説明

ヒートポンプ給湯機

【課題】ヒートポンプ給湯機において、冬期の低温時においても給湯運転を中断することなく蒸発器の着霜を除霜する。
【解決手段】ヒートポンプ給湯機100は、冷媒と水が流通する水冷媒熱交換器2を有するヒートポンプ回路と、水冷媒熱交換器を流通する水を需要元に給湯する手段14,15,17,19,23と、水熱交換器で熱交換した水を給湯手段を流通する湯よりも高温の湯として貯湯する貯湯タンク10とを備える。ヒートポンプ回路は、圧縮機1a,1bとこの圧縮機で圧縮された冷媒が流通する水冷媒熱交換器と、水冷媒熱交換器で熱交換した冷媒を膨張させる第1,第2膨張弁3a,3b;5a,5bと、第1,第2膨張弁を流通した冷媒を蒸発させる第1,第2蒸発器4a,4b;6a,6bと、これらを収容する本体とを有する。第1蒸発器を外気側に、第2蒸発器をこの第1蒸発器よりも本体内部側に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒートポンプ給湯機に係り、特に蒸発器を除霜するのに好適なヒートポンプ給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のヒートポンプ給湯機の例が、特許文献1に記載されている。この公報に記載のヒートポンプ給湯機では、電気温水器と同様に大容量の貯湯タンクを設け、夜間割引の安価な電力を使って夜中にヒートポンプ回路で湯を沸き上げて貯湯タンクに貯蔵し、貯蔵した湯を日中に使用している。具体的には、圧縮機と、給湯用熱交換器と、膨張弁と、熱源用熱交換器とを環状に接続してヒートポンプサイクルを構成し、熱源用熱交換器を除霜するときには、ウォータポンプを停止して液体(例えば水)の循環を止めている。これにより、圧縮機から送り出された高温高圧冷媒が給湯用熱交換器で熱交換されるのを抑制する。それとともに、膨張弁を開放して高温冷媒を減圧せずに熱源用熱交換器に循環させ、熱源用熱交換器に付着した霜を溶かしている。
【0003】
従来のヒートポンプ給湯機の他の例が、特許文献2に記載されている。この文献に記載のヒートポンプ給湯機は、ヒートポンプ運転で加熱した温水を直接給湯する瞬間式ヒートポンプ給湯機であり、第1給湯回路と第2給湯回路とを有している。ここで、第1給湯回路は、予め貯湯運転して小形の貯湯タンクに高温の湯を貯え、この貯湯タンクから使用端末に給湯する回路であり、第2給湯回路は、ヒートポンプ運転により水熱交換器で加熱された温水を、使用端末へ直接給湯する回路である。圧縮機の吐出側と蒸発器の入口側間に設けた除霜用電磁弁を開放して、圧縮機で圧縮された高温高圧ガスを蒸発器に循環させて蒸発器を除霜する。そして除霜時には、給湯加熱運転を中断し、高温高圧の冷媒が水熱交換器を経由せずに圧縮機から除霜用電磁弁を介して直接蒸発器に循環している。
【0004】
【特許文献1】特開2003−90653号公報
【特許文献2】特開2004−150652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1,2に記載のヒートポンプ給湯機においては、蒸発器に付着した霜を除霜するときに、ヒートポンプによる水加熱運転を中止している。それとともに、膨張弁または除霜用電磁弁を開放して、圧縮機から吐出された高温高圧の冷媒をそのまま蒸発器に相当する熱源用熱交換器に循環させて除霜している。そのため、除霜中は液体(水)の加熱運転の働きがないにも関わらずヒートポンプ運転が継続されており、加熱効率である成績係数(以下COPともいう)の低下要因となっていた。ここで、ヒートポンプの成績係数(COP)は有効加熱熱量をヒートポンプの全消費電力で除した値である。上記公報に記載のヒートポンプ給湯機における除霜運転では、ヒートポンプ運転を継続して電力を消費しながら、給湯用の有効熱量はゼロの状態になっていた。
【0006】
また、特許文献1に記載の貯湯式のヒートポンプ給湯機においては、除霜運転時間分だけ貯湯に要する時間が長くなる。一方、特許文献2に記載の瞬間式のヒートポンプ給湯機においては、給湯運転中に除霜運転に入ると給湯されなくなるので、除霜運転よりも給湯運転を優先させる等の方策が必要となる。しかし、特に冬期の低温時においては、着霜により加熱能力が低下するので除霜運転をせざるを得ない。その場合、給湯が中止され、使い勝手が低下する。
【0007】
本発明は、上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、ヒートポンプ給湯機において、冬期の低温時においても給湯運転を中断することなく蒸発器の着霜を除霜することにある。本発明の他の目的は、ヒートポンプ給湯機の成績係数(COP)の向上と長時間安定した給湯運転を両立させることにある。本発明のさらに他の目的は、使い勝手の良いヒートポンプ給湯機を実現することにある。そして本発明は、これら目的の少なくともいずれかを達成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の特徴は、冷媒と水が流通する水冷媒熱交換器を有するヒートポンプ回路と、水冷媒熱交換器を流通する水を需要元に給湯する手段と、水熱交換器で熱交換した水を給湯手段を流通する湯よりも高温の湯として貯湯する貯湯タンクとを備えたヒートポンプ給湯機において、ヒートポンプ回路は、圧縮機とこの圧縮機で圧縮された冷媒が流通する水冷媒熱交換器と、この水冷媒熱交換器で熱交換した冷媒を膨張させる第1,第2膨張弁と、この第1,第2膨張弁を流通した冷媒を蒸発させる第1,第2蒸発器と、これらを収容する本体とを有し、第1膨張弁,第1蒸発器,第2膨張弁,第2蒸発器を順次配管接続し、第1蒸発器を外気側に、第2蒸発器をこの第1蒸発器よりも本体内部側にそれぞれ配置したことにある。そしてこの特徴において、ヒートポンプ回路を2回路有し、この2回路を並列に接続するのが望ましい。
【0009】
上記目的を達成する本発明の他の特徴は、ヒートポンプ給湯機が、ヒートポンプ冷媒回路と給湯回路と運転制御手段とを有する。そして、ヒートポンプ冷媒回路は、圧縮機と、水と冷媒とを熱交換させる水冷媒熱交換器と、第1膨張弁と、第1蒸発器と、第2膨張弁と、第2蒸発器とを有し、これらを冷媒配管を介して順次接続されて構成されている。給湯回路は、水冷媒熱交換器と、貯湯タンクと、給湯混合弁と、湯水混合弁と、流量調整弁と、出湯金具とを有し、これらを水配管を介して接続されて構成されている。運転制御手段は、圧縮機と膨張弁と給湯混合弁と湯水混合弁と流量調整弁を制御する。さらに運転制御手段は、ヒートポンプ給湯運転時には第2膨張弁を開放して第1膨張弁で冷媒を絞り調整し、除霜時は第1膨張弁を開放して第1蒸発器を除霜運転するとともに第2膨張弁で冷媒を絞り調整して第2蒸発器がヒートポンプの加熱給湯運転するように制御する。
【0010】
そしてこの特徴において、第1蒸発器と第2蒸発器を収容する本体を有し、第1蒸発器が外気側、第2蒸発器が内側となるように本体内に並んで配置するのが望ましく、第1蒸発器の外気側面積は第2蒸発器の外気側面積よりも大きい方がよい。また、第1蒸発器内の冷媒配管は1列であり、第2蒸発器の冷媒配管は2列であってもよく、第1蒸発器のフィン間隔が第2蒸発器のフィン間隔よりも大きくてもよい。さらに、運転制御手段は、給湯運転停止時に第1膨張弁と第2膨張弁を開放する運転停止時除霜機能を有するのが望ましく、給湯回路は、水冷媒熱交換器で加熱した温水を直接前記出湯金具から給湯する直接給湯回路を有することが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ヒートポンプ給湯機の除霜運転において、外気側に位置する蒸発器を除霜運転とし、他の蒸発器でヒートポンプ運転するので、除霜運転においても給湯が途切れることがない。また、無駄なヒートポンプ運転を回避できる。その結果、ヒートポンプ給湯機の成績係数(COP)が向上し、長時間安定した給湯運転と両立できる。さらに、給湯が途切れないので、使い勝手の良いヒートポンプ給湯機が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るヒートポンプ給湯機の一実施例を、図面を用いて説明する。本実施例は、直接給湯回路を有する瞬間式ヒートポンプ給湯機の例である。図1に、瞬間式ヒートポンプ給湯機100を模式図で示す。ヒートポンプ給湯機100は、ヒートポンプ冷媒回路40と給湯回路45と運転制御手段50とを備えている。
【0013】
ヒートポンプ冷媒回路40は、同一回路構成を有する第1ヒートポンプ冷媒回路40aおよび第2ヒートポンプ冷媒回路40bを備え、2サイクル方式となっている。第1ヒートポンプ冷媒回路40aは、圧縮機1a,水冷媒熱交換器2を構成する冷媒側伝熱管2a,第1膨張弁3a,第1蒸発器4a,第2膨張弁5a,第2蒸発器6aを有し、これら各部品は、順次冷媒配管を介して接続されている。この第1ヒートポンプ冷媒回路40aには、CO2等の冷媒が封入されている。
【0014】
同様に、第2ヒートポンプ冷媒回路40bでは、圧縮機1bの吐出側に冷媒側伝熱管
2bが配管接続され、冷媒側伝熱管2bの下流側には、第1膨張弁3b,第1蒸発器4b,第2膨張弁5b,第2蒸発器6bが冷媒配管で直列接続されている。第2蒸発器6bは、圧縮機1bの吸い込み側と配管で接続されている。第2ヒートポンプ冷媒回路40bにも、CO2等の冷媒が封入されている。
【0015】
圧縮機1a,1bは容量制御が可能で、多量の給湯を行う場合には大容量で運転される。圧縮機1a,1bは、スクロール圧縮機やロータリ圧縮機であり、PWM制御,電圧制御(例えばPAM制御)またはこれらの組合せ制御が可能になっている。これにより、低速(例えば700回転/分)から高速(例えば7000回転/分)まで回転数制御される。
【0016】
冷媒側伝熱管2a,2bは、水冷媒熱交換器2として一体化されており、この水冷媒熱交換機2はさらに、後述する給水側伝熱管2c,2dを一体的に備えている。水冷媒熱交換器2では、冷媒側伝熱管2a,2bの熱が給水側伝熱管2c,2dに伝わって熱交換される。
【0017】
第1蒸発器4a,4bおよび第2蒸発器6a,6bは、フィンチューブ式熱交換器であり、チューブ内部を冷媒が流通し、このチューブの外周に取り付けた多数のフィン間を外気が流通する。第1膨張弁3a,3bと第2膨張弁5a,5bは電磁膨張弁であり、水冷媒熱交換器2から流出した中温高圧冷媒を減圧し、蒸発し易い低圧冷媒として第1蒸発器4a,4bおよび第2蒸発器6a,6bへ送る。第1膨張弁3a,3bおよび第2膨張弁5a,5bの絞り量を変化させれば、第1,第2ヒートポンプ冷媒回路40a,40b内を流通する冷媒循環量が調節される。また、これら第1,第2膨張弁3a,3b;5a,5bを開放すれば、中温冷媒が第1蒸発器4a,4bまたは第2蒸発器6a,6bに多量に送られ、第1蒸発器4a,4bや第2蒸発器6a,6bに付着した霜を溶かす。以上が、ヒートポンプ回路である。
【0018】
ヒートポンプ冷媒回路40で発生した熱を水冷媒熱交換器2で熱交換して貯湯する貯湯回路は、貯湯タンク10,タンク循環ポンプ11,水熱交流量センサ13,給水側伝熱管2c,2d、給湯混合弁14および貯湯タンク10を有し、これら各部品は水配管を介して順次接続されている。貯湯回路に貯えられた湯は、給湯回路45を介して、需要先であるシャワーや風呂,蛇口等に送られる。給湯回路45は、貯湯回路,直接給湯回路,タンク給湯回路,風呂湯張り回路,風呂追焚き回路等から構成されている。
【0019】
直接給湯回路は、給水金具7,減圧弁8,給水水量センサ9,給水逆止弁12,水熱交流量センサ13,給水側伝熱管2c,2d,給湯混合弁14,湯水混合弁15,流量調整弁16および台所出湯金具17を備えており、これら各部品は水配管により順次接続されている。給水金具7は、水道などの給水源に接続される。台所出湯金具17は、台所蛇口18などに接続される。タンク給湯回路は、給水金具7,減圧弁8,給水水量センサ9,貯湯タンク10,給湯混合弁14,湯水混合弁15,流量調整弁16および台所出湯金具17を備えており、これら各部品は、水配管により順次接続される。
【0020】
風呂湯張り回路は、給水金具7,減圧弁8,給水水量センサ9,給水逆止弁12,水熱交流量センサ13,給水側伝熱管2c,2d,給湯混合弁14,湯水混合弁15,流量調整弁16,風呂注湯弁19,フロースイッチ20,風呂循環ポンプ21,水位センサ22,風呂入出湯金具23,風呂循環アダプター24および浴槽25を備えており、水配管により順次接続されている。風呂入出湯金具23は、浴槽25とともに風呂蛇口29や図示しないシャワーにも接続されており、浴槽25や風呂蛇口29、シャワーに給湯可能になっている。風呂湯張り時には、風呂湯張り回路から直接給湯するとともに、貯湯タンク
10内の湯量が最小必要量以下にならない範囲において、貯湯タンク10から浴槽25へタンク給湯する。
【0021】
風呂追焚回路は、浴槽25,風呂循環アダプター24,風呂入出湯金具23,水位センサ22,風呂循環ポンプ21,フロースイッチ20,風呂水伝熱管27b,風呂出湯金具28,風呂循環アダプター24および浴槽25を備え、これら部品を水配管で順次接続している。風呂追焚き時には、風呂追焚回路を用いて浴槽25の水を循環させるとともに、ヒートポンプ冷媒回路40およびタンク循環ポンプ11を運転し、かつ、温水開閉弁26を開放する。水冷媒熱交換器2で加熱された温水が、風呂用熱交換器27に設けた温水伝熱管27aに導かれ、風呂用熱交換器27の温水伝熱管27aない流れと風呂水伝熱管
27bない流れとの間で熱交換する。これにより、浴槽25の水が追焚きされる。
【0022】
運転制御手段50は、台所リモコン51および風呂リモコン52で設定された操作内容にしたがって、ヒートポンプ冷媒回路40を運転または停止させ、圧縮機1a,1bを回転数制御する。それとともに、第1膨張弁3a,3bと第2膨張弁5a,5bの冷媒絞り量を調整するか開放する。さらに、タンク循環ポンプ11および風呂循環ポンプ21を運転または停止させる。また、給湯混合弁14や湯水混合弁15,流量調整弁16,風呂注湯弁19,温水開閉弁26を制御して、貯湯運転と直接給湯運転,除霜運転,タンク給湯運転,風呂湯張り運転,風呂追焚運転を切り替え実行する。
【0023】
運転制御手段50が圧縮機1a,1bを回転数制御するときは、運転開始直後であれば加熱立上げ時間を早めるために、所定の高速回転速度で圧縮機1a,1bを運転する。一方、比較的熱負荷の軽い風呂追焚運転のときには、加熱温度に見合った低速回転速度で圧縮機1a,1bを運転する。除霜運転以外のヒートポンプ給湯運転時には、運転制御手段50は第2膨張弁5a,5bを開放し、第1膨張弁3a,3bで冷媒量を調整する。除霜運転時には、第1膨張弁3a,3bを開放し、第2膨張弁5a,5bで冷媒量を調整する。
【0024】
貯湯タンク10の上下方向複数箇所には、この貯湯タンク10内の貯湯温度と貯湯量を検出するために、タンクサーミスタ10sが取り付けられている。タンクサーミスタ10sの出力は、運転制御手段50に入力される。運転制御手段50は、風呂蛇口29や台所蛇口18等で湯を使用した後にタンクサーミスタ10sの出力を用いて貯湯温度と貯湯量を判定する。
【0025】
給湯使用量が少なく、貯湯温度と貯湯量がともに予め定めた規定以内であれば、ヒートポンプ冷媒回路40が有する圧縮機1a,1bの運転を停止する。給湯使用量が多く、貯湯温度と貯湯量が予め定めた規定未満になったら、貯湯運転を実行する。貯湯運転により、貯湯タンク10内に規定温度の湯が規定量貯湯されたら、圧縮機1a,1bの運転を停止する。この運転方法を、毎回貯湯運転と呼ぶ。
【0026】
ヒートポンプ給湯機100の給水ラインには、給水金具7および減圧弁8が設けられている。減圧弁8の下流側には、給水量を検出する給水水量センサ9およびこの給水ラインを流通する給水の温度を検出する給水サーミスタ9sが設けられている。給水水量センサ9の下流側で給水ラインは分岐し、一方のラインは、貯湯タンク10やタンク循環ポンプ11,水冷媒熱交換器2の給水側伝熱管2c,2dに接続している。分岐した他方のラインは、湯水混合弁15に接続されている。水冷媒熱交換器2の近傍であって、給水側伝熱管2c,2dの出口側には、出湯温度を検出する熱交出湯サーミスタ2sが設けられている。
【0027】
給水側伝熱管2c,2dは、熱交出湯サーミスタ2sの上流側で合流し、給湯混合弁
14に接続されている。給湯混合弁14の近傍には、給水側伝熱管2c,2dを流通した湯と貯湯タンク10から出湯された湯が混合された湯の温度を検出する給湯混合水サーミスタ14sが設けられている。給湯混合弁14は湯水混合弁15と配管接続されており、給水ラインから給水された水と給湯混合弁14を経た湯とが湯水混合弁15で混合される。この湯水混合弁15の近傍には、湯水混合弁15で温度調整された給湯温度を検出する湯水混合水サーミスタ15sが設けられている。
【0028】
さらに、圧縮機1a,1bには吐出圧力を検出する図示しない圧力センサが取り付けられている。また、浴槽25にはこの浴槽25内の水位を検出するフロースイッチ20が設けられている。上記各検出手段やセンサの出力は、図示しないが、運転制御手段50に入力されている。そして、運転制御手段50は、これら各検出手段やセンサの出力信号に基づいて、圧縮機1a,1b,ポンプ11,21,各種弁等を制御する。
【0029】
なお、風呂用熱交換器27の温水伝熱管27aの上流側であって熱交出湯サーミスタ
2sの下流側には、温水開閉弁26が設けられている。この温水開閉弁26は、風呂追焚き時以外は、水回路を閉じて水冷媒熱交換器2から風呂用熱交換器27への熱の漏洩を防止する。給水ラインの貯湯タンク分岐部よりも下流には、給水逆止弁12が設けられている。この給水逆止弁12は、水冷媒熱交換機2側から給水側に水が逆流するのを防止する。貯湯タンク10の上部と接続された給湯ラインは分岐部を有し、一方は上述した給湯混合弁14に接続されている。他方の分岐配管には、逃がし弁30が取り付けられている。逃し弁30は、貯湯タンク10内の温水圧力が所定圧力以上になったら作動し、水回路に設けた各種部品が過大圧に曝されるのを防止する。
【0030】
このように構成した本実施例に記載のヒートポンプ給湯機100が備える主要部品の配置例を、図2および図3を用いて説明する。図2は、ヒートポンプ冷媒回路の配置例を示す平面図であり、図3はその正面図である。図2において、横方向に長い箱状に形成された本体31の一方側面Aおよび背面側には、第1蒸発器4aがL字状に配置されている。この第1蒸発器4aの背面側部分よりも内側には、この第1蒸発器4aとほぼ平行に、第2蒸発器6aが配置されている。第2蒸発器6aよりも内側には、外気を取り込むモータ33a付のファン32aが配置されている。ファン32aをモータ33aが回転駆動すると、外気が本体31内に吸い込まれ、吸い込まれた外気が第1蒸発器4aと第2蒸発器
6aにおいて冷媒と熱交換する。
【0031】
本体31の内部であって前面側には、圧縮機1aと水冷媒熱交換器2が左右に配置されている。本体31の内部であって一方の側面近くには、第1蒸発器4aおよび第2蒸発器6aに配管接続される第2膨張弁が、他方の側面近くには水冷媒熱交換器2と第1蒸発器4aに配管接続される第1膨張弁3aが配置されている。第1蒸発器4aと第2蒸発器
6a間,第2蒸発器6aと圧縮機1a間,圧縮機1aと水冷媒熱交換器2間とは、それぞれ配管接続されている。すなわち、圧縮機1a,水冷媒熱交換器2,第1膨張弁3a,第1蒸発器4a,第2膨張弁5a,第2蒸発器6a,圧縮機1aの順に配管接続され、第1ヒートポンプ冷媒回路40aを形成する。
【0032】
ここで、水冷媒熱交換器2は、冷媒側伝熱管2a,2bと給水側伝熱管2c,2dを交互に接触させてコイル状に巻き上げられており、水冷媒熱交換器2のコイル状中空部には、円筒状の貯湯タンク10が設置されている。なお、ヒートポンプ冷媒回路40は、同じ構成の第1,第2ヒートポンプ冷媒回路40a,40bを備えているが、説明を容易にするために、第2ヒートポンプ冷媒回路40bについては、図示を省略した。ただし、図3を参照すれば、第1ヒートポンプ冷媒回路40aに用いる第1蒸発器4a,第2蒸発器
6aは本体31の上側に設置されており、第2ヒートポンプ冷媒回路40bに用いる第1蒸発器4b,第2蒸発器6bは、本体31の下側に設置されていることは明らかであろう。
【0033】
図1に示したように、水冷媒熱交換器2は、第1ヒートポンプ冷媒回路40a用と第2ヒートポンプ冷媒回路用40bとが一体化されており、1個の貯湯タンク10を共用している。圧縮機1a,1b,第1膨張弁3a,3bおよび第2膨張弁5a,5b等は、強度や性能を考慮して設置した。図3に示すように、本体31の下部には、複数の設置足31aを設けている。
【0034】
ヒートポンプ給湯機100が有する台所蛇口18を開けて給湯使用する場合の動作を、図4にフローチャートで示す。初めに、使用者が台所蛇口18を開けると、湯水使用が開始する(ステップ60)。運転制御手段50は、圧縮機1a,1bを始動させて、第1ヒートポンプ冷媒回路30aおよび第2ヒートポンプ冷媒回路30bの運転を開始する。それとともに運転制御手段50は、直接給湯回路を形成する給水金具7や減圧弁8,給水水量センサ9,給水逆止弁12,水熱交流量センサ13,給水側伝熱管2c,2d,給湯混合弁14,湯水混合弁15,流量調整弁16,台所出湯金具17,台所蛇口18を制御して、直接給湯運転(ステップ61)を実行する。このとき、ヒートポンプ冷媒回路40では、圧縮機1a,1bで圧縮された高温高圧冷媒が水冷媒熱交換器2の冷媒側伝熱管2a,2bに送り込まれ、給水側伝熱管2c,2dから流入する水を加熱して給湯混合弁14側へ出湯する。
【0035】
ところで、運転立上がり時には、水冷媒熱交換器2に供給される冷媒が充分に高温高圧となり切らず温度が低い。しかも、水冷媒熱交換器2全体が冷えているので、水を加熱する加熱能力が充分でない。そこで、ステップ61で示した直接給湯運転と同時に、タンク給湯回路を形成する給水金具7および減圧弁8,給水水量センサ9,貯湯タンク10,給湯混合弁14,湯水混合弁15,流量調整弁16,台所出湯金具17,台所蛇口18を制御して、タンク給湯運転(ステップ62)も実行する。このようにタンク給湯運転を併用すると、湯水使用開始直後から、適温(約42℃)の湯を必要流量だけ供給可能になる。
【0036】
直接給湯運転およびタンク給湯運転を併用し続けているときも、熱交出湯サーミスタ
2sおよび給湯混合水サーミスタ14s,湯水混合水サーミスタ15s,給水水量センサ9の出力を用いて、給湯温度と流量を判定する(ステップ63)。判定した給湯温度と流量が予め定めた規定外であれば、温度と流量を調整する(ステップ64a)。判定した給湯温度と流量が規定内であれば、直接給湯温度を判定する(ステップ64)。この直接給湯温度を判定するときに、温度と流量が規定に達していないときは、温度と流量を調整
(ステップ64a)しながら、直接給湯運転(ステップ61)とタンク給湯運転(ステップ62)を並行して実行し続ける。
【0037】
ヒートポンプ冷媒回路40を運転し続けると、時間が経過するにつれて冷媒が高温高圧になる。冷媒が高温高圧になると、発生する冷媒からの放熱量が増加し、水への加熱能力が増す。所定時間間隔で実行するステップ64の直接給湯温度判定において、水冷媒熱交換器2からの出湯だけで給湯温度と流量が規定内に達したら、タンク給湯運転を停止する(ステップ64b)。そして、ステップ61で示した直接給湯運転だけを継続する(ステップ65)。
【0038】
次に、蛇口18が閉じられ湯水使用が終了(ステップ66)したら、タンク給湯運転が停止状態であり、直接給湯運転だけが実行されているのであれば直接給湯運転を停止する。湯水使用直後のように、タンク給湯運転と直接給湯運転が併用されている場合には、タンク給湯運転と直接給湯運転の双方を停止する(ステップ67)。
【0039】
この状態で、運転制御手段50は複数のタンクサーミスタ10sの出力を調べ、貯湯温度と貯湯量を判定する(ステップ68)。貯湯温度と貯湯量が規定内であれば、運転停止を継続する。貯湯温度と貯湯量が規定に満たなければ、タンク貯湯運転(ステップ69)を実行する。タンク貯湯運転中も貯湯温度と貯湯量を判定(ステップ70)し、これらの値が規定内に達したことを確認したらタンク貯湯運転を停止する(ステップ71)。
【0040】
以上の運転フローによれば、出湯開始時にヒートポンプ冷媒回路40から所望の給湯温度(約42℃)に達する熱が供給されないときでも、貯湯タンク10に貯えられた湯を所望の給湯温度に達するまでの立上がり時の補助手段として利用できる。なお、貯湯タンク10は補助手段として用いるに過ぎず、ヒートポンプ冷媒回路40の能力、特に圧縮機
1a,1bの出力を大きくすればするほど、立上げ時間を短くできる。その場合、貯湯タンク10を小さくできる。
【0041】
本実施例によれば、風呂湯張りと台所給湯を同時に行うような複数箇所での同時使用にも直接給湯のみで対応可能になる。すなわち、本実施例では従来圧縮機の2倍程度の圧縮機を2個使用した2サイクルヒートポンプ方式30a,30bとしたので、圧縮機容量が大容量になったにもかかわらず、実績のある圧縮機による信頼性の高い運転が可能になる。また、ヒートポンプ冷媒回路40を構成する各部品も実績のある部品を使用でき、ヒートポンプ冷媒回路40の信頼性が向上する。なお、圧縮機の容量が充分であれば、1サイクルヒートポンプ方式としてもよい。また、運転制御手段50に、給湯運転を停止した後に規定貯湯量を確保するようタンク貯湯運転を実行する毎回貯湯運転機能を備えているので、貯湯タンク10は常に所定温度の湯が所定量以上貯まっており、運転立上がり時のタンク給湯運転や連続給湯時にも対応できる。
【0042】
給湯運転中に着霜した霜を除霜する除霜運転制御を、図5にフローチャートで示す。ここでは、給湯運転の詳細については上記したので省略し、主にヒートポンプ冷媒回路40の動作について説明する。台所蛇口18を開けて湯水使用が始まる(ステップ80)。湯水が使用されると、運転制御手段50は、ヒートポンプ冷媒回路40の運転を開始する。それとともに、給湯運転する(ステップ81)。
【0043】
運転制御手段50は、第1膨張弁3a,3bの開度を絞り、第2膨張弁5a,5bの開度を開放するように各膨張弁3a,3b;5a,5bを制御する。このとき、ヒートポンプ冷媒回路40では、圧縮機1a,1bで冷媒を圧縮して高温高圧ガスとし、水冷媒熱交換器2に配置されている冷媒側伝熱管2a,2bを通じて給水側伝熱管2c,2dを流れる水を加熱する。給水側伝熱管内2c,2dの水に放熱して液化された冷媒は、第1膨張弁3a,3bで絞られて減圧され、蒸発し易い状態で第1蒸発器4a,4bへ送られる。
【0044】
第1蒸発器4a,4bは大きな空間に形成されており、この第1蒸発器4a,4bに送られた液冷媒は、第1膨張弁3a,3bでの絞られた状態から一気に膨張および蒸発する。それとともに、外気から蒸発潜熱を奪い、冷媒と外気との間で熱交換する。第2膨張弁5a,5bが開放されているので、第1蒸発器4a,4bと第2蒸発器6a,6b間は流量抵抗が少ない。そこで、第1蒸発器4a,4bで蒸発し切れなかった冷媒は、第2蒸発器6a,6bで蒸発する。すなわち、第1蒸発器4a,4bと第2蒸発器6a,6bの対が大容量蒸発器を形成し、一体的に熱交換器として作用する。
【0045】
第1蒸発器4a,4bと第2蒸発器6a,6bで蒸発し気体となった冷媒は、圧縮機
1a,1bに戻り、再び圧縮され高温高圧ガスとなって加熱源として作用する。なお、この説明は一般的冷媒の場合であり、冷媒に炭酸ガス(CO2 )などを使用した場合には、水冷媒熱交換器2における液化および第1蒸発器4a,4bにおけるガス化は完全ではなく、液とガスが混合した状態になることもある。
【0046】
上記したように、冷媒は水冷媒熱交換器2で放熱し、水を加熱給湯する。それとともに、冷媒は第1蒸発器4a,4bで蒸発して蒸発潜熱を奪う。第1蒸発器4a,4bは熱を奪われて、第1蒸発器4a,4b表面に外気の水分が付着して結露する。外気温度が5℃近辺以下に下がると、第1蒸発器4a,4bの結露は霜となって堆積する。このままヒートポンプ冷媒回路40を運転し続けると、第1蒸発器4a,4b表面の霜が堆積成長し、第1蒸発器4a,4bの全表面を覆う。第1蒸発器4a,4bの全表面が霜で覆われると、霜の断熱効果により冷媒と外気との熱交換が阻害され、圧縮機1a,1bへの冷媒の液戻りや吸込み圧力上昇などの不具合を生じる。そして、結果としてヒートポンプ冷媒回路40の加熱能力低下や運転停止に至る恐れがあるので除霜運転をする。
【0047】
なお、第1蒸発器4a,4bは第1膨張弁3a,3bの直後に接続されているので冷媒の膨張や蒸発が活発で、蒸発潜熱による温度低下が大きい。しかも、外気側に設置されているので、外気に含まれる水分の大半が第1蒸発器4a,4bの表面に付着する。一方、第2蒸発器6a,6bには霜がそれほど付着せず、除霜は必要とならない。さらに、本実施例では図3に示すように、第1蒸発器4a,4bの外気側面積を第2蒸発器6a,6bの外気側面積より大きくしいている。これにより、外気に含まれる水分の大半を第1蒸発器4a,4bの表面に付着させることが可能になる。
【0048】
ステップ81で示した給湯運転が開始されたら、蒸発器サーミスタ4s,4tで第1蒸発器4a,4bの温度を、蒸発器サーミスタ6s,6tで第2蒸発器6a,6bの温度をそれぞれ検出しているので、蒸発器サーミスタ4s,4tで第1蒸発器4a,4bへの着霜状態を判定する(ステップ82)。着霜量が規定未満であれば、そのまま給湯運転(ステップ81)を継続する。着霜量が規定以上になれば、第1膨張弁3aを開放し、第2膨張弁5bを絞り調整して、給湯運転を継続(ステップ83)しながら除霜運転する(ステップ84)。
【0049】
すなわち、第1膨張弁3a,3bを開放したので、水冷媒熱交換器2を通過した中温の冷媒は、流路断面積が減少する絞りを通過しないで第1蒸発器4a,4bへ流入する。その結果、圧力変化せず蒸発もしない。したがって冷媒は第1蒸発器4a,4bに至るまでに流路から蒸発潜熱を奪わず、冷媒自身の熱量で第1蒸発器4a,4bに付着した霜を溶かすことができる。これに対して、第2膨張弁5a,5bを絞り調整したので、第1蒸発器4a,4bを通過した冷媒は、第2膨張弁5a,5bで減圧される。その後、第2蒸発器6a,6bの大きな空間へ送られた液冷媒は、一気に膨張および蒸発し、第2蒸発器
6a,6bの冷媒配管およびフィンを介して外気から蒸発潜熱を奪う。これにより、冷媒と外気とが熱交換される。
【0050】
本実施例では、第2蒸発器6a,6bへの着霜量を少なくして除霜運転を必要としないようにしている。すなわち、第1蒸発器4a,4b内の冷媒配管を1列、第2蒸発器6a,6b内の冷媒配管を2列としている。すなわち、冷媒配管1列の第1蒸発器4a,4bより第2蒸発器6a,6bの冷媒配管の表面積が大きく、空気との熱交換量が増大する。第1蒸発器4a,4bのフィン間隔よりも第2蒸発器6a,6bのフィン間隔を細かくする。さらに、第2蒸発器6a,6bのフィン表面積を、冷媒配管1列でフィン間隔の広い第1蒸発器4a,4bのフィン表面積よりも大きくしたので、空気と熱交換するフィン面積の増大により、第2蒸発器6a,6bの冷媒と外気との熱交換能力が増大する。第2蒸発器6a,6bの蒸発能力が増大したので、第1蒸発器4a,4bで不足した蒸発能力を、第2蒸発器6a,6bがカバーできる。
【0051】
運転制御手段50は、蒸発器サーミスタ4s,4tの出力を用いて、第1蒸発器4a,4bで除霜を継続するか否かを判定する(ステップ85)。除霜を継続するときには、給湯運転(ステップ83)と除霜運転(ステップ84)の同時運転を継続する。除霜の終了と判定したら、第1膨張弁3a,3bを絞り調整し、第2膨張弁5a,5bを開放する。第1蒸発器4a,4bの除霜運転が停止される(ステップ86)。そして、第1蒸発器
4a,4bと第2蒸発器6a,6bの双方を蒸発器として作用させ、給湯運転を継続する(ステップ87)。使用者が台所蛇口18を閉じて湯水使用が終了すると、図4を用いて説明した給湯運転を停止する。貯湯タンク10の貯湯量が規定以下の場合にはタンク貯湯運転を実行し、その後タンク貯湯運転を停止してヒートポンプ冷媒回路40の運転を終了する。
【0052】
本実施例によれば、瞬間式ヒートポンプ給湯機が直接給湯回路を有しているので、貯湯タンク10を小容量のものとすることができる。その結果、図2,図3に示すように、ヒートポンプ冷媒回路を2サイクル有しているにも関わらず、ヒートポンプ冷媒回路と給湯回路と貯湯タンクとを、本体内に収納し一体化できる。また、ヒートポンプ加熱運転と同時に除霜運転を実行できるので、貯湯時間を短縮できるとともに、成績係数(COP)を向上させることができる。その結果、瞬間式ヒートポンプにおける使い勝手が向上し、運転費用を節約できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係るヒートポンプ給湯機の一実施例の模式図である。
【図2】図1に示したヒートポンプ給湯機の主要部の平面図である。
【図3】図1に示したヒートポンプ給湯機の主要部の正面図である。
【図4】図1に示したヒートポンプ給湯機の運転制御を示すフローチャートである。
【図5】図1に示したヒートポンプ給湯機の他の運転制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1a,1b…圧縮機、2…水冷媒熱交換器、3a,3b…第1膨張弁、4a,4b…第1蒸発器、5a,5b…第2膨張弁、6a,6b…第2蒸発器、8…減圧弁、9…給水水量センサ、10…貯湯タンク、11…タンク循環ポンプ、14…給湯混合弁、15…湯水混合弁、16…流量調整弁、17…台所出湯金具、19…風呂注湯弁、20…フロースイッチ、21…風呂循環ポンプ、22…水位センサ、23…風呂入出湯金具、24…風呂循環アダプター、25…浴槽、26…温水開閉弁、27…風呂用熱交換器、29…風呂蛇口、31…本体、40…ヒートポンプ冷媒回路、40a…第1ヒートポンプ冷媒回路、40b…第2ヒートポンプ冷媒回路、45…給湯回路、50…運転制御手段、51…台所リモコン、52…風呂リモコン、100…ヒートポンプ給湯機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒と水が流通する水冷媒熱交換器を有するヒートポンプ回路と、前記水冷媒熱交換器を流通する水を需要元に給湯する手段と、前記水熱交換器で熱交換した水を給湯手段を流通する湯よりも高温の湯として貯湯する貯湯タンクとを備えたヒートポンプ給湯機において、
前記ヒートポンプ回路は、圧縮機とこの圧縮機で圧縮された冷媒が流通する前記水冷媒熱交換器と、この水冷媒熱交換器で熱交換した冷媒を膨張させる第1,第2膨張弁と、この第1,第2膨張弁を流通した冷媒を蒸発させる第1,第2蒸発器と、これらを収容する本体とを有し、前記第1膨張弁,第1蒸発器,第2膨張弁,第2蒸発器を順次配管接続し、前記第1蒸発器を外気側に、前記第2蒸発器をこの第1蒸発器よりも前記本体内部側にそれぞれ配置したことを特徴とするヒートポンプ給湯機。
【請求項2】
前記ヒートポンプ回路を2回路有し、この2回路を並列に接続したことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項3】
ヒートポンプ冷媒回路と給湯回路と運転制御手段とを有するものであって、前記ヒートポンプ冷媒回路は、圧縮機と、水と冷媒とを熱交換させる水冷媒熱交換器と、第1膨張弁と、第1蒸発器と、第2膨張弁と、第2蒸発器とを有しこれらを冷媒配管を介して順次接続されて構成されており、前記給湯回路は、前記水冷媒熱交換器と、貯湯タンクと、給湯混合弁と、湯水混合弁と、流量調整弁と、出湯金具とを有しこれらを水配管を介して接続されて構成されており、前記運転制御手段は、前記圧縮機と膨張弁と給湯混合弁と湯水混合弁と流量調整弁を制御するものであり、ヒートポンプ給湯運転時には前記第2膨張弁を開放して第1膨張弁で冷媒を絞り調整し、除霜時は前記第1膨張弁を開放して第1蒸発器を除霜運転するとともに第2膨張弁で冷媒を絞り調整して第2蒸発器がヒートポンプの加熱給湯運転するように制御することを特徴とするヒートポンプ給湯機。
【請求項4】
前記第1蒸発器と第2蒸発器を収容する本体を有し、前記第1蒸発器が外気側、第2蒸発器が内側となるように本体内に並んで配置したことを特徴とする請求項3記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項5】
前記第1蒸発器の外気側面積は前記第2蒸発器の外気側面積よりも大きいことを特徴とする請求項3記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項6】
前記第1蒸発器内の冷媒配管は1列であり、前記第2蒸発器の冷媒配管は2列であることを特徴とする請求項3記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項7】
前記第1蒸発器のフィン間隔が第2蒸発器のフィン間隔よりも大きいことを特徴とする請求項3記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項8】
前記運転制御手段は、給湯運転停止時に前記第1膨張弁と第2膨張弁を開放する運転停止時除霜機能を有することを特徴とする請求項3記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項9】
前記給湯回路は、前記水冷媒熱交換器で加熱した温水を直接前記出湯金具から給湯する直接給湯回路を有することを特徴とする請求項3記載のヒートポンプ給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−322084(P2007−322084A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154145(P2006−154145)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】