説明

パルプ懸濁液を処理するための器械から重量粒子を搬出するための装置

【課題】回転する重量粒子による摩耗を減少させる。
【解決手段】パルプ懸濁液から重量粒子を分離するために働くハイドロサイクロン3に設けられた重量粒子流出部4´に直接的または間接的に接続するための少なくとも1つの結合部分2が設けられていて、該結合部分2が、少なくとも1つの重量粒子流出部4を備えており、該結合部分2の内面9が、多角形の横断面を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維物質懸濁液もしくはパルプ懸濁液(Faserstoffsuspension)を処理するための器械、特にパルプ懸濁液から重量粒子を分離するために働くハイドロサイクロンから重量粒子を搬出するための装置であって、前記器械の重量粒子流出部に直接的または間接的に接続するための少なくとも1つの結合部分が設けられていて、該結合部分が、少なくとも1つの重量粒子流出部を備えている形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
紙製造のための規定された繊維物質懸濁液もしくはパルプ懸濁液は多くの場合、この中に含まれている異物(Unrat)、つまりいわゆる有害物質を除去してクリーニングされなければならない。このことは特に古紙処理において云える。
【0003】
ハイドロサイクロンは、遠心力に基づいてパルプ懸濁液中の重量粒子を濃縮して導出することができる。一般にハイドロサイクロンは金属粒子、ガラス破片および石の除去のために働く。こうして懸濁液から除去された物質または粒子は、相応する装置に重量粒子ロックゲートを付け足すことにより、閉じられたシステムから搬出され得る。このようなロックゲート式の排出装置がどのようにして機能するのかは自体公知である。すなわち、このロックゲート式の排出装置は一般に2つの遮断機構、たとえば第1のスライダおよび第2のスライダを有している。両スライダの間には、ロックゲート室が設けられている。このロックゲート室と、懸濁液を案内するシステムとの間の接続を形成する第1のスライダが開放されていると、ロックゲート室は除去されるべき異物で連続的に満たされる。その他の事例では、第1のスライダを長時間にわたって閉鎖状態に保持し、そして所定のタイミングでのみ断続的に開放することが可能である。これにより、システム内で濃縮された異物の一部がバッチ式にロックゲート室内へ流入する。実際の排出は、第1のスライダが閉鎖され、かつ第2のスライダが開放されて、これによりロックゲート室内に存在する内容物が排出され得ることにより行われる。一般にこの内容物はその重量に基づき、ロックゲート室から落下する。しかし、内容物を吸い出すか、またはすすぎ出すこともできる。この場合に使用されるロックゲート式の排出装置はたいてい自動的に作動される。すなわち、タイミング制御が行われ、この場合、遮断機構は自動的に開閉する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、冒頭で述べた形式の装置を改良して、回転する重量粒子による摩耗を減少させることのできる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するために本発明の構成では、結合部分の内面が、多角形の横断面を有しているようにした。
【発明の効果】
【0006】
すなわち、前記結合部分を用いると、流れに影響を与えることができ、この場合、有利には添加された液体(たとえばプラントからの戻し水)と協働して、徐々に制動される回転流が形成されて、この回転流が、上部から流入した懸濁液を収容するようになる。このことには特に次のような利点がある。すなわち、結合部分自体およびこの結合部分に続いた部分、たとえばスライダプレートにおいて、摩耗が著しく減じられる。沈降する重量粒子は結合部分において繊維または繊維片から分離され、下方へ向かって容易に沈降して、底部に溜まる。それに対して繊維は水と共に結合部分の中央部へ流入し、そしてこの中央部から最終的に良物質流出部へ流入する。
【0007】
本発明の有利な構成では、少なくとも1つの結合部分が、液体を添加するための少なくとも1つの接続部を備えている。
【0008】
この場合、前記接続部が、前記多角形の横断面の範囲に開口していると有利である。さらに、前記接続部が、前記結合部分に接線方向で配置されていると有利である。
【0009】
本発明の別の有利な構成では、前記結合部分の中心線がハイドロサイクロンの中心線と整合するように前記結合部分がハイドロサイクロンに接続されるようなっている。
【0010】
本発明のさらに別の有利な構成では、前記結合部分が、投影面で見て正方形の内面を有している。この場合、前記投影面正方形の内面が、丸く面取りされた角隅を有していると有利である。
【0011】
本発明のさらに別の有利な構成では、前記結合部分が、接続部分に接続されるようになっていて、該接続部分が、ハイドロサイクロンの重量粒子流出部に接続されるようになっている。
【0012】
この場合、前記接続部分が、円筒状の耐摩耗性のライニングを備えていると有利である。さらに、前記ライニングがセラミックブシュであると有利である。
【0013】
本発明のさらに別の有利な構成では、前記結合部分が、2つのスライダを備えた重量粒子ロックゲートとして形成されている。
【0014】
本発明のさらに別の有利な構成では、前記結合部分が、パルプ懸濁液を処理するための器械に設けられた重量粒子流出部の内径よりも大きな軸方向の延在長さを有している。
【0015】
この場合、前記軸方向の延在長さが、パルプ懸濁液を処理するための器械に設けられた重量粒子流出部の内径の1.5〜5倍の大きさに形成されていると有利である。
【0016】
本発明のさらに別の有利な構成では、前記結合部分が着脱可能に固定されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面につき詳しく説明する。
【0018】
自体公知の形式で、ハイドロサイクロン3(図1には下側の部分しか図示されていない)から、重量粒子濃度の増大された懸濁液が第1の重量粒子流出部4´を通って、一般にその下に位置する円筒状の接続部分6内へ導出され、次いでスライダ10を介して結合部分2内へ導出される。接続部分6は、耐摩耗性のライニング5、たとえばセラミックブッシュを備えていてよい。図1には、本発明により形成された結合部分2を側方から見た断面図が示されている。結合部分2の内面9は投影図で見て多角形、たとえば正方形である。この多角形形の横断面は軸方向の延在長さA全体にわたって一定であるか、または重量粒子流出部4の近傍に狭隘部7を有していてよい。その場合、この狭隘部7は横断面を再び円形になるまで減少させている。
【0019】
結合部分2の軸方向の延在長さAは接続部分6の内径よりも大きく、有利には1.5〜5倍大きく形成されている。結合部分2における既に説明した分離過程に基づき、ほとんど繊維を取り除かれた重量粒子は結合部分2の下側の範囲に流入して、たとえばスライダ10が開放された状態で、その下に位置する重量粒子ロックゲート17(図3)内に流入する。結合部分2はそれ自体重量粒子ロックゲートとしても働くことができる。すなわち、結合部分2は上側および下側でスライダによって閉鎖され得る。重量粒子ロックゲートの使用はたしかに頻繁に使用される手段ではあるが、しかしハイドロサイクロンから重量粒子を除去するための唯一の手段ではない。水と重量粒子とから成る、発生した混合物を連続的に引き出すことも考えられる。
【0020】
軸方向で見て、液体Fを添加するための接続部15は、結合部分2の多角形状の範囲、たとえば図示の場合のように下側1/3のところに配置されていると特に有利である。図2に示したように、接続部15は接線方向で接続されていてよい。接続部15における流入方向は結合部分2内での回転流の方向とは逆向きであってよい。結合部分2は、たとえばねじ14を用いて着脱可能に、ひいては容易に交換可能に、その上に位置する円筒状の接続部分6に固定されている。
【0021】
図3には、本発明による装置を備えたハイドロサイクロン3が図示されている。結合部分2は上側のスライダ10と下側のスライダ11とを備えた重量粒子ロックゲート17内に開口している。結合部分2はこの場合、直接にハイドロサイクロン3に結合されているが、しかし図1に示した接続部分6を使用することもできる。パルプ懸濁液Sは流入接続部12を介して接線方向で、ハイドロサイクロン3の内部へポンプ供給されて、回転させられる。これにより、よく知られているように遠心力を重量粒子とパルプ懸濁液との分離のために利用することができる。クリーニングされた懸濁液は良物質Gとして、中央上部に配置された良物質管13を通じて導出される。著しく重量粒子濃度の増大された懸濁液は、下部に接続された結合部分2に流入する。この結合部分内でほぼ繊維なしに洗浄された重量粒子は次いでスライダ10によって、その下に位置する重量粒子ロックゲート17に流入する。通常、両スライダ10,11は相応する制御装置によってタイミング制御されるので、重量粒子は調節可能なインターバルで樋状の重量粒子トラフ16内へ落下することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による装置の軸平行な断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】本発明による装置と重量粒子ロックゲートとを備えたハイドロサイクロンを示す概略図である。
【符号の説明】
【0023】
2 結合部分
3 ハイドロサイクロン
4 重量粒子流出部
4´ 重量粒子流出部
5 ライニング
6 接続部分
7 狭隘部
8 中心線
9 内面
10,11 スライダ
12 流入接続部
13 良物質管
14 ねじ
15 接続部
16 重量粒子トラフ
17 重量粒子ロックゲート
A 軸方向の延在長さ
F 液体
S パルプ懸濁液
G 良物質

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプ懸濁液を処理するための器械、特にパルプ懸濁液(S)から重量粒子を分離するために働くハイドロサイクロン(3)から重量粒子を搬出するための装置であって、前記器械の重量粒子流出部(4´)に直接的または間接的に接続するための少なくとも1つの結合部分(2)が設けられていて、該結合部分(2)が、少なくとも1つの重量粒子流出部(4)を備えている形式のものにおいて、結合部分(2)の内面(9)が、多角形の横断面を有していることを特徴とする、パルプ懸濁液を処理するための器械から重量粒子を搬出するための装置。
【請求項2】
少なくとも1つの結合部分(2)が、液体(F)を添加するための少なくとも1つの接続部(15)を備えている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記接続部(15)が、前記多角形の横断面の範囲に開口している、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記接続部(15)が、前記結合部分(2)に接線方向で配置されている、請求項2または3記載の装置。
【請求項5】
前記結合部分(2)の中心線(8)がハイドロサイクロン(3)の中心線と整合するように前記結合部分(2)がハイドロサイクロン(3)に接続されるようなっている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記結合部分(2)が、投影面正方形の内面(9)を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記投影面正方形の内面が、丸く面取りされた角隅を有している、請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記結合部分(2)が、接続部分(6)に接続されるようになっていて、該接続部分(6)が、ハイドロサイクロン(3)の重量粒子流出部(4´)に接続されるようになっている、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記接続部分(6)が、円筒状の耐摩耗性のライニング(5)を備えている、請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記ライニング(5)がセラミックブシュである、請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記結合部分(2)が、2つのスライダを備えた重量粒子ロックゲートとして形成されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
前記結合部分(2)が、パルプ懸濁液を処理するための器械に設けられた重量粒子流出部(4´)の内径よりも大きな軸方向の延在長さ(A)を有している、請求項1から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
前記軸方向の延在長さ(A)が、パルプ懸濁液を処理するための器械に設けられた重量粒子流出部(4´)の内径の1.5〜5倍の大きさに形成されている、請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記結合部分(2)が着脱可能に固定されている、請求項1から13までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−239172(P2007−239172A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52706(P2007−52706)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(506408818)フォイト パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (52)
【氏名又は名称原語表記】VOITH PATENT GmbH
【住所又は居所原語表記】St. Poeltener Str. 43, D−89522 Heidenheim, Germany
【Fターム(参考)】