説明

パーマネントの処理方法

【課題】 従来のパーマネントの処理方法は、毛髪に、チオグリコール酸を含む第一剤を塗布し、シスチンによる結合を切断した後、中間酸リンスを行い、ブロム酸を含む第二剤を塗布し、前記毛髪中にシスチンによる結合を再生することにより、パーマウェーブ(カール)を固定することを特徴とする、パーマネントの処理方法である。この処理ほうほうでは、毛髪へのダメージの軽減と、永続性が充分でなく、所望するパーマウェーブの仕上がりも充分ではなかった。
【解決手段】 本発明は、第一段階還元工程→ワインディング工程→第二段階還元工程→還元作用時間工程→第一段階酸化工程→中間水洗工程→結合時間工程→第二段階酸化工程→ロッドアウト工程→シャンプー工程→ブロー工程を順に行う方法であり、さらに、テストカール工程を、還元作用時間工程後に行うパーマネントの処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーマネントの処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のパーマネントの処理方法に関し、一つ、又は複数の工程において加温する方法が用いられてきたが、毛髪へのダメージと、加温装置等の設備、手間、及び煩わしさをなくすため、また、ダメージの少ないパーマネントウェーブを、より長く、より美しく、保持するために、室温(加温しない)において全てのパーマネントの処理方法工程を行うことが所望されている。そこで、主に室温においてパーマネントの処理を行うことができる技術について、文献を基に以下に説明する。
【0003】
まず、文献(1)として、特公昭63−58805号の「コールドパーマ用中間リンス剤」がある。この発明は、毛髪に、ケラチン還元性物質であるチオグリコール酸を含む、アルカリ性の第一剤を塗布し、前記毛髪中のシスチンによる結合を一旦切断した後、この毛髪中に残留する前記第一剤のアルカリを中和するために、毛髪成分タン白質の等電点付近のPhをもつ緩衝作用を有する弱酸性の中間水性酸組成物(コールドパーマ用中間リンス)による中間酸リンスを行い、その後、ブロム酸のような酸化剤を含む第二剤を塗布し、前記毛髪中にシスチンによる結合を再生することにより、パーマウェーブ(カール)を固定化することを特徴とする、パーマネントの処理方法である。そして、この発明は、緩衝作用を有する弱酸性の中間水性酸組成物により、前記第一剤により局部的に過剰に酸が作用した部分が急収縮して毛髪が損傷することを防ぎ、また、第一剤が未反応のまま毛髪中に残留した遊離チオグリコール酸等と反応して、これらを無害化することを意図する。
【0004】
また、文献(2)として、米国特許第6,173,717号の「過剰カールさせない酸性水性中間リンスを用いたパーマの方法」がある。この発明は、毛髪に、アルカリ性のケラチン還元性物質からなる第一剤を室温で5分〜30分塗布する、次に水洗して、さらにPh2〜6.5の中間水性酸組成物(酸性水性中間リンス)を塗布する。そして、この状態から、前記毛髪をロッド(カーラー)に巻きつけて、室温で5分〜30分休ませる。その後、過酸化水素等の第二剤により固定化を図り、前記毛髪からロッドをはずし、水洗とシャンプー(洗髪)をして、ブローすることを特徴とする、パーマネントの処理方法である。そして、この発明は、パーマ整髪と毛髪全体のボリューム感を上製することを意図する。
【0005】
さらに、文献(3)として、特開2008−50274の「毛髪処理方法」がある。この発明は、ケラチン還元性物質としてチオグリコール酸、システアミンを含む、Phが7.5〜11である第一剤(毛髪処理剤)を毛髪に塗布して、一定時間放置した後に水洗し、この水洗後に第二剤(毛髪変形剤)を塗布することを特徴とする、パーマネントの処理方法である。そして、この発明は、前記第一剤が、5〜3重量%のシステアミン、1〜6重量%のアミノ変性シリコーン、油剤および増粘物質を含有することで、毛髪の損傷を防止しながら弾力性および手触り感が良く、かつ高いウェーブ力を有するウェーブが形成することを意図する。
【0006】
そして、文献(4)として、特開2002−114651の「有機吸収剤を使用するケラチン物質のパーマネント変形方法」がある。この発明は、チオグリコール酸、システアミンをケラチン還元性物質(還元性組成物(a))として使用することを特徴とする、パーマネントの処理方法である。そして、この発明は、少なくとも一つの有機吸収剤(架橋したカルボキシメチルセルロースナトリウム、変性デンプン又はこれらの混合物)を含む即時使用可能なケラチン還元性物質を使用することで、毛髪を均一に変形し、カールさせ、又は巻き毛にする一方で、頭皮を敏感にし、かつ刺激する危険性の回避、並びに残留期間中に発生する不愉快な臭いを少なくすることを意図する。
【0007】
また、文献(5)として、特開2009−234987の「一価の金属カチオン又はアンモニウム塩及び有機酸を含有する中間のすすぎ組成物を塗布する工程を含むケラチン繊維をパーマネント変形させる方法」がある。この発明は、ケラチン還元性物質としてチオグリコール酸、システアミンを含む第一剤を使用すること、過酸化水素を含む第二剤を使用することを特徴とする、パーマネントの処理方法である。そして、この発明は、前記第一剤(還元性組成物)の塗布工程と、中間水性酸組成物(中間のすすぎ組成物)の塗布工程の間か、又は中間水性酸組成物の塗布工程と、第二剤(酸化組成物)の塗布工程の間に、水でのすすぎ工程がないことにより、毛髪の人工的な着色(カラー)を劣化させることなく、美容特性を損なわないことを意図する。
【0008】
さらに、文献(6)として、特開2008−162896の「毛髪形状制御剤第1剤」がある。この発明は、第一剤として、チオグリコール酸、システイン、及びジチオジグリコール酸を特定の割合で使用することを特徴とする、パーマネントの処理方法である。そして、この発明は、特定の割合で組成した前記第一剤の使用により、毛髪に、損傷、特に形状の異常を与えることがなく、しかもパーマ形付け効果に優れる第一剤ことを意図する。
【0009】
そして、文献(7)として、特開平10−337211号の「還元工程のPh値を最初は高く、後に低くした毛髪のパーマネント加工法」がある。この発明は、a)毛髪をロッド(カーラー)に巻き、b)この毛髪にケラチン還元性物質を基本とする第一剤(アルカリ性パーマネント加工剤)を付与し、c)この第一剤を室温において7〜10分間作用させ、d)毛髪を、水で予め洗浄することなく、Ph2〜6.8の中間水性酸組成物(酸性水性中間洗浄液)50〜2000ミリリットルを用いて、処理し、e)必要に応じて巻いた状態の毛髪から過剰の液体を拭き取り、f)上記中間水性酸組成物を室温において10〜30分間作用させ、この場合に、工程f)の作用時間を工程c)の作用時間の二倍以上とし、g)必要に応じて水で洗浄し、h)ロッドをはずす前に、及び/又は、はずした後に、前記毛髪に酸化剤を基本とする第二剤(固定剤)で処理し、i)作用時間終了後、第二剤を水あるいはシャンプーを用いて前記毛髪から洗い流すことを特徴とする、パーマネントの処理方法である。そして、この発明は、加工形態、カールの弾力性ないしは反発力、さらには艶や櫛通りなどの毛髪の保護特性に関して良好な結果をもたらすことを意図する。
【0010】
また、文献(8)として、特開2009−7293の「パーマ2液」がある。この発明は、第一剤(1液)を塗布後に、ワインディングし、ヘアリフォーマーとヘアキャップにて放置する。次に、テストカールにより確認をしてから、第二剤(2液)を塗布して、ヘアリフォーマーとヘアキャップにて放置する。その後、ロッドアウトして、プレーンリンス後にセットアップ(ブロー)を行うことを特徴とする、パーマネントの処理方法である。そして、この発明は、所望のカールをかける処理プロセスや、外観上毛髪のパーマの出来映えを、より向上させることを意図する。
【0011】
さらに、文献(9)として、特開2004−2242の「毛髪処理方法」がある。この発明は、次の工程(手順)のいずれか一以上の工程中に毛髪に形付けを行うものとする。まず、ケラチン還元性物質を含む第一剤を毛髪に塗布し、1〜120分間放置後、緩衝能を有し、Ph1〜5である中間水性酸組成物(中間処理剤)を毛髪に適用し、必要に応じて毛髪を水ですすぎ、酸化剤を含む第二剤を前記毛髪に塗布し、1〜60分間放置後、この毛髪を水ですすぎ、乾燥することを特徴とする、パーマネントの処理方法である。そして、この発明は、くせや縮れの多い毛髪であっても、それを矯正しながらロッドに形付けすることから、きれいに整ったカールを実現することを意図する。
【0012】
そして、文献(10)として、特開2009−137886の「毛髪形状制御剤第一剤」がある。この発明は、第一剤に、(A)毛髪ケラチン還元性物質、(B)α,ω−ジカルボン酸又はその塩毛髪形状制御剤、(C)ポリオール、及び(D)有機アルカリ剤又はアンモニアを含有し、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩を実質的に含有しない毛髪形状制御剤第一剤を使用し、この第一剤を洗い流すには、水洗のみでもよく、酸性処理液を併用してもよいことを特徴とする、パーマネントの処理方法である。そして、この発明は、毛髪に損傷を与えず、しかも保存安定性に役立つことを意図する。
【0013】
また、文献(11)として、特開2009−256287の「パーマネントウェーブ用又は縮毛矯正用中間処理剤組成物」がある。この発明は、炭素数4〜6の不飽和ジカルボン酸と、炭素数12〜24の直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和アルコールとのエステル化合物の1種以上を含有する中間水性酸組成物(中間処理剤組成物)を使用することを特徴とする、パーマネントの処理方法である。また、この中間水性酸組成物のPhは3〜10に調整することが望ましく、レブリン酸を使用することが挙げられている。この発明は、毛髪の損傷を防止し、施術後の毛髪に良好な感触を付与すると共に、損傷した毛髪に対しても均一で良好なウェーブを形成することを意図する。
【0014】
さらに、文献(12)として、特開2007−84491の「パーマネントウェーブ処理方法、及び、パーマネントウェーブ組成物」がある。この発明は、毛髪に、1)メルカプタン、及びジスルフィドを含む、第一剤を塗布し、塗布後5〜25分間放置して、この毛髪を軟化させる毛髪軟化工程。2)洗浄・乾燥工程。3)第2剤処理・水洗工程で行うことを特徴とする、パーマネントの処理方法である。そして、この発明は、前期2)洗浄・乾燥工程において、中間水洗後の風乾により、水素結合が閉鎖している状態なので、この状態となった後に、第二剤によって処理を行うと、風乾によって乾燥されたときの、ロッドに巻かれたウェーブ状態が毛髪に記憶されることになり、従来のパーマネントウェーブ処理ではなし得なかった乾燥状態でのしっかりとしたウェーブ形成が可能な、ロッドに忠実な、強いウェーブ形成が可能となり、乾燥してもウェーブが緩くならず、かつ、初期のウェーブ状態を長期間持続することができ、簡単で安全確実に施術し、かつ施術時間の短縮を意図する。
【0015】
そして、文献(13)として、特開2001−72557の「加温二浴式パーマ用剤並びにそれを用いた毛髪のパーマ処理方法」がある。この発明は、第一剤処理後に中間水性酸組成物(酸リンス)の処理を施し、次に中間水洗を行ない、更に、ドライヤーにて毛髪の乾燥を行ない、その後、毛髪を酸化定着させるため、第二液を塗布する。塗布は二度付けで行う。次に、毛髪表面の第二液を、シャンプー剤を用いて水洗、除去することを特徴とする、パーマネントの処理方法である。そして、この発明は、一つの薬液にて、ストレートヘア、パーマネントウェーブヘア、アイロンパーマヘアの全てができ、しかも、安全で、かつ毛髪を傷めないことを意図する。
【0016】
【特許文献1】特公昭63−58805号
【特許文献2】米国特許第6,173,717号
【特許文献3】特開2008−50274
【特許文献4】特開2002−114651
【特許文献5】特開2009−234987
【特許文献6】特開2008−162896
【特許文献7】特開平10−337211号
【特許文献8】特開2009−7293
【特許文献9】特開2004−2242
【特許文献10】特開2009−137886
【特許文献11】特開2009−256287
【特許文献12】特開2007−84491
【特許文献13】特開2001−72557
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
前記文献(1)〜(11)は、いずれも良好なパーマネントに関する組成物、又は処理方法であるが、アルカリ性の第一剤により、シスチン結合を切断し(還元し)、毛髪の形状をロッド等で形付け、酸性の第二剤により、この形状を固定することを目的としたパーマネントの処理(施術)である。しかしながら、還元性物質による還元作用(軟化作用)は、毛髪に大きなダメージを与えやすく、Phをあげないように還元することが、所望されている。また、前記文献(12)及び(13)は、中間水洗工程の後に、風乾(毛髪の乾燥)を行うことで、軟化後の(形付けした)毛髪を、内部の構造に至るまで、固定する効果を期待できるが、手間と時間、及び/又は風乾専用の装置が必要になり、実益に乏しいのが現状である。
【0018】
従って、第一剤、酸リンス剤、並びに第二剤を用いることは類似するが、前記文献(1)〜(13)の発明では、本発明が意図する下記の目的、又は効果、並びに方法は備えていない。
[イ] コールドパーマ(熱を用いないパーマ)で、パーマネントの処理を行うことができる。
[ロ] 二段階の還元工程により、毛髪のダメージを抑えての還元が、充分にできる。
[ハ] 第一段階酸化工程により、残留アルカリを中和する(第ニ剤の酸化作用をスムーズに行うことを意図する)と同時に、毛髪外側のキューティクルを固定することができる。
[ニ] 結合時間工程により、毛髪内側のコルテックスのズレが充分にできる。
[ホ] 二段階の酸化工程により、前記キューティクルと、前記コルテックスを段階的に固定することができる。
[ヘ] 毛髪、又は頭皮にダメージを与えずに、パーマネントのウェーブ形状を半永久的に保持できる。
[ト] パーマネントの処理後の毛髪(髪型)が、質感が良好で、かつ軽いイメージに仕上げることができる。
[チ] 前記二段階の還元工程と、前記二段階の酸化工程により、毛髪の内部構造のズレを確保し、このズレを固定することで、洗髪(シャンプー)をすることができ、これにより、パーマネントの処理による不快感、疲労感、並びに倦怠感を払拭する(和らげる)ことができる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
請求項1の発明は、前記[イ]〜[チ]を意図する。
【0020】
請求項1は、二段階の還元工程、二段階の酸化工程、及び仕上げ工程からなる、パーマネントの処理方法であって、
前記二段階の還元工程は、
(1−1)毛髪にケラチン還元性物質であるチオグリコール酸を含む、第一剤を塗布する、第一段階還元工程と、
(1−2)この毛髪にロッドを巻く、ワインディング工程の後、
(1−3)さらに、ケラチン還元性物質であるシステアミン、又はラクトンチオールを含む、別の第一剤を塗布する、第二段階還元工程と、
(1−4)室温で10分放置する、還元作用時間工程とで構成する。
【0021】
前記二段階の酸化工程は、
(2−1)前記毛髪を、中間水性酸組成物となるレブリン酸を含む、酸リンス剤を塗布する、第一段階酸化工程と、
(2−2)この毛髪を水ですすぐ、中間水洗工程の後、
(2−3)室温で5分放置する、結合時間工程と、
(2−4)前記毛髪を、酸化剤となるブロム酸、又は過酸化水素を含む、第二剤を二度に分けて塗布する、第二段階酸化工程とで構成する。
【0022】
前記仕上げ工程は、
(3−1)前記毛髪からロッドをはずすロッドアウト工程の後、
(3−2)この毛髪を洗髪する、シャンプー工程を経て、
(3−3)乾燥する、ブロー工程である。
【0023】
請求項2の発明は、前記[ロ」及び[ヘ]〜[チ]を意図する。
【0024】
請求項2は、請求項1に記載のパーマネントの処理方法において、
前記二段階の還元工程のいずれかに、前記毛髪の還元具合を確認する、テストカール工程を行うパーマネントの処理方法である。
【0025】
請求項3の発明は、前記[ハ」及び[ヘ]〜[チ]を意図する。
【0026】
請求項3は、請求項1に記載のパーマネントの処理方法において、
前記中間水性酸組成物を1000ミリリットル〜2000ミリリットル塗布する、パーマネントの処理方法である。
【発明の効果】
【0027】
請求項1の発明は、二段階の還元工程、二段階の酸化工程、及び仕上げ工程からなる、パーマネントの処理方法であって、
前記二段階の還元工程は、
(1−1)毛髪にケラチン還元性物質であるチオグリコール酸を含む、第一剤を塗布する、第一段階還元工程と、
(1−2)毛髪にロッドを巻く、ワインディング工程の後、
(1−3)さらに、ケラチン還元性物質であるシステアミン、又はラクトンチオールを含む、別の第一剤を塗布する、第二段階還元工程と、
(1−4)室温で10分放置する、還元作用時間工程とで構成する。
【0028】
前記二段階の酸化工程は、
(2−1)毛髪を、中間水性酸組成物となるレブリン酸を含む、酸リンス剤を塗布する、第一段階酸化工程と、
(2−2)毛髪を水ですすぐ、中間水洗工程の後、
(2−3)室温で5分放置する、結合時間工程と、
(2−4)毛髪を、酸化剤となるブロム酸、又は過酸化水素を含む、第二剤を二度に分けて塗布する、第二段階酸化工程とで構成する。
【0029】
前記仕上げ工程は、
(3−1)毛髪からロッドをはずすロッドアウト工程の後、
(3−2)毛髪を洗髪する、シャンプー工程を経て、
(3−3)乾燥する、ブロー工程である。
【0030】
従って、請求項1は、下記の特徴を有する。
[イ] コールドパーマ(熱を用いないパーマ)で、パーマネントの処理を行うことができる。
[ロ] 二段階の還元工程により、毛髪のダメージを抑えての還元が、充分にできる。
[ハ] 第一段階酸化工程により、残留アルカリを中和する(第ニ剤の酸化作用をスムーズに行うことを意図する)と同時に、毛髪外側のキューティクルを固定することができる。
[ニ] 結合時間工程により、毛髪内側のコルテックスのズレが充分にできる。
[ホ] 二段階の酸化工程により、前記キューティクルと、前記コルテックスを段階的に固定することができる。
[ヘ] 毛髪、又は頭皮にダメージを与えずに、パーマネントのウェーブ形状を半永久的に保持できる。
[ト] パーマネントの処理後の毛髪(髪型)が、質感が良好で、かつ軽いイメージに仕上げることができる。
[チ] 前記二段階の還元工程と、前記二段階の酸化工程により、毛髪の内部構造のズレを確保し、このズレを固定することで、洗髪(シャンプー)をすることができ、これにより、パーマネントの処理による不快感、疲労感、並びに倦怠感を払拭する(和らげる)ことができる。
【0031】
請求項2の発明は、請求項1に記載のパーマネントの処理方法において、
二段階の還元工程のいずれかに、毛髪の還元具合を確認する、テストカール工程を行うパーマネントの処理方法である。
【0032】
従って、請求項2は、前記[ロ」及び[ヘ]〜[チ]の特徴を有する。
【0033】
請求項3の発明は、請求項1に記載のパーマネントの処理方法において、
中間水性酸組成物を1000ミリリットル〜2000ミリリットル塗布する、パーマネントの処理方法である。
【0034】
従って、請求項3は、前記[ハ」及び[ヘ]〜[チ]の特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1−1】本発明においての第一段階還元工程を示した模式図
【図1−2−1】本発明においての毛髪にロッドを巻いている、ワインディング工程(の途中)を示した模式図
【図1−2−2】本発明においての毛髪にロッドを巻いている、ワインディング工程(の完了)を示した模式図
【図1−3】本発明においての第二段階還元工程を示した模式図
【図1−4】本発明においての還元作用時間工程を示した模式図
【図2−1】本発明においての第一段階酸化工程を示した模式図
【図2−2】本発明においての中間水洗工程を示した模式図
【図2−3】本発明においての結合時間工程を示した模式図
【図2−4】本発明においての第二段階酸化工程を示した模式図
【図3−1】本発明においてのロッドアウト工程を示した模式図
【図3−2】本発明においてのシャンプー工程を示した模式図
【図3−3】本発明においてのブロー工程を示した模式図
【図4】本発明においてのテストカール工程を示した模式図
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明のパーマネントの処理方法は、
従来の前処理後、(1−1)第一段階還元工程→(1−2)ワインディング工程→(1−3)第二段階還元工程→(1−4)還元作用時間工程→(2−1)第一段階酸化工程→(2−2)中間水洗工程→(2−3)結合時間工程→(2−4)第二段階酸化工程→(3−1)ロッドアウト工程→(3−2)シャンプー工程→(3−3)ブロー工程を順に行う方法であり、さらに、テストカール工程を、前記(1−4)還元作用時間工程の後に行うことが望ましい。
【0037】
前記(1−1)〜(1−4)で「二段階の還元工程」を構成し、また、前記の(2−1)〜(2−4)で「二段階の酸化工程」を構成し、そして、前記(3−1)〜(3−3)で「仕上げ工程」を構成する。
【0038】
本発明の実施例を以下、工程の順に説明する。
【0039】
まず、パーマネントの処理工程の前処理として、毛髪Hを洗髪、又は水洗する。この洗髪、又は水洗をすることにより、毛髪Hの余分な油分や整髪料等を洗い流し、後述する、第一剤1等の薬剤の塗布が、容易に、かつムラなく、効率的に行うことができる。
【0040】
前記毛髪Hの洗髪、又は水洗後、この毛髪Hに、ケラチン還元性物質であるチオグリコール酸を含む、パーマネント用の第一剤1を塗布する、第一段階還元工程を行う(図1−1参照)。この第一段階還元工程は、パーマネントウェーブをかける範囲全域に、万遍なく、均一に(ムラのないように)塗布することが望ましいが、所望するパーマネントのデザインや種類、及び/又は髪質等により、変更する、例えば、ウェーブを強調する箇所である毛先のみに注意を払い塗布することも考えられる。尚、前記第一剤1には、ケラチン還元性物質であるチオグリコール酸の他に、アルカリ剤、増粘剤、湿潤剤、乳化剤、溶剤、安定剤、香料、染料、及び/又はトリートメント成分(毛髪保護成分)等を、適宜、一つ、又は複数剤、配合することが好ましい。また、図1−1において、第一剤1は、第一剤「1回目」容器100に入っており、この第一剤「1回目」容器100から塗布する方法を図示したが、第一剤1の媒体は、液状、ジェル状、クリーム状、又は粉状等が可能であり、特に限定されるものではない。
【0041】
次に、前記毛髪Hに、ロッド(カーラー)2を巻く、ワインディング工程を行う(図1−2−1、図1−2−2参照)。このワインディング工程は、前記第一段階還元工程において、第一剤1を塗布した毛髪Hを、テンションいれて(力強く)ロッド2に巻きつける(毛髪Hに張力をかける)工程である。この毛髪Hのロッド2への巻き方、ロッド2の大きさ、形状等は、パーマネントの処理後の所望の髪型に合わせて、施術者が適宜変更する。
【0042】
前記ワインディング工程後、この毛髪Hに、ケラチン還元性物質であるシステアミン、又はラクトンチオールを含む、別のパーマネント用の第一剤3を塗布する、第二段階還元工程を行う(図1−3参照)。この第二段階還元工程は、前述した、第一段階還元工程と同様に、パーマネントウェーブをかける範囲全域に、万遍なく、均一に塗布することが望ましいが、所望するパーマネントのデザインや種類、及び/又は髪質等により、変更する、例えば、ウェーブを強調する箇所である毛先のみに注意を払い塗布することも考えられる。尚、前記第一剤3には、ケラチン還元性物質であるシステアミン、及び/又はラクトンチオールの他に、アルカリ剤、増粘剤、湿潤剤、乳化剤、溶剤、安定剤、香料、染料、及び/又はトリートメント成分(毛髪保護成分)等を、適宜、一つ、又は複数剤、配合することが好ましい。また、図1−3において、第一剤3は、第一剤「2回目」容器300に入っており、この第一剤「2回目」容器300から、ワインディングした状態の毛髪Hに、塗布する方法を図示したが、第一剤3の媒体は、液状、ジェル状、クリーム状、又は粉状等が可能であり、特に限定されるものではない。
【0043】
次に、前記毛髪Hを、室温(常温)で10分放置する(作用させる)、還元作用時間工程を行う(図1−4参照)。望ましくは、キャップ4を頭部H1に被せて行う。この還元作用時間工程は、前記第一剤1、3が、毛髪Hの内部へ拡散(浸透)し、シスチン結合(S−S結合)、水素結合、イオン結合、及び疏水結合等の側鎖結合を切断するための時間となる。これにより、毛髪Hを円周方向に断面視した状態で、外側にあるキューティクル(毛小皮)や、内側にあるコルテックス、又はこれらを繋げる細胞膜複合体(CMC)でなる構造(毛髪Hの構造)のズレ(移動)が可能となる。従って、前記ワインディング工程により、張力をかけられた毛髪Hの内部は、ロッド2側(内側)で縮められ、ロッド2の反対側(外側)で引き伸ばされているため、この張力に沿って、前記毛髪Hの構造のズレが生じる。
【0044】
尚、前述したケラチン還元性物質の中で、従来から一般的に使用されてきた、チオグリコール酸(第一段階還元工程)は、高い還元能力を持つが、Phを高くしなければならないため、毛髪Hにダメージを与えやすい欠点がある。また、ケラチン還元性物質の中で、システアミン、又はラクトンチオール(第二段階還元工程)は、ダメージを抑えることができるが、還元能力が低く、ダメージのない(少ない)毛髪Hの場合は効果が期待できない欠点があった。しかしながら、本発明の前記第一段階還元工程と、前記第二段階還元工程の段階的に、かつこの順序において第一剤1、3を使用すること、さらには、この第一剤1、3塗布後の10分間の放置で、毛髪Hを略傷めることなく、充分な還元を可能とすることが本発明の特徴である。
【0045】
前記還元作用時間工程後、この毛髪Hの還元具合等を確認する、テストカール工程を行う(図4参照)。このテストカール工程は、ロッド2にワインディングした毛髪Hを、一箇所、又は数箇所、一時的にロッド2から取外して、パーマネントウェーブのかかり具合、還元の強さを確認する作業であり、確認後は再び、ロッド2に毛髪Hを巻きつける。これにより、パーマネントウェーブの還元具合の調整が可能となる。特に、前記第一剤1、3の毛髪H内部への浸透(拡散)は、髪質や既存のダメージ度合、又は施術時の室内環境等により異なるため、このテストカール工程は、過剰な還元や、かつ還元不足を無くすために役立つものである。
【0046】
上記に説明した、「二段階の還元工程」は、毛髪Hの側鎖結合がすべて切断され、毛髪Hの構造全体で大きなズレがはじまる。そして、次の「二段階の酸化工程」において、その切断を再配列(並び替え)していくのである。
【0047】
前記毛髪Hに、中間水性酸組成物となるレブリン酸を含む、酸リンス剤5を塗布する、第一段階酸化工程を行う(図2−1参照)。この第一段階酸化工程は、前述した、第一剤1、3の塗布と同様の範囲全域に、1000ミリリットル〜2000ミリリットルの酸リンス剤5を万遍なく、充分に塗布することが望ましく、これにより、前記「二段階の還元工程」後の残留アルカリを中和する(除去する)とともに、膨潤していた毛髪Hを、徐々に収縮させる。そして、後述する、第二剤による第二段階酸化工程の浸透(酸化作用)を高めることができる。さらには、前記「二段階の還元工程」により、ズレたキューティクルを、このズレた状態で固定する、第一段階の酸化(固定)が行われる。尚、この酸リンス剤5には、中間水性酸組成物であるレブリン酸の他に、浸透剤、活性成分セラミド、湿潤剤、入荷剤、安定剤、Ph指示剤、保存剤、抗ふけ剤、及び/又はトリートメント成分(毛髪保護成分)等を、適宜、一つ、又は複数剤、配合することが好ましい。また、図2−1において、酸リンス剤5は、酸リンス剤容器500に入っており、この酸リンス剤容器500から、ワインディングした状態の毛髪Hに、塗布する方法を図示したが、酸リンス剤容器500の媒体は、液状、ジェル状、クリーム状、又は粉状等が可能であり、特に限定されるものではない。尚、図中6は、酸リンス剤5を塗布する際に、液が垂れて、被施術者の皮膚、服装等に接触しないための受け皿である。
【0048】
次に、前記毛髪Hを水ですすぐ、中間水洗工程を行う(図2−2参照)。この中間水洗工程は、前記工程までに塗布した、薬剤を洗い流して、残留アルカリや増粘剤等を除去するとともに、毛髪Hのイオン結合と疏水結合を促している。
【0049】
さらに、前記毛髪Hに、室温で5分放置する、結合時間工程を行う(図2−3参照)。望ましくは、キャップ4を頭部H1に被せて行う。この結合時間工程は、前記「二段階の還元工程」により、ズレはじめたコルテックスの、充分な変形とズレを起こすための作用時間であり、毛髪Hのイオン結合と疏水結合の再配列がさらに促され、前記ワインディング工程により、毛髪Hのロッド2側(内側)とロッド2の反対側(外側)のコルテックスが変形しながらズレて(内側は減り、外側は増えながら形と位置が変わる)、適正な位置と数に配置される工程である。この結合時間を、湿温(加温)により行うことも可能である。
【0050】
前記結合時間工程後、この毛髪Hに、酸化剤となるブロム酸、又は過酸化水素を含む、第二剤7を二度に分けて塗布する、第二段階酸化工程を行う(図2−4参照)。この第二段階酸化工程は、前述した、第一剤1、3の塗布と同様の範囲全域に、万遍なく、均一に塗布することが望ましいが、所望するパーマネントのデザインや種類、及び/又は髪質等により、変更する、例えば、ウェーブを強調する箇所である毛先のみに注意を払い塗布することも考えられる。そして、第二剤7を二度に分けて塗布するが、この第二剤7の作用時間は、例えば、毛髪Hの長さが、ミディアム丈なら7分と7分、ロング丈なら10分と10分等、被施術者の髪質と髪量、長さにより適宜設定されるものである。この第二段階酸化工程により、切断されていたイオン結合や疏水結合等の弱い結合も近い位置に揃って繋がることで安定し、前記ズレたコルテックスが、このズレた状態で固定する、第二段階の酸化(固定)が行われる。尚、前記第二剤7には、酸化剤であるブロム酸、又は過酸化水素の他に、湿潤剤、紫外線吸収剤、Ph調整剤、樹脂類、防腐剤、香料、染料、及び/又はトリートメント成分(毛髪保護成分)等を、適宜、一つ、又は複数剤、配合することが好ましい。また、図2−4において、第二剤7は、第二剤容器700に入っており、この第二剤容器700から、ワインディングした状態の毛髪Hに、塗布する方法を図示したが、第二剤7の媒体は、液状、ジェル状、クリーム状、又は粉状等が可能であり、特に限定されるものではない。
【0051】
上記に説明した、「二段階の酸化工程」は、第一段階酸化工程では毛髪Hの外側にあるキューティクルを、第二段階酸化工程では毛髪Hの内側にあるコルテックスを、ズレた状態で再配列させて、段階的に固定することで、毛髪Hの構造が確立される。そして、次の「仕上げ工程」において、本発明のパーマネント処理方法は完了する。
【0052】
まず、前記毛髪Hから、ロッド2をはずすロッドアウト工程を行う(図3−1参照)。このロッドアウト工程は、従来の方法と同様である。
【0053】
次に、前記毛髪Hを、洗髪する、シャンプー工程を行う(図3−2参照)。このシャンプー工程は、従来では水洗で行うことが主流だったが、本発明の「二段階の還元工程」と、「二段階の酸化工程」により、毛髪Hの内部構造が所望のウェーブに合わせて、しっかりズレた上で、安定的に固定されているので、洗髪を行うことが可能となっている。
【0054】
さらに、前記毛髪Hを、乾燥する、ブロー工程を行う(図3−3参照)。このブロー工程は、従来の方法と同様である。
【0055】
上記に説明した、「仕上げ工程」により、被施術者は、従来のパーマネント用薬剤による、におい、違和感等の不快感を味わうことなく、爽快な気分で、パーマネントの処理を完了することができる。
【0056】
本発明の「二段階の還元工程」、「二段階の酸化工程」、及び「仕上げ工程」における、パーマネントの処理方法よって、従来では為し得なかった、下記[イ]〜[チ]までの、全ての効果を、新たな装置、及び/又は高度な技術を必要としないで、達成することが可能である。
[イ] 熱源を用いないコールドパーマにより、パーマネントの処理を行う。
[ロ] 毛髪Hのダメージを抑えての還元が、充分に行われる。
[ハ] 第一段階酸化工程により、残留アルカリを中和すると同時に、キューティクルを固定する。
[ニ] 結合時間工程により、コルテックスのズレが、充分に行われる。
[ホ] キューティクルと、コルテックスを段階的に固定することができる。
[ヘ] 毛髪H、又は頭皮(頭部H1)にダメージを与えずに、パーマネントのウェーブ形状を半永久的に保持する。
[ト] 質感が良好で、かつ軽いイメージに仕上がる。
[チ] 毛髪Hの内部構造のズレを確保し、固定することで、洗髪をすることができ、これにより、不快感、疲労感、並びに倦怠感を払拭する(和らげる)。
【符号の説明】
【0057】
1 第一剤
100 第一剤「1回目」容器
2 ロッド
3 第一剤
300 第一剤「2回目」容器
4 キャップ
5 酸リンス剤
500 酸リンス容器
6 受け皿
7 第二剤
700 第二剤容器
H 毛髪
H1 頭部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二段階の還元工程、二段階の酸化工程、及び仕上げ工程からなる、パーマネントの処理方法であって、
前記二段階の還元工程は、
(1−1)毛髪にケラチン還元性物質であるチオグリコール酸を含む、第一剤を塗布する、第一段階還元工程と、
(1−2)この毛髪にロッドを巻く、ワインディング工程の後、
(1−3)さらに、ケラチン還元性物質であるシステアミン、又はラクトンチオールを含む、別の第一剤を塗布する、第二段階還元工程と、
(1−4)室温で10分放置する、還元作用時間工程とで構成する。
前記二段階の酸化工程は、
(2−1)前記毛髪を、中間水性酸組成物となるレブリン酸を含む、酸リンス剤を塗布する、第一段階酸化工程と、
(2−2)この毛髪を水ですすぐ、中間水洗工程の後、
(2−3)室温で5分放置する、結合時間工程と、
(2−4)前記毛髪を、酸化剤となるブロム酸、又は過酸化水素を含む、第二剤を二度に分けて塗布する、第二段階酸化工程とで構成する。
前記仕上げ工程は、
(3−1)前記毛髪からロッドをはずすロッドアウト工程の後、
(3−2)この毛髪を洗髪する、シャンプー工程を経て、
(3−3)乾燥する、ブロー工程とで構成する。
【請求項2】
請求項1に記載のパーマネントの処理方法において、
前記二段階の還元工程のいずれかに、前記毛髪の還元具合を確認する、テストカール工程を行うパーマネントの処理方法。
【請求項3】
請求項1に記載のパーマネントの処理方法において、
前記中間水性酸組成物を1000ミリリットル〜2000ミリリットル塗布する、パーマネントの処理方法。

【図1−1】
image rotate

【図1−2−1】
image rotate

【図1−2−2】
image rotate

【図1−3】
image rotate

【図1−4】
image rotate

【図2−1】
image rotate

【図2−2】
image rotate

【図2−3】
image rotate

【図2−4】
image rotate

【図3−1】
image rotate

【図3−2】
image rotate

【図3−3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−225470(P2011−225470A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95254(P2010−95254)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【特許番号】特許第4648492号(P4648492)
【特許公報発行日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(510108098)有限会社BUSH (2)
【Fターム(参考)】