説明

ヒューズユニット

【課題】ヒューズホルダーを標準化でき、かつ、可溶体の負荷端子に負荷の電線を接続する際の誤結線を確実に防止する。
【解決手段】バッテリー電源が接続される電源端子から分岐して形成され過電流により溶断する複数の可溶体4と、該各可溶体にそれぞれ連結された複数の負荷端子5とが一体形成され、前記可溶体と前記負荷端子が樹脂製のヒューズホルダー3に収容されてなり、前記ヒューズホルダーは前記負荷端子5と該負荷端子に接続される電線9の接続部10とがそれぞれ収容される複数の溝部6が仕切壁7を介して配列され、前記各溝部6は、前記仕切壁7の前面側の少なくとも一部に、前記負荷端子5に接続される電線9の太さに対応した幅Dの開口を有する適合電線指定部材13が装着可能に形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒューズユニットに係り、負荷を保護するヒューズと負荷端子が複数組収容される樹脂製のヒューズホルダーを標準化するのに好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車などの車両の電装回路の過電流保護に用いるヒューズユニットとしては、様々な型式のものが提案されている。例えば、特許文献1に記載されているヒューズユニットは、バッテリー電源が接続される電源端子と、電源端子から分岐して一体に形成された複数の可溶体と、各可溶体にそれぞれ連続して形成された複数の負荷端子とが、導体板を打ち抜いて一体加工したバスバーとして形成されている。また、ヒューズユニットは、仕切壁を介して配列された複数の溝部が形成されてなる樹脂製のヒューズホルダーを備え、可溶体と負荷端子からなる組をそれぞれ溝部に収容して形成されている。また、同文献に記載のヒューズユニットは、電源端子をバッテリーの電極に着脱可能に接続されたバッテリー端子にボルト・ナットで締結して、ヒューズユニット自体をバッテリーに保持させて電装回路を簡素化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−182506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、可溶体は対応する負荷端子に接続される負荷回路に過電流が流れたときに溶断して負荷回路を保護するものであり、可溶体の公称定格電流(以下、単に、定格電流という。)は保護する負荷回路の電流に合わせて決められる。したがって、保護すべき負荷回路が複数設けられる場合、各負荷回路に合わせて定格電流が異なる複数の可溶体を備えた多連型のヒューズユニットが用いられる。また、複数の負荷回路の負荷電流が異なるときは、定格電流が異なる複数の可溶体を用いてヒューズユニットを製造することになる。その場合、複数の可溶体の定格電流の組み合わせが異なれば、その組み合わせごとにヒューズユニットを製造しなければならない。
【0005】
ここで、複数の可溶体の定格電流の組み合わせに合わせて、電源端子と可溶体と負荷端子からなる複数種類のバスバー部品を製造することは避けられないが、これらを収容する樹脂製のヒューズボックスの仕様を標準化することができれば、生産効率を向上でき、また、在庫管理の効率を向上できる。すなわち、複数の可溶体の定格電流に組み合わせに拘わらず、電源端子と可溶体と負荷端子の外形寸法をそれぞれ共通化すれば、それらを収容する樹脂製のヒューズボックスの仕様を標準化できる。これによれば、ヒューズボックスの成形型の種類を減らすことができ、また、ヒューズボックスの製造及び在庫管理の効率を向上できる。
【0006】
しかし、ヒューズボックスを標準化すると、可溶体の定格電流に違いがあっても負荷端子は同一形状であるから、それぞれの負荷に接続された複数の電線を負荷端子に接続する際に、定格電流が異なる可溶体の負荷端子に誤って接続してしまうおそれがある。これにより、負荷電流が小さい負荷回路を保護できない場合や、負荷電流が大きい負荷回路が接続された可溶体を不用意に溶断させる場合がある。このような誤結線を防止するために、負荷端子ごとに接続可能な電線のサイズを表す識別符号を表示したり、組立てマニュアルに各負荷端子の配列順に合わせて接続すべき電線のサイズを記載することが考えられる。しかし、これらの誤結線防止策では、組み付け作業員の確認ミスを皆無にすることは困難である。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、ヒューズホルダーを標準化でき、かつ、可溶体の負荷端子に負荷の電線を接続する際の誤結線を確実に防止できるヒューズユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の第1の態様は、バッテリー電源が接続される電源端子と、該電源端子から分岐して形成され過電流により溶断する複数の可溶体と、該各可溶体にそれぞれ連結された複数の負荷端子とが一体形成され、前記可溶体と前記負荷端子を樹脂製のヒューズホルダーに収容してなり、前記ヒューズホルダーは前記負荷端子と該負荷端子に接続される電線の接続部とがそれぞれ収容される複数の溝部が仕切壁を介して配列されてなるヒューズユニットにおいて、前記各溝部は、前記仕切壁の前面側の少なくとも一部に、前記負荷端子に接続される電線の太さに対応した幅の開口を有する適合電線指定部材が装着可能に形成されていることを特徴とする。
【0009】
ヒューズユニットに負荷の電線を接続する場合、負荷端子に丸型端子が圧着された電線をボルト又はナットで締結する。このボルト又はナットで締結する際又は締結後、電線をヒューズホルダーの溝部に収容する。したがって、作業者が電線を溝部に収容するとき、その溝部の負荷端子に接続される電線の太さが、適合電線指定部材の開口幅と同じか否か確認することにより誤結線を防ぐことができる。すなわち、負荷の電流容量に対応した定格電流の可溶体に連結された負荷端子に負荷の電線を接続しなければならないから、負荷の電流容量に基づいて決められた断面積を有する太さの電線を指定された負荷端子に接続すれば誤結線を防止できる。特に、自動車などの車両の電装回路の電線は、ワイヤーハーネスとしてヒューズユニットに接続する電線を束にして形成されているから、作業者は電線の太さに合う開口幅の適合電線指定部材が装着された溝部の負荷端子に誤りなく接続することができる。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記各溝の両側の前記仕切壁に、それぞれ溝前面から溝底部に向かってスリットが形成され、前記適合電線指定部材は、一対の板部材からなり、一方の板部材の側縁が一方の前記仕切壁のスリットに圧入可能に形成され、他方の板部材の側縁が他方の前記仕切壁のスリットに圧入可能に形成され、該一対の板部材の他方の側縁が対向する間隔により前記開口の幅が設定されているものとすることができる。
【0011】
また、第2の態様の変形例として、前記スリットは、前記仕切壁の溝前面から溝底部に至る途中まで形成され、前記板部材の側縁は、先端部が前記仕切壁の溝内面に当接され、先端部から後端部に至る側面が前記スリットに圧入可能に形成されているものとすることができる。これによれば、適合電線指定部材の位置決め精度が安定することから、一対の板部材の開口幅の精度が安定し、適合する電線の太さを誤りなく確認することができる。さらに、仕切壁の強度を向上することができる。
【0012】
さらに、本発明の第3の態様は、第1の態様において、前記各溝の両側の前記仕切壁に、それぞれ溝前面から溝底部に向かってスリットが形成され、前記適合電線指定部材は、前記溝部の底部に対応する底板と、該底板の前記各溝部の両側の前記仕切壁に対応する側縁から立設された一対の壁板と、該一対の壁板と前記底板の下端に設けられた板部材とを有して形成され、前記板部材は、前記溝部の溝幅方向に対応する両端が前記一対の壁の外面よりも前記スリットの深さだけ突き出された突出部が形成され、板厚はスリットの幅に形成され、該板部材の前面側の縁部に前記電線の太さに対応した幅の開口が形成されてなる構成とすることができる。これによれば、電線の太さを指定する開口幅を1つの板部材の開口で規定できるから、開口幅の精度が安定し、適合する電線の太さを一層誤りなく確認することができる。さらに、ヒューズユニットに適合電線指定部材組付けを自動で行う場合、組付け装置の構成を簡単化することができる。
【0013】
さらに、本発明の上記いずれかの態様において、前記各溝部の前記仕切壁の電線引込部側の端部に前記溝部の底部から延在された板状の基部が設けられ、前記スリットは前記基部に接して形成されているものとすることができる。これによれば、仕切壁の下端を基部で補強できるから、仕切壁の強度を向上することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ヒューズホルダーを標準化でき、かつ、可溶体の負荷端子に負荷の電線を接続する際の誤結線を確実に防止できるヒューズユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のヒューズユニットの実施形態の構成を示す図である。
【図2】図1の実施形態の適合電線指定部材の詳細を示す図である。
【図3】図1の実施形態のヒューズユニットの組み立て外観図である。
【図4】本発明のヒューズユニットの他の実施形態の構成を示す図である。
【図5】図4の実施形態の要部詳細図である。
【図6】本発明のヒューズユニットのさらに他の実施形態の主要部の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のヒューズユニットを実施形態に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1(a)、(b)に示すように、本実施形態のヒューズユニット1は、電源端子を収容する樹脂製のボディハウジング2と、ボディハウジング2から垂下された樹脂製のヒューズホルダー3とを備えて形成されている。ボディハウジング2には、図示していないバッテリー電源が接続されるバスバーから構成される板状の電源端子(図に表れていない。)等が収容されている。ヒューズホルダー3は、過電流が流れたときに溶断する可溶体4を複数収容するヒューズ収容部3aと、各可溶体4に連結された負荷端子5と負荷端子5に接続される負荷の電線接続部を複数収容する負荷端子収容部3bが一体に形成されている。図示例では、可溶体4と負荷端子5の組が5個設けられているが、本発明はこれに限らず要求仕様に基づいて複数組の可溶体4と負荷端子5を設けることができる。また、複数の可溶体4は電源端子からそれぞれ分岐して形成され、複数の負荷端子5は複数の可溶体4にそれぞれ連結して一体に形成されている。
【0017】
ヒューズ収容部3aは、複数の可溶体4がそれぞれ収容される複数の溝部が、仕切壁により区切られて形成されている。負荷端子収容部3bは、負荷端子5と負荷端子5に接続される電線9の接続部(図3参照)とがそれぞれ収容される複数の溝部6が、仕切壁7を介して配列して生成されている。溝部6の上部に位置させて負荷端子5が収容され、負荷端子5にはボルト8が設けられ、図3に示すように、負荷の電線9に圧着された丸形端子10がナットでボルト8に締結されて、負荷端子5に電線9が接続されるようになっている。
【0018】
次に、本発明の特徴部に係る適合電線指定部材の構成について説明する。まず、各仕切壁7(7a、7b)の下端部、すなわち電線9の引込部側の端部には、溝部6の底部から延在された板状の基部11が設けられている。基部11のうち、両端の仕切壁7aの下端に設けられる基部11は、仕切壁7aの下端に連結して一体に形成されている。両端以外の仕切壁7bの下端は、図1(c)、(d)に示すように、基部11の上面から間隔wを離して形成され、これによりスリット12が形成されている。また、両端の仕切壁7aの下端部のスリット12は、基部11に上面に沿って形成された間隔wの幅の溝状の切り込みにされ、切込深さdは他の仕切壁7bの切込深さ2dの半分にされている。本実施形態では、スリット12の溝部6の奥行き方向は、溝部6の底部まで延在して形成されている。
【0019】
このように形成されたスリット12に装着して用いる本実施形態の適合電線指定部材について、図2、3を参照して説明する。図3に示すように、適合電線指定部材13は、一対の板部材13a、13bから構成される。各板部材13a、13bは、溝部6の両側の仕切壁7(a、b)に形成されたそれぞれのスリット12に一方の側縁が圧入されるようになっている。そして、スリット12に圧入された一対の板部材13a、13bが対向する側面により形成される間隔Dが、その溝部6の負荷端子5に接続する電線9の太さに対応した開口幅に形成される。すなわち、板部材13a(又は13b)は、電線9の太さに対応した間隔Dの開口が形成されるように、図2(a)又は同図(b)に示すように、それぞれ同一形状に形成される。同図(a)は断面積が3sqmmの電線9の太さの適合電線指定部材13の一対の板部材13a(又は、13b)であり、同図(b)は断面積が15sqmmの電線9の太さの適合電線指定部材13の一対の板部材13a(又は、13b)の例である。他の断面積の電線9の太さの適合電線指定部材13も同様に形成する。なお、本実施形態では、図1(b)に示すように、電線9の太さが最も太い負荷端子5の溝部6には、適合電線指定部材13の装着を省略している。また、溝部6の数に対して可溶体4と負荷端子5の数が少ない場合にも同一のヒューズホルダー3を用いることができ、この場合も空いている溝部6には適合電線指定部材13の装着を省略することになる。
【0020】
以上説明したように、本実施形態によれば、溝部6の負荷端子5に接続する電線9の太さに対応した寸法に形成された一対の板部材13a、13bを、その溝部6の両側の仕切壁7のスリット12に圧入等により装着する。なお、圧入に限られるものではなく、接着材で固定するようにしてもよい。そして、ヒューズユニット1を製造した際に、要求仕様に合わせて組み込まれた可溶体4の定格電流に適合させて、ヒューズホルダー3の各溝部6に負荷の電線9の太さを指定する適合電線指定部材13を装着する。これにより、各溝部6の負荷端子5の可溶体4の定格電流に適合した負荷の電線9の太さを、適合電線指定部材13で識別することができるから、複数の負荷端子5が配列されていても、誤結線を防止することができる。
【0021】
本実施形態によれば、ヒューズユニット1に負荷の電線9を接続する場合、負荷端子5に丸型端子10が圧着された電線9をボルト8にナットで締結する際又は締結後、電線9をヒューズホルダー3の溝部6に収容する。その収容時に、その溝部6の負荷端子5に接続される電線9の太さが、適合電線指定部材13の開口幅と同じか否か確認する。これにより誤結線を防ぐことができる。すなわち、負荷の電流容量に対応した定格電流の可溶体4に連結された負荷端子5に負荷の電線9を接続しなければならないから、負荷の電流容量に基づいて決められた断面積を有する太さの電線9を、適合電線指定部材13の開口幅で指定された負荷端子5に接続すれば誤結線を防止できる。特に、自動車などの車両の電装回路の電線は、ワイヤーハーネスとしてヒューズユニット1に接続する電線を束にして形成されているから、作業者は電線9の太さに合う開口幅の適合電線指定部材13が装着された溝部6の負荷端子5に誤りなく接続することができる。
【0022】
また、本実施形態によれば、要求仕様に合わせて組み込まれた可溶体4の定格電流に合わせて、適合電線指定部材13を装着すればよいから、ヒューズホルダー3は可溶体4の定格電流の組み合わせに合わせることなく標準化することができる。つまり、本発明は、ヒューズホルダー3と適合電線指定部材13を別体で形成しているから、例えば、可溶体4の仕様が変更になっても、あるいは新たに追加されても、ヒューズホルダー3を変更しないで、適合電線指定部材13を変更するだけで、ヒューズユニット1を製造できる。
【0023】
これに対して、例えば、適合電線指定部材13に相当する部材を、予めヒューズホルダー3の溝部に一体形成すると、そのヒューズホルダー3は可溶体4の定格電流の組み合わせが定まった専用品になってしまい、成形金型も個別に形成しなければならず、標準化の課題は達成できない。
【0024】
また、標準化されたヒューズホルダー3の各溝部6に適合電線指定部材13を装着する作業を自動化することにより、誤結線を一層防止することができる。例えば、ヒューズユニット1の品番と適合電線指定部材13の品番とを照合して、自動組み付けするように構成することができる。また、適合電線指定部材13の種類を色分けしたり、電線の太さを表す識別マークを付して、ワイヤハーネスの組み付け時に作業者が間違えないように、最善の対策を講ずることができる。
【0025】
(第2の実施形態)
図4及び図5を参照して、本発明の他の実施形態の構成を示す。本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、本発明の特徴部に係る適合電線指定部材及びその適合電線指定部材が装着されるスリットの構成にある。その他の構成は第1の実施形態と同一であることから、同一部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0026】
本実施形態の特徴に係る適合電線指定部材23は、図5に示すように、平板状の一対の板部材23a(23b)の互いに逆側の側縁部の先端側に、切欠き部24を設けたことにある。これに合わせて、図4(c)、(d)及び図5に示すように、仕切壁7の下端と基部11との連結部に設けるスリット25を、仕切壁7の前面側から途中まで形成している。したがって、一対の板部材23a、23bをスリット25に圧入すると、切欠き部24のA面を仕切壁7の溝部6の内面に当接することにより、図示x軸側の面が位置決めされ、切欠き部24のB面をスリット25の奥側の面に当接することにより、図示z軸側の面が位置決めされる。これにより、一対の板部材23a、23bの圧入時の位置決めを容易にすることができる。なお、本実施形態の場合も、一対の板部材23a、23bを圧入することに代えて、接着材でスリット25に固定するようにすることができる。
【0027】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同一の効果を奏することができる。また、本実施形態によれば、適合電線指定部材23の位置決め精度が安定することから、一対の板部材23a、23bの開口幅の精度が安定し、適合する電線9の太さを誤りなく確認することができる。さらに、仕切壁7の下端を基部11で補強できるから、仕切壁7の強度を向上することができる。
【0028】
(第3の実施形態)
図6(a)、(b)を参照して、本発明の他の実施形態の適合電線指定部材及びその適合電線指定部材が装着されるスリットの構成を説明する。第1、2の実施形態の適合電線指定部材13、23は、一対の板部材13a、13b又は23a、23bで構成した。本実施形態の適合電線指定部材33は、図6(a)に示すように、箱形に形成したことを特徴とする。本実施形態の負荷端子収容部3bは、第1、2の実施形態と同様に構成されている。そして、本実施形態の適合電線指定部材33は、図6(a)、(b)に示すように、各溝部6の両側の仕切壁7の内面に接する一対の壁35と、一対の壁35が立設された底板36と、一対の壁35と底板36の前面に設けられた板部材37とを有して、箱形に形成されている。そして、板部材37に電線9の太さに対応した間隔Dの開口38が形成されている。
【0029】
本実施形態の適合電線指定部材33の板部材37は、溝部6の溝幅方向に対応する両端が、一対の壁35の外面よりもスリット25の深さ2dの1/2=dだけ突き出した突出部37aが形成され、板厚はスリット25の幅wに形成されている。また、板部材37には、図5に示した切欠き部24と同様に、仕切壁7の溝部6の内面に当接する面39と、スリット25の奥の面に当接する面40を有する切欠き部37bが形成されている。
【0030】
このように構成される適合電線指定部材33は、図6(b)に示すように、一対の壁35を上に向けて板部材37を基部11の上面に載置して摺動させながら、突出部37aを仕切壁7のスリット25に圧入する。そして、板部材37の切欠き部37bの面40をスリット25の奥の面に当接させて装着する。また、適合電線指定部材33の底板の内面には、電線9の太さを示す符号、例えば図示例では、3sqmmを示す「3」が刻印等により表示されている。
【0031】
このように構成されることから、本実施形態によれば、第1の実施形態と同一の効果を奏することができる。また、第2の実施の形態と同様に、適合電線指定部材33の位置決め精度が安定する。特に、本実施形態によれば、電線9の太さを指定する開口幅を1つの板部材37の開口38で規定できるから、開口幅の精度が安定し、適合する電線9の太さを一層誤りなく確認することができる。さらに、ヒューズユニット1に適合電線指定部材33の組付けを自動で行う場合、組付け装置の構成を簡単化することができる。
【符号の説明】
【0032】
3 ヒューズホルダー
3a ヒューズ収容部
3b 負荷端子収容部
4 可溶体
5 負荷端子
6 溝部
7(7a、7b) 仕切壁
9 電線
10 丸型端子
11 基部
12、25 スリット
13、23、33 適合電線指定部材
13a、13b 板部材
23a、23b 板部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリー電源が接続される電源端子と、該電源端子から分岐して形成され過電流により溶断する複数の可溶体と、該各可溶体にそれぞれ連結された複数の負荷端子とが一体形成され、前記可溶体と前記負荷端子を樹脂製のヒューズホルダーに収容してなり、前記ヒューズホルダーは前記負荷端子と該負荷端子に接続される電線の接続部とがそれぞれ収容される複数の溝部が仕切壁を介して配列されてなるヒューズユニットにおいて、
前記各溝部は、前記仕切壁の前面側の少なくとも一部に、前記負荷端子に接続される電線の太さに対応した幅の開口を有する適合電線指定部材が装着可能に形成されていることを特徴とするヒューズユニット。
【請求項2】
前記各溝の両側の前記仕切壁に、それぞれ溝前面から溝底部に向かってスリットが形成され、
前記適合電線指定部材は、一対の板部材からなり、一方の板部材の側縁が一方の前記仕切壁のスリットに圧入可能に形成され、他方の板部材の側縁が他方の前記仕切壁のスリットに圧入可能に形成され、該一対の板部材の他方の側縁が対向する間隔により前記開口の幅が設定されていることを特徴とする請求項1に記載のヒューズユニット。
【請求項3】
前記スリットは、前記仕切壁の溝前面から溝底部に至る途中まで形成され、
前記板部材の側縁は、先端部が前記仕切壁の溝内面に当接され、先端部から後端部に至る側面が前記スリットに圧入可能に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のヒューズユニット。
【請求項4】
前記各溝の両側の前記仕切壁に、それぞれ溝前面から溝底部に向かってスリットが形成され、
前記適合電線指定部材は、前記溝部の底部に対応する底板と、該底板の前記各溝部の両側の前記仕切壁に対応する側縁から立設された一対の壁板と、該一対の壁板と前記底板の下端に設けられた板部材とを有して形成され、
前記板部材は、前記溝部の溝幅方向に対応する両端が前記一対の壁の外面よりも前記スリットの深さだけ突き出された突出部が形成され、板厚はスリットの幅に形成され、該板部材の前面側の縁部に前記電線の太さに対応した幅の開口が形成されなることを特徴とする請求項1に記載のヒューズユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−41738(P2013−41738A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177502(P2011−177502)
【出願日】平成23年8月15日(2011.8.15)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】