説明

ヒーター素子

【課題】 加熱対象物を効率良く加熱できるヒーター素子を提供する。
【解決手段】 本発明のヒーター素子100は、少なくとも2本の導体1A、1Bと、導体1A、1Bのそれぞれと接触する様に設けられるPTC部材3と、導体1A、1BとPTC部材3とを包囲する第1樹脂層5と、を備え、第1樹脂層5は、樹脂中に分散される多孔性セラミック粒子を含有することを特徴とする。このように構成することで、加熱対象物に対しては、ヒーター素子100からの熱伝導による加熱と、ヒーター素子100から放出される遠赤外線による加熱とが行われることになり、加熱対象物を効率よく加熱することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒーター素子に関し、より詳細には、自己温度制御型のヒーター素子に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒーター素子は、床を暖める床暖房装置、道路や屋根に積もった雪を暖めて融かす融雪装置、鏡を暖めて曇りを防止する曇り防止装置、或いは、プラントの配管を一定温度に暖める装置等に用いられる。この様なヒーター素子として、PTC(Positive
Temperature Coefficient)特性を有する自己温度制御型のヒーター素子が用いられる場合がある。
【0003】
下記特許文献には、このようなPTC特性を有する自己温度制御型のヒーター素子の一形態が記載されている。この特許文献に記載のヒーター素子は、平行な2本の導体と、これら導体に接触するように設けられるPTC部材と、このPTC部材を包囲する絶縁層とを備える。PTC部材の樹脂中には、カーボンブラック等の導電性粒子が所定量分散される。
【0004】
このヒーター素子においては、ヒーター素子が所定の温度以下の場合には、PTC部材中の導電性粒子同士の接触により多数の導電パスが形成され、PTC部材の抵抗は低く保たれる。このため、このヒーター素子の2本の導体間に電圧が印加されると、PTC部材中に電流が流れ、PTC部材の温度が上昇してヒーター素子が発熱する。このようにPTC部材の温度が上昇すると、PTC部材中の樹脂が膨張し、それに伴って一部の導電性粒子同士が離間する。このため導電パスの一部が切れて、PTC部材の抵抗が高くなる。その結果、PTC部材中に流れる電流が小さくなり、PTC部材の温度は低くなる。このようにして、ヒーター素子の自己温度制御が行われながら、PTC部材で発生する熱が絶縁層を介してヒーター素子の外部に放出され、加熱対象物が加熱される。
【特許文献1】米国特許第4,33,148号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載のヒーター素子は、加熱対象物を効率よく加熱する点で改善の余地を有していた。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、加熱対象物を効率良く加熱できるヒーター素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、加熱対象物を効率よく加熱する自己制御型のヒーター素子ついて鋭意研究を重ねた結果、上記特許文献1に記載のヒーター素子は、ヒーター素子から発生する熱を外部に放出して、この放出される熱のみによって加熱対象物を加熱しているため、加熱の効率に改善の余地があることを突き止め本発明をするに至った。
【0008】
すなわち本発明のヒーター素子は、少なくとも2本の導体と、前記導体のそれぞれと接触して設けられるPTC部材と、前記導体と前記PTC部材とを包囲する第1樹脂層と、を備え、前記第1樹脂層は、樹脂中に分散される多孔性セラミック粒子を含有することを特徴とするものである。
【0009】
このような構成のヒーター素子によれば、2本の導体間に電圧が印加されると、PTC部材に電流が流れ、その電流によりPTC部材が自己温度制御を行いながら発熱する。そして、PTC部材が発熱することで、PTC部材を包囲する第1樹脂層の温度が上昇して、ヒーター素子が発熱する。さらに、第1樹脂層の温度が上昇すると、第1樹脂層中に分散される多孔性セラミック粒子から遠赤外線が放出される。このため、加熱対象物に対しては、ヒーター素子からの熱伝導による加熱と、ヒーター素子から放出される遠赤外線による加熱とが行われることになる。従って、本発明のヒーター素子によれば、加熱対象物を効率よく加熱することができる。この遠赤外線が放出される理由については定かではないが、本発明者らはセラミック粒子が多孔性を有しているためであると推測している。
【0010】
さらに、前記ヒーター素子において、前記第1樹脂層と前記PTC部材との間に設けられると共に、前記導体と前記PTC部材とを包囲する第2樹脂層と、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との間に設けられると共に、前記第2樹脂層を包囲する金属層と、を更に備えることが好適である。
【0011】
このような構成のヒーター素子によれば、第1樹脂層の内側に金属層を設けているので、多孔質セラミックスが分散される第1樹脂層にPTC部材からの熱を効率的に伝熱させることができる。このため、ヒーター素子から遠赤外線をより多く放出させることができる。従って、加熱対象物をより効率よく加熱することができる。さらに、第1樹脂層の内側に金属層を設けているので、ヒーター素子の機械的強度をより向上させることができる。
【0012】
また、本発明において、前記多孔性セラミック粒子が、アルミナ・シリカ系の複合酸化物から成ることが好適である。多孔性セラミック粒子が、アルミナ・シリカ系の複合酸化物から成ると、遠赤外線がより強く放出されるので、ヒーター素子は、加熱対象物の加熱をより効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかるヒーター素子によれば、加熱対象物の加熱を効率良く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図1を用いて詳細に説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るヒーター素子を示す断面図である。
【0016】
図1に示すように、ヒーター素子100は、互いに所定の間隔を隔てて略平行に配置される2本の導体1A、1Bと、導体1A、1Bと接触して設けられ、導体1A、1Bのそれぞれの外周面を覆うPTC部材3と、PTC部材3を包囲する筒状の第1樹脂層5とを備える。
【0017】
第1樹脂層5は、樹脂中に分散される多孔性セラミック粒子を含有する。
【0018】
このようなヒーター素子100によれば、2つの導体1A、1Bに電圧(例えば交流電圧)が印加されると、PTC部材3中の導電性粒子によりPTC部材3に電流が流れ、その電流によりPTC部材3が自己温度制御を行いながら発熱する。PTC部材3が発熱すると、PTC部材3からの熱伝導により第1樹脂層5の温度が上昇して、ヒーター素子100が発熱する。さらに、第1樹脂層の温度が上昇すると、第1樹脂層5中の多孔性セラミック粒子からは遠赤外線が放出される。このため、加熱対象物に対しては、ヒーター素子100の発熱による加熱と、ヒーター素子100から放出される遠赤外線による加熱が行われることになる。従って、ヒーター素子100によれば、加熱対象物を効率良く加熱することができる。別言すると、ヒーター素子100によれば、加熱対象物に対して遠赤外線による加熱が行われることにより、PTC部材3の発熱量を低く抑えることができる。よって、ヒーター素子100によれば、消費電力を低く抑えることができる。この遠赤外線が放出される理由については定かではないが、本発明者らはセラミック粒子が多孔性を有するためではないかと推測している。
【0019】
また、ヒーター素子100によれば、ヒーター素子100と加熱対象物が空間を隔てて離間している場合であっても、遠赤外線により加熱対象物を加熱することができる。例えば、ヒーター素子100を地中に埋めて加熱対象物として地上に積雪した雪を加熱する場合を考えると、ヒーター素子100により加熱される雪は、時間の経過とともにヒーター素子100に近い側から融かされる。そのため雪に空洞が形成されヒーター素子100から雪までの距離が次第に大きくなる場合がある。このような場合では、PTC部材3自体の発熱だけでは、融雪し難くなることがあるが、ヒーター素子100は、多孔性セラミック粒子からの遠赤外線を放出しているため、比較的遠くに離れた雪であっても効率的に融雪することができる。従って、ヒーター素子100は、融雪に要する時間を十分に短縮することができる。
【0020】
また、第1樹脂層5に多孔性セラミック粒子が含有されるため、第1樹脂層は、優れた耐熱性、耐摩耗性を有する。このため、ヒーター素子100おいては、熱によりヒーター素子の表面が変形することが抑制され、また、摩擦等によりヒーター素子の表面が摩耗することが抑制される。
【0021】
次にヒーター素子100の各構成要素の材料について、説明をする。
【0022】
導体1A、1Bは、それぞれニッケルメッキが施された銅線等から構成される。なお、各導体1A、1Bは、単線でも撚り線でもよい。
【0023】
PTC部材3に用いられる樹脂は、結晶性樹脂が好ましく、具体的には、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。
【0024】
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン類、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン等のポリプロピレン類、ポリブテン、4−メチルペンテン−1樹脂等を挙げることができる。ポリアミド系樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン8、ナイロン11、ナイロン66、ナイロン610等を挙げることができる。ポリアセタール樹脂は、モノマーによる単独重合体であっても、2種以上のモノマーによる共重合体であってもよい。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を挙げることができる。フッ素樹脂としては、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を挙げることができる。これら結晶性樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上をブレンドして併用してもよい。中でも、ポリオレフィン樹脂が、ヒーター素子100を融雪装置に用いる観点から好ましい。
【0025】
導電性粒子としては、カーボンブラック粒子、グラファイト粒子等の炭素系粒子、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、プラチナ(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)等の金属粒子、スズ添加酸化インジウム(Indium−Tin−Oxide:ITO)、酸化スズ(SnO)、フッ素添加酸化スズ(Fluorine−Tin−Oxide:FTO)、アンチモン添加酸化スズ(Antimony−Tin−Oxide:ATO)、酸化亜鉛(ZnO)等の導電性金属酸化物粒子等を挙げることができる。
【0026】
これらの中でもカーボンブラック粒子、グラファイト粒子等の炭素系粒子が好ましい。導電性粒子として金属粒子を用いた場合には、PTC部材3は、ある特定の温度で抵抗が急峻に高くなり、他の温度では抵抗の変化が非常に小さい傾向がある。このため、ヒーター素子100の自己温度制御により一定に保たれる温度が、抵抗が急峻に高くなる温度以下に設定されると、抵抗の変化が小さいために自己温度制御が困難になる場合がある。これに対して、導電性粒子として炭素系粒子を用いると、PTC部材3は、PTC部材3の温度上昇に対して、全体的に抵抗が緩やかに高くなる傾向にある。このため、炭素系粒子を用いたヒーター素子100は、導体1A、1Bに印加する電圧を調整することにより、容易に任意の温度で自己温度制御を行うことができるという利点がある。
【0027】
炭素系粒子の平均粒径としては、特に制限されるものではないが、例えば、平均粒径が30〜90nmであることが、電気伝導性の観点で好ましく、特に15〜60nmであることが、PTC部材3の抵抗を得る観点からより好ましい。なお、平均粒径は、電子顕微鏡による観察で測定した場合の値である。
【0028】
また、PTC部材3中の導電性粒子の含有率は、特に制限されるものではないが、例えば、樹脂100重量部に対して、3〜30重量部であることが、PTC部材3の抵抗を得る観点から好ましい。
【0029】
第1樹脂層5に用いられる樹脂は、難燃性の樹脂が好ましい。このような樹脂として、
ポリエチレン(PE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)及びエチレンアクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのエチレン系材料や、それらとポリプロピレン(PP)、エチレンプロピレンゴム(EPゴム)、スチレン系エラストマなどのポリオレフィンをブレンドした複合樹脂等が挙げられる。
【0030】
第1樹脂層5に含まれる多孔性セラミック粒子の材料としては、シリカ(SiO)アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO)、マグネシア(MgO)等の金属酸化物、或いは、これらの混合体や、ゼオライト(SiO・AlO)、チタン酸アルミニウム(AlTiO)、ジルコン(ZrSiO)、コージライト(2MgO・2Al・5SiO)、スポジューメン(LiO・Al・4SiO)等の複合酸化物が挙げられる。中でも、アルミナ及びシリカを含むアルミナ・シリカ系の複合酸化物からなる多孔性セラミックス粒子は、温度が上昇すると遠赤外線をより強く放出するため、加熱対象物をより効率よく加熱できることから好ましい。
【0031】
多孔性セラミック粒子の平均粒径は、特に制限されるものではないが、例えば、平均粒径は3〜30μmであることが好ましく、特に5〜20μmであることが好ましい。なお、多孔性セラミック粒子の平均粒径の測定方法は、導電性粒子の平均粒径の測定方法と同様である。
【0032】
また、第1樹脂層5に含まれる多孔性セラミック粒子の含有率は、特に制限されるものではないが、例えば、樹脂100重量部に対して、10〜30重量部であることが、遠赤外線放出の観点より好ましい。
【0033】
なお、多孔性セラミック粒子は、波長が3〜12μmの遠赤外線を放出することが、水を温める観点から好ましい。このような多孔性セラミック粒子を含有した第1樹脂層5を用いたヒーター素子100が、融雪装置に用いられた場合、効率良く融雪を行うことができる。
【0034】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図2を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0035】
図2は、本発明の第2実施形態に係るヒーター素子を示す断面図である。図2に示すように、ヒーター素子110は、PTC部材3と第1樹脂層5との間に第2樹脂層7と金属層9とを備える点で第1実施形態のヒーター素子100と異なる。
【0036】
第2樹脂層7は、PTC部材3の外周面を包囲するように設けられ、また、金属層9は、第2樹脂層7の外周面を包囲するように設けられている。
【0037】
第2樹脂層7に用いられる樹脂としては、第1樹脂層5に用いられる樹脂と同様の樹脂が挙げられる。
【0038】
金属層9は、ニッケル等の金属からなる金属編組から構成される。
【0039】
このようなヒーター素子110によれば、第1樹脂層5の内側に金属層9を設けているので、多孔質セラミックスが分散される第1樹脂層5にPTC部材3からの熱を効率的に伝熱させることができる。このため、ヒーター素子110から遠赤外線をより多く放出させることができる。従って、加熱対象物をより効率よく加熱することができる。さらに、第1樹脂層5の内側に金属層9を設けているので、ヒーター素子110の機械的強度をより向上させることができる。
【0040】
以上、本発明について、第1、第2実施形態を例に説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0041】
例えば、上記の実施形態では、2本の導体1A、1Bが用いられているが、3本以上の導体が用いられても良い。また、上記実施形態では、PTC部材3が導体1A、1Bのそれぞれに接触して導体1A、1Bの外周面を覆う様に設けられているが、PTC部材3は、導体1A、1Bと接触していれば良く、PTC部材3は、必ずしも導体1A、1Bの外周面を覆うように設けられる必要はない。例えば、PTC部材3は、導体1A、1Bと接触して、導体1A、1Bの長手方向に沿って、導体1A、1Bの間のみに配置されても良い。
【実施例】
【0042】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0043】
(実施例1〜4)
第1実施形態と同様のヒーター素子を作製した。
【0044】
PTC部材としては、結晶性樹脂中に、カーボンブラック粒子を分散させたPTC部材を用いた。結晶性樹脂としては、ポリオレフィンを用いた。また、カーボンブラック粒子としては、平均粒径が、30nmのものを用い、PTC部材中のカーボンブラック粒子の含有率は、結晶性樹脂100質量部に対して、10重量部とした。
【0045】
また、第1樹脂層としては、樹脂に多孔性セラミック粒子を分散させたものを用いた。樹脂としては、ETFEを用いた。また、多孔性セラミック粒子としては、平均粒径が、10μmの日本TOPY社製セラミックパウダーTWP(商品名)を用い、第1樹脂層の多孔性セラミック粒子の含有率は、樹脂100質量部に対して、それぞれ表1に示す値とした。
【0046】
また、ヒーター素子の厚さは、5.0mmとした。
【0047】
(比較例1)
第1樹脂層としては、樹脂に対する多孔性セラミック粒子の含有率を樹脂100質量部に対して表1に示す値とした。それ以外は、実施例1と同様にしてヒーター素子を作製した。
【表1】

【0048】
(消費電力測定)
各実施例及び比較例1のそれぞれに対して、液体が流れる測定管を用意し、実施例1〜4及び比較例1の各ヒーター素子を1m用意して、各測定管に張り付けた。そして、外側を断熱材で覆い、各ヒーター素子に200Vの電圧を印加して、各測定管内を流れる液体の温度が10度となり、さらに、ヒーター素子の発熱が一定となるように液体の流量を調整した。そして、この場合のヒーター素子1m当たりの消費電力を測定した。この結果を表1に示す。表1に示すように、実施例1〜4のヒーター素子の消費電力は、比較例1のヒーター素子の消費電力よりも小さく、さらに、多孔性セラミック粒子の含有率が高い実施例ほど消費電力が小さい結果が得られた。
【0049】
(融雪率測定)
各ヒーター素子を8mずつ用意して、それぞれコンクリートに埋設し、これを気温−5℃の環境に置いて、コンクリート上に700gの雪を配置した。そして、各ヒーター素子の2つの導体間に240Vの交流電圧を30分間印加し、融けた雪の重量を測定した。融雪率は、(融けた雪の重量)/700g×100として計算した。この結果を表1に示す。表1に示すように実施例1〜4のいずれも比較例1よりも高い融雪率を示し、多孔性セラミック粒子の含有率が高いほど融雪率が高いことが分かった。
【0050】
以上のことから、本発明のヒーター素子によれば、加熱対象物を効率よく加熱できることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1実施形態に係るヒーター素子を示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係るヒーター素子を示す断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1A,1B・・・導体
3・・・PTC部材
5・・・第1樹脂層
7・・・第2樹脂層
9・・・金属層
100、110・・・ヒーター素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2本の導体と、
前記導体のそれぞれと接触して設けられるPTC部材と、
前記導体と前記PTC部材とを包囲する第1樹脂層と、
を備え、
前記第1樹脂層は、樹脂中に分散される多孔性セラミック粒子を含有すること
を特徴とするヒーター素子。
【請求項2】
前記第1樹脂層と前記PTC部材との間に設けられると共に、前記導体と前記PTC部材とを包囲する第2樹脂層と、
前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との間に設けられると共に、前記第2樹脂層を包囲する金属層と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のヒーター素子。
【請求項3】
前記多孔性セラミック粒子は、アルミナ・シリカ系の複合酸化物から成ることを特徴とする請求項1または2に記載のヒーター素子。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−153283(P2010−153283A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331979(P2008−331979)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】