説明

パンスライサ及びパン切断方法

【課題】原木パンをスライス状に切断した後耳切りを行なう場合に、スライス片の切断厚さの設定、切断工程及び切断したスライス片の次工程への搬送までを自動化したラインと、食パンの凹みをなくしてきれいな切断面を得られる切断方法を実現する。
【解決手段】丸刃カッタ220及びその回転駆動手段222と、原木パンPを収容し丸刃カッタに向かって進退自在に往復動するパンストッカ210と、丸刃カッタに対して平行にかつ原木パンの切断厚さ分だけ差をもたせて設置された当て板230と、当て板を平行移動させ原木パンの切断厚さを調整可能とする機構231と、パンストッカ内の原木パンをその前端面が当て板に当る位置まで押し出す押出し機構240と、原木パンの切断位置の下方に設けられスライス片Sを次工程へ搬送する搬送コンベア311とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼きあがった原木パンを自動的に効率良くスライス状に切断し、切断したスライス片を次の工程に自動的に搬送することができるパンスライサ及びパン切断方法に関する。例えば原木パンからサンドイッチをつくる場合などに適用して好適である。
【背景技術】
【0002】
ここで言う原木パンとは、断面が角状又は丸状を有する棒状の食パン又は大型フランスパンを言う。
従来焼き上がった原木パンをスライス状に切断し、切断したスライス片からサンドイッチ等をつくる作業は、ほとんど人手で行なわれている。また焼き上がった直後の原木パンは切断が難しく、焼いてから12〜24時間自然放置して冷却するか、10〜15℃の容器に4時間程おいて強制冷却したパンを切断して加工しているが、パンは、焼き立て後時間がたつほどおいしさが減少していく傾向にあり、できるだけ焼き上げ後2〜8時間以内に加工することが望まれている。
【0003】
従来食パンを薄く切ってパックしたり、あるいはサンドイッチ用パンを自動的に作る製造ラインでは、バンドソーなどを用いたレシプロタイプのパン切断装置を用い、バッチ処理的に数十枚単位で重ねて次工程に送るのが主流であるが、これだと次工程で作業者が1枚々々を手で仕分けする必要があり、非省力的かつ衛生的であった。またレシプロタイプの切断装置は、パンの切り屑が多く出て不評であった。
例えば特許文献1(特開平8−294896号公報)にはかかるバンドソーを用いたレシプロタイプのパン切断装置が開示されている。
【0004】
最近では切り屑の少ない丸刃切断機を用いた装置も出てきている。原木パン(通常は3斤分の塊)をスライス状に切断する場合、通常は取り扱い上簡便なため、原木パンを所定の厚みにスライス状に切断した後、切断されたスライス片を1枚ごとに4辺の硬質の皮(耳)を切断している。
これに対し特許文献2(特開2005−28527号公報)に開示された食パンスライサは、切断工程を簡略化するため、まず食パンを塊状のまま皮切除装置によって4辺の皮を切除し、その後スライス状に切断する工程を採用したパンスライサが開示されている。
【0005】
かかる切断工程を採用した場合、4周面の皮を除去したパン(両端面だけ皮が残る)は柔らかい部分だけとなるので、そのような状態の1本のパンをスライス状に切断するのは難しく、そのため特許文献2ではパン高さに対して直径が所定の比率(直径/パン高さ)以上となる丸刃カッタを使用することにより、パンをきれいに高速で切断することができるようにしている。
【0006】
また特許文献3(特開2005−118922号公報)には、食パンが接近する側と反対側の丸刃カッタの板面に対向させて高周波コイルと、この高周波コイルに電流を流す電流源とを設けたパン切断装置が開示されている。
従来切断用刃物で焼きたての柔らかいパンをきれいに切断することができないため、焼いた後12〜24時間自然放置して冷却するか、10〜15℃の雰囲気に4時間程おいて強制冷却乾燥したパンを切断しているが、パンが硬くなってしまい、食べてもおいしくなかった。焼きたての柔らかいパンを切断することができない理由は、小麦粉の中にグルテンというねばねばした蛋白質が含まれており、パンの切断時刃物にグルテンが付着し、これがパンの切断を妨げるためである。
【0007】
すなわちパン切断用刃物を利用して焼いた直後の食パンなどを切断する場合、食パンの成分であるグルテンなどの物質が薄い皮状となってパン切断用刃物の表面に付着する。刃物に付着する物質は食パンを切断するにつれて増えてくる。そしてその量が多くなると、食パンを切断できなくなる。
そのため特許文献3の装置では、高周波コイルに電流を流し、高周波コイルによる誘導加熱で刃物を加熱することにより、グルテンなどの物質の付着を少なくし、良好な切断性能を継続可能にしている。
【0008】
【特許文献1】特開平8−294896号公報
【特許文献2】特開2005−28527号公報
【特許文献3】特開2005−118922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら特許文献2のパンスライサは、皮(耳)切除装置と皮切除後の塊状食パンをスライス状に切断するスライサとを備える構造であるが、皮切除装置への塊状食パンの設置、及び皮切除後の食パンのスライサへの移送、設置等は手動で行なうものであり、塊状食パンの切断及び耳切りを自動化したラインで行なうものではない。
特許文献2の切断工程を採用した場合、皮切除後の塊状食パンの取り扱いが難しく、切断工程の自動化は困難である。
【0010】
また特許文献3に開示された加熱手段により、グルテン等の付着による切断刃の切断性能の低下を防止しているが、食パンは外側の硬い耳と内側の柔らかい部分とを有し、食パンの耳に切断刃を押し当てると食パン内部の柔らかい芯部が凹みやすく、スムーズな切断が出来ないという問題があり、食パンを高速でかつ切断面をきれいに切断するためにはまだ改善されるべき余地が残されている。
【0011】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、原木パンをスライス状に切断した後耳切りを行なう場合に、スライス片の切断厚さの設定、切断工程及び切断したスライス片の次工程への搬送までを自動化したラインを実現するとともに、食パンの凹みをなくしてきれいな切断面を得られる切断方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、かかる目的を達成するもので、本発明のパンスライサは、
原木パンをスライス状に切断し、切断したスライス片を次の工程に搬送するパンスライサにおいて、
丸刃カッタ及び該丸刃カッタの回転駆動手段と、
原木パンを収容した状態で前記丸刃カッタに向かって進退自在に往復動するパンストッカと、
前記丸刃カッタに対して平行にかつ原木パンの切断厚さ分だけ差をもたせて設置された当て板と、
前記当て板を平行移動させ原木パンの切断厚さを調整可能とする機構と、
前記パンストッカに収容された原木パンをその前端面が前記当て板に当る位置まで押し出す押出し機構と、
原木パンの切断位置の下方に設けられスライス片を次工程へ搬送する搬送コンベアとを備え、
前記押出し機構により原木パンを前記当て板に当接させた状態で前記パンストッカを往復動させて原木パンをスライス状に切断し、スライス片を前記搬送コンベア上に落とすように構成したことを特徴とする。
【0013】
本発明のパンスライサにおいては、前記構成を有することにより、原木パンの切断工程から次工程に搬送するまでを自動化することができる。この際前記調整機構により予め当て板を平行移動させ原木パンの切断厚さを調整することができる。また切断されたスライス片を次工程に搬送する搬送コンベアに整列機能を付与すれば、スライス片をコンベアで搬送しながら整列させることにより、コンベアで搬送しながら耳切りを行うことができる。
【0014】
さらに原木パンをパンストッカに供給する原木パン供給装置を設ければ、原木パンのパンストッカへの供給から切断後の搬出までを自動化することができる。前記原木パン供給装置は、例えば、搬送面に原木パンを搬送方向に対して直交する方向に載置する仕切りを具備するコンベアと、該コンベアの移送終端で原木パンを把持して前記パンストッカに投入するチャッカとからなるように構成する。
【0015】
また本発明において、切断された原木パン前端面の第1耳の排出は、第1耳を原木パン切断位置の下方に設けられた搬送コンベア上に落とし、該搬送コンベアを切断されたスライス片を次工程へ搬送する搬送方向とは逆方向に逆転させて排出するように構成することができる。
また切断工程の最後で残された原木パン後端面の第2耳の排出は、前記当て板をパンストッカから離れる方向に移動させてパンストッカ底面との間に隙間を形成させ、該隙間から排出するように構成することができる。
【0016】
また本発明において、好ましくは、丸刃カッタの刃先部分を60〜150℃に加熱する加熱装置と、丸刃カッタの刃先部分の温度を検知する温度センサと、該温度センサの検出値を入力して前記丸刃カッタの刃先部分の温度を前記温度範囲に制御するコントローラとを備え、丸刃カッタの刃先部分を60〜150℃の範囲の設定温度に保持することによって、グルテンの付着を少なくし、良好な切断性能を継続可能にしている。
前記温度範囲に加熱した丸刃カッタでパンを切断した場合、グルテンは一旦刃先に付着するが、刃先部分が前記温度範囲に加熱されているため固まり、次のパン切断時に剥離する。これによってパンの良好な切断性能をそのまま保持することができる。この場合に刃先に必要な加熱温度は60〜150℃、最適には80〜120℃である。
【0017】
前記加熱手段の構成において、加熱装置を原木パン切断位置の下流側に設け、温度センサを原木パン切断位置の上流側に設ければ、原木パン切断位置直上流の刃先温度を検知して、その検出値に基づいて刃先部分の温度制御を行なうことができ、パン切断時の刃先部分の温度を正確に設定温度に制御することができる。
また前記加熱装置が前記刃先部分を非接触で加熱する電磁誘導加熱手段を備えるようにすれば、電磁誘導作用で発生するジュール熱により、周辺の温度上昇を抑えて磁場範囲にある丸刃カッタのみを加熱することができる。
【0018】
このように加熱手段として電磁誘導加熱手段を用いることにより、効率的な加熱処理ができ、簡素で小型の装置で加熱効率が良く、また周囲の雰囲気及び機器類が加熱されず、周辺に配置された機器類に悪影響を及ぼさない。さらに丸刃カッタに非接触で配置されるため、丸刃カッタの回転を妨害することなく、また丸刃カッタに干渉することなく取り付け取り外しが可能となる。
【0019】
また本発明において、パンストッカに収容された原木パンをその前端面が当て板に当る位置まで押し出す押出し機構として、原木パンの後端面に当接する第1の押し板と、該第1の押し板を1回の切断ごとに切断厚さ分だけ原木パン側に前進させるサーボ機構と、第1の押し板に設けられたエアシリンダと、第1の押し板の前面側に設けられエアシリンダのピストンに接続されてエア圧を原木パンに加える第2の押し板とから構成することができる。
【0020】
このように構成すれば、前記サーボ機構により、1回の切断ごとに切断動作に同期させて切断厚さ分だけ原木パンを当て板側に押出すことができるとともに、第2の押し板により原木パンにエアシリンダのエア圧によるクッション力を加えながら押出すようにすることができるため、原木パンに過剰な押圧力を加えることなく、当て板に対する原木パン全端面の押し当てを確実にすることができる。
好ましくは、エアシリンダを第1の押し板に左右対称に取り付けられ第2の押し板を介して原木パンの後端面にエア圧を加える1対のエアシリンダと、第1の押し板の中央に取り付けられ原木パンの第2耳を押して当て板とパンストッカ底面との間の隙間から排出するエアシリンダとから構成するとよい。
【0021】
このように第1の押し板に左右対称に取り付けられた1対のエアシリンダによって第2の押し板を押すことにより、原木パン後端面に対して第2の押し板を平行に接近させ、均等にエア圧を付与することができるとともに、第1の押し板の中央に取り付けられたエアシリンダにより、切断の最終工程で最後に残された原木パン後端面の第2耳を押して当て板とパンストッカ底面との間の隙間から排出する操作を自動化することができる。
【0022】
また本発明において、好ましくは、パンストッカの原木パンと接する底面及び一方の側面に原木パンを丸刃カッタ側に案内する複数のガイドローラを並設し、他方の側面にエアシリンダによって進退する位置決め板を設け、原木パンをパンストッカに投入する前は該位置決め板を後退させておき、棒状パンの投入後位置決め板を前進させて原木パンをパンストッカの内部で位置決めするように構成すれば、パンストッカ内の原木パンの位置決めを確実に行なうことができる。
【0023】
また本発明の切断方法は、
原木パンをスライス状に切断し、切断したスライス片を次の工程に搬送するパンスライサの切断方法において、
丸刃カッタ及び該丸刃カッタの回転駆動手段と、
原木パンを収容した状態で前記丸刃カッタに向かって進退自在に往復動するパンストッカと、
前記丸刃カッタに対して平行にかつ原木パンの切断厚さ分だけ差をもたせて設置された当て板とを用意し、
原木パンを前記当て板に押し付けた状態で前記パンストッカを往復動させて原木パンをスライス状に切断する方法であって、
原木パンの外周面を構成する耳部を切断する時は前記丸刃カッタの進入速度を遅くし、
該耳部の内側の芯部を切断する時は前記丸刃カッタの進入速度を耳部切断時より速くすることを特徴とする。
【0024】
本発明の切断方法において、外周の硬質の耳部を切断する時は、原木パンに大きな応力が加わる。そのため丸刃カッタの進入速度を遅くすることによって、原木パンに加わる押圧力を緩和させ、これによって柔らかい芯部の凹みをなくし、柔らかい芯部を切断する時は丸刃カッタの進入速度を耳部切断時より速くして、切断時間を短縮させるようにする。
このような2段階の切断工程で切断することにより、切削性が良好でスムーズに切断することができる。なお好ましくは、丸刃カッタに対して原木パンの対向面を傾けずに相対させ、エッジ部から切断するのではなく、対向面の中央から切断したほうが耳部の切断をスムーズに行なうことができる。
【0025】
本発明の切断方法において、好ましくは、パンストッカに収容された原木パンをその前端面が当て板に当る位置まで押し出す押出し機構を用意し、該押出し機構によって原木パンの前端面が当て板に当る移動長さより余分に+αだけ原木パンを押し出した後、αだけ後退させるようにするとよい。こうすれば、原木パン自体がもつクッション力を利用して原木パンの前面を確実に当て板に当て、その状態で切断することができる。
【発明の効果】
【0026】
このように、本発明のパンスライサによれば、丸刃カッタ及び該丸刃カッタの回転駆動手段と、原木パンを収容した状態で丸刃カッタに向かって進退自在に往復動するパンストッカと、丸刃カッタに対して平行にかつ原木パンの切断厚さ分だけ差をもたせて設置された当て板と、該当て板を平行移動させ原木パンの切断厚さを調整可能とする機構と、パンストッカに収容された原木パンをその前端面が当て板に当る位置まで押し出す押出し機構と、原木パンの切断位置の下方に設けられスライス片を次工程へ搬送する搬送コンベアとを備え、押出し機構により原木パンを当て板に当接させた状態でパンストッカを往復動させて原木パンをスライス状に切断し、スライス片を搬送コンベア上に落とすように構成したことにより、切断厚さの調整が可能な原木パンの切断工程を自動化することができ、のみならず、切断後搬送コンベアで次工程に搬送するまでを完全に自動化することができる。好ましくは、原木パンをパンストッカに供給する供給コンベアや原木パンチャッカ等を備えた原木パン供給装置を設ければ、原木パンのスライサへの供給から、切断及び次工程への搬送までを完全に自動化することができる。
【0027】
また本発明によれば、切断された原木パン前端面の第1耳の排出は、第1耳を原木パン切断位置の下方に設けられた搬送コンベア上に落とし、該搬送コンベアをスライス片を次工程へ搬送する搬送方向とは逆方向に逆転させて排出するように構成し、また切断工程の最後で残された原木パン後端面の第2耳の排出は、当て板をパンストッカから離れる方向に移動させてパンストッカ底面との間に隙間を形成させ、該隙間から排出するように構成することにより、原木パン両端面の耳の切断及び排出の自動化も可能となる。
【0028】
また好ましくは、丸刃カッタの刃先部分を60〜150℃に加熱する加熱装置(好ましくは電磁誘導加熱手段)と、丸刃カッタの刃先部分の温度を検知する温度センサと、該温度センサの検出値を入力して前記丸刃カッタの刃先部分の温度を前記温度範囲に制御するコントローラとを備え、丸刃カッタの刃先部分を60〜150℃の範囲の設定温度に保持することによって、グルテンの付着を少なくし、良好な切断性能を継続可能にしている。
【0029】
また好ましくは、パンストッカに収容された原木パンをその前端面が当て板に当る位置まで押し出す押出し機構として、原木パンの後端面に当接する第1の押し板と、該第1の押し板を1回の切断ごとに切断厚さ分だけ原木パン側に前進させるサーボ機構と、第1の押し板に設けられたエアシリンダと、第1の押し板の前面側に設けられエアシリンダのピストンに接続されてエア圧を原木パンに加える第2の押し板とから構成することにより、前記サーボ機構により、1回の切断ごとに切断動作に同期させて切断厚さ分だけ原木パンを当て板側に押出すことができるとともに、第2の押し板により原木パンにエアシリンダのエア圧によるクッション力を加えながら押出すようにすることができるため、当て板に対する原木パン全端面の押し当てを確実にすることができる。
【0030】
また好ましくは、パンストッカの原木パンと接する底面及び一方の側面に原木パンを丸刃カッタ側に案内する複数のガイドローラを並設し、他方の側面にエアシリンダによって進退する位置決め板を設け、原木パンを前記パンストッカに投入する前は該位置決め板を後退させておき、棒状パンの投入後前記位置決め板を前進させて原木パンをパンストッカの内部で位置決めするように構成すれば、パンストッカ内の原木パンの位置決めを確実かつ自動的に行なうことができる。
【0031】
また本発明の切断方法によれば、原木パンの外周面を構成する耳部を切断する時は丸刃カッタの進入速度を遅くし、該耳部の内側の芯部を切断する時は丸刃カッタの進入速度を耳部切断時より速くすることにより、耳切断時に原木パンに加わる押圧力を緩和し、これによって柔らかい芯部の凹みをなくし、柔らかい芯部を切断する時は丸刃カッタの進入速度を耳部切断時より速くして切断時間を短縮させることができる。このような2段階の切断工程で切断することにより、切断面がきれいでスムーズに切断することができる。
【0032】
好ましくは、押出し機構によって原木パンの前端面が当て板に当る移動長さより余分に+αだけ原木パンを押し出した後、αだけ後退させるようにすることにより、原木パン自体がもつクッション作用を利用して原木パンの前面を確実に当て板に当て、原木パンの前面を確実に当て板に当てた状態で切断することができ、設定された切断厚さで正確に切断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明をそれのみに限定する趣旨ではない。
図1は、本発明をサンドイッチをつくる場合の前工程としての食パンの切断及び整列装置に適用した第1実施例を示す全体平面図、図2は同じく全体立面図、図3は、同じく全体側面図、図4は、第1実施例の原木パン供給装置の平面図、図5は、第1実施例のパンスライサ20の立面図、図6は、該パンスライサ20の平面図、図7は、該パンスライサ20の側面図、図8は、該パンスライサ20の制御系を示すブロック線図である。
【0034】
図9は、第1実施例のパンスライサ20の作動説明図、図10は、該パンスライサ20の押出し機構240の作動説明図、図11は、該パンスライサ20の第1耳切断時の作動タイミング図、図12は、同じく原木パン切断時の作動タイミング図、図13は、同じく第2耳切断時の作動タイミング図、図14は、原木パン切断方法の説明図、図15は、第1実施例の整列コンベア311の平面図、図16は、同じく立面図、図17は、第1実施例のパンスライサ20の平面図(最終切断工程)、図18は、同じくパンスライサ20の平面図(第2耳M2排出時)、図19は、同じくパンスライサ20の立面図(第2耳M2排出時)である。
【0035】
図20は、X軸耳取り装置30の立面図、図21は同じく側面図、図22は、2辺の耳m1切断時の説明図、図23は、第1実施例のX軸耳取り装置30の立面図、図24は、同じく側面図、図25は、第1実施例のX軸耳取り装置30の一部拡大立面図、図26は、第1実施例の左方向変換コンベア50の平面図、図27は、同じく立面図、図28は、同じく背面図、図29は、同じく左側面図、図30は、同じく右側面図、図31は、第1実施例の装置により製造可能な種々のスライス片Sの組み合わせを示す説明図である。
【実施例1】
【0036】
第1実施例の全体構成を示す図1〜3において、本実施例は、焼き上がってから2時間ないし8時間経た直方体形状の食パン(原木パン;通常3斤パン)Pをスライス状に切断した後、4辺の耳を切り落とし、耳を切り落としたスライス片を整列して次工程、例えばサンドイッチ製造工程に搬送する切断整列装置に係り、かかる切断整列装置を左右2系統に配置してなるものである。左右切断整列装置は同一構成を有するので、左切断整列装置の構成を中心に説明する。
【0037】
原木パンPは先ず左右原木パン供給装置10及び60から左右パンスライサ20及び70に供給される。図4により左右原木パン供給装置10及び60の構成を説明する(代表して左原木パン供給装置10を説明する。)。
図4において、供給コンベア11は、本装置の主フレーム216に取り付けられた昇降シリンダ215により搬送始端側が昇降可能に設置され、幅方向に原木パンの幅分だけ間隔を有して仕切り板11aが突設されている。供給コンベア11の終端11bの上方にはプッシャ15が設けられ、供給コンベア11の仕切り板11aに沿って載置された原木パンが終端11bに移送された時、原木パンを手摺り12に沿って原木パンチャッカ13のチャック位置に押し込む。
【0038】
14は、後述するパンストッカに原木パンを投入させるためにチャッカ13を横行させる横行装置である。原木パンをチャッカ位置に押し込まれたチャッカ13は、原木パンをチャックしながら移動してパンストッカの内部に原木パンを移送する。右側原木パン供給装置60も左側原木パン供給装置10と同様の構成を有する。
【0039】
次に左パンスライサ20の構成を図5〜7により説明する。図5〜7において、架脚203に制御盤202等を収容した架台201を備え、架台201の上面に、パンストッカ210、丸刃カッタ220、当て板230等が設置されている。当て板230は、パンストッカ210の一端側に垂直方向にパンストッカとは別体に移動可能に配置されている。また当て板230に隣接して丸刃カッタ220が当て板230と平行にかつ垂直方向に配置されている。丸刃カッタ220の回転軸220aは、駆動モータ222のモータ軸222aとチェーン229によって接続され、駆動モータ222によって矢印a方向(図7)に回転される。
【0040】
223は、加熱コイル224(電磁誘導加熱手段)を丸刃カッタ側の対向面に取り付けた絶縁板で、加熱コイル224は丸刃カッタ220に近接した非接触の位置に配置される。加熱コイル224は、丸刃カッタ220の外周より外径を大きくし、少なくとも刃先を加熱するように配置されている。225は、丸刃カッタ220に対し加熱コイル224とは反対側の面に非接触に配置された温度センサである。226は温度センサ225を支持する支持台であり、固定部に対して回動可能に取り付けられ、図8に示すように、安全対策として、支持台226にはリミットスイッチ227が取り付けられ、支持台226を回動して、温度センサ225を丸刃カッタ220から離隔させると、コントローラ228により丸刃カッタ220の回転を止めるように構成されている。
【0041】
211はパンストッカ横行装置であり、架台201の上面に取り付けられた2列のレール212と、パンストッカ210の外側底面に取り付けられ、レール211に対して摺動可能に嵌合している案内部材213と、架台201に取り付けられたサーボモータ214と、サーボモータ214のメネジ部216に螺合したボールネジ215とから構成されている。
かかる構成により、サーボモータ214の正逆回転により、パンストッカ210がレール212に沿って矢印b方向(図6)に往復移動する。
【0042】
231は、その回転軸231aが当て板230と連動し、当て板230を丸刃カッタ220と平行に矢印c方向(図6)に進退自在に移動させるサーボモータである。丸刃カッタ220に対する当て板230の位置のずれによって原木パンの切断厚さが決定される。丸刃カッタ220に対する当て板230の相対位置を調整自在とすることによって原木パンの切断厚さを調整自在とすることができるとともに、切断工程の最終段階で当て板230を前方に突出させてパンストッカ210との間に隙間を形成させ、最後に残った原木パン後端面の第2耳をその隙間に排出することができる。232は、当て板203の進退を案内する固定ガイドバーである。
【0043】
240は、パンストッカ210内に投入された原木パンPを当て板230側に押出す押出し機構であり、パン押し用サーボモータ241により、パンストッカ210の長手方向に配設されたパン押し用サーボ棒242を正逆回転させ、サーボ棒242に螺合した支持台243を摺動させる。
支持台243には第1の押し板244が取り付けられ、第1の押し板244には、第1の押し板244に対し左右対称に配置された1対の第1エアシリンダ245と中央に第2エアシリンダ246が取り付けられている。
またこれらエアシリンダのピストンには、第1の押し板244の面前側に配置された第2の押し板247が取り付けられ、第2の押し板247は、第1及び第2エアシリンダ245及び246の作動によって第1の押し板244に対し矢印c方向に移動可能に構成されている。
【0044】
また図7において、217は、パンストッカ210の内側で一方の側面及び底面に配設されたローラで、原木パンPの当て板230側への移動を案内する。また図7及び図9において、218は、パンストッカ210内のローラ217が配設されない側面に長手方向に設けられた位置決め板で、エアシリンダ219によって矢印b方向に進退し、パンストッカ210に投入された原木パンPを位置決めする役目をもつ。また248は、第1の押し板244の前面に突設された複数の針で、第2の押し板247は針248に当る位置に孔が開けられて、針248は第2押し板247に対して摺動可能になっている。
【0045】
かかる構成のパンスライサ20において、原木パンPの切断動作を説明する。
まず原木パンPの切断厚さ(スライス片の厚さ)を設定された厚さとすべく当て板230を設定された位置に位置決めした後、原木パンPが原木パン供給装置10のコンベア11に載せられる。原木パンPはコンベア11上を移動し、終端11bまで来ると、プッシャ15により原木パンチャッカ13側に押され、手摺り12に沿って原木パンチャッカ13のチャック位置に到達する。その後原木パンPは原木パンチャッカ13でチャックされ、パンストッカ210内に投下される。
【0046】
パンストッカ210に原木パンPが投下されると、位置決め板218が原木パン側に押出されて原木パンPをパンストッカ210内で位置決めする。次にパン押し用サーボモータ241が作動して、支持台243を原木パンP側に移動させ、原木パンPを当て板230に押し当てた後、サーボモータ214の駆動によってパンストッカ210が丸刃カッタ220側(矢印b方向)に往復動することによって切断工程が開始される。
【0047】
この場合加熱コイル224の電線に通電すると、励磁され、加熱コイル224の面に対して直交方向に磁場が形成され、磁場範囲にある丸刃カッタ220の刃面が刃先を含めて加熱される。図8に示すように、丸刃カッタ220の刃先の加熱温度が温度センサ225によって検知され、その検出値に基づいてコントローラ228が加熱コイル224の通電量を制御し、設定温度に保持する。本実施例においては、温度センサ225がパン切断位置の直上流側に設定され、加熱コイル224が切断位置の下流側に設置されているので、切断位置の加熱温度を正確に計測することができ、そのためパン切断位置の温度を正確に設定温度に保持することができる。
【0048】
切断工程は、先ず原木パン前端面の第1耳の切断から開始される。このときのパンスライサ20の作動タイミングを図11、動作を図16に示す。
原木パンPがパンストッカ210内で位置決めされた後、当て板230が第1耳M1の厚さ(例えば12mm)分だけパンストッカ210から離れる方向に移動する。同時に第2押し板247の当て板230までの位置を原木パン長より20mmだけ近い位置まで接近させ、その後原木パン長となる間隔まで20mm戻す。次にパンストッカ210を往復移動して第1耳M1を切断する。このように操作することにより、第1耳を確実に当て板230に接触させた状態で切断が行なわれるようにすることができる。
切断された第1耳M1は、図16に示すように、パンスライサ20の下方に配置された整列コンベア311上に落ち、このとき整列コンベア311は、切断されたスライス片を次工程に搬送する場合とは逆転されて、第1耳M1は耳排出シュータ313から排出される。
【0049】
なお第1及び第2押し板244、247の動作状態を図10に示す。図10において、(a)は原点位置、(b)は第1耳M1切断時及び原木パン切断時の位置を示す。(b)の状態では原木パンPを第2押し板247の前面に固定するため、針248を第2押し板244の前方に若干突出させた状態とする。(c)は原木パン後端面の第2耳M2の排出時の動作を示し、このときは図18に示すように、第2エアシリンダ246が作動して第2の押し板247を前方に突出させて第2耳M2を前方にはじき、当て板230とパンストッカ210の前端との隙間から第2耳M2を下方に落とすようにする。
【0050】
次に原木パンPをスライス状に切断する動作に入る。このときのパンスライサ20の作動タイミングを図12に示す。このとき当て板230を丸刃カッタ220に対して相対位置が切断厚さ分(例えば10〜14mm)だけとなるように移動する。また第2の押し板247を当て板230に対して切断厚さ分より1mmだけ接近した位置に移動させ、その後1mmだけ戻すように動作させる。この動作によって原木パン自体のクッション力により原木パンPの前端面が確実に当て板230に当接するようになる。次にパンストッカ210を丸刃カッタ220側に移動させて原木パンの切断を行なう。なお図12に示すように、当て板230の移動時からパンストッカ210の丸刃カッタ側への往移動時まで1対の第1エアシリンダ245を作動させて原木パンにエア圧を付加しておく。
【0051】
パンストッカ210の丸刃カッタ220に対する切断時の移動速度は、次の2段階に設定する。図14において、即ち原木パンPの4辺の耳部mを丸刃カッタ220が切断する時は移動速度v1(即ち丸刃カッタの進入速度)を遅くし、耳部より柔らかい内部の芯部を切断する時は耳部切断時より移動速度v2を速くする(v1<v2)。
硬質の耳部切断時は原木パンに大きな作用力が加わるため、原木パンが凹みやすい。このため耳部進入時は原木パンの移動速度を遅くすることにより、原木パンの凹みを防止することができるとともに、柔らかい芯部を切断する時は切断速度を速くすることによって、切断能率を向上させることができる。
また図7に示すように、パンストッカ210は原木パンPを傾けずに垂直方向の姿勢で収容している。原木パンPは、図14に示すように丸刃カッタ220に対して傾けずに正対して接近させ、また角部から切断するのではなく、耳辺の中央部から丸刃カッタ220が進入するように位置させるのがよい。これによって耳切断時に原木パンPに大きな押圧力がかからない。
【0052】
図17〜19において、この動作を繰り返してスライス片の切断回数が原木パン長に対して設定値を越えた時、即ち切断工程の最後に原木パン後端面の第2耳M2だけが残された時、第2耳M2の排出時期と判断し、第2耳M2の排出動作に移る。図13にこのときの動作タイミングを示す。即ち当て板230が25〜30mm前方に出てパンストッカ201との間に第2耳M2を排出する隙間dをつくる。第1押し板244,247は「原木パン長+α」の位置に置かれる。このときの位置関係は、最前方に当て板230が位置し、その25〜30mm後方に丸刃カッタ220が位置し、さらに丸刃カッタ220からα(たとえば5mm)だけ後方に第2の押し板247が位置している。
その後図19に示すように、第2エアシリンダ246が作動して第2の押し板247が第2耳M2をはじいて当て板230とパンストッカ210との間の隙間dから耳排出シュータ313に排出する。
【0053】
切断されたスライス片Sは、整列コンベア311上に落下するが、その際図9に示すように、先ずスライス片Sが整列コンベア310の上方に配置された1対の受け取り板312上に落下する。受け取り板312は水平方向に配置されており、そこに落下したスライス片Sは水平な姿勢に直され、その後受け取り板312が90度下方に回動することにより、整列コンベア311上に落下する。なお図9中、251は、丸刃カッタ220で切断されたスライス片Sを丸刃カッタ220の干渉から外れるように配置された三角形状を有するラッパ管である。
【0054】
整列コンベア311上に落下したスライス片Sは、整列コンベア311上で搬送されながら整列される。図15において、整列コンベア311は、ローラコンベア314で搬送面を構成するが、スライス片Sが落下する部分のローラコンベアは、左右に分割した1対の分割ローラ314a及び314bで構成され、右側ローラ314aの回転速度(搬送速度)は左側ローラ314bの搬送速度より速くなるように設定されているとともに、左側の分割ローラ314b上に始端部が外側に湾曲したガイド板315が設置されている。
【0055】
かかる構成の整列コンベア311上にスライス片Sが落下すると、右側ローラ314aの搬送速度が速いために、スライス片Sはガイド板315に押し付けられるように搬送され、その1辺がガイド板315にぴったりと当接した状態となる。これによってスライス片Sは、ガイド板315に沿って並び、同じ方向を向いて搬送方向に1列に整列され、1辺が搬送方向に平行になった状態で搬送される。316はローラコンベア314、314a、314bの駆動モータである。
【0056】
1列に整列されたスライス片Sは、左X軸耳取りコンベア310上を搬送されて、左X軸耳取り装置30に到達する。
図20及び21において、左X軸耳取り装置30は、内部に制御盤302が収容され、下部に架脚303及び移動用キャスタ304をもつ架台301に支持フレーム305を立設して装置本体の基部が構成されている。320は、支持フレーム305に固着された支持枠306に設けられスライス片Sを搬送するベルトコンベアで、322は、ベルトコンベア320の固定フレームに設けられベルトコンベア320のベルト321の緊張度合いを調整するためのエアシリンダ、323は、ベルトコンベア面下方の架台301に設けられベルト321を駆動するモータで、ベルトコンベア始端のプーリ325にチェーン324を装架してプーリ325を駆動している。
【0057】
330は、スライス片Sの平行な2辺の耳m1を切断するための1対の丸刃カッタで、ベルトコンベア320上で整列コンベア311により搬送方向に平行な向きに配置されたスライス片Sの2辺の耳m1の切断位置に搬送方向に平行に配置されている。331は、丸刃カッタ330の外側に丸刃カッタに平行に配設されたばね支持部材で、332及び333は、ばね支持部材331の下面に取り付けられた中央部板ばね及びカットポイント用板ばねである。板ばね332及び333は、スライス片Sの2辺の耳m1を弾性力をもって押えるように、一端がばね支持部材331に接続され、耳m1を他の部分の1点で押えるように構成されている。中央部板ばね332は、丸刃カッタ330の中央部で耳m1を押さえ、カットポイント用板ばね333は、丸刃カッタ330が耳m1の最初のカットポイントで耳m1で押える位置に配置されている。
【0058】
図23及び24において、丸刃カッタ330の支持機構334は、ハンドル335を手動で回すことにより、上下に昇降可能に構成されている。この支持機構334の構成を図25で説明する。図25において、支持フレーム341に垂直方向に支持されたネジ軸342は、ハンドル335に連動して回動(正転逆転)される。ネジ軸342に回動によってネジ軸342に螺合したベース343及びベース343の両端に接続された一対の支柱344,344が上下動する。
【0059】
スライス片Sの搬送面に若干の間隔をおいて平行に設置された押さえコンベアベース345には、両端にプーリ347及びアイドラ348,349が装架され、これらに押さえベルト346が巻回され、耳切断時にスライス片Sを押えるように構成されている。350は、スライス片Sを押える押さえベルト346を水平に位置決めするベルトレールである。
押さえコンベアベース345は、支柱344に接続され、支柱344とともに上下動する。また支柱344にはカラー351が嵌合され、支柱344が上昇した時、カラー351の上端がベース352の下面に固定された固定カラー353に当り、その後ベース352が支柱344とともに上昇する。ベース352の両端には支柱354に遊嵌する図示しない孔があり、ベース352は、この孔によって支柱354にガイドされて上下動する。
【0060】
丸刃カッタ330の回転軸330aを回転可能に取り付けている支持フレーム355は、ベース352に接続されているので、丸刃カッタ330もベース352とともに上下動する。
この昇降機構には、スライス片Sの厚さに応じてベルト面321が形成するスライス片Sの搬送面に対する押さえベルト346の高さ方向位置を調整する機能と、メンテナンス時に丸刃カッタ330及び押さえコンベアベース345を上昇させる機能とを有する。押さえベルト346の高さを任意の厚さに切断されたスライス片Sの厚みに合わせて調整し、耳切断時にスライス片Sが曲がらないように上から確実に押えることができる。
【0061】
またメンテナンス時には丸刃カッタ330及び押さえコンベアベース345等を上昇させることにより、メンテナンスに必要な空間を確保することができる。
このように運転停止時に丸刃カッタ530を容易に上昇できるので、メンテナンスが容易になっている。336は、ベルトコンベア320の搬送面より下方に配置された丸刃カッタ330の駆動モータで、その回転軸336aに腕337を介してギア338が取り付けられ、腕337が上方に回動して丸刃カッタ330の回転軸に取り付けられたギア339に螺合することにより、駆動モータ336の回転力が丸刃カッタ330に伝達されるように構成されている。
従ってメンテナンス時には、腕337を下方に回動させ、ギア338と339との係合を外し、ハンドル335を動かして丸刃カッタ330の支持機構334を上昇させるようにする。これによって保守、点検を容易に行なうことができる。
【0062】
かかる構成の左X軸耳取り装置30の作動態様を説明する。スライス片Sが搬送されてきたら、丸刃カッタ330によって2辺の耳m1が切り取られる。このとき耳m1は中央部及びカットポイント部で板ばね332及び333によって押えられているので、スライス片Sの上下面に対して直角の切断面で耳m1を切断することができる。
即ち図22で示すように、耳m1の切断時耳m1は外側f方向に倒れようとする。そのため耳m1の上面を押えていない状態では、切断面eは図22に示すように斜めに形成されてしまう。
【0063】
これに対し、本実施例では、板ばね332及び333で耳m1の上面を押えているため、切断面eはスライス片Sの上下面に対して直角に形成することができる。また板ばね332及び333は、一端が支持部材331に接続され、他の1点で耳m1を押えているため、耳m1の押さえ作用に適切な弾性力を付加することができる。
またコンベア駆動モータ336をコンベア面の下方に配置しているため、コンベア面を搬送されるスライス片Sに対して無害であり、衛生上問題なく、また丸刃カッタ330を手動で昇降可能にすることができるため、メンテナンスが容易であるとともに、昇降機構が大掛かりにならず、簡素することができる。
また丸刃カッタ330の再装着時には、丸刃カッタ330の支持機構334を可能させ、腕337を上方に回動させてギア338及び339を螺合させるだけで簡単に再装着することができる。
【0064】
次にスライス片Sを90度方向変換装置360を経て、同じ向きを維持したまま90度方向を転換し、左Y軸耳取りコンベア410に移送し、左Y軸耳取りコンベア410上で残った2辺の耳m2を切断する。残った2辺の耳m2は、90度方向変換装置360により搬送方向に平行に配置されており、一方左Y軸耳取り装置40は、左X軸耳取り装置30と同一構成をなし、そのため左X軸耳取り装置30と同一の操作で残った2辺の耳M2を切断することができる。
【0065】
なお左X軸耳取り装置30において最初の2辺の耳m1を切断する時、まだ4辺の耳が残っているので、耳に剛性が残っており、耳切断時耳が外側に倒れこむ傾向は少ないので、X軸耳取り装置においては、前述の耳押え用板ばね332及び333は、必ずしも必要でなく、一方Y軸耳取り装置において必要度が高い。
【0066】
次にスライス片Sは、90度方向変換装置510を経て左方向変換コンベア50に移送され、その後移し替えコンベア530を経て送り出しコンベア550から次工程に搬出される。
90度変換装置510を含めた左方向変換コンベア50の構成を図26〜29により説明する。図26、28及び29において、511は、Y軸耳取りコンベア410の搬送面に連なった位置に設けられたY方向駆動ローラコンベア、512は、コンベア511を駆動するモータ、513は、モータ512により回転され、その回転力をタイミングベルト514を介してローラコンベア511に伝達するプーリである。
【0067】
515は、ローラコンベア511の間に複数並設されたX方向送出しロッド、516及び517は、X方向送出しステップシリンダ及びX方向送出しロッド昇降シリンダで、これらの装置によって、スライス片Sがローラコンベア511に到達した時に、ロッド515をローラコンベア511の搬送面より上方に上昇させるとともに、下流側に配置されているX方向駆動丸ベルトコンベア520側に移動させ、スライス片Sを丸ベルトコンベア520側に押し出す作用を有する。また518はY軸耳取りコンベア410上を搬送されてきたスライス片Sを停止させる衝突板、519は、ローラコンベア511の上方に設けられたパン検知センサである。
【0068】
90度方向変換装置510は、かかる構成を有するため、Y軸耳取りコンベア410上を搬送されてきたスライス片Sは、ローラコンベア511上でパン検知センサ519で検知され、衝突板518に当たって停止し、その時パン検知センサ519からの信号を受けてロッド515がローラコンベア511の搬送面より上方に上昇するとともに、下流側の丸ベルトコンベア520側に移動するため、スライス片Sはロッド515に載せられた状態で、丸ベルトコンベア520上に載せ替えられる。
【0069】
なお90度方向変換装置は、前記構成に代えて、スライス片Sを搬送してきたY軸耳取りコンベア410の末端に互いに間隔を有する複数の小幅ベルトコンベア又はロッドを並設するとともに、同小幅ベルトコンベア又はロッドの末端に搬送されてきたスライス片を止める停止部材を設け、同小幅ベルトコンベア又はロッドの間に搬送方向が90°異なる複数のローラを配置し、スライス片が前記停止部材に当たって停止した時に前記小幅ベルトコンベア又はロッドが前記ローラで形成される搬送面より下降して、スライス片を前記複数のローラで構成されるコンベアに乗せ変えるように構成してもよい。
なお左X軸耳取りコンベア310と左Y軸耳取りコンベア410との間に設けられた90度方向変換装置360は、前記90度方向変換装置510と同一の構成であるため、説明を省略する。
【0070】
次に丸ベルトコンベア520の下流側に配置された移し替え装置530の構造を説明する。図26、27及び29において、531は、X方向駆動ローラコンベア533の間に並設され、互いに一体に連結されているY方向送出しロッドで、昇降可能であり、通常は搬送面がローラコンベア533の搬送面より下方になるよう配置されているが、スライス片Sが搬送されてきた時に、搬送面がローラコンベア533より上昇し、かつ上昇した位置で送り出しコンベア550側に移動することによって、スライス片Sを送り出しコンベア550に搬送する機能を有する。かかる構成の送出しロッド531が、後述する列制御用ストッパ板532を挟んで2組並べて設けられている。
【0071】
532は、列制御用ストッパ板で、搬送されてきたスライス片Sを送り出しコンベア550側に搬送するときに、2通りの通路に振り分けるためのもので、スライス片Sを下流側の送り出し用丸ベルトコンベア551に搬送するときに、ローラコンベア533の搬送面より上方に上昇して搬送されてくるスライス片Sを停止させる。ストッパ板532がローラコンベア533の搬送面より上方に上昇しないときには、搬送されてくるスライス片Sは、ストッパ板532の上方を通り過ぎ、フレーム534に当たって停止する。
【0072】
図29において、535は、ローラコンベア533の上方に設けられたパン検知センサで、センサ535の検知に基づいて、ストッパ板532の昇降、あるいはストッパ板532の左右2組に分かれた送出しロッド531のうちどちらを作動させるか等を決定するように構成されている。536は、送出しロッド531を送り出しコンベア550側に移動させるステップシリンダ、537は、送出しロッド531を昇降させるシリンダ、538は、ストッパ板532を昇降するシリンダである。541は、X方向駆動モータ540により回転され、その回転力をタイミングベルト539を介して伝達するプーリである。
【0073】
かかる構造の移し替え装置530において、搬送されてくるスライス片Sは、送出しロッド531がローラコンベア533の搬送面より上方に上昇することによって、スライス片Sをすくい上げ、かつ送り出しコンベア550の方向への移動によって、スライス片Sを送り出しコンベア550側の丸ベルトコンベア551に移し替えることができるわけであるが、その際ストッパ板532のローラコンベア533の搬送面より上方への上昇の有無によって、スライス片Sがストッパ板532を挟む左右の2通りの通路のどちらかを選択させることができる。
【0074】
次に送り出しコンベア550の構造を説明する。図26、図27及び図29において、551は、送り出し用丸ベルトコンベア、560は、丸ベルトコンベア102に連なる次工程コンベア、552は丸ベルトコンベア551を駆動する駆動モータ、553は、丸ベルトコンベア551と駆動モータ552とを接続するとともに、丸ベルトコンベア552の搬送速度を複数段階で可変とする駆動ギアである。
かかる構造の送り出しコンベア550においては、移し替え装置530から搬送されたスライス片Sを丸ベルトコンベア551で受け取り、次工程のコンベア560に移し変える。
【0075】
このように90度方向変換装置510によれば、スライス片Sの向きを変えずに整列させたまま90度の方向変換が自動的に可能になる。また移し変え装置530においては、送り出しコンベア550にスライス片Sを移し変える際に、スライス片Sの並びを1列又は2列に自動的に変換して移し変えることが可能になる。
なおいままで左右2系統に配設された原木パンPの切断整列装置のうち、左側の切断整列装置の構成を説明したが、右側切断整列装置の構成も左側と同一であるので、その説明を省略する。
【0076】
このように本実施例の装置によれば、原木パンPをパンスライサへの投入から切断、原木パン両端部の耳の排出、及び切断したスライス片Sの4辺の耳の切除及び整列させたままでその後の次工程への搬送までを自動的に行なうことができる。
従って従来人間が手作業で行っていた場合と比べて大幅に作業効率が改善されるとともに、これによって大幅な人員削減が達成でき、人間が直接手でパンに触れることがなくなるため、パンに細菌が付着するおそれがなくなる。
【0077】
また食パンPの切断装置において、丸刃カッタ220に対して当て板230の位置決めを調節自在であるため、スライス片Sの厚さを調節自在であり、またカッタ1を60〜150℃、最適には80〜120℃に加熱する非接触の電磁誘導加熱装置を設けているため、食パンに含まれるグルテン等のねばねばしたたんぱく質がカッタ1に付着しても、次の切断時固化して剥離するため、焼き立て後間もない8時間経過パン、あるいは2時間経過パンの切断も可能となり、柔らかくておいしいパン又はその加工食品を食することができる。
電磁誘導加熱では、金属である丸刃カッタ220のみを加熱し、他を加熱しないため、加熱効率が高く、周辺の温度を高めることがない。また非接触であるため、丸刃カッタに触れずに取り付け、取り外しが容易にできる。
【0078】
また原木パンの切断を図14に示すように、耳を切断する時と柔らかい芯部を切断する時とで切断速度を2段階に分けることで切り口をきれいにかつ効率よく切断することができる。
また原木パン両端面の耳M1及びM2を自動的に整列コンベア311から除去して別排出ルートに選り分けることができる。
【0079】
またスライス片Sの整列装置において、スライス片Sを一対の受け取り板312で一旦水平状態で受け取り、受け取り板312をそのまま整列コンベア311上に落とし、左右ローラ314a及び314bの搬送速度差により、スライス片Sをガイド板315側に偏向させ、ガイド板315に一辺を接するようにすることで、スライス片Sの姿勢制御及び整列を確実に行なうことができる。
またスライス片Sの間隔も受け取り板312が回動する時間間隔を調整することで、簡単に所望の間隔にすることができる。
【0080】
またガイド板315をスライス片Sが落下する近辺では同スライス片を受け入れるように外側に湾曲し、その下流側で直線状となるように構成することにより、スライス片Sを確実に整列コンベア311上に受け入れ、かつガイド板315に当接させることができる。
なお前記第1実施例において、互いに搬送速度の異なるローラコンベア314a及び314bの駆動モータはそれぞれ別々に設けてもよく、あるいは前記両ローラコンベアを駆動するのに1個の駆動モータを設け、途中の伝達手段で回転速度の異なる2種の回転駆動力を発生させるようにしてもよい。
またX軸側耳切り装置40の上流側で、スライス片Sの間隔を等間隔に修正する装置を設置すれば、スライス片Sの1枚ごとの等間隔の寝かせる整列精度をさらに確かなものにすることができる。
【0081】
さらに左右X軸耳取り装置30,80及び左右Y軸耳取り装置40、90では、スライス片Sを搬送するコンベア上に一対の丸刃カッタ330を設けるだけの簡単な構造で、耳取りが可能であり、また90度方向点変換装置360を挟んで、その上流側にX軸耳取り装置30を設け、下流側にY軸耳取り装置40を設けることにより、スライス片Sの四辺の耳切りを自動的に行うことができる。
さらに丸刃カッタ330の両側に板ばね332及び333を設けるという簡素な構成で、図23に示すように、4辺の耳の切口が台形状になることを防止することができる。
【0082】
またベルトコンベア320の駆動モータ336をコンベア面の下方に設置しているので、コンベア面上を搬送されるスライス片Sに対して衛生上問題なく、さらに丸刃カッタ330とその駆動モータ336との動力伝達機構を着脱自在とし、丸刃カッタ330の支持機構334を手動で昇降可能にしているので、保守、点検がきわめて容易となる。
さらに前記第1実施例のように、2組の切断整列装置を左右2列に配置すれば、色、スライス片Sの厚さ又はパンの種類が左右2列の装置で異なった組み合わせの2〜4個のスライス片Sを同時に製造可能となる。例えば図30に示すように、白パンS1と黒パンS2の種々の組み合わせ2〜4個を同時に製造し、それらを1組のサンドイッチとして次工程に搬送することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、原木パンの切断及び次工程への搬送までを完全に自動化した装置を実現することができるとともに、切断面がきれいで効率的な原木パンの切断方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明をサンドイッチをつくる場合の前工程としての食パンの切断及び整列装置に適用した第1実施例を示す全体平面図である。
【図2】前記第1実施例の全体立面図である。
【図3】前記第1実施例の全体側面図である。
【図4】前記第1実施例の原木パン供給装置10の平面図である。
【図5】前記第1実施例のパンスライサ20の立面図である。
【図6】前記第1実施例のパンスライサ20の平面図である。
【図7】前記第1実施例のパンスライサ20の側面図である。
【図8】前記第1実施例のパンスライサ20の制御系を示すブロック線図である。
【図9】前記第1実施例のパンスライサ20の作動説明図である。
【図10】前記第1実施例のパンスライサ20の押出し機構240の作動説明図である。
【図11】前記第1実施例のパンスライサ20の第1耳切断時の作動タイミング図である。
【図12】前記第1実施例のパンスライサ20の原木パン切断時の作動タイミング図である。
【図13】前記第1実施例のパンスライサ20の第2耳切断時の作動タイミング図である。
【図14】前記第1実施例の原木パン切断方法の説明図である。
【図15】前記第1実施例の整列コンベア311の平面図である。
【図16】前記第1実施例の整列コンベア311の立面図である。
【図17】前記第1実施例のパンスライサ20の平面図(最終切断工程)である。
【図18】前記第1実施例のパンスライサ20の平面図(第2耳M2排出時)である。
【図19】前記第1実施例のパンスライサ20の立面図(第2耳M2排出時)である。
【図20】前記第1実施例のX軸耳取り装置30の立面図である。
【図21】前記第1実施例のX軸耳取り装置30の側面図である。
【図22】前記第1実施例の2辺の耳m1切断時の説明図である。
【図23】前記第1実施例のX軸耳取り装置30の立面図である。
【図24】前記第1実施例のX軸耳取り装置30の側面図である。
【図25】前記第1実施例のX軸耳取り装置30の一部拡大立面図である。
【図26】前記第1実施例の左方向変換コンベア50の平面図である。
【図27】前記第1実施例の左方向変換コンベア50の立面図である。
【図28】前記第1実施例の左方向変換コンベア50の背面図である。
【図29】前記第1実施例の左方向変換コンベア50の左側面図である。
【図30】前記第1実施例の左方向変換コンベア50の右側面図である。
【図31】前記第1実施例の装置により製造可能な種々のスライス片Sの組み合わせを示す説明図である。
【符号の説明】
【0085】
10 左原木パン供給装置
11 供給コンベア
11a 仕切り板
13 原木パンチャッカ
15,62 プッシャ
20 左パンスライサ
30 左X軸耳取り装置
40 左Y軸耳取り装置
50 左方向変換コンベア
60 右原木パン供給装置
70 右パンスライサ
80 右X軸耳取り装置
90 右Y軸耳取り装置
100 右方向変換コンベア
210 パンストッカ
217 ガイドローラ
218 位置決め板
220,330 丸刃カッタ
222 駆動モータ(回転駆動手段)
224 加熱コイル(加熱装置)
225 温度センサ
230 当て板
231 サーボモータ(切断厚さ調整機構)
240 押出し機構
244 第1の押し板
245 第1のエアシリンダ
246 第2のエアシリンダ
247 第2の押し板
310 左X軸耳取りコンベア
311 整列コンベア(搬送コンベア)
410 左Y軸耳取りコンベア
810 右X軸耳取りコンベア
910 右Y軸耳取りコンベア
d 隙間
M1 第1耳
M2 第2耳
m1、m2 4辺の耳
P 原木パン
S スライス片
v1、v2 切断速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原木パンをスライス状に切断し、切断したスライス片を次の工程に搬送するパンスライサにおいて、
丸刃カッタ及び該丸刃カッタの回転駆動手段と、
原木パンを収容した状態で前記丸刃カッタに向かって進退自在に往復動するパンストッカと、
前記丸刃カッタに対して平行にかつ原木パンの切断厚さ分だけ差をもたせて設置された当て板と、
前記当て板を平行移動させ原木パンの切断厚さを調整可能とする機構と、
前記パンストッカに収容された原木パンをその前端面が前記当て板に当る位置まで押し出す押出し機構と、
原木パンの切断位置の下方に設けられスライス片を次工程へ搬送する搬送コンベアとを備え、
前記押出し機構により原木パンを前記当て板に当接させた状態で前記パンストッカを往復動させて原木パンをスライス状に切断し、スライス片を前記搬送コンベア上に落とすように構成したことを特徴とするパンスライサ。
【請求項2】
切断された原木パン前端面の第1耳を前記搬送コンベア上に落とし、前記搬送コンベアをスライス片の次工程へ搬送する搬送方向とは逆方向に逆転させて排出するように構成したことを特徴とする請求項1記載のパンスライサ。
【請求項3】
前記当て板を前記パンストッカから離れる方向に移動させて前記パンストッカ底面との間に隙間を形成させ、
切断終了後残された原木パン後端面の第2耳を前記隙間から排出するように構成したことを特徴とする請求項1記載のパンスライサ。
【請求項4】
前記丸刃カッタの刃先部分を60〜150℃に加熱する加熱装置と、
前記丸刃カッタの刃先部分の温度を検知する温度センサと、
該温度センサの検出値を入力して前記丸刃カッタの刃先部分の温度を前記温度範囲に制御するコントローラとを備えたことを特徴とする請求項1記載のパンスライサ。
【請求項5】
前記加熱装置を原木パン切断位置の下流側に設け、
前記温度センサを原木パン切断位置の上流側に設けたことを特徴とする請求項4記載のパンスライサ。
【請求項6】
前記加熱装置が前記刃先部分を非接触で加熱する電磁誘導加熱手段を備えたことを特徴とする請求項4記載のパンスライサ。
【請求項7】
前記押出し機構が、
原木パンの後端面に当接する第1の押し板と、
該第1の押し板を1回の切断ごとに切断厚さ分だけ原木パン側に前進させるサーボ機構と、
前記第1の押し板に設けられたエアシリンダと、
前記第1の押し板の前面側に設けられ前記エアシリンダのピストンに接続されてエア圧を原木パンに加える第2の押し板とからなることを特徴とする請求項1記載のパンスライサ。
【請求項8】
前記エアシリンダが、
前記第1の押し板に左右対称に取り付けられ前記第2の押し板を介して原木パンの後端面にエア圧を加える1対のエアシリンダと、
前記第1の押し板の中央に取り付けられ原木パンの前記第2耳を押して前記当て板と前記パンストッカ底面との間の隙間から排出するエアシリンダとから構成されたことを特徴とする請求項7記載のパンスライサ。
【請求項9】
前記搬送コンベアが整列機能を有することを特徴とする請求項1記載のパンスライサ。
【請求項10】
前記パンストッカの原木パンと接する底面及び一方の側面に原木パンを前記丸刃カッタ
側に案内する複数のガイドローラを並設し、
他方の側面にエアシリンダによって進退する位置決め板を設け、
原木パンを前記パンストッカに投入する前は該位置決め板を後退させておき、原木パンの投入後前記位置決め板を前進させて原木パンをパンストッカの内部で位置決めするように構成したことを特徴とする請求項1記載のパンスライサ。
【請求項11】
原木パンを前記パンストッカに供給する原木パン供給装置を設けたことを特徴とする請求項1記載のパンスライサ。
【請求項12】
前記原木パン供給装置は、
搬送面に原木パンを搬送方向に対して直交する方向に載置する仕切りを具備するコンベアと、
該コンベアの移送終端で原木パンを把持して前記パンストッカに投入するチャッカとからなることを特徴とする請求項10記載のパンスライサ。
【請求項13】
原木パンをスライス状に切断し、切断したスライス片を次の工程に搬送するパンスライサの切断方法において、
丸刃カッタ及び該丸刃カッタの回転駆動手段と、
原木パンを収容した状態で前記丸刃カッタに向かって進退自在に往復動するパンストッカと、
前記丸刃カッタに対して平行にかつ原木パンの切断厚さ分だけ差をもたせて設置された当て板とを用意し、
原木パンを前記当て板に押し付けた状態で前記パンストッカを往復動させて原木パンをスライス状に切断する方法であって、
原木パンの外周面を構成する耳部を切断する時は前記丸刃カッタの進入速度を遅くし、
該耳部の内側の芯部を切断する時は前記丸刃カッタの進入速度を耳部切断時より速くすることを特徴とするパン切断方法。
【請求項14】
前記パンストッカに収容された原木パンをその前端面が前記当て板に当る位置まで押し出す押出し機構を用意し、
前記押出し機構によって原木パンの前端面が前記当て板に当る移動長さより余分に+αだけ原木パンを押し出した後、αだけ後退させるようにしたことを特徴とする請求項13記載のパン切断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2007−152507(P2007−152507A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−352233(P2005−352233)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000148357)株式会社前川製作所 (267)
【Fターム(参考)】