レベルのエンコーダ信号ESがパルス発生器45に入力され、このときスイッチSWが閉路状態とされることで、図9と同レベルの閾値電圧Vth↑が設定される。このため、信号生成回路33からは、エンコーダ信号ESと同周期の印字基準パルスPTS(図9参照)が出力される。
【0057】
一方、高速ベルト搬送時には、パルス発生器45に、図12に示すようなエンコーダ信号ESが入力され、このときスイッチSWが開路状態とされることで、図12に示すように前記(2)式を満たす閾値電圧V2th↑が設定される。このため、信号生成回路33からは、図12に示すようにエンコーダ信号ESの2倍の周期の印字基準パルスPTSが出力される。
【0058】
よって、この第二実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(4)スイッチSWの開閉の切り換えにより、閾値電圧をVth↑とV2th↑との間で切り換える簡単な構成なので、分周回路を用いなくても、ベルト搬送速度に応じた解像度の印字基準パルスPTSを生成できる。
【0059】
なお、実施形態は、上記に限定されるものではなく、以下のように変更してもよい。
(変形例1)フィルタ手段はローパスフィルタ42に限定されない。例えばバンドパスフィルタやハイパスフィルタも採用できる。低速ベルト搬送時と高速ベルト搬送時とにおいてエンコーダ出力利得が異なるように遮断周波数が設定されていれば足りる。例えばバンドパスフィルタの場合は、低速ベルト搬送速度と高速ベルト搬送速度との間に相当する位置に遮断周波数を設定するとともに、高速側でエンコーダ出力利得がより小さな値をとる勾配の変化領域が得られるように回路定数を設定する。また、低速搬送時よりも高速搬送時に高解像度(高分解能)が要求される場合は、フィルタ手段としてハイパスフィルタを使用し、低速側でエンコーダ出力利得がより小さな値となる勾配が得られるように回路定数を設定する。
【0060】
(変形例2)低速ベルト搬送速度VLと高速ベルト搬送速度VHとが共に変化領域に設定された構成も採用できる。また、印刷装置以外の用途などであれば、フィルタ手段として例えばハイパスフィルタを用い、被駆動体が高速になるに連れてエンコーダ出力利得が徐々に小さくなるように変化する変化領域内に低速ベルト搬送速度VLを設定した構成も採用できる。
【0061】
(変形例3)前記各実施形態では、磁気スケールを磁界強度が2段階で強弱に切り換わる着磁パターンにて着磁した構成としたが、例えば磁界強度が3段階あるいは4段階以上に変化する着磁パターンを採用し、3種類以上のベルト搬送速度ごとに異なる解像度が得られるように印字基準パルスを生成する構成も採用できる。例えば磁界強度が、強・弱・中・弱を繰り返す着磁パターンにて磁気スケールを構成し、低速時には強・弱・中・弱に対応する4つすべての信号波が閾値を超え、中速時には強と中に対応する2つの信号波が閾値を超え、さらに高速時には、強のみに対応する1つの信号波が閾値を超える構成とする。この場合、低速時には1ピッチPの解像度で印刷でき、中速時には2ピッチ(=2P)の解像度で印刷でき、さらに高速時には4ピッチ(=4P)の解像度で印刷できる。
【0062】
(変形例4)前記第二実施形態において、スイッチSWの切り換え制御は、CPUがパルス信号に基づき低速搬送か高速搬送かを判断し、その判断結果に基づいて行う構成としてもよい。また、用途によっては、被駆動体の高速時ほど解像度の高いパルスを生成する構成でもよい。
【0063】
(変形例5)エンコーダを構成するスケールの取り付け位置は、搬送ベルトに限定されない。例えばベルト搬送装置12を構成するローラの端部周面上にロータリ式の磁気スケールを設けてもよい。その他、動力源である電動モータとその駆動対象との間の動力伝達経路上に位置する他の被駆動体にスケールを設けても構わない。
【0064】
(変形例6)用紙等の媒体を搬送する媒体搬送手段(用紙搬送手段)は、搬送ベルト方式に限定されない。例えば搬送経路上の複数箇所に駆動ローラと従動ローラとの一対からなるローラ装置が配設されてなるローラ方式の搬送装置を備えたプリンタにも適用できる。例えばローラの端部周面上に磁気スケールを設けたり、ローラや動力伝達系の回転駆動軸にロータリエンコーダ式の回転板磁気スケールを設ければよい。また、ラインプリンタにおけるベルト搬送方式の場合、搬送方向上流側と下流側にそれぞれ一対ずつ配設されたローラ間に複数本のベルトを千鳥配置で巻き掛けた構成も採用できる。
【0065】
(変形例7)パルス生成装置は、ラインプリンタへの適用に限定されず、例えば記録ヘッドが用紙幅方向に移動(走査)しながら印刷を行うシリアル式プリンタに適用してもよい。すなわち、被駆動体は媒体の搬送手段の構成部品に限定されず、記録ヘッドを搭載するキャリッジ等の移動手段でもよい。例えばキャリッジの移動経路と平行にリニアエンコーダを設け、キャリッジと共に移動するセンサからのエンコーダ信号ESを前記実施形態の信号生成回路33に入力して印字基準パルスPTSを生成する構成とする。
【0066】
(変形例8)エンコーダ(リニアエンコーダ、ロータリエンコーダ)は磁気式に限らず光学式も採用できる。光学式エンコーダの場合、スケールに一定ピッチでスリットを設け、光源(発光素子)から出射されてスリットを通過した光を受光する受光センサの受光量が周期的に変化するようにスリットの開口形状や開口面積を周期的に変化させれば、振幅が周期的に変化するエンコーダ信号ESを得ることができる。
【0067】
(変形例9)前記実施形態では、画像形成装置を、流体噴射装置としてのインクジェット式記録装置に具体化したが、この限りではなく、インク以外の他の流体(液体や、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体、流体として流して噴射できる固体(例えばトナー等を含む粉粒体)を含む)を噴射したり吐出したりする流体噴射装置に具体化することもできる。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射する液状体噴射装置、さらに光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状体噴射装置であってもよい。なお、これらの各装置のように、噴射した流体(ドット)をターゲット上に着弾させて形成した所定パターン(配線パターン、電極パターン、画素パターン、エッチングパターン、配列パターンを含む)も、本明細書では画像形成装置により形成される画像(パターン画像)に含まれる。なお、「流体」とは、気体のみからなる流体を含まない概念であり、例えば液体(無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含む)、粉粒体、流状体などが含まれる。もちろん、インクジェット方式以外のプリンタにも適用できる。例えば、ドットインパクトプリンタ、熱転写プリンタ、レーザープリンタ等に適用してもよい。
【0068】
(変形例10)パルス生成装置は、プリンタなどの画像形成装置への適用に限定されない。被駆動体の移動速度に応じてリニアスケールを検出するセンサが出力するエンコーダ信号に基づき被駆動体の駆動速度に応じて異なる分解能で生成されたパルスの用途がある各種装置に広く適用できる。例えば搬送されるワークに対して所定のピッチで孔開け(パンチング)などの加工を施す加工装置にも適用できる。また、搬送される基板に対して所定のピッチで部品(電子部品(チップ))を実装する実装装置にも適用できる。
【0069】
以下、前記実施形態及び変形例から把握できる技術的思想を記載する。
(1)請求項5において、前記閾値切換手段は、前記被駆動体が高速であるほど、前記閾値を超える信号波の数が減るような閾値に切り換えることを特徴とするパルス生成装置。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第一実施形態におけるプリンタの概略構成を示す模式平面図。
【図2】プリンタの模式側面図。
【図3】磁気式リニアエンコーダの着磁方法を説明する模式図。
【図4】磁気記録ヘッドで着磁して磁気リニアスケールを形成する際の磁界強度を示すグラフと、磁気リニアスケールの磁束線の様子を示す模式図。
【図5】プリンタの電気的構成を示すブロック図。
【図6】信号生成回路の電気的構成を示すブロック図。
【図7】信号生成回路の回路図。
【図8】ベルト搬送速度とエンコーダ出力利得との関係を示すグラフ。
【図9】低速搬送時における信号強度と印字基準パルスを示すグラフ。
【図10】高速搬送時における信号強度と印字基準パルスを示すグラフ。
【図11】第二実施形態における信号生成回路の回路図。
【図12】高速搬送時における信号強度と印字基準パルスを示すグラフ。
【符号の説明】
【0071】
11…画像形成装置としてのプリンタ、12…ベルト搬送装置、16…被駆動体及び搬送手段としての搬送ベルト、17…電動モータ、19…記録手段としての記録ヘッド、20…磁気スケールとしての磁気リニアスケール、21…パルス生成装置を構成する磁気センサ、22…パルス生成装置を構成するとともにエンコーダとしての磁気リニアエンコーダ、23…コントローラ、31…主制御部、32…印刷制御部、33…パルス生成装置を構成する信号生成回路、41…信号増幅器、42…切換手段及びフィルタ手段としてのローパスフィルタ、43…パルス生成手段としてのパルス発生器、P…ターゲットとしての用紙(記録媒体)、ES…エンコーダ信号(エンコーダ出力)、FS…エンコーダ信号(ローパスフィルタ出力)、FSa…信号波としての高強度振幅波、FS…エンコーダ信号、FSa…信号波としての高強度振幅波、FSb…信号波としての低強度振幅波、PTS…パルスとしての印字基準パルス(印字基準信号)、VL…最低速度としての低速搬送時のベルト搬送速度、VH…最高速度としての高速搬送時のベルト搬送速度、SW…切換手段及び閾値切換手段としてのスイッチ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被駆動体が単位駆動量駆動される毎の周期で信号波を出力するエンコーダの出力信号に基づきパルスを生成するパルス生成装置であって、
前記信号波の振幅が周期的に変化するように構成された前記エンコーダと、
前記エンコーダの出力信号を入力するとともに前記信号波の振幅と閾値とのうち少なくとも一方を前記被駆動体の速度に応じて切り換えて前記閾値を超える信号波の数を前記速度に応じて切り換える切換手段と、
前記閾値を超えた信号波に基づき該信号波と同周期のパルスを生成するパルス生成手段と
を備えたことを特徴とするパルス生成装置。
【請求項2】
前記切換手段は、前記信号波の周波数に応じて信号波出力の利得が変化するように遮断周波数が設定されたフィルタ手段であり、前記出力信号を該フィルタ手段に通すことで、前記被駆動体の速度に応じて前記信号波の振幅を切り換えることを特徴とする請求項1に記載のパルス生成装置。
【請求項3】
前記フィルタ手段は、前記被駆動体の駆動速度に対して前記信号波出力の利得が徐々に変化する変化領域を有するように回路定数が設定されており、前記被駆動体の最低速度と最高速度のうち少なくとも一方が前記変化領域内に設定されていることを特徴とする請求項2に記載のパルス生成装置。
【請求項4】
前記フィルタ手段は、前記被駆動体の低速時の周波数より高速時の周波数の方が前記信号波出力の利得が大きくなるように遮断周波数が設定されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のパルス生成装置。
【請求項5】
前記切換手段は、前記被駆動体の速度に応じて前記閾値を切り換える閾値切換手段であることを特徴とする請求項1に記載のパルス生成装置。
【請求項6】
前記エンコーダは、磁界強度が周期的に変化する着磁パターンにて着磁された磁気スケールと、前記磁気スケールの磁気を検出して前記着磁パターンの磁界強度に応じた振幅の信号波を含むエンコーダ信号を出力する磁気センサとを備えた磁気エンコーダであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のパルス生成装置。
【請求項7】
ターゲットを搬送する搬送手段と、前記ターゲットに対して記録を施す記録手段とを備えた画像形成装置であって、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の前記パルス生成装置を備え、
前記パルス生成装置を構成するエンコーダは前記搬送手段の搬送又は前記記録手段の移動を検出可能に設けられ、
前記パルス生成装置から出力されたパルスを前記記録手段による記録タイミングを決める基準信号として用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
被駆動体が単位駆動量駆動される毎の周期で信号波を出力するエンコーダの出力信号に基づきパルスを生成するパルス生成方法であって、
エンコーダから信号波の振幅が周期的に変化する出力信号を入力する段階と、
前記信号波の振幅と閾値とのうち少なくとも一方を前記被駆動体の速度に応じて切り換えて前記閾値を超える信号波の数を前記速度に応じて切り換える段階と、
前記閾値を超えた信号波に基づき該信号波と同周期のパルスを生成する段階とを備えたことを特徴とするパルス生成方法。
【請求項1】
被駆動体が単位駆動量駆動される毎の周期で信号波を出力するエンコーダの出力信号に基づきパルスを生成するパルス生成装置であって、
前記信号波の振幅が周期的に変化するように構成された前記エンコーダと、
前記エンコーダの出力信号を入力するとともに前記信号波の振幅と閾値とのうち少なくとも一方を前記被駆動体の速度に応じて切り換えて前記閾値を超える信号波の数を前記速度に応じて切り換える切換手段と、
前記閾値を超えた信号波に基づき該信号波と同周期のパルスを生成するパルス生成手段と
を備えたことを特徴とするパルス生成装置。
【請求項2】
前記切換手段は、前記信号波の周波数に応じて信号波出力の利得が変化するように遮断周波数が設定されたフィルタ手段であり、前記出力信号を該フィルタ手段に通すことで、前記被駆動体の速度に応じて前記信号波の振幅を切り換えることを特徴とする請求項1に記載のパルス生成装置。
【請求項3】
前記フィルタ手段は、前記被駆動体の駆動速度に対して前記信号波出力の利得が徐々に変化する変化領域を有するように回路定数が設定されており、前記被駆動体の最低速度と最高速度のうち少なくとも一方が前記変化領域内に設定されていることを特徴とする請求項2に記載のパルス生成装置。
【請求項4】
前記フィルタ手段は、前記被駆動体の低速時の周波数より高速時の周波数の方が前記信号波出力の利得が大きくなるように遮断周波数が設定されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のパルス生成装置。
【請求項5】
前記切換手段は、前記被駆動体の速度に応じて前記閾値を切り換える閾値切換手段であることを特徴とする請求項1に記載のパルス生成装置。
【請求項6】
前記エンコーダは、磁界強度が周期的に変化する着磁パターンにて着磁された磁気スケールと、前記磁気スケールの磁気を検出して前記着磁パターンの磁界強度に応じた振幅の信号波を含むエンコーダ信号を出力する磁気センサとを備えた磁気エンコーダであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のパルス生成装置。
【請求項7】
ターゲットを搬送する搬送手段と、前記ターゲットに対して記録を施す記録手段とを備えた画像形成装置であって、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の前記パルス生成装置を備え、
前記パルス生成装置を構成するエンコーダは前記搬送手段の搬送又は前記記録手段の移動を検出可能に設けられ、
前記パルス生成装置から出力されたパルスを前記記録手段による記録タイミングを決める基準信号として用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
被駆動体が単位駆動量駆動される毎の周期で信号波を出力するエンコーダの出力信号に基づきパルスを生成するパルス生成方法であって、
エンコーダから信号波の振幅が周期的に変化する出力信号を入力する段階と、
前記信号波の振幅と閾値とのうち少なくとも一方を前記被駆動体の速度に応じて切り換えて前記閾値を超える信号波の数を前記速度に応じて切り換える段階と、
前記閾値を超えた信号波に基づき該信号波と同周期のパルスを生成する段階とを備えたことを特徴とするパルス生成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−51179(P2009−51179A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222734(P2007−222734)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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