説明

ビタミンD類似体および共溶媒−界面活性剤混合物から成る医薬品組成物

非イオン性界面活性剤および低級アルカノールの混合物に溶解されたビタミンD誘導体または類似体を含む油中水中油エマルジョンである、局所医薬品組成物。本局所医薬組成物は、皮膚状態、例えば乾癬の処置に使用し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬理活性剤、界面活性剤、共溶媒および水相から成る皮膚適用のための局所医薬品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
乾癬は、過角化症に起因する紅斑状の乾燥した鱗屑斑として顕在化する慢性の炎症性の皮膚疾患である。鱗屑斑は肘、膝および頭皮に多発するが、より広範囲な病変は他の身体の他の部位、特に腰仙部に現われ得る。軽度から中程度の乾癬の最も一般的な治療は、活性成分としてコルチコステロイドを含む組成物の局所適用を含む。有効ではあるが、コルチコステロイドには皮膚萎縮、皮膚線条、ざ瘡様発疹、口囲皮膚炎、皮膚真菌および細菌の過成長、有色皮膚の色素脱落および酒さのような多くの副作用による不利益がある。
【0003】
しかしながら、長年、乾癬の有利な非ステロイド性処置は、カルシポトリオールが溶液として含まれる軟膏組成物(LEO PharmaのDaivonex(登録商標)またはドボネックス(登録商標)軟膏として販売)またはカルシポトリオールが懸濁液として含まれるクリーム組成物(LEO PharmaのDaivonex(登録商標)またはドボネックス(登録商標)クリームとして販売)として製剤されたビタミンD類似体化合物であるカルシポトリオールでの局所処置がある。軟膏組成物の溶媒は、皮膚への活性成分の浸透性を高め、効果の増強をもたらすとの利点を有するが、また皮膚刺激物としても作用することが知られているプロピレングリコールである。それ故に、局所製剤において、プロピレングリコールの含有が頻繁に患者に接触皮膚炎を起こし(12.5%のプロピレングリコールに対する多くの刺激応答を発表する一つの研究、M. Hannuksela et al., Contact Dermatitis 1, 1975, pp. 112-116参照)、プロピレングリコールを高濃度で使用すると刺激反応物の数が増加する(J. Catanzaro and J. Graham Smith, J. Am. Acad. Dermatol. 24, 1991, pp. 90-95によりレビュー)ことが報告されている。とりわけプロピレングリコールの存在により生じる皮膚へのカルシポトリオールの増加された浸透のために、Daivonex(登録商標)軟膏は、Daivonex(登録商標)クリームよりも乾癬病変の処置に有効であるが、また相当な割合の乾癬患者に皮膚刺激をもたらすことが判明している。
【発明の概要】
【0004】
従って、本発明は、Daivonex(登録商標)軟膏に匹敵する皮膚浸透および生物学的活性特性を有するが、溶媒としてプロピレングリコールを含まない、ビタミンD誘導体または類似体を活性成分として含む局所製剤を提供することを目的とする。
【0005】
発明の要約
ヒトの皮膚、特に外層である角質層は、微生物の病原体および有毒化学物質の浸透に対する有効なバリアを提供する。皮膚のこの特性は一般に有益であるが、皮膚疾患を有する患者の皮膚上で適用された、大部分ではないにしても、相当量の活性成分が、活性を発揮する皮膚生存層に浸透し得ない点で、医薬の経皮投与を複雑にする。真皮および表皮への活性成分の十分な浸透を確実にするために、アルコールの形の溶媒がある場合には、それは、通常、活性成分を、例えばエタノールまたはジオール、例えばプロピレングリコールの存在下、溶解状態で包含されることが一般的には好ましい。プロピレングリコールはよく知られた浸透促進剤、すなわち、角質層に浸透することができ、媒体中の治療活性成分である低分子成分を表皮中へ「引き込む」物質である。プロピレングリコールは、それ自体が顕著な皮膚刺激を起す可能性があり、媒体中の低分子で刺激物である可能性のある成分を表皮に「引き込む」ことができ、プロピレングリコールを含めて慣用の媒体の全体的刺激作用を誘発する。このため、炎症性皮膚疾患を処置しようとする組成物中に溶媒として含まれるプロピレングリコールが、炎症反応を悪化させることがある。
【0006】
本発明に至る研究において、水相との混合物として、低分子アルコールまたはジオールより、ビタミンD類似体のような難溶性化合物を溶解するのに有効である溶媒の組合せであって、しかも共溶媒として有意に少ない量の低分子アルコールを含む組合せを言い出す
ことが目的であった。特定の界面活性剤と特定の低級アルカノールの混合により、予期できないほど高い可溶化能を有する混合物となることが驚くべきことに判明した。アルコールまたはジオールのみを共溶媒として使用したときよりも、個々の溶媒成分が相乗的に作用するときに得られる組成物、低濃度の共溶媒で皮膚生存層にビタミンD誘導体またはその類似体を満足のいく浸透をもたらす。さらにまた、本発明の組成物は、下の実施例4に記載する標的遺伝子活性化分析で測定して、Daivonex(登録商標)軟膏と同等かまたは高い生物学的活性度を示す。加えて、本組成物は物理的に安定であり、ビタミンD類似体はその中で化学的に安定である。
【0007】
したがって、本発明は、皮膚適用のための局所組成物に関し、それは、
(a)溶解された形態のビタミンD誘導体または類似体;
(b)ポリオキシル・グリセリド、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリソルベートまたはポロキサマーからなる群から選択される非イオン性活性剤;および
(c)低級アルカノール共溶媒
を含む親油層が分散している水相を含み、
該水相は薬学的に許容される無水親油性担体または媒体に分散している、
油中水中油エマルジョンである。
【0008】
他の態様において、本発明は、皮膚疾患または状態の予防または処置に使用するための、ここに記載する局所組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図2は、本発明の組成物に含まれる共溶媒−界面活性剤混合物中のカルシポトリオール一水和物の溶解度と、共溶媒または界面活性剤を単独で使用したときのカルシポトリオール一水和物の溶解度とを比較するグラフである。
【図2】本発明の組成物に含まれる共溶媒−界面活性剤混合物中のカルシポトリオール一水和物の溶解度と、共溶媒または界面活性剤を単独で使用したときのカルシポトリオール一水和物の溶解度とを比較するグラフである。
【図3】図3は、本発明の組成物に含まれる共溶媒−界面活性剤混合物中のカルシポトリオール一水和物の溶解度と、共溶媒または界面活性剤を単独で使用したときのカルシポトリオール一水和物の溶解度とを比較するグラフである。
【図4】図4は、本発明の組成物に包含される共溶媒−界面活性剤混合物中のカルシポトリオール一水和物の溶解度と、共溶媒または界面活性剤を単独で使用したときのカルシポトリオール一水和物の溶解度とを比較するグラフである。
【図5】図5aおよび5bは、本発明の組成物の皮膚への浸透を示すグラフである。
【図6】図6は、ヒト角化細胞のビタミンD3によるカテリシジンをコード化する遺伝子の活性化の模式図である。カテリシジン遺伝子活性化の機構は、下の実施例4に詳細に記載するカテリシジンを活性化するために、本発明のカルシポトリオール含有組成物が適用される再構築されたヒト表皮(ヒトの皮膚に特有の表皮の層を形成するように培養されたヒトの角化細胞)を用いる、生物アッセイで用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
この文脈において、用語「非イオン性界面活性剤」は、親水性および疎水性部分を含む界面活性剤を意味することが意図され、ここで、親水性部分は電荷を担持しないが、その表面活性はポリオキシエチレン基のような高度に極性の基に由来する。本目的のために、界面活性剤は9〜18のHLB値を有する水中油界面活性剤である。
【0011】
用語「低級アルカノール共溶媒」は、本質的にC1−6直鎖または分枝鎖アルカノール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールまたはブタノールから成る溶媒を意味することを意図とする。
【0012】
用語「ビタミンD誘導体」は、カルシトリオールのようなビタミンD3の生物学的に活性な代謝物またはアルファカルシドールのようなかかる代謝物質の前駆体を意味する。
【0013】
用語「ビタミンD類似体」は、側鎖修飾および/または骨格自体の修飾を有するビタミンD骨格を含む合成化合物を示すことが意図される。類似体は、ビタミンDレセプター上で天然に存在するビタミンD化合物に匹敵する生物活性を示す。
【0014】
「カルシポトリオール」は式
【化1】

のビタミンD類似体である。
【0015】
カルシポトリオールは、2つの結晶性形態、すなわち無水物および一水和物で存在することが判明している。カルシポトリオール一水和物およびその製造はWO94/15912に開示される。
【0016】
用語「貯蔵安定性」は、組成物が、少なくとも12ヶ月、特に少なくとも18ヶ月および好ましくは少なくとも2年のような、組成物が商業的に価値があるとするに十分な期間、冷蔵で、好ましくは室温で組成物の貯蔵を可能にする化学的および物理的安定性特性を有することを示すことが意図される。
【0017】
用語「化学的安定性」または「化学的に安定している」は、10%を超えない、好ましくは5%を超えないビタミンD誘導体または類似体しか、典型的に2年の製品の貯蔵寿命中に分解されないことを示すことが意図される。室温における化学安定性の近似値は、ナノクリスタルまたはそれらを含む組成物を40℃で加速安定性試験に付することによって得られる。40℃で3ヶ月後の分解が被験物質の約10%未満であるとき、通常、これは室温で2年の貯蔵寿命に対応するとされる。特に、カルシポトリオールに関して、「化学的安定性」は、カルシポトリオールが、最終医薬品において24−エピカルシポトリオールまたは他の分解産物に経時的に有意に分解しないことを意味することを意図する。
【0018】
用語「物理的安定性」または「物理的に安定している」は、本組成物が製品の貯蔵寿命にわたりその巨視的および微視的な外観を保持すること、例えば、ビタミンD誘導体または類似体が溶媒相から沈殿しないことまたは肉眼で見える溶媒相と担体相の二相分離がないことを意味する。
【0019】
用語「実質的に無水」は、親油性担体または媒体中の自由水の含量が担体または媒体の中で、約2重量%を超えない、好ましくは約1重量%を超えないことを意味することを意図する。
【0020】
用語「可溶化能」は、溶媒混合物が、ある物質を溶解する能力(物質の完全な可溶化を行うのに必要な量として示す)を意味する。
【0021】
用語「相乗(的)」は、水相に共溶媒および界面活性剤の組合せが存在するとき、共溶媒または界面活性剤を個々に水相に添加したときの溶解度の合計よりもビタミンD誘導体または類似体の溶解度が有意に高い、ある場合には数倍高いことを意味すること意図する。
【0022】
用語「皮膚浸透」は、種々の皮膚の層、すなわち角質層、表皮、真皮への活性成分の拡散を意味する。
【0023】
用語「皮膚透過」は、皮膚を介する体循環へのまたは下の実施例3に記載するインビトロ実験の場合には、実験で用いられるFranzセル装置のレセプター液への活性成分の流入を意味する。
【0024】
用語「生物学的活性」は、本発明の組成物中の皮膚に適用したときのビタミンD誘導体または類似体の活性を意味する。組成物の生物学的活性は、下の実施例5に詳細に記載する、培養されたヒト角化細胞に関する、再構築されたヒト表皮モデルにおいてバイオマーカーであるカテリシジンを発現する標的遺伝子の活性化を測定するインビトロアッセイで決定される。
【0025】
発明の態様
本発明の一つの態様において、組成物は、カルシポトリオール、カルシトリオール、タカルシトール、マキサカルシトール、パリカルシトールおよびアルファカルシドールからなる群から選択されるビタミンD誘導体または類似体を含む。現時点で好ましい態様において、本組成物はビタミンD類似体としてカルシポトリオールまたはカルシポトリオール一水和物を含む。
【0026】
本組成物において、界面活性剤は、一般に、組成物の約0.5〜約5重量%、または約約1〜3重量%または約1.2〜約2重量%、例えば約1.5重量%の濃度で存在する。
【0027】
本発明によって、非イオン性活性剤はポリエチレングリコール8カプリル酸/カプリン酸グリセリド(カプリル酸およびカプリン酸と平均8モルのエチレンオキサイドのモノ−、ジ−およびトリ−グリセリドの混合物のポリエチレングリコール誘導体)またはポリエチレングリコール6カプリル酸/カプリン酸グリセリド(カプリル酸およびカプリン酸と平均6モルのエチレンオキサイドのモノ−、ジ−およびトリ−グリセリドの混合物のポリエチレングリコール誘導体)から成る群から選択される。非イオン性活性剤は、好ましくは、例えばGattefosseから商品名Labrasolの下に入手可能である、または、Condeaから商品名Softigen 767の下に入手可能なポリエチレングリコール8カプリル酸/カプリン酸グリセリドである。
【0028】
非イオン性活性剤は、好ましくはカプリロカプロイルPEGグリセリド、ラウロイルPEGグリセリド、リノレオイルPEGグリセリド、オレオイルPEGグリセリドおよびステアロイルPEGグリセリドからなる群から選択されるポリエチレングリコールC6−20脂肪酸グリセリド、PEGモノセチルエーテル、PEGモノラウリルエーテル、PEGモノオレイルエーテルおよびPEGモノステアリルエーテルからなる群から選択されるポリオキシエチレンC8−20アルキルエーテル、ポリソルベート20、40、60および80からなる群から選択されるポリソルベート、ポロキサマー124、237、338および407からなる群から選択されるポロキサマーまたはポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、例えばポリオキシル・ヒマシ油または硬化ポリオキシル・ヒマシ油であってもよい。
【0029】
上記のとおり、本組成物は、さらに好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールまたは2‐ブタノールからなる群から選択され得る低級アルカノール共溶媒を含む。低級アルカノール単独を溶媒として使用するときに必要な量と比較して、ビタミンD誘導体または類似体を完全に溶解するために必要な低級アルカノールの量が界面活性剤の存在下では実質的に減らされ得る(例えば2〜5倍減)ことが驚くべきことに判明した。低級アルカノール共溶媒は、好ましくは、組成物の約0.5〜5重要%、特に約1〜3重量%または約2重量%の濃度で存在し得る。
【0030】
現在望ましい態様において、共溶媒はエタノールであり、非イオン性活性剤はポリエチレングリコール8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、ポリソルベート80またはPEGモノセチルエーテルであるか、または共溶媒がイソプロパノールであり、非イオン性活性剤がポリオキシル・ヒマシ油、ポリエチレングリコール8カプリル酸/カプリン酸グリセリドまたはポリソルベート80である。
【0031】
軟膏担体は、CからC60の範囲の鎖長を有する炭化水素または炭化水素の混合物であり得る。頻繁に用いられている軟膏添加物は、約C40−44がピークの種々の鎖長の炭化水素から成るペトロラタムまたは白色軟パラフィンまたはペトロラタムと流動パラフィン(C28−40がピークの種々の鎖長の炭化水素から成る)の混合物であり得る。ペトロラタムは処置された皮膚表面を閉塞させ、水の経皮的な損失を減少させ、組成物中の活性成分の治療効果を強めるが、適用後にかなり長い間持続する、脂っぽいおよび/またはべとつく感触を有する傾向があり、延展が容易ではない。従って、いくぶん短い鎖長の炭化水素から成るパラフィン類、例えば、C14−16、C18−22、C20−22、C20−26がピークの鎖長を有する炭化水素またはその混合物から成るパラフィン類(パラフィン類の炭化水素組成物はガスクロマトグラフィーにより決定)を使用することが好ましいことがある。かかるパラフィン類が、適用時にそれほどべとつかずおよび/または脂っぽくなく、より容易に延展可能であるために、美容上許容可能であることが判明した。従って、それらは患者コンプライアンスを改善すると予測される。ペトロラタム・ゼリーと名付けられたこのタイプの適当なパラフィン類は、Sonnebornにより製造され、商品名Sonnecone、例えばSonnecone CM、Sonnecone DM1、Sonnecone DM2およびSonnecone HVの下に市販されている。これらのパラフィン類は、参照によって、本願明細書に組込まれるWO2008/141078にさらに開示され、特徴づけられる。
【0032】
本組成物に所望の粘性を与えるために、好適には蝋のような親油性増粘成分を包含させ得る。蝋は、高分子量炭化水素、例えば飽和C35−70アルカン、例えば微結晶蝋の混合物からできている鉱蝋であり得る。あるいは、蝋は、植物または動物蝋、例えばC14−32脂肪酸のエステルおよびC14−32脂肪族アルコール、例えば蜜蝋であり得る。増粘成分の量は成分の粘性にする(viscosifying)力により変わり得るが、典型的には組成物の約1〜20%の範囲内であり得る。増粘成分が微結晶蝋であるときに、それは典型的に組成物の約5〜15重量%の範囲、例えば約10%の量で存在する。
【0033】
本組成物は、乾癬斑の厚くなった表皮を柔らかくするために作用し得る皮膚軟化剤をさらに含んでよい。本組成物への添加に適している皮膚軟化剤は、シリコンの存在が皮膚へのカルシポトリオールの浸透を助けることがさらに判明したため、シリコン蝋または揮発性シリコン油であり得る。シリコンを含む組成物が、より少ない皮層刺激に結果としてなるともわかった。本組成物への添加に適しているシリコン油はシクロメチコン、ジメチコンから選択され得る。本組成物に添加されるシリコン油の量は、典型的に組成物の約1〜約10重量%の範囲、例えば約5重量%である。
【0034】
Daivonex(登録商標)軟膏において、プロピレングリコールの存在は、多くの患者が経験する皮膚刺激の主な原因物質であると考えられる。しかしながら、カルシポトリオール自体が幾分かの患者において、僅かに刺激性であり得ることが判明している(A. Fullerton and J. Serup, Br. J. Dermatol. 137, 1997, pp. 234-240 and A. Fullerton et al., Br. J. Dermatol. 138, 1998, pp. 259-265)。従って、グリセリン、ブチレングリコール、ソルビトール、スクロース、サッカリン、メントールまたはニコチンアミドのような抗刺激性化合物を本組成物に加えることは有利であり得る。グリセリンは、刺激性の物質から皮膚を防御できる物質であると記載され(J. Bettinger et al., Dermatology 197, 1998, pp. 18-24)、我々によって、IL−1αの放出を用量依存的な方法で低下させることが判明した:このように、カルシポトリオール軟膏への15重量%のグリセリンの存在が、10重量%のグリセリンを含むものよりIL−1α放出レベルを著しく減少させ、そして、それはまた、5重量%のグリセリンを含むものよりIL−1α放出レベルを著しく減少させることが判明した。
【0035】
しかしながら、驚くべきことに、抗刺激性の効果に加えて、組成物中のグリセリンの量を減らすとカテリシジンの発現が増強される(下記の実施例4に記載されているアッセイ。すなわち、グリセリンの量が、それぞれ10重量%または15重量%あるときと比較して、5重量%であるとき、より多くのカテリシジンが発現される)点で、グリセリンがカルシポトリオールの生物学的活性度を強化できることが判明した:これは、グリセリンの添加に関して、好ましい抗刺激性効果と好ましい生物活性亢進効果の間でバランスをとらなければならないことを示唆する。我々は、本組成物への約5〜10重量%のグリセリンの添加が、顕著な抗刺激性効果とカルシポトリオールの生物学的活性の顕著な亢進をもたらすことを発見した。
【0036】
カルシポトリオールは、カルシポトリオールの急速分解に関与する酸性条件(水性組成物において、約7.0より下のpHまたは非水性の組成物において、酸性の活性物質)に極めて感受性であることが知られている物質である。組成物の貯蔵寿命を通して物質の適切な化学的安定性を保証するために、組成物の添加物の1種以上に存在し得、カルシポトリオールの化学的安定性に有害な酸性不純物を中和できる化合物を加えたおくことが望ましい可能性がある。酸を中和する化合物は、好ましくはリン酸緩衝液のような緩衝液から選択され得て、それは組成物の約0.025〜0.1重量%の量で含まれ得る。酸を中和している化合物はトリエタノールアミン、トロメタモール、モノエタノールアミンまたはジエタノールアミンのようなアミンでもよい。そして、それは組成物の約0.1〜2重量%の量で含まれ得る。
【0037】
組成物の良好な物理安定度を維持するために、特に水性相と脂質相の分離を回避するために、3〜8のHLB値を有する油中水形乳化剤を加えることが有利であり得る。かかる乳化剤の例は、ポリオキシエチレンC8−22アルキルエーテル、例えばポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレン・セチルエーテルまたはポリオキシエチレンラウリルエーテルである。
【0038】
組成物の水の量は、組成物の約1〜約15重量%、例えば、約5〜約10重量%の範囲であり得る。
【0039】
特定の態様において、本組成物は、
0.003〜0.008%w/w カルシポトリオール(一水和物として)
1〜3%w/w ポリエチレングリコール8カプリル酸/カプリン酸グリセリド
1〜3%w/w エタノール
3〜8%w/w ポリオキシエチレンステアリルエーテル
5〜10%w/w 水
80〜93%w/w パラフィン担体
を含む。
【0040】
他の態様において、本組成物は、
0.003〜0.008%w/w カルシポトリオール(一水和物として)
1〜3%w/w ポリソルベート80
1〜3%w/w エタノール
3〜8%w/w ポリオキシエチレンステアリルエーテル
5〜10%w/w 水
80〜93%w/w パラフィン担体
を含む。
【0041】
さらに別の態様において、本組成物は、
0.003〜0.008%w/w カルシポトリオール(一水和物として)
1〜3%w/w ポリエチレングリコール・モノセチルエーテル
1〜3%w/w エタノール
3〜8%w/w ポリオキシエチレンステアリルエーテル
5〜10%w/w 水
80〜93%w/w パラフィン担体
を含む。
【0042】
なお更なる態様において、本組成物は、
0.003〜0.008%w/w カルシポトリオール(一水和物として)
1〜3%w/w ポリエチレングリコール8カプリル酸/カプリン酸グリセリド
1〜3%w/w イソプロパノール
3〜8%w/w ポリオキシエチレンステアリルエーテル
5〜10%w/w 水
80〜93%w/w パラフィン担体
を含む。
【0043】
なお更なる態様において、本組成物は、
0.003〜0.008%w/w カルシポトリオール(一水和物として)
1〜3%w/w ポリオキシル・ヒマシ油
1〜3%w/w イソプロパノール
3〜8%w/w ポリオキシエチレンステアリルエーテル
5〜10%w/w 水
80〜93%w/w パラフィン担体
を含む。
【0044】
なお更なる態様において、本組成物は、
0.003〜0.008%w/w カルシポトリオール(一水和物として)
1〜3%w/w ポリソルベート80
1〜3%w/w イソプロパノール
3〜8%w/w ポリオキシエチレンステアリルエーテル
5〜10%w/w 水
80〜93%w/w パラフィン担体
を含む。
【0045】
本組成物は、また皮膚製剤に一般的に使用される他の成分、例えば酸化防止剤(例えばα−トコフェロール)、防腐剤、エデト酸ナトリウム、顔料、皮膚無痛化剤、皮膚治癒剤および尿素、アラントインまたはビサボロールのような皮膚コンディショニング剤も含んでよい(CTFA Cosmetic Ingredients Handbook, 2nd Ed., 1992参照)。
【0046】
本発明の組成物は、治療を必要とする患者に、本発明の組成物の有効量を局所投与することにより、乾癬、脂漏性乾癬、手掌足底膿疱症、皮膚炎、魚鱗癬、酒さおよびざ瘡および関連する皮膚疾患の治療に使用し得る。該方法は、好ましくは該組成物の1日1〜2回の治療上十分な量の局所投与を含む。このために、本発明の組成物は、好ましくはビタミンD誘導体または類似体を、約0.001〜0.5mg/g、好ましくは約0.002〜0.25mg/g、特に0.005〜0.05mg/g含む。本組成物がこれらの皮膚疾患の維持処置、すなわち、目に見える症状の消失後の症状の再発を遅らせるための継続的処置に有利に使用し得ることは意図される。
【0047】
急性期の乾癬および他の皮膚状態の有効な処置を提供するために、本組成物に1種以上のさらなる治療上活性な成分を包含させることは望ましいことがある。かかるさらなる活性成分の例はコルチコステロイドのような抗炎症剤、例えば、ベタメタゾンおよびそのエステル、例えば吉草酸またはジプロピオン酸エステル、クロベタゾールまたはそのエステル、例えばプロピオン酸エステル、ヒドロコルチゾンまたはそのエステル、例えば酢酸エステル;ナプロキセン、インドメタシン、ジクロフェナク、イブプロフェン、デクスイブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ピロキシカム、テノキシカム、ロルノキシカムまたはナブメトンのような非ステロイド性抗炎症剤、ホスホジエステラーゼ4阻害剤またはp38MAPキナーゼ阻害剤を含むが、これらに限定されない。
【0048】
本発明は、次の実施例によってさらに説明するが、それはいかなる方法でも請求する本発明の範囲を限定することを意図しない。
【実施例】
【0049】
実施例1
本発明の組成物
下の表1aおよび1bに示される組成物を、最初に界面活性剤(Cremophor EL, Labrasol、ポリソルベート80またはセトマクロゴール1000)と共溶媒(エタノールまたはイソプロパノール)を混合し、カルシポトリオール一水和物を混合物に溶解し、最後にpH8.0調節した水性緩衝液およびグリセリン(含まれるならば)に混合物を添加して製造した。得られた分散体を、パラフィン、乳化剤(ポリオキシエチレンステアリルエーテル)、DL−α−トコフェロールおよびエデト酸ナトリウムの混合物と混合した。
【0050】
【表1】

【表2】

【0051】
【表3】

組成物MおよびNは、本質的にペトロラタム・ゼリー白色(Sonnecone DM1)および微結晶蝋の混合物を白色軟パラフィンの代わりに使用し、組成物Nに関しては、トリエタノールアミンをリン酸水素二ナトリウムの代わりに水相に添加した以外、組成物A〜Lについて上記した通りに製造した。
【0052】
実施例2
水性緩衝液の溶媒/界面活性剤混合物のカルシポトリオールの溶解度
エタノールと組み合わせたセトマクロゴール1000
下の表3に、25℃での、界面活性剤としてセトマクロゴール1000および共溶媒としてエタノールを含む水性緩衝液pH7.4中のカルシポトリオールとして測定したカルシポトリオール一水和物の溶解度を示す。表3から、水性リン酸緩衝液中でカルシポトリオールの溶解度についてセトマクロゴール1000とエタノールの組合せでわずかな相乗作用がある、すなわち15%のセトマクロゴール1000および20%のエタノールを含む水性リン酸緩衝液のカルシポトリオールの観察された溶解度が1468μg/gであり、これは、15%のセトマクロゴール1000または20%のエタノールのいずれかを含む水性リン酸緩衝液のカルシポトリオールの溶解度の和より約1.4倍高い(1049μg/g+2.33μg/g=1051μg/g)ことが示されている(図1参照)。
【表4】

【0053】
エタノールと組み合わせたLabrasol
下の表4に、25℃での、界面活性剤としてLabrasolおよび共溶媒としてエタノールを含む水性緩衝液pH7.4中のカルシポトリオールとして測定したカルシポトリオール一水和物の溶解度を示す。表4から、水性リン酸緩衝液中でカルシポトリオールの溶解度についてLabrasolとエタノールの組合せで顕著な相乗作用がある、すなわち15%のLabrasolおよび20%のエタノールを含む水性リン酸緩衝液のカルシポトリオールの観察された溶解度が1059μg/gであり、これは、15%のLabrasolまたは20%のエタノールのいずれかを含む水性リン酸緩衝液のカルシポトリオールの溶解度の和より約3.6倍高い(292μg/g+2.33μg/g=294μg/g)ことが示されている(図2参照)。
【表5】

【0054】
イソプロパノールと組み合わせたLabrasol
下の表5に、25℃での、界面活性剤としてLabrasolおよび共溶媒としてイソプロパノールを含む水性緩衝液pH7.4中のカルシポトリオールとして測定したカルシポトリオール一水和物の溶解度を示す。表5から、水性リン酸緩衝液中でカルシポトリオールの溶解度についてLabrasolとイソプロパノールの組合せで顕著な相乗作用がある、すなわち15%のLabrasolおよび20%のイソプロパノールを含む水性リン酸緩衝液のカルシポトリオールの観察された溶解度が1508μg/gであり、これは、15%のLabrasolまたは20%のイソプロパノールのいずれかを含む水性リン酸緩衝液のカルシポトリオールの溶解度の和より約4.9倍高い(292μg/g+17.2μg/g=309μg/g)ことが示されている(図3参照)。
【表6】

【0055】
エタノールと組み合わせたポリソルベート80
下の表6に、25℃での、界面活性剤としてポリソルベート(Tween)80および共溶媒としてエタノールを含む水性緩衝液pH7.4中のカルシポトリオールとして測定したカルシポトリオール一水和物の溶解度を示す。表6から、水性リン酸緩衝液中でカルシポトリオールの溶解度についてポリソルベート(Tween)80とエタノールの組合せで相乗作用がある、すなわち15%のポリソルベート(Tween)80および20%のエタノールを含む水性リン酸緩衝液のカルシポトリオールの観察された溶解度が740μg/gであり、これは、15%のポリソルベート(Tween)80または20%のエタノールのいずれかを含む水性リン酸緩衝液のカルシポトリオールの溶解度の和より約2.0倍高い(360μg/g+2.33μg/g=362μg/g)ことが示されている(図4参照)。

【0056】
上の表3〜6に示される結果は、共溶媒のみまたは界面活性剤のみを使用する代わりに、界面活性剤と組み合わせた共溶媒の相乗効果によって、水相におけるカルシポトリオール一水和物の溶解度を高め得ることが可能であることを示す。これは、いずれかの溶媒を単独で使用するときよりも、少容量の組合せを用いてカルシポトリオール一水和物の同じ溶解度を達成できることを意味する。
【0057】
実施例3
浸透試験
発明の組成物からのカルシポトリオールの皮膚浸透および透過を試験するために、皮膚拡散実験を行なった。豚耳からの十分な厚さの皮膚を本実験で用いた。耳を使用前は−18℃に凍結した。実験の前日、耳を緩速解凍のために冷蔵庫(5±3℃)に入れた。実験日に、獣医用ヘア・トリマーを用いて毛を除去した。メスを用いて皮膚から皮下脂肪を除去し、2片の皮膚を各耳から切除し、平衡の順でFranz拡散セルにマウントした。
実質的にT. J. Franz, “The finite dose technique as a valid in vitro model for the study of percutaneous absorption in man”, in Current Problems in Dermatology, 1978, J.W.H. Mall (Ed.), Karger, Basel, pp. 58-68に記載の方法で、3.14cmの利用可能な拡散面積と8.6〜11.1mlの範囲のレセプター容積を用いる静的Franzタイプ拡散セルを使用した。各セルについて特定の容積を測定し、登録した。磁気棒を各セルのレセプター・コンパートメントに設けた。皮膚を取り付けた後に、生理食塩水(35℃)を皮膚の水和のために各レセプターチャンバーに充填した。セルを、400rpmにセットされた磁気撹拌機に上に置かれた、熱的に制御された水浴に入れた。水浴の循環水を35±1℃に維持し、皮膚表面の温度を約32℃にした。1時間後、食塩水をレセプター媒体、4%のウシ血清アルブミン含有0.04Mの等張リン酸緩衝液、pH7.4(35℃)に変えた。沈降条件を、試験期間中常に維持し、すなわち、レセプター液中の活性化合物の濃度は、媒体中の化合物の溶解度の10%未満であった。
【0058】
各試験組成物のインビトロの皮膚透過を6複製(すなわちn=6)で試験した。各試験組成を意図した4mg/cm用量で0時間に皮膚膜に適用した。ガラス・スパチュラを適用に用い、組成物の残量を皮膚に実際に適用された組成物の量を得るために決定した。
皮膚浸透実験を21時間進行させた。その後、次のコンパートメントからサンプルを集めた:
角質層を、D-Squame(登録商標)テープ(直径22mm、CuDerm Corp., Dallas, Texas, USA)を用いて、10回テープを剥いで集めた。各テープ片を、試験領域に標準圧力を5秒間使用して適用し、1回の穏やかな、連続的な移動で試験領域から除いた。繰り返しの皮剥離について、剥がす方向を変えた。その後、生存可能な表皮および真皮を同様の方法で皮膚からサンプリングした。拡散セルにあるレセプター流体のサンプル(1ml)を回収し、分析した。
サンプルのカルシポトリオール濃度をLC質量分析法で決定した。
添付する図5aおよび5bから結果は明らかであり、それは、適用用量の%として生存可能な皮膚(真皮および表皮)およびレセプター流体で見られるカルシポトリオールの量を示す。本発明の組成物、特に界面活性剤成分としてLabrasolを含むものが、優れた浸透および透過プロフィールであることが判明した。
【0059】
実施例4
組成物の生物学的活性
下の図6に示す通り、カテリシジンはヒトの角化細胞で発現される抗菌ペプチドである。カテリシジンの発現は、皮膚の感染または皮膚バリアの崩壊で強く誘発される。乾癬において、カテリシジンのレベルは乾癬患者の皮膚病変で増加する。ビタミンDレセプターへの結合を介して、カテリシジンをコードする遺伝子の発現が、ビタミンD3またはカルシポトリオールのようなビタミンDの類似体によって誘発され得ることが判明した(TT Wang et al, J. Immunol. 173(5), 2004, pp. 2909-2912; J Schauber et al., Immunology 118(4), 2006, pp. 509-519; Schauber and Gallo, J. Allergy Clin Immunol 122, 2008, pp. 261-266; M. Peric et al., PloS One 4(7), July 22, 2009, e6340)。この発見は、ヒト角化細胞における試験組成物からのカルシポトリオールの取り込みおよび生物学的活性が、カテリシジンをコードする遺伝子の誘発レベルの測定により決定されるアッセイの開発に利用されている。
【0060】
本アッセイにおいて、上の実施例1に記載する通りに製造した組成物A、B、C、F、G、I、J、K、Lを、10μlの量で、0.5cmポリカーボネート・フィルター(SkinEthic(登録商標) Laboratories, Nice, Franceから入手可能)上に12日間培養された正常なヒトの角化細胞から成る、再構築されたヒト表皮に局所的に3回適用した。組織を2日間処理し、ポリカーボネート・フィルターから表皮を分離し、液体窒素で急速冷凍した。RNAを細胞から抽出し、cDNAを慣用の手順によって、合成した。その後定量的リアルタイムPCR(qPCR)をApplied Biosystemsからの次のアッセイを用いて行なった:cAMP Hs0018038_m1およびGAPDH Hs99999905_m1。カテリシジンの発現レベルをGAPDHに対して標準化し、相対的な定量化をDaivonex(登録商標)軟膏との比較により行った。
結果は、下記の表7に示す。
【表7】

Daivonex(登録商標)軟膏に対する
表7に示す結果は、本発明の組成物が標的遺伝子のより高い活性をもたらす、すなわち、それらは、市販の軟膏よりインビボで高い生物学的活性を有することを示す。
【0061】
実施例5
ミニブタの局所許容度試験
実施例1の組成物B、G、MおよびNの局所耐容性を、4週間、毎日ミニブタに経皮投与したとき評価した。Daivonex(登録商標)軟膏を比較のために使用した。毎日、動物を8時間試験物質に暴露させた。
実験は10匹のメスGoettingen SPFミニブタで行なわれた。各動物に6個所適用し、1つの個所当たり250mgの試験製剤の量を適用した。臨床的症状を毎日記録し、適用部位の皮膚反応を、紅斑および浮腫に関して投与開始前に1日1回およびさらに剖検日に評価した。餌消費量を毎日記録し、体重を毎週記録した。治療期間の終わりに、一通りの剖検を全ての動物で行ない、皮膚サンプルを病理組織試験により集めた。
結果は、グレード1〜2の皮膚反応(紅斑)が観察されたが、有害な処置関連臨床徴候が実験の間、観察されなかったことを示す。組成物G以外、紅斑は、Daivonex(登録商標)軟膏で観察より発現が少なかった。この結果は本発明の組成物がDaivonex(登録商標)軟膏よりも、ヒト患者において耐容され得ることを意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚適用のための局所組成物であって、
(a)溶解された形態のビタミンD誘導体または類似体;
(b)ポリオキシル・グリセリド、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリソルベートまたはポロキサマーからなる群から選択される非イオン性活性剤;および
(c)低級アルカノール共溶媒
を含む親油層が分散している水相を含み、
該水相は薬学的に許容される無水親油性担体または媒体に分散している、
油中水中油エマルジョンである、組成物。
【請求項2】
ビタミンD誘導体または類似体がカルシポトリオール、カルシトリオール、タカルシトール、マキサカルシトール、パリカルシトールおよびアルファカルシドールからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ビタミンD類似体がカルシポトリオールまたはカルシポトリオール一水和物である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
非イオン性活性剤が、組成物の約0.5〜約5重量%、特に約1〜約3重量%または、約1.2〜約2重量%、例えば約1.5重量%の総濃度で存在する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
非イオン性活性剤がカプリロカプロイルPEGグリセリド、ラウロイルPEGグリセリド、リノレオイルPEGグリセリド、オレオイルPEGグリセリドおよびステアロイルPEGグリセリドからなる群から選択されるポリエチレングリコールC6−20脂肪酸グリセリド、PEGモノセチルエーテル、PEGモノラウリルエーテル、PEGモノオレイルエーテルおよびPEGモノステアリルエーテルからなる群から選択されるポリオキシエチレンC8−20アルキルエーテル、ポリソルベート20、40、60および80からなる群から選択されるポリソルベート、ポロキサマー124、237、338および407からなる群から選択されるポロキサマーまたはポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、例えばポリオキシル・ヒマシ油または硬化ポリオキシル・ヒマシ油である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
非イオン性活性剤がポリエチレングリコール8カプリル酸/カプリン酸グリセリドまたはポリエチレングリコール6カプリル酸/カプリン酸グリセリドである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
低級アルカノール共溶媒がメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールまたは2‐ブタノールからなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
低級アルカノール共溶媒が組成物の約0.5〜5重量%、特に1〜3重量%または約2重量%の濃度で存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
共溶媒がエタノールであり、非イオン性活性剤がポリエチレングリコール8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、ポリソルベート80またはPEGモノセチルエーテルであるか、または共溶媒がイソプロパノールであり、非イオン性活性剤がポリオキシル・ヒマシ油、ポリエチレングリコール8カプリル酸/カプリン酸グリセリドまたはポリソルベート80である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
担体がCからC60の範囲の鎖長であって、C14−16、C18−22、C20−22、C20−26がピークの鎖長を有する炭化水素またはその混合物から成るパラフィン類(ガスクロマトグラフィーにより決定)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
さらに増粘成分を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
増粘成分が蝋である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
さらにシリコン蝋または揮発性シリコン油を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
揮発性シリコン油がシクロメチコンまたはジメチコンである、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
さらに抗刺激性化合物を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
抗刺激性化合物がグリセリン、ブチレングリコール、ソルビトール、蔗糖、サッカリン、メントールまたはニコチンアミドである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
ビタミンD誘導体または類似体の化学的安定性に有害な酸性不純物を中和することができる化合物をさらに含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
該化合物がトリエタノールアミン、トロメタモール、モノエタノールアミンまたはジエタノールアミンのような三級アミンである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
約0.001〜0.5mg/g、好ましくは約0.002〜0.25mg/g、特に0.005〜0.05mg/gのビタミンD誘導体または類似体を含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
0.003〜0.008%w/w カルシポトリオール(一水和物として)
1〜3%w/w ポリエチレングリコール8カプリル酸/カプリン酸グリセリド
1〜3%w/w エタノール
3〜8%w/w ポリオキシエチレンステアリルエーテル
5〜10%w/w 水
80〜93%w/w パラフィン担体
を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
0.003〜0.008%w/w カルシポトリオール(一水和物として)
1〜3%w/w ポリソルベート80
1〜3%w/w エタノール
3〜8%w/w ポリオキシエチレンステアリルエーテル
5〜10%w/w 水
80〜93%w/w パラフィン担体
を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
0.003〜0.008%w/w カルシポトリオール(一水和物として)
1〜3%w/w ポリエチレングリコール・モノセチルエーテル
1〜3%w/w エタノール
3〜8%w/w ポリオキシエチレンステアリルエーテル
5〜10%w/w 水
80〜93%w/w パラフィン担体
を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
0.003〜0.008%w/w カルシポトリオール(一水和物として)
1〜3%w/w ポリエチレングリコール8カプリル酸/カプリン酸グリセリド
1〜3%w/w イソプロパノール
3〜8%w/w ポリオキシエチレンステアリルエーテル
5〜10%w/w 水
80〜93%w/w パラフィン担体
を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
0.003〜0.008%w/w カルシポトリオール(一水和物として)
1〜3%w/w ポリオキシル・ヒマシ油
1〜3%w/w イソプロパノール
3〜8%w/w ポリオキシエチレンステアリルエーテル
5〜10%w/w 水
80〜93%w/w パラフィン担体
を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
0.003〜0.008%w/w カルシポトリオール(一水和物として)
1〜3%w/w ポリソルベート80
1〜3%w/w イソプロパノール
3〜8%w/w ポリオキシエチレンステアリルエーテル
5〜10%w/w 水
80〜93%w/w パラフィン担体
を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
さらに5〜10%のw/w グリセリンを含む、請求項20〜25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
さらに一種以上のさらなる治療的活性成分を含む、請求項1〜26のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項28】
さらなる活性成分がコルチコステロイドのような抗炎症剤、例えば、ベタメタゾンおよびそのエステル、例えば吉草酸またはジプロピオン酸エステル、クロベタゾールまたはそのエステル、例えばプロピオン酸エステル、ヒドロコルチゾンまたはそのエステル、例えば酢酸エステル;ナプロキセン、インドメタシン、ジクロフェナク、イブプロフェン、デクスイブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ピロキシカム、テノキシカム、ロルノキシカムまたはナブメトンのような非ステロイド性抗炎症剤、ホスホジエステラーゼ4阻害剤またはp38MAPキナーゼ阻害剤から選択される、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
皮膚疾患または状態の処置に使用するための、請求項1〜28のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項30】
皮膚疾患または状態が乾癬、脂漏性乾癬、手掌足底膿疱症、皮膚炎、魚鱗癬、酒さまたはざ瘡である、請求項29に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−515017(P2013−515017A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545089(P2012−545089)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【国際出願番号】PCT/DK2009/000266
【国際公開番号】WO2011/076206
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(508069752)レオ ファーマ アクティーゼルスカブ (22)
【Fターム(参考)】