説明

ビスフェノール触媒及びビスフェノールの製造方法

本発明は、ビスフェノールの製造に際して触媒を製造し使用する方法に関し、詳しくは、ポリ硫黄メルカプタン促進剤を含む触媒を製造し、ビスフェノールA及びその誘導体の製造に際してこれらの触媒を使用する方法に関する。ポリ硫黄基は、窒素又はリンを含む正に帯電した官能基(好ましくは窒素複素環)からのペンダントである。かかる触媒は、プロトン酸官能基を含む固体酸担体成分(好ましくはスルホン化ポリマー樹脂)も含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスフェノールの製造のための触媒を製造し使用する方法、詳しくは、結合したポリ硫黄メルカプタン促進剤を含む触媒を製造し、ビスフェノールA及びその誘導体の製造に際してこれらの触媒を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
4,4′−イソプロピリデンジフェノール(例えば、ビスフェノールA(BPA))のような典型的なビスフェノールは、エンジニアリングサーモプラスチックのようなポリマー材料の製造用のモノマーとして広く使用されている。例えば、BPAはポリカーボネートの製造で使用される主要モノマーである。ビスフェノールは、一般に、酸性触媒組成物の存在下でアルデヒド又はケトン(例えば、アセトン)を芳香族ヒドロキシ化合物(例えば、フェノール)に求電子付加させることで製造される。これらの種類の反応は、酸触媒縮合反応ともいわれる。商業的には、ジビニルベンゼンで架橋したスルホン化ポリスチレン樹脂(例えば、PS−DVB)が触媒組成物の固体酸成分として通例使用される。所望縮合反応の反応速度及び選択性を向上させるため、触媒組成物の一部として反応促進剤を使用することもできる。BPAの場合、所望の選択性はパラ−パラ異性体(pp−BPA)に対するものである。促進剤は、バルク反応媒質中に非結合分子として存在することができ(例えば、「バルク促進剤」)、或いはイオン結合を介して樹脂に結合することができる(例えば、「結合促進剤」)。有用な種類の促進剤は、メルカプタン(詳しくはチオール)、例えば硫化水素の誘導体である有機硫黄化合物である。典型的なメルカプタン促進剤はただ1つの硫黄原子を含み、異性体選択性の悪いビスフェノール生成を触媒する触媒組成物を与える。BPAの場合、所望されない選択性はオルト−パラ異性体(op−BPA)に対するものである。その結果、ビスフェノールの製造に際して選択的である新規で改良された触媒組成物及びその製造方法に対する、長い間痛感されながら未だに満たされないニーズが存在している。本明細書中には、ポリ硫黄メルカプタン促進剤を含む触媒組成物の製造方法が開示される。ポリ硫黄メルカプタン促進剤の使用は、ビスフェノールの生成に際して極めて選択的である触媒組成物を与える。
【特許文献1】米国特許第5414151号明細書
【特許文献2】米国特許第5428075号明細書
【特許文献3】米国特許第5932731号明細書
【特許文献4】特開平11−179210号公報
【特許文献5】特開平11−246458号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態では、本発明は、芳香族ヒドロキシ化合物とカルボニル含有化合物からのビスフェノールの生成を触媒する触媒組成物の製造方法であって、プロトン酸官能基を含む固体酸担体成分に、以下の構造(I)を有するポリ硫黄メルカプタン促進剤成分を結合する段階を含んでなる方法に関する。
【0004】
【化1】

【0005】
式中、Rは正に帯電したアンモニウム官能基、正に帯電したグアニジニウム官能基、正に帯電したホスホニウム官能基及び中性アミンからなる群から選択される官能基であり、
aは約0〜約11であり、
bは約1〜約11であり、
cは約1〜約11であり、
dは約1〜約5であり、
Xは、炭素原子数約1〜約11の線状脂肪鎖、炭素原子数約5以上の脂環式環、炭素原子数約6以上の芳香族環、炭素原子数約3以上の脂環式複素環及び炭素原子数約3以上の芳香族複素環からなる群から選択される1種である連結官能基であり、
Yは、炭素原子数約1〜約11の線状脂肪鎖、炭素原子数約5以上の脂環式環、炭素原子数約6以上の芳香族環、炭素原子数約3以上の脂環式複素環及び炭素原子数約3以上の芳香族複素環からなる群から選択される1種である連結官能基であり、
は、水素、第三脂肪族官能基、エステル官能基、カーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合したベンジル系官能基からなる群から選択される1種である。
【0006】
別の実施形態では、本発明は、ビスフェノールの生成方法であって、固体酸成分と以下の構造(I)を有するポリ硫黄メルカプタン促進剤成分とを含む触媒組成物の存在下で芳香族ヒドロキシ化合物をカルボニル含有化合物と反応させる段階を含んでなる方法に関する。
【0007】
【化2】

【0008】
式中、Rは正に帯電したアンモニウム官能基、正に帯電したグアニジニウム官能基、正に帯電したホスホニウム官能基及び中性アミンからなる群から選択される官能基であり、
aは約0〜約11であり、
bは約1〜約11であり、
cは約1〜約11であり、
dは約1〜約5であり、
Xは、炭素原子数約1〜約11の線状脂肪鎖、炭素原子数約5以上の脂環式環、炭素原子数約6以上の芳香族環、炭素原子数約3以上の脂環式複素環及び炭素原子数約3以上の芳香族複素環からなる群から選択される1種である連結官能基であり、
Yは、炭素原子数約1〜約11の線状脂肪鎖、炭素原子数約5以上の脂環式環、炭素原子数約6以上の芳香族環、炭素原子数約3以上の脂環式複素環及び炭素原子数約3以上の芳香族複素環からなる群から選択される1種である連結官能基であり、
は、水素、第三脂肪族官能基、エステル官能基、カーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合したベンジル系官能基からなる群から選択される1種である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、ビスフェノールの製造のための触媒を製造し使用する方法に関し、芳香族ヒドロキシ化合物とカルボニル含有化合物からのビスフェノールの生成を効果的に触媒し得る結合促進剤触媒の製造に適している。本発明に関しては、「触媒」という用語は組成物をいい、組成物の構成要素を「成分」という。本発明に関しては、典型的な触媒は、一般にプロトン酸官能基を含むポリマー材料(「樹脂」ともいう)である「担体」成分と、一般に有機化合物である「促進剤」成分とからなっている。本明細書中で使用する「官能基」という用語は、それが存在することで官能基が結合した分子に特有の性質を付与する原子又は(1つの単位として作用する)原子団として定義される。本発明に関しては、「プロトン酸官能基」は、触媒のポリマー担体成分に共有結合した原子団であって、プロトン源(例えば、ブレンステッド酸)として作用し得ると共に、脱プロトン時には対陰イオンが陽イオンに帯電した促進剤成分とのイオン結合の陰イオン部分として役立ち得る原子団として定義される。担体成分の好適な例は、12%以下のジビニルベンゼンで架橋したポリスチレン樹脂である。担体成分に結合したプロトン酸官能基の好適な例は、脱プロトン時にスルホネート陰イオン官能基を生じるスルホン酸官能基、脱プロトン時にホスホネート陰イオン官能基を生じるホスホン酸官能基、及び脱プロトン時にカルボキシレート陰イオン官能基を生じるカルボン酸官能基である。例えば、本発明の一実施形態では、担体成分は4%のジビニルベンゼンで架橋させると共にスルホン酸基で官能化したポリスチレン樹脂である。
【0010】
促進剤成分は、通例は安定な陽イオン化学種を容易に生成し得る有機化合物である。典型的な促進剤成分は、1以上のメルカプタン鎖官能基と、メルカプタン鎖官能基が共有結合した有機骨格官能基とを含んでいる。本明細書中で使用する「メルカプタン鎖官能基」という用語は、硫化水素の誘導体である有機硫黄官能基として定義される。本発明に関しては、典型的なメルカプタン鎖官能基(即ち、−{[(X)−S]−(Y)−S−R})は2以上の硫黄原子を含んでいる。一実施形態では、単一のメルカプタン鎖中に12以下の硫黄原子が存在し得る。例えば、式−{[(X)−S]−(Y)−S−R}で定義される鎖においてbは約1〜約12である。典型的なメルカプタン鎖官能基中の硫黄原子は、各種の有機リンカー官能基(例えば、X及びY)で結合されている。本発明に関しては、典型的なリンカー官能基には、特に限定されないが、炭素原子数約1〜約11の線状脂肪鎖、炭素原子数約5以上の脂環式環、炭素原子数約6以上の芳香族環、炭素原子数約3以上の脂環式複素環及び炭素原子数約3以上の芳香族複素環がある。「有機骨格官能基」という用語は、1以上のメルカプタン鎖官能基と共有結合できると共に、イオン結合の陽イオン部分として作用し得る安定な陽イオン化学種を生成できる有機官能基として定義される。有機骨格官能基の好適な例には、特に限定されないが、アルキルアンモニウム官能基、アルキルグアニジニウム官能基、アルキルホスホニウム官能基及びアミノ官能基がある。典型的なアミノ骨格官能基には、特に限定されないが、単環式芳香族アミノ化合物及び多環式芳香族アミノ化合物がある。例えば、好適なアミノ骨格官能基には、特に限定されないが、ピリジル官能基、ベンゾイミダゾール官能基、ベンゾチアゾール官能基及びイミダゾール官能基がある。環系を含む骨格官能基の場合には、メルカプタン鎖官能基は、置換基と共有結合し得る環位置のいずれか1つで環系に結合できる。例えば、ピリジル−メルカプタン促進剤の場合には、メルカプタン鎖官能基は2−、3−又は4−環位置のいずれか1つでピリジン環に結合できる。さらに、上述の種類のメルカプタン促進剤(即ち、アルキルアンモニウムメルカプタン、アルキルグアニジニウムメルカプタン、アルキルホスホニウムメルカプタン及びアミノメルカプタン)の各々では、2以上のメルカプタン鎖が促進剤中に存在し得る。例えば、ピリジル−メルカプタンの場合には、ピリジン環を5以下のメルカプタン鎖で置換することができる。この場合、ピリジン環の5つの炭素環位置の各々に1つの鎖が共有結合し得る。
【0011】
促進剤の電子的性質、立体特性及びこれらの組合せを調整して触媒組成物全体の反応性に影響を及ぼすため、通例は化学構造中において符号Rで表される置換基を促進剤に結合することもできる。好適な促進剤置換基には、特に限定されないが、水素、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素、ビニル基、ヒドロキシル基、炭素原子数約1〜約11のアルコキシ官能基、炭素原子数約6以上のアリールオキシ官能基、炭素原子数約1〜約11の脂肪族官能基、及び炭素原子数約6以上の芳香族官能基がある。環系を含むアミノメルカプタンの場合には、置換基は、隣接する環置換基を介してアミノ環と縮合した炭素原子数約5以上の脂環式環、又は隣接する環置換基を介してアミノ環と縮合した炭素原子数約6以上の芳香族環でもよい。
【0012】
ポリマー担体成分への促進剤成分の結合は、通例、(アミノメルカプタンの場合には窒素原子へのプロトン付加で生じる)陽イオンに帯電した促進剤成分と、脱プロトンで陰イオンに帯電した樹脂主鎖上の酸官能基との間のイオン結合で行われる。酸官能化ポリマー担体へのアミノメルカプタン促進剤の結合は、水溶液中で実施できる。本明細書中での「水溶液」という用語は、水が溶媒として存在する溶液を包含する。例えば、[2−((CH)−S−(CH)−S−(Bu))ピリジン]のような保護されたメルカプタン促進剤は、水中でPS−DVB樹脂及びメルカプタン促進剤を混合することで、[2−((CH)−S−(CH)−S−(Bu))ピリジニウム]陽イオンとポリマー担体上のスルホネート陰イオンとの間に形成されるイオン結合を介してスルホン酸官能化PS−DVB樹脂に結合できる。別法として、アミノメルカプタン促進剤は、フェノールのような芳香族ヒドロキシ化合物を含む有機媒質中で酸官能化ポリマー担体に結合することもできる。
【0013】
本発明の一実施形態では、メルカプタン促進剤を担体に結合する前に、酸素や硫黄のような16族元素の酸化を防止するために使用される典型的な保護基官能基で硫黄原子が保護される。本明細書中で使用する「保護基」という用語は、特定タイプの反応性を抑制する官能基をいい、本発明に関しては、メルカプタン促進剤の末端硫黄原子に結合された保護基が末端硫黄原子の酸化を抑制するために存在している。通例、保護されないメルカプタンのスルフヒドリル基は、合成中又は促進剤をポリマー担体に結合する条件下で容易に酸化されてジスルフィドになるか、又は一層高度に酸化された基になる。本発明に関しては、硫黄保護基の好適な例には、特に限定されないが、安定なカルボカチオンを生じる脂肪族官能基、エステル官能基、カーボネート官能基及びベンジル系官能基がある。「保護基」という用語と共に使用される場合、「脂肪族」という用語は、枝分れ鎖をなして配列された水素原子及び炭素原子からなると共に、安定なカルボカチオン化学種を生じ得る有機化合物をいう。例えば、一実施形態では、脂肪族保護基は第三ブチル基(例えば、−C(CH))である。しかし、「置換基」という用語と共に使用される場合、「脂肪族」という用語はさらに広い意味を有していて、直鎖又は枝分れ鎖をなして配列された水素原子と炭素原子からなる炭素原子数約1〜約11の有機化合物をいう。さらに、「置換基」という用語と共に使用される場合、「芳香族」という用語は、約6以上の環状共役炭素原子を含む、水素原子及び炭素原子からなる有機化合物として定義される。
【0014】
エステル官能基(例えば、−C(O)R(式中、Rは脂肪族置換基又は芳香族置換基であり得る。))の好適な例には、アセテート基(例えば、−C(O)CH)のような、炭素原子数約1〜約11のエステルがある。カーボネート官能基(例えば、−C(O)OR)の好適な例には、脂肪族置換基又は芳香族置換基を有するカーボネートがある。好適な脂肪族カーボネート保護基の例は、tert−ブトキシカーボネート(例えば、−C(O)O−Bu)である。好適な芳香族カーボネート保護基の例は、フェニルカーボネート基(例えば、−C(O)OPh)である。ベンジル系官能基(例えば、−CH(アリール))の好適な例には、ベンジル基(例えば、−CH(C))のような、炭素原子数約7以上のベンジル系の基がある。
【0015】
別の実施形態では、本願は、4,4′−イソプロピリデンジフェノールのようなビスフェノールの生成を触媒するため本明細書中に開示された触媒を使用する方法に関する。本発明に関しては、触媒組成物に関連して使用する「触媒する」という用語は、特定の組合せの反応条件下で、所定の基準反応速度又は基準選択率以上の反応速度又は選択率で1種以上の化学種間の特定の化学的変換を促進することをいう。本発明に関しては、触媒される反応は芳香族ヒドロキシ化合物及びカルボニル含有化合物からビスフェノールを生成するための縮合反応であり、これは通例は液体反応混合物中で行われる。本明細書中で「液体反応混合物」という用語は、周囲温度及び圧力(例えば、約25℃及び約0.1MPa)で主に液体状態で存在する化合物の混合物として定義される。液体反応混合物は、1以上の相からなる均質な液体混合物(例えば、二相液体反応混合物)であってもよく、或いは固体状態で存在する成分(例えば、沈殿)を含む不均質な液体−固体混合物であってもよい。
【0016】
ビスフェノールを製造するための縮合反応の典型的な液体反応混合物中に存在する成分には、特に限定されないが、所望ビスフェノール、水や所望ビスフェノール以外のビスフェノールのような縮合反応の副生物、触媒組成物の可溶成分、触媒組成物の不溶成分、及び未反応の出発原料(例えば、芳香族ヒドロキシ化合物やカルボニル含有化合物)がある。好適な種類の芳香族ヒドロキシ化合物には、特に限定されないが、1以上のヒドロキシ基を含む単環式芳香族化合物、及び1以上のヒドロキシ基を含む多環式芳香族化合物がある。好適な芳香族ヒドロキシ化合物の実例には、特に限定されないが、フェノール、アルキルフェノール、アルコキシフェノール、ナフトール、アルキルナフトール及びアルコキシナフトールがある。本明細書中で使用する「カルボニル含有化合物」という用語は、酸素原子に二重結合するsp混成炭素を含む有機化合物をいい、アルデヒド及びケトンを包含する。好適なアルデヒドの例はアセトアルデヒドである。好適なケトンの例はアセトンである。
【0017】
縮合反応は、特に限定されないが、反応器の圧力、反応温度、攪拌速度、反応混合物のpH、触媒濃度、及び液体反応混合物の各種成分の重量%(特に限定されないが、芳香族ヒドロキシ化合物の重量%、カルボニル含有化合物の重量%、所望ビスフェノールの重量%、及び水の重量%を含む)を含む様々な反応条件の影響を受けることがある。例えば、本明細書中に記載した触媒及びインクリメンタルフロー反応器を用いるBPAの触媒製造のための典型的な反応条件は、特に限定されないが、約55〜約85℃の温度、約1〜約10%のアセトン濃度、及び固体触媒1ポンド当たり毎時約0.1〜約10ポンドの供給材料の空間速度を含んでいる。
【実施例】
【0018】
特許請求の範囲に記載した発明を実施する際の追加の指針を当業者に提供するため、以下の実施例を示す。ここに示す実施例は、本発明を例示するものにすぎない。したがって、以下の実施例は特許請求の範囲で定義された本発明を決して限定するものではない。
【0019】
表1の実施例:表1に示した実施例の各々については、下記の合成手順に従い、表1に示した促進剤を用いて触媒を製造した。約30〜約55mgの乾燥Rohm and Haas A131樹脂ビーズ(約4%のジビニルベンゼンで架橋したスルホン化ポリスチレン)を、その質量の約4倍の溶融フェノールと共に、約70℃で約1時間加熱した。この混合物に、乾燥樹脂1グラム当たり約1ミリモルの促進剤を含む反応混合物を生じるのに十分な量で、促進剤の540mMフェノール溶液を添加した。得られた反応混合物を約4時間攪拌した後、フェノールの一部を除去した。得られたフェノール中触媒混合物は、初期乾燥樹脂の質量の約3.5倍の質量を有していた。上述の手順で製造した触媒の触媒活性を実証するため、約2.7mg供給材料/mg乾燥樹脂/時の空間速度及び約0.9時間の液体滞留時間で運転されるインクリメンタルフロー反応器で70℃の反応器温度を維持しながら、アセトンの約9重量%フェノール溶液を供給することで縮合反応を実施した。供給及び反応混合物の取出しを交互に約40サイクル繰り返した後、反応器内の組成はほぼ定常状態になった。試料を採取し、4,4′−イソプロピリデンジフェノール(p,p−BPA)、4,2′−イソプロピリデンジフェノール(o,p−BPA)、及び時には少量生成することが知られている8種の他の化合物について分析した。表1には、生成したp,p−BPAのwt%、p,p−BPAとo,p−BPAとの比(「pp/op比」)、及び(測定したすべての生成物に対する分率としてのp,p−BPAの重量%として定義される)総合p,p−BPA選択率を表に作成することで結果をまとめて示す。
【0020】
【表1】

【0021】
表1に示した結果から、表1に示す結合促進剤を使用しながら本発明の方法で製造した触媒は、フェノール及びアセトンからのp,p−BPAの生成を効果的に触媒し得ることが明らかである。比較のため、結合促進剤を含まないRohm and Haas A131樹脂ビーズを上述と同様な条件下で使用したところ、生成したp,p−BPAは約9.9wt%、pp選択率は約83.8%、pp/op比は約7.5である。さらに、tert−ブトキシカルボニルで硫黄保護されたシステアミン促進剤を有する点で異なるRohm and Haas A131樹脂ビーズを上述と同様な条件下で使用したところ、生成したp,p−BPAは約22.5wt%、pp選択率は約93.7%、pp/op比は約23.9である。
【0022】
以上、本発明を例示し説明してきたが、本発明の技術的思想から決して逸脱せずに様々な修正及び置換を行い得るので、本発明が示された細部に限定されることはない。したがって、当業者ならば、日常的な実験を用いるだけでここに開示した本発明の追加の修正例及び同等例を想起することができ、かかる修正例及び同等例のすべてが特許請求の範囲に定義された本発明の技術的思想及び技術的範囲に含まれると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ヒドロキシ化合物とカルボニル含有化合物からのビスフェノールの生成を触媒する触媒組成物の製造方法であって、プロトン酸官能基を有する固体酸担体成分に、以下の構造(I)を有するポリ硫黄メルカプタン促進剤成分を結合する段階を含んでなる方法。
【化1】

式中、Rは正に帯電したアンモニウム官能基、正に帯電したグアニジニウム官能基、正に帯電したホスホニウム官能基及び中性アミンからなる群から選択される官能基であり、
aは約0〜約11であり、
bは約1〜約11であり、
cは約1〜約11であり、
dは約1〜約5であり、
Xは、炭素原子数約1〜約11の線状脂肪鎖、炭素原子数約5以上の脂環式環、炭素原子数約6以上の芳香族環、炭素原子数約3以上の脂環式複素環及び炭素原子数約3以上の芳香族複素環からなる群から選択される1種である連結官能基であり、
Yは、炭素原子数約1〜約11の線状脂肪鎖、炭素原子数約5以上の脂環式環、炭素原子数約6以上の芳香族環、炭素原子数約3以上の脂環式複素環及び炭素原子数約3以上の芳香族複素環からなる群から選択される1種である連結官能基であり、
は、水素、第二脂肪族官能基、第三脂肪族官能基、エステル官能基、カーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合したベンジル系官能基からなる群から選択される1種である。
【請求項2】
前記第三脂肪族官能基が、枝分れ脂肪族官能基及び脂環式官能基からなる群から選択される1種である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記R官能基が、イソプロピル官能基、イソブチル官能基、第三ブチル官能基、第三アミル官能基、シクロペンチル官能基、ベンジル、4−メトキシベンジル官能基、1−メチルシクロヘキシル官能基及びシクロヘキシル官能基からなる群から選択される1種である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記エステル官能基が、アセテート官能基、プロピオネート官能基及びベンゾエート官能基からなる群から選択される1種である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記カーボネート官能基が、アルキルカーボネート官能基及び芳香族カーボネート官能基からなる群から選択される1種である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
生成されるビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
カルボニル含有化合物がケトン又はアルデヒドである、請求項1記載の方法。
【請求項8】
芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、カルボニル含有化合物がアセトンである、請求項1記載の方法。
【請求項9】
結合段階が水を含む水溶液中で実施される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記固体酸が、ポリスチレン、ゼオライト及びシリカからなる群から選択される1種以上を含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
芳香族ヒドロキシ化合物とカルボニル含有化合物からのビスフェノールの生成を触媒する触媒組成物の製造方法であって、プロトン酸官能基を有するポリマー樹脂成分に、官能化ピリジンメルカプタン、官能化ベンゾイミダゾールメルカプタン、官能化ベンゾチアゾールメルカプタン及び官能化イミダゾールメルカプタンからなる群から選択される1種以上であるポリ硫黄メルカプタン促進剤成分を結合する段階を含んでなる方法。
【請求項12】
前記官能化ピリジンメルカプタンが以下の構造(II)を有する、請求項11記載の方法。
【化2】

式中、eは約0〜約11であり、
fは約1〜約11であり、
gは約1〜約11であり、
hは約1〜約5であり、
Xは、炭素原子数約1〜約11の線状脂肪鎖、炭素原子数約5以上の脂環式環、炭素原子数約6以上の芳香族環、炭素原子数約3以上の脂環式複素環及び炭素原子数約3以上の芳香族複素環からなる群から選択される1種である連結官能基であり、
Yは、炭素原子数約1〜約11の線状脂肪鎖、炭素原子数約5以上の脂環式環、炭素原子数約6以上の芳香族環、炭素原子数約3以上の脂環式複素環及び炭素原子数約3以上の芳香族複素環からなる群から選択される1種である連結官能基であり、
は、水素、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
、R、R、R及びRからなる群から選択される1以上は{[(X)S][(Y)S−R]}鎖であり、{[(X)S][(Y)S−R]}鎖でないR、R、R、R及びRは各々独立に、水素、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素、ビニル基、ヒドロキシル基、炭素原子数約1〜約11のアルコキシ官能基、炭素原子数約6以上のアリールオキシ官能基、炭素原子数約1〜約11の脂肪族官能基、炭素原子数約6以上の芳香族官能基、隣接する環置換基を介してピリジン環と縮合した炭素原子数約5以上の脂環式環、及び隣接する環置換基を介してピリジン環と縮合した炭素原子数約6以上の芳香族環からなる群から選択される1種である。
【請求項13】
前記官能化ベンゾイミダゾールメルカプタンが以下の構造(III)を有する、請求項11記載の方法。
【化3】

式中、iは約0〜約11であり、
jは約1〜約11であり、
kは約1〜約11であり、
は、水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
10は、水素、炭素原子数約1〜約11の脂肪族カルボニル官能基、炭素原子数約1〜約11の脂肪族官能基、炭素原子数約7以上の芳香族カルボニル官能基、及び炭素原子数約6以上の芳香族官能基からなる群から選択される1種であり、
11、R12、R13及びR14は各々独立に、水素、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素、ビニル基、ヒドロキシル基、炭素原子数約1〜約11のアルコキシ官能基、炭素原子数約6以上のアリールオキシ官能基、炭素原子数約1〜約11の脂肪族官能基、炭素原子数約6以上の芳香族官能基、隣接する環置換基を介してベンゾイミダゾールアレーン環と縮合した炭素原子数約5以上の脂環式環、及び隣接する環置換基を介してベンゾイミダゾールアレーン環と縮合した炭素原子数約6以上の芳香族環からなる群から選択される1種である。
【請求項14】
前記官能化ベンゾチアゾールメルカプタンが以下の構造(IV)を有する、請求項11記載の方法。
【化4】

式中、lは約0〜約11であり、
mは約1〜約11であり、
nは約1〜約11であり、
15は、水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
16、R17、R18及びR19は各々独立に、水素、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素、ビニル基、ヒドロキシル基、炭素原子数約1〜約11のアルコキシ官能基、炭素原子数約6以上のアリールオキシ官能基、炭素原子数約1〜約11の脂肪族官能基、炭素原子数約6以上の芳香族官能基、隣接する環置換基を介してベンゾチアゾールアレーン環と縮合した炭素原子数約5以上の脂環式環、及び隣接する環置換基を介してベンゾチアゾールアレーン環と縮合した炭素原子数約6以上の芳香族環からなる群から選択される1種である。
【請求項15】
前記官能化イミダゾールメルカプタンが以下の構造(V)を有する、請求項11記載の方法。
【化5】

式中、oは約0〜約11であり、
pは約1〜約11であり、
qは約1〜約11であり、
20は、水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
21は、水素、炭素原子数約1〜約11の脂肪族カルボニル官能基、炭素原子数約1〜約11の脂肪族官能基、炭素原子数約7以上の芳香族カルボニル官能基、及び炭素原子数約6以上の芳香族官能基からなる群から選択される1種であり、
22及びR23は各々独立に、水素、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素、ビニル基、ヒドロキシル基、炭素原子数約1〜約11のアルコキシ官能基、炭素原子数約6以上のアリールオキシ官能基、炭素原子数約1〜約11の脂肪族官能基、炭素原子数約6以上の芳香族官能基、隣接する環置換基を介してイミダゾール環と縮合した炭素原子数約5以上の脂環式環、及び隣接する環置換基を介してイミダゾール環と縮合した炭素原子数約6以上の芳香族環からなる群から選択される1種である。
【請求項16】
生成されるビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールである、請求項11記載の方法。
【請求項17】
カルボニル含有化合物がケトン又はアルデヒドである、請求項11記載の方法。
【請求項18】
芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、カルボニル含有化合物がアセトンである、請求項11記載の方法。
【請求項19】
結合段階が水を含む水溶液中で実施される、請求項11記載の方法。
【請求項20】
前記ポリマー樹脂が、ポリスチレン、ゼオライト及びシリカからなる群から選択される1種以上を含む、請求項11記載の方法。
【請求項21】
前記ポリマー樹脂がさらにジビニルベンゼンを含む、請求項11記載の方法。
【請求項22】
ジビニルベンゼンの量がポリマー樹脂の全重量の約12%以下である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記プロトン酸官能基が、スルホン酸官能基、ホスホン酸官能基及びカルボン酸官能基からなる群から選択される1種以上からなる、請求項11記載の方法。
【請求項24】
連結官能基Xが連結官能基Yと同一である、請求項12記載の方法。
【請求項25】
Xが−CH−基であり、eが2であり、fが1であり、Yが−CH−基であり、gが3であり、Rが{[(X)S][(Y)S−R]}鎖である、請求項12記載の方法。
【請求項26】
Xが−CH−基であり、eが2であり、fが1であり、Yが−CH−基であり、gが3であり、Rが{[(X)S][(Y)S−R]}鎖である、請求項12記載の方法。
【請求項27】
Xが−CH−基であり、eが2であり、fが1であり、Yが−CH−基であり、gが3であり、Rが{[(X)S][(Y)S−R]}鎖である、請求項12記載の方法。
【請求項28】
ビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールであり、芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、カルボニル含有化合物がアセトンであり、前記促進剤成分が次式のものである、請求項12記載の方法。
【化6】

式中、R24は水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
rは3又は6である。
【請求項29】
ビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールであり、芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、カルボニル含有化合物がアセトンであり、前記促進剤成分が次式のものである、請求項12記載の方法。
【化7】

式中、R25は水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
tは3又は6である。
【請求項30】
ビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールであり、芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、カルボニル含有化合物がアセトンであり、前記促進剤成分が次式のものである、請求項12記載の方法。
【化8】

式中、R26は水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
uは3又は6である。
【請求項31】
ビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールであり、芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、カルボニル含有化合物がアセトンであり、前記促進剤成分が次式のものである、請求項12記載の方法。
【化9】

式中、R27は水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
vは3又は6である。
【請求項32】
ビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールであり、芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、カルボニル含有化合物がアセトンであり、前記促進剤成分が次式のものである、請求項12記載の方法。
【化10】

式中、R28は水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
wは3又は6である。
【請求項33】
ビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールであり、芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、カルボニル含有化合物がアセトンであり、前記促進剤成分が次式のものである、請求項12記載の方法。
【化11】

式中、R29は水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
xは3又は6である。
【請求項34】
ビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールであり、芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、カルボニル含有化合物がアセトンであり、前記促進剤成分が次式のものである、請求項13記載の方法。
【化12】

式中、R30は水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基である。
【請求項35】
ビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールであり、芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、カルボニル含有化合物がアセトンであり、前記促進剤成分が次式のものである、請求項13記載の方法。
【化13】

式中、R31は水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基である。
【請求項36】
ビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールであり、芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、カルボニル含有化合物がアセトンであり、前記促進剤成分が次式のものである、請求項13記載の方法。
【化14】

式中、R32は水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基である。
【請求項37】
ビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールであり、芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、カルボニル含有化合物がアセトンであり、前記促進剤成分が次式のものである、請求項14記載の方法。
【化15】

式中、R33は水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
yは3又は6である。
【請求項38】
ビスフェノールの生成方法であって、固体酸成分と以下の構造(I)を有するポリ硫黄メルカプタン促進剤成分とを含む触媒組成物の存在下で芳香族ヒドロキシ化合物をカルボニル含有化合物と反応させる段階を含んでなる方法。
【化16】

式中、Rは正に帯電したアンモニウム官能基、正に帯電したグアニジニウム官能基、正に帯電したホスホニウム官能基及び中性アミンからなる群から選択される官能基であり、
aは約0〜約11であり、
bは約1〜約11であり、
cは約1〜約11であり、
dは約1〜約5であり、
Xは、炭素原子数約1〜約11の線状脂肪鎖、炭素原子数約5以上の脂環式環、炭素原子数約6以上の芳香族環、炭素原子数約3以上の脂環式複素環及び炭素原子数約3以上の芳香族複素環からなる群から選択される1種である連結官能基であり、
Yは、炭素原子数約1〜約11の線状脂肪鎖、炭素原子数約5以上の脂環式環、炭素原子数約6以上の芳香族環、炭素原子数約3以上の脂環式複素環及び炭素原子数約3以上の芳香族複素環からなる群から選択される1種である連結官能基であり、
は、水素、第二脂肪族官能基、第三脂肪族官能基、エステル官能基、カーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合したベンジル系官能基からなる群から選択される1種である。
【請求項39】
前記第三脂肪族官能基が、枝分れ脂肪族官能基及び脂環式官能基からなる群から選択される1種である、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記Rが、イソプロピル官能基、イソブチル官能基、第三ブチル官能基、第三アミル官能基、シクロペンチル官能基、ベンジル、4−メトキシベンジル、1−メチルシクロヘキシル官能基及びシクロヘキシル官能基からなる群から選択される1種である、請求項38記載の方法。
【請求項41】
前記エステル官能基が、アセテート官能基、プロピオネート官能基及びベンゾエート官能基からなる群から選択される1種である、請求項38記載の方法。
【請求項42】
前記カーボネート官能基が、アルキルカーボネート官能基及び芳香族カーボネート官能基からなる群から選択される1種である、請求項38記載の方法。
【請求項43】
生成されるビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールである、請求項38記載の方法。
【請求項44】
芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールである、請求項38記載の方法。
【請求項45】
カルボニル含有化合物がケトン又はアルデヒドである、請求項38記載の方法。
【請求項46】
ケトンがアセトンである、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記固体酸が、ポリスチレン、ゼオライト及びシリカからなる群から選択される1種以上を含む、請求項38記載の方法。
【請求項48】
前記固体酸が、スルホン酸官能化ポリマー樹脂である、請求項38記載の方法。
【請求項49】
前記ポリマー樹脂がさらにジビニルベンゼンを含む、請求項48記載の方法。
【請求項50】
ジビニルベンゼンの量がポリマー樹脂の全重量の約12%以下である、請求項49記載の方法。
【請求項51】
前記固体酸が、スルホン酸官能基、ホスホン酸官能基及びカルボン酸官能基からなる群から選択される1種以上を含む、請求項38記載の方法。
【請求項52】
連結官能基Xが連結官能基Yと同一である、請求項38記載の方法。
【請求項53】
ビスフェノールの生成方法であって、プロトン酸官能基を含むポリマー樹脂成分と、官能化ピリジンメルカプタン、官能化ベンゾイミダゾールメルカプタン、官能化ベンゾチアゾールメルカプタン及び官能化イミダゾールメルカプタンからなる群から選択される1種以上であるポリ硫黄メルカプタン促進剤成分とを含む触媒組成物の存在下で芳香族ヒドロキシ化合物をカルボニル含有化合物と反応させる段階を含んでなる方法。
【請求項54】
前記官能化ピリジンメルカプタンが以下の構造(II)を有する、請求項53記載の方法。
【化17】

式中、eは約0〜約11であり、
fは約1〜約11であり、
gは約1〜約11であり、
hは約1〜約5であり、
Xは、炭素原子数約1〜約11の線状脂肪鎖、炭素原子数約5以上の脂環式環、炭素原子数約6以上の芳香族環、炭素原子数約3以上の脂環式複素環及び炭素原子数約3以上の芳香族複素環からなる群から選択される1種である連結官能基であり、
Yは、炭素原子数約1〜約11の線状脂肪鎖、炭素原子数約5以上の脂環式環、炭素原子数約6以上の芳香族環、炭素原子数約3以上の脂環式複素環及び炭素原子数約3以上の芳香族複素環からなる群から選択される1種である連結官能基であり、
は、水素、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
、R、R、R及びRからなる群から選択される1以上は{[(X)S][(Y)S−R]}鎖であり、{[(X)S][(Y)S−R]}鎖でないR、R、R、R及びRは各々独立に、水素、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素、ビニル基、ヒドロキシル基、炭素原子数約1〜約11のアルコキシ官能基、炭素原子数約6以上のアリールオキシ官能基、炭素原子数約1〜約11の脂肪族官能基、炭素原子数約6以上の芳香族官能基、隣接する環置換基を介してピリジン環と縮合した炭素原子数約5以上の脂環式環、及び隣接する環置換基を介してピリジン環と縮合した炭素原子数約6以上の芳香族環からなる群から選択される1種である。
【請求項55】
前記官能化ベンゾイミダゾールメルカプタンが以下の構造(III)を有する、請求項53記載の方法。
【化18】

式中、iは約0〜約11であり、
jは約1〜約11であり、
kは約1〜約11であり、
は、水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
10は、水素、炭素原子数約1〜約11の脂肪族カルボニル官能基、炭素原子数約1〜約11の脂肪族官能基、炭素原子数約7以上の芳香族カルボニル官能基、及び炭素原子数約6以上の芳香族官能基からなる群から選択される1種であり、
11、R12、R13及びR14は各々独立に、水素、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素、ビニル基、ヒドロキシル基、炭素原子数約1〜約11のアルコキシ官能基、炭素原子数約6以上のアリールオキシ官能基、炭素原子数約1〜約11の脂肪族官能基、炭素原子数約6以上の芳香族官能基、隣接する環置換基を介してベンゾイミダゾールアレーン環と縮合した炭素原子数約5以上の脂環式環、及び隣接する環置換基を介してベンゾイミダゾールアレーン環と縮合した炭素原子数約6以上の芳香族環からなる群から選択される1種である。
【請求項56】
前記官能化ベンゾチアゾールメルカプタンが以下の構造(IV)を有する、請求項53記載の方法。
【化19】

式中、lは約0〜約11であり、
mは約1〜約11であり、
nは約1〜約11であり、
15は、水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
16、R17、R18及びR19は各々独立に、水素、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素、ビニル基、ヒドロキシル基、炭素原子数約1〜約11のアルコキシ官能基、炭素原子数約6以上のアリールオキシ官能基、炭素原子数約1〜約11の脂肪族官能基、炭素原子数約6以上の芳香族官能基、隣接する環置換基を介してベンゾチアゾールアレーン環と縮合した炭素原子数約5以上の脂環式環、及び隣接する環置換基を介してベンゾチアゾールアレーン環と縮合した炭素原子数約6以上の芳香族環からなる群から選択される1種である。
【請求項57】
前記官能化イミダゾールメルカプタンが以下の構造(V)を有する、請求項53記載の方法。
【化20】

式中、oは約0〜約11であり、
pは約1〜約11であり、
qは約1〜約11であり、
20は、水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
21は、水素、炭素原子数約1〜約11の脂肪族カルボニル官能基、炭素原子数約1〜約11の脂肪族官能基、炭素原子数約7以上の芳香族カルボニル官能基、及び炭素原子数約6以上の芳香族官能基からなる群から選択される1種であり、
22及びR23は各々独立に、水素、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素、ビニル基、ヒドロキシル基、炭素原子数約1〜約11のアルコキシ官能基、炭素原子数約6以上のアリールオキシ官能基、炭素原子数約1〜約11の脂肪族官能基、炭素原子数約6以上の芳香族官能基、隣接する環置換基を介してイミダゾール環と縮合した炭素原子数約5以上の脂環式環、及び隣接する環置換基を介してイミダゾール環と縮合した炭素原子数約6以上の芳香族環からなる群から選択される1種である。
【請求項58】
生成されるビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールである、請求項53記載の方法。
【請求項59】
芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールである、請求項53記載の方法。
【請求項60】
カルボニル含有化合物がケトン又はアルデヒドである、請求項53記載の方法。
【請求項61】
ケトンがアセトンである、請求項60記載の方法。
【請求項62】
前記ポリマー樹脂が、ポリスチレン、ゼオライト及びシリカからなる群から選択される1種以上を含む、請求項53記載の方法。
【請求項63】
前記ポリマー樹脂がさらにジビニルベンゼンを含む、請求項62記載の方法。
【請求項64】
ジビニルベンゼンの量がポリマー樹脂の全重量の約12%以下である、請求項63記載の方法。
【請求項65】
前記プロトン酸官能基が、スルホン酸官能基、ホスホン酸官能基及びカルボン酸官能基からなる群から選択される1種以上からなる、請求項53記載の方法。
【請求項66】
連結官能基Xが連結官能基Yと同一である、請求項54記載の方法。
【請求項67】
Xが−CH−基であり、eが2であり、fが1であり、Yが−CH−基であり、gが3であり、Rが{[(X)S][(Y)S−R]}鎖である、請求項54記載の方法。
【請求項68】
Xが−CH−基であり、eが2であり、fが1であり、Yが−CH−基であり、gが3であり、Rが{[(X)S][(Y)S−R]}鎖である、請求項54記載の方法。
【請求項69】
Xが−CH−基であり、eが2であり、fが1であり、Yが−CH−基であり、gが3であり、Rが{[(X)S][(Y)S−R]}鎖である、請求項54記載の方法。
【請求項70】
ビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールであり、芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、カルボニル含有化合物がアセトンであり、前記促進剤成分が次式のものである、請求項54記載の方法。
【化21】

式中、R24は水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
rは3又は6である。
【請求項71】
ビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールであり、芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、カルボニル含有化合物がアセトンであり、前記促進剤成分が次式のものである、請求項54記載の方法。
【化22】

式中、R25は水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
tは3又は6である。
【請求項72】
ビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールであり、芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、カルボニル含有化合物がアセトンであり、前記促進剤成分が次式のものである、請求項54記載の方法。
【化23】

式中、R26は水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
uは3又は6である。
【請求項73】
ビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールであり、芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、カルボニル含有化合物がアセトンであり、前記促進剤成分が次式のものである、請求項54記載の方法。
【化24】

式中、R27は水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
vは3又は6である。
【請求項74】
ビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールであり、芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、カルボニル含有化合物がアセトンであり、前記促進剤成分が次式のものである、請求項54記載の方法。
【化25】

式中、R28は水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
wは3又は6である。
【請求項75】
ビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールであり、芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、カルボニル含有化合物がアセトンであり、前記促進剤成分が次式のものである、請求項54記載の方法。
【化26】

式中、R29は水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
xは3又は6である。
【請求項76】
ビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールであり、芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、カルボニル含有化合物がアセトンであり、前記促進剤成分が次式のものである、請求項55記載の方法。
【化27】

式中、R30は水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基である。
【請求項77】
ビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールであり、芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、カルボニル含有化合物がアセトンであり、前記促進剤成分が次式のものである、請求項55記載の方法。
【化28】

式中、R31は水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基である。
【請求項78】
ビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールであり、芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、カルボニル含有化合物がアセトンであり、前記促進剤成分が次式のものである、請求項55記載の方法。
【化29】

式中、R32は水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基である。
【請求項79】
ビスフェノールが4,4′−イソプロピリデンジフェノールであり、芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであり、カルボニル含有化合物がアセトンであり、前記促進剤成分が次式のものである、請求項56記載の方法。
【化30】

式中、R33は水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
yは3又は6である。
【請求項80】
以下の構造(II)を有するピリジン化合物。
【化31】

式中、eは約0〜約11であり、
fは約1〜約11であり、
gは約1〜約11であり、
hは約1〜約5であり、
Xは、炭素原子数約1〜約11の線状脂肪鎖、炭素原子数約5以上の脂環式環、炭素原子数約6以上の芳香族環、炭素原子数約3以上の脂環式複素環及び炭素原子数約3以上の芳香族複素環からなる群から選択される1種である連結官能基であり、
Yは、炭素原子数約1〜約11の線状脂肪鎖、炭素原子数約5以上の脂環式環、炭素原子数約6以上の芳香族環、炭素原子数約3以上の脂環式複素環及び炭素原子数約3以上の芳香族複素環からなる群から選択される1種である連結官能基であり、
は、水素、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、R、R、R、R及びRからなる群から選択される1以上は{[(X)S][(Y)S−R]}鎖であり、{[(X)S][(Y)S−R]}鎖でないR、R、R、R及びRは各々独立に、水素、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素、ビニル基、ヒドロキシル基、炭素原子数約1〜約11のアルコキシ官能基、炭素原子数約6以上のアリールオキシ官能基、炭素原子数約1〜約11の脂肪族官能基、炭素原子数約6以上の芳香族官能基、隣接する環置換基を介してピリジン環と縮合した炭素原子数約5以上の脂環式環、及び隣接する環置換基を介してピリジン環と縮合した炭素原子数約6以上の芳香族環からなる群から選択される1種である。
【請求項81】
以下の構造(III)を有するベンゾイミダゾール化合物。
【化32】

式中、iは約0〜約11であり、
jは約1〜約11であり、
kは約1〜約11であり、
は、水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
10は、水素、炭素原子数約1〜約11の脂肪族カルボニル官能基、炭素原子数約1〜約11の脂肪族官能基、炭素原子数約7以上の芳香族カルボニル官能基、及び炭素原子数約6以上の芳香族官能基からなる群から選択される1種であり、
11、R12、R13及びR14は各々独立に、水素、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素、ビニル基、ヒドロキシル基、炭素原子数約1〜約11のアルコキシ官能基、炭素原子数約6以上のアリールオキシ官能基、炭素原子数約1〜約11の脂肪族官能基、炭素原子数約6以上の芳香族官能基、隣接する環置換基を介してベンゾイミダゾールアレーン環と縮合した炭素原子数約5以上の脂環式環、及び隣接する環置換基を介してベンゾイミダゾールアレーン環と縮合した炭素原子数約6以上の芳香族環からなる群から選択される1種である。
【請求項82】
以下の構造(IV)を有するベンゾチアゾール化合物。
【化33】

式中、lは約0〜約11であり、
mは約1〜約11であり、
nは約1〜約11であり、
15は、水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
16、R17、R18及びR19は各々独立に、水素、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素、ビニル基、ヒドロキシル基、炭素原子数約1〜約11のアルコキシ官能基、炭素原子数約6以上のアリールオキシ官能基、炭素原子数約1〜約11の脂肪族官能基、炭素原子数約6以上の芳香族官能基、隣接する環置換基を介してベンゾチアゾールアレーン環と縮合した炭素原子数約5以上の脂環式環、及び隣接する環置換基を介してベンゾチアゾールアレーン環と縮合した炭素原子数約6以上の芳香族環からなる群から選択される1種である。
【請求項83】
以下の構造(V)を有するイミダゾール化合物。
【化34】

式中、oは約0〜約11であり、
pは約1〜約11であり、
qは約1〜約11であり、
20は、水素原子、又は炭素原子数約4以上の脂肪族官能基、炭素原子数約1〜約11のエステル官能基、炭素原子数約1〜約11のカーボネート官能基、及びベンジル性メチレン炭素を介して末端硫黄原子に結合した炭素原子数約7以上のベンジル系官能基からなる群から選択される1種である硫黄保護官能基であり、
21は、水素、炭素原子数約1〜約11の脂肪族カルボニル官能基、炭素原子数約1〜約11の脂肪族官能基、炭素原子数約7以上の芳香族カルボニル官能基、及び炭素原子数約6以上の芳香族官能基からなる群から選択される1種であり、
22及びR23は各々独立に、水素、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素、ビニル基、ヒドロキシル基、炭素原子数約1〜約11のアルコキシ官能基、炭素原子数約6以上のアリールオキシ官能基、炭素原子数約1〜約11の脂肪族官能基、炭素原子数約6以上の芳香族官能基、隣接する環置換基を介してイミダゾール環と縮合した炭素原子数約5以上の脂環式環、及び隣接する環置換基を介してイミダゾール環と縮合した炭素原子数約6以上の芳香族環からなる群から選択される1種である。

【公表番号】特表2006−513848(P2006−513848A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−569165(P2004−569165)
【出願日】平成15年3月3日(2003.3.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/006435
【国際公開番号】WO2004/078345
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】