説明

ビタミンD化合物の用量範囲を拡張する方法

骨カルシウム吸収の阻害剤が投与され、対象の食物におけるカルシウム摂取量が制限され、高用量のビタミンD化合物またはビタミンD模倣体を、腎臓、心臓、および大動脈の石灰化の危険を伴わずに、代謝性骨疾患、副甲状腺機能亢進症、癌、乾癬、および自己免疫疾患等の疾患を治療する意図をもって与えることを可能にする。骨カルシウム吸収の阻害剤としては、ビスホスホン酸、OPG(オステオプロテジェリン)、またはsRANK(NF−kB遺伝子によって発現されるタンパク質である可溶性RANK)として知られている可溶性RANKL(NF−kBリガンドの受容体活性剤)受容体が挙げられ、骨からのカルシウムの有効性を阻害するように機能し、それによって、高カルシウム血症、およびその結果生じる軟組織の石灰化を防止する。従って、高用量の1α,25−ジヒドロキシビタミンD(1,25−(OH))、その類似体、プロドラッグ、または模倣体は、患者に対する最小の危険を伴って標的疾患を治療するために利用できる。具体的には、治療される対象が低カルシウム食を与えられる限り、1,25−(OH)およびその非常に有効な類似体、2−メチレン−19−nor−(20S)−1α,25−ジヒドロキシビタミンDの両方の骨カルシウム流動化活性を阻害するアレンドロン酸塩が示される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ビタミンD中毒は、1922年のその発見から知られている。脂溶性ビタミンの中でも、超生理学的用量で与えられるビタミンAおよびビタミンDは毒性を引き起こす。ビタミンDの場合、当該毒性は、高い血中カルシウム濃度および血中リン酸濃度の結果であり、これらは、主として腎臓、心臓、大動脈、およびその他の組織の石灰化をもたらす。死亡は、腎不全、または心臓および大動脈等の重要な器官の不全に起因し得る。ビタミンDは、それがその機能を発揮できる前に、インビボにて最初に肝臓内で25−ヒドロキシビタミンD(25−OH−D)に、その後腎臓内で1,25−ジヒドロキシビタミンD(1,25−(OH))に代謝しなければならないということも知られている。その後、1,25−(OH)は、腸におけるカルシウム吸収およびリン酸吸収を促進し、腎臓内におけるカルシウムの再吸収を増加させ、最も好ましくは、副甲状腺ホルモン依存性の過程において、骨からのカルシウムの流動化を促進する。従って、現在に至るまで、天然ビタミンDホルモンの重要かつ不可避な活性は、用量と直接関連して、骨からのカルシウムおよびリン酸を流動化させることである。
【0002】
1,25−(OH)は、タンパク質、RXR(レチノイドX受容体)と標的遺伝子の応答素子上で二量化し、転写を促進するか抑制するか何れかである受容体を通じて機能するということも知られている。その後、当該遺伝子産物は、1,25−(OH)に起因する機能を発揮する。受容体ノックアウトマウスの開発、およびタイプIIビタミンD依存性の骨軟化症が、ビタミンD受容体(VDR)中における1つまたは複数の突然変異の結果であるという発見にあっては、全部ではないが、ほとんどのビタミンD作用が、VDRを通じて媒介されるということは非常に明白である。この受容体は、以前はビタミンD作用の標的であるとは考えられず、カルシウムおよびリン酸を流動化させる機能に関与すると確かに考えられていなかった組織内で見つかっている。このような標的は、副甲状腺、皮膚角化細胞、膵臓島細胞、およびリンパ球である。さらに、Sudaおよびその同僚ら(Abe et al, "Differentiation of Mouse Myeloid Leukemia Cells Induced by lα, 25-dihydroxyvitamin D3", Proc. Natl. Acad. Sci., Vol. 78, No. 8, pp. 4990- 4994, 1981)は、ビタミンDホルモン、すなわち1,25−(OH)が、単球への前骨髄球の分化、カルシウムに関連すると考えられない作用を引き起こすということを明確に示している。この分化、および培養下における癌細胞の成長の抑制のために、癌の分化治療にてビタミンD化合物を用い得る可能性が強く持ち上がっている。さらに、1,25−(OH)および多くのその類似体による自己免疫疾患の抑制もまた知られている。疾患乾癬のための1,25−(OH)および多くのその類似体等の、ビタミンD化合物を用いた局所治療法の使用は、もう一つの既知の事実である。しかしながら、ビタミンD化合物の投与によるこれらの治療の実現における主たる制限は、ビタミンD化合物の主な効果が、通常は骨を消費して血漿カルシウムおよび血漿リンを上昇させることであるということである。従って、ビタミンD化合物が過剰に高い用量で投与される場合、ビタミンD中毒は明らかな可能性の一つである。血中カルシウムを上昇させないが、培養下にて癌細胞を抑制するようにインビトロで作用するだろうビタミンD類似物を合成するための試みが為されているが、現在のところ、多くのこれらの類似体は非カルシウム血性であり、その理由は、これらが急速に代謝され、不活性にされるからである。その探求は続いているが、本発明は代替経路を提供し、それによって比較的高い用量のビタミンD化合物、その類似体、またはビタミンD模倣体は、付随のビタミンD中毒を伴わずに投与できる。従って、骨カルシウムの流動化を阻害する薬品を共投与することによって、骨からのカルシウムの流動化は、妨害し、または防止し、または少なくとも最小化することができ、それによって、血中カルシウムの上昇が必要とされない場合に、ますます高い用量のビタミンD化合物またはビタミンD模倣体を疾患の治療に用いることを可能にする。本発明はその達成手段を提供する。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、ビスホスホン酸塩、またはカルシトニン、またはその他の破骨細胞媒介の骨吸収阻害剤を用いて、食事性カルシウムを制限すること、すなわち低カルシウム食と組み合わせて骨カルシウムの流動化を阻害し、ひいてはビタミンD化合物またはビタミンD様模倣体によって引き起こされる高カルシウム血症を防止する。結果として、高用量のビタミンD化合物は、患者に対するビタミンD中毒または高カルシウム血症の最小の危険、および代謝性骨疾患、副甲状腺機能高進症、癌、乾癬、または自己免疫疾患を抑制する明らかな可能性を伴って投与できる。より具体的には、本発明は、高カルシウム血症を進行させず、または、哺乳類の食物中におけるカルシウム摂取量を制限すること、およびビタミンD化合物またはビタミンD模倣体で治療される哺乳類に、有効量の骨カルシウム吸収阻害剤を適切な投与計画にて投与することを含む、ビタミンD中毒をもたらさずに疾患を治療するための、高用量のビタミンD化合物またはビタミンD模倣体を投与する方法を提供する。投与される高用量のビタミンD化合物は通常、食事性カルシウム摂取量を制限する段階、および骨カルシウム吸収阻害剤を投与する段階がない限り、高カルシウム血症を生み出すのに十分だろう。乾癬を有する患者に、有効量の骨カルシウム吸収阻害剤、および有効量のビタミンD化合物またはビタミンD模倣体を適切な投与計画にて投与することを含む、乾癬を治療する方法も提供される。さらに、白血病、結腸癌、乳癌、または前立腺癌から成る群から選択される癌を治療する方法は、前記癌を有する患者に、有効量の骨カルシウム吸収阻害剤、および有効量のビタミンD化合物またはビタミンD模倣体を適切な投与計画にて投与することを含む。本発明のさらに別の態様は、多発性硬化症、狼瘡(lupis)、炎症性大腸炎、タイプI糖尿病、宿主対移植片反応、および臓器移植拒絶から成る群から選択される自己免疫疾患を治療する方法であり、前記疾患を有する患者に、有効量の骨カルシウム吸収阻害剤、および有効量のビタミンD化合物またはビタミンD模倣体を適切な投与計画にて投与することを含む。
【0004】
1,25−(OH)が前骨髄球の分化を引き起こし、前骨髄球の成長を抑制するという発見は、いく人かの研究者がこの分化の目的を追うことに繋がり、ビタミンDホルモンならびにその他の薬品が破骨細胞の形成を誘起するという発見に繋がっている。ビタミンDホルモンは、単球の分化だけでなく、多核細胞の形成、および活性破骨細胞となる活性当該多核細胞の活性化にも関わっていると思われる。これは、その受容体を通じて、破骨細胞前駆体に結合するタンパク質RANKLの生成を促進するビタミンDホルモンによって、破骨細胞前駆体および成熟破骨細胞の膜表面内に配置されたRANKと命名されるRANKL受容体に媒介される。その後、破骨細胞の成長および破骨細胞の機能を活性化するのはこの信号である。破骨細胞形成抑制因子(OPG)と呼ばれる自然分泌の可溶型のRANKは、膜結合性または膜分泌性のRANKLを秘結させることによって、この分化または活性化過程を阻害できる(例えば、PCT出願第WO96/26271号を参照されたい)。予備研究は、OPG、またはRANK(sRANK)の細胞外領域のみから成る合成組み換えの可溶タンパク質が、血清カルシウムにおける1,25−(OH)誘起の増加を防止するだろうということを示唆している。
【0005】
具体的には、本発明は、骨カルシウム流動化の阻害剤、特にビスホスホン酸塩、OPG、可溶合成RANK、あるいは、ヒトFc(OPG−Fc、sRANK−Fc)に結合したOPGまたは可溶合成RANKの何れかから成る長寿命キメラタンパク質を利用し、骨からのカルシウムの有効性を阻害し、それによって、高カルシウム血症、およびその結果生じる軟組織の石灰化を防止する。従って、高用量の1α,25−ジヒドロキシビタミンD(1,25−(OH))、その類似体、プロドラッグ、またはその他のビタミンD様化合物(本明細書では「模倣体」と呼ぶ)は、患者に対する高カルシウム血症を進行させる最小の危険を伴って利用できる。具体的には、食事性カルシウムも制限される限り、1,25−(OH)およびその非常に有効な類似体、2−メチレン−19−nor−(20S)−1α,25−ジヒドロキシビタミンD(本明細書では2MDと呼ぶ)の骨カルシウム流動化活性を阻害するアレンドロン酸塩が示される。
【0006】
本発明の好適な方法に従って、低カルシウム食を与えられる患者は、ビスホスホン酸塩、カルシトニン、OPG、またはsRANK等の骨カルシウム吸収阻害剤か、あるいは骨カルシウム流動化を防止するその他同様のRANKL結合剤またはRANKL阻害剤(OPG−Fc、RANK−Fc)かの何れかを最初に投与される。その後、ビタミンD類似体およびビタミンD化合物は、以前に高カルシウム血症を引き起こさない可能性があると考えられていた用量よりも遥かに高い用量で投与できる。もう一つの方法として、当該骨吸収阻害剤およびビタミンD化合物は同時に投与できる。それ故、これは、骨カルシウム流動化を阻害する薬品が投与される場合、1,25−(OH)の場合に0.5μg/患者/日から5μg/患者/日または10μg/患者/日と同等まで治療用量を拡張する。この方法は高カルシウム血症の進行を防止し、代謝性骨疾患を治療し、副甲状腺機能高進症を治療し、癌を抑制し、自己免疫疾患を防止し、または乾癬を軽減できる到達濃度のビタミンD類似体をもたらすだろう。
【0007】
この方法の使用で、患者に対する高カルシウム血症を進行させる最小の危険を伴うビタミンD化合物の用量レベルにおいて、10倍以上の高い増加を可能にするだろうと予想される。本明細書にて先述したように、腎臓は、血液から毒素および過剰な栄養分を濾過する能力に関してのみならず、ビタミンD3の活性型、1,25−ジヒドロキシビタミン[1,25(OH)]を合成する能力に関しても必要不可欠である。慢性腎臓疾患を有する患者においては、これらの機能は両方低下している。結果的に、1,25(OH)の濃度は減少し、高カルシウム血症をもたらす。その一方で、栄養分、具体的にはリンが血中に蓄積する。高カルシウム血症および副甲状腺機能高進症は両方、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌の有効な促進剤である。徐々に、微量の1,25(OH)の存在下でさえ、副甲状腺機能高進症は過剰な骨吸収を引き起こし、腎性骨ジストロフィーとして知られている病気をもたらす。透析治療に加え、この病気を防止するために、血中の過剰なPTH濃度を抑制し、リンを減らすことは必要不可欠である。
【0008】
1,25−ジヒドロキシ−19−nor−ビタミンD(19−nor−D、Zemplar(登録商標)、Abbott Laboratories社、アボットパーク、イリノイ州)等のビタミンD類似体、および1α−ヒドロキシビタミンD[1α−(OH)、Hectorol(登録商標)、Genzyme社/Bone Care International社、ミドルトン、ウィスコンシン州]は、腎性骨ジストロフィーの二次性副甲状腺機能高進症を抑制するために患者に投与されるが、その理由は、ビタミンD類似体は一般的に、副甲状腺内に配置されたビタミンD受容体(VDR)に結合し、上皮小体細胞の成長および増殖の両方、および前プロ副甲状腺遺伝子の発現を抑制するからである。ビタミンD類似体は抑制したPTH濃度にて有効だが、これは腸内のカルシウムおよびリンの吸収を促進する能力を保持し、当該類似体が高用量で、またはカルシウム系経口リン結合剤と併用して投与される場合、これは問題があり得る。
【0009】
従って、好適な実施形態では、本発明は、哺乳類の食物中のカルシウム摂取量を制限すること、および有効量の骨カルシウム吸収阻害剤およびビタミンD化合物を、適切な投与計画にて適切な前記哺乳類に投与することを含み、前記ビタミンD化合物は当該疾患を治療するのに十分な用量で投与され、前記用量は骨カルシウム吸収阻害剤を投与する段階およびカルシウムを制限する段階がない限り、高カルシウム血症を生み出すのに十分であり、前記ビタミンD化合物は下記の化学式を有する化合物から成る群から選択される、哺乳類における代謝性骨疾患を治療する方法、および副甲状腺機能高進症を治療する方法、を提供する:
【化1】

(式中、RおよびRは水素をそれぞれ表し、あるいは互いに結合したRおよびRはメチレン基を表し、Rは、水素、ヒドロキシ、または保護ヒドロキシを表し、RおよびR10は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、またはフルオロアルキルをそれぞれ独立して表し得、あるいは互いに結合したRおよびR10は−(CH−基を表し得、式中、xは2から5の整数であり、−OY基または=R1112基(式中、R11およびR12は同一または異なり得る)は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、およびフルオロアルキルからそれぞれ選択され、あるいはR11およびR12が互いに結合した場合、−(CH−基を表し得、式中、xは2から5の整数であり、R基は下記の構造によって表される:
【化2】

式中、炭素20位の立体化学中心はR配置またはS配置を有し得、式中、Zは、Y、−OY、−CHOY、−C≡CY、および−CH=CHYから選択され、式中、二重結合はシス構造またはトランス構造を有し得、式中、Yは、水素、メチル、−COR、および下記の構造のラジカルから選択される:
【化3】

式中、mおよびnは0から5の整数を独立して表し、式中、Rは、水素、二重水素、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、およびCからCのアルキル(直鎖状または分岐状であり得、ヒドロキシ置換基または保護ヒドロキシ置換基を随意に有し得る)から選択され、式中、R、R、およびRのそれぞれは、二重水素、二重水素アルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル、およびCからCのアルキル(直鎖状または分岐状であり得、ヒドロキシ置換基または保護ヒドロキシ置換基を随意に有し得る)から独立して選択され、式中、互いに結合したRおよびRは、オキソ基、またはアルキリデン基、=CR、または−(CH−基を表し、式中、pは2から5の整数であり、式中、互いに結合したRおよびRは、オキソ基、または−(CH−基を表し、式中、qは2から5の整数であり、式中、Rは、水素、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、またはCからCのアルキルを表し、式中、側鎖中の20位、22位、または23位にある任意のCH−基は、窒素原子によって置換し得、あるいは式中、20位、22位、および23位にある任意の−CH(CH)−基、−(CH−基、−(CR−基、または−(CH−基はそれぞれ、酸素原子または硫黄原子によって置換し得る)。当該ビタミンDおよび当該骨カルシウム吸収阻害剤のうち1つまたは両方の何れかは、経口で、非経口で、経皮的に、経直腸的に、経鼻的に、または舌下で投与できる。加えて、当該骨カルシウム吸収阻害剤は、当該ビタミンD化合物の前に投与でき、あるいは、当該ビタミンD化合物と実質的に同時に投与できる。好ましくは、当該骨カルシウム吸収阻害剤は、体重の約0.1mg/kgから100mg/kgの用量で投与される。当該好適なビタミンD化合物は、2−メチレン−19−nor−(20S)−1α,25−ジヒドロキシビタミンD、または1α−25−ジヒドロキシビタミンDであり、当該好適な骨カルシウム吸収阻害剤はアレンドロン酸塩である。本発明の方法によって治療できる代謝性骨疾患としては、老人性骨粗しょう症、閉経後骨粗しょう症、ステロイド誘起の骨粗しょう症、低骨代謝回転型骨粗しょう症、骨軟化症、腎性骨ジストロフィー、骨減少症、ビタミンD抵抗性骨軟化症、およびパジェット病が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
下記の図面は、本発明を実施することを意図した目下最良の形態を説明する。
【図1】本方法に従って治療したマウスの用量投与後における、体重対時間のグラフである。
【図2】本発明に従って治療したマウスの用量投与後における、血清カルシウム対時間の棒グラフである。
【図3】カルシウムを含む(0.47%)、または欠いている(0.02%)食物を与え、単独経口用量のビタミンD類似体2MDの+/−アレンドロン酸塩(ip)を与え、同様にアレンドロン酸塩(ip)を投与する場合またはしない場合の、CD−1マウス中における血清カルシウム濃度の棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書および特許請求の範囲にて用いられるように、用語「ヒドロキシ保護基」は、例えば、アルコキシカルボニル基、アシル基、アルキルシリル基またはアルキルアリールシリル基(以下、単純に「シリル」基と呼ぶ)、およびアルコキシアルキル基等の、ヒドロキシ官能基の一時的保護のために一般に用いられる任意の基を意味する。好適なヒドロキシ保護基は、塩基安定性であるが、所望の場合に容易に除去可能なものである。アルコキシカルボニル保護基は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、またはアリルオキシカルボニル等のアルキル−O−CO−群である。用語「アシル」は、その全ての異性形態における1個から6個の炭素のアルカノイル基、またはオキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基等の1個から6個のカルボキシアルカノイル基、またはベンゾイル基、またはハロ置換、窒素置換、またはアルキル置換のベンゾイル基等の芳香族アシル基を意味する。本明細書および特許請求の範囲にて用いられる単語「アルキル」は、その全ての異性形態における1個から10個の炭素の直鎖状または分岐状のアルキルラジカルを示す。アルコキシアルキル保護基は、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエトキシメチル、またはテトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロピラニル等の群である。好適なシリル保護基は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、ジブチルメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、フェニルジメチルシリル、ジフェニル−t−ブチルシリル、および類似アルキル化シリルラジカルである。用語「アリール」は、フェニル置換、あるいはアルキル置換、ニトロ置換、またはハロ置換のフェニル基を意味する。
【0012】
「保護ヒドロキシ」基は、ヒドロキシ官能基の一時的保護または永久保護のために一般に用いられる任意の上記の基、例えば、上記で定義されたように、シリル基、アルコキシアルキル基、アシル基、またはアルコキシカルボニル基によって誘導体化または保護されるヒドロキシ基である。用語「ヒドロキシアルキル」、「二重水素アルキル」、および「フルオロアルキル」は、1つ以上のヒドロキシ基、二重水素基、またはフルオロ基によってそれぞれ置換されるアルキルラジカルを指す。
【0013】
本明細書にて用いられる用語「高カルシウム血症」および「ビタミンD毒性」は、血清の2mg/100ml以上である血中血清カルシウム濃度を指す。「中毒量」のビタミンD化合物は、ヒト等の哺乳類に投与される場合、高カルシウム血症またはビタミンD毒性をもたらす用量のビタミンD化合物である。
【0014】
本明細書にて用いられる用語「低カルシウム食」または「制限的食事性カルシウム」は、約6mg/kg体重から7mg/kg体重未満のカルシウムを含む食物を指す。一般的に、ヒトにおいては、これは最大約420mg/日のカルシウム、好ましくは約360mg/日未満のカルシウムを含む食物を意味する。
【0015】
用語「適切な投与計画」は、当該ビタミンD化合物および骨カルシウム吸収阻害剤を、標的とする疾患を効果的に治療するために、適切な用量および適切な時間間隔にて患者に投与する管理を指す。製薬分野にて十分に知られているように、このような用量および時間間隔は、治療される疾患、その重症度、および治療される対象の反応に応じて調節できる。
【0016】
ビタミンD化合物
本明細書にて用いられるように、用語「ビタミンD化合物」は、哺乳類における様々なビタミンD応答過程、すなわち、VDRによる活性化を通じた腸内カルシウム吸収、骨流動化、骨石灰化、および細胞分化のうち1つ以上を制御する化合物を包含する。従って、本発明によって包含されるビタミンD化合物としては、コレカルシフェロール、およびエルゴカルシフェロール、およびこれらの代謝体、ならびに、カルシウム血症または細胞分化の活性を発現する合成コレカルシフェロールおよびエルゴカルシフェロールの類似体が挙げられる。用語「ビタミンD化合物」は、VDRによっても活性化する、本明細書では「ビタミンD模倣体」と呼ぶ、構造的に無関係なビタミンD様化合物も含む。本発明によって包含されるビタミンD化合物を制限しない場合、これらの合成コレカルシフェロールおよびエルゴカルシフェロールの類似体は、5,6−トランス−コレカルシフェロールおよび5,6−トランス−エルゴカルシフェロール、フッ化コレカルシフェロール、側鎖支持コレカルシフェロールおよび側鎖支持Δ22−コレカルシフェロール、側鎖切断コレカルシフェロール、19−norコレカルシフェロールおよび19−norエルゴカルシフェロール、ならびに2−置換コレカルシフェロールおよび2−置換エルゴカルシフェロールのような種類の化合物を含む。
【0017】
構造的には、包含されるビタミンD化合物は、下記の化学式Iによって表し得る:
【化4】

(式中、RおよびRは水素をそれぞれ表し、あるいは互いに結合したRおよびRはメチレン基を表し、Rは、水素、ヒドロキシ、または保護ヒドロキシを表し、RおよびR10は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、またはフルオロアルキルをそれぞれ独立して表し得、あるいは互いに結合したRおよびR10は−(CH−基を表し得、式中、xは2から5の整数であり、−OY基または=R1112基(式中、R11およびR12は同一または異なり得る)は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、およびフルオロアルキルからそれぞれ選択され、あるいはR11およびR12が互いに結合する場合は−(CH−基を表し得、式中、xは2から5の整数であり、上記で示されている構造中の側鎖基Rは、任意のステロイド側鎖型を表し得る)。
【0018】
より具体的には、Rは1個から35個の炭素の飽和または不飽和の炭化水素ラジカルを表し得、これは、直鎖状、分岐状、または環状であり得、これは、ヒドロキシ基または保護ヒドロキシ基、フルオロ基、カルボニル基、エステル基、エポキシ基、アミノ基、またはその他のヘテロ原子基等の1つ以上の追加の置換基を含み得る。この種類の好適な側鎖は、下記の構造によって表される:
【化5】

(式中、立体化学中心(ステロイド番号付けにおいて炭素20位に対応)は、R配置またはS配置(すなわち、炭素20位周辺の天然配置、または20−epi配置の何れか)を有し得、式中、Zは、Y、−OY、−CHOY、−C≡CY、および−CH=CHYから選択され、式中、二重結合はシス構造またはトランス構造を有し得、式中、Yは、水素、メチル、−COR、および下記の構造のラジカルから選択される:
【化6】

式中、mおよびnは0から5の整数を独立して表し、式中、Rは、水素、二重水素、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、およびCからCのアルキル(直鎖状または分岐状であり得、ヒドロキシ置換基または保護ヒドロキシ置換基を随意に有し得る)から選択され、式中、R、R、およびRのそれぞれは、二重水素、二重水素アルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル、およびCからCのアルキル(直鎖状または分岐状であり得、ヒドロキシ置換基または保護ヒドロキシ置換基を随意に有し得る)から独立して選択され、式中、互いに結合したRおよびRは、オキソ基、またはアルキリデン基、=CR、または−(CH−基を表し、式中、pは2から5の整数であり、式中、互いに結合したRおよびRは、オキソ基、または−(CH−基を表し、式中、qは2から5の整数であり、式中、Rは、水素、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、またはCからCのアルキルを表し、式中、側鎖中の20位、22位、または23位にある任意のCH−基は、窒素原子によって置換し得、あるいは式中、20位、22位、および23位にある任意の−CH(CH)−基、−(CH−基、−(CR−基、または−(CH−基はそれぞれ、酸素原子または硫黄原子によって置換し得る)。
【0019】
炭素20位におけるメチル置換基に対する波線は、炭素20位がR配置またはS配置の何れかを有し得るということを表す。
【0020】
側鎖の特定の重要な例は、化学式(a)、(b)、(c)、(d)、および(e)によって表される構造である:
【化7】



【0021】
本発明にて有用なビタミンD化合物のいくつかの特定の例としては、ビタミンD、ビタミンD、1α−ヒドロキシビタミンD、1α−ヒドロキシビタミンD、1α,25−ジヒドロキシビタミンD、1α,25−ジヒドロキシビタミンD、25−ヒドロキシビタミンD、25−ヒドロキシビタミンD、24,24−ジフルオロ−25−ヒドロキシビタミンD、24,24−ジフルオロ−1α、25−ジヒドロキシビタミンD、24−フルオロ−25−ヒドロキシビタミンD、24−フルオロ−1α、25−ジヒドロキシビタミンD、2β−フルオロ−25−ヒドロキシビタミンD、2β−フルオロ−1α−ヒドロキシビタミンD、2β−フルオロ−1α,25−ジヒドロキシビタミンD、26,26,26,27,27,27−ヘキサフルオロ−25−ヒドロキシビタミンD、26,26,26,27,27,27−ヘキサフルオロ−1α,25−ジヒドロキシビタミンD、24,25−ジヒドロキシビタミンD、1α,24,25−トリヒドロキシビタミンD、25,26−ジヒドロキシビタミンD、1α,25,26−トリヒドロキシビタミンD、23,25−ジヒドロキシビタミンD、23,25,26−トリヒドロキシビタミンD3、およびその対応する1α−水酸化型、25−ヒドロキシビタミンD−26,23−ラクトンおよびその1α−水酸化誘導体、ヒドロキシビタミンDおよび1α,25−ジヒドロキシビタミンDの側鎖nor類似体、ジnor類似体、トリnor類似体、およびテトラnor類似体、1α−ヒドロキシプレグナカルシフェロール、およびそのホモ誘導体およびジホモ誘導体、1α,25−ジヒドロキシ−24−epi−ビタミンD、24−ホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD、24−ジホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD、24−トリホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD、および1α,25−ジヒドロキシビタミンDの対応する26−または26,27−のホモ類似体、ジホモ類似体、またはトリホモ類似体、ならびに上記に挙げたものの対応する19−nor化合物および2−置換化合物等の、ビタミンD代謝体またはビタミンD類似体が挙げられる。
【0022】
本明細書において、用語「24−ホモ」は1つのメチレン基の添加を指し、用語「24−ジホモ」は側鎖中の炭素24位における2つのメチレン基の添加を指すということを留意されたい。同様に、用語「トリホモ」は3つのメチレン基の添加を指す。また、用語「26,27−ジメチル」は、例えば、化学式IにおけるRおよびRがエチル基であるような、炭素26位および27位におけるメチル基の添加を指す。同様に、用語「26,27−ジエチル」は、化学式IにおけるRおよびRがプロピル基であるような、炭素26位および27位におけるエチル基の添加を指す。
【0023】
側鎖が不飽和である場合、構造IのビタミンD化合物の特定かつ好適な例は、
1α−ヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD3、
1α,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
25−ヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
24−ホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
24−ジホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
24−トリホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
26,27−ジメチル−24−ホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
26,27−ジメチル−24−ジホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロ ビタミンD
26,27−ジメチル−24−トリホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
26,27−ジエチル−24−ホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
26,27−ジエチル−24−ジホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
26,27−ジエチル−24−トリホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
26,27−ジプロピル−24−ホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
26,27−ジプロピル−24−ジホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD、および、
26,27−ジプロピル−24−トリホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンDである。
【0024】
側鎖が飽和である場合、構造IのビタミンD化合物の特定かつ好適な例は、
1α−ヒドロキシビタミンD
1α,25−ジヒドロキシビタミンD
25−ヒドロキシビタミンD
24−ホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD
24−ジホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD
24−トリホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD
26,27−ジメチル−24−ホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD
26,27−ジメチル−24−ジホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD
26,27−ジメチル−24−トリホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD
26,27−ジエチル−24−ホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD
26,27−ジエチル−24−ジホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD
26,27−ジエチル−24−トリホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD
26,27−ジプロピル−24−ホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD
26,27−ジプロピル−24−ジホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD、および、
26,27−ジプロピル−24−トリホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンDである。
【0025】
ビタミンD化合物の上記の羅列において、特定の置換基が炭素2位に結合される場合、それを当該命名に付加されたい。例えば、アルキル置換基が炭素2位に結合され、メチル基が当該アルキル置換基である場合、用語「2−メチル」を各命名された化合物の前に付加されたい。エチル基が当該アルキル置換基である場合、用語「2−エチル」を各命名された化合物などの前に付加されたい。また、アルキリデン置換基が炭素2位に結合され、メチレン基が当該アルキリデン置換基である場合、用語「2−メチレン」を各命名された化合物の前に付加されたい。エチレン基が当該アルキリデン置換基である場合、用語「2−エチレン」を各命名された化合物などの前に付加されたい。2−アルキル−19−norビタミンD化合物は、米国特許第6,127,559号にてより完全に記載されており、その開示は本明細書にて参照することにより具体的に盛り込まれている。2−アルキリデン−19−norビタミンD化合物は、米国特許第5,843,928号にてより完全に記載されており、その開示は本明細書にて参照することにより具体的に盛り込まれている。その他のビタミンD化合物は、米国特許第6,369,099号にて記載されており、その開示は本明細書にて参照することにより具体的に盛り込まれている。加えて、炭素20位に結合したメチル基がそのepi配置または非天然配置にある場合、用語「20(S)」または「20−epi」を各命名された化合物に盛り込まれたい。当該命名された化合物も、必要に応じて上述の化学式(c)または(d)の側鎖を有するビタミンD型、ならびにA環の炭素10位に結合したメチレン基が2つの水素原子で置換される19−nor型から成る可能性がある。19−norビタミンD化合物は、米国特許第5,587,497号にてより完全に記載されており、その開示は本明細書にて参照することにより具体的に盛り込まれている。
【0026】
本発明の方法における使用に好適なビタミンD化合物は、1α,25−ジヒドロキシビタミンD、および2−メチレン−19−nor−20(s)−1α,25−ジヒドロキシビタミンD(本明細書では「2MD」と呼ぶ)である。基本構造Iを有するビタミンD化合物の調製は、ありふれた一般的な方法、すなわち、アリルホスフィン酸化物を用いた二環式のウィンダウス−グルンドマン型ケトンの縮合、その後、必要に応じて後者の化合物中の炭素1位および炭素3位における脱保護によって実施できる。この合成は十分に知られており、当該手法のより詳細な説明のために、米国特許第5,843,928号および第5,945,410号を参照している。
【0027】
構造的には、ビタミンD模倣体は、Boehmら(Chem. Biol. 6:265-275, 1999)、およびPolekら(The Prostate 49:224-233, 2001)によって報告された非セコステロイド性VDRリガンド、またはこれらの誘導体によって表し得るが、これらに限定されず、これらの各開示は本明細書にて参照することにより具体的に盛り込まれている。VDRを活性化するビタミンD模倣体の例は、Boehmら(Chem. Biol. 6:265-275, 1999)によって同定されたもの、および胆汁酸リトコール酸、およびいくつかのその誘導体(Makishima et al., Science 296:1313-1316, 2002)である。
【0028】
ビタミンD模倣体の例としては、下記の5つの化合物が挙げられるが、これらに限定されない:
【化8】

【0029】
骨吸収阻害剤
先述したように、骨カルシウム吸収の阻害剤は、ビタミンD化合物によって引き起こされる高カルシウム血症を防止するために投与される。用語「骨カルシウム吸収の阻害剤」または「骨カルシウム吸収阻害剤」は、骨からカルシウムを吸収する身体能力を阻害するか、あるいは少なくとも実質的に阻害する化合物を包含する。このような化合物としては、
エストロゲン、
アンドロゲン、
インターロイキン(IL)−4、IL−12、IL−13、IL−18等の、骨吸収を阻害するサイトカイン、
ペルオキシソーム増殖剤によって活性化された受容体(PPAR)γの活性剤チアゾリジンジオン類(例えば、ロスグリタゾン、ピアグリタゾン)(Bendixen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98:2443-2448, 2001)、
カルシトニン、
ビオホスホン酸塩(例えば、アレンドロン酸塩、リセドロン酸塩)、
NFkB(RANK)細胞外領域調合液の受容体活性剤(Childs et al., J. Bone Miner. Res. 17:192-199, 2002)、
RANK模倣体、
可溶性RANK−キメラタンパク質(RANK−Fc)(Childs et al., J. Bone Miner. Res. 17:192-199, 2002)、
オステオプロテジェリン(OPG)(Morony et al., J. Bone Miner. Res. 14:1478- 1485, 1999)、
OPGキメラタンパク質(OPG−Fc)(Morony et al., J. Bone Miner. Res.
14: 1478-1485, 1999)、
OPG模倣体(Takasaki et al., Nature Biotech 15:1266-1270, 1997)、
TNF受容体関連因子6(traf6)デコイペプチド(Lomaga et al., Genes & Develop. 13: 1015-1024, 1999、Ye et al., Nature 418:443-447, 2002)、
キメラ膜透過性traf6デコイペプチド(Ye et al., Nature 418:443-447, 2002)、
Traf6デコイペプチド模倣体、
srcの阻害剤(Wong et al., MoI. Cell 4: 1041-1049, 1999)、
細胞外受容体キナーゼ(ERKs)、c−JunN−末端キナーゼ(JNKs)、ストレス活性化タンパク質キナーゼ(SAPKs)の阻害剤(p38s)(Darnay et al., J. Biol. Chem. 274:7724-7731, 1999、Matsumoto et al., J. Biol. Chem. 275:31155-31161, 2000)、
活性剤タンパク質−I(AP−1)のペプチド/小分子阻害剤、
c−Fosのペプチド/小分子阻害剤、
核因子カッパB(NFkB)のペプチド/小分子阻害剤(Franzoso et al., Genes & Develop. 11 :3482-3496, 1997)、
阻害剤キナーゼ(IK)βのペプチド/小分子阻害剤、
抑制キナーゼ(IkD、IkD、IKKs)のペプチド/小分子阻害剤、
膜結合性RANKの小分子拮抗薬、
RANKリガンドの三量化または活性化の小分子阻害剤、
破骨細胞によって発現したインテグリンのRGD含有阻害剤(Nakamura et al., Endocrinology 139:5182-5193, 1998)、
インテグリン阻害剤の小分子模倣体(Nakamura et al., Endocrinology 139:5182-5193, 1998)、
カテプシン(Cathespin)K阻害剤、
抵抗性酒石酸ホスファターゼ阻害剤、および、
空胞性ATPアーゼ阻害剤、
が挙げられる。
【0030】
上記の化合物は、所望の結果に応じて、単独、あるいは様々な組み合わせにおいて用いることができる。
【0031】
治療目的のために、化学式Iによって定義されたビタミンD化合物、またはBoehmら(Chem. Biol. 6:265-275, 1999)およびPolekら(The Prostate 49:224-233, 2001)によって定義されたもの等のビタミンD模倣体、および骨カルシウム吸収の阻害剤は、無害溶媒中の溶液として、あるいは適切な溶媒または担体中の乳濁液、懸濁液、または分散液として、あるいは丸剤、錠剤、またはカプセルとして、固体担体とともに、当該分野で知られている従来の方法に従って、薬学的用途のためにそれぞれ調合できる。任意のこのような調合物は、安定剤、抗酸化剤、結合剤、着色剤、あるいは乳化剤または調味剤等の、その他の薬学的に許容可能かつ非毒性の賦形剤も含み得る。
【0032】
ビタミンD化合物またはビタミンD模倣体、および骨カルシウム吸収の阻害剤は、経口で、局所的に、非経口で、経皮的に、経直腸的に、経鼻的に、または舌下で投与できる。当該ビタミンD化合物またはビタミンD模倣体、および/または骨カルシウム吸収の阻害剤は、注射によって、静脈内注入または適切な滅菌溶液によって、あるいは消化管を通じた液体または固体での投与形態にて、あるいはクリーム、軟膏、布片、または経皮投与に適切な同様の媒体の形態にて有利に投与される。1日当たり0.1μgから1日当たり100μgの当該ビタミンD化合物の用量、および1日当たり7.0mgから1日当たり700mgの骨カルシウム吸収阻害剤の用量は、治療目的に適切であり、このような用量は、当該分野で十分に理解されているように、治療される疾患、その重症度、および対象の反応に従って調節される。一般的に、十分な量の骨カルシウム吸収阻害剤は、体重の0.1mg/kgから10mg/kgを与えるように投与される。当該ビタミンD化合物またはビタミンD模倣体、および/または骨カルシウム吸収の阻害剤は、互いに独立して適切に投与でき、あるいは、これらは適切な投与計画にて同時に投与でき、あるいは、これらは、様々な程度の生物活性が有利であると判明する状況において、段階的用量の別のビタミンD化合物またはビタミンD模倣体、および/または骨カルシウム吸収の阻害剤とともに投与できる。
【0033】
代謝性骨疾患、副甲状腺機能高進症、乾癬、癌、およびその他の悪性腫瘍または自己免疫疾患の上述の治療における使用のための組成物は、上記の化学式Iによって定義された有効量の1つ以上のビタミンD化合物、あるいは本明細書にて定義されたような1つ以上の骨カルシウム吸収の阻害剤を伴う模倣体を、それぞれのための活性成分および適切な薬学的担体として含む。当該組成物は実質的に同時に投与でき、あるいは、当該好適な方法は、最初に投与される骨カルシウム吸収阻害剤を含む組成物、その後の当該ビタミンD化合物を含む組成物のための方法である。単独の組成物は、当該ビタミンD化合物またはビタミンD模倣体、および当該骨カルシウム吸収阻害剤の両方を含む可能性があるということも意図されている。本発明に従う使用のための有効量のそれぞれのこのような化合物は、1グラム当たり約0.1μgから100μgのビタミンD化合物またはビタミンD模倣体の組成物、および1グラム当たり約7mgから700mgの当該骨吸収阻害剤の組成物であり、局所的に、経皮的に、経口で、非経口で、経直腸的に、経鼻的に、または舌下で投与されるように調合できる。
【0034】
当該組成物は、クリーム、ローション、軟膏、局所布片、丸剤、カプセル、または錠剤として、あるいは、薬学的に無害かつ許容可能な溶媒または油中における溶液、乳濁液、分散液、または懸濁液としての液体中にて調合でき、このような調製物は、安定剤、抗酸化剤、乳化剤、着色剤、結合剤、または調味剤等の、その他の薬学的に無害または有益な成分を加えて含み得る。
【0035】
当該組成物は、所望の効果をもたらすのに十分な量で有利に投与される。上記に記載されたような用量は適切であり、当該与えられる量は、当該分野で十分に理解されているように、疾患の重症度、ならびに対象の病気および反応に従って調節されるということを理解されたい。
【0036】
本発明の調合物は、薬学的に許容可能な担体に関連し、それ故、随意にその他の治療成分に関連する活性成分を含む。当該担体は、当該調合物のその他の成分と混合可能であり、その受容者に対して有害でないという意味では、「許容可能」でなければならない。
【0037】
経口投与に適切な本発明の調合物は、カプセル、薬袋、錠剤、またはトローチ剤としての不連続単位の形態にあり得、これらはそれぞれ所定量の当該活性成分を、粉末または顆粒の形態にて、水性液体または非水性液体中における溶液または懸濁液の形態にて、あるいは、水中油型乳濁液または油中水型乳濁液の形態にて含む。
【0038】
直腸投与のための調合物は、ココアバター等の活性成分および担体を混合する坐薬の形態、または浣腸剤の形態であり得る。
【0039】
非経口投与に適切な調合物は、受容者の血液と等張であることが好ましい活性成分の、無菌の油性調製物または水性調製物を適切に含む。
【0040】
局所投与に適切な調合物としては、擦剤、ローション、塗布剤、クリーム、軟膏、または泥膏等の水中油型乳濁液または油中水型乳濁液、あるいは滴剤等の溶液または懸濁液、あるいはスプレーのような、液状または半液状の調製物が挙げられる。
【0041】
当該調合物は用量単位形によって適切に示すことができ、調剤分野で十分に知られている任意の方法によって調製できる。用語「用量単位」とは、活性成分か、固体または液体の薬学的な希釈剤または担体とのその混合物かの何れかを含む、物理的かつ化学的に安定な単位用量として患者に投与できる単一用量、すなわち、単回用量を意味している。
(第1実施形態)
【0042】
生後8週間のオスのCD1マウスをHarlan-Sprague Dawley社より購入し、Sudaらによって「Biological Activity of 25-Hydroxyergocalciferol in Rats」J. Nutrition, Vol. 100, pp. 1049- 1052 (1970)に記載されたように、0.47%のカルシウム、0.3%のリンを含み、ビタミンA、D、E、およびKを補充した精製飼料11を与えた。到着から2日後に、当該ラットを同一の飼料11に移動したが、当該飼料は、0.02%のカルシウム、0.3%のリン、およびビタミンA、D、E、およびKの補給剤を含んでいた。従って、当該動物は、実質的にカルシウムを欠いた飼料を摂取していた。低カルシウム飼料へ当該動物を移してから2日後、当該動物に下記の投薬を行った:1.7μg/kg体重の2MD、および/または4.5μg/kg体重の2MD、あるいは500μg/kg体重の1,25−(OH)。当該マウスを最初に6/群に分割し、示されている用量レベルにて経口投与によって当該ビタミンD化合物を与えた。Sigma社より購入したアレンドロン酸塩をリン酸塩緩衝塩水中に溶解し、100μLの体積で腹腔内に与えた。治療後、2日目、3日目、4日目、および8日目に血清を回収した。原子吸光分析法によって合計の血清カルシウムを測定した。本研究を通して動物を定期的に秤量した。
【0043】
治療群
数=6匹の動物/群
群1−Neobee oil(4ml/kg体重)
群2−1X PBS(100μl)
群3−アレンドロン酸塩(〜1.75mg/kg体重)+Neobee oil
群4−2MD(Neobee oil中において4.5μg/kg体重)+1X PBS
群5−2MD(Neobee oil中において4.5μg/kg体重)+アレンドロン酸塩(〜1.75mg/kg体重)
群6−1,25−(OH)(Neobee oil中において500μg/kg体重)+1X PBS
群7−1,25−(OH)(Neobee oil中において500μg/kg体重)+アレンドロン酸塩(〜1.75mg/kg体重)
群8−アレンドロン酸塩(2MD(4Dg/kg体重)より24時間前にPBS中において1.75mg/kg体重)
油およびビタミンD化合物を強制経口投与した。アレンドロン酸塩およびPBSを100μLの体積で腹腔内に与えた。
【0044】
結果
図1に示すように、2MDを受容した群以外は体重が変化しなかった。従って、高カルシウム血症および中毒を示す体重の減少は、2MDを受容したマウスにおいて明らかに明白である。その他全ての群は、試験期間の間その体重を維持していた。下方のグラフは、2MDと同様に、1,25−(OH)が2日以内に血清カルシウムの大幅な上昇を引き起こしたことを明示している。3日後に、2MDはさらに高カルシウム血症を示し、一方、1,25−(OH)の効果は減退していた。4日目までに、1,25−(OH)は高カルシウム血症を全く示さなかったが、一方で、2MDは12.5mg/100mlの高カルシウム血症値をまだ示した。アレンドロン酸塩の投与は、1,25−(OH)または2MDによって引き起こされた血清カルシウムの上昇を明らかに阻害したが、一方で、アレンドロン酸塩自体は、血清カルシウム濃度を変化させなかった。これらの結果は、骨からのカルシウムの流動化によって引き起こされた高カルシウム血症は、有効なビタミンD類似体、2MD、または1,25−(OH)自体を用いた治療の後に、ビスホスホン酸アレンドロン酸塩の同時投与によって完全に防止できるということを立証している。従って、アレンドロン酸の存在下で安全に高濃度の2MDを用いてマウスの治療を続けることが可能であることがあり、それ故、悪性腫瘍、あるいはカルシウムが関与していないいくつかのその他の疾患に対する2MDの効力を決定するのに用いることができる。骨を消費して血清カルシウムの上昇を防止することにおいて、または骨原の高カルシウム血症を防止するために、OPG、sRANK、OPG−Fc、またはRANK−Fcを用いることができるのと同様に、カルシトニンを用いることができることが予想される。
(第2実施形態)
【0045】
当該動物(生後7〜8週間のマウス)をHarlan Sprague Dawley社より受領し、Sudaら(第1実施形態を参照)の通常の精製飼料11を与えた。その後、当該マウスを2つの群に分割した:1つの群は、0.47%のカルシウム、0.3%のリンを含む飼料11を受容し続けた。これは、通常または十分なカルシウム摂取量の飼料であると考えられる。カルシウムを除去し、カルシウム濃度を0.02%未満、リン濃度を0.3%にしたこと以外は、2つめの群は同一の飼料11を受容した。少なくとも1週間、両方の群の動物をそのそれぞれの飼料に順応させた後、これらをさらに分割し、下記のものを与えた:1つの群は、当該ビタミンD類似体(2MD)のための担体として用いるNeobee oilを経口で受容した。別の群は、PBSと呼ばれるリン酸塩緩衝塩水を腹腔内投与で受容した。別の群は、PBS中において1.75mg/kg体重のアレンドロン酸塩を受容し、Neobee oilの経口投与も受容した。別の群は、Neobee oilおよび当該リン酸塩緩衝塩水の賦形剤中に溶解した当該ビタミンD類似体(2MD)を受容した。さらに別の群は、Neobee oilおよび当該リン酸塩緩衝塩水の賦形剤中に溶解した、当該類似体2MDおよびアレンドロン酸塩をそれぞれ受容した。これらの動物に1回用量の上記治療を与え、その後の血清カルシウム分析のために採血を行った。図2のグラフにて当該結果を報告し、棒は平均値の標準誤差(+/−)を示す。各群には6匹の動物がいた。
【0046】
当該データは、ビタミンD類似体の投与によって引き起こされた血清カルシウムの増加を阻害する、ビスホスホン酸塩、アレンドロン酸塩の能力が、低カルシウム飼料を与えられる動物に必要であることを示している。マウスが通常濃度のカルシウム(0.47%)を含む飼料を与えられる場合、アレンドロン酸塩は血清カルシウム応答に対してほとんどまたは全く影響を有しない。当該結果は、ビタミンDの投与に起因する高カルシウム血症を防止するために、アレンドロン酸等の骨吸収阻害剤を受容することに加え、当該動物に低カルシウム飼料を与えなければならないことを明らかに示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類の食物中のカルシウム摂取量を制限すること、および有効量の骨カルシウム吸収阻害剤およびビタミンD化合物を、適切な投与計画にて適切な前記哺乳類に投与することを含み、前記ビタミンD化合物は当該疾患を治療するのに十分な用量で投与され、前記用量は骨カルシウム吸収阻害剤を投与する段階およびカルシウムを制限する段階がない限り、高カルシウム血症を生み出すのに十分であり、前記ビタミンD化合物は下記の化学式を有する化合物から成る群から選択される、哺乳類における代謝性骨疾患を治療する方法:
【化1】

(式中、RおよびRは水素をそれぞれ表し、あるいは互いに結合したRおよびRはメチレン基を表し、Rは、水素、ヒドロキシ、または保護ヒドロキシを表し、RおよびR10は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、またはフルオロアルキルをそれぞれ独立して表し得、あるいは互いに結合したRおよびR10は−(CH−基を表し得、式中、xは2から5の整数であり、−OY基または=R1112基(式中、R11およびR12は同一または異なり得る)は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、およびフルオロアルキルからそれぞれ選択され、あるいはR11およびR12が互いに結合した場合、−(CH−基を表し得、式中、xは2から5の整数であり、R基は下記の構造によって表される:
【化2】

式中、炭素20位の立体化学中心はR配置またはS配置を有し得、式中、Zは、Y、−OY、−CHOY、−C≡CY、および−CH=CHYから選択され、式中、二重結合はシス構造またはトランス構造を有し得、式中、Yは、水素、メチル、−COR、および下記の構造のラジカルから選択される:
【化3】

式中、mおよびnは0から5の整数を独立して表し、式中、Rは、水素、二重水素、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、およびCからCのアルキル(直鎖状または分岐状であり得、ヒドロキシ置換基または保護ヒドロキシ置換基を随意に有し得る)から選択され、式中、R、R、およびRのそれぞれは、二重水素、二重水素アルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル、およびCからCのアルキル(直鎖状または分岐状であり得、ヒドロキシ置換基または保護ヒドロキシ置換基を随意に有し得る)から独立して選択され、式中、互いに結合したRおよびRは、オキソ基、またはアルキリデン基、=CR、または−(CH−基を表し、式中、pは2から5の整数であり、式中、互いに結合したRおよびRは、オキソ基、または−(CH−基を表し、式中、qは2から5の整数であり、式中、Rは、水素、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、またはCからCのアルキルを表し、式中、側鎖中の20位、22位、または23位にある任意のCH−基は、窒素原子によって置換し得、あるいは式中、20位、22位、および23位にある任意の−CH(CH)−基、−(CH−基、−(CR−基、または−(CH−基はそれぞれ、酸素原子または硫黄原子によって置換し得る)。
【請求項2】
前記ビタミンD化合物および前記骨カルシウム吸収阻害剤のうち1つまたは両方が経口で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ビタミンD化合物および前記骨カルシウム吸収阻害剤のうち1つまたは両方が非経口で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ビタミンD化合物および前記骨カルシウム吸収阻害剤のうち1つまたは両方が経皮的に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ビタミンD化合物および前記骨カルシウム吸収阻害剤のうち1つまたは両方が経直腸的に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ビタミンD化合物および前記骨カルシウム吸収阻害剤のうち1つまたは両方が経鼻的に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ビタミンD化合物および前記骨カルシウム吸収阻害剤のうち1つまたは両方が舌下で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記骨カルシウム吸収阻害剤が、前記ビタミンD化合物の前に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記骨カルシウム吸収阻害剤が、前記ビタミンD化合物と実質的に同時に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記骨カルシウム吸収阻害剤が、体重の約0.1mg/kgから100mg/kgの用量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ビタミンD化合物が、2−メチレン−19−nor−20(S)−1α,25−ジヒドロキシビタミンDである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ビタミンD化合物が、1α,25−ジヒドロキシビタミンDである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ビタミンD化合物が、当該VDRに結合し、その転写能力を活性化する任意の群の化合物から選択されるビタミンD模倣体である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記骨カルシウム吸収阻害剤が、
エストロゲンと、
アンドロゲンと、
骨吸収を阻害するサイトカインと、
ペルオキシソーム増殖剤によって活性化された受容体(PPAR)γの活性剤チアゾリジンジオン類と、
カルシトニンと、
ビオホスホン酸塩と、
NFkB(RANK)細胞外領域調合液の受容体活性剤と、
RANK模倣体と、
可溶性RANK−キメラタンパク質(RANK−Fc)と、
オステオプロテジェリン(OPG)と、
OPGキメラタンパク質(OPG−Fc)と、
OPG模倣体と、
TNF受容体関連因子6(traf6)デコイペプチドと、
キメラ膜透過性traf6デコイペプチドと、
Traf6デコイペプチド模倣体と、
srcの阻害剤と、
細胞外受容体キナーゼ(ERKs)、c−JunN−末端キナーゼ(JNKs)、またはストレス活性化タンパク質キナーゼ(SAPKs)の阻害剤と、
活性剤タンパク質−I(AP−1)のペプチド/小分子阻害剤と、
c−Fosのペプチド/小分子阻害剤と、
核因子カッパB(NFkB)のペプチド/小分子阻害剤と、
阻害剤キナーゼ(IK)βのペプチド/小分子阻害剤と、
抑制キナーゼ(IkD、IkD、IKKs)のペプチド/小分子阻害剤と、
膜結合性RANKの小分子拮抗薬と、
RANKリガンドの三量化または活性化の小分子阻害剤と、
破骨細胞によって発現したインテグリンのRGD含有阻害剤と、
インテグリン阻害剤の小分子模倣体と、
カテプシン(Cathespin)K阻害剤と、
抵抗性酒石酸ホスファターゼ阻害剤と、
空胞性ATPアーゼ阻害剤と、
から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記骨カルシウム吸収阻害剤がアレンドロン酸塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記哺乳類がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記疾患が老人性骨粗しょう症である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記疾患が閉経後骨粗しょう症である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記疾患がステロイド誘起の骨粗しょう症である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記疾患が低骨代謝回転型骨粗しょう症である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記疾患が骨軟化症である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記疾患が腎性骨ジストロフィーである、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記疾患が骨減少症である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記疾患がビタミンD抵抗性骨軟化症である、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記疾患がパジェット病である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
哺乳類の食物中のカルシウム摂取量を制限すること、および有効量の骨カルシウム吸収阻害剤およびビタミンD化合物を、適切な投与計画にて適切な前記哺乳類に投与することを含み、前記ビタミンD化合物は当該疾患を治療するのに十分な用量で投与され、前記用量は骨カルシウム吸収阻害剤を投与する段階およびカルシウムを制限する段階がない限り、高カルシウム血症を生み出すのに十分であり、前記ビタミンD化合物は下記の化学式を有する化合物から成る群から選択される、哺乳類における副甲状腺機能高進症を治療する方法:
【化4】

(式中、RおよびRは水素をそれぞれ表し、あるいは互いに結合したRおよびRはメチレン基を表し、Rは、水素、ヒドロキシ、または保護ヒドロキシを表し、RおよびR10は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、またはフルオロアルキルをそれぞれ独立して表し得、あるいは互いに結合したRおよびR10は−(CH−基を表し得、式中、xは2から5の整数であり、−OY基または=R1112基(式中、R11およびR12は同一または異なり得る)は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、およびフルオロアルキルからそれぞれ選択され、あるいはR11およびR12が互いに結合した場合、−(CH−基を表し得、式中、xは2から5の整数であり、R基は下記の構造によって表される:
【化5】

式中、炭素20位の立体化学中心はR配置またはS配置を有し得、式中、Zは、Y、−OY、−CHOY、−C≡CY、および−CH=CHYから選択され、式中、二重結合はシス構造またはトランス構造を有し得、式中、Yは、水素、メチル、−COR、および下記の構造のラジカルから選択される:
【化6】

式中、mおよびnは0から5の整数を独立して表し、式中、Rは、水素、二重水素、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、およびCからCのアルキル(直鎖状または分岐状であり得、ヒドロキシ置換基または保護ヒドロキシ置換基を随意に有し得る)から選択され、式中、R、R、およびRのそれぞれは、二重水素、二重水素アルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル、およびCからCのアルキル(直鎖状または分岐状であり得、ヒドロキシ置換基または保護ヒドロキシ置換基を随意に有し得る)から独立して選択され、式中、互いに結合したRおよびRは、オキソ基、またはアルキリデン基、=CR、または−(CH−基を表し、式中、pは2から5の整数であり、式中、互いに結合したRおよびRは、オキソ基、または−(CH−基を表し、式中、qは2から5の整数であり、式中、Rは、水素、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、またはCからCのアルキルを表し、式中、側鎖中の20位、22位、または23位にある任意のCH−基は、窒素原子によって置換し得、あるいは式中、20位、22位、および23位にある任意の−CH(CH)−基、−(CH−基、−(CR−基、または−(CH−基はそれぞれ、酸素原子または硫黄原子によって置換し得る)。
【請求項27】
前記ビタミンD化合物および前記骨カルシウム吸収阻害剤のうち1つまたは両方が経口で投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ビタミンD化合物および前記骨カルシウム吸収阻害剤のうち1つまたは両方が非経口で投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記ビタミンD化合物および前記骨カルシウム吸収阻害剤のうち1つまたは両方が経皮的に投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記ビタミンD化合物および前記骨カルシウム吸収阻害剤のうち1つまたは両方が経直腸的に投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記ビタミンD化合物および前記骨カルシウム吸収阻害剤のうち1つまたは両方が経鼻的に投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記ビタミンD化合物および前記骨カルシウム吸収阻害剤のうち1つまたは両方が舌下で投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記骨カルシウム吸収阻害剤が、前記ビタミンD化合物の前に投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記骨カルシウム吸収阻害剤が、前記ビタミンD化合物と実質的に同時に投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記骨カルシウム吸収阻害剤が、体重の約0.1mg/kgから100mg/kgの用量で投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
前記ビタミンD化合物が、2−メチレン−19−nor−20(S)−1α,25−ジヒドロキシビタミンDである、請求項26に記載の方法。
【請求項37】
前記ビタミンD化合物が、1α,25−ジヒドロキシビタミンDである、請求項26に記載の方法。
【請求項38】
前記ビタミンD化合物が、当該VDRに結合し、その転写能力を活性化する任意の群の化合物から選択されるビタミンD模倣体である、請求項26に記載の方法。
【請求項39】
前記骨カルシウム吸収阻害剤が、
エストロゲンと、
アンドロゲンと、
骨吸収を阻害するサイトカインと、
ペルオキシソーム増殖剤によって活性化された受容体(PPAR)γの活性剤チアゾリジンジオン類と、
カルシトニンと、
ビオホスホン酸塩と、
NFkB(RANK)細胞外領域調合液の受容体活性剤と、
RANK模倣体と、
可溶性RANK−キメラタンパク質(RANK−Fc)と、
オステオプロテジェリン(OPG)と、
OPGキメラタンパク質(OPG−Fc)と、
OPG模倣体と、
TNF受容体関連因子6(traf6)デコイペプチドと、
キメラ膜透過性traf6デコイペプチドと、
Traf6デコイペプチド模倣体と、
srcの阻害剤と、
細胞外受容体キナーゼ(ERKs)、c−JunN−末端キナーゼ(JNKs)、またはストレス活性化タンパク質キナーゼ(SAPKs)の阻害剤と、
活性剤タンパク質−I(AP−1)のペプチド/小分子阻害剤と、
c−Fosのペプチド/小分子阻害剤と、
核因子カッパB(NFkB)のペプチド/小分子阻害剤と、
阻害剤キナーゼ(IK)βのペプチド/小分子阻害剤と、
抑制キナーゼ(IkD、IkD、IKKs)のペプチド/小分子阻害剤と、
膜結合性RANKの小分子拮抗薬と、
RANKリガンドの三量化または活性化の小分子阻害剤と、
破骨細胞によって発現したインテグリンのRGD含有阻害剤と、
インテグリン阻害剤の小分子模倣体と、
カテプシン(Cathespin)K阻害剤と、
抵抗性酒石酸ホスファターゼ阻害剤と、
空胞性ATPアーゼ阻害剤と、
から成る群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項40】
前記骨カルシウム吸収阻害剤がアレンドロン酸塩である、請求項26に記載の方法。
【請求項41】
前記哺乳類がヒトである、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−536866(P2010−536866A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521973(P2010−521973)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/073535
【国際公開番号】WO2009/026265
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(510048015)ウィスコンシン アルミニ リサーチ ファウンデーション (1)
【Fターム(参考)】