説明

ヒートポンプ給湯機

【課題】湯切れが起き難く、利便性に優れ、高効率のヒートポンプ給湯機を提供する。
【解決手段】給湯熱交換器2で加熱された温水を貯湯する貯湯槽5の上部、中間部、下部にそれぞれ接続された出湯管18、中間出湯管21、給水管17と、貯湯槽5の上部と前記上部よりも下部との間に接続され貯湯槽5上部の湯を熱源として浴槽8の湯水を加熱する風呂熱交換器6と、出湯管18と中間出湯管21および給水管17からの湯水を混合して設定された給湯温度になるように調整する給湯、中間混合弁19、22とを備え、給湯要求と風呂加熱要求とが同時にあった場合、風呂熱交換器6で放熱した貯湯槽5上部からの湯の一部または全部を直接給湯に利用するもので、湯の有効利用ができるので湯切れの可能性が少なく、快適性と利便性の向上を図り、かつ、風呂熱交換器6から戻る中温水と貯湯槽5の湯との混合による中温水の生成が少なくなるので運転効率が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風呂の追い焚き機能や暖房機能を備える貯湯式のヒートポンプ給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のヒートポンプ給湯機として、貯湯槽の温水を利用した浴槽の追い焚き機能を持ったものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7は、上記特許文献1に記載された従来のヒートポンプ給湯機の構成図である。
【0004】
図7において、従来のヒートポンプ給湯機は、圧縮機1、冷媒対水熱交換器である給湯熱交換器2及び蒸発器3などを備えたヒートポンプユニット4と、貯湯槽5及び水対水熱交換器である風呂熱交換器6などを備えた給湯ユニット7とから構成されている。前記貯湯槽5は、給湯熱交換器2を用いて前記ヒートポンプユニット4により加熱された湯を貯湯するものである。
【0005】
また、風呂熱交換器6は、貯湯槽5内の湯を循環させて、浴槽8内の湯を加熱するものである。すなわち、貯湯槽5の上部から熱源側循環ポンプ9によって汲み出された湯は、風呂熱交換器6に導かれて、利用側循環ポンプ10によって汲み出された浴槽8内の湯または水を加熱した後に、貯湯槽5に戻る。また、貯湯槽5の湯は、浴槽注湯配管11を通して浴槽8へ注湯され、さらに、蛇口12を開くことにより給湯ができるように構成されている。
【特許文献1】特開2002−243275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のヒートポンプ給湯機の構成では、次のような課題を有していた。
【0007】
風呂の追い焚き運転をするときには、多くの場合、浴槽8の温度は、約40℃前後なので、貯湯槽5の上部から熱源側循環ポンプ9によって汲み出され、風呂熱交換器6に導かれて利用側循環ポンプ10によって汲み出された浴槽8内の湯を加熱した後に貯湯槽5に戻る時の温度は50℃前後である。そして、この貯湯槽5に戻ってきた湯は、貯湯槽5内の湯と混合するが、貯湯槽5の戻り位置の湯温によって混合された湯の温度は異なる。
【0008】
また、一般的に、蓄熱式のヒートポンプ給湯機の場合、電気料金の安い時間帯である深夜時間帯(たとえば23時から翌朝の7時)に貯湯槽5全体を、設定された温度に沸き上げる。
【0009】
この時、貯湯槽5の下部から送られてきた低温の水は、給湯熱交換器2で加熱されて高温の水となって、貯湯槽5の上から貯湯される。この貯湯される高温の水と元々あった低温水との境ははっきりした温度層として分かれているのではなく、高温から低温に変化する混合層が存在する。このため、貯湯槽5全体を設定された温度に沸き上げる沸き上げ運転が、沸き上げ完了に近づけば、この混合層を加熱することになる。この場合、ヒートポンプの特性は、給湯熱交換器2の入口水温によって大きく異なる。
【0010】
つまり、入口水温が高くなるほど圧縮機1の吐出圧力が高くなるため、それに伴って、
運転効率が悪くなり、消費される電力量が多くなる。さらに、入口水温が高温になってくると、急激に吐出圧力が上昇するので、圧縮機1の信頼性確保のため、入口水温が所定の温度になれば、前記沸き上げ運転を終了する。例えば、冬季では、給湯負荷が大きいため、80℃〜90℃に貯湯槽5を沸き上げるが、給湯熱交換器2の入口温度が60℃になれば全量が沸き上がったとして運転を停止する。そして、この深夜に貯湯された湯で、概ね、昼間の給湯負荷を賄うわけである。
【0011】
今、浴槽8内の湯を加熱した後に貯湯槽5に戻ってきた湯と、貯湯槽5の湯とが混合してできた湯の温度が、前記所定の温度(例えば60℃)以上であれば、その湯は、再度高温に沸き上げられることはない。だから、本来、深夜時間帯に貯湯槽5のほぼ全体を設定された温度(冬であれば80℃〜90℃程度)に沸き上げるところを、浴槽8の加熱によって生じた混合層の部分は設定された温度に沸き上げられることなく、そのままで沸き上げ完了となってしまうことがあった。このように貯湯槽5のほぼ全体が高温に沸き上がっていないときには、昼間の給湯負荷に対応できず、湯切れして快適性と利便性に課題があった。
【0012】
他方、浴槽8内の湯を加熱した後に貯湯槽5に戻ってきた湯と、貯湯槽5の湯と混合してできた湯の温度が、前記所定の温度(例えば60℃)以下であれば、その湯は再度高温に沸き上げられる。ところが、浴槽8から送られてきた水を加熱して貯湯槽5に戻る水温が元々高いので、貯湯槽5の湯水と混合して貯湯槽5の温度を上昇させてしまい、60℃以下ではあるが、比較的高い温度になる場合がある。この場合、前述したように、沸き上げ運転の効率が非常に悪くなるという課題があった。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するもので、給湯要求と風呂加熱要求とが同時にあった場合に風呂熱交換器で放熱した貯湯槽上部からの湯の一部または全部を、貯湯槽に戻さず直接給湯に利用することによって、湯切れの可能性を少なくして快適性と利便性の向上を図り、かつ、運転効率向上を図ったヒートポンプ給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記従来の課題を解決するために、本発明のヒートポンプ給湯機は、圧縮機、給湯熱交換器を備えた給湯加熱手段と、前記給湯熱交換器で加熱された温水を貯湯する貯湯槽と、前記貯湯槽の上部に接続された出湯管と、前記貯湯槽の中間部に接続された中間出湯管と、前記貯湯槽の下部に接続された給水管と、風呂熱交換器を途中に設けて前記貯湯槽の上部と前記上部よりも下部とをそれぞれ接続するための風呂熱交換器往き管と風呂熱交換器戻り管とを具備し前記貯湯槽上部の湯を熱源として前記風呂熱交換器を介して浴槽の湯水を加熱する風呂加熱手段と、前記風呂加熱手段を循環する熱源流量を制御する流量制御手段と、給湯温度を設定する給湯温度設定手段と、前記出湯管と前記中間出湯管および前記給水管からの湯水を混合して前記給湯温度設定手段で設定された給湯温度になるように調整する複数の混合弁とを備え、給湯要求と風呂加熱要求とが同時にあった場合、前記風呂熱交換器で放熱した前記貯湯槽上部からの湯の一部または全部を直接給湯に利用するようにしたもので、湯の有効利用ができるので湯切れの可能性を少なくして快適性と利便性の向上を図り、かつ、風呂熱交換器から戻る中温水と貯湯槽の湯との混合による中温水の生成が少なくなるので運転効率の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のヒートポンプ給湯機は、給湯要求と風呂加熱要求とが同時にあった場合、風呂熱交換器で放熱した貯湯槽上部からの湯の一部または全部を貯湯槽に戻さず直接給湯に利用できるので、湯切れの可能性を少なくして快適性と利便性の向上を図り、かつ、風呂熱交換器から戻る中温水と貯湯槽の湯との混合割合が少なくなるので、運転効率の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
第1の発明は、圧縮機、給湯熱交換器を備えた給湯加熱手段と、前記給湯熱交換器で加熱された温水を貯湯する貯湯槽と、前記貯湯槽の上部に接続された出湯管と、前記貯湯槽の中間部に接続された中間出湯管と、前記貯湯槽の下部に接続された給水管と、風呂熱交換器を途中に設けて前記貯湯槽の上部と前記上部よりも下部とをそれぞれ接続するための風呂熱交換器往き管と風呂熱交換器戻り管とを具備し前記貯湯槽上部の湯を熱源として前記風呂熱交換器を介して浴槽の湯水を加熱する風呂加熱手段と、前記風呂加熱手段を循環する熱源流量を制御する流量制御手段と、給湯温度を設定する給湯温度設定手段と、前記出湯管と前記中間出湯管および前記給水管からの湯水を混合して前記給湯温度設定手段で設定された給湯温度になるように調整する複数の混合弁とを備え、給湯要求と風呂加熱要求とが同時にあった場合、前記風呂熱交換器で放熱した前記貯湯槽上部からの湯の一部または全部を直接給湯に利用するようにしたもので、湯の有効利用ができるので湯切れの可能性を少なくして快適性と利便性の向上を図り、かつ、風呂熱交換器から戻る中温水と貯湯槽の湯との混合による中温水の生成が少なくなるので運転効率の向上を図ることができる。
【0017】
第2の発明は、特に、第1の発明の一端が風呂熱交換器に接続された風呂熱交換器戻り管の他端を、中間出湯管の途中に接続したもので、給湯要求と風呂加熱要求とが同時にあった場合、風呂熱交換器で放熱した前記貯湯槽上部からの湯の一部または全部を直接給湯に利用するために、簡単な構成とすることができ、機器の軽量化、小型化、信頼性の向上を図ることができる。
【0018】
第3の発明は、特に、第1の発明の風呂熱交換器に接続された風呂熱交換器戻り管と貯湯槽との接続部と、中間出湯管と前記貯湯槽との接続部とを異なる位置とし、前記中間出湯管と前記風呂熱交換器戻り管とを接続するバイパス管と、前記風呂熱交換器で熱交換した前記貯湯槽の上部の湯の経路を中間出湯管側か前記風呂熱交換器戻り管と前記貯湯槽との接続部側かを選択して切り換える切り換え手段とを備えたもので、風呂加熱時の貯湯槽への戻り位置と中間出湯時の貯湯槽からの取り出し位置とが独立して互いに影響されないので、それぞれ効率の良い中間出湯と風呂加熱ができ、かつ、給湯要求と風呂加熱要求が同時にあった場合、風呂熱交換器で放熱した貯湯槽上部からの湯を貯湯槽に戻さず給湯端末に流して利用するので、快適性と利便性の向上と、かつ、運転効率の向上を図ることができる。
【0019】
第4の発明は、特に、第3の発明の給湯要求と風呂加熱要求とが同時にあった場合、風呂熱交換器で熱交換した貯湯槽上部の湯を中間出湯管側に流れるように切り換え手段を制御するもので、給湯要求と風呂加熱要求が同時にあった場合、風呂熱交換器で放熱した貯湯槽上部からの湯を貯湯槽に戻さず給湯端末に流して利用するので、湯切れの可能性を少なくして快適性と利便性の大幅な向上と、かつ、風呂熱交換器から戻る中温水と貯湯槽の湯とが混合して中温水の生成が少なくなるので運転効率の大幅な向上を図ることができる。
【0020】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか一つの発明の中間出湯管からの湯水と出湯管からの湯とを混合する中間混合弁と、前記中間混合弁からの湯と給水管からの水とを混合する給湯混合弁とを備えたもので、給湯要求と風呂加熱要求とが同時にあった場合、風呂熱交換器で放熱した貯湯槽上部からの湯の一部または全部を貯湯槽に戻さず、給湯端末に通じる流路構成にできるので、簡単な構成で湯を有効利用することができる。
【0021】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか一つの発明の流量制御手段として、風呂熱交換器の熱源側に設けられ貯湯槽の湯を循環させる熱源側循環ポンプと、同じく前記風呂熱
交換器の熱源側に設けられた流量制御弁とを用いたもので、給湯要求と風呂加熱要求とが同時にあった場合でも、風呂熱交換器で放熱した貯湯槽上部からの湯の一部または全部を貯湯槽に戻さず、給湯端末に流して湯を有効利用しながら、安定した信頼性の高い風呂加熱ができる。
【0022】
第7の発明は、特に、第1〜6のいずれか一つの発明の給湯要求と風呂加熱要求が同時にあった場合、風呂熱交換器で熱交換した貯湯槽の上部の湯が中間出湯管を通って前記貯湯槽に戻らないようにする流入防止手段を備えたもので、給湯要求と風呂加熱要求が同時にあった場合、風呂熱交換器で放熱した貯湯槽上部からの湯のすべてを貯湯槽に戻さず給湯端末に流して利用するので、湯切れの可能性を少なくして快適性と利便性の大幅な向上と、かつ、風呂熱交換器から戻る中温水と貯湯槽の湯との混合による中温水の生成が少なくなるので運転効率の大幅な向上を図ることができる。
【0023】
第8の発明は、特に、第5〜7のいずれか一つの発明の中間混合弁の目標混合温度を、給湯温度設定手段で設定された給湯設定温度と風呂熱交換器の熱源側出口の温度に基づいて決定するもので、安定した給湯温度が得られるので、快適性と利便性の向上と運転効率の向上を図ることができる。
【0024】
第9の発明は、特に、第5〜7のいずれか一つの発明の中間混合弁の目標混合温度を、給湯温度設定手段で設定された給湯設定温度と風呂熱交換器の熱源側出口の温度との内でいずれか高い方の温度よりも所定の温度だけ高い温度に設定するもので、安定した給湯温度が得られるので、快適性と利便性の向上と運転効率の向上を図ることができる。
【0025】
第10の発明は、特に、第1〜9のいずれか一つの発明のヒートポンプの冷媒回路は、圧力が臨界圧力以上となる超臨界冷媒回路であり、前記臨界圧力以上に昇圧された冷媒により水を加熱するもので、例えば、冷媒として二酸化炭素を用いれば、高温高効率化と地球環境保全を図ることができる。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるヒートポンプ給湯機の構成図である。尚、上記従来のヒートポンプ給湯機と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0028】
図1において、本実施の形態におけるヒートポンプ給湯機の熱源である給湯加熱手段13は、圧縮機1、給湯熱交換器2、減圧装置14および大気熱を吸熱する蒸発器3からなるヒートポンプサイクルを構成したヒートポンプ熱源である。そして、貯湯槽5の下部から循環ポンプ15、給湯熱交換器2および貯湯槽5の上部を順次接続する沸き上げ回路を構成することによって、貯湯槽5から循環ポンプ15で送られてきた水は、前記給湯熱交換器2で冷媒熱により加熱されて貯湯槽5の上から貯湯される。
【0029】
16は、沸き上げ温度検出手段であり、ヒートポンプ熱源で加熱した湯温を検出するため、給湯熱交換器2の水側の出口に設けられている。そして、高圧側の冷媒圧力が臨界圧力以上となる二酸化炭素を冷媒としている。
【0030】
貯湯槽5への給水は、貯湯槽5の下部に接続された給水管17を通ってなされ、貯湯槽5上部の高温の湯は、出湯管18を通り給湯混合弁19で給水と混合されることによって所定の温度の湯にしてから、給湯管20を通って給湯端末の一つである蛇口12から給湯
される。また、貯湯槽5の中間部に接続された中間出湯管21は、出湯管18の途中に設けられた中間混合弁22に接続されている。
【0031】
風呂加熱手段23は、水水熱交換器である風呂熱交換器6と、それに接続された熱源側水回路23a、利用側水回路23bと、それら熱源側、利用側水回路23a、23bにそれぞれ設けられた熱源側循環ポンプ9と利用側循環ポンプ10などからなる。また風呂熱交換器6の熱源側は、貯湯槽5の上部と風呂熱交換器往き管24で接続され、また貯湯槽5の前記上部よりも下部と接続するために風呂熱交換器戻り管25を備え、前記中間出湯管21の途中に接続されている。
【0032】
そして、浴槽8の加熱は、熱源側循環ポンプ9で貯湯槽5から風呂熱交換器6に送られてきた高温の温水と、利用側循環ポンプ10で浴槽8から風呂熱交換器6に送られてきた水又は温水とが熱交換することによって行われる。
【0033】
また、風呂熱交換器6の熱源側出口には熱源側出口温度を検出する熱源側出口温度検出手段27を、利用側の入口と出口にはそれぞれの水温を検出するために利用側入口温度検出手段28と利用側出口温度検出手段29が設けられている。ここで、熱源側循環ポンプ9が流量制御手段30である。
【0034】
そして、制御手段26と熱源側循環ポンプ9と利用側入口温度検出手段28及び熱源側出口温度検出手段27とで、風呂加熱手段23における熱源側流量を制御することによって風呂熱交換器6での加熱能力を制御する。
【0035】
さらに、給湯混合弁19の出口側には、給湯混合弁19で混合された湯温を検出する給湯温度検出手段31を設け、中間混合弁22の出口側には、中間混合弁22で混合された湯温を検出する中間温度検出手段32を設けている。また、リモコン(図示せず)などで希望する給湯温度を設定する給湯温度設定手段33と、給湯混合弁19と中間混合弁22の動作を制御する混合弁制御手段34とを備えている。
【0036】
また、貯湯槽5の上部の湯と給水管17の水から所定の温度に混合する注湯混合弁35と、注湯開閉弁36とから風呂注湯回路が構成されており、注湯温度検出手段37は前記注湯混合弁35の混合温度を検出する。
【0037】
以上のように構成された本実施の形態におけるヒートポンプ給湯機について、以下にその動作、作用を説明する。
【0038】
図1において、先ず、給湯加熱モードについて説明する。いま、貯湯槽5を沸き上げる要求(図示せず)があると、ヒートポンプ熱源で大気熱を利用した給湯加熱運転を行う。この場合、圧縮機1から吐出された臨界圧力以上の高温高圧の冷媒が給湯熱交換器2に流入し、ここで貯湯槽5の下部から送られてきた水と熱交換し放熱した後、減圧装置14で減圧し、さらに、蒸発器3で大気から熱を吸熱し、ガス化して圧縮機1に戻る。この時、給湯熱交換器2に流入する高温冷媒で給湯熱交換器2の出口水温が所定温度となるように循環ポンプ15の回転数を制御し、所定の温度の湯が貯湯槽5の上部から流入し貯湯される。
【0039】
次に、単独給湯モードについて説明する。給湯端末である蛇口12が開かれると混合弁制御手段34は、中間混合弁22を貯湯槽5側に全開(通常はこの位置が初期設定位置)にする。そして、給湯混合弁19の出口(混合)温度が給湯温度設定手段33で設定された給湯設定温度になるように、給湯温度検出手段31から得られた温度をもとに給湯混合弁19の開度を制御することによって、所定の給湯温度の湯を蛇口12から給湯する。
【0040】
さらに、中間給湯モードについて説明する。給湯端末である蛇口12が開かれると混合弁制御手段34は、中間混合弁22の出口(混合)温度が給湯温度設定手段33で設定された給湯設定温度よりも所定の温度だけ高い温度になるように、貯湯槽5の上部からの湯と中間出湯管21からの湯の混合割合を調整するために 、中間温度検出手段32から得られた温度をもとに、中間混合弁22の開度を制御する。さらに、給湯混合弁19の出口(混合)温度が給湯温度設定手段33で設定された給湯設定温度になるように、中間混合弁22からの湯と給水管17からの水の混合割合を調節するために、給湯温度検出手段31から得られた温度をもとに給湯混合弁19の開度を制御することによって、所定の給湯温度の湯を蛇口12から給湯する。
【0041】
次に、風呂注湯モードについて説明する。リモコンなどで浴槽8への注湯要求(図示せず)があると注湯開閉弁36が開かれる。そして、注湯混合弁35の出口(混合)温度がリモコン(図示せず)などで設定した所定の注湯温度になるように注湯温度検出手段37から得られた温度をもとに注湯混合弁35の開度を調節する。
【0042】
さらに、通常の単独風呂加熱モードについて説明する。いま、風呂の加熱要求(図示せず)があると、利用側循環ポンプ10を駆動する。そして、制御手段26は、熱源側循環ポンプ9を駆動する。利用側循環ポンプ10によって浴槽8から送られてきた水は、熱源側循環ポンプ9によって送られてきた貯湯槽5上部の高温の湯と、風呂熱交換器6で熱交換して加熱されて浴槽8に戻る。
【0043】
また、熱源側循環ポンプ9によって貯湯槽5から送られてきた高温の湯は、前述した利用側循環ポンプ10によって送られてきた浴槽8の湯と、風呂熱交換器6で熱交換して貯湯槽5に戻る。このとき、制御手段26は、必要な能力で効率よく風呂加熱するために、熱源側循環ポンプ9の流量を制御する。
【0044】
例えば、風呂熱交換器6の熱源側出口温度と風呂熱交換器6の利用側入口温度との温度差に応じて熱源側の温水の流量を制御する。つまり、制御手段26は、熱源側出口温度検出手段27と利用側入口温度検出手段28とから得られた風呂熱交換器6の熱源側出口温度と利用側入口温度を検出し、この両者の温度差が所定の温度(例えば5K)になるように熱源側循環ポンプ9の回転数を制御する。このように制御すれば、浴槽8の温度が変化しても貯湯槽5への戻り温度も比較的低くすることができ、かつ、風呂加熱能力も比較的大きくすることができる。
【0045】
次に、給湯要求と風呂加熱要求とが同時にあった場合の同時給湯風呂加熱モードについて説明する。
【0046】
まず、給湯要求として給湯端末である蛇口12が開かれると、混合弁制御手段34は、中間混合弁22の出口(混合)温度が給湯温度設定手段33で設定された給湯設定温度よりも所定の温度だけ高い温度になるように、貯湯槽5の上部からの湯と中間出湯管21からの湯の混合割合を調整するために 、中間温度検出手段32から得られた温度をもとに中間混合弁22の開度を制御する。さらに、給湯混合弁19の出口(混合)温度が給湯温度設定手段33で設定された給湯設定温度になるように、中間混合弁22からの湯と給水管17からの水の混合割合を調節するために、給湯温度検出手段31から得られた温度をもとに、給湯混合弁19の開度を制御することによって、所定の給湯温度の湯を蛇口12から給湯する。
【0047】
さらに、風呂加熱要求も同時にあるので、単独風呂加熱モードと同様、利用側循環ポンプ10を駆動する。そして、制御手段26は、風呂熱交換器6の熱源側出口温度と風呂熱
交換器6の利用側入口温度との温度差に応じて熱源側循環ポンプ9の回転数を調節することによって、熱源側の温水の流量を制御する。このとき、利用側循環ポンプ10によって浴槽8から送られてきた水は、熱源側循環ポンプ9によって送られてきた貯湯槽5上部の高温の湯と、風呂熱交換器6で熱交換して加熱されて浴槽8に戻る。
【0048】
そして、熱源側循環ポンプ9によって貯湯槽5から送られてきた高温の湯は、前述した利用側循環ポンプ10によって送られてきた浴槽8の湯と、風呂熱交換器6で熱交換して中間出湯管21との接続個所に至る。そして、この接続箇所に至った湯の全部または一部は、前述したように、中間混合弁22に送られて貯湯槽5上部からの湯と混合し、さらに、給湯混合弁19で給水管17からの水と混合して、所定の給湯温度の湯となって蛇口12から給湯される。一方、中間出湯管21との接続個所に至って中間混合弁22側に流れなかった残りの湯は貯湯槽5に戻る。
【0049】
図7に示す従来のヒートポンプ給湯機であれば、風呂加熱に使用された貯湯槽5の湯はすべて貯湯槽5に戻り、貯湯槽5の湯と混合し、最終的には再度高温に沸き上げていた。しかし、本実施の形態では、風呂加熱に使用された貯湯槽5の湯の一部または全部を直接給湯に使用するため、湯に与えられた熱量をすべて使い切ることになり、効率が大幅に向上する。また、貯湯槽5に戻る湯が少なくなるので、貯湯槽5の湯または水と混合して高温の湯の温度を低下させたり、低温の湯または水の温度を上昇させることも少なくなるので、湯切れや沸き上げの効率低下などが発生し難くなる。
【0050】
上記実施の形態では、混合弁制御手段34は、給湯温度設定手段33で設定された給湯設定温度よりも高い温度に設定された目標混合温度になるように中間温度検出手段32から得られた温度をもとに中間混合弁22の開度を制御するとしたが、給湯温度設定手段33で設定された給湯設定温度と風呂熱交換器6の熱源側出口の温度とから決定する方が、更に、風呂加熱に使用された貯湯槽5の湯を有効に使用することができる。
【0051】
つまり、目標混合温度が、風呂熱交換器6の熱源側出口温度よりも低いと、中間混合弁22の開度は低温側入口の方向に全開となる。この時、給湯流量が多い場合には、風呂熱交換器6の熱源側の流量制御ができない状態が生じる可能性があるので、中間混合弁22の目標混合温度は、風呂熱交換器6の熱源側出口温度より高く設定する必要がある。さらに、中間混合弁22で混合された湯は、給湯混合弁19の高温側入口に入るので、中間混合弁22の目標混合温度は、給湯温度設定手段33で設定された給湯設定温度よりも高くする必要がある。結局、中間混合弁22の目標混合温度は、給湯温度設定手段33で設定された給湯設定温度と風呂熱交換器6の熱源側出口温度との内で高い方の温度よりも所定の温度だけ高い温度に設定すればよい。
【0052】
また、同時給湯風呂加熱モードで風呂加熱を行っていると浴槽温度が上昇してきて、浴槽に戻ってくる湯温が高くなってきて、入浴中の人が不快になることがある。これは風呂熱交換器6の熱源側流量が大きく能力が出すぎている場合である。この場合には、風呂熱交換器6の熱源側流量を下げる必要がある。だから、利用側出口温度検出手段29が所定の温度(例えば60℃)以上になった場合、混合弁制御手段34は、中間混合弁22の目標混合温度を上げるように制御する。このようにすれば、中間混合弁22の開度は高温側入口の方向に開き、逆に低温側入口は閉じる方向になるので、風呂熱交換器6の熱源側流量が減少して、浴槽に戻ってくる湯温が低くなり、高温の湯が浴槽に戻ることを防止できるので、快適性の向上を図ることができる。
【0053】
また、ヒートポンプに用いられる冷媒は、二酸化炭素であるため、貯湯槽5に高温度(およそ90℃)の湯を貯湯することができるので、湯切れを防止することができ、かつ、高効率化と地球環境保全を図ることができる。
【0054】
なお、上記説明では、貯湯槽5の高温湯で風呂加熱する構成としていたが、風呂加熱に限らず、貯湯槽5の熱を利用した暖房や浴室暖房乾燥機などの用途にも適用できる。
【0055】
(実施の形態2)
図2は、本発明の第2の実施の形態におけるヒートポンプ給湯機の構成図である。本実施の形態におけるヒートポンプ給湯機は、風呂熱交換器戻り管25の途中に流量制御弁38を設けたもので、他の構成は、上記第1の実施の形態におけるヒートポンプ給湯機と同一なので、同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0056】
ここでは、熱源側循環ポンプ9と流量制御弁38とで流量制御手段30を形成している。そして、制御手段26と、熱源側循環ポンプ9と、利用側入口温度検出手段28と、熱源側出口温度検出手段27及び流量制御弁38とで、風呂加熱手段23における熱源側流量を制御することによって風呂熱交換器6での加熱能力を制御する。
【0057】
以上のように構成されたヒートポンプ給湯機について、以下にその動作、作用を説明する。
【0058】
なお、給湯加熱モード、単独給湯モード、中間給湯モード、風呂注湯モード、単独風呂加熱モードについては、上記第1の実施の形態と同じなので説明は省略し、給湯要求と風呂加熱要求とが同時にあった場合の同時給湯風呂加熱モードについて説明する。
【0059】
この場合、給湯混合弁19の制御は、単独給湯モードの場合と同じである。制御手段26は、先ず、流量制御弁38を初期開度(例えば、全開)に設定する。そして、熱源側循環ポンプ9の流量の制御を行う。つまり、風呂熱交換器6の熱源側出口温度と風呂熱交換器6の利用側入口温度との温度差に応じて熱源側の温水の流量を制御する。
【0060】
さらに、混合弁制御手段34は、給湯温度設定手段33で設定された給湯設定温度よりも高い温度に設定された目標混合温度になるように、中間温度検出手段32から得られた温度をもとに、中間混合弁22の開度を制御する。しかし、給湯流量が多くなってくると熱源側循環ポンプ9だけでは、風呂熱交換器6の熱源側流量を制御できなくなる場合がある。すなわち、熱源側循環ポンプ9の回転数を最小回転数または停止しても、熱源側流量が大きくなりすぎて、風呂熱交換器6の熱源側出口温度と風呂熱交換器6の利用側入口温度との温度差を目標の温度差に制御できなくなる場合である。
【0061】
このような場合には、流量制御弁38の開度を絞り、熱源側の流量を小さくする。すなわち、制御手段26が、風呂熱交換器6の熱源側出口温度と風呂熱交換器6の利用側入口温度との温度差を目標の温度差になるように熱源側循環ポンプ9の回転数を制御し、その結果、熱源側循環ポンプ9の回転数を最小回転数または停止しても、前記温度差が目標の温度差より大きい所定の温度差になれば、流量制御弁38の開度を制御することによって、前記温度差を目標の温度差に制御する。
【0062】
逆に、流量制御弁38の開度が全開になっても、前記温度差が目標の温度差より小さい所定の温度差になれば、熱源側循環ポンプ9の回転数で前記温度差を目標の温度差になるように制御する。
【0063】
なお、上記実施の形態では、流量制御弁38を風呂熱交換器戻り管の25の途中に設けたが、中間出湯管21と風呂熱交換器戻り管25の接続位置よりも上流側の中間出湯管21に流量制御弁38を設けても同様の効果が得られる。
【0064】
このようにすれば、給湯流量が多い場合や変動した場合でも、風呂加熱に使用された貯湯槽5の湯の一部または全部を直接給湯に使用することによって効率向上を図りつつ、効率よい安定した信頼性の高い風呂加熱を実現することができる。
【0065】
(実施の形態3)
図3は、本発明の第3の実施の形態におけるヒートポンプ給湯機の構成図である。本実施の形態におけるヒートポンプ給湯機は、風呂熱交換器戻り管25と中間出湯管21との接続位置よりも貯湯槽5側の中間出湯管21の途中に前記貯湯槽5方向の流れを防止する流入防止手段39を設けたもので、他の構成は、上記第1の実施の形態におけるヒートポンプ給湯機と同一なので、同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0066】
以上のように構成された本実施の形態におけるヒートポンプ給湯機について、以下にその動作、作用を説明する。
【0067】
なお、給湯加熱モード、単独給湯モード、風呂注湯モード、単独風呂加熱モードについては、上記第1の実施の形態と同じなので説明は省略し、中間給湯モードと給湯要求と風呂加熱要求とが同時にあった場合の同時給湯風呂加熱モードについて説明する。
【0068】
まず、中間給湯モードについて説明する。 この場合、流入防止手段39で流路を開ける。後の動作、作用は、第1の実施の形態と同様なので、説明は省略する。
【0069】
次に、同時給湯風呂加熱モードについて説明する。この場合、流入防止手段39で流路を閉じる。そして、第1の実施の形態と同様に、給湯要求として給湯端末である蛇口12が開かれると、混合弁制御手段34は、中間混合弁22の出口(混合)温度が、給湯温度設定手段33で設定された給湯設定温度よりも所定の温度だけ高い温度になるように、貯湯槽5の上部からの湯と中間出湯管21からの湯の混合割合を調整するために 、中間温度検出手段32から得られた温度をもとに、中間混合弁22の開度を制御する。
【0070】
さらに、給湯混合弁19の出口(混合)温度が、給湯温度設定手段33で設定された給湯設定温度になるように、中間混合弁22からの湯と給水管17からの水の混合割合を調節するために、給湯温度検出手段31から得られた温度をもとに給湯混合弁19の開度を制御することによって、所定の給湯温度の湯を蛇口12から給湯する。さらに、風呂加熱要求も同時にあるので、単独風呂加熱モードと同様、利用側循環ポンプ10を駆動する。
【0071】
そして、制御手段26は、風呂熱交換器6の熱源側出口温度と風呂熱交換器6の利用側入口温度との温度差に応じて熱源側循環ポンプ9の回転数を調節することによって、熱源側の温水の流量を制御する。
【0072】
このとき、利用側循環ポンプ10によって浴槽8から送られてきた水は、熱源側循環ポンプ9によって送られてきた貯湯槽5上部の高温の湯と、風呂熱交換器6で熱交換して加熱されて浴槽8に戻る。そして、熱源側循環ポンプ9によって貯湯槽5から送られてきた高温の湯は、前述した利用側循環ポンプ10によって送られてきた浴槽8の湯と、風呂熱交換器6で熱交換して中間出湯管21との接続個所に至る。そして、流入防止手段39で貯湯槽5側への流入が防止されているので、この接続箇所に至ったすべての湯が中間混合弁22に送られて貯湯槽5上部からの湯と混合し、さらに、給湯混合弁19で給水管17からの水と混合して、所定の給湯温度の湯となって蛇口12から給湯される。
【0073】
以上のように、風呂加熱に使用された貯湯槽5の湯のすべてを直接給湯に使用するため、湯に与えられた熱量をすべて使い切ることになり、効率が大幅に向上する。また、貯湯槽5に戻る湯がなくなるので、貯湯槽5の湯または水と混合して湯の温度を低下させたり
、水の温度を上昇させることもないので、湯切れや沸き上げの効率が低下することが無い。
【0074】
なお、上記第2の実施の形態で述べた流量制御弁38を備え、熱源側循環ポンプ9と流量制御弁38とで流量制御手段30を形成して、制御手段26と熱源側循環ポンプ9と利用側入口温度検出手段28と熱源側出口温度検出手段27及び流量制御弁38とで、風呂加熱手段23における熱源側流量を制御することにしても、同様の作用、効果が得られる。
【0075】
さらに、図4に示すように、注湯混合弁35の高温側入口を貯湯槽5の上部でなく、中間混合弁22の混合(出口)側に接続しても良い。すなわち、浴槽8への差し湯などの要求と風呂の加熱要求とが同時にあった場合、混合弁制御手段34は、中間混合弁22の出口(混合)温度がリモコン(図示せず)などで設定した所定の注湯温度よりも所定の温度だけ高い温度になるように、貯湯槽5の上部からの湯と中間出湯管21からの湯の混合割合を調整するために 、中間温度検出手段32から得られた温度をもとに中間混合弁22の開度を制御する。さらに、注湯混合弁35の出口(混合)温度が前記所定の注湯温度になるように、中間混合弁22からの湯と給水管17からの水の混合割合を調節するために、注湯温度検出手段37から得られた温度をもとに注湯混合弁35の開度を制御することによって、所定の注湯温度の湯を浴槽8に注湯する。なお、風呂加熱手段23の動作と作用は、図3の場合と同様なので説明は省略する。
【0076】
このようにすれば、風呂熱交換器6で放熱した貯湯槽5上部からの湯の一部または全部を直接風呂の差し湯などに利用できるため、湯切れの可能性が少なくなり、快適性と利便性の向上と、風呂熱交換器6から戻る中温水と貯湯槽5の湯との混合による中温水の生成が少なくなるので運転効率の向上とを図ることができる。
【0077】
(実施の形態4)
図5は、本発明の第4の実施の形態におけるヒートポンプ給湯機の構成図である。
【0078】
本実施の形態におけるヒートポンプ給湯機と、図1に示す第1の実施の形態におけるヒートポンプ給湯機と異なるところは、図5に示すように、風呂熱交換器6に接続された風呂熱交換器戻り管25を貯湯槽5に接続し、また、この接続位置を中間出湯管21と貯湯槽5との接続位置と異なる位置としたことである。さらに、中間出湯管21の途中と風呂熱交換器戻り管25の途中とを接続するバイパス管40と、風呂熱交換器6で熱交換した貯湯槽5上部の湯の経路を中間出湯管21側か風呂熱交換器戻り管25と貯湯槽5との接続部側かを選択して切り換える切り換え手段41とを備えたもので、他の構成は、上記第1の実施の形態におけるヒートポンプ給湯機と同一なので、同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0079】
以上のように構成されたヒートポンプ給湯機について、以下にその動作、作用を説明する。なお、給湯加熱モード、単独給湯モード、風呂注湯モードについては、図1の第1の実施の形態と同じなので説明は省略し、単独風呂加熱モードと給湯要求と風呂加熱要求とが同時にあった場合の同時給湯風呂加熱モードとについて説明する。
【0080】
まず、単独風呂加熱モードについて説明する。いま、風呂の加熱要求(図示せず)があると、利用側循環ポンプ10を駆動し、切り換え手段41を貯湯槽5側に通じるように切り換える。そして、制御手段26は、熱源側循環ポンプ9を駆動する。
【0081】
利用側循環ポンプ10によって浴槽8から送られてきた水は、熱源側循環ポンプ9によって送られてきた貯湯槽5上部の高温の湯と、風呂熱交換器6で熱交換して加熱されて浴
槽8に戻る。また、熱源側循環ポンプ9によって貯湯槽5から送られてきた高温の湯は、前述した利用側循環ポンプ10によって送られてきた浴槽8の湯と、風呂熱交換器6で熱交換した後、切り換え手段41を通って貯湯槽5に戻る。このとき、前述したように、制御手段26は、必要な能力で効率よく風呂加熱するために、熱源側循環ポンプ9の流量を制御する。
【0082】
次に、給湯要求と風呂加熱要求とが同時にあった場合の同時給湯風呂加熱モードについて説明する。まず、給湯要求として給湯端末である蛇口12が開かれると混合弁制御手段34は、中間混合弁22の出口(混合)温度が給湯温度設定手段33で設定された給湯設定温度よりも所定の温度だけ高い温度になるように、貯湯槽5の上部からの湯と中間出湯管21からの湯の混合割合を調整するために 、中間温度検出手段32から得られた温度をもとに中間混合弁22の開度を制御する。
【0083】
さらに、給湯混合弁19の出口(混合)温度が給湯温度設定手段33で設定された給湯設定温度になるように、中間混合弁22からの湯と給水管17からの水の混合割合を調節するために、給湯温度検出手段31から得られた温度をもとに給湯混合弁19の開度を制御することによって、所定の給湯温度の湯を蛇口12から給湯する。
【0084】
さらに、風呂加熱要求も同時にあるので、利用側循環ポンプ10を駆動し、切り換え手段41を中間出湯管21側に通じるように切り換える。そして、制御手段26は、風呂熱交換器6の熱源側出口温度と風呂熱交換器6の利用側入口温度との温度差に応じて熱源側循環ポンプ9の回転数を調節することによって、熱源側の温水の流量を制御する。
【0085】
このとき、利用側循環ポンプ10によって浴槽8から送られてきた水は、熱源側循環ポンプ9によって送られてきた貯湯槽5上部の高温の湯と、風呂熱交換器6で熱交換して加熱されて浴槽8に戻る。
【0086】
そして、熱源側循環ポンプ9によって貯湯槽5から送られてきた高温の湯は、前述した利用側循環ポンプ10によって送られてきた浴槽8の湯と、風呂熱交換器6で熱交換した後、切り換え手段41を通って、バイパス管40と中間出湯管21との接続個所に至る。そして、この接続箇所に至った湯の全部または一部は、中間混合弁22に送られて貯湯槽5上部からの湯と混合し、さらに、給湯混合弁19で給水管17からの水と混合して、所定の給湯温度の湯となって蛇口12から給湯される。
【0087】
一方、バイパス管40と中間出湯管21との接続個所に至って中間混合弁22側に流れなかった残りの湯は貯湯槽5に戻る。
【0088】
このようにすれば、風呂加熱時の貯湯槽5への戻り位置と中間出湯時の貯湯槽5からの取り出し位置とが独立して互いに影響されないので、それぞれ効率の良い中間出湯と風呂加熱ができ、かつ、給湯要求と風呂加熱要求が同時にあった場合、風呂熱交換器6で放熱した貯湯槽5上部からの湯を貯湯槽5に戻さず給湯端末に流して利用するので、快適性と利便性の向上と、かつ、運転効率の向上を図ることができる。
【0089】
なお、図5に示すように、図2の第2の実施の形態で述べた流量制御弁38を設け、熱源側循環ポンプ9と流量制御弁38とで流量制御手段30を形成すれば、第2の実施の形態で述べたような効果も得られる。
【0090】
さらに、図3の第3の実施の形態で述べた流入防止手段39を、中間出湯管21とバイパス管40との接続箇所よりも貯湯槽5側の中間出湯管21の途中に設けても第3の実施の形態で述べたような効果も得られる。
【0091】
また、図5では、風呂熱交換器戻り管25と貯湯槽5との接続位置を、中間出湯管21と貯湯槽5との接続位置よりも下部にしているが、中間出湯管21と貯湯槽5との接続位置よりも上部か同じ高さにしても同様の作用、効果が得られる。
【0092】
さらに、図6に示すように、注湯混合弁35の高温側入口を貯湯槽5の上部でなく、中間混合弁22の混合(出口)側に接続しても良い。すなわち、浴槽8への差し湯などの要求と風呂の加熱要求とが同時にあった場合、混合弁制御手段34は、中間混合弁22の出口(混合)温度がリモコン(図示せず)などで設定した所定の注湯温度よりも所定の温度だけ高い温度になるように、貯湯槽5の上部からの湯と中間出湯管21からの湯の混合割合を調整するために 、中間温度検出手段32から得られた温度をもとに中間混合弁22の開度を制御する。
【0093】
さらに、注湯混合弁35の出口(混合)温度が、前記所定の注湯温度になるように、中間混合弁22からの湯と給水管17からの水の混合割合を調節するために、注湯温度検出手段37から得られた温度をもとに注湯混合弁35の開度を制御することによって、所定の注湯温度の湯を浴槽8に注湯する。
【0094】
なお、風呂加熱手段23の動作と作用は、図5の場合と同様なので説明は省略する。このようにすれば、風呂熱交換器6で放熱した貯湯槽5上部からの湯の一部または全部を直接風呂の差し湯などに利用できるため、湯切れの可能性を少なくし、快適性と利便性の向上と、風呂熱交換器6から戻る中温水と貯湯槽5の湯との混合による中温水の生成が少なくなるので運転効率の向上とを図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上のように、本発明にかかるヒートポンプ給湯機は、貯湯槽の高温湯で浴槽などの放熱手段を加熱した後の温度低下した湯を直接給湯に使用する構成としているため、湯切れの防止と運転効率の向上を図ることができるもので、風呂加熱に限らず、貯湯熱を利用した暖房や浴室暖房乾燥機などの用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるヒートポンプ給湯機の構成図
【図2】本発明の第2の実施の形態におけるヒートポンプ給湯機の構成図
【図3】本発明の第3の実施の形態におけるヒートポンプ給湯機の構成図
【図4】本発明の第3の実施の形態における他の実施例を示すヒートポンプ給湯機の構成図
【図5】本発明の第4の実施の形態におけるヒートポンプ給湯機の構成図
【図6】本発明の第4の実施の形態における他の実施例を示すヒートポンプ給湯機の構成図
【図7】従来のヒートポンプ給湯機の構成図
【符号の説明】
【0097】
1 圧縮機
2 給湯熱交換器
5 貯湯槽
6 風呂熱交換器
8 浴槽
17 給水管
18 出湯管
19 給湯混合弁(混合弁)
21 中間出湯管
22 中間混合弁(混合弁)
23 風呂加熱手段
24 風呂熱交換器往き管
25 風呂熱交換器戻り管
30 流量制御手段
33 給湯温度設定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、給湯熱交換器を備えた給湯加熱手段と、前記給湯熱交換器で加熱された温水を貯湯する貯湯槽と、前記貯湯槽の上部に接続された出湯管と、前記貯湯槽の中間部に接続された中間出湯管と、前記貯湯槽の下部に接続された給水管と、風呂熱交換器を途中に設けて前記貯湯槽の上部と前記上部よりも下部とをそれぞれ接続するための風呂熱交換器往き管と風呂熱交換器戻り管とを具備し前記貯湯槽上部の湯を熱源として前記風呂熱交換器を介して浴槽の湯水を加熱する風呂加熱手段と、前記風呂加熱手段を循環する熱源流量を制御する流量制御手段と、給湯温度を設定する給湯温度設定手段と、前記出湯管と前記中間出湯管および前記給水管からの湯水を混合して前記給湯温度設定手段で設定された給湯温度になるように調整する複数の混合弁とを備え、給湯要求と風呂加熱要求とが同時にあった場合、前記風呂熱交換器で放熱した前記貯湯槽上部からの湯の一部または全部を直接給湯に利用するようにしたことを特徴とするヒートポンプ給湯機。
【請求項2】
一端が風呂熱交換器に接続された風呂熱交換器戻り管の他端を、中間出湯管の途中に接続したことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項3】
風呂熱交換器に接続された風呂熱交換器戻り管と貯湯槽との接続部と、中間出湯管と前記貯湯槽との接続部とを異なる位置とし、前記中間出湯管と前記風呂熱交換器戻り管とを接続するバイパス管と、前記風呂熱交換器で熱交換した前記貯湯槽の上部の湯の経路を中間出湯管側か前記風呂熱交換器戻り管と前記貯湯槽との接続部側かを選択して切り換える切り換え手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項4】
給湯要求と風呂加熱要求とが同時にあった場合、風呂熱交換器で熱交換した貯湯槽上部の湯を中間出湯管側に流れるように切り換え手段を制御することを特徴とする請求項3に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項5】
中間出湯管からの湯水と出湯管からの湯とを混合する中間混合弁と、前記中間混合弁からの湯と給水管からの水とを混合する給湯混合弁とを備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項6】
流量制御手段として、風呂熱交換器の熱源側に設けられ貯湯槽の湯を循環させる熱源側循環ポンプと、同じく前記風呂熱交換器の熱源側に設けられた流量制御弁とを用いた請求項1〜5のいずれかに記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項7】
給湯要求と風呂加熱要求が同時にあった場合、風呂熱交換器で熱交換した貯湯槽の上部の湯が中間出湯管を通って前記貯湯槽に戻らないようにする流入防止手段を備えた請求項1〜6のいずれかに1項に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項8】
中間混合弁の目標混合温度を、給湯温度設定手段で設定された給湯設定温度と風呂熱交換器の熱源側出口の温度に基づいて決定する請求項5〜7のいずれか1項に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項9】
中間混合弁の目標混合温度を、給湯温度設定手段で設定された給湯設定温度と風呂熱交換器の熱源側出口の温度との内でいずれか高い方の温度よりも所定の温度だけ高い温度に設定することとした請求項5〜7のいずれか1項に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項10】
ヒートポンプの冷媒回路は、圧力が臨界圧力以上となる超臨界冷媒回路であり、前記臨界圧力以上に昇圧された冷媒により水を加熱する請求項1〜9のいずれか1項に記載のヒートポンプ給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−249169(P2008−249169A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87449(P2007−87449)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「高密度実装技術を用いたCO2ヒートポンプ給湯器の小型化開発」に関する委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】