説明

ヒスチジンタグ付加タンパク質を精製するための方法およびキット

亜鉛-またはコバルト-付加固体支持体を用いて、ヘムタンパク質を含む非標的タンパク質からヒスチジンタグ付加標的タンパク質を分離する方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願60/502,544号(2003年9月12日出願)に対する優先権を主張する米国特許出願10/840,408号(2004年5月6日出願)による利益を主張する。前記出願は引用によりその全体が本明細書に含まれる。
連邦政府による研究または開発支援に関する記載
該当無し。

本発明は、ヒスチジンタグ付加標的タンパク質を、ヘムタンパク質を含む非標的タンパク質から亜鉛-またはコバルト-付加固体支持体を用いて分離する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒスチジンタグ付加タンパク質は、in vitro発現系から前記タンパク質の精製を容易にするポリヒスチジンテール(his-タグ、ヒスチジンタグ)を含むように設計された組換えタンパク質である。固定金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)を用い、所望されない夾雑タンパク質からヒスチジンタグ付加タンパク質を精製する際にヒスチジンタグと金属キレート樹脂との優先的結合が利用されてきた。金属キレート樹脂は典型的には遷移金属、例えばNiまたはCoを含む。
ヒスチジンタグ付加タンパク質と同様に、ヘムタンパク質(例えばヘモグロビンまたはミオグロビン)は金属キレート樹脂と結合する。ヒスチジンタグ付加タンパク質およびヘムタンパク質の両者を金属キレート樹脂に適用すると、ヘムタンパク質はヒスチジン付加タンパク質と一緒に精製される。したがって、ヒスチジンタグ付加タンパク質をヘムタンパク質含有物質から分離し、顕著な量の夾雑ヘムタンパク質を含まない許容可能な純度のヒスチジンタグ付加タンパク質調製物を得ることは困難である。
ウサギの網状赤血球溶解物は、真核細胞性配列の発現を得るために特に有用な発現系である。ウサギ網状赤血球溶解物を使用する系は、発現タンパク質の翻訳時および翻訳後改変を促進することが見出された。しかしながら、網状赤血球溶解物は高濃度のヘモグロビンを含むために、さらにヒスチジンタグ付加タンパク質からヘモグロビンを分離する際に付随する困難さのために、網状赤血球溶解物発現系はヒスチジンタグ付加タンパク質に関しては十分には利用されてこなかった。
【0003】
Lytton et al.(WO02/37100A2)は、ウサギの網状赤血球溶解物で生成されたヒスチジンタグ付加タンパク質からのヘモグロビン除去は、先ず初めにヘモグロビンとヒスチジンタグ付加タンパク質をイミダゾールの存在下でニッケルニトリロトリ酢酸(Ni-NTA)樹脂に結合させ、続いてイミダゾール勾配を用いてヘモグロビンとヒスチジンタグ付加タンパク質を段階的に溶出させることによって実施できることを開示している。
当技術分野では、高処理能力を有する系で使用することができる、ヒスチジンタグ付加タンパク質からヘムタンパク質を分離する簡単な方法が必要とされている。
【発明の開示】
【0004】
発明の概要
ある特徴では、本発明は、出発材料中のヘムタンパク質をヒスチジンタグ付加タンパク質から分離する方法を提供する。出発材料は、亜鉛-またはコバルト-付加固体支持体と、前記固体支持体がヘモグロビンへ結合するよりもヒスチジンタグ付加タンパク質と優先的に結合する条件下で接触させられる。前記条件は、イミダゾール非含有、または約0mMから約60mMの濃度のイミダゾールを含む。適切には、イミダゾールは約10から約40mM、または約10mMから約20mMの濃度で存在することができる。
別の特徴では、本発明は、出発材料中のヘムタンパク質をヒスチジンタグ付加タンパク質から分離するためのキットを提供する。前記キットは、亜鉛-またはコバルト-付加固体支持体およびイミダゾール非含有、または約10mMから約60mMの濃度のイミダゾール含有結合緩衝液を含む。場合によって、前記キットはさらに、約100mMから約3Mの濃度でイミダゾールを含む溶出緩衝液を含むことができる。また別の実施態様では、本キットは、EDTAを約10mMから約0.5M、もっとも適切には約50mMの濃度で含む溶出緩衝液、または約6未満のpHを有する溶出緩衝液を含む。前記キットはさらに本発明の方法を実施するための使用説明書を含むことができる。
【0005】
発明の詳細な説明
本発明は、ヘムタンパク質および標的ポリペプチド物質を含むサンプル中のヘムタンパク質を、亜鉛-またはコバルト付加固体支持体を用いて標的ポリペプチドから分離する方法およびキット提供する。適切には、標的ポリペプチドは、5から6ヒスチジン残基のポリヒスチジンタグを含む。
問題の標的タンパク質からヘムタンパク質を分離する能力は、ヘムタンパク質の夾雑がある場合、例えば網状赤血球溶解物から、全血からまたはヘモグロビン含有体液もしくはサンプルからタンパク質を単離する場合の用途に特に重要である。実質的に任意のタンパク質の分離用精製スキームを開発することができるが、そのような方法はしばしば多くの工程および多数の試薬を必要とし、時間および労働集約的で、したがって高処理スクリーニングまたはアッセイでの使用に馴染まない。
下記実施例で述べるように、亜鉛またはコバルトを付加したニトリロトリ酢酸(NTA)改変珪酸酸化物(siliceous-oxide)被覆磁性粒子を、イミダゾール非存在下または低濃度(10から60mM)のイミダゾールの存在下でヘモグロビンおよびヒスチジンタグ付加タンパク質を含むサンプルと接触させることによって、前記粒子とヘムタンパク質との結合に較べてヒスチジンタグ付加タンパク質との優先的な結合が見出され、ヘモグロビン含有出発材料からのヒスチジンタグ付加タンパク質の純度の増加が達成された。磁性という用語は常磁性粒子、磁性粒子および磁化することができる粒子を指す。実施例に記載されているように、ヒスチジンタグ付加タンパク質との優先的結合を可能にする条件下では、ヘモグロビンと亜鉛またはコバルト付加固体支持体との結合は最小限であるが、ヒスチジンタグ付加タンパク質は、ニッケルを付加された類似の固体支持体に比較して顕著に高い効率で結合する。本発明の方法は、ヘモグロビンに対して標的タンパク質の純度を一倍またはそれ以上増加させる。適切には純度の増加は少なくとも2倍、2.5倍、5倍、10倍、20倍、50倍または100倍である。
【0006】
当業者には理解できようが、所望タンパク質の100%の回収または所望されない夾雑物の100%の除去をもたらす精製計画はない。許容可能なヘモグロビン夾雑レベルまたは標的タンパク質の回収レベルは用途に応じて変動するであろう。ヘモグロビンに比較してヒスチジンタグ付加タンパク質の優先的結合を可能にする条件は、適切には出発材料中に存在するヘモグロビンの5%未満の結合を許容し、同時にヒスチジンタグ付加タンパク質の少なくともある程度の結合を許容する。いくつかの応用例では、出発材料中に存在するヘモグロビンの1%未満しか固体支持体と結合しないか、または出発材料に存在するヘモグロビンのわずかに0.5%または0.1%またはそれ未満しか固体支持体に結合しない。したがって、ヒスチジンタグ付加タンパク質の精製における実質的な増加は亜鉛またはコバルト付加固体支持体を用いて達成することができる。
この結果は従来技術から見れば驚くべきことである。従来技術は10から20mMのイミダゾールを用いてニッケル-NTA樹脂にヘモグロビンを固定化する方法を開示している(Lytton et al., WO02/37100)。対照的に、本発明の方法では、ヘモグロビンおよびヒスチジンタグ付加タンパク質を含む出発材料は、イミダゾールの非存在下または10から60mMのイミダゾールの存在下で亜鉛またはコバルト付加固体支持体と接触させられる。前記条件は、ヘモグロビンと前記樹脂との結合に比較してヒスチジンタグ付加タンパク質と樹脂との優先的な結合を可能にする。
【0007】
米国特許出願10/689,176号(2003年10月20日出願)に記載されたように、3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子(NTA-改変磁性シリカ粒子)を生じるように改変されたニトリロトリ酢酸珪酸酸化物被覆磁性粒子を下記実施例で用いた。しかしながら、当業者には理解されるように、本方法は下記で例示される粒子による使用に限定されず、任意の適切な亜鉛-またはコバルト-付加固体支持体による使用に対して一般的な応用性を有すると考えられる。
実施例で用いられるシリカ磁性粒子の他に、他のタイプの固体支持体を本発明の方法で用いることが特に意図される。他のタイプの固体支持体には、シリカゲル、珪酸酸化物、固体シリカ、例えばガラス、珪藻土、アガロース、ポリアクリルアミド、セルロース、プラスチック、多糖類、ナイロン(登録商標)、ポリスチレンまたはラテックスメタクリレートが含まれるが、ただしこれらに限定されない。
下記実施例で用いられる特定のNTA結合を含むように改変された固体支持体(すなわち3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子)の他に、NTAを他の手段によって固体支持体に連結させ、本発明の方法で用いることも意図される。NTAの他に、他のタイプの金属キレートリガンド(例えばイミノジアセテート(IDA)またはトリス(カルボキシメチル)エチレンジアミンリガンド(TED)を含む(ただしこれらに限定されない))を本発明の実施に用いてもよい。
【0008】
さらにまた、キレート剤を用いることなく、亜鉛またはコバルトを固体支持体に共有結合によりまたは非共有結合により付加することも意図される。例えば、固体支持体を亜鉛またはコバルトで被覆することもできる。金属(例えば亜鉛またはコバルト)による固体支持体被覆のための任意の適切な方法を用いることができる(例えば以下を参照されたい:Hyun et al. Bull. Korean Chem. Soc. 23:1724-1728, 2002)。Guptaらは、キレート剤を使用しないで亜鉛を直接アルギン酸付加ビーズに付着させることを開示している(Biotechnol. Prog. 18:78-81, 2002)。亜鉛またはコバルトを固体支持体に付着させるまた別のアプローチは、金属を支持体マトリックスに取り込ませることである(Jana et al. Bull. Mater. Sci. 23:263-266, 2000)。
下記の実施例では、固定化されたヒスチジンタグ付加タンパク質はイミダゾール(500mM)を用いて粒子から溶出される。当業者には理解されるように、固定化されたヒスチジンタグ付加タンパク質は、約100mMから約3Mの範囲のイミダゾールを含む他の適切な緩衝液を用いて溶出させることができる。当業者には理解されるように、選択される条件は、個々のタンパク質および目的(例えば収量または純度を高めること)にしたがって変動し得る。固定化されたヒスチジンタグ付加タンパク質は、約6.5未満のpHを有する適切な緩衝液を用いて溶出させ収量を高めることができる。下流の用途におけるイミダゾールによる阻害を最小限にするために、または高イミダゾール溶出に付随するバックグラウンドを最小限にするために、ヒスチジンの溶出緩衝液(例えば100mMのヒスチジン)または500mM酢酸カリウムと50mMのEDTAを用いてもよい。約10mMから約0.5Mの濃度のEDTAを含む緩衝液もまた適切である。
【0009】
ヒスチジンタグ付加タンパク質をヘムタンパク質から精製する際の本方法の有効性を明らかにするためにヒスチジンタグ付加レニラルシフェラーゼ、HGF、MAPK、カルモジュリンおよびIdを用いた。しかしながら、本発明の方法は、いずれのヒスチジンタグ付加タンパク質にも普遍的な適用性を有する。ヒスチジンタグはカルボキシ末端にあってもアミノ末端にあってもよく、典型的には長さは5または6ヒスチジン残基であるが、もっと長くてもよい。
本発明の方法は、ヒスチジンタグ付加タンパク質を含むcDNAライブラリーを発現させ、続いて本発明の方法に従って単離することによって、ウサギ網状赤血球溶解物で発現されたヒスチジンタグ付加タンパク質を高処理精製するために用いることができる。
ウサギ網状赤血球は翻訳後改変タンパク質、例えば糖化タンパク質の発現に広く用いられる。本明細書に開示した方法を用いて、ヘモグロビンの夾雑をほとんど含まないウサギ網状赤血球溶解物由来の改変タンパク質調製物を得ることができる。
本発明の方法を用いて発現させて精製したヒスチジンタグ付加タンパク質は、その後質量分光分析で評価するために適している。
【0010】
下記実施例で述べるように、亜鉛またはコバルト付加固体支持体は、ヒスチジンタグ付加タンパク質を単離することに加えて多様な用途で有用である。例えば、亜鉛またはコバルト付加固体支持体を用いて精製されたヒスチジンタグ付加タンパク質は、続いてヒスチジンタグ付加タンパク質と他の物質との相互作用を検出するために適切である。前記他の物質は、基質(例えば、キナーゼまたはプロテアーゼとして機能するヒスチジンタグ付加タンパク質の能力を検出する)および他のタンパク質(例えば、キナーゼまたはプロテアーゼのための基質として作用するヒスチジンタグ付加タンパク質の能力を検出することを含む)を検出するために適切である。さらにまた、ヒスチジンタグ付加タンパク質が関与する、単純なタンパク質−タンパク質相互作用および抗原−抗体結合も検出することができる。そのような活性または相互作用は任意の適切な手段によって評価することができる。
ウサギ網状赤血球溶解物に通常存在する夾雑ヘモグロビンは、典型的には蛍光性または化学発光性アッセイを(部分的にはヘモグロビン自体の蛍光のために)妨害し、低発現タンパク質のシグナルを覆い隠す可能性がある。ウサギ網状赤血球溶解物または血液に存在するヘモグロビンのほとんどが本発明の精製工程で除去されるので、相互作用または活性は、ヘモグロビンの顕著な干渉を受けずに蛍光的または化学発光的手段を用いて簡便に検出することができる。
以下の非限定的実施例は純粋に例示を意図するものである。
【実施例1】
【0011】
亜鉛-またはコバルト-付加ニトリロトリ酢酸改変磁性シリカ粒子
米国特許出願10/689,176号(2003年10月20日出願)(引用により本明細書にその全体が含まれる)に記載されたように、珪酸酸化物被覆磁性粒子をニトリロトリ酢酸(NTA)で改変し、3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子(NTA-改変磁性シリカ粒子)を作製した。
亜鉛付加粒子は以下のように調製した。NTA-改変粒子の4mLアリコット(水に10%w/v)中の粒子を、磁化を利用して液体から分離し、液体を廃棄した。粒子を4mLのZnCl(100mM)と接触させ、水平シェーカーで15分間ロッキングした(5−10rpm)。磁化を利用して前記粒子を分離し、液体を廃棄した。粒子を新しい4mLアリコットのZnCl(100mM)と接触させ、水平シェーカーで15分間ロッキングし(5−10rpm)、磁化を用いて前記粒子をZnCl溶液から分離した。粒子を4mLのナノピュア水で洗浄し、水平シェーカーで5分間ロッキングした(5−10rpm)。磁化を利用して前記粒子を水から分離し、液体を廃棄した。前記洗浄工程を10回繰り返した。最後の洗浄の後で、4mLのナノピュア水を粒子に添加し、前記粒子を4℃で使用まで保存した。
コバルト付加粒子は以下のように調製した。NTA-改変粒子の4mLアリコット(水に10%w/v)中の粒子を、磁化を利用して分離し、液体を廃棄した。粒子を4mLのCoCl2(100mM)と接触させ、水平シェーカーで15分間ロッキングした(5−10rpm)。磁化を利用して前記粒子を液体から分離し液体を廃棄した。粒子を新しい4mLアリコットのCoCl2(100mM)と接触させ、水平シェーカーで15分間ロッキングした(5−10rpm)。磁化を利用して粒子をCoCl2溶液から分離した。粒子を4mLのナノピュア水で洗浄し、水平シェーカーで5分間ロッキングした(5−10rpm)。磁化を利用して前記粒子を水から分離し液体を廃棄した。前記洗浄工程を10回繰り返した。最後の洗浄の後で、4mLのナノピュア水を粒子に添加し、前記粒子を4℃で使用まで保存した。
【実施例2】
【0012】
共役転写/翻訳を用いたウサギ網状赤血球溶解物中のヒスチジンタグ付加タンパク質の発現
TNT(登録商標)T7クィック共役転写/翻訳系(カタログ番号L1170TNT;Promega Corp., Madison, WI)を製造元の使用説明書にしたがって使用し、ヒスチジンタグ付加レニラルシフェラーゼをコードする発現ベクターを発現させた。
【実施例3】
【0013】
ウサギ網状赤血球溶解物からのヒスチジンタグ付加タンパク質の精製
実施例2に記載したように調製したヒスチジンタグ付加レニラルシフェラーゼを以下のように共役転写/翻訳反応混合物から精製した。50μLアリコットの反応混合物を、6.0から8.0の範囲のpHで緩衝させた150μLの結合緩衝液A(100mMのリン酸ナトリウム緩衝液、20mMのイミダゾールおよび400mMのNaCl)と混合し、さらに30μL(3mg)の亜鉛付加粒子(実施例1に記載したように調製)と15−15分、室温で混合した。前記粒子を溶液(“フロースルー溶液”)から磁化を利用して分離し、さらに粒子を200μLの結合緩衝液で3から5回洗浄した。100μLの溶出緩衝液(100mMのHEPES(pH7.5)および500mMのイミダゾール)と粒子を徹底的に混合し、磁化により溶出緩衝液から前記粒子を分離し、さらに溶出タンパク質を採集することによって、タンパク質を溶出させた。
【実施例4】
【0014】
タンパク質の評価
上記実施例3に記載したように調製した溶出物に存在するタンパク質をSDS-PAGEおよび蛍光スキャン分析またはウェスタンブロット分析を用いて評価した。結果は下記に記載したように図1−4に示されている。
図1は、電気泳動で分離したタンパク質の蛍光スキャンを示す。レーン1は蛍光標識分子量マーカーを含む;レーン2は、実施例2に記載したようにレニラルシフェラーゼを発現させた後の未処理の溶解物反応混合物を含む;レーン3は、実施例3に記載したように、pH7.5の結合緩衝液と混合した溶解物反応混合物(1:3)のフロースルー溶液を含む;レーン4は上記実施例3の溶出物を含む。ヘモグロビン、ヒスチジンタグ付加レニラルシフェラーゼまたは先端色素に対応するバンドはスキャン上に表示されている。レーン3とレーン4を比較することによって示されるように、この精製工程はヒスチジンタグ付加タンパク質の純度の実質的増加をもたらす。
図2(タンパク質の蛍光スキャンを示す)について、レーン1は蛍光標識分子量マーカーを含む;レーン2は、実施例2に記載したようにレニラルシフェラーゼを発現させた後の未処理の溶解物中のタンパク質を含む;レーン3−7は、それぞれpH6.0、6.5、7.0、7.5または8.0で緩衝された結合緩衝液で固体支持体に先ず結合させ、続いて溶出緩衝液で溶出させたタンパク質を含む。ヘモグロビン、ヒスチジンタグ付加レニラルシフェラーゼまたは先端色素に対応するバンドはスキャン上に表示されている。ヘモグロビンのサイズに一致する濃いバンドが存在しないこと、およびレーン3−7にヒスチジンタグ付加レニラルシフェラーゼのサイズと一致する強いバンドが存在することから分かるように、ヒスチジンタグ付加タンパク質の純度の実質的増加が達成された。
図3は、ゲルコード(GelCode(商標))ブルーステイン試薬(製品番号24592;Pierce Chemicals, Rockford, IL)で染色したSDS-PAGEゲルを示す。分子量マーカー(レーン1)、未処理の溶解物反応混合物(レーン2)、およびpH6.0、6.5、7.0、7.5または8.0(それぞれレーン3−7)で緩衝された結合緩衝液で固体支持体と結合させた後、溶出緩衝液で溶出させたタンパク質を含む。このゲルは、溶出物中のヒスチジンタグ付加レニラルシフェラーゼおよびヘモグロビン夾雑物の量(レーン3−7)はこの系の検出限界未満であることを示している。
【0015】
図4は、抗レニラルシフェラーゼ抗体をプローブに用いた電気泳動的に分離したタンパク質のウェスタンブロットを示す。分子量マーカー(レーン1)、溶解物(レーン2)、およびpH6.0、6.5、7.0、7.5または8.0で緩衝された結合緩衝液を用いて固体支持体と結合させた後に溶出緩衝液で溶出させたタンパク質(それぞれレーン3−7)が含まれている。抗体と溶解物中のタンパク質との非特異的結合が、ヒスチジンタグ付加レニラルシフェラーゼとの特異的結合と同様にレーン2の溶解物で認めることができる。対照的に、レーン3−7における抗レニラルシフェラーゼ抗体の結合は、ヒスチジンタグ付加レニラルシフェラーゼのサイズに一致するサイズを有するタンパク質に限定されている。
図5は、下記に述べるように処理したウサギ網状赤血球溶解物で見出されたタンパク質の抗ヘモグロビン抗体プローブによるウェスタンブロットを示す。レーン1:50μLアリコットのウサギ網状赤血球溶解物を100μLの結合/洗浄緩衝液B(20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)および500mMのNaCl)と下記実施例5に記載するように混合し、さらに60μLの亜鉛粒子(5%w/v)と15分間オービタルロッカーでインキュベートした。粒子を4回200μLの結合/洗浄緩衝液で洗浄し、100μLの溶出緩衝液(1Mイミダゾール)で溶出した。レーン2:50μLアリコットのウサギ網状赤血球溶解物を100μLの結合/洗浄緩衝液Bと混合し、ピペッティングにより混合しながら30μLのマグネヒス(MagneHis(商標))ニッケル粒子(10%w/v)(カタログ番号V8500;Promega Corp.)とインキュベートした。粒子を3回150μLの結合/洗浄緩衝液で洗浄し、100μLの溶出緩衝液(500mMイミダゾール)で溶出させた。レーン3−8は、粒子と接触させなかった溶解物において最初の溶解物の濃度の0から5%に希釈したものを含む。レーン3−8はそれぞれ0、0.15、0.6、1.25、2.5、5パーセント溶解物を含む。ヒツジ抗ヒトヘモグロビン-APの1:1000をウェスタンブロットのプローブとして用い、ヒツジ抗ヒトヘモグロビン-APの1:1000の結合は、アルカリホスファターゼ(S3841)のためのウェスタンブルー安定化基質によって検出した。
【実施例5】
【0016】
イミダゾール非存在下でのヒスチジンタグ付加タンパク質の弁別的結合
イミダゾール非存在下で亜鉛付加固体支持体と優先的に結合するヒスチジンタグ付加タンパク質の能力を、実施例3で述べた実験と並行する実験で評価した。TNT(登録商標)T7クィック共役転写/翻訳系(カタログ番号L1170TNT;Promega Corp., Madison, WI)、1μgのDNAおよび2μLのフルオロテクト(FluoroTect(商標))GreenLys in vitro翻訳標識系(カタログ番号L5001)を用いて、ヒスチジンタグ付加タンパク質(His-カルモジュリン、His-MAPK、his-HGF)を発現させた。50μLアリコットの反応混合物を100μLの結合緩衝液B(20mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)および500mMのNaCl)と混合し、60μL(6mg)の亜鉛付加粒子(実施例1に記載したように調製)を含む0.5または1.5mL試験管に移し、室温で15分間穏やかに混合した。磁化を利用して溶液から粒子を分離し、さらに粒子を200μLの結合緩衝液で3から5回洗浄した。100μLの溶出緩衝液(1Mのイミダゾール(pH7.5))と粒子を徹底的に混合することによってタンパク質を溶出させ、磁化により粒子を溶出緩衝液から分離し溶出物を採集した。
上述のように調製した溶出物中に存在するタンパク質をSDS-PAGEおよび蛍光スキャン分析またはウェスタンブロット分析を用いて評価した。図6は、電気泳動的に分離したタンパク質の蛍光スキャンを示す。レーン1は蛍光標識分子量マーカーを含み、レーン2は、His-MAPK発現後の未処理の溶解物反応混合物2μL中のタンパク質を含み、レーン3は、結合緩衝液と混合した溶解物反応混合物(1:2)のフロースルー溶液6μLを含み、レーン4は上述の溶出物の8μLを含み、レーン5はHis-HGF発現後の未処理タイセート反応混合物2μL中のタンパク質を含み、レーン6は結合緩衝液と混合した溶解物反応混合物(1:2)のフロースルー溶液6μLを含み、レーン7は溶出物8μLを含み、レーン8はHis-カルモジュリンの発現後の未処理の溶解物反応混合物2μL中のタンパク質を含み、レーン9は結合緩衝液と混合した溶解物反応混合物(1:2)のフロースルー溶液6μLを含み、さらにレーン10は溶出物8μLを含む。
【実施例6】
【0017】
タンパク質プルダウン(Pull-down)アッセイを用いたタンパク質-タンパク質相互作用の検出
ヒスチジンタグ付加タンパク質(“おとり”)を用いてタグ無しの注目するポリペプチド(“獲物”)を他の非標的分子から単離する能力について、下記に記載するように、獲物タンパク質としてMyoDを、およびおとりタンパク質としてIdを用いて、上述の亜鉛付加固体支持体系を評価した。MyoDおよびIdは核内タンパク質のヘリックス-ループ-ヘリックスファミリーのメンバーである。MyoDは骨格筋で発現される筋原性調節タンパク質であり、Idタンパク質はMyoDと相互作用する筋形成分化の負の調節因子である。
タグ無しMyoD獲物タンパク質をTnT T7共役転写/翻訳溶解物(カタログ番号L1170;Promega Corp.)、1μgのMyoD DNAおよび2μLの35Sメチオニン中でテクニカルブリテン(カタログ番号L1170;Promega Corp.)で推奨されているように発現させた。
ヒスチジンタグ付加Idを大腸菌発現系で標準的プロトコルにしたがって発現させた。発現に続いて、培養細菌をペレットにし、10x濃度で再懸濁し、超音波処理して細菌溶解物を形成した。His-IdもまたTnT T7共役転写/翻訳溶解物(カタログ番号L1170;Promega Corp., Madison, WI)中で発現させた。
ヒスチジンタグ付加IDが結合した亜鉛付加固体支持体は以下のように調製した。ヒスチジンタグ付加Idおとりを含む10x濃縮溶解物の100μLアリコットを30μLの亜鉛付加NTA-改変磁性シリカ粒子に添加し、シェーカー上で1100rpm、15分インキュベートした。粒子を3回200μLのリン酸ナトリウム(20mM、pH7.4)で洗浄した。前記粒子を30μLの緩衝液に再懸濁し、5μLの粒子アリコットを新しい試験管に移した。一組のサンプルを20mMリン酸ナトリウム+40mMイミダゾールで2回洗浄し、第二の組は20mMリン酸ナトリウムで2回洗浄した。前記粒子を洗浄緩衝液(175μL)に再懸濁し、さらに30℃で60分穏やかに揺り動かしながらインキュベートした。
【0018】
MyoDを含むTnT溶解物の20μLアリコットを亜鉛固体支持体結合his-Idと一緒にし、室温で60分穏やかに攪拌しながらインキュベートした。固定化ヒスチジンタグ付加Idの調製時に用いた最後の洗浄緩衝液と同じ緩衝液で粒子を3回洗浄し、続いて20mMリン酸ナトリウムで洗浄し、さらに40mMまたは500mMイミダゾールで追加洗浄した。20μLのSDS緩衝液(0.24Mのトリス塩酸(pH6.8)、2%SDS、3mMブロモフェノールブルー、50.4%グリセロールおよび0.4Mジチオスレイトール)を前記粒子に添加し、振盪しながら5分インキュベートし、さらにサンプルを採集した。溶出サンプルをSDS緩衝液で1:10に希釈し、95℃に加熱し、4−20%トリス-グリシンゲルに乗せた。ゲルをPVDFメンブレンに転写し、ホスホイメージャープレートを一晩感光させ、さらにストーム(Storm(商標))ホスホイメージャー(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)で読み取った。
おとりタンパク質と一緒に発現させた“獲物”タンパク質の単離物をおとりタンパク質と別個に発現された獲物タンパク質の単離物と比較した。ヒスチジンタグ付加Idおよびタグ無しのMyoDタンパク質の両者を、2つの別個のTnT反応で発現させるか、または同じTnT溶解物で同時発現させた。his-IdおよびMyoDを別個の反応で発現させた場合は、his-Id発現溶解物およびMyoD発現溶解物の等体積を混合した。亜鉛付加NTA改変磁性シリカ粒子を添加し、上述のように処理した。
図7に示されている画像について、レーン1および5は35S標識MyoDを発現しているTnT発現系の溶解物を含み、レーン2および6は亜鉛付加固体支持体結合his-IdおよびMyoDを含み、レーン3および7は亜鉛付加NTA改変磁性シリカ粒子結合his-RNaseHおよびMyoDを含み、レーン4および8はhis-IDの非存在下で亜鉛付加NTA改変磁性シリカ粒子から溶出させたMyoDを含む。溶出に先だってレーン1−4のタンパク質は500mMのイミダゾールで洗浄し、レーン5−8のタンパク質は40mMのイミダゾールで洗浄してある。
【0019】
結果は、亜鉛付加NTA改変磁性シリカ粒子と結合したヒスチジンタグ付加タンパク質を用いてヒスチジンタグ付加タンパク質と相互作用する第二のタンパク質を単離することができることを示している。MyoDの回収効率は、his-Idの存在によって極めて高められる。40mMまたはそれより高い濃度のイミダゾールによる洗浄は、洗浄に際してイミダゾールの濃度の上昇でバックグラウンドが低下することを示し、許容可能な結果が得られることが見出された。
前記結果は、抗MyoD抗体によるウェスタンブロット分析を用いて証明された(図8)。レーン1はタグ無しの35S MyoDを発現しているウサギ網状赤血球溶解物を含み、レーン2は亜鉛付加シリカ磁性粒子を用いて単離したタンパク質を示し、レーン3は亜鉛付加シリカ磁性粒子と結合したHis-RNaseHIを用いて単離したタンパク質を示し、レーン4は亜鉛付加シリカ磁性粒子と結合したHis-Idを用いて単離したタンパク質を示す。
【実施例7】
【0020】
同時発現させたタンパク質のタンパク質-タンパク質相互作用の検出
ヒスチジンタグ付加おとりタンパク質(his-Id)および獲物タンパク質(MyoD)をTnT T7共役転写/翻訳溶解物(カタログ番号L1170, Promega Corp., Madison, WI)で同時発現させ、35Sで放射標識した。60μLアリコットの亜鉛粒子(5%w/v)または30μLのニッケルMagneHis樹脂(10%w/v)(Promegaカタログ番号V8500)を1.5mLの試験管に加え、200μLのリン酸ナトリウム緩衝液(20mM、pH7.4)で洗浄し、60μLのリン酸ナトリウム緩衝液(20mM)に再懸濁した。5μLアリコットの樹脂を145μLのリン酸ナトリウム緩衝液(20mM)と1.5mLの試験化で混合した。50μLのTnT反応物を樹脂に添加し、オービタルロッカーで1時間室温にてインキュベートした。上清を取り除き樹脂を200μLのリン酸ナトリウム緩衝液(20mM)+40mMのイミダゾール(pH7.4)で4回洗浄した。樹脂を20μL、4xのSDS緩衝液と5分間混合することによってタンパク質を溶出させた。溶出液を採集し、2μLアリコットを18μL、4xのSDS緩衝液と混合し、SDS-PAGEゲルで泳動した。電気泳動的に分離したタンパク質をPVDFに転写し、ホスホイメージャープレートを一晩感光させた(図9)。
図9について、レーン1はMyoDコントロール(0.5μgのDNA)を含み、レーン2はMyoDコントロール(1.0μgのDNA)を含み、レーン3は、亜鉛粒子を用いて単離した1.0μgのDNAでプログラミングした網状赤血球溶解物由来のMyoDおよびhis-Idを含み、レーン4はニッケル粒子を用いて単離した、1.0μgのDNAでプログラミングした網状赤血球溶解物由来のMyoDおよびhis-Idを含み、レーン5は亜鉛粒子を用いて単離した、0.5μgのDNAでプログラミングした網状赤血球溶解物由来のMyoDおよびhis-Idを含み、レーン6はニッケル粒子を用いて単離した、0.5μgのDNAでプログラミングした網状赤血球溶解物由来のMyoDおよびhis-Idを含む。
結果は、同時発現させたタンパク質は亜鉛付加固体支持体を用いてプルダウン実験のために使用できること、および亜鉛付加固体支持体はニッケル付加樹脂よりもはるかに高い収量を与えることができることを示している(図9)。
【実施例8】
【0021】
ヒスチジンタグ付加タンパク質の高処理精製
ゴールドTNT(登録商標)SP6エクスプレス96システム(Promegaカタログ番号L5800)またはゴールドTNT(登録商標)T7エクスプレス96システム(Promegaカタログ番号L5600)を製造元の推奨にしたがってヒスチジンタグ付加タンパク質の発現のために用いて、ヒスチジンタグ付加タンパク質をコードするcDNAライブラリーを発現させる。自動化システムを併用して亜鉛またはコバルト付加固体支持体を用いて、発現させたヒスチジンタグ付加タンパク質を精製する。前記システムには適切な自動化装置、例えばキングフィッシャー(Kingfisher)、バイオメック(Biomek)2000またはFXが含まれる。ヒスチジンタグ付加タンパク質の自動精製は、テクニカルマニュアル#TM060(Promega Corporation)に一般的に記載されている。
【実施例9】
【0022】
ヒスチジンタグ付加タンパク質の質量分光分析
ウサギ網状赤血球で発現させたヒスチジンタグ付加タンパク質を本質的に実施例3または5に記載したように精製する(ただし最終洗浄の後、ヒスチジンタグ付加タンパク質を0.1%TFA水溶液またはアセトニトリル中の50%TFA溶液を含む溶出緩衝液で溶出するという点を除く)。溶出に続いて、タンパク質サンプルをスピードヴァック(Speed Vac(商標))で乾燥させ、MALDI-TOF質量分析計で分析する。
【実施例10】
【0023】
ヒスチジンタグ付加膜タンパク質の発現と精製
ヒスチジンタグ付加ヒトチトクロームP450, サブファミリーIIIA, ポリペプチド7(CYP3A7)(カタログ番号E01046, Stratagene, LaJolla, CA)を、イヌ膵臓ミクロゾーム膜(Promegaカタログ番号Y40141)を用い製造元のプロトコルにしたがいウサギ網状赤血球TNTで発現させる。ヒスチジンタグ付加タンパク質は実施例3または5で述べたように溶解物から直接精製する。発現タンパク質はまた、発現された膜タンパク質を1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DHPC、カタログ番号850305C、Avanti Polar Lipids, Alabaster, LA)のような非イオン性界面活性剤の存在下で可溶化した後精製される。発現および精製されたhis-ヒトチトクロームP450, サブファミリーIIIA, ポリペプチド7の機能分析はP450-Glo CYP3A7アッセイ(Promegaカタログ番号V8811)によって行う。
亜鉛付加固体支持体を用いて網状赤血球溶解物で発現させた他の膜タンパク質を精製することができる。例えば、G-タンパク質共役レセプター(GPCR)はイヌのミクロソーム膜またはリン脂質を用いてTNTで発現される。GCPRは、リガンド結合アッセイでの使用のために亜鉛付加固体支持体上で非イオン性界面活性剤を用いて精製される。
この考えを実証するために、ヒスチジンタグ付加GPCR(ホルミルペプチドレセプター)を選択した。前記タンパク質をTnT T7共役転写/翻訳溶解物(カタログ番号L1170, Promega Corp., Madison, WI)で、上述のように35Sで標識を用いて発現させ、本質的に実施例5にしたがって精製した。溶解物を60または180μLの亜鉛付加磁性シリカ粒子(5%w/v)と接触させ、粒子を洗浄し、タンパク質を溶出し、SDS-PAGEによって分析した(図10)。図10について、レーン1はhis-GPCRを発現しているTNT溶解物を含み、レーン2は60μLの粒子のフロースルーを含み、レーン3は180μLの樹脂のフロースルーを含み、レーン4は60μLの粒子の溶出物を含み、レーン5は180μLの樹脂の溶出物を含む。
【実施例11】
【0024】
糖化ヒスチジンタグ付加タンパク質の発現、精製および分析
イヌ膵臓ミクロゾーム膜(Promegaカタログ番号Y40141)を製造元のプロトコルにしたがって用い、ヒスチジンタグ付加糖タンパク質をウサギ網状赤血球TNTで発現させ、上述のように精製し、SDS-PAGEによって、ウェスタンブロットによってまたは質量分析法によって分析してN-結合糖化を決定した。
【実施例12】
【0025】
キナーゼおよびキナーゼ基質についての機能スクリーニング
ヒスチジンタグ付加cDNAライブラリーをゴールドTnT(Promegaカタログ番号L5800)またはプロテオリンク(ProteoLink(商標))In Vitro発現クローニングシステム(成人ヒト脳cDNA)(Promegaカタログ番号L6500)で発現させる。上述のように、ヒスチジンタグ付加タンパク質を亜鉛付加固体支持体(例えばNTA-改変シリカ磁性粒子)と接触させ、続いて洗浄することによってヘムタンパク質から精製する。キナーゼ活性を、固体支持体結合ヒスチジンタグ付加タンパク質でアッセイするか、または前記タンパク質を溶出させた後でアッセイする。結合または溶出ヒスチジンタグ付加タンパク質は本質的にはヘムタンパク質を含まないので、キナーゼ検出のために溶出ヒスチジンタグ付加タンパク質または樹脂結合ヒスチジンタグ付加タンパク質を用いて蛍光によるアッセイを実施することができる。キナーゼアッセイはまた、キナーゼ-グロ(Kinase-Glo(商標))ルミネッセントキナーゼアッセイ(Promegaカタログ番号V6711)を用いて実施することもできる。他のタンパク質キナーゼ基質(EMD Biosciences, Inc(Madison, Wisconsin)から入手可能)を用いてキナーゼ活性を検出してもよい。
上述のように同定したキナーゼまたはキナーゼ基質は製造元のプロトコルに記載されているようにクローニングすることができる。
【実施例13】
【0026】
タンデム質量分析法による遺伝子およびタンパク質の特性決定
ヒスチジンタグ付加タンパク質をコードするcDNAライブラリーを上述のように発現させ、ヒスチジンタグ付加タンパク質を実施例3、5または7に記載した方法によって精製する。精製タンパク質をトリプシンゴールド(質量分析グレード)(Promegaカタログ番号V5280)で消化し、ペプチドをタンデム質量分析法(tandem mass spectrometry)によって特性を決定する。前記タンパク質をコードするポリヌクレオチドを、プロテオリンク(ProteoLink(商標))In Vitro発現クローニングシステムキット(Promegaカタログ番号L6500)に記載された方法によって同定する。
【実施例14】
【0027】
プロテアーゼアッセイ
ヒトの血液または網状赤血球溶解物発現系に存在するプロテアーゼを検出するために、プロテアーゼの基質であるヒスチジンタグ付加タンパク質を亜鉛またはコバルト付加固体支持体(例えば上記実施例1に記載されたように調製した固体支持体)に結合させる。実施例3または5に記載した条件下で粒子結合ヒスチジンタグ付加タンパク質を網状赤血球溶解物またはヒト血液サンプルと特定の時間インキュベートする。固体支持体を洗浄し、さらに上記実施例3、5または7に記載されているようにヒスチジンタグ付加タンパク質を溶出させる。タンパク質は、SDS-PAGE、ウェスタンブロットまたは質量分析法によって分析する。
別個の実験では、ヒスチジンタグ付加タンパク質基質を直接ウサギ網状赤血球溶解物またはヒト血液サンプルに添加し、特定の時間インキュベートする。続いて、ヒスチジンタグ付加タンパク質を実施例3、5または7に記載したように精製する。プロテアーゼ活性は、SDS-PAGE、ウェスタンブロットまたは質量分析法によって分析する。
【実施例15】
【0028】
ヒト血液サンプル由来の特異的なタンパク質マーカーの同定
特異的なタンパク質改変またはプロテアーゼアッセイをヒト血液サンプル由来タンパク質マーカーのスクリーニングに用いることができる。例えば、前立腺癌の特異的タンパク質マーカーを同定するために、血清タンパク質を分析することができる(Lehrer et al. “Putative protein markers in the sera of men with prostatic neoplasms” BJU Int. 2003 Aug; 92(3):223-5)。同様に、特定のキナーゼ、プロテアーゼもしくはタンパク質改変系のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションについて、ヒト血液サンプルを精製ヒスチジンタグ付加タンパク質によって分析することができよう。例えば、癌をもつ人および癌をもたない人から得られた血液サンプルとヒスチジンタグ付加キナーゼをインキュベートする。固有のインキュベーション時間の後で、ヒスチジンタグ付加タンパク質は実施例3または6に記載されているように血液サンプルから精製されるであろう。次に、タンパク質の改変を調べるために精製されたタンパク質を質量分析法またはゲル分析によって解析する。
【実施例16】
【0029】
タンパク質-リガンド相互作用の研究
先行する実施例に記載したように精製したヒスチジンタグ付加タンパク質はタンパク質-リガンド相互作用の研究に適している。cDNAライブラリーまたは問題の特定のヒスチジンタグ付加コード配列に由来するヒスチジンタグ付加タンパク質をウサギ網状赤血球溶解物で発現させ、発現されたタンパク質とリガンドとの間の相互作用を蛍光標識リガンドを用いて検出する。例えば、ウサギ網状赤血球溶解物でヒスチジンタグ付加カスパーゼタンパク質を発現させ、亜鉛付加固体支持体(例えば亜鉛付加NTA改変シリカ磁性粒子)を用いて精製することによってカスパーゼタンパク質に対する阻害因子を同定することができる。複数のタンパク質リガンドをスクリーニングする場合、マルチウェル法、例えば96ウェルプレートを用いることができる。溶出の前に、結合his-カスパーゼを蛍光標識した阻害因子と接触させる。固体支持体を洗浄し、タンパク質を溶出させ、フルオロメーターを用いて溶出したタンパク質を分析する。同様なアプローチは任意のタンパク質またはリガンドについて、定方向進化実験の場合と同様に用いることができる。
【実施例17】
【0030】
タンパク質の翻訳後改変の分析
亜鉛付加金属キレート樹脂を用いて、cDNAライブラリーまたは単一のタンパク質コード配列からウサギ網状赤血球溶解物で発現させたタンパク質を単離し、続いて前記タンパク質を翻訳後改変について評価する。ヒスチジンタグ付加cDNAライブラリーをウサギ網状赤血球溶解物で発現させ、タグ付加タンパク質を亜鉛付加固体支持体に結合させ、洗浄し、さらに特定の翻訳後改変(例えばアセチル化またはリン酸化)を認識する蛍光標識抗体と接触させる。あるいは、非標識一次抗体を用い、蛍光標識二次抗体を用いてヒスチジンタグ付加タンパク質との相互作用を検出する。続いて、抗体によって標識されたヒスチジンタグ付加タンパク質を上述のように回収し、フルオロメーターで解析することができる。
亜鉛付加固体支持体を用いて特定のヒスチジンタグ付加タンパク質基質を単離することができる。例えば、タグをもたないタンパク質をコードする脳cDNAライブラリーをゴールドTNT(商標)SP6エクスプレス96システム(Promegaカタログ番号L5800)またはゴールドTNT(商標)T7エクスプレス96システム(Promegaカタログ番号L5600)で製造元の推奨にしたがって発現させる。ヒスチジンタグ付加タンパク質が結合した亜鉛付加固体支持体と溶解物を接触させる。ヒスチジンタグ付加タンパク質を改変について評価する。ヒスチジンタグ付加タンパク質の改変に関与するタンパク質を発現するcDNAクローンを同定する。
【実施例18】
【0031】
ウサギ網状赤血球溶解物由来タンパク質の抗体による検出
蛍光標識抗体を用いて、ウサギ網状赤血球溶解物で発現されたヒスチジンタグ付加タンパク質を検出することができる。これは、前記ヒスチジンタグ付加タンパク質を発現させ、さらに亜鉛付加固体支持体に結合させ、その後蛍光標識抗体と接触させ、洗浄し、さらに結合した抗体を蛍光により検出することによって達成することができよう。
【実施例19】
【0032】
蛍光標識抗体を用いるヒスチジンタグ付加抗体のスクリーニング
ウサギ網状赤血球による無細胞タンパク質発現系を用いて抗体コード配列を発現させ、続いて蛍光標識抗原を用いてスクリーニングすることができる。in vitro抗体ライブラリーは、定方向進化法、例えばDNAシャッフリング、ファージディスプレー、リボソームディスプレー、共有結合ディスプレー、mRNAディスプレーまたは任意の他の方法によって作製する。完全長の抗体または抗原結合領域を含む抗体フラグメントをポリヒスチジンタグ付きでウサギ網状赤血球溶解物発現系で発現させる。一般的にヒスチジンタグ付加タンパク質について上述したように、ヒスチジンタグ付加抗体または抗体フラグメントを亜鉛付加固体支持体と相互作用させる。蛍光標識抗原を用いて、抗原と相互作用して抗原-抗体対を形成することができる抗体を選別する。前記方法は、大量の抗体または抗体フラグメントを高スループット様式でスクリーニングすることを可能にする。
【実施例20】
【0033】
ウサギ網状赤血球溶解物からヘモグロビン除去後の蛍光色素の検出
蛍光性化合物は、種々の機能アッセイ(例えばキナーゼまたはカスパーゼアッセイ)の開発に広く用いられてきた。しかしながら、夾雑ヘモグロビンはある種の蛍光性化合物の蛍光を阻害する。蛍光標識を利用するアッセイで使用するために亜鉛使用精製系の適切性を、以下のようにローダミン110(R110)を用いて評価した。
種々の希釈のウサギ網状赤血球溶解物(TnT T7共役転写/翻訳溶解物(カタログ番号L1170;Promega Corp., Madison, WI)をローダミン110(R110)と混合し、フルオロメーターを用いて蛍光を測定した(励起485;放射530)。並行して、亜鉛またはニッケル付加粒子をウサギ網状赤血球と混合した(ヒスチジンタグ付加タンパク質を全く含まない)。上述のように、前記粒子を洗浄し溶出緩衝液で処理した。溶出物をR110と混合し、フルオロメーターを用いて蛍光を測定した。結果は図11に示されている。この実験から、ヘモグロビンはR110を阻害することが明白である。亜鉛付加樹脂は、精製サンプルがR110を阻害しないようにウサギ網状赤血球溶解物からヘモグロビンを除去する。
【実施例21】
【0034】
亜鉛付加固体支持体によりヘモグロビンを除去した後の蛍光ベースのカスパーゼアッセイ評価
ウサギ網状赤血球溶解物から単離した活性の検出に蛍光を使用したカスパーゼアッセイを用いることの適切性を下記のように評価した。
ウサギ網状赤血球溶解物(TnT T7共役転写/翻訳溶解物(カタログ番号L1170;Promega Corp., Madison, WI)または水(40μL)を、100μLの50mMリン酸ナトリウム(500mMのNaClを含む)および10μgの精製ヒスチジンタグ付加カスパーゼ3(Upstate、カタログ番号14-264)と混合した。前記混合物を3mgの亜鉛またはニッケル付加磁性粒子と試験管内で室温にて15分、ロータリーシェーカー上でインキュベートした。フロースルーを磁化により除去した。粒子を50mMのリン酸ナトリウム+500mMのNaClを用いて4回洗浄し、さらにカスパーゼを100μLの1Mイミダゾールで溶出させた。溶出物をリン酸緩衝食塩水で連続希釈し(1:5、1:10、1:20、1:40、1:80、1:160および1:320)、最終容積を100μLとした。カスパーゼ活性は、アポワン(Apo-One)緩衝液で希釈したアポワン基質を用いて読み取った(アポワン(Apo-One(商標)ホモジーニアスカスパーゼ-3/7アッセイ、カタログ番号G7792、Promega Corporation)。各サンプルの吸収(λ=530)をサイトフルアー(Cytoflur(商標);Bio Research, Bedfordm, MA)を用いて測定した。このアッセイでは、A530はカスパーゼ活性と相関性を有する。
【0035】
図12について、各サンプルのA530(サンプル中に存在する活性なカスパーゼの量と相関性を示す)を希釈率の関数としてプロットした:亜鉛粒子を用いてTNTから精製したカスパーゼの吸収(ひし形);亜鉛粒子を用いて水から精製したカスパーゼの吸収(四角);ニッケル粒子を用いてTNTから精製したカスパーゼの吸収(三角)。期待したように、亜鉛またはニッケル粒子により単離したTNTのみ(カスパーゼ無し)を含むサンプルは基準線を超える吸収を示さなかった。
これらの結果は、亜鉛粒子は、ヒスチジンタグ付加タンパク質をヘモグロビン含有出発材料(例えばウサギ網状赤血球溶解物または血液)から単離し、続く蛍光を使用したカスパーゼアッセイで解析する場合に有用であることを示している。このアプローチは、ウサギ網状赤血球溶解物で発現されるcDNA/mRNAライブラリー由来のヒスチジンタグ付加カスパーゼのin vitroスクリーニングに適している。
カスパーゼアッセイは本質的に上述のように実施できるが、ルミネッセンス使用アッセイ(例えばカスパーゼ-グロ(Caspase-Glo(商標)9アッセイ、カタログ番号G8210;Promega Corporation)を用いることもまた意図されている。
本明細書に引用した刊行物または特許出願の各々は引用によりその全体が本明細書に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】ウサギ網状赤血球溶解物の電気泳動的に分離したタンパク質の蛍光画像を示す。
【図2】ウサギ網状赤血球溶解物の電気泳動的に分離したタンパク質の蛍光画像を示す。
【図3】SDS-PAGEで分離し、ゲルコード(GelCode(商標))で染色したウサギ網状赤血球溶解物由来のタンパク質を示す。
【図4】抗レニラルシフェラーゼ抗体をプローブとして用いた、電気泳動的に分離したウサギ網状赤血球溶解物由来タンパク質のウェスタンブロットを示す。
【図5】SDS-PAGEにより電気泳動分離し、さらに抗ヘモグロビン抗体をプローブとして用いたウサギ網状赤血球溶解物由来タンパク質のウェスタンブロットを示す。
【図6】電気泳動的に分離したタンパク質の蛍光スキャンを示す。
【図7】電気泳動的に分離したタンパク質の画像である。
【図8】電気泳動的に分離したタンパク質のウェスタンブロットである。
【図9】電気泳動的に分離したタンパク質の画像である。
【図10】電気泳動的に分離したタンパク質の画像である。
【図11】ヘモグロビン存在下でのローダミンR110のパーセント蛍光阻害を示すグラフである。
【図12】ウサギ網状赤血球から亜鉛またはニッケル付加粒子を用いて回収したヒスチジンタグ付加カスパーゼの活性(蛍光によって測定)を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘムタンパク質を含む出発材料からヒスチジンタグ付加タンパク質を単離する方法であって、
(a)ヒスチジンタグ付加タンパク質がヘムタンパク質への結合よりも優先的に亜鉛またはコバルト付加固体支持体と結合する条件下で、出発材料を前記固体支持体と接触させる工程
を含む、前記ヒスチジンタグ付加タンパク質を単離する方法。
【請求項2】
さらに、(b)結合したヒスチジンタグ付加タンパク質を固体支持体から外す工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
(a)の条件が、約10mMから約60mMの濃度のイミダゾールの存在を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
(a)の条件が、10mMから約20mMの濃度のイミダゾールの存在を含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
サンプルを固体支持体と接触させる前に、結合緩衝液がサンプルと一緒にされる、請求項1記載の方法。
【請求項6】
結合緩衝液がイミダゾールを含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
サンプルおよび結合緩衝液を本質的に同時に固体支持体と接触させる、請求項1記載の方法。
【請求項8】
サンプルを固体支持体と接触させる前に、前記固体支持体を結合緩衝液で洗浄または平衡化する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
固体支持体が亜鉛を含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
固体支持体がコバルトを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
ヒスチジンタグ付加タンパク質が、少なくとも100mMの濃度のイミダゾールを含む溶出緩衝液で溶出させることによって外される、請求項2記載の方法。
【請求項12】
溶出緩衝液が100mMから約3Mの濃度のイミダゾールを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
ヒスチジンタグ付加タンパク質が、約10mMから約0.5Mの濃度のEDTAを含む溶出緩衝液で溶出させることによって外される、請求項2記載の方法。
【請求項14】
ヒスチジンタグ付加タンパク質が、約6.0またはそれより低いpHを有する溶出緩衝液で溶出させることによって外される、請求項2記載の方法。
【請求項15】
出発材料がウサギの網状赤血球溶解物を含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
ヘムタンパク質がヘモグロビンである、請求項1記載の方法。
【請求項17】
条件が、約0から約0.5Mの濃度で存在する塩化ナトリウムを含む、請求項1記載の方法。
【請求項18】
固体支持体が磁性シリカ粒子である、請求項1記載の方法。
【請求項19】
請求項1に記載の単離されたヒスチジンタグ付加タンパク質の特性を決定する方法であって、さらに
(b)固体支持体を洗浄すること;
(c)ヒスチジンタグ付加タンパク質を基質または第二のタンパク質と接触させること;
(d)ヒスチジンタグ付加タンパク質と第二のタンパク質との間の相互作用を検出すること、
をさらに含む、請求項1に記載の単離されたヒスチジンタグ付加タンパク質の特性を決定する方法。
【請求項20】
工程(b)の後で、ヒスチジンタグ付加タンパク質を固体支持体から溶出させる、請求項19記載の方法。
【請求項21】
蛍光の増減を検出することによって相互作用が検出される、請求項19記載の方法。
【請求項22】
標的ポリペプチドを含むサンプルから前記標的ポリペプチドを分離する方法であって、標的ポリペプチドと相互作用する能力を有するヒスチジンタグ付加ポリペプチドを、前記ヒスチジンタグ付加タンパク質が前記固体支持体と結合し前記標的ポリペプチドと相互作用することを可能にする条件下で、前記標的ポリペプチドを含むサンプルと、亜鉛またはコバルト付加固体支持体の存在下で接触させる、ことを含む、前記標的ポリペプチドを分離する方法。
【請求項23】
ヒスチジンタグ付加ポリペプチドを前記サンプルと接触させる前に、前記ヒスチジンタグ付加ポリペプチドを固体支持体に結合する、請求項22記載の方法。
【請求項24】
ヒスチジンタグ付加ポリペプチドおよび標識ポリペプチドの少なくとも一つがウサギ網状赤血球溶解物中で発現される、請求項22記載の方法。
【請求項25】
ヒスチジンタグ付加ポリペプチドおよび前記標識ポリペプチドがウサギ網状赤血球溶解物中で同時発現される、請求項24記載の方法。
【請求項26】
標的材料を含むサンプルがヘムタンパク質を含む、請求項22記載の方法。
【請求項27】
さらに、ヒスチジンタグ付加ポリペプチドと標的ポリペプチドとの間の相互作用を検出することを含む、請求項22記載の方法。
【請求項28】
金属付加固体支持体を含む第一の容器を含む、出発材料中のヘムタンパク質をヒスチジンタグ付加タンパク質から分離するためのキット。
【請求項29】
さらに、固体支持体に付加するための亜鉛またはコバルト溶液を含む、請求項28記載のキット。
【請求項30】
亜鉛またはコバルトが固体支持体に付加されている、請求項28記載のキット。
【請求項31】
さらに、結合緩衝液を含む第二の容器を含む、請求項28記載のキット。
【請求項32】
結合緩衝液がイミダゾールを含む、請求項31記載のキット。
【請求項33】
さらに溶出緩衝液を含む、請求項28の記載キット。
【請求項34】
請求項1の方法にしたがって使用するための使用説明書をさらに含む、請求項28記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−505134(P2007−505134A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526315(P2006−526315)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/029580
【国際公開番号】WO2005/035092
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(593089149)プロメガ コーポレイション (57)
【氏名又は名称原語表記】Promega Corporation
【Fターム(参考)】