説明

パンまたは菓子生地の模様形成装置

【課題】パンまたは菓子の生地からスタンプ部の刃が確実に離脱することができ、手作業で生地を離脱させる必要がなく、前記生地に鮮明に網目模様を形成する。
【解決手段】作動杆1により上下動しパンまたは菓子生地に模様fを形成する刃2を備えたスタンプ部Aと、スタンプ部の刃2と刃の間に設けられ上下方向に移動可能な前記生地表面を押さえる生地押さえ部Bと、生地押さえ部と連動し生地押さえ部の下方移動距離を規制する移動規制部Cと、前記生地押さえ部と連動する移動規制部と前記スタンプ部との間に介在するバネ部材10を用いた付勢手段Dとを備え、スタンプ部の下降による前記生地内への刃の侵入操作時にバネ部材を圧縮し、刃の侵入操作終了後のスタンプ部の上昇時に圧縮されたバネ部材の反発力により、前記生地押さえ部を前記生地の表面方向に付勢し生地を押さえた状態に保持し、スタンプ部の刃を前記生地から離脱させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パン生地または菓子生地に、網目模様又は筋模様を形成するスタンプ方式のパンまたは菓子生地の模様形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パン生地、菓子生地、或いは、メロンパンのようにパン生地の上又はパン生地を包み込むように層状に重ねたビスケット生地に、網目模様、筋模様、その他の模様を形成し、見た目が美しい商品とし、特にメロンパンの場合は、メロンの網目模様を模したメロンパン特有の網目模様が鮮明に形成された商品とすることが購買意欲を高める要素の一つとなっている。
【0003】
そこで従来より、パンまたは菓子生地、及び、メロンパンのビスケット生地に網目模様又は筋模様を形成する装置として、ローラの表面に刃を形成し、このローラにより網目模様又は筋模様を刻みパンまたは菓子生地に模様を形成する装置(特許文献1参照)、又は、押型をスタンプ式に押しつけてパンまたは菓子生地に模様を形成する装置が提案されている。(特許文献2参照)
【0004】
【特許文献1】特開2005−124510公報。
【特許文献2】実開平6−186016公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、パン生地または菓子生地には粘弾性があり、特にメロンパンのビスケット生地は粘着性が強いため、生地に鮮明な網目模様又は筋模様を形成することが難しく、また、成形後ホイロをとり焼成を経ると、網目模様又は筋模様が次第に不鮮明になることもあり、成形段階でパンまたは菓子生地に深くしっかり網目模様、筋模様等を刻み込むことが必要がある。
特許文献1の特開2005−124510:「食品成形装置」は、菓子食品を搬送するコンベヤーと、該コンベヤーの移動方向に対し横断して配置され菓子食品の表面を圧接状態で回転可能に配置された2本のローラーとからなり、この2本のローラーの表面にはそれぞれ菓子食品の表面に模様を附設するための刃が形成されており、前記2本のローラの回転とコンベヤーの移動により菓子食品の表面に網目模様の切れ目を形成するものであるが、メロンパンのようにドーム型をしたものには、頂部付近には鮮明に網目模様を刻み込むことができるが、周辺部には網目模様を鮮明に刻み込むことが難しいという問題点がある。
【0006】
また、実開平6−186016:「ビスケットの浮模様の成形装置」は、型切部内のビスケット押型が、ロッドによって昇降する梁により発条を介して連杆により押し下げられビスケット生地と接触し、ビスケット生地の圧力が押型に反してこれを押上げると押型と連杆が上昇し、連杆に連結されている押板が上昇し前記発条が収縮し衝合用杆が脚枠と衝合したままの状態で梁が下降し、連杆を介してビスケット押型を強く押し下げビスケット生地に強く押捺でき、明瞭な浮模様を形成することができる装置であるが、押型にビスケット生地が粘着するという問題点がある。
そこで、刃または押型にパンまたは菓子生地が粘着することを防止する方法として、グラニュー糖をメロンパンのビスケット生地の表面に付着させ生地の粘着力を抑えたり、刃又は押型の生地への食い込みを浅くする方法等があるが、刃または押型への粘着を充分には防止することができず、手作業で刃または押型からパンまたは菓子生地を取り外すことが必要となり、また、鮮明な網目模様等を表した商品を提供することが困難であった。
【0007】
この発明は、前記したこれらの問題点を解決できるようにしたもので、パンまたは菓子の生地に網目模様又は筋模様を形成する1または複数の刃を備えたスタンプ部を設け、該スタンプ部を作動杆により上下動し、パンまたは菓子の生地に上方からスタンプ部を押しつけ模様を形成する構造としたもので、前記スタンプ部の刃の側部又は刃と刃の間に生地押さえ部を上下移動可能に設け、スタンプ部の下降による前記生地内への刃の侵入操作時にバネ部材を圧縮し、刃の侵入操作終了後のスタンプ部の上昇時に圧縮されたバネ部材の反発力により、前記生地押さえ部で前記生地表面を押さえ、押さえた状態でスタンプ部の刃が前記生地から離脱するようにし、パンまたは粘弾性が高いビスケット生地等の菓子生地に、スタンプ部の刃が深く侵入し網目模様又は筋模様を刻み込んでも、生地からスタンプ部の刃が確実に離脱し、手作業でパンまたは菓子の生地を離脱させる必要がなく機械化ができ、また、弾力性のある生地に網目模様又は筋模様を鮮明に形成できる装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1)作動杆により上下動しパンまたは菓子の生地に模様を形成する1または複数の刃を備えたスタンプ部と、
前記スタンプ部の刃の側方又は刃と刃の間に、上下方向に移動可能に設けられた生地表面を押さえるための生地押さえ部と、
前記生地押さえ部とともに移動し、かつ該生地押さえ部より下方に突出し、該生地押さえ部の下方移動距離を規制する移動規制部と、
前記生地押さえ部および前記移動規制部の上部側を前記スタンプ部の上部側に近接する方向に付勢する付勢手段とを備え、
該付勢手段は、前記移動規制部の接地後の前記スタンプ部の下降による前記生地内への刃侵入操作時に、前記生地押さえ部および前記移動規制部の上部側と前記スタンプ部の上部側間が離間することにより圧縮もしくは伸張されるものであり、かつ、前記生地押さえ部は、前記生地内への刃侵入操作終了後の前記スタンプ部の上昇時に、圧縮もしくは伸張された前記付勢手段の反発力により、前記生地表面方向に付勢されることを特徴とするものである。
【0009】
(2)前記生地押さえ部は、圧縮もしくは伸張された前記付勢手段の反発力により、前記生地表面方向に付勢されることにより、前記生地からの前記刃の離脱時に、前記生地表面に当接するものである前記(1)記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
(3)前記パンまたは菓子生地の模様形成装置は、少なくとも前記移動規制部の規制シャフトおよび前記生地押さえ部の一方と連結され、かつ、前記移動規制部の規制シャフトおよび前記生地押さえ部と一体的に上下動する連結部と、前記スタンプ部の上部に設けられた取付部材と、該取付部材に設けられ、かつ前記連結部を貫通する支承杆と、該支承杆を被包するように配置されたバネ部材と、前記支承杆の上端部において前記バネ部材を係止する係止部材とを備え、前記バネ部材は、前記連結部と前記係止部材間に近接により圧縮されるものである前記(1)または前記(2)に記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
(4)前記パンまたは菓子生地の模様形成装置は、少なくとも前記移動規制部の規制シャフトおよび前記生地押さえ部の一方と連結され、かつ、前記移動規制部の規制シャフトおよび前記生地押さえ部と一体的に上下動する連結部と、前記スタンプ部の上部に設けられた取付部材と、該取付部材の両端部に設けられ、かつ前記連結部の一方および他方を貫通する支承杆と、各該支承杆を被包するように配置されたバネ部材と、各前記支承杆の上端部において前記バネ部材を係止する係止部材とを備え、前記バネ部材は、前記連結部と前記係止部材間に近接により圧縮されるものである前記(1)または前記(2)に記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
【0010】
(5) 前記スタンプ部は、複数の縦刃と横刃が交差し矩形状の網目を構成するように設けられている前記(1)ないし前記(4)のいずれかに記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
(6)前記生地押さえ部は、前記複数の縦刃と横刃が交差して構成される矩形状空間部の1ないし複数の空間部内に、上下移動可能に設けられている前記(5)に記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
(7)前記生地押さえ部は、前記複数の縦刃と横刃が交差して構成される各矩形状の空間部の一つの空間部の60%以上を塞ぐ大きさとなっている前記(6)に記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
【0011】
(8)前記スタンプ部は、複数の刃がスタンプ部の中心から放射状に設けられている前記(1)ないし前記(4)のいずれかに記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
(9) 前記生地押さえ部は、前記スタンプ部の中心から放射状に配置された刃と刃の間を上下動可能に設けられている前記(8)に記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
(10) 前記スタンプ部は、ドーム型の生地の曲面形状に合致するよう前記複数の刃の下端が湾曲した形状となっている前記(1)ないし前記(9)のいずれかに記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
【0012】
(11) 前記移動規制部の下端と前記生地押さえ部の下端間の距離は、前記移動規制部の下端が接地した時、前記生地押さえ部の下端が前記生地表面付近となる距離となっている前記(1)ないし前記(10)のいずれかに記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
(12) 前記パンまたは菓子生地の模様形成装置は、少なくとも前記移動規制部の規制シャフトと連結され、かつ、前記移動規制部の規制シャフトおよび前記生地押さえ部と一体的に上下動する連結部を備え、前記移動規制部は、4本の規制シャフトが前記スタンプ部の外側の四方に設けられ、該規制シャフトは上部がL字型に屈曲し、左側と右側の各2本の規制シャフがそれぞれ前記連結部を介して結合されたものとなっている前記(1)ないし前記(11)のいずれかに記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
(13) 前記パンまたは菓子生地の模様形成装置は、少なくとも前記移動規制部の規制シャフトと連結され、かつ、前記移動規制部の規制シャフトおよび前記生地押さえ部と一体的に上下動する連結部を備え、前記移動規制部は、4本の規制シャフトが前記スタンプ部の外側の四方に設けられ、該規制シャフトは上部がL字型に屈曲し、屈曲した部分がスタンプ部の上方中心に設けた一の前記連結部に対し放射状に設けられたものとなっている前記(1)ないし前記(11)のいずれかに記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
(14) 前記バネ部材は、バネ係数が0.5〜1.0N/mmの圧縮コイルバネを使用した前記(3)または前記(4)に記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
【発明の効果】
【0013】
この発明のパンまたは菓子生地の模様形成装置によれば、作動杆の上下動に伴い前記スタンプ部が下降し、パンまたは菓子生地内への刃侵入操作時に付勢手段が圧縮され、生地押さえ部は前記生地内への刃侵入操作終了後の前記スタンプ部の上昇時に、圧縮された前記付勢手段の反発力により前記生地表面方向に付勢され、前記生地押さえ部がパンまたは菓子等の生地表面に当接する位置に保持されるので、前記生地表面を生地押さえ部で押さえた状態でスタンプ部の刃が上昇し、前記生地から刃を確実に離脱させることができる。それ故、スタンプ部の刃にパンまたは菓子生地が粘着し手作業で外す必要がなく機械化が容易であり、また、成形されたパンまたは菓子生地の形状が崩れることもない。
【0014】
この発明のパンまたは菓子生地の模様形成装置によれば、バネ部材が連結部と係止部間に近接により圧縮されるように設けられ、生地押さえ部と連動する移動規制部がスタンプ部の上下動に対し、スタンプ部が下降する過程においてバネ部材が圧縮され、スタンプ部が上昇する過程においてバネ部材の反発力が働き、スタンプ部が上昇を開始した後、遅れて生地押さえ部と移動規制部が上昇を開始するように連係して作動するので、簡単な構成でパンまたは菓子生地から刃を確実に離脱させることができる。
【0015】
この発明のパンまたは菓子生地の模様形成装置によれば、前記スタンプ部は、複数の縦刃と横刃が交差し矩形状の網目を構成するように設けられているので、メロンの網目に模した網目模様を、パンまたは菓子生地に形成することができる。
また、生地押さえ部は、複数の縦刃と横刃が交差して構成される矩形状の空間部の1ないし複数の空間部内に上下移動可能に設けられ、前記生地押さえ部は、各矩形状の空間部の一つの空間部の60%以上を塞ぐ大きさとしたので、生地押さえ部の下端によりパンまたは菓子生地の表面を広い面積で押さえることになり、生地表面を傷つけることがほとんどない。
さらに、前記生地押さえ部は、前記スタンプ部の中心から放射状に配置された刃と刃の間を上下動可能に設けた場合は、カボチャのような筋模様を付す場合でも、刃が確実にパンまたは菓子生地から、筋模様を崩すことなく離脱させることができる。
【0016】
この発明のパンまたは菓子生地の模様形成装置によれば、前記スタンプ部の複数の刃をスタンプ部の中心から放射状に配置すると、カボチャの模様を模した筋模様を、パンまたは菓子生地に形成することができる。
そして、前記スタンプ部は、ドーム型のパンまたは菓子生地の曲面形状に合致するよう前記複数の刃の下端を湾曲した形状としたので、ドーム型のパンに模様を形成する場合、前記生地表面の全面に渡ってほぼ均一の深さに模様を刻み込むことができ、明瞭な模様をパンまたは菓子生地に形成することができる。
【0017】
この発明のパンまたは菓子生地の模様形成装置によれば、前記移動規制部は前記生地押さえ部よりも長く、生地押さえ部とともに移動規制部が下降し、移動規制部が接地した時、前記生地押さえ部の下端を前記生地の表面付近で停止するよう規制することができ、前記バネ部材の弾性と相俟って生地押さえ部の下端によりパンまたは菓子生地の表面を必要以上に押さえつけることがなく、パンまたは菓子生地の表面を傷つけることがない。
また、前記移動規制部は、4本の規制シャフトが前記スタンプ部の外側の四方に設けられ、連結部を介して結合されているので、移動規制部と連動する生地押さえ部を、所定の位置に常に停止することができる。
【0018】
この発明のパンまたは菓子生地の模様形成装置によれば、前記移動規制部は、4本の規制シャフトが前記スタンプ部の外側の四方に設けられ、該規制シャフトは上部がL字型に屈曲し、屈曲した部分がスタンプ部の上方中心に設けた一の前記連結部に対し放射状に設けられているので、前記付勢手段も一つでよく装置が簡略化され小型にすることができる。
【0019】
この発明のパンまたは菓子生地の模様形成装置によれば、前記付勢手段のバネ部材として、バネ係数が0.5〜1.0N/mmの圧縮コイルバネを使用すると、刃がパンまたは菓子生地に当接した際、圧縮コイルバネの弾性により前記生地の表面に傷をつけることがない。また、刃が生地から離脱する際、生地押え部が刃に粘着したパンまたは菓子生地を引き剥がしつつ刃が上昇するが、パンまたは菓子生地の復元しようとする弾発力と前記圧縮コイルバネの弾性により生地を押さえようとする力が適度となり、パンまたは菓子生地の表面に傷をつけることなく網目模様、筋模様等を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
この発明のパンまたは菓子生地の模様形成装置について、図に示す実施例を用いて説明する。
図1〜図6は、メロンパンに網目模様を形成する場合の実施例であり、図1はこの発明のパンまたは菓子生地の模様形成装置の斜視図、図2〜図5はメロンパン生地とスタンプ部と生地押さえ部と移動規制部との位置関係を示する図で、図2は、スタンプ部が下降する前の一部破断正面図、図3は、スタンプ部が下降し移動規制部が接地し、さらにスタンプ部が下降し刃がパン生地に所定の深さまで侵入した一部破断正面図、図4は、同じくスタンプ部が上昇を開始し、生地押さえ部がパン生地表面を押さえ、刃がパン生地から離脱する直前の状態の部分拡大正面図、図5は、スタンプ部が上昇し、生地押さえ部がパン生地表面を押さえ刃がパン生地から離脱した状態の一部破断正面図、図6はスタンプ部の平面図である。
【0021】
この発明のパンまたは菓子生地の模様形成装置は、図1〜図6に示すように、作動杆1により上下動しパンまたは菓子の生地に模様を形成する1または複数の刃を備えたスタンプ部Aと、前記スタンプ部Aの刃2の側方又は刃と刃の間に、上下方向に移動可能に設けられた生地表面を押さえるための生地押さえ部Bと、前記生地押さえ部Bとともに移動し、かつ該生地押さえ部Bより下方に突出し、該生地押さえ部Bの下方移動距離を規制する移動規制部Cと、前記生地押さえ部Bとともに移動する移動規制部Cと前記スタンプ部Aとの間に介在し、前記生地押さえ部Bおよび前記移動規制部Cの上部側を前記スタンプ部Aの上部側に近接する方向に付勢する付勢手段Dとを備えたもので、この模様形成装置は、パンまたは菓子生地が送られるベルトコンベアー上に配置され、スタンプ部Aにより模様を形成するパンまたは菓子生地Eはベルトコンベアー等の載置面F上に載せられている。
【0022】
前記スタンプ部Aは、メロンパン生地Eのビスケット生地eに侵入し模様fを刻み込む刃2と、刃2の外側端を固定する円筒形の周側壁3と、作動杆1をスタンプ部Aの上部に取付ける矩形状の取付部材12から構成されている。
前記刃2は複数の縦刃2aと横刃2bを交差して菱形の網目を構成するように設けられている。
尚、刃2は菱形の網目としたが、これに限るものではなく、例えば、複数の刃をスタンプ部Aの中心から放射状に設けることもできる。
前記周側壁3は、複数の縦刃2a、横刃2bの外側端がそれぞれ固定され、周側壁3の高さは刃2が周側壁3から下方に突出する高さにしている。
前記矩形状の取付部材12は、前記周側壁3の上面中央に渡して両端が固定されスタンプ部Aの上部に取り付けられている。また、該取付部材12の両端部には垂直に下記の付勢部材Dを支承する支承杆9が垂直に立設され、さらに、中央に筒状の作動杆取付け部12aを溶接して固定した取付け板12bがボルトにより固定されている。
そして、前記作動杆取付け部12aに、前記作動杆1を挿入固定することにより、作動杆1の上下動に伴い、スタンプ部Aがスタンプを押すように所定の範囲内を上下動するようになっている。
【0023】
また、前記スタンプ部Aには、上面中央に前記矩形状の取付部材12が設けられ、スタンプ部Aの上面のそれ以外の部分は開放され、その開放された上面より下記の生地押さえ部Bの押さえ具4が上方から刃2の間の空間部aに挿入されている。(図2)
さらに、前記スタンプ部Aは、ドーム型のメロンパン生地の曲面形状に合致するよう前記複数の刃2の下端が中心部から外側端に向かって中程で下方に屈曲した形状とし、刃2の下端の形状が外側端に進むに従って下がりメロンパン生地の曲面形状に略合致する形状となっており、ドーム型のメロンパン生地の表面の全域に渡ってほぼ均一の深さに縦刃2aと横刃2bが侵入し模様fを刻み込むことができるようになっている。
尚、前記スタンプ部の刃の下端の形状は、メロンパン生地の曲面形状に合致するよう湾曲した形状にしてもよい。
【0024】
前記生地押さえ部Bは、圧縮もしくは伸張された前記付勢手段Dの反発力により、前記生地表面方向に付勢されることにより、メロンパン生地E(ビスケット生地e)からの前記刃2の離脱時に、前記生地表面に当接し、刃2に粘着する前記生地を刃から引き離す働きをするものであって、メロンパン生地Eの表面を押さえる押さえ具4と、該押さえ具4を前記移動規制部Cに連設する連杆5とから構成され、この押さえ具4は、前記スタンプ部Aの菱形の網目の空間部aより若干小さくした形状で、前記空間部内を上下方向に移動可能に設けられている。前記連杆5は両側の移動規制部Cの規制シャフト6の基部の側面に向かい合うように設けられ該規制シャフト6と結合されている。尚、前記連杆5は直接下記の連結部7に結合してもよい。
前記生地押さえ部Bの押さえ具4は、前記複数の縦刃2aと横刃2bが交差して構成される菱形、或いはその他の矩形状の空間部aの一つの空間部の60%〜90%を塞ぐ大きさとするのが好ましく、押さえ具4が空間部内をスムースに上下動できる範囲であれば面積はできるだけ広い方が良く、押さえ具4の面積が広い程メロンパン生地の表面を押さえる際、生地表面にめり込むことが少なくなり前記生地を痛めることなく模様fを形成することができる。
【0025】
前記移動規制部Cは、前記生地押さえ部Bと連設され、生地押さえ部Bの下方への移動距離を規制するもので、前記生地押さえ部Bよりも長い4本の規制シャフト6と、この複数の規制シャフト6を連結する連結部7とから構成され、前記規制シャフト6の下端がパン生地の載置面Fに接地したとき、生地押さえ部Bの押さえ具4の下面がメロンパン生地Eの表面付近で停止するように規制するものであり、前記移動規制部Cの規制シャフト6の下端と前記生地押さえ部Bの押さえ具4の下端間の距離は、前記規制シャフト6の下端が接地した時、前記押さえ具4の下端が前記生地表面付近となる距離となっている。
前記4本の規制シャフト6は前記スタンプ部Aの外側の四方に位置するように設けられ、該規制シャフト6の上部がL字型に屈曲し、左側と右側の各2本の規制シャフ6がそれぞれ連結部7を介して結合されるようになっている。
前記連結部7には、前記移動規制部の規制シャフトCか、或いは、前記生地押さえ部Bの連杆5の一方と連結し、前記連結部7が、前記移動規制部の規制シャフトCおよび前記生地押さえ部Bの押さえ具4と一体的に上下動するものである。また、前記連結部7には付勢手段Dを構成する前記支承杆9を貫通する挿通孔8が設けられている。連結部7を複数備えたものにおいては、それぞれに挿通孔8を設けたり、或いは、一方および他方に挿通孔8を設けることもできる。
【0026】
前記付勢手段Dは、前記スタンプ部A上部に取り付けた矩形状の取付板12の両側部に立設した支承杆9に支承され、前記スタンプ部Aと前記生地押さえ部Bに連設した移動規制部Cとを連係させるものであって、前記移動規制部Cの規制シャフト6の接地後の前記スタンプ部Aの下降による前記生地内への刃2の侵入操作時に、前記生地押さえ部Bおよび前記移動規制部Cの上部側と前記スタンプ部Aの上部側間が離間することにより圧縮されるものであり、この圧縮による反発力をメロンパン生地Eから刃2が離脱する際前記生地押さえ部Bをメロンパン生地Eの表面を押さえる方向に付勢させるものであり、移動規制部Cの連結部7と、前記支承杆9と、該支承杆9を被包するように配置されたバネ部材として使用するコイルバネ10と、前記支承杆9の上端に固定する前記コイルバネ10を係止する係止部材11とからなり、スタンプ部Aの取付部材12の両端部に立設した支承杆9を前記移動規制部Cの左右の連結部7のそれぞれの挿通孔8を貫通し、左右の連結部7の上に突出した各支承杆9にコイルバネ10を嵌め、各支承杆9の上端部に係止部材11を取付けたものである。この付勢手段Dには筒体が被せられている。
これにより、前記スタンプ部Aの上部に設けた矩形状の取付部材12に垂直に立設した前記支承杆9に沿って付勢手段D及び連結部7が上下方向に移動可能な構成となっている。
【0027】
そして、前記付勢手段Dのコイルバネ10として、パン生地Eに生地押さえ部Bの押さえ具4が当接した際、前記生地表面に食い込むことがないようバネ係数が0.5〜1.0N/mmの圧縮コイルバネを使用している。
【0028】
この実施例のパンまたは菓子生地の模様形成装置は上記構成としたので、図2に示す作動杆1が下降を開始する前においては、前記スタンプ部Aと前記移動規制部Cの連結部7は当接した位置関係にあり、作動杆1が下方へ下降し始めると、この動きに連動して前記スタンプ部Aと移動規制部C及び生地押さえ部Bも下降を開始する。
そして、メロンパン生地Eのビスケット生地eの表面にスタンプ部Aの刃2が当たる位置に下降すると、押さえ具4の下面は生地表面のやや上部に位置することになる。
【0029】
作動杆1の下降動作によりその後もスタンプ部などが下降すると、ビスケット生地eに刃2が侵入し始め、縦刃2aと横刃2bからなる網目に設けられた多数の刃2により生地が押さえ付けられ扁平に変形し始め、刃2も生地に侵入を開始する。このとき押さえ具4の下面が生地に当接することがあっても、コイルバネ10の弾力で生地表面への当接時の力を緩和できるので、生地に強く当たることがなくビスケット生地eに食い込み表面を痛めることがない。
さらにスタンプ部が下降すると、移動規制部Cの規制シャフト6の下端が載置面Fに接地し、移動規制部Cの連結部7もその位置で停止し、前記移動規制部に連設した生地押さえ部Bの押さえ具4の下降もストップする。
そして、スタンプ部Aは作動杆1によりさらに所定の位置まで降下する。これにより、前記支承杆9が前記連結部7の挿通孔8内を徐々に下降して行く。これに伴い支承杆9の上端に固定した係止部材11も下がり停止している連結部7と係止部材11とによりコイルバネ10が圧縮されながらスタンプ部Aが下降する。下降の下限は、ビスケット生地eの厚さが通常約5mmであることから、その厚さ分だけ刃2が侵入するまで下降するように、作動杆1の上下動の幅を設定しているので、図3に示すように、刃2がビスケット生地eの厚さ約5mmを切り裂き、ビスケット生地eの下のパン生地に達する状態となり、クッキリと網目模様fを生地に刻み込み形成することができる。このとき、押さえ具4の下面は生地表面に当接した状態か、やや生地表面の上に位置することになる。
【0030】
スタンプ部Aが上記位置で下降が止まると、すぐさま反転して作動杆1が上昇に転じスタンプ部Aも上昇を開始し、ビスケット生地eに侵入していた複数の刃2が徐々にビスケット生地eから離脱し始める。そして、図4に示すように、生地押さえ部Bは圧縮されていたコイルバネ10の反発力により、スタンプ部Aが上昇を開始し支承杆9が停止している連結部7の挿通孔8内を上昇し、上端の係止部材11も上昇する。それ故、連結部7と係止部材11の間は広がって行くが、コイルバネ10の反発力(復元力)で、連結部7及び生地押さえ部Eはそのままの位置、すなわち、移動規制部Cの規制シャフト6が接地した位置に留まり、メロンパン生地表面を生地押さえ部Bの押さえ具4で押さえた状態でスタンプ部Aの刃2がメロンパン生地Eのビスケット生地e内から離脱し始める。
やがて、図5に示すように、スタンプ部Aの刃2が、メロンパン生地表面を押さえ具4で押さえた状態でメロンパン生地Eから離脱しスタンプ部Aが上昇するので、係止部材11と連結部7との間隔がさらに開き(スタンプ部Aの上部側と生地押さえ部Bの上部側との間隔は接近する。)、コイルバネ10の反発力が弱くなり、スタンプ部Aと一緒に移動規制部C及びその規制シャフト6と、生地押さえ部B及びその押さえ具4も上昇を開始する。
【0031】
このように、スタンプ部Aの刃2が網目模様fを生地に刻み込んだ後スタンプ部Aが上昇を開始しても、生地押さえ部B及びその押さえ具4はそのままの位置に留まり、スタンプ部A及び刃2が上昇するので、刃2の上昇に伴いメロンパン生地Eはその弾力性により扁平状に圧せられた状態から押圧を徐々に解かれ元のドーム形に復元して行き、メロンパン生地Eのビスケット生地eの表面が押さえ具4の下面に当たり、押さえ具4の下面で前記ビスケット生地eの表面を押さえた状態で、刃2が上昇するので、刃2にビスケット生地eが粘着していても引き離され、メロンパン生地Eから刃2が確実に離脱することができる。
また、コイルバネ10の作用で押さえ具4の下面が生地を押さえる力とパン生地の弾力性とのバランスが図られるバネ係数が0.5〜1.0N/mmの圧縮コイルバネを使用しているので、生地表面に押さえ具4が食い込むことも防止することができる。
したがって、ビスケット生地eがほぼ切断されるまで刃2が深く侵入し、刃2にメロンパン生地が粘着しても、生地表面を痛めることなく刃を生地から離脱することができ、切り込みの深い鮮明な網目模様fが、ほぼ全域に渡って形成されたメロンパン生地Eができあがり、ホイロを経て焼成された後も、網目模様がハッキリと現れた見た目が美しいメロンパンを製造することができる。
【0032】
図7〜図9は、異なる実施例を示すもので、上記実施例のメロンの網目を模した矩形の網目模様を形成するのではなく、この実施例は、カボチャの模様を模した放射状の筋模様を形成するもので、図7は、スタンプ部が下降する前の縦断正面図、図8は、スタンプ部が下降し移動規制部が接地し、さらにスタンプ部が下降し刃がパン生地に所定の深さまで侵入した縦断正面図、図9は、スタンプ部が上昇を開始し、生地押さえ部がパン生地表面を押さえ刃がパン生地から離脱した状態の縦断正面図である。
【0033】
この発明のパンまたは菓子生地の模様形成装置は、図7〜図9に示すように、作動杆1により上下動しパンまたは菓子の生地に模様を形成する複数の刃2cをスタンプ部Aの中心から放射状に備えたスタンプ部Aと、前記スタンプ部Aの刃2cと刃2cの間に、上下方向に移動可能に設けられた生地表面を押さえるための生地押さえ部Bと、前記生地押さえ部Bに接合され該生地押さえ部Bとともに移動し、かつ該生地押さえ部Bより下方に突出し、該生地押さえ部Bの下方移動距離を規制する移動規制部Cと、前記生地押さえ部Bとともに移動する移動規制部Cと前記スタンプ部Aとの間に介在し、前記移動規制部Cの上部側すなわち連結部7とこの連結部7に連結される規制シャフト6の上部のL字形に屈曲した部分を前記スタンプ部Aの刃2cの上部側に近接する方向に付勢する付勢手段Dとを備えたもので、この模様形成装置は、パンまたは菓子生地が送られるベルトコンベアー上に配置され、スタンプ部Aにより模様を形成するパンまたは菓子生地Eはベルトコンベアー等の載置面F上に載せられている。
【0034】
この実施形態のスタンプ部Aは、8本の刃2cがスタンプ部の中心部から放射状に等間隔に設けられ、刃2cの下端の形状はドーム型のパン生地に沿うように、刃2cの中心部から外側端に向かって2カ所で屈曲させ徐々に刃の下端が下がり湾曲したような形状となっている。尚、複数の刃2cの下端の形状をドーム型の生地の曲面形状に合致するよう湾曲した形状としてもよい。
そして、刃2cの外側端を周側壁3で囲い各刃2cの外側端を固着し、該周側壁3の上端には取付部材12の両端が取り付けられ、この取付部材12の中心部にはスタンプ部Aを上下動する円筒状の作動杆1が固定されている。また、放射状に設置された前記刃2cの中心部には支承杆9が垂直に立設されている。
この構成により、作動杆1が上下動するとスタンプ部Aとその内部に備えた複数の刃2c及び支承杆9が一体的に上下動をする。
さらに、前記取付部材12には、下記の移動規制部Cに一体に設けた円筒形の受け台13が挿通する前記作動杆1の径よりも小さい貫通孔14が設けられている。
【0035】
前記生地押さえ部Bは、前記スタンプ部の中心から放射状に配置された刃2cと刃2cの間を上下動可能に設けられている。すなわち、生地押さえ部Bは、前記スタンプ部Aの放射状に配置された刃2cの隣り合う刃と刃の間の空間部に、刃2cの中心から外側端までの約二分の一の長さで空間部をほぼ塞ぐ形の扇形であって、8本の刃と刃の間に2〜8個設けられ、下記の生地押さえ部Bの移動距離を規制する移動規制部Cの下端に接合され、或いは、一体的に設けられている。尚、生地押さえ部Bの大きさはこれに限られるものではなく、パンまたは菓子生地の粘弾性を考慮して、隣り合う刃2cと刃2cの間の空間部の一部を覆う大きさとしたり、空間部をスムースに上下動できる範囲で、空間部のほぼ全部を覆う大きさとすることもできる。
【0036】
前記移動規制部Cは、前記生地押さえ部Bの移動距離を規制する規制シャフト6と、該規制シャフト6を連結する円盤状の連結部7から構成され、該連結部の中心部にはコイルバネ10の下端を係止する受け台13が突設され、また、該受け台13を一体的に設けた前記連結部7の中心には、スタンプ部Aの刃2cの中心部に垂直に立設固定した支承杆9を貫通する挿通孔8が設けられ、前記支承杆9は前記連結部7の挿通孔8内を上下動自在に設けられている。
前記移動規制部Cは、4本の規制シャフト6がパン生地Eに接触しない刃2Cの先端部であって刃と刃の間に設けられ、該規制シャフト6の上部をL字型に屈曲し、屈曲した規制シャフト6の上部がそれぞれ前記連結部7に四方から放射状に結合されている。尚、4本の規制シャフト6を周側壁3の4カ所にU字状の間隙を設け、該間隙から刃2cの外側の四方に4本の規制シャフト6を配してもよい。
前記移動規制部Cの規制シャフト6の下端と前記生地押さえ部Bの下端間の距離は、前記移動規制部Cの規制シャフト6の下端が接地した時、前記生地押さえ部Bの下端が前記生地表面付近となる距離となっている。
【0037】
前記付勢手段Dは、前記取付部材12の中心部であって円筒状の作動杆1の下端内部に設けられ、前記放射状に備えた複数の刃2cの中心部に垂直に立設固定した支承杆9と、該支承杆9を被包するように配置されるコイルバネ10と、該コイルバネ10の反発力を受け止める連結部7の受け台13と、支承杆9の上端部に螺着される係止部材11とからなりものである。
そして、前記受け台13と係止部材11との間に嵌められたコイルバネ10の伸縮を利用して、スタンプ部Aと移動規制部Cに接合された前記生地押さえ部B
とを連係させるもので、付勢手段Dのコイルバネ10が前記受け台13と前記係止部材11との間が接近すると圧縮され、その圧縮された反発力で両者を離間させる方向に付勢させ、コイルバネ10をメロンパン生地Eに刃2cが侵入し筋目を刻み込んだ後、前記スタンプ部Aが上昇に転じる時に、反発力が生地押さえ部Bを前記生地表面方向に付勢するようにしたものである。
【0038】
上記構成により、カボチャの模様を模した放射状の筋模様gを形成するこの実施例は、上記のメロンの網目を模した矩形の網目模様を形成する実施例と同様に作動するもので、図7に示す作動杆1が下降を開始する前の状態から、作動杆1が下降し始めるとスタンプ部Aが下降し始め、同時に刃2cと刃2cの間の空間部に設けた生地押さえ部B、及び、生地押さえ部Bと一体的に設けた移動規制部Cも下降を開始し、パン生地Eの表面に刃2cが当たる位置に下降する。
【0039】
その後、パン生地Eのビスケット生地に刃2cが侵入し始めると、生地が押さえ付けられ扁平に変形し始め、刃2cも生地に侵入を始め、生地押さえ部Bもその下面が生地表面付近まで下がり、仮にこの段階でパン生地に生地押さえ部Bが当接することがあっても、パン生地Eの弾発力が生地押さえ部Bを押し上げるように働いてもコイルバネ10の弾力で吸収され、パン生地Eのビスケット生地に食い込み表面を痛めることがない。
さらにスタンプ部が下降して行くと、移動規制部Cの規制シャフト6の下端が接地し、移動規制部C及び連結部7と生地押さえ部Bの下降がストップする。
そして、スタンプ部Aはさらに降下するので、移動規制部Cの連結部7の挿通孔8内を支承杆9が下降し始め、支承杆9の上端の係止部材11により前記コイルバネ10は連結部7に設けた受け台13との間で次第に圧縮される。
スタンプ部Aがさらに下降し刃2cがパン生地Eのビスケット生地を切り裂きパン生地に達するまで侵入し、図8に示す状態でスタンプ部の下降がストップする。
【0040】
作動杆1及びスタンプ部Aが上記位置で下降が止まると反転して作動杆1が上昇に転じスタンプ部Aも上昇を開始し、パン生地Aのビスケット生地に食い込んでいた複数の刃2cも徐々にビスケット生地から離脱し始める。
そして、図9に示すように、生地押さえ部Bは圧縮されていたコイルバネ10の反発力により、スタンプ部Aが上昇を開始し、支承杆9が前記連結部7の挿通孔8内を上方に移動し、これに伴い係止部材11も上昇を開始し、係止部材11と受け台13との間で圧縮されていたコイルバネ10の反発力で、受け台13は下方に付勢され、連結部7、規制シャフト6、及び、連結部7と一体的に接合されている生地押さえ部Bはそのままの位置、すなわち、移動規制部Cの規制シャフト6が接地した位置に留まり、やがて生地押さえ部Bの下面よりスタンプ部Aの複数の刃2cの下端が上昇するので、粘弾性のあるパン生地・ビスケット生地が刃2cに粘着しても、刃2cから前記生地Eを引き離すことができる。
その後、作動杆1及びスタンプ部Aが上昇すると、前記コイルバネ10の反発力が弱くなりスタンプ部Aとともに移動規制部C及び生地押さえ部Bも上昇することになる。
【0041】
このように、スタンプ部Aが上昇を開始しても生地押さえ部Bはそのままの位置に留まり、パン生地Eの表面を押さえた状態で刃2cが上昇するので、ビスケット生地がほぼ切断されるほど深く刃が侵入しても、刃からパン・菓子生地が引き離され、人手により刃からパン生地を引き離す必要がなく、自動化が容易であり、かつ、パンまたは菓子生地表面を痛めることなく刃を離脱でき、深く鮮明に筋模様gが形成されたカボチャを模したパンの生地を製造することができる。
そして、この実施例によれば、付勢手段が、作動杆の下端内部に設けられ、また、移動規制部の連結部と生地押さえ部が一体的に設けられ、連結部に放射状に規制シャフトが連結されているので、構造が簡略でコンパクトなパンまたは菓子生地の模様形成装置になる。
【0042】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の形態を実施しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、網目模様を形成する場合のこの発明のパンまたは菓子生地の模様形成装置の斜視図である。
【図2】図2は、同じくスタンプ部が下降する前の一部破断正面図である。
【図3】図3は、同じくスタンプ部か下降し、刃をパン生地に所定の深さまで食い込ませる位置までスタンプ部が下降した一部破断正面図である。
【図4】図4は、同じくスタンプ部が上昇を開始し、生地押さえ部がパン生地表面を押さえ、刃がパン生地から離脱する直前の状態の部分拡大正面図である。
【図5】図5は、同じくスタンプ部が上昇を開始し、生地押さえ部がパン生地表面を押さえ、刃がパン生地から離脱した状態の一部破断正面図である。
【図6】図6は、同じくスタンプ部の平面図である。
【図7】図7は、筋模様を形成する場合のこの発明のパンまたは菓子生地の模様形成装置のスタンプ部が下降する前の縦断正面図である。
【図8】図8は、同じくスタンプ部か下降し、刃をパン生地に所定の深さまで食い込ませる位置までスタンプ部が下降した縦断正面図である。
【図9】図9は、同じくスタンプ部が上昇を開始し、生地押さえ部がパン生地表面を押さえ、刃がパン生地から離脱した状態の縦断正面図である。
【符号の説明】
【0044】
A スタンプ部
B 生地押さえ部
C 移動規制部
D 付勢手段
E パン生地
a 空間部
1 作動杆
2 刃
2a 縦刃
2b 横刃
2c 放射状に配置された刃
6 規制シャフト
7 連結部
8 挿通孔
9 支承杆
10 バネ部材
11 係止部材
12 取付部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動杆により上下動しパンまたは菓子の生地に模様を形成する1または複数の刃を備えたスタンプ部と、
前記スタンプ部の刃の側方又は刃と刃の間に、上下方向に移動可能に設けられた生地表面を押さえるための生地押さえ部と、
前記生地押さえ部とともに移動し、かつ該生地押さえ部より下方に突出し、該生地押さえ部の下方移動距離を規制する移動規制部と、
前記生地押さえ部および前記移動規制部の上部側を前記スタンプ部の上部側に近接する方向に付勢する付勢手段とを備え、
該付勢手段は、前記移動規制部の接地後の前記スタンプ部の下降による前記生地内への刃侵入操作時に、前記生地押さえ部および前記移動規制部の上部側と前記スタンプ部の上部側間が離間することにより圧縮もしくは伸張されるものであり、かつ、前記生地押さえ部は、前記生地内への刃侵入操作終了後の前記スタンプ部の上昇時に、圧縮もしくは伸張された前記付勢手段の反発力により、前記生地表面方向に付勢されることを特徴とするパンまたは菓子生地の模様形成装置。
【請求項2】
前記生地押さえ部は、圧縮もしくは伸張された前記付勢手段の反発力により、前記生地表面方向に付勢されることにより、前記生地からの前記刃の離脱時に、前記生地表面に当接するものである請求項1に記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
【請求項3】
前記パンまたは菓子生地の模様形成装置は、少なくとも前記移動規制部の規制シャフトおよび前記生地押さえ部の一方と連結され、かつ、前記移動規制部の規制シャフトおよび前記生地押さえ部と一体的に上下動する連結部と、前記スタンプ部の上部に設けられた取付部材と、該取付部材に設けられ、かつ前記連結部を貫通する支承杆と、該支承杆を被包するように配置されたバネ部材と、前記支承杆の上端部において前記バネ部材を係止する係止部材とを備え、前記バネ部材は、前記連結部と前記係止部材間に近接により圧縮されるものである請求項1または2に記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
【請求項4】
前記パンまたは菓子生地の模様形成装置は、少なくとも前記移動規制部の規制シャフトおよび前記生地押さえ部の一方と連結され、かつ、前記移動規制部の規制シャフトおよび前記生地押さえ部と一体的に上下動する連結部と、前記スタンプ部の上部に設けられた取付部材と、該取付部材の両端部に設けられ、かつ前記連結部の一方および他方を貫通する支承杆と、各該支承杆を被包するように配置されたバネ部材と、各前記支承杆の上端部において前記バネ部材を係止する係止部材とを備え、前記バネ部材は、前記連結部と前記係止部材間に近接により圧縮されるものである請求項1または2に記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
【請求項5】
前記スタンプ部は、複数の縦刃と横刃が交差し矩形状の網目を構成するように設けられている請求項1ないし4のいずれかに記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
【請求項6】
前記生地押さえ部は、前記複数の縦刃と横刃が交差して構成される矩形状空間部の1ないし複数の空間部内に、上下移動可能に設けられている請求項5に記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
【請求項7】
前記生地押さえ部は、前記複数の縦刃と横刃が交差して構成される各矩形状の空間部の一つの空間部の60%以上を塞ぐ大きさとなっている請求項6に記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
【請求項8】
前記スタンプ部は、複数の刃がスタンプ部の中心から放射状に設けられている請求項1ない4のいずれかに記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
【請求項9】
前記生地押さえ部は、前記スタンプ部の中心から放射状に配置された刃と刃の間を上下動可能に設けられている請求項8に記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
【請求項10】
前記スタンプ部は、ドーム型の生地の曲面形状に合致するよう前記複数の刃の下端が湾曲した形状となっている請求項1ないし9のいずれかに記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
【請求項11】
前記移動規制部の下端と前記生地押さえ部の下端間の距離は、前記移動規制部の下端が接地した時、前記生地押さえ部の下端が前記生地表面付近となる距離となっている請求項1ないし10のいずれかに記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
【請求項12】
前記パンまたは菓子生地の模様形成装置は、少なくとも前記移動規制部の規制シャフトと連結され、かつ、前記移動規制部の規制シャフトおよび前記生地押さえ部と一体的に上下動する連結部を備え、前記移動規制部は、4本の規制シャフトが前記スタンプ部の外側の四方に設けられ、該規制シャフトは上部がL字型に屈曲し、左側と右側の各2本の規制シャフがそれぞれ前記連結部を介して結合されたものとなっている請求項1ないし11のいずれかに記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
【請求項13】
前記パンまたは菓子生地の模様形成装置は、少なくとも前記移動規制部の規制シャフトと連結され、かつ、前記移動規制部の規制シャフトおよび前記生地押さえ部と一体的に上下動する連結部を備え、前記移動規制部は、4本の規制シャフトが前記スタンプ部の外側の四方に設けられ、該規制シャフトは上部がL字型に屈曲し、屈曲した部分がスタンプ部の上方中心に設けた一の前記連結部に対し放射状に設けられたものとなっている請求項1ないし11のいずれかに記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。
【請求項14】
前記バネ部材は、バネ係数が0.5〜1.0N/mmの圧縮コイルバネを使用した請求項3または4に記載のパンまたは菓子生地の模様形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−112213(P2009−112213A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286434(P2007−286434)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(591108927)敷島製パン株式会社 (18)
【Fターム(参考)】