説明

ビデオテープレコーダ及びビデオテープレコーダの制御方法

【課題】 本発明は、ビデオテープレコーダ及びビデオテープレコーダの制御方法に関し、例えばHDVフォーマットによるビデオテープレコーダに適用して、磁気テープに記録されたサーチデータを用いた1倍速等による巻き戻し再生おいても、正しくフォーマットを判別することができるようにする。
【解決手段】 本発明は、巻き戻し再生において、サーチデータの記録周期である2M個のブロックで2(M±n)(nは整数)回、磁気ヘッド15A、15Bが磁気テープ4を走査するように、かつサーチ用のビデオデータを記録した領域を磁気ヘッド15A、15Bが走査するように磁気テープ4の走行を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオテープレコーダ及びビデオテープレコーダの制御方法に関し、例えばHDV(High Definition Video )フォーマットによるビデオテープレコーダに適用することができる。本発明は、1倍速等による巻き戻し再生において、サーチデータの記録周期である2M個のブロックで2(M±n)(nは整数)回、磁気ヘッドが磁気テープを走査するように、かつサーチ用のビデオデータを記録した領域を磁気ヘッドが走査するように磁気テープの走行を制御することにより、磁気テープに記録されたサーチデータを用いた奇数倍速による巻き戻し再生においても、正しくフォーマットを判別することができるようにする。
【背景技術】
【0002】
近年、ビデオテープレコーダに関して、DV(Digital Video )フォーマットによる磁気テープにHDTV(High Definition Television)によるビデオデータを記録するHDV(High Definition Video )フォーマットが提案されるようになされている。
【0003】
このフォーマットにおいては、DVフォーマットと同一に、正及び負のアジマス角による1対の斜めトラック(以下、適宜、トラックペアと呼ぶ)を順次形成するようになされ、何らパイロット信号を記録していない記録トラック、周波数F0のパイロット信号を記録した記録トラック、周波数F1のパイロット信号を記録した記録トラックが順次形成され、これによりこのパイロット信号を基準にしてトラッキング制御できるようになされている。
【0004】
このようなHDVフォーマットにおいては、HD1フォーマットとHD2フォーマットとがあり、図13(A)及び(B)に示すように、HD1フォーマットは、DVフォーマットと同一に、磁気ヘッドの走査開始側より、順次、ITI(Insert Track Information)、オーディオデータ、ビデオデータ、サブコードの記録領域が各記録トラックに形成されるようになされている。なおここでITIは、各記録トラックに記録したデータの情報が割り当てられる。これに対して図13(C)に示すように、HD2フォーマットにおいては、磁気ヘッドの走査開始側より、順次、ITI(Insert Track Information)、メインデータ、サブコードの記録領域が各記録トラックに形成されるようになされ、このフォーマットでは、このメインデータにオーディオデータ及びビデオデータを多重化したストリーミングデータ等が割り当てられるようになされている。
【0005】
またこれらのフォーマットにおいては、図14に示すように、各記録領域に、磁気テープに記録されたデータを特定する識別データであるIDデータが割り当てられる。ここでITIの記録領域には、1つの記録トラックに係るアプリケーションのIDデータ(APT:Application ID of a Track )が割り当てられ、図13(A)及び(B)について上述した領域の設定に係るDVフォーマット及びHD1フォーマットでは、このIDデータが値000に設定されるのに対し、図13(C)について上述した領域の設定に係るHD2フォーマットでは、このIDデータが値010に設定されるようになされている。
【0006】
これに対してオーディオデータの記録領域には、このオーディオブロックのIDデータ(AP1:Application ID1 )が割り当てられ、値000に設定されるようになされている。またビデオデータの記録領域には、このビデオブロックのIDデータ(AP2:Application ID2 )が割り当てられ、DVフォーマットでは、値000に設定され、HD1フォーマットでは、値001に設定されるようになされている。これに対してサブコードの記録領域には、サブコードブロックのID(AP3:Application ID3 )が割り当てられ、値000に設定されるようになされている。これらによりDVテープに係る各種のフォーマットにおいては、記録トラックに記録されたIDデータの再生により、フォーマットを検出できるようになされている。
【0007】
図15は、このようなフォーマットの検出に供する処理手順を示すフローチャートである。DVフォーマットにより記録トラックが形成されてなる磁気テープは、磁気テープを再生して得られる再生データより各種のIDデータを取得し、全体の動作を制御するシステムコントローラによりこの処理手順を実行してこの取得したIDデータを判定することにより、これらのフォーマットが検出される。
【0008】
すなわちこの場合、システムコントローラは、これらIDデータが取得されると、ステップSP1からステップSP2に移り、ITIよりIDデータを取得できたか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP2からステップSP3に移り、全体の動作状態を前置ホールドによりそれまでの動作状態に保持したまま、ステップSP4に移ってこの処理手順を終了する。これに対してステップSP2で肯定結果が得られると、ステップSP2からステップSP5に移り、このITIのIDデータが値010か否か判断する。ここで肯定結果が得られると、システムコントローラは、ステップSP5からステップSP6に移り、HD2フォーマットによる動作状態に全体の動作状態を設定した後、ステップSP4に移ってこの処理手順を終了する。
【0009】
これに対してステップSP5で否定結果が得られると、ステップSP5からステップSP6に移り、ここでITIのIDデータが値000か否か判断する。ここで否定結果が得られると、この場合、ITIのIDデータの誤検出等が考えられることにより、システムコントローラは、ステップSP6からステップSP3に移り、全体の動作状態を前置ホールドによりそれまでの動作状態に保持したまま、ステップSP4に移ってこの処理手順を終了する。
【0010】
これに対してステップSP6で肯定結果が得られると、システムコントローラは、ステップSP6からステップSP7に移り、ビデオデータの記録領域に設定されたIDデータを取得できたか否か判断する。ここで否定結果が得られると、この場合もIDデータの誤検出等が考えられることにより、システムコントローラは、ステップSP7からステップSP3に移り、全体の動作状態を前置ホールドによりそれまでの動作状態に保持したまま、ステップSP4に移ってこの処理手順を終了する。
【0011】
これに対してステップSP7で肯定結果が得られると、システムコントローラは、ステップSP7からステップSP8に移る。ここでシステムコントローラは、ビデオデータの記録領域に設定されたIDデータが値000か否か判断する。ここで肯定結果が得られると、システムコントローラは、ステップSP8からステップSP9に移り、DVフォーマットによる動作状態に全体の動作状態を設定した後、ステップSP4に移ってこの処理手順を終了する。
【0012】
これに対してステップSP8で否定結果が得られると、システムコントローラは、ステップSP8からステップSP10に移る。ここでシステムコントローラは、ビデオデータの記録領域に設定されたIDデータが値001か否か判断し、ここで肯定結果が得られると、ステップSP10からステップSP11に移り、HD1フォーマットによる動作状態に全体の動作状態を設定した後、ステップSP4に移ってこの処理手順を終了する。これに対してステップSP10で否定結果が得られると、この場合もIDデータの誤検出等が考えられることにより、システムコントローラは、ステップSP10からステップSP3に移り、全体の動作状態を前置ホールドによりそれまでの動作状態に保持したまま、ステップSP4に移ってこの処理手順を終了する。
【0013】
さらにHDVフォーマットのうちのHD2フォーマットにおいては、メインデータの記録領域(メインデータブロック)にサーチ用のデータが記録され、これにより所望するシーンを簡易にサーチできるようになされている。
【0014】
すなわち図16に示すように、HD2フォーマットは、メインデータブロックに記録するストリーミングデータに関して、16トラックがインターリーブの処理単位、誤り訂正処理の単位(ECCブロック)に設定される。HD2フォーマットは、値0〜31のトラックペア番号(以下、適宜、図面上においてTRP Noにより示す)が順次循環的に割り当てられ、インターリーブの先頭トラックペアにおいては、このトラックペア番号が値0、7、15又は値23に設定される。
【0015】
HD2フォーマットにおいては、この処理単位の特定トラック(負のアジマス角による先頭3つのトラック)、磁気ヘッドの走査方向の中央より走査終了端側の所定箇所に、サーチ用のデータが記録される。すなわちHD2フォーマットにおいて、メインデータの記録領域(メインデータブロック)は、139個のシンクブロックが割り当てられ、この記録単位の先頭トラック(図16において、トラックペア番号0、トラック番号0のトラックである)、この先頭トラックと同一アジマス角の続く2つのトラック(図16において、トラックペア番号1、トラック番号3のトラック、トラックペア番号2、トラック番号5のトラックである)にサーチ用のデータが記録される。なおHD1フォーマット、DVフォーマットにおいても、16トラックを単位にして順次循環的に値0〜31のトラックペア番号が設定され、またHD2フォーマットと同様に1つの記録トラックに139個のシンクブロックが設定される。
【0016】
また図17に示すように、これらのトラックのうち、トラックペア番号0のトラックにおいては、シンクブロック番号(以下、適宜、SB Noにより示す)86〜102のシンクブロックと、シンクブロック番号103〜119のシンクブロックとに、サーチデータ番号17〜33による同一のサーチデータが記録され、トラックペア番号1のトラックにおいては、シンクブロック番号44〜60のシンクブロックと、シンクブロック番号61〜77のシンクブロックと、シンクブロック番号78〜94のシンクブロックとに、サーチデータ番号0〜16による同一のサーチデータが記録される。またトラックペア番号2のトラックにおいては、シンクブロック番号95〜111のシンクブロックと、シンクブロック番号112〜128のシンクブロックとに、サーチデータ番号17〜33による同一のサーチデータが記録される。なお図16及び図17に示すサーチデータは、8倍速による可変速再生用のものであり、トラックペア番号1のサーチデータは、早送り再生及び巻き戻し再生の双方に利用され、トラックペア番号0及び2のサーチデータは、それぞれ巻き戻し再生及び早送り再生に利用される。因みにサーチデータは、MPEG2によるIピクチャーの処理によりデータ圧縮された低解像度の画像データが適用され、1枚のピクチャーの再生に必要なサーチデータが連続する9個のECCブロックに振り分けられるようになされている。これによりHD2フォーマットでは、連続する9個のECCブロックより全てのサーチデータを取得して、1枚のサーチ用画像を再生できるようになされている。
【0017】
またHD2フォーマットにおいては、各シンクブロックに、シンクブロック番号、トラックペア番号、ECCブロックにおけるトラック番号、パリティ符号等が設定されるようになされ、これにより例えば特開平8−125959号公報に開示によりシンクブロックによるシンクブロック番号、トラック番号を基準にしてトラッキング制御してサーチデータを取得できるようになされている。
【0018】
図18は、この8倍速によるサーチデータの記録位置と、8倍速再生時における磁気ヘッドの走査軌跡を示す図である。しかしてHD2フォーマットにおいては、16トラックによるECCブロックを単位にしたトラッキング制御により8倍速で巻き戻し再生及び早送り再生した場合に、十分な信号レベルによる再生信号を磁気ヘッドより取得可能な位置に、これらサーチデータの記録位置が設定されるようになされている。
【0019】
ところでこのようなサーチデータを、1倍速による巻き戻し再生(以下、適宜−1倍速再生と呼ぶ)にも利用することができれば、所望するシーンの検索等に有効に利用することができ、一段とこの種のビデオテープレコーダの使い勝手を向上することができると考えられる。
【0020】
しかしながら上述したHD2フォーマットの場合、図19(A)及び(B)に−1倍速再生時におけるヘッドトレースパターンと、再生信号を十分な信号レベルにより検出可能な範囲ARA、再生信号を十分な信号レベルにより検出困難な範囲ARBとを示すように、サーチデータを再生可能にトラッキング制御すると、ITIを再生することが困難になる。因みに、この図19に示すヘッドトレースパターンは、図20に示すように、サーチデータを記録したテープ中央より走査終了端側で、再生信号RFの信号レベルが最も大きくなるように位相ロックさせた状態によるものであり、SWPは、180度対向による1対の磁気ヘッドの走査の切り換わりを示すタイミング信号である。なおこれによりITIを再生可能に位相ロックを変化させることも考えられるが、このようにすると、今度は、サーチデータを再生することが困難になる。
【0021】
なお奇数倍速による巻き戻し再生においては、トラックペアを構成する1対の磁気ヘッドにおいて、再生信号レベルのピーク及びボトムが磁気テープにおける同じ高さ(記録トラックの長手方向の同位置)に表れる。これに対して偶数倍速による巻き戻し再生においては、これら1対の磁気ヘッドで、再生信号レベルのピーク及びボトムが逆転して表れる。−1倍速再生は、奇数倍速再生であることにより、この図19及び図20に示すように、正及び負のアジマス角の磁気ヘッドで、再生困難な領域が同じように表れ、これにより何れの磁気ヘッドにおいても、サーチデータを再生可能とするとITIを再生困難となる。また−1倍速再生以外の場合であっても、奇数倍速による巻き戻し再生においては、同様の問題が発生する。
【0022】
これによりこのHD2フォーマットにおいては、−1倍速再生時、フォーマットを判定し難くなり、これによりDVフォーマット、HD1フォーマットとによる記録が混在した磁気テープを−1倍速により再生すると、HD2フォーマットからのフォーマットの切り換わりを正確に判定することが困難な問題がある。
【0023】
しかしてこのようなフォーマットの判定に関して、ビデオテープレコーダの動作の切り換えにあっては、図21に示すように設定することが考えられる。ここで案1は、通常再生、±8倍速再生、−1倍速再生の何れの場合にあっても、図15について上述したフォーマット判定、動作切り換えにより、自動的にビデオテープレコーダの動作を切り換える案である。これに対して案2は、−1倍速再生時、フォーマット判定が困難になることにより、−1倍速再生時に限っては、それまでの動作モードにより動作させ続ける場合であり、この場合には、HD2フォーマットによる磁気テープへの記録を−1倍速再生でモニタすることが困難になる。また案3は、−1倍速再生時に加えて±8倍速再生においても、それまでの動作モードにより動作させ続ける場合であり、この場合には、HD2フォーマットによる磁気テープへの記録を−1倍速再生時、±8倍速再生でモニタすることが困難になる。
【0024】
これらにより案1に示すように、フォーマットの判定により自動的にビデオテープレコーダの動作を切り換えることが望まれるものの、実際上、上述したように、HD2フォーマットでは−1倍速再生時、フォーマットを判定し難くなることにより、フォーマットの切り換わりから正常な再生画像が表示されるまでの間、ある程度時間を要することになり、著しくユーザーに不快感を与えることになる。
【特許文献1】特開平8−125959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、磁気テープに記録されたサーチデータを用いた1倍速等による巻き戻し再生においても、正しくフォーマットを判別することができるビデオテープレコーダ及びビデオテープレコーダの制御方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
かかる課題を解決するため請求項1の発明においては、磁気テープに記録されたビデオデータを再生するビデオテープレコーダに適用して、磁気テープの走行を制御するトラッキング制御手段と、磁気ヘッドから得られる判定用のデータによりフォーマットと他のフォーマットとを判定する判定手段と、判定手段の判定結果に基づいて、磁気ヘッドから出力される再生信号を信号処理して、サーチ用のデータ又はビデオデータを再生して出力する再生信号処理手段とを備え、トラッキング制御手段は、巻き戻し再生において、2M個のブロックで2(M±n)(nは整数)回、磁気ヘッドが磁気テープを走査するように、かつサーチ用のビデオデータを記録した領域を磁気ヘッドが走査するように磁気テープの走行を制御する。
【0027】
また請求項6の発明においては、磁気テープに記録されたビデオデータを再生するビデオテープレコーダの制御方法に適用して、巻き戻し再生において、2M個のブロックで2(M±n)(nは整数)回、磁気ヘッドが磁気テープを走査するように、かつサーチ用のビデオデータを記録した領域を磁気ヘッドが走査するように磁気テープの走行を制御する。
【0028】
請求項1の構成により、ビデオテープレコーダに適用して、磁気テープの走行を制御するトラッキング制御手段と、磁気ヘッドから得られる判定用のデータによりフォーマットと他のフォーマットとを判定する判定手段と、判定手段の判定結果に基づいて、磁気ヘッドから出力される再生信号を信号処理して、サーチ用のデータ又はビデオデータを再生して出力する再生信号処理手段とを備え、トラッキング制御手段は、巻き戻し再生において、2M個のブロックで2(M±n)(nは整数)回、磁気ヘッドが磁気テープを走査するように、かつサーチ用のビデオデータを記録した領域を磁気ヘッドが走査するように磁気テープの走行を制御すれば、この2M個のブロックにおいて、サーチ用のビデオデータを記録した記録トラックからは、サーチ用のデータを再生することができ、またサーチ用のビデオデータを記録していない記録トラックのうちで、サーチ用のビデオデータを記録した記録トラックから離れた位置の記録トラックより、判定用のデータを再生することができ、これにより磁気テープに記録されたサーチデータを用いた奇数倍速による巻き戻し再生においても、正しくフォーマットを判別することができる。
【0029】
これにより請求項6の構成によれば、磁気テープに記録されたサーチデータを用いた奇数倍速による巻き戻し再生においても、正しくフォーマットを判別することができるビデオテープレコーダの制御方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、磁気テープに記録されたサーチデータを用いた1倍速等による巻き戻し再生においても、正しくフォーマットを判別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施例を詳述する。
【実施例1】
【0032】
(1)実施例の構成
図1は、本発明の実施例1に係るビデオテープレコーダを示すブロック図である。このビデオテープレコーダ1は、一体に保持されたカメラ2及びマイク3より得られるビデオ信号SV及びオーディオ信号SAをHD1フォーマットにより磁気テープ4に記録し、また磁気テープ4に記録されたDVフォーマット、HDVフォーマットによるビデオ信号SV及びオーディオ信号SAを再生する。すなわちこのビデオテープレコーダ1において、カメラ2は、図示しないコントローラの制御により撮像結果を取得してビデオ信号SVを出力し、マイク3は、同様にオーディオ信号SAを取得して出力する。
【0033】
記録信号処理部5は、これらビデオ信号SV及びオーディオ信号SAを信号処理して磁気ヘッド15A、15Bを駆動し、これによりビデオ信号SV及びオーディオ信号SAをHD1フォーマットにより磁気テープに記録する。すなわち記録信号処理部5において、アナログディジタル変換回路(A/D)6及び7は、それぞれビデオ信号SV及びオーディオ信号SAをアナログディジタル変換処理し、ビデオデータDV及びオーディオデータDAを出力する。符号化回路8及び9は、それぞれビデオデータDV及びオーディオデータDAをMPEG(Moving Picture Experts Group)2のフォーマットによりデータ圧縮処理し、その処理結果による符号化データを出力する。
【0034】
×8サーチ画生成回路10は、ビデオデータDVによる符号化データよりIピクチャーの符号化データを選択的に取得し、この取得した符号化データより周波数の低い係数データに係る符号データを選択することにより、8倍速用のサーチデータを生成して出力する。マルチプレクサ(MUX)11は、これら符号化回路8、9から出力される符号化データ、×8サーチ画生成回路10から出力されるサーチデータを多重化処理して出力する。ID付加回路、ECCデータ付加回路12は、このマルチプレクサ11の出力データをインターリーブ処理し、さらには図13等について上述したITIのデータ、シンクブロックに係るシンクブロック番号、トラック番号等のデータ、誤り訂正符号等、記録再生系の処理に必要な各種の付加データを付加して出力する。ディジタルアナログ変換回路(D/A)13は、このID付加回路、ECCデータ付加回路12の出力データを磁気ヘッドの駆動に供する記録信号に変換して出力し、記録アンプ14は、このディジタルアナログ変換回路13から出力される記録信号により磁気ヘッド15A、15Bを駆動する。
【0035】
ここでビデオテープレコーダ1において、磁気テープ4は、ドラムモータ21の駆動により回転する回転ドラム22に所定の巻き付け角度により巻き付けられた状態で、キャプスタンモータ23の駆動により所定速度走行するようになされ、この回転ドラム22に、180度対向するように正及び負のアジマス角による1対の磁気ヘッド15A、15Bが設けられるようになされている。これによりビデオテープレコーダ1においては、図13等について上述したHD1フォーマットによりビデオ信号SV及びオーディオ信号SAを磁気テープ4に記録するようになされている。
【0036】
これに対して再生信号処理部30は、磁気ヘッド15A、15Bから得られる再生信号RFを処理して磁気テープ4に記録されたビデオ信号SV及びオーディオ信号SAを再生して出力し、またトラッキング制御等、磁気テープ4の再生に必要な各種の処理を実行する。
【0037】
すなわち再生信号処理部30において、再生アンプ31は、磁気ヘッド15A、15Bから得られる再生信号RFを増幅して出力し、アナログディジタル変換回路32は、この再生アンプ31から出力される再生信号RFをアナログディジタル変換処理して出力する。符号訂正回路33は、例えばビタビ復号回路等により構成され、アナログディジタル変換回路32の出力データを処理して磁気テープ4に記録されたデータを再生する。またこれらの処理において、デインターリーブ処理、誤り訂正困難処理を実行し、さらにはシンクブロックに設定されたパリティにより再生データをパリティチェックし、正しく再生されたデータのみ選択的に出力する。またこれらの処理を各シンクブロックに設定されたシンクブロック番号、トラックペア番号を基準にして実行して、適宜、システムコントローラの制御により処理を切り換えることにより、磁気テープ4に記録されたデータがDVフォーマット、HD1フォーマットによるものの場合、これらDVフォーマット、HD1フォーマットによる通常再生、可変速再生の再生データを出力する。
【0038】
×8サーチ画復号回路34は、この符号訂正回路33の出力データより、サーチデータを選択的に取得して処理することにより、サーチデータによるビデオデータを再生して出力する。デマルチプレクサ(DEMUX)35は、符号訂正回路33の出力データよりビデオデータ及びオーディオデータの符号化データをそれぞれ分離して復号化回路36、37に出力し、復号化回路36、37は、それぞれデマルチプレクサ35から出力される符号化データを処理してビデオデータDV及びオーディオデータDAを出力する。
【0039】
選択回路38は、図示しないコントローラの制御により動作を切り換え、復号化回路36から出力されるビデオデータDVを選択して出力し、HD2フォーマットの可変速再生時においては、この復号化回路36から出力されるビデオデータDVに代えて、×8サーチ画復号回路34から出力されるビデオデータを選択して出力する。ディジタルアナログ変換回路(D/A)39、40は、それぞれ選択回路38から出力されるビデオデータDV、復号化回路37から出力されるオーディオデータDAをディジタルアナログ変換処理してビデオ信号SV及びオーディオ信号SAを出力する。これによりこの実施例においては、記録信号処理部5により記録されたビデオ信号SV及びオーディオ信号SAを磁気テープ4から再生できるようになされている。
【0040】
ID検出回路45は、符号訂正回路33の出力データより図14について上述した各種のIDデータを検出して図示しないシステムコントローラに出力し、システムコントローラにおいては、図15について上述した処理手順の実行によりこのIDデータに基づいて磁気テープ4のフォーマットを自動的に判定し、この判定結果により再生信号処理部30の動作を切り換える。これによりこの再生信号処理部30を構成する再生信号RFの処理系においては、システムコントローラの制御により、DVフォーマットによる磁気テープの再生に対応するように、またHD1、HD2フォーマットによる磁気テープの再生に対応するように、符号訂正回路33、デマルチプレクサ35等が動作を切り換え、これによりこのビデオテープレコーダ1では、このビデオテープレコーダ1以外のビデオテープレコーダにより記録されたDVフォーマット等の磁気テープ4についても、再生できるようになされている。
【0041】
しかして再生信号処理部30において、シンクブロック番号、トラックペア番号検出回路43は、符号訂正回路33より各シンクブロックに設定されているシンクブロック番号、トラックペア番号を検出し、これらシンクブロック番号、トラックペア番号の後述する処理による集計結果を出力する。
【0042】
制御部44は、記録時、一定の回転速度となるようにドラムモータ21、キャプスタンモータ23を駆動し、これによりDVフォーマットによる記録トラックを順次磁気テープ4に形成する。これに対して再生時、制御部44は、ドラムモータ21、キャプスタンモータ23から出力されるFG信号FG1、FG2に基づいてドラムモータ21、キャプスタンモータ23を駆動し、これによりトラッキング制御の処理を実行する。この制御において、制御部44は、通常再生においては、各記録トラックを対応する磁気ヘッド15A及び15Bが走査するように、トラッキング制御するのに対し、可変速再生時においては、16トラックによるECCトラックにおいて、これら磁気ヘッド15A及び15Bが所定の走査軌跡を描くように、トラッキング制御の処理を実行する。
【0043】
すなわち±8倍速再生をユーザーが指示した場合、制御部44は、図18に示す走査軌跡を描くようにトラッキング制御の処理を実行する。これに対してユーザーが−1倍速再生を指示した場合、図2に示す走査軌跡を描くようにトラッキング制御の処理を実行する。
【0044】
ここで制御部44は、サーチデータの記録周期2Mトラックにおいて、サーチデータを記録したトラックではサーチデータが再生可能となるように、サーチデータを記録していないトラックではITIが再生可能となるように、走査軌跡を設定する。このためこのサーチデータの記録周期2Mトラックに対して、磁気ヘッド15A、15Bの走査回数を2M回以外の偶数回2Nに設定する。また磁気テープの走行速度の設定により、このように磁気ヘッド15A、15Bの走査回数を2M回以外の偶数回2N回に設定して、−1倍速より再生速度が大きく変化しないように、より具体的には、ユーザーが−1倍速による再生を指示して違和感なくサーチデータによる画像をモニタすることができる程度に、磁気ヘッド15A、15Bの走査回数2Nを設定する。ここで走査回数2Nにおいては、1/2<−M/N<2の範囲に設定して、ユーザーによる違和感を防止することができるものの、好ましくはN=M±1に設定してユーザーによる違和感を確実に防止することができる。これらによりこの実施例では、走査回数2Nを2(M−1)回に設定し、これにより図2に示すように、16トラックによるECCトラックに対して、磁気ヘッド15A、15Bの走査回数を14回に設定する。
【0045】
この場合、磁気テープ4よりデータ再生可能な領域ARAは、ハッチングにより示すように、各記録トラックで徐々に記録トラックの長さ方向に変化し、これによりサーチデータの記録領域を磁気ヘッド15A、15Bが走査するように位相ロックさせて磁気テープ4の走行を制御することにより、この16トラック周期で磁気ヘッド15A、15Bによりサーチデータ及びITIを取得可能に設定できることが判る。なおこの図2において丸付き数字は、−1倍速再生におけるトラックの走査順序である。
【0046】
しかして図3は、図2の走査軌跡により得られる再生信号RFの信号レベルを示すタイムチャートであり、16トラックによるECCブロックの開始端側及び終了端側でそれぞれサーチ用データが再生され、このECCブロックの中央より開始端側でITIを再生することができる。
【0047】
なお図4は、16トラックによるECCトラックに対する走査回数2Nを種々に変化させた場合に、サーチデータとITIとを再生可能か否かを検討した結果を示す図表であり、図5及び図6は、この図4との対比により各走査回数2Nの設定による走査軌跡を示す図表である。これらにより−1倍速近傍では、N=11〜5の範囲で、サーチデータとITIを再生可能であることが判る。なおこれら図5、図6においては再生可能な範囲をハッチングにより示す。因みに、磁気テープ4の走行速度を大きく低下させて例えば−8/16=−0.5倍速程度とすると、1つの記録トラックを1つの磁気ヘッド15A、15Bが複数回走査することになり、倍密度走査の手法を適用してデータ再生することができ、これによりこの場合は、サーチデータの記録領域を磁気ヘッド15A、15Bが走査するように位相ロックさせる処理を省略することができる。
【0048】
これらによりこの実施例において、制御部44は、磁気テープ4の走行速度を通常再生の、−16/14倍の走行速度に設定した状態で、現在の磁気ヘッド15A、15Bの走査位置を検出し、この検出結果によりサーチデータの記録領域を磁気ヘッド15A、15Bが走査するようにキャプスタンモータ23を位相制御する。これに対してシンクブロック番号、トラックペア番号検出回路43は、符号訂正回路33によるパリティチェックにより正しく再生されたシンクブロック番号、トラックペア番号を磁気ヘッド15A、15Bの走査毎に集計し、制御部44における現在の磁気ヘッド15A、15Bの走査位置の検出に供する集計結果を出力する。
【0049】
すなわちシンクブロック番号、トラックペア番号検出回路43は、図7に示すように、SWP信号SWP(図7(A))の信号レベルの切り換わりにより集計を開始することにより、各磁気ヘッド15A、15Bがそれぞれ磁気テープ4の走査を開始すると集計を開始し、符号訂正回路33から出力されるシンクブロック番号、トラックペア番号の記録を開始する。ここでビデオテープレコーダにおいては、対応する記録トラックに対する磁気ヘッド15A、15Bのオフトラック量が小さくなると、その分、再生信号RF(図7(B))の信号レベルが増大し、この信号レベルが所定レベル以上となって十分なSN比を確保できるようになると、この再生信号RFの処理により正しくシンクブロック番号、トラックペア番号を再生できるようになる。これによりシンクブロック番号、トラックペア番号検出回路43は、このようにオフトラック量が所定値以下となると、符号訂正回路33からシンクブロック番号、トラックペア番号(図7(C))が入力されるようになる。
【0050】
シンクブロック番号、トラックペア番号検出回路43は、集計を開始して最初にシンクブロック番号、トラックペア番号が入力されると、このシンクブロック番号、トラックペア番号を第1のブロックの開始位置(First SB No )(図7(D))として記録する。また続いて入力されるシンクブロック番号、トラックペア番号とこの開始位置(First SB No )に係るトラックペア番号とを比較し、トラックペア番号が切り換わると、この直前のシンクブロック番号を第1のブロックの終了位置(Last SB No)として記録する。またこの場合は、この切り換わったトラックペア番号、対応するシンクブロック番号を第2のブロックの開始位置(First SB No )(図7(D))として記録し、第1のブロックについてとの同様の処理を繰り返す。これによりシンクブロック番号、トラックペア番号検出回路43は、順次入力されるシンクブロック番号、トラックペア番号を1つの記録トラックに係る連続するシンクブロック毎に区切ってブロック化し、各ブロックの先頭及び末尾のシンクブロック番号を記録するようになされている。これによりシンクブロック番号、トラックペア番号検出回路43は、各記録トラックの長手方向の位置をシンクブロック番号により表して、磁気ヘッド15A、15Bの各走査毎に、対応するアジマス角による記録トラックの走査開始の位置、走査終了の位置を検出するようになされている。
【0051】
シンクブロック番号、トラックペア番号検出回路43は、このようにして連続するシンクブロック毎に順次入力されるシンクブロック番号、トラックペア番号を区切ってブロック化するようにして、シンクブロック番号、トラックペア番号が入力されなくなると、対応するブロックの処理を中止し、直前に入力されたシンクブロック番号を処理中のブロックの終了位置(Last SB No)として記録する。また対応する磁気ヘッドの走査の終了によっても、対応するブロックの処理を中止し、直前に入力されたシンクブロック番号を処理中のブロックの終了位置(Last SB No)として記録する。
【0052】
しかして図7の例は、図2に対応する集計処理を示すものであり、丸付き数字3により示すトラックペア番号0による走査において、値5から値111のシンクブロック番号が連続して得られ、この場合、開始位置及び終了位置が値5及び値111のシンクブロック番号による第1のブロックによる集計結果が記録される。また続く丸付き数字4により示すトラックペア番号7による走査において、値0から値105のシンクブロック番号が連続して得られ、一定の期間を間に挟んで、トラックペア番号6により値130から値138までのシンクブロック番号が連続して得られ、この場合、開始位置及び終了位置が値0及び値105のシンクブロック番号による第1のブロックと、開始位置及び終了位置が値130及び値138のシンクブロック番号による第2のブロックとによる集計結果が記録される。また続く丸付き数字4により示すトラックペア番号7による走査において、値0から値87のシンクブロック番号が連続して得られ、一定の期間を間に挟んで、トラックペア番号6により値119から値138までのシンクブロック番号が連続して得られ、この場合、開始位置及び終了位置が値0及び値87のシンクブロック番号による第1のブロックと、開始位置及び終了位置が値119及び値138のシンクブロック番号による第2のブロックとによる集計結果が記録される。
【0053】
シンクブロック番号、トラックペア番号検出回路43は、このようにして検出される各走査の集計を制御部44に通知する。
【0054】
制御部44は、マイコンにより構成され、シンクブロック番号、トラックペア番号検出回路43から通知される集計により、磁気ヘッド15A、15Bの各走査毎に、オフトラック量が0となる現在の走査位置をECCブロックにおけるトラック番号により検出し、この検出結果に基づいてトラッキング制御の処理を実行する。
【0055】
すなわち制御部44は、図8に示すように、シンクブロック番号、トラックペア番号検出回路43から通知される集計において、1つの走査で1つのブロックしか検出されていない場合、このブロックの開始位置及び終了位置に係るシンクブロック番号の平均により、オフトラック量が0となる磁気テープ4の長手方向、走査位置Yを検出する。
【0056】
これに対してシンクブロック番号、トラックペア番号検出回路43から通知される集計において、1つの走査で2つのブロックが検出された場合、この場合、この2つのブロックに対応する2つの記録トラックの間の記録トラックであって、逆アジマスの記録トラックに、オフトラック量が0となる磁気テープ4の長手方向、走査位置が存在することになることから、この2つのブロックのうちの第1のブロックの終了位置と、第2のブロックの開始位置とに係るシンクブロック番号の平均により、オフトラック量が0となる磁気テープ4の長手方向、走査位置Yを検出する。
【0057】
ここで磁気テープ4に記録トラックが斜めに直線により形成されるとして、このようなオフトラック量が0となる磁気テープ4の長手方向、走査位置Yと、オフトラック量を0とする目標シンクブロックの位置PYとの差分a、この差分aに対応する磁気テープ4の長手方向の誤差Dにあっては、磁気テープ4の幅方向の走査軌跡の長さA、磁気テープ4の長手方向の走査軌跡の長さLとの間で、次式の関係が成立することになる。
【0058】
【数1】

ここでこの実施例では、目標シンクブロックのシンクブロック番号を、トラックペア番号1の記録トラックにおいてサーチデータを記録したシンクブロックのシンクブロック番号の中心値である69に設定する。またオフトラック量が0となる磁気テープ4の長手方向、走査位置Yをシンクブロック番号により表し、さらに磁気テープ4の長手方向の走査軌跡の長さLを再生速度Nを用いて(N−1)により、磁気テープ4の幅方向の走査軌跡の長さAをシンクブロック番号(149.772)により表すようにして、(1)式を変形して次式とする。
【0059】
【数2】

この関係式を解けば、次式の関係式を得ることができ、これにより磁気テープ4の長手方向の誤差Dを検出することができる。
【0060】
【数3】

なおこの実施例においては、この再生速度が−8/7であることにより、(3)式に代えて次式により表すようにしても、実用上十分な精度により誤差Dを検出することができる。なおこの場合の誤差Dの誤差は、0.02トラック以下である。
【0061】
【数4】

制御部44は、1つの走査で1つのブロックしか検出さていない場合、この(4)式に得られる誤差Dと、このブロックのトラックペア番号TNを用いて、次式の演算処理により、トラック数を計算してトラッキング位相TEを計算する。
【0062】
【数5】

これに対して1つの走査で2つのブロックが検出されている場合、次式の演算処理により、隣接トラックへのいわゆる裏ロック分を補正してトラッキング位相TEを計算する。
【0063】
【数6】

因みに、図9は、図7による集計結果を用いた実際のトラッキング位相の計算結果である。これらにより制御部44は、ECブロック内のトラック番号を基準にして、実際の磁気ヘッド15A、15Bの走査によるトラッキング位相TEを検出するようになされている。
【0064】
図10は、この制御部44に係る構成を示す機能ブロック図である。制御部44において、トラッキング位相検出部51は、上述した演算処理によりトラッキング位相TEを計算して出力する。この処理においてトラッキング位相検出部51は、負のアジマス角の記録トラックについてのみ、トラッキング位相TEを計算して出力し、これによりトラッキング制御に供する処理を簡略化するようになされている。
【0065】
目標トラッキング位相出力部52は、このトラッキング位相検出部51から出力されるトラッキング位相TEに対応する目標トラッキング位相TSを出力する。なおここで図11は、この実施例に係る目標トラッキング位相TSを示す図表であり、目標トラッキング位相出力部52は、メモリに保持したこの目標トラッキング位相TSを、磁気ヘッド15A、15Bの走査に対応して順次循環的に出力するようになされている。
【0066】
減算回路53は、トラッキング位相検出部51から出力されるトラッキング位相TEから目標トラッキング位相TSを減算して出力し、オーバーフロー補正回路54は、この減算回路53から出力される減算値をECCブロックによるトラック数により補正することにより、この減算値のオーバーフローを防止して出力する。比例項演算回路55は、このオーバーフロー補正回路54の出力値を所定値により乗算することにより、フィードバック制御に係る比例制御の利得を設定して出力する。積分項演算回路56は、このオーバーフロー補正回路54の出力値の移動積分値を計算して所定値により乗算することにより、フィードバック制御に係る積分制御の利得を設定して出力する。
【0067】
加算回路57は、これら比例項演算回路55、積分項演算回路56の出力値を加算し、これにより位相誤差値PEを出力する。選択回路58は、システムコントローラの制御により動作を切り換え、HD1フォーマットによる磁気テープ4を−1倍速再生している場合、加算回路57から出力される位相誤差値PEを選択出力する。これに対してHD2フォーマットによる磁気テープ4を−1倍速再生している場合、HD2フォーマットによる磁気テープ4を通常動作している場合、さらにはDVフォーマット、HD1フォーマットによる磁気テープ4を再生している場合、トラッキングエラー検出回路59により別途検出される位相誤差値を選択出力する。なおこのトラッキングエラー検出回路59によるトラッキングエラーの検出においては、記録トラックに記録されたパイロット信号を基準にする場合、HD2フォーマットによる磁気テープ4を−1倍速再生している場合と同様のトラックペア番号、シンクブロック番号による方法等、種々の手法を広く適用することができる。
【0068】
さらに制御部44において、周期検出回路60は、キャプスタンモータ23のFG信号FG2の周期TFGを検出して出力し、加算回路61は、この周期TFG2と目標周期Trefとを減算して誤差値を出力する。比例項演算回路62は、この誤差値を所定値により乗算することにより、フィードバック制御に係る比例制御の利得を設定して出力する。積分項演算回路63は、この誤差値の移動積分値を計算して所定値により乗算することにより、フィードバック制御に係る積分制御の利得を設定して出力する。加算回路64は、これら比例項演算回路62、積分項演算回路63の出力値を加算し、これにより速度誤差値を出力する。加算回路65は、選択回路58から出力される位相誤差値PEと加算回路64から出力される速度誤差値とを加算して出力し、制御部44は、この加算回路65による加算値によりキャプスタンモータ23を駆動するようになされている。
【0069】
しかして図12は、−1倍速再生における実際のトラッキング制御結果を示す図表である。ここでトラックペア番号1、0における値255は、該当ブロックの開始位置及び終了位置が検出されていない状態を示すものであり、1つのブロックしか検出できない状態を示すものである。これにより精度良くトラッキング制御できることが確認された。
【0070】
これによりビデオテープレコーダ1において、シンクブロック番号、トラックペア番号検出回路43、トラッキング位相検出部51は、磁気ヘッド15A、15Bより得られるECCブロックにおけるトラックの番号とシンクブロック番号とから、現在の磁気ヘッド15A、15Bの走査位置を検出する検出手段を構成し、目標トラッキング位相出力部52、減算回路53は、この検出手段の検出結果に基づいて、磁気ヘッド15A、15Bの走査位置に係る位相誤差PEを検出する位相誤差検出手段を構成し、加算回路65は、この位相誤差PEに基づいてキャプスタンモータ23を駆動する駆動手段を構成するようになされている。
【0071】
(2)実施例の動作
以上の構成において、このビデオテープレコーダ1(図1)では、カメラ2及びマイク3で取得されるビデオ信号SV及びオーディオ信号SAが記録信号処理部5に入力され、この記録信号処理部5のアナログディジタル変換回路6、7によりビデオデータDV及びオーディオデータDAに変換され、これらビデオデータDV及びオーディオデータDAが符号化回路8、9により符号化処理される。このうち符号化回路8の出力データは、×8サーチ画生成回路10により、Iピクチャーであって、周波数の低い係数データに係る符号化データが選択され、これにより8倍速再生に供するサーチデータが生成される。ビデオテープレコーダ1では、このサーチデータ、符号化回路8、9の出力データがマルチプレクサ11により多重化処理された後、一連の処理を受け、ディジタルアナログ変換回路13により記録信号に変換されて磁気ヘッド15A、15Bの駆動に供され、これにより磁気テープ4に順次正及び負のアジマス角による記録トラックが形成されて、ビデオ信号SV及びオーディオ信号SAがサーチデータと共に記録される。
【0072】
ビデオテープレコーダ1では、このようなビデオ信号SV及びオーディオ信号SAの一連の処理が16トラックによるECCブロックを単位にして実行され(図2)、このECCブロックに係る16トラックの先頭側、負のアジマス角による連続する3つの記録トラックの走査中央より走査終了端側に、サーチデータが記録されるのに対し、各記録トラックの走査開始端側に、フォーマット検出に利用される判定用のデータであるITIが記録される(図13(C))。また各記録トラックにおいては、シンクブロックによりビデオデータ等が記録され、各シンクブロックにおいては、シンクブロック番号、ECCブロックにおけるトラックペア番号がパリティと共に割り当てられ、これによりビデオテープレコーダ1では、HD2フォーマットによりビデオ信号SV及びオーディオ信号SAが磁気テープ4に記録される。
【0073】
これに対して再生時、ビデオテープレコーダ1では、制御部44によるキャプスタンモータ23の駆動制御により、磁気テープ4に形成された各記録トラックを対応する磁気ヘッド15A、15Bが走査するようにトラッキング制御した状態で、磁気ヘッド15A、15Bより得られる再生信号RFがアナログディジタル変換回路32によりディジタル信号に変換された後、符号訂正回路33により処理されて再生データが得られる。この再生データは、デマルチプレクサ35によりビデオデータDV及びオーディオデータDAに係る符号化データが分離され、これらの符号化データが復号化回路36、37により復号化されてビデオデータDV及びオーディオデータDAが再生され、これらビデオデータDV及びオーディオデータDAがディジタルアナログ変換回路39、40によりビデオ信号SV及びオーディオ信号SAに変換されて出力される。これによりビデオテープレコーダ1では、HD2フォーマットにより記録されたビデオ信号SV及びオーディオ信号SAを通常再生により再生して出力することができる。
【0074】
これに対してこのようなHD2フォーマットの磁気テープ4を再生する場合にあって、高速サーチする場合、ビデオテープレコーダ1では、制御部44によるキャプスタンモータ23の駆動制御が切り換えられ、±8倍速により磁気テープ4を走行させて、磁気ヘッド15A、15Bのうち、負のアジマス角の磁気ヘッドがサーチデータを記録した領域を走査するようにトラッキング制御の処理が実行される。また符号訂正回路33による再生データのうち、サーチデータが×8サーチ画復号回路34により処理されてサーチ用のビデオデータが生成され、このビデオデータによるビデオ信号SVが選択出力される。これによりビデオテープレコーダ1では、HD2フォーマットによるサーチデータを有効に利用して高速度で所望のシーンを頭出しすることができる。
【0075】
これに対してDVフォーマット、HD1フォーマットによる磁気テープ4を再生する場合にあって、通常再生の場合、同様のトラッキング制御、再生信号RFの処理、符号訂正回路33におけるフォーマットに応じた処理によりこれらDVフォーマット、HD1フォーマットによる再生データが得られ、これらDVフォーマット、HD1フォーマットによる再生データがデマルチプレクサ35、復号化回路36、37等により順次処理されてビデオ信号SV及びオーディオ信号SAが再生され、これによりこのビデオテープレコーダ1では、これらDVフォーマット、HD1フォーマットによる磁気テープ4についてもビデオ信号SV及びオーディオ信号SAを再生することができる。
【0076】
またこれらフォーマットの磁気テープ4を高速サーチする場合、−1倍速再生する場合には、これらの可変速再生に対応するように制御部44によるトラッキング制御が切り換えられ、この可変速再生に対応するように処理を切り換えてなる通常再生の場合と同様の処理により符号訂正回路33で再生データが得られ、この再生データの処理により磁気テープ4に記録されたビデオ信号SV及びオーディオ信号SAが再生される。
【0077】
ビデオテープレコーダ1では、これらの各フォーマットにおける処理において、符号訂正回路33で得られる再生データより、ITI、ビデオデータ及びオーディオデータの記録領域に設定されたIDデータ(APT、AP1〜3)(図14)がID検出回路45により検出され、このIDデータのシステムコントローラによる判定により(図15)、各フォーマットが判定される。またこの判定結果により再生信号処理部30の動作が切り換えられ(図15)、これにより各種のフォーマットが混在した磁気テープ4を再生する場合にあっても、この磁気テープ4に記録されたビデオ信号SV及びオーディオ信号SAを再生することができる。
【0078】
しかしながらHD2フォーマットによる磁気テープを−1倍速により再生する場合にあって、負のアジマス角による磁気ヘッドがサーチ用データを走査するようにトラッキング制御すると、全ての記録トラックで逆アジマスの磁気ヘッドがITIの記録領域を走査することになる(図19)。これによりこの場合、ITIによるフォーマット判定が困難になり、−1倍速再生においては、HD2フォーマットからDVフォーマットへの切り換わり、HD2フォーマットからHD1フォーマットへの切り換わりを検出できなくなる。この場合、ビデオテープレコーダ1では、続くHD1フォーマット、DVフォーマットによる再生信号RFを正しく処理できなくなり、ビデオ信号SV、オーディオ信号SAを再生できなくなる。
【0079】
このためビデオテープレコーダ1では、HD2フォーマットによる磁気テープを−1倍速により再生する場合、サーチデータの記録周期である2M個の記録トラックによるECCブロックにおいて、2(M±n)(nは整数)回、磁気ヘッド15A、15Bが磁気テープ4を走査するように、かつサーチデータを記録した領域を対応する磁気ヘッドが走査するように、制御部44におけるトラッキング制御が切り換えられて磁気テープ4の走行が制御される。これによりビデオテープレコーダ1では、サーチデータを記録した記録トラックでは、サーチデータを取得可能に、サーチデータを記録していない記録トラックであって、サーチ用データを記録した記録トラックより離れた記録トラックでは、ITIを再生可能に、磁気ヘッド15A、15Bを走査させることができ(図2)、これにより−1倍速再生においても、HD2フォーマットからDVフォーマットへの切り換わり、HD2フォーマットからHD1フォーマットへの切り換わりを確実に検出することができる。
【0080】
しかしながらこのようにして2M個の記録トラックによるECCブロックにおいて、2(M±n)回、磁気ヘッド15A、15Bが走査する場合にあっては、その分、磁気テープ4の走行速度が−1倍速から変化することになる。これによりこの実施例では、走査回数M±n(=2N)が、ユーザーによる違和感が防止される1/2<−M/N<2の範囲であって、特に、この種の違和感を確実に防止することができるN=M±1のうちの、N=M−1に設定され、これにより16トラックによるECCトラックに対して、磁気ヘッド15A、15Bの走査回数が14回に設定される。
【0081】
ビデオテープレコーダ1では、このためこのHD2フォーマットによる−1倍速再生時、符号訂正回路33による再生データより、正しく再生されたシンクブロック番号、トラックペア番号がシンクブロック番号、トラックペア番号検出回路43に入力され、ここでシンクブロック番号、トラックペア番号が各走査毎に集計された後、この集計結果のトラッキング位相検出部51(図10)による処理により、オフトラック量が0となる現在の走査位置がシンクブロック番号により検出され、さらに磁気テープ4の長手方向に係る現在の走査位置がECCブロックにおけるトラック番号により検出される。
【0082】
ビデオテープレコーダ1では、これにより磁気ヘッド15A、15Bの走査に係るトラッキング位相TEが検出され、目標トラッキング位相出力部52から出力される目標トラッキング位相TSとの位相誤差値が減算回路53、オーバーフロー補正回路54により検出される。またこの位相誤差値が比例項演算回路55、積分項演算回路56、加算回路57により補正されて加算回路65により速度誤差値と加算され、この加算結果によりキャプスタンモータ23が駆動される。
【0083】
これによりビデオテープレコーダ1では、サーチデータの記録領域を対応する磁気ヘッドにより走査するように位相ロックさせて、2M個の記録トラックによるECCブロックで2(M±n)回、磁気ヘッド15A、15Bを走査させることができるようになされている。
【0084】
これらの処理において、このビデオテープレコーダ1では、サーチデータの記録領域を走査する負のアジマス角による磁気ヘッドについてのみ、トラッキング位相TE、位相誤差PEを検出するようになされ、これによりトラッキング制御に係る演算処理を簡略化するようになされている。
【0085】
(3)実施例の効果
以上の構成によれば、奇数倍速である1倍速による巻き戻し再生において、サーチデータの記録周期である2M個のブロックで2(M±n)(nは整数)回、磁気ヘッドが磁気テープを走査するように、かつサーチ用のビデオデータを記録した領域を磁気ヘッドが走査するように磁気テープの走行を制御することにより、磁気テープに記録されたサーチデータを用いた奇数倍速による巻き戻し再生おいても、正しくフォーマットを判別することができる。
【0086】
また特に、この奇数倍速が1倍速であることにより、磁気テープに記録されたサーチデータを用いた−1倍速再生において、正しくフォーマットを判別することができる。
【0087】
また磁気ヘッドより得られるトラックの番号とシンクブロック番号とから、現在の磁気ヘッドの走査位置を検出し、この検出結果に基づいて磁気ヘッドの走査位置に係る位相誤差を検出し、この位相誤差に基づいてキャプスタンモータを駆動することにより、2M個のブロックで2(M±n)回、磁気ヘッドが磁気テープを走査するように、かつサーチ用のビデオデータを記録した領域を磁気ヘッドが走査するように、確実に磁気テープの走行を制御することができる。
【実施例2】
【0088】
この実施例においては、実施例1について上述したと同様のビデオテープレコーダに本発明を適用して、シンクブロック番号、トラックペア番号検出回路43、制御部44における処理をさらに一段と簡略化する。なおこの実施例に係るビデオテープレコーダにおいては、これらシンクブロック番号、トラックペア番号検出回路43、制御部44における処理が異なる点を除いて、実施例1について上述したビデオテープレコーダ1と同一に構成されることにより、重複した説明は省略する。
【0089】
この実施例において、シンクブロック番号、トラックペア番号検出回路43は、16トラックによるECCブロックのうちの1つの記録トラックについてのみ、シンクブロック番号、トラックペア番号を集計し、制御部44は、この1つの記録トラックについてのみの集計結果により、この集計に係る記録トラックについてのみ、位相誤差PEを検出してトラッキング制御の処理を実行する。
【0090】
これによりこの実施例においては、トラックの番号とシンクブロック番号とから、現在の走査位置を検出する検出手段において、2M個のブロック毎に、各1回だけ走査位置を検出するようになされ、またこの検出手段の検出結果に基づいて位相誤差を検出する位相誤差検出手段においては、この2M個のブロック毎に、各1回だけ位相誤差を検出するようになされ、その分、トラッキング制御に係る処理を簡略化するようになされている。
【0091】
この実施例においては、2M個のブロック毎に、走査位置を検出し、2M個のブロック毎に、位相誤差を検出してトラッキング制御することにより、トラッキング制御に係る処理を簡略化して、2M個のブロックで2(M±n)回、磁気ヘッドが磁気テープを走査するように、かつサーチ用のビデオデータを記録した領域を磁気ヘッドが走査するように、確実に磁気テープの走行を制御することができる。
【実施例3】
【0092】
ここでこの実施例に係るビデオテープレコーダにおいては、上述したビデオテープレコーダの構成を前提に、ユーザーによる操作子の操作により1倍速、2倍速で速度を切り換えて巻き戻し再生の処理を実行する。この巻き戻し再生の処理において、図22に示すように、1倍速による巻き戻し再生においては、通常再生時に比して、磁気テープの走行速度を−1.14倍に設定し、これによりサーチデータの記録周期2M(16)回に対して、磁気ヘッドの走査回数を14回に設定し、サーチデータ及びITIの双方を再生できるようにする。また2倍速による巻き戻し再生においては、通常再生時に比して、磁気テープの走行速度を−1.6倍に設定し、これによりサーチデータの記録周期2M(16)回に対して、磁気ヘッドの走査回数を10回に設定し、サーチデータ及びITIの双方を再生できるようにする。
【0093】
すなわち上述したフォーマットによる記録トラックについて、再生速度を種々に変更して巻き戻し再生におけるトレースパターンを種々に検討したところ、−2倍速再生においても、−1倍速再生時と同様に、サーチデータを再生可能に位相ロックさせると、ITIを再生困難となり、これによりフォーマットの切り換えを検出できないことが判った。
【0094】
これによりこの実施例においては、−1倍速再生、−2倍速再生の双方において、上述したサーチデータの記録周期に対する磁気ヘッドの走査回数の関係、磁気ヘッドの走査軌跡の関係が成立するようにして、これら−1倍速再生、−2倍速再生の双方において、フォーマットの切り換えを検出できるようにする。またこのとき−1倍速再生に比して−2倍速再生で再生速度が速くなるように、磁気テープの走行速度を増大させてサーチデータの記録周期に対する磁気ヘッドの走査回数を低減し、これにより再生速度の切り換えに係るユーザーの違和感を防止する。
【実施例4】
【0095】
なお上述の実施例においては、1倍速、2倍速による巻き戻し再生に関して本発明を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、奇数倍速による巻き戻し再生においても、−1倍速による巻き戻し再生の場合と同様に、サーチデータ及びITIを同時に再生困難となることにより、−1倍速以外の奇数倍速による巻き戻し再生にも広く適用することができる。
【0096】
また上述の実施例においては、2M個の記録トラックによるブロックに対して、2(M±n)回走査させるようにして、2Mを値16に、2(M±n)を値10、14、16に設定する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、必要に応じてこれらの値は種々に設定することができる。
【0097】
また上述の実施例においては、−1倍速再生時、−2倍速再生時、磁気テープの走行速度を本来の再生速度より変化させる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は、磁気ヘッドの回転速度に対して相対的に磁気テープの走行速度を制御すれば良く、これにより例えば通常再生時は、いわゆるノントラッキング方式により再生するようにして、−1倍速再生時、−2倍速再生時、磁気テープの走行速度を本来の再生速度により走行させるようにしてもよい。
【0098】
また上述の実施例においては、HD2フォーマットによるビデオテープレコーダに本発明を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、種々のフォーマットによるビデオテープレコーダに広く適用することがでる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、例えばHDVフォーマットによるビデオテープレコーダに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施例に係るビデオテープレコーダを示すブロック図である。
【図2】図1のビデオテープレコーダにおけるトラッキング制御の説明に供する略線図である。
【図3】図2のトラッキング制御の説明に供するタイムチャートである。
【図4】図2のトラッキング制御とは異なる例を示す図表である。
【図5】図4の図表の例によるトラッキング制御の説明に供する略線図である。
【図6】図5とは異なる図4の図表の例によるトラッキング制御の説明に供する略線図である。
【図7】図1のビデオテープレコーダにおけるシンクブロック番号、トラックペア番号検出回路の動作の説明に供する略線図である。
【図8】シンクブロック番号の処理の説明に供する略線図である。
【図9】具体的な処理の例を示す図表である。
【図10】図1のビデオテープレコーダにおける制御部の構成を示すブロック図である。
【図11】図10の制御部における目標トラッキング位相出力部の説明に供する図表である。
【図12】実際のトラッキング制御結果を示す図表である。
【図13】DVテープに係る記録フォーマットの説明に供する平面図である。
【図14】図13の各フォーマットにおけるIDデータの説明に供する図表である。
【図15】図14のIDデータによるフォーマット判定の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】HD2フォーマットによるサーチデータの説明に供する略線図である。
【図17】図16のサーチデータの内容を示す図表である。
【図18】±8倍速再生における磁気ヘッドの走査軌跡を示す略線図である。
【図19】−1倍速再生における磁気ヘッドの走査軌跡を示す略線図である。
【図20】−1倍速再生における再生信号波形を示すタイムチャートである。
【図21】フォーマット切り換えの例を示す図である。
【図22】実施例3に係るビデオテープレコーダの説明に供する図表である。
【符号の説明】
【0101】
1……ビデオテープレコーダ、4……磁気テープ、5……記録信号処理部、15A、15B……磁気ヘッド、21……ドラムモータ、22……回転ドラム、23……キャプスタンモータ、30……再生信号処理部、33……符号訂正回路、43……シンクブロック番号、トラックペア番号検出回路、44……制御部、45……ID検出回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気テープに記録されたビデオデータを再生するビデオテープレコーダにおいて、
前記磁気テープは、
正及び負のアジマス角による1対の記録トラックが順次形成されて、所定フォーマットにより前記ビデオデータが記録され、
前記記録トラックは、
磁気ヘッドの走査開始端側に、前記フォーマットの判定用のデータが記録され、
前記所定フォーマットが、
前記記録トラックの2M個によるブロックを単位にして、前記ビデオデータを記録し、
前記ブロックにおける所定のトラックの、前記磁気ヘッドの走査方向の中央より走査終了端側に、前記ビデオデータを処理したサーチ用のデータを記録するフォーマットであり、
前記ビデオテープレコーダは、
前記磁気テープの走行を制御するトラッキング制御手段と、
前記磁気ヘッドから得られる前記判定用のデータにより前記フォーマットと他のフォーマットとを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、前記磁気ヘッドから出力される再生信号を信号処理して、前記サーチ用のデータ又は前記ビデオデータを再生して出力する再生信号処理処理手段とを備え、
前記トラッキング制御手段は、
巻き戻し再生において、
前記2M個のブロックで2(M±n)(nは整数)回、前記磁気ヘッドが前記磁気テープを走査するように、かつ前記サーチ用のデータを記録した領域を前記磁気ヘッドが走査するように前記磁気テープの走行を制御する
ことを特徴とするビデオテープレコーダ。
【請求項2】
前記巻き戻し再生の速度が1倍速及び又は2倍速である
ことを特徴とする請求項1に記載のビデオテープレコーダ。
【請求項3】
前記記録トラックは、
所定のデータブロック単位であるシンクブロックの連続により前記ビデオデータ及びサーチデータが記録され、
前記シンクブロックには、
前記2M個のブロックにおける記録トラックの位置を示すトラックの番号と、各記録トラックにおける前記シンクブロックの位置を示すシンクブロック番号とが記録され、
前記トラッキング制御手段は、
前記磁気ヘッドより得られる前記トラックの番号とシンクブロック番号とから、現在の前記磁気ヘッドの走査位置を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記磁気ヘッドの走査位置に係る位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、
前記位相誤差に基づいてキャプスタンモータを駆動する駆動手段とを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のビデオテープレコーダ。
【請求項4】
前記検出手段は、
前記2M個のブロック毎に、前記走査位置を検出し、
前記位相誤差検出手段は、
前記2M個のブロック毎に、前記位相誤差を検出する
ことを特徴とする請求項3に記載のビデオテープレコーダ。
【請求項5】
前記所定のフォーマットは、HD2フォーマットであり、
前記他のフォーマットが、DVフォーマットである
ことを特徴とする請求項1に記載のビデオテープレコーダ。
【請求項6】
磁気テープに記録されたビデオデータを再生するビデオテープレコーダの制御方法において、
前記磁気テープは、
正及び負のアジマス角による1対の記録トラックが順次形成されて、所定フォーマットにより前記ビデオデータが記録され、
前記記録トラックは、
磁気ヘッドの走査開始端側に、前記フォーマットの判定用のデータが記録され、
前記所定フォーマットが、
前記記録トラックの2M個によるブロックを単位にして、前記ビデオデータを記録し、
前記ブロックにおける所定のトラックの、前記磁気ヘッドの走査方向の中央より走査終了端側に、前記ビデオデータを処理したサーチ用のデータを記録するフォーマットであり、
前記ビデオテープレコーダの制御方法は、
巻き戻し再生において、
前記2M個のブロックで2(M±n)(nは整数)回、前記磁気ヘッドが前記磁気テープを走査するように、かつ前記サーチ用のビデオデータを記録した領域を前記磁気ヘッドが走査するように前記磁気テープの走行を制御する
ことを特徴とするビデオテープレコーダの制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−31861(P2006−31861A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−211001(P2004−211001)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】