説明

ヒトヘプシジンに対して特異性を有する抗原結合タンパク質

本発明は、ヘプシジンに対して特異性を有する抗原結合タンパク質、ならびにヘプシジンと関連している疾患を治療および診断するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトヘプシジンの成熟型を認識する抗体またはその断片、ならびにヘプシジンと関連している疾患を治療および診断するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄は、ほとんどすべての生物の成長および生存に必要な必須元素である。したがって、鉄代謝の混乱は、それだけには限らないが、鉄欠乏性貧血、ヘモジデリン沈着症または鉄過剰疾患ヘモクロマトーシスをはじめとするいくつかの重大な哺乳類疾患の原因とされている(PIETRANGELO,Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol,282,G403−14,2002年;ANDREWS,Annu Rev Genomics Hum Genet,1,75〜98頁,2000年;PHILPOTT,Hepatology,35,993〜1001頁,2002年;ANDERSON & POWELL,Int J Hematol,76,203〜7頁,2002年;BEUTLERら,Drug Metab Dispos,29,495〜9頁,2001年)。
【0003】
鉄欠乏症は、世界中で最もよく見られる栄養障害である。40〜50億人(すなわち、世界の人口の65〜80%)もが、鉄欠乏であり得、20億人(世界の人口の30%を超える、大部分は子供および出産年齢の女性)が、主に鉄欠乏症による貧血である。鉄欠乏症は、他のどんな状態よりも多くの人に影響を及ぼし、蔓延した公衆衛生状態を構成している。
【0004】
哺乳類では、鉄バランスは、食事に含まれる鉄の、十二指腸による吸収のレベルで主に調節される。第二鉄は、吸収後、循環中に、アポ−トランスフェリンにのせられ、赤血球前駆体をはじめとする組織に輸送され、そこでトランスフェリン受容体媒介性エンドサイトーシスによって取り込まれる。細網内皮マクロファージは、老化した赤血球のヘモグロビンの分解からの鉄の再利用において主要な役割を果たすのに対し、肝細胞は、フェリチンポリマー中に生物の鉄貯蔵のほとんどを含有する。鉄欠乏である個体における鉄吸収を増強するが、鉄過剰の個体では鉄吸収が低減されるフィードバック機構が存在する。しかし、遺伝性ヘモクロマトーシス(HH)では、この調節機構は、損なわれているようであり、鉄過剰にもかかわらず、多量の鉄が食事から吸収され、内部臓器への過剰の鉄の蓄積につながり、この結果、臓器障害および臓器不全となる。腸が身体の鉄必要量の変化に応答する分子機構は、よく理解されていない。これに関連して、ヘプシジン、最近同定された哺乳類ペプチド(KRAUSEら,FEBS Lett,480,147〜50頁,2000年;PARKら,J Biol Chem,276,7806〜10頁,2001年)は、鉄ホメオスタシスを調節する重要なシグナル伝達成分であることがわかった(NICOLASら,Proc Natl Acad Sci U S A,99,4596〜601頁,2002年)。
【0005】
ヘプシジンは、細胞鉄排出輸送体フェロポーチンと結合し、その内部移行および分解を引き起こすことによって鉄ホメオスタシスを調節する(NEMETHら,Science,306,2090〜3頁,2004年)。フェロポーチンの分解の結果は、細胞における鉄の貯留、ひいては、循環鉄の減少である。この機序によって、ヘプシジンは、鉄排出組織からの血漿への鉄流出を減少させ、ひいては、食事からの鉄の吸収、マクロファージからの再循環鉄の放出、肝細胞に貯蔵された鉄の放出および胎盤を通過する鉄の移動を減少させる。
【0006】
ヘプシジンは、大部分は肝臓において産生される小さいシステインリッチペプチドである。この分子は、腸における鉄の吸収を調節し、マクロファージからの鉄の放出を阻害する。ヘプシジンは、最初、抗菌活性を示す25アミノ酸(aa)のペプチドとしてヒト血漿および尿から単離された(KRAUSEら,FEBS Lett,480,147〜50頁,2000年;PARKら,J Biol Chem,276,7806〜10頁,2001年)。その後、鉄によって調節される肝臓特異的遺伝子を探索して、推定24aaのシグナルペプチドが含まれる、マウスでは83aaの前駆体、ラットおよびヒトでは84aaの前駆体をコードするヘプシジンcDNAが同定された(PIGEONら,J Biol Chem,276,7811〜9,2001年)。ヒトヘプシジンは、84アミノ酸プレプロペプチドとして発現され、アミノ末端がプロセシングされて、約10kDaの60アミノ酸残基前駆体(プロヘプシジン)となり、これがさらにプロセシングされて、約3kDaの25アミノ酸成熟ペプチド(ヘプシジン−25)となる。25−アミノ酸の形態に加えて、N末端で末端切断された20−および22−アミノ酸の形態もまた、尿において検出された(PARKら,J Biol Chem,276,7806〜10頁,2001年)。しかし、これらのN−末端切断変異体は、鉄調節機能を全く有さないと思われる(RIVERAら,Blood,106,2196〜9頁,2005年;NEMETHら,Blood,107,328〜33頁,2006年)。したがって、一般に、ヘプシジン−25が、ヘプシジンの鉄濃度低下効果に主に関与している生物活性形態であると認められている。
【0007】
ヘプシジンは、鉄ホメオスタシスの中心的な調節因子である。ヘプシジン欠乏は、ほとんどの鉄過剰障害において中心的な役割を果たしており、ヘプシジン過剰が、いくつかの形態の貧血に関与していることもわかっている。例えば、Nicolas G.ら(2002年)は、トランスジェニックマウスにおいて、ヘプシジンの過剰発現が、重篤な貧血をもたらすことを示した(NICOLASら,Proc Natl Acad Sci U S A,99,4596〜601,2002年)。最近の研究によって、ヘプシジンは、炎症における貧血の重要なメディエーターであることが報告された(NEMETHら,Blood,101,2461〜3頁,2003年)。さらに、異なる病因論を有する貧血、例えば、腎疾患と関連している貧血(TOMOSUGIら,Blood,108,1381〜7,2006年)、重篤な敗血症と関連している貧血(KEMNAら,Blood,106,3268〜70頁,2005年)、クローン病と関連している貧血(SEMRINら,Inflamm Bowel Dis,12,1101〜6頁,2006年)および肝腺腫と関連している鉄不応性貧血(WEINSTEINら,Blood,100,3776〜81頁,2002年)において異常な高濃度のヘプシジンが報告された。
【0008】
鉄ホメオスタシスの障害におけるヘプシジンの関与により、これらの障害の診断およびモニタリングを目的として、血漿または尿におけるその検出および定量のための種々のアッセイが提案されてきた。
【0009】
しかし、免疫化学的試薬の開発は、抗ヘプシジン抗体を利用できないことによって妨げられてきた。ポリクローナル抗ヘプシジンウサギ抗体を使用する免疫化学的アッセイが記載されている(NEMETHら,Blood,101,2461〜3頁,2003年)が、尿中のヘプシジンを定量化するのを可能にするだけであり、血漿中では可能にしない。プロヘプシジンのaa28〜47(EG(1)−HepNおよびEG(2)−HepN)およびaa70〜84(EG(1)−HepC)に対して産生されるウサギ抗血清も記載されている(PCT出願WO2004/058044;(KULAKSIZら,Gut,53,735〜43頁,2004年)。これらの抗血清は、ヒト血清においてプロヘプシジンを検出したが、それらのうち生理活性ヘプシジン−25を認識したものはなかった。
【0010】
現在までに、血清中のヘプシジン−25を認識できる抗体は、記載されておらず、血清中のヘプシジン−25を測定するための利用可能な唯一のアッセイは、質量分析に基づくものである(TOMOSUGIら,Blood,108,1381〜7頁,2006年)(MURPHYら,Blood,110,1048〜54頁,2007年)。
【0011】
さらに、ヘプシジンアンタゴニストとして作用する、すなわち、ヘプシジンとフェロポーチンの結合ならびにその後のフェロポーチンの内部移行および分解を阻害できる抗体は、過剰のヘプシジンに起因する状態の治療において有用であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、ヘプシジン−25を認識し、血清におけるその測定を可能にし、さらに、ヘプシジンとフェロポーチンの結合を阻害できる抗体は、非常に望ましいと思われる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、このような抗体を得ることに、ここで成功した。
【0014】
本明細書において以下、「AN−LP1」と表されるこのモノクローナル抗体は、寄託番号I−3794の下、2007年8月14日にブダペスト条約の条項に従って、CNCM(Collection Nationale de Cultures de Microorganismes,Institut Pasteur,25 rue du Docteur Roux,75724 Paris Cedex 15,France)に寄託されたハイブリドーマによって産生される。
【0015】
本発明者らは、モノクローナル抗体AN−LP1の軽鎖の可変ドメイン(VL)および重鎖の可変ドメイン(VH)をクローニングし、配列決定した。ソフトウェアプログラムIMGT/V−QUEST(GIUDICELLIら.Nucl.Acids Res.,32,Web Server issueW435−440,2004年)を使用して、従来のように、これらのVHおよびVL配列を、IMGT参照データベースに対してアラインすることによって、前記抗体の相補性決定領域(CDR)をコードする配列の端が得られた(LEFRANCら,Nucl.Acids Res.,33,Database issue D593−597,2005年)。これらの配列は以下の表1(重鎖について)および表2(軽鎖について)に記載されている。
【0016】
【表1】

【0017】
【表2】

【0018】
本発明の目的は、ヒトヘプシジン−25と結合できること、ならびに少なくとも抗体AN−LP1の重鎖のVH−CDR3および軽鎖のVL−CDR3を含むことを特徴とする抗原結合タンパク質である。
【0019】
好ましい実施形態によれば、前記抗原結合タンパク質は、抗体AN−LP1の重鎖のVH−CDR1および軽鎖のVL−CDR1をさらに含む。
【0020】
別の好ましい実施形態によれば、前記抗原結合タンパク質は、抗体AN−LP1の重鎖のVH−CDR2および軽鎖のVL−CDR2をさらに含む。
【0021】
AN−LP1のVH−CDR3およびVL−CDR3は、それぞれ、配列番号4および配列番号8によってコードされる。AN−LP1のVH−CDR1およびVL−CDR1は、それぞれ、配列番号2および配列番号6によってコードされる。AN−LP1のVH−CDR2およびVL−CDR2は、それぞれ、配列番号3および配列番号7によってコードされる。
【0022】
本発明の抗原結合タンパク質は、特に、
a)ハイブリドーマCNCM I−3794によって産生されるモノクローナル抗体AN−LP1、
b)抗体AN−LP1の抗原結合断片、
c)AN−LP1から得られるキメラまたはヒト化抗体、
d)上記の抗体c)の抗原結合断片
を包含する。
【0023】
特に断りのない限り、本明細書において用語「ヘプシジン−25」とは、以下の配列:DTHFPICIFCCGCCHRSKCGMCCKT(配列番号9)を有するヒトヘプシジンポリペプチドを指す。
【0024】
抗体のCDR(相補性決定領域)は、抗原認識特異性に関与している可変ドメインの一部である。免疫グロブリンの軽鎖および重鎖は各々、3つのCDRを有し、それぞれVL−CDR1、VL−CDR2、VL−CDR3およびVH−CDR1、VH−CDR2、VH−CDR3と呼ばれる。
【0025】
抗体の抗原結合断片は、前記抗体のCDRを含む可変ドメインを含む。基本的な抗原結合断片として、Fv、dsFv、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2が挙げられる。
【0026】
Fv断片は、疎水性相互作用によって一緒に結合している抗体VLドメインおよびVHドメインからなり、dsFv断片では、VH::VLヘテロ二量体は、ジスルフィド結合によって安定化されており、scFv断片では、VLドメインおよびVHドメインは、柔軟なペプチドリンカーによって互いに連結されており、従って、一本鎖タンパク質を形成する。Fab断片は、抗体のパパイン消化によって得ることができ、それらは、ジスルフィド結合によって一緒に結合している、完全L鎖と、H鎖のN末端側の約半分とを含む。F(ab’)2断片は、抗体のペプシン消化によって製造することができ、2つのFab断片、さらに免疫グロブリン分子のヒンジ領域の一部も含む。Fab’断片は、ヒンジ領域においてジスルフィド結合を切断することによってF(ab’)2断片から得ることができる。F(ab’)2断片は、二価である、すなわち、それらは、天然の免疫グロブリン分子のように2つの抗原結合部位を含み、他方、Fv、dsFv、scFv、FabおよびFab’断片は、一価である、すなわち、それらは、1つの抗原結合部位を含む。
【0027】
これらの基本的な抗原結合断片は、一緒に組み合わせて、多価抗原結合断片、例えば、ダイアボディー、トリアボディーまたはテトラボディーを得ることができる。これらの多価抗原結合断片もまた、本発明の一部である。
【0028】
本明細書において、用語「キメラ抗体」とは、それが由来するモノクローナル抗体の可変ドメインを有し、かつ別の抗体に由来する定常ドメイン、好ましくは、ヒト抗体に由来する定常ドメインを有する改変抗体を指す。
【0029】
本明細書において用語「ヒト化抗体」とは、マウス配列をそのヒト対応物とできる限り置換することによって、免疫原性を低減するが、抗原結合特異性は保持するよう操作されている抗体を指す。可変ドメイン内では、これらの配列置換は、通常、フレームワーク領域(FR)、すなわち、CDR間に挿入されたアミノ酸配列を標的とする。しかし、抗体をヒト化するいくつかの方法は、CDR1およびCDR2内の配列置換を含む。
【0030】
本発明のキメラおよびヒト化抗体は、任意のクラスの免疫グロブリンに属し得る。IgGクラスのサブクラス、例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4などに属することが好ましい。
【0031】
本発明の抗原結合タンパク質の好ましい実施形態によれば、ヘプシジンとフェロポーチンの結合を阻害し、それによって、フェロポーチンの分解を阻害することができる。
【0032】
ヘプシジンとフェロポーチンの結合を阻害する能力は、例えば、その表面にフェロポーチンを発現している細胞を使用するin vitroアッセイを使用して容易に調べることができる。ヘプシジンの存在下では、フェロポーチンは、内部移行され、分解される。ヘプシジンとフェロポーチンの結合の阻害剤の存在下では、フェロポーチン内部移行および分解が低減または抑制される。フェロポーチンレベルの評価によって、阻害特性を決定することが可能となる。
【0033】
本発明に従う抗原結合タンパク質は、従来技術によって得ることができる。例えば、Fv、FabまたはF(ab’)2のような抗原結合断片は、全抗体の酵素消化によって得てもよい。
【0034】
これらの断片ならびにその他の一価および多価抗原結合断片、ならびにキメラまたはヒト化抗体もまた、従来の遺伝子工学技術、例えば、SAMBROOKら[MOLECULAR CLONING,A LABORATORY MANUAL,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.編,(1989年)]によって記載されるものによって調製できる。
【0035】
抗体AN−LP1の可変領域またはそのCDRをコードするポリヌクレオチドは、例えば、ハイブリドーマCNCM I−3794のcDNAライブラリーから前記領域をクローニングすることによって得ることができる。それらはまた、本明細書に提供されるヌクレオチド配列に基づいて核酸合成によって、完全にまたは部分的に調製することができる。
【0036】
抗体の可変領域を、適当なリンカーと、または別の抗体の定常領域と組み合わせることによって、組換え抗原結合断片またはキメラ抗体を調製する方法は、それ自体よく知られている。
【0037】
抗体をヒト化する方法も、当技術分野で周知であり、例えば、ROUTLEDGEら[Protein Engineering of Antibody Molecules for Prophylactic and Therapeutic Applications in Man,13〜44頁,Academic Titles,Nottingham,England(1993年)中、「Reshaping antibodies for therapy」]によって、またはROGUSKAら,Protein Engineering,9(10),895〜904頁、(1996年)]によって記載されている。これらの方法もまた、scFvなどの抗原結合断片に適用することができる。
【0038】
例として、「リサーフェシング(resurfacing)」として知られる方法は、非ヒト抗体の可変領域のフレームワーク中の表面残基のセットを、表面残基のヒトセットと置換することからなり、CDRグラフティングとして知られる方法は、非ヒト抗体由来のCDRを、ヒト抗体のフレームワーク領域に移植することからなる。CDRグラフティングは、通常、結合親和性を最適化するためのヒトフレームワークのいくつかの残基の置換からなるフレームワーク最適化によって完了される。
【0039】
フレームワーク最適化の工程は、コンビナトリアルライブラリーの使用によって最近、単純化された(ROSOK.らJ.Biol.Chem.271、22611〜22618頁、1996年;BACAらJ.Biol.Chem.272,10678〜10684頁、1997年)。
【0040】
抗体ヒト化のための別の最近の戦略は、軽鎖および重鎖の元の非ヒトCDR3配列のみを保存し、残りの配列は、天然ヒトV遺伝子ライブラリーから選択される(RADERら,Proc.Natl.Acad.Sci U.S.A.95、8910〜8915頁、1998年)。
【0041】
本発明の主題はまた、抗体AN−LP1のCDRを含む本発明の抗原結合タンパク質をコードする任意のポリヌクレオチド、ならびに前記ポリヌクレオチドを含む任意の組換えベクター、特に、任意の発現ベクターである。
【0042】
本発明の主題はまた、抗体AN−LP1のCDRを含む、本発明に従う抗原結合タンパク質を発現する任意の細胞である。これは、特に、ハイブリドーマCNCM I−3794、ならびにまた、本発明のポリヌクレオチドを用いて遺伝的に形質転換された任意の宿主細胞を包含する。
【0043】
本発明のポリヌクレオチドは、本発明に従う抗原結合タンパク質をコードする配列に加えて、前記タンパク質の分泌を可能にするシグナルペプチドをコードする配列を含むことが有利であり得る。それらはまた、前記タンパク質を検出するため、および/または精製を容易にするために、1種または複数のマーカーペプチド(単数または複数)をコードする1種または複数の配列(単数または複数)を含み得る。
【0044】
本発明に従う発現ベクターは、選択される宿主細胞において活性である転写および翻訳調節エレメントと結合している、本発明に従う抗原結合タンパク質をコードする少なくとも1種の核酸配列を含む。本発明に従う発現ベクターを構築するために使用できる、それ自体公知である、さまざまな宿主ベクターがあり、適当なベクターの選択は、主に、使用されるよう意図される宿主細胞に応じて変わる。
【0045】
本発明との関連で使用できる宿主細胞は、原核細胞であっても、真核細胞であってもよい。真核細胞の宿主細胞の例として、大腸菌(E.coli)などの細菌が挙げられる。使用してよい真核細胞の中でも、植物細胞(植物抗体の場合には)、酵母、例えば、サッカロミセス・クリベロマイセス(Saccharomyces、Kluyveromyces)またはピキア・パストリス(Pichia pastoris)由来の細胞、昆虫細胞、例えば、ショウジョウバエまたはスポドプテラ属細胞および哺乳類細胞、例えば、HeLa、CHO、3T3、C127、BHK、Heck293、COSなどの細胞が特に言及される。
【0046】
本発明に従う発現ベクターの構築および宿主細胞の形質転換は、分子生物学の従来技術によって実施できる。
【0047】
本発明の主題はまた、本発明に従う抗原結合タンパク質を製造する方法であって、本発明に従う少なくとも1種の細胞を培養するステップと、前記培養から前記タンパク質を回収するステップとを含むことを特徴とする方法である。
【0048】
タンパク質が分泌される場合には、培養培地から直接回収してもよく、そうでなければ、前もって細胞溶解を実施する。
【0049】
次いで、それ自体当業者公知の従来手順によって、例えば、分画沈殿、特に、硫酸アンモニウムを用いた沈殿、電気泳動、ゲルろ過、アフィニティークロマトグラフィーなどによって、タンパク質を、培養培地から、または細胞溶解物から精製してもよい。
【0050】
必要に応じて、本発明の抗原結合タンパク質は、例えば、その検出を容易にするために、in vivoにおけるその投与を容易にするために、またはその治療特性を増強するために、さらに修飾してもよい。非制限的例として、それらを検出可能な分子または物質、例えば、蛍光分子、放射活性分子、核磁気共鳴(NMR)イメージングのためのスピン標識または当技術分野で公知の任意のその他の標識で標識してもよく、それらはまた、その血漿半減期を延長するポリエチレングリコールなどの分子とカップリングしてもよい。
【0051】
本発明の抗体は、当技術分野で公知の任意の方法によって放射活性分子を用いて標識してもよい。例えば、放射活性分子として、それだけには限らないが、シンチグラフィー研究のための放射活性原子、例えば、I123、I124、In111、Re186、Re188が挙げられる。本発明の抗体はまた、ヨウ素−123、ヨウ素−131、インジウム−111、フッ素−19、炭素−13、窒素−15、酸素−17、ガドリニウム、マンガンまたは鉄などを用いて標識してもよい(磁気共鳴画像法、mriとしても知られる)。
【0052】
本発明の抗原結合タンパク質は、ヘプシジン関連疾患の診断のために使用できる。
【0053】
特に、生体サンプル、特に、血液、尿、羊水サンプルまたは臓器バイオプシーにおいて、ヘプシジンを検出するために、および/またはその量を評価するために使用してもよい。従って、それらは、ヘプシジン過剰と関連しているか、ヘプシジン欠乏と関連しているかにかかわらず、異常なヘプシジンレベルと関連しているすべての疾患を診断するために使用できる。
【0054】
本発明の目的は、ヒト被験体から得た生体サンプル、特に、血清または血漿サンプル中のヘプシジンを検出するための方法および/またはその量を評価するための方法であり、前記方法は、前記サンプルを、ヘプシジンと前記抗原結合タンパク質間の免疫複合体の形成を可能にする条件下で本発明の抗原結合タンパク質と接触させるステップと、形成された免疫複合体を検出または測定するステップとを含む。
【0055】
形成された免疫複合体は、非制限的例として、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)またはその他の固相イムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ、電気泳動、免疫蛍光またはウエスタンブロットを含めた、標準技術を使用する種々の方法によって検出または測定できる。
【0056】
本発明のさらなる目的は、異常なヘプシジンレベルと関連している疾患を診断するための方法であり、前記方法は、試験されるべき被験体から得た生体サンプル中の、上記で示される、ヘプシジンの量を評価するステップと、決定された量を、正常被験体におけるヘプシジンの対照値と比較するステップとを含む。
【0057】
本発明の方法は、過剰なヘプシジンレベルと関連している疾患、例えば、慢性疾患における貧血、癌における貧血および腎不全における貧血を診断するために、ならびに不十分なヘプシジンレベルと関連している疾患、例えば、先天性慢性貧血もしくは鉄欠乏性貧血(慢性出血、潰瘍性胃炎...)または相対的もしくは完全ヘプシジン欠乏と関連している疾患、例えば、遺伝性ヘモクロマトーシスを診断するために使用できる。
【0058】
本発明はまた、イムノアッセイを実施するための1種または複数の装置および/または試薬と関連している本発明の抗原結合タンパク質を含むキットを提供する。例えば、本発明のキットは、固相支持体、例えば、組織培養プレートまたはビーズ(例えば、セファロースビーズ)とカップリングしている本発明の抗原結合タンパク質およびイムノアッセイを実施するための試薬を含み得る。
【0059】
本発明の抗原結合タンパク質は、ヘプシジンとフェロポーチンの結合を阻害でき、医薬としても使用できる。それらは、過剰のヘプシジンと関連している疾患、特に、癌における貧血、腎不全における貧血および慢性疾患における貧血の治療にとって有用である。慢性疾患における貧血は、炎症における貧血としても知られ、同様に、入院患者において最も頻度の高い貧血である。この軽度から中程度の正球性から小球性の貧血は、慢性免疫活性化と関連している疾患、例えば、関節リウマチをはじめとする自己免疫障害、および悪性腫瘍およびHIVをはじめとする慢性感染症を患う患者において8%から95%の頻度で見られる。
【0060】
したがって、本発明は、それを必要とする患者において貧血を治療する方法であって、前記患者に、ヘプシジンとフェロポーチンの結合を阻害できる、本発明の抗原結合タンパク質の治療上有効な量を投与するステップを含む方法を提供する。
【0061】
本発明の抗原結合タンパク質によって治療可能な状態として、例えば、慢性疾患における貧血、腎臓機能の低下または喪失(慢性腎不全)と関連している貧血、骨髄抑制性治療、例えば、化学療法薬または抗ウイルス薬(例えば、AZT)と関連している貧血、非骨髄性癌の進行と関連している貧血、ウイルス感染(例えば、HIV)と関連している貧血、クローン病の患者における貧血、慢性免疫活性化を伴う貧血、老人性貧血および熱傷における貧血が挙げられる。
【0062】
本発明はまた、本発明の抗原結合タンパク質を含む医薬組成物を提供する。本発明の抗原結合タンパク質は、それ自体で投与してもよく、医薬上許容される担体または賦形剤(単数または複数)と混合してもよい。それらは、全身に使用してもよく、局所的に使用してもよい。好ましい投与経路として、例えば、筋肉内、皮下、静脈内または腹膜内注射をはじめとする非経口経路がある。経口経路もまた、医薬が、有効成分を胃腸酵素から保護できる、経口投与に適した形態であるという条件で使用してよい。
【0063】
本発明を、以下の、モノクローナル抗体AN−LP1を説明する実施例に言及するさらなる説明によってさらに示す。しかし、これらの実施例は、単に、本発明の例示として与えられるものであって、決して、その制限を成すものではないと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】AN−LP1のヘプシジン結合特性をELISAによって試験した結果を示す。
【図2】SDS−PAGEによるAN−LP1の解析結果を示す。
【図3】ドットブロットによるAN−LP1の解析結果を示す。
【図4】ウエスタンブロットによるAN−LP1の解析結果を示す。
【図5】免疫組織化学によるAN−LP1の解析結果を示す。
【図6】Aは、ヘプシジンの活性について抗フェロポーチン抗体を用いたウエスタンブロット解析の結果を示す。Bは、無関係の抗体HPC4と、Cは、抗体AN−LP1とともにそれぞれプレインキュベーションしたヘプシジンのフェロポーチン分解能の分析結果を示す。
【図6D】漸増濃度のAN−LP1の効果を示す。
【図7】ヘプシジンとAN−LP1の相互作用についての分析結果を示す。
【実施例】
【0065】
<実施例1>
抗ヘプシジン抗体AN−LP1製造および特徴決定:
ハイブリドーマCNCM I−3794によって産生されたAN−LP1のヘプシジン結合特性をELISAによって試験した。合成ヒトヘプシジン−25を、100mM炭酸バッファー、pH9.5中、1〜10マイクログラム/mlの濃度で96ウェルボックスにコーティングした。ウェルの一部は、無関係のペプチド(PELAPVSSNLKYTLDC、配列番号10)でコーティングし、特異的成分の測定されるシグナルが調べられるようにする。一晩接触させた後、PBS/0.05%tween20の溶液でウェルを3回洗浄し、0.1M Tris20%、スクロースpH7.8の溶液で満たす。マウス血清を、10倍連続希釈物を用いて2連で加える。6時間インキュベートした後、ウェルをPBS0.05%、tween20の溶液で3回洗浄し、PBS、0.1% BSA、0.01% Tween20で1/5,000に希釈した、ペルオキシダーゼとカップリングしている抗マウス抗体(Biosource)を、さらに1時間30分から2時間加えた。抗体の結合は、基質としてABTS[2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンズチアゾリン−6−スルホン酸)]を使用して示し、読み取りは405nmで実施した。
【0066】
結果は、図1によって示されている。それらは、AN−LP1は、ウェルにコーティングされたヒトヘプシジン−25と特異的に結合し、対照ペプチドとは結合しないことを示す。
【0067】
抗体を産生するハイブリドーマCNCM I−3794の細胞を、AN−LP1抗体の腹水製造のために使用した。マウスをプリスタン0.5mlのIP注射で処置し、8日後、10個ハイブリドーマ細胞を注射した。2週間後、腹水を取り出し、カプリル酸を用いた連続沈殿の技術によって抗体を精製した。カプリル酸は、分子量100〜120kDa未満のタンパク質を沈殿させる。沈殿を沈降させ、次いで、上清中に存在する免疫グロブリンを、硫酸アンモニウムを45%(w/v)最終濃度で使用して沈殿させた。これらの2種の連続沈殿によって、2匹のマウスから出発して、30ミリグラムの精製抗体を得ることが可能となる。
【0068】
分泌されるAN−LP1免疫グロブリンは、IgG1κである。SDS−PAGEによる分析の結果は、図2に示されている。これらの結果は、AN−LP1が、IgGの従来の特徴(重鎖50kDa、軽鎖25kDa)を呈することを示す。
【0069】
抗体をより特性決定するために、さらなる実験を実施した。
【0070】
1−ドットブロット解析:
合成ヒトヘプシジン(100〜500ng)または合成マウスヘプシジン(500ng)のサンプル(Peptide International,Louisville,KY,USA)または炎症性疾患の患者から得た、もしくは健常ボランティアから得た10もしくは40μlの血清のサンプルを使用した。一実験では、合成ヒトヘプシジンの1サンプル(500ng)を、Laemmliバッファーで処理した。このサンプルを、ニトロセルロースメンブレンに直接スポットし、一晩乾燥させた。メンブレンをTBS−T中5%スキムミルクに浸漬すること(室温で、1時間)によって非特異的部位をブロッキングした。
【0071】
一次抗体(AN−LP1抗体、またはヒトタンパク質CのエピトープEDQVDPRLIDGK(配列番号11)に対して作製された無関係抗体HPC4)を、6mg/mlの溶液からの1:200の希釈で加えた。インキュベーションを室温で2時間または+4℃で一晩実施した。
【0072】
TBS−Tで3回洗浄した後、メンブレンを、西洋ワサビペルオキシダーゼとコンジュゲートしている二次抗体(1:5000)とともに室温で1時間インキュベートした。
【0073】
シグナルを、ECL試薬を使用した化学発光と、それに続くオートラジオグラフィーによって可視化した。
【0074】
結果は、図3に示されている。これらの結果は、以下を示す:
−抗体AN−LP1を用いたヘプシジンの顕色は、特異的である(無関係抗体HPC4を用いてシグナルはない)ということ
−抗体AN−LP1を用いたヘプシジンの顕色には、ペプチドの天然構造が必要である(サンプルをLaemmliで処理した場合にシグナルはない)ということ
−抗体AN−LP1は、マウスヘプシジン−25と交差反応しないということ、
−ヒトサンプル由来の血清ヘプシジンは、抗体AN−LP1によって十分に認識されるということ。
【0075】
2−ウエスタンブロット解析:
合成ヒトまたはマウスヘプシジン(Peptide International)のサンプルを、非還元状態で16% Novex(登録商標)Tricineゲルで分離し、PVDFメンブレンで室温で1時間ブロッティングを実施した。メンブレンをTBS−T中5%スキムミルクに浸漬することによって非特異的部位をブロッキングした(室温で、2時間)。
【0076】
一次抗体(1:100に希釈したAN−LP1抗体、6mg/ml)とともにインキュベーションを+4℃で一晩実施した。
【0077】
TBS−Tで3回洗浄した後、メンブレンを、西洋ワサビペルオキシダーゼとコンジュゲートしている二次抗体(1:5000)とともに室温で1時間インキュベートした。
【0078】
シグナルを、ECL試薬を使用した化学発光と、それに続くオートラジオグラフィーによって可視化した。
【0079】
結果は、図4に示されている。これらの結果は、AN−LP1抗体は、ウエスタンブロット解析においてヒトヘプシジンを検出するために効率的であるということを示し、これは産物の正しい大きさ(25AAのペプチドについて約3kDa)およびヘプシジンの二量体に対応する可能性が最も高いさらなるバンドを明らかにしている。対照的に、マウスヘプシジンのシグナルは観察されず、このことから、ドットブロット解析の結果が確認される。
【0080】
3−免疫組織化学:
免疫化学を、パラフィン包埋ヒト肝臓で実施した。AN−LP1抗体は、1:50希釈で、+4℃で一晩使用した。西洋ワサビペルオキシダーゼとコンジュゲートしている二次抗体とともにインキュベーションした後、ジアミノベンジジンを用いて切片を明らかにした。
【0081】
結果は、図5に示されている。これらの結果は、AN−LP1抗体は、ヒト肝臓バイオプシーにおいてヘプシジンを明らかにするのに効率的であることを示す。
【0082】
<実施例2>
抗体AN−LP1の機能特性:
ヘプシジン生物活性についてのスクリーニング試験を開発した。この試験は、ヘプシジンの、鉄排出輸送体、フェロポーチンを分解する能力に基づいている。ヘプシジンの存在下で、フェロポーチンを発現するマクロファージ(J774マウス細胞株)を数時間の間インキュベーションすることからなる。ヘプシジンが生物学的に活性である場合は、フェロポーチンと結合し、その分解を誘導する。
【0083】
より詳しくは:
J774細胞を、200μMの鉄−NTAで一晩処理して、フェロポーチン産生を誘導した。合成ヘプシジン−25(100nM)を単独で、もしくはKLH(200nM)と連結させて、またはKLH(100nM)と連結させた無関係ペプチドを、細胞培養物に加えた。ペプチドを加えていない培養物を対照として使用した。
【0084】
37℃で5時間インキュベートした後、細胞を洗浄し、次いで、溶解させた。膜抽出物を調製し、抗フェロポーチン抗体を用いたウエスタンブロットによって分析した。結果は、図6Aに示されている(レーン1:対照)。
【0085】
これらの結果は、単独またはKLHと連結しているヘプシジンは、フェロポーチン分解を誘導するが、無関係ペプチドは効果がないことを示す。
【0086】
細胞培養物に添加する前に、3または30μgのAN−LP1または無関係の抗体HPC4とともに、37℃で1時間プレインキュベートした合成ヘプシジン−25(100nM)を用いて、同じ実験を反復した。
【0087】
結果は、図6B(無関係の抗体HPC4とともにプレインキュベートしたヘプシジン)および6C(抗体AN−LP1とともにプレインキュベートしたヘプシジン)および6D(漸増濃度のAN−LP1の効果)によって示されている。
【0088】
これらの結果は、ヘプシジンは、通常、無関係の抗体の存在下でフェロポーチンの分解を誘導し、AN−LP1抗体とヘプシジンの結合は、その作用を中和し、そのようにして、フェロポーチンの内部移行および分解を妨げることを示す。
【0089】
<実施例3>
ヘプシジン/AN−LP1相互作用の親和性
センサー表面へのリガンドの固定化
AN−LP1親和性定数および抗体−抗原相互作用を推定するために、表面プラズモン共鳴(SPR)測定を、カルボキシメチル化デキストランCM5チップを使用するBIAcore2000装置(BIAcore、Piscataway,NJ)を用いて実施した。5mMのマレイン酸バッファー(pH5.75)で2μg/mlに希釈したAN−LP1を、アミンカップリングによってCM5チップに上に固定化した。
【0090】
結合アッセイおよびデータ解析
ヘプシジンは、ランニングバッファーHBS−EP(0.01M HEPES pH7.4;0.15M NaCl、3mM EDTAおよび0.005%ポリソルベート20)で希釈した。3分、60μL/分で、分析物を注入し、10分間解離をモニターした。グリシン−HCL10mM pH2の30秒〜1分間の注入によって表面Abが生じた。精製抗体を用いて動態速度定数を決定した。濃縮したヘプシジン(0.39nM対12.5nM)を、60μL/分の速度でチップ表面上に注入し、結合データを集めた。データ分析は、BIAevaluation 3.0ソフトウェアを用いて実施した。
【0091】
結果は図7に示されている。ヘプシジンの濃度は各曲線に示されている(Blk=ブランク)。
【0092】
AN−LP1の親和性定数(Kd)は、9.9×E−11Mである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトヘプシジン−25と結合できること、ならびにハイブリドーマCNCM I−3794によって産生された抗体AN−LP1の重鎖のVH−CDR3および軽鎖のVL−CDR3を少なくとも含むことを特徴とする抗原結合タンパク質。
【請求項2】
抗体AN−LP1の重鎖のVH−CDR1および軽鎖のVL−CDR1をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項3】
抗体AN−LP1の重鎖のVH−CDR2および軽鎖のVL−CDR2をさらに含むことを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項4】
a)ハイブリドーマCNCM I−3794によって産生されたモノクローナル抗体AN−LP1、
b)抗体AN−LP1の抗原結合断片、
c)AN−LP1から得られたキメラまたはヒト化抗体、
d)上記の抗体c)の抗原結合断片
の間から選択されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項5】
ヘプシジンとフェロポーチンの結合を阻害できる、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質をコードするポリヌクレオチド。
【請求項7】
請求項6に記載のポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質を発現する細胞。
【請求項9】
ハイブリドーマCNCM I−3794である、請求項8に記載の細胞。
【請求項10】
請求項7に記載の発現ベクターによって形質転換された宿主細胞である、請求項8に記載の細胞。
【請求項11】
請求項1から5のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質を調製する方法であって、請求項8から10のいずれか一項に記載の少なくとも1種の細胞を培養するステップと、前記培養物から前記タンパク質を回収するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
生体サンプル中のヘプシジンを検出するための、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質の使用。
【請求項13】
異常なヘプシジンレベルと関連している疾患のin vitro診断のための、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質の使用。
【請求項14】
医薬として使用するための、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6D】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−539969(P2010−539969A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527569(P2010−527569)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際出願番号】PCT/IB2008/003310
【国際公開番号】WO2009/044284
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(599176506)アンセルム(アンスチチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル) (23)
【出願人】(508192256)
【Fターム(参考)】