説明

パーツ整列供給装置

【課題】容器内のパーツを確実に直線状通路へ送出でき、かつ直線状通路のパーツを先端から確実に排出供給することができるパーツ整列供給装置を提供すること。
【解決手段】円筒状容器10内に収容されたパーツAを、底面を形成する円盤20を回転することによって容器内周壁に寄せるとともに、容器の下部に形成したパーツの排出口11まで移送させ、そのパーツを負圧を利用して容器の排出口に連通する直線状通路30に取り込み、そのパーツを整列させた状態でベルトコンベア40によって直線状通路の先端まで移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーツ整列供給装置に関するもので、詳しくは、Oリング等の小部品を整列させて供給する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Oリングを整列させて供給する装置としては、特許文献1に開示されたものがある。
この特許文献1の装置では、円筒形の容器の内面接線方向に空気を噴射させて内部のOリングを旋回させる。容器内に噴射された空気は、容器の排出口から連続接続された直線状の通路を介して外部に放出され、容器の排出口に達したOリングは、空気の流れに従って直線状の通路に搬送され、該通路で一直線に整列されて通路の先端へ送られ、通路の先端から1つずつ通路先端に位置された他の部品に供給される。
なお、この装置では、直線状通路の基端部に補助空気を噴射させ、それによって直線状通路内におけるOリングの推進力の増強を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−289839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、Oリングは、製造される際に使用される離型剤(オイル)が付着している。したがって、そのオイルによってOリングが互いに付着して、それらのOリングを空気流によって離反させるのは難しく、Oリングを容器の排出口から直線状通路にスムースに排出できない場合がある。
【0005】
本発明は、上記のような実情に鑑みて成されたもので、容器内のパーツを確実に直線状通路へ送出でき、かつ直線状通路のパーツを先端から確実に排出供給することができるパーツ整列供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するため、請求項1のパーツ整列供給装置は、多数のパーツを収容し、下部周壁にパーツの通過を許容する排出口を有する円筒状容器と、前記円筒状容器の底面を形成し、動力によって回転され、遠心力によってパーツを前記円筒状容器の周面に寄せる円盤と、前記円筒状容器の排出口に連通され、1個のパーツの移動を許容する幅を有する直線状通路と、前記直線状通路の底面を形成し、該直線状通路に沿って延設されたベルトコンベアと、前記直線状通路の基端に、先端方向に向けて開口され、通路内に空気を噴出させて、前記円筒状容器の排出口を負圧にするエアブローとを備え、前記円筒状容器の排出口に到達したパーツを前記エアブローによって発生される負圧によって前記直線状通路に吸引し、そのパーツを前記ベルトコンベアによって前記直線状通路の先端まで搬送することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2のパーツ整列供給装置は、上記請求項1に記載の発明において、上記円盤が、中心部から周縁に向かって下方に傾斜させた斜面と、周縁に段差を有し、パーツを収容する幅を有する環状の平坦面とによって形成したことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3のパーツ整列供給装置は、上記請求項1または2に記載の発明において、上記円盤を静電気防止材によって形成したことを特徴とする。
【0009】
また、請求項4のパーツ整列供給装置は、上記請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、上記円筒状容器の内壁面に周面に沿った環状凹凸を形成したことを特徴とする。
【0010】
また、請求項5のパーツ整列供給装置は、上記請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、上記直線状通路の上面を開放し、その上面に前記直線状通路に沿って延びるガイド部材を出退自在に配設したことを特徴とする。
【0011】
また、請求項6のパーツ整列供給装置は、上記請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、上記円筒状容器の内周壁近傍に、内周壁に沿って上下動させて互いに付着するパーツを離反させる突き離し部材を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記した請求項1のパーツ整列供給装置によれば、円筒状容器内のパーツは円盤の回転による遠心力で容器内壁に寄せられながら容器の排出口まで移動され、エアブローによって排出口に発生される負圧で直線状通路の基端に吸引され、直線状通路のベルトコンベアで先端まで移送される。したがって、パーツは確実に分離して1つずつ整列して供給することができる。
【0013】
また、上記した請求項2のパーツ整列供給装置によれば、円盤が中心から周縁に向かって下方に傾斜する傾斜面に形成されているので、その傾斜面によってパーツが周縁方向に滑り、そして、環状の平坦面に落下され、列をなして収容されるため、パーツをさらに確実に排出口まで移送させることができる。
【0014】
また、上記した請求項3のパーツ整列供給装置によれば、静電気の発生が防げるので、パーツをさらに確実にバラバラの状態で排出口まで移送させることができる。
【0015】
また、上記した請求項4のパーツ整列供給装置によれば、円筒状容器内壁面に環状凹凸が形成されているので、パーツとの接触面積が少なくなり、パーツが容器内壁面に付着することが防止される。
【0016】
また、上記した請求項5のパーツ整列供給装置によれば、ガイド部材を退出させることによって、直線状通路内でパーツが詰まった場合には、容易にパーツを取除くことができ、また通路の清掃も容易になる。
【0017】
また、上記した請求項6のパーツ整列供給装置によれば、円筒状容器内壁面に寄せられて互いに付着している状態のパーツを確実に離反させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るパーツ整列供給装置の一実施の形態を示した斜視図である。
【図2】図1に示したパーツ整列供給装置の平面図である。
【図3】図1に示したパーツ整列供給装置の側面図である。
【図4】図1に示したパーツ整列供給装置の要部を概念的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るパーツ整列供給装置を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図示したパーツ整列供給装置1は、多数のパーツA、例えばOリングを収容する円筒状容器10と、円筒状容器10の底面を形成する円盤20と、円筒状容器10に連設された直線状通路30と、直線状通路30の底面を形成するベルトコンベア40と、直線状通路30の基端に、先端方向に向けて通路内に空気を噴出させるエアブロー50とを備えている。
【0021】
円筒状容器10は、上部が開口され、下部周壁に1個のパーツAの通過を許容する、即ち幅及び高さがパーツAの幅及び厚さより若干大きい排出口11を有する。また、この円筒状容器10の内壁面には、周面に沿った環状凹凸12が形成されて、内表面にはフッ素樹脂がコーティングされている。また、円筒状容器10は、蓋13を備えている。この蓋13は、ヒンジ14によって開閉可能に配設されている。
【0022】
円盤20は、図4に示すように、中心部から周縁に向かって下方に傾斜させた斜面21と、周縁に段差を有し、パーツAを収容する幅を有する環状の平坦面22とによって形成されている。この円盤20は静電気防止材によって形成されている。そして、この円盤20は、モータ23によって回転され、遠心力によってパーツAを円筒状容器10の内周壁に寄せる。また、この円盤20では、円盤上のパーツAは、傾斜面21の傾斜によってパーツAが周縁方向に滑り、そして、環状の平坦面22に落下され、そこで整列される。
【0023】
直線状通路30は上方が開放されている。図2に示すように、直線状通路30はその上面にガイド部材31を備えている。ガイド部材31は、直線状通路30とほぼ同じ長さのプレートによって形成され、上方開口に対して出退自在に配設されている。そして、ガイド部材31が直線状通路30の開口上に位置して、そこを移送されるパーツAをガイドする。また、直線状通路30でパーツAが詰まったり、直線状通路30を清掃する場合には、ガイド部材31を直線状通路30の開口上から退避させて直線状通路30を開放し、パーツAを取除いたり、清掃作業を容易にする。
【0024】
ベルトコンベア40は、ゴムによって形成され、図3に示すように、直線状通路30の先端に配置された駆動プーリ41および基端に配置された従動プーリ42に巻回されている。ベルトコンベア40の下段部分は、緊張プーリ43にも掛け渡され、それによってベルトコンベア40が常時緊張されている。そして、駆動プーリ41はモータ44によって駆動され、ベルトコンベア40上の基端部に位置するパーツAを直線状通路30の先端まで搬送する。
【0025】
エアブロー50は、図4に示すように、円筒状容器10と直線状通路30とを繋ぐブロック51に配設されている。ブロック51には、通路52が直線状通路30の先端方向に向けて斜めに形成され、その通路52にエアブロー50の先端が装着されている。エアブロー50は、圧縮機53に接続されている。そして、圧縮機53の圧縮空気がブロック51の通路52を介して直線状通路30の基端部に噴射される。このエアブロー50を介して圧縮空気が直線状通路30に噴射されると、円筒状容器10の排出口11に対応する直線状通路30の基端部が負圧になるため、排出口11に達したパーツAは、直線状通路30に吸引される。また、この実施の形態においては、パーツAの排出口11の詰まりを解消するため、エアブローの噴射方向が逆方向、即ち排出口11方向を向けたエアブロー54が配置されている。
【0026】
さらに、このパーツ整列供給装置1は、互いに付着したパーツAを離反させる突き離し手段60を備えている。この突き放し手段60は、図4に示すように、シリンダ61を備え、シリンダロッド61aの先端に突き放し部材62を備えている。この突き放し手段60は、円筒状容器10の内周壁近傍に設置され、突き放し部材62が内周壁に沿って上下動されるように配設されている。シリンダ61は、切換弁63を介して圧縮機64に接続されている。圧縮機64から圧縮空気は切換弁63によってシリンダ61の圧力室に交互に供給され、それによって突き放し部材62が上下動される。そして、突き放し部材62が円筒状容器10の内壁面に寄せられた互いに付着している状態のパーツAを確実に離反させる。
【0027】
このように構成されたパーツ整列供給装置1では、円筒状容器10内に多数のパーツAが供給される。円筒状容器10内のパーツAは、円盤20上に堆積するが、円盤20の傾斜面21を滑り、また円盤20の回転による遠心力によって円盤20の環状平坦面22に寄せられ、そこで整列される。環状平坦面22上のパーツAは整列された状態で円筒状容器10の排出口11まで送られ、その排出口11で直線状通路30に発生している負圧によって直線状通路30内に吸引される。吸引されたパーツAはベルトコンベア40によって直線状通路30の先端まで搬送される。そして、直線状通路30の先端から順次他のパーツ等に供給される。
【0028】
なお、上記実施の形態では、パーツAとしてOリングを示したが、パーツAはそれに限ることなく、ワッシャ,その他の扁平な円盤状パーツにも適用できる。また、直線状通路30の基端部に負圧を形成するエアブロー50は、並行に複数本配置してもよい。
【0029】
以上、本発明に係るパーツ整列供給装置の実施の形態を説明したが、本発明は、何ら既述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の技術的思想の範囲内において、種々の変形及び変更が可能であることは当然である。
【符号の説明】
【0030】
1 パーツ整列供給装置
10 円筒状容器
11 排出口
12 環状凹凸面
13 蓋
14 ヒンジ
20 円盤
21 斜面
22 環状平坦面
23 モータ
30 直線状通路
31 ガイド部材
40 ベルトコンベア
41 駆動プーリ
42 従動プーリ
43 緊張プーリ
44 モータ
50 エアブロー
51 ブロック
52 通路
53 圧縮機
54 エアブロー
60 突き放し手段
61 シリンダ
61a シリンダロッド
62 突き放し部材
63 切換弁
64 圧縮機
A パーツ(Oリング)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のパーツを収容し、下部周壁にパーツの通過を許容する排出口を有する円筒状容器と、前記円筒状容器の底面を形成し、動力によって回転され、遠心力によってパーツを前記円筒状容器の周面に寄せる円盤と、前記円筒状容器の排出口に連通され、1個のパーツの移動を許容する幅を有する直線状通路と、前記直線状通路の底面を形成し、該直線状通路に沿って延設されたベルトコンベアと、前記直線状通路の基端に、先端方向に向けて開口され、通路内に空気を噴出させて、前記円筒状容器の排出口を負圧にするエアブローとを備え、前記円筒状容器の排出口に到達したパーツを前記エアブローによって発生される負圧によって前記直線状通路に吸引し、そのパーツを前記ベルトコンベアによって前記直線状通路の先端まで搬送することを特徴とする、パーツ整列供給装置。
【請求項2】
前記円盤が、中心部から周縁に向かって下方に傾斜させた斜面と、周縁に段差を有し、パーツを収容する幅を有する環状の平坦面とによって形成したことを特徴とする、請求項1に記載のパーツ整列供給装置。
【請求項3】
前記円盤を静電気防止材によって形成したことを特徴とする、請求項1または2に記載のパーツ整列供給装置。
【請求項4】
前記円筒状容器の内壁面に周面に沿った環状凹凸を形成したことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のパーツ整列供給装置。
【請求項5】
前記直線状通路は、上面が開放され、該上面に前記直線状通路に沿って延びるガイド部材を出退自在に配設したことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のパーツ整列供給装置。
【請求項6】
前記円筒状容器の内周壁近傍に、内周壁に沿って上下動させて互いに付着するパーツを離反させる突き離し部材を備えたことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のパーツ整列供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−246105(P2012−246105A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119763(P2011−119763)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(390039929)三桜工業株式会社 (106)
【Fターム(参考)】