説明

ヒト顆粒球コロニー刺激因子イソ型(HumanGranulocyte−ColonyStimulatingFactorIsoforms)

本発明は、ヒト顆粒球コロニー刺激因子の体内持続性を向上させるために作製された新規の生理活性タンパク質に関するもので、ポリペプチドと非ポリペプチドの重合体であるポリエチレングリコール(PEG)を結合したヒト顆粒球コロニー刺激因子イソ型に関するものである。本発明はポリペプチドの特定位置にポリエチレングリコールの結合ができるようにし、タンパク質の活性に影響のない配列を選んでこの配列のアミノ酸をシステインに変更又は改変して、この変更した位置にポリエチレングリコールを結合することを特徴とする。また、本発明は、上記のイソ型を含む薬剤的な組成物、これらをコードする遺伝子、アミノ酸の配列の変更のためのプライマーなどを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒト顆粒球コロニー刺激因子(以下、hG-CSFと略記する)の体内持続性を向上させた新しいhG-CSFイソ型に関することである。特に、hG-CSFのN末端またはC末端にシステインを添加したhG-CSFイソ型(isoform、アイソフォーム)に非タンパク質部分としてポリエチレングリコール(以下、PEG)を共有結合させたイソ型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生体内でヒト顆粒球コロニー刺激因子の生物学的に主な機能は、好中性顆粒球(neutrophilic granulocytes)、または好中球として知られている特定の白血球の成長と発達が行われるように刺激する機能である(Welte et al PNAS、82、1526-1530、1985; Souza et al Science、232、61-65、1986)。好中球顆粒球は血流に放出されると、微生物の感染から生物種を保護する役割をする。
【0003】
hG-CSFのアミノ酸配列はナガタら(Nature、319、415-418、1986)によって報告された。hG-CSFは、その受容体が二量体形成することで、hG-CSFと受容体が2:2で複合体(complex)を形成することができるタンパク質である(Horan et al、Biochemistry、35、4886-96、1996)。
【0004】
アリトミら(Nature、401、713-717、1999)はhG-CSFと受容体のBN-BCドメイン複合体のX線構造を示した。この報告により、hG-CSFと受容体との結合において、接触、または隣接部位に存在するhG-CSFのアミノ酸はG4、P5、A6、S7、S8、L9、P10、Q11、S12、L15、K16、E19、Q20、L108、D109、D112、T115、T116、Q119、E122、E123、L124であることが示された。
【0005】
タンパク質工学によって作製されたhG-CSFのイソ型のいくつかが報告されている(アメリカ特許番号USP5581476、USP5214132、USP5362853、USP4904584)。ライドハール-オルスンらはhG-CSFのアミノ酸配列の中でLys40、Val48、Leu49、Phe144がhG-CSFの受容体との結合に関わっていると報告した。レーイトンら(J. Biol. Chem.、2001、276、36779-36787)は、Glu46、Leu49、Phe144はhG-CSFの受容体のイムノグロブリン類似ドメイン(Ig-like domain)と接触するが、一方Lys40とVal49はドメインから離れていて、そのため、Lys40とVal49が受容体と接触するかどうかは明確ではない、と報告している。レーイトンら(J. Biol. Chem.、1999、274、17445-17451)は、hG-CSFのGlu19は受容体のArg288と相互作用して、hG-CSFの信号伝達機能をすると報告した。
【0006】
hG-CSFタンパク質に、人工的に遺伝子操作の方法を利用して、付加的な糖鎖(sugar chain)を、少なくとも一つ以上、結合させることが提示されている(USP5218092)。ポリペプチドのアミノ酸配列に、アミノ酸の置換、除去、付加などの方法で糖鎖の結合ができるようになる。
【0007】
また、hG-CSFにポリエチレンを結合させる研究が報告されている(Satake-Ishikawa et al. Cell Structure and Function、17、157-160、1992;アメリカ特許番号USP5824778、USP5824784、国際特許公開番号WO96/11953、WO95/21629、WO94/20069)。
【0008】
生体内でのポリペプチド、またはその重合体の除去は、腎臓、脾臓あるいは肝臓での除去と、受容体を介するタンパク質の分解によって行われる。その除去は、基質特異性、あるいは基質非特異性を持つタンパク質分解酵素の作用によって行われる。一般的に、生体内でタンパク質の除去は大きさ(すなわち、糸球体で濾過されないくらいの大きさ)、タンパク質分子の電荷、糖鎖の結合、細胞表面でのタンパク質の受容体などによって決まる。
【0009】
特に、腎臓での除去はタンパク質、またはその重合体の大きさ(分子の直径)、対称性、形態/硬直性、電荷などの物理的な特性によって決まる。
【0010】
受容体を介するタンパク質の分解は、受容体と結合してタンパク質が機能的な作用をしない際になされる。白血球の数が不足な初期には原始造血母細胞表面の受容体との結合により白血球への分化及び成長が起こるが、いったん白血球の数がある程度増えると、hG-CSFによる過度な白血球の分化及び成長を止めるため、白血球の表面に存在する受容体によってhG-CSFの除去が行われる。原始造血母細胞と白血球細胞の表面に存在するhG-CSFの受容体の数は約1:5の割合である。
【0011】
白血球の表面に存在する受容体によるタンパク質の除去は、受容体と結合したタンパク質が細胞の内部に入った後、エンドソームに存在するタンパク質分解酵素があるリソゾームによる分解(lysosomal degradation)によって行われる。特に、hG-CSFの受容体の結合によるタンパク質分解の研究は、セーカーとラウフェンバーガー(Mol.Pharmacol.、2003、63、147-158)、セーカー(Nature biotech. 2002、20、908-913)に記載されている。
【0012】
タンパク質の血液内での半減期を伸ばすための方法は、主要原因の腎臓で起きるタンパク質の除去と受容体結合によるタンパク質の分解とを減少することである。これは外見上分子の大きさが増やせる重合物をタンパク質に結合させることによって、腎臓で起きるタンパク質の除去を減少させて、生体内で半減期を伸ばすことができる。
【0013】
さらに、タンパク質と重合物の結合は、タンパク質分解酵素を効果的に遮ることができ、非特異的なタンパク質分解酵素の作用を防止することもできる。
【0014】
この重合物の代表的な物質であるポリエチレングリコール(PEG)は治療用タンパク質製品の創製に広く使われている重合物の一つである。タンパク質医薬品を合成高分子と結合させてタンパク質分子の表面特性を変更させると、水または有機溶媒での溶解度を増加させることができる。したがって、薬剤の生体適合性が増加されて免疫反応性を減少させることができ、生体内での安定性が高くなり、腎臓・脾臓・肝臓の腸内システムによる消失を遅くすることができる。タンパク質は分子量が小さい場合、腸内システムまたは腎臓での濾過により消失するが、高分子PEGを結合させることによって消失を防ぐことができる(Knauf、M. J. et al、J. Biol. Chem. 263:15064、1988)。したがって、タンパク質医薬品を高分子のPEGで修飾することによって、溶液内でタンパク質分子の安定性を向上させることができる。また、タンパク質の本来の表面特性を効果的に保護することができ、非特異的タンパク質の吸着を防ぐことができる。生物学的に活性があるペプチドまたはタンパク質にPEGを結合させ、タンパク質の体内の半減期を延ばすことと、タンパク質の溶解度を高めて体内での免疫反応が減少することの効果に関する研究が進められ、アメリカ特許番号USP4,179,337で初めて報告された。しかし、タンパク質とPEGが結合すると、上記の長所により、副作用がかなり減少するが、それと同時にPEGと結合したタンパク質の活性に必要な部位がPEGによって妨害され、生体活性度が非常に減少する短所がある。
【0015】
今まで広く使われているPEGは、タンパク質の表面での一つ以上のフリーのリシン残基と共有結合をして附着するが、タンパク質の表面においてタンパク質の活性と直接的に関係のある部位がPEGと結合すると、タンパク質の活性が減少することになる。また、PEGとリシン残基の結合は、ランダムに起きるので、多様な種類のPEG化されたタンパク質複合体が混合物として存在することになり、結果的に、目的の結合体を純粋に分離する過程が非常に複雑で難しくなる。例えば、ヨーロッパ特許公開番号EP0401384はPEG分子が結合されたG-CSFの製造のための物質及び方法について開示している。ヨーロッパ特許公開番号EP0335423はhG-CSF活性を持つ、変更(改変)されたポリペプチドについて開示している。しかし、上記の発明には、PEG分子を予測可能な特定の残基に結合させることができなく、PEGがリシン残基のようなタンパク質の内部にある反応基やN末端に非選択的に結合して、最終的に不均質な産物が生成するという問題がある。タンパク質の特定の部位のみにPEGを結合させるために、アメリカ特許番号USP5,766,897、及び国際特許公開番号WO00/42175では、ヒト成長ホルモンと PEGを結合させることにおいて、PEGがヒト成長ホルモンの活性部位と反応することを避けるため、PEG-マレイミド(PEG-maleimide)を利用してPEGをシステインと選択的に反応させることにした。しかし、このようなPEGを使用しようとすると、ヒト成長ホルモンにジスルフィド結合に関与しないフリーのシステイン残基が必要であるが、ヒト成長ホルモンに存在する 4個のシステイン残基はすべてジスルフィド結合しているので、ヒト成長ホルモンに人工的にシステイン残基が挿入されたヒト成長ホルモン誘導体を使ってペギレーション (pegylation)反応を起こした。さらに、アメリカ特許番号USP6555660、USP6753165、アメリカ特許公開番号US2005/0058621、韓国特許公開番号KR2002-0079778などでも、hG-CSFの数個所のアミノ酸配列をシステインに置換したことが開示されている。
【0016】
一方、ボウェンらは、ポリエチレンが重合されたhG-CSFで、ポリエチレンの分子量と薬剤の持続性との関連性を示した。インビトロ実験で、タンパク質治療剤の薬効とタンパク質に結合したポリエチレンの分子量には、負の相関関係があることを示した。しかし、生体内での活性は、分子量と正の相関関係があった。これは、生理活性タンパク質の重合体が、受容体に媒介されるタンパク質の分解において、低い親和性を持つことによって半減期が延長されると考えられる。したがって、これらのhG-CSFの重合体は生体内で好中球の回復をもたらすにもかかわらず、インビトロ実験での活性は、重合体を形成しないhG-CSFより低くなっている。
【0017】
最近20kDa PEGをN末端に結合させて変更した、hG-CSFが開発と販売されている(Neulasta)。PEGが重合されたhG-CSFは半減期が延長するので投与回数を減らすことができた。
【0018】
市販中のhG-CSFでは、大膓菌由来のフィルグラスチム(filgrastim:商品名GranとNeupogen)、動物細胞である中国ハムスター卵巣細胞(Chinese Hamster Ovary、CHO)から生産されたレノグラスチム(lenograstim:商品名NeutroginとGranocyte)、またhG-CSFタンパク質の薬効を向上させるため、N末端側に5個のアミノ酸配列で突然変異を起こした、大膓菌由来のナルトグラスチム(nartograstim:商品名Neu-up)などがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従来の技術は、アミノ酸配列を変更したhG-CSFの活性が低下すること、または生体内での半減期が十分ではないこと、PEGをhG-CSFに結合させて生成された産物が不均一であること、などの問題点が依然として解決されてない状況である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
したがって、本発明はこのような従来技術の問題点を解決し、アミノ酸配列を変更(改変)したhG-CSFにPEGを結合させることによって、活性が優秀で、生体内での半減期が従来に比べて大幅に延長されたhG-CSFイソ型に関するものである。hG-CSFへのPEGの結合を容易にするため、特定のアミノ酸配列をシステインに置換または付加して変更し、その変更された部位が部分的にPEGと結合したhG-CSFイソ型を得ることができる。従来には、hG-CSFイソ型はたいていポリペプチドの配列を変更して、特定部位に適当なアミノ酸にペギレーションすることで生体内の活性や持続性を向上させてきたが、本発明ではhG-CSFのポリペプチドの両末端にアミノ酸を付加して、ここにペギレーション(PEGylation)することによって、従来のイソ型より生体内活性または持続性がより向上することに着目して新規なhG-CSFイソ型を完成した。
【0021】
本発明によれば、特に、アミノ酸配列番号1として表示されるhG-CSFのN末端(以下、配列番号1)のThrの前、またはそのC末端のProの次に、一つ以上のアミノ酸を付加し、上記の付加したアミノ酸の中の一つ以上はシステインであり、上記のシステインの中の少なくとも一つにPEGを結合させた、hG-CSFイソ型を得ることができる。
【0022】
上記の配列番号1のN末端にはMetが含まれることができることは当業者に公知のことで、Metが含まれる場合、システインは上記のN末端のMetとThrの間に付加されることができ、これらのイソ型も本発明の権利範囲に属することは当然である。
【0023】
上記配列の各々の末端には1ないし12個のアミノ酸を添加することができるが、1個のシステインを添加することが好ましく、上記のシステインはC末端に付加する175Cであることがより好ましい。
【0024】
そして、上記のPEGはhG-CSFに付加されたシステインと共有結合することが好ましい。PEGの分子量は20kDaないし40kDaであることが好ましく、特に側鎖を持ったほうがより好ましい。
【0025】
また、上記のhG-CSFは、PEGと結合する前に、一つ以上のアミノ酸を他のアミノ酸に置換されることが好ましい。
【0026】
本発明での他実施態様では、上記のhG-CSFイソ型らと薬剤的に許容される担体を含む、薬剤組成物を提供する。
【0027】
本発明での他実施態様では、上記のN末端またはC末端にシステインを付加したhG-CSFイソ型タンパク質をコードする遺伝子を提供する。
【0028】
本発明での他実施態様では、hG-CSFのアミノ酸配列を上記のhG-CSFイソ型に変更するためのプライマーとして使用するオリゴデオキシヌクレオチドを提供する。上記のプライマーは配列番号2ないし7のいずれかによって表わされるオリゴデオキシヌクレオチドであることが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
以上の本発明によるhG-CSFイソ型は、体内活性または体内持続性が大幅に向上され、薬剤の投与回数を減らす効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下で、本発明の内容を詳細に説明する。
【0031】
図1はhG-CSF遺伝子とタンパク質の配列である。アミノ酸配列番号1は図1で示したアミノ酸配列と比べて-1位置のMetのみ異なり、他の配列は同様である。
【0032】
図2はhG-CSFのN末端にアミノ酸の変更を起こしたイソ型のアミノ酸配列である。AAはアミノ酸、nはアミノ酸の数を表している。nは1ないし12の整数である。アミノ酸には少なくとも一つ以上のシステインが存在する。
【0033】
図3はhG-CSFのC末端にアミノ酸の変更を起こしたイソ型のアミノ酸配列である。AAはアミノ酸、nはアミノ酸の数を表している。nは1ないし12の整数である。アミノ酸には少なくとも一つ以上のシステインが存在する。
【0034】
図4はhG-CSFの糖鎖化された位置にアミノ酸の変更を起こしたイソ型のアミノ酸配列である。133番目であるトレオニンがシステインに置換され、このシステインにPEGが共有結合している。このようなイソ型は、従来技術として公知である(例えば、韓国特許公開番号KR2002-0079778)。
【0035】
図5はhG-CSFイソ型を発現するプラスミドベクターの構造である。プローモーターにはラムダバクテリオファージのPRが使われた。一般的に実験室で使用しているように、大膓菌で発現させるため、プラスミドベクターで発現を誘導することができるcI857遺伝子が含まれている。
【0036】
図6はhG-CSFイソ型のラットでの体内持続性を調査した結果である。対照群としてPBS担体が使われ、実験サンプルとしてT133C20kDa(Br)(G-CSFの133番目のトレオニンをシステインに置換して、上記の置換したシステインに20kDaの分枝PEGを共有結合させたもので、韓国特許公開番号KR2002-0079778の記載のG-CSFイソ型);現在市販中の、20kDaPEGをN末端に結合させたNeulasta(アムゲン社製);N+20kDa(Br)(G-CSFのN末端のメチオニンとトレオニンの間にシステインを挿入して(-1C)、上記の挿入されたシステインに20kDaの分枝PEGを共有結合させたもの);175C+20kDa(Br)(G-CSFのC末端の174番目のProの次にシステインを付加して、上記の付加したシステインに20kDaの分枝PEGを共有結合させたもの);及び175C+40kDa(Br)(G-CSFのC末端の174番目のProの次にシステインを付加して、上記の付加したシステインに40kDaの分枝PEGを共有結合させたもの)を各々PBSで希釈して調剤した後、投与当日に測定された体重を基準として100ug/kg用量で、ラットの尾静脈に投与した。薬剤は試験開始日に1回投与した。
【0037】
本発明者らはhG-CSFタンパク質の構造とhG-CSFを形成するアミノ酸の活性に対する影響について研究を行った。本発明のために、hG-CSFを構成するアミノ酸の活性に対する効果に関する情報、アミノ酸配列の変更と、それによるタンパク質構造への影響を判断するため、GOR4タンパク質の2次構造分析予測法(http: us.expasy.orgのsecondary structure prediction内のGOR program)の結果資料を参考とした。
【0038】
本発明で使われた用語であるhG-CSFイソ型には、hG-CSFの本来のアミノ酸配列の残基が他のアミノ酸残基に変更されていても、その本来の活性を維持する限り、類似体(analogs)、変異体(variants、mutants)、結合体(conjugates)などが含まれる。
【0039】
本発明の明細書に使われたアミノ酸の三文字(一文字)は生化学分野での標準略語規定にしたがって、次のアミノ酸を表わす:
Ala(A): アラニン; Asx(B): アスパラギン、またはアスパラギン酸; Cys(C): システイン; Asp(D): アスパラギン酸; Glu(E): グルタミン酸; Phe(F): フェニルアラニン; Gly(G): グリシン; His(H): ヒスチジン; IIe(I): イソロイシン; Lys(K): リシン; Leu(L): ロイシン; Met(M): メチオニン; Asn(N): アスパラギン; Pro(P): プロリン; Gln(Q): グルタミン; Arg(R): アルギニン; Ser(S): セリン; Thr(T): トレオニン; Val(V): バリン; Trp(W): トリプトファン; Tyr(Y): チロシン; Glx(Z): グルタミン、またはグルタミン酸
【0040】
本明細書で“(アミノ酸一文字)(アミノ酸位置)(アミノ酸一文字)”は、hG-CSFの該当のアミノ酸位置で、前に表記したアミノ酸を、後の表記したアミノ酸に置換したという意味である。例えば、T133Cは天然のhG-CSFの133番目のトレオニンをシステインに置換したことの意味である。
【0041】
本明細書で特定部位のアミノ酸の変更を起こすためプライマーは“(アミノ酸一文字)(アミノ酸位置)(アミノ酸一文字)1または2”と表記され、ここで1は二本鎖の基質を鋳型として5’→3’方向に複製するためのプライマー(リーディング鎖)、2は3’→5’方向に複製するためのプライマー(ラギング鎖)を表わす。
【0042】
上記の過程によって得られたhG-CSF遺伝子を少なくとも一つ以上のコドンで変更することができる。本発明の明細書で変更の意味はhG-CSFをコードする遺伝子の一つまたはそれ以上のコドンを置換または付加することで、hG-CSFのアミノ酸配列に変化を起こすと定義できる。より詳しくはhG-CSFのアミノ酸配列の1番目のアミノ酸であるトレオニンの前にシステインを付加すること、C末端のプロリンの次にシステインを付加すること、これらの末端の変更に加えてさらにポリペプチド配列の中間部に変更を起こすことなどがある。
【0043】
例えば、T133Cは天然のhG-CSFの133番目のアミノ酸であるトレオニンをシステインに置換した意味である。本発明の実施態様の中で、hG-CSFで目的としたアミノ酸の変更をコードするコドンを含む合成オリゴヌクレオチドが設計されている。一般的に長さが約27-36個のヌクレオチドのオリゴヌクレオチドが使われる。より短いオリゴヌクレオチドの使用もできるが、最適のオリゴヌクレオチドは、変更をコードしているヌクレオチドの両方に、鋳型に相補的な12個ないし15個のヌクレオチドを持っている。このオリゴヌクレオチドは鋳型DNAに十分にハイブリッド形成(Hybridization)することができる。本発明で、アミノ酸の変更を起こすために使用された合成オリゴヌクレオチドは表1に記載されている。このオリゴヌクレオチドは当業界に公知の技術によって合成することができる。
【0044】
本発明の実施態様で一つのアミノ酸が変更されたhG-CSFイソ型DNAを作製する。この場合hG-CSF DNA(表1)を鋳型として、変更をコードする合成オリゴヌクレオチドをプライマー(primer)として使用してPCRを行った。PCRの変性段階(heating)で二本鎖の鋳型が分離したら、各々の一本鎖鋳型に相補的なプライマーがハイブリッド形成する。DNA合成酵素は、変更をコードするプライマーの-OH基から、鋳型に相補的なヌクレオチドを5´→3´方向に伸ばしていく。結果的に、2番目の鎖は変更をコードするプライマーを含むので、目的した変更をコードすることになる。上記の2番目の鎖はPCRの複製段階で鋳型DNAとして役割をすることになり、変更をコードする遺伝子は繰り返して増幅される。
【0045】
hG-CSFのポリペプチドのアミノ酸配列の変更をT133Cの例を挙げて説明する。T133Cは、本来のhG-CSFの133番目のアミノ酸であるトレオニンをシステインに置換した意味である。T133Cを得るために本来のhG-CSFのDNA(図1)を鋳型として用い、T133C2を有するN-termと、そしてT133C1を有するC-termとのプライマーの組合せを導入することによりPCRを行った。結果的に133番目のアミノ酸であるトレオニンがシステインのコドンに変更された二つのDNA断片が得られる。この二つのDNA断片で、N-termとC-termのプライマーの組合せでPCRを行い、133番目のアミノ酸であるトレオニンがシステインに変更されたhG-CSFイソ型T133Cの変更遺伝子が得られる。
【0046】
本発明の実施態様で、N末端またはC末端にアミノ酸を付加する。一つ以上のアミノ酸が変更されたhG-CSFの作製は、N末端とC末端で変更を起こすことができ、この変更は、N末端には図2のようにMet-(AA)n-Thr-のような配列を、C末端には図3のように-Gln-Pro-(AA)nの配列を導入することができる。ここでAAは任意のアミノ酸で分子量が小さくかつ特定の機能を持っていないアミノ酸、すなわちグリシン、セリン、アラニンなどが含まれる。なお、AAには少なくとも一つのシステインが含まれる。またnはアミノ酸の数で1ないし12の整数である。これは付加したアミノ酸によって生体内でhG-CSFが異種タンパク質として認識されて抗体を形成るために必要な最小限の数としてアミノ酸の数はおおよそ12個以上必要とするのでこの範囲を避けるため、アミノ酸の最大数が12に制限される。
【0047】
そのため、付加されたアミノ酸を持つhG-CSFの遺伝子を作製するためには、N末端の場合、Met-(AA)n-Thr-のアミノ酸配列、すなわちATG-(NNN)n-ACT-のDNA塩基配列を、C末端の場合、-Gln-Pro-(AA)nのアミノ酸配列、すなわち-CAG-CCG-(NNN)n-TAAのDNA塩基配列が含まれる。NNNは該当のアミノ酸をコードするDNA塩基配列を表す。
【0048】
このように作製されたDNA塩基配列を持つプライマーと、図1のhG-CSF遺伝子を用いて、一つ以上のアミノ酸が変更されたhG-CSF遺伝子を作製することができる。
【0049】
例えば、N末端に一つのグリシンとシステインが付加された場合、N末端のアミノ酸の配列がMet-(Gly-Cys-)Thr-になる。ここで使われるプライマーはGTAATAAATA-ATG-(GGT-TGT-)ACT-として設計することができる。図1のhG-CSF遺伝子を鋳型として、表1のC-termプライマーを用いて、上記のプライマーからMet-(Gly-Cys-)Thr-の配列を持つ変更されたhG-CSFの遺伝子を作製することができる。
【0050】
上記で作製されたhG-CSF遺伝子を、さらにN-termとC-termプライマーを用いてPCRを行う。
【0051】
他の実施態様で、上記のようにN末端またはC末端にアミノ酸を付加して、さらにhG-CSFポリペプチドの中間部の一つ以上のアミノ酸を他のアミノ酸に置換した後、PEGを結合させることができる。例えば、N末端にシステインを添加して、hG-CSFのポリペプチドの133番目のアミノ酸であるトレオニンをシステインに置換する例として、-1C/T133Cは、すでに作製した-1ChG-CSFイソ型DNAを鋳型として、プライマーをN-termとT133C2、C-termとT133C1の組合せでPCRを行う。結果的に133番目のアミノ酸であるトレオニンがシステインのコドンに変更された二つのDNA断片を得ることができる。得られた二つのDNA断片を用いてN-termとC-termのプライマーの組合せで2回目のPCRを行うと、133番目のアミノ酸であるトレオニンがシステインに変更され、N末端のトレオニンの前にシステインが付加されたhG-CSFイソ型-1C/T133Cの変更遺伝子を得ることができる。133番目以外のアミノ酸を置換したイソ型の作製も各々の該当するDNAプライマーを用いて、上記の-1C/T133Cイソ型の作製と同じ方法で得ることができる。
【0052】
N末端またはC末端に少なくとも一つ以上のシステインを含むアミノ酸が付加されたイソ型で、ポリペプチドの中間部でアミノ酸の変更を起こす部位は、既に公知の情報から利用できる。このようにhG-CSFポリペプチドの中間部の一つ以上のアミノ酸を他のアミノ酸に置換する従来技術は、韓国特許登録番号KR0248111(N末端のPEG化されたG-CSF、またはその類似体、及びその製造方法)、韓国特許公開番号2002-0007297(G-CSF結合体)、韓国特許公開番号KR2002-0079778(G-CSF結合体)、韓国特許公開番号2004-0084884((G-CSF結合体)、アメリカ特許番号USP5214132(hG-CSFのポリペプチド誘導体)、USP5416195(G-CSFのポリペプチド誘導体)、アメリカ特許公開番号US2003-0158375(G-CSFポリペプチド及び結合体)、US2004-0214287、US2005-0058621などがある。具体的に、アメリカ特許番号USP5214132、USP5416195、アメリカ特許公開番号US2004-0214287はhG-CSFポリペプチドの1、3、4、5、及び17番目のアミノ酸を各々Ala、Thr、Tyr、Arg、及びSerに置換または17番目のアミノ酸であるシステインをアラニンまたはセリンに置換している。
【0053】
これらの文献の記載した内容は本発明の参考文献として本明細書に含まれる。またこれらに記載したhG-CSFイソ型の製造方法、ペギレーション方法なども本発明の参考文献として本明細書に含まれる。
【0054】
本発明によるhG-CSFイソ型をコードするDNA配列は、本分野に公知の標準方法によって、例えば、自動DNA合成機(例、Biosearch、Applied BiosystemTM)を使って、合成することもできる。
【0055】
他の実施態様で本発明はhG-CSFイソ型をコードするDNA配列を含む組換え発現ベクター及びこのような発現ベクターによって形質転換または形質移入された宿主細胞を提供している。
【0056】
本明細書で使われた“ポリペプチド”という用語はタンパク質または生理活性タンパク質という用語で使われることができる。
【0057】
本明細書で使われた“イソ型”(isoform、アイソフォーム)は、本来の生理活性タンパク質の主要機能は保持するが、遺伝子組換え、または他の操作によって変更された生理活性タンパク質の意味である。“変更”というのは、アミノ酸配列における置換、付加及び欠失の意味で、この“変更”にはPEGを結合するためにアミノ酸をシステインに置換、または付加することが含まれる。また、上記のシステインにPEGが化学反応によって共有結合されることの意味も含まれる。
【0058】
本明細書で使われた“体内持続性”は生理活性タンパク質がヒトあるいは動物に投与された後タンパク質分解酵素及び腎臓での除去などによって初期に投与された生理活性タンパク質の総量及び活性が減少しその機能が失われるので、生理活性タンパク質が体内で機能することができるタンパク質の残留時間の意味で、体内での生理活性タンパク質の半減期として表す。
【0059】
本明細書で使われた“ベクター”と言う用語は、外来遺伝子を宿主細胞内に安定的に運ぶことができる運搬体としてのDNA分子の意味である。有用なベクターになるためには、複製可能であること、宿主細胞内に組込むことができる手段を有すること、自分の存在を検出できる手段を有することなどの条件を揃えなければならない。なお“組換え発現ベクター”という用語は一般的に外来遺伝子を宿主細胞で発現させるためベクターに繋げて作製された環状のDNA分子の意味である。
【0060】
組換え発現ベクターとしてhG-CSFの遺伝子が挿入されたDNAベクターを作製することができる。組換え発現ベクターの作製において当業界に周知のように、宿主細胞で形質導入遺伝子の発現を高めるためには、宿主内で機能を発揮する転写及び翻訳発現制御配列に該当の遺伝子が操作的に連結されなければならない。より好ましくは、発現制御配列及び該当遺伝子が細菌の選択マーカー及び複製開始点(replication origin)を同時に含む一つの発現ベクター内に含まれる。
【0061】
hG-CSFイソ型をコードする遺伝子だけでなく、上記の構成部位(すなわち、制御配列)を含む適当なベクターは基本的なDNA組換え技術で作製することができる。目的としたベクターを作製するためにはDNA断片をベクターに連結する必要がある。そのためには、まずDNA断片を制限酵素で切断した後、決まった手順と配向性を考慮して再連結しなければならない。
【0062】
DNAは適切な緩衝液で制限酵素を使って切断される。一般的に約0.2-1ugのプラスミドまたはDNA断片に約20μlの緩衝液で、制限酵素を約1-2ユニット(unit)を使う。適切な緩衝液、DNA濃度、反応時間と温度は制限酵素の製造社によって決められている。一般的に37℃で約1〜2時間ほどの反応が適当であるが一部の酵素はもっと高い温度が必要である。反応の後、酵素と他の不純物はフェノールとクロロホルムの混合物で上記の消化溶液を抽出することにより除去され、DNAはエタノールに沈澱されて水溶液層から回収される。この際、DNA断片らが機能性ベクターを形成するように繋げるためには、DNA断片の両末端が粘着末端になる必要がある。
【0063】
切断されたDNA断片は電気泳動(electrophoresis)を利用して大きさで分類及び選別される。DNAを、アガロースやポーリアクリルアミドマトリックス(matrix)を利用して電気泳動することができる。マトリックスは、分離するDNA断片の大きさによって決められる。電気泳動の後、DNAを、電気溶出(electroelution)によってマトリックスから抽出する。低溶点アガロースが使われたらアガロースを溶かしてDNAを抽出する。
【0064】
結合させるDNA断片を同じモルの量で溶液に添加する。その溶液にはATP、リガーゼ緩衝液、DNA0.5ug当たり約10ユニットのT4リガーゼ(ligase)などのリガーゼが含まれている。DNA断片をベクターに繋げるためには、まずベクターを適切な制限酵素で切断して線形化しなければならない。線形化されたベクターはアルカリ性の燐酸加水分解酵素または牛内臓加水分解酵素(Bovine intestinal hydrolase)で処理して使うことができる。このような加水分解酵素はベクターの自己ライゲーション(self-ligation)を防ぐ役割をする。この方法で作製された組換え発現ベクターで、宿主細胞を形質転換、または形質移入する。
【0065】
ポリヌクレオチドを、文献(Davis et al.、Basic Methods in Molecular Biology(1986) ; Sambrook、J.、et al.(1989) “Molecular Cloning” A Laboratory Manual 2nd edition)の基本的な実験マニュアルに記述された方法によって宿主細胞内に導入することができる。ポリヌクレオチドを宿主細胞へ導入するのに好ましい方法には、カルシウムクロライド形質転換(calcium chloride transformation)、 エレクトロポレーション(electroporation)などが含まれる。
【0066】
本発明では、宿主細胞は公知の技術を利用して、ポリペプチドの生産に適切な栄養培地で培養される。例えば、細胞は適当な培地とポリペプチドの発現、及び/または分泌が認められる条件下で、実験室または産業用発酵器で、小規模または大規模の醗酵/振とうフラスコ培養によって培養することができる。培養は公知の技術を使って、炭素、窒素供給源及び無基塩が含まれる適切な栄養培地で行われる。培地は当業者によく知られていて、市販商品、または実験室で直接製造して使うことができる。ポリペプチドが栄養培地に直接分泌されたら、ポリペプチドを培地から直接分離する。ポリペプチドが培地に分泌されなかったら、細胞の溶菌液(lysate)からポリペプチドを分離する。
【0067】
ポリペプチドは当業界に公知の方法によって分離することができる。例えば、これによって発明の範囲が制限されるのではないが、遠心分離、濾過、抽出、噴霧乾燥、蒸発、または沈澱を含めて、伝統的な方法により栄養培地から分離することができる。さらに、ポリペプチドはクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、疎水性及びサイズ排除)、電気泳動、溶解度別層分離(例えば、硫酸アンモニウム沈澱)、SDS-PAGEまたは抽出を含めて、一般的に公知な多様な方法によって精製することができる。
【0068】
精製されたhG-CSFイソ型に、次のような方法によりペギレーションさせる。
【0069】
ペギレーションに使われる、本発明の実現に適切な“非蛋白質部分”は、PEGが好ましく、特に側鎖を持つPEG(分岐PEG)が好ましい。非蛋白質部分の他の例として、これらに限定されるのではないが、ポリプロピレングリコール(polypropylene glycol、PPG)、ポリオキシエチレン(polyoxyethylene、POE)、ポリトリメチレングリコール(polytrimethylene glycol)、ポリ乳酸(polylactic acid)及びその誘導体、ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリ(アミノ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリウレタン(polyurethane)、ポリホスファジン(polyphosphazenes)、ポリ(L-リシン)[poly(L-lysine)]、ポリアルキレンオキサイド(polyalkylene oxide、PAO)、ポリサッカライド(polysaccharide)などの水溶性高分子、及びデキストラン(dextran)、ポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol、PVA)、ポリアクリルアミド(polyacryl amide)などの非免疫性高分子で構成されるグループから選択される一つまたはそれ以上を使うことができる。なお、本発明の高分子誘導体の合成に利用する生体適合性高分子の分子量は約2,000ないし100,000であることが好ましく、20,000ないし40,000であることがより好ましい。
【0070】
生体適合性高分子がG-CSFのチオール基と結合するためには、生体適合性高分子を活性化する必要があり、このため生体適合性高分子を反応性作用基と結合すさせることができる。“反応性作用基”は、目的の生物学的に活性な物質と結合させるため、生体適合性高分子を活性化させる基(group)または残基(moiety)の意味である。生体適合性高分子を生物学的に活性な物質に結合させるため、生体適合性高分子の末端基の一つを反応性作用基に転換させるが、この過程を“活性化”と言う。例えば、ポリ(アルキレンオキサイド)を生物学的に活性なタンパク質に結合させるため、ヒドロキシル末端基の一つをカボネートのような反応性基に転換することで、これによって得られた産物は活性化されたポリ(アルキレンオキサイド)になる。
【0071】
本発明で、生体適合性の非蛋白質部分高分子を活性化させるための反応性作用基は、マレイミド(maleimide)、アセトアミド(acetamide)、ペンテン酸アミド(pentenoic amide)、ブテン酸アミド(butenoic amide)、イソシアネート(isocyanate)、イソチオシアネート(isothiocyanate)、シアヌル酸クロライド(cyanuric chloride)、1,4-ベンゾキノン(1,4-benzoquinone)、ジスルフィド(disulfides)などで構成されたグループから選択することができる。
【0072】
PEGをタンパク質のチオール基と結合させる方法は一般的に公知の方法を使うことができる。
【0073】
公知の方法の例は下記のようである。例えば、PEG-マレイミド(maleimide)を使って、マイケル反応(Michael reaction)によって活性化された二重結合に、チオール基を結合させる方法がある[Ishii et al.、Biophys J. 1986、50:75-80]。また、タンパク質化学業界で広く公知のように、PEG-ヨードアセトアミド(iodoacetamide)試薬を利用した方法がある。この方法は、強酸加水分解によって、標準アミノ酸分析によって同定と定量することができる、安定した形態のPEGが結合されたシステイン誘導体である、カルボキシメチルシステインを作ることができる長所がある[Gard FRN. Carboxymethylation. Method Enzymol. 1972;B25:424-49]。上記以外にも、PEG-オルト-ピリミジル-ジスルフィドを利用して、安定した対称二硫化物を得る方法[Woghiren et al. Bioconjgate Chem 1993、50:75-80]; 活性化されたPEGである、スルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート活性化-PEGをシステインのチオール基に反応させ共有結合させる方法[アメリカ特許番号USP5,166,322];マレイミド6-アミノカプロイルエステル-活性化されたPEG4000のような活性化されたPEGを、特定部位にシステインを置換させたIL-2変異体に反応させ、システイン残基に結合させる方法[アメリカ特許番号USP5,206,344]; ガンマ-マレイミドブチル酸及びベータ-マレイミドプロピオン酸を利用して、タンパク質のチオール基を化学的に修飾する方法[Rich et al.、J. med. Chem. 18、1004、1975] などがある。
【0074】
本発明の実施態様で行ったペギレーション法は、NOF社のmPEG20,000-マレイミド、branched(分岐)mPEG20,000-マレイミド、分岐mPEG40,000を利用して、hG-CSFより20倍のモル濃度の割合で使った。反応は0.1Mの燐酸緩衝溶液(pH7-8)で、常温で2時間撹拌しながら行った。
【0075】
薬剤的に許容される担体、賦形剤または安定剤は投与用量と濃度で投与者に毒性があってはいけなく、その製剤の他の構成成分との相溶性が必要である。例えば、製剤はポリペプチドに有害であると知られた酸化剤、またはその他の物質を含有してはいけない。
【0076】
適切な担体としては、燐酸、クエン酸、及びそのほかの有機酸などのバッファー; アスコルビン酸(ascorbic acid)などの抗酸化剤; 低分子量ポリペプチド; 血漿アルブミン、ゼラチン及び兔疫グロブリンなどのタンパク質; ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)などの親水性ポリマー; グリシン、グルタミン、アルギニンまたはリシンなどのアミノ酸; グルコース、マンノースまたはデキストリンなどの単糖類、二糖類、そのほかの炭水化物; EDTAなどのキレート因子; 亜鉛、コバルトまたは銅などの金属イオン; マンニトールまたはソルビトールなどの糖アルコール; ナトリウムなどの塩-形成対イオン(counter ion); 及び/またはツイーン(Tween)、プルロニック(Pluronic)またはPEGなどの非イオン性界面活性剤などがある。
【0077】
糖鎖化したhG-CSFイソ型を治療のための投与用で使用するためには滅菌しなければならない。滅菌は滅菌濾過膜で濾過することで容易にできる。
【0078】
治療用の糖鎖化したhG-CSFイソ型組成物は、一般的に滅菌アクセスポート付きの容器、例えば、皮下注射針が貫通する隔壁が付いている静脈注射液バッグ(bag)、またはバイアル(vial)に保管しなければならない。
【0079】
本発明によるhG-CSFイソ型は非経口投与を含む、適切な技術によって動物に直接的に投与され、局所、または全身的に投与することができる。詳細な投与経路は、例えばhG-CSFイソ型の投与による副作用を認知または予想して、患者の病歴によって決めることができる。非経口投与経路には、皮下組織、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内投与経路などがある。最も好ましい投与方法は、連続的な注入(例えば、浸透圧ポンプなどのミニポンプ)または注射(例えば、静脈内または皮下組織内の経路による)の方法である。hG-CSFイソ型の場合皮下組織内への投与が好ましい。
【0080】
本発明のhG-CSFイソ型は患者に治療に効果的な用量で投与される。“治療に効果的な”という用語は、所定の状態下における所定の投与方式で目的とした治療効果を果たすのに十分な量であると定義することができる。治療に使用するhG-CSFの組成物は、治療する特定の状態、各患者の臨床条件(特に、hG-CSFの単独投与による副作用)、hG-CSFイソ型組成物の到達場所、投与方法、投与スケジュール、当業者が熟知した他の要件などを考慮し、好ましい医療行為に適合させて製造および投与されなければならない。hG-CSFイソ型の治療に効果的な量は、上記の事項を考慮して決定する。本発明のhG-CSFイソ型の一日投与量は一般的に約1ug/kgないし100ug/kgである。
【実施例】
【0081】
本発明は下記の実施例によってより具体的に示される。しかし、これら実施例はただ本発明の具体的な例で、本発明の範囲がこれによって限定されることではない。
【0082】
<実施例1> hG-CSFイソ型の作製
hG-CSFイソ型の作製のために、鋳型として使われるhG-CSFの遺伝子を合成した。ここで合成される遺伝子の塩基配列は図1、鋳型として使われるhG-CSFのDNA配列及びアミノ酸配列は図1に示されている。下記の表1のN-Termないし175Cは、各々配列番号2ないし7に該当する。
【0083】
【表1】

【0084】
1. -1ChG-CSFイソ型の作製
-1Cは、hG-CSFのDNAを鋳型としてN末端のトレオニンの前にシステインが付加したイソ型を作製するために、-1CプライマーとC-termプライマーの組合せでPCRを行った。増幅されたDNA断片をN-termとC-termプライマーの組合せでまたPCRを行って制限酵素による切断部(Xba IとBamH I)を導入してまた発現ベクターに導入することで、N末端のトレオニンの前にシステインが付加されたhG-CSFイソ型の遺伝子が得られた。
N末端のアミノ酸配列は、メチオニン-システイン-トレオニン-プロリン-ロイシン-グリシンの順になる。
【0085】
2. T133ChG-CSFイソ型の作製
本発明で、従来に公知されたイソ型と対照またはhG-CSFポリペプチドの中間部のアミノ酸の変更の例として、T133Cを作製する。T133CはhG-CSFの133番目であるトレオニンをシステインに置換するためにhG-CSFDNAを鋳型として、プライマーをN-termとT133C2、またT133C1とC-termの組合せでPCRを行った。結果的に133番目のトレオニンがシステインのコドンに変更された二つのDNA断片が得られた。こうして得られた二つのDNA断片を用いてN-termとC-termのプライマーの組合せで2回目のPCRを行い、133番目であるトレオニンがシステインに変更されたhG-CSFイソ型T133Cの変更遺伝子が得られた。発現ベクターへの導入過程は、上記の-1C hG-CSFイソ型の作製と同様である。
【0086】
3. -1C/T133C hG-CSFイソ型の作製
N末端に付加したアミノ酸とhG-CSFポリペプチドのアミノ酸の変更の例として、-1C/T133Cは、作製された-1C hG-CSFイソ型に133番目のトレオニンをシステインに置換するため、既に作製した-1C hG-CSFイソ型DNAを鋳型として、プライマーをN-termとT133C2、T133C1とC-termを各々の組合せでPCRを行った。結果的に133番目のトレオニンがシステインのコドンに変更された二つのDNA断片が得られた。得られた二つのDNA断片を用いて、N-termとC-termのプライマーの組合せで2回目のPCRを行って、133番目のトレオニンがシステインに変更されたhG-CSFイソ型である-1C/T133Cの変更遺伝子が得られた。発現ベクターへの導入過程は、上記の-1C hG-CSFイソ型の作製と同様である。
【0087】
4. 175C hG-CSFイソ型の作製
175CはhG-CSFのDNAを鋳型としてN-termと175Cプライマーの組合せでPCRを行った。増幅されたDNA断片をN-termとC-termプライマーを使ってまたPCRを行って、制限酵素の切断部位(Xba IとBamH I)を導入して、発現ベクターに導入することでN末端にシステインが付加されたhG-CSFイソ型の遺伝子が得られた。発現ベクターへの導入過程は上記の-1C hG-CSFイソ型の作製と同様である。
C末端のアミノ酸配列は-アラニン-グルタミン-プロリン-システインの順になる。
【0088】
5. 175C/T133C hG-CSFイソ型の作製
175C/T133Cは、作製された175C hG-CSFイソ型に133番目のトレオニンをシステインに置換するため、既に作製された175C hG-CSFイソ型DNAを鋳型としてプライマーをN-termとT133C2、T133C1とC-termを各々の組合せでPCRを行った。結果的に133番目のトレオニンがシステインのコドンに変更された二つのDNA断片が得られた。得られた二つのDNA断片を用いてN-term、C-termをプライマーとして2回目のPCRを行って133番目のトレオニンがシステインに変更されたhG-CSFイソ型175C/T133Cの変更遺伝子が得られた。発現ベクターへの導入過程は上記の-1C hG-CSFイソ型の作製と同様である。
作製されたhG-CSFイソ型の遺伝子をラムダ PRプロモーターによって発現されるように発現ベクターに導入した。発現ベクターの構成は表2で図示されている。
【0089】
【表2】

【0090】
<実施例2> hG-CSFイソ型の発現及び精製
hG-CSFイソ型の遺伝子を含むプラスミドベクターで大膓菌を形質転換して、hG-CSFイソ型のタンパク質を生産する菌株を作製した。
形質転換方法として、一般的に使われる公知のカルシウムクロライド法を使用して、宿主細胞として使われる大膓菌も一般的に使われる大膓菌(HB101、NM系統の菌株など)を使用した。
【0091】
形質転換した大膓菌を15mlチューブから5mlのLuriaBroth(LB)培地に接種して、30℃培養器で一晩培養した。この種培養菌を3,000ml用三角フラスコで500mlのLuria Broth (LB) 培地に接種して30℃で培養した。600nmでの吸光度が0.8-1.2になったら培養温度を42℃まで上げて4時間培養しながらhG-CSFイソ型の発現を誘導した。
【0092】
培養が終了した培養液を遠心分離して菌体を回収し、蒸留水で洗浄した。洗浄した菌体はマイクロフルイダイザー(Microfluidizer、Microfluidics社)で12,000psiで4回破砕し、遠心分離で封入体(inclusion body)を回収して蒸留水で3回洗浄した。
【0093】
封入体は10mlの8M尿素、50mMグリシン(pH 11.0)に溶解するため、常温で5時間以上強く懸濁して、10,000rpmで30分間遠心分離して上清液を取ってhG-CSFイソ型タンパク質の溶液が得られた。タンパク質溶液はグリシンと尿素の濃度が各々50mMと2Mになるようにグリシンと蒸留水を添加した後、pHを9.0に滴定し、4℃で一晩中タンパク質の再構成(refolding)を行った。
【0094】
タンパク質の再構成が終わった溶液のpHを4.0に調整して、蒸留水で3倍以上希釈した後、予めカラム容量の3倍以上の2mM HClで平衡化されたCM Sepharose FF (Amersham Biosciences社) 10mlを充填したカラムにローディング(loading)した。ローディングが終わったカラムは、カラム容量の3倍以上の2mM HClで平衡化した後、カラム容量の3倍の50mM硝酸塩化ナトリウム緩衝溶液(pH 5.4)で洗浄した。カラム容量の12倍以上の35mM塩化ナトリウムが含まれた50mM硝酸塩化ナトリウム緩衝溶液(pH 5.4)でhG-CSFイソ型を溶出して5mlずつ分画した。溶出された分画をHPLCで分析後に回収した。
【0095】
CM Sepharose FFで精製されたhG-CSFイソ型を10,000Da分子量のCentricon Plus-80で3000rpm、25分ずつ行って、最終の濃縮液のタンパク質濃度が5mg/ml程度になるまで濃縮した。
【0096】
濃縮したタンパク質はカラム容量の3倍以上の10mM硝酸塩化ナトリウム緩衝溶液(pH 5.4)で平衡化されたSephacryl S-100(Amersham Biosciences社)300mlを充填したカラムにローディングした。緩衝溶液を1ml/分の速度で溶離され、タンパク質溶液に含まれたhG-CSFイソ型の多量体を除去して、単量体だけを純粋分離し、PEG付加反応に利用した。
【0097】
<実施例3> hG-CSFイソ型へのPEGの結合
1. 分岐mPEG(20,000)-マレイミドG-CSFイソ型の作製
実施例2で作製した各々のhG-CSFイソ型各々10mgを0.1M燐酸緩衝溶液(pH 7.0 - 8.0)に入れて分岐mPEG(20,000)-マレイミド(NOF社製)200mgを添加した。反応は常温で2時間撹拌しながら行って、1N塩酸溶液でpHを3.0まで低めて反応を停止した。
【0098】
2. 分岐mPEG(40,000)-マレイミドG-CSFのイソ型製造
実施例2により作製したhG-CSFイソ型、各々10mgを0.1M燐酸緩衝溶液(pH 7.0 - 8.0)に入れて分岐mPEG(40,000)-マレイミド(NOF社製)400mgを添加した。反応は常温で2時間撹拌しながら行って、1N塩酸溶液でpHを3.0まで低めて反応を停止した。
【0099】
<実施例4> hG-CSFイソ型とPEGの重合体の精製
実施例3で作製されたPEG-G-CSF重合体を次の過程で純粋分離・精製を行った。
1. CM Sepharose FF クロマトグラフィー
反応が終了した各々のmPEG-G-CSF重合体をpHを3.0に滴定して、蒸留水で10倍以上希釈した後、あらかじめカラム容量の3倍以上の2mM HClで平衡化されたCM Sepharose FF (Amersham Biosciences社) 10mlを充填したカラムにローディングした。ローディングの終了したカラムはカラム容量の3倍以上の2mM HClで平衡化した後、カラム容量の3倍の50mM硝酸塩化ナトリウム緩衝溶液(pH 5.0)で洗浄した。mPEG(20,000)-マレイミドG-CSFイソ型及び分岐mPEG(20,000)-マレイミドG-CSFイソ型の場合、カラム容量の12倍以上の40mM塩化ナトリウムが含まれた50mM硝酸塩化ナトリウム緩衝溶液(pH 5.4)でmPEG-G-CSF重合体を溶出した。分岐mPEG(40,000)-マレイミドG-CSFイソ型の場合、カラム容量の12倍以上の20mM塩化ナトリウムが含まれた50mM硝酸塩化ナトリウム緩衝溶液(pH 5.4)でmPEG-G-CSF重合体を溶出した。溶出液は5mlずつ分画して、溶出された分画はHPLCで分析・回収した。
【0100】
2. GPC法(Gel Permeation Chromatography)
CM Sepharose FFで精製したmPEG-G-CSF重合体を10,000Da分子量のCentricon Plus-80に3000rpm、25分ずつ行って、最終濃縮液のタンパク質濃度が5mg/mlくらいになるまで濃縮した。
【0101】
濃縮したタンパク質はカラム容量の3倍以上の10mM硝酸塩化ナトリウム緩衝溶液(pH 5.4)で平衡化されたSephacryl S-200 (Amersham Biosciences社) 300mlを充填したカラムにローディングした。緩衝溶液を1ml/分の速度で溶離して、タンパク質溶液に含まれたmPEG-G-CSF重合体を純粋分離した。この際、タンパク質はG-CSF凝集体、PEG-G-CSF、G-CSF二量体、G-CSF単量体の順に溶出された。
【0102】
<実施例5>ラットでのmPEG-G-CSF重合体の活性度及び体内持続性の調査
8週齢ラット(SD係、雄、各試験物質ごとに5匹)を利用して実施例4及び5により作製及び精製したmPEG-G-CSF重合体の活性度及び体内持続性を調査した。試験物質は対照物質として、担体(PBS)と上記の実施例1ないし4によって作製及び精製されたG-CSF T133C20kDa(Br)(G-CSFの133目であるトレオニンをシステインに置換して、上記の置換されたシステインに20kDaの分岐PEGを共有結合させたもので、韓国特許公開番号KR2002-0079778の記載のイソ型)、現在市販中である20kDa PEGをN末端に結合したNeulasta(ニューラスタ、アムゲン社製)、そして本発明のイソ型である実施例1ないし4によって作製及び精製されたN+20kDa(Br)(G-CSFのN末端のメチオニンとトレオニンの間にシステインを挿入して(-1C)上記の挿入されたシステインに20kDaの分岐PEGを共有結合させたもの)、175C+20kDa(Br)(G-CSFのC末端の174番目のProの次にシステインを付加して、上記の付加されたシステインに20kDaの分岐PEGを共有結合させたもの)及び175C+40kDa(Br)(G-CSFのC末端の174番目のProの次にシステインを付加して、上記の付加されたシステインに40kDaの分岐PEGを共有結合させたもの)イソ型を各々担体(PBS)で希釈して調剤した後、投与当日に測定した体重を基準として100μg/kg用量でラットの尾静脈に投与した。投与回数及び投与期間は、試験開始に一回投与した。
【0103】
分析用試料の採取は試験群の構成によって各々の採血時間に合うことにして尾静脈から毎回200μlの血液を採血した。試料の採取は無処理の場合投与前、PD/PK分析用サンプルは投与後7時間、24時間、48時間及び72時間に試料を各々採取した。採取した血液試料で好中球の数を測定して生体内での活性を測定した。
【0104】
なお、採血した試料はEDTA抗凝固チューブに入れてプラズマを遠心分離した。プラズマ内のG-CSF濃度はヒトG-CSF ELISAキット(Quantokine、R&D Systems社)を使って測定した。各試料はキットで濃度診断が可能な直線区間まで順次的に希釈し試料当たり2回ずつ測定した。その結果は表3に記載した。
【0105】
表3のように、N末端またはC末端にシステインを付加してPEGを結合させた本発明の実施例によるhG-CSFイソ型は、体内活性または体内持続性が向上したことが分かる。特にN+20kDa(Br)と175C+20kDa(Br)は投与の後、対照群に比べて24時間の時点から活性が大幅に増加した。175C+40kDa(Br)は24時間の時点から活性が増加したことと好中球の生成は対照群と類似したが、持続性が72時間まで維持される効果があった。特に、持続性は175C+40kDa(Br)の効果が大きく増加し、活性は175C+20kDa(Br)とN+20kDa(Br)の効果が大きく増加したことが分かる。
【0106】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0107】
以上のように、本発明によるhG-CSFイソ型は体内の持続性が大幅に向上され、多様なhG-CSFの関連疾患の治療または予防に使われる。
本発明は上記で具体的な実施例と関連して説明されたが、本発明の範囲がこれによって限定されることではなく、特許請求の範囲およびその精神から逸脱しない範囲で、各種の変更と修飾を加えるものも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図1はhG-CSF遺伝子とタンパク質の配列である。
【図2】図2はhG-CSFのN末端にアミノ酸の変更を起こしたイソ型のアミノ酸配列である。
【図3】図3はhG-CSFのC末端にアミノ酸の変更を起こしたイソ型のアミノ酸配列である。
【図4】図4はhG-CSFポリペプチドの中間部にアミノ酸の変更を起こしたイソ型のアミノ酸配列である。
【図5】図5はhG-CSFイソ型を発現するプラスミドベクターの構造である。
【図6】図6はhG-CSFイソ型のラットでの体内の持続性を調査した結果である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸配列番号1で示されるヒト顆粒球コロニー刺激因子(hG-CSF)のN末端のトレオニン(Thr)の前またはC末端のプロリン(Pro)の次に一つ以上のアミノ酸を付加し、上記の付加したアミノ酸の中の一つ以上はシステインであり、上記のシステインの中で少なくても一つにポリエチレングリコール(PEG)を結合したヒト顆粒球コロニー刺激因子のイソ型。
【請求項2】
ヒト顆粒球コロニー刺激因子の上記各々末端に付加するアミノ酸は、各々1ないし12個であることを特徴とする、請求項1に記載のヒト顆粒球コロニー刺激因子のイソ型。
【請求項3】
上記の付加するアミノ酸はシステイン1個であることを特徴とする、請求項1に記載のヒト顆粒球コロニー刺激因子のイソ型。
【請求項4】
上記ポリエチレングリコールは側鎖を持つ分岐ポリエチレングリコールであり、分子量は20kDaないし40kDaであることを特徴とする、請求項3に記載のヒト顆粒球コロニー刺激因子のイソ型。
【請求項5】
上記システインはC末端に付加する175Cであることを特徴とする、請求項4に記載のヒト顆粒球コロニー刺激因子のイソ型。
【請求項6】
上記ヒト顆粒球コロニー刺激因子はポリエチレングリコールが結合する前に一つ以上のアミノ酸を他のアミノ酸に置換することを特徴とする、請求項1に記載のヒト顆粒球コロニー刺激因子のイソ型。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載されたヒト顆粒球コロニー刺激因子のイソ型と薬剤的に許容される担体とを含む薬剤組成物。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載された、N末端またはC末端にシステインが付加したヒト顆粒球コロニー刺激因子のイソ型タンパク質をコードする遺伝子。
【請求項9】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載されたヒト顆粒球コロニー刺激因子のイソ型に、ヒト顆粒球コロニー刺激因子のアミノ酸配列を変更するためのプライマーとして使われるオリゴデオキシヌクレオチド。
【請求項10】
上記のプライマーは配列番号2ないし7のいずれかであることを特徴とする、請求項9に記載のオリゴデオキシヌクレオチド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−543304(P2008−543304A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516745(P2008−516745)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【国際出願番号】PCT/KR2006/002238
【国際公開番号】WO2006/135176
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(507406611)シージェイ チェルジェダン コーポレイション (6)
【Fターム(参考)】