説明

ビデオサーバとその素材管理方法

【課題】ビデオサーバ内に収録された映像データに字幕データを自在に重畳する。
【解決手段】ビデオサーバ100の素材収録部14は、入力された素材データ毎に素材識別情報を付与して素材データ記憶部13に収録する。素材管理部15は、収録された素材データの組み合わせを示す組み合わせ情報を素材管理テーブルに登録して素材管理テーブル記憶部17に記憶しておく。素材送出時には、素材管理部15は組み合わせ情報の選択を受け付けて、素材管理テーブル記憶部17から組み合わせ情報に含まれる素材識別情報を読み出す。素材送出部16は、読み出された素材識別情報に基づいて素材データ記憶部13から該当する素材データをそれぞれ読み出して字幕付きOAデータとして送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、映像データと字幕データとを重畳して送出するビデオサーバとその素材管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、字幕データを収録/送出可能なビデオサーバが提供されているが、一般的に字幕は映像素材に重畳された形で収録することを基本としている。このため、ビデオサーバ内部では素材の扱いを簡易にするため、映像/音声/字幕を固定セットで管理している場合が多い。こうした管理構造を取ると、映像データの収録後に字幕だけをビデオサーバに登録したり、字幕付きで収録された映像素材の字幕だけを差し替えることはできない。
【0003】
なお、映像データや音声データ等の時間的な再生動作を記述することで、複数の素材を時間的に組み合わせて再生する映像データ管理手法が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開平9−45051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、テレビ放送における字幕データはビデオサーバに収録前に予め映像に重畳しておく必要があるため、字幕の変更があった場合には、再度字幕を付けて映像を収録し直さなければならず手間がかかっていた。
【0005】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、ビデオサーバ内に収録された映像データに字幕データを自在に重畳することができるビデオサーバとその素材管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためにこの発明に係わるビデオサーバは、少なくとも字幕データと映像データとを含む素材データを個別に素材識別情報を付与して収録する収録手段と、前記収録された素材データの組み合わせに対応する前記素材識別情報を組み合わせ情報として素材管理テーブルに登録する登録手段および前記登録された組み合わせ情報の選択を受け付けて、前記素材管理テーブルを参照して前記選択された組み合わせ情報に含まれる素材識別情報を読み出す読出手段を備える管理手段と、前記読み出された素材識別情報に該当する素材データを前記収録手段からそれぞれ読み出して送出する送出手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
また、この発明に係わるビデオサーバの素材管理方法は、少なくとも字幕データと映像データとを含む素材データを個別に素材識別情報を付与して収録し、前記収録された素材データの組み合わせに対応する前記素材識別情報を組み合わせ情報として素材管理テーブルに登録し、前記登録された組み合わせ情報の選択を受け付けて、前記素材管理テーブルを参照して前記選択された組み合わせ情報に含まれる素材識別情報を読み出し、前記読み出された素材識別情報に該当する素材データをそれぞれ読み出して送出することを特徴とする。
【0008】
上記構成では、映像/音声/字幕データ等の各素材データに個別に素材識別情報を付与して収録し、収録された素材データを任意に組み合わせ可能とし、素材識別情報を用いて組み合わせ情報として素材管理テーブルに登録しておく。送出時には、組み合わせ情報に含まれる素材識別情報に基づいて該当する素材データを組み合わせて送出する。このように構成することで、ビデオサーバ内に収録された映像データに対して字幕の重畳、差し替えなどを容易に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
したがってこの発明によれば、ビデオサーバ内に収録された映像データに字幕データを自在に重畳することができるビデオサーバとその素材管理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、この発明に係わるビデオサーバの一実施形態を示す機能ブロック図である。
ビデオサーバ100は、中央処理ユニット(CPU:Central Processing Unit)11と、素材入力インタフェース(素材入力I/F)12と、素材データ記憶部13と、素材収録部14と、素材管理部15と、素材送出部16と、素材管理テーブル記憶部17とを備える。
【0011】
素材収録部14は、CPU11の制御の下、素材入力I/F12により入力される映像/音声データを素材データ記憶部13に収録する。字幕データは字幕生成装置からファイル転送され、上記素材入力I/F12により取り込まれ、映像/音声データと同様に素材データ記憶部13に収録される。収録された字幕データは素材データ記憶部13に収録されている任意の映像/音声データと組み合わせて送出することが可能である。素材収録部14は、素材データを収録する際、素材データ(映像/音声/字幕)毎に素材識別情報(映像ID/音声ID/字幕ID)を付与して収録する。
【0012】
素材管理部15は、任意の素材データの組み合わせを示す素材管理テーブルを作成して素材管理テーブル記憶部17に記憶し、収録された素材データを管理する。具体的には、各組み合わせに対して組み合わせIDを付与し、その組み合わせに含まれる素材識別情報を組み合わせIDに対応付けて素材管理テーブルに登録する。また、素材管理部15は、オペレータや上位装置から上記組み合わせIDの選択を受け付け、選択された組み合わせIDに対応付けられた素材識別情報を素材管理テーブル記憶部17から読み出す。
【0013】
素材送出部16は、素材管理テーブル記憶部17から読み出された素材識別情報に基づいて素材データ記憶部13から該当する映像/音声/字幕データをそれぞれ読み出して、字幕付きOAデータとしてベースバンド送出する。
【0014】
次に、このように構成されたビデオサーバ100の動作について説明する。
(素材収録及び組み合わせ登録処理)
図2は、素材収録及び組み合わせ登録処理の手順とその処理内容を示すフローチャートである。
CPU11は、例えば、1組の映像/音声データの収録要求を受けると(ステップS21)、素材入力I/F12から映像/音声データを取り込み、素材収録部14により映像ID(V001)および音声ID(A001)を付与して素材データ記憶部13に収録する(ステップS22)。そして、素材管理部15は、この映像/音声データの組み合わせを表す組み合わせID(100)を生成して、上記映像ID及び音声IDを組み合わせIDに対応付けて素材管理テーブルに登録する(ステップS23)。
【0015】
一方、上記登録された組み合わせID(100)の組み合わせに対し、字幕データの収録要求を受け付けると(ステップS24)、CPU11は、素材入力I/F12により字幕生成装置からファイル形式で入力される字幕データを取り込む。素材収録部14は、この字幕データに字幕ID(J001)を付与して素材データ記憶部13に収録する(ステップS25)。字幕データが収録されると、素材管理部15は上記登録された組み合わせID(100)の組み合わせに字幕ID(J001)を追加して素材管理テーブル記憶部17に記憶する(ステップS26)。
【0016】
なお、素材管理部15は、素材管理テーブルに登録された組み合わせを変更したり、同一の素材データを用いて新たな組み合わせを生成して素材管理テーブルに登録する機能も有する。また、1つの組み合わせIDに対して、複数の字幕データを組み合わせて登録することも可能である。図1においては、組み合わせID100に対して2つの字幕データ(J001,J002)が登録されている例である。
【0017】
(素材送出処理)
図3は、素材送出処理の手順とその処理内容を示すフローチャートである。
ビデオサーバ100は、上位装置や番組プログラム等から指示により送出対象の組み合わせIDを受け付けると(ステップS31)、素材管理部15により当該組み合わせIDに対応する素材管理情報(映像ID/音声ID/字幕ID)を素材管理テーブル記憶部17から読み出す(ステップS32)。そして、素材管理部15は、組み合わせ情報として登録されている字幕IDの中から映像に重畳する対象の字幕データの選択を受け付ける(ステップS33)。例えば、1つの組み合わせIDに複数の字幕データが登録されている場合にどの字幕データ(複数でも可)を出力するか、または字幕データ自体を出力するか否かの選択を行うこともできる。字幕データの選択後、素材送出部16は、選択された映像ID/音声ID/字幕IDに該当する素材データを素材データ記憶部13からそれぞれ読み出す。映像/音声データに選択された字幕データを重畳させてOAデータとしてベースバンド送出する(ステップS34)。
【0018】
以上述べたように、上記実施形態では、ビデオサーバ100の素材収録部14は、入力された素材データ毎に素材識別情報を付与して素材データ記憶部13に収録する。素材管理部15は、収録された素材データの組み合わせを示す組み合わせ情報を素材管理テーブルに登録して素材管理テーブル記憶部17に記憶しておく。素材送出時には、素材管理部15は組み合わせ情報の選択を受け付けて、素材管理テーブル記憶部17から組み合わせ情報に含まれる素材識別情報を読み出す。素材送出部16は、読み出された素材識別情報に基づいて素材データ記憶部13から該当する素材データをそれぞれ読み出して字幕付きOAデータとして送出する。
【0019】
したがって上記実施形態によれば、ビデオサーバ内に収録された映像データに字幕データを自在に重畳することが可能となる。また、上記組み合わせIDに対応付けられた映像/音声/字幕の組み合わせをビデオサーバ100内で自由に変更可能である。つまり、字幕データのみを後から収録したり、収録後に差し替えることが容易にできるようになるため、ビデオサーバの利便性を向上させることができる。さらに、1つの組み合わせIDに複数の字幕データを対応付けて登録しておき、送出時に重畳する字幕データを選択することが可能である。これにより、例えば、映像データに予め多国語の字幕データを登録しておけば、素材を送出する地域別に字幕を提供することが容易にできるようになる。
【0020】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明に係わるビデオサーバの一実施形態の示す機能ブロック図。
【図2】図1に示すビデオサーバにおける素材管理部の処理手順とその処理内容を示すフローチャート。
【図3】図1に示すビデオサーバにおける再生制御部の処理手順とその処理内容を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0022】
100…ビデオサーバ、11…CPU、12…素材入力インタフェース、13…素材データ記憶部、14…素材収録部、15…素材管理部、16…素材送出部、17…素材管理テーブル記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも字幕データと映像データとを含む素材データを個別に素材識別情報を付与して収録する収録手段と、
前記収録された素材データの組み合わせに対応する前記素材識別情報を組み合わせ情報として素材管理テーブルに登録する登録手段および前記登録された組み合わせ情報の選択を受け付けて、前記選択された組み合わせ情報に含まれる素材識別情報を前記素材管理テーブルから読み出す読出手段を備える管理手段と、
前記読み出された素材識別情報に該当する素材データを前記収録手段からそれぞれ読み出して送出する送出手段と
を具備することを特徴とするビデオサーバ。
【請求項2】
前記登録手段は、前記収録された複数の字幕データを含む組み合わせに対応する前記素材識別情報を組み合わせ情報として前記素材管理テーブルに登録し、
前記管理手段は、前記読出手段により読み出された複数の字幕データの素材識別情報のうち送出対象の素材識別情報の選択を受け付ける字幕選択手段をさらに具備することを特徴とする請求項1記載のビデオサーバ。
【請求項3】
前記管理手段は、前記素材管理テーブルに登録された組み合わせ情報に対応する素材データの組み合わせを前記素材識別情報を用いて変更する変更手段をさらに具備することを特徴とする請求項1記載のビデオサーバ。
【請求項4】
少なくとも字幕データと映像データとを含む素材データを個別に素材識別情報を付与して収録し、
前記収録された素材データの組み合わせに対応する前記素材識別情報を組み合わせ情報として素材管理テーブルに登録し、
前記登録された組み合わせ情報の選択を受け付けて、前記選択された組み合わせ情報に含まれる素材識別情報を前記素材管理テーブルから読み出し、
前記読み出された素材識別情報に該当する素材データをそれぞれ読み出して送出することを特徴とするビデオサーバの素材管理方法。
【請求項5】
前記収録された複数の字幕データを含む組み合わせに対応する前記素材識別情報を組み合わせ情報として前記素材管理テーブルに登録し、
前記読み出された複数の字幕データの素材識別情報のうち送出対象の素材識別情報の選択を受け付けることをさらに特徴とする請求項4記載のビデオサーバの素材管理方法。
【請求項6】
前記素材管理テーブルに登録された組み合わせ情報に対応する素材データの組み合わせを前記素材識別情報を用いて変更することをさらに特徴とする請求項4記載のビデオサーバの素材管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−153867(P2008−153867A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−338694(P2006−338694)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】