説明

ヒューズの検査装置及び検査方法

【課題】自動車用ヒューズの、ヒューズ製造工程中や輸送時におけるブレードの曲がりやそりによる、ヒューズボックスへの接続不良や受け端子を防ぐための、精密でかつ短時間で検査を行なう装置及び方法を提供することにある。
【解決手段】ヒューズを滑走させる傾斜部5を有し、前記傾斜部5には、前記ヒューズ1を通す溝があり、前記傾斜部5の溝は、前記ヒューズ1の絶縁部3を支持する絶縁部支持7溝と、前記ヒューズ1のブレード部2を通すブレード部通過溝8をもうけたヒューズ検査装置4と、絶縁部支持溝7と、前記ヒューズ1のブレード部2を通すブレード部通過溝8をもった傾斜部5に前記ヒューズ1のブレード部2を挿入し、前記傾斜部5を前記ヒューズ1が滑走する距離によって、前記ヒューズ1のブレード部2の変形等の検査を行なうヒューズ検査装置および方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ヒューズの検査装置及び検査方法であって、特にヒューズのブレード部の曲がり等による不良を精度良く効率的に検査する装置および検査する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用ヒューズは、自動車等に搭載される電気接続箱等に使われる。この電気接続箱等の小型化の要求を受けて、自動車用ヒューズも小型化されている。
このような、自動車用ヒューズの一例を図10に示す。図10−(1)は側面図、図10−(2)は正面図であり、図10−(3)には側面図中に寸法の定義を示す。絶縁部3の厚さをa、ブレード部2の厚さをb、ブレード部2と絶縁部3の段差をc、絶縁部3から露出しているブレード部2の長さをdとしている。一般に、絶縁部3の上部3aにヒューズの仕様値、例えば定格電流等が印刷されている。逆にヒューズの絶縁部の裏面3bは滑らかな面が形成されていることが多い。
【0003】
このような、ヒューズ1は、接点部である金属性のブレード部2を2つもち、その間を細い電線等で接続し、ブレード部2の間を所定の電流より大きい電流が流れた場合に、この細い電線等が溶断することにより、回路を遮断して保護するものである。このブレード部2の一部と細い電線等は、射出成型等で設けられた樹脂により絶縁被覆され、絶縁部3が形成されている。
【0004】
ヒューズの検査装置としては、例えば、自動車用ヒューズの溶断を検査する装置が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】実開平05−031087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記ヒューズ1のブレード部2は導電性を有する平板で、主に金属の薄板から作られるため、手の力で曲がる程度の強度しか有しない。このため、ヒューズ製造工程中や、あるいは輸送時にブレード部が曲がることがある。
ブレード部2が曲がったヒューズ1を、電気接続箱やヒューズボックスに取り付けると、本来ブレード部2と接触する受け端子が、挿入されたブレード部2から過重な力を受けて、受け端子を保持するヒューズボックス等から押し出されてしまうことがある。この場合、ヒューズ1と受け端子の接続が不完全となり、このヒューズボックス等は不良品となる。
【0007】
ところが、従来のヒューズ検査装置は、前記ヒューズ1の電気的接続等を検査するものが知られているが、ヒューズの構成部品の機械的寸法、特にヒューズ組立完成後の形状等に関する検査装置は知られていなかった。
このため、ヒューズ1の受け端子がヒューズボックス等から押し出されないよう、ヒューズ一個一個を目視で検査し、ブレード部2のそりや曲がり等が無いことを確認した良品のヒューズのみをヒューズボックスに取り付けることが必要である。
また、ブレード部2のそりや曲がりがあるヒューズは、不良品として処分されるか、あるいは矯正可能なものは、矯正した上で再びブレード部2のそりや曲がり等が無いことを目視で検査してから、ヒューズボックスに取り付ける。
【0008】
しかし、このような目視検査では、ブレード部2のそり、曲がりの状態を正確に判断することは困難であり、目視検査の際に限度見本等を利用しても、作業者間の判断のばらつきは大きかった。このために、検査合格後のヒューズ1においても、ヒューズボックスへの接続の不良が起こることもあった。
また、このような目視検査の作業には時間が掛かり、作業性が劣るという問題があった。
このため、ヒューズ1のブレード部2の変形状態を精密に、かつ、短時間で、判断出来る検査方法および検査装置が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前記の課題を解決する為に成されたものであって、請求項1の発明は、
ヒューズを滑走させる傾斜部を有し、
前記傾斜部には、前記ヒューズを通す溝があり、
前記傾斜部の溝は、前記ヒューズの絶縁部を支持する絶縁部支持溝と、
前記ヒューズのブレード部を通すブレード部通過溝があることを特徴とする、
ヒューズ検査装置である。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1のヒューズ検査装置であって、
前記絶縁部支持溝の幅は、前記ヒューズの前記絶縁部より広く、
前記ブレード部通過溝は、前記ヒューズの前記ブレード部の厚さよりも広く、
かつ、前記ブレード部通過溝は、前記絶縁部の幅より狭いことを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1または2のヒューズ検査装置であって、
前記ブレード部通過溝は、前記ヒューズの前記ブレード部の厚さよりも、0を超え1.0mm以下広いことを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかのヒューズ検査装置であって、
前記絶縁部支持溝の幅は、前記ヒューズの前記絶縁部の厚さよりも、0を超え2.0mm以下広いことを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかのヒューズ検査装置であって、
前記傾斜部は、少なくともその一部が、水平面に対する傾斜角が10〜30度であるヒューズ滑走部を有することを特徴とする、ものである。
【0014】
また、請求項6の発明は、ヒューズ検査方法であって、少なくとも請求項1から5のいずれかのヒューズ検査装置を用い、
前記ヒューズの前記絶縁部を支持する前記絶縁部支持溝と、前記ヒューズの前記ブレード部を通す前記ブレード部通過溝をもった前記傾斜部の所定の位置に前記ヒューズの前記ブレード部を挿入し、
前記傾斜部を前記ヒューズが滑走させることで、
前記ヒューズの前記ブレード部の検査を行なうことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
ヒューズ1をヒューズ検査装置4の傾斜部5に載せて、自重で滑走させるという簡易な方法で、ヒューズ1のブレード部2が、ヒューズボックス取り付けに際して許容範囲の変形であるかどうかを、目視検査等の人の感覚にたよる検査によらずに正確に判断出来る。
また、目視検査等の人による作業に比べて短時間で判断することが出来る。これによって電気接続箱等のヒューズボックスの生産性を高めることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本願発明のヒューズ検査装置4の第一の実施形態を図1と図2を用いて説明する。図1はヒューズ検査装置4の概要であり、図2は、その溝部6を傾斜部5に対して垂直に切った場合の断面図である。
図1−(1)はヒューズ検査装置4の上面図、図1−(2)はその側面図である。
ヒューズ検査装置4は、ヒューズを滑走させる傾斜部5を有する。また、傾斜部5には、ヒューズ1を通す溝部6を設ける。前記溝部6には、ヒューズ1の絶縁部3を支持する絶縁部支持溝7と、ヒューズ1のブレード部2を通すブレード部通過溝8を設ける。
【0017】
図2−(1)はヒューズ検査装置4の溝部6の断面図を示す。断面形状は下に凸である。図2−(2)には、ヒューズ検査装置4の溝部6の深さ及び幅の定義を示した。
絶縁部支持溝7の幅t1は、ヒューズ1の絶縁部厚さaより大きくする。ヒューズの絶縁部厚さaより絶縁部支持溝7の幅t1が小さいと、ヒューズ1がヒューズ検査装置4の溝部6に挿入出来ない、あるいは挿入できても、絶縁部3の側面と溝側面が接触し、摩擦により傾斜部5での滑走が止まってしまうためである。
【0018】
ブレード部通過溝8の幅t2は、ブレード部2の厚さbよりも大きく、かつ、絶縁部3の幅aより小さくする。ブレード部通過溝8の幅t2がブレード部2の厚さbよりも小さいと、ブレード部2がブレード部通過溝8に挿入出来ない。また、前記t2とbがほぼ同じであると、ブレード部2の表面と溝側面が接触して、摩擦により傾斜部5での滑走が止まってしまうからである。また、ブレード通過溝8の幅t2は、絶縁部3の厚さaよりも大きいと、絶縁部3がブレード部通過溝8に入り込み、ブレード先端がブレード通過溝8の底部と接触して、摩擦により傾斜部5での滑走が止まってしまうからである。
【0019】
また、ブレード部通過溝8の深さt3は、絶縁部3から露出しているブレード部2の長さdより大きくする。ブレード部2の先端がブレード通過溝8の底部と接触して、摩擦により傾斜部5での滑走が止まってしまうからである。
なお、本発明では、絶縁部3の上部3aの反対側である絶縁部の裏面3bと、絶縁部支持溝7との摩擦力が小さいことを利用している。ヒューズ1の絶縁部の裏面3bは滑らかな面であり、また、絶縁部支持溝7も滑らかな面で構成されている。これにより、傾斜部5が水平面に対し傾斜していることで、ヒューズ1を、滑らかに滑走させることが出来る。
【0020】
特に、ブレード部通過溝8の幅t2は、ブレード部2の厚さbよりも、0を超え1.0mm以下の範囲で大きくすることが好ましい。より好ましくは0.1〜0.5mmとする。これは、ブレード部2をヒューズボックスの受け端子に挿入して接続する際に、ヒューズボックスの受け端子が押し出されない程度にブレード部2がそりや曲りの変形をもっていても問題がおこらないからである。逆にこの範囲以上にブレード部2が変形している場合は、受け端子が押し出されてしまう。
絶縁部支持溝7の幅t1は、ヒューズの絶縁部3の厚さaよりも、0を超え2.0mm以下大きくするのが好ましい。より好ましくは、0.5〜1.5mmとする。このようにすることにより絶縁部3の側面と溝側面が接触しないようにしている。幅は広ければ問題ないが、ヒューズ1の溝部6への挿入のしやすさから、上限が定められる。
【0021】
図3は、これまでに記載したヒューズ検査装置4の溝部6へブレード部2にそりや曲がりがないヒューズ1を挿入した際の、断面図を例示する。これまでに記載したように、ヒューズ1のブレード部2にそりや曲がりがない場合、ブレード通過溝8にブレード部2は接触することなく、また絶縁部3の側面と溝側面が接触することの無いように作られている(図中Pが絶縁部側面と溝側面が対向している部分)。
【0022】
本発明による検査を行なうには、ヒューズ1を傾斜部5に設置して、そこを滑走させることが必要である。このために、ヒューズ検査装置4の傾斜部5は、少なくともその一部が、傾斜角が10〜30度である。好ましくは、15−25度とする。
この傾斜角は、ブレード部表面と溝側面との摩擦力と、ヒューズ1が重力により傾斜部5を滑走しようとする力とのバランスから定められた。この範囲であれば、自動車用ヒューズであれば、すべて良好に検査することが出来る。10度未満であると、滑走しようとする力が弱くなり、ブレード部2の変形が小さいものであっても滑走しない。逆に30を超えると、ブレード部2の変形が大きくて溝に接触しているものであっても、滑走しようとする力が大きくなり、ヒューズ1が滑走してしまい、不良のヒューズも良品としてしまう場合がある。
また、ヒューズ1の良品と不良品の判断として、ヒューズ1を所定の位置から滑走させて、ヒューズ検査装置の傾斜部5の別の所定の位置までのヒューズ1の滑走を条件とすること以外に、傾斜部5の所定の位置間のヒューズ1の滑走時間を判断の条件としてよい。
【0023】
ヒューズ検査装置4の溝部6の表面あらさは、滑らかであればよい。100S(100ミクロン)以下であればよく、25S(25ミクロン)以下であれば好ましい。
ヒューズ検査装置4の傾斜部5の材質は、金属、樹脂等であればよい。好ましくは、ポリアセタール樹脂からなるものであれば加工が容易である。金属の場合は表面酸化等で溝部6の平滑さが劣化しないものが好ましい。
また、傾斜部5は直線状でもよいが、傾斜角を漸次的に変化させてもよい。少なくとも一部に、傾斜角が10〜30度の箇所があれば、検査は良好に行える。
【0024】
また、このヒューズ検査装置4の傾斜部5の長さは、100mm以上が好ましい。この理由は、ヒューズ1の滑走開始直後にはブレード表面と溝側面との摩擦力が小さくて、滑走が進み始めたころに前記摩擦力が高まり、滑走が停止することがあるためである。100mm未満であると、ブレード部2の変形が大きいヒューズであっても、滑走が摩擦力によって停止する前に、傾斜部5を通り越してしまうことがあるからである。
【0025】
本発明の第二の実施態様は、ブレード部先端と溝底部とを接触させるヒューズ検査装置41である。第一の実施形態では、絶縁部3の上部3aの反対側である絶縁部の裏面3bと、絶縁部支持溝7との摩擦力が小さいことを利用している。しかしながら、絶縁部の裏面3bが滑らかな面で無い場合には、この第二の実施形態を用いると良い。
すなわち、この場合は絶縁部3と絶縁部支持溝7が接触しないようになっている。一方でブレード部2の変形が大きいと、ブレード部先端側面と溝側面との摩擦力により、滑走が停止する。好ましくは、絶縁部3の側面と溝側面が面接触しないように、溝側面に傾斜をつけてもよい。
【0026】
この場合、ブレード部通過溝8の中でブレード部2が傾いても、ヒューズ1の絶縁部3が絶縁部支持溝7の側面に接触しないようにすることが必要である。このため、絶縁部支持溝7の幅t1からブレード部通過部溝8の幅t2を引いた値とブレード部通過溝8の深さt3およびブレード部2の厚さから決まる、ヒューズ1がもっとも傾いた状態で、ヒューズ1の絶縁部3が絶縁部支持溝7の側面に接触しないように、絶縁部支持溝7の深さt4をきめる必要がある。この実施態様の場合の、ヒューズ検査装置41の溝部6へブレード部2にそりや曲がりが無いヒューズ1を挿入した際の、断面図を図4に示す。
【0027】
本発明の第三の実施形態は、ポリアセタール樹脂からなる3つの部品をねじ止めにより固定して、本願のヒューズ検査装置42を構成したものである。図5,6,7に3つの部品の正面図と上面図を示す。ポリアセタール樹脂基材を用いて3分割の部品を作成し、それを組み合わせることでヒューズ検査装置42を構成することにより、部品加工が容易になる。
また、溝部6を2組形成して同時に2つのヒューズ1を検査出来るようにしている。
【0028】
図5は第一の部品を示す。2つのヒューズのうち第一のヒューズの絶縁部支持溝7の片側とブレード部通過溝8、および三つの部品をねじ止めするためのねじ貫通穴を設けてある。
図6は第二の部品を示す。第一のヒューズのためのもう一つの絶縁部支持溝7と、第二のヒューズの絶縁部支持溝7の片側、および三つの部品をねじ止めするためのねじ貫通穴が設けてある。
図7は第三の部品を示す。第二のヒューズのブレード部通過溝8と第二のヒューズのためのもう一つの絶縁部支持溝7、および三つの部品をねじ止めするためのねじ穴が設けてある。この第三の部品は、前記第一の部品とねじ穴やねじ貫通穴以外は対象の構成となっている。
図8にはこの3つの部品を3ヶ所の連結用ねじ穴9にねじを通して固定することで組み上げたヒューズ検査装置42を示す。
【0029】
この三つの部品を組み立ててヒューズ検査装置42を構成することにより、一体のブロックから、切削加工等により絶縁部支持溝7やブレード部通過溝8を掘り込むことよりも、容易に溝加工を行なうことが出来るため、コストを抑えてヒューズ検査装置42を作成することが出来る。また、例えば第二の部品を複数設ける事により、2つのヒューズより多くのヒューズを同時に検査するヒューズ検査装置を構成することも出来る。
なお、2つの溝部6の寸法を変えることにより、2つの異なる仕様のヒューズの検査を、一つのヒューズ検査装置42で検査出来るようにしてもよい。
また、この実施態様では、作業者が1個1個ヒューズを傾斜部の上方の所定の位置に挿入する作業を行い、傾斜部の下方の所定の位置まで滑走したかどうかでヒューズ1が良品(ブレード部2のそりや曲がりが許容範囲)であるか不良品であるかを判断する。
【0030】
さらに、本願発明の第四の実施形態として、ヒューズ検査装置4あるいはヒューズ検査装置41(以下ヒューズ検査装置43とする)をパーツフィーダー10と組み合わせて設置することが出来る。より詳しくは、ヒューズ検査装置43に、回転盤11とベルトコンベア12をもつパーツフィーダー10を連結する。
これにより、ヒューズ1の変形検査をより生産性高く行なうことが出来る。
図9にその概要図を示す。図9−(1)は側面から見た図、図9−(2)は上面から見た図である。ただし、上面図、側面図ともに、回転盤11が見えるように、外側を覆うカバー等が無いとして、構造がわかりやすいように構造の概要を図示しているものである。
【0031】
パーツフィーダー10の回転盤11は、内部が外側に向かって傾斜をつけた皿状の円盤であり、その回転盤11にヒューズ1を投入する。回転盤11が回転して、ヒューズ1が攪拌され、回転盤11のベルトコンベア12の始点に設けられた開口部において、ヒューズ1のブレード部2がベルトコンベア12のベルト13に挿入されて、回転盤11の内部から出る。
ここで、ベルト13には、著しく寸法の異なるヒューズが挿入されず、所定の許容範囲のヒューズ1のブレード部2が挿入される寸法とする。こうすると、ブレード部2の変形が大きいものはベルト13の穴には入らないので、回転盤11の外に出てこなくなり、ヒューズ1の一次選別が出来る。
【0032】
さらに、ヒューズ1は、ベルト13からヒューズの向きを90度変える機構を経た後に、本願発明のヒューズ検査装置43に送られる。傾斜部5に達したヒューズ1は、ベルト13から離脱して、傾斜部5を滑走する。合格品箱14に落下したヒューズ1は合格品と判断される。また、ブレード部2のそりや曲がりのある不良品は、傾斜部5の途中で停止する。傾斜部5の途中で停止した不良品のヒューズ1は作業者が取り除くことが出来る。
傾斜部5の途中で滑走中に停止したヒューズ1の存在を検知する機構を設けて、さらにそれを自動的に取り除く機構を設けると、このヒューズ検査装置は完全自動化をする事も出来る。
なお、ここでは、ヒューズ検査装置43を、ヒューズ検査装置4あるいはヒューズ検査装置41を使用することを前提にして説明したが、ベルトコンベア12のベルト13に2つ以上のヒューズ1が挿入される構造として、2つ以上の溝部6を持つヒューズ検査装置42を用いる事により、一度に2つ以上のヒューズを検査することが可能となり、検査にかかる時間を更に短縮することができる。
【0033】
ヒューズ検査装置4を用いた、本発明の検査方法を、図1を用いて説明する。
まず、傾斜部5の所定の位置にもうけた検査開始位置Q(傾斜部の上方)の溝部6に、ヒューズ1のブレード部2を挿入する。このとき、溝部6の絶縁部支持溝7と、ヒューズ1の絶縁部裏面3bが接触する。
次いで、ヒューズ1から手を離す。すると、重力により、ヒューズ1が傾斜部5を滑走していく。
【0034】
傾斜部5の所定の位置にもうけた検査終了位置R(傾斜部の下方)まで達したら、ヒューズ1のブレード部2の変形は製造上問題ないと判別され、ヒューズボックスに取り付ける良品ヒューズと扱われる。
しかし、傾斜部5の検査終了位置Rまで達しないで停止した場合は、ブレード部2のそりや曲りの変形により、ヒューズボックスに取り付けた場合に、接続の不良やヒューズボックスの受け端子を押し出してしまう等の問題を生じる不良品であると判断され、このようなヒューズ1は処分される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第一の実施形態を示す図であり、(1)はヒューズ検査装置4の上面図、(2)はその側面図である。
【図2】ヒューズ検査装置4の溝部6の断面図である。
【図3】溝部6へヒューズ1を挿入した場合の断面図である。
【図4】本発明の第二の実施形態の、溝部6へヒューズ1を挿入した場合の断面図である。
【図5】本発明の第三の実施形態の第一の部品を示す図であり、(1)は上面図、(2)は側面図である。
【図6】本発明の第三の実施形態の第二の部品を示す図であり、(1)は上面図、(2)は側面図である。
【図7】本発明の第三の実施形態の第三の部品を示す図であり、(1)は上面図、(2)は側面図である。
【図8】本発明の第三の実施形態での三つの部品を組み上げた図であり、(1)は上面図、(2)は側面図である。
【図9】本発明の第四の実施形態を示す図であり、(1)は側面図、(2)は上面図である。
【図10】ヒューズ1を示す。(1)は側面図、(2)は正面図、(3)は側面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 ヒューズ
2 ブレード部
3 絶縁部
4 ヒューズ検査装置
5 傾斜部
6 溝部
7 絶縁部支持溝
8 ブレード部通過溝
9 連結用ねじ穴
10 パーツフィーダー
11 回転盤
12 ベルトコンベア
13 ベルト
14 合格品箱
41 ヒューズ検査装置
42 ヒューズ検査装置
43 ヒューズ検査装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒューズを滑走させる傾斜部を有し、
前記傾斜部には、前記ヒューズを通す溝があり、
前記傾斜部の溝は、前記ヒューズの絶縁部を支持する絶縁部支持溝と、
前記ヒューズのブレード部を通すブレード部通過溝があることを特徴とする、
ヒューズ検査装置。
【請求項2】
請求項1のヒューズ検査装置であって、
前記絶縁部支持溝の幅は、前記ヒューズの絶縁部より広く、
前記ブレード部通過溝は、前記ヒューズのブレード部の厚さよりも広く、
かつ、前記ブレード部通過溝は、前記絶縁部の幅より狭いことを特徴とする、
ヒューズ検査装置。
【請求項3】
請求項1または2のヒューズ検査装置であって、
前記ブレード部通過溝は、前記ヒューズのブレード部の厚さよりも、0を超え1.0mm以下広いことを特徴とする、
ヒューズ検査装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかのヒューズ検査装置であって、
前記絶縁部支持溝の幅は、前記ヒューズの絶縁部の厚さよりも、0を超え2.0mm以下広いことを特徴とする、
ヒューズ検査装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかのヒューズ検査装置であって、
前記傾斜部は、少なくともその一部が、水平面に対する傾斜角が10〜30度であるヒューズ滑走部を有することを特徴とする、
ヒューズ検査装置。
【請求項6】
ヒューズ検査方法であって、少なくとも請求項1から5のいずれかのヒューズ検査装置を用い、
前記ヒューズの絶縁部を支持する前記絶縁部支持溝と、前記ヒューズの前記ブレード部を通す前記ブレード部通過溝をもった前記傾斜部の所定の位置に前記ヒューズの前記ブレード部を挿入し、
前記傾斜部を前記ヒューズが滑走させることで、
前記ヒューズの前記ブレード部の検査を行なうことを特徴とする、
ヒューズ検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−86839(P2010−86839A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256014(P2008−256014)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】