パール光沢塗装
【課題】パール光沢白色塗料の作製方法を提供する。
【解決手段】パール光沢白色塗料の作製方法であって、a.塗料調製物を提供する工程と、b.この塗料調製物に酸化アルミニウム白色ピグメントを添加する工程と、c.酸化アルミニウム白色ピグメント添加後の前記塗料調製物にパール光沢物質を添加する工程と、から成る作製方法であり、添加される酸化アルミニウム白色ピグメントの重量割合は、ピグメント総含有量の0.1〜10重量%であるパール光沢白色塗料の作製方法。
【解決手段】パール光沢白色塗料の作製方法であって、a.塗料調製物を提供する工程と、b.この塗料調製物に酸化アルミニウム白色ピグメントを添加する工程と、c.酸化アルミニウム白色ピグメント添加後の前記塗料調製物にパール光沢物質を添加する工程と、から成る作製方法であり、添加される酸化アルミニウム白色ピグメントの重量割合は、ピグメント総含有量の0.1〜10重量%であるパール光沢白色塗料の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料、ラッカーおよびプライマーにおいて使用される白色ピグメントに、そして塗装されるかまたは塗布された表面上に白色の「パール(pearl)」仕上げを作製するための改良方法におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車産業において、パール光沢の白色仕上げが所望され、そして自動車およびトラックのための非常に素晴らしい仕上げの色である。パール光沢白色仕上げは、つやなしの白色仕上げよりも購入者に人気があることが知られている。
【0003】
慣習的に、自動車にパール光沢白色仕上げを作製するためには、露出された金属部分がプライマーの1つ以上のコーティングを用いて下塗りされた後に、3工程適用プロセスが必要である。以下の工程を使用してパール光沢白色仕上げを作製する:白色塗料のベースコーティングを塗布する、次のパール光沢物質のコーティングは一般に雲母を含むが、これは着色されておらず、むしろ、「パール」仕上げを提供するための高度に反射性の物質の粒子を含む。最後に、クリアコーティングを塗布して、基礎にある層をシールする。各々のコーティング層は、別々に塗布されなければならず、そして各々の引き続く各々の層の塗布の前に、適切な乾燥時間そして必要な場合、焼結が与えられなければならない。結果としてパール光沢仕上げの作製は、労働集約的でありかつ時間浪費的である。2つの異なるタイプの塗料のコーティングが物品に塗布される場合は常に、同じタイプの塗料の多数のコーティングの間に必要であるよりも長い乾燥時間を置く必要がある。3コーティング塗料仕上げの適切な固定を容易にするため、各々の塗料アンダーコーティング、パールコーティングおよびクリアコーティングの固定のためには乾燥時間が必要である。さらなる期間、組み立てライン上に塗装された物品を保持することによって、より長い乾燥時間が達成される。塗料塗布の間により長い乾燥時間を設けるため、単に自動車組み立て工場の塗装部門をより緩徐に通過させるように組み立てラインを運転することは実現不能である。代わりに、組み立てライン全体を長くして塗料の乾燥を得ることができるさらなる通過時間を設けなければならない。従って、組み立てラインを長くするために、それを通じて組み立てラインを運転する、より長い物理的な工場空間が必要になる。物理的な空間が貴重である製造工場では、別にさらなる組み立てラインを長く設けて、多数の塗料コーティングの塗布の間に多重処理はできないかもしれない。従って、いくつかのさらに小さい製造工場において製造された車両に特定の塗料仕上げを与えることは不可能であるかもしれない。
【0004】
Jaffeらの特許文献1(その主題全体が参考として援用される)は、2コーティングおよび3コーティングの自動車仕上げ、ならびにそれらの調製のためのプロセスであって、上部コーティングまたは中間コーティング中へ不透明な光干渉ピグメントを組み込むのにおいて多色が達成されているプロセスを開示する。Jaffeによって教示されるプロセスは、2つのコーティング層の使用を包含し、その第一は、全体を隠すための不透明な白色、黒色または着色ピグメントを含み、そして第二の層は、第一のコーティングを隠さないような干渉ピグメントである。この仕上げを完了するために、クリアトップコーティングがさらに、着色されたコーティング上に塗布される。さらに、教示された不透明な干渉ピグメントの粒子は、透明な誘電体層を用いてコーティングされ、次いで半透明の層を用いてコーティングされた、不透明な層を有する多層粒子である。これは、塗布するには比較的複雑でありかつ高価なコーティングプロセスであって、このプロセスの結果は、多色の塗料の効果である。
【0005】
Sadaらの特許文献2(その主題全体が参考として援用されている)は、色ベースと、この色ベースに置かれた第一のコーティング層と、この第一のコーティング層に含まれた透明な光輝部材とを含むコーティング構造であって、各々の光輝部材が、異なる屈折率を有する少なくとも2つのポリマーが交互に重なる層状組織を含み、そして交互の層状組織によって生じる反射干渉から生じる干渉光、および干渉光以外の透過光を制御する、コーティング構造を開示している。
【0006】
Panushらの特許文献3(その主題全体が参考として援用されている)は、雲母粒子中に封入された、低いピグメント対結合剤比の酸化鉄を含有する透明なトップコーティング組成物を開示している。Panushの教示は詳細には、深度、透明度および色度を有する着色された仕上げを作製することに取り組んでいる。この特許によって、酸化鉄ピグメントを封入した雲母は、パール光沢であることに加えて固有の隠蔽能力を有することが示されるが、それらは添加した色であると言われている。これらの所望の色の効果は、金属(すなわち、アルミニウム)および以前のパール光沢ピグメント(天然または合成)では獲得できないと述べられている。これらのいわゆる「無色かつ不透明のピグメントは、真の着色されたピグメントの価値を低下し、灰色の曇った低色度(gray−cloudy−low chroma)の色を生じる。着色仕上げに着目した場合、この特許は、パール光沢白色仕上げ中のピグメントおよび隠蔽物質としてのアルミニウムの価値を認識かつ教示できない。
【0007】
Panushらの特許文献4(その主題全体が参考として援用されている)は、マルチコーティングシステムを利用する、下地に対する乳白色の色効果を開示するが、ここでは、着色されたプライマーが表面に塗布され、続いて透明なベースコーティング、次にクリアコーティングが塗布される。この透明なベースコーティングは、隠蔽の質が劣り、比較的高い光透過率を有する傾向であるはずである。このベースコーティングの特徴を補償するため、極めて有効な黒および白の隠蔽を有するプライマーが必要であり、そして、UV光レベルをブロックする(ブロックしなければ透明なベースコーティングを通じた有意な電気コーティングの分解が存在するであろう)には、さらなる測定が必要である。さらに、透明なベースコーティングの使用には、プライマー層が注意深く塗布されかつ徹底的にヤスリがけされなければならない。なぜならこの透明なベースコーティングはプライマーコーティングにおける欠損をマスクできないからである。
【0008】
従来の二酸化チタン白色塗料の場合、極めて大量の二酸化チタン色素を塗料媒体に添加して、従来の塗料塗布については代表的には30〜50ミクロンという合理的なフィルムの厚みで、十分な隠蔽力を達成しなければならない。この塗料処方物は、固体の粒子をさらに保持する能力をほとんど有さないので、雲母の粒子のようなパール光沢物質を添加するための塗料混合物中の余地はほとんど残らない。従来の白色二酸化チタン塗料に対して雲母を添加しても、白色塗料の視覚的な外観は変化しないということが既に公知である。従来の二酸化チタンベースの白色塗料、すなわち、ピグメント部分のうち90パーセントを超えるチタン含量を有する塗料は、パール光沢物質の添加にかかわらず、「つやなし(flat)」な白色の外観を有したままである。
【0009】
溶媒ベースの塗料は、40〜60パーセントのピグメントを担持し得る。他方では、水ベースの塗料およびプライマーは、同様にピグメントを微粒化しない。従って、最大のピグメント荷重は、例えば、20〜35パーセントの範囲内でかなり低いはずである。各々の場合、従来の白色塗料について、ピグメントの90%が白色ピグメント、すなわち二酸化チタンでなければならない。
【0010】
雲母薄片は、従来の白色塗料を作製するのに必要な大量の二酸化チタンピグメント中に埋もれて、雲母のパール光沢の外観が眼に見えなくなると考えられている。
【0011】
白色のパール光沢的な外観を有する従来の塗装された仕上げを作製するために、白色の二酸化チタン塗料を入れて、パール光沢物質の「埋もれ(drowning)」を防止した後に、雲母または別のパール光沢物質のパールコーティングを塗布する必要があった。従来のパールコーティングは、それ自体は隠蔽力を有さない。着色されたベースコーティングは、物品上のヤスリの跡などをカバーし、塗装された物品の実際の色を作製するなどの、仕上げの特性を隠すために必要である。パールコーティングは単に光沢のある特徴を与え、これが「つやなし」仕上げを「パール」仕上げに変換する。二酸化チタン白色ベースコーティングおよびパールコーティングは、2つの異なるタイプの塗料であり、他の物質が表面に塗布される前に、コーティングを固定するために別個のフラッシュ時間を必要とする。着色されたベースコーティングの塗布とパールコーティングの塗布との間にフラッシュ時間がなければ、これらのコーティングの間で塗料ストライキング(striking)が生じる。塗料ストライキングは、塗装の瑕疵であり、これは、前の塗料層からの色素またはピグメントが、新しく塗布された物質の溶媒中に溶解されて、滲出して、新しく塗布された物質の仕上げ色を変更するときに生じる。ストライキングは、2つのコーティングの塗布の間に十分なフラッシュ時間なしに、2つの異なるタイプの塗料コーティングを塗布することによって生じる。別々の雲母パール光沢化コーティングの塗布には、別々の塗布工程が必要であり、これには自動車製造ラインの大幅な調整を必要として、製造される各々の車両の塗装費用の実質的な上昇をまねく。
【0012】
日光に対して露光する影響は、ほとんどの物質の風化による劣化の基本的な原因である。塗料風化の主な要素は、光分解である。
【0013】
地表に達する日光の波長分布は、各々の波長領域によって生じる物質に対する相対的な影響のせいで重要である。
【0014】
日光は、3つの主な領域に分類できる:紫外(UV)、可視および赤外(IR)。各々の領域は、それ自体の別個の波長範囲を有する。
1.UV 400nm未満の波長 日光の成分の6.1%
2.可視 400〜700nmの波長−日光の成分の51.8%
3.赤外 700を超える波長−日光の成分の42.1%
【0015】
可視領域は、全体的な太陽エネルギーの最大部分を担う;しかし、太陽のエネルギーのUV部分は、最も破壊的な成分である。紫外(線)自体は、3つの別個の波長領域にわけられる;UVAおよびUVBのみが地表に到達する。
【0016】
範囲 波長(nm)
UVC 280未満
UVB 280〜320
UVA 320〜400
【0017】
地表にはUVCは存在しない。なぜなら293未満〜300nmの波長は、大気によって透過されないからである。UV波長が短いほど、物質に対するその損傷効果は大きくなる。UVAおよびさらに短い波長のUVBが、ほとんどの光分解を担う。従って、太陽光の割合のうち、太陽スペクトルの最小のパーセンテージを含むものが、物質分解の主な原因である。
【0018】
光分解は、物理的構造の劣化を生じる、露光された物質において化学結合を破壊する光エネルギーの結果として生じる。波長が短くなるほど、各々の個々のパケットのエネルギーは大きくなり、光は、ますます強力な分子結合を破壊することができる。従って350nmの照射に抵抗することができる化学構造は、320nmの照射には耐えることができないかもしれない。しかし、光子におけるエネルギーレベルが増大するほど、利用可能な量は減る。
【0019】
光化学の第一法則は、吸収される光のみが損傷を生じ得るということを述べている。従って、損傷するUVエネルギーの吸収が防止されるか、さもなければ低下させることができれば、劣化は遅くなる。この前提によって、塗料処方物における研究のかなりの基礎が成り立つ。
【0020】
太陽スペクトルの可視部分は、物理的分解の限られた部分を担うが、これは感受性であるわずかな物質のみにおいてである。いくつかの色素およびピグメントは、可視スペクトルの低い領域における波長に感受性である。これによってほとんどの物質における色の変化が顕在化するが、ただし他の物理的特性に対する変化はない。
【0021】
赤外線領域は、照射された標本上で熱の蓄積を生じさせるが、そうでなければそれに伴って有意な劣化が生じることはない。IRは、劣化における要因である。なぜならこれらの波長の吸収は、標本の温度を上昇させ、次いでこれが光分解の速度の増大をもたらすからである。
【0022】
コーティングに対するUV保護を改善するために長年にわたって重要な進歩がなされてきたが、UV透過能を有する改善されたパール光沢コーティングに必要性は依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】米国特許第5,871,827号明細書
【特許文献2】米国特許第5,350,509号明細書
【特許文献3】米国特許第4,499,143号明細書
【特許文献4】米国特許第4,615,940号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
従って、本発明の目的は、上述の不利な点の少なくともいくつかに取り組むことである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の局面の1つによれば、本発明は、以下の群より選択された1つ以上のピグメント成分を含む白色ピグメントを提供する;アルミニウム、亜鉛、銅/亜鉛合金、ステンレス鋼、ニッケルおよび選択された金属塩。詳細には、白色ピグメントが提示されるが、これは、以下からなる群より選択される1つ以上の塩を含む:酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、水和ケイ酸アルミニウム・マグネシウム(滑石)、シリカ、雲母(k2O.3Al2O3.6SiO2.2H20)、ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、無水ケイ酸アルミニウムナトリウム・カリウム、ケイ酸アルミニウムナトリウム、アルミナ三水和物、硫酸バリウム。さらに詳細には、この白色ピグメントは、酸化アルミニウムおよびぞれからなるピグメント処方物であって、塗料、ラッカーまたはプライマーであるピグメント処方物からなる。パール光沢白色塗料は、塗料処方物であって、ここに白色ピグメントおよびパール光沢物質が添加される塗料処方物を提供することによって処方されてもよい。物体上にパール光沢白色仕上げを作製するためのプロセスは、本発明によるパール光沢白色塗料処方物の少なくとも1つのベースコーティングをこの物体に塗布する工程、このベースコーティングを固定する工程、このベースコーティングにクリアコーティングを塗布する工程、およびこのクリアコーティングを固定する工程を包含する。
【0026】
1つの実施形態において、酸化アルミニウムの重量の割合は、約0.1%〜約50%の範囲内である。ベースコーティング塗料のためのピグメント処方物は、酸化アルミニウムの割合が約0.1%〜約20重量%の範囲内であってもよい。プライマーのためのピグメント処方物は、酸化アルミニウムの割合を約0.1%〜約10重量%の範囲内で有してもよい。
【0027】
1つの実施形態において、このピグメントは、チタン部分を、二酸化チタンのような、好ましくはその塩の1つ以上の形態で含む。
【0028】
本発明の別の局面において、パール光沢白色塗料を作製するための方法が提供されるが、この方法は以下の工程を包含する:
a.塗料処方物を提供する工程;
b.そこへ、以下の群:酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、から選択される1つ以上の塩を含む白色ピグメントを添加する工程;および
c.そこへパール光沢物質を添加する工程。
【0029】
1つの実施形態において、ベースコーティングはおよそ7〜25マイクロメートルの厚みで塗布され、そして環境フラッシュ脱水および/またはオーブン中での焼成によって固定されてもよい。クリアコーティングはまた、約35〜45マイクロメートルの厚みまで塗布されてもよい。
【0030】
本発明のなお別の局面において、本発明は、物体上にパール光沢白色仕上げを作製するためのプロセスを提供するが、このプロセスは以下の工程を包含する:パール光沢白色塗料処方物の少なくとも1つのベースコーティングをこの物体に塗布する工程であって、このパール光沢白色塗料処方物は、以下の群:酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、水和ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、シリカ、雲母、ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、無水ケイ酸アルミニウムナトリウム・カリウム、ケイ酸アルミニウムナトリウム、アルミナ三水和物、硫酸バリウムから選択される1つ以上の塩を含む白色ピグメントを含む、工程。
【0031】
本発明のなお別の局面において、所定の色の仕上げ車両塗料コーティングを形成する方法が提供されるが、この方法は、以下の工程を包含する:
a.少なくとも1つのベース層を形成する工程であって、この少なくとも1つのベース層は、この仕上げ車両塗料コーティングの色を少なくとも部分的に決定する色特徴を有する、工程;
b.この少なくとも1つのベースコーティングの上に、パール光沢層を形成する工程であって、このパール光沢層は、仕上げ車両塗料コーティング上にパール光沢効果を与えるための少なくとも1つのパール光沢成分、および500グリットを超えない粗度の少なくとも1つのベース層上に存在する物理的欠損を隠すための少なくとも1つの物理的欠損隠蔽成分を含む、工程。
【0032】
本発明のなお別の局面において、所定の色の仕上げ車両塗料コーティングを形成する方法が提供されるが、この方法は以下の工程を包含する:
a.少なくとも1つのベース層を形成する工程であって、この少なくとも1つのベース層は、この仕上げ車両塗料コーティングの色を少なくとも部分的に決定する色特徴を有する工程;
b.この少なくとも1つのベースコーティングの上に、パール光沢層を形成する工程であって、このパール光沢層は、仕上げ車両塗料コーティングに対してパール光沢効果を与えるための少なくとも1つの第一のパール光沢成分、および少なくとも1つの第二の成分を含み、この少なくとも1つの第二の成分がなければこの少なくとも1つのベース層における物理的欠損は、仕上げ車両塗料コーティング中で可視である、工程。
【0033】
本発明のなお別の局面において、特定の車両色の車両のためのパール光沢コーティングが提供されるが、このパール光沢コーティングは、eコーティングおよびこのeコーティングに塗布された外側コーティング部分を備え、この外側コーティング部分は、このeコーティング層に塗布された少なくとも1つの色含有プライマー層およびこのプライマー層に塗布されたパール光沢コーティングを含み、この外側コーティング部分は、このコーティングに与えられるUV照射の約85%を吸収し得る。
【0034】
本発明のなお別の局面において、特定の車両色の車両のためのパール光沢コーティングが提供されるが、このパール光沢コーティングは、eコーティングおよびこのeコーティングに塗布された外側コーティング部分を備え、この外側コーティング部分は、このeコーティング層に塗布された少なくとも1つの色含有プライマー層、およびこのプライマー層に塗布されたパール光沢コーティングを含み、このプライマー層は、約15〜35ミクロンに及ぶ厚みを有し、このパール光沢層は、約11〜20ミクロンに及ぶ厚みを有し、ここでこの外側コーティング部分は、このコーティングに曝されたUV照射の約85%を吸収し得る。
【0035】
本発明のなお別の局面において、特定の車両色の車両のためのパール光沢コーティングが提供されるが、このパール光沢コーティングは、eコーティングおよびこのeコーティングに塗布された外側コーティング部分を備え、この外側コーティング部分は、このeコーティング層に塗布された少なくとも1つの色含有プライマー層およびこのプライマー層の外面に塗布されたパール光沢コーティングを含み、ここでこのパール光沢層は、約500グリット以下の粗度のサンドペーパーによって形成されたこの外面上に存在する物理的変形を隠蔽し得る。本発明のなお別の局面において、特定の車両色の車両のためのパール光沢コーティングが提供されるが、このパール光沢コーティングは、eコーティングおよびこのeコーティングに塗布された外側コーティング部分を備え、この外側コーティング部分は、このeコーティング層に塗布された少なくとも1つの色含有プライマー層およびこのプライマー層の外面に塗布されたパール光沢コーティングを含み、この外面は、500〜800に及ぶ範囲のグリットを有するサンドペーパーを用いてヤスリがけすることによって形成された少なくとも1つの局所の補修的修復領域を有し、ここでこのパール光沢層は、この局所の補修的修復領域の存在を裸眼に対して隠すことができる。
【0036】
本発明のなお別の局面において、所定の色の仕上げ塗料コーティングを形成するための方法が提供されるが、この方法は以下の工程を包含する:
−少なくとも1つのベース層を形成する工程であって、この少なくとも1つのベース層は、この仕上げ塗料コーティングの色を少なくとも部分的に決定する、色特徴を有する工程;
−この少なくとも1つのベースコーティングの上に、パール光沢層を形成する工程であって、このパール光沢層は、仕上げ塗料コーティングにパール光沢効果を付与する少なくとも1つのパール光沢成分、およびこの少なくとも1つのベース層上に存在する物理的欠損を隠蔽するための少なくとも1つの物理的欠損隠蔽成分を含む、工程。
【0037】
1つの実施形態において、上記の形成工程は、水ベースのキャリアを用いて実行される。
【0038】
本発明のいくつかの好ましい実施形態は、単なる例として、添付の図面を参照して以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1a】2つのコーティングの模式図である。
【図1】いくつかのコーティングについての波長対光透過率パーセントのプロットである。
【図2】いくつかのコーティングについての波長対光透過率パーセントのプロットである。
【図3】いくつかのコーティングについての波長対光透過率パーセントのプロットである。
【図4】いくつかのコーティングについての波長対光透過率パーセントのプロットである。
【図5】いくつかのコーティングについての波長対光透過率パーセントのプロットである。
【図6】いくつかのコーティングについての波長対光透過率パーセントのプロットである。
【図7】いくつかのコーティングについての波長対光透過率パーセントのプロットである。
【図8】1つのパネルコーティングの断面を示す顕微鏡写真である。
【図9】別のパネルコーティングの断面を示す別の顕微鏡写真である。
【図10】コーティングの方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本明細書の以下において、ピグメントの荷重またはピグメントのパーセンテージに対する言及を行なう。明確化のために、ピグメントの濃度は塗料の100パーセントであると想定するが、溶媒、結合剤などの必要性を考慮すると、実際には100パーセントにはならない。
【0041】
「隠蔽力(Hiding Power)」は、塗料のメークアップを決定するのに重要な定量的要因である。隠蔽力は、塗料がなんらかの背景に噴霧されてその背景を完全に隠蔽することを可能にさせる、塗料の特性として定量的に規定することが可能である。一般的に言って、塗料の産業においては、黒い背景に塗布された塗料が白い背景に同じ厚みで塗布された塗料の0.98の反射率を有する場合に、完全な隠蔽が達成されると認められる。このことは、隠蔽力が背景および塗料の厚みの対照比であり、対照相違を0.02まで低下させる必要があることを意味する。標準図の0.02は、2%(0.02)未満の相違が適度の照明の状態でヒトの眼では感知できないということを述べている、ウェーバー・フェヒナーの法則に基づく。
【0042】
隠蔽力は、塗装された表面に塗布された場合、塗料のフィルム中のピグメント粒子の光吸収特性によって生じる。塗料フィルムの表面の頂部からかなりの光が出現し、そして下地が隠されていなければ、塗料のフィルムはあまり隠さない。ほとんどのピグメントは天然には結晶性である。詳細には、白色ピグメントは、塗料媒体中に分散された場合、強力に光を散乱させる傾向である。白色ピグメントの単一の結晶が、十分に大きく成長された場合、これは、光沢がありかつ透明なガラス様結晶として認識される。この光散乱特徴によって、対応する乏しい隠蔽力のせいで、塗料フィルムの表面からの大量の光出現が生じる。
【0043】
二酸化チタン(TiO2)は、塗料中での使用のための最も通常の白色ピグメントである。不幸にも、このピグメントは、比較的乏しい隠蔽力を有する。白色を維持するため、より大きい隠蔽力を有すると規定されるそれ以外の着色ピグメントを添加しても、隠蔽特性を改善することができない。従って、従来の白色ベースコーティングは、二酸化チタンピグメントを密に包含している。このことは、35ミクロン未満の黒色および白色の隠蔽特性を有する白い塗料色を達成するためには、この塗料は少なくとも90重量%の二酸化チタンを含まなければならないということを意味する。このピグメント含量は、この塗料が流れて、表面上に有効に噴霧されることを依然として可能にするだけの塗料処方物中、可能な最大のピグメント含量にほぼ到達している。対照的に、より効果的な隠蔽力を有するピグメントを含む他の塗料色は、ピグメントの5重量%程度で含まれてもよい。
【0044】
本発明の1つの実施形態に従って、酸化アルミニウム(Al2O3)を白色ピグメントとして有利に用いることができることが確認された。酸化アルミニウムピグメントは、塗料、ラッカーおよびプライマー中に有効に処方することができる。二酸化チタンの代わりの酸化アルミニウムでの代用によって、処方物の総ピグメント含量の0.1重量%〜50重量%の範囲のピグメント荷重を行なうことができる。このパーセンテージによって、必要な隠蔽力に対して塗料の所望の色位置が変更される。白色ベースコーティング塗料を処方するための酸化アルミニウムのピグメント荷重は、0.1重量%〜20重量%の範囲にあってもよい。酸化アルミニウム荷重が20重量%を超えて行なわれる場合、塗料の全体的な色は、青みがかった/灰色調(bluish/gray cast)をとりはじめる。特定の場合、クリアコーティング仕上げは、この青みがかった/灰色の色調をいくらか補正するために、わずかに黄色に向かって調節されてもよい。プライマーについて好ましい酸化アルミニウムピグメントの荷重は、0.01重量%〜50重量%の範囲内である。好ましい白色酸化アルミニウムピグメントの荷重範囲は、0.01重量%〜25重量%である。
【0045】
本発明の1つの実施形態によるピグメントが、従来の白色二酸化チタンピグメントと比べて、かなり低いピグメント荷重(塗料の重量パーセントで決定)で置換されてもよいという理由は、本発明の1つの実施形態によるピグメント、詳細には酸化アルミニウムが、二酸化チタンよりもかなり改善された隠蔽力値を有するということである。従って、同じ「隠蔽(hiding)」能力を達成するのに必要なピグメントは少なくてもよい。
【0046】
ピグメントとしての使用のための二酸化チタンの最も所望される代替品は酸化アルミニウムである。これは、二酸化チタンよりも安価であり、そして良好な隠蔽特徴を有する。
【0047】
酸化アルミニウムは、本発明の1つの実施形態による白色ピグメントとしての使用のための好ましい物質であるが、他の金属および塩も白色ピグメントとして用いられてもよい。より詳細には、以下:酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、水和ケイ酸アルミニウム・マグネシウム(滑石)、シリカ、雲母(k2O.3Al2O3.6SiO2.2H20)、ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、無水ケイ酸アルミニウムナトリウム・カリウム、ケイ酸アルミニウムナトリウム、アルミナ三水和物、硫酸バリウムを含む群から選択される金属塩の1つ以上を白色ピグメントとして用いてもよい。さらに、特定の場合、上記に列挙した金属塩の1つ以上が、好ましいピグメント成分、酸化アルミニウムと一緒に白色ピグメント中で組み合わされてもよい。上記で列挙された金属塩は、白色ピグメントとしての使用についての有効性において変化する。塩の隠蔽力が低下するにつれて、そのピグメントとしての有効性は低下する。なぜならこのピグメントが処方される塗料、ラッカーまたはプライマーの有効な隠蔽特性を達成するのには、この塩のより大きい荷重が必要であるからである。
【0048】
硫酸バリウムの使用は、最も推奨されない群の金属塩である。それが有する隠蔽力は低いだけでなく、ピグメントとしての硫酸バリウムの使用によって、得られた塗料またはプライマーは、特定の条件下で美しくない乳状の外観をとるようになるかもしれない。
【0049】
他の物質は二酸化チタンよりも高い隠蔽力を有するが、環境または他の塗料処方物にとって、それらは二酸化チタン白色ピグメントに対する望ましい代替物ではない。このような所望されない代替物としては鉛、亜鉛およびアンチモンの酸化物が挙げられ、そしてピグメントとしてのこれらの塩の使用は推奨されない。
【0050】
本発明の1つの実施形態によるピグメントの粒子サイズを変化させて、塗料またはプライマー処方物におけるこのピグメントの有効性および隠蔽力を改善してもよい。
【0051】
塗料プライマーは、プライマー中において従来用いられる二酸化チタンピグメントに代わって、またはその一部と交換して、本発明の1つの実施形態によるピグメントを置換することによって有利に処方され得る。酸化アルミニウムを白色ピグメントとして、または白色ピグメント中に用いる場合、プライマーを作製するために伝統的に処方されるピグメントの密な荷重は、約0.1〜60パーセントまで減らされてもよい。言い換えれば、二酸化チタンの一部または全体と入れ代わっての白色ピグメントとして酸化アルミニウムの置き換えによって、プライマーの所望の隠蔽特性について必要なピグメントの全体的重量パーセントは低下する。ピグメント荷重の減少は、プライマーの流動特性を改善する有利な効果を有し、そしてプライマーを作製するために必要な研磨時間を短縮することによってこのプライマーの製造プロセスを簡単にする。本発明の1つの実施形態によるピグメントの交換によって、より薄いプライマーが作製される。より薄いプライマーを用いて達成することができるコーティングほど、下塗りされている物品で得られる被覆はさらに良好になる。プライマー中のピグメントの量が減少される場合、それに続いてプライマーの全体的な固体含量が減少され、そしてプライマー容器、噴霧ノズルおよびホースにおけるスラッジとしての固体ピグメント粒子の構築の可能性は低くなる。
【0052】
白色ピグメントが、ある割合の二酸化チタンおよび別の割合の酸化アルミニウムを含むように処方され得るという場合が存在し得る。この場合、酸化アルミニウムは、隠蔽に寄与するが、二酸化チタンは、酸化アルミニウムによる青色/灰色への色シフト、または他のピグメント成分による別の色シフトを相殺する傾向である。
【0053】
プライマーにおいて二酸化チタンに代わって本発明の1つの実施形態による白色ピグメントを使用することによって、密なピグメント荷重なしに、プライマーの達成されるべき必要な隠蔽特性が得られる。ピグメントの荷重の減少によって、従来の硬化抑制剤を添加してプライマーが噴霧適用に十分に流動することを可能にするという必要性がなくなる。硬化抑制剤の排除は有利である。なぜならプライマー中に硬化抑制剤を使用すれば、この抑制剤を用いない場合には生じ得ない、いくつかの所望されない副作用が生じるからである。硬化抑制剤によって、プライマーを、塗布が極めて短い作業時間枠で済むようにすることができる。また、抑制剤を用いる場合、塗料のたるみ(sagging)、またははじけ(popping)、および不均一な噴霧被覆のリスクが大きくなる。たるみは、塗装の瑕疵であり、これは垂直な表面に塗布された湿潤な塗料コーティングの上の重力作用から生じる。たるみは、塗装された表面上の塗料の下向きの流れとして生じる。塗料内のピグメントの高密度レベルおよび塗料の厚いコーティングの使用によって、たるみ現象はさらに悪化する。はじけは、塗料の瑕疵であり、これは物品に塗布された塗料の層の表面近くの破裂または泡の形成によって生じる。はじけは、塗料の表面粘度が、高レベルに増大するが、揮発性物質が塗料フィルムより下のレベル内に残っている場合に生じ得る。はじけの可能性は、塗料層のフィルム厚とともに増大する。なぜなら、塗料層が厚いほど、その中の溶媒含量の相違が大きくなる機会が大きくなるからである。噴霧被覆におけるこれらの望ましくない欠陥を回避するためには、プライマーまたは塗料の多数の薄いコーティングを用いるべきであり、従って、処理時間および付随する費用が増大する。この望ましくない効果によってまた、仕上げられた塗装物品上の標準以下の被覆を生じるかもしれず、そしてこのような欠陥は、検査の間に検出され、次いで修復されなければならず、そして生産能力および効率が損なわれる。本発明による酸化アルミニウムおよび/または他のピグメントの1つの使用によって、ピグメント荷重の少ない、隠蔽特性の改善されたプライマーが得られる。本発明の1つの実施形態によって処方されたプライマーの改善された流動特性によって、考察された所望されない効果が軽減される。
【0054】
本発明の1つの実施形態による白色ピグメントは、自動車およびトラックを含む塗装物品上にパール光沢白色仕上げを作製するのに使用するために特に有効である。例証されたパール光沢コーティングは、図1aにおいて10として模式的に示されており、ここでは金属表面12上にeコーティング14が形成されている。この場合、色ベース層16は、eコーティング層14に塗布され、そしてパール光沢層18は、この色ベース16上に塗布され、そして透明コーティング層20によって仕上げられる。この場合、パール光沢層18は、第一のパール光沢成分および隠蔽に寄与する第二の成分の両方を提供し、ただしこれは、第一のパール光沢成分によってコーティング上に付与されたパール光沢効果を必要以上に与えたりも、低下させもしない方式で提供する。このパール光沢コーティングの二重の成分構成、従って二重の機能が双方向の交差斜線によって提示されている。パール光沢コーティングの詳細は、本明細書の以下においてさらに詳細に記載される。
【0055】
比較目的のために、例示的なパール光沢コーティングをまた図1aに示すが、これはここでは100として図示されている。このコーティングは、金属表面102上にeコーティング104が形成されている。この場合、第一の色ベース層106は、eコーティング層104、代表的にはプライマーコーティングに塗布され、そして第二の色ベース層108aは、第一の色ベース層上に塗布される。パール光沢層108bは、この第二の色ベース108a上に塗布され、そしてこのコーティングは、透明コーティング層109によって仕上げられる。この場合、パール光沢層108bは、パール光沢成分を有するが、隠蔽に寄与するその他の成分は有さない。むしろ、この隠蔽効果は、第二の色ベース層108a上に残される。従って、このパール光沢層108bの単一の成分の性質は、単一方向の斜線によって示される。
【0056】
パール光沢塗料仕上げを作製するために、選択された量の屈折物質またはパール光沢物質を、色ピグメントと一緒に塗料に添加しなければならない。多くのパール光沢物質が公知であり、そして塗料製品におけるパール光沢仕上げを作製するために塗料産業において用いられる。任意のパール光沢因子は、いくつかの場合、本発明の1つの実施形態と併せて用いられ得るが、ただし最もよく使用されるパール光沢物質は雲母薄片である。
【0057】
雲母薄片またはアルミナ酸化物の特定の好ましい形態は、商品名XIRALLIC(登録商標)としてMerck KgaAから入手可能である。アルミナ酸化物のXIRALLIC(登録商標)処方物は、10マイクロメートルより大きい粒子径および5〜10という縦横比(粒子直径/厚みとして規定される)を有する六角の薄片の形態である。アルミナ酸化物の他の好適度の低い薄片形態も、単独でかまたはXIRALLIC(登録商標)という製品と組み合わせてのいずれかで首尾よく用いることができる。異なる薄片形態のアルミナ酸化物の割合は、所望のピグメント特性に依存し、そして好ましいXIRALLIC(登録商標)製品の形態での使用の割合の増大による製造コストの増大に対する許容度に依存して変化し得る。
【0058】
他のパール光沢物質としては、以下を挙げることができる:酸化金属でコーティングされた、天然に存在する雲母結晶板、二酸化チタンまたは酸化鉄のような高度に屈折性の金属酸化物でコーティングされている、アルミナまたはシリカの薄片のような合成物質、オキシ塩化ビスマス結晶、天然のパール光沢グアニンおよび魚鱗から得たヒポキサンプリン。本発明の記載における雲母に対する参照は、例示的な目的でのみ用いられており、本発明の白色ピグメントを用いてパール光沢白色仕上げを作製するために用いることが可能で、そして本発明の1つの実施形態の白色ピグメントを含むピグメント処方物において用いることが可能なパール光沢物質の範囲を限定する意図はない。
【0059】
本発明の1つの実施形態に従って、塗料に他の色の塗料ピグメントとともに雲母を添加することによって、規定によればさらに有効な隠蔽特性を有し得る、白色以外の着色されたパール光沢塗料仕上げを作製することができる。所望のパール光沢の外観を達成するために、二酸化チタンの量を総ピグメント含量の15%より低くしなければならない。このレベルを超える処方物中の二酸化チタンの割合の増大によって、パール光沢効果が低下する。例えば、二酸化チタンのレベルが35%より低い場合、これを含むパール光沢コーティング(これは「パールホワイト(pearl white)」と記載され得る)が現れ始めることが見出されている。35%では、極めて明るく輝く白さである。25%では、パールホワイトになりはじめるが、高レベルのチタンに起因してそれほど「透明な(clean)」パール効果ではない。驚くべきことに、約15%より低いチタンレベルを含むパール光沢層は、真の白色パールを発色し始めるが、隠蔽性はまたかなり低いが、ただしここでは、前記のことは、隠蔽性を改善しかつ光透過を減じ、白色を維持しかつ輝きを改善するために、酸化アルミニウムまたは同様の特性を有する他のピグメントの一部を添加することによって相殺され得ることが見出されている。
【0060】
本発明の1つの実施形態によるピグメントが、白色ベースコーティング塗料を処方するために用いられる場合、このピグメントは、従来のコーティングにおいて達成されるように、二酸化チタンをそれ自体に用いることによって達成され得るよりも、例えば、約15〜約60重量パーセントの範囲などのかなり低い重量パーセントで、ベースコーティング塗料に十分な隠蔽特性を与える。本発明の好ましい実施形態によれば、二酸化チタンの代わりに、アルミニウムおよび/または前述のようなその塩の1つを含むピグメントによって二酸化チタンの従来のコーティングの少なくとも一部を置換することによって、総ピグメント含量の0.1重量%〜10重量%の範囲内のピグメント荷重が生じる。正確な重量パーセントは、白色パール光沢塗料の最終の所望の色位置に基づく。わずかに、青みがかった白色が所望される場合、この荷重は10%を超えてもよい;しかし黄色がかった白色が好ましいならば、この荷重は、10%を超えるべきではない。実際問題として、白色ピグメントとしての酸化アルミニウムの荷重によって、総ピグメントの5%未満のレベルでは、所望のパール光沢塗料が得られることが確認されておる。
【0061】
本発明の1つの実施形態におけるパール光沢コーティングの処方物は、従来のパール光沢コーティングと比べて、優れた隠蔽およびUV光ブロック特性を有することがさらに発見されている。本発明の1つの実施形態によれば、パール光沢処方物は、ピグメント組成物および実質的に透明な塗料基材を含むコーティング物質に提供される。この場合、ある範囲の基材を用いて、本明細書に記載されるコーティングを形成することができるが、これには本明細書における上記の背景の節において言及した特許中で言及された基材を含む。ピグメント組成物は、例えば、このピグメント組成物が約11ミクロンの厚みを有するコーティング中である場合、コーティングに対してパール光沢効果を付与するように選択された第一の成分、および500グリットを超えない粗度を有する局所補修ヤスリがけ領域を裸眼に対して隠蔽するように選択された第二の成分を含む。
【0062】
しかし、ピグメント組成物が、500グリットより高い粗度、例えば350グリットを隠蔽し得るいくつかの場合が存在し得る。例えば、ピグメント組成物に、より大量の第二の成分が添加されてもよく、そしてピグメント組成物を含有するコーティングの厚みは、11ミクロンを上回ってもよい。
【0063】
本発明の1つの実施形態によるパール透過性コーティング処方物は、以下の成分を有する。
TiO2 0.1〜15%
雲母(XIRALLIC、金、雲母など) 10〜99%
アルミニウム(微細、粗い、または金) 0.1〜20%
ピグメント色(黄色、黒、青、赤など) 0.0〜5%
【0064】
アルミニウム粒子は、比較的大きいかまたは粗い粒子、すなわち1〜2ミクロンの厚み、および100〜200ミクロンの粒径の粒子サイズの粒子であってもよい。この粗い粒子は、「フリップフロップ(flip flop)」効果(この用語は、当業者に公知である)を付与することによってパール光沢物質のパール光沢効果を増強するという驚くべき利点を提供することが見出されている。さらに、ピグメントの色に対する隠蔽および青/灰色の影響における粗いアルミニウム物質の補助的役割は、アルミニウムを用いる結果として、比較的わずかな割合、例えば、約0.1%〜約7%の範囲、より好ましくは約1%〜約5%の範囲の二酸化チタンによって補償され得る。粗いアルミニウムは、Delta Colours Inc.および/またはSiberline Mfg.Co.,Incから入手可能である。アルミニウムは一般に、特定の粒子サイズ分布によって、ペースト中に含有されて「アルミニウムペーストリーフィング(aluminum pastes−leafing)」または「アルミニウムペーストノンリーフィング(aluminum pastes−nonleafing)」としてのみ販売されている。
【0065】
アルミニウム粒子はまた、微細粒子であってもよい。すなわち0.1〜1ミクロンの厚み、および0.1〜100ミクロンの直径のサイズ範囲を有する粒子である。これらの粒子は、例えば、「Delta Colours Inc.」および/またはSiberline Mfg.Co.,Inc.から市販されるピグメントを含んでもよく、これらは、供給されるかまたは製粉されたままで用いられても、さもなければ塗布に適切であるように、そのサイズまたはサイズ範囲プロファイルを減らすように処理されてもよい。
【0066】
本発明の1つの実施形態によるパール光沢処方物の所望される隠蔽特徴は、アルミニウムの特徴および酸化チタンの反射特性を隠蔽することによって作製されると考えられる。この処方物中のアルミニウム粒子は、光をブロックすることによって隠蔽を達成すると考えられ、そして処方物中のアルミニウムの存在によって、特により高いピグメント荷重で、例えば、アルミニウム粒子がピグメント組成物の10パーセントを超える場合には、それは青灰色(blue−gray colour)にされる。処方物中のチタンピグメントは、反射光による隠蔽を補助する反射物質である。チタンピグメントはまた、アルミニウムの存在に伴う青灰色を相殺する。
【0067】
本発明の1つの実施形態によるパール光沢処方物はまた、ある場合には、このコーティングが、塗料層と類似(ただしパール光沢クリアコーティング層と類似ではない)の様式で自動車塗装プロセスにおいて機能するように用いられ得る程度まで、隠蔽およびUVブロックにおいて有効である。本発明の1つの実施形態による処方物の機能的な利点によって、着色されたパール光沢自動車塗料仕上げを得るために、3つのコーティング塗装システムに代わって、2つのコーティング塗装システムの使用が可能になる。2コーティング塗装システムと3コーティング塗装システムとの間の比較を理解するために図8および図9を参照のこと。
【0068】
本発明の1つの実施形態の別の特定の特徴は、水ベースのシステムにおいてポリマー骨格を使用する能力である。これによってかなりの環境上の利点が得られる。なぜなら水に基づくシステムは、有機溶媒系の対比物と比較して、極めて低揮発性の有機物(VOC)の利点を有するからである。この場合、本発明の実施形態によるピグメントを使用するのに必要なピグメント荷重は、水系において送達され得る。なぜなら、ピグメント荷重は、20〜35パーセントに制限されるからである。従って、本発明のピグメントは、ある場合には、従来の白色塗料における90パーセントの白色ピグメント要件の必要性を効果的に排除し得、そしてこれらの所望の水系において使用することができる。本発明の別の局面によれば、本発明は、特定の車両色の車両のためのパール光沢コーティングを提供する。このパール光沢コーティングは、eコーティング(自動車産業において、金属成分の塗装およびシーリングにおける従来の電気コーティングプライマー)、およびこのeコーティングに塗布される外部コーティングを有する。この場合、外部コーティング部分は、このeコーティング層に塗布された少なくとも1つの色含有ベース層、およびこのプライマー層に塗布されたパール光沢層を含む。ベース層の厚みは、好ましくは約15〜40ミクロンの範囲、より好ましくは約30〜約40ミクロンの範囲である。このパール光沢層は、約7〜20ミクロンの範囲、より好ましくは約11〜約15ミクロンの範囲の厚みを有する。パール光沢コーティングは、ある場合には、例えば、コーティングが14ミクロンの厚みを有する条件下では、コーティング上のUV照射量の約85パーセントを吸収することができるように処方されてもよい。
【0069】
本発明の別の局面において、所定の色の仕上げ車両塗装コーティングを形成する方法が提供される。この方法は以下の工程を包含する。少なくとも1つのベース層を形成する工程であって、この少なくとも1つのベース層は、この仕上げ車両塗料コーティングの色を少なくとも部分的に決定する色特徴を有する工程。パール光沢層は、この少なくとも1つのベースコーティングの上に形成される。このパール光沢層は、仕上げ車両塗料コーティング上にパール光沢効果を与えるための少なくとも1つのパール光沢成分、および約500グリットを超えない粗度の少なくとも1つのベース層上に存在する物理的欠損を隠すための少なくとも1つの物理的欠損隠蔽成分を含む。このパール光沢層は、上記に記載された方式で処方される。
【0070】
本発明によるパール光沢処方物の隠蔽能力はさらに、さらなる有用な利点を提示する。パール光沢処方物は、上記のように、ある場合には、黒色および白色隠蔽を達成するだけでなく、物理的隠蔽も達成する。言い換えれば、わずかに不規則な表面に対するパール光沢処方物の塗布は、この表面の物理的不規則性、または局所的な補修修復領域における変化を隠し、それをヒトの眼に視認できなくさせるという効果を有する。
【0071】
局所的な補修修復領域とは、例えば、両方とも、パール光沢塗装の前に、ヤスリがけまたは他の処理によって除去されるか補正されることが決定されている、例えば、塗料の滴下、物理的障害、例えば所望されない、鋼または塗料の粒子などが、この塗料中に内包される車両上の位置であってもよい。
【0072】
所定の色の仕上げ車両塗料コーティングを形成する方法が開発されており、これは以下の工程を包含する。少なくとも1つのベース層を形成する。このベース層は、この仕上げ車両塗料コーティングの色を少なくとも部分的に決定する、色特徴を有する。このベース層は好ましくは、仕上げ色を少なくとも部分的に決定するピグメントを含有するプライマー層である。このベース層上に、パール光沢層を形成する。このパール光沢層は、仕上げ車両塗料コーティングに対してパール光沢効果を与えるための少なくとも1つの第一のパール光沢成分、および少なくとも1つの第二の成分を含み、この第二の成分がなければ、この少なくともベース層における物理的変形は、この仕上げ車両塗料コーティング中で可視である。このパール光沢層の処方は、上記の一般的処方物に、より詳細には、表1に特定される特定のサンプル処方物に従う。
【0073】
自動車工場の組み立てライン上の実際的な塗布において、パール光沢処方物の隠蔽特性を用いることが、以前の段落に記載された方法に加えて、以下のさらなる工程において有利である。このベース層を垂れ(drip)またはたるみ(sag)のような任意の塗装の欠陥について検査する。このようななんらかの欠陥が存在すれば、補修修復の必要なベース層上の欠陥領域を特定する。補修ベース層パッチを、この欠陥領域に塗布する。ベース層パッチを、例えば、500グリットより細かいサンドペーパーを用いてヤスリがけすることによって生じた粗度に等しい粗度までヤスリがけし、これによってこのベース層を仕上げすることなく、中間のベース層を形成する。補修パール光沢層をこの中間のベース層上に塗布する。補修パール光沢層は、少なくとも1つのパール光沢成分、および十分な量の少なくとも1つの他の補修成分を含み、この成分は、中間のベース層における物理的変形を隠蔽するのに十分な濃度で該補修的パール光沢層中に存在し、これが存在しなければ裸眼で視認可能であり、かつ存在してもこのパール光沢成分のパール光沢効果を抑制する。
【0074】
従って、本発明の1つの実施形態は、先行技術において利用されるピグメントと比較して、全体よりすくないピグメントを利用することによって、車両上に白色パール光沢仕上げを塗布する方法を提供する。この場合、仕上げの隠蔽要件の一部は、パール光沢ピグメント以外のピグメントによって寄与される。このことは、eコーティング(またはその等価物)を覆って塗布されるプライマーコーティングの平均厚みを減少させる重大な技術的効果を提供する。例えば、従来のプライマーコーティングは、例えば、仕上げ表面が露光されるUV光をフィルターするために必要な最小隠蔽よりも多くを提供するように45ミクロンの最小平均厚みを要するかもしれない。この場合、統計学的にさらに薄いプライマーコーティングを受けることが公知の車両表面上の目立たない位置でのなんらかの補修修復を行うには、およそ10パーセントの安全性のマージン(ゆとり)が課される。本発明のこの1つの実施形態の場合、隠蔽およびUVフィルタリングを同様に提供するためにパール光沢層を塗布する場合、その安全性のマージンは、さらに薄いプライマー(例えば、約30ミクロンの平均厚み、すなわち、約30%の減少)で依然として導入され得る。
【0075】
さらに、隠蔽性を提供するために、パール光沢層に添加されたピグメントは、またある場合には、個々のパール光沢粒子の配置に役立ち、パール光沢粒子は、結合剤中それ自体で例えば、局所補修修復領域における物理的なヤスリがけにおいてもたらされる静電気電荷の変化に対するその位置の調節についてより感受性である。さらなるピグメントなしに、それ自体が電気的に荷電された粒子であるパール光沢粒子は、中間部分に、例えば、パール光沢層上に部分的には直立して取り込まれ、これが裸眼に対して好ましくなくみえる、特定の領域に対する明確に異なる外見を付与し得る可能性がさらに高いかもしれない。
【0076】
本発明の実施形態は、以下の実施例を参考して記載されるが、これは、例示の目的でのみ提示されており、本発明の範囲を限定することは意図しない。
【0077】
(実施例)
本発明の1つの実施形態による処方物の特定の例を表1〜表5に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
【表5】
【0083】
本発明の1つの実施形態によるパール光沢コーティングの隠蔽特性を決定するための黒色および白色試験によって、以下の結果が得られる。本発明の1つの実施形態に従い、かる表1におけるパイロットサンプル63による処方物を有する、パール光沢コーティングの層は、90ミクロン厚の層で塗布された場合、黒色および白色の隠蔽を達成した。対照的に、従来のパール光沢白色雲母のコーティング(それ自体でXIRALLIC(商標))は、少なくとも581ミクロン厚の層で塗布されないと、同じ隠蔽を達成しなかった。
【0084】
試験を実施して、本発明の1つの実施形態によるパール光沢処方物のUV照射フィルタリング能力を評価した。
【0085】
選択されたパール光沢処方物のサンプルを、長期間UV照射に曝すことによって(光透過パーセントについて)、以下の方法によって試験した。
【0086】
調製:各々のフィルムは下地を有さなかった。プライマーをPP(ポリプロピレン)プラーク上に噴霧したが、トップコーティングのパネルのみは、Mylarシート上に噴霧した。これは、PPに入るトップコーティングUV安定化パッケージの関与に起因する。このプライマーを、0〜57ミクロンの2つのパネルにわたって割り込んで噴霧した。
【0087】
試験方法:フィルムを自動記録分光光度計(スペクトル透過率を測定する)装置の真ん中のセルに入れて、1nmインクリメントで705〜297nmにわたってスキャンした。表面積(nm%)を、UVおよび可視領域について、この装置によって内部的に算出した。このストリップの頂部にマークを付けて、各々の測定を行なうフィルム厚の測定する場所を示す。機械誤差は、1%未満であったが、しかし、全体的なセルウインドウが、フリーフィルムサンプルを用いて充填されるように注意を払う必要がある。
【0088】
雲母のみを含むパール光沢処方物のコントロールサンプルを、同じ試験条件に供した。得られたデータは、表6に示すが、ここでは、右側の列が、漸増する波長でのUV照射の適用を示しており、そして残りの列は、光の波長をナノメートルで示す。この列は塗料のタイプを示す。
【0089】
MICA−XIRALLIC パールコーティングのみ14μフィルム厚
2C1B−14μフィルム厚のHondaパールコーティング
3C1B−従来の3−コーティング白色パール(7μカラーベースおよび7μパールベース)−総フィルム厚が14μである。
白色−14μフィルム厚の従来のつやなし白色パール
金−14μフィルム厚の金色塗料
【0090】
【表6】
【0091】
ここで図1を参照すれば、本発明の1つの実施形態によるパール光沢処方物の有効性を実証するために、グラフにおいて、UV照射の波長の増大に対する、UV照射の透過率の割合のデータをプロットした。
【0092】
このグラフによって、波長が増大するにつれて、雲母のみのコントロールサンプルを通るUV照射の透過率は有意に増大し、400nmでほぼ100%のピークに達するということが明確に実証される。対照的に、このパール光沢処方物によって、400nmで10%未満である透過率パーセントを有する、印象的なUV照射フィルタリング能力が実証される。
【0093】
試験を実施して、パール光沢処方物の物理的な隠蔽能力を評価しかつ実証した。下塗りされた表面を、100、200、300、360、400、500、600、700および800グリットである、標準的な粗度のヤスリがけグリットを用いて磨耗させた。本発明に従うパール光沢処方物であって、詳細には、表1〜表5において特定されるパイロットサンプル63において特定された成分を有する処方物を、自動車産業における標準的な塗装手順に従って、この磨耗された試験表面に塗布した。このパール光沢処方物を11ミクロン厚の層に塗布した。この試験結果によって、500グリットの粗度の磨耗は、パール光沢処方物の塗布後に裸眼では見えないということが実証された。360グリットの磨耗に対するパール光沢処方物の塗布は、全てのひっかき傷を被覆することはなく、同様に、より粗い磨耗は隠蔽されなかった。
【0094】
本発明は、現在好ましい実施形態と考えられるものについて記載されているが、本発明はそのように限定はされない。反対に、本発明は、種々の改変および等価物ならびに添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に含まれる最初の開始温度を実質的に回復する蓄熱器を利用する、他の構成も包含することが意図される。
【0095】
上記のピグメント、コーティングおよび方法は、車両表面に塗布されるが、それらは、他の表面、例えば、工業的および個人用の製品、プラスチック、金属などの範囲を包含する表面にも利用可能であることが理解される。従って、上記の説明は、車両表面の好ましい分野に対して本発明を全体的に制限することは意図しない。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、車体表面を塗装するような自動車産業に有益である。
【符号の説明】
【0097】
102…金属表面、104…eコーティング、106…第一の色ベース層、108a…第二の色ベース層、108b…パール光沢層
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料、ラッカーおよびプライマーにおいて使用される白色ピグメントに、そして塗装されるかまたは塗布された表面上に白色の「パール(pearl)」仕上げを作製するための改良方法におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車産業において、パール光沢の白色仕上げが所望され、そして自動車およびトラックのための非常に素晴らしい仕上げの色である。パール光沢白色仕上げは、つやなしの白色仕上げよりも購入者に人気があることが知られている。
【0003】
慣習的に、自動車にパール光沢白色仕上げを作製するためには、露出された金属部分がプライマーの1つ以上のコーティングを用いて下塗りされた後に、3工程適用プロセスが必要である。以下の工程を使用してパール光沢白色仕上げを作製する:白色塗料のベースコーティングを塗布する、次のパール光沢物質のコーティングは一般に雲母を含むが、これは着色されておらず、むしろ、「パール」仕上げを提供するための高度に反射性の物質の粒子を含む。最後に、クリアコーティングを塗布して、基礎にある層をシールする。各々のコーティング層は、別々に塗布されなければならず、そして各々の引き続く各々の層の塗布の前に、適切な乾燥時間そして必要な場合、焼結が与えられなければならない。結果としてパール光沢仕上げの作製は、労働集約的でありかつ時間浪費的である。2つの異なるタイプの塗料のコーティングが物品に塗布される場合は常に、同じタイプの塗料の多数のコーティングの間に必要であるよりも長い乾燥時間を置く必要がある。3コーティング塗料仕上げの適切な固定を容易にするため、各々の塗料アンダーコーティング、パールコーティングおよびクリアコーティングの固定のためには乾燥時間が必要である。さらなる期間、組み立てライン上に塗装された物品を保持することによって、より長い乾燥時間が達成される。塗料塗布の間により長い乾燥時間を設けるため、単に自動車組み立て工場の塗装部門をより緩徐に通過させるように組み立てラインを運転することは実現不能である。代わりに、組み立てライン全体を長くして塗料の乾燥を得ることができるさらなる通過時間を設けなければならない。従って、組み立てラインを長くするために、それを通じて組み立てラインを運転する、より長い物理的な工場空間が必要になる。物理的な空間が貴重である製造工場では、別にさらなる組み立てラインを長く設けて、多数の塗料コーティングの塗布の間に多重処理はできないかもしれない。従って、いくつかのさらに小さい製造工場において製造された車両に特定の塗料仕上げを与えることは不可能であるかもしれない。
【0004】
Jaffeらの特許文献1(その主題全体が参考として援用される)は、2コーティングおよび3コーティングの自動車仕上げ、ならびにそれらの調製のためのプロセスであって、上部コーティングまたは中間コーティング中へ不透明な光干渉ピグメントを組み込むのにおいて多色が達成されているプロセスを開示する。Jaffeによって教示されるプロセスは、2つのコーティング層の使用を包含し、その第一は、全体を隠すための不透明な白色、黒色または着色ピグメントを含み、そして第二の層は、第一のコーティングを隠さないような干渉ピグメントである。この仕上げを完了するために、クリアトップコーティングがさらに、着色されたコーティング上に塗布される。さらに、教示された不透明な干渉ピグメントの粒子は、透明な誘電体層を用いてコーティングされ、次いで半透明の層を用いてコーティングされた、不透明な層を有する多層粒子である。これは、塗布するには比較的複雑でありかつ高価なコーティングプロセスであって、このプロセスの結果は、多色の塗料の効果である。
【0005】
Sadaらの特許文献2(その主題全体が参考として援用されている)は、色ベースと、この色ベースに置かれた第一のコーティング層と、この第一のコーティング層に含まれた透明な光輝部材とを含むコーティング構造であって、各々の光輝部材が、異なる屈折率を有する少なくとも2つのポリマーが交互に重なる層状組織を含み、そして交互の層状組織によって生じる反射干渉から生じる干渉光、および干渉光以外の透過光を制御する、コーティング構造を開示している。
【0006】
Panushらの特許文献3(その主題全体が参考として援用されている)は、雲母粒子中に封入された、低いピグメント対結合剤比の酸化鉄を含有する透明なトップコーティング組成物を開示している。Panushの教示は詳細には、深度、透明度および色度を有する着色された仕上げを作製することに取り組んでいる。この特許によって、酸化鉄ピグメントを封入した雲母は、パール光沢であることに加えて固有の隠蔽能力を有することが示されるが、それらは添加した色であると言われている。これらの所望の色の効果は、金属(すなわち、アルミニウム)および以前のパール光沢ピグメント(天然または合成)では獲得できないと述べられている。これらのいわゆる「無色かつ不透明のピグメントは、真の着色されたピグメントの価値を低下し、灰色の曇った低色度(gray−cloudy−low chroma)の色を生じる。着色仕上げに着目した場合、この特許は、パール光沢白色仕上げ中のピグメントおよび隠蔽物質としてのアルミニウムの価値を認識かつ教示できない。
【0007】
Panushらの特許文献4(その主題全体が参考として援用されている)は、マルチコーティングシステムを利用する、下地に対する乳白色の色効果を開示するが、ここでは、着色されたプライマーが表面に塗布され、続いて透明なベースコーティング、次にクリアコーティングが塗布される。この透明なベースコーティングは、隠蔽の質が劣り、比較的高い光透過率を有する傾向であるはずである。このベースコーティングの特徴を補償するため、極めて有効な黒および白の隠蔽を有するプライマーが必要であり、そして、UV光レベルをブロックする(ブロックしなければ透明なベースコーティングを通じた有意な電気コーティングの分解が存在するであろう)には、さらなる測定が必要である。さらに、透明なベースコーティングの使用には、プライマー層が注意深く塗布されかつ徹底的にヤスリがけされなければならない。なぜならこの透明なベースコーティングはプライマーコーティングにおける欠損をマスクできないからである。
【0008】
従来の二酸化チタン白色塗料の場合、極めて大量の二酸化チタン色素を塗料媒体に添加して、従来の塗料塗布については代表的には30〜50ミクロンという合理的なフィルムの厚みで、十分な隠蔽力を達成しなければならない。この塗料処方物は、固体の粒子をさらに保持する能力をほとんど有さないので、雲母の粒子のようなパール光沢物質を添加するための塗料混合物中の余地はほとんど残らない。従来の白色二酸化チタン塗料に対して雲母を添加しても、白色塗料の視覚的な外観は変化しないということが既に公知である。従来の二酸化チタンベースの白色塗料、すなわち、ピグメント部分のうち90パーセントを超えるチタン含量を有する塗料は、パール光沢物質の添加にかかわらず、「つやなし(flat)」な白色の外観を有したままである。
【0009】
溶媒ベースの塗料は、40〜60パーセントのピグメントを担持し得る。他方では、水ベースの塗料およびプライマーは、同様にピグメントを微粒化しない。従って、最大のピグメント荷重は、例えば、20〜35パーセントの範囲内でかなり低いはずである。各々の場合、従来の白色塗料について、ピグメントの90%が白色ピグメント、すなわち二酸化チタンでなければならない。
【0010】
雲母薄片は、従来の白色塗料を作製するのに必要な大量の二酸化チタンピグメント中に埋もれて、雲母のパール光沢の外観が眼に見えなくなると考えられている。
【0011】
白色のパール光沢的な外観を有する従来の塗装された仕上げを作製するために、白色の二酸化チタン塗料を入れて、パール光沢物質の「埋もれ(drowning)」を防止した後に、雲母または別のパール光沢物質のパールコーティングを塗布する必要があった。従来のパールコーティングは、それ自体は隠蔽力を有さない。着色されたベースコーティングは、物品上のヤスリの跡などをカバーし、塗装された物品の実際の色を作製するなどの、仕上げの特性を隠すために必要である。パールコーティングは単に光沢のある特徴を与え、これが「つやなし」仕上げを「パール」仕上げに変換する。二酸化チタン白色ベースコーティングおよびパールコーティングは、2つの異なるタイプの塗料であり、他の物質が表面に塗布される前に、コーティングを固定するために別個のフラッシュ時間を必要とする。着色されたベースコーティングの塗布とパールコーティングの塗布との間にフラッシュ時間がなければ、これらのコーティングの間で塗料ストライキング(striking)が生じる。塗料ストライキングは、塗装の瑕疵であり、これは、前の塗料層からの色素またはピグメントが、新しく塗布された物質の溶媒中に溶解されて、滲出して、新しく塗布された物質の仕上げ色を変更するときに生じる。ストライキングは、2つのコーティングの塗布の間に十分なフラッシュ時間なしに、2つの異なるタイプの塗料コーティングを塗布することによって生じる。別々の雲母パール光沢化コーティングの塗布には、別々の塗布工程が必要であり、これには自動車製造ラインの大幅な調整を必要として、製造される各々の車両の塗装費用の実質的な上昇をまねく。
【0012】
日光に対して露光する影響は、ほとんどの物質の風化による劣化の基本的な原因である。塗料風化の主な要素は、光分解である。
【0013】
地表に達する日光の波長分布は、各々の波長領域によって生じる物質に対する相対的な影響のせいで重要である。
【0014】
日光は、3つの主な領域に分類できる:紫外(UV)、可視および赤外(IR)。各々の領域は、それ自体の別個の波長範囲を有する。
1.UV 400nm未満の波長 日光の成分の6.1%
2.可視 400〜700nmの波長−日光の成分の51.8%
3.赤外 700を超える波長−日光の成分の42.1%
【0015】
可視領域は、全体的な太陽エネルギーの最大部分を担う;しかし、太陽のエネルギーのUV部分は、最も破壊的な成分である。紫外(線)自体は、3つの別個の波長領域にわけられる;UVAおよびUVBのみが地表に到達する。
【0016】
範囲 波長(nm)
UVC 280未満
UVB 280〜320
UVA 320〜400
【0017】
地表にはUVCは存在しない。なぜなら293未満〜300nmの波長は、大気によって透過されないからである。UV波長が短いほど、物質に対するその損傷効果は大きくなる。UVAおよびさらに短い波長のUVBが、ほとんどの光分解を担う。従って、太陽光の割合のうち、太陽スペクトルの最小のパーセンテージを含むものが、物質分解の主な原因である。
【0018】
光分解は、物理的構造の劣化を生じる、露光された物質において化学結合を破壊する光エネルギーの結果として生じる。波長が短くなるほど、各々の個々のパケットのエネルギーは大きくなり、光は、ますます強力な分子結合を破壊することができる。従って350nmの照射に抵抗することができる化学構造は、320nmの照射には耐えることができないかもしれない。しかし、光子におけるエネルギーレベルが増大するほど、利用可能な量は減る。
【0019】
光化学の第一法則は、吸収される光のみが損傷を生じ得るということを述べている。従って、損傷するUVエネルギーの吸収が防止されるか、さもなければ低下させることができれば、劣化は遅くなる。この前提によって、塗料処方物における研究のかなりの基礎が成り立つ。
【0020】
太陽スペクトルの可視部分は、物理的分解の限られた部分を担うが、これは感受性であるわずかな物質のみにおいてである。いくつかの色素およびピグメントは、可視スペクトルの低い領域における波長に感受性である。これによってほとんどの物質における色の変化が顕在化するが、ただし他の物理的特性に対する変化はない。
【0021】
赤外線領域は、照射された標本上で熱の蓄積を生じさせるが、そうでなければそれに伴って有意な劣化が生じることはない。IRは、劣化における要因である。なぜならこれらの波長の吸収は、標本の温度を上昇させ、次いでこれが光分解の速度の増大をもたらすからである。
【0022】
コーティングに対するUV保護を改善するために長年にわたって重要な進歩がなされてきたが、UV透過能を有する改善されたパール光沢コーティングに必要性は依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】米国特許第5,871,827号明細書
【特許文献2】米国特許第5,350,509号明細書
【特許文献3】米国特許第4,499,143号明細書
【特許文献4】米国特許第4,615,940号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
従って、本発明の目的は、上述の不利な点の少なくともいくつかに取り組むことである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の局面の1つによれば、本発明は、以下の群より選択された1つ以上のピグメント成分を含む白色ピグメントを提供する;アルミニウム、亜鉛、銅/亜鉛合金、ステンレス鋼、ニッケルおよび選択された金属塩。詳細には、白色ピグメントが提示されるが、これは、以下からなる群より選択される1つ以上の塩を含む:酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、水和ケイ酸アルミニウム・マグネシウム(滑石)、シリカ、雲母(k2O.3Al2O3.6SiO2.2H20)、ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、無水ケイ酸アルミニウムナトリウム・カリウム、ケイ酸アルミニウムナトリウム、アルミナ三水和物、硫酸バリウム。さらに詳細には、この白色ピグメントは、酸化アルミニウムおよびぞれからなるピグメント処方物であって、塗料、ラッカーまたはプライマーであるピグメント処方物からなる。パール光沢白色塗料は、塗料処方物であって、ここに白色ピグメントおよびパール光沢物質が添加される塗料処方物を提供することによって処方されてもよい。物体上にパール光沢白色仕上げを作製するためのプロセスは、本発明によるパール光沢白色塗料処方物の少なくとも1つのベースコーティングをこの物体に塗布する工程、このベースコーティングを固定する工程、このベースコーティングにクリアコーティングを塗布する工程、およびこのクリアコーティングを固定する工程を包含する。
【0026】
1つの実施形態において、酸化アルミニウムの重量の割合は、約0.1%〜約50%の範囲内である。ベースコーティング塗料のためのピグメント処方物は、酸化アルミニウムの割合が約0.1%〜約20重量%の範囲内であってもよい。プライマーのためのピグメント処方物は、酸化アルミニウムの割合を約0.1%〜約10重量%の範囲内で有してもよい。
【0027】
1つの実施形態において、このピグメントは、チタン部分を、二酸化チタンのような、好ましくはその塩の1つ以上の形態で含む。
【0028】
本発明の別の局面において、パール光沢白色塗料を作製するための方法が提供されるが、この方法は以下の工程を包含する:
a.塗料処方物を提供する工程;
b.そこへ、以下の群:酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、から選択される1つ以上の塩を含む白色ピグメントを添加する工程;および
c.そこへパール光沢物質を添加する工程。
【0029】
1つの実施形態において、ベースコーティングはおよそ7〜25マイクロメートルの厚みで塗布され、そして環境フラッシュ脱水および/またはオーブン中での焼成によって固定されてもよい。クリアコーティングはまた、約35〜45マイクロメートルの厚みまで塗布されてもよい。
【0030】
本発明のなお別の局面において、本発明は、物体上にパール光沢白色仕上げを作製するためのプロセスを提供するが、このプロセスは以下の工程を包含する:パール光沢白色塗料処方物の少なくとも1つのベースコーティングをこの物体に塗布する工程であって、このパール光沢白色塗料処方物は、以下の群:酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、水和ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、シリカ、雲母、ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、無水ケイ酸アルミニウムナトリウム・カリウム、ケイ酸アルミニウムナトリウム、アルミナ三水和物、硫酸バリウムから選択される1つ以上の塩を含む白色ピグメントを含む、工程。
【0031】
本発明のなお別の局面において、所定の色の仕上げ車両塗料コーティングを形成する方法が提供されるが、この方法は、以下の工程を包含する:
a.少なくとも1つのベース層を形成する工程であって、この少なくとも1つのベース層は、この仕上げ車両塗料コーティングの色を少なくとも部分的に決定する色特徴を有する、工程;
b.この少なくとも1つのベースコーティングの上に、パール光沢層を形成する工程であって、このパール光沢層は、仕上げ車両塗料コーティング上にパール光沢効果を与えるための少なくとも1つのパール光沢成分、および500グリットを超えない粗度の少なくとも1つのベース層上に存在する物理的欠損を隠すための少なくとも1つの物理的欠損隠蔽成分を含む、工程。
【0032】
本発明のなお別の局面において、所定の色の仕上げ車両塗料コーティングを形成する方法が提供されるが、この方法は以下の工程を包含する:
a.少なくとも1つのベース層を形成する工程であって、この少なくとも1つのベース層は、この仕上げ車両塗料コーティングの色を少なくとも部分的に決定する色特徴を有する工程;
b.この少なくとも1つのベースコーティングの上に、パール光沢層を形成する工程であって、このパール光沢層は、仕上げ車両塗料コーティングに対してパール光沢効果を与えるための少なくとも1つの第一のパール光沢成分、および少なくとも1つの第二の成分を含み、この少なくとも1つの第二の成分がなければこの少なくとも1つのベース層における物理的欠損は、仕上げ車両塗料コーティング中で可視である、工程。
【0033】
本発明のなお別の局面において、特定の車両色の車両のためのパール光沢コーティングが提供されるが、このパール光沢コーティングは、eコーティングおよびこのeコーティングに塗布された外側コーティング部分を備え、この外側コーティング部分は、このeコーティング層に塗布された少なくとも1つの色含有プライマー層およびこのプライマー層に塗布されたパール光沢コーティングを含み、この外側コーティング部分は、このコーティングに与えられるUV照射の約85%を吸収し得る。
【0034】
本発明のなお別の局面において、特定の車両色の車両のためのパール光沢コーティングが提供されるが、このパール光沢コーティングは、eコーティングおよびこのeコーティングに塗布された外側コーティング部分を備え、この外側コーティング部分は、このeコーティング層に塗布された少なくとも1つの色含有プライマー層、およびこのプライマー層に塗布されたパール光沢コーティングを含み、このプライマー層は、約15〜35ミクロンに及ぶ厚みを有し、このパール光沢層は、約11〜20ミクロンに及ぶ厚みを有し、ここでこの外側コーティング部分は、このコーティングに曝されたUV照射の約85%を吸収し得る。
【0035】
本発明のなお別の局面において、特定の車両色の車両のためのパール光沢コーティングが提供されるが、このパール光沢コーティングは、eコーティングおよびこのeコーティングに塗布された外側コーティング部分を備え、この外側コーティング部分は、このeコーティング層に塗布された少なくとも1つの色含有プライマー層およびこのプライマー層の外面に塗布されたパール光沢コーティングを含み、ここでこのパール光沢層は、約500グリット以下の粗度のサンドペーパーによって形成されたこの外面上に存在する物理的変形を隠蔽し得る。本発明のなお別の局面において、特定の車両色の車両のためのパール光沢コーティングが提供されるが、このパール光沢コーティングは、eコーティングおよびこのeコーティングに塗布された外側コーティング部分を備え、この外側コーティング部分は、このeコーティング層に塗布された少なくとも1つの色含有プライマー層およびこのプライマー層の外面に塗布されたパール光沢コーティングを含み、この外面は、500〜800に及ぶ範囲のグリットを有するサンドペーパーを用いてヤスリがけすることによって形成された少なくとも1つの局所の補修的修復領域を有し、ここでこのパール光沢層は、この局所の補修的修復領域の存在を裸眼に対して隠すことができる。
【0036】
本発明のなお別の局面において、所定の色の仕上げ塗料コーティングを形成するための方法が提供されるが、この方法は以下の工程を包含する:
−少なくとも1つのベース層を形成する工程であって、この少なくとも1つのベース層は、この仕上げ塗料コーティングの色を少なくとも部分的に決定する、色特徴を有する工程;
−この少なくとも1つのベースコーティングの上に、パール光沢層を形成する工程であって、このパール光沢層は、仕上げ塗料コーティングにパール光沢効果を付与する少なくとも1つのパール光沢成分、およびこの少なくとも1つのベース層上に存在する物理的欠損を隠蔽するための少なくとも1つの物理的欠損隠蔽成分を含む、工程。
【0037】
1つの実施形態において、上記の形成工程は、水ベースのキャリアを用いて実行される。
【0038】
本発明のいくつかの好ましい実施形態は、単なる例として、添付の図面を参照して以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1a】2つのコーティングの模式図である。
【図1】いくつかのコーティングについての波長対光透過率パーセントのプロットである。
【図2】いくつかのコーティングについての波長対光透過率パーセントのプロットである。
【図3】いくつかのコーティングについての波長対光透過率パーセントのプロットである。
【図4】いくつかのコーティングについての波長対光透過率パーセントのプロットである。
【図5】いくつかのコーティングについての波長対光透過率パーセントのプロットである。
【図6】いくつかのコーティングについての波長対光透過率パーセントのプロットである。
【図7】いくつかのコーティングについての波長対光透過率パーセントのプロットである。
【図8】1つのパネルコーティングの断面を示す顕微鏡写真である。
【図9】別のパネルコーティングの断面を示す別の顕微鏡写真である。
【図10】コーティングの方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本明細書の以下において、ピグメントの荷重またはピグメントのパーセンテージに対する言及を行なう。明確化のために、ピグメントの濃度は塗料の100パーセントであると想定するが、溶媒、結合剤などの必要性を考慮すると、実際には100パーセントにはならない。
【0041】
「隠蔽力(Hiding Power)」は、塗料のメークアップを決定するのに重要な定量的要因である。隠蔽力は、塗料がなんらかの背景に噴霧されてその背景を完全に隠蔽することを可能にさせる、塗料の特性として定量的に規定することが可能である。一般的に言って、塗料の産業においては、黒い背景に塗布された塗料が白い背景に同じ厚みで塗布された塗料の0.98の反射率を有する場合に、完全な隠蔽が達成されると認められる。このことは、隠蔽力が背景および塗料の厚みの対照比であり、対照相違を0.02まで低下させる必要があることを意味する。標準図の0.02は、2%(0.02)未満の相違が適度の照明の状態でヒトの眼では感知できないということを述べている、ウェーバー・フェヒナーの法則に基づく。
【0042】
隠蔽力は、塗装された表面に塗布された場合、塗料のフィルム中のピグメント粒子の光吸収特性によって生じる。塗料フィルムの表面の頂部からかなりの光が出現し、そして下地が隠されていなければ、塗料のフィルムはあまり隠さない。ほとんどのピグメントは天然には結晶性である。詳細には、白色ピグメントは、塗料媒体中に分散された場合、強力に光を散乱させる傾向である。白色ピグメントの単一の結晶が、十分に大きく成長された場合、これは、光沢がありかつ透明なガラス様結晶として認識される。この光散乱特徴によって、対応する乏しい隠蔽力のせいで、塗料フィルムの表面からの大量の光出現が生じる。
【0043】
二酸化チタン(TiO2)は、塗料中での使用のための最も通常の白色ピグメントである。不幸にも、このピグメントは、比較的乏しい隠蔽力を有する。白色を維持するため、より大きい隠蔽力を有すると規定されるそれ以外の着色ピグメントを添加しても、隠蔽特性を改善することができない。従って、従来の白色ベースコーティングは、二酸化チタンピグメントを密に包含している。このことは、35ミクロン未満の黒色および白色の隠蔽特性を有する白い塗料色を達成するためには、この塗料は少なくとも90重量%の二酸化チタンを含まなければならないということを意味する。このピグメント含量は、この塗料が流れて、表面上に有効に噴霧されることを依然として可能にするだけの塗料処方物中、可能な最大のピグメント含量にほぼ到達している。対照的に、より効果的な隠蔽力を有するピグメントを含む他の塗料色は、ピグメントの5重量%程度で含まれてもよい。
【0044】
本発明の1つの実施形態に従って、酸化アルミニウム(Al2O3)を白色ピグメントとして有利に用いることができることが確認された。酸化アルミニウムピグメントは、塗料、ラッカーおよびプライマー中に有効に処方することができる。二酸化チタンの代わりの酸化アルミニウムでの代用によって、処方物の総ピグメント含量の0.1重量%〜50重量%の範囲のピグメント荷重を行なうことができる。このパーセンテージによって、必要な隠蔽力に対して塗料の所望の色位置が変更される。白色ベースコーティング塗料を処方するための酸化アルミニウムのピグメント荷重は、0.1重量%〜20重量%の範囲にあってもよい。酸化アルミニウム荷重が20重量%を超えて行なわれる場合、塗料の全体的な色は、青みがかった/灰色調(bluish/gray cast)をとりはじめる。特定の場合、クリアコーティング仕上げは、この青みがかった/灰色の色調をいくらか補正するために、わずかに黄色に向かって調節されてもよい。プライマーについて好ましい酸化アルミニウムピグメントの荷重は、0.01重量%〜50重量%の範囲内である。好ましい白色酸化アルミニウムピグメントの荷重範囲は、0.01重量%〜25重量%である。
【0045】
本発明の1つの実施形態によるピグメントが、従来の白色二酸化チタンピグメントと比べて、かなり低いピグメント荷重(塗料の重量パーセントで決定)で置換されてもよいという理由は、本発明の1つの実施形態によるピグメント、詳細には酸化アルミニウムが、二酸化チタンよりもかなり改善された隠蔽力値を有するということである。従って、同じ「隠蔽(hiding)」能力を達成するのに必要なピグメントは少なくてもよい。
【0046】
ピグメントとしての使用のための二酸化チタンの最も所望される代替品は酸化アルミニウムである。これは、二酸化チタンよりも安価であり、そして良好な隠蔽特徴を有する。
【0047】
酸化アルミニウムは、本発明の1つの実施形態による白色ピグメントとしての使用のための好ましい物質であるが、他の金属および塩も白色ピグメントとして用いられてもよい。より詳細には、以下:酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、水和ケイ酸アルミニウム・マグネシウム(滑石)、シリカ、雲母(k2O.3Al2O3.6SiO2.2H20)、ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、無水ケイ酸アルミニウムナトリウム・カリウム、ケイ酸アルミニウムナトリウム、アルミナ三水和物、硫酸バリウムを含む群から選択される金属塩の1つ以上を白色ピグメントとして用いてもよい。さらに、特定の場合、上記に列挙した金属塩の1つ以上が、好ましいピグメント成分、酸化アルミニウムと一緒に白色ピグメント中で組み合わされてもよい。上記で列挙された金属塩は、白色ピグメントとしての使用についての有効性において変化する。塩の隠蔽力が低下するにつれて、そのピグメントとしての有効性は低下する。なぜならこのピグメントが処方される塗料、ラッカーまたはプライマーの有効な隠蔽特性を達成するのには、この塩のより大きい荷重が必要であるからである。
【0048】
硫酸バリウムの使用は、最も推奨されない群の金属塩である。それが有する隠蔽力は低いだけでなく、ピグメントとしての硫酸バリウムの使用によって、得られた塗料またはプライマーは、特定の条件下で美しくない乳状の外観をとるようになるかもしれない。
【0049】
他の物質は二酸化チタンよりも高い隠蔽力を有するが、環境または他の塗料処方物にとって、それらは二酸化チタン白色ピグメントに対する望ましい代替物ではない。このような所望されない代替物としては鉛、亜鉛およびアンチモンの酸化物が挙げられ、そしてピグメントとしてのこれらの塩の使用は推奨されない。
【0050】
本発明の1つの実施形態によるピグメントの粒子サイズを変化させて、塗料またはプライマー処方物におけるこのピグメントの有効性および隠蔽力を改善してもよい。
【0051】
塗料プライマーは、プライマー中において従来用いられる二酸化チタンピグメントに代わって、またはその一部と交換して、本発明の1つの実施形態によるピグメントを置換することによって有利に処方され得る。酸化アルミニウムを白色ピグメントとして、または白色ピグメント中に用いる場合、プライマーを作製するために伝統的に処方されるピグメントの密な荷重は、約0.1〜60パーセントまで減らされてもよい。言い換えれば、二酸化チタンの一部または全体と入れ代わっての白色ピグメントとして酸化アルミニウムの置き換えによって、プライマーの所望の隠蔽特性について必要なピグメントの全体的重量パーセントは低下する。ピグメント荷重の減少は、プライマーの流動特性を改善する有利な効果を有し、そしてプライマーを作製するために必要な研磨時間を短縮することによってこのプライマーの製造プロセスを簡単にする。本発明の1つの実施形態によるピグメントの交換によって、より薄いプライマーが作製される。より薄いプライマーを用いて達成することができるコーティングほど、下塗りされている物品で得られる被覆はさらに良好になる。プライマー中のピグメントの量が減少される場合、それに続いてプライマーの全体的な固体含量が減少され、そしてプライマー容器、噴霧ノズルおよびホースにおけるスラッジとしての固体ピグメント粒子の構築の可能性は低くなる。
【0052】
白色ピグメントが、ある割合の二酸化チタンおよび別の割合の酸化アルミニウムを含むように処方され得るという場合が存在し得る。この場合、酸化アルミニウムは、隠蔽に寄与するが、二酸化チタンは、酸化アルミニウムによる青色/灰色への色シフト、または他のピグメント成分による別の色シフトを相殺する傾向である。
【0053】
プライマーにおいて二酸化チタンに代わって本発明の1つの実施形態による白色ピグメントを使用することによって、密なピグメント荷重なしに、プライマーの達成されるべき必要な隠蔽特性が得られる。ピグメントの荷重の減少によって、従来の硬化抑制剤を添加してプライマーが噴霧適用に十分に流動することを可能にするという必要性がなくなる。硬化抑制剤の排除は有利である。なぜならプライマー中に硬化抑制剤を使用すれば、この抑制剤を用いない場合には生じ得ない、いくつかの所望されない副作用が生じるからである。硬化抑制剤によって、プライマーを、塗布が極めて短い作業時間枠で済むようにすることができる。また、抑制剤を用いる場合、塗料のたるみ(sagging)、またははじけ(popping)、および不均一な噴霧被覆のリスクが大きくなる。たるみは、塗装の瑕疵であり、これは垂直な表面に塗布された湿潤な塗料コーティングの上の重力作用から生じる。たるみは、塗装された表面上の塗料の下向きの流れとして生じる。塗料内のピグメントの高密度レベルおよび塗料の厚いコーティングの使用によって、たるみ現象はさらに悪化する。はじけは、塗料の瑕疵であり、これは物品に塗布された塗料の層の表面近くの破裂または泡の形成によって生じる。はじけは、塗料の表面粘度が、高レベルに増大するが、揮発性物質が塗料フィルムより下のレベル内に残っている場合に生じ得る。はじけの可能性は、塗料層のフィルム厚とともに増大する。なぜなら、塗料層が厚いほど、その中の溶媒含量の相違が大きくなる機会が大きくなるからである。噴霧被覆におけるこれらの望ましくない欠陥を回避するためには、プライマーまたは塗料の多数の薄いコーティングを用いるべきであり、従って、処理時間および付随する費用が増大する。この望ましくない効果によってまた、仕上げられた塗装物品上の標準以下の被覆を生じるかもしれず、そしてこのような欠陥は、検査の間に検出され、次いで修復されなければならず、そして生産能力および効率が損なわれる。本発明による酸化アルミニウムおよび/または他のピグメントの1つの使用によって、ピグメント荷重の少ない、隠蔽特性の改善されたプライマーが得られる。本発明の1つの実施形態によって処方されたプライマーの改善された流動特性によって、考察された所望されない効果が軽減される。
【0054】
本発明の1つの実施形態による白色ピグメントは、自動車およびトラックを含む塗装物品上にパール光沢白色仕上げを作製するのに使用するために特に有効である。例証されたパール光沢コーティングは、図1aにおいて10として模式的に示されており、ここでは金属表面12上にeコーティング14が形成されている。この場合、色ベース層16は、eコーティング層14に塗布され、そしてパール光沢層18は、この色ベース16上に塗布され、そして透明コーティング層20によって仕上げられる。この場合、パール光沢層18は、第一のパール光沢成分および隠蔽に寄与する第二の成分の両方を提供し、ただしこれは、第一のパール光沢成分によってコーティング上に付与されたパール光沢効果を必要以上に与えたりも、低下させもしない方式で提供する。このパール光沢コーティングの二重の成分構成、従って二重の機能が双方向の交差斜線によって提示されている。パール光沢コーティングの詳細は、本明細書の以下においてさらに詳細に記載される。
【0055】
比較目的のために、例示的なパール光沢コーティングをまた図1aに示すが、これはここでは100として図示されている。このコーティングは、金属表面102上にeコーティング104が形成されている。この場合、第一の色ベース層106は、eコーティング層104、代表的にはプライマーコーティングに塗布され、そして第二の色ベース層108aは、第一の色ベース層上に塗布される。パール光沢層108bは、この第二の色ベース108a上に塗布され、そしてこのコーティングは、透明コーティング層109によって仕上げられる。この場合、パール光沢層108bは、パール光沢成分を有するが、隠蔽に寄与するその他の成分は有さない。むしろ、この隠蔽効果は、第二の色ベース層108a上に残される。従って、このパール光沢層108bの単一の成分の性質は、単一方向の斜線によって示される。
【0056】
パール光沢塗料仕上げを作製するために、選択された量の屈折物質またはパール光沢物質を、色ピグメントと一緒に塗料に添加しなければならない。多くのパール光沢物質が公知であり、そして塗料製品におけるパール光沢仕上げを作製するために塗料産業において用いられる。任意のパール光沢因子は、いくつかの場合、本発明の1つの実施形態と併せて用いられ得るが、ただし最もよく使用されるパール光沢物質は雲母薄片である。
【0057】
雲母薄片またはアルミナ酸化物の特定の好ましい形態は、商品名XIRALLIC(登録商標)としてMerck KgaAから入手可能である。アルミナ酸化物のXIRALLIC(登録商標)処方物は、10マイクロメートルより大きい粒子径および5〜10という縦横比(粒子直径/厚みとして規定される)を有する六角の薄片の形態である。アルミナ酸化物の他の好適度の低い薄片形態も、単独でかまたはXIRALLIC(登録商標)という製品と組み合わせてのいずれかで首尾よく用いることができる。異なる薄片形態のアルミナ酸化物の割合は、所望のピグメント特性に依存し、そして好ましいXIRALLIC(登録商標)製品の形態での使用の割合の増大による製造コストの増大に対する許容度に依存して変化し得る。
【0058】
他のパール光沢物質としては、以下を挙げることができる:酸化金属でコーティングされた、天然に存在する雲母結晶板、二酸化チタンまたは酸化鉄のような高度に屈折性の金属酸化物でコーティングされている、アルミナまたはシリカの薄片のような合成物質、オキシ塩化ビスマス結晶、天然のパール光沢グアニンおよび魚鱗から得たヒポキサンプリン。本発明の記載における雲母に対する参照は、例示的な目的でのみ用いられており、本発明の白色ピグメントを用いてパール光沢白色仕上げを作製するために用いることが可能で、そして本発明の1つの実施形態の白色ピグメントを含むピグメント処方物において用いることが可能なパール光沢物質の範囲を限定する意図はない。
【0059】
本発明の1つの実施形態に従って、塗料に他の色の塗料ピグメントとともに雲母を添加することによって、規定によればさらに有効な隠蔽特性を有し得る、白色以外の着色されたパール光沢塗料仕上げを作製することができる。所望のパール光沢の外観を達成するために、二酸化チタンの量を総ピグメント含量の15%より低くしなければならない。このレベルを超える処方物中の二酸化チタンの割合の増大によって、パール光沢効果が低下する。例えば、二酸化チタンのレベルが35%より低い場合、これを含むパール光沢コーティング(これは「パールホワイト(pearl white)」と記載され得る)が現れ始めることが見出されている。35%では、極めて明るく輝く白さである。25%では、パールホワイトになりはじめるが、高レベルのチタンに起因してそれほど「透明な(clean)」パール効果ではない。驚くべきことに、約15%より低いチタンレベルを含むパール光沢層は、真の白色パールを発色し始めるが、隠蔽性はまたかなり低いが、ただしここでは、前記のことは、隠蔽性を改善しかつ光透過を減じ、白色を維持しかつ輝きを改善するために、酸化アルミニウムまたは同様の特性を有する他のピグメントの一部を添加することによって相殺され得ることが見出されている。
【0060】
本発明の1つの実施形態によるピグメントが、白色ベースコーティング塗料を処方するために用いられる場合、このピグメントは、従来のコーティングにおいて達成されるように、二酸化チタンをそれ自体に用いることによって達成され得るよりも、例えば、約15〜約60重量パーセントの範囲などのかなり低い重量パーセントで、ベースコーティング塗料に十分な隠蔽特性を与える。本発明の好ましい実施形態によれば、二酸化チタンの代わりに、アルミニウムおよび/または前述のようなその塩の1つを含むピグメントによって二酸化チタンの従来のコーティングの少なくとも一部を置換することによって、総ピグメント含量の0.1重量%〜10重量%の範囲内のピグメント荷重が生じる。正確な重量パーセントは、白色パール光沢塗料の最終の所望の色位置に基づく。わずかに、青みがかった白色が所望される場合、この荷重は10%を超えてもよい;しかし黄色がかった白色が好ましいならば、この荷重は、10%を超えるべきではない。実際問題として、白色ピグメントとしての酸化アルミニウムの荷重によって、総ピグメントの5%未満のレベルでは、所望のパール光沢塗料が得られることが確認されておる。
【0061】
本発明の1つの実施形態におけるパール光沢コーティングの処方物は、従来のパール光沢コーティングと比べて、優れた隠蔽およびUV光ブロック特性を有することがさらに発見されている。本発明の1つの実施形態によれば、パール光沢処方物は、ピグメント組成物および実質的に透明な塗料基材を含むコーティング物質に提供される。この場合、ある範囲の基材を用いて、本明細書に記載されるコーティングを形成することができるが、これには本明細書における上記の背景の節において言及した特許中で言及された基材を含む。ピグメント組成物は、例えば、このピグメント組成物が約11ミクロンの厚みを有するコーティング中である場合、コーティングに対してパール光沢効果を付与するように選択された第一の成分、および500グリットを超えない粗度を有する局所補修ヤスリがけ領域を裸眼に対して隠蔽するように選択された第二の成分を含む。
【0062】
しかし、ピグメント組成物が、500グリットより高い粗度、例えば350グリットを隠蔽し得るいくつかの場合が存在し得る。例えば、ピグメント組成物に、より大量の第二の成分が添加されてもよく、そしてピグメント組成物を含有するコーティングの厚みは、11ミクロンを上回ってもよい。
【0063】
本発明の1つの実施形態によるパール透過性コーティング処方物は、以下の成分を有する。
TiO2 0.1〜15%
雲母(XIRALLIC、金、雲母など) 10〜99%
アルミニウム(微細、粗い、または金) 0.1〜20%
ピグメント色(黄色、黒、青、赤など) 0.0〜5%
【0064】
アルミニウム粒子は、比較的大きいかまたは粗い粒子、すなわち1〜2ミクロンの厚み、および100〜200ミクロンの粒径の粒子サイズの粒子であってもよい。この粗い粒子は、「フリップフロップ(flip flop)」効果(この用語は、当業者に公知である)を付与することによってパール光沢物質のパール光沢効果を増強するという驚くべき利点を提供することが見出されている。さらに、ピグメントの色に対する隠蔽および青/灰色の影響における粗いアルミニウム物質の補助的役割は、アルミニウムを用いる結果として、比較的わずかな割合、例えば、約0.1%〜約7%の範囲、より好ましくは約1%〜約5%の範囲の二酸化チタンによって補償され得る。粗いアルミニウムは、Delta Colours Inc.および/またはSiberline Mfg.Co.,Incから入手可能である。アルミニウムは一般に、特定の粒子サイズ分布によって、ペースト中に含有されて「アルミニウムペーストリーフィング(aluminum pastes−leafing)」または「アルミニウムペーストノンリーフィング(aluminum pastes−nonleafing)」としてのみ販売されている。
【0065】
アルミニウム粒子はまた、微細粒子であってもよい。すなわち0.1〜1ミクロンの厚み、および0.1〜100ミクロンの直径のサイズ範囲を有する粒子である。これらの粒子は、例えば、「Delta Colours Inc.」および/またはSiberline Mfg.Co.,Inc.から市販されるピグメントを含んでもよく、これらは、供給されるかまたは製粉されたままで用いられても、さもなければ塗布に適切であるように、そのサイズまたはサイズ範囲プロファイルを減らすように処理されてもよい。
【0066】
本発明の1つの実施形態によるパール光沢処方物の所望される隠蔽特徴は、アルミニウムの特徴および酸化チタンの反射特性を隠蔽することによって作製されると考えられる。この処方物中のアルミニウム粒子は、光をブロックすることによって隠蔽を達成すると考えられ、そして処方物中のアルミニウムの存在によって、特により高いピグメント荷重で、例えば、アルミニウム粒子がピグメント組成物の10パーセントを超える場合には、それは青灰色(blue−gray colour)にされる。処方物中のチタンピグメントは、反射光による隠蔽を補助する反射物質である。チタンピグメントはまた、アルミニウムの存在に伴う青灰色を相殺する。
【0067】
本発明の1つの実施形態によるパール光沢処方物はまた、ある場合には、このコーティングが、塗料層と類似(ただしパール光沢クリアコーティング層と類似ではない)の様式で自動車塗装プロセスにおいて機能するように用いられ得る程度まで、隠蔽およびUVブロックにおいて有効である。本発明の1つの実施形態による処方物の機能的な利点によって、着色されたパール光沢自動車塗料仕上げを得るために、3つのコーティング塗装システムに代わって、2つのコーティング塗装システムの使用が可能になる。2コーティング塗装システムと3コーティング塗装システムとの間の比較を理解するために図8および図9を参照のこと。
【0068】
本発明の1つの実施形態の別の特定の特徴は、水ベースのシステムにおいてポリマー骨格を使用する能力である。これによってかなりの環境上の利点が得られる。なぜなら水に基づくシステムは、有機溶媒系の対比物と比較して、極めて低揮発性の有機物(VOC)の利点を有するからである。この場合、本発明の実施形態によるピグメントを使用するのに必要なピグメント荷重は、水系において送達され得る。なぜなら、ピグメント荷重は、20〜35パーセントに制限されるからである。従って、本発明のピグメントは、ある場合には、従来の白色塗料における90パーセントの白色ピグメント要件の必要性を効果的に排除し得、そしてこれらの所望の水系において使用することができる。本発明の別の局面によれば、本発明は、特定の車両色の車両のためのパール光沢コーティングを提供する。このパール光沢コーティングは、eコーティング(自動車産業において、金属成分の塗装およびシーリングにおける従来の電気コーティングプライマー)、およびこのeコーティングに塗布される外部コーティングを有する。この場合、外部コーティング部分は、このeコーティング層に塗布された少なくとも1つの色含有ベース層、およびこのプライマー層に塗布されたパール光沢層を含む。ベース層の厚みは、好ましくは約15〜40ミクロンの範囲、より好ましくは約30〜約40ミクロンの範囲である。このパール光沢層は、約7〜20ミクロンの範囲、より好ましくは約11〜約15ミクロンの範囲の厚みを有する。パール光沢コーティングは、ある場合には、例えば、コーティングが14ミクロンの厚みを有する条件下では、コーティング上のUV照射量の約85パーセントを吸収することができるように処方されてもよい。
【0069】
本発明の別の局面において、所定の色の仕上げ車両塗装コーティングを形成する方法が提供される。この方法は以下の工程を包含する。少なくとも1つのベース層を形成する工程であって、この少なくとも1つのベース層は、この仕上げ車両塗料コーティングの色を少なくとも部分的に決定する色特徴を有する工程。パール光沢層は、この少なくとも1つのベースコーティングの上に形成される。このパール光沢層は、仕上げ車両塗料コーティング上にパール光沢効果を与えるための少なくとも1つのパール光沢成分、および約500グリットを超えない粗度の少なくとも1つのベース層上に存在する物理的欠損を隠すための少なくとも1つの物理的欠損隠蔽成分を含む。このパール光沢層は、上記に記載された方式で処方される。
【0070】
本発明によるパール光沢処方物の隠蔽能力はさらに、さらなる有用な利点を提示する。パール光沢処方物は、上記のように、ある場合には、黒色および白色隠蔽を達成するだけでなく、物理的隠蔽も達成する。言い換えれば、わずかに不規則な表面に対するパール光沢処方物の塗布は、この表面の物理的不規則性、または局所的な補修修復領域における変化を隠し、それをヒトの眼に視認できなくさせるという効果を有する。
【0071】
局所的な補修修復領域とは、例えば、両方とも、パール光沢塗装の前に、ヤスリがけまたは他の処理によって除去されるか補正されることが決定されている、例えば、塗料の滴下、物理的障害、例えば所望されない、鋼または塗料の粒子などが、この塗料中に内包される車両上の位置であってもよい。
【0072】
所定の色の仕上げ車両塗料コーティングを形成する方法が開発されており、これは以下の工程を包含する。少なくとも1つのベース層を形成する。このベース層は、この仕上げ車両塗料コーティングの色を少なくとも部分的に決定する、色特徴を有する。このベース層は好ましくは、仕上げ色を少なくとも部分的に決定するピグメントを含有するプライマー層である。このベース層上に、パール光沢層を形成する。このパール光沢層は、仕上げ車両塗料コーティングに対してパール光沢効果を与えるための少なくとも1つの第一のパール光沢成分、および少なくとも1つの第二の成分を含み、この第二の成分がなければ、この少なくともベース層における物理的変形は、この仕上げ車両塗料コーティング中で可視である。このパール光沢層の処方は、上記の一般的処方物に、より詳細には、表1に特定される特定のサンプル処方物に従う。
【0073】
自動車工場の組み立てライン上の実際的な塗布において、パール光沢処方物の隠蔽特性を用いることが、以前の段落に記載された方法に加えて、以下のさらなる工程において有利である。このベース層を垂れ(drip)またはたるみ(sag)のような任意の塗装の欠陥について検査する。このようななんらかの欠陥が存在すれば、補修修復の必要なベース層上の欠陥領域を特定する。補修ベース層パッチを、この欠陥領域に塗布する。ベース層パッチを、例えば、500グリットより細かいサンドペーパーを用いてヤスリがけすることによって生じた粗度に等しい粗度までヤスリがけし、これによってこのベース層を仕上げすることなく、中間のベース層を形成する。補修パール光沢層をこの中間のベース層上に塗布する。補修パール光沢層は、少なくとも1つのパール光沢成分、および十分な量の少なくとも1つの他の補修成分を含み、この成分は、中間のベース層における物理的変形を隠蔽するのに十分な濃度で該補修的パール光沢層中に存在し、これが存在しなければ裸眼で視認可能であり、かつ存在してもこのパール光沢成分のパール光沢効果を抑制する。
【0074】
従って、本発明の1つの実施形態は、先行技術において利用されるピグメントと比較して、全体よりすくないピグメントを利用することによって、車両上に白色パール光沢仕上げを塗布する方法を提供する。この場合、仕上げの隠蔽要件の一部は、パール光沢ピグメント以外のピグメントによって寄与される。このことは、eコーティング(またはその等価物)を覆って塗布されるプライマーコーティングの平均厚みを減少させる重大な技術的効果を提供する。例えば、従来のプライマーコーティングは、例えば、仕上げ表面が露光されるUV光をフィルターするために必要な最小隠蔽よりも多くを提供するように45ミクロンの最小平均厚みを要するかもしれない。この場合、統計学的にさらに薄いプライマーコーティングを受けることが公知の車両表面上の目立たない位置でのなんらかの補修修復を行うには、およそ10パーセントの安全性のマージン(ゆとり)が課される。本発明のこの1つの実施形態の場合、隠蔽およびUVフィルタリングを同様に提供するためにパール光沢層を塗布する場合、その安全性のマージンは、さらに薄いプライマー(例えば、約30ミクロンの平均厚み、すなわち、約30%の減少)で依然として導入され得る。
【0075】
さらに、隠蔽性を提供するために、パール光沢層に添加されたピグメントは、またある場合には、個々のパール光沢粒子の配置に役立ち、パール光沢粒子は、結合剤中それ自体で例えば、局所補修修復領域における物理的なヤスリがけにおいてもたらされる静電気電荷の変化に対するその位置の調節についてより感受性である。さらなるピグメントなしに、それ自体が電気的に荷電された粒子であるパール光沢粒子は、中間部分に、例えば、パール光沢層上に部分的には直立して取り込まれ、これが裸眼に対して好ましくなくみえる、特定の領域に対する明確に異なる外見を付与し得る可能性がさらに高いかもしれない。
【0076】
本発明の実施形態は、以下の実施例を参考して記載されるが、これは、例示の目的でのみ提示されており、本発明の範囲を限定することは意図しない。
【0077】
(実施例)
本発明の1つの実施形態による処方物の特定の例を表1〜表5に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
【表5】
【0083】
本発明の1つの実施形態によるパール光沢コーティングの隠蔽特性を決定するための黒色および白色試験によって、以下の結果が得られる。本発明の1つの実施形態に従い、かる表1におけるパイロットサンプル63による処方物を有する、パール光沢コーティングの層は、90ミクロン厚の層で塗布された場合、黒色および白色の隠蔽を達成した。対照的に、従来のパール光沢白色雲母のコーティング(それ自体でXIRALLIC(商標))は、少なくとも581ミクロン厚の層で塗布されないと、同じ隠蔽を達成しなかった。
【0084】
試験を実施して、本発明の1つの実施形態によるパール光沢処方物のUV照射フィルタリング能力を評価した。
【0085】
選択されたパール光沢処方物のサンプルを、長期間UV照射に曝すことによって(光透過パーセントについて)、以下の方法によって試験した。
【0086】
調製:各々のフィルムは下地を有さなかった。プライマーをPP(ポリプロピレン)プラーク上に噴霧したが、トップコーティングのパネルのみは、Mylarシート上に噴霧した。これは、PPに入るトップコーティングUV安定化パッケージの関与に起因する。このプライマーを、0〜57ミクロンの2つのパネルにわたって割り込んで噴霧した。
【0087】
試験方法:フィルムを自動記録分光光度計(スペクトル透過率を測定する)装置の真ん中のセルに入れて、1nmインクリメントで705〜297nmにわたってスキャンした。表面積(nm%)を、UVおよび可視領域について、この装置によって内部的に算出した。このストリップの頂部にマークを付けて、各々の測定を行なうフィルム厚の測定する場所を示す。機械誤差は、1%未満であったが、しかし、全体的なセルウインドウが、フリーフィルムサンプルを用いて充填されるように注意を払う必要がある。
【0088】
雲母のみを含むパール光沢処方物のコントロールサンプルを、同じ試験条件に供した。得られたデータは、表6に示すが、ここでは、右側の列が、漸増する波長でのUV照射の適用を示しており、そして残りの列は、光の波長をナノメートルで示す。この列は塗料のタイプを示す。
【0089】
MICA−XIRALLIC パールコーティングのみ14μフィルム厚
2C1B−14μフィルム厚のHondaパールコーティング
3C1B−従来の3−コーティング白色パール(7μカラーベースおよび7μパールベース)−総フィルム厚が14μである。
白色−14μフィルム厚の従来のつやなし白色パール
金−14μフィルム厚の金色塗料
【0090】
【表6】
【0091】
ここで図1を参照すれば、本発明の1つの実施形態によるパール光沢処方物の有効性を実証するために、グラフにおいて、UV照射の波長の増大に対する、UV照射の透過率の割合のデータをプロットした。
【0092】
このグラフによって、波長が増大するにつれて、雲母のみのコントロールサンプルを通るUV照射の透過率は有意に増大し、400nmでほぼ100%のピークに達するということが明確に実証される。対照的に、このパール光沢処方物によって、400nmで10%未満である透過率パーセントを有する、印象的なUV照射フィルタリング能力が実証される。
【0093】
試験を実施して、パール光沢処方物の物理的な隠蔽能力を評価しかつ実証した。下塗りされた表面を、100、200、300、360、400、500、600、700および800グリットである、標準的な粗度のヤスリがけグリットを用いて磨耗させた。本発明に従うパール光沢処方物であって、詳細には、表1〜表5において特定されるパイロットサンプル63において特定された成分を有する処方物を、自動車産業における標準的な塗装手順に従って、この磨耗された試験表面に塗布した。このパール光沢処方物を11ミクロン厚の層に塗布した。この試験結果によって、500グリットの粗度の磨耗は、パール光沢処方物の塗布後に裸眼では見えないということが実証された。360グリットの磨耗に対するパール光沢処方物の塗布は、全てのひっかき傷を被覆することはなく、同様に、より粗い磨耗は隠蔽されなかった。
【0094】
本発明は、現在好ましい実施形態と考えられるものについて記載されているが、本発明はそのように限定はされない。反対に、本発明は、種々の改変および等価物ならびに添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に含まれる最初の開始温度を実質的に回復する蓄熱器を利用する、他の構成も包含することが意図される。
【0095】
上記のピグメント、コーティングおよび方法は、車両表面に塗布されるが、それらは、他の表面、例えば、工業的および個人用の製品、プラスチック、金属などの範囲を包含する表面にも利用可能であることが理解される。従って、上記の説明は、車両表面の好ましい分野に対して本発明を全体的に制限することは意図しない。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、車体表面を塗装するような自動車産業に有益である。
【符号の説明】
【0097】
102…金属表面、104…eコーティング、106…第一の色ベース層、108a…第二の色ベース層、108b…パール光沢層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パール光沢白色塗料の作製方法であって、
a.塗料調製物を提供する工程と、
b.この塗料調製物に酸化アルミニウム白色ピグメントを添加する工程と、
c.酸化アルミニウム白色ピグメント添加後の前記塗料調製物にパール光沢物質を添加する工程と、
から成る作製方法。
【請求項2】
添加される前記酸化アルミニウム白色ピグメントの重量割合は、前記ピグメント総含有量の0.1〜10重量%である請求項1に記載の作製方法。
【請求項3】
所定の色の仕上げ塗装面の形成方法であって、
−水ベースのキャリアを含むとともに、前記仕上げ塗装面の色を少なくとも部分的に決定する色特性を有する少なくとも1つのベース層を形成する工程と、
−水ベースキャリアを含むとともに、前記仕上げ塗装面にパール光沢効果を与える少なくとも1つのパール光沢成分及び前記少なくとも1つのベース層上に存在する物理的欠損を隠蔽する少なくとも1つの物理的欠損隠蔽成分を含むパール光沢層を前記少なくとも1つのベース層上に形成する工程と、
から成る仕上げ塗装面形成方法。
【請求項1】
パール光沢白色塗料の作製方法であって、
a.塗料調製物を提供する工程と、
b.この塗料調製物に酸化アルミニウム白色ピグメントを添加する工程と、
c.酸化アルミニウム白色ピグメント添加後の前記塗料調製物にパール光沢物質を添加する工程と、
から成る作製方法。
【請求項2】
添加される前記酸化アルミニウム白色ピグメントの重量割合は、前記ピグメント総含有量の0.1〜10重量%である請求項1に記載の作製方法。
【請求項3】
所定の色の仕上げ塗装面の形成方法であって、
−水ベースのキャリアを含むとともに、前記仕上げ塗装面の色を少なくとも部分的に決定する色特性を有する少なくとも1つのベース層を形成する工程と、
−水ベースキャリアを含むとともに、前記仕上げ塗装面にパール光沢効果を与える少なくとも1つのパール光沢成分及び前記少なくとも1つのベース層上に存在する物理的欠損を隠蔽する少なくとも1つの物理的欠損隠蔽成分を含むパール光沢層を前記少なくとも1つのベース層上に形成する工程と、
から成る仕上げ塗装面形成方法。
【図1a】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−59431(P2010−59431A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250017(P2009−250017)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【分割の表示】特願2003−547529(P2003−547529)の分割
【原出願日】平成14年11月29日(2002.11.29)
【出願人】(500019812)ホンダ・カナダ・インコーポレーテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】HONDA CANADA INC.
【住所又は居所原語表記】715 Milner Avenue,Scarborough,Ontario M1B 2K8 Canada
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【分割の表示】特願2003−547529(P2003−547529)の分割
【原出願日】平成14年11月29日(2002.11.29)
【出願人】(500019812)ホンダ・カナダ・インコーポレーテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】HONDA CANADA INC.
【住所又は居所原語表記】715 Milner Avenue,Scarborough,Ontario M1B 2K8 Canada
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]