説明

パール光沢組成物

【課題】強いパール光沢を維持しつつ、濁度の大きいパール光沢組成物を提供すること。
【解決手段】脂肪酸グリコールエステル、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤及び水を含有してなるパール光沢組成物であって、さらに、脂肪酸0.3〜3重量%を含有してなるパール光沢組成物及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パール光沢組成物及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、シャンプー、リンス、ボディシャンプー、液体洗浄剤等の付加価値を高めるのに好適に使用しうるパール光沢組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パール光沢組成物において、パール光沢を付与するための主要成分としては、脂肪酸グリコールエステル、脂肪酸モノアルキロールアミド、脂肪酸等が知られている(特許文献1参照)。なかでも、脂肪酸グリコールエステルはパール光沢組成物における主成分として各種検討されているが、十分なパール光沢を得ようとして脂肪酸グリコールエステルの配合量を増加すると、室温下での粘度が高くなり、流動性が低下する。そこで、特定のノニオン界面活性剤を併用したパール光沢組成物が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特表平6−504781号公報
【特許文献2】特開2000−212031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、パール光沢組成物を化粧料や洗浄剤等に配合する場合、なるべく少量の配合で十分なパール感が発現することが望ましい。かかる観点より、白色度の高い、言い換えれば濁度の高いパール光沢組成物が求められていた。
【0004】
本発明者らは、特定量の脂肪酸を用いることで、強いパール光沢を維持しつつ、濁度の大きいパール光沢組成物を得ることができることを見出し、発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明の課題は、強いパール光沢を維持しつつ、濁度の大きいパール光沢組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
〔1〕 脂肪酸グリコールエステル、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤及び水を含有してなるパール光沢組成物であって、さらに、脂肪酸0.3〜3重量%を含有してなるパール光沢組成物、並びに
〔2〕 脂肪酸グリコールエステル、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、水及び脂肪酸を含有してなる溶融混合液を、該脂肪酸グリコールエステルの融点未満の温度に冷却する工程を含む、前記〔1〕記載のパール光沢組成物の製造方法
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のパール光沢組成物は、パール光沢組成物の強いパール光沢を維持しつつ、濁度が大きいため、少量の配合でも十分なパール感が発現できるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のパール光沢組成物は、脂肪酸グリコールエステル、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、及び水を含有するものであり、さらに、微量の脂肪酸を含有している点に大きな特徴を有する。脂肪酸グリコールエステルを主成分とするパール光沢組成物において、微量の脂肪酸を配合することにより、理由は不明なるも、パール光沢形成成分である脂肪酸グリコールエステルを含む微細なパール光沢形成粒子が多量に析出し、濁度の大きいパール光沢組成物が得られる。
【0009】
脂肪酸としては、炭素数8〜22の飽和又は不飽和の脂肪酸が好ましく、直鎖でも分岐でもよい。結晶微細化の観点から、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の炭素数12〜18の脂肪酸がより好ましい。これらの脂肪酸は、それぞれ単独でも、2種以上が併用されても良い。
【0010】
従って、かかる観点から検討した結果、脂肪酸の含有量は、パール光沢組成物中、0.3〜3重量%であり、好ましくは0.5〜2重量%である。また、脂肪酸グリコールエステル100重量部に対する脂肪酸の含有量は、1〜20重量部が好ましく、1.5〜15重量部がより好ましい。
【0011】
脂肪酸グリコールエステルとしては、例えば、式(I):
Y−O−(CH2CH2O)m-COR1 (I)
(式中、R1は炭素数13〜21の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、Yは水素原子又は−COR1(R1は前記と同じ)を示し、mは1〜3の数で、平均付加モル数を意味する)
で表わされるものが挙げられる。
【0012】
式(I)において、R1としては、炭素数13〜21のアルキル基及びアルケニル基が好ましく、具体的には、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、ヘンイコシル基等が挙げられる。また、脂肪酸グリコールエステルは、式(I)で表されるように、Yが水素原子である場合のモノカルボン酸エステル、Yが−COR1である場合のジカルボン酸エステルのいずれであってもよく、ジカルボン酸エステルにおいて、R1は同一であっても、異なっていてもよい。
【0013】
脂肪酸グリコールエステルとしては、融点が50℃以上の結晶性のものが好ましく、具体的には、モノステアリン酸エチレングリコール、モノパルミチン酸エチレングリコール、モノイソステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ジパルミチン酸エチレングリコール、ジベヘン酸エチレングリコール等のモノエチレングリコール体;これらのジエチレングリコール体;並びにこれらのトリエチレングリコール体等が挙げられ、それぞれ単独であっても2種以上が併用されていてもよい。
【0014】
なお、2種以上の脂肪酸グリコールエステルが併用されている場合、それぞれ調製された脂肪酸グリコールエステルの混合物であってもよく、異なるアルキル鎖長の脂肪酸の混合物とグリコールを用い、それらを反応させて得られた脂肪酸グリコールエステルの混合物であってよい。例えば、パルミチン酸とステアリン酸の混合物とグリコールとの反応からは、ジパルミチン酸エチレングリコール、モノパルミチン酸モノステアリン酸エチレングリコール、及びジステアリン酸エチレングリコールの混合物が得られる。異なる脂肪酸の混合物とグリコールとを反応させる際に用いられる脂肪酸の混合物において、各脂肪酸により占められる割合は、85重量%以下であることが好ましい。
【0015】
上記に例示された脂肪酸グリコールエステルにおいて、本発明において好ましい脂肪酸グリコールエステルとしては、ジステアリン酸エチレングリコール、ジパルミチン酸エチレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、モノパルミチン酸エチレングリコール、及びジベヘン酸エチレングリコール、並びにジパルミチン酸エチレングリコール、モノパルミチン酸モノステアリン酸エチレングリコール、及びジステアリン酸エチレングリコールの混合物が好ましい。
【0016】
脂肪酸グリコールエステルのパール光沢組成物中の含有量は、パール光沢付与の観点から、15重量%以上が好ましく、流動性の観点から、30重量%以下が好ましい。これらの観点から、脂肪酸グリコールエステルの含有量は、パール光沢組成物中、15〜30重量%が好ましく、15〜25重量%がより好ましく、18〜25重量%がさらに好ましい。
【0017】
アルキル硫酸エステル塩は、分散剤として作用するものであり、例えば、式(II):
2−O−(R3O)n−SO3M (II)
(式中、R2は炭素数8〜20の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、R3はエチレン基又はプロピレン基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムイオン又は炭素数2もしくは3のヒドロキシアルキル置換アンモニウムを示し、nは0〜8の数で、平均付加モル数を意味する)
で表わされるポリオキシアルキレン基を有していてもよいアルキル硫酸エステル塩等が挙げられる。
【0018】
式(II)において、R2としては、炭素数8〜20のアルキル基及びアルケニル基が好ましく、具体的には、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等が挙げられる。R3としては、エチレン基、n−プロピレン基及びイソプロピレン基が挙げられる。nは0〜4が好ましい。
【0019】
アルキル硫酸エステル塩の好適例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンが挙げられ、それぞれ単独であっても2種以上が併用されていてもよい。
【0020】
アルキル硫酸エステル塩のパール光沢組成物中の含有量は、各成分を均一に混合する観点から、5重量%以上が好ましく、流動性の観点から、15重量%以下が好ましい。これらの観点から、アルキル硫酸エステル塩の含有量は、5〜15重量%が好ましく、8〜15重量%がより好ましく、8〜13重量%がさらに好ましい。
【0021】
ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤とは、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基を有するものである。本発明では、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤の配合により、粘度を低下させることができ、流動性を損なうことなく強いパール光沢が得られるのみならず、濁度の向上が奏される。
【0022】
ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸モノアルカノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸ジアルカノールアミド等が挙げられ、それぞれ単独であっても2種以上が併用されていてもよい。これらのうち、式(III):
4−O−(R5O)p−H (III)
(式中、R4は炭素数8〜20の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基、R5はエチレン基又はプロピレン基を示し、pは1〜12、好ましくは1〜6の数で、平均付加モル数を意味する)
で表わされるポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。
【0023】
式(III)において、R4としては、炭素数8〜20のアルキル基又は炭素数8〜20のアルケニル基が好ましい。また、R5としては、前記R3と同様のものが挙げられる。
【0024】
ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤のHLBは、パール光沢組成物の乳化を抑制し、粘度を制御する観点から、15未満が好ましく、9〜12.5がより好ましい。なお、HLBとは、親水性−親油性のバランス(Hydrophilic-Lipophilic Balance)を示す指標であり、本発明においては、小田・寺村らによる式:
HLB=(Σ無機性値/Σ有機性値)×10
を用いて算出したときの値である。
【0025】
ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤のパール光沢組成物中の含有量は、パール光沢組成物の粘度を低下させる観点から、0.5重量%以上が好ましく、良好なパール光沢を得る観点から、10重量%以下が好ましい。これらの観点から、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤の含有量は、パール光沢組成物中、0.5〜10重量%が好ましく、0.5〜8重量%がより好ましく、1〜5重量%がさらに好ましい。
【0026】
水の含有量は、パール光沢組成物の濃度及び粘度調整の観点から、25〜75重量%が好ましく、40〜75重量%がより好ましく、50〜75重量%がさらに好ましい。
【0027】
さらに、本発明のパール光沢組成物には、光沢を高める観点から、脂肪酸モノアルキロールアミドが配合されていることが好ましい。
【0028】
脂肪酸モノアルキロールアミドは、光沢の向上に有効であり、例えば、式(IV):
6CO−NH−R7OH (IV)
(式中、R6は炭素数7〜20の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、R7はエチレン基又はプロピレン基を示す)
で表わされるものが挙げられる。
【0029】
式(IV)において、R6としては、炭素数7〜20のアルキル基及びアルケニル基が好ましく、具体的には、ウンデシル基、トリデシル基、ヘプタデシル基等が挙げられる。また、R7としては、前記R3と同様のものが挙げられる。
【0030】
脂肪酸モノアルキロールアミドとしては、ラウリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノプロパノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ミリスチン酸モノエタノールアミド、パルミチン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、オレイン酸モノエタノールアミド、オレイン酸モノイソプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド、ヤシ科植物油脂肪酸モノエタノールアミド等が挙げられ、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらのなかでは、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、パルミチン酸モノエタノールアミド及びステアリン酸モノエタノールアミドが好ましい。
【0031】
脂肪酸モノアルキロールアミドのパール光沢組成物中の含有量は、光沢付与の観点から、3重量%以上が好ましく、パール光沢組成物の粘度の上昇を抑制し、流動性を高める観点から、15重量%以下が好ましい。これらの観点から、脂肪酸モノアルキロールアミドの含有量は、パール光沢組成物中、3〜15重量%が好ましく、3〜10重量%がより好ましく、5〜10重量%がさらに好ましい。
【0032】
本発明のパール光沢組成物には、さらに、pH調整剤、防腐剤、塩類、アルコール類、ポリオール類等が適宜配合されていてもよい。
【0033】
本発明のパール光沢組成物の製造方法は、脂肪酸、脂肪酸グリコールエステル、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、水等の原料の溶融混合液から、脂肪酸グリコールエステルを含むパール光沢形成粒子を結晶化させる方法であれば特に限定されない。具体的な方法としては、例えば、脂肪酸、脂肪酸グリコールエステル、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤及び水の混合物を加熱した後、冷却する方法;アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤及び水を含む混合物と、溶融状態の脂肪酸グリコールエステル及び脂肪酸を混合した後、冷却する方法等が挙げられる。
【0034】
また、脂肪酸グリコールエステルと脂肪酸は、それぞれを加熱し、溶融させた両者を同時に添加しても、また、別々に添加してもよいが、両者の溶融混合物を添加することが好ましい。
【0035】
原料の溶融混合液の温度は、脂肪酸グリコールエステル又は脂肪酸の融点のいずれか高い方の融点以上の温度が好ましく、混合物の沸点以下の温度が好ましい。また、脂肪酸グリコールエステル又は脂肪酸の融点のいずれか高い方の融点より1〜30℃高い温度がより好ましく、いずれか高い方の融点より1〜20℃高い温度がさらに好ましい。
【0036】
冷却温度は、脂肪酸グリコールエステルと脂肪酸を十分に結晶化させる観点から、脂肪酸グリコールエステルの融点未満が好ましく、該融点より10℃以下がより好ましく、該融点より20℃以下がさらに好ましい。さらには、脂肪酸グリコールエステル又は脂肪酸の融点のいずれか低い方の融点より10℃以下がより好ましく、いずれか低い方の融点より20℃以下がさらに好ましい。
【0037】
また、冷却は、形状が均一なパール光沢形成粒子を得る観点から、温度分布が少ない緩やかな冷却が好ましい。かかる観点から、冷却速度は0.1〜10℃/minが好ましく、0.1〜5℃/minがより好ましく、0.1〜3℃/minがさらに好ましい。
【0038】
パール光沢形成粒子が結晶化した後は、さらに冷却して、結晶を安定化させることが好ましく、液温が、10〜40℃、好ましくは15〜35℃となるまで冷却することが望ましい。
【0039】
原料の溶融及び冷却は、溶解液が分離しないように、攪拌しながら行うことが好ましい。
【0040】
本発明のパール光沢組成物は、流動性の観点から、30℃における粘度が、1,000〜50,000mPa・s、好ましくは1,000〜30,000mPa・sであるのが望ましい。また、パール光沢形成粒子の長径の個数平均径(個数平均長径)は、パール光沢の観点から、1〜6μmが好ましく、2〜5μmがより好ましい。
【実施例】
【0041】
各実施例及び各比較例で得られたパール光沢組成物の諸性質は、以下の方法によって測定した。
【0042】
<パール光沢形成粒子の個数平均長径>
パール光沢組成物を水で1000倍(重量比)に希釈し、希釈液をスライドガラス上に滴下し自然乾燥させ、カラーレーザー顕微鏡(キーエンス社製)で観察し、結晶として確認されるパール光沢形成粒子の長径を100点測定して得られる平均値を結晶の個数平均長径とする。
【0043】
<パール光沢組成物のパール光沢>
パール光沢組成物を水で20倍(重量比)に希釈し、肉眼にてパール光沢の外観を観察し、以下の基準に従って評価する。なお、気泡の混入しているものは遠心分離に掛け、脱泡を行う。
【0044】
〔評価基準〕
1:光沢がない。
2:弱い光沢が認められる。
3:強い光沢が認められる。
【0045】
<パール光沢組成物の濁度>
パール光沢組成物を水で1000倍(重量比)に希釈し、紫外可視分光光度計(UVmini-1240、島津製作所製)を用い、1cm幅のセルを使用し、550nmの波長吸光度を測定する。
【0046】
<パール光沢組成物の粘度>
パール光沢組成物を30℃に保持し、B型粘度計で測定する。
【0047】
<脂肪酸グリコールエステル又は脂肪酸の融点>
示差走査熱量計(Thermo plus DSC8230, Rigaku製)を用い、脂肪酸グリコールエステル又は脂肪酸を5℃/minで昇温し、得られる融解のピークトップを融点とする。
【0048】
実施例1〜6及び比較例1〜3
表1に示す脂肪酸モノアルキロールアミド、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤及びその他成分の混合物を80℃で混合し、これに予め両者を溶融させ混合してあった脂肪酸グリコールエステルと脂肪酸を、溶融状態のまま加え混合する。その後、0.5℃/minの冷却速度で20℃まで冷却し、パール光沢組成物を得た。実施例2、比較例1、3で得られたパール光沢組成物中の結晶(パール光沢形成粒子)のカラーレーザー顕微鏡写真を図1〜3に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
以上の結果より、実施例1〜6のパール光沢組成物は、強いパール光沢を有し、濁度も高いことが分かる。これに対し、脂肪酸が配合されていない比較例1のパール光沢組成物は、パール光沢は強いもののパール光沢形成粒子が大きく、濁度が低いことが分かる。また、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤が配合されていない比較例2のパール光沢組成物は、粘度が著しく高く、流動性に欠けており、実施例のパール光沢組成物に比べるとパール光沢が弱く、所定量以上の脂肪酸が配合された比較例3のパール光沢組成物は、パール光沢が弱く、濁度も格段に低いことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のパール光沢組成物は、シャンプー、リンス、ボディシャンプー、液体洗浄剤等に好適に用いられるものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施例2で得られたパール光沢組成物中の結晶のカラーレーザー顕微鏡写真である。
【図2】比較例1で得られたパール光沢組成物中の結晶のカラーレーザー顕微鏡写真である。
【図3】比較例3で得られたパール光沢組成物中の結晶のカラーレーザー顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪酸グリコールエステル、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤及び水を含有してなるパール光沢組成物であって、さらに、脂肪酸0.3〜3重量%を含有してなるパール光沢組成物。
【請求項2】
さらに、脂肪酸モノアルキロールアミドを含有してなる請求項1記載のパール光沢組成物。
【請求項3】
脂肪酸グリコールエステルを含有するパール光沢形成粒子の個数平均長径が1〜6μmである、請求項1又は2記載のパール光沢組成物。
【請求項4】
脂肪酸グリコールエステル、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、水及び脂肪酸を含有してなる溶融混合液を、該脂肪酸グリコールエステルの融点未満の温度に冷却する工程を含む、請求項1〜3いずれか記載のパール光沢組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−255110(P2008−255110A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63020(P2008−63020)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】