説明

ビデオサーバ装置及び同期制御方法

【課題】各ユニットが映像1フレーム時間単位の制御単位に同期し連携して処理時間内に処理することを可能とする。
【解決手段】実施形態によれば、ビデオサーバ装置は、記憶部と、収録部と、再生部と、同期部と、同期信号分配部とを具備している。制御部は、記憶部及び収録部及び再生部それぞれの処理を統括的に制御する。同期部は、フレーム単位の同期信号を発生する。同期信号分配部は、同期部で発生されたフレーム単位の同期信号を記憶部及び収録部及び再生部及び制御部に分配する。記憶部及び収録部及び再生部及び制御部の各々は、同期信号分配部により分配された同期信号を管理する時間管理部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放送局内において、放送番組の送出素材の送出処理を行うビデオサーバ装置、及びこのビデオサーバ装置で使用される同期制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、放送番組送出システムは、放送番組の送出素材を予めビデオサーバ装置に格納しておき、自動番組送出制御装置(APC)からの指示に従って該当する素材を再生し、オンエアを行う。このようなオンエア処理において、通常、オンエア前にオンエア順序に従った素材の確認作業が行われている。
【0003】
ところで、映像品質がハイビジョンからフルハイビジョン(2K×1K)、超ハイビジョン(4K×2K)、スーパーハイビジョン(8K×4K)に向け飛躍的に向上し、地上放送からBS(放送衛星)放送、CS(通信衛星)放送へとコンテンツが大容量化、多チャネル化していく。そのため、これら素材を保存するビデオサーバ装置も大容量化、多チャンネル化が必要となる。その結果、ビデオサーバ装置には高い処理能力が求められ、単一の機能部から複数の機能部で機能が分担された構成の装置となる。
【0004】
このような複数の機能部で構成される装置では、これらの機能部間を高速バスで接続されるとともに、大量のデータを送受信できることが求められる。特に映像データの場合は、フレームレベルのリアルタイム性を保持して、大量のデータ送受信を実現することが必須となる。これら基板間の大量データを送受信する高速バスは、同期バスだけでなく汎用の高速な非同期バスを用いて構成される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−255142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記マルチCPU構成の場合、各CPUがフレーム単位の制御に同期して、CPU間が連携して決められた時間内に処理することで高品質な再生動作を実現する必要がある。そのため、CPU間でタイミングを連携できる何らかの手段がないと、再生品質を確保するビデオサーバ装置を作ることが難しい。ところが、これらCPU間で時計により連携しようとすると、時計を連携するための方法、時計合わせの方法が必要になり、CPU間の処理が煩雑になる。また、正確な時計を各処理部に実装し、CPUで参照しようとすると、装置コストが上がる。
【0007】
さらに、何らかの手段でCPU間の時計を正確に合わせたとしても、1フレーム時間単位の制御で何らかの異常が発生した場合は、異常を検知する手段を持ち、例えばGOP分の異常をリカバリできないと再生品質は向上しない。また、リカバリできない場合は異常を通知する手段がないと、冗長系への切り替えも動作せず、再生品質を確保する映像再生装置を作ることが難しい。
【0008】
本発明の目的は、各ユニットが映像1フレーム時間単位の制御単位に同期し連携して処理時間内に処理することが可能なビデオサーバ装置及び同期制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によればビデオサーバ装置は、記憶部と、収録部と、再生部と、同期部と、同期信号分配部とを具備している。記憶部は、第1の計時部を有し、この第1の計時部で計時される時間に基づいて、放送番組の素材データを記録する。収録部は、第2の計時部を有し、この第2の計時部で計時される時間に基づいて、記憶部に対し素材データを収録処理する。再生部は、第3の計時部を有し、この第3の計時部で計時される時間に基づいて、記憶部に記録された素材データを再生する。制御部は、記憶部及び収録部及び再生部それぞれの処理を統括的に制御する。同期部は、フレーム単位の同期信号を発生する。同期信号分配部は、同期部で発生されたフレーム単位の同期信号を記憶部及び収録部及び再生部及び制御部に分配する。記憶部及び収録部及び再生部及び制御部の各々は、同期信号分配部により分配された同期信号を管理する時間管理部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態が適用される放送番組送出システムの構成を示すブロック図。
【図2】一実施形態とするビデオサーバの構成を示す回路ブロック図。
【図3】同期信号分配方法を示す図。
【図4】本実施形態による映像1フレーム時間単位の同期信号情報読出し方法を示す図。
【図5】本実施形態による映像1フレーム時間単位の同期信号設定方法を示す図。
【図6】本実施形態による正常時の再生制御シーケンスを示す図。
【図7】本実施形態による異常が発生した時の再生制御シーケンスを示す図。
【図8】本実施形態による再生部の制御処理手順を示すフローチャート。
【図9】本実施形態によるイベントごとのログ情報解析結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本一実施形態が適用される放送番組送出システムの構成を示すブロック図である。図1において、符号11はビデオサーバで、カメラ12、再生デッキ13及びノンリニア編集機14からのオンエア用放送番組の素材データ(ここでは、映像データと称する)を格納し、オンエア指示に従って該当する映像データを選択的に再生する。この再生データは、ビデオサーバ11内で映像信号にデコードされて放送設備15に導かれて、出力される。また、ビデオサーバ11から再生される映像信号はモニタ16に供給される。
【0013】
一方、ビデオサーバ11は、操作端末17の操作入力指示に従い、映像データの書き込み/読み出し制御が行われる。
【0014】
図2は、一実施形態とするビデオサーバ11の構成を示す回路ブロック図である。
ビデオサーバ11は、制御部111と、収録部1121〜112nと、記憶部1131〜113mと、再生部1141〜114pと、伝送部115とを備える。制御部111は、装置全体の制御を行う。収録部1121〜112nは、カメラやビデオデッキなどから送られてくる映像信号を符号化するといった収録処理を実行する。記憶部1131〜113mは、収録部1121〜112nで取り込んだ映像データを記録するためのフラッシュメモリなどの記録媒体への書き込み・読み出し処理を行う。再生部1141〜114pは、記憶部1131〜113mから読み出した映像データを映像信号に復号化し、映像信号を出力するといった再生処理を実行する。伝送部115は、映像データ高速に転送する非同期バスが用いられる。また、伝送部115は、記憶部1131〜113mを接続した入力チャネルと、再生部1141〜114pを接続した出力チャネルの切替処理も実行する。
【0015】
映像記録時に、制御部111は制御情報により、収録部1121〜112nに対し映像データの取り込みを指示する。すると、指示を受けた収録部1121〜112nは映像データをMPEG2などへの符号化処理を実行する。また、収録部1121〜112nに対する指示と同時に、制御部111は、記憶部1131〜113mに対して映像データの書き込みを指示する。すると、記憶部1131〜113mは、記録媒体への映像データの書き込み処理を実行する。再生時には、制御部111は制御信号によって、記憶部1131〜113mに対して映像データの読み出しを指示する。また記憶部1131〜113mに対する指示と同時に、制御部111は再生部1141〜114pに対して映像データの復号化を指示する。指示を受けた再生部1141〜114pはMPEG2等の符号化された映像データを映像信号に復号化して出力を行う。
【0016】
非同期バスが用いられた伝送部115においては、複数の収録部1121〜112nからの映像データや記憶部1131〜113mからの映像データが伝送部115に集中することによりパケットの衝突が生じる。その結果、パケット廃棄や一時的な遅延が発生することになる。
【0017】
同期部116は、映像のフレーム同期信号(60/1.001Hz)を発生する。
【0018】
ところで、制御部111には、本実施形態に係わる機能として、タイマ111−1と、同期信号分配部111−2と、判定部111−3と、リカバリ制御部111−4と、ログ情報管理部111−5とを備える。タイマ111−1は、処理時間を計時する。
【0019】
同期信号分配部111−2は、同期部116から送られてくるフレーム単位の同期信号を受信して管理する。また、同期信号分配部111−2は、受信した同期信号を収録部1121〜112n、記憶部1131〜113m及び再生部1141〜114pに分配する。また、同期信号分配部111−2は、必要に応じて、タイマ111−1で計時される処理時間(カウンタ値)を同期信号に合わせるように調整される。
【0020】
判定部111−3は、収録部1121〜112n、記憶部1131〜113m及び再生部1141〜114pに対し、同期が合うように調整された状態で、同期が合っているか否かを判定し、同期のずれがあった場合、その同期のずれ量に基づき、再生の処理においてリカバリ可能な条件か否かを判定する。この条件の判断には、収録部1121〜112n、記憶部1131〜113m及び再生部1141〜114pの同期のずれと、収録部1121〜112n、記憶部1131〜113m及び再生部1141〜114pに備えられるバッファ1121−1,1131−1,1141−1のそれぞれの空き容量を用いる。これらバッファ1121−1,1131−1,1141−1は、処理する映像データを一時的に蓄積しておくものである。例えば、バッファ1121−1に2フレーム分の映像データを格納できるか否かを判断し、2フレーム分の映像データを格納できる空き容量があれば、リカバリ可能であると判断し、2フレーム分の映像データを格納できなければ、リカバリ困難であると判断する。
【0021】
リカバリ制御部111−4は、上記判定部111−3により例えば再生部1141の再生処理においてリカバリ可能な条件と判定した場合に、映像データの次フレームでリカバリ処理を施す。
【0022】
ログ情報管理部111−5は、フレーム単位の制御をログ情報としてイベントごとに管理する。
【0023】
上記収録部1121〜112nは、タイマ1121−2と、同期信号管理部1121−3と、ログ情報管理部1121−4と、判定部1121−5とを備える。また、記憶部1131〜113mは、タイマ1131−2と、同期信号管理部1131−3と、ログ情報管理部1131−4と、判定部1131−5とを備える。再生部1141〜114pは、タイマ1141−2と、同期信号管理部1141−3と、ログ情報管理部1141−4と、判定部1141−5とを備える。ここでは、記憶部1131〜113mのうち、代表して記憶部1131について説明する。
【0024】
同期信号管理部1131−3は、制御部111から送られる同期信号を管理する。また、同期信号管理部1131−3は、必要に応じて、タイマ1131−1で計時される処理時間(カウンタ値)を同期信号に合わせるように調整する。ログ情報管理部1131−4は、フレーム単位の制御をログ情報としてイベントごとに管理する。
【0025】
判定部1131−5は、収録部1121〜112n、記憶部1131〜113m及び再生部1141〜114pに対し、同期が合うように調整された状態で、同期が合っているか否かを判定し、同期のずれがあった場合、その同期のずれ量に基づき、再生の処理でリカバリ可能な条件か否かを判定する。この条件の判断には、収録部1121〜112n及び再生部1141〜114pの同期のずれとバッファ1131−1の空き容量を用いる。例えば、バッファ1131−1に2フレーム分の映像データを格納できるか否かを判断し、2フレーム分の映像データを格納できる空き容量があれば、リカバリ可能であると判断し、2フレーム分の映像データを格納できなければ、リカバリ困難であると判断する。
【0026】
次に、上記構成による動作について説明する。
(同期信号分配方法)
図3は、同期信号分配方法を示す。
【0027】
ビデオサーバ装置の再生品質を確保するためには、同期部116からのフレーム単位の同期信号に同期して動作する必要がある。制御部111は、同期部116から供給されるフレーム単位の同期信号を、各部1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115に伝送する。制御部111ではなく他のユニットが各部1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115に伝送する方法もある。または、同期部116が直接各部1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115にフレーム単位の同期信号を伝送する方法もある。
【0028】
(同期信号情報読み出し方法)
図4は、本実施形態によるフレーム単位の同期信号情報読出し方法を示す。
【0029】
まず、制御部111は、各部1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115に対し、同期が合っているかを確認するための同期チェック要求を送信する(図4(1))。
【0030】
制御部111からの同期チェック要求に対して、各部1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115は、タイマ1121−2,1131−2,1141−2で計時されるカウンタ値を読出し・照合を行う(図4(2))。
【0031】
各部1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115は、フレーム単位に連動して制御部111にカウンタ情報を通知する(図4(3))。制御部111は、各部1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115に対して同一のフレーム単位で問合せするかどうかを選択するようにしてもよい。
【0032】
また、各部1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115から制御部111への通知タイミングも、問い合わせのつぎのフレーム単位で通知する必要はなく、選択できるようにしてもよい。図4では、制御部111から各部1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115に問合せする方法を示しているが、各部1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115が定期的に制御部111に通知する方法を選択することもできる。
【0033】
なお、図4(a)は、制御部111から各部1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115に対し一斉に同期チェック要求を送出する例を示し、図4(b)は、制御部111から各部1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115に対し順に同期チェック要求を送出する例を示す。
【0034】
(同期信号設定方法)
図5は、本実施形態によるフレーム単位の同期信号設定方法を示す。
【0035】
同期チェックにより、フレーム単位のカウンタ値が異なる場合、もしくは定期的に、制御部111は、各部1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115へ同期設定要求を送信する(図5(1))。
【0036】
制御部111から各部1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115への同期設定要求に対して、各部1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115はフレーム単位に連動してフレーム単位のカウンタ値を合わせるとともに(図5(2))、制御部111に設定結果を通知する(図5(3))。
【0037】
本動作により、制御部111は、各部1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115のフレーム単位のカウンタ値を、制御部111から指定されたカウンタ値に一致させることが可能になる。また、制御部111は、各部1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115に対して同一のフレーム単位に同期信号を設定させるかどうかは選択できるものとする。
【0038】
また、各部1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115は、制御部111への通知タイミングも、問い合わせのつぎのフレーム単位で通知する必要はなく、選択できるようにしてもよい。
【0039】
なお、図5(a)は、制御部111から各部1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115に対し一斉に同期設定要求を送出する例であり、図5(b)は、制御部111から各部1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115に対し順に同期設定要求を送出する例である。
【0040】
(再生制御動作)
図6は、正常時の再生制御シーケンスを示す。ここで、記憶部1131〜113m及び再生部1141〜114pは、記憶部113及び再生部114として説明する。
【0041】
制御部111、記憶部113、再生部114は、映像1フレーム時間単位の同期に基づき再生シーケンスを制御する。再生部114に映像がスタンバイされていない場合は、再生部114は制御部111からのスタンバイ要求を受け映像が受けられる状態に遷移する。
【0042】
この場合、制御部111は、再生部114に対しスタンバイ要求を送信し(図6(1)、再生部114からスタンバイ応答が到来すると(図6(2))、記憶部113に対し転送要求を送信する(図6(3))。このとき、制御部111は、記憶部113から転送応答を受信する(図6(4))。
【0043】
記憶部113は、制御部111からの転送要求により、指定されたデータを再生部114に転送する。再生部114はデータが溜まり、ストリームを出力できる状態になると、制御部111にスタンバイ完了を通知する(図6(5))。
【0044】
制御部111はストリームを出力するタイミングを調整し(図6(6))、再生部114に再生要求を送信する(図6(7))。再生部114ではフレーム単位の同期信号に基づき、ストリームを出力する。
【0045】
(再生制御動作)
図7は、本実施形態による異常が発生した場合の再生制御シーケンスを示す。
【0046】
本シーケンスでは、再生部114がスタンバイ要求を受信した後、2フレーム時間単位の同期に基づきデータを受信しなかった例を示している。この場合、再生部114は2フレーム時間単位の同期に基づきデータを受信するべきところデータを受信しないため、つぎのフレーム時間単位で転送未受信を制御部111に送信する(図7(1))。
【0047】
制御部111では、再生部114からの転送未受信により、記憶部113に対して再度転送要求を送信する(図7(2))。制御部111は、記憶部113から転送応答を受信する(図7(3))。
【0048】
本転送要求で問題なく制御できればそれ以降の処理は正常にでき、制御部111がスタンバイ完了を受信し(図7(4))、ストリームを出力するまでの期間内でエラー状態から復旧できれば、制御部111からの再生要求以降に影響せず、フレーム単位に同期してストリーム出力可能になる。
【0049】
本再生制御シーケンスでは、記憶部113からのデータ転送に失敗した例を示したが、制御部111、記憶部113、再生部114とも一旦何らかの制御要求を受け付けると、それ以降の制御信号やデータがどのフレーム単位にくるかがわかるため、最小のフレーム単位でのエラー処理が可能になる。そのため、最小限の待ち時間でエラー処理を行うことができ、リカバリ処理が最小時間で実施できる。
【0050】
また、リカバリできないと判断された場合は、その段階で異常通知を行うことで系の切り替え等により、映像再生に影響せず、再生品質を確保したビデオサーバ装置を提供可能となる。
【0051】
また、制御部111は、エラー状態から復旧した場合は、記憶部113から再生部114へ送信させるデータを、通常で送らなければならない間隔より短い間隔の送信間隔で送信させる。
【0052】
図8は、再生部114の制御処理手順を示すフローチャートである。
【0053】
再生部114は、制御部111から再生要求を受信すると、バッファ1141−1の空き容量を検出し(ステップST8a)、この検出結果に基づいて、バッファ量、つまり一定量蓄積可能なバッファ1141−1の容量があるか否かの判断を行う(ステップST8c)。ここで、バッファに空き容量がある場合(Yes)、再生部114は再送要求(転送未受信)を制御部111に送信する(ステップST8c)。
【0054】
一方、バッファに空き容量が無い場合(No)、再生部114は外部に異常を表す情報を通知する(ステップST8d)。
【0055】
(ログ情報収集)
図9は、イベントごとのログ情報解析結果を示す。
【0056】
各部111,1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115では素材情報、同期カウンタ、および、その処理内容をログ情報としてログ情報管理部111−5,1121−4,1131−4,1141−4に収集しておく。それを、制御部111もしくはそれに代用する処理部で集め、同期カウンタをキーにすることによりイベント(素材情報)ごとの処理シーケンスがわかるように整列させる。その結果、不具合発生時の情報解析や予防保全情報として活用できる。
【0057】
ここで、素材情報1(例えば、CM)を処理する場合を例に説明する。
【0058】
制御部111は、再生部114に対しスタンバイ要求を送信する。このとき、スタンバイ要求のヘッダには、タイマ111−2でカウントされるカウンタ値「15」が挿入される。また、制御部111は、スタンバイ要求を示す情報を、素材情報1と、同期カウンタ「15」と、制御部111を示す情報と対応付けてログ情報管理部111−5に記録する。
【0059】
また、制御部111は、再生部114からヘッダにカウンタ値「15」が付加されたスタンバイ応答が到来すると、スタンバイ応答を示す情報を、素材情報1と、同期カウンタ「15」と、制御部111を示す情報と対応付けてログ情報管理部111−5に記録する。
【0060】
そして、制御部111は、再生部114からヘッダにカウンタ値「18」が付加された転送未受信が到来すると、転送未受信を示す情報を、素材情報1と、同期カウンタ「18」と、制御部111を示す情報と対応付けてログ情報管理部111−5に記録する。
【0061】
制御部111は、記憶部113に対し転送要求を送信すると、転送要求を示す情報を、素材情報1と、同期カウンタ「19」と、制御部111を示す情報と対応付けてログ情報管理部111−5に記録する。
【0062】
また、再生部1141は、スタンバイ要求を受信すると、制御部111に対しスタンバイ応答を送信する。このとき、スタンバイ要求のヘッダには、タイマ1141−2でカウントされるカウンタ値「15」が挿入される。また、再生部1141は、スタンバイ応答を示す情報を、素材情報1と、同期カウンタ「15」と、再生部1141を示す情報と対応付けてログ情報管理部1141−4に記録する。
【0063】
以上のように上記実施形態では、各部111,1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115がフレーム単位の制御単位(例えば、33ms)に同期して連携して処理時間内に処理することで、各部111,1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115が他の部からの制御情報の要求や応答揺らぎを検出できるため、その揺らぎ検出結果に基づき、再生処理に強固なエラー処理を実現できる。
【0064】
また、上記実施形態では、制御部111により、各部1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115の制御情報の要求や応答揺らぎなどを統括的に管理することができる。
【0065】
また、上記実施形態では、制御部111が記憶部113から再生部114へ送信させるデータを、異常状態から復帰した場合は通常で送らなければならない間隔より短い間隔で送信することが可能となる。
【0066】
また、上記実施形態では、各部1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115間における同期のずれが検出されたとしても、その同期のずれ量により、再生の処理でリカバリが可能な条件か否かを判定するようにして、リカバリが可能な条件であれば、映像データの次フレームで自動的にリカバリ処理を施すことで、保守員の復旧操作を待たずに迅速に復旧させることができる。
【0067】
また、上記実施形態では、リカバリが可能な条件でない場合に、この異常を表す情報をユーザまたは保守員に報知することで、ユーザまたは保守員はリカバリ不可能であることを即時知ることができ、これにより復旧操作などの対応処置を迅速に講じることが可能となる。
【0068】
さらに、上記実施形態では、何らかの不具合が発生し、ログを残して情報を解析する際、各部111,1121〜112n,1131〜113m,1141〜114p,115間の映像1フレーム時間単位の処理内容が明確になり、タイムチャートでの不具合分析が可能になる。
【0069】
その他、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0070】
11…ビデオサーバ、12…カメラ、13…再生デッキ、14…ノンリニア編集機、15…放送設備、16…モニタ、111…制御部、1121〜112n…収録部、1131〜113m…記憶部、1141〜114p…再生部、115…伝送部、116…同期部、111−1,1121−1,1131−1,1141−1…タイマ、111−2…同期信号分配部、111−3…判定部、111−4…リカバリ制御部、111−5,1121−4,1131−4,1141−4…ログ情報管理部、1121−3…同期信号管理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の計時部を有し、この第1の計時部で計時される時間に基づいて、放送番組の素材データを記録する記憶部と、
第2の計時部を有し、この第2の計時部で計時される時間に基づいて、前記記憶部に対し素材データを収録処理する収録部と、
第3の計時部を有し、この第3の計時部で計時される時間に基づいて、前記記憶部に記録された素材データを再生する再生部と、
前記記憶部及び前記収録部及び前記再生部それぞれの処理を統括的に制御する制御部と、
フレーム単位の同期信号を発生する同期部と、
この同期部で発生されたフレーム単位の同期信号を前記記憶部及び前記収録部及び前記再生部及び前記制御部に分配する同期信号分配部とを具備し、
前記記憶部及び前記収録部及び前記再生部及び前記制御部の各々は、
前記同期信号分配部により分配された同期信号を管理する時間管理部を備えることを特徴とするビデオサーバ装置。
【請求項2】
前記記憶部及び前記収録部及び前記再生部それぞれの時間管理部は、前記制御部からの指示、または、能動的な動作により、管理しているフレーム単位の同期信号情報を前記制御部に伝送することを特徴とする請求項1記載のビデオサーバ装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記同期信号分配部からのフレーム単位の同期信号情報を前記制御部が管理する情報に合わせることを特徴とする請求項1記載のビデオサーバ装置。
【請求項4】
前記制御部は、異常状態から復帰した場合、前記記憶部から前記再生部へ送信させるデータを、通常で送らなければならない間隔より短い間隔で送信させることを特徴とする請求項3記載のビデオサーバ装置。
【請求項5】
前記制御部及び前記記憶部及び前記再生部は、同期が合うように調整された状態で、確実に同期が合っているか否かを判定する判定部をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のビデオサーバ装置。
【請求項6】
前記判定部は、同期のずれがあった場合、その同期のずれ量に基づいて、再生の処理でリカバリ可能な条件か否かを判定することを特徴とする請求項5記載のビデオサーバ装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記条件の判断に、各部の同期のずれ及びバッファの空き容量の少なくとも1つを用いることを特徴とする請求項6記載のビデオサーバ装置。
【請求項8】
前記制御部及び前記記憶部及び前記再生部は、前記判定部により前記再生部の処理がリカバリ可能な条件と判定した場合に、前記素材データの次フレームでリカバリ処理を施すリカバリ部をさらに備えることを特徴とする請求項6記載のビデオサーバ装置。
【請求項9】
前記制御部及び前記記憶部及び前記再生部は、前記判定部により前記再生部の処理がリカバリの条件に合わないと判定した場合に、異常状態を管理するとともに外部に通知する異常対応部をさらに備えることを特徴とする請求項6記載のビデオサーバ装置。
【請求項10】
前記記憶部及び前記収録部及び前記再生部及び前記制御部の各々は、フレーム単位の制御をログ情報としてイベントごとに管理するログ管理部をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のビデオサーバ装置。
【請求項11】
前記同期信号分配部は、前記制御部に設けられ、前記同期部で発生する同期信号を前記制御部で受信し、前記記憶部及び前記収録部及び前記再生部に分配することを特徴とする請求項1記載のビデオサーバ装置。
【請求項12】
前記同期信号分配部は、前記同期部に設けられることを特徴とする請求項1記載のビデオサーバ装置。
【請求項13】
記憶部と、収録部と、再生部と、前記記憶部及び前記収録部及び前記再生部それぞれの処理を統括的に制御する制御部と、フレーム単位の同期信号を発生する同期部とを備えるビデオサーバ装置で使用される同期制御方法において、
前記同期部から発生したフレーム単位の同期信号を前記記憶部及び前記収録部及び前記再生部及び前記制御部に分配し、
前記同期信号を前記記憶部及び前記収録部及び前記再生部及び前記制御部の各々により管理することを特徴とする同期制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−209931(P2012−209931A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−284232(P2011−284232)
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】