説明

ヒンジ構造、及び折り畳み式電子機器

【課題】第1の筐体及び第2の筐体に軸を夫々設けたヒンジ構造において、筐体の端部を占有せずに、筐体を有効に利用して、タッチ表示パネルや表示部などを筐体の端まで配置できるようにする。
【解決手段】第1の筐体1と第2の筐体2とを折り畳んだ状態から相対的に回転させて開放させるヒンジ構造であって、第1の筐体1と第2の筐体2の少なくとも何れか一方の端部側面に一定間隔を保って設けられた2つの軸部31・32と、その2つの軸部が各々移動自在に係合する少なくとも1つの曲線溝を含む2つの溝部36・37を有する支持部材35と、を備える。例えば、2つの軸部31・32は第1の筐体1及び第2の筐体2の両方に備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の筐体と第2の筐体とを折り畳んだ状態から相対的に回転させて開放させるヒンジ構造と、そのヒンジ構造を備える折り畳み式電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話において、操作部を有する第1の筐体と表示部を有する第2の筐体とからなり、各筐体の端部に軸を設けて結合し折り畳み自在にしたものがある(特許文献1及び特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−287554号公報
【特許文献2】特開2006−304017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
最近はタッチ表示パネルでキーを表示させるようにしたものや、テレビ画像を表示するようにしたものがある。
しかし、特許文献1及び特許文献2のように、各筐体の端部に軸を夫々設けて結合し折り畳み自在にしたものでは、各軸によるヒンジ部分が筐体の端部を占有してしまうため、各筐体をタッチ表示パネルやテレビ画面とした場合に、各筐体間にヒンジ部分だけ表示部を分離してしまい、2つの表示部を一体感のある1つの表示部に見せることはできなかった。
【0004】
本発明の課題は、第1の筐体及び第2の筐体に軸を夫々設けたヒンジ構造において、筐体の端部を占有せずに、筐体を有効に利用して、タッチ表示パネルや表示部などを筐体の端まで配置できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、第1の筐体と第2の筐体とを折り畳んだ状態から相対的に回転させて開放させるヒンジ構造であって、前記第1の筐体と第2の筐体の少なくとも何れか一方の端部側面に一定間隔を保って設けられた2つの軸部と、その2つの軸部が各々移動自在に係合する少なくとも1つの曲線溝を含む2つの溝部を有する支持部材と、を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のヒンジ構造であって、前記2つの軸部は前記第1の筐体及び第2の筐体の両方に備えられていることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のヒンジ構造であって、前記2つの軸部は前記第1の筐体と第2の筐体の一方にのみ備えられていて、他方の筐体の端部側面に回転軸が備えられ、前記支持部材には前記回転軸を支持する軸受孔が形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のヒンジ構造であって、前記第1の筐体は表示部を備え、前記第2の筐体は操作部を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のヒンジ構造であって、前記第1の筐体、第2の筐体は、開放した状態で平面的にほぼ連続して配置される表示部を各々備えることを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のヒンジ構造であって、前記2つの軸部及び支持部材は、前記第1の筐体と第2の筐体の端部の少なくとも一側面に沿って配置されることを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載のヒンジ構造であって、前記2つ軸部を連結する連結部材を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載のヒンジ構造であって、前記曲線溝内を移動する軸部どうしを連結し、その軸部の各曲線溝内に沿った移動に伴って伸縮する保持部材を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載のヒンジ構造であって、前記軸部の何れかと前記支持部材との間に、その軸部を一定方向に付勢する付勢部材を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載のヒンジ構造であって、前記2つの軸部及び前記支持部材は、前記第1の筐体及び第2の筐体を縦長方向に開放させる位置に備えられていることを特徴とする。
【0015】
請求項11に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載のヒンジ構造であって、前記2つの軸部及び前記支持部材は、前記第1の筐体及び第2の筐体を横長方向に開放させる位置に備えられていることを特徴とする。
【0016】
請求項12に記載の発明は、請求項1から11のいずれか一項に記載のヒンジ構造であって、前記第1の筐体と第2の筐体を前記開放させる方向と垂直方向に相対的に回転するヒンジ部を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項13に記載の発明は、請求項1から12のいずれか一項に記載のヒンジ構造であって、前記支持部材には、前記第1の筐体及び第2の筐体内から引き出された配線を通す配線通し孔が形成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項14に記載の発明は、請求項1から13のいずれか一項に記載のヒンジ構造であって、前記支持部材の外側を覆うカバーを備えることを特徴とする。
【0019】
請求項15に記載の発明は、第1の筐体と第2の筐体とを折り畳み自在にした折り畳み式電子機器であって、請求項1から14のいずれか一項に記載のヒンジ構造を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ヒンジ部分が筐体の端部を占有してしまうことを防ぎ、筐体の側面を効率よく利用することができる。従って、タッチ表示パネルや表示部などを筐体の端まで配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は本発明を適用した折り畳み式電子機器の一実施形態の構成として携帯電話を開いた状態を示したもので、1は第1の筐体、2は第2の筐体、3はヒンジ部、4は表示部、5は受話部、6は操作部、7は送話部である。
【0022】
第1の筐体1と第2の筐体2は、左右一対のヒンジ部3を介して縦方向に折り畳み自在に結合されている。第1の筐体1に表示部4及び受話部5が設けられて、第2の筐体2に操作部6及び送話部7が設けられている。
【0023】
図2に示すように、ヒンジ部3は、ヒンジユニット30をヒンジカバー39で覆ったものある。そして、第1の筐体1の表示部4は、液晶表示パネル41及びその前面のディスプレイパネル42により構成されている。また、第2の筐体2の操作部6は、液晶表示パネル61の上にタッチセンサ62を設けて構成されるタッチパネルとなっている。
【0024】
ヒンジユニット30は、図3及び図4に示すように、第1の軸部31と第2の軸部32と支持部材35とから構成される。第1の軸部31と第2の軸部32は連結板33により一体化されて、左右一対ずつ設けられている。支持部材35は、板状部の左右に、第1の軸部31が移動自在に係合する直線溝部36と、第2の軸部32が移動自在に係合する曲線溝部37とをそれぞれ有している。図示例において、曲線溝部37は、直線溝部36とほぼ平行してほぼ「つ」の字の左右対象形状をなしている。
【0025】
なお、図示例では、直線溝部36及び曲線溝部37を貫通孔とし、第1の軸部31及び第2の軸部32の頭部を大径にして、直線溝部36及び曲線溝部37からそれぞれ抜け止めするようにしたが、直線溝部36及び曲線溝部37を底部のある溝とし、その溝内で第1の軸部31及び第2の軸部32の大径頭部をそれぞれ係合して抜け止めするようにしても良い。また、図示例において、支持部材35の左右には、直線溝部36及び曲線溝部37と並んで配線通し孔38がそれぞれ形成されており、この配線通し孔38は、直線溝部36を挟んで曲線溝部37と反対側に配置されている。
【0026】
以上のヒンジユニット30は、第1の軸部31及び第2の軸部32の連結板33を、第1の筐体1の端部側面に形成した凹部と、第2の筐体2の端部側面に形成した凹部にそれぞれ接着や溶着等により固定して取り付けられる。そして、支持部材35を覆うヒンジカバー39が取り付けられる。
【0027】
このような4本の軸部31・32を用いたヒンジ部3は、第1の筐体1と第2の筐体2の180度開放状態において、図3に示すように、左右の第1の軸部31が直線溝部36の内端部にそれぞれ位置して、左右の第2の軸部32が曲線溝部37のほぼ「つ」の字の下端部にそれぞれ位置している。
【0028】
第1の筐体1と第2の筐体2を折り畳む場合は、図3において、左右の第1の軸部31が直線溝部36の外端部側に向かってそれぞれ移動するとともに、左右の第2の軸部32が曲線溝部37のほぼ「つ」の字の外端部側に向かって斜め上にそれぞれ移動する。従って、第1の筐体1と第2の筐体は、それぞれ斜めに起き上がりながら端部が互いに一旦離れて行く。
【0029】
そして、左右の第1の軸部31は直線溝部36の外端部側に向かってそれぞれ移動して行くが、左右の第2の軸部32は曲線溝部37のほぼ「つ」の字の外端部から向きを変えて内端部側に向かってそれぞれ移動して行く。その後、左右の第1の軸部31が直線溝部36の外端部に到達してから再び内端部側に向けて移動するとともに、左右の第2の軸部32が曲線溝部37のほぼ「つ」の字の内端部にそれぞれ到達した時点で、第1の筐体1と第2の筐体2が折り畳んだ状態となる。
【0030】
なお、第1の筐体1と第2の筐体2を折り畳み状態から180度開放状態に変化させる際は、以上の動作と逆の動作を行う。
【0031】
以上の筐体の折り畳み状態と開放状態の変化動作過程において、第1の筐体1と第2の筐体2の端部が互いに一旦離れて行くため、筐体の端部が干渉することはなく、筐体の端部をヒンジ軸が占有することもない。
従って、図1及び図2に示したように、第1の筐体1に表示部4の液晶表示パネル41をヒンジ側端部まで大きくして大画面化できるとともに、第2の筐体2にもタッチパネル式操作部6の液晶表示パネル61をヒンジ側端部まで大きくして大画面化することができる。
【0032】
この結果、図示のように、筐体の開放状態において、第1の筐体1の液晶表示パネル41と第2の筐体2の液晶表示パネル61を最短まで距離を縮めて、2つの液晶表示パネル41・61を一体感のある1つの長い大画面に見せることができるようになる。
【0033】
以上、実施形態のヒンジ構造を備える携帯電話によれば、4本の軸部31・32を用いることにより筐体の一部がカットされることをなくし、表示部4を有する第1の筐体1と、操作部6を有する第2の筐体2のそれぞれに配置した2枚の液晶表示パネル41・61の距離を障害物なしに最短に配置することを可能にして、2枚の液晶表示パネル41・61による大画面化を実現できる。
【0034】
なお、実施形態では、第1の軸部31及び第2の軸部32の連結板33を、第1の筐体1の端部側面に形成した凹部と、第2の筐体2の端部側面に形成した凹部にそれぞれ固定したが、連結板33を用いずに、第1の筐体1の端部側面の凹部と、第2の筐体2の端部側面の凹部に、第1の軸部31及び第2の軸部32をそれぞれ一定間隔を保って直接固定したり一体成形したりして良い。また、第1の筐体1及び第2の筐体2の端部側面に、凹部を形成せずに、第1の軸部31及び第2の軸部32を設けるようにしても良い。
【0035】
ところで、実施形態のヒンジ部3においては、図5に示すように、寝かせた第2の筐体2の上に第1の筐体1を垂直に立てたり、図6に示すように、垂直に立てた第1の筐体1の手前に第2の筐体2を寝かしたりすることが可能となっている。
しかし、図5に示したように、寝かせた第2の筐体2のタッチパネル式操作部6の液晶表示パネル61の奥側端部が、その上の第1の筐体1で隠されたり、図6に示したように、第1の筐体1の表示部4の液晶表示パネル41の下端部が、その手前の第2の筐体2で隠されたりする問題がある。
その対策を次に説明する。
【0036】
(実施形態2)
図7は実施形態2として携帯電話を折り畳んだ状態を示したもので、前述した実施形態1の構成において、左右の曲線溝部37内を移動する第2の軸部32どうしを連結する伸縮自在な保持部材8と、左右の第2の軸部32を支持部材35に対し一定方向にそれぞれ付勢する付勢部材9と、を付加したものである。
【0037】
すなわち、保持部材8は、図8から図11に示すように、一方の第2の軸部32に固定した筒部81の内部に、他方の第2の軸部32に固定したロッド部82が摺動自在に組み込まれて伸縮自在となっている。そして、筒部81を摺動自在に保持する保持部83が、支持部材35の中央部に形成した溝部85に移動自在に係合されている。この溝部85は、直線溝部36と直交方向に伸びて形成されている。なお、図示例では、角形の筒部81及びロッド部82としたが、円形としても良い。
【0038】
また、付勢部材9は、図示のように、左右それぞれにおいて、第2の軸部32に一端を固定して、支持部材35に他端を固定した捩りコイルバネである。この付勢部材9の付勢力により第2の軸部32は、筐体の折り畳み状態において、図7に示すように、曲線溝部37の内端部に位置し、また、筐体の開放状態においては、図9に示すように、曲線溝部37のほぼ「つ」の字の下端部に位置した状態に保持される。
【0039】
以上の保持部材8及び付勢部材9を備えるヒンジ部3は、第1の筐体1と第2の筐体2の折り畳み状態において、図7に示すように、左右の第1の軸部31が直線溝部36の中間部にそれぞれ位置して、左右の第2の軸部32が、付勢部材9の付勢力により曲線溝部37のほぼ「つ」の字の内端部にそれぞれ位置している。
【0040】
このとき、左右の第2の軸部32を連結する保持部材8は、図示のように、筒部81及びロッド部82が最も縮んだ状態にあって、その筒部81を保持する保持部83は、溝部85の上端部側に位置している。
【0041】
第1の筐体1と第2の筐体2を開放する場合は、図8に示すように、左右の第1の軸部31が直線溝部36の外端部側に向かってそれぞれ移動するとともに、左右の第2の軸部32が曲線溝部37のほぼ「つ」の字の外端部側に向かって若干斜め上にそれぞれ移動する。従って、第1の筐体1と第2の筐体は、それぞれ斜めに倒れながら端部が互いに一旦離れて行く。
【0042】
そして、90度開放状態では、左右の第2の軸部32を連結する保持部材8は、図示のように、筒部81及びロッド部82が最も伸びた状態にあって、その筒部81の保持部83は、溝部85の上端部に移動している。また、左右の第2の軸部32は、付勢部材9の付勢力に抗して曲線溝部37の外端部にそれぞれ位置している。
【0043】
その後、左右の第2の軸部32は、図9に示すように、付勢部材9の付勢力により曲線溝部37のほぼ「つ」の字の外端部から向きを変えて下端部に向かってそれぞれ移動して行くとともに、左右の第1の軸部31は直線溝部36の内端部に向かってそれぞれ移動して行く。そして、左右の第2の軸部32が、付勢部材9の付勢力により曲線溝部37のほぼ「つ」の字の下端部にそれぞれ到達するとともに、左右の第1の軸部31が直線溝部36の内端部に到達した時点で、第1の筐体1と第2の筐体2が180度開放状態となる。
【0044】
このとき、左右の第2の軸部32を連結する保持部材8は、図示のように、筒部81及びロッド部82が最も伸びた状態から若干縮んだ状態にあって、その筒部81の保持部83は、溝部85の下端部に移動している。
【0045】
なお、第1の筐体1と第2の筐体2を180度開放状態から折り畳み状態に変化させる際は、以上の動作と逆の動作を行う。
【0046】
以上において、図8に示した90度開放状態から図7に示した折り畳み状態と図9に示した180度開放状態への操作は、付勢部材9の付勢力によりアシストされて開閉操作に要する力が軽減される。
【0047】
以上、実施形態2のヒンジ部3によれば、左右の第2の軸部32を連結する伸縮自在な保持部材8を設けるとともに、左右の第2の軸部32を支持部材35に対し一定方向にそれぞれ付勢する付勢部材9を設けたことで、左右の曲線溝部37を移動する第2の軸部32を同期させて、第1の筐体1及び第2の筐体2をそれぞれ同じ角度で開閉動作することできる。そして、開閉操作に要する力も軽減して、操作性を良好なものにすることができる。
【0048】
(実施形態3)
図12及び図13は実施形態3として携帯電話を開いた状態を示したもので、前述した実施形態1または2のヒンジ部3を備える携帯電話において、第1の筐体1の表示部4(液晶表示パネル41)と第2の筐体2のタッチパネル式操作部6の液晶表示パネル61及びタッチセンサ62をともにヒンジ側端部まで接近させてより大画面化している。
そして、その接近した表示部4(液晶表示パネル41)とタッチパネル式操作部6の液晶表示パネル61の画面間の隙間を黒色部11・21としたものである。
【0049】
この黒色部11・21より、接近した大画面による表示部4(液晶表示パネル41)とタッチパネル式操作部6の液晶表示パネル61との一体感を得ることができる。
【0050】
なお、黒色部11・21を設けずに、表示部4(液晶表示パネル41)とタッチパネル式操作部6の液晶表示パネル61をともにヒンジ側端部まで接近させてより大画面化するだけでも良い。
【0051】
(実施形態4)
図14は実施形態4として携帯電話の折り畳み状態を示したもので、前述した実施形態では縦開きの携帯電話であったのに対し、第1の筐体1と第2の筐体2を長辺部の両端において、前述した実施形態1または2のヒンジ部3で結合している。そして、第1の筐体1の表側に、図示のように、表示部12、操作部13、受話部14及び送話部15を設けてストレートタイプの携帯電話としたものである。
【0052】
また、図15に示すように、第1の筐体1と第2の筐体2をその長辺部の両端のヒンジ部3で横に90度開いた状態において、第1の筐体1の内面に表示部4(液晶表示パネル41)を設けて、第2の筐体2の内面にタッチパネル式操作部6の液晶表示パネル61及びタッチセンサ62を設けたものとなっている。
【0053】
このように、PCスタイル(クラムシェル)とすることもできる。
【0054】
さらに、図示しないが、180度開放状態では、横長画面の表示部4(液晶表示パネル41)とタッチパネル式操作部6の液晶表示パネル61を並べて大画面とすることができる。
【0055】
(実施形態5)
図16は実施形態5の携帯電話を示したもので、前述した実施形態1または2のヒンジ部3を、第1の筐体1及び第2の筐体2の左右の何れか一方のみに設けて、ヒンジカバー39に蝶番393を設けたものである。
【0056】
すなわち、ヒンジカバー39は、図17に拡大して示したように、第1の筐体1の端部側面に設けるカバー半体391と、第2の筐体2の端部側面に設けるカバー半体392とを、互いに折り畳み自在とする蝶番393で結合したものである。従って、前述した第1の軸部31が係合する直線溝部36と、第2の軸部32が係合する曲線溝部37とを有する支持部材35も、カバー半体391・392に対応して2分割されている。
【0057】
このような蝶番393を有するヒンジカバー39(及び2分割した支持部材35)を備えることで、図16(a)に示した携帯電話の折り畳み状態からヒンジ部3により、図16(b)に示したように、第1の筐体1と第2の筐体2を縦方向に開放状態にすることができる。そして、その縦方向に開いた状態からヒンジカバー39の蝶番393でカバー半体391・392を折り畳んで、図16(c)に示したように、第1の筐体1に対し第2の筐体2を横方向に回転して並べた状態にすることができる。
【0058】
また、図16(a)の折り畳み状態からは、ヒンジカバー39の蝶番393でカバー半体391・392を折り畳むことで、図16(d)に示したように、第1の筐体1と第2の筐体2を横方向に開放状態とすることができる。
【0059】
(実施形態6)
図18は実施形態6として筐体の開閉過程とヒンジ構造との関係を示したもので、前述した実施形態では2つの溝部の一方を曲線溝部37としたが、2本とも曲線溝部136・137としたものである。
【0060】
すなわち、図示のように、第1の軸部31が係合する曲線溝部136と、第2の軸部32が係合する曲線溝部137としても良い。
この場合、筐体の開閉動作における姿勢変化の過程において、図示のように、その筐体(図示例では第1の筐体1)の端点Pが、前面のラインLより前方(図示例では下方)を通らないことが条件となっている。
【0061】
(実施形態7)
図19は実施形態7として携帯電話を折り畳んだ状態を示したもので、前述した実施形態では第1の筐体1及び第2の筐体2ともに2つの軸部31・32を設けたが、一方に回転軸34を設けたものである。
【0062】
すなわち、第2の筐体2に回転軸34を設けて、支持部材35には、回転軸34を支持する軸受孔234を形成している。なお、図示例においては、第1の筐体1に設けた第1の軸部31を、支持部材35に形成した曲線溝部236に係合して、第1の筐体1に設けた第2の軸部32を、支持部材35に形成した直線変形溝部237に係合している。
【0063】
このようなヒンジ構造によっても、第1の筐体1は、第1の軸部31が曲線溝部236を移動するとともに、第2の軸部32が直線変形溝部237を移動する一方、第2の筐体2は、回転軸34が軸受孔234を回転して、それぞれ開閉動作する。
図20は折り畳んだ状態を示した線図で、図21は折り畳んだ状態から120度に開いた状態を示し、図22はさらに180度に開いた状態を示している。
【0064】
なお、第1の筐体1に回転軸34を設けて、第2の筐体2に第1の軸部31及び第2の軸部32を設けても良い。
【0065】
(実施形態8)
図23から図28は実施形態8としてヒンジ構造部に通す配線を示したもので、すなわち、以上の実施形態において、図示のように、支持部材35の左右の配線通し孔38に同軸細線による配線138を通したものである。なお、図中、12は第1の筐体1内の基板、13は基板12に設けられたコネクタ、22は第2の筐体2内の基板、23は基板22に設けられたコネクタである。
【0066】
図示例において、配線138は、第1の筐体1内の基板12のコネクタ13と第2の筐体2内の基板22のコネクタ23とを接続して、折り畳み状態から開放状態への筐体姿勢変化において、図示のように、支持部材35の外側で撓み変形する。
【0067】
(変形例)
なお、以上の実施形態においては、携帯電話としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、電卓、電子辞書、デジタルカメラ、ビデオカメラ、PDA、ノートパソコン、ウェアラブルパソコンなどの折り畳み式電子機器すべてに用いることができる。
また、第1の筐体と第2の筐体は、どのような機能を備えた筐体であってもよく、例えば、両筐体がタッチパネルを備えたものであってもよい。
さらに、実施形態では、操作部の表示部として液晶表示パネルとしたが、他にEL等の表示装置であっても良い。
また、各構成部の形状等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明を適用した折り畳み式電子機器の一実施形態の構成を示すもので、携帯電話を開いた状態を示した斜視図である。
【図2】図1の携帯電話の分解斜視図である。
【図3】図2のヒンジ構造部の拡大正面図である。
【図4】図2のヒンジ構造部の背面図である。
【図5】図1の寝かせた操作部筐体の上に表示部筐体を垂直に立てた斜視図である。
【図6】図1の垂直に立てた表示部筐体の手前に操作部筐体を寝かした斜視図である。
【図7】実施形態2を示すもので、携帯電話を折り畳んだ状態のヒンジ構造部分の側面図である。
【図8】図7の携帯電話を90度に開いた図である。
【図9】図7の携帯電話を180度に開いた図である。
【図10】図7から図9の保持部材の伸縮構造例を示した斜視図である。
【図11】図9のヒンジユニットの斜視図である。
【図12】実施形態3を示すもので、携帯電話を開いた状態を示した平面図である。
【図13】図12の開いた状態の携帯電話の縦断側面図である。
【図14】実施形態4を示すもので、携帯電話の折り畳み状態を示した斜視図である。
【図15】図14の携帯電話を直角に開いた状態を示した斜視図である。
【図16】実施形態5を示すもので、携帯電話の折り畳み状態を示した斜視図(a)と、縦方向に開いた状態を示した図(b)と、その縦方向に開いた状態から横方向に回転して並べた状態を示した図(c)と、図(a)の折り畳み状態から横方向に開いた状態を示した図(d)である。
【図17】図16(c)のヒンジ構造部の拡大斜視図である。
【図18】実施形態6を示すもので、筐体の開閉過程とヒンジ構造との関係をヒンジ構造部分を拡大して示した線図である。
【図19】実施形態7を示すもので、携帯電話を折り畳んだ状態のヒンジ構造部分の側面図である。
【図20】図19の折り畳んだ状態を示した線図である。
【図21】図20の折り畳んだ状態から120度に開いた状態を示した図である。
【図22】さらに、180度に開いた状態の図である。
【図23】実施形態8を示すもので、折り畳んだ状態でのヒンジ構造部に通す配線を示した平面図である。
【図24】図23の折り畳んだ状態から開いた状態を示した図である。
【図25】図23の折り畳んだ状態の側面図である。
【図26】図25の折り畳んだ状態から開く過程の状態を示した図である。
【図27】さらに、180度に開いた状態の図である。
【図28】図26の開く過程の状態を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0069】
1 第1の筐体
11 黒色部
12 基板
13 コネクタ
2 第2の筐体
21 黒色部
22 基板
23 コネクタ
3 ヒンジ部
30 ヒンジユニット
31 第1の軸部
32 第2の軸部
33 連結部材
34 回転軸
35 支持部材
36 直線溝部
37 曲線溝部
136 曲線溝部
137 曲線溝部
234 軸受孔
236 曲線溝部
237 直線変形溝部
38 配線通し孔
138 配線
39 ヒンジカバー
391 カバー半体
392 カバー半体
393 蝶番
4 表示部
5 受話部
6 操作部
61 表示部
62 タッチセンサ
7 送話部
8 保持部材
81 筒部
82 ロッド部
83 保持部
85 溝部
9 付勢部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と第2の筐体とを折り畳んだ状態から相対的に回転させて開放させるヒンジ構造であって、
前記第1の筐体と第2の筐体の少なくとも何れか一方の端部側面に一定間隔を保って設けられた2つの軸部と、
その2つの軸部が各々移動自在に係合する少なくとも1つの曲線溝を含む2つの溝部を有する支持部材と、を備えることを特徴とするヒンジ構造。
【請求項2】
前記2つの軸部は前記第1の筐体及び第2の筐体の両方に備えられていることを特徴とする請求項1に記載のヒンジ構造。
【請求項3】
前記2つの軸部は前記第1の筐体と第2の筐体の一方にのみ備えられていて、
他方の筐体の端部側面に回転軸が備えられ、
前記支持部材には前記回転軸を支持する軸受孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のヒンジ構造。
【請求項4】
前記第1の筐体は表示部を備え、
前記第2の筐体は操作部を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
【請求項5】
前記第1の筐体、第2の筐体は、開放した状態で平面的にほぼ連続して配置される表示部を各々備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
【請求項6】
前記2つの軸部及び支持部材は、前記第1の筐体と第2の筐体の端部の少なくとも一側面に沿って配置されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
【請求項7】
前記2つ軸部を連結する連結部材を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
【請求項8】
前記曲線溝内を移動する軸部どうしを連結し、その軸部の各曲線溝内に沿った移動に伴って伸縮する保持部材を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
【請求項9】
前記軸部の何れかと前記支持部材との間に、その軸部を一定方向に付勢する付勢部材を備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
【請求項10】
前記2つの軸部及び前記支持部材は、前記第1の筐体及び第2の筐体を縦長方向に開放させる位置に備えられていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
【請求項11】
前記2つの軸部及び前記支持部材は、前記第1の筐体及び第2の筐体を横長方向に開放させる位置に備えられていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
【請求項12】
前記第1の筐体と第2の筐体を前記開放させる方向と垂直方向に相対的に回転するヒンジ部を備えることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
【請求項13】
前記支持部材には、前記第1の筐体及び第2の筐体内から引き出された配線を通す配線通し孔が形成されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
【請求項14】
前記支持部材の外側を覆うカバーを備えることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
【請求項15】
第1の筐体と第2の筐体とを折り畳み自在にした折り畳み式電子機器であって、
請求項1から14のいずれか一項に記載のヒンジ構造を備えることを特徴とする折り畳み式電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2009−164861(P2009−164861A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131(P2008−131)
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】