説明

パン製造機

【課題】蒸しパンや白パンを安全につくることができるパン製造機を提供する。
【解決手段】焼成庫1aに備えられたヒーター6と、焼成庫1aに着脱自在に収容される第一のパン容器2に回動自在に軸支されたハンドル9と、第一のパン容器2内の底面に設けられた混練羽根(図示せず)と、第一のパン容器2に着脱自在に装着される第二のパン容器8を備え、第一のパン容器2に第二のパン容器8を装着したときにハンドル9を覆うフランジ10を、第二のパン容器8に形成したもので、第一のパン容器2に水を入れて運転すると、水が沸騰蒸発し、焼成庫1a内の湿度があがり高湿度状態でパン生地を加熱・焼成することができ、また、調理終了後第一のパン容器2を取り出す際、ハンドル9がフランジ10で覆われているため、使用者は、第二のパン容器8を必ず先に取り出すことになり、使用者は、第一のパン容器2に湯が残っていることを容易に認識できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小麦粉、水、イ−ストなどのパン材料を混練・醗酵・焼成して、パンをつくるパン製造機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のパン製造機として、図8に示されるようなものがあった。図8は、従来のパン製造機の断面図である。
【0003】
図8において、従来のパン製造機は、製品本体101内のパン容器102に、小麦粉、水、イ−ストなどのパン材料を入れる。パン材料は、制御部103により、電動機104が運転し、混練羽根105が回転することにより混練されパン生地になり、できたパン生地は、制御部103によりヒーター106に通電され、醗酵、焼成がおこなわれパンができるというものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−258749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のパン製造機の構成では、パン材料にはじめから加えられた水分のみで加湿手段を有さないため、高湿度状態で加熱・焼成することによりできる蒸しパンや、外皮の色が白く柔らかい白パンをつくることができないという課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、蒸しパンや白パンを安全につくることができるパン製造機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するため、本発明のパン製造機は、内部に焼成庫を有する製品本体と、前記焼成庫を開閉自在に覆う蓋と、前記焼成庫に備えられた加熱手段と、前記焼成庫に着脱自在に収容される第一のパン容器と、前記第一のパン容器に回動自在に軸支されたハンドルと、前記第一のパン容器内の底面に設けられた混練羽根と、前記混練羽根を回転駆動する電動機と、前記第一のパン容器に着脱自在に装着される第二のパン容器を備え、前記第一のパン容器に前記第二のパン容器を装着したときに前記ハンドルを覆うフランジを、前記第二のパン容器の上端に形成したもので、第一のパン容器に水を入れて運転することにより、第一のパン容器内の水が加熱手段の熱で沸騰蒸発するため、焼成庫内の湿度があがり高湿度状態でパン生地の加熱・焼成ができると共に、調理を終了し、第一のパン容器と第二のパン容器を焼成庫から取り出す場合において、第一のパン容器のハンドルは第二のパン容器のフランジで覆われているため、第二のパン容器を取り出してからハンドルをつかんで第一のパン容器を取り出すことになる。これにより第一のパン容器内に湯が残った場合においても使用者は湯が残っていることを容易に認識することができ、湯に触れて火傷をすることがない。
【発明の効果】
【0008】
本発明のパン製造機は、高温高湿状態、いわゆるスチ−ム加熱によりパン生地の焼成ができるため、蒸しパンや、外皮の色が白く柔らかい白パンをつくることができるとともに調理時の残り湯による火傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1におけるパン製造機の断面図(第二のパン容器を装着する前の状態)
【図2】同パン製造機の断面図(第二のパン容器を装着した状態)
【図3】同パン製造機の第一のパン容器と第二のパン容器の要部断面図
【図4】同第一のパン容器と第二のパン容器の斜視図
【図5】同パン製造機のパンの製造工程図
【図6】パンを取り出す際の同第二のパン容器の斜視図
【図7】フランジが無い第二のパン容器からパンを取り出す様子を示す図
【図8】従来のパン製造機の断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明は、内部に焼成庫を有する製品本体と、前記焼成庫を開閉自在に覆う蓋と、前記焼成庫に備えられた加熱手段と、前記焼成庫に着脱自在に収容される第一のパン容器と、前記第一のパン容器に回動自在に軸支されたハンドルと、前記第一のパン容器内の底面に設けられた混練羽根と、前記混練羽根を回転駆動する電動機と、前記第一のパン容器に着脱自在に装着される第二のパン容器を備え、前記第一のパン容器に前記第二のパン容器を装着したときに前記ハンドルを覆うフランジを、前記第二のパン容器の上端に形成したもので、第一のパン容器に水を入れて運転することにより、第一のパン容器内の水が加熱手段の熱で沸騰蒸発するため、焼成庫内の湿度があがり高湿度状態でパン生地の加熱・焼成ができると共に、調理を終了し、第一のパン容器と第二のパン容器を焼成庫から取り出す場合において、第一のパン容器のハンドルは第二のパン容器のフランジで覆われているため、第二のパン容器を取り出してからハンドルをつかんで第一のパン容器を取り出すことになる。これにより第一のパン容器内に湯が残った場合においても使用者は湯が残っていることを容易に認識することができ、湯に触れて火傷をすることがない。
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるパン製造機の断面図で第二のパン容器を装着する前の状態を示している。図2は、第二のパン容器を装着した状態の同パン製造機の断面図で、図3は、同パン製造機の第一のパン容器と第二のパン容器の要部断面図、図4は、同第一のパン容器と第二のパン容器の斜視図、図5は、同パン製造機のパンの製造工程図、図6は、パンを取り出す際の同第二のパン容器の斜視図である。
【0013】
図1〜図6において、本実施の形態におけるパン製造機の製品本体1は、焼成庫1aと、焼成庫1aを開閉自在に覆う蓋1bと、焼成庫1a内に着脱自在に装着される第一のパン容器2と、制御部3と、電動機4と、第一のパン容器2の底部に取り付けられ減速機構5を介して電動機4で回転駆動される混練羽根7と、焼成庫1a内を加熱する加熱手段としてのヒーター6を備えている。
【0014】
9は、第一のパン容器2を取り出す際に使用するハンドルである。8は、第一のパン容器2に着脱自在に装着される第二のパン容器で、上端にフランジ10を備えている。
【0015】
以上のように構成された本実施の形態におけるパン製造機の動作は、以下のとおりである。
【0016】
本実施の形態におけるパン製造機の製品本体1内の第一のパン容器2に小麦粉、水、イ−ストなどのパン材料を入れる(図1の状態)。パン材料は、制御部3により電動機4が運転し、減速機構5により減速された動力で混練羽根7が回転する。その混練羽根5の回転動力でパン材料は、混練されパン生地になる。
【0017】
できたパン生地は、制御部3によりヒーター6が発熱し、焼成庫1a内の温度が調節され醗酵をおこなう。パン生地は、混練羽根7の回転により、途中、ガス抜きをおこない成形発酵の前までおこなう。ここまでの製パン工程は、前述した従来のパン製造機と同じである。
【0018】
次に、本実施の形態におけるパン製造機においては、成形発酵の前段階まで終わった時点で、第一のパン容器2内のパン生地を取り出し、そのパン生地を、第二のパン容器8に移し変える。そして、第一のパン容器2内に所定の水を入れ、製品本体1内に再び戻す。その後に、第二のパン容器8を第一のパン容器2内にセットする(図2の状態)。
【0019】
その際、第一のパン容器2に回動自在に軸支されているハンドル9は、倒した状態でなければ、第二のパン容器8の上端に略水平方向に伸設されたフランジ10が邪魔をし、第二のパン容器8を第一のパン容器2の中の所定の位置にセットできないようになっている。その後、制御部3によりヒーター6が発熱し、焼成庫1a内の温度が調節され成形醗酵→焼成のパン製造工程をおこないパンが出来上がる。
【0020】
本実施の形態では、焼成工程において、第一のパン容器2内の水は沸騰蒸発するため製品本体1内は、高温高湿状態となりスチ−ム加熱状態となる。したがって蒸しパンや、外皮の色が白く柔らかい白パンをつくることができる。
【0021】
調理終了時点では、第一のパン容器2内には、焼成工程で加熱され高温となった湯が残っている。次に出来上がったパンを使用者が取り出す場合、第一のパン容器2のハンドルは第二のパン容器8のフランジで覆われているため、第一のパン容器2と第二のパン容器8を同時に製品本体から取り出すことができない。したがって使用者は、初めに第二のパン容器8を取り出してから第一のパン容器2を製品本体1から取り出すこととなる。
【0022】
第二のパン容器8を取り出した時点で、使用者は、第一のパン容器2内の残り湯の存在を認識することができるため、高温である湯に注意を払い不意に湯がかかり火傷することを防ぐことができる。使用者は、第二のパン容器8を斜め下方に振り、出来上がったパンを取り出す(図6)。
【0023】
このようにフランジ10でハンドル8を覆う構成にしたことにより、前述の通り残り湯による使用者の火傷を回避することができるが、図7に示すように、第二のパン容器8にフランジ10が無い場合は、第一のパン容器2と第二のパン容器8を同時に取り出すことができるため、パンを取り出す場合に重ねた2つの容器を同時に斜め下方に向ける可能性があり、不意に飛び出した残り湯により火傷する危険がある。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上のように、本発明にかかるパン製造機は、第一のパン容器に着脱自在に装着される第二のパン容器を備え、第一のパン容器に水を入れ、第二のパン容器にパン生地を入れるとともに加熱手段で加熱をおこなうとともに第二のパン容器のフランジで第一のパン容器のハンドルを覆うことにより、残り湯がかかり火傷することを防ぐことができるため、パン製造機以外にも同様の二重容器の構成を有する機器にも適用可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 製品本体
1a 焼成庫
2 第一のパン容器
4 電動機
6 ヒーター(加熱手段)
7 混練羽根
8 第二のパン容器
9 ハンドル
10 フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に焼成庫を有する製品本体と、前記焼成庫を開閉自在に覆う蓋と、前記焼成庫に備えられた加熱手段と、前記焼成庫に着脱自在に収容される第一のパン容器と、前記第一のパン容器に回動自在に軸支されたハンドルと、前記第一のパン容器内の底面に設けられた混練羽根と、前記混練羽根を回転駆動する電動機と、前記第一のパン容器に着脱自在に装着される第二のパン容器を備え、前記第一のパン容器に前記第二のパン容器を装着したときに前記ハンドルを覆うフランジを、前記第二のパン容器の上端に形成したことを特徴としたパン製造機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−252829(P2010−252829A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102599(P2009−102599)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】