説明

パレット棚設備

【課題】荷積載パレットを補給する実パレット補給端部4aからピッキング作業端部4bに向かって下り勾配に傾斜し且つ少なくとも2つのパレットを直列状に支持できる長さを有するパレット滑動支持台5が複数並設されたパレット棚設備において、空パレット搬出専用の逆勾配のパレット滑動支持台を備えた空パレット搬出専用のパレット収納区画を設けないで、ピッキング作業の後の空パレットの搬出作業を容易にする。
【解決手段】少なくとも1つの前記パレット滑動支持台5には、実パレット補給端部4aに位置するパレットがピッキング作業端部4b側へ滑動するのを阻止するが逆方向へのパレットの移動は許す逆止ストッパー12Aを併設し、この逆止ストッパー12Aは、パレットと干渉しない退避姿勢に保持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚の一方からフォークリフトで補給されたパレット上の荷に対し棚の他方からピッキング作業が行えるように構成されたパレット棚設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記のように使用できるパレット棚設備は、特許文献1にも記載されるように、棚の一方の搬入口側から棚の他方の搬出口に向かって下り勾配に傾斜し且つ少なくとも2つのパレットを直列状に支持できる長さを有するパレット滑動支持台が複数並設される。特許文献1に示される棚設備では、パレット滑動支持台上を滑動して搬出口側から順番に並ぶ状態に保管されたパレットは、その搬出口側から順番にフォークリフトで搬出されるものであるが、この搬出口側の端部に位置する実パレットから作業者が直接荷を取り出すピッキング作業を行うように使用することも可能である。この場合、搬出口側の端部に位置する空パレットを搬出する必要があるが、特許文献1に示される棚設備のように(用途は異なるが)、棚の一部に逆勾配の空パレット搬出専用のパレット滑動支持台を配設しておき、この空パレット搬出専用のパレット滑動支持台上に移載した空パレットを棚の搬入口側の端部に滑動させ、これをフォークリフトで搬出できるように構成することが考えられる。
【特許文献1】特開平5−105209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、棚の一部に逆勾配の空パレット搬出専用のパレット滑動支持台を配設する構成では、棚全体としての実パレット収納効率が低下するだけでなく、パレットとして、嵩高いボックスパレットではなく、複数枚を積み重ねて1つの荷積載実パレットと同じ程度の嵩にしてフォークリフトで搬送できる平パレットを使用している場合、空パレット搬出専用のパレット滑動支持台の搬入口側端部、即ち、パレット滑動支持台の傾斜上端部の上で空の平パレットを段積みすることが困難であり、空の平パレットをパレット滑動支持台の傾斜上端部で停止させておくための解除自在なストッパーを設けなければならないなど、実用化の面で問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記のような従来の問題点を解消し得るパレット棚設備を提供することを目的とするものであって、請求項1に記載のパレット棚設備は、後述する実施形態の参照符号を付して示すと、荷積載パレットを補給する実パレット補給端部4aからピッキング作業端部4bに向かって下り勾配に傾斜し且つ少なくとも2つのパレットを直列状に支持できる長さを有するパレット滑動支持台5が複数並設されたパレット棚設備において、少なくとも1つの前記パレット滑動支持台5には、実パレット補給端部4aに位置するパレットがピッキング作業端部4b側へ滑動するのを阻止するが逆方向へのパレットの移動は許す逆止ストッパー12Aが併設され、この逆止ストッパー12Aが、パレットと干渉しない退避姿勢に保持できる構成となっている。
【0005】
上記構成の本発明を実施するについて、具体的には請求項2に記載のように、パレット滑動支持台は、適当間隔を隔てて並設された2列のフリーローラーレールによって構成し、前記逆止ストッパーは、2列のフリーローラーレールの中間に配設することができる。この場合、請求項3に記載のように、前記逆止ストッパーは、共通の据付け基板上に左右一対並設することができる。
【0006】
又、請求項4に記載のように、前記逆止ストッパーは、据付け基板上に水平支軸の周りに回転自在に軸支する構造とし、その逆止ストッパーには、パレットを受け止める先端部に対し反対側に重錘部を設け、前記先端部が前記支軸から上向きに起立したときに前記重錘部を前記支軸の後方下方で受け止めて逆止ストッパーを作用姿勢に保持する第一受け部と、前記先端部が重錘部を持ち上げる方向に回転して前記支軸から後方向きになったときに前記重錘部を前記支軸の前方下方で受け止めて逆止ストッパーを退避姿勢に保持する第二受け部とを、前記据付け基板上に設けることができる。
【発明の効果】
【0007】
上記請求項1に記載の構成の本発明に係るパレット棚設備によれば、空パレットをパレット滑動支持台の実パレット補給端部側からフォークリフトなどで搬出する必要が生じたときは、逆止ストッパーを備えたパレット滑動支持台のピッキング作業端部(傾斜下端部)上に空パレットを載置するのであるが、当該逆止ストッパーを備えたパレット滑動支持台は、他のパレット滑動支持台と同様に、パレット滑動支持台の実パレット補給端部(傾斜上端部)に補給された荷積載パレットをピッキング作業端部(傾斜下端部)側へ滑動させることができる向きに傾斜しているので、ピッキング作業端部上に載置された空パレットが実パレット補給端部側へ滑動する恐れはなく、当該位置で安定させることができる。従って、当該ピッキング作業端部上に空パレットを所要枚数だけ段積みすることができる。このようにしてピッキング作業端部上に段積みされた空パレット群を搬出するときは、当該空パレット群を手作業で傾斜上方の実パレット補給端部側へ重力に抗して押し移動させることにより、当該空パレット群をして実パレット補給端部の手前にある逆止ストッパーの位置を通過させ、実パレット補給端部に到達させることができる。この状態で空パレット群から手を離しても、実パレット補給端部に達した空パレット群が重力で傾斜下方へ滑動することは逆止ストッパーで阻止できる。而して、実パレット補給端部において安定している空パレット群をフォークリフトなどにより棚から搬出させることができる。
【0008】
上記のように、逆止ストッパーを備えたパレット滑動支持台を利用して空パレットの搬出作業を、荷積載パレットをフォークリフトなどで補給する作業を行う棚の実パレット補給端部側から、当該棚のピッキング作業端部側でのピッキング作業に影響を与えずにフォークリフトなどで安全に行うことができるのであるが、逆止ストッパーを備えたパレット滑動支持台が空パレットの搬出に利用されていないときには、その逆止ストッパーを対比姿勢に切り換えて保持しておくことにより、他のパレット滑動支持台と同様に、パレット滑動支持台の実パレット補給端部(傾斜上端部)に補給された荷積載パレットをピッキング作業端部(傾斜下端部)側へ滑動させ、このピッキング作業端部において荷積載パレットからのピッキング作業を行うことができる。
【0009】
従って、本発明のパレット棚設備によれば、棚に並設された多数台のパレット滑動支持台に1台又は複数台の逆止ストッパーを備えたパレット滑動支持台を適当位置に混在させておくか、若しくは全てのパレット滑動支持台を逆止ストッパーが設けられたパレット滑動支持台としておくことにより、棚全体としての収納効率をあまり低下させることなく、しかも空パレットの搬出を、荷積載パレットをフォークリフトなどで補給する作業を行う棚の実パレット補給端部側から容易に行える棚として活用できる。又、ピッキング作業端部側で複数段積み重ねた空の平パレット群を実パレット補給端部へ送ることも容易に行えるので、空の平パレットの搬出作業も能率良く行える。
【0010】
尚、本発明を実施する場合、パレットの左右両側辺に係合する左右一対の逆止ストッパーを配設することもできるが、この構成に比べて、請求項2に記載の構成によれば、例えば幅広の1つの逆止ストッパーをもって本発明を実施することも可能になる。又、取り扱うパレットの幅が一定しない状況でも、逆止ストッパーを確実に機能させることができる。この場合、請求項3に記載の構成によれば、左右一対の逆止ストッパーをパレットの前端辺に作用させることができるので、この逆止ストッパーで受け止める空パレットの姿勢を矯正させ、フォークリフトなどでの搬出作業を安全に行わせることができる。しかも、その左右一対の逆止ストッパーは、1つの据付け基板を例えば床面などに据え付けるだけで配設することができるので、逆止ストッパーの組付けや位置修正作業も容易に行える。
【0011】
本発明を実施するとき、逆止ストッパーをスプリングの付勢力で逆止作用姿勢に付勢保持させることができるが、この場合、逆止ストッパーとして作用させるときのスプリングの付勢方向に対して逆止ストッパーを退避姿勢に切り換えたときのスプリングの付勢方向が逆向きとなるように、スプリングを所謂不安定切換え状態に掛張すれば、ロック手段などを併用しなくとも、同一のスプリングのみで、逆止ストッパーをして逆止ストッパー作用を行う姿勢と退避姿勢とに容易に切り換えることができる。しかしながら、請求項4に記載の構成によれば、スプリングを併用しなくとも、逆止ストッパーをして逆止ストッパー作用を行う姿勢と退避姿勢とに容易に切り換えることができるので、構造が簡単になり、非常に安価に実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の具体的実施例を添付図に基づいて説明すると、図1〜図3において、1はパレット棚であり、水平方向と垂直方向とに碁盤目状に区画されたパレット収納区画2A,2Bを備えている。3は荷搬出用コンベヤであって、パレット棚1の正面側の床面上に当該パレット棚1に沿って配設されている。図示のパレット棚1では、最下段のパレット収納区画2Aはピッキング作業用に構成され、中段及び最上段のパレット収納区画2Bは、実パレット一時保管用に構成され、各パレット収納区画2A,2Bは、奥行き方向に2つのパレットを直列状に収納できる奥行きを有する。
【0013】
最下段のピッキング作業用パレット収納区画2Aは、パレット棚1の正面側(荷搬出用コンベヤ3のある側)と背面側の両方が開放され、内部には、パレット棚1の背面側開放端に隣接する実パレット補給端部4aからパレット棚1の正面側開放端に隣接するピッキング作業端部4bに向かって下り勾配に傾斜し且つ2つのパレットを直列状に支持できる長さを有するパレット滑動支持台5が敷設されている。中段及び最上段の実パレット一時保管用パレット収納区画2Bは、少なくともパレット棚1の背面側が開放され、内部には、パレット棚1の正面側開放端に隣接する奥端部6aからパレット棚1の背面側開放端に隣接するパレット入出庫端部6bに向かって下り勾配に傾斜し且つ2つのパレットを直列状に支持できる長さを有するパレット滑動支持台7が敷設されている。
【0014】
上記構成のパレット棚1においては、中段及び最上段の実パレット一時保管用パレット収納区画2Bに対しては、パレット棚1の背面側において、フォークリフトFを利用して、荷wを積載した実パレットPaをパレット滑動支持台7のパレット入出庫端部6b上に移載入庫することができる。このときパレット滑動支持台7は、パレット入出庫端部6b側が低くなるように傾斜しているので、このパレット入出庫端部6b上に移載された実パレットPaは、当該パレット入出庫端部6b上で安定している。このようにパレット入出庫端部6b上に1つの実パレットPaが入庫されている実パレット一時保管用パレット収納区画2Bに対しては、2つ目の実パレットPaを入庫することができる。即ち、フォークリフトFで支持した実パレットPaによって、パレット入出庫端部6b上で安定している実パレットPaをパレット滑動支持台7の奥端部6a側へ押し込み、フォークリフトFで支持した実パレットPaがパレット入出庫端部6b上に達したとき、当該実パレットPaをパレット滑動支持台7のパレット入出庫端部6b上に降ろす。このようにして、中段及び最上段の実パレット一時保管用パレット収納区画2Bに対しては、それぞれ2つの実パレットPaを直列状に移載入庫することができる。
【0015】
実パレット一時保管用パレット収納区画2Bに収納保管されている実パレットPaは、フォークリフトFにより出庫して最下段のピッキング作業用パレット収納区画2Aに移し入れることができる。即ち、パレット滑動支持台7のパレット入出庫端部6b上に位置する実パレットPaをフォークリフトFにより掬い上げてパレット棚1の背面側へ出庫し、引き続き当該フォークリフトFにより、この実パレットPaを最下段のピッキング作業用パレット収納区画2Aのパレット滑動支持台5における実パレット補給端部4a上に移載入庫することができる。実パレット一時保管用パレット収納区画2Bに2つの実パレットPaが収納保管されているときは、パレット入出庫端部6b上の実パレットPaが出庫されたことにより、その傾斜上方の奥端部6a上の実パレットPaが重力でパレット滑動支持台7上を傾斜下方に滑動し、パレット入出庫端部6b上において安定することになる。
【0016】
上記のようにしてピッキング作業用パレット収納区画2Aのパレット滑動支持台5における実パレット補給端部4a上に移載された実パレットPaは、当該パレット滑動支持台5が実パレット補給端部4aからピッキング作業端部4bに向かって下り勾配に傾斜しているので、パレット滑動支持台5上を重力で傾斜下方に滑動し、パレット棚1の正面側開放端に隣接するピッキング作業端部4bにおいて安定する。従って、空いた実パレット補給端部4a上の2つ目の実パレットPaを移載入庫することができるので、各ピッキング作業用パレット収納区画2Aに対しては、それぞれ2つの実パレットPaを直列状に収納保管することができる。
【0017】
ピッキング作業者は、パレット棚1の正面側で当該パレット棚1と荷搬出用コンベヤ3との間の通路上において、ピッキング作業用パレット収納区画2A内でパレット滑動支持台5のピッキング作業端部4b上に支持されている実パレットPa上から必要な荷wを必要個数ピッキングし、これを荷搬出用コンベヤ3上のパレットP上に移載することができる。荷搬出用コンベヤ3としては、支持するパレットPをピッキング作業者が手押し移動させることができるフリーローラーコンベヤや、定速でパレットPを搬送する各種コンベヤが利用できる。ピッキング作業の結果、パレット滑動支持台5のピッキング作業端部4b上に支持されている実パレットPaが空になると、当該空パレットをパレット滑動支持台5のピッキング作業端部4b上から取り上げるので、このとき当該パレット滑動支持台5の実パレット補給端部4a上に支持されている実パレットPaが存在するときは、当該実パレット補給端部4a上の実パレットPaが重力で傾斜下方に滑動してピッキング作業端部4b上に達するので、以降は、このピッキング作業端部4b上に送り込まれた後続の実パレットPaに対して引き続きピッキング作業を行うことができる。
【0018】
パレット棚1は上記のように利用できるものであるが、本発明によれば、最下段のピッキング作業用パレット収納区画2Aの全て、又は特定の1つ若しくは複数のピッキング作業用パレット収納区画2Aを、図1及び図3に示すように、空パレットPbの搬出用区画として兼用できるように構成される。この空パレットPbの搬出用とピッキング作業用に兼用される兼用パレット収納区画2Cには、図4〜図6に示す逆止ストッパーユニット10が組み込まれる。
【0019】
図4〜図6に示す逆止ストッパーユニット10は、横長矩形状の据付け基板11上に2つの逆止ストッパー12A,12Bが並設されたものである。各逆止ストッパー12A,12Bは、据付け基板11上にスペーサー13a,13bを介して取付けボルト14により取り付けられた左右一対の軸受け板15a,15b間に、左右水平方向の支軸16により揺動自在に支承されたもので、支軸16に対してパレットを受け止める先端部17のある側とは反対側に重錘部18を備え、この重錘部18を支軸16の後方下方位置で受け止めることにより、逆止ストッパー12A,12Bを、前記先端部17が支軸16から上向きに起立する作用姿勢に保持する第一受け部19が据付け基板11上に設けられている。この第一受け部19は、軸受け板15a,15bを支持するスペーサー13a,13bと同一厚みのものであるから、当該スペーサー13a,13bを平面コ字形に一体化する連結部材を第一受け部19として利用することにより、取付けボルト14をスペーサー13a,13bと第一受け部19の取り付けに兼用することができる。
【0020】
上記構成の逆止ストッパー12A,12Bは、重錘部18に作用する重力で先端部17が支軸16から上向きに起立する作用姿勢に保持されているが、図8Bに示すように、先端部17は、重錘部18を重力に抗して持ち上げる方向、即ち、支軸16に対して前方下方に回倒させることができる。この先端部17の回倒が支軸16に対して前方側の領域内で行われている限り、先端部17に作用する前方への回倒作用力から開放された逆止ストッパー12A,12Bは、重錘部18に作用する重力で後方上方に回動し、重錘部18が第一受け部19で支持される元の作用姿勢に復帰することができる。
【0021】
支軸16の下側で第一受け部19の前方には、先端部17が支軸16に対し後方向きになる位置まで回動できる空間が据付け基板11上に確保されているので、図10Bに示すように、先端部17を図8Bに示す回倒姿勢から更に回動させて、当該先端部17が支軸16に対し後ろ向きになる位置まで逆止ストッパー12A,12Bを回動させることにより、重錘部18が据付け基板11上に当接することになる。このときの据付け基板11上の重錘部18が当接する箇所が第二受け部20であり、この第二受け部20で重錘部18が受け止められたとき、逆止ストッパー12A,12Bは、重錘部18に作用する重力により退避姿勢に保持されることになる。
【0022】
ピッキング作業用パレット収納区画2A及び兼用パレット収納区画2Cのパレット滑動支持台5は、図7及び図8に示すように、左右横方向に適当間隔を隔てて並設された2列のフリーローラーレール21a,21bによって構成されている。各フリーローラーレール21a,21bは、左右一対の側枠22間に前後方向等間隔おきにローラー23を遊転自在に軸支し、両端にパレット落ち止め用垂直板24a,24bを突設したもので、このフリーローラーレール21a,21bを床面25上に所定の傾斜角度で敷設してパレット滑動支持台5を構成している。尚、実パレット一時保管用パレット収納区画2Bのパレット滑動支持台7も上記と同一のフリーローラーレール21a,21bを逆勾配で棚フレームに架設することにより構成できる。
【0023】
上記の逆止ストッパーユニット10は、図7及び図8に示すように、前記兼用パレット収納区画2Cのパレット滑動支持台5を構成する2列のフリーローラーレール21a,21b間の中央位置で、パレット滑動支持台5の長さ方向のほぼ中央位置の床面25上に、据付け基板11を介してアンカーボルト26により据え付けられる。このとき、逆止ストッパーユニット10は、逆止ストッパー12A,12Bの先端部17が起立する作用姿勢からパレット滑動支持台5の実パレット補給端部4aの方向に回倒できる向きに据え付けられるが、この据え付け状態での逆止ストッパー12A,12Bの高さは、以下に説明する作用が行われるように設定されている。
【0024】
即ち、兼用パレット収納区画2Cを空パレットPbの搬出用区画に使用するときは、そのパレット滑動支持台5における実パレット補給端部4a上に実パレットPaが移載されることはないので、図4及び図8Aに示すように、逆止ストッパーユニット10の各逆止ストッパー12A,12Bを、その重錘部18が第一受け部19で受け止められる作用姿勢に切り換えておく。このときの各逆止ストッパー12A,12Bの先端部17は、図4及び図5に示すように、パレット滑動支持台5上でのパレット底面レベルPLから起立突出している。
【0025】
この状態で、兼用パレット収納区画2Cのパレット滑動支持台5上のピッキング作業端部4bに、図3及び図8Aに示すように、他のピッキング作業用パレット収納区画2Aにおいて空になったパレットPbを手作業で移載する。所要段数まで空パレットPbを兼用パレット収納区画2Cのパレット滑動支持台5上のピッキング作業端部4bに積み上げたならば、当該から段積みパレットPcをパレット滑動支持台5の傾斜上方へ実パレット補給端部4aまで手押し移動させる。このとき、図8Bに示すように、逆止ストッパーユニット10の各逆止ストッパー12A,12Bは、その先端部17が最下段の空パレットPbにより実パレット補給端部4aの方向に押されて、重錘部18に作用する重力に抗して支軸16の周りに回倒し、当該先端部17の上端が最下段の空パレットPbの底面に摺接する状態で段積み空パレットPcの通過移動を許すことになる。
【0026】
パレット滑動支持台5の傾斜上端の実パレット補給端部4aまで段積み空パレットPcを手押し移動させたとき、逆止ストッパーユニット10の各逆止ストッパー12A,12Bは、段積み空パレットPcより後方(ピッキング作業端部4b側)に離れるので、重錘部18に作用する重力によって先端部17が起立する元の作用姿勢に自動復帰し、重錘部18が第一受け部19で受け止められることにより当該作用姿勢に保持される。この状態で段積み空パレットPcを開放させると、当該段積みからパレットPcは、パレット滑動支持台5が傾斜していることにより重力で傾斜下方へ少し滑動するが、図9に示すように、作用姿勢にある逆止ストッパーユニット10の各逆止ストッパー12A,12Bの先端部17で受け止められ、実パレット補給端部4aの位置で保持される。従って、この実パレット補給端部4aにおいてパレット滑動支持台5上で支持されている段積み空パレットPcを、兼用パレット収納区画2Cのパレット棚背面側の開放端からフォークリフトFにより搬出することができる。
【0027】
上記の兼用パレット収納区画2Cを、本来のピッキング作業用パレット収納区画2Aとして使用するときは、図10Bに示すように、逆止ストッパーユニット10の逆止ストッパー12A,12Bを退避姿勢に切り換える。即ち、重錘部18を第一受け部19から持ち上げる方向に当該重錘部18に作用する重力に抗して支軸16の周りに回転させ、重錘部18を支軸16より前方(実パレット補給端部4aのある側)へ移動させることにより、当該重錘部18に作用する重力が逆止ストッパー12A,12Bを、重錘部18が第二受け部20で受け止められる退避姿勢まで回動させることになる。このように逆止ストッパー12A,12Bを退避姿勢に切り換えると、当該逆止ストッパー12A,12Bの全体がパレット滑動支持台5におけるパレット底面レベルPLより下側に退避するので、図10Aに示すようにパレット滑動支持台5上で傾斜上方の実パレット補給端部4a上に移載された実パレットPaを、図11に示すように、当該パレット滑動支持台5の傾斜下方のピッキング作業端部4bへ、逆止ストッパーユニット10に邪魔されることなく重力で滑動させることができる。即ち、逆止ストッパーユニット10を備えた兼用パレット収納区画2Cを本来のピッキング作業用パレット収納区画2Aとして使用することができる。
【0028】
尚、逆止ストッパーユニット10に、段積み空パレットPcを一定姿勢で安定的に受け止めることができる間隔で2つの逆止ストッパー12A,12Bを設けたが、幅広の1つの逆止ストッパーで構成することもできる。又、2つの逆止ストッパー12A,12Bを並設する場合も、2つに分割された据付け基板11のそれぞれに逆止ストッパー12A,12Bを軸支することができるし、パレット滑動支持台5を構成する2列のフリーローラーレール21a,21bの側枠22にそれぞれ逆止ストッパー12A,12Bを軸支することもできる。更に、上記実施形態で示すように、1つの据付け基板11上に2つの逆止ストッパー12A,12Bを軸支する場合、その支軸16を共通の1本支軸として、当該支軸16を介して両逆止ストッパー12A,12Bを互いに連動連結することができる。この場合、支軸16に1つの重錘部18を取り付け、この1つの重錘部18により両逆止ストッパー12A,12Bを作用姿勢に付勢保持させることもできる。
【0029】
尚、重錘部18に代えてスプリングを使用し、このスプリングの付勢力で逆止ストッパーを作用姿勢と退避姿勢とに択一的に付勢することもできる。この場合、パレット滑動支持台5上を傾斜上方の実パレット補給端部4a側へ手押し移動される段積み空パレットPcで押し下げられる逆止ストッパーは、作用姿勢と退避姿勢との間の中立位置を超えない範囲でスプリングの付勢力に抗して回倒し、逆止ストッパーを退避姿勢に切り換えるときは、当該逆止ストッパーを前記中立位置を退避姿勢の側へ超える位置まで、スプリングの付勢力に抗して回動させることになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】パレット棚と荷搬出用コンベヤとを示す概略平面図である。
【図2】パレット棚に対する実パレットの補給作業とピッキング作業とを説明する概略側面図である。
【図3】パレット棚に対する段積み空パレットの搬出作業を説明する概略側面図である。
【図4】使用する逆止ストッパーユニットを示す縦断側面図である。
【図5】同上逆止ストッパーユニットの一部縦断正面図である。
【図6】同上逆止ストッパーユニットの平面図である。
【図7】同上逆止ストッパーユニットが組み込まれた空パレット搬出用とピッキング作業用に兼用される兼用パレット収納区画の平面図である。
【図8】A図は同上兼用パレット収納区画を空パレット搬出用に使用するときの側面図、B図は逆止ストッパーユニットの動作状態を示す縦断側面図である。
【図9】同上兼用パレット収納区画の実パレット補給端部まで段積み空パレットを移動させた状態を示す側面図である。
【図10】A図は同上兼用パレット収納区画をピッキング作業用に使用するときの側面図、B図は退避姿勢に切り換えられた逆止ストッパーユニットを示す縦断側面図である。
【図11】ピッキング作業用に使用された兼用パレット収納区画のピッキング作業端部に実パレットが支持された状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 パレット棚
2A ピッキング作業用パレット収納区画
2B 実パレット一時保管用パレット収納区画
2C 兼用パレット収納区画
3 荷搬出用コンベヤ
4a 実パレット補給端部
4b ピッキング作業端部
5,7 パレット滑動支持台
6a 実パレット一時保管用パレット収納区画の奥端部
6b 実パレット一時保管用パレット収納区画のパレット入出庫端部
10 逆止ストッパーユニット
11 据付け基板
12A,12B 逆止ストッパー
13a,13b スペーサー
14 取付けボルト
15a,15b 軸受け板
16 支軸
17 逆止ストッパーの先端部
18 逆止ストッパーの重錘部
19 第一受け部
20 第二受け部
21a,21b フリーローラーレール
25 床面
26 アンカーボルト
F フォークリフト
Pa 実パレット
Pb 空パレット
Pc 段積み空パレット
PL パレット底面レベル
w 荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷積載パレットを補給する実パレット補給端部からピッキング作業端部に向かって下り勾配に傾斜し且つ少なくとも2つのパレットを直列状に支持できる長さを有するパレット滑動支持台が複数並設されたパレット棚設備において、少なくとも1つの前記パレット滑動支持台には、実パレット補給端部に位置するパレットがピッキング作業端部側へ滑動するのを阻止するが逆方向へのパレットの移動は許す逆止ストッパーが併設され、この逆止ストッパーが、パレットと干渉しない退避姿勢に保持できるように構成された、パレット棚設備。
【請求項2】
パレット滑動支持台は、適当間隔を隔てて並設された2列のフリーローラーレールによって構成され、前記逆止ストッパーは、2列のフリーローラーレールの中間に配設されている、請求項1に記載のパレット棚設備。
【請求項3】
前記逆止ストッパーは、共通の据付け基板上に左右一対並設されている、請求項2に記載のパレット棚設備。
【請求項4】
前記逆止ストッパーは、据付け基板上に水平支軸の周りに回転自在に軸支されたもので、そのパレットを受け止める先端部に対し反対側に重錘部を備え、前記先端部が前記支軸から上向きに起立したときに前記重錘部を前記支軸の後方下方で受け止めて逆止ストッパーを作用姿勢に保持する第一受け部と、前記先端部が重錘部を持ち上げる方向に回転して前記支軸から後方向きになったときに前記重錘部を前記支軸の前方下方で受け止めて逆止ストッパーを退避姿勢に保持する第二受け部とが、前記据付け基板上に設けられている、請求項1〜3の何れか1項に記載のパレット棚設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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