説明

ビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィド等の製造方法およびビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィド等の混合物

【課題】イオウを使用せず硫化水素が発生しないビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィド等の製造方法等を提供する。
【解決手段】触媒量のアルカリ金属アルコラート存在下でビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドとトリエタノールアミンの加熱によるビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドの製法、ビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ジスルフィドの混合物、ビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ジスルフィドとビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの混合物、それらの製法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドの新規な製造方法;ビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの混合物の製造方法;ビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドとビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの混合物の製造方法;ビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの混合物;ビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドとビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの混合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドおよびその製造方法は、刊行物公知である(特許文献1(特開昭50-108225号公報)、特許文献2(特公昭60-33838号公報)、特許文献3(特開2001−31798号公報))。
特許文献2においてその出願公開後に補充された例13では、シラトラニルプロピルメルカプタン2モルと硫黄粉末3モルを撹拌しつつ加熱することによりビス(シラトラニルプロピル)テトラスルフィドを合成している。
【0003】
ところが、この合成方法によると、硫化水素が発生する。硫化水素は常温で気体であり、極めて毒性が強いので、発生する硫化水素が作業環境中に漏れ出ないように、合成設備を工夫する必要があり、それでも完全を期するため作業者は防毒マスクの着用が不可避であるという問題がある。
【0004】
特許文献2の例13では、合成したビス(シラトラニルプロピル)テトラスルフィドは融点を有しない白色結晶であり、このビス(シラトラニルプロピル)テトラスルフィドと同一であるシラトラン(OS34=Si79)を天然ゴム、活性珪酸などと混合して加硫しゴム物性を測定している。しかし、ビス(シラトラニルプロピル)テトラスルフィドは融点を有せず固形状であるので、2ロールミル等によりせん断力をかけつつ混練しても天然ゴム、合成ゴム、シリカフィラー等への分散が容易でないという問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開昭50-108225号公報
【特許文献2】特公昭60−33838号公報
【特許文献3】特開2001−31798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、ビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドとトリエタノールアミンを特定の触媒存在下で加熱することによりアルコキシ基をシラトラニル基に置換すれば、アルコールが発生するに過ぎないので、前記したような問題がないことに気が付いた。特にアルコキシ基がエトキシ基の場合はエタノールという安全性の高いアルコールが発生するに過ぎないので、作業環境上の安全性が高い。
また、ビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの一部のアルコキシ基をシラトラニル基に置換したものは、ゴム、シリカフィラーなどと混合しやすいことに気付いた。
本発明の課題は、原料としてイオウを使用せず、ビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドの合成時に有毒な硫化水素が発生しない新規な製造方法を提供すること、ビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドとビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドの中間的なものでありゴム、シリカフィラーなどと混合しやすい混合物およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
「[1] 一般式(1):(RO)SiRSRSi(OR (1)
(式中、Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、xは2〜8の数である)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドと式(2): (HOCHCHN (2)
で示されるトリエタノールアミンとを触媒量のアルカリ金属アルコラート存在下で加熱することにより、一般式(1)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィド中のすべてのSi結合(ORを(OCHCHNで示される基に置換することを特徴とする
一般式(3): N(CHCHO)SiRSRSi(OCHCHN (3)
(式中、R、xは前記どおりである)で示されるビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドの製造方法。
[2] 一般式(1):(RO)SiRSRSi(OR (1)
(式中、Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、xは2〜8の数である)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドと
式(2): (HOCHCHN (2)
で示されるトリエタノールアミンを触媒量のアルカリ金属アルコラート存在下で加熱することにより、一般式(1)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィド中の一部のSi結合(ORを(OCHCHNで示される基に置換することを特徴とする、
一般式(3): N(CHCHO)SiRSRSi(OCHCHN (3)
(式中、R、xは前記どおりである)で示されるビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと
一般式(4): N(CHCHO)SiRSRSi(OR (4)
(式中、R、R、xは前記どおりである)で示される(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの混合物の製造方法。
[3] 一般式(1):(RO)SiRSRSi(OR (1)
(式中、Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、xは2〜8の数である)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドと
式(2): (HOCHCHN (2)
で示されるトリエタノールアミンを触媒量のアルカリ金属アルコラート存在下で加熱することにより、一般式(1)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィド中の一部のSi結合(ORを(OCHCHNで示される基に置換することを特徴とする、
一般式(3): N(CHCHO)SiRSRSi(OCHCHN (3)
(式中、R、xは前記どおりである)で示されるビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと
一般式(4): N(CHCHO)SiRSRSi(OR (4)
(式中、R、R、xは前記どおりである)で示される(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドと一般式(1) :
(RO)SiRSRSi(OR (1)
(式中、R、R、xは前記どおりである)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの混合物の製造方法。
[4] 一般式(3): N(CHCHO)SiRSRSi(OCHCHN (3)
(式中、Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基、xは2〜8の数である)で示されるビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと
一般式(4): N(CHCHO)SiRSRSi(OR (4)
(式中、R、xは前記どおりであり、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基である)で示される(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの混合物。
[5] 一般式(3): N(CHCHO)SiRSRSi(OCHCHN (3)
(式中、Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基、xは2〜8の数である)で示されるビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと
一般式(4): N(CHCHO)SiRSRSi(OR (4)
(式中、R、xは前記どおりであり、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基である)で示される(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドと
一般式(1) : (RO)SiRSRSi(OR (1)
(式中、R、R、xは前記どおりである)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの混合物。」に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドの合成方法によると、原料としてイオウを使用せず、合成時に有毒な硫化水素が発生しないので、製造時の安全性が高い。
本発明に係るビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの混合物の製造方法によると、原料としてイオウを使用せず、合成時に有毒な硫化水素が発生しないので、製造時の安全性が高い。
本発明に係るビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドとビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの混合物の製造方法によると、原料としてイオウを使用せず、合成時に有毒な硫化水素が発生しないので、製造時の安全性が高い。
本発明に係る混合物は、ビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドとビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドとの中間的なものであり、常温で液状であるのでゴム、シリカフィラーなどと混合しやすいという特徴を具備している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の一般式(3): N(CHCHO)SiRSRSi(OCHCHN (3)
(式中、Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基、xは2〜8の数である)で示されるビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドの製造方法は、
一般式(1):(RO)SiRSRSi(OR (1)
(式中、R、xは前記どおりであり、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基である)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドと
式(2): (HOCHCHN (2)
で示されるトリエタノールアミンとを触媒量のアルカリ金属アルコラート存在下で加熱することにより、一般式(1)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィド中の一部のSi結合(ORを(OCHCHNで示される基に置換することを特徴とする。
【0010】
製造目的物である一般式(3):
N(CHCHO)SiRSRSi(OCHCHN (3)
(式中、Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基、xは2〜8の数である)で示されるビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドは、イオウ原子数が2〜8であるポリスルフィドの両端の硫黄原子に炭素原子数1〜10のアルキレン基が結合し、このアルキレン基の末端の炭素原子にシラトラニル基のケイ素原子が結合している。
Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基であり、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン、ヘプチレン基、オクチレン基が例示される。プロピレン基〜デシレン基は、直鎖状が一般的であるが、分岐状や環状であってもよい。製造容易性の点で直鎖状または分岐状のプロピレン基、ブチレン基が好ましい。
はイオウ原子数が2〜8であるポリスルフィド残基であり、両端の硫黄原子に炭素原子数1〜10のアルキレン基が結合している。製造容易性の点でイオウ原子数は2〜4が好ましい。
【0011】
ビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドの具体例として、ビス(シラトラニルエチル)ジスルフィド、ビス(シラトラニルエチル)テトラスルフィド、ビス(シラトラニルプロピル)ジスルフィド、ビス(シラトラニルブチル)ジスルフィド、ビス(シラトラニルプロピル)テトラスルフィド、ビス(シラトラニルブチル)テトラスルフィド、ビス(シラトラニルプロピル)ヘキサスルフィド、ビス(シラトラニルブチル)ヘキサスルフィドがある。
【0012】
製造原料である一般式(1):(RO)SiRSRSi(OR (1)
(式中、Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、xは2〜8の数である)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィド中のRは炭素原子数1〜4のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基がある。プロピル基とブチル基は直鎖状が一般的であるが、分岐状であってもよい。シラトラニル基による置換容易性の点でメチル基、ついでエチル基が好ましい。
Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基であり、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン、ヘプチレン基、オクチレン基が例示される。プロピレン基〜デシレン基は、直鎖状が一般的であるが、分岐状や環状であってもよい。製造容易性の点で直鎖状または分岐状のプロピレン基、ブチレン基が好ましい。
【0013】
一般式(1) で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの具体例として、ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド;ビス(トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(トリプロポキシシリルプロピル)テトラスルフィド;ビス(トリメトキシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(トリエトキシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(トリプロポキシシリルブチル)テトラスルフィド;ビス(トリメトキシリルプロピル)ヘキサスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ヘキサスルフィド、ビス(トリメトキシリルブチル)ヘキサスルフィド、ビス(トリプロポキシリルブチル)ヘキサスルフィドがある。
【0014】
製造原料である式(2): (HOCHCHN (2)
で示されるトリエタノールアミンは、一般式(1) で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィド中の(RO)Si基と反応して、3モルのROHを脱離し、シラトラニル基を形成する。一般式(1) で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドは1分子中に2個の(RO)Si基を有するので、少なくとも2モルのトリエタノールアミンが必要である。置換反応を完結するためには、一般式(1) で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィド1モル当たり、2.0〜2.4モルのトリエタノールアミンを反応に供することが好ましい。
【0015】
一般式(1) で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドとトリエタノールアミンを加熱するだけでは、置換反応が遅いので、触媒量のアルカリ金属アルコラート存在下で加熱することが必要である。アルカリ金属アルコラートとして、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、リチウムエトキシドが例示される。アルカリ金属アルコラートは、一般式(1) で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドに対して0.1〜5.0モル%であることが好ましい。アルカリ金属アルコラートは固形状であるので、アルコール溶液の形で一般式(1) で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドとトリエタノールアミンに添加することが好ましい。
【0016】
一般式(1) で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドとトリエタノールアミンを反応させるときの圧、温度、時間は、減圧下120〜180℃で4時間〜30分間が好ましい。反応終了後、生成したアルコールは加熱減圧下留去することが好ましい。過剰のトリエタノールアミンを反応に供して残存しているときは、生成したアルコールとともに加熱減圧下留去することが好ましい。
【0017】
本発明の混合物は、
一般式(3): N(CHCHO)SiRSRSi(OCHCHN (3)
(式中、Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基、xは2〜8の数である)で示されるビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと
一般式(4): N(CHCHO)SiRSRSi(OR (4)
(式中、R、xは前記どおりであり、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基である)で示される(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドからなることを特徴とする。
【0018】
本発明の混合物は、
一般式(3): N(CHCHO)SiRSRSi(OCHCHN (3)
(式中、Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基、xは2〜8の数である)で示されるビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと
一般式(4): N(CHCHO)SiRSRSi(OR (4)
(式中、R、xは前記どおりであり、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基である)で示される(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドと
一般式(1):
(RO)SiRSRSi(OR (1)
(式中、R、R、xは前記どおりである)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドからなることを特徴とする。
【0019】
一般式(3): N(CHCHO)SiRSRSi(OCHCHN (3)
(式中、Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基、xは2〜8の数である)で示されるビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと
一般式(4): N(CHCHO)SiRSRSi(OR (4)
(式中、R、xは前記どおりであり、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基である)で示される(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの混合物、および、
一般式(3): N(CHCHO)SiRSRSi(OCHCHN (3)
(式中、R、xは前記どおりである)で示されるビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと
一般式(4): N(CHCHO)SiRSRSi(OR (4)
(式中、R、R、xは前記どおりである)で示される(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドと
一般式(1) :(RO)SiRSRSi(OR (1)
(式中、R、R、xは前記どおりである)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの混合物は、
一般式(1):(RO)SiRSRSi(OR (1)
(式中、R、R、xは前記どおりである)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドと式(2): (HOCHCHN (2)
で示されるトリエタノールアミンを触媒量のアルカリ金属アルコラート存在下で加熱することにより、一般式(1)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィド中の一部のSi結合(ORを(OCHCHNで示される基に置換することにより製造することができる。
【0020】
上記加熱反応の際に、一般式(1) で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィド1モル当たり、2.0モル未満のトリエタノールアミンを反応に供することにより、一部のSi結合(ORを(OCHCHNで示される基に置換することができる。
例えば、一般式(1) で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィド1モル当たり、1.75モルのトリエタノールアミンを反応に供すると、
一般式(3):
N(CHCHO)SiRSRSi(OCHCHN (3)
(式中、Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基、xは2〜8の数である)で示されるビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと
一般式(4): N(CHCHO)SiRSRSi(OR (4)
(式中、R、xは前記どおりであり、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基である)で示される(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドのほぼ当量混合物が生成する。一般式(1) で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドが残存しないようにするためには、一般式(1) で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィド1モル当たり、1.75以上、2.0モル以下のトリエタノールアミンを反応に供することが好ましい。
【0021】
例えば、一般式(1) で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィド1モル当たり、1.0モルのトリエタノールアミンを反応に供すると、
一般式(3):
N(CHCHO)SiRSRSi(OCHCHN (3)
(式中、Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基、xは2〜8の数である)ビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと
一般式(4): N(CHCHO)SiRSRSi(OR (4)
(式中、R、xは前記どおりであり、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基である)で示される(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドと、
一般式(1):(RO)SiRSRSi(OR (1)
(式中、R、R、xは前記どおりである)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドのほぼ1:2:1の混合物が生成する。
このような混合物は、常温で液状であるのでゴム、シリカフィラーなどと混合しやすい。したがって、ゴム特性の改良に有用である。
【0022】
本発明の製造方法により得られたビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドや、上記混合物を添加するのに好適なゴム組成物は、主として(A)有機系生ゴムと(B)シリカフィラーからなり、あるいは(A)有機系生ゴムと(B)シリカフィラーと(D)カーボンブラックとからなる。
(A)有機系生ゴムは、一般に、単にゴムとも呼称され、加硫してゴム弾性体になり得る有機高分子化合物である。タイヤ、特にはそのトレッドに好適なものであれば、その種類は特に限定されない。かかる有機系生ゴムは高度に不飽和の有機高分子化合物、特にはジエン系高分子化合物であり、通常20〜450のヨウ素価を有する。
有機系生ゴムとして、スチレン/ブタジエン共重合体生ゴム、ポリブタジエン生ゴム、イソプレン/ブタジエン共重合体生ゴム、スチレン/イソプレン共重合体生ゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエン共重合体生ゴム、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体生ゴム、ポリイソプレン生ゴム、天然生ゴム等の共役ジエン系生ゴム、クロロプレン生ゴム、部分水添したジエン系生ゴムが例示される。これら生ゴムの混合物であってもよい。
【0023】
上記ゴム組成物に配合される(B)シリカフィラーおよび(D)カーボンブラックは、加硫して得られるゴムを補強するための充填剤である。シリカフィラーは、フュームドシリカ(乾式法シリカ)や沈降シリカ(湿式法シリカ)のような補強性シリカが好ましい。そのうちでも、有機ケイ素化合物(例えば、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシランまたはオクタメチルテトラシクロシロキサン)で表面処理した疎水性の補強性シリカが好ましい。それらのBET法比表面積は100〜350m/gが好ましい。カーボンブラックは、従来からゴムの補強用に使用されているカーボンブラックであればよく、例えばファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックがある。カーボンブラックは、ペレット化されたもの、ペレット化されていない凝集塊のいずれでもよい。
(B)シリカフィラーの配合量は、成分(A)100重量部あたり、5〜150重量部であり、好ましくは10〜100重量部であり、より好ましくは30〜90重量部である。
さらに(D)カーボンブラックを含有する場合は、(D)カーボンブラックは、成分(A)100重量部あたり0.1〜80重量部、好ましくは5〜50重量部である。ただし、成分(B)と成分(D)の合計量は120重量部以下が好ましい。上記範囲より少ないと、ゴム強度が不十分となり、上記範囲より多いと、成分(A)との混練が困難になる。
【0024】
本発明の製造方法により得られたビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドまたは上記混合物(以下、成分(C)という)は、成分(B)の0.1〜50重量%、好ましくは1. 0〜30重量%、より好ましくは5.0〜30重量%、あるいは、成分(B)と成分(D)合計量の0.1〜50重量%、好ましくは1.0〜30重量%、より好ましくは5.0〜30重量%配合する。
成分(C)は、アルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールの溶液の形で成分(A)、成分(B)と混合してもよい。成分(A)、成分(B)中への分散性が向上するからである。該溶液中の成分(C)の濃度は、30〜95重量%が適切である。
成分(C)の配合方法は、(1) 成分(C)をあらかじめ成分(B)と混合しておいて成分(A)と混合する方法、(2) 成分(A)と成分(B)の混合中に成分(C)を配合する方法が例示される。
【0025】
成分(C)を含有するゴム組成物には、必要に応じて、増量充填剤;有機繊維;ナフテン系プロセスオイル等の軟化剤;顔料;発泡剤;紫外線吸収剤;老化防止剤;酸化防止剤;スコーチ防止剤;ワックス等の添加剤を配合することができる。ゴム組成物中のこれらの添加剤の配合量は、ゴム性能を阻害しなければ特に制限はなく、適宜必要量を選択する。
【0026】
成分(C)を含有するゴム組成物は、公知の製造方法により製造することができる。上記各成分を、例えば、バンバリーミキサー、2本ロール、ニーダミキサー、2軸押出機等の混練機に投入して、全成分が均一に混ざるように混練するとよい。混練中のゴム組成物の温度は120〜180℃位が好ましい。
【0027】
このゴム組成物を加硫してゴム成形品、例えばタイヤ、特にはトレッドを成形するには、2本ロール、2軸押出機等のミキサー中で、このゴム組成物にイオウ、不溶性イオウ、硫黄化合物等の加硫剤;酸化亜鉛、ステアリン酸等の加硫助剤;およびメルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)等のチアゾール系促進剤からなる加硫促進剤を必要に応じて配合する。配合中に昇温しすぎると加硫が始まるので、冷却しつつ配合することが好ましい。
ついで、加硫剤等を含有するゴム組成物を金型中で加熱成形する。あるいは、エクストルーダを使用して押出成形し熱気加硫する。金型成形、押出成形等による1次加硫後に、必要に応じて2次加硫するとよい。
【0028】
成分(C)を含有するゴム組成物を加硫することにより製造されるゴム成形品、例えばタイヤは、自動車用タイヤ、航空機用タイヤ、自転車用タイヤなどのいずれでもよいが、乗用車用タイヤ、トラック用タイヤ、レースカー用タイヤ、航空機用タイヤが好適である。その他のゴム成形品としてゴム被覆ロール、ベルト、パッキング、ゴムチューブ、ゴムシート、ゴム被覆電線が例示される。
【実施例】
【0029】
以下に本発明の実施例および比較例を示す。実施例中、生成したビス(シラトラニルプロピル)ジスルフィド;ビス(シラトラニルプロピル)ジスルフィドと(シラトラニルプロピル)(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドとビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドの混合物、およびビス(シラトラニルプロピル)テトラスルフィドの29Si‐NMRは、日本電子株式会社製の核磁気共鳴装置JEOL JNM-EX400を用い、重クロロホルム中で、テトラメチルシランを内部標準として測定を行った。それらの13C‐NMRは、日本電子株式会社製の核磁気共鳴装置JEOL JNM-EX400を用い、重クロロホルム中で、テトラメチルシランを内部標準として測定を行った。
ビス(シラトラニルプロピル)ジスルフィド、上記混合物、およびビス(シラトラニルプロピル)テトラスルフィド中のシラトラニル基の存在は、29Si‐NMRおよび13C‐NMRチャート中のピークにより同定した。反応生成物中のビス(シラトラニルプロピル)ジスルフィドと(シラトラニルプロピル)(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドとビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドの各含有量は、使用した原料の比により算出した。含有量を示す%は重量%を意味する。Etはエチル基を意味する。
【0030】
[実施例1]
撹拌機と温度計とコンデンサー付きのガラスフラスコに、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド47.5g(0.1mol)、トリエタノールアミン29.8g(0.2mol)、ソジウムエチラートの20%エタノール溶液0.34g(0.001mol)を投入し、200mmHgに減圧しつつ、150℃で2時間撹拌した。2時間撹拌後、さらに減圧して生成したエタノールを留去して、常温で固体飴状である下記構造式のビス(シラトラニルプロピル)ジスルフィド50.1g(収率99%)を得た。
【化1】

【0031】
[実施例2]
撹拌機と温度計とコンデンサー付きのガラスフラスコに、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド47.5g(0.1mol)、トリエタノールアミン14.9g(0.1mol)、ソジウムエチラートの20%エタノール溶液0.34g(0.001mol)を投入し、200mmHgに減圧しつつ、150℃で2時間撹拌した。2時間撹拌後、さらに減圧して生成したエタノールを留去し、常温で液状である下記構造式のビス(シラトラニルプロピル)ジスルフィドと(シラトラニルプロピル)(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドとビス(トリエトキキシシリルプロピル)ジスルフィドの混合物48.0g(収率99%)を得た。
【化2】

(上記混合物中、シラトラニル基は、トリエトキシシリル基とシラトラニル基の合計量の50モル%である)
【0032】
[実施例3]
撹拌機と温度計とコンデンサー付きのガラスフラスコに、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド47.5g(0.1mol)、トリエタノールアミン7.5g(0.05mol)、ソジウムエチラートの20%エタノール溶液0.34g(0.001mol)を投入し、200mmHgに減圧しつつ、150℃で2時間撹拌した。2時間撹拌後、さらに減圧して生成したエタノールを留去して、常温で液状である下記構造式のビス(シラトラニルプロピル)ジスルフィドと(シラトラニルプロピル)(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドとビス(トリエトキキシシリルプロピル)ジスルフィドの混合物47.8g(収率99%)を得た。
【化3】


(上記混合物中、シラトラニル基は、トリエトキシシリル基とシラトラニル基の合計量の25モル%である)
【0033】
[実施例4]
撹拌機と温度計とコンデンサー付きのガラスフラスコに、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド53.9g(0.1mol)、トリエタノールアミン29.8g(0.2mol)、ソジウムエチラートの20%エタノール溶液0.34g(0.001mol)を投入し、200mmHgに減圧しつつ、150℃で2時間撹拌した。2時間撹拌後、さらに減圧して生成したエタノールを留去して、常温で固体飴状である下記構造式のビス(シラトラニルプロピル)テトラスルフィド55.8g(収率98%)を得た。
【化4】

【0034】
[応用例1、比較応用例1]
表1に示す成分からなる試験体B用ゴム組成物および試験体C用ゴム組成物を調製した。
【表1】

【0035】
各成分の詳細は下記表2のとおりである。
【表2】

【0036】
ゴム組成物調製時の混練条件は、下記のとおりである。
JIS K6299「ゴム試験用試料の作製方法」に準拠
混練条件(1段練り:密閉式混合機)
試験機:ラボプラストミル 100C100型
ロータ形状:B−600(バンバリー型,600cc)
ロータ回転数:50rpm
充填率:70%
設定温度:120℃
取り出し温度:150℃(最大)
練り時間:4分
(2段練り:練りロール機)
ロールサイズ:8”φ×18”
前ロール回転数:20rpm
前後ロール回転比:1:1.5
【0037】
上記ゴム組成物を下記条件で加硫した。
<加硫条件>
シート
試験体B:160℃×11分
試験体C:160℃×18分
ブロック
試験体B:160℃×16分
試験体C:160℃×23分
【0038】
上記試験体用ゴム組成物の特性および上記試験体用ゴム組成物を加硫して得たゴム(試験体Bと試験体C)の諸特性を下記条件で測定し、その結果を表3に示した。
<ゴム組成物とゴムの特性測定方法>
1.ムーニー粘度
JIS K6300「未加硫ゴム物性試験方法」に規定された方法に従って測定した。
測定温度:100℃
ダイ加硫試験A法
振幅±1°,振動数1.67Hz
2.伸び(%)
JIS K6251「加硫ゴムの引張試験方法」に規定された方法に従って測定した。
試験片形状:引張試験JIS 3号形
3.引裂き強度(N/mm)
JIS K6252「加硫ゴムの引裂試験方法」に規定された方法に従って測定した。
試験片形状:引裂試験 切込み無しアングル形(列理方向に直角)
4.硬さ(デュロメータ硬さ)
JIS K6253「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」に規定された方法に従って測定した。
【0039】
5.磨耗容積(cm3
JIS K6264「加硫ゴムの磨耗試験方法」、アクロン磨耗試験A−2法に準拠して測定した。
荷重:44.1N(4.50kgf)
角度:10度
予備試験:500回
本試験:1000回
【0040】
6.tanδ
JIS K7244−4「プラスチック−動的機械特性の試験方法−第4部:引張振動−非共振法」に準拠して測定した。
測定項目:動的貯蔵弾性率 E’
:動的損失弾性率 E”
:損失正接 tanδ
試験片形状:1mm×5mm×30mm
測定モード:引張モード
測定周波数:10Hz
昇温速度:2℃/min
測定温度:0℃、60℃
動的ひずみ:0.1%
試験機:レオメトリックス社製 粘弾性測定装置 RSA−II
7.特性バランス
上記のtanδ(0℃)とtanδ(60℃)の比、(0℃/60℃)を示す。大きいほ
ど、タイヤバランス(ウェットスキッド性と低燃費性)が良い。
【0041】
上記試験体Bと試験体Cの測定結果を表3に示した。
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のビス (シラトラニルアルキル)ポリスルフィドの製造方法は、硫化水素を発生することなくビス (シラトラニルアルキル)ポリスルフィドを簡易に収率よく製造するのに有用である。
本発明のビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの混合物の製造方法、および、ビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドとビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの混合物の製造方法は、硫化水素を発生することなく簡易に収率よくそれらを製造するのに有用である。
本発明の上記混合物は、ゴムに添加してその特性を改良するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、実施例1で合成したビス(シラトラニルプロピル)ジスルフィドの29Si‐NMRのチャートである。
【図2】図2は、実施例1で合成したビス(シラトラニルプロピル)ジスルフィドの13C‐NMRのチャートである。
【図3】図3は、実施例2で合成したビス(シラトラニルプロピル)ジスルフィドと(シラトラニルプロピル)(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドとビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドの混合物の29Si‐NMRのチャートである。
【図4】図4は、実施例2で合成したビス(シラトラニルプロピル)ジスルフィドと(シラトラニルプロピル)(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドとビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドの混合物13C‐NMRのチャートである。
【図5】図5は、実施例4で合成したビス(シラトラニルプロピル)テトラスルフィドの29Si‐NMRのチャートである。
【図6】図6は、実施例4で合成したビス(シラトラニルプロピル)テトラスルフィドの13C‐NMRのチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):(RO)SiRSRSi(OR (1)
(式中、Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、xは2〜8の数である)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドと式(2): (HOCHCHN (2)
で示されるトリエタノールアミンとを触媒量のアルカリ金属アルコラート存在下で加熱することにより、一般式(1)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィド中のすべてのSi結合(ORを(OCHCHNで示される基に置換することを特徴とする
一般式(3): N(CHCHO)SiRSRSi(OCHCHN (3)
(式中、R、xは前記どおりである)で示されるビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドの製造方法。
【請求項2】
一般式(1):(RO)SiRSRSi(OR (1)
(式中、Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、xは2〜8の数である)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドと
式(2): (HOCHCHN (2)
で示されるトリエタノールアミンを触媒量のアルカリ金属アルコラート存在下で加熱することにより、一般式(1)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィド中の一部のSi結合(ORを(OCHCHNで示される基に置換することを特徴とする、
一般式(3): N(CHCHO)SiRSRSi(OCHCHN (3)
(式中、R、xは前記どおりである)で示されるビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと
一般式(4): N(CHCHO)SiRSRSi(OR (4)
(式中、R、R、xは前記どおりである)で示される(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの混合物の製造方法。
【請求項3】
一般式(1):(RO)SiRSRSi(OR (1)
(式中、Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、xは2〜8の数である)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドと
式(2): (HOCHCHN (2)
で示されるトリエタノールアミンを触媒量のアルカリ金属アルコラート存在下で加熱することにより、一般式(1)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィド中の一部のSi結合(ORを(OCHCHNで示される基に置換することを特徴とする、
一般式(3): N(CHCHO)SiRSRSi(OCHCHN (3)
(式中、R、xは前記どおりである)で示されるビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと
一般式(4): N(CHCHO)SiRSRSi(OR (4)
(式中、R、R、xは前記どおりである)で示される(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドと一般式(1) :
(RO)SiRSRSi(OR (1)
(式中、R、R、xは前記どおりである)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの混合物の製造方法。
【請求項4】
一般式(3): N(CHCHO)SiRSRSi(OCHCHN (3)
(式中、Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基、xは2〜8の数である)で示されるビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと
一般式(4): N(CHCHO)SiRSRSi(OR (4)
(式中、R、xは前記どおりであり、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基である)で示される(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの混合物。
【請求項5】
一般式(3): N(CHCHO)SiRSRSi(OCHCHN (3)
(式中、Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基、xは2〜8の数である)で示されるビス(シラトラニルアルキル)ポリスルフィドと
一般式(4): N(CHCHO)SiRSRSi(OR (4)
(式中、R、xは前記どおりであり、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基である)で示される(シラトラニルアルキル)(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドと
一般式(1) : (RO)SiRSRSi(OR (1)
(式中、R、R、xは前記どおりである)で示されるビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの混合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−169157(P2008−169157A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−4762(P2007−4762)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【出願人】(500295461)ダウ コーニング コーポレーション (15)
【Fターム(参考)】