説明

パーキングブレーキ掛け忘れ防止装置

【課題】パーキングブレーキ掛け忘れ防止装置において、車両を駐停車する意思を乗員が持つことをより正確に判断して、パーキングブレーキの掛け忘れの警告をより的確に行うことにある。
【解決手段】制御手段(5)は、エンジン(1)の停止が検出され、フットブレーキ(3)が作動状態に無く、且つ運転席のシートベルト(4)が装着状態に無いことが検出され、パーキングブレーキ(2)が作動状態に無い場合に、パーキングブレーキ(2)の掛け忘れであると判断して警告指令を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パーキングブレーキ掛け忘れ防止装置に係り、特に車両の駐停車時に使用するパーキングブレーキの掛け忘れを防止するパーキングブレーキ掛け忘れ防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両には、駐停車する際に用いられるパーキングブレーキが備えられている。 このパーキングブレーキは、サイドブレーキや駐車ブレーキとも呼ばれ、乗員が車両から離れる際に、その車両を駐停車させておくために用いられるものである。
しかしながら、パーキングブレーキは乗員によって操作されるものであり、車両の駐停車の際に、乗員がパーキングブレーキを掛け忘れてしまう場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−48237号公報
【特許文献2】特開2010−115994号公報
【0004】
特許文献1に係るパーキングブレーキ警報装置は、パーキングブレーキを掛けていない、若しくはパーキングブレーキのブレーキ力が不十分であって、その状態で運転者が降車しようとした場合に、警告を発するというものである。これにより、パーキングブレーキのブレーキ力が確実に作動していない状態で、運転者が車両のドアを開けて降車しようとした場合に、運転者に警告を発することができ、パーキングブレーキのブレーキ力が不十分であることを運転者に認識させることができる。
特許文献2に係るブレーキ掛け忘れ防止装置は、エンジンのオフ後の一定時間経週後に、パーキングブレーキが掛けられていない場合に、警告を発するものである。これは、例えば、エンジンのオフ後に、パーキングブレーキを掛けるような操作を行う場合に、乗員がパーキングブレーキ操作を行う予定であるにもかかわらず、パーキングブレーキの掛け忘れと判断されて不要な警告がなされてしまうことを防止できる。さらに、ドア状態検出手段を備え、運転席のドアが開状態になった時は、直ちにパーキングブレーキの作動状態を確認してパーキングブレーキがオフ状態である場合には、直ちに警告を発生する構成も備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記の特許文献1では、運転席のドアが開くことでパーキングブレーキの警告を発するため、乗員が車内に残ったまま停車している場合に、警告を発することができなくなり、また、運転者が運転席のドア以外から降車する場合には、警告を発することができないという不都合があった。
また、上記の特許文献2では、エンジンをオフにして一定時間経過後に、パーキングブレーキ警告を発するため、エンジンのオフ後の一定時間内に何らかの要因(例えば、後席にある物を取ろうとする等)でパーキングブレーキを掛け忘れている場合に、警告を発することができないという不都合があった。
このため、車両の駐停車意思を乗員が持つことをより正確に判断して、車両の駐停車時に乗員がパーキングブレーキを掛けていない場合に、パーキングブレーキの掛け忘れの警告を行えることが望まれていた。
【0006】
そこで、この発明の目的は、車両を駐停車する意思を乗員が持つことをより正確に判断して、パーキングブレーキの掛け忘れの警告をより的確に行うことができるパーキングブレーキ掛け忘れ防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、車両の動力源であるエンジンの停止を検出するエンジン停止検出部を設け、車両の駐停車時に使用するパーキングブレーキの作動状態を検出するパーキングブレーキ作動状態検出部を設け、車両の走行中に車両を制動させるために使用するフットブレーキの作動状態を検出するフットブレーキ作動状態検出部を設け、乗員を車両の座席に拘束するためのシートベルトの装着状態を検出するシートベルト装着状態検出部を設け、前記エンジンの停止が検出され、前記フットブレーキが作動状態に無く、且つ運転席の前記シートベルトが装着状態に無いことが検出され、前記パーキングブレーキが作動状態に無い場合に、前記パーキングブレーキの掛け忘れであると判断して警告指令を出力する制御手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明のパーキングブレーキ掛け忘れ防止装置は、車両を駐停車する意思を乗員が持つことをより正確に判断して、パーキングブレーキの掛け忘れの警告をより的確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1はパーキングブレーキ掛け忘れ防止制御のフローチャートである。(実施例1)
【図2】図2はパーキングブレーキ掛け忘れ防止装置のシステムブロック図である。(実施例1)
【図3】図3はパーキングブレーキ掛け忘れ防止装置のシステムブロック図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明は、車両を駐停車する意思を乗員が持つことをより正確に判断して、パーキングブレーキの掛け忘れの警告をより的確に行う目的を、エンジンの停止が検出され、フットブレーキが作動状態に無く、且つ運転席のシートベルトが装着状態に無いことが検出され、パーキングブレーキが作動状態に無い場合には、パーキングブレーキの掛け忘れであると判断して実現するものである。
【実施例1】
【0011】
図1、図2は、この発明の実施例1を示すものである。
図2において、1は車両に搭載される動力源であるエンジン、2は車両の駐停車時に使用するパーキングブレーキ、3は車両の走行中に車両を制動させるために使用するフットブレーキ、4は乗員を車両の座席に拘束するためのシートベルトである。
また、車両には、制御手段(コントロールユニット)5を備えるパーキングブレーキ掛け忘れ防止装置6が搭載される。
制御手段5には、入力側で、エンジン1の停止(オフ)を検出するエンジン停止検出部7と、パーキングブレーキ2の作動状態(オン・オフ)を検出するパーキングブレーキ作動状態検出部8と、フットブレーキ3の作動状態(オン・オフ)を検出するフットブレーキ作動状態検出部9と、シートベルト4の装着状態(オン・オフ)を検出するシートベルト装着状態検出部10とが連絡している。また、制御手段5には、出力側で、乗員に警告を発生する警告出力部11が連絡している。
【0012】
エンジン停止検出部7は、エンジン1が停止状態(オフ状態)を検出するものであって、具体的には、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ等の検出結果よってエンジン1が停止状態にあることを検出する。
シートベルト装着状態検出部10において、運転席のシートベルト4が装着状態にない(オフ)とは、具体的には、シートベルト4側に設けられたベルトタングがシート側に設けたバックルに押し込まれた状態にないことである。
警告出力部11は、車両のインストルメントパネル内のメータ内に設けた警告ランプを点灯させる方法や、ブザーのような音や音声による方法で乗員への警告を行う。
【0013】
制御手段5は、エンジン停止検出部7とパーキングブレーキ作動状態検出部8とフットブレーキ作動状態検出部9とシートベルト装着状態検出部10との検出結果により、警告出力部11に警告指令を出力する。
また、制御手段5は、エンジン1の停止が検出され、フットブレーキ3が作動状態に無く、且つ運転席のシートベルト4が装着状態に無いことが検出され、パーキングブレーキ2が作動状態に無い場合に、パーキングブレーキ2の掛け忘れであると判断して警告指令を出力する。
【0014】
次に、パーキングブレーキ掛け忘れ防止制御について、図1のフローチャートに基づいて説明する。
図1に示すように、制御手段5のプログラムがスタートすると(ステップA01)、先ず、エンジン停止検出部7がオフか否かを判断し(ステップA02)、このステップA02がNOの場合には、この判断を継続する。
このステップA02がYESの場合には、フットブレーキ作動状態検出部9がオフか否かを判断し(ステップA03)、このステップA03がNOの場合には、前記ステップA02に戻す。
このステップA03がYESの場合には、シートベルト装着状態検出部10がオンか否かを判断し(ステップA04)、このステップA04がNOの場合には、前記ステップA02に戻す。
このステップA04がYESの場合には、エンジン1が非作動である条件と、フットブレーキ3が非作動である条件と、シートベルト4が装着されていない条件との全ての条件が満たされたとして、パーキングブレーキ作動状態検出部8がオフか否かを判断する(ステップA05)。
このステップA05がYESの場合には、パーキングブレーキ作動状態検出部8がオフで、パーキングブレーキ2が非作動であると判断し、警告指令を警告出力部11に出力し、警告出力部11で警告をさせる(ステップA06)。これにより、エンジン1が非作動であって、フットブレーキ3が非作動で、且つシートベルト4が装着されておらず、パーキングブレーキ2が非作動状態である場合に、運転者への使用を促がすことができる。
このステップA06の処理後、又は、前記ステップA05がNOで、パーキングブレーキ2が作動している場合には、プログラムをエンドとする(ステップA07)。
【0015】
この結果、この実施例1の構成では、乗員が車両の駐停車意思を持つことをより正確に判断して、且つ乗員がパーキングブレーキ2を掛けていない場合に、パーキングブレーキ2の掛け忘れの警告を行うことができる。
また、乗員が車両の駐停車意思を持つことを乗員が車両内にいるときに判断でき、乗員が車両から離れる前にパーキングブレーキ2の掛け忘れの警告を行うことができる。
【実施例2】
【0016】
図3は、この発明の実施例2を示すものである。
この実施例2においては、上述の実施例1と同一機能を果たす箇所には、同一符号を付して説明する。
この実施例2の特徴とするところは、以下の点にある。即ち、図3に示すように、実施例1におけるエンジン停止検出部7の代わりに、乗員によってエンジン1の停止操作がなされたことを検出するエンジン停止操作検出部12を設けた。このエンジン停止操作検出部12は、乗員によってエンジン1の停止操作がなされたことを検出するものであり、具体的には、エンジン1の作動停止を行うためのイグニッションスイッチのオフ信号を検出する構成である。このように、エンジン停止操作を検出するエンジン停止操作検出部12を備える構成とすることにより、乗員が車両を駐停車させる意思を持つ可能性があることをより早期に検出することができる。
また、制御手段5は、エンジン1の停止操作が検出され、フットブレーキ3が作動状態に無く、且つ運転席のシートベルト4が装着状態に無く、パーキングブレーキ2が作動状態に無い場合に、パーキングブレーキ2の掛け忘れであると判断して警告指令を出力する。
この結果、この実施例2の構成によれば、さらに正確に乗員が駐停車意思を持つことを判断できるとともに、乗員がパーキングブレーキ2を掛けていない場合にパーキングブレーキ2の掛け忘れの警告を行うことができる。
また、乗員が車両の駐停車意思を持つことを乗員が車両内にいるときに判断できて、乗員が車両から離れる前にパーキングブレーキ2の掛け忘れの警告を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
この発明に係るパーキングブレーキ掛け忘れ防止装置は、各種車両に適用できる。
【符号の説明】
【0018】
1 エンジン
2 パーキングブレーキ
3 フットブレーキ
4 シートベルト
5 制御手段
6 パーキングブレーキ掛け忘れ防止装置
7 エンジン停止検出部
8 パーキングブレーキ作動状態検出部
9 フットブレーキ作動状態検出部
10 シートベルト装着状態検出部
11 警告出力部
12 エンジン停止操作検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の動力源であるエンジンの停止を検出するエンジン停止検出部を設け、車両の駐停車時に使用するパーキングブレーキの作動状態を検出するパーキングブレーキ作動状態検出部を設け、車両の走行中に車両を制動させるために使用するフットブレーキの作動状態を検出するフットブレーキ作動状態検出部を設け、乗員を車両の座席に拘束するためのシートベルトの装着状態を検出するシートベルト装着状態検出部を設け、前記エンジンの停止が検出され、前記フットブレーキが作動状態に無く、且つ運転席の前記シートベルトが装着状態に無いことが検出され、前記パーキングブレーキが作動状態に無い場合に、前記パーキングブレーキの掛け忘れであると判断して警告指令を出力する制御手段を設けたことを特徴とするパーキングブレーキ掛け忘れ防止装置。
【請求項2】
前記エンジン停止検出部の代わりに乗員によって前記エンジンの停止操作がなされたことを検出するエンジン停止操作検出部を設け、前記制御手段は、前記エンジンの停止操作が検出され、前記フットブレーキが作動状態に無く、且つ運転席の前記シートベルトが装着状態に無く、前記パーキングブレーキが作動状態に無い場合に、前記パーキングブレーキの掛け忘れであると判断して警告指令を出力することを特徴とする請求項1に記載のパーキングブレーキ掛け忘れ防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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