説明

パン生地

【課題】ソフトで、歯切れが良好であり、ねちゃつきがないパンを提供すること。
【解決手段】乳化剤を含有し、比重が0.9未満である油脂を連続相とする可塑性油脂組成物を添加したことを特徴とするパン生地。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトで、歯切れが良好であり、ねちゃつきがないパンを製造することができるパン生地に関する。
【背景技術】
【0002】
パンの食感に対してさまざまな要求があるが、ソフトな食感は最も多い要求である。
この要求を満たすパン生地の製造方法として、ベーシックスイートドウ方式というパン生地の製造方法が知られている。このベーシックスイートドウ方式とは、油脂、卵、糖類等の副原料をシュガーバッター法で起泡させ、ここに小麦粉類、イースト、水等の主原料を添加していく方式である。
このベーシックスイートドウ方式で得られたパンは、ソフトな食感を呈するが、その効果は大量の油脂と卵の添加によって得られるものであり、極めてリッチな生地になっていることにより、得られるものである。パンの中でもこのようなリッチなパンは少なく、この製造方法を適用することが可能なパンは極めて少ない。
そのため、油脂や卵の配合量が少ないパン、すなわちリーンな配合のパンであっても、ソフトでしっとりした食感を得ることができる製パン方法が求められている。
【0003】
またベーシックスイートドウ方式は小麦粉類に、油脂を含有する起泡物やホイップしたクリーム組成物を添加するため、一般的なパン生地の製造方法である小麦粉類、水及びイーストをミキシングし、ある程度グルテンを出した生地に油脂を添加するパン生地の製造方法と異なる。そのため、一般的なパン生地の製造方法に対応できる、油脂組成物が求められている。
【0004】
またソフトでしっとりした食感のあるパンを得るためには水の添加量(吸水量)を増加すればよい。
しかし、小麦粉類100質量部に対し吸水量が70質量部以上となると、得られるパン生地は保型性を失い流動状となり、各種の成形を行うことが困難となる。
そのため、このような吸水量の多いパン生地(多加水パン生地)を用いて得られるパンはチャバタ等の特殊なパンに限定されている。
【0005】
そこで、多加水パン生地でありながら、従来の一般的な成形をおこなうことが可能な物性であるパン生地とするための発明が各種開示されている。
たとえば、ゲル化剤や増粘多糖類を使用する方法(例えば特許文献1〜3参照)等が知られている。
しかし、ゲル化剤や増粘多糖類を使用する方法では、得られるパンがねちゃつきやすいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−320207号公報
【特許文献2】特開2004−187526号公報
【特許文献3】特開平10−179012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、パン生地の油脂、卵、水の配合量に制限されることなく、ソフトで、歯切れが良好であり、ねちゃつきがないパンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、乳化剤を含有し、通常の可塑性油脂組成物の比重よりも軽い比重の可塑性油脂組成物を使用することで、ソフトで、歯切れが良好であり、ねちゃつきがないパンが得られることを見出した。
本発明は、乳化剤を含有し、比重が0.9未満である油脂を連続相とする可塑性油脂組成物を添加したことを特徴とするパン生地により、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のパン生地により、ソフトで、歯切れが良好であり、ねちゃつきがないパンを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のパン生地について詳述する。
本発明のパン生地は、小麦粉類に、乳化剤を含有し、比重が0.9未満である油脂を連続相とする可塑性油脂組成物(以下可塑性油脂組成物という)、水、イースト、必要に応じてそのほかの副原料を添加したものである。
そして上記のパン生地の種類としては、食パン生地、菓子パン生地、フランスパン生地、デニッシュ・ペストリー生地、スイートロール生地、ドーナツ生地などのパン生地をあげることができる。
【0011】
本発明のパン生地で用いる小麦粉類としては、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉、胚芽等が挙げられ、特に強力粉のみまたは、強力粉と薄力粉の併用が好ましい。
【0012】
ここで上記の乳化剤を含有し、比重が0.9未満である油脂を連続相とする可塑性油脂組成物について説明する。
上記の乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド、レシチン、リゾレシチンを用いることができ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
【0013】
上記の可塑性油脂組成物は、乳化剤として、ハイドレート型の乳化剤を含有するのが、ソフトな食感のパンを得られる点で好ましい。上記のハイドレート型の乳化剤は、親水基が表面に向けて配列した状態にあり、通常の表面が親油性の乳化剤よりも水や生地に対する分散性が改善されている。
【0014】
上記のハイドレート型の種類としては、飽和若しくは不飽和脂肪酸によるモノグリセライド、ジアセチル酒石酸モノグリセライド、コハク酸モノグリセライド、クエン酸モノグリセライド、乳酸モノグリセライド、酢酸モノグリセライド、ジグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、シュガーエステル、シュガーポリエステル等が挙げられ、中でも、モノグリセライド、ジアセチル酒石酸モノグリセライド、コハク酸モノグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。本発明では、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。上記のハイドレート型の乳化剤を構成する脂肪酸の鎖長、即ち炭素数は特に制限されないが、炭素数12〜24が一般的である。
【0015】
上記のハイドレート型の乳化剤の含有量は、上記の可塑性油脂組成物中、好ましくは0.5〜3質量%、さらに好ましくは1〜3質量%、最も好ましくは1〜2質量%である。上記の可塑性油脂組成物中のハイドレート型の乳化剤の含有量が0.5質量%よりも少ないとソフトでしっとりとしたパンが得られにくく、3質量%よりも多いとねちゃついたパンとなりやすい。なおこのハイドレート型の乳化剤の含有量は、ハイドレート型の乳化剤に含まれる水分を除いた、純乳化剤の量である。
【0016】
上記の可塑性油脂組成物は、さらに乳化剤として、構成脂肪酸中にトランス型のモノエン酸を5〜100モル%含むモノグリセライド(以下、トランス型不飽和モノグリセライドという)を含有することが、伸展性が良好なパン生地が得られる点、また可塑性油脂組成物の乳化安定性が良好な点で好ましい。
【0017】
上記のトランス型不飽和モノグリセライドの構成脂肪酸の炭素数は特に制限されないが、炭素数12〜24が一般的である。また、シス型及びトランス型にかかわらず、不飽和モノグリセライドを構成する脂肪酸は、実質的にモノエン酸であり、上記トランス型不飽和モノグリセライドは、その全構成脂肪酸中に、トランス型のモノエン酸を5〜100モル%、好ましくは10〜70モル%、より好ましくは15〜70モル%含む。トランス型のモノエン酸の含量が5モル%未満で、実質的にシス型不飽和脂肪酸で構成される場合は、シス型不飽和モノグリセライドに近づくため、乳化安定性は確保されるが可塑性は著しく損なわれたものとなってしまう。
尚、構成脂肪酸中のトランス型のモノエン酸の比率の測定法としては、IR法やガスクロマトグラフ法が良く知られている。
【0018】
上記のトランス型モノグリセライドの含有量は、上記の可塑性油脂組成物中、トランス型のモノエン酸の含有量にもよるが、好ましくは0.1〜2質量%、さらに好ましくは0.5〜2質量%、最も好ましくは0.7〜1.5質量%である。上記の可塑性油脂組成物中、トランス型不飽和モノグリセライドの含有量が0.1質量%よりも少ないと十分な乳化の安定性が得られにくく、2質量%よりも多いと可塑性が損なわれやすい。
【0019】
上記の可塑性油脂組成物において、ハイドレート型の乳化剤とトランス型不飽和モノグリセライド以外の乳化剤の総含有量は、好ましくは0.5〜5質量%、さらに好ましくは0.8〜5質量%、最も好ましくは1〜4質量%である。
【0020】
上記の可塑性油脂組成物の比重は0.9未満、好ましくは0.6〜0.85、さら好ましくは0.6〜0.8、最も好ましくは0.6〜0.75である。上記の可塑性油脂組成物の比重が0.9以上だと得られたパンがねちゃつくので好ましくない
【0021】
上記の可塑性油脂組成物の添加量は、本発明のパン生地で使用する小麦粉類100質量部に対し、好ましくは3〜30質量部、さらに好ましくは5〜20質量部、最も好ましくは8〜15質量部である。
上記の可塑性油脂組成物の添加量が、本発明のパン生地で使用する小麦粉100質量部に対し、3質量部よりも少ないと得られたパンが硬くなりやすく、また歯切れが悪くなりやすく、30質量部よりも多いとパン生地がべたつきやすい。
【0022】
上記の可塑性油脂組成物は糊剤を含有することが、良好な可塑性を得る点で好ましい。ここで用いられる糊剤としては、澱粉や増粘安定剤の中から選ばれた1種または2種以上を用いることが好ましい。
【0023】
上記の澱粉としては、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、モチ米澱粉などの澱粉や、これらの澱粉をアミラーゼなどの酵素で処理したものや、α化処理、分解処理、エーテル化処理、エステル化処理、架橋処理、グラフト化処理などの中から選ばれた1種又は2種以上の処理を施した化工澱粉などが挙げられ、これらの澱粉の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0024】
上記の増粘安定剤としては、キサンタンガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、グアガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、ペクチン、プルラン、タマリンドシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、ファーセルラン、タラガム、カラヤガム、トラガントガム、ジェランガム、大豆多糖類などが挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0025】
特に上記の可塑性油脂組成物で用いる糊剤としては、澱粉、グアガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、ペクチンの中から選ばれた1種または2種以上を用いることが好ましい。
上記の糊剤の含有量は、上記の可塑性油脂組成物中、好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.3〜5質量%、最も好ましくは0.5〜2質量%である。上記の可塑性油油脂組成物中の糊料の含有量が0.1質量%よりも少ないと十分な乳化安定性が得られにくく、10質量%よりも多いと可塑性油脂組成物の食感がザラツキやすい。
【0026】
上記の可塑性油脂組成物で用いることができる油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、落花生油、カポック油、胡麻油、月見草油、カカオ脂、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、牛脂、乳脂、豚脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明はこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記の油脂の含有量は、上記の可塑性油脂組成物中、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40〜90質量%、最も好ましくは50〜80質量%である。
【0027】
上記の可塑性油脂組成物は、乳清ミネラルを含有することが乳製品の香り、乳製品の呈味やコク味を強化することができる点で好ましい。
上記の「乳清ミネラル」とは、乳又はホエー(乳清)から、可能な限り蛋白質や乳糖を除去したものであり、高濃度に乳の灰分を含有するという特徴を有する。そのため、そのミネラル組成は、原料となる乳やホエー中のミネラル組成に近い比率となる。
上記の乳清ミネラルとして、乳風味の向上効果の面で、固形分中のカルシウム含量が好ましくは2質量%未満、さらに好ましくは1質量%未満、最も好ましくは0.5質量%未満である乳清ミネラルを使用することが好ましい。尚、該カルシウム含量は低いほど好ましい。
【0028】
牛乳から通常の製法で製造された乳清ミネラルは、固形分中のカルシウム含量が5質量%以上である。上記カルシウム含量が2質量%未満の乳清ミネラルは、乳又はホエーから、膜分離及び/又はイオン交換、さらには冷却により、乳糖及び蛋白質を除去して乳清ミネラルを得る際に、あらかじめカルシウムを低減した乳を使用した酸性ホエーを用いる方法、あるいは、甘性ホエーから乳清ミネラルを製造する際にカルシウムを除去する工程を挿入することで得ることができるが、工業的に実施する上での効率やコストの点で、甘性ホエーから乳清ミネラルを製造する際にある程度ミネラルを濃縮した後に、カルシウムを除去する工程を挿入することで得る方法を採ることが好ましい。ここで使用するカルシウムを除去の工程としては、特に限定されず、調温保持による沈殿法等の公知の方法を採ることができる。
上記の乳清ミネラルの含有量は、上記の可塑性油脂組成物中、好ましくは0.02〜2質量%、さらに好ましくは0.1〜2質量%、最も好ましくは0.2〜1.5質量%である。
【0029】
さらに上記の可塑性油脂組成物は必要により、その他の材料として、卵類、天然水や水道水などの水、β―カロチン・カラメル・紅麹色素などの着色料、トコフェロール・茶抽出物などの酸化防止剤、デキストリン、カゼイン・ホエー・クリーム・脱脂粉乳・発酵乳・牛乳・全粉乳・ヨーグルト・練乳・加糖練乳・全脂練乳・脱脂練乳・濃縮乳・純生クリーム・ホイップ用クリーム(コンパウンドクリーム)・植物性ホイップ用クリームなどの乳や乳製品、ナチュラルチーズ・プロセスチーズ・クリームチーズ・ゴーダチーズ・チェダーチーズなどのチーズ類、原料アルコール、焼酎・ウイスキー・ウオッカ・ブランデーなどの蒸留酒、ワイン・日本酒・ビールなどの醸造酒、各種リキュール、無機塩類、食塩、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、ハーブ、豆類、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、保存料、苦味料、酸味料、pH調整剤、日持ち向上剤、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、調味料、香辛料、香料、野菜類・肉類・魚介類などの食品素材、コンソメ・ブイヨンなどの植物及び動物エキス、食品添加物などを用いることができる。その他の材料は、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができるが、好ましくは、上記可塑性油脂組成物中、30質量%以下である。また上記の可塑性油脂組成物は、糖類や甘味料を用いないことが好ましい。
【0030】
上記の可塑性油脂組成物は油相を連続相とするものであり、油相のみからなるショートニング、油相と水相からなるマーガリンのいずれかである。油相と水相からなるマーガリンの場合、油相と水相の割合は、質量比率で好ましくは、油相:水相=30〜70:70〜30、さらに好ましくは油相:水相は40〜60:60〜40である。またマーガリンの場合、油中水型乳化、水中油型乳化、二重乳化のいずれの形態でもよいが、油中水型乳化であることが好ましい。
【0031】
次に上記の可塑性油脂組成物の製造方法について説明する。
上記の可塑性油脂組成物がショートニングの場合は、油脂に、油溶性の乳化剤やその他の材料を添加した油相を用意する。上記の可塑性油脂組成物がマーガリンの場合は、油脂に、油溶性の乳化剤やその他の材料を添加した油相と、水に必要により水溶性の乳化剤やその他の材料を添加した水相を混合し、混合物とする。
次にショートニングの場合、マーガリンの場合共に、殺菌処理するのが望ましい。殺菌方式は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続方式でも構わない。また殺菌温度は好ましくは80〜100℃、さらに好ましくは80〜95℃、最も好ましくは80〜90℃とする。その後、必要により油脂結晶が析出しない程度に予備冷却を行なう。予備冷却の温度は好ましくは40〜60℃、さらに好ましくは40〜55℃、最も好ましくは40〜50℃とする。
次に急冷可塑化を行なう。この急冷可塑化は、コンビネーター、ボテーター、パーフェクター、ケムテーターなどの密閉型連続式掻き取りチューブラー冷却機(Aユニット)、プレート型熱交換機などが挙げられ、また開放型冷却機のダイヤクーラーとコンプレクターを組み合わせが挙げられる。この急冷可塑化を行なうことにより、可塑性を有する油脂組成物となる。
これらの装置の後に、ピンマシンなどの捏和装置(Bユニット)やレスティングチューブ、ホールディングチューブを使用してもよい。
上記の可塑性油脂組成物を製造する際のいずれかの製造工程で、窒素、空気等を含気させ、比重を0.9未満、好ましくは0.6〜0.85、さら好ましくは0.6〜0.8、最も好ましくは0.6〜0.75とする。
【0032】
本発明のパン生地は水を用いる。
本発明のパン生地は、パン生地で使用する小麦粉100質量部に対し、水を好ましくは10〜150質量部、さらに好ましくは30〜100質量部、一層好ましくは40〜90質量部、最も好ましくは50〜90質量部添加するものである。特に小麦粉類100質量部に対し、水を70質量部以上添加した多加水パン生地において、ねちゃつきがないパンを製造することができる。
【0033】
上記の水としては、天然水や水道水の他に、パン生地で用いる水分を含む材料中の水分も含むものとする。水分を含む材料としては、牛乳、濃縮乳、クリームなどの乳や乳製品、全卵、生卵黄、生卵白、殺菌全卵、殺菌卵黄、殺菌卵白、加塩全卵、加塩卵黄、加塩卵白、加糖全卵、加糖卵黄、加糖卵白、酵素処理全卵、酵素処理卵黄などの卵類、液糖などが挙げられる。また油脂と水の乳化物である場合には、上記水の含有量とは、該乳化物に含まれる水分をも含む。
【0034】
本発明のパン生地で用いるイーストとしては、ドライイースト、生イースト、冷蔵パン用イースト、冷凍パン用イースト等が挙げられる。本発明ではこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記のイーストの添加量は、本発明のパン生地で使用する小麦粉類100質量部に対して、好ましくは、生イーストであれば2〜6質量部、特に2〜4質量部、ドライイーストであれば0.2〜2質量部、特に0.5〜1.5質量部である。
【0035】
本発明のパン生地は必要によりその他の材料として以下のものを用いることができる。例えば、食物繊維、上記の可塑性油脂組成物以外の油脂組成物、糖類や甘味料、でんぷん、増粘安定剤、β−カロチン・カラメル・紅麹色素などの着色料、トコフェロール・茶抽出物などの酸化防止剤、デキストリン、カゼイン・ホエー・クリーム・脱脂粉乳・発酵乳・牛乳・全粉乳・ヨーグルト・練乳・加糖練乳・全脂練乳・脱脂練乳・濃縮乳・純生クリーム・ホイップ用クリーム(コンパウンドクリーム)・植物性ホイップ用クリームなどの乳や乳製品、ナチュラルチーズ・プロセスチーズ・クリームチーズ・ゴーダチーズ・チェダーチーズなどのチーズ類、全卵、生卵黄、生卵白、殺菌全卵、殺菌卵黄、殺菌卵白、加塩全卵、加塩卵黄、加塩卵白、加糖全卵、加糖卵黄、加糖卵白、酵素処理全卵、酵素処理卵黄などの卵類、原料アルコール、焼酎・ウイスキー・ウオッカ・ブランデーなどの蒸留酒、ワイン・日本酒・ビールなどの醸造酒、各種リキュール、グリセリン脂肪酸エステル・グリセリン酢酸脂肪酸エステル・グリセリン乳酸脂肪酸エステル・グリセリンコハク酸脂肪酸エステル・グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル・ソルビタン脂肪酸エステル・ショ糖脂肪酸エステル・ショ糖酢酸イソ酪酸エステル・ポリグリセリン脂肪酸エステル・ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル・プロピレングリコール脂肪酸エステル・ステアロイル乳酸カルシウム・ステアロイル乳酸ナトリウム・ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド・レシチンなどの乳化剤、膨張剤、無機塩類、食塩、ベーキングパウダー、生地改良剤、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、ハーブ、豆類、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、保存料、苦味料、酸味料、pH調整剤、日持ち向上剤、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、調味料、香辛料、香料、野菜類・肉類・魚介類などの食品素材、コンソメ・ブイヨンなどの植物及び動物エキス、食品添加物などを挙げることができる。その他の材料は、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができるが、好ましくは、上記小麦粉100質量部に対して合計で200質量部以下となる範囲で用いることができる。
【0036】
上記の食物繊維としては、アルギン酸、アルギン酸塩、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、ペクチン、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、ヘミセルロース、リグニン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリデキストロース、寒天、グルコマンナン、タラガム、カラヤガム、トラガントガム、ジェランガムなどの水溶性食物繊維又は不溶性食物繊維、アップルファイバー、シトラスファ一バー、オレンジファイバー、キャロットファイバー、トマトファイバー、バンブーファイバー、シュガービートファイバー、コーンファイバー、小麦ファイバー、大麦ファイバー、ライ麦ファイバー、大豆ファイバー、コンニャクファイバー、米ぬか、キチン、キトサン等の水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を共に含有する複合型食物繊維を挙げることができる。これらの食物繊維は、単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いてもよい。
【0037】
中でも保水性が高いことに加え、水分含量の高い場合であっても、べとつきが少ないパン生地とすることができる点で、複合型食物繊維を使用することが好ましく、より好ましくは、アップルファイバー、シトラスファ一バー、オレンジファイバー、シュガービートファイバー、コーンファイバー、小麦ファイバー、大豆ファイバー、コンニャクファイバーの中から選ばれた1種または2種以上を用いることが好ましく、さらに好ましくは、アップルファイバー、シトラスファ一バー、オレンジファイバー、コンニャクファイバーの中から選ばれた1種または2種以上を用いることが好ましい。
上記の食物繊維の添加量は、本発明のパン生地で使用する小麦粉類100質量部に対して、好ましくは0.5〜3質量部、さらに好ましくは1〜2.5質量部である。また上記の食物繊維はあらかじめ水を使って吸水させた状態でミキシングの途中に生地に添加することが好ましい。
【0038】
本発明のパン生地は、上記の可塑性油脂組成物以外の油脂組成物として、例えば、ショートニング・マーガリン・バターなどの可塑性油脂組成物や、サラダ油・流動ショートニング・溶かしバターなどの流動状油脂組成物、また、粉末油脂組成物などを添加してもよい。油脂組成物が乳化物である場合、その乳化形態は、油中水型、水中油型、及び二重乳化型のいずれでも構わない。
上記の可塑性油脂組成物以外の油脂組成物の添加量は、本発明のパン生地で使用する小麦粉類100質量部に対して、好ましくは0〜10質量部、さらに好ましくは0〜5質量部である。
【0039】
上記の糖類や甘味料としては、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、液糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、還元水飴、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、はちみつ、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、ソーマチン、サッカリン、ネオテーム、アセスルファムカリウム、甘草などが挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記の糖類や甘味料の添加量は、本発明のパン生地で使用する小麦粉類100質量部に対し、固形分換算で3〜50質量部を用いることが好ましい。
【0040】
次に本発明のパン生地の製造方法について説明する。
本発明のパン生地は、小麦粉類、水及びイーストをミキシングし、グルテンが形成された生地に、乳化剤を含有し、比重が0.9未満である油脂を連続相とする可塑性油脂組成物を添加し、さらにミキシングすることにより製造することができる。上記の可塑性油脂組成物をグルテンが形成された生地に添加することで、気泡の界面に乳化剤が薄膜状に配列した可塑性油脂組成物中の乳化剤のグルテンへの作用性が高まり、これを用いたパン生地を焼成するとソフトなパンが得られるのではないかと考えられる。
上記のミキシング後、フロアータイム、分割、ベンチタイム、成形、ホイロ、焼成などの工程を経て、パンを得ることができる。
【0041】
また本発明のパン生地は速成法、ストレート法、中種法、液種法、サワー種法、酒種法、ホップ種法、中麺法、チョリーウッド法、連続製パン法、冷蔵生地法、冷凍生地法等の製パン法を適宜選択して製造することができる。上記冷凍生地法は、混涅直後に冷凍する板生地冷凍法、分割丸め後に生地を冷凍する玉生地冷凍法、成型後に生地を冷凍する成型冷凍法、最終発酵(ホイロ)後に生地を冷凍するホイロ済み冷凍法等の種々の方法が採用できる。
【実施例】
【0042】
以下に、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、本発明を具体的に説明する。
〔可塑性油中水型乳化物1の製造〕
パームエステル交換油:パーム油が95:5の質量比で混合し配合油を得た。この配合油58質量%を60℃前後に加温し、乳化剤としてトランス型不飽和モノグリセライド(トランス型不飽和モノエン酸含量30モル%、シス型モノエン酸含量40モル%)0.5質量%を混合溶解した油相58.5質量%と、糊剤として澱粉0.8質量%、水和させた飽和モノグリセライド1.5質量%、食塩0.5質量%、pH調整剤0.1質量%を水38.6質量%に混合し、適温に加温し調整した水相41.5質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけ、急冷可塑化後に窒素ガスを分散することで比重0.75の可塑性油中水型乳化物1を得た。
【0043】
〔可塑性油中水型乳化物2の製造〕
パーム油:パームステアリン:パームエステル交換油が70:5:25の質量比で混合し配合油を得た。この配合油65質量%を60℃前後に加温し、乳化剤としてトランス型不飽和モノグリセライド(トランス型不飽和モノエン酸含量30モル%、シス型モノエン酸含量40モル%)0.5質量%を混合溶解した油相65.5質量%と、糊剤として澱粉1質量%、水和させた飽和モノグリセライド2.5質量%、食塩0.5質量%、pH調整剤0.1質量%を水31.4質量%に混合し、適温に加温し調整した水相34.5質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけ、急冷可塑化後に窒素ガスを分散することで比重0.65の可塑性油中水型乳化物2を得た。
【0044】
〔可塑性油中水型乳化物3の製造〕
パーム油:パームステアリン:パームエステル交換油が70:5:25の質量比で混合し配合油を得た。この配合油77質量%を60℃前後に加温し、乳化剤としてモノグリセライド2.5質量%、トランス型不飽和モノグリセライド(トランス型不飽和モノエン酸含量30モル%、シス型モノエン酸含量40モル%)0.5質量%を混合溶解した油相80質量%と、水20質量%を適温に加温し調整した水相20質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけ、急冷可塑化後に窒素ガスを分散することで比重0.6の可塑性油中水型乳化物3を得た。
【0045】
〔可塑性油中水型乳化物4の製造〕
可塑性油中水型乳化物1において比重を0.95としたほかは、可塑性油中水型乳化物1と同様の配合と製法により、可塑性油中水型乳化物4を得た。
【0046】
〔可塑性油中水型乳化物5の製造〕
パームエステル交換油:パーム油が95:5の質量比で混合し配合油を得た。この配合油58質量%を60℃前後に加温し、乳化剤としてトランス型不飽和モノグリセライド(トランス型不飽和モノエン酸含量30モル%、シス型モノエン酸含量40モル%)0.5質量%を混合溶解した油相58.5質量%と、糊剤として澱粉0.8質量%、水和させた飽和モノグリセライド1.5質量%、食塩0.5質量%、乳清ミネラル0.5質量%、pH調整剤0.1質量%を水38.1質量%に混合し、適温に加温し調整した水相41.5質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけ、急冷可塑化後に窒素ガスを分散することで比重0.75の可塑性油中水型乳化物1を得た。
【0047】
〔実施例1〕
可塑性油中水型乳化物1を用い、下記の配合と製法によりワンローフ食パンを製造した。
(配合)
中種配合
強力粉 700質量部
パン酵母 23質量部
イーストフード 1質量部
水 400質量部
本捏配合
強力粉 300質量部
上白糖 50質量部
可塑性油中水型乳化物1 60質量部
脱脂粉乳 20質量部
食塩 20質量部
シトラスファイバー 20質量部
水 400質量部
*本捏配合のシトラスファイバー20質量部は事前に水180質量部と混合し、予め
吸水させた状態にしておく。
(製法)
上記の中種配合の全原料を、縦型ミキサーに入れ、低速2分、中速2分ミキシングし、中種生地(捏ね上げ温度=24℃)を得た。この中種生地を28℃、相対湿度80%にて4時間の発酵を行った。
上記の本捏配合に記載の可塑性油中水型乳化物以外の材料と上記の発酵を行った中種生地を、縦型ミキサーに入れ、低速3分、中速3分ミキシングした後、本捏配合の可塑性油中水型乳化物1を添加して、低速3分、中速4分ミキシングし、本捏生地(捏ね上げ温度=28℃)を得た。得られた本捏生地は、20分フロアタイムをとり、分割(380g)、丸めし、25分ベンチタイムを取った後、モルダーを使用してワンローフ成形し、ワンローフ型にいれ、38℃、相対湿度80%、60分のホイロを取った後、210℃のオーブンで30分焼成してワンローフ食パンを得た。
【0048】
〔実施例2〕
実施例1において可塑性油中水型乳化物1のかわりに、可塑性油中水型乳化物2を用いたほかは実施例1と同様の配合と製法によりワンローフ食パンを製造した。
〔実施例3〕
実施例1において可塑性油中水型乳化物1のかわりに、可塑性油中水型乳化物3を用いたほかは実施例1と同様の配合と製法によりワンローフ食パンを製造した。
【0049】
〔比較例1〕
実施例1において可塑性油中水型乳化物1のかわりに、可塑性油中水型乳化物4を用いたほかは実施例1と同様の配合と製法によりワンローフ食パンを製造した。
【0050】
〔実施例4〕
可塑性油中水型乳化物1を用い、下記の配合にて、実施例1と同様の製法によりワンローフ食パンを製造した。
(配合)
中種配合
強力粉 700質量部
パン酵母 23質量部
イーストフード 1質量部
水 400質量部
本捏配合
強力粉 300質量部
上白糖 50質量部
可塑性油中水型乳化物1 60質量部
脱脂粉乳 20質量部
食塩 20質量部
食物繊維 5質量部
水 300質量部
【0051】
〔実施例5〕
実施例1において可塑性油中水型乳化物1のかわりに、可塑性油中水型乳化物5を用いたほかは実施例1と同様の配合と製法によりワンローフ食パンを製造した。
【0052】
<評価方法及び評価基準>
実施例1〜5、比較例1で得られたワンローフ食パンを以下の基準にて評価した。
(硬さ)
実施例1〜5、比較例1で得られたワンローフ食パンを焼成後、室温で1時間放冷し、ポリエチレン袋に密封し、室温(25℃)で保管した。
焼成1日後、焼成2日後、焼成3日後の多加水パンを厚さ20mmにカットした後、レオメーター(株式会社レオテック製)にて、厚さが15mmとなるまで加圧した時の荷重を測定した。測定条件は、測定速度6cm/min、接触面積706.8mm2(アダプター:直径3cm円盤使用)、1サンプルを3回測定し、その平均値を表1に示した。
(切断試験)
実施例1〜5、比較例1で得られたワンローフ食パンを焼成後、室温で1時間放冷し、ポリエチレン袋に密封し、室温(25℃)で保管した。
焼成1日後の多加水パンを厚さ20mmにカットした後、クラム部分をさらに30×40mmに切断し、テクスチャアナライザー(英弘精機社製)にて、山型プレートを用い、40mm/秒の速度で切断した際の負荷を測定した。1サンプルを3回測定し、その平均値を表1に示した。
(食感)
実施例1〜5、比較例1で得られたワンローフ食パンを焼成後、室温で1時間放冷し、ポリエチレン袋に密封し、室温(25℃)で保管した。
焼成1日後のワンローフ食パンについて、ソフトさ、口どけ、歯切れを、パネラー25名にて下記の基準にて評価し、平均値を表1に記載した。
(ソフトさ)
1点:硬い
2点:やや硬い
3点:ややソフト
4点:ソフト
5点:非常ソフト
(口どけ)
1点:非常に不良
2点:不良
3点:やや良好
4点:良好
5点:非常に良好
(歯切れ)
1点:非常に歯切れが悪く、非常にねちゃつく
2点:歯切れが悪く、ねちゃつく
3点:やや歯切れが悪い
4点:やや歯切れがよい
5点:歯切れがよい
【0053】
【表1】

【0054】
〔実施例6〕
可塑性油中水型乳化物1を用い、下記の配合により実施例1と同様の製法によりワンローフ食パンを製造した。得られたワンローフ食パンの評価を実施例1と同様に行い、表2に示した。
(配合)
中種配合
強力粉 700質量部
パン酵母 23質量部
イーストフード 1質量部
水 400質量部
本捏配合
強力粉 300質量部
上白糖 50質量部
可塑性油中水型乳化物1 60質量部
脱脂粉乳 20質量部
食塩 18質量部
水 210質量部
【0055】
〔比較例2〕
実施例6において可塑性油中水型乳化物1のかわりに、可塑性油中水型乳化物5を用いたほかは実施例6と同様の配合と製法によりワンローフ食パンを製造した。得られたワンローフ食パンの評価を実施例1と同様に行い、表2に示した。
【0056】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳化剤を含有し、比重が0.9未満である油脂を連続相とする可塑性油脂組成物を添加したことを特徴とするパン生地。
【請求項2】
上記の可塑性油脂組成物の乳化剤の含有量が0.5〜3質量%である請求項1に記載のパン生地。
【請求項3】
上記の乳化剤がハイドレート型である請求項1または2に記載のパン生地。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のパン生地を焼成したパン。
【請求項5】
小麦粉類、水及びイーストをミキシングし、グルテンが形成された生地に、乳化剤を含有し、比重が0.9未満である油脂を連続相とする可塑性油脂組成物を添加し、さらにミキシングすることを特徴とするパン生地の製造方法。

【公開番号】特開2010−259411(P2010−259411A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114777(P2009−114777)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】