説明

パーソナルインターネットコミュニケータのセキュリティシステム

本発明は、ユーザのパソコンのハードディスクあるいはその他の永久的記録手段にインターネット関連ファイルを永久保存させないような方法および装置を供給する。本発明の一実施形態では、RAMディスクを形成するために、コンピュータの揮発性ランダムアクセスメモリ(RAM)の一部が使用される。次に、RAMは、インターネット上でのデータ交換に関連するすべてのインターネット関連ファイルを記録するように使用される。ユーザのパソコンがオフ状態になったときに、RAMディスクのコンテンツは消去され、これによりすべてのインターネット関連ファイルが削除される。本発明の別の実施形態では、RAMディスクが生成されるとすぐに、一連の所定のユーザ固有ファイルをRAMに入れるようにする。これらのユーザ固有ファイルは、ユーザがインターネットを使用するために、所定の一連の機能を供給するように使用される。本発明のさらに別の実施形態では、インターネットサービスプロバイダ(ISP)により供給されるインターネットアカウントに関連づけられる一意的ユーザ識別子(UUID)によって、所定の一連のユーザ固有ファイルが決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムの技術分野に関連し、より詳細には、インターネット上で通信するために使用されるコンピュータシステムのユーザのセキュリティを強化するためのシステムと方法とに関連する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータシステムは、今日の社会において、多くの分野に情報管理能力を与えるために広く用いられている。パソコンシステムは通常、システムプロセッサを備えたシステムユニット、関連する揮発性および不揮発性メモリ、ディスプレイモニタ、キーボード、固定ディスク記録装置、オプションの取り外し可能記録装置、およびオプションのプリンタを含むマイクロコンピュータとして定義することができる。このようなパソコンシステムは、シングルユーザ(あるいは、コンピュータサーバシステムとして機能するパソコンの場合は、グループユーザ)に主に独立演算能力を与えるように設計された情報処理システムであり、個人や中小企業の購入用に低価格にされている。
【0003】
近年は、インターネット上で情報交換を行うために、パソコンの使用が著しく増加している。このような情報交換は、クライアント/サーバモデルに基づくものであり、ユーザのパソコンがクライアントとして動作している状態で、複数のインターネットサーバに記録されているデータにアクセスする。コンピュータがインターネット上で情報交換を行うときに、一般的にブラウザプログラムがユーザのハードドライブにファイルを記録し、情報交換を促進する。ハードディスクに格納されるファイルとしては、例えば、「クッキー」(cookie)が挙げられる。これはデータ交換の履歴に関係するキャッシュファイルとデータファイルである。クッキーなどのファイルによってユーザの習慣がトラッキングできるようになり、また、好ましくない宣伝活動をユーザに行うためにこのようなファイルが使用されるおそれがあるので、このようなファイルは望ましくないことがある。加えて、クッキーやインターネット関連ファイルが蓄積されれば、ハードディスクのパフォーマンスが非効率的になるおそれがある。よって、ユーザのパソコンのハードディスクあるいはその他の永久的記録手段にインターネット関連ファイルを永久保存させないような方法および装置を供給することが望ましい。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、ユーザのパソコンのハードディスクあるいはその他の永久的記録手段にインターネット関連ファイルを永久保存させないような方法および装置を供給する。本発明の一実施形態では、RAMディスクを形成するために、コンピュータの揮発性ランダムアクセスメモリ(RAM)の一部が使用される。次に、RAMは、インターネット上でのデータ交換に関連するすべてのインターネット関連ファイルを記録するように使用される。ユーザのパソコンがオフ状態のときに、RAMディスクのコンテンツは消去され、これによりすべてのインターネット関連ファイルが削除される。
【0005】
本発明の別の実施形態では、RAMディスクが生成されるとすぐに、一連の所定のユーザ固有ファイルをRAMディスクに入れるようにする。これらのユーザ固有ファイルは、ユーザがインターネットを使用するために、所定の一連の機能を供給するように使用される。本発明のさらに別の実施形態では、インターネットサービスプロバイダ(ISP)により供給されるインターネットアカウントに関連づけられる一意的ユーザ識別子(UUID)によって、所定の一連のユーザ固有ファイルが決定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は添付の図面を参照することでさらに理解することができ、その様々な目的、特徴および利点が当業者に明らかになる。複数の図面を通じて同じ参照符号を使用することで、同じあるいは同様の要素を示す。
【0007】
図1に、複数のコンピュータシステム110を備えたネットワーク100のブロック図を示す。このコンピュータシステムは、以下“マルチメディアアクセスデバイス”あるいは“パーソナルインターネットコミュニケータ”(PICs)と呼ばれ、通信リンク122を介してインターネットサービスプロバイダ120に動作可能に結合されている。インターネットサービスプロバイダ120はインターネット140に結合される。さらに、インターネット140は、複数のウェブホストサーバ150に結合される。インターネット上の情報へのアクセスを希望するユーザはPICを使用し、ウェブブラウザとして周知のアプリケーションプログラムを実行する。
【0008】
PIC110は通信ハードウェアおよびソフトウェアを含む。これにより、PIC110がインターネットサービスプロバイダ120への通信を送受信できるようにする。通信ハードウェアおよびソフトウェアにより、PIC110はインターネットサービスプロバイダ120との通信リンクを確立できるようになる。この通信リンクは、任意の様々な接続形式であってよく、例えば、有線接続、デジタル加入者回線(DSL)、T1、総合デジタル通信網(ISDN)などの直接接続、あるいはケーブル接続、セルラーネットワークや衛星ネットワークを介した無線接続、あるいは、イーサネットなどのローカルデータ伝送システムやローカルエリアネットワーク上でのトークンリングが挙げられる。
【0009】
顧客が、ウェブブラウザにおいてコマンドを入力することで情報要求を入力する場合、PIC110は、特定のトピックに関連する文書や特定のウェブページの検索といった情報要求をインターネットサービスプロバイダ120に送信し、次に、インターネットサービスプロバイダ120はこの要求をインターネット140を介して適切なウェブホストサーバ150へ送る。インターネットサービスプロバイダ120は、ブラウザから送信された要求を受信し、読み取るためにソフトウェアを実行する。インターネットサービスプロバイダ120は、要求をモニタリングし、その特定のウェブサーバについての情報要求を提供し、その情報をユーザのPIC110へと送信するウェブサーバアプリケーションプログラムを実行する。
【0010】
インターネット上の各ウェブホストサーバ150は、適切なウェブホストサーバ150に接続するためにユーザがウェブブラウザに提供する既知のアドレスを有する。ユーザのウェブホストサーバ150上で情報が入手できなければ、インターネット140は、ウェブサーバ150を、要求した情報を供給するために相互通信可能とするセントラルリンクとして機能する。ウェブサーバ150は1ページ以上のウェブページを含み得ることから、ユーザはさらに、自分が見たい特定のウェブページをアドレスにおいて特定することになる。サーバー上のホームページアドレスは、URL(ユニバーサルリソースロケータ)としても既知であるが、このアドレスは、サーバーおよびサーバー上のページ位置を示す一連の数字であって、郵便番号に類似している。簡素化のために、数字ではなく名前を使用してユーザがサーバーおよび文書を特定可能であるドメインネームシステムが構築されている。さらに、URLは、ドメインネームの終わりに付加的情報を含めることで、コンテンツプロバイダに属するページグループにおいて特定のページを指定することができる。
【0011】
図2に、PIC110のブロック図を示す。PIC110は、プロセッサ202、キーボードやマウスなどの入出力(I/O)装置205に結合されたI/O制御装置204を含む。以下にさらに詳しく説明しているように、メモリコントローラ206は、不揮発性メモリ207と揮発性ストレージ260とを制御可能である。
【0012】
プロセッサ202、I/O制御装置204、メモリコントローラ206、および通信装置211は、1つ以上のバス112を介して相互接続される。プロセッサ202はさらに、表示装置214に結合されるように構成される。PIC110は通信装置211によって通信ネットワーク122とインターネット140とに接続される。この通信装置211はモデムや当業者にとっては周知のその他の適切なネットワーク通信装置であってもよい。
【0013】
不揮発性ストレージ207は、ハードドライブ上に記録され、プロセッサ202によって実行されるPICソフトウェア230を含む。さらに、この不揮発性ストレージは、読み取り専用メモリ装置(ROM)あるいは組み込まれた集積回路上に記録され得る一意的ユーザ識別子(UUID)240を含む。さらに、この不揮発性ストレージ207は、BIOS250を記録し、それからの起動を行うためのブートROMを含む。
【0014】
揮発性メモリ260は、当業者には周知の技術を使用して、RAMの一部がRAMディスクとして作動するように制御されている状態のランダムアクセスメモリ(RAM)を含む。上述のように、PICとウェブサーバ間での情報交換において、ウェブサーバがブラウザプログラムを使用してPICハードドライブ上にファイルを記録し、情報交換を促進するのはごく一般的である。ハードディスク上に記録されたファイルとしては、例えば、「クッキー」が挙げられる。これはデータ交換の履歴に関連するキャッシュファイルおよびデータファイルである。クッキーなどのファイルによってユーザの習慣がトラッキングできるようになり、また、好ましくない宣伝活動をユーザに行うためにこのようなファイルが使用されるおそれがあるので、このようなファイルは望ましくないことがある。
【0015】
本発明の方法および装置においては、図3に示すように、インターネット関連ファイルを記録するためにRAMディスク262が使用される。このRAMディスク264は、ユーザがPIC110上でセッションを行う間に、インターネット上のデータ交換に関連するすべてのインターネット関連ファイルを記録するために使用される。PIC110がオフ状態にされると、RAMディスクのコンテンツは消去され、これによりインターネット関連ファイルがすべて削除される。
【0016】
本発明の別の実施形態においては、RAMディスク264は生成されるとすぐに、一連の所定のユーザ固有ファイルが入れられる。このようなユーザ固有ファイルは、ユーザがインターネットを使用するために、所定の一連の機能を与えるために使用される。本発明の様々な実施形態では、この所定の一連のユーザ固有ファイルは、ISP120によって与えられるインターネットアカウントに関連づけられる一意的ユーザ識別子(UUID)によって決定される。
【0017】
図4に、本発明を実装するプロセスステップを示したフローチャートを示す。ステップ400では、パーソナルインターネットコミュニケータ110が起動し、ステップ402では、メモリコントローラ206は揮発性ストレージ260中にRAMディスクを生成する。ステップ404では、ユーザは、ウェブブラウザを使用してインターネットにアクセスするために、パーソナルインターネットコミュニケータ110を使用する。ステップ406では、インターネット関連ファイル264をインターネットから受信し、ステップ408では、このインターネット関連ファイルをRAMディスク262に記録する。ユーザセッションの終了後、パーソナルインターネットコミュニケータ110は電源が切られてRAMディスク262に記録されたインターネット関連ファイル264が消去される。
【0018】
本発明は、本明細書に固有のその他の利点とともに、本明細書において説明した利点を実現するためにうまく適応される。本発明を特定の実施形態を参照することで示し、説明し、定義してきたが、このような参照は本発明を限定することを意味せず、また、そのような限定は推測されない。本発明は、形式および機能において、関連技術において当業者であれば思いつくであろう相当な修正、変更および等価物が可能である。図示し説明した実施形態は単なる例であり、本発明の範囲を包括するものではない。
【0019】
本発明を詳細に説明してきたが、添付の請求項によって規定されている本発明の精神と範囲とから離れることなく、様々な変更、置換、修正が可能である点を理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】1以上の通信ネットワーク上で通信するコンピュータネットワークのブロック図。
【図2】本発明による、パーソナルインターネットコミュニケータなどのコンピュータシステムのシステムブロック図。
【図3】RAMディスク中にインターネット関連ファイルを転送および記録する、図4のコンピュータシステムのブロック図。
【図4】パーソナルインターネットコミュニケータにおけるセキュリティを高めるべく、インターネット関連ファイルを記録するためにRAMディスクを使用するための本発明のフローチャート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記パーソナルインターネットコミュニケータとインターネットとの間でデータ転送が可能な通信インターフェースと、
揮発性メモリと、
前記揮発性メモリの一部をRAMディスクとして動作するように制御可能なメモリコントローラと、
前記パーソナルインターネットコミュニケータと前記インターネットとの間でファイルの転送を制御するように動作可能であり、前記揮発性メモリ中の前記RAMディスクにインターネット関連ファイルを記録するデータプロセッサとを備えたパーソナルインターネットコミュニケータ。
【請求項2】
前記インターネット関連ファイルは、前記揮発性メモリを動作させる電源を切断すると消去される、請求項1記載のパーソナルインターネットコミュニケータ。
【請求項3】
前記インターネット関連ファイルはクッキーを含む、請求項1記載のパーソナルインターネットコミュニケータ。
【請求項4】
一意的ユーザ識別子が記録された不揮発性メモリをさらに備えている、請求項1記載のパーソナルインターネットコミュニケータ。
【請求項5】
前記RAMディスクには所定のユーザデータセットを入れるようにする、請求項4記載のパーソナルインターネットコミュニケータ。
【請求項6】
パーソナルインターネットコミュニケータにセキュリティを与える方法であって、
揮発性メモリにRAMディスクを生成するためにメモリコントローラを使用するステップと、
前記パーソナルインターネットコミュニケータと前記インターネットとの間でデータを転送するために通信インターフェースを使用するステップと、
前記パーソナルインターネットコミュニケータと前記インターネットとの間でファイルの転送を制御するように動作可能なデータプロセッサとを含み、前記データプロセッサは前記揮発性メモリ中の前記RAMディスクにインターネット関連ファイルを記録する、方法。
【請求項7】
前記インターネット関連ファイルは、前記揮発性メモリを動作させる電源を切断すると消去される、請求項12記載の方法。
【請求項8】
前記インターネット関連ファイルはクッキーを含む、請求項12記載の方法。
【請求項9】
不揮発性メモリに一意的ユーザ識別子を記録するステップをさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項10】
前記RAMディスクには所定のユーザデータセットを入れるようにする、請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−546092(P2008−546092A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514690(P2008−514690)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/019812
【国際公開番号】WO2006/130383
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(591016172)アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド (439)
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
【Fターム(参考)】