説明

ヒトサイトメガロウイルス中和抗体およびその使用

本発明は、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)に特異的である中和抗体に関し、具体的には、本発明の抗体は、hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせに特異的である。本発明の抗体は、高力価で感染を中和する。本発明はまた、かかる抗体を産生する不死化B細胞と、該抗体に結合するエピトープと、スクリーニング方法ならびに疾患の診断および治療における該抗体および該エピトープの使用とにも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に引用される全ての文献は、参照することにより、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)の中和において高力価を有し、hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせに特異的である抗体、ならびにかかるモノクローナル抗体を産生する不死化B細胞に関する。また、本発明は、該抗体が結合する、hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせによって決定されるエピトープ、ならびにスクリーニング方法、診断の診断、予防、および治療における該抗体および該エピトープの使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)は、免疫抑制成人においておよび胎児に感染次第、重度の病態を生じさせ得る広く分布している病原体であり、アテローム性動脈硬化等の慢性疾患に関与するとされている。hCMVは、線維芽細胞、内皮細胞、上皮細胞、および造血細胞を含む複数の細胞型に感染する[1]。候補ワクチンとして開発されている、hCMVの生体外で増殖される弱毒化株は、内皮細胞指向性がないが、一方で、線維芽細胞に感染する能力を保持する[2]。2つのウイルス糖タンパク質複合体が、hCMVの向細胞性を制御すると考えられる。gH、gL、およびgO等の糖タンパク質の複合体が線維芽細胞の感染に必要であると思われるが、一方で、gH、gLおよびUL131−UL128遺伝子によってコードされたタンパク質の複合体は、内皮細胞、上皮細胞、および樹枝状細胞の感染に関与する[2〜8]。
【0004】
高力価免疫グロブリンは、移植に付随するhCMV疾患の予防法のために既に商品化されており、最新の知見により、それらが妊婦における治療効果を有することが示唆される[9]。この治療手段は、伝達可能な少量の中和抗体によって制限されており、したがって、高中和能を持つヒト抗体(ヒトモノクローナル抗体等)の有効性が非常に所望されるであろう。しかし、hCMV中和抗体の標的はまだ確立されていない。gH、gB、ならびにUL128およびUL130遺伝子産物に対する抗体の中には、生体外で中和活性を示しているものもあり[7、10、11]、また臨床試験(治療効果の不足により中断された)においてgHに対する抗体が評価されたが、これまで単離された抗体の中和力価は、中和が0.5〜20マイクログラム/mLの範囲の抗体濃度で観察されたため、中程度である。さらに、現在の方法は、典型的に、標的細胞として線維芽細胞を使用して抗hCMV抗体の中和力価を測定する。しかしながら、hCMVは、内皮細胞、上皮細胞、および白血球細胞等の他の細胞型に感染することによって病態を生じさせることも知られている。UL128およびUL130に対する既知の抗体は、内皮細胞の感染の中和に非常に低い力価を示しており[7]、線維芽細胞以外の標的細胞の感染を高力価で中和する能力を持つ、利用可能なモノクローナル抗体は存在しないようである。
【0005】
したがって、線維芽細胞以外の標的細胞のhCMV感染をより高力価で中和する抗体の必要性、ならびにかかる抗体が結合する標的を解明する必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、hCMVを高力価で中和する新規抗体および本発明の抗体が結合する新規エピトープの発見に一部基づいている。したがって、一実施形態において、本発明は、hCMVの中和において高力価を有する中和抗体または抗体断片を含み、該抗体または抗体断片は、hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせに特異的である。
【0007】
別の実施形態において、本発明は、本発明の抗体または抗体断片をコードする核酸分子を含む。
【0008】
さらに別の実施形態において、本発明は、本発明の抗体または抗体断片をコードする核酸分子を含むベクターを含む。
【0009】
さらなる実施形態において、本発明は、本発明の核酸分子を含むベクターを含む細胞を含む。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、hCMVの中和において高力価を有する抗体を発現する不死化B細胞クローンを含み、該抗体は、hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせに特異的である。
【0011】
さらに別の実施形態において、本発明は、本発明の抗体に結合するエピトープを含む。
【0012】
さらなる実施形態において、本発明は、本発明の抗体に結合するエピトープを含む免疫原性ポリペプチドを含む。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、本発明の抗体に結合するエピトープに結合するリガンドを含む。
【0014】
さらなる実施形態において、本発明は、hCMVの中和において高力価を有する抗体を産生するための方法を含み、該抗体は、hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせに特異的である。該方法は、(i)本発明の抗体を発現する不死化B細胞クローンを培養することと、(ii)該B細胞から抗体を単離することとを含む。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、本発明の抗体もしくは抗体断片、本発明の核酸、本発明の抗体を発現する不死化B細胞クローン、または本発明の抗体もしくは抗体断片に結合するエピトープを含む免疫原性ポリペプチドを含む医薬組成物を含む。
【0016】
さらなる実施形態において、本発明は、治療または診断において使用するための、hCMVの中和において高力価を有する抗体もしくは抗体断片であって、hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせに特異的である、抗体もしくは抗体断片、hCMVの中和において高力価を有する抗体もしくは抗体断片であって、hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせに特異的である断片をコードする核酸、hCMVの中和において高力価を有する抗体であって、hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせに特異的である抗体を発現する不死化B細胞クローン、またはhCMVの中和において高力価を有する抗体であって、hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせに特異的である抗体に結合するエピトープを含む免疫原性ポリペプチドを含む。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、本発明の抗体もしくは抗体断片、本発明の抗体もしくは抗体断片をコードする核酸、または本発明の抗体に結合するエピトープを含む、hCMV感染の診断用キットを含む。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、組換え細胞を調製するための方法を含む。該方法は、(i)本発明の抗体を発現する不死化B細胞クローンから核酸を配列決定するステップと、(ii)発現宿主における目的の抗体の発現を可能にするように、ステップ(i)から得られた配列情報を使用して、発現宿主に挿入するための核酸を調製するステップと、を含む。
【0019】
さらなる実施形態において、本発明は、hCMVの中和において高力価を有し、hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせに特異的である抗体を産生するための方法を含む。該方法は、上記の方法によって得ることができる発現宿主を培養または継代培養することと、任意で、目的の抗体を精製することとを含む。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、hCMVに対抗する免疫応答を誘発することができるポリペプチドをスクリーニングする方法を含み、該方法は、本発明の抗体または抗体断片を使用してポリペプチドライブラリーをスクリーニングすることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ヒトモノクローナル抗体(mAb)6G4が、hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせによって決定されるエピトープを認識することを示す、FACS分析を示す。
【図2】抗体6G4の重鎖および軽鎖のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。CDR配列は太字になっている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の詳細な説明
本発明は、hCMV感染を中和し、hCMV感染の中和において特に高い力価を有する、抗体および抗体断片の産生に基づく。かかる抗体は、所定量のウイルスを中和するために低濃度のみが必要であるため、望ましい。これは、より高レベルの保護を容易にさせるとともに、抗体の投与は少量である。ヒトモノクローナル抗体およびかかる抗体を分泌する不死化B細胞クローンもまた本発明の範囲内に含まれる。
【0023】
発明者は、hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせを対象とする抗体が、hCMVの中和において特に効果的であることを発見した。いずれの理論にも束縛されるものではないが、この組み合わせは、該抗体によって認識される独自のエピトープを形成する、UL128、UL130、およびUL131Aの正確な組み合わせであり得る。
【0024】
また、本発明は、該抗体が結合するエピトープの特徴付け、免疫応答の惹起におけるそのエピトープの使用にも関する。
【0025】
本発明はまた、本発明の抗体およびそれらが結合するエピトープを伴う種々の方法および使用にも関する。
【0026】
本発明の抗体
本発明は、hCMVの中和において特に高い力価を有するモノクローナル抗体または組換え抗体を提供する。本発明はまた、これらのモノクローナル抗体または組換え抗体の断片、特に該抗体の抗原結合活性を保持する断片を提供する。本明細書において、「hCMVの中和における高力価」とは、本発明の抗体分子が、当該技術分野において既知の抗体、例えばMSL−109、8F9、または3E3と比較してはるかに低い濃度で、標準的なアッセイにおいてhCMVを中和することを意味する。
【0027】
一実施形態において、本発明の抗体分子は、0.16μg/mL以下(すなわち、0.15、0.125、0.1、0.075、0.05、0.025、0.02、0.015、0.0125、0.01、0.0075、0.005、0.004、0.003、0.002以下)の濃度でhCMVを中和することができる。別の実施形態において、該抗体は、0.016μg/mL以下の濃度(すなわち、例えば、10−8M、10−9M、10−10M、10−11M、10−12M、10−13M未満の抗体濃度)でhCMVを中和することができる。これは、hCMVの同じ力価の中和に必要な既知の抗体、例えば、MSL−109、8F9、または3E3の濃度と比較して、非常に低濃度の抗体のみが、生体外hCMVの臨床分離株の50%中和に必要とされることを意味する。さらなる実施形態において、生体外でのhCMVの臨床分離株による内皮細胞、上皮細胞、および樹状細胞の感染の50%中和に必要とされる本発明の抗体の濃度は、MSL−109、8F9、または3E3によって必要とされるものよりも10倍以上(すなわち、25、50、75、100、150、200以上)低い。力価は、当該技術分野において説明される標準的な中和アッセイを使用して測定することができる。
【0028】
本発明の抗体は、いくつかの細胞型のhCMV感染を中和することができる。一実施形態において、本発明に従う抗体は、内皮細胞の感染を防止する。本発明の抗体はまた、網膜細胞等の上皮細胞、および樹状細胞等の骨髄細胞の感染も防止する。
【0029】
これらの抗体は、適切な処方後に予防薬もしくは治療薬として、または診断ツールとして使用することができる。
【0030】
「中和抗体」とは、宿主における感染を開始および/または持続させる能力を中和することができるものである。本発明は、中和ヒトモノクローナル抗体を提供し、該抗体は、hCMVから抗原を認識する。
【0031】
具体的には、本発明に従う抗体は、hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせに対して特異性を有する。
【0032】
一実施形態において、本発明に従う抗体は、本明細書において6G4と称されるモノクローナル抗体である。本抗体は、hCMVに感染したドナーから単離され、6G4と称される不死化B細胞クローンによって産生される。本抗体は、内皮細胞、網膜細胞等の上皮細胞、および樹状細胞等の骨髄細胞のhCMV感染を中和する。
【0033】
6G4の重鎖は、配列番号7に記載されるアミノ酸配列を有し、軽鎖は、配列番号8に記載されるアミノ酸配列を有する。抗体重鎖のCDRは、それぞれCDRH1、CDRH2、およびCDRH3と称される。同様に、抗体軽鎖のCDRは、それぞれCDRL1、CDRL2、およびCDRL3と称される。CDRのアミノ酸の位置は、CDR1-IMGTの27〜38位、CDR2-IMGTの56〜65位、およびCDR3-IMGTの105〜117位として、IMGT付番システムに従って定義される[12、13、14]。
【0034】
本抗体のCDRのアミノ酸配列を表1に示す。
(表1)

【0035】
本発明はまた、6G4からの1つ以上(すなわち、1つ、2つ、または3つ全て)の重鎖CDRを含む重鎖を含む抗体を含む(配列番号1〜3)。
【0036】
一実施形態において、本発明に従う抗体は、(i)CDRH1に配列番号1、CDRH2に配列番号2、およびCDRH3に配列番号3を含む重鎖を含む。
【0037】
別の実施形態において、本発明は、6G4からの1つ以上(すなわち、1つ、2つ、または3つ全て)の軽鎖CDRを含む軽鎖を含む抗体を含む(配列番号4〜6)。
【0038】
別の実施形態において、本発明は、(i)CDRL1に配列番号4、CDRL2に配列番号5、およびCDRL3に配列番号6を含む軽鎖を含む抗体を含む。
【0039】
さらなる実施形態において、本発明に従う抗体は、hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせに対する特異性を有し、配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%相同であるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。一実施形態において、本発明に従う抗体は、配列番号7に記載される配列を有する重鎖を含む。
【0040】
別の実施形態において、本発明に従う抗体は、hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせに対する特異性を有し、配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%相同であるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。さらに別の実施形態において、本発明に従う抗体は、配列番号8に記載される配列を有する軽鎖を含む。
【0041】
本発明の抗体はまた、6G4からの1つ以上のCDR、および同一エピトープに対する別の抗体からの1つ以上のCDRを含む、ハイブリッド抗体分子も含む。一実施形態において、かかるハイブリッド抗体は、6G4からの3つのCDR、および同一エピトープに対する別の抗体からの3つのCDRを含む。したがって、好ましいハイブリッド抗体は、i)6G4からの3つの軽鎖CDRおよび同一エピトープに対する別の抗体からの3つの重鎖CDR、またはii)6G4からの3つの重鎖CDRおよび同一エピトープに対する別の抗体からの3つの軽鎖CDRを含む。
【0042】
別の態様において、本発明はまた、軽鎖および重鎖の一部または全てならびに本発明の抗体のCDRをコードする核酸配列も含む。一実施形態において、本発明に従う核酸配列は、配列番号9または配列番号10の核酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%の相同性を有する核酸配列を含む。別の実施形態において、本発明の核酸配列は、配列番号9(6G4の重鎖可変領域をコードする)または配列番号10(6G4の軽鎖可変領域をコードする)の配列を有する。さらなる実施形態において、本発明の核酸配列には、配列番号11(6G4のCDRH1をコードする)、配列番号12(6G4のCDRH2をコードする)、配列番号13(6G4のCDRH3をコードする)、配列番号14(6G4のCDRL1をコードする)、配列番号15(6G4のCDRL2をコードする)、および配列番号16(6G4のCDRL3をコードする)を含む、種々のCDRをコードするものが含まれる。遺伝暗号の冗長性に起因して、同じアミノ酸配列をコードするこれらの配列の変異体が存在するであろう。これらの変異体は本発明の範囲内に含まれる。
【0043】
変異抗体もまた、本発明の範囲内に含まれる。したがって、本出願に記載する配列の変異体もまた本発明の範囲内に含まれる。かかる変異体は、免疫応答の最中に生体内で、または不死化B細胞クローンを生体外で培養することで、体細胞変異が起こることにより生成される天然の変異体を含む。あるいは、変異体は、上述したように遺伝暗号の縮重によって生じ得る。あるいは、天然の変異体は、転写もしくは翻訳におけるエラーによって産生され得る。
【0044】
親和性および/または力価が向上した抗体配列のさらなる変異体は、当該技術分野において既知の方法を使用して得ることができ、本発明の範囲内に含まれる。例えば、アミノ酸置換は、さらに親和性が向上した抗体を得るために使用され得る。代替として、ヌクレオチド配列のコドン最適化は、抗体を産生するための発現系において翻訳の効率を向上させるために使用され得る。さらに、本発明の核酸配列のうちのいずれかに進化分子工学法を適用することにより、抗体特異性または中和活性のために最適化された配列を含むポリヌクレオチドも本発明の範囲内である。
【0045】
一実施形態において、変異抗体の配列は、本出願に記載される配列と70%以上(すなわち、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%以上)のアミノ酸配列相同性を共有し得る。いくつかの実施形態において、かかる配列同一性は、参照配列(つまり、本出願に示した配列)の全長に関して算出される。いくつかのさらなる実施形態において、本明細書に参照される同一性の割合(%)は、NCBI(National Center for Biotechnology Information、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)によって指定される初期パラメータ[Blosum 62マトリックス、ギャップオープンペナルティ=11およびギャップ伸長ペナルティ=1]を使用して、BLASTバージョン2.1.3を用いて決定される。
【0046】
ベクター、例えば、本発明に従う核酸配列を含む発現ベクターが本発明の範囲内にさらに含まれる。かかるベクターで形質転換された細胞も本発明の範囲内に含まれる。かかる細胞の例は、これらに限定されないが、例えば、酵母細胞、動物細胞、または植物細胞等の真核細胞を含む。一実施形態において、細胞は、例えば、ヒト、CHO、HEK293T、PER.C6、NS0、骨髄腫細胞、またはハイブリドーマ細胞等の哺乳類細胞である。
【0047】
本発明はまた、モノクローナル抗体6G4を含むが、これに限定されない、本発明の抗体に結合することができるエピトープに結合するモノクローナル抗体にも関する。
【0048】
モノクローナルおよび組換え抗体は、個々のポリペプチドまたはそれらが向けられる他の抗原の識別および精製に特に有用である。本発明の抗体は、それらが、免疫測定法、放射免疫測定法(RIA)、または酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)において試薬として用いられ得るという点で、付加的な有用性を有する。これらの用途において、抗体は、放射性同位元素、蛍光分子、または酵素等の分析的に検出可能な試薬で標識することができる。また、抗体は、抗原の分子的識別および特徴付け(エピトープマッピング)のためにも使用され得る。
【0049】
本発明の抗体は、治療部位への送達のために薬物に連結することができるか、またはhCMVに感染した細胞等の目的の細胞を含む部位の画像化を容易にさせるように、検出可能な標識に連結することができる。薬物および検出可能な標識に抗体を連結するための方法は、検出可能な標識を使用して画像化するための方法のように、当該技術分野において既知である。標識された抗体は、種々の標識を用いる種々のアッセイにおいて用いられ得る。本発明の抗体と目的のエピトープ(hCMVエピトープ)との抗体−抗原複合体の形成の検出は、抗体に検出可能な物質を付着させることによって容易にすることができる。適切な検出手段は、放射性核種、酵素、補酵素、蛍光体、化学発光物質、色素原、酵素基質または補助因子、酵素阻害薬、補欠分子族複合体、フリーラジカル、粒子、色素等の標識の使用を含む。適切な酵素の例は、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼを含み、適切な補欠分子族複合体の例は、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンを含み、適切な蛍光材料の例は、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンを含み、発光物質の例は、ルミノールであり、生物発光物質の例は、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンを含み、ならびに適切な放射性物質の例は、125I、131I、35S、またはHを含む。かかる標識された試薬は、放射免疫測定法、酵素免疫測定法、例えば、ELISA、蛍光免疫測定法等の種々の既知のアッセイにおいて使用され得る。例えば、参考文献15〜18を参照されたい。
【0050】
本発明に従う抗体は、細胞毒、治療薬、または放射性金属イオンもしくは放射性同位元素等の治療部分に抱合され得る。放射性同位元素の例としては、I−131、I−123、I−125、Y−90、Re−188、Re−186、At−211、Cu−67、Bi−212、Bi−213、Pd−109、Tc−99、In−111等が挙げられるが、これらに限定されない。かかる抗体抱合体は、所与の生物学的応答を改変するために使用することができ、薬物部分は、古典的な化学治療薬に制限されると解釈されるものではない。例えば、薬物部分は、所望の生物活性を持つタンパク質またはポリペプチドであり得る。かかるタンパク質は、例えば、アブリン、リシンA、緑膿菌外毒素、またはジフテリア毒素等の毒素を含み得る。
【0051】
かかる治療部分を抗体に抱合する技術は周知である。例えば、Arnon et al.(1985)“Monoclonal Antibodies for Immunotargeting of Drugs in Cancer Therapy,”in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,ed.Reisfeld et al.(Alan R.Liss,Inc.),pp.243−256、Hellstrom et al.(1987)“Antibodies for Drug Delivery,”in Controlled Drug Delivery,ed.Robinson et al.(2d ed;Marcel Dekker,Inc.),pp.623−653、Thorpe(1985)“Antibody Carriers of Cytotoxic Agents in Cancer Therapy:A Review,”in Monoclonal Antibodies’84:Biological and Clinical Applications,ed.Pinchera et al.pp.475−506(Editrice Kurtis,Milano,Italy,1985)、“Analysis,Results,and Future Prospective of the Therapeutic Use of Radiolabeled Antibody in Cancer Therapy,”in Monoclonal Antibodies for Cancer Detection and Therapy,ed.Baldwin et al.(Academic Press,New York,1985),pp.303−316、およびThorpe et al.(1982)Immunol.Rev.62:119−158)を参照のこと。
【0052】
代替として、参考文献19に記載されるように、抗体を第2の抗体に抱合させて、抗体のへテロ抱合体を形成することができる。また、標識と本発明の抗体との間にリンカーを使用することもできる[20]。抗体、またはその抗原結合断片は、当該技術分野において既知の放射性ヨード、インジウム、イットリウム、または他の放射性粒子で直接標識され得る[21]。治療は、同時に投与またはその後投与される抱合抗体と非抱合抗体の治療の組み合わせから成り得る[22、23]。
【0053】
別の実施形態において、本発明の抗体は、固体支持体にも付着され得る。
【0054】
さらに、本発明の抗体またはその機能的抗体断片は、ポリマーへの共有結合性抱合により化学修飾することで、例えば、循環半減期を増大させることができる。ポリマーの例、およびそれらをペプチドに付着させる方法は、参考文献24〜27に示される。いくつかの実施形態において、ポリマーは、ポリオキシエチル化ポリオールおよびポリエチレングリコール(PEG)から選択され得る。PEGは、室温で水溶性であり、一般式:R(O−−CH−−CHO−−Rを有し、Rは、水素、またはアルキル基もしくはアルカノール基等の保護基であることができる。一実施形態において、保護基は、1〜8個の炭素を有することができる。さらなる実施形態において、保護基はメチルである。記号nは、正の整数である。一実施形態において、nは、1〜1,000の間である。別の実施形態において、nは2〜500の間である。一実施形態において、PEGは、1,000〜40,000の間の平均分子量を有する。さらなる実施形態において、PEGは、2,000〜20,000の間の分子量を有する。またさらなる実施形態において、PEGは、3,000〜12,000の間の分子量を有する。一実施形態において、PEGは、少なくとも1つのヒドロキシ基を有する。別の実施形態において、PEGは、末端ヒドロキシ基を有する。さらに別の実施形態において、このヒドロキシル基は、阻害剤の遊離アミノ基と反応するように活性化される末端ヒドロキシ基である。しかしながら、反応基の型および量は、本発明の共有結合的に抱合されたPEG/抗体を達成するために変化し得ることが理解される。
【0055】
また、水溶性ポリオキシエチル化ポリオールも本発明において有用である。それらは、ポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチル化グルコース、ポリオキシエチル化グリセロール(POG)等を含む。一実施形態において、POGが用いられる。いずれの理論にも束縛されるものではないが、これは、ポリオキシエチル化グリセロールのグリセロール骨格が、例えば、動物およびヒトにおいて、モノ−、ジ−、トリグリセリド中に自然に発生する骨格と同じであるため、この分岐が必ずしも体内において異質の物質であるとは見なされないのかもしれない。いくつかの実施形態において、POGは、PEGと同程度の分子量を有する。POGの構造は、参考文献28に示される。
【0056】
循環半減期を増大させるために使用され得る別の薬物送達系は、リポソームである。リポソーム送達系を調製する方法は、参考文献29、30、および31で説明される。他の薬物送達系は当該技術分野において既知であり、例えば、参考文献32および33に記載される。
【0057】
本発明の抗体は、精製された形態で提供される。典型的には、抗体は、他のポリペプチドを実質的に含まない組成物中に存在し、例えば、組成物の90重量%未満、通常60重量%未満、およびさらに通常50重量%未満が他のポリペプチドで構成される。
【0058】
本発明の抗体は、非ヒト(つまり、異種)宿主、例えばマウスにおいて免疫原性であり得る。抗体は、非ヒト宿主において免疫原性であるが、ヒト宿主においては免疫原性でないイディオトープを有し得る。ヒトが使用するための本発明の抗体は、マウス、ヤギ、ウサギ、ラット、非霊長類哺乳類等の宿主から容易に単離することができないもの、およびヒト化によって、または異種マウスから概して得ることができないものを含む。
【0059】
本発明の抗体は、任意のアイソタイプ(例えば、IgA、IgG、IgM、つまり、α、γ、またはμ重鎖)であることができるが、概してIgGである。IgGアイソタイプ内で、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4サブクラスであり得る。本発明の抗体は、κまたはλ軽鎖を有し得る。
【0060】
抗体の産生
本発明に従うモノクローナル抗体は、当該技術分野において既知である任意の方法によって作製することができる。ハイブリドーマ技術を用いてモノクローナル抗体を作製するための一般的な方法論が周知である[34、35]。好ましくは、参考文献36に記載される代替的なEBV不死化法が使用される。
【0061】
参考文献36に記載される方法を使用して、本発明の抗体を産生するB細胞は、多クローン性B細胞活性化因子の存在下においてEBVで形質転換することができる。EBVでの形質転換は標準的な技術であり、多クローン性B細胞活性化因子を含むように容易に適合することができる。
【0062】
細胞増殖および分化の付加的な刺激薬を、任意で、効率をさらに増強させるために形質転換ステップ時に添加することができる。これらの刺激薬は、IL−2およびIL−15等のサイトカインであり得る。一態様において、不死化効率をさらに向上させるために、不死化ステップの最中にIL−2が添加されるが、その使用は必須ではない。
【0063】
次いで、これらの方法を使用して産生した不死化B細胞を、当該技術分野において既知の方法を使用して培養し、抗体をそこから単離することができる。
【0064】
モノクローナル抗体は、所望される場合、濾過、遠心分離、およびHPLCまたは親和性クロマトグラフィ等の種々のクロマトグラフ法を使用してさらに精製され得る。製薬等級抗体を産生するための技術を含む、モノクローナル抗体を精製する技術は、当該技術分野において既知である。
【0065】
本発明のモノクローナル抗体の断片は、ペプシンもしくはパパイン等の酵素での消化を含む方法によって、および/または化学的還元によるジスルフィド結合の切断によって、モノクローナル抗体から得ることができる。代替として、モノクローナル抗体の断片は、重鎖または軽鎖の配列の一部のクローニングおよび発現によって得ることができる。抗体「断片」は、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFv断片を含み得る。また、本発明は、本発明のモノクローナル抗体の重鎖および軽鎖から派生する一本鎖Fv断片(scFv)も包含し、例えば、本発明は、本発明の抗体からのCDRを含むscFvを含む。また、重鎖または軽鎖単量体および二量体ならびに単鎖抗体、例えば、重鎖および軽鎖可変領域がペプチドリンカーによって連結される一本鎖Fvも含む。
【0066】
分子生物学の標準的な技術を、本発明の抗体または抗体の断片をコードするDNA配列を調製するために使用することができる。所望のDNA配列は、オリゴヌクレオチド合成技術を使用して、完全にまたは部分的に合成され得る。部位特異的変異誘発およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を必要に応じて使用することができる。
【0067】
任意の適切な宿主細胞/ベクター系が、本発明の抗体分子またはその断片をコードするDNA配列の発現のために使用され得る。FabおよびF(ab’)断片、特にFv断片および単鎖抗体断片、例えば、一本鎖Fv等の抗体断片の発現のために、細菌、例えば大腸菌、および他の微生物系が部分的に使用され得る。真核生物、例えば哺乳類宿主細胞発現系は、完全な抗体分子を含む、より大きな抗体分子の産生のために使用され得る。適切な哺乳類宿主細胞には、CHO、HEK293T、PER.C6、NS0、骨髄腫細胞、またはハイブリドーマ細胞が含まれる。
【0068】
また、本発明は、本発明に従う抗体分子を産生するための工程も提供し、本発明の抗体分子をコードするDNAからのタンパク質の発現をもたらすのに適した条件下で、本発明のベクターを含む宿主細胞を培養するステップと、抗体分子を単離するステップとを含む。
【0069】
抗体分子は、重鎖または軽鎖ポリペプチドのみを含み得、その場合においては、重鎖または軽鎖ポリペプチドコード配列のみを、宿主細胞を形質移入するために使用する必要がある。重鎖および軽鎖の両方を含む産物を産生するために、細胞系は、軽鎖ポリペプチドをコードする第1のベクターおよび重鎖ポリペプチドをコードする第2のベクターの2つのベクターを形質移入することができる。代替として、単一ベクターが使用され得、該ベクターは、軽鎖および重鎖ポリペプチドをコードする配列を含む。
【0070】
代替として、本発明に従う抗体は、i)細胞内で本発明に従う核酸配列を発現するステップ、およびii)発現された抗体産物を単離するステップによって産生され得る。加えて、方法は、iii)抗体を精製するステップを含み得る。
【0071】
B細胞のスクリーニングおよび単離
形質転換されたB細胞を、所望の抗原特異性の抗体を産生するものに対してスクリーニングすることができ、次いで、個々のB細胞クローンを、陽性細胞から産生することができる。
【0072】
スクリーニングステップは、ELISA、組織もしくは細胞(形質移入された細胞を含む)の染色、中和アッセイ、または所望の抗原特異性を識別するための当該技術分野において既知の多くの他の方法のうちの1つによって行われ得る。アッセイは、単純抗原認識に基づいて選択し得るか、または、例えば、抗原結合抗体だけではなく中和抗体を選択し、標的細胞の特徴、たとえば、それらのシグナリングカスケード、それらの形、それらの増殖速度、他の細胞に影響するそれらの能力、他の細胞もしくは他の試薬または条件の変化による影響に対するそれらの応答、それらの分化状態等を変化させることができる抗体を選択する等のような、所望の機能にさらに基づいて選択され得る。
【0073】
陽性細胞の混合物から個々のクローンを分離するクローニングステップは、限界希釈法、顕微操作、細胞分類による単細胞沈着、または当該技術分野において既知の別の方法を使用して行われ得る。
【0074】
本発明の不死化B細胞クローンは、例えば、モノクローナル抗体源として、研究のための目的のモノクローナル抗体をコードする核酸(DNAまたはmRNA)源等として、種々の方法で使用することができる。
【0075】
本発明は、不死化メモリーBリンパ球を含む組成物を提供し、リンパ球は、hCMVに特異的な高中和力価を持つ抗体を産生し、該抗体は、1日当たり細胞ごとに5pg以上産生される。また、本発明は、不死化メモリーBリンパ球のクローンを含む組成物を提供し、該クローンは、hCMVに特異的な高中和力を持つモノクローナル抗体を産生し、該抗体は、1日当たり細胞ごとに5pg以上産生される。好ましくは、該クローンは、hCMV感染の中和において、高力価を持つモノクローナル抗体を産生する。本発明に従う好ましい不死化B細胞クローンは6G4である。
【0076】
エピトープ
上記のように、本発明の抗体は、それらが結合するエピトープをマッピングするために使用することができる。発明者は、内皮細胞、網膜細胞等の上皮細胞、および樹状細胞等の骨髄細胞のhCMV感染を中和する抗体6G4が、hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせによって決定されるエピトープを指向することを発見した。発明者は、この理論に束縛されるものではないが、抗体6G4は、これらの3つのタンパク質によって形成される高次構造エピトープに結合すると考えられる。
【0077】
本発明の抗体によって認識されるエピトープは、多くの用途を有し得る。精製された形態または合成形態でのエピトープおよびそのミモトープは、免疫応答(つまり、ワクチンとして、または他の使用のために抗体を産生するため)を惹起するために、またはエピトープもしくはそのミモトープと免役反応する抗体に対して患者血清をスクリーニングするために使用することができる。一実施形態において、かかるエピトープもしくはミモトープ、またはかかるエピトープもしくはミモトープを含む抗原は、免疫応答を惹起させるためのワクチンとして使用され得る。本発明の抗体および抗体断片はまた、ワクチンの品質を監視する方法においても使用することができる。具体的には、抗体は、ワクチン中の抗原が正しい高次構造の正しい免疫原性エピトープを含有していることを確認するために使用することができる。
【0078】
また、エピトープは、該エピトープに結合するリガンドのスクリーニングにおいても有用であり得る。これらに限定されないが、ラクダ、サメ、および他の種由来の抗体、抗体の断片、ペプチド、ファージディスプレイ技術の産物、アプタマー、アドネクチン、または他のウイルスもしくは細胞タンパク質の断片を含むかかるリガンドは、ペプチドをブロックして感染を防止することができる。このようなリガンドは、本発明の範囲内に包含される。
【0079】
組換え発現
また、本発明の不死化メモリーBリンパ球は、その後の組換え発現に対する抗体遺伝子のクローニングのために核酸源としても使用し得る。組換え源からの発現は、医薬的な目的において、例えば、安定性、再現性、培養の容易さ等の理由で、B細胞またはハイブリドーマからの発現よりも一般的である。
【0080】
したがって、本発明は、組換え細胞を調製するための方法を提供し、該方法は、(i)目的の抗体をコードするB細胞クローンから1つ以上の核酸(例えば、重鎖および/または軽鎖遺伝子)を得るステップと、(ii)発現宿主内における目的の抗体の発現を可能にするように、その宿主内に核酸を挿入するステップとを含む。
【0081】
同様に、本発明は、組換え細胞を調製するための方法を提供し、該方法は、(i)目的の抗体をコードするB細胞クローンから核酸を配列決定するステップと、(ii)発現宿主における目的の抗体の発現を可能にするように、ステップ(i)からの配列情報を使用して、発現宿主に挿入するための核酸を調製するステップとを含む。制限酵素部位を導入するため、コドン使用頻度を変更するため、および/または転写および/または翻訳制御配列を最適化するために、ステップ(i)と(ii)との間で核酸を操作することができるが、それが必要ではない。
【0082】
また、本発明は、組換え細胞を調製する方法を提供し、該方法は、モノクローナル目的の抗体をコードする1つ以上の核酸で宿主細胞を形質転換するステップを含み、該核酸は、本発明の不死化B細胞クローンから派生した核酸である。したがって、最初に、該核酸を調製し、次いで、宿主細胞を形質転換するためにそれを使用する手順は、異なる場所(例えば、異なる国)で異なる人々によって異なる時間に行うことができる。
【0083】
次いで、本発明のこれらの組換え細胞は、発現および培養目的で使用することができる。それらは、大規模の薬剤生産のための抗体の発現に特に有用である。また、それらは、医薬組成物の活性成分としても使用することができる。任意の適切な培養技術を使用することができ、その技術には、静置培養、ローラーボトル培養、腹水、中空糸型バイオリアクターカートリッジ、モジュラーミニファーメンター、攪拌槽、マイクロキャリア培養、セラミック中子灌流等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
B細胞から免疫グロブリン遺伝子を得る、および配列決定するための方法は、当該技術分野において既知である(例えば、参考文献37を参照)。
【0085】
発現宿主は、好ましくは真核細胞であり、酵母および動物細胞、特に哺乳類細胞(例えば、CHO細胞、NS0細胞、PER.C6[Crucell、参考文献38]またはHKB−11[Bayer、参考文献39および40]細胞、骨髄腫細胞[41および42]等)等のヒト細胞、ならびに植物細胞が含まれる。好適な発現宿主は、特に、それ自体ではヒトにおいて免疫原性ではない糖鎖構造を用いて、本発明の抗体をグリコシル化することができる。一実施形態において、発現宿主は無血清培地で成長することができる。さらなる実施形態において、発現宿主は、動物由来産物が存在しない培養物中で成長することができる。
【0086】
発現宿主は、細胞系を得るために培養され得る。
【0087】
本発明は、目的の抗体をコードする1つ以上の核酸分子(例えば、重鎖遺伝子および軽鎖遺伝子)を調製するための方法を提供し、該方法は、(i)本発明に従う不死化B細胞クローンを調製するステップと、(ii)該B細胞クローンから、目的の抗体をコードする核酸を得るステップとを含む。本発明はまた、目的の抗体をコードする核酸配列を得るための方法も提供し、該方法は、(i)本発明に従う不死化B細胞クローンを調製するステップと、(ii)目的の抗体をコードするB細胞クローンからの核酸を配列決定するステップとを含む。
【0088】
また、本発明は、目的の抗体をコードする核酸分子を調製する方法も提供し、該方法は、本発明の形質転換されたB細胞から得られたB細胞クローンから核酸を得るステップを含む。したがって、最初にB細胞クローンを得、次いで、核酸を調製する手順は、異なる場所(例えば、異なる国)で異なる人々によって異なる時間に行うことができる。
【0089】
本発明は、(例えば、医薬用途のために)抗体を調製するための方法を提供し、該方法は、(i)目的の抗体を発現する選択したB細胞クローンから1つ以上の核酸(例えば、重鎖および軽鎖遺伝子)を得るステップおよび/または配列決定するステップと、(ii)核酸を挿入するか、または核酸を使用して、目的の抗体を発現することができる発現宿主を調製するステップと、(iii)目的の抗体が発現される条件下で、発現宿主を培養または継代培養するステップと、任意に、(iv)目的の抗体を精製するステップとを含む。
【0090】
また、本発明は、抗体を調製する方法も提供し、該方法は、目的の抗体が発現される条件下で、発現宿主細胞集団を培養または継代培養するステップと、任意に、目的の抗体を精製するステップとを含み、該発現宿主細胞集団は、(i)上記のように調製されたBメモリーリンパ球の集団により産生される目的の抗体を発現する選択したB細胞をコードする核酸を提供するステップ、(ii)目的の抗体を発現することができる発現宿主内に核酸を挿入するステップ、および(iii)該発現宿主細胞集団を産生するために、該挿入した核酸を含む発現宿主を培養または継代培養するステップによって調製された。したがって、最初に組換え発現宿主を調製し、次いで、抗体を発現するためにそれを培養する手順は、異なる場所(例えば、異なる国)で異なる人々によって異なる時間に行うことができる。
【0091】
医薬組成物
本発明は、本発明の抗体および/または抗体断片、および/またはかかる抗体をコードする核酸、および/またはかかる抗体を発現する不死化B細胞、および/または本発明の抗体により認識されるエピトープを含有する医薬組成物を提供する。また、医薬組成物は、投与を可能にするように、薬学的に許容される担体も含有し得る。担体は、それ自体が、組成物を受け取る個人に有害である抗体の産生を誘発すべきではなく、毒性であるべきではない。適切な担体は、タンパク質、ポリペプチド、リポソーム、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、高分子アミノ酸、アミノ酸コポリマー、および不活性ウイルス粒子等の大型かつ代謝速度が遅い巨大分子であり得る。
【0092】
薬学的に許容される塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、および硫酸塩等の鉱酸塩、または酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、および安息香酸塩等の有機酸の塩を使用することができる。
【0093】
治療用組成物中の薬学的に許容される担体は、水、生理食塩水、グリセロール、およびエタノール等の液体をさらに含有し得る。加えて、湿潤剤もしくは乳化剤またはpH緩衝物質等の補助物質がかかる組成物中に存在し得る。かかる担体によって、患者による経口摂取のために、錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、および懸濁液として医薬組成物を製剤化することが可能である。
【0094】
本発明の範囲内で、好適な投与形態は、例えば、注射または注入による、例えば、ボーラス投与または持続注入よる非経口投与に適した形態を含み得る。製品が注射または注入のためのものである場合、それは、油性または水性媒体中で懸濁液、溶液または乳濁液の形態を取り得、そしてそれは、懸濁剤、防腐剤、安定剤、および/または分散剤等の製剤化剤を含有し得る。代替として、抗体分子は、使用前の適切な滅菌液との再構成のために、乾燥状態であり得る。
【0095】
製剤化され次第、本発明の組成物を、対象に直接投与することができる。一実施形態において、組成物は、ヒト対象への投与に適合されることが好ましい。
【0096】
本発明の医薬組成物は、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、経皮(transdermal)、経皮(transcutaneous)、局所、皮下、鼻腔内、腸内、舌下、膣内または直腸経路を含むが、これらに限定されないあらゆる経路によって投与され得る。また、本発明の医薬組成物を投与するためにハイポスプレーも使用され得る。典型的には、治療用組成物は、液体溶液または懸濁液のいずれかとしての注入物質として調製され得る。また、注入前に、液体媒体中の溶液または懸濁液に適した固形も調製され得る。
【0097】
組成物の直接的な送達は、概して、注射、皮下、腹腔内、静脈内、もしくは筋肉内送達によって達成されるか、または組織の間質腔に送達される。また、組成物は、病変内にも投与することができる。投薬治療は、単回投与計画または複数回投与計画であってもよい。既知の抗体ベースの医薬品は、例えば、医薬品を毎日、毎週、毎月送達すべきかどうか等の投与頻度に関する手引きを提供する。また、頻度および用量は、症状の重症度にも依存し得る。
【0098】
本発明の組成物は種々の形態で調製され得る。例えば、組成物は、液体溶液または懸濁液のいずれかとしての注入物質として調製され得る。また、注入前に、液体媒体中の溶液または懸濁液に適した固形も調製することができる(例えば、防腐剤を含有する滅菌水と再構成する、シナジス(Synagis(商標))およびハーセプチン(Herceptin(商標))等の凍結乾燥された組成物)。組成物は、局所投与のために、例えば、軟膏、クリーム、または粉末として調製され得る。組成物は、経口投与のために、例えば、錠剤もしくはカプセルとして、スプレーとして、またはシロップ(任意に、香味づけたもの)として調製され得る。組成物は、微粉末またはスプレーを使用して、例えば、肺内投与のために吸入剤として調製され得る。組成物は、坐薬または腟坐薬として調製され得る。組成物は、経鼻、経耳、または経眼投与のために、例えば、ドロップとして調製され得る。組成物は、組み合わされた組成物が、患者への投与直前に再構成できるように設計されたキット形態であり得る。例えば、凍結乾燥された抗体は、滅菌水または滅菌緩衝液とともにキット形態で提供することができる。
【0099】
組成物中の有効成分は抗体分子、抗体断片、またはその変異体および誘導体であることが理解されよう。したがって、それは、胃腸管における分解に影響されやすい。したがって、組成物が胃腸管を用いた経路によって投与されるのであれば、組成物は、分解から抗体を保護するが、それが胃腸管から吸収され次第、抗体を放出する薬物を含有する必要がある。
【0100】
薬学的に許容される担体についての徹底的な議論は、Gennaro(2000)Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th edition,ISBN:0683306472において入手可能である。
【0101】
本発明の医薬組成物は、通常、5.5〜8.5の間のpHを有し、いくつかの実施形態において、6〜8の間であり得、さらなる実施形態においては、約7であり得る。緩衝液の使用によりpHを維持することができる。組成物は、無菌であり得るか、および/またはピロゲンを含み得ない。組成物は、ヒトに対して等張性であり得る。一実施形態において、本発明の医薬組成物は、密封容器中に供給される。
医薬組成物は、本発明の1つ以上の抗体および/または本発明の1つ以上の不死化B細胞および/または本発明の抗体に結合するエピトープを含むポリペプチドの有効量、つまり、所望の疾患または状態を治療する、寛解させる、もしくは防止するのに十分な、または検出可能な治療効果を呈するのに十分な量を含む。また、治療効果は、身体症状の軽減も含む。任意の特定の対象に対する正確な有効量は、対象のサイズおよび健康、状態の性質および程度、ならびに治療学または投与のために選択された治療学の組み合わせに依存する。所与の状況に対する有効量は、日常的な実験によって決定され、臨床従事者の判断内にある。本発明の目的で、有効用量は、概して、投与される個人において、本発明の組成物の約0.01mg/kg〜約50mg/kg、または約0.05mg/kg〜約10mg/kgである。既知の抗体ベースの医薬品は、この点における手引きを提供し、例えば、ハーセプチン(Herceptin(商標))は、21mg/mL溶液の静脈内注入によって投与され、初期負荷用量は体重1kgあたり4mgであり、毎週の維持量は体重1kgあたり2mgであり、リツキサン(Rituxan(商標))は、375mg/mを毎週投与される。
【0102】
一実施形態において、組成物は、1つより多くの(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ等)の本発明の抗体を含み、相加的または相乗的な治療効果を提供することができる。さらなる実施形態において、組成物は、1つ以上の(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ等)本発明の抗体または抗体断片と、hCMVに対抗する1つ以上の(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ等)さらなる抗体または抗体断片とを含むことができる。例えば、1つの抗体は、hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせによって決定されるエピトープに結合することができ、一方別の抗体は、さらなるhCMVタンパク質に結合することができる。この実施形態の中では、hCMVタンパク質は、gB、gH、gL、gM、gN、gO、UL128、UL130、もしくはUL131A、またはそれらの組み合わせであってもよい。さらなる実施形態において、第2の抗体または抗体断片は、MSL−109、8F9、または3E3によって認識されるエピトープに特異的であってもよい。またさらなる実施形態において、1つの抗体は、線維芽細胞の感染を媒介するメカニズムを標的とさせてもよく、一方、もう1つの抗体は、内皮細胞の感染を媒介するメカニズムを標的とさせてもよい。最適な臨床効果としては、hCMV感染および維持の両方のメカニズムに対応することが利点であり得るだろう。
【0103】
本発明の抗体または抗体断片は、例えば、放射線療法を用いて、化学療法化合物の他の治療薬とともに(組み合わせてまたは別個のいずれかで)投与することができる。好ましい治療化合物には、ガンシクロビル、ホスカルネット、およびシドホビル等の抗ウイルス化合物が含まれる。かかる組み合わせ治療法は、単独で投与する場合に、個々の治療薬に対する治療効果の相加的または相乗的向上を提供する。「相乗作用」という用語は、各それぞれの活性薬剤の個々の効果の和よりも大きい2つ以上の活性薬剤の併用効果を説明するために使用する。したがって、2つ以上の薬剤の併用効果が活性または工程の「相乗的阻害」をもたらす場合、それは、活性または工程の阻害が、各それぞれの活性薬剤の阻害効果の和よりも大きいことを意図する。「相乗的治療効果」という用語は、2つ以上の治療の組み合わせで観察された治療効果を指し、治療効果(多数のパラメータのいずれかによって測定される)は、それぞれ個々の治療で観察された個々の治療効果の和よりも大きい。
【0104】
抗体または抗体断片は、hCMV感染の治療に対して以前に反応を示さなかった、つまり、抗hCMV治療に対して抵抗性を示したそれらの患者に投与され得る。かかる治療は、抗ウイルス剤を用いた以前の治療を含み得る。これは、例えば、hCMVの抗ウイルス耐性株による感染に起因し得る。
【0105】
本発明の抗体を含む本発明の組成物において、抗体は、組成物中の総タンパク質の少なくとも50重量%(例えば、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%以上)を占める。したがって、抗体は、精製された形態である。
【0106】
本発明は、医薬品を調製するための方法を提供し、該方法は、(i)本発明の抗体を調製するステップと、(ii)精製した抗体を1つ以上の薬学的に許容される担体と混合するステップとを含む。
【0107】
また、本発明は、医薬品を調製する方法も提供し、該方法は、抗体を1つ以上の薬学的に許容される担体と混合するステップを含み、抗体は、本発明の形質転換されたB細胞から得られたモノクローナル抗体である。したがって、最初に、モノクローナル抗体を得、次いで、医薬品を調製する手順は、異なる場所(例えば、異なる国)で異なる人々によって異なる時間に行うことができる。
【0108】
治療目的のために抗体またはB細胞を送達することの代替案として、核酸が原位置で対象内に発現され、所望の治療効果を提供できるように、目的のモノクローナル抗体(またはその活性断片)をコードする核酸(典型的には、DNA)を対象に送達することが可能である。適切な遺伝子治療法および核酸送達ベクターは、当該技術分野において既知である。
【0109】
本発明の組成物は、免疫原性組成物であり得、またいくつかの実施形態においては、hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせ上で見出されるエピトープを含む抗原を含むワクチン組成物であり得る。代替の組成物は、(i)hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせによって形成されるエピトープを含む抗原と、(ii)hCMVタンパク質gB、gH、gL、gM、gN、gO、UL128、UL130、もしくはUL131A、またはその組み合わせ上に見出されるエピトープを含む抗原とを含み得る。本発明に従うワクチンは、予防のため(つまり、感染を防止するため)または治療のため(つまり、感染を治療するため)のいずれかであり得る。
【0110】
組成物は、特に複数回投与形式でパッケージされる場合に、抗菌薬を含み得る。
【0111】
組成物は、表面活性剤、例えば、Tween80等のTween(ポリソルベート)を含むことができる。通常、表面活性剤は低レベルで(例えば、<0.01%)存在する。
【0112】
組成物は、浸透圧を与えるためにナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム)も含み得る。10±2mg/mL NaClの濃度が典型的である。
【0113】
組成物は、特に、それらが凍結乾燥される場合か、またはそれらが、凍結乾燥された材料から再構成された材料を含む場合に、例えば、約15〜30mg/mL(例えば、25mg/mL)で、糖アルコール(例えば、マンニトール)または二糖(例えば、スクロースまたはトレハロース)を含み得る。凍結乾燥のための組成物のpHは、凍結乾燥前に約6.1に調整され得る。
【0114】
また、本発明の組成物は、1つ以上の免疫調節剤も含み得る。一実施形態において、免疫調節剤のうちの1つ以上は、アジュバントを含む。
【0115】
本発明のエピトープ組成物は、hCMV感染に効果的に対処するために、細胞媒介免疫応答および体液性免疫応答の両方を誘発することができる。この免疫学的応答は、持続性(例えば、中和)抗体と、hCMVへの曝露後に急速に応答することができる細胞媒介の免疫との両方を誘発し得る。
【0116】
医学的治療および用途
本発明の抗体および抗体断片、またはその誘導体および変異体は、hCMV感染の治療、hCMV感染の予防、またはhCMV感染の診断のために使用され得る。
【0117】
診断方法は、抗体または抗体断片を試料と接触させることを含む。かかる試料は、例えば、唾液腺、肺、肝臓,膵臓、腎臓、耳、眼、胎盤、消化管、心臓、卵巣、下垂体、副腎、甲状腺、脳または皮膚から取った組織試料であり得る。また、診断方法は、抗原/抗体複合体の検出も含む。
【0118】
したがって、本発明は、治療における使用のための、(i)本発明に従う抗体、抗体断片、もしくはその変異体および誘導体、(ii)本発明に従う不死化B細胞クローン、(iii)本発明の抗体、例えば6G4に結合することができるエピトープ、または(iv)本発明の抗体、例えば6G4に結合するエピトープに結合することができる、好ましくは抗体であるリガンドを提供する。
患者を治療する方法であって、その患者に、(i)本発明に従う抗体、抗体断片、もしくはその変異体および誘導体、(ii)本発明に従う不死化B細胞クローン、(iii)本発明の抗体、例えば6G4に結合することができるエピトープ、または(iv)本発明の抗体、例えば6G4に結合するエピトープに結合することができる、好ましくは抗体であるリガンドを投与することを含む、方法も提供される。
【0119】
本発明はまた、hCMV感染の防止または治療のための薬物の製造における、(i)本発明に従う抗体、抗体断片、もしくはその変異体および誘導体、(ii)本発明に従う不死化B細胞クローン、(iii)本発明の抗体、例えば6G4に結合することができるエピトープ、または(iv)本発明の抗体、例えば6G4に結合するエピトープに結合することができる、好ましくは抗体であるリガンドの使用も提供する。
【0120】
本発明は、hCMV感染の防止または治療のための薬物として使用するための、本発明の組成物を提供する。また、患者の治療および/または患者の診断のための薬物の製造における、本発明の抗体および/またはかかる抗体が結合するエピトープを含むタンパク質の使用も提供する。また、対象を治療するための、および/または対象に診断を実施する方法であって、彼らに本発明の組成物を投与するステップを含む方法も提供する。いくつかの実施形態において、対象はヒトであり得る。治療処置の有効性を確認する一方法は、本発明の組成物の投与後に、疾患症状を監視するステップを伴う。治療は、単回投与計画または複数回投与計画であることができる。
【0121】
一実施形態において、本発明に従う抗体、抗体断片、不死化B細胞クローン、エピトープ、または組成物は、かかる治療を必要とする対象に投与される。かかる対象には、特に、例えば、免疫無防備状態の対象を含む、hCMV感染の危険性があるか、またはhCMVに感染し易い対象が含まれるが、これに限定されない。例示的な対象としては、HIVに罹患する対象、または移植患者等の免疫抑制療法を受けている対象が挙げられる。
【0122】
本発明の抗体は、受動免疫において使用することができる。
【0123】
また、本発明において記載したように、抗体およびその断片は、hCMV感染の診断のためのキットにおいても使用され得る。
【0124】
本発明の抗体、例えば、モノクローナル抗体6G4に結合することができるエピトープは、防御的抗hCMV抗体の存在を検出することによりワクチン摂取手順の効率を監視するためのキットにおいて使用することができる。
【0125】
また、本発明において記載したように、抗体、抗体断片、またはその変異体および誘導体は、所望の免疫原性でのワクチン製造を監視するためのキットにおいても使用され得る。
【0126】
また、本発明は、医薬品を調製する方法を提供し、モノクローナル抗体を1つ以上の薬学的に許容される担体と混合するステップを含み、モノクローナル抗体は、本発明の発現宿主から得られたモノクローナル抗体である。したがって、最初に、モノクローナル抗体を得て(例えば、それを発現するおよび/またはそれを精製する)、次いで、それを医薬担体と混合する手順は、異なる場所(例えば、異なる国)で異なる人々によって異なる時間に行うことができる。
【0127】
本発明の形質転換されたB細胞から始めて、各ステップでの任意の最適化を用いる培養、継代培養、クローニング、サブクローニング、配列決定、核酸調製等の種々のステップを、形質転換されたB細胞によって発現される抗体を永続化させるために行うことができる。好適な実施形態において、上記の方法は、抗体をコードする核酸に適用される最適化の技術(例えば、親和性成熟または最適化)をさらに含む。本発明は、そのようなステップ時に使用および調製される全ての細胞、核酸、ベクター、配列、抗体等を包含する。
【0128】
これらの全ての方法において、発現宿主内で使用される核酸は、ある種の核酸配列を挿入、欠失、または修正するように、操作され得る。かかる操作からの変更は、制限酵素部位を導入するため、コドン使用頻度を変更するため、転写および/または翻訳制御配列を追加または最適化するため等の変更を含むが、これらに限定されない。また、コードされたアミノ酸を変化させるために、核酸を変更することも可能である。例えば、それは、抗体のアミノ酸配列に1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)のアミノ酸の置換、欠失、および/または挿入を導入するために有用であり得る。このような点突然変異は、エフェクター機能、抗原結合親和性、翻訳後修飾、免疫原性等を修飾することができるか、共有結合基(例えば、標識)の付着のためにアミノ酸を導入することができるか、またはタグ(例えば、精製目的で)を導入することができる。突然変異は、特異的部位に導入することができるか、または、ランダムとその後の淘汰(例えば、分子進化)により導入することができる。
【0129】
概要
「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」および「成る(consisting)」を包含し、例えば、Xを「含む」組成物は、独占的にXから成るか、または、例えばX+Y等の何らかの付加的なものを含み得る。
【0130】
「実質的に」という用語は「完全に」を除外せず、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まない可能性がある。必要であれば、「実質的に」という用語は、本発明の定義から省略されてもよい。
【0131】
数値xに関連する「約」という用語は、例えば、x±10%を意味する。
【0132】
本明細書で用いる場合、「疾患」という用語は、概して、正常機能を損ない、そして、典型的には、特徴的な徴候および症状によって顕在化し、ヒトもしくは動物の寿命および生活の質を減少させる、ヒトもしくは動物の体の、またはその一部の異常な状態を全てが反映するという点で、「障害」および「状態」(医学的状態等の場合)と同義語であることが意図され、それらと同じ意味で使用される。
【0133】
本明細書で用いる場合、患者の「治療」への言及は、予防および予防法を含むことを意図する。「患者」という用語は、ヒトを含む全ての哺乳類を意味する。患者の例としては、ヒト、雌ウシ、イヌ、ネコ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、およびウサギが挙げられる。概して、患者はヒトである。
【実施例】
【0134】
以下の実施例は、単なる例示目的として提供され、制限することを意図するものではない。
【0135】
実施例1:B細胞のクローニングおよびhCMV中和活性のスクリーニング
血清中に高いhCMV中和抗体力価を持つドナーを識別した。参考文献36に記載されるように、メモリーB細胞を単離し、EBVおよびCpGを用いて不死化した。簡潔に述べれば、CD22ビーズを用いた負の選択によりメモリーB細胞を単離し、次いで、特異的抗体および細胞選別によりIgM、IgD、IgAB細胞を除去した。CpG2006の存在下において、選別した細胞(IgG)をEBVで不死化し、同種単核細胞を照射した。50個のメモリーB細胞を含有する同型培養物を、20個の96ウェルU字形底プレートに配置した。2週間後、培養上清を採取し、別々のアッセイにおいて線維芽細胞または上皮細胞のいずれかのhCMV感染を中和するそれらの能力を試験した。参考文献36に記載されるように、陽性のポリクローナル培養物からB細胞クローンを単離した。IgG特異的ELISAを用いて、選択されたクローンの上清中のIgG濃度を決定した。
【0136】
ウイルス中和アッセイのために、滴定量の臨床hCMV分離株を、等容積の培養上清または中和抗体を含有するヒト血清希釈と混合した。室温で1時間インキュベーションした後、96ウェルの平底プレート中の内皮細胞(例えば、HMEC−1細胞)、上皮細胞(例えば、ARPE網膜細胞)、または線維芽細胞(例えば、MRC−9もしくは間葉系幹細胞)のいずれかのコンフルエントな単層に混合物を添加し、37℃で2日間インキュベートした。上清を捨て、細胞を冷メタノールで固定し、hCMV早期抗原に対するマウスモノクローナル抗体の混合物と、続いてフルオレセイン標識ヤギ抗マウスIgで染色した。プレートは、蛍光顕微鏡を使用して分析した。中和抗体の非存在下において、感染した細胞は、約1,000/視野であり、一方、飽和濃度の中和抗体の存在下では、感染は完全に阻害された。また、標的細胞として樹状細胞を使用した、ウイルス中和アッセイも実施した。中和力価は、hCMV感染の50%減少をもたらす抗体の濃度(μg/mL)として示す。
【0137】
表2は、UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせに特異的であることが示された6G4が、内皮細胞、網膜細胞、および樹状細胞のhCMV感染を非常に低濃度(すなわち、高力価)で中和し得たことを示す。
(表2)

試験された最高濃度(すなわち、>2μg/mL)で中和なし。^Cytotect(Biotest)は、hCMV高力価免疫IgGのプールである。
【0138】
実施例2:モノクローナル抗体によって認識される標的抗原の識別
内皮細胞の感染を中和するヒトモノクローナル抗体6G4の特異性をマッピングするために、全長UL128、UL130、UL131A、gH、およびgLをコードする発現ベクターを構築した。HEK293T細胞に、これらのベクターを単独で、または組み合わせて形質移入した。36時間後、細胞を固定し、透過処理して、6G4、続いてヤギ抗ヒトIgGで染色した。図1は、モノクローナル抗体6G4が、少なくともUL128、UL130、およびUL131Aを同時発現する細胞を染色したことを示す。6G4染色の強度は、gHおよびgLがUL128、UL130、およびUL131Aと一緒に同時形質移入されて、推定上の全糖タンパク質複合体gCIIIを再構成したときに、増加した。これらのデータは、モノクローナル抗体6G4が、hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせによって決定される高次構造エピトープに特異的であることを示唆している。このエピトープは、UL128、UL130、およびUL131AがgHおよびgLとともにgCIIIに集合するときにのみ、適切な高次構造にある可能性が最も高い。
【0139】
本発明は例として記載されたに過ぎず、本発明の範囲および精神内にあり続けながらも修正が行われ得ることが理解されよう。
【0140】
参照文献(その内容は、参照により本明細書に組み込まれる)
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[41]米国特許第5,807,715号
[42]米国特許第6,300,104号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)の中和において高力価を有する中和抗体であって、hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせに特異的である、前記抗体。
【請求項2】
配列番号1〜6のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
配列番号1〜3のうちの1つ以上を含む重鎖を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項4】
CDRH1に配列番号1、CDRH2に配列番号2、およびCDRH3に配列番号3を含む重鎖を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項5】
配列番号4〜6のうちの1つ以上を含む軽鎖を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項6】
CDRL1に配列番号4、CDRL2に配列番号5、およびCDRL3に配列番号6を含む軽鎖を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項7】
前記重鎖が、配列番号7に記載の配列を有する、請求項3に記載の抗体。
【請求項8】
前記軽鎖が、配列番号8に記載の配列を有する、請求項5に記載の抗体。
【請求項9】
ヒトモノクローナル抗体である、前述の請求項のうちのいずれか1項に記載の抗体。
【請求項10】
モノクローナル抗体6G4である、請求項9に記載の抗体。
【請求項11】
前述の請求項のうちのいずれか1項に記載の抗体に結合することができるエピトープに結合する、抗体。
【請求項12】
前記hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせに特異的である、前述の請求項のうちのいずれか1項に記載の抗体の断片。
【請求項13】
Fab、Fab’、F(ab’)、またはFv断片である、請求項12に記載の抗体断片。
【請求項14】
前述の請求項のうちのいずれか1項に記載の抗体または抗体断片をコードする、核酸分子。
【請求項15】
配列番号9〜16のうちのいずれか1つを含む、請求項14に記載の核酸分子。
【請求項16】
請求項14または請求項15に記載の核酸分子を含む、ベクター。
【請求項17】
請求項16に記載のベクターを含む、細胞。
【請求項18】
請求項1〜11のうちのいずれか1項に記載の抗体を発現する、不死化B細胞クローン。
【請求項19】
請求項1〜11のうちのいずれか1項に記載の抗体に結合する、エピトープ。
【請求項20】
請求項19に記載のエピトープを含む、免疫原性ポリペプチド。
【請求項21】
請求項19に記載のエピトープに結合する、リガンド。
【請求項22】
抗体である、請求項21に記載のリガンド。
【請求項23】
(i)請求項18に記載の不死化B細胞クローンを培養することと、(ii)前記B細胞のために抗体を単離することと、を含む、請求項1〜11のうちのいずれか1項に記載の抗体を産生するための方法。
【請求項24】
請求項1〜13もしくは22のうちのいずれか1項に記載の抗体もしくは抗体断片、請求項14もしくは請求項15に記載の核酸、請求項18に記載の不死化B細胞クローン、または請求項20に記載の免疫原性ポリペプチドを含む、医薬組成物。
【請求項25】
前記hCMVタンパク質UL128、UL130、およびUL131Aの組み合わせによって決定されるエピトープに特異的である、第1の抗体または抗体断片と、第2のエピトープに特異的である第2の抗体または断片と、を含む、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
薬学的に許容される希釈剤または担体をさらに含む、請求項24または請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
治療法または診断において使用するための、請求項1〜13もしくは22のうちのいずれか1項に記載の抗体もしくは抗体断片、請求項14もしくは請求項15に記載の核酸、請求項18に記載の不死化B細胞クローン、または請求項20に記載の免疫原性ポリペプチド。
【請求項28】
(i)hCMV感染の治療用の薬物の製造、または(ii)ワクチンにおける、請求項1〜13もしくは22のうちのいずれか1項に記載の抗体もしくは断片、請求項14もしくは請求項15に記載の核酸、請求項18に記載の不死化B細胞クローン、または請求項20に記載の免疫原性ポリペプチドの使用。
【請求項29】
hCMV感染の治療用の薬物の製造における、請求項1〜13または22のうちのいずれか1項に記載の第1の抗体または抗体断片、および第2のエピトープに特異的である第2の抗体または抗体断片の使用。
【請求項30】
患者が、hCMVに対抗する従来の治療に抵抗性である、請求項28または請求項29に記載の使用。
【請求項31】
患者が、抗ウイルス剤を事前投与、事後投与、または同時に投与される、請求項28または請求項29に記載の使用。
【請求項32】
前記抗ウイルス剤が、ガンシクロビル、ホスカルネット、またはシドホビルから選択される、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記患者が免疫無防備状態である、請求項28または請求項29に記載の使用。
【請求項34】
前記患者がHIVを有するか、または移植患者である、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
前記第2の抗体または抗体断片が、hCMVタンパク質に特異的である、請求項18または22に記載の組成物または使用。
【請求項36】
前記hCMVタンパク質が糖タンパク質である、請求項28に記載の組成物または使用。
【請求項37】
前記hCMVタンパク質が、gB、gH、gL、gM、gN、gO、UL128、UL130、UL131A、またはそれらの組み合わせである、請求項28に記載の組成物または使用。
【請求項38】
前記第2の抗体または抗体断片が、MSL−109、8F9、または3E3によって認識されるエピトープに特異的である、請求項28に記載の組成物または使用。
【請求項39】
請求項24〜26または35〜38のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、対象を治療するための方法。
【請求項40】
請求項1〜13もしくは22のうちのいずれか1項に記載の抗体もしくは抗体断片、請求項14もしくは請求項15に記載の核酸、または請求項19に記載のエピトープを含む、hCMV感染の診断用キット。
【請求項41】
(i)請求項18に定義されるB細胞クローンから核酸を配列決定するステップと、(ii)発現宿主における目的の抗体の発現を可能にするように、ステップ(i)からの配列情報を使用して、発現宿主に挿入するための核酸を調製するステップと、を含む、組換え細胞を調製するための方法。
【請求項42】
前記核酸が、制限酵素部位を導入するため、コドン使用頻度を変更するため、および/または転写および/または翻訳制御配列を最適化するために、ステップ(i)とステップ(ii)との間で操作される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記発現宿主が真核細胞である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記真核細胞が、酵母細胞、動物細胞、または植物細胞である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記動物細胞が哺乳類細胞である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記動物細胞が、CHO、NS0、またはヒト細胞である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ヒト細胞が、PER.C6細胞、HEK293T細胞、またはHKB−11細胞である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
目的の抗体が発現される条件下で、請求項41に記載の方法によって得ることができる発現宿主を培養または継代培養することと、任意で、前記目的の抗体を精製することと、を含む、請求項1〜11または22のうちのいずれか1項に記載の抗体を産生するための方法。
【請求項49】
請求項1〜13または22のうちのいずれか1項に記載の抗体または断片を使用して、ポリペプチドライブラリーをスクリーニングすることを含む、hCMVに対抗する免疫応答を誘発することができるポリペプチドをスクリーニングする方法。
【請求項50】
抗hCMVワクチンの品質を、前記ワクチン中の抗原が正しい高次構造の正しいエピトープを含有することを確認することによって監視するための、請求項1〜13または22のうちのいずれか1項に記載の抗体または抗体断片の使用。
【請求項51】
前記抗体が、内皮細胞、上皮細胞、および骨髄細胞の感染を防止する、請求項28〜34のうちのいずれか1項に記載の使用。
【請求項52】
前記抗体が、網膜細胞および樹状細胞の感染を防止する、請求項51のうちのいずれか1項に記載の使用。
【請求項53】
(i)治療において、(ii)hCMV感染を治療するための薬物の製造において、または(iii)ワクチンとして使用するための、請求項1〜13のうちのいずれか1項に記載の抗体または抗体断片に特異的に結合する、エピトープ。
【請求項54】
hCMV感染を中和することができるリガンドをスクリーニングするための、請求項1〜13のうちのいずれか1項に記載の抗体または抗体断片に特異的に結合する、エピトープ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−527899(P2011−527899A)
【公表日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518016(P2011−518016)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【国際出願番号】PCT/IB2008/002683
【国際公開番号】WO2010/007463
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(509190163)エイチユーエムエイビーエス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (3)
【氏名又は名称原語表記】Humabs LLC
【Fターム(参考)】