説明

ヒト前立腺腺癌治療用医薬組成物

【課題】 ヒト前立腺癌の治療にて有用な医薬組成物の提供。
【解決手段】 17β−(N−t−ブチルカルボキシアミド)−5−α−アンドロスト−1−エン−4−アザー3−オンの5−α−レダクターゼ抑制化合物と医薬上許容される担体とを含有してなるヒト前立腺癌治療用医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はステロイド5−α−レクターゼ抑制化合物を使用することによってヒト前立腺腺癌を治療する新規医薬組成物および方法に関する。
【従来技術】
【0002】
アンドロゲン類として知られているステロイドホルモン類は、雄性と雌性を区別する生理学的特徴の原因となる。アンドロゲン類を生産するいくつかの器官のうち、睾丸はこれらのホルモンを最も多量に生産する。脳の中枢は、アンドロゲン生産量の主要な制御を及ぼす。多くの物理的発現および疾患状態は、効果のない生産制御によって過剰のアンドロゲンホルモンが生産される場合に起こる。例えば、尋常性座瘡、脂漏症、女性多毛症および良性前立腺肥大は、高いアンドロゲンレベルと関連している。さらに、男性型禿頭症の罹病率は高いアンドロゲンレベルと関連していた。
【0003】
テストステロンは睾丸によって分泌される主要なアンドロゲンであり、雄性の血漿中の主要なアンドロゲン性ステロイドである。現在、5−α−還元アンドロゲン類は前立腺および脂腺のようないくつかの組織中の活性ホルモンであることが知られている。かくして、循環テストステロンは、これらの組織中のジヒドロテストステロン(DHT)、その5−α−還元アナログに関するプロホルモンとして供するが、筋肉および睾丸のような他の組織中においては供しない。ステロイド5−α−レダクターゼはテストステロンをDHTに変換するNADPH−依存性酵素である。雄性の研究におけるこの酵素の重要性は、雄性偽半陰陽者における遺伝的ステロイド5−α−レダクターゼ欠乏の発見によって劇的に強調された。インペラト−マクギンリィ,ジェイ(Imperato−McGinley,J.)ら、(1979)、ジャーナル・オブ・ステロイド・バイオケミストリー(J.Steroid Biochem.)、11:637−648。
【0004】
種々の疾患状態における高いDHTレベルの重要性の認識はこの酵素のインヒビターを合成する多くの試みを刺激した。
【0005】
開示された最初のインヒビターは、1973年にヒサ(Hisa)およびボイト
(Voight)による4−アンドロステン−3−オン−17β−カルボン酸であった。ジャーナル・オブ・インベスティゲイティブ・ダーマトロジー(J.Invest.
Dermat.)、62:224−227。(4R)−5,10−セコ−19−ノルプレグナ−4,5−ジエン−3,10,20−トリアンは開示されるべき次のインヒビターであり、5−α−レダクターゼに対する親和性標識としての利用性も判明した。ロバイヤー,ビー(Robaire,B.)ら、(1977)、ジャーナル・オブ・ステロイド・バイオケミストリー、8:307−310。(5α,20−R)−4−ジアゾ−21−ヒドロキシ−20−メチルプレグナン−3−オンはステロイド5−α−レダクターゼの有効な時間依存性インヒビターとして報告された。ブローム,ティ・アール(Blohm,T.R.)ら、(1980)、バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーション(Biochem.Biophys.Res.Comm.)、95:273−280;米国特許第4,317,817号、1982年3月2日。17β−N,N−ジエチルカルボモイル−4−メチル−4−アザ−5−α−アンドロスタン−3−オンは、1983年3月22日に発行された米国特許第4,377,584号およびリアン,ティ(Liang,T.)ら、(1983)、ジャーナル・オブ・ステロイド・バイオケミストリー、19、385−390に開示されているステロイド5−α−レダクターゼの4−アザステロイドインヒビターの群の典型例である。17α−アセトキシ−6−メチレンプレグン−4−エン−3,20−ジオンはステロイド5−α−レダクターゼの時間依存性不活性化剤であることが判明した。ペトロウ,ブイ(Petrow,V.)ら、(1981)、ステロイズ(Steroids)、38:121−140。
【0006】
他のステロイド5−α−レダクターゼインヒビター類も開示されている。1986年6月2日に発行された米国特許第4,361,578号には、ある種のホモステロイド酵素インヒビター類が開示されている。米国特許第4,191,759号には、ステロイド5−α−レダクターゼインヒビター類として活性である17β−カルボキシ−4−アンドロステン−3−オンのアミド類が開示されている。日本特許J60146855−AおよびJ60116657−Aには、5−α−レダクターゼ抑制活性を含む多数の活性を有する種々のアニリン誘導体類が開示されている。日本特許I60142941−Aには、5−α−レダクターゼ抑制活性を有するフェニル置換ケトン類が開示されており、欧州特許EP173516−Aには、同様の活性を有する種々のフェニル置換アミド類が開示されている。シセイド(Shiseido)はステロイド5−α−レダクターゼの活性なインヒビターであるテルペン誘導体を引用した。日本特許J59053417−A。
【0007】
ステロイド5−α−レダクターゼの抑制が哺乳動物における前立腺腺癌への治療効果を生じるであろうと仮定されているが立証されておらず[ノーベル・アプローチズ・トゥ・キャンサー・ケモテラピー(Novel Approaches to Cancer
Chemoterapy)、発行:アカデミック・プレス・インコーポレイテッド(Academic Press,Inc.)、(1984)、第8章、ブイ・ペトロウ(V.Petrow)およびジー・パディラ(G.Padilla)、5−α−レダクターゼ:ア・ターゲット・エンザイム・フォー・プロスタティック・キャンサー(5−α−reductase:A target enzyme for Prostatic Cancer)]、しかし、反対の証拠は公開されている[リアン,ティ(Liang,t.)ら、(1985)、エンドクリノロジー(Endocrinology)、117、第2号:571−579]。
【0008】
今、ステロイド5−α−レダクターゼインヒビターがヒト前立腺腺癌への治療効果を有することが発見された。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ステロイド5−α−レダクターゼ抑制化合物類がヒト前立腺腺癌への治療効果を有するという発見にある。
【0010】
本発明は、ステロイド5−α−レダクターゼインヒビター類ならびに医薬担体および本発明の方法で有用な化合物または化合物類の混合物からなる医薬組成物配合物に関する。
【0011】
ステロイド5−α−レダクターゼのインヒビターまたはステロイド5−α−レダクターゼのインヒビター類の混合物はヒト前立腺腺癌を治療するための医薬組成物において使用される。
【0012】
医薬的に許容される付加塩のような、イン・ビボで親化合物を生じるかまたはそれら自体有用であるこれらの化合物の誘導体にも関する。塩基性基を含有するこれらの化合物の塩類は当技術分野で知られている方法によって塩基性化合物の存在下、有機酸または無機酸で形成される。例えば、エタノールのような水性混和性溶媒中、無機酸または有機酸と該化合物を反応させ、溶媒を除去することによって塩の単離を行うか、あるいは該酸がそれに溶解する場合は、エチルエーテルまたはクロロホルムのような水性不混和性溶媒中、無機酸または有機酸を反応させ、所望の塩を、直接分離するかまたは該溶媒を除去することによって単離する。本発明に含まれる酸付加塩の例は、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩および硝酸塩が挙げられる。酸性基を含有する本発明の化合物の医薬的に許容される塩基付加塩は、公知の方法によって、非毒性アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩基、例えば水酸化カルシウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム;水酸化アンモニウム、およびトリエチルアミン、ブチルアミン、ピペラジン、および(トリヒドロキシメチル)メチルアミンのような非毒性有機塩基を含む有機塩基および無機塩基から調製される。プロドラッグ誘導体としては、O−エステル類、特に各アルカノイル基に炭素原子2〜8個を有するトリ−O−低級アルカノイルエステル;O−メチルエーテル類または硫酸エステル類が挙げられる。分離されたRおよびS立体異性体も有用である。
【0013】
ステロイド5−α−レダクターゼインヒビターであると考えられる化合物としては、
17β−(N−t−ブチルカルボキシアミド)−5−α−アンドロスト−1−エン−4−アザ−3−オン、
(20R)−ヒドロキシメチル−4−メチル−4−アザ−5−アルファ−プレグナン−3−オン、
17β−(N,N−ジイソプロピルカルボキシアミド)−5−α−8(14)−アンドロステン−4−メチル−4−アザ−3−オン、
17β−(N−t−ブチルカルボキシアミド)−5−α−8(14)−アンドロステン−4−メチル−4−アザ−3−オン、
17β−(N,N−ジイソプロピルカルボキシアミド)−3−ニトロ−5−α−アンドロスト−3−エン、
【0014】
17β−(N−t−ブチルカルボキシアミド)−3−ニトロ−5−α−アンドロスト−3−エン、
17β−(N,N−ジイソプロピルカルボキシアミド)−3−ニトロ−5−α−アンドロスト−2−エン、
17β−(N−t−ブチルカルボキシアミド)−アンドロスト−3,5−ジエン−3−カルボン酸またはその塩、
17β−(N,N−ジイソプロピルカルボキシアミド)−アンドロスト−3,5−ジエン−3−カルボン酸またはその塩、
17β−(N,N−ジイソプロピルカルボキシアミド)−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−カルボン酸またはその塩、
【0015】
17β−(N−t−ブチルカルボキシアミド)−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−カルボン酸またはその塩、
17β−(N,N−ジイソプロピルカルボキシアミド)−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−スルホン酸またはその塩、
20−α−(ヒドロキシメチル)−A−ノル−5−α−プレグン−1−エン−2−カルボン酸またはその塩、
17β−(N−t−ブチルカルボキシアミド)−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−スルホン酸またはその塩、
17β−(N,N−ジイソプロピルカルボキシアミド)−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−ホスホン酸またはその塩、
【0016】
17β−(N−t−ブチルカルボキシアミド)−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−ホスホン酸またはその塩、
17β−(N,N−ジイソプロピルカルボキシアミド)−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−ホスフィン酸またはその塩、
17β−(N−t−ブチルカルボキシアミド)−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−ホスフィン酸またはその塩、
17β−(N−t−ブチルカルボキシアミド)−アンドロスト−3,5−ジエン−3−ホスフィン酸またはその塩、
17β−(N,N−ジイソプロピルカルボキシアミド)−アンドロスト−3,5−ジエン−3−ホスフィン酸またはその塩、
【0017】
17β−(N−t−ブチルカルボキシアミド)−アンドロスト−3,5−ジエン−3−ホスホン酸またはその塩、
17β−(N,N−ジイソプロピルカルボキシアミド)−アンドロスト−3,5−ジエン−3−ホスホン酸またはその塩、
(E)−17β−(N,N−ジイソプロピルカルボキシアミド)−アンドロスト−4−エン−3−イリデン−酢酸またはその塩、
17β−(N,N−ジイソプロピルカルボキシアミド)−アンドロスト−3,5−ジエン−3−酢酸またはその塩、
(Z)−17β−(N,N−ジイソプロピルカルボキシアミド)−アンドロスト−4−エン−3−イリデン−酢酸またはその塩、
【0018】
17β−(N,N−ジイソプロピルカルボキシアミド)−5α−アンドロスト−2−エン−3−酢酸またはその塩、
(Z)−17β−(N,N−ジイソプロピルカルボキシアミド)−5α−アンドロスト−3−イリデン−酢酸またはその塩、
17β−(N,N−ジイソプロピルカルボキシアミド)−5α−アンドロスト−3−エン−3−酢酸またはその塩、
17β−(N−t−ブチルカルボキシアミド)−5α−アンドロスト−2−エン−3−酢酸またはその塩
が挙げられる。
【0019】
当業者は、公知の方法によって、化合物がステロイド5−α−レダクターゼインヒビターであるかを容易に決定することができる。全てのこのような化合物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0020】
ステロイド5−α−レダクターゼインヒビター類はヒト前立腺腫瘍の大きさを減少させるので、それらはヒト前立腺腺癌を治療する際に治療的利用性を有する。 ヒト前立腺腺癌を治療する際のそのイン・ビボ効力について17β−(N−t−ブチルカルボキシアミド)−アンドロスト−3,5−ジエン−3−カルボン酸(化合物A)を試験した。
【0021】
ヒト前立腺腺癌モデルについて実験を行うために、合計80匹のヌードマウスを使用した。これらの動物の各々にPC−82ヒト前立腺腺癌を脇腹に接種し、腫瘍が約0.5cc3の大きさになるまで(接種後約50日間)処置を行わなかった。この期間の後、80匹の動物のうち60匹を去勢した。長さ1cmのテストステロン充填サイラスティックカプセルを去勢動物20匹の脇腹に皮下移植し、長さ2cmのジヒドロテストステロン充填サイラスティックカプセルを去勢動物20匹の脇腹に皮下移植した。80匹の動物を以下の8グループにした。
【0022】
グループ1 − 賦形剤だけを1日2回給餌した無傷ラット(無傷対照)。
グループ2 − 賦形剤を1日2回給餌したが、テストステロンまたはジヒドロテストステロンカプセルを移植しなかった去勢ラット(去勢対照)。
【0023】
グループ3 − 化合物(A)(BID)50mg/kgを給餌した無傷ラット。
【0024】
グループ4 − 化合物(A)(BID)50mg/kgを給餌したが、テストステロンまたはジヒドロテストステロンカプセルを移植しなかった去勢ラット。
【0025】
グループ5 − 賦形剤を1日2回給餌し、テストステロンカプセルを移植した去勢ラット。
【0026】
グループ6 − 化合物(A)(BID)50mg/kgを給餌し、テストステロンカプセルを移植した去勢ラット。
【0027】
グループ7 − 賦形剤を1日2回給餌し、ジヒドロテストステロンカプセルを移植した去勢ラット。
【0028】
グループ8 − 化合物(A)(BID)50mg/kgを給餌し、ジヒドロテストステロンカプセルを移植した去勢ラット。
【0029】
該動物に5−α−レダクターゼ抑制化合物を1日2回(BID)、連続5週間投与した。プロピレングリコールに該試験化合物を溶解し、水中で希釈した。1週間に2回、カリパスによって腫瘍の量を測定した。治療期間の終了後、該動物から血液を採取し、該動物を殺し、腹側前立腺を切除し、計量し、公知の方法で血清アンドロゲンレベルを測定した。エウィング(Ewing)ら、エンドロクリノロジー(Endocrinology)、113:2004−2009、1983。
【0030】
化合物(A)で処置したヌードマウスは、通常、ステロイド5−α−レダクターゼのインヒビターに関連する他の治療効果に加えて、移植されたPC−82ヒト前立腺腺癌の大きさの有意な減少を実現した。かくして、ステロイド5−α−レダクターゼ抑制化合物の投与によって、ヒト前立腺腺癌への治療効果が得られる。
【0031】
本発明の化合物および混合物は、カプセル、錠剤または注射用調製物のような好都合な投与形態に一体化される。固形または液状医薬担体を使用する。固形担体としては、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム・二水和物、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸が挙げられる。液状担体としては、シロップ、落花生油、オリーブ油、食塩水および水が挙げられる。同様に、担体または希釈剤としては、単一またはワックスと一緒に、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルのようないずれの持続性放出型物質も挙げられる。固形担体の量は広く変わるが、好ましくは、投与ユニット当たり約25mg〜約1gであろう。液状担体を使用する場合、調製物は、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤、ゼラチン軟カプセル、アンプル剤のような無菌注射用液体、または水性または非水性懸濁液の形態であろう。
【0032】
医薬調製物は、成分を混合し、顆粒化し、錠剤形態について必要な場合には打錠するか、または適当な場合には成分を混合し、充填し、溶解して所望の経口または非経口生成物を得ることを含む薬化学者の慣用技術に従って製造する。
【0033】
上記の医薬的投与ユニット中の本発明の化合物および混合物の投与量は、各活性化合物0.1〜1000mg/kg、好ましくは1〜100mg/kgの範囲から選択される有効な非毒性量であろう。選択された投与量を、毎日1〜6回、経口で、注射によって、あるいは輸液によって連続して、前立腺腺癌の治療を必要とするヒト患者に投与する。ヒト投与用経口投与ユニットは活性化合物1〜500mgを含有するのが好ましい。より低い投与量を使用する経口投与が好ましい。しかし、より高い投与量による非経口投与も患者に対して安全かつ便利である場合に使用することができる。
【0034】
ヒト前立腺腺癌を治療する本発明の方法は、該治療を必要とする被験者にステロイド5−α−レダクターゼ抑制化合物の有効量を投与することからなる。
【0035】
以下に、本発明の化合物を試験した結果を示す。
【0036】
【表1】

【0037】
上記表中のデータはステロイド5−α−レダクターゼインヒビター類のヒト前立腺腺癌への治療効果を示す。
【0038】
以下の実施例は、ステロイド5−α−レダクターゼインヒビター類を含有する本発明の医薬組成物の調製を説明する。該実施例は、本明細書で上記に定義した、および下記請求の範囲で請求した発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0039】
実施例1
下記表2に示す割合で成分をスクリーニングし、混合し、ゼラチン硬カプセルに充填することによって、本発明化合物を投与するための経口投与形態を調製する。
【0040】
表2
成 分 使用量
17β−(N−t−ブチルカルボキシアミド)−
アンドロスト−3,5−ジエン−3−カルボン酸 100mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
ラクトース 75mg
【0041】
実施例2
10%ゼラチン溶液と一緒に下記表3に示すスクロース、硫酸カルシウム・二水和物および本発明化合物を所定の割合で混合し、顆粒化した。湿性顆粒をスクリーンにかけ、乾燥し、デンプン、タルクおよびステアリン酸と混合し、スクリーンにかけ、錠剤に打錠した。
【0042】
表3
成 分 使用量
17β−(N−t−ブチルカルボキシアミド)−
アンドロスト−3,5−ジエン−3−カルボン酸 100mg
硫酸カルシウム・二水和物 150mg
スクロース 20mg
デンプン 10mg
タルク 5mg
ステアリン酸 3mg
【0043】
実施例3
大豆油20gに17β−(N−t−ブチルカルボキシアミド)−アンドロスト−3,5−ジエン−3−カルボン酸(1.0g)を溶解し、卵リン脂質1.2gおよび最終容量を100mlにするのに充分な水と混合することによって乳化する。形成された脂質間製剤は静脈内投与に適している。
【0044】
本発明の好ましい具体例は上記によって説明されるが、本発明が本明細書に記載された厳密な説明に制限されず、以下の請求の範囲の範囲で行われる全ての変形に対する権利が保有されると解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
17β−(N−t−ブチルカルボキシアミド)−5−α−アンドロスト−1−エン−4−アザ−3−オンまたはその塩および医薬上許容される担体からなるヒト前立腺腺癌治療用医薬組成物。
【請求項2】
17β−(N−t−ブチルカルボキシアミド)−5−α−アンドロスト−1−エン−4−アザ−3−オンまたはその塩を0.1mg〜1000mgの単位投与量で含有する請求項1記載の組成物。
【請求項3】
非経口投与用の請求項1記載の組成物。
【請求項4】
経口投与用の請求項1記載の組成物。

【公開番号】特開2007−63296(P2007−63296A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−336003(P2006−336003)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【分割の表示】特願2002−65181(P2002−65181)の分割
【原出願日】平成3年6月21日(1991.6.21)
【出願人】(591002957)スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション (341)
【氏名又は名称原語表記】SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION
【Fターム(参考)】