説明

ビタミンC含有無糖炭酸飲料

【課題】果汁や糖類を添加することなくビタミンC酸味やビタミン臭を抑制し、ビタミンCの体内吸収性を向上させ、さらに経時による褐変を防止したビタミンC含有無糖炭酸飲料の提供。
【解決手段】ビタミンCが500〜3000ppmの範囲内であって、ガスボリュームが2.3〜3.6の範囲内となるように炭酸を封入する工程と、容器に充填する工程とを含み、特にカロリーが実質的にゼロである甘味料を加えて容器詰無糖炭酸飲料とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビタミンC特有の酸味・ビタミン臭が抑制され、かつ褐変を防止した香味・外観共に爽快感を有するビタミンC含有無糖炭酸飲料とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビタミンCは皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きを有し、優れた抗酸化作用を有することが一般的に認知されてきており、美容、健康、ストレス解消、アンチエイジング等を目的としてビタミンCを積極的に摂取したいというニーズが生まれている。日常の食事からビタミンCを摂取するのが最も好ましいのはいうまでもないが、現代における食生活の多様化や生活リズムの変化により、毎回の食事から十分にビタミンCを摂取することができない場合もある。
【0003】
日常の食事で不足したビタミンCを補給するために、例えばサプリメントを摂取することも一般的になってきている。なかでも飲料形態をとるビタミンC補給飲料によると手軽に且つ効果的にビタミンCを摂取できるため、消費者の注目を集めている。
【0004】
しかし、ビタミンCの酸味や臭気は消費者に好まれないため、ビタミンC含有飲料中のビタミンC量を極めて少なくする方法と、甘味料により酸味を抑えマスキングを行う方法とのいずれか又は両方を選択するしかなかった。ビタミンCの添加量を極めて少ない量にすると、ビタミンCを十分量摂取したいという消費者ニーズに応えられない。また、ビタミンCの好ましくない呈味性を甘味料により酸味を抑えマスキングする方法では、果汁や糖類を飲料に多量に添加することになるため、糖類の過剰摂取に繋がるおそれがある。ビタミンCの摂取を希望する消費者ニーズは、美容、健康、ストレス解消、アンチエイジング等を目的としているため、糖類を過剰添加した飲料商品は市場において避けられる傾向にある。
【0005】
ことに近年消費者の嗜好として、カロリーや甘味を敬遠する傾向があり、茶系の飲料や水などのノンシュガー・ノンカロリーやニアウォーター系の低カロリーを謳った飲料の市場が伸びてきている。また高甘味度甘味料は、特有の苦味や後味のキレの悪さ、えぐみ等の香味性や呈味性により、消費者の嗜好性にそぐわないという問題に加えて、添加物の過剰使用に繋がる問題がある。容器詰飲料においてビタミンCの添加量を増やす場合、これら好ましくない香味性や呈味性を低減させる方法が必要となる。また、同時にビタミンCを手軽に且つ効率的に摂取するという課題も同時に解決しなければならない。
【0006】
さらに、ビタミンC含有飲料を製造するにあたって、ビタミンCの経時的劣化(褐変)の問題もある。食品の褐変には酵素的褐変と非酵素的褐変があるが、ビタミンCの褐変は後者にあたる。この褐変はビタミンCの酸化によるもので、温度条件に影響を受けるといわれている。様々な容器形態でPETボトルが主流となっている中で、内容液の性状は商品価値を左右する大きなファクターとなるため、外観上の経時的な劣化は回避しなければならない重要課題である。
【0007】
ビタミンC含有飲料としては、例えば特許文献1において、ビタミンCを40〜100ppm含有してなる、風味劣化が抑制され、かつ透明性に優れた無果汁透明炭酸飲料が記載されている。また特許文献2において、アスコルビン酸とアスコルビン酸ナトリウムの配合量が調整された、酸味がなく、クセの少ない水溶液が記載されている。さらに特許文献3において、カロチノイド類、複数種類のビタミン類と複数種類の果汁を含有することを特徴とする飲料が記載されている。しかし、特許文献1記載の飲料は、ビタミンCの添加量が極めて少なく、より多くのビタミンCを摂取したいという消費者ニーズに応えることができない。また、特許文献2記載の飲料は、アスコルビン酸とアスコルビン酸ナトリウムの配合量を調整することにより呈味性の問題を一部解消したものであるが、ビタミンCの劣化を抑制する方法は別途講じなければならないうえ、アスコルビン酸とアスコルビン酸ナトリウムの配合量だけでマスキングしきれないビタミンCの呈味性を果汁や糖類を別途添加しなければならない問題がある。また、特許文献3記載の飲料は、脂溶性ビタミン類(ビタミンA,ビタミンD,ビタミンE)や補酵素変換型ビタミン類(ビタミンB、ナイアシン、ビタミンB、ビタミンB)の油っぽい味や油臭を改善したものであり、柑橘類、トロピカル系果実、リンゴ果汁として果汁を添加するマスキング型の飲料であった。
【0008】
【特許文献1】特開平11−313646
【特許文献2】特開2005−058097
【特許文献3】特開2005−261357
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、果汁や糖類を添加することなくビタミンC酸味やビタミン臭を抑制し、ビタミンCの体内吸収性を向上させ、さらに経時による褐変を防止したビタミンC含有無糖炭酸飲料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を進めた結果、炭酸ガスの封入量を任意の範囲に設定することで、甘味を付与することなくビタミンCの酸味やビタミン臭を抑制でき、かつビタミンCの経時的な褐変を防止することが可能となることを見出した。また、糖類を添加した炭酸飲料よりも、無糖炭酸飲料の方がビタミンCの吸収性に優れることを発見した。
【0011】
すなわち本発明は、
1.ビタミンCを含有し、ガスボリュームが2.3〜3.6の範囲内であることを特徴とする容器詰無糖炭酸飲料、
2.ビタミンCの含有量が500〜3000ppmであることを特徴とする上記1記載の容器詰無糖炭酸飲料、
3.ビタミンCがL−アスコルビン酸及び/又はL‐アスコルビン酸塩であることを特徴とする上記1又は2記載の容器詰無糖炭酸飲料、
4.ビタミンCの体内吸収性が向上し、経時的劣化が抑制されることを特徴とする上記1〜3のいずれか記載の容器詰無糖炭酸飲料、
5.ビタミンCを添加する工程と、飲料中のガスボリュームが2.3〜3.6の範囲内にとなるように炭酸を封入する工程と、容器に充填する工程とを含むことを特徴とする無糖飲料の製造方法、
6.ガスボリュームが2.3〜3.6の範囲内に調整することにより、ビタミンC含有無糖炭酸飲料の劣化を抑制する方法
に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、ビタミンC特有の酸味・ビタミン臭が抑制され、ビタミンCの体内吸収性に優れており、かつ褐変を防止した、香味・外観共に爽快感を有するビタミンC含有無糖炭酸飲料を提供することができる。具体的には、炭酸ガスを飲料中のガスボリュームとして2.3〜3.6に調整した場合、500〜3000ppmのビタミンCを含有しているにも関わらず、酸味・ビタミン臭を抑制し、かつビタミンCの経時的な褐変も抑制された市場価値の非常に高い容器詰飲料を提供することが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明における容器詰無糖炭酸飲料とは、ビタミンCを含有し、糖類を添加しない炭酸飲料を容器詰めしたものをいう。ここで無糖とは、糖類を含有しないことを意味するものであり、糖類とは単糖類や二糖類に加えて三糖類、四糖類及びそれ以上のオリゴ糖等をも含む。但し、糖類に分類されるものであってもカロリーが実質的にゼロである甘味料(人口甘味料を含む)等はここでの糖類に含まず飲料に別途添加できる。
【0014】
本発明においてビタミンC含有量は特に限定されるものでないが、ビタミンC高含有飲料の消費者ニーズ、ビタミンCの体内吸収性、及び経時的劣化(経時的褐変)抑制効果を考慮すると、ビタミンC含有量を500〜3000ppm、好ましくは900〜2500ppm、さらに好ましくは1400〜2400ppm、最も好ましくは1800〜2200ppmであることよい。
【0015】
本発明に用いられるビタミンCは、アスコルビン酸及びアスコルビン酸ナトリウムのいずれか、又は両方を適当な割合で混合したものであってよい。本発明に用いられるビタミンCは公知方法で製造することができ、その由来は特に限定されない。また、本発明のビタミンCとして、市販品を用いてもよい。
【0016】
本発明における容器詰無糖炭酸飲料を製造するにあたって各種ガスを封入する。使用するガスとしては、二酸化炭素を単独で使用するものであっても、二酸化炭素と二酸化炭素以外のガス類(酸素、水素、窒素等)とを2種類以上混合するものであってよい。取扱の手軽さや安定性の観点から二酸化炭素を用いることが好ましい。
【0017】
また、本発明においてガスボリューム(ガスの量)とは、飲料1L中に溶解しているガス量であって、ガス量の強さの指標として一般的に用いられるものである。本発明におけるガスボリュームは、2.3〜3.6、好ましくは2.5〜3.5、さらに好ましくは2.5〜3.0の範囲内である。ガスボリュームが2.3を下回るとビタミンCの不快な呈味性や香味性を抑えることができず、経時的劣化も発生することから好ましくない。また、ガスボリュームが3.6を超えると容器詰無糖炭酸飲料自体が飲み難くなり好ましくない。ガスボリュームはビタミンC添加量や、目標とする経時劣化抑制効果や、許容可能な呈味性の範囲等を考慮して、上記範囲内で適宜調整することができる。
【0018】
本発明に用いる容器としては、金属缶、PETボトル、紙容器、壜等であってよく、これら容器の色彩は問わない。しかし、本発明品の特徴としてビタミンCの経時的劣化(経時的褐変)を抑制した点にあり、その市場価値を最大限アピールすることを考慮すると、PETボトル、特に無色透明のPETボトルを用いることが好ましい。
【0019】
本発明においてビタミンCの体内吸収性とは、経口摂取したビタミンCが体内に吸収されることをいう。このビタミンCの体内吸収性は、ビタミンCを経口摂取し一定時間経過した被験者や被検動物から採取した血液から、公知の方法でもって測定することができる。なお、本発明におけるビタミンCの体内吸収性は基本的にヒトを対象と想定しているが、同一の効果がヒト以外の動物に対して得られる限りにおいてこれらの各種動物にも適用できる。
【0020】
経時的劣化とは、ビタミンCが経時的に劣化することにより褐変(水色の黄色への変化)が生じることをいう。本発明における劣化の抑制とは、かかる褐変(水色の黄色への変化)がコントロールと比較して抑制されることをいう。
【0021】
本発明おける容器詰無糖炭酸飲料は、ビタミンC等の原料を調製・調合し、加熱殺菌をしてから冷却し、ガス封入(カーボネーション)してから容器に充填する工程により製造することができる。最終製品の品質を劣化させるものでない限りにおいて、上記工程のいずれかを前後させる、又は他の工程を追加することができる。また使用する原料としては、最終製品の品質を劣化させるものでない限りにおいて上述の糖類以外の添加物、例えば香料や色素等を添加することができる。
【実施例】
【0022】
以下に本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0023】
実施例1:炭酸ガスによるビタミンCの経時的褐変抑制の確認試験
実施例に使用した飲料の配合表を表1に示す。ビタミンCとして3000ppmになるように調整したL−アスコルビン酸およびL‐アスコルビン酸ナトリウムそれぞれ20kgおよび12kgを処理水10000Lに溶解し、脱気処理を行った後炭酸ガスを圧入した。炭酸ガスの封入量は、飲料中のガスボリュームとして、1.9、2.1、2.3、2.5、2.7、3.3、3.7になるように調整した。これを洗浄したPETボトルに充填し、キャッピングしたものを試験飲料とした。
【0024】
【表1】

【0025】
図1及び2に417〜422nmにおける各試験飲料の吸光度を示す。全ての波長において、ガスボリュームの増加に伴い吸光度の低下が確認された。37℃では、ガスボリューム2.3から吸光度が緩やかに低下し始め、ガスボリューム2.5で急激に低下した。その後吸光度はガスボリュームの増加に伴い緩やかに低下を続けた。また、45℃ではガスボリューム2.3で吸光度が急激に低下し、さらにガスボリューム2.5でも大きく低下した。その後、吸光度はガスボリュームの増加によらず一定の値を推移した。
【0026】
表2及び図3に目視による外観検査の結果を示す。45℃では、ガスボリューム1.9で褐変が確認され、ガスボリューム2.1でも僅かに褐変が確認された。ガスボリューム2.3では僅かに黄色に変色していることが確認されたが商品としての許容範囲内と判断した。ガスボリューム2.5以上では色の変化は確認できなかった。また、37℃では、ガスボリューム1.9および2.1で僅かに褐変が確認された。ガスボリューム2.3では僅かに黄色に変色していることが確認され、ガスボリューム2.5以上では色の変化が確認できなかった。各サンプルの褐変状況を図3に示す。以上の結果より、飲料中のガスボリュームとして2.3以上の炭酸ガスを含む無糖炭酸飲料では、ビタミンCの褐変が抑制できることが判明した。
【0027】
【表2】

【0028】
なお、表中の検査結果を熟練したパネラーにより目視により飲料の褐変度合いを評価した。表中の評価は、±:良好(褐変なし)、+:中程度(やや褐変あり)、++:悪い(中程度の褐変あり)、+++:極めて悪い(高程度の褐変あり)、の4段階でそれぞれ示されている。
【0029】
実施例2:炭酸ガスによるビタミンCの酸味・ビタミン臭抑制の確認試験
表3に実施例に使用した飲料の配合表を示す。ビタミンCとして3000ppmになるように調整したL‐アスコルビン酸およびL‐アスコルビン酸ナトリウムそれぞれ20kgおよび12kgを処理水10000Lに溶解し、脱気処理を行った後炭酸ガスを圧入した。炭酸ガスの封入量は、飲料中のガスボリュームとして2.1、2.45、2.6、3.2、3.6、4.0になるように調整した。これを洗浄したPETボトルに充填し、キャッピングしたものを試験飲料とした。
【0030】
【表3】

【0031】
調整した試験飲料の香味を、20℃の温度条件のもと熟練したパネラー10名によって官能評価した。評価方法は、酸味およびビタミン臭を±:十分抑制されている、+:抑制されている、++:僅かに抑制されている、+++:抑制されていない、の4段階とした。また、炭酸の強さを苦味・刺激として±:良好、++:若干違和感がある、+++:飲用に適さない3段階で評価した。
【0032】
表4に各ガスボリュームにおける香味の官能評価を示す。酸味・ビタミン臭ともに、ガスボリューム2.45以上で抑制可能という評価であった。さらに、ガスボリューム2.6以上では完全に抑制することができた。また、苦味・刺激は、ガスボリューム2.45〜3.2では良好であり、ガスボリューム2.1では苦味・刺激が不足しているという評価であったため炭酸飲料としては若干の違和感があった。さらに4.0では飲用不可という評価であった。以上の結果から、飲料中のガスボリュームとして2.45〜3.6の範囲に炭酸ガスを調整した場合、良好な香味を有するビタミンC含有無糖炭酸飲料が製造可能であることが判明した。
【0033】
【表4】

【0034】
なお、表中の各項目評価を、±:弱い、+:中程度、++:強い、+++:極めて強い、の4段階で示した。また、総合評価として、×:悪い、△:普通、○:良い、の3段階で示した。
【0035】
実施例3:健常者のアスコルビン酸吸収試験
ビタミンC含有無糖炭酸飲料がビタミンC吸収量に影響するか調べた。
(被験者管理)
試験期間中の食事は本人の自由としたが、暴飲暴食及び過量のアルコールの摂取を控えることとした。試験の2日前からビタミンCを多く含む食品、ビタミン剤、アルコールの摂取の禁止、及び検査前日21時以降の水以外の飲食を禁止した。試験前日の水分摂取量、試験当日の水分摂取を各試験日とも個人ごとにほぼ同量摂取するようにさせるものとした。
【0036】
(被験飲料の調製)
ビタミンC含無糖炭酸水(飲料1)と、ビタミンC及び糖質含有炭酸水(飲料2)との2種類を調製した。それぞれの飲料を以下の組成で調製し、体積でメスアップした(表5)。被験飲料は試験前日まで4℃で保存し、前日から室温に戻して被験者に摂取させた。
【0037】
【表5】

【0038】
(被験方法)
試験は被験者に6日間の休止期間をはさんで異なる順序で2種の飲料を摂取させ行った。被験者は前日、一定の夕食を与えられ、午後9時以降は水以外の飲食を禁止された。試験当日、午前8時50分より試験を開始した。まず、試験飲料摂取前の採血を行い、引き続き試験飲料を摂取させた。採血は、試験飲料摂取完了時から1、2、3、4及び6時間後に指先からヘパリン処理済みヘマトクリット管を用いて行った(図4)。
【0039】
(ビタミンCの測定)
試験サンプルおよび試験飲料中のビタミンCは梅垣ら(日本栄養・食糧学会誌 第52巻第2号 107−111 (1999))の方法に従い、電気化学検出器(ECD)を装着した高速液体クロマトグラフィーを用い、還元型ビタミンC(L−アスコルビン酸)のみ分析した。
【0040】
(分析条件)
血漿は、ヘパリン採血した健常人の血液をただちに遠心分離(12,000rpm、5分、室温;コクサン、H−1200A)して調製した。血漿に5倍量(v/v)の6%(w/v)メタりん酸水溶液を加え(最終濃度5%)、ボルテックスミキサーで攪拌し、遠心分離(15000rpm、15分、4℃;日立、himac CF15R)した。上清をフィルター(0.45μm)ろ過し、HPLC試料とした。
【0041】
(試料の調製)
HPLCシステムについて、ポンプにはLC−6A(島津)、オートインジェクターにはSIL−9A(島津)、データ処理には741(ウォーターズ)を用いた。ECDにはEC−8011(東ソー)を用い、加電圧は+350mAとした。また、カラムにはWakosil−II 3C18HG φ4.6×150mm(和光)を用い、カラム温度は40℃とした。移動層には、0.1M りん酸二水素カリウム溶液(0.5mM 塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、0.2mM EDTA2Na含有、pH 3.0)を用い、流速を1.0mL/ minとした。
【0042】
(統計処理)
摂取前の値との比較を、対応あるt−検定で行った。
【0043】
(試験結果)
試験飲料は、事前にビタミンC濃度を測定しておき、各々500mgずつ摂取できるように投与量(mL)を調節した(表6)。
【0044】
【表6】

【0045】
(血漿ビタミンC濃度)
血漿中ビタミンC濃度は、飲料摂取2時間後にピークとなった。摂取前と比較して摂取後の血漿アスコルビン酸濃度はほとんどの時間で有意に上昇した(表7)。無糖炭酸群では加糖炭酸群と比較して飲料摂取後の血漿アスコルビン酸増加量が高かった(図5)。また、AUCでは加糖炭酸群(18.45μg/ml・6h)において無糖炭酸群(23.59μg/ml・6h)と比較して低下が認められた(図6)。
【0046】
【表7】

【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】37℃における417〜422nmの吸光度を測定した結果を示す。
【図2】45℃における417〜422nmの吸光度を測定した結果を示す。
【図3】45℃で2週間の経時劣化の程度を示す。
【図4】実施例3のアスコルビン酸吸収試験の試験プロトコルを示す。
【図5】無糖炭酸飲料と有糖炭酸飲料について血漿ビタミンC濃度の経時的変化を示す。
【図6】無糖炭酸飲料と有糖炭酸飲料について血漿ビタミンC濃度上昇曲線下面積を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビタミンCを500〜3000ppm含有し、ガスボリュームが2.3〜3.6の範囲内であって、ビタミンCの経時的劣化が抑制されることを特徴とする容器詰無糖炭酸飲料。
【請求項2】
ビタミンCがL−アスコルビン酸及び/又はL‐アスコルビン酸塩であることを特徴とする請求項1記載の容器詰無糖炭酸飲料。
【請求項3】
カロリーが実質的にゼロである甘味料を加えたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の容器詰無糖炭酸飲料。
【請求項4】
ビタミンCを添加する工程と、飲料中のガスボリュームが2.3〜3.6の範囲内にとなるように炭酸を封入する工程と、容器に充填する工程とを含むことを特徴とする容器詰無糖炭酸飲料の製造方法。
【請求項5】
ガスボリュームが2.3〜3.6の範囲内に調整することにより、ビタミンC含有容器詰無糖炭酸飲料の劣化を抑制する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−60917(P2009−60917A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289369(P2008−289369)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【分割の表示】特願2007−81238(P2007−81238)の分割
【原出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(591014972)株式会社 伊藤園 (213)
【Fターム(参考)】