説明

パレット積載支援システム

【課題】 荷物または作業者の影の影響を受けず、作業者が効率よく荷物を積載するためのパレット積載支援システムを提供する。
【解決手段】 荷物を積載するパレット1と前記パレット1に予め算出された荷物の積載位置に係る画像を投影する投影ユニット3と前記パレット1の移動を制御するパレット移動ユニット2から構成される積載支援システムにおいて、前記投影ユニット3は、前記パレット1の幅より小さい所定の幅の面に対して真上または斜めの方向から当該所定の幅の面に積載する荷物の積載位置に係る画像を投影し、前記パレット移動ユニット2は、前記所定の幅を移動単位として、水平方向に移動する。
前記投影ユニット3は、垂直方向に移動する垂直移動手段を有し、前記パレット1に積載する荷物の高さおよび積載段数に応じて、前記垂直移動手段を制御して、前記積載された荷物の最上段の面に、前記積載する荷物の積載位置に係る画像を投影する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物をパレット上に積載するための作業を支援するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパレットの積載方法は、木目細かい積載条件無しに、作業者が経験により積載を開始して、その都度、適宜、荷物を配置して積載していた。
【0003】
これを改善する技術として、予めパレットの積載位置を計画しておき、パレット上にコンベア搬送荷物の積載位置を指示する画像を投影する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
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【特許文献1】特開平4−327422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、荷物の積載位置をパレットの真上からパレット全面に投影する方式であるため、積載時に荷物または作業者の影の影響を受けるという問題があった。また、固定されたパレットの全面に投影された位置に作業者が荷物を順次積載するので、作業者が荷物を移動させる距離が長く、多大な労力が必要であった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、荷物または作業者の影の影響を回避すると共に、作業者が効率的に荷物を積載することが可能なパレット積載支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、第1の発明は、荷物を積載するパレットと前記パレットに予め算出された荷物の積載位置に係る画像を投影する投影ユニットと前記パレットの移動を制御するパレット移動ユニットから構成される積載支援システムであって、前記投影ユニットは、前記パレットの幅より小さい所定の幅の面に対して真上または斜めの方向から当該所定の幅の面に積載する荷物の積載位置に係る画像を投影し、前記パレット移動ユニットは、前記所定の幅を移動単位として、水平方向に移動可能とすることを特徴とする。
【0008】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記投影ユニットは、垂直方向に移動する垂直移動手段を有し、前記パレットに積載する荷物の高さおよび積載段数に応じて、前記垂直移動手段を制御して、前記積載された荷物の最上段の面に、前記積載する荷物の積載位置に係る画像を投影することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、荷物を積載する位置を示す画像を斜めから投影できるので、荷物または作業者の影の影響を回避することが可能であると共に、天井の高さが低く真上からの投影が困難な作業現場にも適用可能である。
【0010】
さらに、荷物を積載する位置を示す画像の投影位置が不動で、積載する荷物毎に新たな積載位置が投影面に来るようにパレットが移動するので、荷物をパレットに積載する作業者が荷物を移動する距離が短く、作業者の労力を軽減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態例を示すシステムの構成図である。
【図2】各ユニットの機能ブロック図である。
【図3】制御ユニットの動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図1、図2、図3に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明によるパレット積載支援システム(本システムと略すこともある)の実施形態のシステム構成例であって、荷物を積載するパレット1の移動を制御するパレット移動ユニット2と、画像を投影する投影ユニット3と、前記2つのユニットを制御する制御ユニット4から構成される。
【0014】
前記パレット移動ユニット2は、前記パレット1を水平方向に移動させるための移動駆動部5、回転駆動部6、前記パレット1を載せるテーブル16、前記投影ユニット3を支える支柱15から構成される。
【0015】
前記投影ユニット3は、画像または可視光線を投影する画像投影部7、投影ユニット3を垂直移動させるユニット駆動部8、荷物と投影ユニット3の距離を検知する積載荷物検知部9、投影角度を自動で調整できる投影角度調整部10から構成される。
【0016】
前記制御ユニット4は本システムの全体制御を行うシステム制御部11、各種の情報入力を行う操作部12、入力情報、システムの状態、操作時の手順等を可視表示するモニタ部14、各種の情報入力をデータとして取り込む外部入力部13から構成される。
【0017】
図1において、作業者は前記パレット1を前記パレット移動ユニット2の前記テーブル16上の予め決められた位置に配置し、前記操作部12から荷物の情報や積載条件を入力して支援動作を開始させる。
【0018】
図2において、制御ユニット4の操作部12はキーボードやリモコン装置であり、その入力信号は入力処理部11−1を介して積載位置決定部11−2、画像データ作成部11−3、動作制御部11−4に伝達される。
【0019】
外部入力部13はカードスロットやUSBインタフェースであり、各種のデータを直接取り込むこともできる。
【0020】
モニタ部14はモニタ装置や表示ランプであり、動作制御部11−4からの出力結果が表示される。
【0021】
システム制御部11の積載位置決定部11−2は、荷物の積載位置を算出・決定し、画像データ作成部11−3は、積載位置に画像で表示させるための画像を作成する。
【0022】
積載位置決定部11−2で算出・決定され、画像データ作成部11−3で作成されたデータは、動作制御部11−4によりインタフェース11−5を介して、投影ユニット3とパレット移動ユニット2に伝達されて荷物の積載支援動作をする。
【0023】
投影ユニット3は、動作制御部11−4よりインタフェース3−1を介して伝達された指示データに基づき画像変換部3−2で投影画像に変換したデータを、画像投影部7からパレット1の幅より小さい所定の幅の面に対して画像または可視光線を投影し、ユニット駆動部8で投影ユニット3を垂直移動させ、順次荷物の積載を支援する。
【0024】
積載荷物検知部9は、荷物と投影ユニット3の距離を検知し、その結果をシステム制御部11に次の積載支援動作をするための荷物有無情報として伝達する。
【0025】
パレット移動ユニット2は、動作制御部11−4よりインタフェース2−1を介して伝達された指示データに基づき、テーブル移動制御部2−2で制御される移動駆動部5のローラー等の直線移動手段やテーブル回転制御部2−3で制御される回転駆動部6の回転テーブル等の回転移動手段により、所定の幅を移動単位としてパレット1を移動制御させることにより、作業者がその場所を殆ど動くことなく荷物を配置可能とする。
【0026】
図3は、制御ユニット4の動作フローチャートであって、作業者は、制御ユニット4のモニタ部14に表示される画面を見ながら、同種荷物或いは異種荷物の質量、寸法、数量、使用パレット等の情報や積載条件である前記パレット1上の禁止領域、高さ制限、作業者の位置を制御ユニット4の操作部12から入力する(S301)。
【0027】
前記入力された情報や積載条件に基づき、制御ユニット4のシステム制御部11内の積載位置決定部11−2にて、最適な積載方法の算出(例えば、積載効率計算、安全率計算、荷物天面の面積が大きい順に最下段から積載順を決定する演算)を実施して荷物積載位置を決定し(S302)、画像データ作成部11−3にて前記パレット1に投影するための前記積載する荷物天面周囲線の画像作成処理を行う(S303)。
【0028】
前記の荷物の情報や積載条件が入力されると動作制御部11−4は、積載位置決定部11−2、画像データ作成部11−3の処理結果により、積載位置の移動指示を前記パレット移動ユニット2の移動駆動部5と回転駆動部6に伝達する。(S304)、(S305)。
【0029】
1段目1個目の荷物に対して、パレット移動ユニット2は、制御ユニット4からの指示で、前記システム制御部11の処理結果に基づく荷物のパレット上の積載位置が、作業者の前面の投影ユニット3からの投影位置に来る様に移動駆動部5や回転駆動部6の機構で所定の幅を移動単位として、パレット1を移動させる(S306)。
【0030】
投影ユニット3は、制御ユニット4からの指示を受け、画像投影部7が所定の幅の面に対して投影する位置に投影できる様にユニット駆動部8および投影角度調整部10を可動させ(S307)、画像投影部7からパレット1に対し、真上または斜めの方向から積載位置へ、1段目1個目の荷物天面周囲線を、光線照射やプロジェクタからの画像投影で行う(S308)。作業者は、投影された積載位置に荷物を積載する。
【0031】
積載荷物検知部9は、積載位置に荷物が置かれたかを検知し(S309)、動作制御部11−4に伝達し、動作制御部11−4は、検知された荷物が指示した位置へ積載されているかを判定する(S310)。動作制御部11−4が荷物の配置順序、配置数から何段目の何個目に配置された荷物か、最後の配置荷物かを判定する(S311)。最後の配置荷物でない場合は、次の配置荷物が同じ段かを判定する(S312)。
【0032】
1段目1個目の積載完了後、動作制御部11−4は画像投影部7からパレット1への画像投影を次の荷物配置の手順になるまで停止させ、以後の荷物積載毎に同様動作を繰り返す。
【0033】
1段目2個目の荷物を積載する際、パレット移動ユニット2は、制御ユニット4からの指示で、システム制御部11の処理結果に基づく荷物のパレット上の1段目2個目の積載位置が、作業者の前面の投影ユニット3から投影される位置に来る様に、移動駆動部5や回転駆動部6の機構でパレット1を水平移動させる。
【0034】
前記同様に投影ユニット3が制御ユニット4からの指示を受け、画像投影部7からパレット1に対し、真上または斜めの方向から作業者の前面の積載位置へ、1段目2個目の荷物天面周囲線を、光線照射やプロジェクタからの画像投影で行う。作業者は、投影された積載位置に荷物を積載する。
【0035】
1段目の積載は前記動作(S304〜S312)を繰り返す。1段目の積載が完了した後、2段目以降の積載に移行する。
【0036】
2段目以降の積載段数が1段累進する毎に、動作制御部11−4の指示により積載位置算出結果に応じて、ユニット駆動部8で投影ユニット3を支柱15に沿って垂直移動させ、積載された荷物の最上段の面に画像を投影する(S313)。2段目の積載も前記動作(S304〜S312)を繰り返す。
【0037】
以下N段目まで同様に積載を行い(S304〜S313)、積載する荷物が全て積載されたら(S311,YES)、投影を終了させ、モニタ部14に積載完了の表示をさせる(S314)。
【0038】
本実施形態において、パレット1をパレット移動ユニット2で移動させて荷物を投影画像位置に配置しているが、支柱15を水平に可動させ、パレット移動ユニット2の移動と組み合わせた動作で実現させることも可能である。
【0039】
また、作業者が自身のペースで積載作業ができるように、作業完了伝達用リモコンを操作したり、足踏み動作による伝達手段を使ったりして荷物のパレット積載完了を制御ユニット4に伝達して画像投影停止操作をしてもよく、同様にパレット移動ユニット2の動作停止や再開を操作してもよい。
【0040】
以上説明した通り、本実施形態において、荷物を積載する際に、作業者自身は殆どその場所を動くことなく、かつ、荷物や作業者の影に妨げられることなく、効率よく荷物を積載することができる。また、画像を斜めから投影し、前記パレット1に積載する荷物の高さおよび積載段数に応じて前記投影ユニット3が垂直移動するので、天井の高さが低く真上からの投影が困難な作業現場においても荷物または作業者の影の影響を受けることなしに積載作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0041】
1 ・・・パレット
2 ・・・パレット移動ユニット
2−1 ・・・インタフェース
2−2 ・・・テーブル移動制御部
2−3 ・・・テーブル回転制御部
3 ・・・投影ユニット
3−1 ・・・インタフェース
3−2 ・・・画像変換部
4 ・・・制御ユニット
5 ・・・移動駆動部
6 ・・・回転駆動部
7 ・・・画像投影部
8 ・・・ユニット駆動部
9 ・・・積載荷物検知部
10 ・・・投影角度調整部
11 ・・・システム制御部
11−1 ・・・入力処理部
11−2 ・・・積載位置決定部
11−3 ・・・画像データ作成部
11−4 ・・・動作制御部
11−5 ・・・インタフェース
12 ・・・操作部
13 ・・・外部入力部
14 ・・・モニタ部
15 ・・・支柱
16 ・・・テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を積載するパレットと前記パレットに予め算出された荷物の積載位置に係る画像を投影する投影ユニットと前記パレットの移動を制御するパレット移動ユニットから構成される積載支援システムであって、前記投影ユニットは、前記パレットの幅より小さい所定の幅の面に対して真上または斜めの方向から当該所定の幅の面に積載する荷物の積載位置に係る画像を投影し、前記パレット移動ユニットは、前記所定の幅を移動単位として、水平方向に移動可能とすることを特徴とするパレット積載支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載のパレット積載支援システムにおいて、前記投影ユニットは、垂直方向に移動する垂直移動手段を有し、前記パレットに積載する荷物の高さおよび積載段数に応じて、前記垂直移動手段を制御して、前記積載された荷物の最上段の面に、前記積載する荷物の積載位置に係る画像を投影することを特徴とするパレット積載支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−86980(P2012−86980A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237584(P2010−237584)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】