説明

ヒトパピローマウイルス・ポリペプチドおよび免疫原性組成物

【課題】ヒトパピローマウイルス(HPV)関連癌、特に子宮頸癌の治療および予防のための免疫原性および医薬組成物の提供。
【解決手段】ヒトパピローマウイルスE6および/またはE7が、1つ以上の突然変異による癌遺伝子タンパク質のトランスフォーメーション活性を廃棄したHPV E6およびE7の融合物を作成し、E6/E7融合物に安全性を付与する。さらに、これらの融合物は、E6およびE7の免疫原性効率を維持または増大させる。本発明の免疫原性組成物を送出または包含するために、あらゆる遺伝子またはタンパク質送出方法が使用されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2002年10月3日に出願された米国特許仮出願番号第60/415,929号に対する優先権を主張し、その全体を参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、ヒトハピローマウイルス(HPV)によって引き起される子宮頸癌および他の癌を治療または防止するために使用される医薬上および免疫原性組成物に関する。特に、本発明は、HPVに対する免疫反応を発生させるために使用される融合タンパク質、およびこれらの融合タンパク質をコードする核酸に関する。これらの融合タンパク質およびポリヌクレオチドは、HPV誘発癌の治療および予防で使用される。
【背景技術】
【0003】
子宮頸の癌は、女性における腫瘍に関連した死亡の第二の主要原因であり、世界中で毎年250,000件の死亡に及ぶ。全ての子宮頸癌の99%を超えるものは、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染に関連することが知られており、その内の50%は、HPV16型(HPV16)に直接関連する(非特許文献1)。HPV16感染の大半は、無症候で、一過性である一方で、それらのうち特定のパーセンテージは、持続する。持続的に感染した個体の約1%は、子宮頸部の上皮細胞間の新生物(CIN)として知られる徐々に重篤な子宮頸部の病巣を通して、結果的に子宮頸癌に進行する。
【0004】
E6およびE7として知られる初期HPVタンパク質は、悪性表現型を維持するために要求される(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)。これらのタンパク質は、CIN病巣および癌で一貫して発現する(非特許文献5、非特許文献6)。これらのタンパク質は、細胞周期の調節を崩壊させることによって、上皮の増殖を誘発する。特に、E7は、細胞の腫瘍サプレッサー網膜芽腫タンパク質(Rb)を結合および不活化させ(非特許文献7)、細胞周期のS相への細胞の進行を生じる(非特許文献8)。HPV16のE6タンパク質は、腫瘍サプレッサータンパク質p53の分解を誘発し(非特許文献9)、細胞がアポトーシスを受けるのを防ぐ。
【0005】
腫瘍細胞は、E6およびE7タンパク質を構造的に発現し、これらのタンパク質は、正常な細胞中で存在しないので、これらのウイルス性タンパク質は、癌免疫療法にとって非常に魅力的な標的である。多くの系列の証拠は、ヒトにおけるE6およびE7に対する細胞指向性免疫反応は、HPV病巣およびウイルス性DNAクレアランスの自然な退縮に相互に関連することを示唆する(非特許文献10、非特許文献11)。さらに、E7に対するCTL反応は、様々なネズミモデルでのHPV16陽性腫瘍に対してマウスを保護することが示された(非特許文献12、非特許文献13)。
【0006】
細胞指向性免疫性(CMI)は、HPV感染および疾患を制御する上で重要に思われる(非特許文献14)ので、治療用ワクチンは、ヒト白血球抗原(HLA)多様性集団での有効な適合範囲についての膨大なHPVE6およびE7抗原性ペプチドに対する最適なT細胞反応を発生する。
【0007】
E6/E7抗原を送出するための有望なワクチンベクターは、ベネズエラウマ脳脊髄炎ウイルス(VEE;非特許文献15)の弱毒化3014株から由来した組換えアルファウイルス(AV)ベクターである。複製機能不全VEEレプリコン粒子(VRP)は、多数の前臨床感染性疾患および腫瘍モデルで非常に有効なワクチンであると証明された(非特許文献16)。VEEのようなAV由来のレプリコンベクターは、RNA形態で異種遺伝子をコードし、当初の感染により拡散せず、感染細胞のアポトーシスを誘発する(非特許文献17)。これらの属性は、自然の感染を伴うHPVで誘発された悪性腫瘍の特徴である長期化タンパク質発現、または宿主DNAへの組込みのいずれかについての機会を制限する。予め存在する抗VEE免疫性の低い罹患率およびVRPとの反復免疫化についての見込み(非特許文献18)は、ワクシニアウイルスまたはアデノウイルスのような他の組換え体ウイルス性ベクターより有利である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Walboomersら、J.Path. 1999年、189巻:12−19頁。
【非特許文献2】Von Knebelら、Int J Cancer 1992年、51巻:831−4頁。
【非特許文献3】Crookら、Embo J 1989年、8巻:513−9頁。
【非特許文献4】HeおよびHuang、Cancer Res. 1997年、57巻:3993−9頁。
【非特許文献5】SmotkinおよびWettstein、Proc Natl Acad Sci USA 1986年、83巻:4680−4頁。
【非特許文献6】Durstら、Virology 1992年、189巻:132−40頁。
【非特許文献7】Dysonら、Science 1989年、243巻:934−7頁。
【非特許文献8】Cobrinikら、Trends Biochem Sci 1992年、17巻:312−5頁。
【非特許文献9】Scheffnerら、Cell、1990年、63巻:1129−36頁。
【非特許文献10】Nakagawaら、J Infect Dis 1997年、175巻:927−31頁。
【非特許文献11】Kadishら、J Natl Cancer Inst 1997年、89巻:1285−93頁。
【非特許文献12】Feltkampら、Eur J Immunol 1995年、25巻:2638−42頁。
【非特許文献13】Linら、Cancer Res 1996年、56巻:21−6頁。
【非特許文献14】Eiben, G.L.ら、Adv Can Res 2002年、86巻:113−148頁。
【非特許文献15】Velders M.P.ら、Cancer Res 2001年、61巻:7861−7867頁。
【非特許文献16】Rayner, J.O.ら、Rev Med Virol 2002年、12巻:279−296頁。
【非特許文献17】Griffith, D.E.ら、Annu.Rev.Microbiol.1997年、51巻:565−592頁。
【非特許文献18】Pushko, P.ら、Virology 1997年、239巻:389−401頁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
癌免疫療法についての魅力的な標的ではあるが、E6およびE7は、トランスフォーミング活性を示す。結果的に、最近、当業界で予想されるE6およびE7を使用した免疫療法は、これらのタンパク質が細胞の形質転換および不死化を誘発する可能性があるので潜在的に危険である。
【0010】
CINおよび子宮頸癌の治療および予防のための効果のある組成物についての満たされていない要求は残されている。さらに詳細には、E6および/またはE7基材の組成物を含めた、CIN、子宮頸癌、肛門癌、および他のこのような障害を治療および/または予防するのに安全で、有効での両方である免疫原性組成物がg必要である。
【0011】
HPV免疫原性組成物の先の研究は、マウスでのHLA I型発現腫瘍モデルの欠如によって制限されてきた。HPV16E6/E7陽性モデルは、ここに詳述され、このモデルは、HLA−A0201トランスジェニックマウスで徐々に成長する腫瘍を形成する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、生物学的活性を減少させ、したがってE6およびE7の活性性能をトランスフォーミングする突然変異および/または融合物順(E7E6)を有するE6およびE7ポリペプチドの融合物を包含する医薬組成物およびポリペプチドを提供することによって、上に記述される必要性および他の要求を満足させる。
【0013】
特に、本発明は、新規E6/E7融合ポリペプチドおよびそれらをコードするポリヌクレオチドを提供する。特定の実施態様では、本発明は、E7ポリペプチドが、配列番号14のアミノ酸24、26または91に対応する任意の1つ以上のアミノ酸で突然変異を有し、E6ポリペプチドが、配列番号13のアミノ酸63または106に対応する任意の1つ以上のアミノ酸で突然変異を有しないか、または有するものである、ヒトパピローマウイルスE6およびE7ポリペプチドを包含するポリペプチドを提供する。特定の実施態様では、融合ポリペプチドは、配列番号14のアミノ酸24および26に対応するアミノ酸の一方、好ましくは両方が突然変異されているものである、E7ポリペプチドを包含する。これらの突然変異ポリペプチドは、これらの突然変異位置のいずれかにグリシン残基を有する可能性があり、E6が、E7に対してカルボキシ末端またはアミノ末端でありうる。
【0014】
本発明は、これらのポリペプチドをコードする単離核酸も提供する。例えば、本発明の1つの実施態様で、単離核酸は、E6ヌクレオチド配列が、HPV16E6遺伝子のヌクレオチド187−189または316−318に対応するいずれかのヌクレオチドで突然変異を有し、E7ヌクレオチド配列が、HPV16E7遺伝子のヌクレオチド70−72、76−78または271−273に対応するいずれかのヌクレオチドで突然変異を有するものであり、突然変異または複数の突然変異が、コードされるべき別のアミノ酸を生じるものである、ヒトパピローマウイルスE6およびE7配列を包含する。本発明は、これらのポリペプチドおよびポリヌクレオチドを包含する医薬および免疫原性組成物も提供する。
【0015】
本発明は、配列番号3、配列番号5、配列番号9、または配列番号11に記載されるアミノ酸配列を有する単離ポリペプチドも提供する。他の実施態様では、本発明は、ヌクレオチド配列の配列番号4、配列番号6、配列番号10または配列番号12を示す核酸を含めたこのようなポリペプチドをコードする単離核酸を提供する。
【0016】
E6/E7融合物をコードする核酸配列を包含する発現ベクターも、提供される。例えば、特定の実施態様では、本発明は、発現制御配列と操作可能に(例えば、その制御下で)連結した配列番号4、6、10または12を包含する発現ベクターを提供する。
【0017】
E6/E7融合物をコードする核酸を包含する宿主細胞、並びに、E6/E7融合ポリペプチドを発現または含有する宿主も、提供される。
【0018】
さらに別の実施態様では、本発明は、本発明の核酸またはポリペプチドを包含し、例えば子宮頸癌を治療または予防するために有用である免疫原性組成物も提供する。このような免疫原性組成物は、(a)本発明のポリペプチド(例えば、E7ポリペプチドが、配列番号14のアミノ酸24、26または91に対応する任意の1つ以上のアミノ酸で突然変異を有し、E6ポリペプチドが、配列番号13のアミノ酸63または106に対応する任意の1つ以上のアミノ酸で突然変異を有しないか、または有するものである、ヒトパピローマウイルスE6およびE7ポリペプチドを包含するポリペプチド)、および(b)医薬上許容しうる担体を包含しうる。都合により、本発明の免疫原性組成物は、アジュバントも含有しうる。
【0019】
本発明の1つ以上の核酸を含有し、および/または本発明のポリペプチドの1つ以上をコードする組換え体ウイルスも提供する。したがって、例えば、本発明の組換え体ウイルスは、配列番号3、5、9または11に記載のポリペプチドをコードし、さらに特に、配列番号4、6、10または12のいずれかに記載される配列を有する核酸を包含しうる。特に好ましい実施態様では、本発明の組換え体ウイルスは、修飾ベネズエラウマ脳脊髄炎ウイルス(VEEV)である。
【0020】
上述の組成物を使用する方法がさらに提供され、このような方法は、本発明の一部とも考えられる。したがって、本発明は、その個体(個人)に、免疫学的に有効な量の本発明のポリペプチド(例えば、配列番号3、5、9または11のいずれかに記載のアミノ酸配列を有するもの)および医薬上有効な担体を投与することによって、個体での免疫反応を発生する方法も提供する。
【0021】
子宮頸癌を治療および/または予防する方法も提供される。例えば、1つの実施態様では、本発明は、子宮頸癌と診断された患者に、本発明のポリペプチド(例えば、配列番号3、5、9または11のいずれかに記述されるアミノ酸配列を有するもの)および医薬上許容しうる担体を投与する、子宮頸癌を治療する方法を提供する。他の実施態様では、本発明は、本発明のポリペプチドおよび医薬上許容しうる担体が、個体に投与されるものである子宮頸癌を防止する方法を提供する。さらに他の実施態様では、本発明は、患者に、免疫学上有効な量の本発明の核酸(例えば、配列番号3、5、9または11の、特に配列番号4、6、10または12のいずれかに記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸配列を有するもの)を投与することによって、患者における子宮頸癌を治療および/または予防する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1Aおよび1Bは、主要なHLA−AクラスI対立遺伝子についての推定エピトープに関連してHPV16E6およびE7タンパク質に導入された点突然変異の位置を示す概略図である。図1Aは、各々、グリシンに突然変異された、E6における天然に生じるアミノ酸、63Cおよび106Cを示す。HLA−A1、A2、A3、A11およびA24対立遺伝子を結合する能力のある先に定義されたクラスIエピトープは、点描された箱で示される(Kast,W.M.ら、Immunol 1994年、152巻:3904−3912頁)。
【図2】図2A−Eは、ヒトパピローマウイルス18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59および68(それぞれ、配列番号15−26)のE6ポリペプチドのアミノ酸配列のアラインメントおよび共通配列を示す略図である。共通配列(配列番号39)は、アラインメントの下に示される。共通配列での大文字は、完全な共通を示し、共通配列における小文字は、高頻度であるが、完全な共通ではないことを示す。
【図3】図3A−Cは、ヒトパピローマウイルス18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59および68(それぞれ、配列番号27−38)のE7ポリペプチドのアミノ酸配列のアラインメントおよび共通配列を示す略図である。共通配列(配列番号40)は、アラインメントの下に示される。共通配列での大文字は、完全な共通を示し、共通配列における小文字は、高頻度であるが、完全な共通ではないことを示す。
【図4】図4Aおよび4Bは、百分率比溶解対標的細胞に対するエフェクター(E:T)比を示すグラフであり、それは、VRP免疫化を伴うCTL反応を表す。C57BL/6マウスを、3×105IUの指示VRPで皮内で免疫化し、CTLアッセイは、1ヶ月後行われた。E7−MVA(A)またはE6−MVA(B)に感染したMC57G標的細胞のユーロピウム放出によって、細胞毒性を測定した。これらの結果は、2つの別の実験で再現された(データはしめされず)。
【図5】図5Aおよび5Bは、腫瘍不含のマウスの百分率対腫瘍刺激の数日後の数を示すグラフである。C57BL/6マウス(n=8/gp)を、初回感染させ、21日目および7日目に3×105IUの指示VRP免疫原性組成物で刺激し、0日目に、自由に、5×105C3(A)または5×104TC−1(B)腫瘍細胞のいずれかで刺激した。3日毎に、腫瘍を観察した。
【図6】図6は、腫瘍不含のマウスの百分率対腫瘍刺激の数日後の数を表すグラフである。C57BL/6マウス(n=8−16/gp)が、0日目に5×105C3腫瘍細胞を受け、7、14および21日目に指示VRPで免疫化した。3日毎に45日目まで、腫瘍を観察した。
【図7】図7は、腫瘍不含のマウスの百分率対腫瘍刺激の数日後の数を表すグラフである。HLA−A0201トランスジェニックマウス(n=10/gp)が、0日目に2×106HLF16腫瘍細胞を受け、5、10および15日目に指示VRPで免疫化した。5日毎に、腫瘍を観察した。
【図8】図8Aおよび8Bは、様々なVRP製剤で感染された一次ヒト乳房の上皮細胞(MEC)でのp53(A)およびRb(B)発現を検出するウエスタンブロットである。指示VRP(MOI=10で)を用いた感染に続く24時間で、25μgの各MEC細胞溶解物を、SDS−PAGEにかけ、ブロットし、p53(A)およびRb(B)のレベルについて探索した。抗チューブリン抗体を用いて探索することによって、等価のタンパク質負荷を照合した。抗E7抗体を用いて指示レーンを探索することによって、E7タンパク質の存在を照合した。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、HPVE6およびE7タンパク質の融合物、このような融合物の例をコードするヌクレオチド配列、およびそれの突然変異体形態を提供する。ここで同定されるHPV16の特異的突然変異(先にのみC106Rに突然変異されたE6C106Gを除いて(Dalalら、J Viol 1996年、70巻:683−8頁))の各々は、先に開示されているが、これらの突然変異の組合せは、行われず、これらの突然変異の組合せは、トランスフォーミングまたは不死化適応力を欠きながら、免疫原性を保持するそれらの能力について試験されなかった。例えば、2つまたはそれより多くの突然変異の他のいずれかの組合せが、それらの免疫原性効率を維持するポリペプチドを生じるかどうかは、知られていなかった。本発明は、これらの突然変異の特徴的な組合せを含むE6/E7(用語「E6/E7」は、順序E6E7、E7E6で、または両方での融合物を示すためにここで使用される)タンパク質の融合物、および4つまたは5つの定義された突然変異を含むE6/E7融合タンパク質が、それらの免疫原性効率を維持するという驚くべき成果を開示する。この成果は、治療的免疫原性組成物が、HLA多様性集団での有効な適用範囲について膨大なHPVE6およびE7抗原性ペプチドに対する最適な細胞反応を発生するに違いないので、特に重要である。本発明は、それらの免疫学上の効率を維持しつつ、複数の突然変異を担持するこれらのE6/E7融合物が、E6およびE7のトランスフォーミング適応力に必要な機能、特にp53およびpRB分解を維持しないことも開示する。特に、本発明の融合物は、p53またはRbの分解を誘発せず、したがって、患者への送出、または患者における発現について、それらの非突然変異体の対応物より安全である。
【0024】
本発明は、E7E6融合物、すなわち、E6が、E7に対するカルボキシル末端である融合物が、それらのE6E7対応物に比べたときに、免疫学的活性を増大させたという驚くべき成果も開示する。
【0025】
特定の実施例では、HPV16E6E7およびE7E6融合タンパク質を産生させ、免疫原性および抗腫瘍反応について試験した。数種の点突然変異を、E6およびE7遺伝子に導入して、既知HLAエピトープを保存しつつ、それらの癌遺伝能力を不活化させた。H−2Db制限E749−57エピトープに対して相当なCTL反応が、野生型または突然変異体融合タンパク質をコードするVRP 3×105感染性単位で免疫化したマウスの中に観察された。wt(野生型)および突然変異体融合タンパク質を発現するVRP免疫原性組成物の全ては、マウスの90%またはそれより多くで、7日で生成したC3腫瘍を根絶した。さらに、E6E7融合構築物は、2つの他のE6E7陽性腫瘍モデルで抗腫瘍効率を示した。特に、E7E6TetM VRPは、HLF16腫瘍モデルで完全な腫瘍拒絶を付与した。野生型でなく、VRP発現突然変異体E6およびE7遺伝子で感染された一次ヒト乳房の上皮細胞は、p53および網膜芽腫タンパク質の両方の正常なレベルを示した。
【0026】
本発明のE6E7およびE7E6融合物
本発明は、E7におけるC24G、E26GおよびC91G、およびE6におけるC63GおよびC106Gのような多重突然変異を包含するE6/E7融合ポリペプチドを提供する(図1AおよびBを参照)。例えば、E6E7TetMおよびE7E6TetM融合ポリペプチドは、E7C24GおよびE26G突然変異およびE6C63GおよびC106G突然変異を包含する一方で、E6E7PentMおよびE7E6PentM融合ポリペプチドは、TetM突然変異体に存在する4つの突然変異に加えて、C91G E7突然変異を包含する。中でも、これらの突然変異融合ポリペプチドは、不安定である可能性がある。当該分野において従来の技術者は、安定したタンパク質に比べて、不安定なタンパク質が、CTL反応を発生する能力が増大されたことを認識する。当業者らは、融合タンパク質が、適切に畳込まず、したがって、それらの非融合対応物より安定性が低い傾向にあることも認識する。したがって、本発明に開示されるもののような融合タンパク質は、それらの未融合対応物より細胞指向性免疫反応の産生のためにより適している。
【0027】
HPV16E6E7およびE7E6融合タンパク質を産生し、免疫原性および抗腫瘍反応について試験した。いくつかの点突然変異を、E6およびE7遺伝子に導入して、既知HLAエピトープを保存しつつ、それらの癌遺伝子能力を不活化させた。本発明に先立って、本明細書で試験される突然変異の組合せは、ポリペプチドの免疫原性を破壊するかどうか、またはそのような突然変異ポリペプチドが、それらの免疫原性を保持するかどうかは知られていなかった。H−2Db制限E749−57エピトープに対する相当のCTL反応が、野生型または突然変異体融合タンパク質をコードするVRP 3×105感染性単位で免疫化されたマウスで観察された。野生型および突然変異体融合タンパク質を発現するVRP免疫原性組成物の全ては、マウスの90%またはそれより多くで、7日で生成されたC3腫瘍を根絶した。さらに、E6E7融合構築物は、2つの他のE6E7陽性腫瘍モデルで抗腫瘍効率を示した。
【0028】
本発明は、E6が、アミノ末端に、またはカルボキシ末端にかのいずれかにある、E6およびE7を包含する融合ポリペプチドを提供する。しかし、当業者らは、E6が、E7に対するカルボキシ末端である、つまり、E7E6TetMおよびE7E6PentMのようなE6がE7に従う融合物(E7E6融合物)は、E6が、E7に対するアミノ末端である融合物(E6E7TetMおよびE6E7PentMのようなE6E7融合物)に比べて、免疫学的効率を増大することを本開示から認識する。さらに、E7E6融合物、すなわちE6がE7に対するカルボキシ末端である融合物は、E6E7融合物に比べて、E6活性を減少させることが、当業者らによって認識される。したがって、E7E6融合物は、一般に、安定であると予想される。したがって、E6がE7に対するカルボキシ末端である融合物は、本発明のさらに好ましい実施態様である。
【0029】
本発明は、HPV16E7のC24、E26およびC91、およびHPV16E6のC63およびC106に対応する位置での特定のヌクレオチドおよびアミノ酸突然変異の例を提供する。例えば、本発明は、グリシンに突然変異されるべきシステイン24を提供する(ヌクレオチド配列における対応の突然変異は、CTGからCGGまでである)。これらの例は、限定的でない。例えば、亜鉛フィンガーまたはRb結合の中断を同様に生じる突然変異が、使用されうる。例えば、亜鉛フィンガー形成に重要なシステイン残基での突然変異は、他のあらゆるアミノ酸に変えられうる。好ましい突然変異は、タンパク質の不安定化、したがって、タンパク質の免疫原性での増大を生じる。
【0030】
本発明の特定の実施態様では、ポリペプチドは、E7ポリペプチドが、配列番号14の位置24、26または91に対応するあらゆるアミノ酸で突然変異を有し、E6ポリペプチドが、突然変異を有しないか、または配列番号13の位置63または106に対応する1つ以上のアミノ酸に突然変異を有するかのいずれかである、HPV16E6およびE7の融合物である。本発明の好ましい実施態様では、ポリペプチドは、E7ポリペプチドが、配列番号14の位置24および26に対応するアミノ酸で突然変異を有し、E6ポリペプチドが、配列番号13の位置63または106または両方に対応するアミノ酸より構成される群から選択される突然変異を有する、HPV16 E6およびE7の融合物である。
【0031】
第一のメチオニンが、融合タンパク質の二番目で消失された場合でさえ、第一のアミノ酸としてメチオニンを計数することによって、アミノ酸数を決定することが、当業界で理解される。例えば、E6E7TetM(配列番号3)のG24突然変異は、ポリペプチドにおけるE7の残基24にあると考えられる。
【0032】
本発明の別の好ましい実施態様では、ポリヌクレオチドは、E6ポリヌクレオチドが、ヌクレオチド187−189(HPV16ゲノム(ジーンバンク受託番号K02718号)のヌクレオチド290−292に対応する)または316−318(HPV16ゲノムのヌクレオチド419−421に対応する)のいずれかで突然変異を有し、E7ヌクレオチド配列は、ヌクレオチド70−72(HPV16ゲノムのヌクレオチド631−633に対応する)、76−78(HPV16ゲノムのヌクレオチド637−639に対応する)または271−273(HPV16ゲノムのヌクレオチド832−834に対応する)のいずれかで突然変異を有するものであるHPV16E6およびE7ポリヌクレオチドの融合物である。これらのヌクレオチド変化は、ナンセンス突然変異ではなく、ミスセンス突然変異を生じる。言い換えると、これらの突然変異は、コードされるべき様々のアミノ酸を生じる。
【0033】
本発明は、ポリペプチドを提供し、免疫原性および医薬組成物は、これらのポリペプチドを包含するか、またはこれらのポリペプチドをコードするヌクレオチドを包含する。下に記述されるとおり、これらのポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、ここに提供される配列で記述される。例えば、E6E7TetMポリペプチドは、配列番号3に記述される。当業者らは、本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチド配列が、本出願で開示される正確な配列に限定されないことを認識する。例えば、HPV16のATCCクローン番号45113号からPCRを行うことによって、E6およびE7配列を得た。このATCCクローンのE6およびE7配列は、ジーンバンクのHPV16配列K02718のものからわずかに変化する。したがって、当業者らは、本発明が、ここに開示されるものと実質的に相同であるか、または実質的に類似のアミノ酸およびヌクレオチド配列を包含すること、記述される突然変異の組合せが、いずれのE6またはE7配列の背景でも生じうることを認識する。例えば、これらの突然変異およびこれらの突然変異のあらゆる数の組合せは、K02718に開示されるE6およびE7配列という状況にありうる。
【0034】
当業者らは、本発明が、HPV16に加えて、パピローマウイルスのファミリーの他の構成要素に引込まれる可能性もあることを認識する。癌に関連した他のパピローマウイルス遺伝子型、特に18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59および68は、それらの癌遺伝子適応力にとって中心的でありそうなそれらのE6およびE7タンパク質でモチーフを保存した(Fields Virology4版、2001年、65および66章、2197−2265頁、NipeおよびHowley編、リッピノコット・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンスを参照)。特に、これらのE6およびE7タンパク質は、C−X−X−C亜鉛フィンガー・モチーフを有し、E7については、推定Rbは、モチーフL−X−C−X−Eを結合する。したがって、本発明の実施態様は、パピローマウイルス・ファミリーの他の構成要素から得られるE6およびE7融合ポリペプチドおよびポリヌクレオチドを包含し、それは、本発明で開示される突然変異に対応する突然変異を有する。
【0035】
配列番号1−12に開示される特定のアミノ酸およびヌクレオチドの位置に対応するアミノ酸およびヌクレオチドは、配列アラインメント(比較)を行うことによって決定されうる。このような配列アラインメントの例は、図2A−Eおよび3A−Cに示される。これらの図面では、HPV18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59および68のE6およびE7ポリペプチドのアミノ酸が配列比較され、共通配列が与えられる。E6共通アミノ酸配列は、配列番号39で表され、E7共通アミノ酸配列は、配列番号40で表される。
【0036】
これらの配列比較は、本発明で試験される突然変異のおのおのが、これらのHPVウイルスの各々に保存され、したがって、それらも、免疫反応を引き起すそれらの能力を維持しつつ、それらの癌遺伝子能力をノックアウトするために突然変異されうることを示す。亜鉛フィンガーおよび結合モチーフのような構造の形成に関与するアミノ酸が、しばしば保存される。例えば、HPV遺伝子型の構成要素の各々で、HPV16のE7のアミノ酸24、26、および91に、HPV16のE6のアミノ酸63または106に対応する保存アミノ酸またはヌクレオチドを同定および突然変異させうる。例えば、図2A−Eに示される配列比較は、HPV16E6のアミノ酸63(63C)に対応するHPV18E6アミノ酸も、システイン残基であること、それは、HPV18のE6の位置65にあることを示す。したがって、HPV16のE7のアミノ酸24、26および91に、HPV16のE6のアミノ酸106に対応する他の残基に加えて、HPV18のE6の66Cは、本発明で突然変異されうる。同様に、E6共通配列(配列番号39)のアミノ酸65または108に対応するあらゆるHPV E6ポリペプチドで、またはE7共通配列(配列番号40)のアミノ酸25、27または97に対応するあらゆるHPV E7ポリペプチドでの突然変異は、本発明で行われうる。
【0037】
本発明の1つの実施態様では、融合ポリペプチドは、これらの突然変異の内の2つを包含する。別の実施態様では、これらの融合ポリペプチドは、これらの突然変異の内の3つを包含する。別の実施態様では、これらの融合ポリペプチドは、これらの突然変異の内の4つを包含する。さらに別の実施態様では、これらの融合ポリペプチドは、これらの突然変異の内の5つ全てを包含する。
【0038】
分子生物学定義。本発明によって、当業界の技術の範囲内の従来の分子生物学、微生物学および組換えDNA技術の使用が可能である。このような技術は、文献で十分に説明される。例えば、Sambrook、FitschおよびManiatis、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、2版(1989年)、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(ここで「Sambrookら、1989年」と称される);DNA Cloning:A Practical Approach、ボリュームIおよびII(D.N.Glover編、1985年);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984年);Nucleic Acid Hybridization(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編、1984年);Animal Cell Culture(R.I.Freshney編、1986年);Immobilized Cells and Enzymes(アイアールエル・プレス、1986年);B.E.Perbal、A Practical Guide to Molecular Cloning(1984年);F.M.Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology、ジョン・ウイリー・アンド・サンズ,インク.(1994年)を参照。
【0039】
ここでポリヌクレオチドは、天然の調節配列によって隣接されうるか、またはプロモーター、エンハンサー、反応要素、シグナル配列、ポリアデニル化配列、イントロン、5’−および3’−非コーディング領域などを含めた異種配列に連結されうる。当業界で知られる多くの手段によって、核酸も修飾されうる。このような修飾の限定しないの例としては、メチル化、「キャップ」、天然に生じるヌクレオチドの1つ以上の置換(すなわち、第三または当初の「ウォッブル」塩基のコドン最適化)、および例えば未荷電結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホロアミデート、カルバメート等)を有するもの、および荷電結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)を有するもののようなヌクレオチド間修飾が挙げられる。ポリヌクレオチドは、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リシン等)、挿入剤(例えば、アクリジン、ソラレン等)、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、鉄、酸化性金属など)、および数種の名前を挙げるアルキル化剤のような1つ以上の別の共有結合部分を含みうる。ポリヌクレオチドは、メチルまたはエチルホスホトリエステル、またはアルキルホスホルアミダイト結合の形成によって誘導されうる。さらに、ここで、ポリヌクレオチドは、直接または間接的にのいずれかで、検出可能なシグナルを供する能力のある標識で修飾もされうる。典型的な標識としては、ラジオアイソトープ、蛍光分子、ビオチンおよび同等物が挙げられる。行われうる修飾の他の制限なしの例は、下に、本発明の説明で供される。
【0040】
「構造遺伝子」とも称される用語「遺伝子」は、1つ以上のタンパク質または酵素の全てまたは一部を包含し、プロモーター配列のような調節DNA配列を含んでいても含まなくてもよいアミノ酸の特定の配列をコードするか、または対応するDNA配列を意味し、それは、例えば遺伝子が発現される条件を決定する。構造遺伝子でないある種の遺伝子は、DNAからRNAに転写されうるが、しかし、アミノ酸配列に翻訳されない。他の遺伝子は、構造遺伝子の調節剤として、またはDNA転写の調節剤として機能しうる。
【0041】
「コーディング配列」またはポリペプチド、タンパク質または酵素を「コードする」配列は、発現された場合、それのポリペプチド、タンパク質または酵素の産生を生じるヌクレオチド配列である、すなわち、ヌクレオチド配列は、ポリペプチド、タンパク質または酵素についてのアミノ酸配列をコードする。好ましくは、コーディング配列は、適切な調節配列の制御下で起こったときに、インビトロまたはインビボで、細胞中でポリペプチドに翻訳されるRNA配列である。コーディング配列の境界は、5’末端に近い出発コドンおよび下流翻訳停止コドンによって決定される。コーディング配列は、それに限定されないが、原核生物の配列、真核生物のmRNAから得られるcDNA、真核生物(例えば哺乳類)DNAから得られるゲノムDNA配列、および合成DNA配列さえが挙げられる。コーディング配列が、真核生物の細胞での発現について意図される場合、ポリアデニル化シグナルおよび転写末端配列は、通常、コーディング配列に対して3’に配置される。
【0042】
転写および翻訳制御配列は、宿主細胞におけるコーディング配列の発現を供与する、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター等のようなDNA調節配列である。真核生物の細胞では、ポリアデニル化シグナルは、制御配列である。「発現制御配列」は、プロモーターおよびエンハンサーのような転写の開始に関与する転写制御配列である。
【0043】
「プロモーター配列」は、細胞中でのRNAポリメラーゼを結合し、下流(3’方向)コーディング配列の転写を開始させる能力のあるDNA調節領域である。本発明を定義する目的のために、プロモーター配列は、転写開始部位によってそれの3’末端で結合され、下流(5’方向)に伸びて、バックグランドより上の検出可能なレベルで、転写を開始するのに必要な最小数の塩基または要素を含む。上に記述されるとおり、プロモーターDNAは、コーディングDNAの発現を開始、調節、またはそうでなければ指向または制御するDNA配列である。
【0044】
ここで使用される場合、ポリヌクレオチドの増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、DNA配列の混合物内の特定のDNA配列の濃度を増加させることを示す。PCRの説明のために、Saikiら、Science 1988年、239巻:487頁を参照。
【0045】
用語「発現する」および「発現」は、遺伝子またはDNA配列にある情報を、明白にさせることを可能にするか、または引き起すこと、例えば、対応の遺伝子またはDNA配列の転写および翻訳に関与した細胞機能を活性化することによってタンパク質を産生することを意味する。DNA配列は、細胞中で、または細胞により発現されて、タンパク質のような「発現産物」を形成する。発現産物、それ自身、例えば得られたタンパク質も、細胞により「発現される」とされうる。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、例えば、それが、外来または生来のプロモーターの制御下での外来宿主細胞中で、または外来プロモーターの制御下での生来の宿主細胞中で、発現または産生されるとき、組換えで発現される。
【0046】
用語「トランスフェクション」は、細胞中への外来核酸の導入を意味する。用語「トランスフォメーション」は、宿主細胞への「外来」(すなわち、固有のまたは細胞外の)遺伝子、DNAまたはRNA配列の導入を意味し、その結果、宿主細胞は、導入遺伝子または配列を発現して、所望の物質を、特に導入された遺伝子または配列によってコードされるタンパク質または酵素を産生する。「クローン化」または「外来」遺伝子または配列とも称されうる導入された遺伝子または配列は、細胞の遺伝子機構により使用される開始、停止、プロモーター、シグナル、分泌または他の配列のような調節または制御配列を包含しうる。遺伝子または配列は、非機能性配列または既知機能なしの配列を含みうる。導入されたDNAまたはRNAを授与し、発現する宿主細胞が、「形質転換」されて、「形質転換体」または「クローン」である。宿主細胞に導入されるDNAまたはRNAは、あらゆる起源からくる可能性があり、それは、宿主細胞と同じ属または種、または異なる属または種の細胞を含む。
【0047】
用語「ベクター」、および「発現ベクター」は、DNAまたはRNA配列(例えば、外来遺伝子)が、宿主を形質転換し、導入配列のポリペプチドの発現(例えば、転写および翻訳)を促進することにより、宿主細胞に導入されうる輸送媒体を意味する。
【0048】
ベクターは、特に、外来DNAが挿入される伝播性剤のDNAを包含する。DNAの1つのセグメントを、DNAの別のセグメントに挿入する一般的方法は、制限部位と称される特異的部位(ヌクレオチドの特異的基)でDNAを切断する制限酵素と称される酵素の使用を包含する。一般に、外来DNAは、ベクターDNAの1つ以上の制限部位に挿入され、その後、ベクターにより、伝播性ベクターDNAと一緒に、宿主細胞に運ばれる。発現ベクターのような挿入または添加DNAを有するDNAのセグメントまたは配列は、「DNA構築物」とも称されうる。
【0049】
一般型のベクターは、一般に、二本鎖DNAの自己含有分子である「プラスミド」である。プラスミドは、追加の(外来)DNAを十分に許容でき、それは、十分に、適切な宿主細胞に導入されうる。プラスミドベクターは、しばしば、コーディングDNAおよびプロモーターDNAを含み、外来DNAを挿入するのに適切な1つ以上の制限部位を有する。プロモーターDNAおよびコーディングDNAは、同じ遺伝子から、または異なる遺伝子から得られてよく、同じまたは異なる生物から得られてもよい。プラスミドおよび真菌性ベクターを含めた多数のベクターは、多様な真核生物および原核生物の宿主で複製および/または発現について評価された。制限なしの例としては、pKKプラスミド(クロンテック(Clontech))、pUCプラスミド、pETプラスミド(ノバゲン,インク.(Novagen,Inc.)、ウイスコンシン州マディソン(Madison,WI))、pRSETまたはpREPプラスミド(インビトロゲン(Invitrogen)、カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego,CA))、またはpMALプラスミド(ニューイングランド・バイオラボズ(New England Biolabs)、マサチューセッツ州ビバレイ(Beverly,MA))、および開示されるか、またはここに引用されるか、またはそうでなければ関連技術の当業者に知られる方法を使用した多くの適切な宿主細胞が挙げられる。組換え体クローニングベクターは、しばしば、クローニングまたは発現のための1つ以上の複製系、宿主における選択のための1つ以上のマーカー、例えば、抗体耐性、および1つ以上の発現カセットを含む。バイオテクノロジーでの日常的な実験は、どのクローニングベクターが、本発明で使用されるのに最も適しているかを決定するために使用されうる。一般に、クローニングベクターの選択は、使用されるべきポリヌクレオチド配列および宿主細胞のサイズによる。
【0050】
「ポリペプチド」は、「ペプチド結合」と称される化学的結合によって一緒に連結されるアミノ酸と称される化学的構築ブロックの鎖である。用語「タンパク質」は、遺伝子により、または直接的に、または間接的にのいずれかでその遺伝子から転写される核酸分子(例えば、mRNAまたはcDNA)によりコードされるアミノ酸残基を含有するポリペプチドに該当する。都合により、タンパク質は、遺伝子により、またはmRNAによりコードされる特定のアミノ酸残基を欠く可能性がある。酵素を含めたタンパク質またはポリペプチドは、「生来」または「野生型」であってよく、それが、自然に生じることを意味するか、またはそれは、「突然変異体」、「変異体」または「修飾体」であってよく、それが、作成、改変、誘導されたか、またはある場合には、生来のタンパク質と、または別の突然変異体と異なるか、または変えられていることを意味する。
【0051】
「突然変異」は、突然変異体タンパク質、酵素、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、遺伝子または細胞を生じるあらゆるプロセスまたは機構を意味する。これは、タンパク質、酵素、ポリヌクレオチド、または遺伝子配列が改変されるあらゆる突然変異、およびこのような突然変異から生じる細胞におけるあらゆる検出可能な変化を含む。改変タンパク質、酵素、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、「突然変異体」であり、「変異体」とも呼ばれる。特に、突然変異は、単独または複数のヌクレオチド残基の点突然変異(置換)、欠失、または挿入により、ポリヌクレオチドまたは遺伝子配列で起こる。突然変異は、遺伝子のタンパク質コード化領域内で生じるポリヌクレオチド改変、並びにそれに限定されないが、調節またはプロモーター配列のようなタンパク質コード化配列の外側の領域における改変を包含する。遺伝子における突然変異は、「サイレント」でありうる、すなわち、発現によるアミノ酸改変に影響されず、遺伝子の「配列保存的」変異体にいたる。これは、一般に、1つのアミノ酸が、1つより多くのコドンに対応するときに生じる。表1は、アミノ酸が、どのコドンに対応することを概説する。
【0052】
したがって、遺伝子コードの縮重により、ここに記述されるE6/E7融合ポリペプチドの突然変異アミノ酸残基をコードするあらゆる3ヌクレオチドコドンは、本発明の範囲内にある。
【0053】
用語「突然変異体」および「変異体」は、修飾または改変遺伝子、DNAまたはRNA配列、酵素、細胞など、すなわち、あらゆる種類の突然変異体を示すためにも使用されうる。このような変化は、プロモーター、リボソーム結合部位などにおける変化をも包含する。
【0054】
用語「変異体アミノ酸配列」は、免疫原性を減らさない修飾により、特に例示されるE6およびE7融合ポリペプチドと異なる可能性がある他の適切なE6およびE7融合ポリペプチドに該当する。このような変化を作る上で、アミノ酸のハイドロパシーの指数が考慮されうる。ポリペプチドにおける相互作用性生物学的機能を付与する上でのハイドロパシーのアミノ酸指数の重要さは、一般に、当業界で理解されている(KyteおよびDoolittle、1982年)。所定のアミノ酸が、同様のハイドロパシーの指数またはスコアを示す他のアミノ酸に置換され得て、なお、同様の生物学的活性を示すポリペプチドを生じることが知られている。各アミノ酸は、それの疎水性および荷電特徴に基づいて、ハイドロパシーの指数が割当てられた。それらの指数は、イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);トレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタメート(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパルテート(−3.5);アスパラギン(−3.5);リシン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)である。
【0055】
アミノ酸残基の相対的ハイドロパシーの特徴が、反応体ポリペプチドの二次および三次構造を決定し、それは、次に、酵素、基質、受容体、抗体、抗原などのような他の分子を有するポリペプチドの相互作用を定義することが、分かる。アミノ酸が、類似のハイドロパシーの指数を示す別のアミノ酸によって置換され、さらに、機能的に等価なポリペプチドを得ることができることが当業界で知られている。このような変化では、それのハイドロパシーの指数が、+/−2内にあるアミノ酸の置換が、好まれる、+/−内のものは、特に好ましく、+/−0.5内のものは、特にいっそう好ましい。
【0056】
同様のアミノ酸の置換も、特に生物学的に機能の等価なポリペプチドまたはそれにより作成されたペプチドが、免疫学的実施態様で使用することが意図される、親水性に基づいて行われうる。参照してここに組み込まれる、米国特許番号第4,554,101号は、それの隣接アミノ酸の親水性により決定されるとおり、ポリペプチドの最大の局所平均親水性が、その免疫原性および抗原性に、すなわち、ポリペプチドの生物学的特性に相互に関連することを主張する。
【0057】
米国特許番号第4,554,101号で詳述されるとおり、以下の親水性値は、アミノ酸残基に割当てられた:アルギニン(+3.0);リシン(+3.0);アスパルテート(+3.0+/−1);グルタメート(+3.0+/−1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);プロリン(−0.5+/−1);トレオニン(−0.4);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−0.1);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。アミノ酸が、類似の親水性値を示す別のものに置換され、なお、生物学的に等価な、特に免疫学的に等価なポリペプチドを得ることができることが分かる。このような変化では、その親水性値が、+/−2内であるアミノ酸の置換が好ましい;+/−内のものが、特に好ましい;、+/−0.5内のものは、特にさらにいっそう好ましい。
【0058】
上に概説されるとおり、アミノ酸置換は、一般に、アミノ酸側鎖置換基の相対的類似性、例えば、それらの疎水性、親水性、荷電、サイズなどに基づく。先述の特徴のいくつかを考慮に入れる例示の置換は、当業者に周知であり、アルギニンおよびリシン;グルタメートおよびアスパルテート;セリンおよびトレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;およびバリン、ロイシンおよびイソロイシンが挙げられる。
【0059】
「機能保存的変異体」は、所定のアミノ酸残基が、全体の構造コンフォメーションを改変することなく変化され、タンパク質または酵素の機能を特定するタンパク質または酵素である。これは、限定されないが、極性または非極性特徴、サイズ、形状および荷電を含めた類似の構造または物理的特性を有するものでのアミノ酸の置換が挙げられる(例えば、表1を参照)。
【0060】
【表1】

【0061】
ここに引用される場合、「配列類似性」は、ヌクレオチドまたはタンパク質配列が関連する範囲を意味する。2つの配列の間の類似性の範囲は、配列同一性および/または保存率に基づく。保存されたものと示されるもの以外のアミノ酸は、タンパク質または酵素で異なる可能性があり、その結果、類似機能のいずれかの2つのタンパク質の間のタンパク質含有率またはアミノ酸配列類似性は、変化する可能性があり、配列比較略図によって決定されるとおり、例えば、少なくとも70%、さらに好ましくは80%、最も好ましくは少なくとも90%でありうる。
【0062】
ここで「配列同一性」は、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列が普遍である範囲を示す。
【0063】
BLAST、FASTA、DNAストライダー等のような配列比較アルゴリズムによって決定されるとおり、少なくとも約80%、最も好ましくは少なくとも約90または95%のヌクレオチドが、DNA配列の定義された長さにわたって合致する場合に、2つのDNA配列は、実質的に相同であるか、または実質的に類似である。そのような配列の例は、本発明の特定の遺伝子の対立遺伝子または種変異体である。実質的に相同である配列は、配列データバンクで、または例えば、その特定の系について定義されるとおりの緊縮条件下でサザンハイブリダイゼーション実験で利用可能な標準ソフトウエアを使用して配列を比較することによって同定されうる。
【0064】
同様に、2つのアミノ酸配列は、アミノ酸の80%より多くが、同一であるか、または約90%より多くが、類似であるときに、実質的に相同であるか、または実質的に類似である。好ましくは、類似または相同の配列は、配列アラインメントによって同定される。
【0065】
ポリヌクレオチド配列の「配列保存性変異体」は、所定のコドン内の1つ以上のヌクレオチドの変化が、そのコドンによりコードされるアミノ酸で改変を生じないものである。
【0066】
「配列アラインメント」は、例えば、配列類似性の程度を評価する目的のために、2つまたはそれより多くの配列を結束させて、最大レベルの配列同一性(、アミノ酸配列の場合には、保存)を達成するプロセスを意味する。配列を配列比較し、類似性および/または同一性を評価する膨大な方法が、例えば、類似性がMEGALIGNアルゴリズム、並びにBLASTN、BLASTP、およびFASTA(LipmanおよびPearson、1985年;PearsonおよびLipman、1988年)に基づくクラスター法のように当業界で知られている。これらのプログラムの全てを使用するときに、好ましい設定は、最高の配列類似性を生じるものである。
【0067】
用語「異種」は、天然に生じない要素の組合せに該当する。例えば、異種DNAは、細胞中に、または細胞の染色体部位に自然に配置されないDNAに該当する。好ましくは、異種DNAは、細胞に外来の遺伝子を包含する。異種発現調節要素は、一方が、自然に操作可能に連結される異なる遺伝子と操作可能に連結した調節要素である。
【0068】
E6およびE7融合ポリペプチドの主要配列を正常に改変しない修飾としては、ポリペプチドのインビボまたはインビトロ化学的誘導、例えば、アセチル化、メチル化またはカルボキシル化が挙げられる。さらに本発明の変異体ポリペプチドとして含まれるものは、グリコシル化によって修飾されるこれらのポリペプチド、例えば、その合成および加工の間に、または別の加工段階でポリペプチドグリコシル化パターンを修飾することによって;または哺乳類グリコシル化または脱グリコシル化酵素のようなグリコシル化に影響を及ぼす酵素に、ポリペプチドをさらすことによって、作成されるものである。さらに、変異体ポリペプチドとして利用されるのは、リン酸化アミノ酸残基、例えばホスホチロシン、ホスホセリンまたはホスホトレオニンを有する上に同定された突然変異誘発配列である。
【0069】
用語「宿主細胞」は、細胞により物質を生産する、例えば遺伝子、DNAまたはRNA配列、タンパク質または酵素の細胞による発現のために、あらゆる方法で、選択、修飾、形質転換、育成または使用あるいは操作されるあらゆる生物のあらゆる細胞を意味する。
【0070】
ここで使用される場合、用語「単離された」は、参照材料が、それが正常に見出される環境から除去されることを意味する。したがって、単離された生物学的材料は、細胞の成分、すなわち、材料が見出されるか、または産生される細胞の成分を含まない可能性がある。核酸分子の場合には、単離核酸は、PCR産物、単離mRNA、cDNA、または制限フラグメントを包含する。別の実施態様では、単離された核酸は、好ましくは、それが見いだされうる染色体から排除され、さらに好ましくは、非調節、非コーディング領域に、あるいは染色体中で見出されたときに、単離核酸分子によって含まれる遺伝子の上流または下流に配置される他の遺伝子に接続されない。さらに別の実施態様では、単離核酸は、1つ以上のイントロンを欠く。単離核酸分子としては、プラスミド、コスミド、人工染色体などに挿入される配列が挙げられる。したがって、特定の実施態様では、組換え体核酸は、単離核酸である。単離されたタンパク質は、他のタンパク質または核酸、または両方と結合される可能性があり、それと、細胞中で結合するか、またはそれが膜結合タンパク質である場合、細胞膜と結合する。単離されたオルガネラ、細胞または組織は、それが生物で見出される解剖上の部位から除去される。単離された材料は、必要はないが、精製されてもよい。
【0071】
ここで使用される場合、用語「精製された」は、未関連材料、すなわち、その材料が得られる生来の材料を含めた混入物の存在を減じるか、または排除する条件下で、単離された材料に該当する。例えば、精製タンパク質は、それが細胞内で結合される他のタンパク質または核酸を実質的に含まないことが好ましい。精製核酸分子は、好ましくは、それが細胞内に見出されるタンパク質または他の未関連核酸分子を実質的に含まない。ここに使用される場合、用語「実質的に含まない」は、材料の分析的試験という状況で、操作可能に使用される。好ましくは、混入物を実質的に含まない精製材料は、少なくとも50%純度である;さらに好ましくは、少なくとも90%純度、さらに好ましくは、なお少なくとも99%純度である。純度は、クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、免疫アッセイ、組成分析、生物学的アッセイ、および当業界で知られる他の方法によって評価されうる。
【0072】
精製の方法は、当業界で周知である。例えば、核酸は、沈殿、クロマトグラフィー(分取固相クロマトグラフィー、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、および三重螺旋クロマトグラフィーを含めた)、超遠心分離、および他の手段によって精製されうる。限定なしに、分取ディスク−ゲル電気泳動、等電点電気泳動、HPLC、逆相HPLC、ゲル濾過、イオン交換および分配クロマトグラフィー、沈殿および塩析クロマトグラフィー、抽出、および向流分配を含めた種々の方法によって、ポリペプチドおよびタンパク質を精製しうる。ある種の目的のために、タンパク質が、それに限定されないが、ポリヒスチジン配列、またはFLAGおよびGSTのような、抗体に特異的に結合する配列のような、精製を促進する別の配列タグを含有する組換え体系でポリペプチドを産生することが好ましい。その後、適切な固相マトリックスでのクロマトグラフィーによって、宿主細胞の粗溶解物からポリペプチドを精製しうる。代わりに、タンパク質に対して、またはそこから誘導されるペプチドに対して産生される抗体は、精製試薬として使用されうる。遠心分離、マトリックス分離(例えば、ナイロンウール分離)、パニングおよび他の免疫選択技術、消耗(例えば、混入細胞の補体消耗)、および細胞分級(例えば、蛍光活性化細胞分級[FACS])を含めた種々の技術によって、細胞を精製しうる。他の精製方法が可能である。精製材料は、それが、最初に結合された約50%未満、好ましくは約75%未満、最も好ましくは約90%未満の細胞成分を含有しうる。「実質的に純粋な」は、当業界で知られる従来の精製技術を使用して達成されうる最高の程度の純度を示す。
【0073】
ポリヌクレオチドは、1つのポリヌクレオチドの内の少なくとも1つの鎖が、定義された緊縮条件下で別のポリヌクレオチドに連結しうるときに、互いに「ハイブリッド形成可能」である。ハイブリダイゼーションの緊縮は、例えば、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄が行われる温度、およびb)ハイブリダイゼーションおよび洗浄溶液のイオン強度および極性(例えば、ホルムアミド)、並びに他のパラメーターによって決定される。ハイブリダイゼーションは、2つのポリヌクレオチドが、実質的に相補な配列を含有することを要求する;しかし、ハイブリダイゼーションの緊縮により、ミスマッチは、容認されうる。特に、高緊縮(例えば、65℃での0.5×SSCの水溶液中でのような)での2つの配列のハイブリダイゼーションは、その配列が、それらの全体の配列にわたって、ある程度高い程度の相補性を示すことを要求する。中程度の緊縮(例えば、65℃での2×SSCの水溶液のような)および低い緊縮(例えば、55℃での2×SSCの水溶液のような)の条件は、ハイブリッド形成配列の間に対応して低い全体の相補性を要求する。(1×SSCは、0.15M NaCl、0.05M クエン酸Naである。)ここでポリヌクレオチドに「ハイブリッド形成する」ポリヌクレオチドは、あらゆる長さのものでありうる。1つの実施態様では、このようなポリヌクレオチドは、少なくとも10、好ましくは少なくとも15、最も好ましくは少なくとも20ヌクレオチド長である。別の実施態様では、ハイブリッド形成するポリヌクレオチドは、およそ同じ長さのものである。別の実施態様では、ハイブリッド形成するポリヌクレオチドとしては、適切な緊縮条件下で連結し、p53(E6の場合には)を結合するか、またはRb(E7の場合には)を結合する能力のような、同じ機能を有するポリペプチドまたは酵素をコードするものが挙げられる。
【0074】
形質転換および発現、宿主生物、ベクター、発現系などの使用を含めて、ここに検討される全般的な遺伝子操作ツールおよび技術は、当業界で周知である。
【0075】
ここに使用される場合、用語「約」または「およそ」は、所定の値の50%以内、好ましくは20%以内、さらに好ましくは10%以内、さらにいっそう好ましくは5%以内、最も好ましくは所定の値の1%以内を意味する。代わりに、用語「約」または「およそ」は、値が、その型の値について科学的に許容しうる誤差範囲内に入り得て、それが、どのくらいの質で、測定値が利用可能なツールに付与されうるかによることを意味する。「約」または「およそ」は、単独の値よりむしろ中間値の辺りの分布を定義しうる。
【0076】
本発明の免疫原性および医薬組成物
本発明は、ヒトパピローマウイルスE6およびE7の融合ポリペプチドおよびポリヌクレオチドを包含する免疫原性および医薬組成物を提供する。これらの組成物は、子宮頸癌のようなパピローマウイルスで誘導される癌、およびCINのような子宮頸部病巣を治療および/または予防するために使用されうる。これらの組成物は、肛門癌のような下部胃腸管癌、および陰茎および外陰部癌のような生殖系の他の癌を治療するためにも使用されうる。
【0077】
別の実施態様では、本発明は、複数のパピローマウイルスのポリペプチドの融合物およびポリヌクレオチドの融合物を包含する免疫原性および医薬組成物を提供する。例えば、本発明は、HPV16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59および68のようなHPVファミリーの複数の構成要素から得られるE6およびE7タンパク質の融合物を包含する免疫原性および医薬組成物を提供する。HPV E6ポリペプチドの例は、図2A−Eに示され、HPV18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59および68から得られるE6のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号15−26で示される。これらのHPV E6ポリペプチドをコードするヌクレオチドは、それぞれ、配列番号42−53で示される。HPV E7ポリペプチドの例は、図3A−Cで示され、HPV18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59および68から得られるE7のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号27−38で示される。これらのHPV E7ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号54−65で示される。これらの融合物は、ここで記述されるHPV16で突然変異された残基に対応するアラインメント(配列比較)、または免疫反応を誘発するそれの能力に干渉することなく、タンパク質の癌遺伝子特徴に干渉するE6およびE7共通配列(それぞれ、配列番号39および40)で示されるとおりの保存配列に対応するものによって同定される残基に突然変異を含む。本発明の1つの実施態様では、免疫原性および医薬組成物は、パピローマウイルスファミリーの様々の構成要素から得られるE6およびE7ポリペプチドを包含する1つの融合物を包含する。例えば、融合物は、単独の構築物中で、HPV16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59および68から得られるE6およびE7のあらゆる可能な組合せを包含しうる。
【0078】
1つの融合物中に存在するE6/E7ポリペプチドの数は、これらの組成物が送出される送出機構またはベクターのサイズ制限によってのみ限定される。例えば、構造上の制限により制約を加えられるウイルスは、特定量の核酸を包含することのみができる。当業者らは、核酸を包含する様々のウイルスの適応力を認識し、それが、パッケージングのために適切なサイズのものである核酸について通常にスクリーニングすることを認識する。
【0079】
代わりに、本発明の免疫原性および医薬組成物は、E6/E7の複数で異なる融合物を包含しうる。例えば、免疫原性または医薬組成物は、複数のウイルス粒子を包含でき、各々は、様々のパピローマウイルスから得られるE6およびE7配列の様々の融合物を含有する。
【0080】
複数のパピローマウイルスのE6/E7の融合物を包含する免疫原性および医薬組成物は、それらが、複数のE6およびE7タンパク質に対して免疫反応を発生し、したがって、癌および新生物が、これらのウイルスの各々によって引き起されることを防止するので、特に有益である。例えば、HPV16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59および68の各々は、子宮頸癌および/または上皮内新生物と関連した(Harrison’s Principles of Internal Medicine 15版、2001年、1119頁;Braunwaldら編、McGraw−Hill)。したがって、例えば、HPV16および18E6およびE7ポリペプチドの融合物は、2つの異なる病因の癌の予防および治療を提供する。複数で異なるウイルスから得られるE6およびE7ポリペプチドを包含する組成物は、子宮頸癌のような広範なパピローマウイルス誘導癌、CINのような子宮頸病巣、肛門癌のような下部胃腸管癌、および陰茎および外陰部癌のような生殖系の他の癌を治療および/または予防するのに特に強力な手段である。
【0081】
当業者は、免疫原性組成物の安全性を決定する方法を認識する。例えば、E6/E7融合物が、トランスフォーミングおよび不死化適応力を減少または廃棄したかどうかを決定する典型的な方法としては、例えばウエスタンブロット、軟質寒天アッセイによってp53および/またはRbレベルを測定すること、一次ケラチノサイトまたは乳房上皮細胞を形質移入させ、老化の損失を同定すること、細胞を形質移入させ、細胞形態学における変化を同定することが挙げられる。これらの機能性アッセイに加えて、生化学的アッセイが使用されうる。例えば、p53、E6TP−1、テロメラーゼおよびRbのような細胞タンパク質に対するE6およびE7の結合を測定しうる。
【0082】
p53およびRbのレベルを評価することは、E6/E7融合物を包含するVEEのような組換え体ウイルス粒子の安全性を決定する1つの方法である。一次ヒトMECでのp53およびRbの安定な状態のレベルは、融合物または個別タンパク質、E7E6TetM融合タンパク質として、VRP−発現野生型HPV16E6およびE7を、または負の対照としてGFPを用いた感染に続いて評価した。MECのVRP感染は、それぞれ、野生型のE6およびE7を含有する培養物中のp53およびRbのレベルを全体的に減じることを示した;簡潔に、E6にE7を融合させることは、いずれのタンパク質の活性を損なうのに十分ではなかった(図8AおよびB)。対照的に、E6(63Cおよび106C)およびE7(24Cおよび26E)突然変異を含有するE7E6TetM VRPに感染されたMECは、正常なレベルのp53およびRb(図8AおよびB)を含み、これらの4つの突然変異が、これらのタンパク質の一次癌遺伝子活性を消滅させたことを示す。
【0083】
生成した腫瘍の根絶は、腫瘍特異的ウイルス抗原E6およびE7に対する強力なT細胞で指向される免疫反応の導入を要求するので、ベネズエラウマ脳脊髄炎(VEE)レプリコンが、免疫原性組成物ベクターとして選択された。しかし、あらゆる遺伝子またはタンパク質送出方法は、本発明の免疫原性組成物を送出およびパッケージングするために使用されうる。例えば、当業者に知られる他のウイルス性ベクターを使用できるか、または突然変異体融合ポリペプチドをコードするヌクレオチドが、プラスミドによって直接的に送出されうる。
【0084】
VEEが構成要素である組換え体AVベクターは、それらが、裸のRNA、裸のプラスミドDNAまたは粒子として始められうるので、特に多用途であり、後者は、免疫原性組成物で使用するための最も有効な配合物である。他のAVレプリコンと対照的にVRPの特性を区別するものは、樹状突起細胞についてのそれらの屈性である(MacDonald,G.H.ら、J Virol 2000年、74巻:914−922頁)。VRPに標的される樹状突起細胞は、リンパ節に抗原を輸送するための非常に有効な輸送媒体であり得て、有効な用量節約攻略法でありうる。
【0085】
本発明の免疫原性組成物、特に核酸は、レンチウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、アルファウイルスおよび所望の細胞屈性を有する他の組換え体ウイルスのようなウイルス性ベクターを介して送出されうる。例えば、シンドビスウイルスベクター、セムリキフォーレストウイルス(ATCC VR67;ATCC VR1247)、ローズリバーウイルス(ATCC VR373;ATCC VR1246)およびベネズエラウマ脳脊髄炎ウイルス(ATCC VR923;ATCC VR1250;ATCC VR1249;ATCC VR532)を含めた多様なアルファウイルスは、ウイルス性ベクターとして使用されうる。このようなベクター系の代表的例は、米国特許番号第5,091,309号;第5,217,879号;および第5,185,440号;および国際特許公開公報第92/10578号;第94/21792号;第95/27069号;第95/27044号;および第95/07994号で記述されるものが挙げられる。細胞の特定の領域に標的を当てること、例えば、融合ポリペプチドは、米国特許第6,228,621号に記述されるとおり細胞膜に配置されるように標的とすることも提供される。
【0086】
したがって、E6/E7ポリペプチド融合物をコードする遺伝子は、ウイルスベクターを使用して、またはDNAまたはレプリコンRNAのような核酸の直接導入を通して、インビボ、エクソビボ、またはインビトロで導入されうる。標的組織での発現は、ウイルス性ベクターまたは受容体リガンドを用いるか、または組織特異的プロモーターを使用することによるか、またはその両方でのように、特定の細胞に対して組換え体ベクターを標的にすることによって行われうる。標的遺伝子送出は、国際特許公開公報第95/28494号に記述される。
【0087】
インビボまたはエキソビボ標的化および治療手段として一般に使用されるウイルス性ベクターは、DNA基材ベクターおよびレトロウイルス性ベクターである。ウイルス性ベクターを構築および使用するための方法は、当業界で知られている(例えば、MillerおよびRosman、Bio Techniques 1992年、7巻;980−990頁を参照)。好ましくは、ウイルス性ベクターは、複製能欠損である、すなわち、それらは、標的細胞中で自主的に複製を行うことができない。一般に、本発明の範囲内で使用される複製能欠損ウイルス性ベクターのゲノムは、感染細胞でのウイルスの複製に必要である少なくとも1つの領域を欠く。これらの領域は、当業者に知られるあらゆる技術によって、排除されるか(全体に、あるいは部分的に)、または機能をなくさせるかのいずれかでありうる。これらの技術としては、総欠失、置換(他の配列により、特に挿入核酸により)、部分的欠失または必須(複製にとって)領域(フレーム移行を引き起すように)への1つ以上の塩基の添加が挙げられる。このような技術は、遺伝子操作の技術を使用するか、または突然変異誘発剤を用いた処理により、インビトロ(単離DNAでの)またはインサイチューで行われうる。好ましくは、複製能欠損ウイルスは、ウイルス粒子を封入するために必須であるそれのゲノムの配列を保持する。
【0088】
ウイルス性ベクターとしては、それに限定されないが、単純ヘルペスウイルス(HSV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)、VEEなどのような弱毒化または欠損DNAまたはRNAウイルスが挙げられる。ウイルス遺伝子を全体的に、またはほとんど全体的に欠く欠損ウイルスが好ましい。欠損ウイルスは、細胞への導入の後、子孫を発生しない。欠損ウイルス性ベクターの使用は、ウイルス性ベクターが、拡散し、他の細胞に感染するという懸念なしに、特異的で、局在化された領域にある細胞への投与に対処する。したがって、特定の組織は、特異的に標的にされうる。特定のベクターの例としては、それに限定されないが、Pushkoら(Virology 1997年、239巻:389−401頁)によって記述されるとおりの複製能欠損VEE系、およびStratford−Perricaudetら(J.Clin.Invest. 1992年、90巻:626−630頁;La Salleら、Science 1993年、259巻:988−990頁も参照)によって記述されるベクターのような弱毒化アデノウイルスベクター、および欠損アデノ関連ウイルスベクター(Samulskiら、J.Virol. 1987年、61巻:3096−3101頁;Samulskiら、J.Virol. 1989年、63巻:3822−3828頁;Lebkowskiら、Mol.Cell.Biol. 1988年、8巻:3988−3996頁)が挙げられる。
【0089】
多くの会社が、ウイルス性ベクターを市販で生産し、けして限定されないが、アビゲン,インク.(Avigen,Inc. )(カリフォルニア州アラメダ(Alameda,CA);AAVベクター)、セル・ジェネシス(Cell Genesys)(カリフォルニア州フォスター・シティー(Foster City,CA);レトロウイルス性、アデノウイルス性AAVベクター、およびレンチウイルスベクター)、クロンテック(Clontech)(レトロウイルス性およびバキュロウイルス性ベクター)、ゲノボ,インク.(Genovo,Inc.)(ペンシルベニア州シャロン・ヒル(Sharon Hill,PA);アデノウイルスおよびAAVベクター)、ジェンベック(Genvec)(アデノウイルス性ベクター)、イントロジーン(IntroGene)(オランダ国ライデン(Leiden,Netherlands);アデノウイルス性ベクター)、モレキュラー・メディシン(Molecular Medicine)(レトロウイルス性、アデノウイルス性およびAAVベクター)、ノルゲン(Norgen)(アデノウイルス性ベクター)、オックスフォード・バイオメディカ(Oxford BioMedica)(英国オックスフォード(Oxford,United Kingdom);レンチウイルス性ベクター)、トランスジーン(Transgene)(フランス国ストラスバーグ(Strasbourg,France);アデノウイルス性、ワクシニア、レトロウイルス性およびレンチウイルス性ベクター)、アルファ・バックス(AlphaVax)(VEEベクターのようなアルファウイルス性ベクター)およびインビトロゲン(Invitrogen)(カリフォルニア州カールスバッド(Carlsbad,California))が挙げられる。
【0090】
別の実施態様では、ベクターは、裸のDNAとしてリポフェクションによって、または他の形質移入促進剤(ペプチド、ポリマー、ブピバカイン等)を用いてインビボで導入されうる。合成陽イオン性脂質は、マーカーをコードする遺伝子のインビボ形質移入のためのリポソームを製造するために使用されうる(Felgnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 1987年、84巻:7413−7417頁;FelgnerおよびRingold、Science 1989年、337巻:387−388頁;Mackeyら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 1988年、85巻:8027−8031頁;Ulmerら、Science 1993年、259巻:1745−1748頁)。核酸の移行のための有用な脂質化合物および組成物は、国際特許公開公報第95/18863号および第96/17823号で、および米国特許番号第5,459,127号で記述される。脂質は、標的にする目的のために他の分子に化学的に結合されうる(Mackeyら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 1988年、85巻:8027−8031頁を参照)。標的にされたペプチド、例えば、ホルモンまたは神経伝達物質、および抗体のようなタンパク質、または非ペプチド分子は、リポソームと化学的に結合されうる。陽イオン性オリゴペプチド(例えば、国際特許公開公報第95/21931号)、DNA結合タンパク質から由来するペプチド(例えば、国際特許公開公報第96/25508号)、または陽イオン性ポリマー(例えば、国際特許公開公報第95/21931号)のような他の分子も、インビボでの核酸の形質移入を促進するのに有用である。
【0091】
裸のDNAプラスミドとしてインビボでベクターを導入することも可能である。遺伝子療法のための裸のDNAベクターは、当業界で知られる方法、例えば、電気穿孔法、マイクロ注入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈降法、遺伝子銃の使用(例えば、ヘリオスの遺伝子銃システム(バイオーラッド(Bio-Rad);カリフォルニア州ヘラクルス(Hercules,CA)は、上皮遺伝子送出のために使用されうる)、またはDNAベクター輸送媒体の使用(例えば、Wuら、J.Biol.Chem. 1992年、267巻:963−967頁;WuおよびWu、J.Biol.Chem. 1988年、263巻:14621−14624頁;Hartmutら、1990年3月15日に提出されたカナダ国特許出願番号第2,012,311号;Williamsら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 1991年、88巻:2726−2730頁)によって、所望の宿主細胞に導入されうる。受容体指向性DNA送出アプローチも、使用されうる(Curielら、Hum.GeneTher. 1992年、3巻:147−154頁;WuおよびWu、J.Biol.Chem. 1987年、262巻:4429−4432頁)。米国特許番号第5,580,859号および第5,589,466号は、哺乳類における形質移入促進剤を含まない外因性DNA配列の送出を開示する。代わりに、DNAは、ブピビカインおよび他の局所麻酔のような免疫化を促進する形質移入促進剤と組成物で配合される(米国特許番号第6,127,170号)。最近、エレクトロトランスファーと称される、比較的低い電圧の高効率インビボDNA移行技術が、記述された(Mirら、C.P.Acad.Sci. 1998年、321巻:893頁;国際公開公報第99/01157号;国際公開公報第99/01158号;国際公開公報第99/01175号)。
【0092】
ここで使用される場合、用語「免疫原性組成物」は、享受者における免疫原性反応を顕在化させるために投与されうるあらゆる組成物に広く該当する。免疫原性組成物は、一般に、免疫学的に有効な用量の免疫原(例えば、感染性病原体の抗原)および医薬上許容しうる担体、都合によりアジュバントを包含する。医薬上許容しうる担体は、滅菌水または滅菌等張性生理食塩水、並びにヒトへの投与に融和性である、あらゆる、全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗生物質および抗真菌剤、等張性および吸着遅延剤等でありうる。適切な担体は、当業者に明らかであり、大部分、投与の経路による。
【0093】
免疫原性組成物は、例えば、吸入または吸入剤(口または鼻のいずれかを通して)により、または経口、頬、膣、直腸または非経口投与(例えば、皮下、皮内、筋肉内、眼窩内、包内、脊椎内、胸骨内、腹腔内、または静脈内注射等により)により、生物に投与されうる。免疫原性組成物は、粒子指向性移行(例えば、「粒子銃」を使用して)によっても投与されうる。例えば、Gainerら、J.Neurooncol 2000年、47巻:23−30頁;Koideら、Jpn J.Pharmacol 2000年、83巻:167−174頁;Kuriyamaら、Gene Ther. 2000年、7巻:1132−1136頁;およびYamauchiら、J.Exp.Zool. 2000年、287巻:285−293頁を参照。このような粒子移行法は、例えば、「遺伝子銃」を使用して、DNAまたはベクター免疫原性組成物にとって特に好ましい。投与の適切な経路は、使用される免疫原性組成物の特性、患者の年齢、体重、性別および全般的健康および免疫原性組成物に存在する抗原の評価、および参加する医師による類似の因子により選択される。
【0094】
免疫原性組成物は、例えば、感染性疾患を引き起す弱毒化または死滅感染性病原体(例えば、細菌またはウイルスのような微生物、寄生虫または他の病原体など)の懸濁物を包含する。代わりに、本発明の免疫原性組成物は、ポリペプチド免疫原性組成物またはDNA免疫原性組成物でありうる。用語「ポリペプチド免疫原性組成物」は、免疫原性ポリペプチド、例えば抗原でありうる感染性病原体から由来するポリペプチドを包含する免疫原性組成物に該当し、したがって、生物における免疫反応を活性化する。用語「DNA免疫原性組成物」は、組換え体ベクターの手段により送出される免疫原性組成物に該当するとしてここに使用される。ここに使用される代替用語は、「ベクター免疫原性組成物」(ある種の強力なベクター、例えばアルファウイルスは、RNAウイルスであるので、ある種の例では、DNAの代わりに非ウイルス性RNAが、細胞に送出されうるので)である。
【0095】
用語「免疫学上有効な用量」は、所望の活性を生じるのに十分である化合物または組成物の量に該当する。したがって、免疫原性組成物を記述するために使用される場合、免疫学上有効な用量は、有効な免疫反応を生じるのに十分である化合物または組成物(例えば、抗原)の量に該当する。一般に、本発明の免疫原性組成物にとって適切な免疫学上有効な量または投与量の選択も、使用される特定の免疫原性組成物、並びに最も特別には、免疫化された対象の全般的健康および体重を含めた対象の身体的条件に基づく。有効な用量のこのような選択および上方および下方調節は、当業界の技術の範囲内にある。明らかな有害な副作用なしに免疫反応を誘発するために要求される有効成分の量は、使用される組成物によって変化する。
【0096】
組換え体、好ましくは本発明の突然変異体E6/E7融合ポリペプチドをコードするDNAを含有する複製能欠損のウイルスについては、免疫学上有効な量は、対象の所望の細胞を形質移入するために投与の経路で有効であり、所望の効果を供するために選択遺伝子の十分なレベルの発現を供する組換え体ウイルスの量である。免疫性のレベルは、なにかあれば、刺激剤についての必要性を決定するために監視されうる。
【0097】
用語「アジュバント」は、抗原に対する免疫反応を増強する化合物または混合物に該当する。アジュバントは、例えば、抗原をゆっくりと放出する組織貯蔵として、免疫反応を増強するリンパ様システムアクチベーターとしても役割を果たしうる(Hoodら、Immunology、2版、1984年、ベンジャミン/クーニングズ:カリフォルニア州メンロパーク(Menlo Park,California)、384頁を参照)。このようなアジュバントは、中でも、MPL(商標)(3−O−デアシル化モノホスホリルリピッドA;モンタナ州ハミルトン(Hamilton,MT)のコリクサ(Corixa))が挙げられ、それは、米国特許番号第4,912,094号に記載され、ここに参照して組み込まれる。アジュバントとして使用するのに適切でもある、リン酸アミノアルキルグルコサミン化合物(AGP)、またはそれの誘導体または類似体であり、それは、コリクサ(モンタナ州ハミルトン)から入手可能であり、それは、米国特許番号第6,113,918号に記載され、ここに参照して組み込まれる。1つのこのようなAGPは、529(公式にはRC529として知られる)としても知られる2−[(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]エチル2−デオキシ−4−O−ホスホノ−3−O−[(R)−3−テトラデカノイオキシテトラデカノイル]−2−[(R)−3−テトラデカノイオキシテトラデカノイルアミノ]−b−D−グルコピラノシドである。この529アジュバントは、水性形態として、または安定な乳化剤として配合される。
【0098】
他のアジュバントとしては、鉱物油および水エマルジョン、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム等のようなアルミニウム塩(アルム)、アンフィゲン、アブリジン、L121/スクアレン、D−ラクチド−ポリラクチド/グリコシド、ムラミル・ジペプチド、死滅ボルデテラ、米国特許番号第5,057,540号で記述され、参照してここに組み込まれるキルAまたはスチミュロン(Stimulon)(商標)QS−21(アンチジェニックス(Antigenics)、マサチューセッツ州フラミンガム(Framingham,MA.)のようなサポニン、およびISCOMS(免疫刺激複合体)のようなそこから発生される粒子、マイコバクテリウム・ツベキュロシス(Mycobacterium tuberculosis)、細菌性リポ多糖、CpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチド(ここに参照して組み込まれる米国特許番号第6,207,646号)、コレラ毒素(野生型または例えば、ここに参照して組み込まれる国際特許公開公報第00/18434号によるアミノ酸位置29にあるグルタミン酸が、別のアミノ酸、好ましくはヒスチジンに置換される突然変異体形態のいずれかである)、百日咳毒素(PT)、または大腸菌非耐熱性毒素(LT)のような合成ポリヌクレオチド、特にLT−K63、LT−R72、CT−S109、PT−K9/G129が挙げられる;例えば、ここに参照して組み込まれる国際特許公開公報第93/13302号および第92/19265号を参照。種々のサイトカインおよびリンホカインは、アジュバントとして使用するのに適している。1つのこのようなアジュバントは、ここに参照して組み込まれる米国特許番号第5,078,996号に記述されるとおりヌクレオチド配列を有する顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)である。GM−CSFcDNAを含有するプラスミドは、大腸菌に形質転換され、受託番号39900号で、バージニア州20110−2209、マナサス、ユニバーシティー・ブルーバード10801のアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託された。サイトカイン・インターロイキン−12(IL−12)は、ここに参照して組み込まれる米国特許番号第5,723,127号に記述される別のアジュバントである。他のサイトカインまたはリンホカインは、免疫調整活性を有することが示され、それに限定されないが、インターロイキン1−アルファ、1−ベータ、2、4、5、6、7、8、10、13、14、15、16、17および18、インターフェロン−アルファ、ベータおよびガンマ、顆粒球コロニー刺激因子、および腫瘍壊死因子アルファおよびベータが挙げられ、アジュバントとして使用するのに適している。
【0099】
他の適切なアジュバントとしては、それに限定されないが、界面活性物質(例えば、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オクタデシルアミノ酸エステル、リソレシチン、ジメチル−ジオクタデシルアンモニウムブロミド)、メトキシヘキサデシルグリセロール、およびプルロン酸ポリオール;ポリアミン、例えばピラン、デキストランスルフェート、ポリIC、カルボポール;ペプチド、例えば、ムラミルジペプチド、ジメチルグリシン、ツフツシン;油状エマルジョン;および鉱物ゲル、例えば、リン酸アルミニウム等、および免疫刺激複合体が挙げられる。免疫原は、リポソームにも組み込まれるか、または免疫原性組成物で使用するための多糖、リポ多糖および/または他のポリマーに接合されうる。
【0100】
典型的なアジュバントとしては、それに限定されないが、不完全フロイントアジュバント、界面活性物質(例えば、リソレシチン)、プルロン酸ポリオール、ポリ陰イオン、ペプチド、油状または炭化水素エマルジョンが挙げられる。典型的なアジュバントは、BCG(バシレ・カルメテ−グエリン)およびコリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)のような能力的に有用なヒトアジュバントも含む。さらに、ケモカイン、またはケモカインをコードする核酸配列のような免疫刺激性タンパク質は、免疫原性組成物に対する免疫反応を増大させるアジュバントとして提供されうる。
【0101】
語句「医薬上許容しうる」は、生理学上寛容であり、個体に投与されるときに、アレルギー性または類似の厄介な反応(例えば、胃のむかつき、眩暈等)を特に生じない分子実体および組成物に該当する。好ましくは、特に、免疫原性組成物が、ヒトに使用される場合、用語「医薬上許容しうる」は、規制当局(例えば、米国食品および医薬品局)によって承認されることを意味しうるか、または動物に使用するための一般的に認識された薬局方(例えば、米国薬局方)に列挙される。
【0102】
用語「担体」は、希釈剤、アジュバント、賦形剤、または化合物がそれで投与される伝播媒体に該当する。滅菌水または生理食塩水溶液およびデキストロースおよびグリセロール水溶液は、好ましくは、担体として、特に注射用溶液として使用される。典型的な適切な医薬上の担体は、E.W.Martinによる「レミニングトンの薬学科学」で記述される。
【0103】
化合物の毒性および治療効率は、例えば、細胞培養アッセイで、またはLD50およびED50を決定するために実験動物を使用して、標準医薬上の手段によって決定されうる。パラメーターLD50およびED50は、当業界で周知であり、それぞれ、集団の50%に致死であり、集団の50%で医薬上有効である化合物の用量に該当する。毒性と治療効果の間の用量比は、治療指数に該当し、比LD50/ED50として表されうる。大きな治療指数を示す化合物が好ましい。一方で、毒性の副作用を示す化合物が使用されうる。しかし、このような例では、他の細胞、組織または臓器への強力な損傷を最小限にし、副作用を減じるように、被った組織の側にこのような化合物を特異的に標的にする送出系を使用することが特に好ましい。
【0104】
細胞培養アッセイまたは動物研究から得られるデータは、ヒトで使用するための投与量の範囲を公式化するために使用されうる。本発明の治療法で使用される化合物の投与量は、好ましくは、ED50濃度を含むが、毒性をほとんど、またはまったく含まない(例えば、LD50濃度より下)循環濃度の範囲内にある。あらゆる用途で使用される特定の投与量は、使用される特定の投与量、利用される投与の経路、個体(例えば、患者)の症状などのような因子によって、この範囲内で変化しうる。
【0105】
非ヒト動物としては、限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモット等のような実験動物;イヌおよびネコのような家畜;ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマおよびウシのような畜産動物;および非ヒト霊長類が挙げられる。
【0106】
治療上有効な用量は、細胞培養アッセイから最初に概算され得て、IC50を含む循環濃度範囲を達成する動物モデルで処方される。化合物のIC50濃度は、徴候の半分−最大阻害を達成する濃度である(例えば、細胞培養アッセイから決定されるとおり)。特定の個体に、例えばヒト患者に使用するための適切な投与量は、その後、このような情報を使用してさらに正確に測定されうる。
【0107】
用語「治療する」は、腫瘍、すなわち癌の細胞に対する抗腫瘍反応を顕在化させることを試みることを意味する。抗腫瘍反応としては、それに限定されないが、生存の時間が増大すること、腫瘍転移の阻害、腫瘍成長の阻害、腫瘍退縮、および未修飾腫瘍細胞に対する遅延型過敏性(DTH)反応の発生が挙げられる。
【0108】
血漿中の化合物の測定値は、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)またはガスクロマトグラフィーのような技術により、患者のような個体で日常的に測定されうる。
【0109】
本発明により使用するための医薬組成物は、1つまたはより多くの生理学上許容しうる担体または賦形剤を使用した従来の手段で処方されうる。
【0110】
したがって、化合物およびそれらの生理学上許容しうる塩および溶媒和物は、上に記述された経路による投与のために処方されうる。
【0111】
経口投与のために、医薬組成物は、例えば、結合剤(例えば、予めゼラチン化されたトウモロコシ澱粉、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);フィラー(例えば、ラクトース、微小結晶性セルロースまたはリン酸水素カルシウム);滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモ澱粉またはグリコール酸ナトリウム澱粉);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)のような医薬上許容しうる賦形剤を用いた従来の手段により製造される錠剤またはカプセル剤の形態を取りうる。錠剤は、当業界で周知の方法により被覆されうる。経口投与のための液体製剤は、例えば、溶液、シロップまたは懸濁液の形態を取りうるか、またはそれらは、使用の前に水または他の適切な伝播媒体を用いた構築のための乾燥製品として与えられうる。このような液体製剤は、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素化食用脂肪);乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアゴム);非水性伝播媒体(例えば、アーモンド油、油状エステル、エチルアルコールまたは分画された植物油);および保存剤(例えば、メチルまたはプロピル−p−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)のような医薬上許容しうる添加剤を用いた従来の手段により製造されうる。製剤は、適切な場合、緩衝塩、風味、着色および甘味剤も含有しうる。
【0112】
経口投与のための製剤は、活性化合物の制御放出を付与するために適切に処方されうる。頬投与については、組成物は、従来の手段で処方される錠剤またはロゼンジの形態を取りうる。
【0113】
吸入による投与については、本発明により使用するための化合物は、適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切な気体の使用とともに加圧パックまたはネブライザーから得られるエアゾル噴霧位の形態で都合よく送出される。加圧エアゾルの場合には、投与量単位は、計量された量を送出する弁を供することによって測定されうる。吸入機または吸入装置で使用するための例えばゼラチンのカプセル剤およびカートリッジは、化合物とラクトースまたは澱粉のような適切な粉末基材との粉末混合物を含有するように処方されうる。
【0114】
化合物は、注射による、例えばボーラス注射または継続注入により非経口投与のために処方されうる。注射のための処方は、添加された保存剤と共に、単位用量形態で、例えばアンプルで、または多用量容器で付与されうる。組成物は、油状または水性伝播媒体中で懸濁液、溶液またはエマルジョンのような形態を取り得て、懸濁、安定化および/または分散剤のような処方用剤を含みうる。代わりに、活性成分は、使用前に、適切な伝播媒体、例えば滅菌発熱物質不含の水との構築のための粉末形態にありうる。
【0115】
化合物は、例えば、カカオ脂または他のグリセリドのような従来の座剤基材を含めた座剤または滞留浣腸のような直腸組成物でも処方されうる。
【0116】
先に記述される処方に加えて、化合物は、貯蔵製剤としても処方されうる。このような長期作用処方は、移植(例えば、皮下または筋肉内で)により、または筋肉内注射により投与されうる。したがって、例えば、化合物は、適切な重合性または疎水性材料(例えば許容しうる油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂と、あるいは控えめに溶解性の誘導体として、例えば控えめに溶解性の塩として処方されうる。
【0117】
所望であれば、組成物は、活性成分を含む1つ以上の単位投与量形態を含みうるパックまたは分散装置で付与されうる。パックは、例えば、ブリスターパックのような金属またはプラスチック製箔を包含しうる。パックまたは分散装置は、投与についての指示により加えられうる。
【0118】
本明細書で使用される用語は、一般に、本発明の文脈内で、各用語が使用される特定の文脈で当業界でのそれらの通常の意味を示す。所定の用語は、本発明の組成物および方法、およびどのようにそれらを製造および使用するかを記述する上で技師に対してさらなる指針を供するために本明細書で検討される。
【実施例】
【0119】
本発明は、以下の実施例の手段によって記述される。しかし、本明細書のどこかでのこれらまたは他の実施例の使用は、例示のみであり、けして本発明の範囲および意味またはあらゆる例示された用語を制限しない。同様に、本発明は、ここに記述されるあらゆる好ましい実施態様に限定されない。実際に、本発明の多くの修飾および変動は、本明細書を読む上で当業者に明らかであり得て、その概念および範囲から逸脱せずに行われうる。
【0120】
実施例1 HPV16免疫原性組成物構築物の設計および発生
材料および方法
VEE−レプリコン構築物の発生。HPV16E6およびE7遺伝子が、PCR法(Hortonら、Gene 1989年、77巻:61−8頁)によってpHPV−16(ATCC番号第45113号)から得られ、2つの異なる方向で融合して、全ての構築物についての248アミノ酸をコードする744塩基対(bp)の開放読取フレーム(ORF)を発生した。各下流ORFのメチオニン開始コドンは、内部開始のあらゆる可能性を排除するために除去された。融合ORFの特異的ヌクレオチドは、クイックチェンジ(登録商標)部位指向突然変異誘発キット(ストラタジーン(Stratagene;カリフォルニア州ラホラ(La Jolla,CA))を使用して突然変異誘発された。野生型(wt)および突然変異(mut)融合遺伝子を、ベネズエラウマ脳脊髄炎(VEE)のトリニダット・ロバ株の非常に弱毒化された非神経栄養性突然変異体(V3014)(Grieder,F.B.ら、Virology 1995年、206巻:994−1006頁)から由来するプラスミドであるベクターpVR200(アルファバックス;ノースカロライナ州デュルハム(Durham,NC))にサブクローニングさせた。pVR200プラスミドは、Pushkoら(Virology 1997年、239巻:389−401頁、特に390−391頁「セルラインおよびプラスミド」および393頁図1bを参照)で記述される。簡潔には、このプラスミドは、T7プロモーター、続いてVEEの非構造遺伝子、サブゲノムプロモーター26S、目的の遺伝子のためのクローニング部位(本発明では、E6/E7融合物)、およびNotI線状化部位を有する。
【0121】
複製不完全VEEレプリコン粒子(VRP)は、スプリットヘルパー法によって製造し、記述されるとおり滴定した(Pushkoら、Virology 1997年、239巻:389−401頁)。簡潔には、pVR200プラスミド(クローン化された目的の融合物との)を、(1)カプシドコード化ヘルパー構築物、および(2)糖タンパク質コード化ヘルパー構築物と一緒に、細胞に同時形質移入させた。これらのヘルパー構築物のいずれも、パッケージング配列を有せず、したがって、VRPに組込まれなかった。したがって、得られるVRPは、複製欠損であった。感染性単位/ミリリットル(IU/ml)として表される各VRP製剤の効力は、仔ハムスター腎臓(BHK)−21細胞での滴定により測定されるとおりE7陽性粒子の数によって定義された。全てのVRP製剤の滴定値は、電気穿孔当たり109IUを超えた。免疫化当たり3×105の有効用量は、これらの研究を通して、先に記述されるとおり使用された(Velders M.P.ら、Cancer Res 2001年、61巻:7861−7867頁)。
【0122】
ウエスタンブロットおよび免疫蛍光。BHK−21細胞を、指示VRPで感染させた。感染の24時間後、細胞を、ウエスタンブロット分析のためのSDSサンプル緩衝液中に収穫するか、または免疫蛍光のためのメタノール−アセトンで固定した。ウエスタンブロットによるタンパク質発現を検出するために、細胞溶解物中のタンパク質を、SDS−PAGEにより分離し、ポリビニリデン(PVD)膜上に移動させ、抗HPV16E7モノクローナル抗体(ザイメッド(Zymed);カリフォルニア州サンフランシスコ)を使用してウエスタンブリーズ検出系(インビトロゲン;カリフォルニア州カールスバッド)で分析した。免疫蛍光分析のために、固定細胞を、一次抗E7抗体、続いてFITC標識ヤギ抗マウス二次抗体(番号554001号、ファーミンゲン(Pharmingen);カリフォルニア州サンディエゴ)とインキュベートした。細胞核を、ビアプローブ(番号555815号、ファーミンゲン)を使用して染色した。
【0123】
結果
HPV16誘発子宮頸癌に対する有効で、安全な免疫原性組成物を設計するために、抗原多様性は、E6およびE7腫瘍特異的抗原の両方を発現することによって増大された。VRP免疫原性組成物中の全長E6およびE7遺伝子の封入は、HLAクラスIおよびクラスII多様なヒト集団でのCD8およびCD4T細胞を刺激するための全ての可能なエピトープを発現する可能性を最大限にするために望ましい。E6およびE7ORFの融合は、2つの異なる方向で、PCRによって遂行され、4つまでのアミノ酸を、突然変異(図1AおよびB)させて、特定のE6/E7融合ポリペプチドを生成するための発現構築物を得た。
【0124】
位置63Cでの単独アミノ酸置換は、数種のHPV16E6機能:p53分解、E6TP−1分解、テロメラーゼの活性化、および結果的に一次上皮細胞の不死化(Gao,Q.ら、J Virol 2001年、75巻:4459−4466頁)を破壊することが示された。106Cでの単独点突然変異を含有するEPV16E6は、結合もp53の分解を促進もせず、p53分解に依存する表現型であるヒトMECを不死化させる能力がない(Dalaら、J.Virol 1996年、70巻:683−688頁)。98アミノ酸HPV16E7タンパク質は、L−X−C−X−Eモチーフを通してRbを結合する;このモチーフの位置24Cおよび26Eでの突然変異は、Rb結合および分解を破壊する(Munger,Kら、Oncogene 2001年、20巻:7888−7898頁)。E7でのこれらの2つの点突然変異に加えて、第三のアミノ酸91Cを突然変異させて、E7での単独亜鉛フィンガーを破壊した。
【0125】
ここにE6E7wtと称される第一の融合タンパク質は、アミノ末端に野生型E6ポリペプチド配列(配列番号13)のアミノ酸配列を、カルボキシル末端に野生型E7ポリペプチド配列(配列番号14)のアミノ酸配列を包含する。このような融合ポリペプチドについての代表的アミノ酸配列は、配列番号1に供される。このような野生型E6E7融合ポリペプチドをコードする典型的なヌクレオチド配列は、配列番号2に示される。
【0126】
E6E7TetMと称される第二の融合ポリペプチドも製造した。E6E7wt融合ポリペプチドと同様に、E6E7TetMは、アミノ末端にE6ポリペプチド配列を、カルボキシ末端にE7ポリペプチド配列を包含する。しかし、この構築物のE6ポリペプチド配列は、野生型E6アミノ酸配列(配列番号13)で見られるシステインアミノ酸よりむしろE6ポリペプチドの残基63および106にグリシンアミノ酸を含有する。さらに、この構築物のE7ポリペプチド配列は、野生型E7アミノ酸配列(配列番号14)で見られるシステイン(24)およびグルタメート(26)アミノ酸よりむしろE7ポリペプチドの残基24および26でグリシンアミノ酸を含有する。このような融合ポリペプチドについての代表的アミノ酸配列は、配列番号3に供される。このようなE6E7TetM融合ポリペプチドをコードする典型的なヌクレオチド配列は、配列番号4に示される。
【0127】
E6E7PentMと称される第三の融合ポリペプチドも製造した。E6E7TetM融合ポリペプチドと同様に、E6E7PentMは、そのアミノ末端に残基63および106でグリシンアミノ酸を包含するE6ポリペプチド配列を、それのカルボキシ末端に残基24および26でグリシンアミノ酸を包含するE7ポリペプチド配列を包含する。しかし、この融合タンパク質のE7ポリペプチド配列も、野生型E7アミノ酸配列(配列番号14)で見られるシステインアミノ酸よりむしろE7ポリペプチド配列の残基91にグリシンアミノ酸を含有する。このような融合ポリペプチドについての代表的アミノ酸配列は、配列番号5に供される。このようなE6E7TetM融合ポリペプチドをコードする典型的なヌクレオチド配列は、配列番号6に示される。
【0128】
E7E6wtと称される第四の融合ポリペプチドは、アミノ末端に野生型E7ポリペプチド(配列番号14)配列のアミノ酸配列を、カルボキシル末端に野生型E6ポリペプチド(配列番号13)配列のアミノ酸配列を包含する。このような融合ポリペプチドについての代表的アミノ酸配列は、配列番号7に供される。このようなE7E6wt融合ポリペプチドをコードする典型的なヌクレオチド配列は、配列番号8に示される。
【0129】
E7E6TetMと称される第五の融合ポリペプチドも製造した。E7E6wt融合ポリペプチドと同様に、E7E6TetMは、アミノ末端にE7ポリペプチド配列を、カルボキシ末端にE6ポリペプチド配列を包含する。しかし、この構築物のE7ポリペプチドは、野生型E7アミノ酸配列(配列番号14)で見られるシステイン(24)およびグルタメート(26)アミノ酸よりむしろE7ポリペプチドの残基24および26にグリシン残基を含有する。さらに、この構築物のE6ポリペプチドは、野生型E6アミノ酸配列(配列番号13)で見られるシステインアミノ酸よりむしろE6ポリペプチドのアミノ酸63および106にグリシン残基を含有する。このような融合ポリペプチドについての代表的アミノ酸配列は、配列番号9に供される。このようなE7E6TetM融合ポリペプチドをコードする典型的なヌクレオチド配列は、配列番号10に示される。
【0130】
E7E6PentMと称される第六の融合ポリペプチドも製造した。E7E6TetMと同様に、E7E6PentMは、それのアミノ末端で、E7ポリペプチドの残基24および26にグリシンアミノ酸を包含するE7ポリペプチドを、
、それのカルボキシ末端でE6ポリペプチドの残基63および106でグリシンアミノ酸を包含するE6ポリペプチドを包含する。しかし、この構築物のE7ポリペプチド配列も、野生型E7アミノ酸配列(配列番号14)で見られるシステインアミノ酸よりむしろE7ポリペプチドの残基91にグリシンアミノ酸を含有する。このような融合ポリペプチドについての代表的アミノ酸配列は、配列番号11に供される。このようなE7E6TetM融合ポリペプチドをコードする典型的なヌクレオチド配列は、配列番号12に示される。
【0131】
E6およびE7における突然変異は、1)3つの亜鉛フィンガーを破壊し、したがってタンパク質を不安定化させ、分解を促進する(したがって、免疫原性を増大させる)(E6の63Cおよび106C;E7の91C(Dalalら、J Virol 1996年、70巻:683−8頁;Shiら、J Virol 1999年、73巻:7877−81頁));2)p53のE6誘発分解(106C;(Dalalら、J Virol 1996年、70巻:683−8頁)およびE6−TP1−結合(Gaoら、J Virol 2001年、75巻:4459−66頁)を混乱させる;、3)Rb結合およびE7による分解(24Cおよび26E;(EdmondsおよびVousden、J Virol 1989年、63巻:2650−6頁))を破壊するように設計される。これらの突然変異を、91Cを除いて、既知HLAエピトープの外側になるように注意深く選択した。91Cは、E7のアミノ酸86−93を繋ぐHLA A2エピトープの一部であることが知られているが(Ressingら、J Immunol 1995年、154巻:5934−43頁;Ressingら、Cancer Res 1996年、56巻:582−8頁;Evansら、Cancer Res 1997年、57巻:2943−50頁)、この突然変異は、それの不死化活性について要求されることが知られるE7の亜鉛フィンガーを破壊する(Jewersら、J.Virol 1992年、66巻:1329−1335頁)ので、このアミノ酸を突然変異させて、安全に最大限の免疫原性組成物を達成することが決定された。この突然変異で、既知HLA−A0201結合特性を有するペプチドのP2アミノ酸アンカー領域に配置されない(Rammenseeら、Annu Rev Immunol 1993年、11巻:213−44頁)ので、C91G突然変異ポリペプチドは、HLA−A0201分子を結合するそれらの能力を保持しうることが可能である。さらに、C91突然変異が、E7のアミノ酸82−90を繋ぐ別のHLAエピトープの切断に影響を及ぼしうることが可能である。それらの5つのアミノ酸突然変異を含む融合構築物は、PentMと名づけられた。
【0132】
HPV16E6およびE7のこれらの部位の各々での突然変異は、先に個別に開示されているが、もしあるならば、これらの突然変異のどの組合せが、それらの免疫原性を維持することは知られていなかった。
【0133】
ウイルス性癌遺伝子産物E6およびE7に対する頑健な細胞指向性反応を顕在化する治療用子宮頸癌免疫原性組成物を開発するために、これらの融合物を、ベネズエラウマ脳脊髄炎(VEE)レプリコン基本の系にクローニングした。ヒトにおけるVEEに対する幅広い現存の免疫性はないので、組換え体VEE免疫原性組成物の利点は、高濃度の異種の遺伝子発現、樹状細胞屈性(それにより免疫性を誘発するための重要な部位であるリンパ様組織に対する発現を標的にすること)、アポトーシスおよび頑健な細胞およびヒトの免疫反応の誘発および十分に反復した免疫化を含む。さらに、VEEのようなアルファウイルスは、細胞質ゾルで目的のRNAを複製し、細胞感応性であり、それにより細胞ゲノムへのE6およびE7の組込の危険を明らかに減少させる。
【0134】
これらの融合構築物の発現を評価するために、BHK細胞を、組換え体VRPで感染させ、その後、ウエスタンブロッティングおよび免疫蛍光により分析した。ウエスタンブロット分析は、E6E7融合タンパク質が、一般に、SDS−PAGE上で約30kDaの分子量で移行することを示した。野生型および突然変異構築物の発現レベルは、匹敵するが、それらの細胞内局在化は、劇的に異なる。これらの融合タンパク質の免疫蛍光染色は、野生型E6およびE7VRPの両方についての核を重複する点状の染色パターンを示す一方で、いっそう拡散する周辺核染色は、全てのTetMおよびPentM VRPについて観察した(データは示されず)。このような拡散する周辺核局在化は、タンパク質凝固/ミスホールディングを連想させる。このようなミスホールディングは、タンパク質不安定性を連想させ、さらにこれらの融合は、CTL反応を顕在化する適応力が増大したことを示すことを支持する。
【0135】
実施例2:様々な免疫原性組成物構築物によって誘発される細胞の免疫反応
材料および方法
マウスおよびセルライン。特異的病原体不含6−12週齢メスC57BL/6マウスを、タコニック・ファームズ(Taconic Farms)(ニューヨーク州ジャーマンタウン(Germantown,NY)から得た。マウスを、随意に水および食糧を用いるフィルタートップ条件下でウイス・アンド・ロヤラ・ユニバーシティ(シカゴ)動物施設に収容した。特異的病原体不含6−12週齢メスHLA−A0201マウスは、ジャクソン・ラボラトリーズ(メイン州バー・ハーバー(Bar Harbor,ME))から購入した。MC57GおよびEL4細胞は、細胞毒性アッセイのために使用した。BHK−21細胞を、VEE RNA発現、VEEレプリコン粒子(VRP)パッケージングおよび滴定(効力アッセイ)のために使用した。E6E7陽性腫瘍ラインC3(Feltkamp,M.C.W.ら、Eur J Immun 1993年、23巻:2242−2249頁)、TC−1(Lin,K.Y.ら、Cancer Res 1996年、56巻:21−26頁)、およびHLF16を使用して、腫瘍攻略研究を行った。全てのセルライン(HLF16、C3およびTC−1細胞を除いて)を、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC;バージニア州マナサス(Manassas,VA))から得た。
【0136】
細胞毒性(CTL)アッセイ。C57BL/6マウスを、3×105感染性単位のVRPで皮下に免疫化した。後ろ足の皿に投与される指示VRPの単回用量3×105でマウスを免疫化した4週間後に、細胞毒性アッセイを行った。単細胞脾細胞懸濁液を、5の感染の多重性(MOI)でのE7またはE6をコードする組換え体修飾ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)ベクター(E7−MVAまたはE6−MVA)で感染されたマイトマイシン−C−処理MC57G細胞で再刺激(20:1)した。5日後、CTL活性を測定した。E7−またはE6−MVA−感染MC57G細胞およびHPV16E749−57H−2Db制限ペプチド(RAHYNIVTF(配列番号41、それは、配列番号14のアミノ酸49−57に対応する);Linら、Cancer Res 1996年、56巻、21−6頁)−加えられたEL−4細胞(ATCC)は、標的として役割を果たした。MC57G細胞を、1時間、5のMOIで、E7−MVAまたはE6−MVAのいずれかに感染させた。EL−4細胞(1×107)を、1時間、ペプチド(20μg/ml)とインキュベートした。その後、標的細胞を、3時間後、電気穿孔法によってユーロピウム(Eu+3;シグマ・ケミカル・シーオー.(Sigma Chemical Co.)、ミズーリー州セントルイス(St.Louis,MO))で標識した。エフェクターおよび標的細胞を、3時間、指示比でインキュベートし、その後、上清を収穫し、エンハンサー溶液と混合した(Wallac;フィンランド国ツルク(Turku,Finland))。1234デルフィア・蛍光光度計(ワラック)を使用して時間分割蛍光により、Eu+3放出を定量した。特異的溶解液率を、(実験自律放出/最大化自律放出)×100として計算した。自律放出率は、5から10%までの範囲に入った。
【0137】
結果
様々の免疫原性組成物構築物により誘導される免疫反応を特徴づけるために、C57BL/6マウスを、3×105感染性単位のwtおよびPentM VRP構築物で皮下に免疫化した。免疫化の1ヶ月後、CTL−指向性溶解物を、E6またはE7をコードするMVAで感染させたMC57G標的を用いたユーロピウム放出アッセイにより測定した。図4Aは、野生型またはPentM VRPのいずれかで免疫化されたマウスから得られるCTLが、標的を発現するE7を死滅させることを示した。同一の結果が、E749−57ペプチド足すEL−4標的で見られた(データは示されず)。溶解物は、突然変異体VRPの享受体で実質的に減じられたが、CTL指向性溶解物は、全ての形態のVRPで免疫されたマウスから得られるE6標的に対しても明らかであった(図4B)。E7およびE6特異的溶解物についてのこれらの結果は、2つの追加実験で再現され、TetM VRP免疫化マウスを使用して観察した(データは示されず)。
【0138】
これらの結果は、突然変異体および野生型融合タンパク質をコードするVRPを用いた免疫化が、腫瘍拒絶に重要である免疫優性のE749−57エピトープに対する類似のCTL反応を発生したことを示す。CTL反応が、野生型遺伝子を発現するVRPで免疫された動物から得られるE6標的に対して明らかに検出可能である一方で、CTL反応が減少されたことは、E6の突然変異体形態を受けるマウスで観察され、63Cおよび/または106Cは、H−2b制限エピトープの重要成分であることを示唆する。
【0139】
実施例3:C3およびTC1腫瘍モデルでの免疫原性組成物構築物の腫瘍保護および治療効率
材料および方法
腫瘍保護および治療実験。14匹のC57BL/6マウスの群を、10mg/kgキシラジン(シグマ、ミズーリー州セントルイス)および100mg/kgケタミン(アボット・ラボラトリーズ(Abbott Laboratories)、イリノイ州シカゴ)の腹腔内注射により麻酔し、21日目および7日目に、前足皿への3×105VRPの注射により、免疫化した。負の対照マウスは、3×105IUの緑色蛍光タンパク質(GFP)VRPを受けた。1週間後、各群でのマウスの半分を、5×105C3細胞を用いた脇腹皮下注射により刺激し(Feltkampら、Eur J Immunol 1995年、25巻:2638−42頁)、半分を、5×104TC−1細胞を用いて刺激した(Linら、Cancer Res 1996年、56巻:21−6頁)。3日毎に、腫瘍成長を監視した。C3治療実験について、マウスを、最初に、横腹に、5×105C3腫瘍細胞で、続いて7、14および21日後に、免疫化当たり5×105用量での指示VRPで刺激した。ヒト肺線維芽細胞(HLF)治療実験について、HLA−A0201トランスジェニックマウスを、0日目に、左脇腹への皮下注射により2×106HLF16細胞で刺激した。刺激に続く5、10および15日目に、マウスを、上述のとおり麻酔し、前足皿への3×105VRPの注射により免疫化した。5日目毎に、腫瘍成長を監視した。
【0140】
マウスおよびセルラインも参照(上)
結果
野生型E7E6およびE7E6PentM融合タンパク質をコードするVRPを、インビボで予防的抗腫瘍効率について比較した。全ての群におけるマウスを、0日目およ21日目に、3×105の指示VRPで免疫化し、続いて、C3またはTC−1腫瘍細胞で刺激した。負の対照としてGFP−VRPを受ける全てのマウスは、腫瘍刺激の約7日後以内に腫瘍を発生した(図5AおよびB)。対照的に、E7E6野生型またはPentMのいずれかを受ける全てのマウスは、それらが、C3(5×105)(図5A)またはTC−1(5×104)腫瘍細胞(図5B)を受けるかどうかにかかわらず、腫瘍刺激から保護された。これらのデータは、保護が、特定のネズミ腫瘍刺激モデルに限定されなかったこと、保護が、VRPでコードされるE6およびE7遺伝子産物に決定的に依存したことを示唆する。
【0141】
抗腫瘍効率のさらに緊縮の測定値として、次の実験で、マウスを、7、14および21日目に、E7E6野生型、PentMまたはTetM VRPでの免疫化の前に、C3腫瘍細胞で刺激した。図6は、突然変異体または野生型E6およびE7融合タンパク質発現VRPのいずれかを受けるマウスの85%−100%が、負の対照マウスの0%−12%と対照的に、C3腫瘍を拒絶したことを示す。Veldersら(Cancer Res 2001年、61巻:7861−7頁)および図6により先に示されとおり、E7単独に発現するVRP免疫原性組成物が、マウスのほんの65%−75%での拒絶を促進した。
【0142】
結論として、E7と、融合相手としてE6をコードする遺伝子の封入は、E6が野生型または突然変異型であったかにかかわらず、E7単独(67%−75%、図6)と比べて、治療上の抗腫瘍効率(85%−100%、図6)を再現可能に増強した。したがって、E7との融合物として表されるE6での突然変異は、これらの腫瘍モデルでの減少された抗腫瘍効果を生じなかった。しかし、その結果は、突然変異体アミノ酸を含有するエピトープに対する最適CTL反応は、突然変異体VRPで免疫化されたある種の個体で顕在化されないかもしれない。ヒトでは、これは、C57BL/6マウスによって発現される限定数のH−2対立遺伝子に比較して、HLAクラスIおよびクラスII対立遺伝子の多様性を考慮した懸念の原因でないかもしれない。
【0143】
実施例4:HLF16腫瘍モデルでの免疫原性組成物構築物の治療効率
実施例2および3の結果は、有望な結果を示すが、C57BL/6マウスでのHPV抗原のH−2b制限T細胞認識は、HLA制限抗腫瘍反応についての限定された推定値を供する。したがって、同じ免疫原性組成物が、HLA−A0201トランスジェニックマウスで、HPV16E6およびE7に対するHLA−A0201制限反応を誘発できることを示すのは、特に重要である(Ressingら、J Immunol 1995年、154巻:5934−5943頁)。
【0144】
HLA−A0201トランスジェニックマウスから得られるCD8T細胞は、HLA−A0201制限ヒトCTLによって認識されるのと同じHLA−A0201制限抗原を認識することが示された(Engelhardら、J Immunol 1991年、146巻:1226−1232頁;Shiraiら、J Immunol 1995年、154巻:2733−2742頁)。したがって、HLAトランスジェニックマウスの使用は、H−2制限腫瘍拒絶の限定を克服できた。しかし、HPV腫瘍モデルでは、HLA−A0201制限抗腫瘍反応を試験するために入手可能であったものはない。ここで、HLA−A0201トランスジェニックマウスについての第一のHPV16腫瘍モデルは、付与される(EibenGLら、Cancer Research、2002年10月15日、62巻20号でも記述される)。E6/E7融合物の免疫原性を、このモデルで試験した。
【0145】
HLA−A0201トランスジェニックC57BL/6マウスから得られた線維芽細胞を、HPV16E6およびE7およびRasV12で形質移入し、HLA−A0201マウスで腫瘍発生性のセルライン(HLF16)を発生させことによって、この腫瘍モデルを発生させた。優性なH−2Dbエピトープを、E7遺伝子から除去して、抗腫瘍反応が、49−57エピトープに独立であり、HLA−A0201を通して指向されそうであることを確認した。
【0146】
TetMの組の構築物は、HLF腫瘍モデルで使用した。これらの構築物は、4つの突然変異のみを含有した:E6でのG63GおよびG106G;E7でのC24GおよびE26G。E7での突然変異G91G(PentM構築物に存在する)は、それが、E7のアミノ酸86−93を繋ぐHLA−A0201エピトープの一部であることが知られているので排除された(Ressingら、J Immunol 1995年、154巻:5934−43頁;Ressingら、Cancer Res 1996年、56巻:582−8頁;Evansら、Cancer Res 1997年、57巻:2943−50頁)。クラスII結合アルゴリズム(www.imtech.res.in/raghava/propred)を使用することによって、E7のアミノ酸87および95の間に数種のクラスIIハプロタイプにとって不規則な推定エピトープがあることも示された。クラスII指向性免疫反応は、C3腫瘍モデルでのVRP免疫原性組成物の治療効率に必須であることがわかったので、仮説は、PentM免疫原性組成物構築物で存在するC91G突然変異が、ヒトクラスIIエピトープを破壊しうることであった。
【0147】
材料および方法
HLF16腫瘍モデルの構築および特徴付け。HLF16腫瘍セルラインを、HLA−A2DdトランスジェニックC57BL/6マウスから切開された心肺組織から誘導した。培養での数週間後、付着性線維芽細胞を、E6/E7を含有するpIRESビ−シストロンベクターで形質転換させ、ジェネチシン耐性を付与しつつ、H−rasを活性化させた。HPV E749−57遺伝子産物から得られる唯一の既知H−2bクラスI制限エピトープ(Veldersら、Cancer Res 1997年、61巻:7861−7867頁)は、腫瘍が、この免疫優性のHPV16E7エピトープを示さないことを確実にするために除去された。形質転換体を、G418上で選択し、クローンで伸長させた。その後、個々のクローンを、FACS分析によりHLA−A0201発現について試験した。続いて、最高のHLA−A0201発現を示したクローンを、軟質寒天上でコロニーを形成するそれらの能力について試験した。心肺線維芽細胞クローン16(HLF16)は、軟質寒天での定着独立成長を示し、別の研究について試験した。E7発現は、抗E7モノクローナル抗体を用いた免疫蛍光染色の後のHLF16の細胞質で明らかであった。HLF16ラインが、実際に、マウスで腫瘍を形成するかどうかを決定するために、HLA−A0201トランスジェニックマウスに、様々の濃度の腫瘍細胞を注射し、35日間監視した。全てのマウスは、腫瘍を発生したが、最高用量2×106HLF16細胞で刺激されたもののみが、時間に関する腫瘍曲線を維持した。HLF16腫瘍は、およそ5日で上昇し、それが、マウスが犠牲にされる時点である35日までおよそ12×12×12mmになるまで徐々に成長し続けた。HLF16腫瘍セルラインの構築および特徴付けは、Eibenら(Cancer Research、2002年10月15日、62巻20号)でも記述される。
【0148】
軟質寒天アッセイ。定着独立成長適応力は、軟質寒天で懸濁された細胞のコロニー形成効率を評価することによって決定された。形質転換および対照細胞(0.5×106、0.25×106および0.1×106)を、5mlの0.3%上塗寒天に蒔き、20mlの0.6%下塗寒天で被覆した10mmプレートに添加した。プレートを乾燥させ、37℃でインキュベートした。コロニーを、培地培養の3週間後計数した。
マウスおよびセルライン、腫瘍保護および治療的実験、およびウエスタンブロットおよび免疫蛍光(上に)も参照。
【0149】
TetM構築物を、BHK感染細胞のウエスタンブロットおよび免疫蛍光により発現について調査した。E6E7およびE7E6TetMタンパク質の両方は、SDS−PAGEで、約30kDaに移動し、PentM構築物に非常に類似に拡散周辺核局在化を示した。
【0150】
PentMおよびTetM免疫原性組成物構築物の両方を、HLF腫瘍モデルにおけるそれらの腫瘍治療効率について分析した(図7)。トランスジェニックマウスを、皮下に、2×106HLF16細胞で刺激し、刺激の後、5、10および15日目に、マウスを、GFP VRP、TetM VRPまたはPentM VRPのいずれかで免疫化した。完全腫瘍拒絶が、E7E6TetM VRPでの免疫化に続く一方で、E7E6PentM VRPおよびE6E7PentM VRPは、E6E7TetMを除いて、マウスの90%の腫瘍退縮を誘発した(図7)。これらの結果は、ここで試験された数種のVRPを用いた治療的免疫化が、E749−57に特異的なT細胞による寄与から独立して高い程度の抗腫瘍効率を生じたことを示す。さらに、これらの結果は、E6がE7に対するカルボキシ末端である融合物(E7E6融合物)が、E6がアミノ末端であるそれらの対応物(E6E7融合物)より大きな免疫保護を供することを示す。
【0151】
C3およびHLF16腫瘍モデルに渡る集約的な治療効率データ(図6および7)から、我々は、あらゆる補助的タンパク質なしに、HPV16E6およびE7の突然変異体形態をコードするVRPが、生成されたネズミ腫瘍を根絶するのに非常に有効であると結論づけうる。
【0152】
実施例5:VRPを発現する突然変異体E6およびE7は、p53およびRbの分解を誘発しない
融合または個々のタンパク質として野生型HPV16E6およびE7を発現するVRPを、負の対照としてE7E6TetM融合タンパク質またはGFPを用いた感染に続いて、主要なヒトMECでの安定状態のレベルのp53およびRbを、評価した。
【0153】
材料および方法
p53およびRbの検出。主要なヒト乳房上皮細胞(MEC、カリフォルニア州サンディエゴのクロンテックス)を、MOI=10での野生型または突然変異体形態のE6およびE7をコードするVRPで感染させ、総細胞タンパク質を、16−20時間後に収穫した。p53検出を増強するために、細胞を、1.0nMアクチノマイシンD(シグマ、ミズーリー州セントルイス)で処理した。25ミクログラムの総タンパク質を、レーン当たりにかけ、SDS−PAGEにより電気泳動にかけ、PVDF膜にブロットを付けた。抗p53抗体(FL−393、サンタクルーズ・バオテック(Santa Cruz Biotech)、カリフォルニア州サンタクルーズ)または抗Rb抗体(カタログ番号554136号、ビーディー・ファルミンゲン(BD Pharmingen)、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用して、ウエスタンブロットを探索した。抗チューブリン抗体(H−235、サンタクルーズ・バオテック、カリフォルニア州サンタクルーズ)を用いた探索により、チューブリン濃度を、負荷対照として監視した。
【0154】
結果
VRP感染の文脈で表されるとき、突然変異体形態のE6およびE7融合タンパク質は、これらのタンパク質の野生型版に比較して、p53およびRbを機能的に不活化させることが決定された。E7E6TetMは、それが、高い抗腫瘍効率(図6および7)を示し、最小数の突然変異を含んだので選択された。
【0155】
主要なヒト乳房上皮細胞(MEC)を、HPV16E6を単独で、E7E6野生型、またはE7E6TetMをコードするVRPで感染させた。これらのVRPの各々のMOI=10を示す感染のおよそ24時間後、等価量の総細胞タンパク質を含有する細胞溶解物を、SDS−PAGEにより電気泳動にかけ、PVDF膜に移動させ、p53(図8A)、Rb(図8B)に特異的な抗体を、負荷対照としてチューブリンを用いて探索した。これらのウエスタンブロットの結果は、図8Aおよび8Bで示され、2つの独立の実験の代表である。
【0156】
E6を単独で、またはE7E6野生型融合タンパク質をコードするVRPを用いて感染されたMECは、負の対照GFP−VRP感染サンプルに匹敵するp53レベルを含有したE7E6TetMを用いて感染したMECと対照的に、未検出性レベルのp53を含有した(図8A)。E7を単独で、またはE7E6野生型融合タンパク質をコードするVRPを用いて感染されたMECは、E7E6TetM VRPまたはGFP−VRPで感染したMECと対照的に、未検出性レベルのRbを含有した(図8B)。抗E7モノクローナル抗体を用いてそれらのレーンを探索することによって、E7E6野生型およびE7E6TetM VRP感染サンプルでのE7含有融合タンパク質の存在を立証した(図8AおよびB)。結果は、p53およびRbレベルが、VRP感染の文脈でE6およびE7の野生型版を発現する主要のMECで全体的に減じられるが、しかしVRP感染に続くE7E6TetMを発現するMECでは正常であることを示す。
【0157】
要約すると、MECのVRP感染は、それぞれ、野生型のE6およびE7を含有する培養物で全体的に減少したレベルのp53およびRbを示した。E6にE7を融合させるのは、いずれかのタンパク質の活性を損なうのに十分でなかった(図8AおよびB)。対照的に、E6(63Cおよび106C)およびE7(24Cおよび26E)突然変異を含有するE7E6TetM VRPで感染したMECは、正常な濃度のp53およびRbを含有し(図8AおよびB)、これらの4つの突然変異は、これらのタンパク質の主要な癌遺伝子活性を失わせたことを示す。E7E6TetM VRPの不死化能力の評価は、MECが、感染に続いて死滅し、それは、レプリコンによって発現されるAV非構造タンパク質の発現の予想された結果であり(Griffithら、Annu.Rev.Microbiol. 1997年、51巻:565−592頁)、このベクターの安全性をさらに支持することを示した。
【0158】
本発明は、ここに記述される特定の実施態様により、範囲に限定されない。実際に、ここに記述されるものに加えて、本発明の種々の修飾は、前述の説明および付随の図面から当業者に明らかになる。このような修飾は、付随の請求項の範囲内にはいることが意図される。
【0159】
特許、特許出願および種々の公報を含めた膨大な資料は、本発明の説明で引用され、検討される。このような資料の引用および/または検討は、単に、本発明の説明を立証するために供されるものであって、あらゆるこのような資料は、ここに記述される本発明に対する「先行技術」であることを認めるものではない。本明細書で引用および/または検討される全ての資料は、それらの全体で参照して、各資料が、個々に、参照して組込まれるかどうかと同じ範囲までここに組込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
E7ポリペプチドが、配列番号14のアミノ酸配列を第一のメチオニンと共にまたはなしで含み、配列番号14のアミノ酸24および26に対応するアミノ酸が、またはアミノ酸24、26および91に対応するアミノ酸がグリシン、セリンまたはトレオニンに突然変異することからなり、E6ポリペプチドが、配列番号13のアミノ酸配列を第一のメチオニンと共にまたはなしで含み、配列番号13のアミノ酸63および106に対応するアミノ酸がグリシン、セリンまたはトレオニンに突然変異することからなる、ヒトパピローマウイルスE6およびE7ポリペプチドを含むポリペプチド。
【請求項2】
突然変異アミノ酸が、グリシンに突然変異される請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
E7ポリペプチドが、E6ポリペプチドに先行する請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項4】
E7ポリペプチドが、E6ポリペプチドに先行する請求項2に記載のポリペプチド。
【請求項5】
請求項1のポリペプチドをコードする単離核酸。
【請求項6】
E7のヌクレオチド配列が、E6のヌクレオチド配列に先行する請求項5に記載の核酸。
【請求項7】
発現制御配列の調節下にある請求項5の核酸配列を含む発現ベクター。
【請求項8】
請求項5の核酸を含む宿主細胞。
【請求項9】
請求項1のポリペプチドを発現する宿主細胞。
【請求項10】
請求項7の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項11】
(a)請求項1のポリペプチド;および
(b)医薬上許容しうる担体を含む免疫原性組成物。
【請求項12】
アジュバントをさらに含む請求項11に記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
請求項5の核酸を含む免疫原性組成物。
【請求項14】
請求項5に記載の該酸を含む組換え体ウイルス。
【請求項15】
ウイルスが、修飾ベネズエラウマ脳脊髄炎ウイルスである請求項14に記載の組換え体ウイルス。
【請求項16】
E7ポリペプチドが配列番号14のアミノ酸24、26および91に対応する少なくとも2つのアミノ酸でグリシン、セリンまたはトレオニンへ突然変異することからなり、ならびにE6ポリペプチドが配列番号13のアミノ酸63および106に対応するアミノ酸でグリシン、セリンまたはトレオニンへ1つまたは複数にて突然変異することからなる単離ポリペプチド。
【請求項17】
配列番号3、配列番号5、配列番号9または配列番号11で表されるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド。
【請求項18】
配列番号11で表されるアミノ酸配列を含む、請求項17に記載の単離ポリペプチド。
【請求項19】
配列番号3、配列番号5、配列番号9または配列番号11で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離核酸。
【請求項20】
配列番号11で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、請求項19に記載の単離核酸。
【請求項21】
配列番号4、配列番号6、配列番号10または配列番号12で表されるヌクレオチド配列を含む請求項19に記載の単離核酸。
【請求項22】
配列番号12で表されるヌクレオチド配列を含む、請求項21に記載の単離核酸。
【請求項23】
子宮頸癌を治療するための医薬の製造における、請求項1ないし4、17または18のいずれか一項に記載のポリペプチドの使用。
【請求項24】
子宮頸癌を予防するための医薬の製造における、請求項1ないし4、17または18のいずれか一項に記載のポリペプチドの使用。
【請求項25】
請求項4に記載のポリペプチドをコードする単離核酸。
【請求項26】
発現制御配列の調節下にある請求項19ないし22または25のいずれか一項に記載の核酸配列を含む発現ベクター。
【請求項27】
請求項19ないし22または25のいずれか一項に記載の核酸を含む宿主細胞。
【請求項28】
請求項4、17または18のいずれか一項に記載のポリペプチドを発現する宿主細胞。
【請求項29】
請求項26に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項30】
(a)請求項4、17または18のいずれか一項に記載のポリペプチド;および
(b)医薬上許容される担体、を含む免疫原性組成物
【請求項31】
アジュバントをさらに含む請求項30に記載の免疫原性組成物。
【請求項32】
請求項19ないし22または25のいずれか一項に記載の核酸を含む免疫原性組成物。
【請求項33】
請求項19ないし22または25のいずれか一項に記載の核酸を含む組換え体ウイルス。
【請求項34】
ウイルスが修飾ベネズエラウマ脳脊髄炎ウイルスである請求項33に記載の組換え体ウイルス。
【請求項35】
子宮頸癌を治療するための医薬の製造における、請求項5、19ないし22または25のいずれか一項に記載の核酸の使用。
【請求項36】
子宮頸癌を予防するための医薬の製造における、請求項5、19ないし22または25のいずれか一項に記載の核酸の使用。
【請求項37】
子宮頸癌を治療するための医薬の製造における、請求項11ないし13または30ないし32のいずれか一項に記載の免疫原性組成物の使用。
【請求項38】
子宮頸癌を予防するための医薬の製造における、請求項11ないし13または30ないし32のいずれか一項に記載の免疫原性組成物の使用。
【請求項39】
医薬の製造における請求項1ないし4、17または18のいずれか一項に記載のポリペプチドの使用。
【請求項40】
医薬の製造における請求項5、19ないし22または25のいずれか一項に記載の単離核酸の使用。
【請求項41】
医薬の製造における請求項14、15、33または34のいずれか一項に記載の組換え体ウイルスの使用。
【請求項42】
医薬の製造における請求項11ないし13または30ないし32のいずれか一項に記載の免疫原性組成物の使用。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−279386(P2010−279386A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−181424(P2010−181424)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【分割の表示】特願2004−541707(P2004−541707)の分割
【原出願日】平成15年10月2日(2003.10.2)
【出願人】(591000791)ワイス・ホールディングズ・コーポレイション (43)
【Fターム(参考)】