説明

パーティクル捕集装置及びパーティクルの捕集方法

【課題】固体表面に堆積したパーティクルを効率的に捕集し得るパーティクル捕集装置及び方法の提供。
【解決手段】略筒形状の筐体12の内部空間に、略円柱形状の超音波発生器14をOリング80を介在して収容し、筐体12は一端部を有し、当該一端部において開口12bされた空間Sを画成し、超音波発生器14は該筐体12の一端部に画成された開口12bに向けて超音波を発生し、該空間Sにガスを供給するガス供給部、該空間Sの排気を行う吸引部を備えると共に、前記開口12bを囲むように筐体12の一端部に弾性を有するシール部材20を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の種々の側面は、パーティクル(Particle)捕集装置及びパーティクルの捕集方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、固体表面に堆積したパーティクルを捕集する装置が記載されている。特許文献1に記載された装置は、固体に対して超音波を照射して、パーティクルを固体表面から離脱させ、また、イオン発生器によりパーティクルを帯電させ、帯電したパーティクルを電気的に捕集するものである。
【0003】
また、特許文献2には、基板の表面に堆積したパーティクルを捕集する装置が記載されている。特許文献2に記載された装置は、基板表面にガスを吹き付けて、基板表面から離脱したパーティクルを吸引するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−180209号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0096195号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2に記載された装置のようなパーティクル捕集装置では、固体や基板といった対象物の表面から離脱させたパーティクルが、空間に散乱して、パーティクルを効率的に捕集できないことがある。
【0006】
したがって、本技術分野においては、パーティクルをより効率的に捕集し得る装置及び方法が要請されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係るパーティクル捕集装置は、筐体、超音波発生器、ガス供給部、吸引部、及び、シール部材を備えている。筐体は、一端部を有しており、当該一端部において開口された空間を画成している。超音波発生器は、筐体内に設けられており、当該筐体の一端部によって画成された開口に向けて超音波を発生する。ガス供給部は、前記空間にガスを供給する。吸引部は、前記空間の排気を行う。シール部材は、弾性を有しており、前記開口を囲むように筐体の一端部に設けられている。
【0008】
このパーティクル捕集装置は、対象物にシール部材を接触させた状態で用いられ得る。したがって、このパーティクル捕集装置では、筐体によって画成された空間が閉じられた状態でパーティクルの捕集が行われる。また、このパーティクル捕集装置では、対象物に対して超音波が照射されることにより、当該対象物からパーティクルが離脱する。したがって、対象物の劣化を抑制しつつ、当該対象物からパーティクルを離脱させることが可能である。そして、閉じられた空間内にガスが供給され、離脱したパーティクルが当該ガスと共に吸引部によって吸引される。その結果、このパーティクル捕集装置によれば、パーティクルを対象物から効率良く離脱させることが可能となり、また、筐体によって画成された空間外へのパーティクルの散乱が抑制される。さらに、ガスの供給及び吸引によりパーティクルの対象物への再付着が抑制され得る。故に、このパーティクル捕集装置によれば、パーティクルの捕集が効率的に行われ得る。また、水や薬液等の異物質を用いず、超音波と共に不活性ガスを供給することで、対象物の汚染を抑制することも可能である。さらに、ガスの供給及び吸引により、筐体内部のクリーニングを行うことも可能であり、上述した空間内を清浄に保つことが可能である。
【0009】
一実施形態においては、ガス供給部は、前記空間に接続したガス噴射孔を画成する一端部を有する供給管を含んでいてもよく、当該ガス噴射孔は、前記開口又は当該開口に平行な面に対して傾斜する方向に延びていてもよい。
【0010】
一実施形態においては、吸引部は、前記空間に接続した吸引孔を画成する一端部を有する吸引管を含んでいてもよく、当該吸引孔は、前記開口又は当該開口に平行な面に対して傾斜する方向に延びていてもよい。また、一実施形態においては、吸引孔は、ガス噴射孔と対称に設けられていてもよい。この実施形態によれば、対象物からのガス及びパーティクルの反射方向において当該ガス及びパーティクルが吸引される。したがって、パーティクルの捕集効率が更に高められ得る。
【0011】
一実施形態においては、ガス供給部は、前記空間に接続したガス噴射孔を画成する一端部を有する供給管を含んでいてもよく、当該ガス噴射孔は、前記開口を含む面に対して平行に延びていてもよい。
【0012】
一実施形態においては、吸引部は、前記空間に接続した吸引孔を画成する一端部を有する吸引管を含んでいてもよく、当該吸引孔は、前記開口を含む面に対して平行に延びていてもよい。また、一実施形態においては、吸引孔は、ガス噴射孔と対称に設けられていてもよい。この実施形態によれば、ガスの噴射方向においてガス及びパーティクルが吸引される。したがって、パーティクルの捕集効率が更に高められ得る。
【0013】
一実施形態においては、吸引部は、一端部を有する吸引管を含んでいてもよく、吸引管の一端部は、前記空間を通って開口に向けて延在しており、且つ、ガス噴射孔と当該吸引管の一端部との間に前記空間を挟むように筐体の内面に沿って延在していてもよい。この実施形態によれば、前記開口、即ち、対象物の近傍においてパーティクルが吸引される。したがって、パーティクルの捕集効率が更に高められ得る。
【0014】
一実施形態においては、吸引部はパーティクルカウンタを含んでいてもよい。この実施形態によれば、高い効率で捕集されたパーティクルの個数を計測することが可能となる。
【0015】
本発明の別の一側面に係るパーティクルの捕集方法は、筐体の一端部によって画成された開口を囲むように当該一端部に設けられたシール部材を対象物に密着させて、当該対象物と当該筐体との間に閉じた空間を画成する工程と、対象物に超音波を照射し、前記空間にガスを供給し、前記空間を排気する工程と、を含む。このパーティクルの捕集方法によれば、パーティクルを対象物から効率良く離脱させることが可能となる。また、前記空間外へのパーティクルの飛散が抑制される。故に、パーティクルの捕集が効率的に行われ得る。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の種々の側面及び種々の実施形態によれば、パーティクルをより効率的に捕集し得る装置及び方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一実施形態に係るパーティクル捕集装置を一部破断して示す平面図である。
【図2】一実施形態に係るパーティクル捕集装置の配管系統を示す図である。
【図3】別の実施形態に係るパーティクル捕集装置の配管系統を示す図である。
【図4】別の実施形態に係るパーティクル捕集装置を一部破断して示す平面図である。
【図5】別の実施形態に係るパーティクル捕集装置を一部破断して示す平面図である。
【図6】別の実施形態に係るパーティクル捕集装置を一部破断して示す平面図である。
【図7】一実施形態に係るパーティクルの捕集方法を示す流れ図である。
【図8】一実施形態に係るパーティクル捕集装置のシール部材が対象物に密着している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0019】
図1は、一実施形態に係るパーティクル捕集装置を一部破断して示す平面図である。図2は、一実施形態に係るパーティクル捕集装置の配管系統を示す図である。図1及び図2に示すパーティクル捕集装置10は、筐体12、超音波発生器14、ガス供給部16、吸引部18、及び、シール部材20を備えている。
【0020】
筐体12は、略筒形状を有しており、軸線Xを中心軸線として延在している。筐体12は、一端において開口されている。この筐体12は、一端部12a(ヘッド)を着脱可能に有している。また、一端部12aは、筐体12に一体に形成してもよい。一端部12aは、軸線X方向において筐体12の先端に存在している。一端部12aは、開口12bを画成している。筐体12の軸線X方向における先端側の部分、即ち、一端部12aを含む部分は、空間Sを画成している。この空間Sは、一端部12aにより開口されている。空間Sの深さは1〜15mmであることが好ましく、1〜10mmであることがより好ましい。
【0021】
筐体12は、第1の部分22a及び第2の部分22bを含んでいる。第1の部分22aは、上述した一端部12aを提供しており、また、空間Sを画成している。筐体12、アルミニウム又はステンレスといった金属材料から構成されていてもよい。或いは、筐体12は、樹脂基材に金属コーティングを施すことによって構成されていてもよい。筐体12、特に筐体12において空間Sを画成する部分の表面は、鏡面状態を有していてもよい。鏡面状態の表面を得るためには、例えば電解研磨等を用いることができる。空間Sを画成する部分の表面が鏡面状態を有することにより、当該表面へのパーティクルの付着が抑制され得る。筐体12の第1の部分22aの先端面には、環状に溝が形成されている。この溝には、弾性を有する環状のシール部材20が嵌め込まれている。このシール部材20は、例えば、フッ素系樹脂製のOリングであってもよい。
【0022】
第2の部分22bは、第1の部分22aの後方側に、例えば、ねじ等の固定部材で固定される(図示せず)。第2の部分22bの後端は、当該第2の部分22bに対して着脱可能な蓋体22cによって閉じられている。第2の部分22bは、その内部空間に超音波発生器(ホーン)14を収容している。一実施形態においては、超音波発生器14は、略円柱形状を有しており、軸線Xに沿って延在する。超音波発生器14は、本体内に超音波振動子を内蔵し得る。超音波発生器14の本体は、例えば、ステンレス材によって構成されていてもよい。筐体12の第2の部分22bの内面と超音波発生器14のとの間には、Oリング80が介在している。Oリング80により、筐体12は、その後端側において封止されている。超音波発生器14の先端面(ホーン面)14aは、第1の部分22aを貫通して空間Sに露出しており、当該空間Sを介して開口12bに対面している。この超音波発生器14は、先端面14aから発生した超音波を開口12bを介して対象物面(パーティクルを含む面)に向けて照射する。この超音波発生器14が発生する超音波の周波数は、例えば、15KHz〜1000KHzであることが好ましく、15KHz〜200KHzであることがより好ましい。一実施形態においては、超音波発生器14には、制御部90が接続されている。制御部90は、超音波発生器14に対して電気信号を供給する。この電気信号により、超音波発生器14に超音波を発生するための電力が与えられ、また、発振する超音波のパワー及び周波数が制御される。
【0023】
一実施形態においては、超音波発生器14は、筐体12から分離可能となっている。超音波発生器14は、例えば、蓋体22cを第2の部分22bから取り外すことにより、筐体12から取り出すことができる。また、一実施形態においては、超音波発生器14は、移動機構82によって軸線Xに沿って移動可能である。移動機構82は、例えば、送りネジによって構成され得る。送りねじは、蓋体22cに回転可能に取り付けられ、蓋体22cを貫通して超音波発生器14に螺合され得る。また、筐体12には、超音波発生器14の軸線X中心の回転を規制する手段(図示せず)が設けられ得る。かかる構成によれば、送りねじを回転させることにより、超音波発生器14の先端面14aの軸線X方向の位置を調整することが可能である。即ち、先端面14aと対象物面との距離を調整することができる。一実施形態においては、移動機構82は、ボールねじによって構成されていてもよい。なお、超音波発生器14の先端面14aと筐体12の先端、即ち開口12bとの間の距離は、1〜15mmの範囲であることが好ましく、1〜10mmであることがより好ましい。つまり、先端面14aは、対象物面に近いほどよい。特に、先端面14aの位置は、超音波を発信した際に、定在波を効率良く発生する位置が良い。
【0024】
次に、図2を参照する。ガス供給部16は、ガスを空間Sに供給する。ガス供給部16から空間Sに供給されるガスの流量は、例えば、0.1〜500L/minであることが好ましく、より好ましくは5〜200L/minであり得る。一実施形態においては、図2に示すように、ガス供給部16は、ガス供給系34、及び、供給管42を含んでいる。
【0025】
ガス供給系34は、流量制御されたガスを供給管42に供給する。ガス供給系34によって供給されるガスは、不活性ガスであり、例えば、Nガス又はArガスである。供給管42は、ガス供給系34からのガスを空間Sに供給するガス供給ラインを画成している。
【0026】
図1を参照すると、供給管42は、一実施形態においては、導管42aを含んでいる。この導管42aは、筐体12に組み付けられており、当該筐体12に形成されたガス噴射孔42bに接続されている。即ち、一実施形態においては、筐体12が供給管42の一部、即ち供給管42の一端部を構成している。
【0027】
一実施形態においては、ガス噴射孔42bは、開口12bを含む面又は当該面に平行な面に対して傾斜する方向に延びている。即ち、図2に示すように、ガス噴射孔42bは、軸線Xに交差する方向に延びている。このガス噴射孔42bからは、ガスが開口12bに対して傾斜する方向に噴射される。
【0028】
再び図2を参照する。吸引部18は、空間Sを排気する。吸引部18の吸引量は、例えば、0.1L/min〜500L/minであることが好ましく、より好ましくは5〜200L/minであり得る。一実施形態においては、図2に示すように、吸引部18は、パーティクルカウンタ44、及び、吸引管46を含んでいる。
【0029】
パーティクルカウンタ44は、空間Sを排気する排気機能を有し、且つ、吸引したパーティクルの個数を計数する機能を有している。このパーティクルカウンタ44は、吸引管46に接続されている。
【0030】
図1を参照すると、吸引管46は、一実施形態においては、導管46aを含んでいる。この導管46aは、筐体12に組み付けられており、当該筐体12に形成された吸引孔46bに接続されている。即ち、一実施形態においては、筐体12が吸引管46の一部、即ち、吸引管46の一端部を構成している。
【0031】
一実施形態においては、吸引孔46bは、開口12bを含む面又は当該面に平行な面に対して傾斜する方向に延びている。また、一実施形態においては、吸引孔46bは、ガス噴射孔42bと対称に設けられていてもよい。即ち、図1に示すように、吸引孔46bは、軸線Xに対してガス噴射孔42bと略線対称に設けられていてもよい。
【0032】
かかるパーティクル捕集装置10は、対象物に付着したパーティクルの個数を計測することが可能である。この対象物は、例えば、半導体製造装置のチャンバ内の部品等である。パーティクル捕集装置10は、その使用時に、対象物に対してシール部材20を接触させた状態で用いられる。この状態では、空間Sが、筐体12、シール部材20、及び対象物により閉じられる。そして、超音波発生器14の先端面14aから発生された超音波が、対象物に向けて照射される。これにより、パーティクルが対象物から離脱する。したがって、対象物の劣化を抑制しつつ、当該対象物からパーティクルを離脱させることが可能である。また、離脱したパーティクルが、ガス噴射孔42bから空間Sに供給されたガスと共に吸引孔46bからパーティクルカウンタ44に吸引される。したがって、パーティクル捕集装置10によれば、閉じられた空間S内で効率良くパーティクルを捕集することができ、且つ、捕集したパーティクルの個数を計数することが可能である。さらに、パーティクル捕集装置10では、ガスの供給及び吸引によりパーティクルの対象物への再付着が抑制され得る。また、水や薬液等の異物質を用いず、超音波と共に不活性ガスを供給することで、対象物の汚染を抑制することも可能である。さらに、ガスの供給及び吸引により、筐体12内部のクリーニングを行うことも可能であり、空間S内を清浄に保つことが可能である。
【0033】
また、ガス噴射孔42bから噴射されたガスが対象物によって反射される方向に吸引孔46bが設けられている実施形態では、対象物にダメージを与えることなくパーティクルを更に効率良く捕集することが可能である。
【0034】
以下、実施例を挙げて本発明について更に詳しく説明をするが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例のパーティクル捕集装置では、開口12b及び空間Sの直径を22mmとし、開口12bから超音波発生器14の先端面14aまでの距離を15mmとした。パーティクルカウンタ44としては、Particle Measuring Systems社(米国)製のμLPC−0710を用いた。また、超音波発生器14から22KHzの周波数の超音波を発生させ、吸引部18の吸引量を28.3L/minとした。
【0035】
本実施例のパーティクル捕集装置を用いて、対象物からのパーティクルの捕集を行った。この対象物は、半導体製造装置内の構成部品として使用されたセラミック部材であり、純水中で40KHzの周波数の超音波を用いて5分間洗浄して得たものである。
【0036】
また、比較例として、ペンタゴン社(米国)製のSurface Particle Detecotor QIII+を用いて、実施例と同じ対象物に対してパーティクルの捕集を行った。なお、比較例においても、ガスの吸引量を28.3L/minとした。
【0037】
表1に実施例と比較例において収集したパーティクルの個数を示す。表1に示す粒径及びパーティクルの個数は、実施例のパーティクルカウンタの測定結果出力、比較例のSurface Particle Detecotor QIII+の測定結果出力によるものである。表1から分かるように、比較例の装置が測定可能である0.3μmより大きな粒径の範囲においては、実施例のパーティクル捕集装置は、比較例の装置よりも高効率にパーティクルを捕集できることが確認された。また、実施例のパーティクル捕集装置では、0.3μm以下の粒径のパーティクルも捕集することが可能であった。
【表1】

【0038】
以下、別の実施形態について説明する。図3は、別の実施形態に係るパーティクル捕集装置の配管系統を示す図である。図3に示すように、一実施形態では、パーティクル捕集装置10のパーティクルカウンタ44に代えて、排気装置50が用いられてもよい。排気装置50は、弁48を介して吸引管46に接続され得る。排気装置50を有するパーティクル捕集装置10は、例えば、対象物のクリーニングに用いられ、対象物にダメージを与えることなく対象物の面を清浄化することができる。
【0039】
以下、更に別の実施形態について説明する。図4は、別の実施形態に係るパーティクル捕集装置を一部破断して示す平面図である。図4に示すパーティクル捕集装置10Aでは、ガス噴射孔42bに代えてガス噴射孔42Abが、吸引孔46bに代えて吸引孔46Abが筐体12に形成されている。
【0040】
ガス噴射孔42Abは、開口12bを含む面と平行に、即ち、軸線Xと直交する方向に延びるように、筐体12の第1の部分22aに形成されている。吸引孔46Abは、軸線Xと直交する方向に延びるように筐体12の第1の部分22aに形成されている。また、一実施形態においては、吸引孔46Abは、ガス噴射孔42Abと対称に、即ち、軸線Xに対してガス噴射孔42Abと線対称に設けられていてもよい。
【0041】
かかるパーティクル捕集装置10Aにおいても、パーティクルを高効率に捕集することができる。また、ガス噴射孔42Abからのガスの噴射方向に吸引孔46Abが設けられている実施形態によれば、対象物にダメージを与えることなくパーティクルを更に高効率に捕集することができる。
【0042】
次に図5を参照する。図5は、別の実施形態に係るパーティクル捕集装置を一部破断して示す平面図である。図5に示すパーティクル捕集装置10Bでは、吸引管46は、導管46a及び導管46cを含んでいる。
【0043】
導管46cは、導管46aに接続されている。導管46cは、吸引管46の一端部を構成している。導管46cは、空間Sを通って、開口12bに向けて延在している。また、導管46cは、軸線Xと直交する方向において、噴射孔42bと当該導管46cとの間に空間Sを挟むように、空間Sを画成する筐体12の第1の部分22aの内面に沿って延在しており、軸線Xと平行に延在している。
【0044】
パーティクル捕集装置10Bでは、導管46c、即ち、吸引管46の先端を開口12bに近付けることができ、当該吸引管46の先端からパーティクルを吸引することが可能である。したがって、パーティクル捕集装置10Bによれば、対象物にダメージを与えることなくパーティクルを高効率に捕集することが可能である。
【0045】
次に、図6を参照する。図6は、別の実施形態に係るパーティクル捕集装置を一部破断して示す平面図である。図6に示すパーティクル捕集装置10Cでは、吸引管46の構成は、パーティクル捕集装置10Bの吸引管46の構成と同様である。ここで、図5に示すパーティクル捕集装置10Bでは、ガス噴射孔42bが図1のパーティクル捕集装置10のガス噴射孔42bと同様に、軸線Xに対して傾斜する方向に延びている。一方、図6に示すパーティクル捕集装置10Cでは、ガス噴射孔42Abが図4のパーティクル捕集装置10Aのガス噴射孔42Abと同様に、軸線Xに対して直交する方向に延びている。このパーティクル捕集装置10Cでも、対象物にダメージを与えることなくパーティクルを高効率に捕集することが可能である。
【0046】
以下、一実施形態に係るパーティクル捕集方法について説明する。図7は、一実施形態に係るパーティクルの捕集方法を示す流れ図である。以下、図1に示した実施形態のパーティクル捕集装置を用いた場合のパーティクルの捕集方法について説明するが、図7に示すパーティクルの捕集方法には、上述した任意の実施形態のパーティクル捕集装置を用いることができる。
【0047】
図7に示すように、一実施形態に係るパーティクルの捕集方法においては、まず、工程S1において、シール部材20が対象物に密着される。図8は、一実施形態に係るパーティクル捕集装置のシール部材が対象物に密着している状態を示す図である。図8に示すように、シール部材20が対象物Tに密着すると、筐体12によって画成された空間Sは、対象物Tの表面によって閉じられる。即ち、筐体12と対象物Tとの間に閉じた空間Sが画成される。
【0048】
次いで、工程S2において、超音波発生器14から対象物Tに向けて超音波が照射され、ガス供給部16から空間Sにガスが供給され、吸引部18によって空間Sが排気される。これにより、対象物Tからパーティクルが離脱し、離脱したパーティクルが、ガス供給部16から供給されたガスと共に吸引部18によって吸引される。また、パーティクルが空間Sの外部に飛散することが抑制される。したがって、一実施形態のパーティクル捕集方法によれば、対象物にダメージを与えることなく高効率にパーティクルを捕集することができる。
【0049】
上述した種々の実施形態のパーティクル捕集装置では、筐体12内部での超音波発生器14の軸線X方向の位置を調整することができる。したがって、対象物の材質や捕集するパーティクルの粒径や形状に応じて対象物と超音波発生器14の先端面14aとの距離を調整して、対象物にダメージを与えることなくパーティクルの捕集効率を向上することが可能である。
【0050】
また、上述した種々の実施形態のパーティクル捕集装置では、超音波発生器14と筐体12が分離可能である。したがって、対象物の表面形状に応じた先端形状を有する筐体を超音波発生器14と組み合わせることができる。これにより、例えば湾曲した表面を有する対象物からも、対象物にダメージを与えることなくパーティクルを捕集することが可能となる。また、筐体12を分離して当該筐体12を洗浄することが可能である。
【0051】
以上、種々の実施形態について説明してきたが、上述した実施形態に限定されることなく種々の変形態様を構成可能である。例えば、上述した各種実施形態における供給管及び吸引管の構成の任意の組合せを用いることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
10…パーティクル捕集装置、12…筐体、12a…一端部、12b…開口、14…超音波発生器、14a…先端面、16…ガス供給部、18…吸引部、20…シール部材、42…供給管、42b,42Ab…ガス噴射孔、44…パーティクルカウンタ、46…吸引管、46b,46Ab…吸引孔、S…空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部を有し、該一端部において開口された空間を画成する筐体と、
前記筐体の前記一端部によって画成された開口に向けて超音波を発生する超音波発生器と、
前記空間にガスを供給するガス供給部と、
前記空間を排気する吸引部と、
弾性を有するシール部材であって前記開口を囲むように前記一端部に設けられた該シール部材と、
を備えるパーティクル捕集装置。
【請求項2】
前記ガス供給部は、前記空間に接続したガス噴射孔を画成する一端部を有する供給管を含み、
前記ガス噴射孔は、前記開口又は該開口に平行な面に対して傾斜する方向に延びている、
請求項1に記載のパーティクル捕集装置。
【請求項3】
前記吸引部は、前記空間に接続した吸引孔を画成する一端部を有する吸引管を含み、
前記吸引孔は、前記開口又は該開口に平行な面に対して傾斜する方向に延びている、
請求項2に記載のパーティクル捕集装置。
【請求項4】
前記ガス供給部は、前記空間に接続したガス噴射孔を画成する一端部を有する供給管を含み、
前記ガス噴射孔は、前記開口を含む面に対して平行に延びている、
請求項1に記載のパーティクル捕集装置。
【請求項5】
前記吸引部は、前記空間に接続した吸引孔を画成する一端部を有する吸引管を含み、
前記吸引孔は、前記開口を含む面に対して平行に延びている、
請求項4に記載のパーティクル捕集装置。
【請求項6】
前記吸引部は、一端部を有する吸引管を含み、
前記吸引管の前記一端部は、前記空間を通って前記開口に向けて延在しており、且つ、前記ガス噴射孔と該吸引管の該一端部との間に前記空間を挟むように前記筐体の内面に沿って延在している、
請求項2又は4に記載のパーティクル捕集装置。
【請求項7】
前記吸引部は、パーティクルカウンタを含む、請求項1〜6の何れか一項に記載のパーティクル捕集装置。
【請求項8】
筐体の一端部によって画成された開口を囲むように該一端部に設けられたシール部材を対象物に密着させて、該対象物と該筐体との間に閉じた空間を画成する工程と、
前記対象物に超音波を照射し、前記空間にガスを供給し、前記空間を排気する工程と、
を含むパーティクルの捕集方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−71083(P2013−71083A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213229(P2011−213229)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】