ヒンジ機構及び画像形成装置
【課題】 操作パネルなどの表示装置の重みでヒンジが浮き上がることを防止し、表示装置が意図しない角度に傾いたり、表示装置の角度変更の際にガタついたりすることがないヒンジ機構、及びそれを備えた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 回転部材(上ヒンジh2)と、この回転部材の中心部に設けられて回転部材が回転する際に所定の回転トルクを付与するトルクヒンジh3と、を有し、回転部材がトルクヒンジを介して非回転部(ヒンジベースh1)に対面して回転自在に取り付けられているヒンジ機構において、回転部材の非回転部と対面する側の面と該面と反対側の面とを貫通する円弧状の貫通孔h23,h24を設け、この貫通孔に挿通して係合する係合部材(ネジh4,h4)を非回転部に設け、この係合部材と貫通孔の係合により回転部材が非回転部から離間することを拘束し、且つ回転部材が非回転部に対して回転自在に係合するように構成する。
【解決手段】 回転部材(上ヒンジh2)と、この回転部材の中心部に設けられて回転部材が回転する際に所定の回転トルクを付与するトルクヒンジh3と、を有し、回転部材がトルクヒンジを介して非回転部(ヒンジベースh1)に対面して回転自在に取り付けられているヒンジ機構において、回転部材の非回転部と対面する側の面と該面と反対側の面とを貫通する円弧状の貫通孔h23,h24を設け、この貫通孔に挿通して係合する係合部材(ネジh4,h4)を非回転部に設け、この係合部材と貫通孔の係合により回転部材が非回転部から離間することを拘束し、且つ回転部材が非回転部に対して回転自在に係合するように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、これらの複合機等の画像形成装置に関し、詳しくは、画像形成装置に設けられた表示装置のヒンジ機構の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、操作パネルなどの表示装置が備えられた画像形成装置が知られており、この表示装置が装置本体に対して鉛直面に沿った上下のチルト回転動作及び水平面に沿った左右のスイベル回転動作(アジマス:方位角を変更する動作を指す、以下同じ)がいずれも自在に構成された画像形成装置も知られている。
【0003】
また、特許文献1には、表示画面を有する本体部Tがスイベルヒンジ機構及びチルトヒンジ機構を介してスタンドSに取り付けられ、上下方向の回動及び左右方向の回動が自在な薄型表示装置において、水平板部1aと水平板部1aの両端からそれぞれ上方に延設された左側板部1b及び右側板部1cとからなる断面コ字形の回動子1を備え、水平板部1aとスタンドSの上端とをスイベルヒンジピン2により接続し、左側板部1bおよび右側板部1cと本体部Tとをチルトヒンジピン11,12により接続することにより、スイベルヒンジ機構及びチルトヒンジの部品点数を削減することができる薄型表示装置が開示されている(特許文献1の図1、図2等参照)。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の薄型表示装置は、チルトヒンジの角度によっては、本願添付図面の図12に示すように、スイベルヒンジピンの強度が足りずに液晶パネル(表示パネル)の重みでスイベルヒンジピンが曲がったり、ヒンジの液晶パネルから遠い部分が浮き上がったりしてしまい、液晶パネルが意図しない角度に傾いたり、表示画面である液晶パネルの角度変更をする際にガタついたりするという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、前記問題点を解決するべく、表示装置が備えられた画像形成装置において、操作パネルなどの表示装置の重みでヒンジが浮き上がることを防止し、表示装置が意図しない角度に傾いたり、表示装置の角度変更の際にガタついたりすることがないヒンジ機構、及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、回転部材と、この回転部材の中心部に設けられて回転部材が回転する際に所定の回転トルクを付与するトルクヒンジと、を有し、前記回転部材が前記トルクヒンジを介して非回転部に対面して回転自在に取り付けられているヒンジ機構において、前記回転部材の前記非回転部と対面する側の面と該面と反対側の面とを貫通する円弧状の貫通孔を設け、この貫通孔に挿通して係合する係合部材を前記非回転部に設け、この係合部材と貫通孔の係合により前記回転部材が前記非回転部から離間することを拘束し、かつ前記回転部材が前記非回転部に対して回転自在に係合するように構成したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のヒンジ機構において、前記回転部材には、前記トルクヒンジの回転軸と直交する回転軸で装着物を回転可能な第2第2ヒンジ部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のヒンジ機構において、前記回転部材は、鉛直軸を中心に水平面に沿って回転する部材であり、前記第2ヒンジ部は、水平軸を中心に装着物を鉛直面に沿って回転させるチルトヒンジであることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載のヒンジ機構において、前記第2ヒンジ部には、トルクヒンジを介して装着物が装着されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のヒンジ機構において、前記回転部材には、装着物として表示装置が装着されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のヒンジ機構において、前記トルクヒンジは、金属シャフトが樹脂ハウジングに圧入されており、前記樹脂ハウジングが回転する際の前記金属シャフトとの摩擦力により回転トルクを発生させていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載のヒンジ機構において、前記係合部材は、前記貫通孔の幅より直径が大きいネジ頭を有するネジであることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載のヒンジ機構において、前記係合部材は、前記貫通孔の幅より直径が大きいリベット頭を有するリベットであることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載のヒンジ機構を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、前記のようであって、請求項1の発明によれば、回転部材と、この回転部材の中心部に設けられて回転部材が回転する際に所定の回転トルクを付与するトルクヒンジと、を有し、前記回転部材が前記トルクヒンジを介して非回転部に対面して回転自在に取り付けられているヒンジ機構において、前記回転部材の前記非回転部と対面する側の面と該面と反対側の面とを貫通する円弧状の貫通孔を設け、この貫通孔に挿通して係合する係合部材を前記非回転部に設け、この係合部材と貫通孔の係合により前記回転部材が前記非回転部から離間することを拘束し、かつ前記回転部材が前記非回転部に対して回転自在に係合するように構成したので、ヒンジ機構に取り付けた装着物の重みで回転部材が非回転部から浮き上がることを防止することができる。そのため、装着物が意図しない角度に傾いたり、装着物の角度変更の際にガタついたりすることを防止することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載のヒンジ機構において、前記回転部材には、前記トルクヒンジの回転軸と直交する回転軸で装着物を回転可能な第2ヒンジ部が設けられているので、前記作用効果に加え、第2ヒンジ部に装着した装着物の角度を同一面だけでなく立体的に変えることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載のヒンジ機構において、前記回転部材は、鉛直軸を中心に水平面に沿って回転する部材であり、前記第2ヒンジ部は、水平軸を中心に装着物を鉛直面に沿って回転させるチルトヒンジであるので、前記作用効果に加え、第2ヒンジ部に装着した装着物の方位角(アジマス)及び仰角(俯角)の調整が自在となる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は3に記載のヒンジ機構において、前記第2ヒンジ部には、トルクヒンジを介して装着物が装着されているので、前記作用効果に加え、トルクヒンジの回転トルクで第2ヒンジ部に装置した装着物の重みに対抗することができ、装着物を任意の角度(仰角、俯角)に止めることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1ないし4のいずれかに記載のヒンジ機構において、前記回転部材には、装着物として表示装置が装着されているので、前記作用効果に加え、ヒンジ機構に取り付けた表示装置の物の重みで回転部材が非回転部から浮き上がることを防止することができる。そのため、ヒンジ機構に取り付けた表示装置が意図しない角度に傾いたり、表示装置の角度変更の際にガタついたりすることを防止することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1ないし5のいずれかに記載のヒンジ機構において、前記トルクヒンジは、金属シャフトが樹脂ハウジングに圧入されており、前記樹脂ハウジングが回転する際の前記金属シャフトとの摩擦力により回転トルクを発生させているので、前記作用効果に加え、安価で壊れ難い簡易な機構により装着物の重みに対抗する回転トルクを付与することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1ないし6のいずれかに記載のヒンジ機構において、前記係合部材は、前記貫通孔の幅より直径が大きいネジ頭を有するネジであるので、前記作用効果に加え、ネジによりヒンジ機構に取り付けた装着物の重みで回転部材が基材から浮き上がることを確実に防止することができる。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1ないし6のいずれかに記載のヒンジ機構において、前記係合部材は、前記貫通孔の幅より直径が大きいリベット頭を有するリベットであるので、前記作用効果に加え、リベットによりヒンジ機構に取り付けた装着物の重みで回転部材が基材から浮き上がることを確実に防止することができる。また、ネジのように緩むこともない。
【0023】
請求項9に記載の発明によれば、請求項1ないし8のいずれかに記載のヒンジ機構を備えるので、画像形成装置において前記作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を透視正面図で示す構成説明図である。
【図2】同上の画像形成装置の操作パネルの取付位置を示す外観斜視図である。
【図3】同上の操作パネルのヒンジ機構を示す背面斜視図である。
【図4】同上のヒンジ機構の構成部品を示す分解斜視図である。
【図5】同上のヒンジ機構のトルクヒンジを示す斜視図である。
【図6】同上のヒンジ機構の係合部材であるネジの取付位置を示す平面図である。
【図7】同上のヒンジ機構のA−A線切断鉛直断面図である。
【図8】同上のヒンジ機構のA−B線切断鉛直断面図である。
【図9】同上のヒンジ機構のスイベル回転動作を示す平面図である。
【図10】同上のヒンジ機構のチルト回転動作を示す側面図である。
【図11】第2の実施形態に係るヒンジ機構の図8と同位置の鉛直断面図である。
【図12】従来のヒンジ機構の問題点を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態について説明する。
【0026】
[実施の形態1]
(画像形成装置の全体構成)
先ず、図1及び図2を用いて、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の全体構成について説明する。図中の符号1は、本発明の一実施の形態として例示する電子写真方式を利用した胴内排紙タイプのカラー複写機であり、このカラー複写機1は、画像形成装置全体の筐体である天面が開口した概略箱状の装置本体10と、その装置本体10の上部に配置され、原稿の画像を読み取る画像読取部2と、この画像読取部2の下方に配置され、画像読取部2で読み取るか又は外部機器から送信される画像情報を基に画像を形成する画像形成部3と、装置本体10の最下部に配置され、用紙搬送路にシート材(コピー用紙やOHP用の樹脂シート、厚紙、葉書などを含むシート状の部材を指す、以下同じ)を供給する給紙部4と、画像形成部3の上方に設けられ、シート材を排紙する排紙部5と、給紙部4と排紙部5の間に設けられた用紙搬送路6などから主に構成されている。
【0027】
画像読取部2は、装置本体10の天面部分に取り付けられて原稿が載置される原稿台としてのコンタクトガラス20と、このコンタクトガラス20の直下に配置されて移動しながら原稿に光を当てる光源21と、原稿からの反射光を結像する結像レンズ22と、その結像位置に配置されて原稿画像を読み取る読取手段としてのCCD等のイメージセンサ23と、原稿からの反射光を反射しながら結像レンズ22に導く複数のミラーなどから構成されている。また、この画像読取部2の上部には、コンタクトガラス20に載置された原稿を押さえる圧板24(図示せず)が設けられている。なお、この圧板24に代えて、コンタクトガラス20に原稿を自動給紙する自動原稿給紙装置(ADF)を設置してもよい。
【0028】
画像形成部3は、色材三原色であるイエロー、シアン、マゼンダと、無彩色であるブラックの計4色のトナーに対応する4つのプロセスカートリッジ3Y,3C,3M,3Kと、これら4つのプロセスカートリッジ3Y,3C,3M,3Kの下方に設けられ、後述の各感光体ドラムに潜像を書き込む書込ユニット30と、各プロセスカートリッジに対応する色の新規トナーを収容する4つのトナーボトル31Y,31C,31M,31Kと、各プロセスカートリッジで形成された画像が一旦転写された後シート材に転写する転写ユニット32と、シート材に画像を定着する定着ユニット33などから構成されている。
【0029】
プロセスカートリッジ3Y,3C,3M,3Kは、後述の中間転写ベルト32aの外周表面の移動方向(図中の矢印X)に沿って上流側からイエロー、シアン、マゼンダ、ブラックの順に配列されている。各プロセスカートリッジ3Y,3C,3M,3Kは、正面視で時計回りに回転駆動する潜像担持体である感光体ドラムY,C,M,Kを中心として、各感光体ドラムY,C,M,Kの外周面に帯電処理を施して一様に帯電させる帯電手段、各感光体ドラムY,C,M,K上に後述の書込ユニット30で形成された静電潜像を対応する各色のトナーで単色のトナー像に可視像化する現像手段30Y,30C,30M,30K、感光体ドラムY,C,M,Kの外周面に転写後も残留する転写残トナーをクリーニングして回収するクリーニング手段などから一体成型されて装置本体10に対して脱着可能に構成された作像装置である。
【0030】
書込ユニット30は、ポリゴンミラーやfθレンズなどを備え、画像読取部2やパソコン、外部スキャナなどから入力された画像情報を基にレーザ発光装置からレーザ光を照射しながら走査し、一様に帯電された感光体ドラムY,C,M,Kの外周表面を選択的に露光させて、照射した部分の表面電位を低下させ、感光体ドラム上に静電潜像を形成する露光装置である。
【0031】
トナーボトル31Y,31C,31M,31Kは、それぞれ前記4色の新規トナーが個別に充填されており、図示しない搬送経路を通じて各プロセスカートリッジ3Y,3C,3M,3Kの現像手段30Y,30C,30M,30Kへ各色のトナーを補給する仕組みとなっている。
【0032】
転写ユニット32は、中間転写体として弾性樹脂の多層構造体からなる無端状ベルトである中間転写ベルト32aと、この中間転写ベルト32aを支持・張架する4つの支持ローラ32b,32c,32d,32eと、感光体ドラムY,C,M,Kとそれぞれ中間転写ベルト32aを挟んで対向する4つの1次転写ローラ32f、支持ローラ32bに対向配置された2次転写ローラ32gなどから主に構成された中間転写方式の転写装置である。
【0033】
この支持ローラ32bは、図示しない駆動手段に接続された駆動ローラとなっており、図の矢印X方向に中間転写ベルト32aを回転駆動させる機能を有している。なお、この駆動ローラ32bと中間転写ベルト32aを挟んで対向する位置には2次転写ローラ32gが配設されており、支持ローラ32cの近傍には、中間転写ベルト32aの外周表面に付着する残留トナーを掻き取ってクリーニングするクリーニング装置32hが設けられている。
【0034】
各1次転写ローラ32fは、空隙放電による画像劣化を考慮し、各感光体ドラムY,C,M,Kと中間転写ベルト32aを挟んで中心間距離が最短距離で当接する正対位置から中間転写ベルト32aの搬送方向下流側に少しずらした位置に配設された接触印加方式の転写バイアス(転写電圧)印加手段であり、図示しないバイアス電源に接続され、1次転写バイアスを中間転写ベルト32aの裏面(内周面)から印加可能に構成されている。
【0035】
2次転写ローラ32gは、図示しない付勢手段により付勢されて駆動ローラ32bの外周において中間転写ベルト32aに圧接され、駆動ローラ32bとの間に2次転写ニップを形成するよう構成されており、駆動ローラ32bが、図示しないバイアス電源に接続された接触方式の転写バイアス印加手段となっている。また、2次転写ローラ32gが転写バイアス印加手段となっていてもよく、その場合、転写するトナー像とは逆極性の転写バイアスを印加することになる。
【0036】
定着ユニット33は、定着ローラ33aと加熱ローラ33bに張架された無端状ベルトである定着ベルト33cと、この定着ベルト33cに圧接する加圧部材としての加圧ローラ33dとの間に定着ニップが形成され、この定着ニップにおいて後述の用紙搬送路6を通って搬送されてきたシート材に熱と圧力が加えられ、前述の転写ユニット32の2次
転写ニップで転写されたトナー像がシート材に溶融付着して定着されるようになっている。
【0037】
給紙部4は、シート材としてそれぞれ大きさの違う所定のコピー用紙を収容・ストックし、装置本体10から引き出し可能な給紙カセット40,41と、このストックされたコピー用紙に上方から所定圧で弾接する給紙ローラ42,43などが備えられ、制御手段(図示せず)の制御信号に基づいて、給紙カセット40,41にそれぞれ収容しているコピー用紙を給紙ローラ42,43で後述の用紙搬送路6に送り出すようになっている。
【0038】
また、給紙部4には、搬送可能な所定の大きさの範囲内の任意のシート材を載置する手差トレイ44と、この任意のシート材を送り出す給紙ローラ45と、が設けられており、手差トレイ44に載置されたシート材を、給紙ローラ45を回転駆動させることにより後述の用紙搬送路6に送り出せるようになっている。
【0039】
排紙部5は、前述のトナーボトル31Y,31C,31M,31Kと、画像読取部2の間に形成された斜面からなる排紙トレイ5aと、この排紙トレイ5aに定着ユニット33を通過したコピー用紙などのシート材を後述の用紙搬送路6から排紙(排出)する排紙ローラ対5bなどから構成され、この排紙ローラ対5bによって排紙したシート材を排紙トレイ5a上に集積する機能を有した胴内排紙タイプの排紙部である。
【0040】
用紙搬送路6は、装置本体10の下部に設けられた給紙部4から装置本体10の上部に設けられた排紙部5へ下から上に向けて搬送する縦搬送方式(縦パス方式)の通常搬送路6aと、両面印刷のためにシート材を反転させる反転搬送路6bとからなり、これらの搬送路は、切替爪6cで切り替え可能となっており、この切替爪6cで反転搬送路6bへ案内され、反転搬送ローラ対6dで反転搬送路6bの上方6eへ運ばれたシート材が反転搬送ローラ対6dが反転することによりスイッチバック式に反転されて後述のレジストローラ対6f手前の通常搬送路6aへ搬送される仕組みとなっている。
【0041】
これら通常搬送路6a、反転搬送路6bには、最小用紙サイズに応じた間隔で複数の搬送ローラ対が設けられ、これらの搬送ローラ対でシート材を挟持しながら回転することで搬送する仕組みとなっている。また、通常搬送路6aには、2次転写ニップの下方にレジストローラ対6fが設けられており、このレジストローラ対6fにより図示しない制御手段の指令に基づいて2次転写ニップへシート材を搬送するタイミングが調整される。
【0042】
図2は、操作パネルの取付位置を示すためにカラー複写機1の外観の概略を正面、右側面、天面で示す外観斜視図である。画像読取部2の正面側は、図2に示すように、カラー複写機1の各種操作を行う操作部となっており、この操作部には、カラー複写機1の複数の機能を操作するための入力装置(スタートキー、テンキー、機能設定キー、リセットキー、クリア/ストップキーなどの各種キー)と、各種入力情報や装置の状態を表示する表示装置を兼ねた液晶タッチパネルからなる操作パネル7が設けられている。なお、この操作パネル7のヒンジ機構については後で詳述する。
【0043】
(画像形成動作)
次に、図1を参照しつつカラー複写機1の画像形成動作について説明する。
コピーを取るときは、まず圧板24を開いて画像読取部2のコンタクトガラス20上に原稿がセットされる(圧板24に代えてADFを設けるときは、ADFの原稿台上に原稿がセットされる)。続いて、操作パネル7のスタートスイッチが押されて画像読取部2が駆動し、走行する光源21から発せられた光が原稿面に当って反射し、その反射光を複数のミラーで反射して結像レンズ22を通してイメージセンサ23に結像し、イメージセンサ23で電子信号に変換されて、原稿の画像(内容)が読み取られる。なお、ADFを取り付けた場合は、ADFの載置台から原稿をコンタクトガラス20上へ自動搬送した後、前記動作が開始される。そして、操作パネル7で選択されたモード設定等に応じて、フルカラーモード、又は白黒モードで画像形成動作が開始される。
【0044】
先ず、操作パネル7(図2参照)でフルカラーモードが選択されて、カラー画像を形成する場合を説明する。カラー複写機1において画像形成動作が開始されると、各感光体ドラムY,C,M,Kがカラー複写機1の正面(図1の方向)から見て時計回りの方向に回転駆動し、このとき各帯電手段によって各感光体ドラムY,C,M,Kの外周面が所定の極性(例えば、マイナス)に一様に帯電される。次いで、それぞれの帯電面に、書込ユニット30からトナー色に対応するよう色分解された画像情報に基づいてレーザ光が照射され、各感光体ドラムY,C,M,Kの外周面上に静電潜像が形成される。そして、この静電潜像は、各現像手段30Y,30C,30M,30Kによって単色のトナー像として可視像化され、各色のトナー像はそれぞれ対応する1次転写ローラ32fによって1次転写バイアスが印加され中間転写ベルト32a上に順次重ねて転写されて行き、フルカラーのトナー像が形成される。なお、単色の画像を形成する場合は、ブラックのプロセスカートリッジ3Kで前記動作が行われる。
【0045】
一方、給紙部4の給紙カセット40,41にストックされているコピー用紙が、給紙ローラ42,43により1枚ずつ用紙搬送路6に送り出される。そして、コピー用紙が用紙搬送路6を上昇していき、その先端がレジストローラ対6fに突き当たって停止する。突き当たることによってコピー用紙の先端が整えられ、中間転写ベルト32a上に形成された前記カラートナー像が2次転写ニップに到達するタイミングに合わせてレジストローラ対6fを回転させ、2次転写ニップに向けてコピー用紙が送り出される。
【0046】
次に、転写ユニット32の2次転写ニップで、2次転写バイアスが印加され中間転写ベルト32a上の前記フルカラーのトナー像がコピー用紙に静電気力により転写された上、定着ユニット33の定着ニップに送られる。そこで、定着ベルト33cと加圧ローラ33dによって熱と圧力が加えられ、コピー用紙に担持された未定着のトナー像がコピー用紙に定着される。このように、コピー用紙にトナー像が定着された後、排紙ローラ対5bが回転することによって排紙トレイ5aに排紙される。
【0047】
また、操作パネル7(図2参照)で両面モードが選択されて両面コピーを行う場合は、切替爪6cで搬送路が切り替えられ、片面に画像が定着済みのシート材を反転搬送路6bの上部6eに一時的にスタックした後、反転搬送ローラ対6dでスイッチバック式に進行方向が反転され、反転用搬送路6bを搬送ローラにより搬送され、画像形成動作にタイミングを合わせて、レジストローラ6fに再給紙され、前記画像形成動作と同様に裏面側の画像形成(印刷)が行われる。
【0048】
なお、感光体ドラムY,C,M,K上の残留トナーは、各クリーニング手段でクリーニングされ、その後、帯電手段によって直流に交流成分が重畳されたバイアスが印加され除電と同時に一様に帯電される。また、中間転写ベルト32a上の残留トナーは、クリーニング装置32hによってクリーニングされて、次の画像形成動作に備えられる。
【0049】
(ヒンジ機構)
次に、カラー複写機1の操作パネル7のヒンジ機構について図2〜図10を参照して説明する。
操作パネル7は、ヒンジ機構Hを介して装置本体10の天面(装置本体10上部の水平面)に取り付けられており(図2、3参照)、パネルの向き(方位角:アジマス)及び仰角(チルト角)の調整が自在となっている。即ち、ヒンジ機構Hは、スイベルヒンジとチルトヒンジの機能を併せ持ち、スイベル回転動作及びチルト回転動作が自在となっている。
【0050】
このヒンジ機構Hは、図4に示すように、非回転部である概略平板状のヒンジベースh1と、このヒンジベースh1の板面と対面し、その上面に沿って摺動しながら回転する回転部材である上ヒンジh2と、この上ヒンジh2の中心部に配設された回転軸であり、上ヒンジh2が回転する際に所定の回転トルクを付与するトルクヒンジh3と、後述の貫通孔と係合する係合部材である2つのネジh4,h4から主に構成されている。
【0051】
このヒンジベースh1は、平面視で矩形状のプレートであるベース本体h10から主に構成されて非回転部(基材)として機能するものであり、このベース本体h10の中央には、トルクヒンジh3のシャフトを装着するための軸穴h11が形成され、四隅には、前述の装置本体10(図1参照)にネジ止めするための4つのネジ受けh12〜h12が形成されている。また、ネジh4,h4と螺合する2つの雌ネジ部h13,13も形成されている。
なお、装置本体10に直接、ネジ受けや軸穴などを形成して、ヒンジベースh1を省略し、装置本体10の天面自体を非回転部としてもよいことは云うまでもない。
【0052】
上ヒンジh2は、図4及び図6に示すように、略円盤状の上ヒンジ本体h20と、この上ヒンジ本体h20の側面の一端に形成された第2ヒンジ部h21とから主に構成され、この上ヒンジ本体h20には、中央にトルクヒンジh3を装着するための貫通孔である軸孔h22が形成されていると共に、この軸孔h22を中心とする円弧状の2つの貫通孔h23,h24が形成されている。また、第2ヒンジ部h21には、後述のトルクヒンジh3と同様な構成のトルクヒンジh25,h25を介して操作パネル7の背面に突設されたアーム7aが装着され、トルクヒンジh3の回転軸と直交する回転軸で装着物である操作パネル7をチルト回転(仰角調整)可能に支持する構成となっている。そのため、上ヒンジ本体h20は、装着物である操作パネル7のスイベルヒンジとして機能し、第2ヒンジ部h21は、チルトヒンジとして機能する。
【0053】
このように、トルクヒンジh25,h25の付与する回転トルクにより第2ヒンジ部h21に装置した操作パネル7の重みに対抗することができ、操作パネル7を任意の仰角(俯角)に止めることができる。
なお、トルクヒンジh25,h25は、図7に示すように、回転することにより鉛直方向に沿って進退動するイモネジss(すりわり付き止めねじ:set screw,slotted screw)により押圧固定(締結)されている。
【0054】
トルクヒンジh3は、図5に示すように、樹脂製のハウジングh30と、金属製のシャフトh31と、から主に構成され、ハウジングh30にシャフトh31が圧入されることにより、このハウジングh30が上ヒンジh2と共に回転する際に非回転部であるヒンジベースh1の軸穴h11に装着されて固定されたシャフトh31との間に摩擦力が働き、所定の回転トルクを付与するように構成されている。図7に示すように、このトルクヒンジh3は、回転することにより水平方向に沿って進退動するイモネジssによりヒンジベースh1及び上ヒンジh2にそれぞれ押圧固定(締結)されている。このため、安価で壊れ難い簡易な機構により所定の回転トルクを付与することができる。
【0055】
図6に示すように、トルクヒンジh3のシャフトh31を中心とする円弧状の2つの貫通孔h23,h24は、軸孔h22の中心を通る水平線に対して互いに線対称、且つ、軸孔h22の中心に対して操作パネル7から離れた側に形成されており、この貫通孔h23,h24には、係合部材として、貫通孔h23,h24の孔の幅(軸孔h22を中心として半径方向に沿った孔の縁同士の距離)よりネジ頭の直径が大きい2つのネジh4,h4が前記水平線に対して線対称に挿通され、このネジh4,h4がヒンジベースh1の雌ネジ部h13,13に螺着(締結)されている。このため、上ヒンジh2は、ネジh4,h4のネジ頭と貫通孔h23,h24との係合により(図8参照)、第2ヒンジ部h21に装着された操作パネル7の重みで上ヒンジh2の操作パネル7から遠い方が浮き上がってヒンジベースh1から離間してしまうこと(図12参照)を拘束することできると共に、ネジh4,h4は、円弧状の貫通孔h23,h24内に螺着(後述のリベットの場合は固着)されているので、トルクヒンジh3を回転軸としてヒンジベースh1に対して上ヒンジh2が回転する際の邪魔にならない。
【0056】
なお、図8に示すネジh4は、ネジ頭が鍋底状のナベ小ネジであるが、ネジ頭の形状等は特に限定されるものではなく、丸皿ネジや六角ネジなどの他の種類のネジでも構わない。要するに、係合部材としてのネジh4は、貫通孔h23,h24の孔の幅よりネジ頭の直径が大きく貫通孔と係合すればよい。
【0057】
前述のように、上ヒンジh2がヒンジベースh1に対して摺動しながら回転する場合を説明したが、ヒンジベースh1と上ヒンジh2との間にワッシャーなどを噛まして上ヒンジh2がヒンジベースh1に対して一定距離だけ離間した状態で回転するようにしてもよい。
【0058】
以上のように、本発明の実施の形態に係るヒンジ機構Hによれば、図9及び図10に示すように、装着した表示装置である操作パネル7をスイベル回動自在、且つ、チルト回動自在に支持することができると共に、ネジh4,h4のネジ頭と貫通孔h23,h24との係合により、取り付けた操作パネル7の重みで上ヒンジh2の操作パネル7から遠い方が浮き上がってヒンジベースh1から離間すること(図12参照)を拘束しつつヒンジベースh1に対してスイベル回転自在な構成とすることができる。また、トルクヒンジh25,h25,h3で所定の回転トルクを付与することにより、操作パネル7の向きを任意の角度に止めることができると共に、前記係合機構と併せて操作パネル7が意図しない角度に傾いたり、操作パネル7の角度変更の際にガタついたりすることを防止することができる。
【0059】
[実施の形態2]
次に、図11を用いて本発明の実施の形態2に係るヒンジ機構H’について説明する。
実施の形態2に係るヒンジ機構H’が実施の形態1に係るヒンジ機構Hと相違する点は、係合部材がネジh4ではなく、リベット(かしめピン)h4’となっている点だけなので、同一構成の部材は、同一符号を付して説明を省略する。
【0060】
ヒンジ機構H’は、ネジをヒンジベースに螺着する構成ではないので、実施の形態2に係るヒンジベースh1’は、実施の形態1の雌ネジ部h13,13の代わりにリベットh4’を挿通する貫通孔であるリベット孔h13’,h13’が設けられている。
リベットh4’は、上端側のリベット頭が係合する貫通孔h23,h24の幅より大きく、下端側のリベット頭が形成されていない状態で前述のネジh4と同位置において円弧状の2つの貫通孔h23,h24、及びリベット孔h13’,h13’に挿通された後、機械的にその下端部分がカシめられて拡径され、ヒンジベースh1’のリベット孔h13’,h13’に取り付けられている。
なお、このリベットh4’もネジh4と同様に丸リベットでも皿リベットでもいずれでもよく、要するに、貫通孔の幅より直径が大きいリベット頭を有するリベットであればよい。勿論、下端から挿入して上端側のリベット頭をカシめるようにしてもよい。
【0061】
実施の形態2に係るヒンジ機構H’によれば、リベットh4’によりヒンジ機構H’に取り付けた操作パネル7の重みで上ヒンジh2がヒンジベースh1’から浮き上がることを確実に防止することができると共に、ネジが緩んでしまうという不具合を防止することができる。
【0062】
以上のように、この発明の実施の形態に係る画像形成装置として、電子写真方式を利用した4連タンデム型の中間転写方式の胴内排紙タイプのカラー複写機を例に挙げて説明したが、必ずしもこのようなものに限られず、複写機、ファクシミリ、プリンタ、これらの複合機等の一般的な画像形成装置には全て本発明を適用することができる。
【0063】
そして、実施の形態に係る画像形成装置の説明における画像読取部2、画像形成部3、給紙部4、排紙部5、用紙搬送路6、操作パネル7などは、あくまでも一例を示したものであって、他の公知の装置・手段などの構成を採用することができる。その場合でも、前記課題に対して同様の作用効果を奏することは明らかである。また、図面で示した各構成部材の形状や構造等も、あくまでも好ましい一例を示すものであり、特許請求の範囲内で適宜設計変更可能であることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0064】
1 カラー複写機(画像形成装置)
10 装置本体(天面=非回転部)
7 操作パネル(表示装置)
H,H’ ヒンジ機構
h1 ヒンジベース(非回転部)
h2 上ヒンジ(回転部材)
h20 上ヒンジ本体
h21 第2ヒンジ部
h23,h24 円弧状の貫通孔
h25 トルクヒンジ
h3 トルクヒンジ
h30 樹脂製のハウジング(樹脂ハウジング)
h31 金属製のシャフト(金属シャフト)
h4 ネジ(係合部材)
h4’ リベット(係合部材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特開2005−275183号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、これらの複合機等の画像形成装置に関し、詳しくは、画像形成装置に設けられた表示装置のヒンジ機構の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、操作パネルなどの表示装置が備えられた画像形成装置が知られており、この表示装置が装置本体に対して鉛直面に沿った上下のチルト回転動作及び水平面に沿った左右のスイベル回転動作(アジマス:方位角を変更する動作を指す、以下同じ)がいずれも自在に構成された画像形成装置も知られている。
【0003】
また、特許文献1には、表示画面を有する本体部Tがスイベルヒンジ機構及びチルトヒンジ機構を介してスタンドSに取り付けられ、上下方向の回動及び左右方向の回動が自在な薄型表示装置において、水平板部1aと水平板部1aの両端からそれぞれ上方に延設された左側板部1b及び右側板部1cとからなる断面コ字形の回動子1を備え、水平板部1aとスタンドSの上端とをスイベルヒンジピン2により接続し、左側板部1bおよび右側板部1cと本体部Tとをチルトヒンジピン11,12により接続することにより、スイベルヒンジ機構及びチルトヒンジの部品点数を削減することができる薄型表示装置が開示されている(特許文献1の図1、図2等参照)。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の薄型表示装置は、チルトヒンジの角度によっては、本願添付図面の図12に示すように、スイベルヒンジピンの強度が足りずに液晶パネル(表示パネル)の重みでスイベルヒンジピンが曲がったり、ヒンジの液晶パネルから遠い部分が浮き上がったりしてしまい、液晶パネルが意図しない角度に傾いたり、表示画面である液晶パネルの角度変更をする際にガタついたりするという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、前記問題点を解決するべく、表示装置が備えられた画像形成装置において、操作パネルなどの表示装置の重みでヒンジが浮き上がることを防止し、表示装置が意図しない角度に傾いたり、表示装置の角度変更の際にガタついたりすることがないヒンジ機構、及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、回転部材と、この回転部材の中心部に設けられて回転部材が回転する際に所定の回転トルクを付与するトルクヒンジと、を有し、前記回転部材が前記トルクヒンジを介して非回転部に対面して回転自在に取り付けられているヒンジ機構において、前記回転部材の前記非回転部と対面する側の面と該面と反対側の面とを貫通する円弧状の貫通孔を設け、この貫通孔に挿通して係合する係合部材を前記非回転部に設け、この係合部材と貫通孔の係合により前記回転部材が前記非回転部から離間することを拘束し、かつ前記回転部材が前記非回転部に対して回転自在に係合するように構成したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のヒンジ機構において、前記回転部材には、前記トルクヒンジの回転軸と直交する回転軸で装着物を回転可能な第2第2ヒンジ部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のヒンジ機構において、前記回転部材は、鉛直軸を中心に水平面に沿って回転する部材であり、前記第2ヒンジ部は、水平軸を中心に装着物を鉛直面に沿って回転させるチルトヒンジであることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載のヒンジ機構において、前記第2ヒンジ部には、トルクヒンジを介して装着物が装着されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のヒンジ機構において、前記回転部材には、装着物として表示装置が装着されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のヒンジ機構において、前記トルクヒンジは、金属シャフトが樹脂ハウジングに圧入されており、前記樹脂ハウジングが回転する際の前記金属シャフトとの摩擦力により回転トルクを発生させていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載のヒンジ機構において、前記係合部材は、前記貫通孔の幅より直径が大きいネジ頭を有するネジであることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載のヒンジ機構において、前記係合部材は、前記貫通孔の幅より直径が大きいリベット頭を有するリベットであることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載のヒンジ機構を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、前記のようであって、請求項1の発明によれば、回転部材と、この回転部材の中心部に設けられて回転部材が回転する際に所定の回転トルクを付与するトルクヒンジと、を有し、前記回転部材が前記トルクヒンジを介して非回転部に対面して回転自在に取り付けられているヒンジ機構において、前記回転部材の前記非回転部と対面する側の面と該面と反対側の面とを貫通する円弧状の貫通孔を設け、この貫通孔に挿通して係合する係合部材を前記非回転部に設け、この係合部材と貫通孔の係合により前記回転部材が前記非回転部から離間することを拘束し、かつ前記回転部材が前記非回転部に対して回転自在に係合するように構成したので、ヒンジ機構に取り付けた装着物の重みで回転部材が非回転部から浮き上がることを防止することができる。そのため、装着物が意図しない角度に傾いたり、装着物の角度変更の際にガタついたりすることを防止することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載のヒンジ機構において、前記回転部材には、前記トルクヒンジの回転軸と直交する回転軸で装着物を回転可能な第2ヒンジ部が設けられているので、前記作用効果に加え、第2ヒンジ部に装着した装着物の角度を同一面だけでなく立体的に変えることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載のヒンジ機構において、前記回転部材は、鉛直軸を中心に水平面に沿って回転する部材であり、前記第2ヒンジ部は、水平軸を中心に装着物を鉛直面に沿って回転させるチルトヒンジであるので、前記作用効果に加え、第2ヒンジ部に装着した装着物の方位角(アジマス)及び仰角(俯角)の調整が自在となる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は3に記載のヒンジ機構において、前記第2ヒンジ部には、トルクヒンジを介して装着物が装着されているので、前記作用効果に加え、トルクヒンジの回転トルクで第2ヒンジ部に装置した装着物の重みに対抗することができ、装着物を任意の角度(仰角、俯角)に止めることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1ないし4のいずれかに記載のヒンジ機構において、前記回転部材には、装着物として表示装置が装着されているので、前記作用効果に加え、ヒンジ機構に取り付けた表示装置の物の重みで回転部材が非回転部から浮き上がることを防止することができる。そのため、ヒンジ機構に取り付けた表示装置が意図しない角度に傾いたり、表示装置の角度変更の際にガタついたりすることを防止することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1ないし5のいずれかに記載のヒンジ機構において、前記トルクヒンジは、金属シャフトが樹脂ハウジングに圧入されており、前記樹脂ハウジングが回転する際の前記金属シャフトとの摩擦力により回転トルクを発生させているので、前記作用効果に加え、安価で壊れ難い簡易な機構により装着物の重みに対抗する回転トルクを付与することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1ないし6のいずれかに記載のヒンジ機構において、前記係合部材は、前記貫通孔の幅より直径が大きいネジ頭を有するネジであるので、前記作用効果に加え、ネジによりヒンジ機構に取り付けた装着物の重みで回転部材が基材から浮き上がることを確実に防止することができる。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1ないし6のいずれかに記載のヒンジ機構において、前記係合部材は、前記貫通孔の幅より直径が大きいリベット頭を有するリベットであるので、前記作用効果に加え、リベットによりヒンジ機構に取り付けた装着物の重みで回転部材が基材から浮き上がることを確実に防止することができる。また、ネジのように緩むこともない。
【0023】
請求項9に記載の発明によれば、請求項1ないし8のいずれかに記載のヒンジ機構を備えるので、画像形成装置において前記作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を透視正面図で示す構成説明図である。
【図2】同上の画像形成装置の操作パネルの取付位置を示す外観斜視図である。
【図3】同上の操作パネルのヒンジ機構を示す背面斜視図である。
【図4】同上のヒンジ機構の構成部品を示す分解斜視図である。
【図5】同上のヒンジ機構のトルクヒンジを示す斜視図である。
【図6】同上のヒンジ機構の係合部材であるネジの取付位置を示す平面図である。
【図7】同上のヒンジ機構のA−A線切断鉛直断面図である。
【図8】同上のヒンジ機構のA−B線切断鉛直断面図である。
【図9】同上のヒンジ機構のスイベル回転動作を示す平面図である。
【図10】同上のヒンジ機構のチルト回転動作を示す側面図である。
【図11】第2の実施形態に係るヒンジ機構の図8と同位置の鉛直断面図である。
【図12】従来のヒンジ機構の問題点を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態について説明する。
【0026】
[実施の形態1]
(画像形成装置の全体構成)
先ず、図1及び図2を用いて、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の全体構成について説明する。図中の符号1は、本発明の一実施の形態として例示する電子写真方式を利用した胴内排紙タイプのカラー複写機であり、このカラー複写機1は、画像形成装置全体の筐体である天面が開口した概略箱状の装置本体10と、その装置本体10の上部に配置され、原稿の画像を読み取る画像読取部2と、この画像読取部2の下方に配置され、画像読取部2で読み取るか又は外部機器から送信される画像情報を基に画像を形成する画像形成部3と、装置本体10の最下部に配置され、用紙搬送路にシート材(コピー用紙やOHP用の樹脂シート、厚紙、葉書などを含むシート状の部材を指す、以下同じ)を供給する給紙部4と、画像形成部3の上方に設けられ、シート材を排紙する排紙部5と、給紙部4と排紙部5の間に設けられた用紙搬送路6などから主に構成されている。
【0027】
画像読取部2は、装置本体10の天面部分に取り付けられて原稿が載置される原稿台としてのコンタクトガラス20と、このコンタクトガラス20の直下に配置されて移動しながら原稿に光を当てる光源21と、原稿からの反射光を結像する結像レンズ22と、その結像位置に配置されて原稿画像を読み取る読取手段としてのCCD等のイメージセンサ23と、原稿からの反射光を反射しながら結像レンズ22に導く複数のミラーなどから構成されている。また、この画像読取部2の上部には、コンタクトガラス20に載置された原稿を押さえる圧板24(図示せず)が設けられている。なお、この圧板24に代えて、コンタクトガラス20に原稿を自動給紙する自動原稿給紙装置(ADF)を設置してもよい。
【0028】
画像形成部3は、色材三原色であるイエロー、シアン、マゼンダと、無彩色であるブラックの計4色のトナーに対応する4つのプロセスカートリッジ3Y,3C,3M,3Kと、これら4つのプロセスカートリッジ3Y,3C,3M,3Kの下方に設けられ、後述の各感光体ドラムに潜像を書き込む書込ユニット30と、各プロセスカートリッジに対応する色の新規トナーを収容する4つのトナーボトル31Y,31C,31M,31Kと、各プロセスカートリッジで形成された画像が一旦転写された後シート材に転写する転写ユニット32と、シート材に画像を定着する定着ユニット33などから構成されている。
【0029】
プロセスカートリッジ3Y,3C,3M,3Kは、後述の中間転写ベルト32aの外周表面の移動方向(図中の矢印X)に沿って上流側からイエロー、シアン、マゼンダ、ブラックの順に配列されている。各プロセスカートリッジ3Y,3C,3M,3Kは、正面視で時計回りに回転駆動する潜像担持体である感光体ドラムY,C,M,Kを中心として、各感光体ドラムY,C,M,Kの外周面に帯電処理を施して一様に帯電させる帯電手段、各感光体ドラムY,C,M,K上に後述の書込ユニット30で形成された静電潜像を対応する各色のトナーで単色のトナー像に可視像化する現像手段30Y,30C,30M,30K、感光体ドラムY,C,M,Kの外周面に転写後も残留する転写残トナーをクリーニングして回収するクリーニング手段などから一体成型されて装置本体10に対して脱着可能に構成された作像装置である。
【0030】
書込ユニット30は、ポリゴンミラーやfθレンズなどを備え、画像読取部2やパソコン、外部スキャナなどから入力された画像情報を基にレーザ発光装置からレーザ光を照射しながら走査し、一様に帯電された感光体ドラムY,C,M,Kの外周表面を選択的に露光させて、照射した部分の表面電位を低下させ、感光体ドラム上に静電潜像を形成する露光装置である。
【0031】
トナーボトル31Y,31C,31M,31Kは、それぞれ前記4色の新規トナーが個別に充填されており、図示しない搬送経路を通じて各プロセスカートリッジ3Y,3C,3M,3Kの現像手段30Y,30C,30M,30Kへ各色のトナーを補給する仕組みとなっている。
【0032】
転写ユニット32は、中間転写体として弾性樹脂の多層構造体からなる無端状ベルトである中間転写ベルト32aと、この中間転写ベルト32aを支持・張架する4つの支持ローラ32b,32c,32d,32eと、感光体ドラムY,C,M,Kとそれぞれ中間転写ベルト32aを挟んで対向する4つの1次転写ローラ32f、支持ローラ32bに対向配置された2次転写ローラ32gなどから主に構成された中間転写方式の転写装置である。
【0033】
この支持ローラ32bは、図示しない駆動手段に接続された駆動ローラとなっており、図の矢印X方向に中間転写ベルト32aを回転駆動させる機能を有している。なお、この駆動ローラ32bと中間転写ベルト32aを挟んで対向する位置には2次転写ローラ32gが配設されており、支持ローラ32cの近傍には、中間転写ベルト32aの外周表面に付着する残留トナーを掻き取ってクリーニングするクリーニング装置32hが設けられている。
【0034】
各1次転写ローラ32fは、空隙放電による画像劣化を考慮し、各感光体ドラムY,C,M,Kと中間転写ベルト32aを挟んで中心間距離が最短距離で当接する正対位置から中間転写ベルト32aの搬送方向下流側に少しずらした位置に配設された接触印加方式の転写バイアス(転写電圧)印加手段であり、図示しないバイアス電源に接続され、1次転写バイアスを中間転写ベルト32aの裏面(内周面)から印加可能に構成されている。
【0035】
2次転写ローラ32gは、図示しない付勢手段により付勢されて駆動ローラ32bの外周において中間転写ベルト32aに圧接され、駆動ローラ32bとの間に2次転写ニップを形成するよう構成されており、駆動ローラ32bが、図示しないバイアス電源に接続された接触方式の転写バイアス印加手段となっている。また、2次転写ローラ32gが転写バイアス印加手段となっていてもよく、その場合、転写するトナー像とは逆極性の転写バイアスを印加することになる。
【0036】
定着ユニット33は、定着ローラ33aと加熱ローラ33bに張架された無端状ベルトである定着ベルト33cと、この定着ベルト33cに圧接する加圧部材としての加圧ローラ33dとの間に定着ニップが形成され、この定着ニップにおいて後述の用紙搬送路6を通って搬送されてきたシート材に熱と圧力が加えられ、前述の転写ユニット32の2次
転写ニップで転写されたトナー像がシート材に溶融付着して定着されるようになっている。
【0037】
給紙部4は、シート材としてそれぞれ大きさの違う所定のコピー用紙を収容・ストックし、装置本体10から引き出し可能な給紙カセット40,41と、このストックされたコピー用紙に上方から所定圧で弾接する給紙ローラ42,43などが備えられ、制御手段(図示せず)の制御信号に基づいて、給紙カセット40,41にそれぞれ収容しているコピー用紙を給紙ローラ42,43で後述の用紙搬送路6に送り出すようになっている。
【0038】
また、給紙部4には、搬送可能な所定の大きさの範囲内の任意のシート材を載置する手差トレイ44と、この任意のシート材を送り出す給紙ローラ45と、が設けられており、手差トレイ44に載置されたシート材を、給紙ローラ45を回転駆動させることにより後述の用紙搬送路6に送り出せるようになっている。
【0039】
排紙部5は、前述のトナーボトル31Y,31C,31M,31Kと、画像読取部2の間に形成された斜面からなる排紙トレイ5aと、この排紙トレイ5aに定着ユニット33を通過したコピー用紙などのシート材を後述の用紙搬送路6から排紙(排出)する排紙ローラ対5bなどから構成され、この排紙ローラ対5bによって排紙したシート材を排紙トレイ5a上に集積する機能を有した胴内排紙タイプの排紙部である。
【0040】
用紙搬送路6は、装置本体10の下部に設けられた給紙部4から装置本体10の上部に設けられた排紙部5へ下から上に向けて搬送する縦搬送方式(縦パス方式)の通常搬送路6aと、両面印刷のためにシート材を反転させる反転搬送路6bとからなり、これらの搬送路は、切替爪6cで切り替え可能となっており、この切替爪6cで反転搬送路6bへ案内され、反転搬送ローラ対6dで反転搬送路6bの上方6eへ運ばれたシート材が反転搬送ローラ対6dが反転することによりスイッチバック式に反転されて後述のレジストローラ対6f手前の通常搬送路6aへ搬送される仕組みとなっている。
【0041】
これら通常搬送路6a、反転搬送路6bには、最小用紙サイズに応じた間隔で複数の搬送ローラ対が設けられ、これらの搬送ローラ対でシート材を挟持しながら回転することで搬送する仕組みとなっている。また、通常搬送路6aには、2次転写ニップの下方にレジストローラ対6fが設けられており、このレジストローラ対6fにより図示しない制御手段の指令に基づいて2次転写ニップへシート材を搬送するタイミングが調整される。
【0042】
図2は、操作パネルの取付位置を示すためにカラー複写機1の外観の概略を正面、右側面、天面で示す外観斜視図である。画像読取部2の正面側は、図2に示すように、カラー複写機1の各種操作を行う操作部となっており、この操作部には、カラー複写機1の複数の機能を操作するための入力装置(スタートキー、テンキー、機能設定キー、リセットキー、クリア/ストップキーなどの各種キー)と、各種入力情報や装置の状態を表示する表示装置を兼ねた液晶タッチパネルからなる操作パネル7が設けられている。なお、この操作パネル7のヒンジ機構については後で詳述する。
【0043】
(画像形成動作)
次に、図1を参照しつつカラー複写機1の画像形成動作について説明する。
コピーを取るときは、まず圧板24を開いて画像読取部2のコンタクトガラス20上に原稿がセットされる(圧板24に代えてADFを設けるときは、ADFの原稿台上に原稿がセットされる)。続いて、操作パネル7のスタートスイッチが押されて画像読取部2が駆動し、走行する光源21から発せられた光が原稿面に当って反射し、その反射光を複数のミラーで反射して結像レンズ22を通してイメージセンサ23に結像し、イメージセンサ23で電子信号に変換されて、原稿の画像(内容)が読み取られる。なお、ADFを取り付けた場合は、ADFの載置台から原稿をコンタクトガラス20上へ自動搬送した後、前記動作が開始される。そして、操作パネル7で選択されたモード設定等に応じて、フルカラーモード、又は白黒モードで画像形成動作が開始される。
【0044】
先ず、操作パネル7(図2参照)でフルカラーモードが選択されて、カラー画像を形成する場合を説明する。カラー複写機1において画像形成動作が開始されると、各感光体ドラムY,C,M,Kがカラー複写機1の正面(図1の方向)から見て時計回りの方向に回転駆動し、このとき各帯電手段によって各感光体ドラムY,C,M,Kの外周面が所定の極性(例えば、マイナス)に一様に帯電される。次いで、それぞれの帯電面に、書込ユニット30からトナー色に対応するよう色分解された画像情報に基づいてレーザ光が照射され、各感光体ドラムY,C,M,Kの外周面上に静電潜像が形成される。そして、この静電潜像は、各現像手段30Y,30C,30M,30Kによって単色のトナー像として可視像化され、各色のトナー像はそれぞれ対応する1次転写ローラ32fによって1次転写バイアスが印加され中間転写ベルト32a上に順次重ねて転写されて行き、フルカラーのトナー像が形成される。なお、単色の画像を形成する場合は、ブラックのプロセスカートリッジ3Kで前記動作が行われる。
【0045】
一方、給紙部4の給紙カセット40,41にストックされているコピー用紙が、給紙ローラ42,43により1枚ずつ用紙搬送路6に送り出される。そして、コピー用紙が用紙搬送路6を上昇していき、その先端がレジストローラ対6fに突き当たって停止する。突き当たることによってコピー用紙の先端が整えられ、中間転写ベルト32a上に形成された前記カラートナー像が2次転写ニップに到達するタイミングに合わせてレジストローラ対6fを回転させ、2次転写ニップに向けてコピー用紙が送り出される。
【0046】
次に、転写ユニット32の2次転写ニップで、2次転写バイアスが印加され中間転写ベルト32a上の前記フルカラーのトナー像がコピー用紙に静電気力により転写された上、定着ユニット33の定着ニップに送られる。そこで、定着ベルト33cと加圧ローラ33dによって熱と圧力が加えられ、コピー用紙に担持された未定着のトナー像がコピー用紙に定着される。このように、コピー用紙にトナー像が定着された後、排紙ローラ対5bが回転することによって排紙トレイ5aに排紙される。
【0047】
また、操作パネル7(図2参照)で両面モードが選択されて両面コピーを行う場合は、切替爪6cで搬送路が切り替えられ、片面に画像が定着済みのシート材を反転搬送路6bの上部6eに一時的にスタックした後、反転搬送ローラ対6dでスイッチバック式に進行方向が反転され、反転用搬送路6bを搬送ローラにより搬送され、画像形成動作にタイミングを合わせて、レジストローラ6fに再給紙され、前記画像形成動作と同様に裏面側の画像形成(印刷)が行われる。
【0048】
なお、感光体ドラムY,C,M,K上の残留トナーは、各クリーニング手段でクリーニングされ、その後、帯電手段によって直流に交流成分が重畳されたバイアスが印加され除電と同時に一様に帯電される。また、中間転写ベルト32a上の残留トナーは、クリーニング装置32hによってクリーニングされて、次の画像形成動作に備えられる。
【0049】
(ヒンジ機構)
次に、カラー複写機1の操作パネル7のヒンジ機構について図2〜図10を参照して説明する。
操作パネル7は、ヒンジ機構Hを介して装置本体10の天面(装置本体10上部の水平面)に取り付けられており(図2、3参照)、パネルの向き(方位角:アジマス)及び仰角(チルト角)の調整が自在となっている。即ち、ヒンジ機構Hは、スイベルヒンジとチルトヒンジの機能を併せ持ち、スイベル回転動作及びチルト回転動作が自在となっている。
【0050】
このヒンジ機構Hは、図4に示すように、非回転部である概略平板状のヒンジベースh1と、このヒンジベースh1の板面と対面し、その上面に沿って摺動しながら回転する回転部材である上ヒンジh2と、この上ヒンジh2の中心部に配設された回転軸であり、上ヒンジh2が回転する際に所定の回転トルクを付与するトルクヒンジh3と、後述の貫通孔と係合する係合部材である2つのネジh4,h4から主に構成されている。
【0051】
このヒンジベースh1は、平面視で矩形状のプレートであるベース本体h10から主に構成されて非回転部(基材)として機能するものであり、このベース本体h10の中央には、トルクヒンジh3のシャフトを装着するための軸穴h11が形成され、四隅には、前述の装置本体10(図1参照)にネジ止めするための4つのネジ受けh12〜h12が形成されている。また、ネジh4,h4と螺合する2つの雌ネジ部h13,13も形成されている。
なお、装置本体10に直接、ネジ受けや軸穴などを形成して、ヒンジベースh1を省略し、装置本体10の天面自体を非回転部としてもよいことは云うまでもない。
【0052】
上ヒンジh2は、図4及び図6に示すように、略円盤状の上ヒンジ本体h20と、この上ヒンジ本体h20の側面の一端に形成された第2ヒンジ部h21とから主に構成され、この上ヒンジ本体h20には、中央にトルクヒンジh3を装着するための貫通孔である軸孔h22が形成されていると共に、この軸孔h22を中心とする円弧状の2つの貫通孔h23,h24が形成されている。また、第2ヒンジ部h21には、後述のトルクヒンジh3と同様な構成のトルクヒンジh25,h25を介して操作パネル7の背面に突設されたアーム7aが装着され、トルクヒンジh3の回転軸と直交する回転軸で装着物である操作パネル7をチルト回転(仰角調整)可能に支持する構成となっている。そのため、上ヒンジ本体h20は、装着物である操作パネル7のスイベルヒンジとして機能し、第2ヒンジ部h21は、チルトヒンジとして機能する。
【0053】
このように、トルクヒンジh25,h25の付与する回転トルクにより第2ヒンジ部h21に装置した操作パネル7の重みに対抗することができ、操作パネル7を任意の仰角(俯角)に止めることができる。
なお、トルクヒンジh25,h25は、図7に示すように、回転することにより鉛直方向に沿って進退動するイモネジss(すりわり付き止めねじ:set screw,slotted screw)により押圧固定(締結)されている。
【0054】
トルクヒンジh3は、図5に示すように、樹脂製のハウジングh30と、金属製のシャフトh31と、から主に構成され、ハウジングh30にシャフトh31が圧入されることにより、このハウジングh30が上ヒンジh2と共に回転する際に非回転部であるヒンジベースh1の軸穴h11に装着されて固定されたシャフトh31との間に摩擦力が働き、所定の回転トルクを付与するように構成されている。図7に示すように、このトルクヒンジh3は、回転することにより水平方向に沿って進退動するイモネジssによりヒンジベースh1及び上ヒンジh2にそれぞれ押圧固定(締結)されている。このため、安価で壊れ難い簡易な機構により所定の回転トルクを付与することができる。
【0055】
図6に示すように、トルクヒンジh3のシャフトh31を中心とする円弧状の2つの貫通孔h23,h24は、軸孔h22の中心を通る水平線に対して互いに線対称、且つ、軸孔h22の中心に対して操作パネル7から離れた側に形成されており、この貫通孔h23,h24には、係合部材として、貫通孔h23,h24の孔の幅(軸孔h22を中心として半径方向に沿った孔の縁同士の距離)よりネジ頭の直径が大きい2つのネジh4,h4が前記水平線に対して線対称に挿通され、このネジh4,h4がヒンジベースh1の雌ネジ部h13,13に螺着(締結)されている。このため、上ヒンジh2は、ネジh4,h4のネジ頭と貫通孔h23,h24との係合により(図8参照)、第2ヒンジ部h21に装着された操作パネル7の重みで上ヒンジh2の操作パネル7から遠い方が浮き上がってヒンジベースh1から離間してしまうこと(図12参照)を拘束することできると共に、ネジh4,h4は、円弧状の貫通孔h23,h24内に螺着(後述のリベットの場合は固着)されているので、トルクヒンジh3を回転軸としてヒンジベースh1に対して上ヒンジh2が回転する際の邪魔にならない。
【0056】
なお、図8に示すネジh4は、ネジ頭が鍋底状のナベ小ネジであるが、ネジ頭の形状等は特に限定されるものではなく、丸皿ネジや六角ネジなどの他の種類のネジでも構わない。要するに、係合部材としてのネジh4は、貫通孔h23,h24の孔の幅よりネジ頭の直径が大きく貫通孔と係合すればよい。
【0057】
前述のように、上ヒンジh2がヒンジベースh1に対して摺動しながら回転する場合を説明したが、ヒンジベースh1と上ヒンジh2との間にワッシャーなどを噛まして上ヒンジh2がヒンジベースh1に対して一定距離だけ離間した状態で回転するようにしてもよい。
【0058】
以上のように、本発明の実施の形態に係るヒンジ機構Hによれば、図9及び図10に示すように、装着した表示装置である操作パネル7をスイベル回動自在、且つ、チルト回動自在に支持することができると共に、ネジh4,h4のネジ頭と貫通孔h23,h24との係合により、取り付けた操作パネル7の重みで上ヒンジh2の操作パネル7から遠い方が浮き上がってヒンジベースh1から離間すること(図12参照)を拘束しつつヒンジベースh1に対してスイベル回転自在な構成とすることができる。また、トルクヒンジh25,h25,h3で所定の回転トルクを付与することにより、操作パネル7の向きを任意の角度に止めることができると共に、前記係合機構と併せて操作パネル7が意図しない角度に傾いたり、操作パネル7の角度変更の際にガタついたりすることを防止することができる。
【0059】
[実施の形態2]
次に、図11を用いて本発明の実施の形態2に係るヒンジ機構H’について説明する。
実施の形態2に係るヒンジ機構H’が実施の形態1に係るヒンジ機構Hと相違する点は、係合部材がネジh4ではなく、リベット(かしめピン)h4’となっている点だけなので、同一構成の部材は、同一符号を付して説明を省略する。
【0060】
ヒンジ機構H’は、ネジをヒンジベースに螺着する構成ではないので、実施の形態2に係るヒンジベースh1’は、実施の形態1の雌ネジ部h13,13の代わりにリベットh4’を挿通する貫通孔であるリベット孔h13’,h13’が設けられている。
リベットh4’は、上端側のリベット頭が係合する貫通孔h23,h24の幅より大きく、下端側のリベット頭が形成されていない状態で前述のネジh4と同位置において円弧状の2つの貫通孔h23,h24、及びリベット孔h13’,h13’に挿通された後、機械的にその下端部分がカシめられて拡径され、ヒンジベースh1’のリベット孔h13’,h13’に取り付けられている。
なお、このリベットh4’もネジh4と同様に丸リベットでも皿リベットでもいずれでもよく、要するに、貫通孔の幅より直径が大きいリベット頭を有するリベットであればよい。勿論、下端から挿入して上端側のリベット頭をカシめるようにしてもよい。
【0061】
実施の形態2に係るヒンジ機構H’によれば、リベットh4’によりヒンジ機構H’に取り付けた操作パネル7の重みで上ヒンジh2がヒンジベースh1’から浮き上がることを確実に防止することができると共に、ネジが緩んでしまうという不具合を防止することができる。
【0062】
以上のように、この発明の実施の形態に係る画像形成装置として、電子写真方式を利用した4連タンデム型の中間転写方式の胴内排紙タイプのカラー複写機を例に挙げて説明したが、必ずしもこのようなものに限られず、複写機、ファクシミリ、プリンタ、これらの複合機等の一般的な画像形成装置には全て本発明を適用することができる。
【0063】
そして、実施の形態に係る画像形成装置の説明における画像読取部2、画像形成部3、給紙部4、排紙部5、用紙搬送路6、操作パネル7などは、あくまでも一例を示したものであって、他の公知の装置・手段などの構成を採用することができる。その場合でも、前記課題に対して同様の作用効果を奏することは明らかである。また、図面で示した各構成部材の形状や構造等も、あくまでも好ましい一例を示すものであり、特許請求の範囲内で適宜設計変更可能であることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0064】
1 カラー複写機(画像形成装置)
10 装置本体(天面=非回転部)
7 操作パネル(表示装置)
H,H’ ヒンジ機構
h1 ヒンジベース(非回転部)
h2 上ヒンジ(回転部材)
h20 上ヒンジ本体
h21 第2ヒンジ部
h23,h24 円弧状の貫通孔
h25 トルクヒンジ
h3 トルクヒンジ
h30 樹脂製のハウジング(樹脂ハウジング)
h31 金属製のシャフト(金属シャフト)
h4 ネジ(係合部材)
h4’ リベット(係合部材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特開2005−275183号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転部材と、この回転部材の中心部に設けられて回転部材が回転する際に所定の回転トルクを付与するトルクヒンジと、を有し、前記回転部材が前記トルクヒンジを介して非回転部に対面して回転自在に取り付けられているヒンジ機構において、
前記回転部材の前記非回転部と対面する側の面と該面と反対側の面とを貫通する円弧状の貫通孔を設け、この貫通孔に挿通して係合する係合部材を前記非回転部に設け、この係合部材と貫通孔の係合により前記回転部材が前記非回転部から離間することを拘束し、かつ前記回転部材が前記非回転部に対して回転自在に係合するように構成したことを特徴とするヒンジ機構。
【請求項2】
前記回転部材には、前記トルクヒンジの回転軸と直交する回転軸で装着物を回転可能な第2ヒンジ部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のヒンジ機構。
【請求項3】
前記回転部材は、鉛直軸を中心に水平面に沿って回転する部材であり、前記第2ヒンジ部は、水平軸を中心に装着物を鉛直面に沿って回転させるチルトヒンジであることを特徴とする請求項2に記載のヒンジ機構。
【請求項4】
前記第2ヒンジ部には、トルクヒンジを介して装着物が装着されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のヒンジ機構。
【請求項5】
前記回転部材には、装着物として表示装置が装着されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のヒンジ機構。
【請求項6】
前記トルクヒンジは、金属シャフトが樹脂ハウジングに圧入されており、前記樹脂ハウジングが回転する際の前記金属シャフトとの摩擦力により回転トルクを発生させていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のヒンジ機構。
【請求項7】
前記係合部材は、前記貫通孔の幅より直径が大きいネジ頭を有するネジであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のヒンジ機構。
【請求項8】
前記係合部材は、前記貫通孔の幅より直径が大きいリベット頭を有するリベットであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のヒンジ機構。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載のヒンジ機構を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
回転部材と、この回転部材の中心部に設けられて回転部材が回転する際に所定の回転トルクを付与するトルクヒンジと、を有し、前記回転部材が前記トルクヒンジを介して非回転部に対面して回転自在に取り付けられているヒンジ機構において、
前記回転部材の前記非回転部と対面する側の面と該面と反対側の面とを貫通する円弧状の貫通孔を設け、この貫通孔に挿通して係合する係合部材を前記非回転部に設け、この係合部材と貫通孔の係合により前記回転部材が前記非回転部から離間することを拘束し、かつ前記回転部材が前記非回転部に対して回転自在に係合するように構成したことを特徴とするヒンジ機構。
【請求項2】
前記回転部材には、前記トルクヒンジの回転軸と直交する回転軸で装着物を回転可能な第2ヒンジ部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のヒンジ機構。
【請求項3】
前記回転部材は、鉛直軸を中心に水平面に沿って回転する部材であり、前記第2ヒンジ部は、水平軸を中心に装着物を鉛直面に沿って回転させるチルトヒンジであることを特徴とする請求項2に記載のヒンジ機構。
【請求項4】
前記第2ヒンジ部には、トルクヒンジを介して装着物が装着されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のヒンジ機構。
【請求項5】
前記回転部材には、装着物として表示装置が装着されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のヒンジ機構。
【請求項6】
前記トルクヒンジは、金属シャフトが樹脂ハウジングに圧入されており、前記樹脂ハウジングが回転する際の前記金属シャフトとの摩擦力により回転トルクを発生させていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のヒンジ機構。
【請求項7】
前記係合部材は、前記貫通孔の幅より直径が大きいネジ頭を有するネジであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のヒンジ機構。
【請求項8】
前記係合部材は、前記貫通孔の幅より直径が大きいリベット頭を有するリベットであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のヒンジ機構。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載のヒンジ機構を備えることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図9】
【図10】
【図12】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図9】
【図10】
【図12】
【公開番号】特開2012−13767(P2012−13767A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147585(P2010−147585)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]