説明

ヒドロギ酸塩1種以上を含むコーティッド製剤

本発明は、一般式(I)のヒドロギ酸塩を1種以上含む、コーティッドまたは液状製剤、およびその使用に関する:
(I) M[HCOO]・HCOOH
[式中、M=Na、K、Cs、NHである]。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒドロギ酸塩1種以上を含むコーティッドまたは液状製剤、ならびにこれらの製剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
酸性ギ酸塩およびこれらの調製方法はずっと以前から知られている。例えば、Gmelins Handbuch der anorganischen Chemie[Gmelinの無機化学ハンドブック], 8th Edition, number 21, 816〜819ページ, Verlag Chemie GmbH, Berlin 1928、およびnumber 22, 919〜921ページ, Verlag Chemie GmbH, Berlin 1937に、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムをギ酸中に溶解させることによる、二ギ酸ナトリウムおよび二ギ酸カリウムの合成が記載されている。結晶状二ギ酸塩は、温度を低下させるか、過剰のギ酸を蒸発させることによって、取得することができる。
【0003】
独国特許発明第424017号明細書に、ギ酸ナトリウムを適切なモル比でギ酸水溶液中に投入することによる、異なる酸含有量の酸性ギ酸ナトリウムの調製が教示されている。この溶液を冷却することによって、対応する結晶を取得することができる。
【0004】
J.Kendallら、Journal of the American Chemical Society, Vol.43, 1921, 1470〜1481ページ、によれば、酸性ギ酸カリウムは、炭酸カリウムを90%濃度のギ酸に溶解することによって、二酸化炭素の生成をともなって、取得することができる。結晶化によって、対応する固体を取得することができる。
【0005】
英国特許第1,505,388号明細書に、カルボン酸を水溶液中の所望のカチオンの塩基性化合物と混合することによる、酸性カルボン酸塩溶液の調製が開示されている。例えば、酸性カルボン酸アンモニウム溶液の調製では、塩基性化合物としてアンモニア水を使用する。
【0006】
米国特許第4,261,755号明細書には、過剰のギ酸を対応するカチオンの水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩と反応させることによる、酸性ギ酸塩の調製が記載されている。
【0007】
国際公開第96/35657号パンフレットには、ギ酸カリウム、ナトリウム、セシウムもしくはアンモニウム、水酸化カリウム、ナトリウムもしくはセシウム、炭酸もしくは炭酸水素カリウム、ナトリウムもしくはセシウムまたはアンモニアと場合により水性のギ酸とを混合し、その後反応混合物を冷却し、生成する懸濁物をろ過し、そして生成するフィルターケーキを乾燥し、またろ液を再循環させることによる、ギ酸の二塩化合物を含有する生成物の調製が教示されている。
【0008】
未公開のドイツ特許出願第10154715.3号および第10210730.0号には、ギ酸塩類の調製方法が記載されている。
【0009】
酸性ギ酸塩には抗微生物活性があり、例えば牧草、農産物または肉類などの植物および動物材料の保存および酸性化のため、生物廃棄物の処理のため、あるいは動物栄養用添加剤として、使用されている。
【0010】
国際公開第96/35337号パンフレットに、二ギ酸塩、特に二ギ酸カリウムを含む動物飼料原料および動物飼料添加剤が記載されている。
【0011】
国際公開第97/05783号パンフレット(欧州特許出願公開第845947号明細書)に、ギ酸および/またはギ酸の一/二もしくは四塩化合物を含有する冷却媒体を使用した、魚の冷却および保存方法が記載されている。1つの実施形態において、この冷却媒体にC1〜C4モノカルボン酸を添加している。
【0012】
国際公開第98/19560号パンフレット(欧州特許出願公開第957690号明細書)には、魚製品にその他の魚食品成分を添加してこれを魚食品に加工する前に、二ギ酸アンモニウム、ナトリウムもしくはカリウムおよびギ酸を添加する、魚食品の調製方法が記載されている。
【0013】
国際公開第98/20911号パンフレット(欧州特許第961620号明細書)には、ギ酸、酢酸またはプロピオン酸の一塩化合物および二塩化合物の水性製剤を使用する湿潤有機廃棄物の処理方法が記載されている。
【0014】
国際公開第01/19207号パンフレットには、ギ酸およびギ酸塩、四ギ酸アンモニウム50重量%以上と水酸化物もしくはギ酸塩の形態のカリウム2−6重量%もしくはナトリウム2−10重量%とを含む、牧草および農業製品、魚および魚製品ならびに肉製品用の液状保存剤/酸性化剤が記載されている。
【0015】
欧州特許第0824511号明細書において利用可能な二ギ酸塩は調製工程後の1ステップによって乾燥することができる。これによって、粉体であって一般的に水分が5重量%未満の製品が製造される。しかし、こうして取得可能な二ギ酸塩は複合的な基材中での製剤用には不適当である。
【0016】
動物栄養品用の、例えばFORMITMの名前で入手可能な、二ギ酸塩を含む市販の製剤は、一般的にプレミックス中に混合することができない。なぜならば、塊の形成および/またはプレミックスのケーキングが発生し、このためこの後のそのプレミックスの飼料への加工が不可能になるからである。
【0017】
飼料の製造においては、ビタミン、ミネラル、微量元素、有機酸および場合によって酵素をプレミックスまたは基礎ミックスと称される形態で調製し、その後残りの飼料成分と混合する。先行技術で知られている二ギ酸塩(例えば欧州特許第0824511号明細書によるもの)をプレミックス中に混入すると、塊の形成とケーキングが発生するとともに、プレミックスの成分の破壊も発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的の1つは、複合的な基材中、例えば動物飼料または動物飼料用のプレミックス中に、塊の形成または基材の凝集を発生させないでヒドロギ酸塩を混合することが可能になる製剤を提供することである。ここで特に興味深いのは、複合的な基材のその他の成分が混入によって影響を受けないことである。複合的な基材の中で特に重点が置かれるのは、飼料製造に通例使用される基礎ミックスと称されるものである。
【0019】
飼料中で使用したとき、胃内でのギ酸塩の早すぎる放出を防止する、ヒドロギ酸塩の製剤を調製することも、本発明の目的の1つである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
我々は、この目的が本発明のコーティッド製剤によって達成されることを発見した。
【0021】
したがって、本発明は一般式Iのヒドロギ酸塩1種以上を含むコーティッド製剤に関する:
(I) M[HCOO]・HCOOH
式中、M=Na、K、Cs、NHである。
【0022】
用語「コーティッド製剤」はここでは、製剤の粒子の表面が50%以上、特に70%以上、極めて好ましくは80%以上、特に90%以上が被覆されている、すべての製剤を含む。用語「コーティングされた」、「被包された」、「粉体化された」および「封入された」は、本出願の意味としては同義語として使用される。これに対応して、コーティング材料、粉体−コーティング材料、封入材料およびコーティング剤の用語は同義語として使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
コーティッド製剤は特に、炭酸カルシウムと接触したときに、非コーティッド製剤に比較して、実質的に化学的に変化しない製剤である。ヒドロギ酸塩の化学的変化のパラメーターはCOの放出である。
【0024】
本発明は、一般式Iのヒドロギ酸塩1種以上と、コーティング材料1種以上を含む製剤からなる:
(I) M[HCOO]・HCOOH
式中、M=Na、K、Cs、NHである。
【0025】
ヒドロギ酸塩
式(I)の化合物はヒドロギ酸塩または四ギ酸塩と称される。別の通称名はギ酸水素三ナトリウム/カリウム/セシウム/アンモニウムである。
【0026】
Na[HCOO]・HCOOHの合成は、Gmelins Handbuch der organischen Chemie, 8th Edition, sodium, 21ページに記載されている。本発明で使用するヒドロギ酸塩は、例えば、欧州特許第0824511号明細書に記載された方法、または未公開のドイツ特許出願第10154715.3号および第10210730.0号に記載された方法によって、取得可能である。
【0027】
本発明で使用するものは、Na[HCOO]・HCOOH(ギ酸水素三ナトリウム)、K[HCOO]・HCOOH(ギ酸水素三カリウム)、Cs[HCOO]・HCOOH(ギ酸水素三セシウム)、NH[HCOO]・HCOOH(ギ酸水素三アンモニウム)である。
【0028】
特に好ましいヒドロギ酸塩はNa[HCOO]・HCOOH(ギ酸水素三ナトリウム)である。
【0029】
別の実施形態において、前記ヒドロギ酸塩を互いに混合して使用することができる。
【0030】
用語「ヒドロギ酸塩を含む製剤」は、本明細書中、以後はヒドロギ酸塩1種以上を含む製剤のみでなく、前記ヒドロギ酸塩の混合物を含む製剤をも称し、これらを含むものである。
【0031】
コーティッド製剤中に、製剤全量を基礎として、ヒドロギ酸塩は通例0.01〜30重量%、特に0.1〜20重量%、好ましくは1〜5重量%、特に0.3〜5重量%の量を使用する。
【0032】
液状製剤
本発明はさらに、ヒドロギ酸塩を含む液状製剤に関する。好ましい実施形態において、ヒドロギ酸塩を含む水溶液を使用する。液状製剤はヒドロギ酸塩を0.01〜60重量%、特に0.01〜50重量%、特に1〜40重量%、好ましくは5〜30重量%含む。当業者は、個々のヒドロギ酸塩またはヒドロギ酸塩の混合物の溶解度に応じて、液状製剤中のヒドロギ酸塩の含有量を選択することになる。
【0033】
本発明は特に、以下を含む液状製剤に関する:
− 一般式(I)のヒドロギ酸塩1種以上0.01〜60重量%;
(I) M[HCOO]・HCOOH
式中、M=Na、K、Cs、NH、および
− 水99.99〜40重量%;
ただし、合計で100重量%とする。
【0034】
液状製剤に、溶媒およびヒドロギ酸塩に加えて、その他の通例の補助剤を含ませることができる。補助剤の含有量はそれぞれの補助剤の溶解度にしたがって決定される。補助剤の合計は液状製剤(液体およびヒドロギ酸塩)の重量を基礎として通例、0〜50重量%、好ましくは0〜20重量%、特に1〜10重量%である。
【0035】
コーティング材料
使用することができるコーティング材料は、ヒドロギ酸塩1種以上を含む製剤の表面を少なくとも50%、特に70%以上、極めて特別に好ましくは80%以上、特に90%以上被覆することができる、すべての材料である。
【0036】
使用することができるコーティング材料は、ヒドロギ酸塩を含む製剤を、これらが炭酸カルシウムと接触したとき、化学的に変化しないままであるように被覆することができる、すべての材料である。
【0037】
ヒドロギ酸塩の化学的変化のパラメーターはCOの放出である。これは以下の方法によって判定することができる。
【0038】
それぞれ20gの飼料用石灰およびサンプルを100ml三角フラスコに添加して混合し、これを逆さまに懸垂した満水のメスシリンダーに管付き付属栓を介して接続する。この三角フラスコを振蕩プレート上で500rpmで振蕩し、生成するCOをメスシリンダー中に回収する。室温(20℃)で測定を実施する。COの放出を200、600および800分間にわたって測定する。好適なコーティング材料は、200分後のCOの放出が100ml未満、特にCOが50ml未満、特にCOが25ml未満である、ヒドロギ酸塩1種以上を含むコーティッド製剤を生成するすべての化合物である。
【0039】
当業者は使用するコーティング材料に応じてコーティング方法を選択することになる。
【0040】
当業者は、選択したコーティング材料に応じて、被覆すべき製剤の表面をコーティング材料が少なくとも50%、特に70%以上、極めて特別に好ましくは80%以上、特に90%以上被覆するように、コーティング材料の量を選定することとなる。本発明で使用するコーティング材料の通例の量は、製剤を基礎として、例えば2〜50重量%、特に3〜35%、好ましくは5〜20重量%である。
【0041】
好ましい実施形態において、本発明のコーティッド製剤に、以下の群から選択される1以上の化合物を含むコーティング材料を適用する:
a) 数平均分子量が約400〜15,000、例えば400〜10,000のポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコール;
b) 数平均分子量が約4,000〜20,000のポリ(アルキレンオキシド)ポリマーまたはコポリマー、特にポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンのブロックコポリマー;
c)置換ポリスチレン、マレイン酸誘導体、さらにスチレン−マレイン酸コポリマー;
d)数平均分子量が約7,000〜1,000,000のポリビニルピロリドン;
e)数平均分子量が約30,000〜100,000のビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー;
f)数平均分子量が約10,000〜200,000のポリ(ビニルアルコール)、ポリ(フタル酸ビニル);
g)数平均分子量が約6,000〜80,000のヒドロキシプロピルメチルセルロース;
h)数平均分子量が約100,000〜1,000,000の(メタ)アクリル酸アルキルポリマーおよびコポリマー、特にアクリル酸エチル/メタクリル酸メチルコポリマーおよびメタクリレート/アクリル酸エチルコポリマー;
i)場合によってポリビニルピロリドンで安定化された、数平均分子量が約250,000〜700,000のポリ(酢酸ビニル);
j)ポリアルキレン、特にポリエチレン;
k)フェノキシ酢酸−ホルムアルデヒド樹脂;
l)セルロース誘導体類、例えばエチルセルロース、エチルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース;
m)動物性、植物性または合成脂肪類;
n)動物性、植物性もしくは合成ワックス、または化学的に改変した動物性、植物性ワックス、例えば蜜ろう、カンデリラろう、カルナウバろう、モンタンエステルワックスおよび米胚芽油ワックス、鯨ろう、ラノリン、ホホバワックス、サソル(sasol)ワックス、和ろうもしくは和ろう代替品;
o)動物性および植物性タンパク質、例えばゼラチン、ゼラチン誘導体、ゼラチン代替品、カゼイン、ホエイ、ケラチン、大豆タンパク質;ゼインおよび小麦タンパク質;
p)単および二糖類、オリゴ糖類、多糖類、例えばでんぷん、改変でんぷん、そしてペクチン、アルギン酸塩、キトサン、カラギーナン;
q)植物油、例えばヒマワリ油、アザミ油、綿実油、大豆油、コーン胚芽油、オリーブ油菜種油、亜麻仁油、ココナッツ油、ヤシ核油、およびヤシ油;
r)合成または半合成油、例えば中鎖トリグリセリドまたは鉱物油;
s)動物油、例えばニシン油、イワシ油および鯨油;
t)硬化(水素化もしくは部分水素化)油/脂、例えば上記からのもの、特に水素化ヤシ油、水素化綿実油、水素化大豆油;
u)ラッカーコーティング剤、例えばテルペン類、特にシェラック、トルーバルサム、ペルーバルサム、サンダラックおよびシリコーン樹脂類;
v)脂肪酸類、飽和のみでなくモノ不飽和およびポリ不飽和C〜C24−カルボン酸;
w)ケイ酸類;
x)安息香酸および/または安息香酸塩および/または安息香酸エステルおよび/または安息香酸誘導体および/または安息香酸誘導体の塩および/または安息香酸誘導体のエステル。
【0042】
前記コーティング材料は互いに混合して使用することもできる。
【0043】
好適なポリ(アルキレングリコール)a)の例は以下のものである:各種モル質量のポリ(プロピレングリコール)および特にポリ(エチレングリコール)、例えばBASF Aktiengesellschaftから商標名Lutrol E 4000およびLutrol E 6000として入手可能なPEG 4000またはPEG 6000。
【0044】
上記ポリマーb)の例は以下のものである:ポリ(エチレンオキシド)およびポリ(プロピレンオキシド)、エチレンオキシド/プロピレンオキシド混合ポリマーならびにポリ(エチレンオキシド)およびポリ(プロピレンオキシド)ブロックからなるブロックコポリマー、例えばBASF Aktiengesellschaftから商標名Lutrol F68およびLutrol F127として入手可能なポリマー。
【0045】
ポリマーa)およびb)では、溶液の合計重量を基礎として好ましくは約50重量%まで、例えば約30〜50重量%の高濃度溶液を使用するのが有利である。
【0046】
上記ポリマーd)の例は以下のものである:ポリビニルピロリドン、例えばBASF Aktiengesellschaftから商標名KollidonまたはLuviskolとして頒布されているもの。これらのポリマーでは、溶液の合計重量を基礎として約30〜40重量%の固体含有量の高濃度溶液を使用するのが有利である。
【0047】
上記ポリマーe)の例は以下のものである:BASF AGから商標名Kollidon VA64またはKollicoat SRとして頒布されているビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー。これらのポリマーでは、溶液の合計重量を基礎として約30〜40重量%の高濃度溶液を使用するのが特に有利である。
【0048】
上記ポリマーf)の例は以下のものである:例えばHoechstから商標名Mowiolとして頒布されている製品。これらのポリマーでは、約8〜20重量%の範囲の固体含有量の溶液を使用するのが有利である。
【0049】
好適なポリマーg)の例は以下のものである:例えばShin Etsuから商標名Pharmacoatとして頒布されているヒドロキシプロピルメチルセルロース。
【0050】
上記ポリマーh)の例は以下のものである:(メタ)アクリル酸アルキルポリマーおよびコポリマー、これらのアルキル基は1〜4炭素原子を有している。好適なコポリマーの具体例は以下のものである:アクリル酸エチル/メタクリル酸メチルコポリマー、これらは例えばBASF AGから商標名Kollicoat EMM 30Dとして、またはRohmから商標名Eudragit NE 30 Dとして頒布されている;またメタクリレート/アクリル酸エチルコポリマー、例えばBASF Aktiengesellschaftから商標名Kollicoat MAE 30DPとして、またはRohmから商標名Eudragit 30/55として頒布されているもの。このタイプのコポリマーは、例えば10〜40重量%の濃度の分散物などとして、本発明で加工することができる。
【0051】
上記ポリマーi)の例は以下のものである:ポリビニルピロリドンで安定化され、また例えばBASF Aktiengesellschaftから商標名Kollicoat SR 30Dとして頒布されているポリ(酢酸ビニル)(約20〜30重量%の固体含有量の分散物)。
【0052】
脂肪は例えば動物、植物または合成起源のものである。動物脂肪m)の例は、豚、牛およびガチョウの脂肪であり、例えば牛脂が好適である。好適な牛脂はCognisから商標名Edenor NHIT-G(CAS No. 67701-27-3)として入手可能である。
【0053】
その他のコーティング材料は、例えば牛、豚、魚からのゼラチンである。
【0054】
その他のコーティング材料は例えば以下のワックスである:植物ワックス、例えばカンデリラろう、カルナウバろう、米胚芽油ワックス、和ろうもしくは和ろう代替品(商標名Japan Wax Substitute 2909, Kahl Wachsraffinerieとして入手可能)その他;パルミチン酸セチル(Cognisから商標名Cutina CP, CAS 95912-87-1として取得可能)などの合成ワックス、動物ワックス、例えばラノリン、蜜ろう、シェラックワックス、鯨ろう、また化学的に改変したワックス、例えばホホバワックス、サソル(sasol)ワックス、モンタンエステルワックス。
【0055】
原理上は、溶液からのその他のコーティングもあり得る:例えばシュガーコーティングがある。
【0056】
同様に、例えば以下の植物油q)を使用することができる:ヒマワリ油、アザミ油、綿実油、大豆油、コーン胚芽油およびオリーブ油、菜種油、亜麻仁油、ココナッツ、(油)ヤシ核油および(油)ヤシ油。好適なヤシ油は例えばAarhus Oliefabrikから商標名Vegeol PR 265として取得可能である。好適な菜種油はAarhus Oliefabrikから商標名Vegeol PR 267として取得可能である。ヤシ核油はKarlshamnsから商標名Tefacid Palmic 90(CAS No. 57-10-3)として取得可能である。
【0057】
同様に半合成油r)、例えば中鎖トリグリセリドもしくは鉱物油、および/または動物油s)、例えばニシン油、イワシ油および鯨油、を使用することができる。
【0058】
好ましい実施形態において、コーティング材料として以下のトリグリセリドを含む水素化植物油t)が使用される:例えば水素化綿実油、コーン油、ピーナッツ油、大豆油、ヤシ油、ヤシ核油、ババス油、ヒマワリ油およびベニバナ油。好ましい水素化植物油として、水素化ヤシ油、綿実油および大豆油が含まれる。最も好ましい水素化植物油は水素化大豆油である。植物および動物起源のその他の脂肪およびワックスも同様に好適である。
【0059】
好ましい水素化植物油は多様な多形体で存在し得る。それらはα、βおよびβ’体である。本発明の特に好ましい実施形態において、主としてβおよびβ’体、特に主としてβ体の水素化植物油が使用される。用語「主として」は、結晶の少なくとも25%、特に少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%が好ましい多形体であるものである。
【0060】
特に好ましいのは、50%以上、特に75%以上、好ましくは90%を超える部分がβおよび/またはβ’体の水素化大豆油の使用である。
【0061】
好ましい実施形態において、本発明のコーティッド製剤に、安息香酸および/または安息香酸の塩および/または安息香酸のエステルおよび/または安息香酸の誘導体および/または安息香酸誘導体の塩および/または安息香酸誘導体のエステルからなる群から選択される1以上の化合物を含むコーティング材料を使用する。
【0062】
安息香酸または安息香酸誘導体の塩は、安息香酸のアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、そして安息香酸アンモニウムである。アルカリ金属塩は以下のものである:安息香酸リチウム、ナトリウム、カリウムおよびセシウム。特に好ましいのは、安息香酸ナトリウムおよび/またはカリウムである。アルカリ土類金属塩は安息香酸カルシウム、ストロンチウムおよびマグネシウムであり、特に好ましいのは安息香酸カルシウムおよびマグネシウムである。
【0063】
安息香酸または安息香酸誘導体のエステルは、安息香酸または安息香酸誘導体とアルコールとのエステルである。好適なアルコールには単官能性ばかりでなく、二官能性および多官能性(水酸基3以上)もある。好適なアルコールには非分枝だけでなく分枝アルコールもある。特に好適なアルコールは1〜10炭素原子、特に1〜6炭素原子のものである。その例は以下のものである:メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール。好ましいのはメタノール、エタノール、n−プロパノールおよびイソプロパノールである。その外に好適な安息香酸または安息香酸誘導体のエステルは、2以上の水酸基を持つアルコールとのエステルであり、その例としてグリコール、例えば1,2−プロパンジオール、またはトリオール、例えばグリセロールがある。
【0064】
好ましいのは以下のものである:安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸n−プロピルおよび安息香酸イソプロピル、またp−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸メチルナトリウム、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピルナトリウム、p−ヒドロキシ安息香酸メチルおよびp−ヒドロキシ安息香酸メチルナトリウム。
【0065】
安息香酸の誘導体は芳香環上に1、2、3、4または5置換基を持つ化合物である。
【0066】
本発明のカルボン酸の置換基は例えば以下のものである:C−C−アルキル、C−C−アルケニル、アリール、アラルキルおよびアラルケニル、ヒドロキシメチル、C−C−ヒドロキシアルキル、C−C−ヒドロキシアルケニル、アミノメチル、C−C−アミノアルキル、シアノ、ホルミル、オキソ、チオキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシまたはイミノ基。好ましい置換基はC−C−アルキル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシル、アミノおよびカルボキシル基である。
【0067】
好ましい安息香酸誘導体はモノ−、ジ−およびトリヒドロキシ置換安息香酸である。
【0068】
例として、m−ヒドロキシ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、およびp−ヒドロキシ安息香酸がある。
【0069】
例として、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、3,6−ジヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸がある。
【0070】
特に好ましいのはモノヒドロキシ置換安息香酸、特にp−ヒドロキシ安息香酸である。
【0071】
別の実施形態において、これらの安息香酸類を相互の混合物として使用することができる。
【0072】
好ましいコーティング材料は例えば以下のようなトリグリセリドを含む水素化植物油である:水素化綿実油、コーン油、ピーナッツ油、大豆油、ヤシ油、ヤシ核油、ババス油、ヒマワリ油およびベニバナ油。好ましい水素化植物油には水素化ヤシ油、綿実油および大豆油が含まれる。最も好ましい水素化植物油は水素化大豆油である。植物および動物に由来するその他の脂肪およびワックスも同様に好適である。
【0073】
以下の表は特に好適なコーティング材料を含むものである。
【表1】

【0074】
コーティング材料は個別のみでなく、相互に混合しても使用することができる。本発明の一実施形態において、タルカムおよび/またはアルミノケイ酸塩、例えばゼオライト、長石または準長石をコーティング材料に添加する。タルカムはMg(OH)/Si10で、ソープストーンとも称される。
【0075】
コーティング用には、例えば噴霧可能な液状として可能な限り高い濃度のもの、例えば最大50重量%濃度の前記コーティング材料1種以上の水溶液もしくは非水溶液または分散液を使用する。同様に、粉体のコーティング材料を使用することができる。
【0076】
別の実施形態において、本発明のコーティッドまたは液状製剤に、ヒドロギ酸塩に加えてその他の成分を含ませることができる。この場合、その他の成分の選定は、こうして取得可能な製剤の、選定された使用分野に依存する。本発明の趣旨でのその他の成分とは、例えば以下の物質である:有機酸、ビタミン、カロテノイド、微量元素、抗酸化物質、酵素、アミノ酸、ミネラル、乳化剤、安定剤、保存剤、バインダー、固化防止剤および/または香味物質。
【0077】
好ましい一実施形態において、本発明のコーティッドまたは液状製剤に、さらに短鎖カルボン酸1種以上および/または短鎖カルボン酸の塩1種以上および/または短鎖カルボン酸のエステル1種以上および/または短鎖カルボン酸の誘導体1種以上を含ませることができる。
【0078】
本発明の目的にとっては、短鎖カルボン酸は、飽和もしくは不飽和および/または非分枝もしくは分枝もしくは環式および/または芳香族および/またはヘテロ環式のカルボン酸であり得る。本発明の目的については、「短鎖」は12炭素原子まで、特に10炭素原子まで、特に8炭素原子までのカルボン酸を意味する。
【0079】
この短鎖カルボン酸は通例、分子量が750未満である。この短鎖カルボン酸は、本発明の目的にとっては1、2、3またはそれ以上のカルボキシル基を持っていてもよい。カルボキシル基は完全に、または部分的に、以下の状態にあるものでよい:エステル、酸無水物、ラクトン、アミド、イミド酸、ラクタム、ラクチム、ジカルボキシミド、カルボヒドラジド、ヒドラゾン、ヒドロカム、ヒドロキシム、アミジン、アミドキシムまたはニトリル。
【0080】
短鎖カルボン酸の誘導体は、炭素鎖または環上で一置換、二置換、三置換または多置換されたカルボン酸である。
【0081】
本発明のカルボン酸の置換基は例えば以下のものである:C1−C8−アルキル、C2−C8−アルケニル、アリール、アラルキルおよびアラルケニル、ヒドロキシメチル、C2−C8−ヒドロキシアルキル、C2−C8−ヒドロキシアルケニル、アミノメチル、C2−C8−アミノアルキル、シアノ、ホルミル、オキソ、チオキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシルまたはイミノ基。好ましい置換基はC1−C8−アルキル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシ、アミノおよびカルボキシル基である。
【0082】
本発明の短鎖カルボン酸の例は以下のものである:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、クエン酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバリン酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、酒石酸、コハク酸、グルタル酸、グリセリン酸、グリオキシル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、プロピオル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エライジン酸、マレイン酸、フマル酸、ムコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ショウノウ酸、o,m,p−フタル酸、ナフトエ酸、トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、イソニコチン酸、ニコチン酸、ビカルバミン酸、4,4’−ジシアノ−6,6’−ビニコチン酸、8−カルバモイルオクタン酸、1,2,4−ペンタントリカルボン酸、2−ピロールカルボン酸、1,2,4,6,7−ナフタレンペンタ酢酸、マロンアルデヒド酸、4−ヒドロキシフタルアミジン酸、1−ピラゾールカルボン酸、没食子酸またはプロパントリカルボン酸。
【0083】
言及し得る短鎖カルボン酸の塩は、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩、さらにアンモニウム塩である。言及し得るアルカリ金属塩はリチウム、ナトリウム、カリウムおよびセシウム塩である。特に好ましいのはナトリウムおよび/またはカリウム塩である。言及し得るアルカリ土類金属塩はカルシウム、ストロンチウムおよびマグネシウム塩である。特に好ましいのはカルシウムおよびマグネシウム塩である。
【0084】
言及し得る短鎖カルボン酸のエステルはアルコールとのエステルである。好適なアルコールには単官能性だけではなく、二官能性および多官能性(3水酸基以上)もある。好適なアルコールには非分枝だけでなく、分枝アルコールもある。特に好適なアルコールは1〜10炭素原子、特に1〜6炭素原子を有するものである。その例は以下のものである:メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール。好ましいのはメタノール、エタノール、n−プロパノールおよびイソプロパノールである。好適なエステルはその他に、2以上の水酸基を持つアルコールとのエステルであり、その例としてグリコール、例えば1,2−プロパンジオールまたはトリオール、例えばグリセロールがある。
【0085】
好ましいエステルはメチル、エチル、n−プロピルおよびイソプロピルエステルである。
【0086】
特に好ましいのは、酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、サリチル酸、クエン酸、乳酸および/または酒石酸)および/またはその塩および/またはそのエステルの使用である。
【0087】
さらに特に好ましいのはプロピオン酸ナトリウムの使用である。
【0088】
さらに特に好ましいのはコーティング材料w)として記載されている短鎖カルボン酸の使用である。
【0089】
別の実施形態において、前記短鎖カルボン酸、塩および/またはエステルを相互に混合して使用することができる。
【0090】
好適な化合物はコーティング材料x)として言及した化合物である。
【0091】
別の実施形態において、記載された本発明のコーティッド製剤に、ヒドロギ酸塩に加えて、支持剤を含ませることができる。この実施形態では、ヒドロギ酸塩を好ましくは支持剤に結合させる。好適な支持剤は「不活性な」支持剤物質、すなわち、本発明の製剤で使用する成分と何ら不都合な相互作用をしない物質である。もちろん、その支持剤物質は、助剤としての各々の用途について、例えば動物飼料中で無害でなければならない。好適な支持剤物質には無機のみでなく、有機の支持剤もある。言及し得る好適な支持剤物質の例は以下のものである:天然または合成起源の低分子量無機または有機化合物および比較的高分子量の有機化合物。好適な低分子量無機支持剤の例には以下のものがある:塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、硫酸ナトリウムおよび硫酸マグネシウムなどの塩類、珪藻土またはケイ酸もしくはケイ酸誘導体、例えば二酸化ケイ素、ケイ酸塩もしくはシリカゲル。好適な有機支持剤の例には、特に糖類、例えばグルコース、フルクトース、ショ糖、またデキストリンおよびでんぷん加工品がある。高分子量有機支持剤の例には以下のものがある:でんぷんおよびセルロース調製品、例えば特にコーンでんぷん、コーン軸粉、粉末化した米もみ殻、セモリナ小麦フスマまたは穀粉、例えば小麦、ライムギ、大麦および燕麦の粉もしくはフスマ、またはこれらの混合物。
【0092】
別の実施形態において、本発明のコーティッド製剤に、ヒドロギ酸塩の他に添加剤を含ませることができる。「添加剤」とは、ダスティング特性、流動性、吸水能力および保存安定性などの、製品特性を改善する作用をする物質である。添加剤および/またはその混合物は糖類、例えばラクトースもしくはマルトデキストリンを基礎とするもの、穀類加工品または豆加工品、例えばコーン軸粉、小麦フスマおよび大豆ミールを基礎とするもの、ミネラル塩、中でもカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム塩、さらにD−パントテン酸もしくはその塩(化学的にまたは発酵によって調製されたD−パントテン酸塩)を基礎とするものが可能である。
【0093】
本発明のコーティッド製剤に、それら別の成分、支持剤および添加剤を混合物として含ませることができる。
【0094】
本発明のコーティッド製剤は通例固形、例えば粉体、凝集体、吸着質、顆粒および/または押し出し物である。粉体は通常、平均粒子サイズが1μm〜10,000μm、特に20μm〜5,000μmである。
【0095】
平均粒子サイズの分布は以下のようにして測定する。
【0096】
粉体製品をMalvern Instruments GmbHの、Mastersizer S, Serial Number:32734-08の装置で試験する。粒子サイズ分布の幅を説明するため、粉体について、数値D(v,0.1)、D(v,0.5)およびD(v,0.9)を側定し、またその分布の平均粒子サイズD[4,3]を記録する。
【0097】
調製方法
本発明のコーティッド製剤の調製のためには、表面部分が少なくとも50%、特に70%以上、極めて特に好ましくは少なくとも80%、特に90%以上が被覆されている製剤が取得される、すべての方法が好適である。
【0098】
本発明はコーティング材料の逆昇華によってヒドロギ酸塩をコーティングする、本発明のコーティッド製剤の調製方法に関する。
【0099】
この方法では、コーティング材料を昇華させ、コーティングする製剤上に逆昇華、すなわち凝結させる。こうした方法は文献で昇華または逆昇華法として知られている。本発明の方法で、コーティング材料を均一に、かつ所望の厚さの層で塗布することが可能になる。昇華および逆昇華法はUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Sixth Edition, 2000 Electronic Releaseの第4.1章に記載されている。好適な蒸発装置(昇華装置)は上記引用のUllmannの文献の第5.1章に記載されており、凝縮装置(逆昇華装置)は第5.2章に記載されている。装置設計図および回路は図5、6、7、9および10に記載されており、これを本明細書中に明示的に組み入れる。別の可能な凝縮装置は流動床である。
【0100】
好ましい一実施形態において、この方法で使用するコーティング材料は材料クラスx)からの化合物1種以上である。
【0101】
本発明は、ヒドロギ酸塩を場合によって別の成分および/または添加剤とともに好適な装置に投入し、場合によって別の成分を添加したコーティング材料でコーティングする、ヒドロギ酸塩を含むコーティッド製剤の調製方法に関する。
【0102】
好適な装置の例はミキサー、流動床、糖衣ドラムおよびドラムコーターである。
【0103】
この場合、ヒドロギ酸塩、有利なのは粉体形態(例えば結晶形態、非晶質形態、吸着質形態、押し出し物、顆粒および/または凝集体)のものを好適な装置、好ましくは流動床またはミキサー中に投入する。ヒドロギ酸塩は、場合によって添加剤およびその他の成分とともに投入する。鋤刃、羽、刃先、混練部品、ランナー、スクリューなどが程度の差はあれ集中的な製品の混合を確実にする。典型的な例は、強力ミキサー、鋤刃ミキサー、コニカルスクリューミキサーまたは同様の装置である。
【0104】
1個以上のスクリューを持つ超薄型、箱型、または桶型の構造物を使用することもできる。その他の構造タイプには高速ミキサー、例えばHosakawa Micron B.V.のTurbolizer(登録商標)Mixer/Coater、混練機、エッジランナー、またすべてのタイプのドラムコーターまたは糖衣ドラムがある。
【0105】
別法として、フリーフォールミキサーと称されるものの中での容器全体の動きによって生成品を混合することが可能である。これらの例はコーティングディスク、タンブリングミキサー、Vミキサー、ドラムミキサーなどである。別の可能性は空気圧式ミキサーの使用である。固体の混合は、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Sixth Edition, 2000, Mixing of Solidsに記載されている。
【0106】
コーティングは直接または下流の装置中のいずれかで実施することができる。
【0107】
前記方法は連続またはバッチ式で(対応するバッチ式または連続ミキサー中で)実施することができる。
【0108】
各場合において、コーティング材料を適用する時またはその直後/前に、タルカム、ケイ酸塩などの粉体コーティング材料を添加して、固着を回避することが必要である。
【0109】
通常は滴下用または噴霧用機器によって、コーティング材料を場合によっては他の成分とともに計量/添加する。これらの例は、ランス(lance)、スプレーヘッド、一流体もしくは多流体ノズル、まれには回転型滴下または霧化機器である。最も単純な事例では、濃縮ジェットとしての局部添加も可能である。
【0110】
本発明は、コーティング材料に場合によって別の成分を添加して、ともに好適な装置に投入し、場合によってさらに別の成分および/または添加剤とともにヒドロギ酸塩を添加する、ヒドロギ酸塩を含むコーティッド製剤の製造方法に関する。
【0111】
この方法の一実施形態において、当初固体のコーティング材料を適切な装置に添加し、その装置の壁面もしくはシャフトを加熱することによるか、または機械的エネルギーの入力によって、溶融または軟化させる。ヒドロギ酸塩と、場合によって別の成分および/または添加剤を添加し、溶融または軟化させたコーティング材料でコーティングする。
【0112】
この方法の一実施形態では、コーティング材料に加えて、支持剤をミキサー中に投入し、場合によって予備混合し、同一または別の装置(その例は前記のすべてのミキサー、また低速ミルおよび乾燥機)中での高機械的エネルギーの入力によって、ヒドロギ酸塩と、また場合によって別の成分および/または添加剤をコーティングする。
【0113】
コーティング材料は加圧、大気圧または減圧で、好ましくは大気圧または減圧下で添加することができる。
【0114】
個々の事例において、ヒドロギ酸塩と場合によって別の成分および/もしくは添加剤ならびに/またはコーティング材料を予備加熱または冷却し(粘度の変化、湿潤特性の変化によって固化特性に影響を与え)、また容器壁および/または混合器具を介して熱を供給または除去するのが有利となり得る。個々の事例では、水蒸気または溶媒蒸気を除去することが必要となり得る。湿潤特性は乳化剤などの表面活性物質の添加によって変化させることもできる。
【0115】
コーティング特性を向上させるため、ミキサーを抜気し、また場合によってこれを保護ガスで覆うことも有利となり得る。コーティング材料によっては、これを数回反復しなければならない。
【0116】
ヒドロギ酸塩、場合によって別の成分および/または添加剤ならびにコーティング材料を必要に応じ装置の別の位置から添加することもできる。
【0117】
コーティング材料または添加剤の添加位置は必要に応じて様々であり、当業者によって選択される。上記の滴下または噴霧機器は必要に応じて、製品の台の上部に配置する(上部噴霧法)か、製品の台中に埋め込んで配置する(装置壁面を介して横から、混合器具中の導管から、あるいは装置底部またはガス配給板を介して下部から)。
【0118】
本発明は(別の成分および/または添加剤を含む)ヒドロギ酸塩とコーティング材料を適切な装置中で混合した後、押し出し工程で押し出し、その後破砕および/または製球によって顆粒に変える、ヒドロギ酸塩を含むコーティッド製剤の調製方法に関する。
【0119】
別の実施形態において、混合後、顆粒化(例えば錠剤化またはローラー圧縮)のために、加圧造粒と、場合によって下流での粉砕および分別を使用する。
【0120】
本発明の別の実施形態において、本発明にしたがってコーティングされた製剤は流動床中でバッチ式または連続的に調製される。粒子の運動は場合によって加熱または冷却された流動ガスによって起こる。好適な流動ガスは、例えば空気または不活性ガス(例えば窒素)である。個々の事例において、容器壁を介して、また流動床中に埋め込まれた熱交換器表面から熱を供給または除去するのが好都合となり得る。好適な流動床および必要な周辺機器は先行技術の一部である。
【0121】
ヒドロギ酸塩、場合によってその他の成分および添加剤のバッチ式または連続的な計量、および場合によって予備加熱を、当業者に知られた上記の機器によって実施する。
【0122】
例えば、ヒドロギ酸塩を流動床中に投入することができる。これらをボルテックスし、適切なコーティング材料の水溶液もしくは非水溶液または分散液または溶融物の噴霧によってコーティングする。
【0123】
コーティングする固体の特定の混合を増進する、先行技術で知られている内部装置が有用である。これらの例には、回転変位体、Wurster管または特定の加工をしたガス配給プレート形状(プレートの傾斜および/または穿孔形状)、あるいは目的に合うように配置したノズル、例えば接線方向に配置した一流体もしくは二流体もしくは多流体ノズルによる、目標とする固体の動きの増進などがある。
【0124】
ヒドロギ酸塩を含むコーティッド製剤は、個々の場合において、ミキサーと流動床を組み合わせて有利に調製し得る。
【0125】
本発明は、ヒドロギ酸塩を場合によって別の成分および/または添加剤とともに適切なコーティング材料の溶融物中に分散させ、その後生成する分散物を微粒化および固形化する、ヒドロギ酸塩を含むコーティッド製剤の製造方法に関する。
【0126】
この方法の一実施形態においては、ヒドロギ酸塩と場合によって別の成分および/または添加剤を溶融形態で使用することができる。
【0127】
別の実施形態では、ヒドロギ酸塩(ならびに場合によって別の成分および/または添加剤)を適切なコーティング材料の溶融物中に懸濁させ、生成する分散物をその後に霧化および/または微粒化し、そして固形化することによって、本発明のコーティッド製剤が得られる。好適な溶融形態のコーティング材料は、その融点が懸濁させるヒドロギ酸塩の融点よりも低い物質である。その例は適切な融点を持つ脂肪、ワックス、油、脂質、脂質様および脂質可溶性物質である。
【0128】
これらの懸濁物を、粉体コーティング材料を使用するか使用せずに、冷却ガス流中で霧化して、ヒドロギ酸塩を含むコーティッド製剤を形成させる。これらの方法は当業者に、例えばスプレー冷却、スプレー固化、噴射造粒または溶融被包、また冷却ベルト、冷却ロール、打錠ディスクおよび打錠ベルト上での固化という用語でも知られている。
【0129】
好ましくはヒドロギ酸塩の添加および懸濁前の最初のステップで、溶融物を調製する。これらを撹拌タンク中、バッチ式で、あるいは例えばこの目的に好適なポンプによるか単純に注入器と配管で連続的に、十分に激しい乱流によって懸濁させることができる。また静的ミキサーを使用することも可能である。ラインおよび霧化要素を含む、必要なプラント部品の保護用加熱は当業者に知られている。
【0130】
冷却ガスとしては、好ましくは空気および窒素が使用される。ガスは並流、向流または直交流で導入することができる。この工程は典型的な噴霧塔、噴射造粒塔またはその他の槽中で実施することができる。貯蔵部を持つか持たない流動床も同様に好適である。この工程はバッチ式または連続式で操作することができる。固体を例えばサイクロンまたはフィルターで分離することが可能である。あるいは、流動床またはミキサー中で事後の冷却をするか冷却しないで、固体を回収することも考えられる。
【0131】
好適な霧化要素は、ノズル(一および二流体ノズルまたは特殊な構造型)、そして噴霧ホイールもしくは噴霧ディスクもしくは噴霧プレートもしくは噴霧バスケット、またはそれらの特殊な構造型である。
【0132】
別の実施形態では、生成する分散物を、ヒドロギ酸塩およびコーティング材料のいずれもが溶解しない液体中で、霧化および固体化する。典型的な固体−液体分離とその後の乾燥によって、本発明の製剤が得られる。
【0133】
本発明はさらに、ヒドロギ酸塩、場合によって別の成分および/または添加剤を、コーティング材料、特に親油性コーティング材料中に分散させ、保護コロイド、好ましくはゼラチンまたは/およびゼラチン誘導体または/およびゼラチン代替品の水溶液に単、二または多糖類からなる群から選択される1種以上の物質を添加したものの中で乳化させ、その後噴霧乾燥する、ヒドロギ酸塩を含むコーティッド製剤の製造方法に関する。
【0134】
この方法では、好ましくは、例えば沈殿、結晶化、噴霧乾燥または粉砕によって得られた、非常に細かく粒状化したヒドロギ酸塩を使用する。
【0135】
一実施形態において、親油性成分中に分散させる前に、1種以上の乳化剤および/または安定剤をヒドロギ酸塩に添加することができる。
【0136】
好適な親油性コーティング材料は、使用するヒドロギ酸塩の融点よりも低い融点を持つ、脂肪、油、ワックス、脂質、脂質様および脂質可溶性物質の溶融物である。
【0137】
生成する分散物(ヒドロギ酸塩を含有する油滴)を、その後の工程ステップで、保護コロイド、好ましくはゼラチンまたは/およびゼラチン誘導体または/およびゼラチン代替品の水溶液に単、二または多糖類からなる群から選択される1種以上の物質、好ましくはコーンでんぷんを添加したものの中で乳化させる。生成するエマルジョンを噴霧による成形およびその後のまたは同時の乾燥に供する。
【0138】
別の実施形態において、本発明のコーティッド製剤は支持剤に結合させたヒドロギ酸塩を含む。
【0139】
支持剤に結合させた製剤は当業者に知られた調製方法、例えば、液状の本発明の製剤を支持剤物質に吸収させることによって、調製する。
【0140】
使用
本発明のコーティッドまたは液状製剤は動物用の餌(動物飼料)での使用に好適である。その例は、豚、反芻動物、家禽類ならびにその他の家畜および農用動物である。本発明の製剤は特に家禽類(ブロイラ、七面鳥、ガチョウ)の肥育、また豚の肥育に好適である。
【0141】
本発明のコーティッドまたは液状製剤は、特に飼料添加剤の形態での動物飼料への添加剤として好適である。
【0142】
飼料添加剤とは、German Feedstuff Actによれば、特に以下の目的で個別にまたは製剤の形態で飼料に添加することを意図する物質である:
− 飼料または動物製品の性質に影響を与えること、
− 一定の栄養素または活性化合物についての動物の要求性をカバーすること、特に腸内フローラもしくは飼料の消化率に対する作用によって、または動物の排泄に起因する公害を低減させることによって動物の生産性を改善すること、あるいは
− 特定の栄養目的を達成すること、または動物の限定された一時的な栄養要求性をカバーすること。
【0143】
飼料添加剤はまた、German Feedstuff Actの第4条第1項No.3bの規定によって添加剤として認められる物質であるとされる。
【0144】
本発明のコーティッドまたは液状製剤は特に動物飼料用のプレミックスへの添加剤として好適である。プレミックスは、ミネラル、ビタミン、アミノ酸、微量元素および場合によって酵素の混合物である。本発明の製剤を使用して、ヒドロギ酸塩を含むプレミックスを調製することが可能である。
【0145】
本発明はさらに、以下を含む、ヒドロギ酸塩含有飼料および/または飼料添加剤の調製方法に関する:
(i)ヒドロギ酸塩を含むコーティッド製剤をプレミックスに添加し、
(ii)生成したプレミックスを飼料および/または飼料添加剤の残りの成分と混合すること。
【0146】
本発明はさらに、以下を含む、ヒドロギ酸塩含有飼料および/または飼料添加剤の調製方法に関する:
(i)ヒドロギ酸塩を含む液状製剤をプレミックスに添加し、
(ii)生成したプレミックスを飼料および/または飼料添加剤の残りの成分と混合すること。
【0147】
本発明はさらに、ヒドロギ酸塩を含む液状製剤を飼料および/または飼料添加剤の残りの成分と混合することを含む、ヒドロギ酸塩含有飼料および/または飼料添加剤の調製方法に関する。
【0148】
好ましい一実施形態において、液状製剤を直接飼料と混合するか、動物の飲料水に添加することができる。
【0149】
本発明のコーティッドまたは液状製剤は、特に「酸性化剤」と称されるものとして好適である。酸性化剤とは、pHを低下させる物質である。これらとして、基材(例えば動物飼料)中のpHを低下させるものだけでなく、動物の消化管中のpHを低下させるものも含まれる。
【0150】
本発明のコーティッドまたは液状製剤は、特に「飼料効果促進物質」と称されるものとして好適である。好ましい一実施形態において、本発明の製剤は、豚および家禽類の飼料効果促進物質として使用される。
【0151】
本発明のコーティッドまたは液状製剤は特に、動物の胃腸管内のpHを低下させ、その結果優良な腸内ミクロフローラを安定させることに寄与する、飼料添加剤として好適である。その上、本発明のコーティッドまたは液状製剤の解離能力によって、特に有害細菌(例えばE.coli)に対する抗微生物効果がもたらされる可能性がある。好ましい一実施形態において、本発明のコーティッドまたは液状製剤は、胃以降の消化管領域内でpHを低下させるために使用される。これは特に家禽類の場合に有益である。
【0152】
動物飼料は、対応する栄養要求性がそれぞれのタイプの動物について最適にカバーされるように構成される。一般的には、コーン粉、小麦粉もしくは大麦粉、全粒大豆粉、大豆絞り粕粉、亜麻仁絞り粕粉、菜種絞り粕粉、牧草粉またはえんどう豆粉などの植物飼料成分を粗タンパク質源として選択する。飼料の適切なエネルギー含量を確保するため、大豆油またはその他の動物もしくは植物脂肪を添加する。植物性タンパク質源はいくつかの必須アミノ酸の含有量が不十分なので、飼料にアミノ酸を強化することが多い。これらは、特にリシンおよびメチオニンである。農用動物へのミネラルおよびビタミンの補給を確保するため、ミネラルおよびビタミンをさらに添加する。添加するミネラルおよびビタミンのタイプおよび量は動物に応じて決まり、当業者に知られている(例えば、Jerochら、Ernahrung landwirtschaftlicher Nutztiere[農産飼育動物の栄養], Ulmer, UTBを参照)。栄養およびエネルギーの要求性をカバーするため、すべての栄養を互いに要求性を満たす比率で含有する、完全飼料を使用することができる。これは単独の動物飼料を形成することができる。あるいは、これを穀物飼料への補充飼料として添加することができる。これらは都合良く飼料を補完する、タンパク質、ミネラルおよびビタミン強化飼料ミックスである。
【0153】
本発明のコーティッドまたは液状製剤は保存剤、特に飼い葉および/または動物飼料用の保存剤としても好適である。
【0154】
本発明のコーティッドまたは液状製剤はサイレージの生産に有利に使用できることが発見された。これらは乳酸発酵を加速し、二次発酵を防止する。したがって本発明はさらに、本発明のコーティッドまたは液状製剤のサイレージ添加剤としての使用に関する。
【0155】
本発明はさらに、本発明のコーティッドまたは液状製剤の肥料中での使用に関する。
【実施例】
【0156】
(実施例1)コーティッド製剤の調製
EirichのR02強力ミキサーでの溶融造粒
ギ酸水素三ナトリウム1000kgをミキサーに投入し、ミキサーポットを回転(n=84min−1)させながら、電気による微加熱によって、生成物の温度を50℃に加熱する。0.290kgのVegeol PR 273をT=85℃に予備加熱して溶融した後、40g/minの噴霧速度のフルジェット(full jet)で、バインダー/コーティング材料として添加した。溶融物の添加中、ミキサーポット(n=84min−1)およびスターボルテックス(n=900min−1)を逆回転させた。溶融物の添加を完了した後、並行回転させたミキサーポット(n=84min−1)およびスターボルテックス(n=900min−1)で、生成物を3分間、再顆粒化した。生成物の温度をT=58℃に固定した。ミキサーを静置して、35℃まで冷却した。その後、一次造粒で製造した安定粒体を篩い分けした。
【0157】
かさ密度:610kg/m
篩分析、浅型揺動篩:
微粉(<0.5mm)の質量分率:12.5%.
粗粒材(>1.4mm)の質量分率:24.5%
有用材(0.5−1.4mm)の質量分率:63%
【0158】
(実施例2)コーティッド製剤を使用する給餌実験
1日齢のニワトリを使用して、給餌実験を実施した。ギ酸水素三ナトリウムを0、15および30重量%水素化大豆油でコーティングした。1投与について2回繰り返し、各給餌実験で10羽のニワトリを使用した。
【0159】
標準的な小麦−大豆食餌を陰性対照として使用した。セルロース(陰性対照中では1%)に代えて、コーティングされたギ酸水素三ナトリウム製剤を食餌に添加した。
【0160】
給餌実験の21日後の体重増加および飼料利用の改善を下記の表に示す。
【表2】

【0161】
(実施例3)液状製剤
ギ酸水素三ナトリウム40gを水60gと混合する。これによって、ギ酸水素三ナトリウム40重量%、水60重量%を含む溶液が生成する。
【0162】
(実施例4)安息香酸を含む液状製剤
安息香酸5gを実施例3の溶液に添加する。これは全溶液を基礎として5重量%の含有量に相当する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)のヒドロギ酸塩を1種以上含む、コーティッド製剤:
(I) M[HCOO]・HCOOH
[式中、M=Na、K、Cs、NHである]。
【請求項2】
ヒドロギ酸塩がヒドロギ酸三ナトリウムである、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
製剤がさらに別の成分および/または添加剤および/または支持剤を含む、請求項1または2のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項4】
コーティング材料が以下の群から選択される1種以上の化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製剤:
a)数平均分子量が約400〜15,000、例えば400〜10,000のポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコール;
b)数平均分子量が約4,000〜20,000のポリ(アルキレンオキシド)ポリマーまたはコポリマー、特にポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンのブロックコポリマー;
c)置換ポリスチレン、マレイン酸誘導体、さらにスチレン−マレイン酸コポリマー;
d)数平均分子量が約7,000〜1,000,000のポリビニルピロリドン;
e)数平均分子量が約30,000〜100,000のビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー;
f)数平均分子量が約10,000〜200,000のポリ(ビニルアルコール)、ポリ(フタル酸ビニル);
g)数平均分子量が約6,000〜80,000のヒドロキシプロピルメチルセルロース;
h)数平均分子量が約100,000〜1,000,000の(メタ)アクリル酸アルキルポリマーおよびコポリマー、特にアクリル酸エチル/メタクリル酸メチルコポリマーおよびメタクリレート/アクリル酸エチルコポリマー;
i)場合によってポリビニルピロリドンで安定化された、数平均分子量が約250,000〜700,000のポリ(酢酸ビニル);
j)ポリアルキレン、特にポリエチレン;
k)フェノキシ酢酸−ホルムアルデヒド樹脂;
l)セルロース誘導体類、例えばエチルセルロース、エチルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース;
m)動物性、植物性または合成脂肪類;
n)動物性、植物性もしくは合成ワックス、または化学的に改変した動物性、植物性ワックス、例えば蜜ろう、カンデリラろう、カルナウバろう、モンタンエステルワックスおよび米胚芽油ワックス、鯨ろう、ラノリン、ホホバワックス、サソル(sasol)ワックス、和ろうもしくは和ろう代替品;
o)動物性および植物性タンパク質、例えばゼラチン、ゼラチン誘導体、ゼラチン代替品、カゼイン、ホエイ、ケラチン、大豆タンパク質;ゼインおよび小麦タンパク質;
p)単および二糖類、オリゴ糖類、多糖類、例えばでんぷん、改変でんぷん、そしてペクチン、アルギン酸塩、キトサン、カラギーナン;
q)植物油、例えばヒマワリ油、アザミ油、綿実油、大豆油、コーン胚芽油、オリーブ油、菜種油、亜麻仁油、ココナッツ油、ヤシ核油、およびヤシ油;
r)合成または半合成油、例えば中鎖トリグリセリドまたは鉱物油;
s)動物油、例えばニシン油、イワシ油および鯨油;
t)硬化(水素化もしくは部分水素化)油/脂、例えば上記からのもの、特に水素化ヤシ油、水素化綿実油、水素化大豆油;
u)ラッカーコーティング剤、例えばテルペン類、特にシェラック、トルーバルサム、ペルーバルサム、サンダラックおよびシリコーン樹脂類;
v)脂肪酸類、飽和のみでなくモノ不飽和およびポリ不飽和C〜C24−カルボン酸;
w)ケイ酸類;
x)安息香酸および/または安息香酸塩および/または安息香酸エステルおよび/または安息香酸誘導体および/または安息香酸誘導体の塩および/または安息香酸誘導体のエステル。
【請求項5】
平均粒子サイズが1μm〜10,000μm、特に20μm〜5,000μmの粉体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項6】
以下を含む、少なくとも請求項1〜5のいずれか1項に記載のコーティッド製剤の調製方法:
(i)ヒドロギ酸塩1種以上を投入し、場合によって別の成分および/または添加剤を混合し、
(ii)場合によって別の成分を加えたコーティング材料で、生成した混合物をコーティングする。
【請求項7】
以下を含む、少なくとも請求項1〜6のいずれか1項に記載のコーティッド製剤の調製方法:
(i)適切な装置に、コーティング材料を投入し、場合によって別の成分を添加し、
(ii)場合によって別の成分および/または添加剤を加えたヒドロギ酸塩1種以上を添加する。
【請求項8】
コーティング前にヒドロギ酸塩を支持剤に適用する工程を含む、少なくとも請求項1〜7のいずれか1項に記載の製剤の調製方法。
【請求項9】
以下を含む、少なくとも請求項1〜8のいずれか1項に記載のコーティッド製剤の調製方法:
(i)適切なコーティング材料の溶融物に、場合によって別の成分および/または添加剤を加えたヒドロギ酸塩1種以上を分散させ、
(ii)生成した分散物を微粒化および固形化する。
【請求項10】
以下を含む、少なくとも請求項1〜9のいずれか1項に記載のコーティッド製剤の調製方法:
(i)コーティング材料、特に親油性コーティング材料に、場合によって別の成分および/または添加剤を加えたヒドロギ酸塩1種以上を分散させ、
(ii)前記分散物を、単、二または多糖類からなる群から選択される1種以上の物質を添加した保護コロイド、好ましくはゼラチンまたは/およびゼラチン誘導体または/およびゼラチン代替品の水溶液中に乳化させ、
(iii)そして噴霧によって成形し、その後または同時に乾燥する。
【請求項11】
コーティング材料を逆昇華させることによってヒドロギ酸塩1種以上をコーティングすることを含む、少なくとも請求項1〜10のいずれか1項に記載のコーティッド製剤の調製方法。
【請求項12】
動物飼料用のプレミックスにおける、少なくとも請求項1〜11のいずれか1項に記載の製剤の使用。
【請求項13】
特に豚、家禽類および牛用の飼料添加剤および/または動物飼料中における、少なくとも請求項1〜12のいずれか1項に記載の製剤の使用。
【請求項14】
以下を含む、ヒドロギ酸塩1種以上を含む飼料および/または飼料添加剤の調製方法:
(i)請求項1〜5のいずれか1項に記載の製剤をプレミックスに添加し、
(ii)生成したプレミックスと飼料および/または飼料添加剤の残りの成分とを混合する。
【請求項15】
少なくとも請求項1〜14のいずれか1項に記載の製剤を含む動物飼料。
【請求項16】
飼料効果促進物質および/または成長促進剤としての、少なくとも請求項1〜15のいずれか1項に記載の製剤の使用。
【請求項17】
酸性化剤としての、少なくとも請求項1〜16のいずれか1項に記載の製剤の使用。
【請求項18】
保存剤としての、少なくとも請求項1〜17のいずれか1項に記載の製剤の使用。
【請求項19】
サイレージ添加剤としての、少なくとも請求項1〜18のいずれか1項に記載の製剤の使用。
【請求項20】
肥料における、少なくとも請求項1〜19のいずれか1項に記載の製剤の使用。

【公表番号】特表2007−508804(P2007−508804A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515890(P2006−515890)
【出願日】平成16年6月11日(2004.6.11)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006296
【国際公開番号】WO2004/112496
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】