説明

ヒドロキシルアミンおよび薬剤を調製するための新規のプロセス

、R、RおよびRが説明の中で述べられているとおりである、式(II)の化合物の調製のためのプロセスが提供される。そのような化合物は、例えば、ドロネダロンなどの薬剤の合成における有用な中間体であり得る。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物、例えば薬剤、例えばドロネダロン(N−{2−(n−ブチル)−3−[4−(3−ジブチルアミノ−プロポキシ)−ベンゾイル]−ベンゾフラン−5−イル}メタンスルホンアミド)などの抗不整脈薬の合成における有用な中間体であり得る、芳香族ヒドロキシルアミンを調製するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
ドロネダロンは、心房細動(AF)などの心臓性不整脈の予防のためのクラスIII抗不整脈薬である。AFは不規則な心拍動を特徴とする状態であり、心房(心臓の上部の室)が非常に急速に収縮する場合に起こる。これは、心臓の下部の室である心室の無秩序な収縮を引き起こし、そのために血液が身体に効率よく送り出されず、組織損傷、さらには死に至ることがある。
【0003】
ドロネダロンは、2−ブチル−3−(4−メトキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランおよび2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランを含む、複数の中間体の合成を含む段階的手順によって調製される。
【0004】
2−ブチル−3−アロイル−5−ニトロベンゾフランは、典型的には3−非置換2−ブチル−5−ニトロベンゾフランのフリーデル−クラフツアシル化を介して合成される。そのような反応は、例えば日本特許公開公報第JP2002−371076号および国際公開公報第WO2007/140989号に記載されている。これらの特許出願において開示されるベンゾフラン形成反応は、通常、芳香族ヒドロキシイミン(それ自体は、芳香族求核置換反応により、芳香族フッ化物とヒドロキシイミンの反応によって調製される)を介して進行する。
【0005】
さらに、国際公開公報第WO2009/044143号も、芳香族ヒドロキシイミンを介して進行するベンゾフラン形成反応を開示する。この場合、芳香族ヒドロキシイミンはケトンと芳香族ヒドロキシルアミンの反応によって調製される。この芳香族ヒドロキシルアミンは、有機溶媒(アセトニトリル)中の酸の存在下で対応する保護された誘導体を脱保護することによって調製される。
【0006】
米国特許出願US3,686,237号は、芳香族求核置換反応を用いた、ヒドロキシルアミンと芳香族フッ化物の反応による芳香族ヒドロキシルアミンの合成を開示する。保護された芳香族ヒドロキシルアミン(例えばイミノ保護誘導体)は開示されていない。
【0007】
Castellinoら,J.Org.Chem.1984,49,1348−1352による学術論文は、芳香族アルコール(例えばフェノール)および適切なアミン(例えば2,4−ジニトロフェノキシアミン)を含む、アミン交換反応による様々な芳香族ヒドロキシルアミン類(フェノキシアミン類)の合成を開示する。この論文はまた、芳香族ハロゲン化物とN−ヒドロキシアセトイミデートの芳香族求核置換反応によるフェノキシアミンの反応、次いで、過塩素酸(HClO)の存在下での反応による、そのようにして形成された保護されたフェノキシアミンの脱保護を開示する。
【0008】
Sheradskyら,Tetrahedron,Vol.28,pp3833−3843による学術論文は、トリフルオロ酢酸の存在下での反応によって脱保護される、対応するt−Boc保護された芳香族ヒドロキシルアミンの反応によって調製され得る様々な芳香族ヒドロキシルアミン類の合成を開示する。
【0009】
Endoら,J.Am.Chem.Soc.,1982,104,6393−6397による学術論文は、ジオキサン中のトリフルオロメタンスルホン酸の存在下での反応による、保護された芳香族ヒドロキシルアミン(例えばアセチル保護誘導体)の脱保護を介して進行する、芳香族ヒドロキシルアミン類の調製を開示する。
【0010】
より大きな分子の合成における有用な中間体であり得る、芳香族ヒドロキシルアミンの形成のための選択的および/または改善された反応が必要とされている。商業規模で実行可能であり、且つ環境的観点から適切なプロセスは特に有用であり、前記のどちらもが重要である。
【0011】
本明細書における、一見して先行公表された資料の列挙または考察は、必ずしもその資料が技術水準の一部または共通の一般知識であることの承認と解釈されるべきではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】日本特許公開公報第JP2002−371076号
【特許文献2】国際公開公報第WO2007/140989号
【特許文献3】国際公開公報第WO2009/044143号
【特許文献4】米国特許出願US3,686,237号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Castellinoら,J.Org.Chem.1984,49,1348−1352
【非特許文献2】Sheradskyら,Tetrahedron,Vol.28,pp3833−3843
【非特許文献3】Endoら,J.Am.Chem.Soc.,1982,104,6393−6397
【発明の開示】
【0014】
ここで、式II:

[式中、
、R、RおよびRは、独立して水素、ハロ、−NO、−CN、−C(O)x1、−ORx2、−SRx3、−S(O)Rx4、−S(O)x5、−N(Rx6)Rx7、−N(Rx8)C(O)Rx9、−N(Rx10)S(O)x11またはRx12を表し;
x1、Rx2、Rx3、Rx6、Rx7、Rx8、Rx9およびRx10は、独立して水素または、場合により1もしくはそれ以上のハロ原子によって置換されたC1−6アルキルを表し;
x4、Rx5、Rx11およびRx12は、独立して、場合により1またはそれ以上のハロ原子によって置換されたC1−6アルキルを表す]
の化合物の調製のためのプロセスであって、式IIA:

[式中、
PGはイミノ保護基を表し;そして
、R、RおよびRは前記で定義したとおりである]
の化合物の脱保護を含み、反応がハロゲン化水素、リン酸または硫酸および少なくとも15重量%の水を含む溶媒系の存在下で実施されることを特徴とするプロセスが提供され、このプロセスを、本明細書中以下では「本発明のプロセス」と称する。
【0015】
特に指定のない限り、本発明のプロセスは、塩、溶媒和物または保護された誘導体を使用して実施されてもよく、それにより(例えば対応する)その塩、溶媒和物または保護された誘導体の形態で生成されてもよくまたはそうでなくてもよい化合物を生成し得る。しかし、本発明のプロセスが脱保護を含むことを考慮すると、本発明のプロセスによって生成される式IIの化合物は必然的に保護されていない−ONH基を含む。
【0016】
本明細書で述べるプロセスで使用されるまたは前記プロセスによって生成される化合物(すなわち本発明のプロセスを含むもの)は互変異性を示してもよい。本発明のプロセスは、それ故、それらの互変異性体のいずれかまたは任意のそのような形態の混合物としてのそのような化合物の使用または生成を包含する。
【0017】
同様に、本明細書で述べるプロセスで使用されるまたは前記プロセスによって生成される化合物(すなわち本発明のプロセスを含むもの)はまた、1またはそれ以上の不斉炭素原子を含んでもよく、それ故鏡像異性体またはジアステレオ異性体として存在してもよく、光学活性を示してもよい。本発明のプロセスは、従って、それらの光学異性体もしくはジアステレオ異性体のいずれかまたは任意のそのような形態の混合物としてのそのような化合物の使用または生成を包含する。
【0018】
さらに、本明細書で述べるプロセスで使用されるまたは前記プロセスによって生成される化合物(例えばイミノ二重結合についてシスおよびトランス異性体として存在してもよい、前記で定義した式IIAの化合物)は二重結合を含んでもよく、従って各々個々の二重結合についてE(entgegen:反対側)およびZ(zusammen:同じ側)幾何異性体として存在してもよい。すべてのそのような異性体およびそれらの混合物は本発明の範囲に包含される。
【0019】
特に指定のない限り、本明細書で定義されるアルキル基は、直鎖または、十分な数(すなわち少なくとも3個)の炭素原子が存在する場合は分枝鎖、および/または環状であってもよい。さらに、十分な数(すなわち少なくとも4個)の炭素原子が存在する場合は、そのようなアルキル基はまた、部分環状/非環状であってもよい。そのようなアルキル基はまた、飽和であってもよくまたは、十分な数(すなわち少なくとも2個)の炭素原子が存在する場合は不飽和であってもよい。
【0020】
「アリール」という用語は、本明細書で使用される場合、C6−10基を含む。そのような基は、単環式、二環式または三環式であってよく、多環式の場合は、全体的または部分的芳香族であってもよい。挙げられるC6−10アリール基は、フェニル、ナフチル等を含んでもよい。誤解を避けるため、アリール基上の置換基の結合点は、環系の任意の炭素原子を介してよい。
【0021】
「ヘテロアリール」という用語は、本明細書で使用される場合、酸素、窒素および/または硫黄から選択される1またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜14員ヘテロアリール基を包含する。そのようなヘテロアリール基は、1、2または3個の環を含んでよく、そのうち少なくとも1つは芳香族である。ヘテロアリール基上の置換基は、適切な場合は、ヘテロ原子を含む環系中の任意の原子上に位置してよい。ヘテロアリール基の結合点は、(適切な場合は)ヘテロ原子を含む環系中の任意の原子を介してよい。挙げられるヘテロアリール基の例は、ピリジル、ピロリル、キノリニル、フラニル、チエニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、インドリル、ピラジニル、インダゾリル、ピリミジニル、キノリニル、ベンゾイミダゾリルおよびベンゾチアゾリルを含む。
【0022】
「ハロ」という用語は、本明細書で使用される場合、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを含む。
【0023】
本発明のプロセスでは、式IIAの化合物において、PGはイミノ保護基(すなわちイミノ官能基を生じさせるアミノ部分のための保護基)、例えば=C(Rq1)ORq2を表す(それ故、−O−N=C(Rq1)ORq2である保護されたヒドロキシルアミン基を形成する)[式中、Rq1およびRq2は、独立してC1−6アルキル、より好ましくはC1−3アルキルを表す]ことが好ましい。最も好ましくは、Rq1はメチルを表し、および/またはRq2はエチルを表す(それ故、例えば、保護されたヒドロキシルアミン基が−O−N=C(CH)OCHCHである式IIAの化合物を形成する)。
【0024】
本明細書で使用される場合(例えば保護基に関連して)、「場合により置換されたアリール」という用語は、好ましくは、選択的置換基が、好ましくはハロ、−NO、−OHおよび/または−OC1−6アルキルから選択される、「場合により置換されたフェニル」を指す。
【0025】
好ましくは、本発明のプロセスでは、PGが前述したとおりであり、最も好ましくは=C(CH)(OCHCH)である式IIAの化合物を脱保護して式IIの化合物を形成する。
【0026】
本発明のプロセスによって調製し得る式IIの好ましい化合物は、
、R、RおよびRは、独立して水素、ハロ、−NO、−CN、−C(O)x1、−N(Rx6)Rx7または−N(Rx10)S(O)x11を表し;
x1、Rx2、Rx3、Rx6、Rx7、Rx8、Rx9およびRx10は、独立して水素または、場合により1もしくはそれ以上のハロ原子によって置換されたC1−4アルキルを表し;
x4、Rx5、Rx11およびRx12は、独立して、場合により1またはそれ以上のハロ(例えばフルオロ)原子によって置換されたC1−4アルキルを表す
ものを含む。
【0027】
本発明のプロセスによって調製し得る式IIのさらなる好ましい化合物は、
、R、RおよびRのいずれか3つ(好ましくはR、RおよびR)は水素を表し;
、R、RおよびRのいずれか1つ(好ましくはR)は、ハロ、−CN、−C(O)x1、好ましくは−N(Rx10)S(O)x11または、より好ましくは−NOまたは−N(Rx6)Rx7から選択される置換基を表し;
x1は、HまたはC1−3アルキル(例えばイソプロピルなどのプロピル)を表し;
x6、Rx7およびRx10は独立して水素を表し;
x11はC1−2アルキル(例えばメチル)を表す
ものを含む。
【0028】
本発明のプロセスによって調製し得る式IIのさらなる好ましい化合物は、R、R、RおよびRが、独立して水素または−NOを表すものを含む。例えば、R、R、RおよびRのいずれか3つ(好ましくはR、RおよびR)は水素を表し、および/またはR、R、RおよびRのいずれか1つ(好ましくはR)は−NOを表す。最も好ましくは、R、RおよびRは独立して水素を表し;および/またはRは−NOを表す。
【0029】
前述したように、本発明のプロセスにおいて使用される酸は、ハロゲン化水素、リン酸または硫酸であってよい。本発明の最も好ましい実施形態は、前記プロセスがハロゲン化水素(例えばHCl)および溶媒系(例えば本明細書で述べるもの)の存在下で実施されるものである。
【0030】
本発明の1つの実施形態では(および以下でより詳細に説明するように)、本発明のプロセスにおいて、式IIAの化合物を、ハロゲン化水素、リン酸または硫酸(好ましくはハロゲン化水素、例えばHCl)と本発明のプロセスで使用される溶媒系の混合物に添加することが好ましい。しかし、本発明のそのような実施形態では、本発明のプロセスで使用される溶媒系全体を酸と混合する必要はない。例えば、溶媒系の一部を式IIAの化合物と混合してもよい(これは、例えば反応物へのその添加を助け得る)。さらに、反応混合物中に有機溶媒が存在する場合は、そのような溶媒を酸と混合してもよいが、好ましくは式IIAの化合物と混合する(溶解を助けるため)。しかし、溶媒系中に存在する少なくとも20%(例えば少なくとも30%)の水を、最初に、使用される酸(例えばハロゲン化水素;これは、以下で述べるように水中のハロゲン化水素として存在してもよい)と混合する。好ましくは、溶媒系中に存在する少なくとも50%(例えば少なくとも60%、例えば少なくとも75%)の水を、最初に酸(これに、それ自体が溶媒中に存在してもよい式IIAの化合物を添加する)と混合する。
【0031】
意外にも、本発明のプロセスは、本明細書で述べるように低い量の有機溶媒(無視できる量の有機溶媒)が存在する溶媒系の存在下で進行するが、脱保護されるべき式IIAの化合物の溶解を助けるために、前記プロセスは有機溶媒の存在を必要とすると予想される。驚くべきことに、しかし、反応は低い量の有機溶媒の存在下で進行する。
【0032】
好都合にも、上記の反応物の添加の順序(すなわち溶媒系と酸の混合物への式IIAの化合物の添加)は、反応のプロセスに関与する反応物の混合物がより容易に取り扱えるものである、例えば、混合物が溶液(もしくは少なくとも実質的に溶解している)または容易に撹拌できる実質的に均質な混合物であり得るという付加的な利点を有する。反応がより容易に進行し得るので(反応混合物が、例えばよりどろどろしたものであるまたはスラリーである場合と異なり、反応物の分子間により大きな相互作用が存在し得るので)、これは実際的な見地から明らかに有利である。従って、この添加の順序は、反応が実質的により高い収率で進行することを可能にし得る。
【0033】
本発明のプロセスで使用される溶媒の総量は、反応を進行させる(例えば、収率を最大化する、反応時間を最小化する等のために、あらかじめ定められた速度で)のに十分であるべきである。従って、任意の適切な量の溶媒を使用してよい。好ましくは、しかし、本発明のプロセスで使用される溶媒の量は、式IIAの化合物の少なくとも1重量%、例えば少なくとも10重量%(例えば少なくとも25重量%、好ましくは少なくとも50重量%、特に少なくとも100重量%)および/または本発明のプロセスで使用される酸の少なくとも5重量%(例えば少なくとも25重量%、好ましくは少なくとも50重量%、特に少なくとも100重量%)である。あるいは(特に溶媒系が主として水を含む、例えば排他的に水を含む場合)、存在する溶媒の総量は、式IIAの化合物と比較して、少なくとも1モル当量に当たる量である。好ましくは、本発明のプロセスの溶媒系中には少なくとも3モル当量、例えば少なくとも5モル当量の溶媒が存在する。本発明のプロセスで使用される溶媒の実際の量/容積は、反応の速度、収率等の必要条件に依存して異なり得る。前記プロセスにおいて必要とされる溶媒の量の任意の上限が存在してもよい。しかし、これは、実際には、反応混合物が希薄すぎないように(例えば反応の速度が遅すぎないように)または量が多すぎて過剰の廃棄物を生じることがないように決定され得る。
【0034】
上述したように、本発明のプロセスは、少なくとも15%の水(重量比で)を含む溶媒系の存在下で実施される。好ましくは、溶媒系は少なくとも25重量%の水、例えば少なくとも50重量%の水を含む。より好ましくは、溶媒系は少なくとも70重量%(例えば少なくとも80重量%)、最も好ましくは少なくとも90重量%の水を含む。最も好ましくは、溶媒系は少なくとも95%の水(重量比で)を含み、基本的に水から成る(例えば、溶媒系は主として水から成る(好ましくは、溶媒系は排他的に水から成る)、例えば溶媒系の100重量%またはほぼ100重量%は水から成る)。従って、最も好ましくは、本発明のプロセスの溶媒系は基本的に水から成る。
【0035】
少なくとも15%の水(重量比で)を含むことを条件として、溶媒系はまた、有機溶媒、例えば極性溶媒、例えば極性プロトン性溶媒、例えばアルコール(例えば、エタノールもしくは、好ましくはメタノールなどのC1−6アルコール)または、より好ましくは極性非プロトン性溶媒、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタンもしくは、最も好ましくはアセトニトリルを含んでもよい。前記溶媒の混合物も使用してよい。
【0036】
本発明のプロセスでは、溶媒系は、85重量%未満の有機溶媒、好ましくは50重量%未満の有機溶媒を含む。より好ましくは、本発明のプロセスは、30重量%未満(例えば20重量%未満、例えば10重量%未満)の有機溶媒の存在下で実施される。最も好ましくは、5重量%未満の有機溶媒を本発明のプロセスで使用してよく、例えば、本発明のプロセスは実質的に有機溶媒の不在下で(すなわち1重量%未満の量、すなわちごくわずかな量の有機溶媒で)実施される。
【0037】
本発明のプロセスは、プロセスにおける有機溶媒の使用量を低減し得る(または排除し得る)ので、特に好都合である。これは、関連する環境保全上の利点、ならびに実際的な利点、例えば生成物の分離の容易さおよび本発明のプロセスで使用される有機溶媒の除去の低減(または完全な回避)を含むいくつかの有利さを有する。さらに、有機溶媒の低減(または排除)はまた、経済的にも有益であり得る(例えばアセトニトリルが高価であり得る等を考慮して)。環境上の利点は、有機溶媒を使用する結果として形成され得る毒性副産物(例えばニトロフェノール)の低減を含む。有機溶媒の使用量を低減する(または排除する)ことにより、驚くべきことに、本発明のプロセスはまだなお効率的に進行し、これは有機溶媒の低減(または排除)に関連する利点に結びつく。さらに、本発明のプロセスは副産物(特に毒性副産物)の量の対応する低減を伴うと考えられ、これは、本発明のプロセスで使用される有機溶媒の量の対応する低減に関連し得る。
【0038】
もう1つの態様では、本発明のプロセスは本明細書で述べるように実施されるが、その溶媒系は、水が1:3より大きいモル比(溶媒系中の他の溶媒に比して)で存在する、例えば水:他の溶媒のモル比(他の溶媒は、有機溶媒、例えばアルコールまたは、好ましくはアセトニトリルであってよい)が少なくとも1:2、例えば少なくとも1:1、好ましくは2:1であるものである。より好ましくは、水:他の溶媒のモル比は少なくとも5:1、例えば少なくとも10:1であり、最も好ましくは、モル比は50:1より大きい(例えば、本明細書で定義されるように、溶媒系は主としてまたは排他的に水から成る)。
【0039】
本発明のプロセスで使用されるハロゲン化水素は、HBr、HIであってよいが、好ましくはHClである。
【0040】
好ましくは、本発明のプロセスでは、溶媒(例えば水)の存在下にあってよい酸(例えばハロゲン化水素)を、式IIAの化合物(場合により式IIAの化合物と本明細書で定義される溶媒系、例えば水の混合物であってよい)と混合する/反応させる。本明細書で述べるように、式IIAの化合物を、場合により溶媒(例えば水)の存在下で、酸(例えばハロゲン化水素)に添加することが好ましい。好ましくは、少なくとも1モル当量のハロゲン化水素(例えばHCl)を使用し、例えば、少なくともまたは約2当量(好ましくは少なくともまたは約3当量、例えば少なくともまたは約4当量、例えば約5当量など)を使用する。
【0041】
好ましくは、本発明のプロセスで使用される酸(例えばHClなどのハロゲン化水素)は、溶媒(例えば本発明のプロセスで使用される溶媒系)中で使用される(例えばハロゲン化水素として)。好ましくは、それ故、酸(例えばハロゲン化水素)を水溶液中の試薬として使用する。酸は、任意の適切な重量比濃度で使用してよい(十分なモル量を使用することを条件として)。しかし、好ましくは、少なくとも10重量%(例えば少なくとも20重量%、例えば少なくとも30重量%、例えば約37重量%など)の酸(例えばハロゲン化水素)を含む溶液(例えば水溶液)として使用する。好都合には、好ましい濃度の酸(例えばハロゲン化水素)は、中でも特に、より良好な反応速度を有し、より効率的であり、および/またはより高い収率をもたらす反応のプロセスを導き得る。
【0042】
酸、例えばハロゲン化水素(水溶液中のハロゲン化水素として使用してよい)を式IIAの化合物と反応させる/混合することが本明細書で明言される。本明細書で述べるように、好ましくは、式IIAの化合物を酸(例えばハロゲン化水素)に添加し、その両方が、本明細書で述べる溶媒中に存在してよい(例えばハロゲン化水素は、好ましくは水溶液中に存在する)。この添加は、好ましくは一定期間にわたって小分けして実施される。例えば、式IIAの化合物を、反応(本発明のプロセス)の温度を一定レベルに、例えば室温近くに(例えばできる限り室温近くに)維持する速度で添加してよい。好ましくは、本発明のプロセスの温度を約50℃より低く(例えばほぼ室温から50℃までの間)、例えば約40℃より低く、例えば35℃より低く維持する。最も好ましくは、温度をほぼ室温(約25℃)から約32℃までの間に維持する。本発明のプロセスはまた、室温より低く実施してもよいが、好ましくは0℃超で実施し、最も好都合にはほぼ室温で実施する。
【0043】
式IIAの化合物は、本発明のプロセスで使用される溶媒系中の混合物として酸(例えばハロゲン化水素)に添加してもよい。例えば、水中の式IIAの化合物の混合物(例えば前述したような)として使用してもよい。本発明のプロセスにおける酸、例えばハロゲン化水素(またはその水溶液)への式IIAの化合物の小分け方式での添加は、最も好ましくは約1時間にわたって式IIAの化合物約1モル(例えば約50分間にわたって約0.8モル)を添加することによって実施される。しかし、添加は小分け方式である必要はなく、すなわち添加は実質的に単回の「一括」としてであってもよい。添加が小分け方式である場合は、式IIAの化合物1モルを10分間から2時間までの期間にわたって酸(例えばハロゲン化水素)に添加してよい(最も好ましくは上述したように約1時間の好ましい期間にわたって添加する)。小分け方式での添加は、必要な期間にわたる連続的な添加プロセスによって実施してよく、例えば添加は、必要とされる適切な速度で添加を実施するように設定し得るシリンジポンプを用いた式IIAの化合物(例えば水性溶媒中の)の連続的な添加を介してよい。小分け方式での添加はまた、あらかじめ定められた間隔で実施してもよい(すなわち不連続な添加)。
【0044】
本発明のプロセスにおける式IIAの化合物のモル数を増加または減少させる場合は、添加を行う期間をそれに応じて上昇または低下させてよい(例えば、2モルを使用する場合は、添加時間を2倍にしてよい)。しかし、当業者は、他の因子も必要な添加期間に影響を及ぼし得ることを認識する(例えば、溶媒中の試薬の濃度および/または温度;より高い濃度およびより低い温度は添加期間を短縮し得る)。
【0045】
本発明のプロセスの脱保護ステップを実施した後、反応混合物の酸性媒質を中和する必要があり得る。本発明のプロセスは酸(例えばハロゲン化水素、好ましくはHCl)の存在下で実施されるので、そのようにして形成された式IIの生成物は、式IIの化合物の酸性(例えばハロゲン化水素)塩として存在してもよい。
【0046】
本発明に関連して、式IIの化合物の酸性(例えばハロゲン化水素)塩は、式IIの化合物と酸、例えばハロゲン化水素(例えばHCl)との間の会合によって形成される化合物を指す。これら2つの部分の会合は、それぞれの部分の間の任意の種類の物理化学的会合(すなわち相互作用または結合)、例えばイオン会合(完全なまたは部分的)であってよく、それ故塩を形成するか、または1もしくはそれ以上の他の種類の会合(完全なまたは部分的)、例えば共有結合(極性共有結合および配位共有結合を含む)会合、金属会合、または別の静電的会合、例えば永久双極子間相互作用、水素結合、ファンデルワールス力および/もしくはカチオン−π相互作用であってよい。しかし、好ましくは、会合は少なくとも部分的にイオン性であり、それ故塩を形成する。
【0047】
本発明のプロセスによって形成される式IIの化合物の任意の酸性(例えばハロゲン化水素)塩を、標準的な条件下で、例えば適切な塩基の存在下で、例えばアルカリ金属ベースの塩基、例えばアルカリ金属水酸化物(好ましくは水酸化ナトリウム)の存在下で中和してもよい。例えば、塩基(例えば水酸化ナトリウム水溶液)は10〜50重量%、例えば15〜40重量%、例えば約33重量%であってよい。好ましくは、塩基を本発明のプロセスの生成物の混合物に、混合物の温度を一定レベル(例えば50℃より下)に維持する速度で添加する、例えば、温度を本発明のプロセスの間維持される温度と同じレベルに維持する、すなわち温度を、最も好ましくはほぼ室温(約25℃)から約32℃までの間に維持する。
【0048】
本発明のプロセスの範囲に包含される、そのような中和ステップは、好都合にも式IIの化合物の遊離塩基を生成し、それを溶媒系(本発明のプロセスで使用される溶媒系、例えば水、および/または本明細書で述べる中和ステップで使用される任意の付加的な溶媒、例えば水を含んでもよい)から沈殿させてもよい。従って、そのようにして形成される式IIの化合物の遊離塩基を標準的な技術、例えばろ過によって単離してもよい。
【0049】
好都合にも、本発明のプロセスによって調製される式IIの化合物は、式I:

[式中、R、R、RおよびRは、独立してハロ、−NO、−CN、−C(O)x1、−ORx2、−SRx3、−S(O)Rx4、−S(O)x5、−N(Rx6)Rx7、−N(Rx8)C(O)Rx9、−N(Rx10)S(O)x11またはRx12を表し;
Xは、水素または、場合により1もしくはそれ以上のハロ原子によって置換されたC1−6アルキルを表し;
Yは、Hまたは−C(O)−Zを表し;
Zは、場合により−OR、ハロ、−NO、−CN、−C(O)a1、−SRa3、−S(O)Ra4、−S(O)a5、−N(Ra6)Ra7、−N(Ra8)C(O)Ra9、−N(Ra10)S(O)a11およびRa12から選択される1またはそれ以上の置換基によって置換されたアリールまたはヘテロアリールを表し;
は、オキシ保護基、水素または、場合によりハロ、−C(O)b1および−N(Rb2)Rb3から選択される1もしくはそれ以上の置換基によって置換されたC1−6アルキルを表し;
x1、Rx2、Rx3、Rx6、Rx7、Rx8、Rx9、Rx10、Ra1、Ra3、Ra6、Ra7、Ra8、Ra9、Ra10、Rb1、Rb2およびRb3は、独立して水素または、場合により1もしくはそれ以上のハロ原子によって置換されたC1−6アルキルを表し;
x4、Rx5、Rx11、Rx12、Ra4、Ra5、Ra11およびRa12は、独立して、場合により1またはそれ以上のハロ原子によって置換されたC1−6アルキルを表す]
の化合物を調製するために使用してよく、前記プロセスは、前記で定義した本発明のプロセスによって調製される式IIの化合物と、式III:

[式中、YおよびXは前記で定義したとおりである]
の化合物との反応を含み、このプロセスも、本明細書中以下では「本発明のプロセス」と称する。
【0050】
本発明のさらなる実施形態では、前記で定義したとおりであるが、
Yが−C(O)Zを表す;このプロセスは、前記で定義した本発明のプロセスによって調製される式IIの化合物と、前記で定義したとおりであるが、Yが−C(O)Zを表す式IIIの化合物と反応を含む;
反応が「ワンポット」法として実施される;
が−NOを表す;このプロセスは、前記で定義したとおりであるが、Rが−NOを表す、本発明のプロセスによって調製される式IIの化合物と、前記で定義した式IIIの化合物との反応を含む;または
プロセスがアシル化試薬なしで実施される(例えば、本発明のプロセスが式XXIV(以下で定義される)の中間体を介して進行する場合、その中間体は、最初、アシル化試薬(例えば無水トリフルオロ酢酸またはトリフルオロアセチルトリフレート)の存在下では反応せず、式Iの化合物を形成するペリ環状環化反応を促進するためにN−アシル化中間体を形成する)
ことを特徴とする、式Iの化合物の調製のためのプロセスが提供される。
【0051】
本発明の前記実施形態も、本明細書では「本発明のプロセス」と称する。
【0052】
がオキシ保護基を表してよいことは本明細書で明言される。挙げられるオキシ保護基は、トリアルキルシリルおよびジアリールアルキルシリル基(例えばtert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリルまたはトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル、−C(O)Rt1、C1−6アルキル(このアルキル基は、場合により置換されたアリールから選択される1またはそれ以上の置換基によって場合により置換されており、それ故アルキルアリール基を形成する)、−S(O)t2、−C(O)ORt3および−C(O)N(Rt4)Rt5[式中、Rt1、Rt2、Rt3、Rt4およびRt5、ならびに任意の関連するアリール基上の好ましい選択的置換基は、前記で定義したとおりである]を含む。当業者は、式Iの化合物において、RがC1−6アルキルを表す場合、これらの基の一部は保護基(例えばアリル性基)であるとみなしてもよいことを認識する。他のオキシ保護基は、塩、例えば無機金属塩、例えば第II族または、好ましくは第I族金属塩(例えばナトリウムまたはカリウム塩、それ故例えば−ONaまたは−O部分を形成する)を含む。
【0053】
最も好ましいオキシ保護基は、−C(O)Rt1基を含み、好ましくはRt1がC1−6アルキル基を表し、それ故アルキルカルボニル基(例えばメチルおよびエチルカルボニル基)ならびにアルキルアリール基(例えば場合により前記で定義したように置換されたベンジル)を形成する。Rがオキシ保護基を表す場合、場合により本明細書で定義するように置換されているが、好ましくは置換されていない、アルキルアリール基、特にベンジル基を表すことが最も好ましい。
【0054】
式IIA(本発明のプロセスで使用される)の化合物は、式IV:

[式中、Lは適切な脱離基、例えばスルホン酸基(例えば−OS(O)CF、−OS(O)CHもしくは−OS(O)PhMe)または、より好ましくはハロ(例えばブロモ、フルオロもしくは、好ましくはクロロ)を表し、そしてR、R、RおよびRは前記で定義したとおりである]
の化合物と、式V:

[式中、PGは前記で定義したとおりである]
の化合物との、例えば標準的な芳香族置換反応条件下での反応によって調製し得る。例えば、芳香族置換反応は、極性非プロトン性溶媒(ジメチルホルムアミドなど)の存在下で実施してもよい。これに関連して、挙げられる他の極性非プロトン性溶媒は、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテルおよびジオキサンを含む。しかし、今や、このプロセスステップはまた、一方だけが極性非プロトン性溶媒である(そして他方は非極性溶媒である)、溶媒の混合物中でも実施し得ることが認められた。従って、本発明のもう1つの態様では、前記で定義した(および好ましくはジメチルホルムアミドである)極性非プロトン性溶媒に加えて使用される、非極性溶媒、例えば非極性非プロトン性溶媒の存在下でのそのようなプロセスが提供される。好ましい非極性非プロトン性溶媒はトルエンを含むが、式Vの化合物を抽出する(例えば以下で定義する反応混合物から)ために使用し得る任意の溶媒であってよい。
【0055】
式Vの化合物は保護されていることが好ましい。これは、さもなければ、式IVの化合物の芳香環上に非位置選択的な芳香族求核置換をもたらし得る、すなわちヒドロキシルアミンの窒素原子が、(酸素原子ではなく)芳香環に連結された化合物を導き得るためである。
【0056】
好都合にも、本発明のこの態様(すなわち式IIAの化合物の調製のためのプロセス)では、式Vの化合物(いずれかを使用する)を含む溶液、例えば反応混合物からの抽出によって得られる溶液(式Vの化合物の調製後に)を、溶媒の部分的または完全な蒸発によって濃縮する必要がない(すなわち好都合にも、溶媒を除去する必要がない)。むしろ、極性非プロトン性溶媒(例えばDMF)を、好ましくは、いずれの非極性溶媒、例えば抽出において使用されるものの完全な除去を伴わずに(最も好ましくは、いかなる除去も伴わずに)式Vの化合物の溶液に直接添加してよい。
【0057】
Yが−C(O)−Zを表す式IIIの化合物は、
(i)式VII:

[式中、Zは前記で定義したとおりである]の化合物と、式VIII:

[式中、Lは適切な脱離基、例えばハロ(例えばブロモ、クロロもしくはヨード)または、より好ましくは−OC1−6アルキル(例えば−OCHもしくは、好ましくは−OCHCH)を表し、そしてXは前記で定義したとおりである]の化合物との、好ましくは適切な塩基、例えばアルカリ金属水素化物(例えばKH、CaHもしくは、好ましくはNaH)、有機リチウム塩基(例えばn−、s−またはt−ブチルリチウムもしくは、好ましくはリチウムジイソプロピルアミド)、他のアルカリ金属ベースの塩基(例えばNaCO、KCO、KPO、t−BuONa、t−BuOKもしくは、好ましくはCHONa)、または塩基の混合物、および適切な溶媒(例えばテトラヒドロフラン(THF)、トルエンおよび/もしくはジメチルホルムアミド;THFなどの極性非プロトン性溶媒が特に好ましい)の存在下に、標準的な条件下での、例えば室温または高温、例えば約65℃での反応;
(ii)式IX:

[式中、Xは前記で定義したとおりである]の化合物と、式X:

[式中、ZおよびLは前記で定義したとおりである]の化合物との、例えば式IIIの化合物の調製に関して前述したような(上記プロセスステップ(i))反応条件下での反応;
(iii)Yが−C(O)−Zを表し、そしてZが−OHによって置換されたアリールまたはヘテロアリールを表す、式IIIの化合物に関しては、式XI:

[式中、Zは、−O−C(O)−X(式中、Xは前記で定義したとおりである)で置換されたアリールまたはヘテロアリールを表す]の対応する化合物と、塩基との、例えば式IIIの化合物の調製に関して前記で定義したような(上記プロセスステップ(i))塩基および反応条件下での反応。誤解を避けるため、式XIの化合物の−O−C(O)−X置換基は、式IIIの化合物の−OH置換基に変換される;

(iv)式XII:

[式中、XおよびZは前記で定義したとおりである]の化合物またはその保護された(例えば−C(O)OH保護された)誘導体(−C(O)OHのエステルなど)の、当業者に公知の標準的な脱カルボキシル化反応条件下での脱カルボキシル化;

(v)式XIII:

[式中、Rs1およびRs2は、独立して水素、場合により1もしくはそれ以上のハロ原子によって置換されたC1−6アルキルを表すか、またはRs1とRs2は一緒に連結されて、それらが必然的に結合している窒素原子と共に、4〜8員(例えば5もしくは6員)ヘテロシクロアルキル基(場合によりさらなるヘテロ原子、例えばさらなる窒素もしくは酸素ヘテロ原子を含み、場合によりハロもしくはC1−6アルキルから選択される1もしくはそれ以上の置換基によって置換されている)、例えばピペリジニル環またはピロリジニル環を形成し、そしてXおよびZは前記で定義したとおりである]の化合物の、標準的な条件下での、例えば水性酸(例えばハロゲン化水素の水溶液)の存在下での加水分解;
(vi)Zが、好ましくは−SRa3、−N(Ra6)Ra7または、好ましくは−ORで置換された(好ましくはオルト位でもしくは、より好ましくはパラ位で)アリール(例えばフェニル)を表す式IIIの化合物に関しては、式XIV:

[式中、Zは前記で定義したとおりであり、好ましくは−SRa3、−N(Ra6)Ra7または、好ましくは−ORで置換された(好ましくはオルト位でもしくは、より好ましくはパラ位で)アリール(例えばフェニル)を表し、そしてR、Ra3、Ra6およびRa7は前記で定義したとおりである]の化合物と、
(A)式XV:

[式中、Xは前記で定義したとおりであり、そしてLは、前記で定義したとおりであり、好ましくはハロ(例えばブロモもしくは、好ましくはクロロ)を表す]の化合物またはその保護された誘導体(例えばアセタール)、または
(B)式XVI:

[式中、Xは前記で定義したとおりである]の化合物またはその保護された誘導体(例えばアセタール)
のいずれかとの、当業者に公知の標準的な反応条件下での、例えばフリーデル−クラフツアシル化反応条件下での、例えば適切な酸、例えばプロトン性酸(例えば硫酸)または、好ましくはAlClなどのルイス酸の存在下での反応。当業者は、式XVまたはXVIの化合物の保護された誘導体(例えばアセタール保護誘導体)を使用する場合、生じる式IIIの化合物を標準的な条件下で脱保護する必要があり得ることを認識する。使用してよい保護基は、存在する任意のカルボニル基を保護し得る、アセタールを含む。挙げられる式XVまたはXVIの化合物のアセタール誘導体は、式X−C(ORv1−CH−C(O)−LおよびX−C(ORv1−CH−CN[式中、各々のRv1は、独立してC1−6アルキルを表すか、または2つのRv1基が一緒に連結されて、それらが必然的に結合している酸素原子と共に、4〜7員(例えば5もしくは6員)環(すなわち環状アセタール)を形成してもよい]の化合物を含む。そのようなアセタール保護基は、適切なアルコール(例えば式HO−Rv1の)または、環状アセタールの形成の場合はジオール(例えば式HO−Rv1−Rv1−OH[式中、関連するRv1基は一緒に連結されている]の)の存在下に、適切な酸または塩基触媒条件下での、式XVまたはXVIの化合物の反応によって導入してよい。そのようなアセタール保護基は、標準的な条件下で、例えば加水分解によって、例えば酸の存在下での加水分解によって除去してよい;
(vii)式XVIA:

の化合物、または式XVIB:

[式中(両方の場合に)、XおよびZは前記で定義したとおりである]の化合物の、水性酸の存在下に、標準的な条件下での還元、例えば適切な触媒系の存在下で実施し得る水素化分解による還元。触媒は、遷移貴金属、例えば白金、ルテニウム、ニッケル(例えばラネーニッケル)または、特にパラジウムであってよい。金属は、そのまま粉末形態で、その酸化物もしくは水酸化物として、または、好ましくは粉炭などの適切な支持体上で使用してよい。典型的には、活性炭担持パラジウムを使用する(例えば5%Pd/C)。好都合にも、式IIIの化合物を形成するために還元を必要とする別の基が存在する場合、基本的に2つのステップを「ワンポット」で実施してよい。例えば、Zが−OR[式中、Rは、水素化分解反応によって開裂しやすい保護基、例えばベンジル保護基を表す]によって置換されたアリールまたはヘテロアリールを表す場合、そのような基も、イソオキサゾール部分が適切なジケトン(式IIIの)への水素化分解を受けるのと同時に、そのような水素化分解反応によって開裂されて対応する−OH基を形成し得る。
【0058】
好都合には、Yが−C(O)Zを表し(そしてZは、少なくとも1個(例えば1個)の−OH基によって置換されたアリールまたはヘテロアリールを表す)、そしてXが、水素または、場合により1もしくはそれ以上のハロ(例えばフルオロ)原子によって置換されたC1−6アルキルを表す式IIIの化合物は、その上に存在する必須の−OH置換基が保護されていないことを特徴とする、式VIIA:

[式中、Zは、少なくとも1個(例えば1個)の−OH基によって置換されたアリールまたはヘテロアリールを表す]
の化合物またはその誘導体と、式VIII:

[式中、Xは前記で定義したとおりであり;
は、−C≡Nまたは、好ましくは−C(O)Lを表し;
は適切な脱離基、例えばハロ(例えばブロモ、クロロもしくはヨード)または、より好ましくは−OC1−6アルキル(例えば−OCHもしくは、好ましくは−OCHCH)を表す]
の化合物またはその誘導体との、塩基の存在下での反応によって調製され得、前記塩基はアルカリ金属アルコキシド[アルコキシドのアルキル部分は分枝C3−6アルキル基である]等(すなわちそのような塩基の等価物)を含み、前記反応も、本明細書中以下では本発明のプロセスと称する。
【0059】
そのような反応は、式VIIAの化合物において、整数Zによって定義されるアリールまたはヘテロアリール基上の必須の−OH置換基が保護されていないことを特徴とする。これにより、その基が遊離−OH基として存在することまたは、別の実施形態では、その塩として、例えば式−O[式中、Aは第I族アルカリ金属、例えばカリウムまたは、好ましくはナトリウムを表し、それ故、例えば−ONa部分を形成する(しかし、−OH基は、炭素原子などの別の原子に共有結合していない)]の部分として存在することを意味する。好ましくは、それ故、本発明のプロセスによって生成される式IIIの化合物では、対応する−OHも保護されていない(しかし、−Oとしてまたは遊離−OH形態で存在してもよい;実際には、本発明のプロセスの反応はプロトンでクエンチングされ、従って、−Oが存在する、インサイチューで形成される式IIIの任意の化合物を遊離−OH基が存在する式IIIの対応する化合物に変換してもよく、また前記化合物として単離してもよい)。そのようなプロセスは、式VIIAおよびVIIIAの化合物の塩、溶媒和物または保護された誘導体(例えばカルボニル基がイミンとして保護されている)を使用して実施してもよい。それによって生成され得る式IIIの化合物は、(例えば対応する)その塩もしくは溶媒和物、または保護された誘導体の形態で生成されてもよくまたは生成されなくてもよい(例えばイミンのような保護されたカルボニル基が生成され得る)。しかし、前述したように、式VIIAの化合物のZ基中のアリールまたはヘテロアリール基に結合した必須の−OH置換基は、「誘導体化」されていなくてもよい、すなわち保護されていなくてもよい(例えば炭素原子を介して共有結合されることによって)が、遊離−OH基(またはその塩)として存在する。当業者は、Bが−C≡Nを表す式VIIIAの化合物を使用する場合、本発明のプロセスによってそのようにして形成される、生じる式IIIの生成物は、必然的にカルボニル基がイミンとして保護されており(例えばX−C(=NH)−CH−C(=O)−Zである式IIIの化合物またはその誘導体等が形成され得る)、そのイミノ(=NH)部分が加水分解されて、X−C(=O)−CH−C(=O)−Zである式IIIの化合物を生じ得るものであることを認識する。最も好ましくは、Bが−C(O)Lを表す式VIIIAの化合物を本発明のプロセスにおいて使用する。
【0060】
本発明のこの態様の(すなわち式IIIの化合物を調製するための)プロセスにおいて、生成され得る式IIIの好ましい化合物は、
XがC1−4アルキル(場合により1またはそれ以上のフルオロ原子によって置換されているが、好ましくは置換されていない)、例えばCアルキル、例えば1−メチルプロピルまたは、最も好ましくはブチル(特にn−ブチル)を表し;
Zが、2位、3位または、好ましくは4位で1個の−OH基(またはその塩、例えば−ONa基)によって置換されたフェニルを表し;
が、好ましくは、適切な脱離基、例えばハロ(例えばブロモ、クロロもしくはヨード)または、より好ましくは−OC1−6アルキル(例えば−OCHもしくは、好ましくは−OCHCH)を表すが、等価の脱離基を使用してもよい
ものを含む。
【0061】
本発明のこの態様の(すなわち式VIIAおよびVIIIAの化合物の反応によって式IIIの化合物を調製するための)プロセスにおいて、反応は特定のアルカリ金属アルコキシドの存在下で実施される。好ましくは、アルカリ金属は、第I族金属、例えばカリウムまたは、好ましくはナトリウムである。塩基のアルコキシ部分は分枝であることを明言する。好ましくは、枝分れは、アルコキシ基の必須の酸素原子に結合している炭素原子に対してα位で起こる(従って、C3−6アルキル基は酸素原子への結合点に関して第二級または、好ましくは第三級である)。最も好ましくは、アルコキシ部分は分枝C4−6アルキル基(例えばtert−ブチル)である。最も好ましい塩基は、ナトリウムtert−ブトキシドである。アルカリ金属アルコキシドのアルキル部分が分枝であるそのような塩基は、アルキル部分が分枝ではなく直鎖である対応する塩基(酸素原子への結合点に関して第一級アルキル基を含む対応する塩基)よりも高いpKaを有する(すなわちより強い塩基である)。
【0062】
本発明のこの態様の(すなわち式IIIの化合物を調製するための)プロセスで使用される塩基は、特定のpKaを有するものである。同様に、同様のまたはより高いpKaを有する他の適切な塩基も本発明のプロセスにおいて使用してよい(前記塩基を、本明細書では、本発明のプロセスにおいて使用される必須のアルカリ金属アルコキシド塩基の等価塩基と称する)。そのような塩基は、例えば副反応を低減し、それ故望ましくない副産物を低減する(例えば競合する縮合反応、例えば自己縮合を低減する)ことにより、プロセスの収率および効率を改善し得るので、本発明のプロセスにおいて好都合である。式VIIAの化合物が遊離−OH基を含む場合、これ(すなわち副反応の低減)は、そのヒドロキシ基の付随する脱プロトン化によるものであると考えられ、アルカリ金属塩(すなわち−O)を形成して、カルボニル基に対する反応性を低下させ、それにより自己縮合の可能性を低下させ得る。
【0063】
前記で明言したように、特定のアルカリ金属アルコキシドまたは別の適切な塩基(例えば等価塩基)をこの(すなわち式IIIの化合物を調製するための)プロセスにおいて使用する。別の適切な塩基とは、その塩基が、本発明のプロセスで使用されるアルカリ金属アルコキシドと同様もしくはより高いpKaを有する、または、例えば同様の機序によって反応を促進することにより、本発明のプロセスに同様の作用を及ぼすことを意味する。使用し得る他の適切な塩基は以下のいずれかを含む:別のアルカリ金属ベースの塩基(例えばNaCOまたはKCOなどの炭酸塩および/またはKPOなどのリン酸塩)、アルカリ金属水素化物(例えばKH、CaHまたは、好ましくはNaH)、有機リチウム塩基(例えばn−、s−もしくはt−ブチルリチウムまたは、好ましくはリチウムジイソプロピルアミド)、または塩基の混合物。
【0064】
例えば式VIIAの化合物が遊離−OH基を含む場合、少なくともまたは約1当量の塩基(例えば必須のアルカリ金属アルコキシド等)を使用する(式VIIAの化合物のモル量に等しい)ことが好ましい。しかし、最初の当量の塩基は式VIIAの化合物の遊離−OH基を脱プロトン化し得る(それにより−O部分が存在する式VIIAの対応する化合物を形成する)ので、収率を最大化しようとする場合は、少なくとも1.5、好ましくは少なくともまたは約2当量の塩基を使用することが好ましい。最も好ましくは、しかし、形成されるべき式IIIの化合物がエノール化することがあり、それ故さらなる1当量の塩基を必要とし得るので、収率を最大化するためには、少なくとも2.5、例えば少なくともまたは約3当量の塩基(例えば必須のアルカリ金属アルコキシド等)を使用する。好ましくは、本反応のプロセスで使用する塩基はすべて、本明細書で定義される必須のアルカリ金属アルコキシドまたはその等価物である。しかし、少なくともまたは約1当量、例えば少なくともまたは約2(好ましくは少なくともまたは約3)当量の必須のアルカリ金属アルコキシド(または等価物)を使用することを条件として、異なる塩基の混合物を使用してもよい。
【0065】
式VIIAの化合物が−O部分(遊離−OH基の代わりとして、Aは第I族金属陰イオン、好ましくはNaである)を含む場合は、より少ない当量の塩基を必要とし(遊離−OH部分は既に脱プロトン化されているので)、従って、塩基(例えば必須のアルカリ金属アルコキシドまたは等価物)の量は、好ましくは少なくともまたは約1当量、好ましくは少なくともまたは約2当量である。前記で明言したように、−O部分が存在する式VIIAの化合物は、反応のプロセス中に存在する必須のアルカリ金属アルコキシド塩基との反応によってインサイチューで製造してもよい。しかし、そのような化合物は、最初に別の適切なアルカリ金属塩基との反応によってあらかじめ形成し得るかまたはインサイチューで形成してもよく(その後に式VIIIAの化合物と必須のアルカリ金属アルコキシド塩基または等価物との反応が続く)、その場合、適切な塩基は、アルカリ金属(ナトリウム、例えばナトリウム線など)またはアルカリ金属水酸化物(例えば水酸化カリウムもしくは、好ましくは水酸化ナトリウム;後者の場合は−ONa部分が形成される)などの強アルカリ金属塩基を含む。
【0066】
本発明のこの態様の(すなわち式IIIの化合物を調製するための)プロセスは、適切な溶媒(例えばテトラヒドロフラン(THF)、トルエンおよび/またはジメチルホルムアミドなど;THFのような極性非プロトン性溶媒が特に好ましい)の存在下で実施してもよい。しかし、反応物の1つ(例えば式VIIIAの化合物)が反応温度で液体である場合は、反応は溶媒なしで実施してもよい(反応物、例えば式VIIIAの化合物が溶媒としての役割を果たし得るので)。前述したように、本発明のこの態様のプロセスによって形成される(化合物IIIの)生成物は、エノラートの形態であってもよい。従って、本発明のプロセスの反応は、好ましくは適切な量(例えば少なくとも1当量)のプロトン源、例えばハロゲン化水素(例えばHCl)などのプロトン酸または弱有機酸(例えば酢酸などのカルボン酸)の添加によってクエンチングされる。好都合には、弱有機酸を使用する場合、クエンチングは、例えば以下で定義するような、生成物の結晶化/沈殿も生じさせ得る。
【0067】
本発明のこの態様の(すなわち式IIIの化合物を調製するための)プロセスは、式VIIAおよびVIIIAの化合物の各々の任意の量の存在下で実施してもよい。しかし、好ましくは、約3:2〜約2:3のモル比、最も好ましくは約1.1:1〜約1:1.1(例えば約1:1)のモル比の式VIIAと式VIIIAの化合物の存在下で実施される。本発明のこの態様の(すなわち式IIIの化合物を調製するための)プロセスは、標準的な反応条件下で、例えば室温または高温(例えば約40℃)、例えば約65℃またはそれ以上(例えば約40℃〜85℃)で実施してもよい。好ましくは、そのような反応は、ホウ素試薬(例えばBFまたはBF、またはそれらの錯体)などのさらなる添加剤なしで実施される。さらに、本発明のプロセスによって生成される式IIIの化合物は、錯体、例えば銅キレートとして単離されない。
【0068】
本発明のさらなる態様では、前記で定義したとおりであるが、Yが−C(O)Zを表す(そして好ましくは、XおよびZは前記で定義したとおりである)式IIIの化合物の単離/精製のためのプロセスであって、溶媒系中での化合物の結晶化または沈殿を含むプロセスが提供され、このプロセスも、本明細書中以下では本発明のプロセスと称する。本発明のプロセスによって調製される化合物の結晶化(または沈殿)は、任意の適切な溶媒(または溶媒の混合物)中で実施してよい。しかし、好ましくは、驚くべきことに、特定の溶媒系が特に好ましいことが認められた。式IIIの化合物の結晶化または沈殿のために特に好ましい溶媒系は、水性溶媒および弱有機酸(例えば本明細書で定義するカルボン酸、例えばギ酸、プロピオン酸または、好ましくは酢酸)を含む。本明細書で述べる本発明の結晶化/沈殿プロセスは、式IIIの化合物が他の生成物(例えば未反応出発物質または他の望ましくない副産物)との反応混合物中に存在してもよいが、この精製/単離プロセスはそれでもなお進行し得るという付加的な利点を有する。例えば、式IIIの化合物は、結晶化/沈殿させる混合物の95%未満(例えば90%未満、例えば80%未満または約80%)存在してよいが、そのようにして形成される単離/精製生成物は、望ましくない産物を含み得ない(そして、形成される生成物中により高い割合で、例えば95%超、例えば99%超、例えば100%またはそれに近い割合で存在し得る)。最も好ましくは、結晶化または沈殿プロセスで使用される溶媒系は、水と弱有機酸(例えば酢酸)の混合物を含む。そのような溶媒の混合物を溶媒系で使用する場合、水:弱有機酸の任意の比率、例えば1:10〜10:1の比率を使用してよい。しかし、好ましくは、その比率は1:5〜5:1、例えば1:3〜3:1、特に約1:1である。好ましくは、結晶化溶媒は均一であり、例えば溶媒は共沸混合物を形成してもよい。しかし、適切な溶媒を、結晶化プロセスを助けるために「貧溶媒」(すなわち式Iの化合物の塩が難溶性である溶媒)として使用してもよい。結晶化温度および結晶化時間は、溶液中の化合物の濃度および使用される溶媒系に依存する。驚くべきことに、本発明のこの態様のプロセスの結晶化または沈殿は、式IIIの化合物の新しい物理的形態を生じさせることが認められた。従って、本発明のさらなる態様では、本明細書で述べる本発明のプロセスの結晶化によって得られる式IIIの化合物が提供される。本発明のさらなる態様では、平均粒径が少なくとも250×150μMである、前記で定義した式IIIの化合物(例えば式IIIの誘導体ではないもの)が提供される(これも、本明細書では本発明の1つの態様と称され、そのような生成物を調製するためのプロセスも、本明細書では本発明の別のプロセスと称する)。好ましくは、平均粒径は少なくとも300×200μM(例えば少なくとも400×300μM、例えば約500×380μM)である。そのような化合物は、本質的に先行技術において述べられているものよりも大きいと考えられる。本明細書で言及する場合の「平均」は、中央値を指す。
【0069】
新しい物理的形態(高い平均粒径を有する)は、式IIIの化合物の取扱いに関する利点および/または化合物の特性の改善を導き得る。
【0070】
本発明のさらなる実施形態では、本明細書で述べる本発明のプロセスの組合せが提供される。例えば、式IIIの化合物の調製のためのプロセス(前記で定義した式VIIおよび式VIIIの化合物の反応を含む;以下ではプロセス(i)と称する)、次いで前述した結晶化(または沈殿)(以下ではプロセス(ii)と称する)が提供される。好ましくは、プロセス(ii)はプロセス(i)の直後に、例えば、式IIIの化合物の分離(例えば抽出と溶媒の除去/蒸発による)、次いで式IIIの化合物と結晶化プロセスの溶媒系との混合/接触によって実施される。あるいは、本発明のさらなる実施形態では、プロセス(ii)は、プロセス(i)の直後におよび同じ反応ポットにおいて、例えばプロセス(ii)に必要とされる溶媒系中でプロセス(i)をクエンチングすることによって実施できる。
【0071】
PGが=C(Rq1)ORq2を表す式Vの化合物は、ヒドロキシルアミンまたはその塩(例えばHClなどのハロゲン化水素塩)と、式XVII:

[式中、Rq1およびRq2 は前記で定義したとおりである]
の化合物との、標準的な反応条件下での反応によって調製し得る。そのような生成物を得るための反応混合物は、非極性溶媒(例えばトルエン)などの適切な溶媒で抽出してよい。
【0072】
式XIの化合物は、式XVIII:

[式中、Zは−OHで置換されたアリールまたはヘテロアリールを表す]
の化合物と、前記で定義した式VIIIの化合物との、標準的な条件下での、例えば式IIIの化合物の調製に関して前述した(上記プロセスステップ(i))条件下での反応によって調製し得る。
【0073】
式XIIの化合物は、前記で定義した式Xの化合物と、式XIX:

[式中、Xは前記で定義したとおりである]
の化合物またはその保護された(例えば−C(O)OH保護された)誘導体(例えば−C(O)OHのエステル)との、標準的な反応条件下での、例えば式IIIの化合物の調製に関して前述した(上記プロセスステップ(i))条件下での反応によって調製し得る。
【0074】
式XIIIの化合物は、式XX:

[式中、Z、Rs1およびRs2は前記で定義したとおりである]
の化合物と、前記で定義した式VIIIの化合物との、式IIIの化合物の調製に関して前述したような(上記プロセスステップ(i))、および好ましくは、塩基を使用する場合、それが弱塩基、例えばNaCO、KCO、KPO、t−BuONa、t−BuOK、好ましくはCHONa、またはそれらの混合物である反応条件下での反応によって調製し得る。
【0075】
式XVIAおよびXVIBの化合物は、Yが−C(O)−Zを表す式IIIの対応する化合物と、ヒドロキシルアミン(またはその塩、例えばHCl)との、標準的な縮合反応条件下での反応によって調製し得る。そのようなプロセスステップは式IIIの化合物から出発し、従って、そのようなプロセスステップを上記プロセスステップ(vii)(式IIIの化合物の調製に関して)と併用した場合、生じる生成物もまた式IIIの化合物である。そのような一連のステップは、しかし、例えばより純粋な形態の式IIIの化合物を得るのに有用である。基本的に、それ故、併用されるこれら2つのステップは、式IIIの化合物の精製(これにより、残留反応物を含む任意の不純物、例えば不純物の大部分の除去を意味する)のためのプロセスを提供し得る。
【0076】
式XVIIの化合物は、式XXI:

[式中、Rq1は前記で定義したとおりである]
の化合物と、式XXII:

[式中、Rq2は前記で定義したとおりである]
の化合物との、標準的な反応条件下での、例えばハロゲン化水素(例えばHCl)などの酸の存在下での反応によって調製し得る。
【0077】
式XXの化合物は、前記で定義した式VIIの化合物と、式XXIII:

[式中、Rs1およびRs2は前記で定義したとおりである]
の化合物との、標準的な脱水反応条件下での、例えば適切な酸触媒(例えばパラトルエンスルホン酸等のような非水性酸)の存在下での反応によって調製し得る。
【0078】
式IV、VII、VIII、IX、X、XIV、XV、XVI、XVIII、XIX、XXI、XXIIおよびXXIIIの化合物(および特定の他の化合物、例えば式II、IIIおよびVの特定の化合物)、ならびにそれらの誘導体(例えば保護された誘導体)は、市販されているか、文献において公知であるか、または適切な試薬および反応条件を使用して、容易に入手可能な出発物質から、公知の技術に従い、従来の合成手順によって入手し得る。
【0079】
本明細書で述べるプロセスのいずれもが、好都合にも、一緒に(すなわち順々に)使用し得る。例えば、式IIAの化合物の調製のためのプロセスは、最初、本明細書で述べる式Vの化合物の調製のためのプロセス(すなわち式XVIIの化合物とヒドロキシルアミンまたはその塩との反応を含む)、次いで式IIAの化合物の調製のためのプロセス(すなわち式IVの化合物と、そのようにして調製された式Vの化合物との反応を含む)から構成されてよく、その後式IIAの化合物は、前記で定義した式IIの化合物を得るための本発明のプロセス(すなわち本明細書で述べる手順に従った脱保護による)において使用し得る。
【0080】
式I、II、IIIの化合物またはそのような化合物の任意の関連する中間体化合物(またはその塩、溶媒和物または誘導体)上の置換基、例えばR、R、R、Rによって定義される置換基、またはZ上の置換基は、上述したプロセスの前、後またはプロセスの間に、当業者に周知の方法によって1回またはそれ以上の回数修飾されてもよい。そのような方法の例は、置換、還元、酸化、アルキル化、アシル化、加水分解、エステル化、エーテル化、ハロゲン化、ニトロ化、ジアゾ化またはそのような方法の組合せを含む。このようにして式I、IIまたはIIIの特定の化合物(またはその誘導体)を、それぞれ式I、IIまたはIIIの他の化合物(または誘導体)に変換してもよい。例えば、Rが−NOを表す式IVの化合物(この化合物は、式IVの化合物と式Vの化合物との芳香族求核置換反応により適し得る)を使用して、Rが同じく−NOを表す式IIAの化合物を合成してもよい。しかし、そのような−NO基を本発明のプロセスの前または後にアミノ基に還元して、Rがアミノを表す式Iの対応する化合物を形成してもよい。そのようなアミノ基は、最初に式IVのアミノ置換された化合物を使用した場合は、上記芳香族求核置換反応には適さなかったと考えられる。同様に、Zが−NHによって置換されたアリールまたはヘテロアリールを表す式IIIの化合物を反応のプロセスにおいて使用してもよいが、そのアミノ基を、反応のプロセスの前または後に、ジアゾニウム塩に変換し、その後、例えば−OH基に変換してもよい。
【0081】
特定の官能基が保護されていてもよいことは本明細書で明言される。また、上述したプロセスにおいて、中間体化合物の他の官能基が保護基によって保護されていてもよいまたは保護される必要があり得ることも当業者に認識される。
【0082】
いずれの場合も、保護することが望ましい官能基はヒドロキシを含む(例えば、Rはオキシ保護基を表し得る)。ヒドロキシのための適切な保護基は、トリアルキルシリルおよびジアリールアルキルシリル基(例えばtert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリルまたはトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニルおよびアルキルカルボニル基(例えばメチルおよびエチルカルボニル基)を含む。しかし、ヒドロキシのための最も好ましい保護基は、アルキルアリール基、例えば場合により置換されたベンジルを含む。
【0083】
官能基の保護および脱保護は、前述した反応ステップのいずれかの前または後に実施してよい。
【0084】
保護基は、当業者に周知であり、以下で述べる技術に従って除去し得る。
【0085】
保護基の使用は、“Protective Groups in Organic Chemistry”,edited by J.W.F.McOmie,Plenum Press(1973)、および“Protective Groups in Organic Synthesis”,3rd edition,T.W.Greene & P.G.M.Wutz,Wiley−Interscience(1999)に記載されている。
【0086】
当業者は、本発明のプロセス(式Iの化合物を得るための)が、O−フェニルオキシム中間体、すなわち式XXIV:

[式中、R〜R、XおよびYは前記で定義したとおりである]
の化合物を介して進行してもよく、前記中間体は、次にペリ環状転位を受けて、最終的にベンゾフラン環を形成することを認識する。本発明の1つの実施形態では、本発明のプロセスをアシル化試薬なしで実施することが前記に明言されている。この場合、本発明のプロセスが式XXIVの中間体を介して進行するときには、式XXIVのフェニルオキシム中間体は、最初、アシル化試薬と反応せず、例えば以下の式XXIVA:

[式中、Qは、例えば、場合により1またはそれ以上のフルオロ原子によって置換されたC1−6アルキルを表し(それ故、例えば−CF基を形成する)、そしてR〜R、XおよびYは前記で定義したとおりである]
の化合物またはその別のエナミノ等価物(例えば、Xがアルキル基を表す場合、エナミノ部分の二重結合はX基に隣接してもよい)によって示されるように、イミノ窒素でN−アシル基を形成する(関連するイミノ官能基はエナミノ官能基に変換される)。
【0087】
むしろ、式XXIVの化合物のペリ環状転位はアシル化試薬の不在下で起こり、従って式XXIVAの中間体を介して進行しない。むしろ、ペリ環状転位は、本明細書で述べるような反応条件下で、例えば本明細書で述べる弱有機酸などの酸の存在下で実施される。
【0088】
そのような中間体を本発明のプロセスにおいて分離(例えば単離)してもよくおよび/または反応条件をその後変更してもよい。すなわち、最初の反応ステップにおいて、前記で定義した本発明のプロセスによって調製される式IIの化合物を、前記で定義した式IIIの化合物と反応させ、式XXIVの中間体化合物を形成してもよく、その後の反応ステップで、式XXIVの中間体に反応(すなわちペリ環状転位反応)を受けさせ、式Iの化合物を形成してもよい。従って、そのような実施形態は基本的に2つの(例えば異なる/別個の)反応ステップから成る。そのような実施形態では、式XXIVの中間体化合物を反応混合物から分離してもよく(例えば抽出して、場合により任意の不純物から単離し、場合により任意の溶媒を除去する)、および/またはその後の反応ステップを変更された反応条件下で(例えば異なるまたは「新鮮」溶媒の存在下でおよび/または付加的な試薬の存在下で)実施してもよい。
【0089】
しかし、好都合には、本発明のプロセスで形成されるいずれの中間体(例えば式XXIVの中間体)も分離する必要がないおよび/またはベンゾフラン形成反応を促進するために反応条件を変更する必要がない。基本的に、それ故、反応は「ワンポット」法として実施してよい。そのような「ワンポット」法は、YがHを表す式Iの化合物(および/またはRが−NOを表す式Iの化合物)を必要とするおよび/または所望する場合に特に好ましい。
【0090】
従って、本発明の特定実施形態では、反応は、いかなる中間体の分離(例えば単離)も伴わずに実施される。本発明の選択的実施形態では、反応は、反応条件の変更を伴わずに実施される。
【0091】
反応が中間体の分離を伴わずに実施されると明言される場合、出発試薬の反応によって形成され得るいかなる中間体も、例えば精製された状態では、単離されないことを意味する(中間体がまだ溶媒および/または残留出発物質または他の不純物の存在下にあるか否かにかかわらず)。これに関連して、それ故、いかなる中間体も出発物質の反応から抽出されないことを包含する。反応条件を変更する必要がないと明言される場合、溶媒を変更する必要がないおよび/またはさらなる試薬を添加する必要がない反応を包含する。
【0092】
本発明のさらにもう1つの態様では、前記で定義したとおりであるが、Yが−C(O)−Zを表す式Iの化合物の調製のためのプロセスであって、Yが−C(O)−Zを表す式XXIVの化合物の反応、例えば分子内反応(すなわちペリ環状転位)を含むプロセスが提供される。そのような反応はアシル化試薬の不在下で実施してよく、例えば本明細書で述べる反応条件下で実施してよい。
【0093】
本発明のベンゾフラン形成プロセス反応は、式IIの化合物を式IIIの化合物と反応させ、好ましくは酸、例えば弱有機酸(例えばギ酸もしくは、好ましくは酢酸)および/または無機酸、例えば任意の適切な鉱酸またはその適切な塩(例えば硝酸、硫酸またはその塩、例えば硫酸水素ナトリウムもしくは、より好ましくはハロゲン化水素酸、例えばHBr)の存在下で実施されるものである。酸の混合物、例えば弱有機酸と無機酸(例えばHBrと酢酸)の混合物も使用してよい。さらに、酸を使用する場合、その酸は水溶液の成分であってもよい。「弱有機酸」とは、有機酸が約2〜約6(例えば約3〜約5)のpKa(約25℃で)を有することを意味する。
【0094】
本発明のベンゾフラン形成プロセス反応は、適切な溶媒、例えば水または有機溶媒、例えばトルエン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドもしくは、好ましくはアルコール(例えばメタノールもしくはエタノール)、またはそれらの混合物(二相溶媒系、例えば水と有機溶媒の混合物を含む)の存在下で実施してよい。しかし、弱有機酸を反応混合物中で使用する場合(それが唯一の酸成分としてであるかまたは酸の混合物の成分としてであるかにかかわらず)、その酸は試薬と溶媒の両方の役割を果たし得る。そのような場合、好都合には、反応混合物中での溶媒の別途の使用が回避される(しかし、上述したように、そのような有機酸と上記で定義した別の適切な溶媒の混合物を使用してもよい)。特に、比較的低い沸点を有する弱有機酸、例えば150℃未満の沸点を有する有機酸(例えばギ酸または、より好ましくは酢酸)は、試薬および溶媒としての役割を果たし得る。例えば、弱有機酸(例えば試薬と溶媒としての役割を果たすもの)を使用する場合、それを溶液として(例えば水中もしくは有機溶媒中の)使用してもよくまたは、例えばより好ましくは、「未希釈」で使用する。例えば、酢酸を使用する場合、それは氷酢酸であってよい。
【0095】
溶媒または溶媒としての役割を果たす弱有機酸を使用する場合、それは任意の適切な容量で存在してよい。しかし、溶媒/弱有機酸溶媒中の式IIの化合物の濃度は、約0.1M〜約5M、好ましくは約0.5M〜約2M(例えば約0.6M〜約1.5M)であることが好ましい。
【0096】
式IIと式IIIの化合物を同時に反応混合物に添加する場合は、溶媒中の試薬の濃度をより高くする(反応混合物中の式IIと式IIIの化合物のモル比に従って;下記参照)。しかし、特に式IIIの化合物においてYがHを表す場合は、式IIIの化合物を式IIの化合物に添加することが好ましい(後者は、好ましくは既に溶媒または溶媒としての役割を果たす弱有機酸の存在下にある)。しかし、特に式IIIの化合物においてYが−C(O)−Zを表す場合は、式IIの化合物を式IIIの化合物に添加することが特に好ましい(後者は、好ましくは既に溶媒または溶媒としての役割を果たす弱有機酸の存在下にある)。そのような添加の順序は、初期分子間反応の位置選択性を促進し得る(例えば、Yが−C(O)−Zを表す式IIIの化合物を使用する場合)および/または、反応が式XXIVの中間体化合物を介して進行する場合、この添加の順序はまた、ベンゾフラン環を形成するその後の分子内反応の効率を促進し得る。
【0097】
本発明のベンゾフラン形成プロセス反応は、任意の適切な反応温度で、例えば室温または高温で実施してよい。本発明の特定の好ましい実施形態では、(例えば反応が弱有機酸と強無機酸の混合物の存在下で起こる場合)、反応は室温で実施してよく(例えば約6時間などの一定期間)、または(例えば反応が弱有機酸溶媒の存在下で起こる場合)、反応は高温(例えば50℃以上、例えば約60℃〜約80℃)で一定期間(例えば約3時間もしくは、約25時間までの任意の適切な期間)実施してよく、次いで、必要に応じて、反応温度を一定期間(例えば約25時間までの任意の適切な期間、例えば22時間)上昇させてよい(例えば少なくとも80℃、例えば約90℃〜約118℃(例えば約110℃、例えば約100℃)に)。
【0098】
当業者は、温度は溶媒系(弱有機酸溶媒を含み得る)の沸点までのみ上昇させ得る、例えば酢酸を使用する場合、反応温度は約118℃までのみ上昇させ得ることを認識する。従って、本発明のプロセスの好ましい温度条件は、反応のプロセスが酢酸の存在下で実施される場合に特に適用可能である。しかし、ベンゾフラン形成プロセス反応をギ酸などの他の弱有機酸(または別の適切な溶媒)の存在下で実施する場合、当業者は、本明細書で言及する好ましい反応温度条件が、例えば異なる沸点に従って、変化し得ることを認識する。
【0099】
本発明のベンゾフラン形成プロセス反応はまた、高温が必要とされるおよび/または望ましい典型的な反応条件に代わる選択肢を提供する条件下で実施してもよい。例えば、マイクロ波照射条件を使用してもよい。「マイクロ波照射条件」により、そのような条件が熱誘起反応を促進する(例えば前記で述べたような高温で)および/またはそのような条件が非熱誘起反応を促進する(すなわち反応が基本的にマイクロ波によって誘起される)反応を包含する。従って、そのような反応条件は必ずしも温度の上昇を伴わない。当業者は、そのような反応条件を使用する場合、反応時間の長さを変化させ得る(例えば短縮し得る)ことを認識する(および非発明的に決定することができる)。
【0100】
本発明のベンゾフラン形成プロセス反応はまた、加圧下で、例えば通常の大気圧より高い圧下で、例えば約5または6バールまでの圧で実施してもよい。やはり、当業者は、そのような反応条件を使用する場合、反応時間の長さを変化させ得る(例えば適切に短縮し得る)ことを認識する(および非発明的に決定することができる)。
【0101】
本発明のベンゾフラン形成プロセス反応は、式IIおよび式IIIの化合物の各々の任意の量の存在下で実施してよい。しかし、好ましくは、約3:2〜約2:3のモル比、最も好ましくは約1.1:1〜約1:1.1(例えば約1:1)のモル比の式IIおよび式IIIの化合物の存在下で実施される。
【0102】
本発明のプロセスによって調製し得る式Iの好ましい化合物は、
、R、RおよびRは、独立して水素、ハロ、−NO、−CN、−C(O)x1、−N(Rx6)Rx7または−N(Rx10)S(O)x11を表し;
XはC1−6アルキルを表し;
Zは、場合により−OR、−NO、−CN、−C(O)a1および−N(Ra6)Ra7から選択される1またはそれ以上の置換基によって置換されたヘテロアリールまたは、好ましくはアリール(例えばフェニル)を表し;
は、オキシ保護基、水素または、場合により−N(Rb2)Rb3から選択される1もしくはそれ以上の置換基によって置換されたC1−4(例えばC1−3)アルキルを表し;
x1、Rx2、Rx3、Rx6、Rx7、Rx8、Rx9、Rx10、Ra1、Ra3、Ra6、Ra7、Ra8、Ra9、Ra10、Rb1、Rb2およびRb3は、独立して水素または、場合により1もしくはそれ以上のハロ原子によって置換されたC1−4アルキルを表し;
x4、Rx5、Rx11、Rx12、Ra4、Ra5、Ra11およびRa12は、独立して、場合により1またはそれ以上のハロ原子によって置換されたC1−4アルキルを表す
ものを含む。
【0103】
本発明のプロセスによって調製し得る式Iのさらなる好ましい化合物は、
、R、RおよびRのいずれか3つ(好ましくはR、RおよびR)は水素を表し;
、R、RおよびRのうち1つ(好ましくはR)は、ハロ、−CN、−C(O)x1、好ましくは−N(Rx10)S(O)x11または、より好ましくは−NOまたは−N(Rx6)Rx7から選択される置換基を表し;
x1は、HまたはC1−3アルキル(例えばイソプロピルなどのプロピル)を表し;
x6、Rx7およびRx10は独立して水素を表し;
x11はC1−2アルキル(例えばメチル)を表し;
Zがフェニルを表す場合、そのような基は置換されていなくてもよく、または好ましくは、例えばオルト位もしくは、好ましくはパラ位で1もしくは2個(例えば1個)の置換基によって置換されており;
Z基上の置換基(例えばZがフェニルを表す場合)は、好ましくは−CN、−C(O)a1、好ましくは−NO、−N(Ra6)Ra7、ハロ(例えばヨード)および、より好ましくは−ORから選択され;
は、オキシ保護基、水素または、場合により−N(Rb2)Rb3から選択される1もしくはそれ以上の置換基によって置換されたC1−3アルキル(例えばエチルもしくは、好ましくはプロピルもしくはメチル)(それ故、例えば−(CH−N(Rb2)Rb3もしくは、好ましくは−(CH−N(Rb2)Rb3基を形成する)を表し;
a1は、HまたはC1−3(例えばC1−2)アルキル(例えばイソプロピルなどのプロピル)を表し;
a6およびRa7は独立して水素を表し;
b2およびRb3は、独立してHまたは、好ましくはC1−4アルキル(例えばエチルもしくは、好ましくはブチル、例えばn−ブチル)を表す
ものを含む。
【0104】
本発明のプロセスによって調製し得る式Iのさらなる好ましい化合物は、
、R、RおよびRは、独立して水素または−NOを表し;
XはC1−4アルキル(例えばブチル)を表し;
Zは、場合によりハロ(例えばヨード)および、好ましくは−ORから選択される1またはそれ以上の置換基によって置換されたアリール(例えばフェニル)を表し;
は、水素、C1−3アルキル(例えばメチル)またはオキシ保護基(例えばベンジル)を表す
ものを含む。
【0105】
本発明のプロセスによって調製し得る式Iの特に好ましい化合物は、
、RおよびRは、独立して水素を表し;
は−NOを表し;
Xはn−ブチルを表し;
Yは−C(O)−Zを表し;
Zは、−O−ベンジル、−OCHまたは、より好ましくは−OHから選択される1またはそれ以上(例えば1個)の置換基によって置換された(例えばオルト位または、好ましくはパラ位で)フェニルを表す
ものを含む。
【0106】
上記で明言したように、本発明のベンゾフラン形成プロセス反応によって得られる式Iの化合物は、Yが−C(O)−Zを表すものであることが好ましい。式Iのそのような化合物を生成する反応(Yが−C(O)−Zを表す式IIIの化合物の反応を含む)は、3−アロイル置換ベンゾフランを必要とする場合、3−非置換ベンゾフランに関する(不利な)フリーデル−クラフツアシル化ステップが回避されるという付加的な利点を有する。本発明のプロセスのこの好ましい実施形態に関連するさらなる利点は、反応が、YがHを表す式Iの化合物を生成するための対応する反応よりも位置選択的に進行し得るので、Yが−C(O)−Zを表す式Iの化合物がより高い収率で生成され得ることである。本発明のこの実施形態では、Yが−C(O)−Zを表す式IIIの化合物が2つのカルボニル部分を含むという事実にも関わらず、式IIの化合物との反応が極めて位置選択的に進行し、Xによって定義される基に隣接する(または基に対してα−である)カルボニルに有利に働く(初期ステップの式IIの化合物のヒドロキシルアミノ部分と関連するカルボニル基の間の縮合反応において)。驚くべきことに、この位置選択性は90:10を上回り(例えば95:5)、99:1の選択性が達成された。
【0107】
前述したように、本発明のプロセスを介して得られる式Iの化合物は、Rが−NOを表すものであることが好ましい。Rが−NOである式Iの化合物の形成は、通常、この反応を実施する従来のプロセスプロセスである、ヒドロキシイミン(例えば2−ヘキサノンオキシム)とクロロフェニル基の反応を介して進行する。
【0108】
さらに、本発明のベンゾフラン形成プロセス反応によって得られる式Iの特に好ましい化合物は、Zが−OHで置換された(例えばパラ位で)フェニルを表すものであることも前記で明言されている。本発明のそのような化合物が望ましいおよび/または必要とされる場合(例えばドロネダロンの合成における中間体として)、関連する−OH基が保護されていないときに本発明のプロセスが進行することは特に好都合である。例えば、3−非置換ベンゾフラン類のフリーデル−クラフツアシル化に関する、先行技術(例えば米国特許第5,223,510号、米国特許第5,854,282号および国際公開公報第WO2007/140989号)に記載されているプロセスは、すべて3−(4−メトキシベンゾイル)ベンゾフラン類の形成を生じさせる。そのような中間体はドロネダロンの合成において使用し得るが、メトキシ基を「脱保護」しなければならない、すなわちメチル基をメチルアリールエーテルから開裂しなければならない。そのような開裂条件はまた、ハロゲン化金属触媒、例えば第III族金属のハロゲン化物触媒、例えばBBrおよびAlCl(これらは、本明細書で挙げる理由からプロセス化学においては不利である;例えばAlClを使用する場合、毒性副産物、例えばクロロメタンが形成され得るため)を含み得る。従って、Zが−OHで置換された(例えばパラ位で)フェニルを表す式Iの化合物を調製する場合、そのようなメチルアリールエーテルの開裂が回避されることを考慮すると、本発明のこの実施形態は特に好ましい。従って、本発明のプロセスに関連する、特に本発明のプロセスの特定の実施形態に関連するいくつかの環境保全上の利点が存在する。
【0109】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、本発明のベンゾフラン形成プロセス反応において、前記で定義した本発明のプロセスによって調製される式IIの化合物を、Yが−C(O)Zを表し、そしてZが−OR基[式中、Rはオキシ保護基(例えばベンジル)を表す]によって置換された(例えばパラ位で)アリールまたはヘテロアリール基(好ましくはフェニル)を表す式IIIの化合物と反応させる。本発明のこの実施形態では、そのようにして形成される式Iの化合物は、Rが同じくオキシ保護基(例えばベンジル)を表す対応するものであり得るか、または、好ましくはRが水素を表すもの(すなわち本発明のプロセスの間に脱保護が起こる)であり得る。従って、本発明のこの実施形態は、実施される必要がある全体的な(別々の)プロセスステップの数を低減し得るので、特に好ましいと考えられる。そのような実施形態では、前記で定義した弱有機酸に加えて、前記で定義した無機酸を使用してもよい。
【0110】
本発明のプロセスによって得られる式II(および式I)の化合物は、標準的な技術によって、例えばクロマトグラフィー、結晶化、溶媒の蒸発および/またはろ過によって分離および/または単離してよい。
【0111】
好都合には、本発明のベンゾフラン形成プロセス反応は、溶液から式Iの化合物を結晶化する付加的なステップをさらに含み、この場合溶媒は、好ましくは非ハロゲン化溶媒である。そのような結晶化は、式Iの化合物を提供する本発明のプロセスの反応混合物への溶媒の添加によって実施し得るか(例えば式Iの化合物の事前の分離、例えば単離(例えば抽出による)を伴わずに)、またはそのような結晶化は、式Iの化合物を分離した(例えば、場合によりその後の溶媒の除去を伴う、抽出によって)または単離した後に実施してよい。
【0112】
好ましくは、結晶化混合物/溶液(これに関連して、本発明のプロセス後であるが分離前の反応混合物中の式Iの化合物、ならびに分離され、その後溶媒を添加された式Iの化合物を含む)を、溶媒の添加後に冷却する。好都合には、混合物を約−5℃〜約15℃(例えば、使用される最適温度は約+5℃〜約15℃である)に冷却する。好ましい「結晶化」温度は約−5℃である(セ氏マイナス5度)。混合物は、任意の適切な手段、例えば氷浴または当業者に周知の、例えば熱交換器を含む冷却システムを用いて冷却してよい。
【0113】
「結晶化」溶媒はまた、結晶化した生成物を洗浄するためにも使用してもよく、前記溶媒を、好ましくは予冷しておく。溶媒を予冷し得る可能な温度は約−5℃〜約5℃である(あるいは、温度は約+5℃〜約15℃であってよい)。洗浄溶媒の予冷を行わない場合、収率が低下し得る。最も好ましい温度は約−5℃である。
【0114】
「結晶化」溶媒は、好ましくはハロゲン化されていないもの、例えば水であるか、またはメタノール、エタノール、イソプロパノールおよび1−プロパノールなどのアルコールでもよい。最も好ましい「結晶化」溶媒はメタノールであり得る。挙げられる他の好ましい結晶化溶媒は、弱有機酸、例えばカルボン酸(例えばブタン酸、プロパン酸、好ましくはギ酸または、より好ましくは酢酸)を含む。そのような弱有機酸を水と混合して、結晶化共溶媒を形成してもよい。結晶化が反応混合物への溶媒の添加から成る場合、その溶媒は水であってもよい。
【0115】
本発明のプロセスにより、そのようにして形成される式Iの精製化合物はまた、上記で特定したもの以外の物質を含んでもよいことが認識されるべきである。
【0116】
この生成物は、さらなる結晶化、蒸留、相分離、例えば分子ふるいおよび/または活性炭を使用した吸着、ならびに有機相洗浄を含む、任意の適切な分離/精製技術または技術の組合せを用いてさらに精製してもよい。
【0117】
本発明のさらなる態様では、ドロネダロン:

(またはその塩、例えば塩酸塩)を調製するためのプロセスであって、本明細書で述べるプロセス(例えば、2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランまたは2−ブチル−3−(4−メトキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランの調製のためのプロセス)をプロセスステップとして含むことを特徴とするプロセスが提供される。
【0118】
従って、ドロネダロンまたはその塩の調製のためのプロセスであって、本明細書で述べる式Iの化合物の調製のためのプロセス(例えば2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランまたは2−ブチル−3−(4−メトキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランの調製のためのプロセス)を含み、それに続いて、必要な/要求される場合は:
1)必要な場合(すなわち2−ブチル−3−(4−メトキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランの場合)、「4−メトキシ」部分の「4−ヒドロキシ」部分への変換(例えば標準条件下でのメチルフェニルエーテル部分の開裂によって、例えばBBrおよびAlClを使用することによって);ならびに
2)ニトロ(−NO)基のメチルスルホニルアミノ(−NHS(O)CH)基への変換(例えば、ニトロ基のアミノ(−NH)基への変換と、それに続くCH−S(O)−L[式中、Lはハロ、好ましくはクロロを表す]との反応を介して)、
3)−OH基の、関連するオキシアルキルアミノアルキル(例えばO−(CH−N(C)基への変換、
4)必要な/要求される場合、そのようにして形成されたドロネダロンの任意の遊離塩基の塩(塩酸塩など)への変換
を含むプロセスが提供される。
【0119】
そのようなステップは当業者に公知の標準的なステップであり、前記ステップは、本明細書で開示される参考文献などの先行技術において記述されている技術に従って実施してよい。例えば、ドロネダロン(またはその塩)は、米国特許第5,223,510号に記載されているような、ベンゾフランの誘導体を合成する任意の標準的な経路を使用して式Iの関連化合物から調製し得る。当業者は、変換の個々のステップ(例えば上記のステップ(2)および(3)によって概説されるもの)を任意の適切な順序で実施してよいことを認識する。
【0120】
ステップ(3)
例えば、式Iの化合物が2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランである場合、そのような化合物は、上記ステップ(3)に示すように反応させてよく、その反応は、式XXV:

[式中、L1a1は適切な脱離基、例えばスルホン酸基(例えばトリフレートまたはスルホネート)、ヨード、ブロモまたは、好ましくはクロロである]の化合物の存在下に、例えば米国特許第5,223,510号(実施例1(e)参照)に記載されているような、標準的なアルキル化反応条件下で実施して、式XXVI:

のドロネダロン中間体化合物を形成し得る。
【0121】
あるいは、ステップ(3)は2つの異なるステップで実施してもよく、例えば、2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランと、式XXVIA:

[式中、各々のL1a1は、独立して、適切な脱離基、例えばヨード、クロロまたは、好ましくはブロモを表す]の化合物を反応させ、それ故式XXVIB:

[式中、L1a1は前記で定義したとおりである(好ましくはブロモである)]のドロネダロン中間体を形成して、この中間体を、次に、例えば中国特許公開公報第101153012号に記載されているような反応条件下で、HN(n−ブチル)(ジ−n−ブチルアミン)と反応させ、式XXVIのドロネダロン中間体を形成してもよい。
【0122】
ステップ(2)
式XXVIの中間体化合物を、次に、上記ステップ(2)に示すように反応させてもよく、その反応は、異なるサブステップ:
(i)例えば米国特許第5,223,510号(実施例1(f)参照)または国際公開公報第WO02/48132号に記載されているような、標準的な反応条件下での、−NO基の−NH基への還元、例えばH(例えば水素雰囲気または発生期水素、例えばギ酸アンモニウム)および貴金属触媒(例えばPtOまたはPd/C)の存在下に、適切な溶媒(例えばアルコール、例えばエタノール)の存在下で水素化し、それにより式XXVI:

の中間体化合物を形成する、
(ii)式XXVIIのドロネダロン中間体化合物を、次に、式XXVIII:

[式中、L1a2は適切な脱離基、例えばブロモ、ヨードまたは、好ましくはクロロを表す]の化合物との、米国特許第5,223,510号(実施例3(a))に記載されているような反応条件下での反応によってメシル化し得る、
ことから構成され得る。
【0123】
ステップ(4)
前記(ステップ(4))で明言したように、ドロネダロンは、例えば米国特許第5,223,510号(実施例3(b)参照)に記載されているように、例えばエーテル中でドロネダロンとHClを会合させることによって、または米国特許第6,828,448号(実施例4などの実施例参照)に記載されているように、例えばドロネダロン、塩酸(例えば約30〜40%)およびイソプロパノールなどのアルコール性溶媒を会合させることによって、塩酸塩などの塩に変換してもよい。
【0124】
前記で明言したように、上記ステップは任意の実施可能な順序で実施してよい。従って、2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランを、最初にステップ(2)に示すように反応させ、次いでステップ(3)に示すように反応させてもよい。ドロネダロンの調製は、それ故、以下の式XXIXおよびXXX:

の中間体化合物を介して進行してもよく(ステップ2)、また式XXXI:

[式中、L1a1は前記で定義したとおりである]の中間体化合物を介して進行してもよい(2ステッププロセスとして実施する場合、ステップ(3))。
【0125】
当業者は、式XXVI、XXVIB、XXVII、XXIX、XXXおよびXXXIの中間体化合物もまた式Iの化合物であり得ることを認識する。従って、式Iのそのような化合物(本発明のプロセスから直接調製され得る)の変換は、ドロネダロンまたはその塩(例えばHCl塩)を提供するために前記で概説したプロセスステップ(またはサブプロセスステップ)(すなわちステップ(1)、(2)、(3)および(4))の必ずしもすべてを必要としない場合があり得る。そのような場合、適切な変換のために前記ステップのいずれが必要であるかは当業者に直ちに明らかである。
【0126】
前記で述べたプロセスステップと、それに続くドロネダロンまたはその塩の形成を導く1またはそれ以上のプロセスステップを含む、ドロネダロン(またはその塩、例えば塩酸塩)の中間体の調製のためのプロセスがさらに提供される。例えば、そのようなさらなるプロセスステップは、前記で概説したステップ(1)(必要な/要求される場合)および/または前記のステップ(2)、(3)および(4)で開示されるプロセスステップのいずれか1つまたはそれ以上を任意の実施可能な順序で含み得る(それにより式XXVI、XXVIB、XXVII、XXIX、XXXまたはXXXIの中間体を形成する)。当業者は、ステップ(2)、(3)および(4)が、各々、結果として生じる関連する変換のために複数の別々の反応ステップを必要とし得ることを認識する。
【0127】
本明細書で述べるプロセスは、バッチプロセスとしてまたは連続プロセスとして操作されてもよく、任意の規模で実施してよい。
【0128】
一般に、本明細書で述べるプロセスは、先行技術で開示されるプロセスと比較して、式Iの化合物がより少ない試薬および/または溶媒を使用して、および/またはより少ない反応ステップ(例えば異なる/別々の反応ステップ)しか必要とせずに、生成され得るという利点を有し得る。本明細書で述べるプロセスはまた、望ましくない副産物(望ましくない副反応の結果物)、例えば毒性であり得るまたは取り扱うのに危険であり得る、例えば爆発性であり得る副産物をより少なく生成し得るという利点も有し得る。
【0129】
本発明のプロセスはまた、先行技術で開示される手順と比較して、式Iの化合物がより高い収率で、より高い純度で、より高い選択性(例えばより高い位置選択性)で、より少ない時間で、より好都合な(すなわち取り扱いやすい)形態で、より好都合な(すなわち取り扱いやすい)前駆体から、より低いコストで、および/または材料(試薬および溶媒を含む)のより少ない使用および/または廃棄で生成されるという利点を有し得る。さらに、ハロゲン化溶媒の使用の回避のような(例えば、フリーデル−クラフツ反応または、先行技術のプロセスによって実施される特定のステップに必要とされ得る、例えば−OCH基の−OH基への脱保護を実施する必要を回避する場合)、本発明のプロセスのいくつかの環境保全上の利点が存在し得る。
【実施例】
【0130】
以下の実施例は、本明細書で述べる本発明のプロセスの単なる説明例である。
【0131】
使用したすべての装置、試薬および溶媒は、標準的な実験装置、例えばガラス器具、加熱装置およびHPLC装置であった。
【0132】
実施例1
0−4−ニトロフェニルヒドロキシルアミン
生成物181g、0.807mol(乾燥時)を含む、水で湿らせたエチル−N−(4−ニトロフェノキシ)アセトイミデート240gを、温度を25〜32℃に保持しながら、37%塩酸397g(5当量)に50分間にわたって少しずつ添加した。60分後の分析(HPLC)は99.9%の変換を示した。スラリーを水37mlで希釈し、次に、温度を33℃未満に保持しながら33%NaOH 580gで中和した。その後スラリーを24℃に冷却し、ろ過して、ろ過ケークを水210mlで洗浄した。乾燥して、0−4−ニトロフェニルヒドロキシルアミン124.5gを得た。アッセイ(NMR)99.8%、クロマトグラフィー純度(HPLC)99.4面積%。収率99.9%。
【0133】
実施例2
方法A
2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフラン
(a)4−ベンジルオキシアセトフェノン(10g)およびペンタン酸エチル(1.2当量)を、DMF(6.5g)を含むトルエン(30g)に溶解した。混合物を65℃に加熱し、NaOMe(3当量)を3.5時間にわたって少しずつ添加した。4時間後に採取した試料の分析は97%の変換を示した。反応混合物を水(30ml)に添加することによってクエンチングした。これに続いて、塩酸で酸性化し、トルエン(40ml)で抽出して、次いで溶媒をMeOH(100ml)に交換した。冷却後に結晶化する生成物をろ過によって収集し、メタノールで洗浄して、減圧下で乾燥した。1−(4−ベンジルオキシフェニル)−ヘプタン−1,3−ジオンの収量8.04g。
(b)1−(4−ベンジルオキシフェニル)−ヘプタン−1,3−ジオン(4g;上記ステップ(a)参照)をトルエン(20ml)に溶解し、Pd/C(3%、80mg)を添加した。水素の取込みが停止するまで、混合物を室温で撹拌した。触媒をろ過した後、溶媒を蒸発させて、1−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン−1,3−ジオン2.84gを100%の収率で得た。
(c)実施例1に従って調製したO−4−ニトロフェニルヒドロキシルアミン(1.0g)を酢酸(10ml)に懸濁し、1−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン−1,3−ジオン(1.36g;上記ステップ(b)参照)を添加した。混合物を70℃で3時間、次に100℃でさらに22時間撹拌した。混合物を室温に冷却させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランの収率80%。
【0134】
方法B
2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフラン
1−(4−ベンジルオキシフェニル)−ヘプタン−1,3−ジオン(191mg;実施例1(a)参照)をHBr/酢酸1mlに懸濁し、O−4−ニトロフェニルヒドロキシルアミン(実施例1に従って調製した)100mgを添加した。混合物を室温で6時間撹拌した。水でクエンチングし、EtOAcで抽出して、次に溶媒を蒸発させた後、表題化合物約125mgを含む粗物質を得た。収率約59%。
【0135】
方法C
2−ブチル−3−(4−メトキシシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフラン
実施例1に従って調製したO−4−ニトロフェニルヒドロキシルアミン(100mg)を酢酸0.5mlに懸濁し、1−(4−メトキシフェニル)−ヘプタン−1,3−ジオンを添加した。混合物を70℃で3時間、次に100℃でさらに14時間撹拌した。混合物を室温に冷却させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。2−ブチル−3−(4−メトキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランの収率70%。
【0136】
方法D
ドロネダロンの合成
ドロネダロンは、先行技術で記述されている(および本明細書中で参照する)標準的な合成プロセスを使用し、本明細書で述べるプロセスのいずれか、例えば実施例2(上記のプロセスプロセスA、BおよびC)で述べる中間体2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランおよび2−ブチル−3−(4−メトキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランへのプロセスを組み込んで合成される。ドロネダロンは、ニトロ(−NO)基をメチルスルホニルアミノ(−NHS(O)CH)基に変換し(例えばアミノ(−NH)基を介して)、−OH(または−OCH)基を任意の関連するオキシアルキルアミノアルキル(例えば−O−(CH−N(C)基に変換するための任意の標準的な経路を使用してこれらの中間体から作製できる。さらに、関連する化合物の塩(塩酸塩など)も調製し得る。そのようなステップは当業者に公知の標準的なステップであり、前記ステップは、本明細書で開示する参考文献などの先行技術において記述されている技術に従って実施し得る。
【0137】
実施例3
方法A
エチルN−(4−ニトロフェノキシ)アセトイミデート

4−クロロニトロベンゼン136.2gおよびエチルN−ヒドロキシアセトイミデート111.4gをDMF 216mlに溶解する。温度を30℃に調整し、固体NaOH 41.6gを、温度を30〜35℃に保持しながら8回に分けて添加する。1時間後、温度を40〜45℃に調整し、混合物を1.5時間撹拌する。冷却し、水520mlを、温度を約40℃に保持する速度で供給する。形成されたスラリーを17℃に冷却し、ろ過する。ろ過ケークをエタノール/水 90/10(V/V)175ml、次いで水175mlで洗浄する。乾燥エチルN−(4−ニトロフェノキシ)アセトイミデート192gに相当する、湿潤生成物214.5gを単離する。収率98.5%。
【0138】
方法B
エチルN−(4−ニトロフェノキシ)アセトイミデート

トルエン976g中のエチルN−ヒドロキシアセトイミデート549gの溶液に、DMF 1267g、Aliquat 336 39.9gおよび4−クロロニトロベンゼン799gを添加する。温度を30℃に調整し、固体NaOH223gを、10〜15分ごとに25〜30gずつに分けて添加する。添加が完了したとき、ジャケット温度を40℃に設定し、反応が完了するまで3〜4時間、混合物を撹拌する。ジャケット温度を50℃に調整し、約80%のトルエンを減圧で揮散させる。温度を最大45℃に保持しながら水3040gを添加する。形成されたスラリーを効率よく撹拌し、残留トルエンを減圧で揮散させる。15℃に冷却した後、生成物をろ過し、EtOH/水 90/10(V/V)1080g、次いで水1080gで洗浄する。乾燥エチルN−(4−ニトロフェノキシ)アセトイミデート1080gに相当する湿潤生成物1188gを得る。収率95%。
【0139】
方法C
O−(4−ニトロフェニル)ヒドロキシルアミン
上記で述べた実施例1に従ってこの化合物を調製した。
【0140】
方法D
(a)1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ヘプタンジオン

ナトリウムtert−ブトキシド1270gをTHF 1390g中にスラリー化し、混合物を還流温度に加熱する。THF 1390g中の4−ヒドロキシアセトフェノン580gおよび吉草酸エチル555gの溶液を30分間にわたって添加する。反応が完了するまで約4.5時間、溶液を還流温度で撹拌し、その後反応混合物を37%HCl 1270gに添加してクエンチングする。THFを減圧で蒸留することによって混合物を濃縮し、残留物にトルエン900gを添加する。水相を分離し、トルエン相を10%NaCl水溶液900gで洗浄する。トルエンを減圧で揮散させ、残留オイルを酢酸850gで希釈する。溶液を8℃に冷却し、水850mlを緩やかに添加する。形成されたスラリーを5〜8℃で90分間撹拌し、次にろ過して、20%酢酸水溶液608gで洗浄する。減圧下に40℃で乾燥し、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ヘプタンジオン608gを得る。収率65%。
【0141】
(b)1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ヘプタンジオン

ナトリウムt−ブトキシド180.5g、1.878molをTHF 378mlと混合し、撹拌する。THF 56ml中の4−ヒドロキシアセトフェノン85.3g、0.626molと吉草酸エチル81.5g、0.626molの混合物を約45℃に加熱し、その透明な溶液をナトリウムt−ブトキシド/THF混合物に添加する。混合物を還流温度(約68℃)に加熱し、6時間撹拌する。温度を約60℃に調整し、水294ml中の酢酸120gの溶液に添加して粘性混合物をクエンチングする。THFおよび他の揮発性物質を揮散させ、残留乳濁液をトルエン146mlで抽出する。水相の分離後、残留物を減圧下で濃縮し、生成物を酢酸130mlと水138mlの混合物から結晶化させる。生成物をろ過によって単離し、ろ過ケークを20%酢酸、次に水で洗浄する。湿潤生成物を減圧下で乾燥し、1−(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン−1,3−ジオン93.1g、0.423molを得る。収率67.5%。
【0142】
(c)1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ヘプタンジオン

吉草酸エチル74ml中の4−ヒドロキシアセトフェノン13.6g、0.10molの溶液に、ナトリウムtert−ブトキシド29.7g、0.31molを少しずつ添加する。形成されたスラリーを82℃に加熱し、4時間撹拌した後、混合物を水47ml中の酢酸2mlの溶液に添加してクエンチングする。生成物を含有する下部水相を分離し、酢酸16mlで処理してpH4にする。上部油相を分離し、酢酸20mlおよび水2.3gで希釈する。混合物を冷却し、20℃で結晶が分離し始める。5℃まで冷却を続ける。水19mlを25分間にわたって添加し、次いで20分間撹拌して、その後生成物をろ過によって単離し、20%酢酸23.5g、次に水23.5gで洗浄する。気流中、室温で乾燥して、1−(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン−1,3−ジオン14.6gを得た。純度(HPLC)<99.8%、収率65%。クエンチからの上部相をトルエン30mlで希釈し、少量の水相を分離する。有機相を濃縮し、次に蒸留して、理論上の回収率の48%で粗吉草酸エチルを得た。
【0143】
方法E
2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフラン

1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ヘプタンジオン(方法D、反応(a)、(b)および/または(c)参照)697gを酢酸2532gに溶解する。O−(4−ニトロフェニル)ヒドロキシルアミン(実施例1に従って調製した)488gを約20℃で少しずつ添加する。形成されたスラリーを酢酸739gで希釈し、混合物を115℃に加熱して、3時間撹拌する。暗色溶液を冷却し、温度を70〜80℃に保持しながら水1635gを添加する。温度を60℃に調整し、種結晶を添加する。結晶化が始まったとき、スラリーを4℃に冷却し、ろ過して、67%酢酸水溶液870g、次いで水580gで洗浄する。減圧にて70℃で乾燥し、2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフラン736gを得る。収率69%。
【0144】
方法F
1−(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン−1,3−ジオン−3−[O−(4−ニトロフェニル)オキシム]

1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ヘプタンジオン(方法D、反応(a)、(b)および/または(c)参照)1121gを酢酸4070gに溶解する。O−(4−ニトロフェニル)ヒドロキシルアミン784gを、温度を約20℃に保持しながら少しずつ添加する。形成されたスラリーを3時間撹拌し、15℃に冷却して、ろ過し、酢酸1590gで洗浄する。乾燥1−(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン−1,3−ジオン−3−[O−(4−ニトロフェニル)オキシム]1596gに相当する湿潤ケーク1944gを得る。収率88%。
【0145】
方法G
2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフラン

方法Fで得た湿潤1−(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン−1,3−ジオン−3−[O−(4−ニトロフェニル)オキシム]1944gを酢酸4900g中にスラリー化する。スラリーを115℃に加熱し、3時間撹拌する。形成された暗色溶液を冷却し、温度を70〜80℃に保持しながら水2630gを添加する。温度を60℃に調整し、種結晶を添加する。結晶化が始まったとき、スラリーを4℃に冷却し、ろ過して、67%酢酸水溶液1400g、次いで水930gで洗浄する。減圧にて70℃で乾燥し、2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフラン1182gを得る。収率78%。
【0146】
方法H−ドロネダロンの合成
ドロネダロンは、先行技術で記述されている(および本明細書中で参照する)標準的な合成プロセスを使用し、本明細書で述べるプロセスのいずれか、例えば上記実施例3(方法A〜H)で述べる中間体2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランおよび2−ブチル−3−(4−メトキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランへのプロセスを組み込んで合成される。ドロネダロンは、ニトロ(−NO)基をメチルスルホニルアミノ(−NHS(O)CH)基に変換し(例えばアミノ(−NH)基を介して)、−OH(または−OCH)基を任意の関連するオキシアルキルアミノアルキル(例えば−O−(CH−N(C)基に変換するための任意の標準的な経路を使用してこれらの中間体から作製できる。さらに、関連する化合物の塩(塩酸塩など)も調製し得る。そのようなステップは当業者に公知の標準的なステップであり、前記ステップは、本明細書で開示する参考文献などの先行技術において記述されている技術に従って実施し得る。
【0147】
実施例4
ドロネダロンは、例えばMultaq(登録商標)の商標名で市販されている製品を形成するための、標準的な手順を用いて医薬的に許容される剤型に製剤し得る。
【0148】
例えば、前記で定義したプロセスをプロセスステップとして含むことを特徴とする、ドロネダロンまたはその塩(例えば塩酸塩)を含有する医薬製剤を製造するためのプロセスが提供される。当業者は、そのような医薬製剤が含有する/構成される物質(例えば、有効成分(すなわちドロネダロンまたはその塩)と医薬的に許容される賦形剤、アジュバント、希釈剤および/または担体の混合物)を理解する。
【0149】
ドロネダロン(またはその塩、例えば塩酸塩)を含有する医薬製剤(この製剤はMultaq(登録商標)であり得る)の調製のためのプロセスであって、ドロネダロンまたは医薬的に許容されるその塩(前記で述べたプロセスによって形成され得る)を、医薬的に許容される賦形剤、アジュバント、希釈剤および/または担体と組み合わせることを含むプロセスがさらに提供される。
【0150】
当技術分野で記述されている(例えば米国特許第5,985,915号(実施例3参照)、米国特許出願第2004/0044070号(実施例1〜5参照)、米国特許第7,323,439号、米国特許出願第2008/0139645号および/または中国特許公開公報第101152154号において)、ドロネダロン(またはその塩、例えば塩酸塩)を含有する医薬製剤の調製のためのプロセスであって、ドロネダロン(またはその塩、例えば塩酸塩)を関連製剤のその他の成分と組み合わせることを含むプロセスがさらに提供される。例えば、ドロネダロン塩酸塩を、トウモロコシデンプン、滑石、無水コロイド状シリカ、ステアリン酸マグネシウムおよびラクトース(米国特許第5,985,915号の実施例3参照);マンニトール、無水リン酸二水素ナトリウムおよび、場合により水(米国特許第5,985,915号の実施例5参照);ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、リン酸一ナトリウム脱水物およびマンニトール(米国特許出願第2004/0044070号の実施例1参照);ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、無水リン酸二水素ナトリウム、マンニトールおよび、場合により水(米国特許出願第2004/0044070号の実施例2および3参照);β−シクロデキストリンのメチル化誘導体の混合物、マンニトールおよび、場合により水(米国特許出願第2004/0044070号の実施例4参照)と組み合わせ得る。前述した製剤は、経口錠剤形態または注射用形態であり得る(例えば米国特許出願第2004/0044070号は注射用形態を記述し得る)。
【0151】
特に、ドロネダロン(またはその塩、本明細書で述べるプロセスに従って調製される)を、例えば米国特許第7,323,493号に記載されているように、場合により1またはそれ以上の医薬賦形剤と組み合わせて、ポロキサマー(例えばポロキサマー407;Synperonic(登録商標)PE/F127)から選択される医薬的に許容される非イオン性親水性界面活性剤と組み合わせることを含む、医薬製剤の調製のためのプロセスがさらに提供され得る。例えば、ドロネダロン塩酸塩を、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ラクトース一水和物、加工トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、Synperonic(登録商標)PE/F127ならびに、場合により無水コロイド状シリカ、ステアリン酸マグネシウムおよび水のいずれか1つまたはそれ以上(例えば米国特許第7,323,493号の錠剤Aおよび実施例1〜3参照);加工トウモロコシデンプン、ラクトース一水和物、滑石、無水コロイド状シリカおよびステアリン酸マグネシウム(例えば米国特許第7,323,493号のゼラチンカプセル参照)、微結晶セルロース、無水コロイド状シリカ、無水ラクトース、ポリビニルピロリドン、Synperonic(登録商標)PE/F127ならびに、場合によりマクロゴール6000およびステアリン酸マグネシウムの1つまたはそれ以上(米国特許第7,323,493号の実施例4〜6参照);微結晶セルロース、トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、Synperonic(登録商標)PE/F127、無水コロイド状シリカ、ステアリン酸マグネシウムおよびラクトース一水和物(米国特許第7,323,493号の実施例7および8参照)と組み合わせ得る。当業者は、例えば成分の上記リストにおいて、あらゆる単一成分が製剤中に存在する必要はない(従って、製剤を調製するためのプロセスは、ドロネダロンを上記で挙げた成分の一部とだけ組み合わせることを含み得る)ことを認識する。さらに成分が言及される場合、当業者は、それが、同じ機能を果たす別の等価物または類似の成分によって置き換えられてもよい(例えばSynperonic(登録商標)PE/F127は別の適切な界面活性剤で置き換えてもよく、メチルヒドロキシプロピルセルロースおよびトウモロコシデンプンは、適切な崩壊剤または生体接着促進剤等のような別の成分で置き換えてもよい)ことを認識する。
【0152】
本明細書で医薬製剤に言及する場合、それは、摂取のための適切な投与形態(例えば錠剤形態または注射用形態)の製剤を包含する。従って、ドロネダロンまたはその塩を含有する医薬製剤の調製のためのプロセスに関連する、本明細書で言及されるいかなるプロセスも、適切な投与形態(および/または投与形態の適切な包装)への適切な変換をさらに含み得る。例えば米国特許第7,323,493号は、ゼラチンカプセルであり得る、適切な錠剤形態へのプロセスを説明し得る(実施例1〜8参照)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式II:

[式中、
、R、RおよびRは、独立して水素、ハロ、−NO、−CN、−C(O)x1、−ORx2、−SRx3、−S(O)Rx4、−S(O)x5、−N(Rx6)Rx7、−N(Rx8)C(O)Rx9、−N(Rx10)S(O)x11またはRx12を表し;
x1、Rx2、Rx3、Rx6、Rx7、Rx8、Rx9およびRx10は、独立して水素または、場合により1もしくはそれ以上のハロ原子によって置換されたC1−6アルキルを表し;
x4、Rx5、Rx11およびRx12は、独立して、場合により1またはそれ以上のハロ原子によって置換されたC1−6アルキルを表す]
の化合物の調製のためのプロセスであって、式IIA:

[式中、
PGはイミノ保護基を表し;そして
、R、RおよびRは前記で定義したとおりである]
の化合物の脱保護を含み、反応がハロゲン化水素、リン酸または硫酸および少なくとも15重量%の水を含む溶媒系の存在下で実施されることを特徴とするプロセス。
【請求項2】
前記反応がハロゲン化水素の存在下で実施される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記ハロゲン化水素がHClである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記溶媒系が少なくとも50重量%の水を含む、前記請求項のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記溶媒系が基本的に水から成る、請求項6に記載のプロセス。
【請求項6】
、R、RおよびRのいずれか3つ(好ましくはR、RおよびR)が水素を表す、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
、R、RおよびRのいずれか1つ(好ましくはR)が−NOを表す、請求項1または請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
式IIAの化合物を酸に添加する、前記請求項のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
PGが=C(Rq1)ORq2[式中、Rq1およびRq2は、独立してC1−6アルキルを表す]を表す(それ故、例えば、保護されたヒドロキシルアミン基が−O−N=C(CH)OCHCHである式IIAの化合物を形成する)、前記請求項のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
プロセスステップが、式IIの化合物の遊離塩基を得るための中和をさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
式I:

[式中、R、R、RおよびRは、独立してハロ、−NO、−CN、−C(O)x1、−ORx2、−SRx3、−S(O)Rx4、−S(O)x5、−N(Rx6)Rx7、−N(Rx8)C(O)Rx9、−N(Rx10)S(O)x11またはRx12を表し;
Xは、水素または、場合により1もしくはそれ以上のハロ原子によって置換されたC1−6アルキルを表し;
Yは、Hまたは−C(O)−Zを表し;
Zは、どちらも、場合により−OR、ハロ、−NO、−CN、−C(O)a1、−SRa3、−S(O)Ra4、−S(O)a5、−N(Ra6)Ra7、−N(Ra8)C(O)Ra9、−N(Ra10)S(O)a11およびRa12から選択される1またはそれ以上の置換基によって置換された、アリールまたはヘテロアリールを表し;
は、オキシ保護基、水素または、場合によりハロ、−C(O)b1および−N(Rb2)Rb3から選択される1もしくはそれ以上の置換基によって置換されたC1−6アルキルを表し;
x1、Rx2、Rx3、Rx6、Rx7、Rx8、Rx9、Rx10、Ra1、Ra3、Ra6、Ra7、Ra8、Ra9、Ra10、Rb1、Rb2およびRb3は、独立して水素または、場合により1もしくはそれ以上のハロ原子によって置換されたC1−6アルキルを表し;
x4、Rx5、Rx11、Rx12、Ra4、Ra5、Ra11およびRa12は、独立して、場合により1またはそれ以上のハロ原子によって置換されたC1−6アルキルを表す]
の化合物の調製のためのプロセスであって、請求項1で定義され、請求項1〜10のいずれか一項に記載のプロセスによって調製される式IIの化合物と、式III:

[式中、YおよびXは前記で定義したとおりである]
の化合物との反応を含むプロセス。
【請求項12】
請求項11で定義したとおりであるが、
Yが−C(O)Zを表す;
前記反応が「ワンポット」法として実施される;
が−NOを表す;および/または
前記プロセスがアシル化試薬なしで実施される
ことを特徴とする、式Iの化合物の調製のためのプロセス。
【請求項13】
Xがn−ブチルを表し;および/またはZが、−OH、−OCHまたは−O−ベンジルによってパラ位で置換されたフェニルを表す、前記請求項のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記反応が酸の存在下で実施される、請求項11〜13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記酸が弱有機酸である、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記弱有機酸溶媒中の式IIの化合物の濃度が約0.1M〜約5M、例えば約0.6M〜約1.5Mである、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
式IIの化合物を式IIIの化合物に添加する、請求項11〜16のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項18】
前記反応が高温で実施される、前記請求項のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
式IIおよびIIIの化合物が約3:2〜約2:3のモル比で存在する、請求項11〜18のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項20】
前記プロセスが、式XXIV:

[式中、Yは−C(O)Zを表し、そしてR、R、R、R、XおよびZは、請求項11、12または13のいずれか一項で定義したとおりである]
の中間体を介して進行する、請求項11〜19のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項21】
前記プロセスが、式Iの化合物を溶液から結晶化する付加的なステップをさらに含む、請求項11〜20のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか一項に記載のプロセスをプロセスステップとして含むことを特徴とする、ドロネダロンまたはその塩を調製するためのプロセス。
【請求項23】
請求項1〜21のいずれか一項に記載のプロセスをプロセスステップとして含むことを特徴とする、ドロネダロンまたはその塩を含有する医薬製剤を調製するためのプロセス。
【請求項24】
請求項22に記載のドロネダロンまたはその塩の調製のためのプロセスであって、
1)請求項11〜21のいずれか一項に記載の2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランまたは2−ブチル−3−(4−メトキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランの調製のためのプロセス;
2)2−ブチル−3−(4−メトキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランの場合は、4−メトキシ部分の4−ヒドロキシ部分への変換;次いで、任意の実施可能な順序で、
3)ニトロ(−NO)基のメチルスルホニルアミノ(−NHS(O)CH)基への変換;
4)−OH基の−O−(CH−N(C基への変換;および
5)必要な場合および/または望まれる場合は、そのようにして形成されたドロネダロンの任意の遊離塩基の塩への変換
を含むプロセス。
【請求項25】
ステップ(1)が2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランの調製を含み、その後にステップ(4)、次にステップ(3)、次にステップ(5)が続く、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
ドロネダロンまたはその塩を含有する医薬製剤の調製のためのプロセスであって、請求項22、24または25に記載のドロネダロンまたはその塩の調製のためのプロセスを含み、次いで、そのようにして形成されたドロネダロン(またはその塩)を医薬的に許容される賦形剤、アジュバント、希釈剤または担体と組み合わせることを含むプロセス。
【請求項27】
ドロネダロンまたはその塩を含有する医薬製剤の調製のためのプロセスであって、請求項22、24または25に記載のドロネダロンまたはその塩の調製のためのプロセスを含み、次いで、ドロネダロン(またはその塩)をポロキサマーから選択される医薬的に許容される非イオン性親水性界面活性剤および、場合により1またはそれ以上の医薬賦形剤と組み合わせることを含むプロセス。
【請求項28】
ドロネダロンの中間体またはその塩の調製のためのプロセスであって、請求項1〜21のいずれか一項に記載のプロセスステップ、次いで請求項24に記載の(1)、(2)、(3)および(4)で開示される任意の1またはそれ以上のプロセスステップを含むプロセス。
【請求項29】
実施例を参照して実質的に本明細書の中で説明されるプロセスまたは化合物。

【公表番号】特表2012−523401(P2012−523401A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504070(P2012−504070)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000709
【国際公開番号】WO2010/116140
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(510093303)
【氏名又は名称原語表記】CAMBREX KARLSKOGA AB
【住所又は居所原語表記】SE−691 85 Karlskoga, Sweden
【Fターム(参考)】