説明

ビニル基、メタクリロイル基又はアクリロイル基を含有する放射線硬化性の1,3,5−トリアジンカルバメート及び−尿素

放射線硬化性の1,3,5−トリアジンカルバメート及び−尿素、その製造方法及びその使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、放射線硬化性の1,3,5−トリアジンカルバメート及び−尿素、その製造方法及びその使用を記載する。
【0002】
1,3,5−トリアジンカルバメートの製造は、DE−A10151564号又はWO97/08235号の第3頁第9行〜第22行に記載されている。そこで挙げられている製造過程は、アルキル置換された1,3,5−トリアジンカルバメートをもたらす。この方法は、反応媒質が強塩基性であるため、官能基、例えばエステル基又はカルバメート基に好適ではない。
【0003】
EP−A2305115号は、少なくとも1個のハロゲン含有基CXを含有し、かつUV露光を介して光化学的にラジカル重合を生じさせることができる放射線反応性の1,3,5−トリアジン化合物を記載している。更に、このトリアジン化合物は、ラジカル重合性基、例えばウレタン基を介して結合するヒドロキシエチルアクリレートを含有する。
【0004】
同様、EP−A359430号は、ラジカル重合性基を同時に含有するハロゲン含有1,3,5−トリアジン化合物を記載している。
【0005】
かかる化合物は、光の影響下でラジカルを形成する。
【0006】
これらの系の放射線反応性のハロゲン基は、かかる化合物又はそれを含有する被覆物の耐UV性に不利な影響を及ぼし、かつ例えば被覆物の黄変を将来的にもたらすことがある。
【0007】
EP−A366884号には、少なくとも2個のビニル末端基及び少なくとも1個のカルバミル基を含有する1,3,5−トリアジン化合物が記載されている。これらの1,3,5−トリアジン化合物は、メラミンとアルデヒド、特にホルムアルデヒドとの反応生成物を含有する。これらの1,3,5−トリアジン化合物は、ビニル末端基の他に、メチロール基及び/又はアルキル化メチロール基を含有する。
【0008】
同様の系が、EP−A473948号に記載されている。これは、メラミンとホルムアルデヒドとの縮合により得られ、かつエチレン性不飽和基を含有する置換1,3,5−トリアジンである。
【0009】
かかる系は、そのアミナール−若しくはN,O−アセタール構造のために酸感受性である。
【0010】
本発明の課題は、可能な限りデュアルキュア硬化性をも示すことが望ましいハロゲン不含の放射線硬化性の1,3,5−トリアジンカルバメート及び−尿素を提供することであった。
【0011】
前記課題は、式(I)
【0012】
【化1】

[式中、R、R及びRは、それぞれ互いに無関係に二価の有機基であり、
、X及びXは、それぞれ互いに無関係に酸素又は置換若しくは非置換の窒素(NR)であり、
Rは、水素又はC−C20−アルキルであり、かつ
、Z及びZは、それぞれ互いに無関係にビニル、メタクリロイル又はアクリロイルである]の1,3,5−トリアジンカルバメート及び−尿素によって解決される。
【0013】
本発明の更なる対象は、式(II)
【0014】
【化2】

及び式(III)
【0015】
【化3】

[式中、X、X、Z、Z、R及びRは、上記と同じ意味を有し、かつ
及びRは、それぞれ互いに無関係にC−C−アルキルである]の1,3,5−トリアジンカルバメート及び−尿素である。
【0016】
本発明の更なる対象は、式(V)
【0017】
【化4】

及び式(VI)
【0018】
【化5】

[式中、X、X、Z、Z、R及びRは、上記と同じ意味を有する]のイソシアネート基を含有する1,3,5−トリアジンカルバメート及び−尿素である。
【0019】
本発明の更なる対象は、これらの化合物の製造方法である。
【0020】
本発明にかかる放射線硬化性の1,3,5−トリアジンカルバメート及び−尿素は、式(IV)
【0021】
【化6】

[式中、R、R及びRは、それぞれ互いに無関係にC−C−アルキルであってよい]の化合物と、ヒドロキシ基又はアミノ基及び少なくとも1個のビニル基、メタクリロイル基又はアクリロイル基を有する化合物との反応によって得られる。
【0022】
代替的に、式(I)、(II)及び(III)の化合物は、2,4,6−トリイソシアナト−1,3,5−トリアジンを、式(VII)のアルコール又はアミンと反応させることによって製造し、かつ化合物(II)及び(III)の場合には、この反応と同時に、この反応前にか又はこの反応後に式ROH又はROHのアルコールと反応させることによって製造する。
【0023】
式(V)又は(VI)の化合物は、2,4,6−トリイソシアナト−1,3,5−トリアジンと、式(VII)のアルコール又はアミンとを反応させることによって製造する。
【0024】
上述の定義においては、二価の有機基は、非置換の又はC−C−アルキル、C−C−アルケニル、カルボキシ、カルボキシ−C−C−アルキル、C−C20−アシル、C−C−アルコキシ、C−C12−アリール、ヒドロキシ又はヒドロキシ置換されたC−C−アルキルで置換されたC−C12−アリーレン、C−C12−シクロアルキレン又はC−C20−アルキレン、又は1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換若しくは非置換のイミノ基で中断されており、かつ/又は1個以上の−(CO)−、−O(CO)O−、−(NH)(CO)O−、−O(CO)(NH)−、−O(CO)−又は−(CO)O−基で中断されたC−C20−アルキレンであることが好ましい。
【0025】
前記式中、
−C−アルキル、C−C−アルケニル、カルボキシ、カルボキシ−C−C−アルキル、C−C20−アシル、C−C−アルコキシ、C−C12−アリール、ヒドロキシ又はヒドロキシ置換C−C−アルキルで置換されたC−C12−アリーレンは、例えば1,2−、1,3−又は1,4−フェニレン、4,4’−ビフェニレン並びに1’,4−トルイレン、1’,1’−ジメチル−1’,4−トルイレン、2,4−ジメチルフェニル−1’,1’’−エン又は1’,1’−ジメチル−2,4−ジメチルフェニル−1’,1’’−エンであり、
−C−アルキル、C−C−アルケニル、カルボキシ、カルボキシ−C−C−アルキル、C−C20−アシル、C−C−アルコキシ、C−C12−アリール、ヒドロキシ又はヒドロキシ置換C−C−アルキルで置換されたC−C12−シクロアルキレンは、例えばシクロプロピレン、1,2−又は1,3−シクロペンチレン、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキシレン、3,5,5−トリメチル−1,3−シクロヘキシレン、シクロオクチレン又はシクロドデシレンであり、
−C−アルキル、C−C−アルケニル、カルボキシ、カルボキシ−C−C−アルキル、C−C20−アシル、C−C−アルコキシ、C−C12−アリール、ヒドロキシ又はヒドロキシ置換C−C−アルキルで置換されたC−C20−アルキレンは、例えば1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,6−ヘキシレン、1,1−ジメチル−1,2−エチレン、2−メチル−1,3−プロピレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、2,2−ジメチル−1,4−ブチレンであり、
1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換若しくは非置換のイミノ基で中断されており、かつ/又は1個以上の−(CO)−、−O(CO)O−、−(NH)(CO)O−、−O(CO)(NH)−、−O(CO)−又は−(CO)O−基で中断されたC−C20−アルキレンは、例えば3−アザ−1,5−ペンチレン、3−メチル−3−アザ−1,5−ペンチレン、3,6−ジアザ−1,8−オクチレン、3,6,9−トリアザ−1,11−ウンデシレン、3−オキサ−1,5−ペンチレン、3,6−ジオキサ−1,8−オクチレン、3,6,9−トリオキサ−1,11−ウンデシレンであり、
かつC−C20−アルキルは、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、n−エイコシル又は2−エチルヘキシルである。
【0026】
、R及びRは、それぞれ互いに無関係に、好ましくは1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,6−ヘキシレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、3−オキサ−1,5−ペンチレン、3,6−ジオキサ−1,8−オクテン及び3,6,9−トリオキサ−1,11−ウンデシレンであり、特に好ましくは1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,6−ヘキシレン及び3−オキサ−1,5−ペンチレンであり、殊に好ましくは1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,4−ブチレン及び1,6−ヘキシレンであり、なかんずく好ましくは1,2−エチレンである。
【0027】
好ましくは、Rは、水素又はC−C−アルキル、すなわちメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルであり、特に好ましくは水素、メチル又はn−ブチルであり、殊に好ましくは水素又はメチルであり、なかんずく好ましくは水素である。
【0028】
ヒドロキシ基又はアミノ基及び少なくとも1個のビニル基、メタクリロイル基又はアクリロイル基を有する化合物の例は、厳密に1個のヒドロキシ基又はアミノ基、好ましくはヒドロキシ基、及び少なくとも1個、例えば1〜10個、好ましくは1〜6個、特に好ましくは1〜4個、殊に好ましくは1〜3個、なかんずく好ましくは1〜2個、とりわけ1個のビニル基、メタクリロイル基又はアクリロイル基を有する化合物である。
【0029】
これらの化合物は、例えばポリエーテルオール、ポリエステルオール、ウレタンアルコール、カーボネートアルコール(Carbonatalkohol)又はエポキシアルコールのビニルエーテル又は(メタ)アクリル酸エステルであってよく、好ましくはポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリエステルオール(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート又はエポキシ(メタ)アクリレートである。
【0030】
好ましくは、EP−A154105号第2頁第13行〜第5頁第36頁及びその実施例、EP−A2279303号第2頁第36行〜第3頁第34行及びその実施例、EP−A1686621号第2頁第42行〜第4頁第47頁及びその実施例、EP−A1921168号の第1段第57行〜第6段第20行及びその実施例並びにDE−A13316593号第5頁第14行〜第10頁第4行及びその実施例に記載されている化合物である。上述の5つの文献は、本発明において参照をもって開示されたものとする。
【0031】
ヒドロキシ基又はアミノ基及び少なくとも1個のビニル基、メタクリロイル基又はアクリロイル基を有する特に好ましい化合物は、式(VII)
−O−R−X−H若しくはZ−O−R−X−H又はZ−O−R−X−H
のアルコール又はアミンである。
【0032】
上記式中、X、X及びXは、それぞれ互いに無関係に好ましくは酸素であり、かつ
、Z及びZは、それぞれ互いに無関係に好ましくはメタクリロイル(−(CO)−C(CH)=CH)又はアクリロイル(−(CO)−C(H)=CH)であり、特に好ましくはアクリロイルである。
【0033】
好ましい式(VII)の化合物は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート又は4−ヒドロキシブチルビニルエーテルである。更には、トリメチロールプロパンジアクリレート及びペンタエリトリトールジ−及び−トリアクリレートが好適である。特に好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート及びジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートであり、殊に好ましくは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、なかんずく好ましくは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートであり、とりわけ2−ヒドロキシエチルアクリレートである。
【0034】
化合物(I)は、有利には、架橋剤として放射線硬化性の被覆剤中で使用することができる。
【0035】
化合物(II)及び(V)は、架橋剤として放射線硬化性の被覆剤中で使用することができ、かつ付加的に更に例えばアミノ基又はヒドロキシ基を含有する化合物と熱架橋させることできる。化合物(III)及び(VI)は、架橋剤として熱硬化性の被覆剤中でアミノ基又はヒドロキシ基を含有する化合物と一緒に使用することができ、かつ付加的に更に放射線硬化させることができる。
【0036】
本発明にかかる化合物は、ハロゲン原子を有さないことによって、技術水準から公知のUV感受性及び黄変傾向を示さない。
【0037】
本化合物は、その官能性密度が大きいことにより、被覆物の高度な架橋を達成することができる。
【0038】
特に化合物(II)、(III)、(V)及び(VI)は、有利にはその種々の硬化機構を介して硬化する官能基により、デュアルキュア被覆剤中で使用することができる。本発明にかかる化合物を含有する被覆物は、その硬化により、改善された硬度及び/又は引掻強さを示しうる。
【0039】
概念「デュアルキュア」若しくは「マルチキュア(Multi Cure)」は、本明細書中の範囲においては、2つ以上の機構を介して行われる硬化工程、特に例えば放射線硬化、湿分硬化、化学硬化、酸化硬化及び/又は熱硬化から選択された硬化工程、好ましくは放射線硬化、湿分硬化、化学硬化及び/又は熱硬化から選択された硬化工程、特に好ましくは放射線硬化、化学硬化及び/又は熱硬化から選択された硬化工程、殊に好ましくは放射線硬化及び化学硬化を示す。
【0040】
この場合、「化学硬化」は、化学反応、例えばエポキシド基とアミンとの反応又は好ましくはイソシアネート基とアルコール若しくはアミンとの反応又はカルバミル基とアルコールとの反応によって被覆剤中で行われる工程と解する。
【0041】
化合物(I)、(II)及び(III)の製造は、式(IV)の化合物と、式(VII)の化合物との熱のみによる反応又は触媒反応によって行うことができる。
【0042】
熱により反応を誘導する際には、この反応は140℃まで、好ましくは130℃までの温度で実施する。
【0043】
触媒を用いる方法における温度は熱のみによる製造の際の温度と比べて低いので、有利な色数を達成することができる。
【0044】
基R〜Rは、それぞれ互いに無関係に、常圧での沸点が120℃以下、好ましくは100℃以下、特に好ましくは80℃以下、殊に好ましくは70℃以下であるアルコールROH、ROH及びROHから誘導する。
【0045】
基R、R及びRの例は、それぞれ互いに無関係に、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチルであり、好ましくはメチル、エチル及びn−ブチルであり、殊に好ましくはメチル及びn−ブチルであり、とりわけメチルである。
【0046】
基R、R及びRは同じか又は異なっていてよく、2個以下の異なる基であることが好ましい。
【0047】
好ましく使用される1,3,5−トリアジンカルバメート(IV)は、メチル−1,3,5−トリアジンカルバメート、エチル−1,3,5−トリアジンカルバメート、n−ブチル−1,3,5−トリアジンカルバメート又はメチル−/n−ブチル−1,3,5−トリアジンカルバメートの混合物である。
【0048】
本発明にかかる方法においては、アルコールROH、ROH及びROHの最も高い沸点に対して、最も低い沸点が少なくとも20℃、好ましくは少なくとも40℃、特に好ましくは少なくとも60℃の沸点の差を示すアルコール若しくはアミン(VII)が特に好ましい。
【0049】
触媒による反応誘導の際には、この触媒は、本発明によれば、スズ化合物、セシウム塩、アルカリ金属炭酸塩及び第3級アミンを含む群から選択することが好ましい。
【0050】
スズ化合物は、全種の有機金属スズ化合物、好ましくはスズ−(II)−n−オクタノエート、スズ−(II)−2−エチル−ヘキサノエート、スズ−(II)−ラウレート、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレエート又はジオクチルスズジアセテートであり、特に好ましくはスズ(II)−n−オクタノエート、スズ−(II)−2−エチル−ヘキサノエート、スズ−(II)−ラウレート、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレートであり、殊に好ましくはジブチルスズオキシド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレートであり、なかんずく好ましくはジブチルスズジラウレートである。
【0051】
しかしながらスズ化合物は毒性学的に懸念されるものであり、かつ従って本発明によれば、特にこれらが反応混合物中に残留することはあまり好ましくない。これに対して、セシウム塩及びアルカリ金属炭酸塩は懸念されない。
【0052】
この場合、好ましいセシウム塩は、以下の陰イオンを含有するセシウム塩である:
、Cl、ClO、ClO、ClO、Br、J、JO、CN、OCN、NO、NO、HCO、CO2−、S、SH、HSO、SO2−、HSO、SO2−、S2−、S2−、S2−、S2−、S2−、S2−、HPO、HPO、HPO2−、PO3−、P4−、(OC2m+1、(C2m−1、(C2m−3並びに(Cm+12m−22−で示され、その式中、mは1〜20の数である陰イオンである。
【0053】
この場合、陰イオンが式(C2m−1、並びに(Cm+12m−22−で示され、その式中、mが同様に1〜20であるセシウムカルボキシレートが特に好ましい。殊に好ましいセシウム塩は、陰イオンとして、一般式(C2m−1で示され、その式中、mは1〜20の数であるモノカルボキシレートを有する。これに関して、特にホルメート、アセテート、プロピオネート、ヘキサノエート及び2−エチルヘキサノエート、殊に好ましくはセシウムアセテートである。
【0054】
このセシウム塩は、固体の形で、又は溶解した形でバッチに添加してよい。溶剤としては、極性の非プロトン性溶剤又はプロトン性溶剤が好適である。水の他に、アルコールが特に好適である;ポリオール、例えばエタン−、プロパン−又はブタンジオール及びグリコールエーテルが殊に好適である。
【0055】
反応媒質中のセシウム塩の溶解度を改善するために、これを場合により相転移触媒と一緒に使用してよい。好適な相転移触媒は、例えばクラウンエーテル、例えば18−クラウン−6又はテトラアルキルアンモニウム塩、例えばテトラブチルアンモニウムブロミドである。
【0056】
アルカリ金属炭酸塩は、例えばLiCO、NaCO及びKCO並びに炭酸水素塩のLiHCO、NaHCO及びKHCOであり、好ましくはNaCO及びKCOであり、特に好ましくはKCOである。
【0057】
第3級アミンは、例えばトリオクチルアミン、トリドデシルアミン、トリベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1−メチルピロール、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピコリン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルイミダゾール、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンである。
【0058】
好ましい触媒は、セシウム塩及びアルカリ金属炭酸塩、特に好ましくはセシウム塩である。
【0059】
更に、触媒として、アルコラート(例えば、C−C−アルキルアルコールのナトリウム−又はカリウムアルコラート、好ましくはナトリウム−又はカリウム− −メタノラート及び−エタノラート)、水酸化物(例えば、NaOH、KOH、Ca(OH))、カルボキシレート(例えば、C−C−アルキルカルボン酸のナトリウム−又はカリウム塩又はClCHCOONa)、酸化物(例えばCaO、MgO、ZnO、Tl、PbO)、ホスフィン(例えばPPh)、亜鉛塩(ZnCl)及びイオン交換体(強アルカリ性又は弱アルカリ性の陰イオン交換体、例えばDOWEX(登録商標)MSA−1)が考えられる。
【0060】
この触媒は、慣用的には、出発化合物(II)に対して0.001〜0.3モル%、好ましくは0.005〜0.25モル%、特に好ましくは0.01〜0.2モル%、殊に好ましくは0.02〜0.1モル%の量で使用する。
【0061】
反応は、本発明によれば、少なくとも40℃、好ましくは少なくとも50℃、特に好ましくは少なくとも60℃、殊に好ましくは少なくとも70℃の温度で実施する。
【0062】
反応温度は、除去されるべきアルコールROH、ROH及びROHの沸点より高いことが好ましい。
【0063】
本発明によれば、温度の上限は、一般的に120℃以下、好ましくは110℃以下である。
【0064】
二重結合を含有する化合物(II)の重合を減らすために、反応をラジカル安定剤の存在下で実施することが好ましい。好適なラジカル安定剤は、例えば4−メトキシフェノール(100〜4000ppm)、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキノン(50〜1000ppm)、フェノチアジン(10〜500ppm)、トリフェニルホスフィット(50〜1000ppm)並びに4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−N−オキシル(10〜500ppm)である。
【0065】
この触媒を用いる反応は、同じか又はより短い反応時間で、他の点では同じ条件下で少なくとも同じ転化率での触媒の添加によって、触媒を用いない反応に対して反応温度を少なくとも10℃だけ、好ましくは少なくとも15℃だけ、特に好ましくは少なくとも20℃だけ下げることができることが有利である。
【0066】
この反応時間は、基質に応じて異なり、かつ15分〜12時間、好ましくは30分〜10時間、特に好ましくは45分〜8時間、殊に好ましくは1〜7時間であってよい。
【0067】
使用されるアルコール若しくはアミン(VII)と、反応されるべき(IV)のカルバメート基との化学量論比は、一般的に、0.5〜1.5:1モル/モル、好ましくは0.7〜1.3:1モル/モル、特に好ましくは0.8〜1.2:1モル/モル、殊に好ましくは0.8〜1.1:1モル/モル、なかんずく好ましくは0.9〜1:1モル/モル、とりわけ0.95〜1.0:1モル/モルである。
【0068】
選択された(IV)と(VII)との間の化学量論に応じて、種々の割合の(I)、(II)及び(III)が反応混合物中に得られる。
【0069】
過剰の化合物(VII)を使用すれば、好ましくはこれが反応混合物及び被覆剤中に残留でき、かつ硬化の際にラジカル又は化学硬化機構を介して結合剤中に組み入れることができる。
【0070】
この反応は、塊状でか又は好適な溶剤、すなわち1,3,5−トリアジンカルバメート又は−尿素と反応しない溶剤中で実施することができる。この溶剤は、例えばアセトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、エチルアセテート、ブチルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、C−C−アルキレンカーボネート、特にプロピレンカーボネート、THF、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、1,3−ジオキソラン、イソブチル−メチルケトン、エチルメチルケトン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、t−ブチルエチルエーテル、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、パラフィン、ナフサ、鉱油又は石油分画である。
【0071】
この反応は、塊状で実施することが好ましい。
【0072】
上述の方法により達成される転化率は、一般的に少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、特に好ましくは少なくとも40%、殊に好ましくは少なくとも60%である。
【0073】
この反応は、反応条件下で不活性のガス又はガス混合物中で実施してよく、例えば酸素含有率が10容量%未満、好ましくは8容量%未満、特に好ましくは7容量%未満のガス混合物、好ましくは窒素、アルゴン、ヘリウム、窒素−希ガス混合物、二酸化炭素又は一酸化炭素であり、特に好ましくは窒素である。
【0074】
本発明にかかる方法の好ましい実施形態においては、遊離する低級アルコールROH、ROH、ROHは好適に除去し、これにより、生成物のために、生ずる反応平衡を変化させる。
【0075】
この低級アルコールROH、ROH、ROHの除去は、例えば蒸留、ストリッピング、減圧、共沸除去、吸着、透析蒸発及び膜を介する拡散によって実施してよい。
【0076】
好ましくは、場合により減圧下での留去であり、これは場合により、反応条件下で不活性のガスでのストリッピングにより促進してよい。
【0077】
ストリッピングのために、反応条件下で不活性のガス又はガス混合物は、この反応混合物によって、例えばバブリングによって導通させてよい。
【0078】
吸着は、例えば分子ふるい(孔径が例えば約3〜10オングストロームの範囲内)を用いて実施してよい。拡散は、例えば好適な半透膜を用いて実施してよい。
【0079】
本発明によれば、反応は、連続的、不連続的又は半連続的に実施してよく、不連続的又は半連続的に実施することが好ましい。
【0080】
このために、一般的には式(IV)の出発材料を装入し、そして所望の反応温度に上昇させる。
【0081】
所望の反応温度に達する前か又は達した後に、触媒を少なくとも部分的に添加してよく、そしてアルコール/アミン(VII)を完全に、分けて添加するか又は連続的に添加する。触媒が依然として完全には添加されていない場合には、次いでこれを同様に分けて添加する。
【0082】
この反応過程での反応温度は、反応開始時の温度に対して例えば少なくとも10℃だけ、好ましくは少なくとも15℃だけ、特に好ましくは少なくとも20℃だけ高めることが有利であり得る。
【0083】
この反応過程は追跡してよく、例えば、遊離したアルコールROH、ROH及びROHの量を追跡し、そして所望の転化率になった際に停止する。
【0084】
反応は、例えば冷ますことによってか又は溶剤を用いて直接的に冷却するによって停止させてよい。
【0085】
好ましくは、この反応は、例えば撹拌、ノズル導入によってか又はポンプ循環路によって完全混合することができる逆混合の反応容器内で実施してよい。
【0086】
温度調節は、反応器壁部を介して実施するか又はポンプ循環路内に存在する熱交換器によって実施してよい。
【0087】
遊離した低級アルコールROH、ROH及びROHを蒸留及び/又はストリッピングにより除去するのであれば、この反応器に、一般的に2〜10の理論段を満たす充填塔又は段塔を設けてよい。
【0088】
低級アルコールの除去を促進するために、わずかな減圧をかけてよく、例えばこの反応を200hPaないし常圧、好ましくは300hPaないし常圧、特に好ましくは500hPaないし常圧、殊に好ましくは800hPaないし常圧、なかんずく好ましくは常圧で実施してよい。
【0089】
この反応の完了後に、この反応混合物を更に洗浄及び/又は脱色に供してよい。
【0090】
洗浄のために、この反応混合物を、洗浄液を備えた洗浄装置内で、例えば水、又は5〜30質量%、好ましくは5〜20質量%、特に好ましくは5〜15質量%の食塩溶液、塩化カリウム溶液、塩化アンモニウム溶液、硫酸ナトリウム溶液又は硫酸アンモニウム溶液、好ましくは水又は食塩溶液で処理する。
【0091】
この洗浄は、例えば攪拌容器又は別の従来の装置、例えば塔又はミキサーセトラー装置内で実施してよい。
【0092】
必要であれば、この反応混合物を、例えば活性炭又は金属酸化物、例えば酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコン、酸化ホウ素又はこれらの混合物を、例えば0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜25質量%、特に好ましくは1〜10質量%の量で、例えば10〜100℃、好ましくは20〜80℃、特に好ましくは30〜60℃の温度で用いる処理によって脱色に供してよい。
【0093】
この脱色は、粉末形又は顆粒形の脱色剤を反応混合物に添加し、次いで濾過することによってか又はこの反応混合物を、任意の好適な成形体の形の脱色剤堆積物上を通過させることによって実施してよい。
【0094】
一般的には、上述の反応条件下で得られる反応混合物は、以下の組成である:
(I)5〜80質量%、
(II)10〜60質量%、
(III)10〜40質量%、
(IV)0〜20質量%、
(VII)0〜10質量%、
但し、合計100質量%であり、
並びに場合により、この反応の副生物としての、10質量%未満の割合の2−アミノ−4,6−ビスカルバモイル−1,3,5−トリアジン又は2,4−ジアミノ−6−カルバモイル−1,3,5−トリアジン。かかる副生物は、例えば式(I)〜(VI)の化合物の加水分解によって、例えば本発明にかかる反応の間に生じてよく、又は被覆剤中に含まれる水によって生じてよい。
【0095】
従って、式(IX)
【0096】
【化7】

及び(X)
【0097】
【化8】

[式中、R、R、X、X、Z及びZは、上述の意味を有する]の化合物も、本発明の対象である。
【0098】
式(IX)及び(X)の化合物は、同様にラジカル重合導入可能であり、かつ化合物(IX)の場合には架橋作用を示す。
【0099】
2,4,6−トリイソシアナト−[1.3.5]トリアジンからの化合物(I)、(V)及び(VI)の製造は、原則的に上述の化合物(IV)について記載されているのと同様に実施できるが、但し以下の点が異なる:
使用されるアルコール若しくはアミン(VII)と、2,4,6−トリイソシアナト−[1.3.5]トリアジン中の反応されるべきイソシアネート基との化学量論比は、一般的に0.5〜1.2:1モル/モル、好ましくは0.7〜1.1:1モル/モル、特に好ましくは0.8〜1.1:1モル/モル、殊に好ましくは0.9〜1.1:1モル/モル、なかんずく好ましくは0.9〜1:1、とりわけ0.95〜1.0:1モル/モルである。
【0100】
この反応は、一般的には、5〜100℃、好ましくは20〜90℃、特に好ましくは40〜80℃、殊に好ましくは60〜80℃の温度で実施する。
【0101】
この場合、水不含の条件下で作業することが好ましい。
【0102】
この場合、水不含とは、反応系の含水率が5質量%以下、好ましくは3質量%以下、特に好ましくは1質量%以下であることを意味する。
【0103】
ジイソシアネートの反応の促進のために、慣用の触媒を併用してよい。このために、原則的に、ポリウレタン化学分野で慣用的に使用されている全種の触媒が挙げられる。
【0104】
この触媒は、例えば有機アミン、特に第3級の脂肪族、脂環式又は芳香族アミン、及び/又はルイス酸の有機金属化合物である。ルイス酸の有機金属化合物としては、例えば上述のスズ化合物が挙げられ、例えば有機カルボン酸のスズ−(II)−塩、例えばスズ(II)−アセテート、スズ(II)−オクトエート、スズ(II)エチルヘキソエート及びスズ(II)−ラウレート並びに有機カルボン酸のジアルキルスズ(II)−塩、例えばジメチルスズ−ジアセテート、ジブチルスズ−ジアセテート、ジブチルスズ−ジブチレート、ジブチルスズ−ビス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチルスズ−ジラウレート、ジブチルスズ−マレエート、ジオクチルスズ−ジラウレート及びジオクチルスズ−ジアセテートである。金属錯体、例えば鉄、チタン、アルミニウム、ジルコン、マンガン、ニッケル及びコバルトのアセチルアセトネートも考えられる。更なる金属触媒は、ブランクら(Blank et al.)著の有機被覆の発展、1999年、第35巻、第19〜29頁(Progress in Organic Coatings, 1999, Vol.35, Seiten 19-29)に記載されている。
【0105】
好ましいルイス酸の有機金属化合物は、ジメチルスズ−ジアセテート、ジブチルスズ−ジブチレート、ジブチル−ビス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチルスズ−ジラウレート、ジオクチルスズ−ジラウレート、ジルコン−アセチルアセトネート及びジルコン−2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートである。
【0106】
ビスマス−及びコバルト触媒並びにセシウム塩も、触媒として使用することができる。この場合、セシウム塩としては、上述の化合物が挙げられ、セシウムアセテートが好ましい。
【0107】
化合物(V)及び(VI)中のイソシアネート基の反応性のため、一般的に洗浄を省略する。
【0108】
本発明にかかる式(I)、(II)、(III)、(V)及び(VI)の1,3,5−トリアジンカルバメート及び−尿素は、種々の基材、例えば木材、木製板、紙、板紙、厚紙、布、革、フリース、プラスチック表面、ガラス、陶器、鉱物建築材料、金属又は被覆金属の被覆に使用することができる。
【0109】
本発明にかかる1,3,5−トリアジンカルバメート及び−尿素を被覆剤中に使用する際には、特に自動車修理又は大型車塗装の範囲内の下塗剤、充填剤、着色されたカバー塗料及び透明塗料中に使用することができる。かかる被覆剤は、高度な適用安全性、耐候性、光学的効果、耐溶剤性、耐化学薬品性及び耐水性が必要とされる用途、例えば自動車修理及び大型車塗装に特に好適である。
【0110】
本発明の更なる対象は、
− 少なくとも1種の式(I)、(II)、(III)、(V)又は(VI)の化合物、
− 場合により1つ以上のラジカル重合可能な二重結合を有する化合物、
− 場合により少なくとも1種の光開始剤及び
− 場合により更なる一般的な塗料添加剤
を含有する放射線硬化性の被覆剤である。
【0111】
本発明にかかる化合物(I)、(II)、(III)、(V)又は(VI)は、単独の結合剤としてか又は更なるラジカル重合可能な化合物と組み合わせて使用してよい。
【0112】
1つ以上のラジカル重合可能な二重結合を有する化合物は、例えば、1〜6個、好ましくは1〜4個、特に好ましくは1〜3個のラジカル重合性基を有する化合物である。
【0113】
ラジカル重合性基は、例えばビニルエーテル基又は(メタ)アクリレート基であり、好ましくは(メタ)アクリレート基であり、特に好ましくはアクリレート基である。
【0114】
ラジカル重合性化合物は、しばしば単官能性の重合性化合物と(1つのラジカル重合性二重結合を有する化合物)と、多官能性の重合性化合物(1つより多いラジカル重合性二重結合を有する化合物)とに分けられる。
【0115】
単官能性の重合性化合物は、厳密に1個のラジカル重合性基を有する化合物であり、多官能性の重合性化合物は、1個より多い、好ましくは少なくとも2個のラジカル重合性基を有する化合物である。
【0116】
単官能性の重合性化合物は、例えば(メタ)アクリル酸と、1〜20個のC原子を有するアルコールとのエステル、例えば(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルエステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート、ビニル芳香族化合物、例えばスチレン、ジビニルベンゼン、α,β−不飽和ニトリル、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α,β−不飽和アルデヒド、例えばアクロレイン、メタクロレイン、ビニルエステル、例えばビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ハロゲン化エチレン性不飽和化合物、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン、共役不飽和化合物、例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレン、モノ不飽和化合物、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、環式モノ不飽和化合物、例えばシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロドデセン、N−ビニルホルムアミド、アリル酢酸、ビニル酢酸、3〜8個のC原子を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸並びにこれらの水溶性のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩、例えば:アクリル酸、メタクリル酸、ジメチルアクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メチレンマロン酸、クロトン酸、フマル酸、メサコン酸及びイタコン酸、マレイン酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルラクタム、例えばN−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−N−アルキル−カルボン酸アミド又はN−ビニル−カルボン酸アミド、例えばN−ビニル−アセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド及びN−ビニル−N−メチルアセトアミド又はビニルエーテル、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、s−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、並びにこれらの混合物である。
【0117】
これらの中では、好ましくは(メタ)アクリル酸のエステルであり、特に好ましくは(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸−n−ブチルエステル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルエステル及び2−ヒドロキシエチルアクリレートであり、殊に好ましくは(メタ)アクリル酸−n−ブチルエステル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルエステル及び2−ヒドロキシエチルアクリレートであり、なかんずく好ましくは2−ヒドロキシエチルアクリレートである。
【0118】
本明細書中では、(メタ)アクリル酸は、メタクリル酸及びアクリル酸を意味し、好ましくはアクリル酸を意味する。
【0119】
多官能性の重合性化合物は、好ましくは、1個より多い、好ましくは2〜10個、特に好ましくは2〜6個、殊に好ましくは2〜4個、なかんずく好ましくは2〜3個の(メタ)アクリレート基、好ましくはアクリレート基を有する多官能性(メタ)アクリレートである。
【0120】
これらの化合物は、例えば(メタ)アクリル酸と、相応の少なくとも二価のポリアルコールとのエステルであってよい。
【0121】
かかる好適なポリアルコールは、例えば少なくとも二価のポリオール、例えば、平均OH官能価が少なくとも2、好ましくは3〜10のポリエーテル−若しくはポリエステルオール又はポリアクリレートポリオールである。
【0122】
多官能性の重合性化合物の例は、エチレングリコールジアクリレート、1,2−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,8−オクタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,1−、1,2−、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ−又は−ヘキサアクリレート、ペンタエリトリトールトリ−又は−テトラアクリレート、グリセリンジ−又は−トリアクリレート、並びに糖アルコール、例えばソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール又はイソマルチトール、又はポリエステルポリオール、ポリエーテルオール、モル質量162〜2000のポリ−THF、モル質量134〜1178のポリ−1,3−プロパンジオール、モル質量106〜898のポリエチレングリコールのジ−及びポリアクリレート、並びにエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート又はポリカーボネート(メタ)アクリレートである。
【0123】
更なる例は、式(VIIIa)〜(VIIIc)
【0124】
【化9】

[式中、R及びRは、互いに無関係に水素であるか又は場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子及び/又は複素環化合物で置換されたC−C18−アルキルであり、
k、l、m、qは、互いに無関係に、それぞれ1〜10、好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜3の整数であり、かつ
それぞれのX(i=1〜k、1〜l、1〜mかつ1〜q)は、互いに無関係に、−CH−CH−O−、CH−CH(CH)−O−、−CH(CH)−CH−O−、−CH−C(CH−O−、−C(CH−CH−O−、−CH−CHVin−O−、−CHVin−CH−O−、−CH−CHPh−O−及び−CHPh−CH−O−の群から、好ましくは−CH−CH−O−、−CH−CH(CH)−O−及び−CH(CH)−CH−O−の群から選択されていてよく、特に好ましくは−CH−CH−O−であり、
その式中、Phはフェニルであり、Vinはビニルである]の化合物の(メタ)アクリレートである。
【0125】
これに関しては、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子及び/又は複素環化合物で置換されていてよいC−C18−アルキルは、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘタデシル、オクタデシル、1,1−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3,3−テトラメチルブチルであり、好ましくはメチル、エチル又はn−プロピルであり、殊に好ましくはメチル又はエチルである。
【0126】
この場合、好ましくは、1〜20個、特に好ましくは3〜10個でエトキシ化、プロポキシ化された、又は混合されてエトキシ化及びプロポキシ化された、なかんずく好ましくはもっぱらエトキシ化されたネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン又はペンタエリトリトールの(メタ)アクリレートである。
【0127】
好ましい多官能性の重合性化合物は、エチレングリコールジアクリレート、1,2−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ポリエステルポリオールアクリレート、ポリエーテルオールアクリレート及び1〜20個でアルコキシ化された、特に好ましくはエトキシ化されたトリメチロールプロパンのトリアクリレートである。
【0128】
殊に好ましい多官能性の重合性化合物は、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート及び1〜20個でエトキシ化されたトリメチロールプロパンのトリアクリレートである。
【0129】
ポリエステルポリオールは、例えばウールマン工業化学百科事典第4版、第19巻62〜65頁(Ullmanns Encyklopaedie der technischen Chemie, 4. Auflage, Band 19, S. 62 bis 65)から公知である。二価アルコールと二価カルボン酸との反応によって得られたポリエステルポリオールを使用することが好ましい。フリーのポリカルボン酸の代わりに、相応の無水ポリカルボン酸又は低級アルコールの相応のポリカルボン酸エステル又はこれらの混合物をポリエステルポリオールの製造のために使用してもよい。このポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族又は複素環化合物であってよく、かつ場合により例えばハロゲン原子で置換されており、かつ/又は不飽和であってよい。このポリカルボン酸の例としては、以下のものが挙げられる:
シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン2酸、o−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はテトラヒドロフタル酸、コルク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、二量体脂肪酸、これらの異性体及び水素化生成物並びにエステル化可能な誘導体、例えば無水物又はジアルキルエステル、例えば上述の酸のC〜C−アルキルエステル、好ましくはメチル−、エチル−、又はn−ブチルエステルを使用する。一般式HOOC−(CH−COOHで示され、その式中、yは、1〜20の数であり、好ましくは2〜20の偶数であるジカルボン酸が好ましく、酒石酸、アジピン酸、セバシン酸及びドデカンジカルボン酸が特に好ましい。
【0130】
このポリエステルオールの製造のための多価アルコールとしては、1,2−プロパンジオール、エチレングリコール、2,2−ジメチル−1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,4−ジエチルオクタン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、モル質量が162〜2000であるポリ−THF、モル質量が134〜1178であるポリ−1,3−プロパンジオール、モル質量が134〜898であるポリ−1,2−プロパンジオール、モル質量が106〜458であるポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1,2−、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−、1,3−若しくは1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール又はイソマルチトールが挙げられ、これらは場合により上述のようにアルコキシ化されていてよい。
【0131】
一般式HO−(CH−OHで示され、その式中、xは、1〜20の数、好ましくは2〜20の偶数であるアルコールが好ましい。エチレングリコール、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、オクタン−1,8−ジオール及びドデカン−1,12−ジオールが好ましい。更に、ネオペンチルグリコールが好ましい。
【0132】
更に、例えばホスゲンと、ポリエステルポリオールの構成成分として上述の低分子アルコールの過剰量との反応によって得ることができるポリカーボネートジオールも挙げられる。
【0133】
ラクトンベースのポリエステルジオールも好適であり、この場合、ラクトンのホモ−又はコポリマー、好ましくは、好適な二官能性開始剤分子での末端ヒドロキシル基を有するラクトンのアダクトである。ラクトンとしては、特に一般式HO−(CH−COOHで示され、その式中、zは、1〜20の数であり、かつメチレン単位のH原子は、C〜C−アルキル基で置換されていてもよい化合物から誘導されたラクトンが挙げられる。例は、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、ガンマ−ブチロラクトン及び/又はメチル−ε−カプロラクトン、4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレン酸又はピバロラクトン並びにこれらの混合物である。好適な開始剤成分は、例えば、ポリエステルポリオールの構成成分として上述した低分子二価アルコールである。相応のε−カプロラクトンのポリマーが特に好ましい。低級ポリエステルジオール又はポリエーテルジオールを、ラクトンポリマーの製造のための開始剤として使用してもよい。ラクトンポリマーの代わりに、相応の化学的に等価の、ラクトンに相当するヒドロキシカルボン酸の重縮合物を使用してもよい。更に、多官能性の重合性化合物は、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート又はカーボネート(メタ)アクリレートであってよい。
【0134】
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又はヒドロキシアルキルビニルエーテルと、場合により鎖延長剤、例えばジオール、ポリオール、ジアミン、ポリアミン又はジチオール若しくはポリチオールとの反応により得られる。水中で乳化剤を添加せずに分散可能なウレタン(メタ)アクリレートは、付加的に更にイオン性及び/又は非イオン性の親水基を含有しており、これは例えば構成成分、例えばヒドロキシカルボン酸によりウレタン中に導入されている。
【0135】
使用可能なポリウレタンは、構成成分として、主として:
(a)少なくとも1種の有機脂肪族、芳香族又は脂環式のジ−又はポリイソシアネート、
(b)少なくとも1個のイソシアネートに対して反応性の基と、少なくとも1個のラジカル重合可能な不飽和基とを有する少なくとも1種の化合物及び
(c)場合により、少なくとも2個のイソシアネートに対して反応性の基を有する少なくとも1種の化合物
を含有する。
【0136】
成分(a)としては、例えば、NCO官能価が少なくとも1.8、好ましくは1.8〜5、特に好ましくは2〜4である脂肪族、芳香族及び脂環式のジ−及びポリイソシアネート、並びにそのイソシアヌレート、ビウレット、アロファネート及びウレトジオンが挙げられる。
【0137】
このジイソシアネートは、4〜20個のC原子を有するイソシアネートであることが好ましい。慣用のジイソシアネートの例は、脂肪族ジイソシアネート、例えばテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6−ジイソシアナトヘキサン)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート誘導体、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート又はテトラメチルヘキサンジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、例えば1,4−、1,3−若しくは1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’−若しくは2,4’−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,3−若しくは1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン又は2,4−若しくは2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサン並びに芳香族ジイソシアネート、例えば2,4−若しくは2,6−トルイレンジイソシアネート及びその異性体混合物、m−若しくはp−キシリレンジイソシアネート、2,4’−若しくは4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン及びその異性体混合物、1,3−若しくは1,4−フェニレンジイソシアネート、1−クロロ−2,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトベンゼン又はジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネートである。
【0138】
挙げられたジイソシアネートの混合物も存在していてよい。
【0139】
ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート及びジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタンが好ましい。
【0140】
ポリイソシアネートとしては、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネート、ウレトジオンジイソシアネート、ビウレット基を有するポリイソシアネート、ウレタン基又はアロファネート基を有するポリイソシアネート、オキサジアジントリオン基を含有するポリイソシアネート、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C20−アルキレンジイソシアネートのウレトンイミン変性ポリイソシアネート、合計6〜20個のC原子を有する脂環式ジイソシアネート又は合計8〜20個のC原子を有する芳香族ジイソシアネート、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0141】
使用可能なジ−及びポリイソシアネートは、イソシアネート基含有率(NCOとして算出、分子量=42)が、このジ−及びポリイソシアネート(混合物)に対して、有利には10〜60質量%、好ましくは15〜60質量%、特に好ましくは20〜55質量%である。
【0142】
脂肪族若しくは脂環式ジ−及びポリイソシアネート、例えば上述の脂肪族若しくは脂環式ジイソシアネート又はその混合物が好ましい。
【0143】
更に、好ましくは、
1) 芳香族、脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネートのイソシアヌレート基を有するポリイソシアネート。この場合、相応の脂肪族及び/又は脂環式イソシアナト−イソシアヌレートが特に好ましく、特にこれらは、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートをベースとする。この場合に存在するイソシアヌレートは、特に、ジイソシアネートの環式三量体であるトリス−イソシアナトアルキル−若しくはトリス−イソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレート、又は1個より多いイソシアヌレート環を有するそれらの高級な同族体との混合物である。このイソシアナト−イソシアヌレートは、一般的に、NCO含有率が10〜30質量%、特に15〜25質量%であり、平均NCO官能価は3〜4.5である。
【0144】
2) 芳香族的、脂肪族的及び/又は脂環式的に結合した、好ましくは脂肪族的及び/又は脂環式的に結合したイソシアネート基を有するウレトジオンジイソシアネート、特にヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートから誘導されたイソシアネート基を有するウレトジオンジイソシアネート。ウレトジオンジイソシアネートは、ジイソシアネートの環式二量体化生成物である。
【0145】
このウレトジオンジイソシアネートは、この調製物中において単独の成分としてか又は他のポリイソシアネート、特に1)に挙げたポリイソシアネートとの混合物として使用してよい。
【0146】
3) ビウレット基を有する、芳香族的、脂環式的又は脂肪族的に結合した、好ましくは脂環式的又は脂肪族的に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネート、特にトリス(6−イソシアナトヘキシル)ビウレット又はそれらの高級な同族体とのその混合物。このビウレット基を有するポリイソシアネートは、一般的に、NCO含有率が18〜22質量%であり、かつ平均NCO官能価が3〜4.5である。
【0147】
4) ウレタン基及び/又はアロファネート基を有する、芳香族的、脂肪族的又は脂環式的に結合した、好ましくは脂肪族的又は脂環式的に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネート、例えば、過剰量のヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートと、多価アルコール、例えばトリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、1,2−ジヒドロキシプロパン又はこれらの混合物との反応により得ることができるポリイソシアネート。このウレタン基及び/又はアロファネート基を有するポリイソシアネートは、一般的に、NCO含有率が12〜20質量%であり、かつ平均NCO官能価が2.5〜3である。
【0148】
5) オキサジアジントリオン基を含有するポリイソシアネート、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートから誘導された、オキサジアジントリオン基を含有するポリイソシアネート。かかるオキサジアジントリオン基を含有するポリイソシアネートは、ジイソシアネート及び二酸化炭素から製造することができる。
【0149】
6) ウレトンイミン変性ポリイソシアネート。
【0150】
これらのポリイソシアネート1)〜6)は、混合物として使用してよく、場合によりジイソシアネートとの混合物として使用してもよい。
【0151】
成分b)としては、少なくとも1個のイソシアネートに対して反応性の基と、少なくとも1個のラジカル重合可能な基とを有する化合物が挙げられる。
【0152】
イソシアネートに対して反応性の基は、例えば、−OH、−SH、−NH及び−NHRで示され、その式中、Rは、水素又は1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル又はt−ブチルである基であってよい。
【0153】
成分(b)は、例えば、α,β−不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アクリルアミドグリコール酸、メタクリルアミドグリコール酸又はビニルエーテルと、好ましくは2〜20個のC原子及び少なくとも2個のヒドロキシ基を有するジ−若しくはポリオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,1−ジメチル−1,2−エタンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリトリトール、ジトリメチロールプロパン、エリトリトール、ソルビトール、分子量162〜2000のポリ−THF、分子量134〜400のポリ−1,3−プロパンジオール又は分子量238〜458のポリエチレングリコールとのモノエステルであってよい。更に、(メタ)アクリル酸と、アミノアルコール、例えば2−アミノエタノール、2−(メチルアミノ)エタノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール若しくは2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−メルカプトエタノール又はポリアミノアルカン、例えばエチレンジアミン若しくはジエチレントリアミンとのエステル又はアミド、或いはビニル酢酸を使用してもよい。
【0154】
更に、平均OH官能価が2〜10である不飽和ポリエーテルオール又はポリエステルオール又はポリアクリレートポリオールも好適である。
【0155】
エチレン性不飽和カルボン酸とアミノアルコールとのアミドの例は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、例えばN−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、5−ヒドロキシ−3−オキサペンチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキルクロトンアミド、例えばN−ヒドロキシメチルクロトンアミド又はN−ヒドロキシアルキルマレインイミド、例えばN−ヒドロキシエチルマレインイミドである。
【0156】
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ−及びジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ−及びジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールモノ−、−ジ−及び−トリ(メタ)アクリレート並びに4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、4−アミノブチル(メタ)アクリレート、6−アミノヘキシル(メタ)アクリレート、2−チオエチル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、2−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミドを使用することが好ましい。2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−若しくは3−ヒドロキシプロピルアクリレート、1,4−ブタンジオールモノアクリレート及び3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートが特に好ましい。
【0157】
成分(C)としては、少なくとも2個のイソシアネートに対して反応性の基、例えば−OH、−SH、−NH又は−NHR10で示され、その式中、R10は、互いに無関係に、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル又はt−ブチルであってよい基を有する化合物が挙げられる。
【0158】
この成分(C)は、ジオール又はポリオール、例えば2〜20個の炭素原子を有する炭化水素ジオール、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,1−ジメチルエタン−1,2−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキサン)イソプロピリデン、テトラメチルシクロブタンジオール、1,2−、1,3−若しくは1,4−シクロヘキサンジオール、シクロオクタンジオール、ノルボルナンジオール、ピナンジオール、デカリンジオール等、短鎖ジカルボン酸、例えばアジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸とのそのエステル、このジオールとホスゲンとの反応によってか又はジアルキル−若しくはジアリールカーボネートとのエステル交換により製造されたそのカーボネート、又は脂肪族ジアミン、例えばメチレン−、及びイソプロピリデン−ビス−(シクロヘキシルアミン)、ピペラジン、1,2−、1,3−若しくは1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−、1,3−若しくは1,4−シクロヘキサン−ビス−(メチルアミン)等、ジチオール又は多官能性アルコール、第2級若しくは第1級アミノアルコール、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン等又はチオアルコール、例えばチオエチレングリコールであることが好ましい。
【0159】
更に、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、1,2−及び1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、1,2−、1,3−及び1,4−ジメチロールシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジペンタエリトリトール、ジトリメチロールプロパン、エリトリトール及びソルビトール、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール又は2−(2−アミノエトキシ)エタノール、ビスフェノール−A、又はブタントリオールが考えられる。
【0160】
更に、平均OH官能価が2〜10である不飽和ポリエーテルオール若しくはポリエステルオール又はポリアクリレートポリオール、並びにポリアミン、例えばポリエチレンイミン、又は例えばポリ−N−ビニルホルムアミドのフリーのアミン基を含有するポリマーも好適である。
【0161】
この場合、脂環式ジオール、例えばビス−(4−ヒドロキシシクロヘキサン)イソプロピリデン、テトラメチルシクロブタンジオール、1,2−、1,3−若しくは1,4−シクロヘキサンジオール、シクロオクタンジオール又はノルボルナンジオールが特に好適である。
【0162】
使用可能なポリウレタンは、成分(a)、(b)及び(c)の相互の反応によって得られる。
【0163】
この場合、(a)中の反応性イソシアネート基3モル当たりのモル組成(a):(b):(c)は、一般的に任意に選択し、好ましくは以下の通りである:
(b)イソシアネートに対して反応性の基1.5〜3.0モル、好ましくは2.0〜2.9モル、特に好ましくは2.0〜2.5、なかんずく好ましくは2.0〜2.3モル並びに、
(c)イソシアネートに対して反応性の基0〜1.5モル、好ましくは0.1〜1.0モル、特に好ましくは0.5〜1.0モル、なかんずく好ましくは0.7〜1.0モル。
【0164】
ポリウレタンを水系で使用する際には、存在するイソシアネート基を実質的に全て反応させることが好ましい。
【0165】
イソシアネート基を含有する化合物、及びイソシアネート基に対して反応性の基を含有する化合物からのアダクトの形成は、一般的に、これらの成分を任意の順序で、場合により温度を高めて混合することにより実施する。
【0166】
この場合、イソシアネート基に対して反応性の基を含有する化合物を、イソシアネート基を含有する化合物に、好ましくは多段階で添加することが好ましい。
【0167】
イソシアネート基を含有する化合物を装入し、そしてイソシアネートに対して反応性の基を含有する化合物を添加することが特に好ましい。イソシアネート基を含有する化合物(a)を装入し、次いで(b)を添加することが殊に好ましい。次いで、場合により他の所望の成分を添加してよい。
【0168】
この反応は、一般的には、5〜100℃、好ましくは20〜90℃、特に好ましくは40〜80℃、殊に好ましくは60〜80℃の温度で実施する。
【0169】
この場合、水不含の条件下で作業することが好ましい。
【0170】
この場合、水不含とは、反応系の含水率が5質量%以下、好ましくは3質量%以下、特に好ましくは1質量%以下であることを意味する。
【0171】
この反応は、少なくとも1種の好適な不活性ガス、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等の存在下でしてよいが、これらは一般的には必要ではない。
【0172】
この反応は、不活性溶剤、例えばアセトン、イソブチルメチルケトン、トルエン、キシレン、ブチルアセテート又はエトキシエチルアセテートの存在下で実施してもよい。
【0173】
ウレタン(メタ)アクリレートは、好ましくは数平均分子量Mが500〜20000、特に500〜10000、特に好ましくは600〜3000g/モル(ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定、テトラヒドロフラン及び標準としてポリスチレンを用いる)である。
【0174】
このウレタン(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル基の含有量が、ウレタン(メタ)アクリレート1000g当たり1〜5モル、特に好ましくは2〜4モルであることが好ましい。
【0175】
エポキシド(メタ)アクリレートは、エポキシドと(メタ)アクリル酸との反応によって得られる。エポキシドとしては、例えばエポキシド化オレフィン、芳香族グリシジルエーテル又は脂肪族グリシジルエーテル、好ましくは芳香族グリシジルエーテル又は脂肪族グリシジルエーテルのエポキシドが挙げられる。
【0176】
エポキシド化オレフィンは、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、ビニルオキシラン、スチレンオキシド又はエピクロロヒドリンであってよく、好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、ビニルオキシラン、スチレンオキシド又はエピクロロヒドリンであり、特に好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシド又はエピクロロヒドリンであり、殊に好ましくはエチレンオキシド及びエピクロロヒドリンである。
【0177】
芳香族グリシジルエーテルは、例えばビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−F−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−B−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、フェノール/ジシクロペンタジエンのアルキル化生成物、例えば2,5−ビス[(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]オクタヒドロ−4,7−メタノ−5H−インデン)(CAS番号[13446−85−0])、トリス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]メタン異性体)(CAS番号[66072−39−7])、フェノール系エポキシノボラック(CAS番号[9003−35−4])及びクレゾール系エポキシノボラック(CAS番号[37382−79−9])である。
【0178】
脂肪族グリシジルエーテルは、例えば1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、1,1,2,2−テトラキス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エタン(CAS番号[27043−37−4])、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル(α,ω−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ポリ(オキシプロピレン)(CAS番号[16096−30−3])及び水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]プロパン、CAS番号[13410−58−7])である。
【0179】
このエポキシド(メタ)アクリレート及びエポキシドビニルエーテルは、数平均分子量Mが好ましくは200〜20000、特に好ましくは200〜10000g/モル、殊に好ましくは250〜3000g/モルである;(メタ)アクリル基又はビニルエーテル基の含有量は、エポキシド(メタ)アクリレート又はビニルエーテルエポキシド1000g当たり好ましくは1〜5、特に好ましくは2〜4である(ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定、標準としてポリスチレンを、溶出剤としてテトラヒドロフランを用いる)。
【0180】
カーボネート(メタ)アクリレートは、平均して好ましくは1〜5個、特に2〜4個、特に好ましくは2〜3個の(メタ)アクリル基、殊に好ましくは2個の(メタ)アクリル基を含有する。
【0181】
カーボネート(メタ)アクリレートの数平均分子量Mは、好ましくは3000g/モル未満、特に好ましくは1500g/モル未満、特に好ましくは800g/モル未満(ガス浸透クロマトグラフィーにより測定、標準としてポリスチレン、溶剤としてテトラヒドロフランを用いる)である。
【0182】
このカーボネート(メタ)アクリレートは、炭酸エステルを多価アルコールで、好ましくは二価アルコール(ジオール、例えばヘキサンジオール)でエステル交換し、次いでフリーのOH基を(メタ)アクリル酸でエステル化するか又は(メタ)アクリル酸エステルでエステル交換することによって簡単に得られ、このことは例えばEP−A92269号に記載されている。これらは、ホスゲン、尿素誘導体と多価アルコール、例えば二価アルコールとの反応によっても得られる。
【0183】
同様に、ヒドロキシアルキルビニルエーテルと炭酸エステル並びに場合により二価アルコールとを反応させることによって、ビニルエーテルカーボネートも得られる。
【0184】
ポリカーボネートポリオールの(メタ)アクリレート又はビニルエーテル、例えば上述の1種のジ−又はポリオール及び炭酸エステル並びにヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート又はビニルエーテルからの反応生成物も考えられる。
【0185】
好適な炭酸エステルは、例えばエチレン−、1,2−又は1,3−プロピレンカーボネート、炭酸ジメチル−、−ジエチル−又は−ジブチルエステルである。
【0186】
好適なヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートは、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ−及びジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ−及びジ(メタ)アクリレート並びにペンタエリトリトールモノ−、−ジ−及び−トリ(メタ)アクリレートである。
【0187】
好適なヒドロキシ基含有ビニルエーテルは、例えば2−ヒドロキシエチルビニルエーテル及び4−ヒドロキシブチルビニルエーテルである。
【0188】
特に好ましいカーボネート(メタ)アクリレートは、式:
【0189】
【化10】

[式中、Rは、H又はCHであり、Xは、C〜C18−アルキレン基であり、かつnは、1〜5、好ましくは1〜3の整数である]のカーボネート(メタ)アクリレートである。
【0190】
Rは、好ましくはHであり、かつXは、好ましくはC〜C10−アルキレン、例えば1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン又は1,6−ヘキシレンであり、特に好ましくはC〜C−アルキレンである。XはC−アルキレンであることが殊に好ましい。
【0191】
このカーボネート(メタ)アクリレートは、脂肪族カーボネート(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0192】
多官能性の重合性化合物の中では、ウレタン(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0193】
本発明の更なる対象は、
− 少なくとも1種の式(I)、(II)、(III)、(V)又は(VI)の化合物、
− 1つ以上のラジカル重合可能な二重結合を有する少なくとも1種の化合物、
− 場合により少なくとも1種の光開始剤、
− 1個より多いヒドロキシ基及び/又はアミノ基を有する少なくとも1種の化合物、
− 場合により少なくとも1種の有機金属スズ化合物又は少なくとも1種のセシウム化合物、及び
− 場合により更なる一般的な塗料添加剤
を含有する放射線硬化性被覆剤である。
【0194】
光開始剤は、例えば当業者に知られた光開始剤、例えば「ポリマーサイエンスの発展」第14巻、シュプリンガー社、ベルリン、1974年("Advances in Polymer Science", Volume 14, Springer Berlin 1974)又はK.K.ディエトリッカー著の塗料、インク及びペイントのためのUV及びEB配合物の化学と技術第3巻;フリーラジカルとカチオン重合のための光開始剤、P.K.T.Oldring(編)、SITAテクノロジー有限会社、ロンドン(K.K.Dietliker, Chemistry and Technology of UV- and EB-Formulation for Coatings, Inks and Paints, Volume 3; Photoinitiators for Free Radical and Cationic Polymerization, P.K.T. Oldring (Eds), SITA Technology Ltd, London)中に挙げられた光開始剤であってよい。
【0195】
例えば、EP−A7508号、EP−A57474号、DE−A19618720号、EP−A495751号又はEP−A615980号に記載されているモノ−又はビスアシルホスフィノオキシド、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF AG社のLucirin(登録商標)TPO)、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート(BASF AG社のLucirin(登録商標)TPO L)、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Firma Ciba Spezialitaetenchemie社のIrgacure(登録商標)819)、ベンゾフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、フェニルグリオキシル酸及びこれらの誘導体又はこれらの光開始剤の混合物が挙げられる。例として、上述のベンゾフェノン、アセトフェノン、アセトナフトキノン、メチルエチルケトン、バレロフェノン、ヘキサノフェノン、α−フェニルブチロフェノン、p−モルホリノプロピオフェノン、ジベンゾスベロン、4−モルホリノベンゾフェノン、4−モルホリノデオキシベンゾイン、p−ジアセチルベンゼン、4−アミノベンゾフェノン、4’−メトキシアセトフェノン、β−メチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、アントラキノンカルボン酸エステル、ベンズアルデヒド、α−テトラロン、9−アセチルフェナントレン、2−アセチルフェナントレン、10−チオキサンテノン、3−アセチルフェナントレン、3−アセチルインドール、9−フルオレノン、1−インダノン、1,3,4−トリアセチルベンゼン、チオキサンテン−9−オン、キサンテン−9−オン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジ−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、ベンゾイン、ベンゾイン−イソブチルエーテル、クロロキサンテノン、ベンゾイン−テトラヒドロピラニルエーテル、ベンゾイン−メチルエーテル、ベンゾイン−エチルエーテル、ベンゾイン−ブチルエーテル、ベンゾイン−イソプロピルエーテル、7−H−ベンゾイン−メチルエーテル、ベンズ[de]アントラセン−7−オン、1−ナフトアルデヒド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、ミヒラーケトン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、1−ベンゾイルシクロヘキサン−1−オール、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシアセトフェノン、アセトフェノンジメチルケタール、o−メトキシベンゾフェノン、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、ベンズ[a]アントラセン−7,12−ジオン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルケタール、例えばベンジルジメチルケタール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、アントラキノン、例えば2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン及び2,3−ブタンジオンが挙げられる。
【0196】
黄変しないか又はほとんど黄変しないフェニルグリオキサル酸エステル型の光開始剤も好適であり、この光開始剤はDE−A19826712号、DE−A19913353号又はWO98/33761号に記載されている。
【0197】
この光開始剤の中では、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、ベンゾフェノン、1−ベンゾイルシクロヘキサン−1−オール、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルアセトフェノン及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンが好ましい。
【0198】
1個より多いヒドロキシ基及び/又はアミノ基を有する化合物は、例えば上述のポリエステルオール、ポリエーテルオール又はポリアクリレートポリオールである。
【0199】
更に、ポリアミンが挙げられる。これに関しては、好適なアミンは、一般的には、分子量範囲が32〜500g/モル、好ましくは60〜300g/モルの、少なくとも2個の第1級アミノ基、少なくとも2個の第2級アミノ基、又は少なくとも1個の第1級アミノ基及び少なくとも1個の第2級アミノ基を含有する多官能性アミンである。この例は、ジアミン、例えばジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノヘキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン(イソホロンジアミン、IPDA)、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、アミノエチルエタノールアミン、ヒドラジン、ヒドラジン水和物又はトリアミン、例えばジエチレントリアミン又は1,8−ジアミノ−4−アミノメチルオクタン又はこれより高級なアミン、例えばトリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン又はポリマーアミン、例えば、それぞれ分子量が2000g/モルまで、好ましくは1000g/モルまでのポリエチレン−アミン、水素化ポリ−アクリロニトリル又は少なくとも部分的に水素化されたポリ−N−ビニルホルムアミドである。
【0200】
更に、連鎖停止のために、ヒドロキシ基又はアミノ基を有する化合物を副次的量で使用してよい。これらは、主として分子量の制限のために利用する。モノアルコールの例は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1,3−プロパンジオールモノメチルエーテル、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−デカノール、n−ドデカノール(ラウリルアルコール)及び2−エチルヘキサノールである。モノアミンの例は、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、s−ブチルアミン、t−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン又はラウリルアミンである。
【0201】
更なる一般的な塗料添加剤としては、例えば酸化防止剤、安定剤、活性剤(促進剤)、充填剤、顔料、着色剤、静電防止剤、難燃剤、増粘剤、チキソトロープ剤、界面活性剤、粘度調整剤、可塑剤又はキレート化剤を使用してよい。
【0202】
更に、1種又は複数種の熱活性化開始剤、例えばペルオキソ二硫酸カリウム、ジベンゾイルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、アゾビス−イソブチロニトリル、シクロヘキシルスルホニルアセチルペルオキシド、ジ−イソ−プロピルペルカーボネート、t−ブチルペルオクトエート又はベンズピナコール、並びに、例えば80℃での半減期が100時間より長い、熱活性化開始剤、例えばジ−t−ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、例えばADDID600(Firma Wacker社)の商品名で市販されているシリル化ピナコール又はヒドロキシ基含有アミン−N−オキシド、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等を添加してよい。
【0203】
更なる好適な光開始剤の例は、「ポリマーハンドブック」第2版、ウィレイ&サンズ、ニューヨーク("Polymer Handbook", 2. Aufl., Wiley & Sons, New York)に記載されている。
【0204】
増粘剤としては、ラジカル(コ)ポリマー化した(コ)ポリマーの他に、慣用の有機及び無機増粘剤、例えばヒドロキシメチルセルロール又はベントナイトが挙げられる。
【0205】
キレート化剤としては、例えばエチレンジアミン酢酸及びその塩並びにβ−ジケトンを使用してよい。
【0206】
好適な充填剤には、ケイ酸塩、例えば四塩化ケイ素の加水分解によって得られたケイ酸塩、例えばFa.Degussa社製のAerosil(登録商標)、珪質土、タルク、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等が含まれる。
【0207】
好適な安定剤には、一般的なUV吸収剤、例えばオキサニリド、トリアジン及びベンゾトリアゾール(ベンゾトリアゾールは、Ciba−Spezialitaetenchemie社の商標Tinuvin(登録商標)として入手できる)並びにベンゾフェノンが含まれる。これらは、単独でか又は好適なラジカルスカベンジャー、例えば立体障害アミン、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,6−ジ−t−ブチルピペリジン又はその誘導体、例えばビス−(2,2,6,6−テトラ−メチル−4−ピペリジル)セバシネートと一緒に使用してよい。安定剤は、慣用的にはこの調製物中に含まれる固体成分に対して0.1〜5.0質量%の量で使用する。
【0208】
本発明にかかる被覆剤での基材の被覆は、当業者に知られた慣用の方法により実施し、その際、本発明にかかる被覆剤又はそれを含有する塗料配合物を、被覆されるべき基材上に所望の厚さで施与し、そして場合により乾燥させる。この工程は、所望であれば、1回又は複数回にわたって繰り返して行ってよい。基材上への施与は、公知のように、例えば噴霧、こて塗、ナイフ塗布、はけ塗、ロール塗、圧延、注型、成層、背面射出成形又は同時押出によって実施してよい。この被覆剤の塗布は、粉末の形で静電的に実施してもよい(粉末塗料)。この被覆物の厚さは、一般的に、約3〜約1000g/m、好ましくは10〜200g/mの範囲内である。
【0209】
更に、本発明にかかる被覆剤又はそれを含有する塗料配合物を、場合により更なる一般的な塗料添加剤及び熱硬化性、化学硬化性又は放射線硬化性樹脂と混合し、基材上に施与し、そして場合により乾燥させ、電子線又はUV露光により酸素雰囲気下でか又は好ましくは不活性ガス下で硬化させ、場合により乾燥温度の高さまでの温度で熱処理し、次いで160℃まで、好ましくは60〜160℃の温度で熱処理する、基材の被覆方法を開示する。
【0210】
この基材の被覆方法は、本発明にかかる被覆剤又はそれを含有する塗料配合物の施与の後に、最初に160℃まで、好ましくは60〜160℃の温度で熱処理し、次いで電子線又はUV露光により空気雰囲気下又は好ましくは不活性ガス下で硬化させるように実施してよい。
【0211】
基材上に形成された皮膜の硬化は、所望であればもっぱら熱により実施してよい。しかしながら、一般的には、この被覆物は、高エネルギー放射線での放射線照射によっても熱によっても硬化させる。
【0212】
この硬化は、この熱処理に加えて又はその代わりにNIR放射線によって実施してもよく、その際、NIR放射線は、波長範囲760nm〜2.5μm、好ましくは900〜1500nmである電磁放射線である。
【0213】
場合により、この被覆剤の複数の層を相互に塗布する場合には、それぞれの被覆工程の後に、NIR−、熱硬化及び/又は放射線硬化を実施してよい。
【0214】
この放射線硬化のための放射線源としては、例えば、光開始剤を用いず放射線硬化が可能な、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ並びに蛍光灯、パルスランプ、メタルハライドランプ、閃光装置又はエキシマーランプが好適である。この放射線硬化は、高エネルギー放射線、すなわちUV放射線又は日光、好ましくは波長範囲λ=200〜700nm、特に好ましくはλ=200〜500nm、殊に好ましくはλ=250〜400nmの光の作用によってか又は高エネルギー電子(電子線;150〜300keV)での放射線放射によって実施する。放射線源としては、例えば高圧水銀蒸気灯、レーザー、パルス灯(閃光)、ハロゲン灯又はエキシマーランプを利用する。UV硬化の際に慣用的に架橋に十分な放射線量は、80〜3000mJ/cmの範囲内である。
【0215】
この硬化に、複数種の、例えば2〜4種の放射線源が使用可能であることは勿論である。これらは、それぞれ種々の波長範囲内で放射させてもよい。
【0216】
この放射線照射は、場合により、酸素不存在下で、例えば不活性ガス雰囲気下で実施してもよい。不活性ガスとしては、特に窒素、希ガス、二酸化炭素又は燃焼ガスが好適である。更に、この放射線照射は、被覆材料を透明媒質で被覆することによって実施してよい。透明媒質は、例えばプラスチックフィルム、ガラス又は液体、例えば水である。放射線照射は、DE−A19957900号に記載されているように行うことが特に好ましい。
【0217】
本発明の更なる対象は、基材の被覆方法において、
i)基材を上述の被覆剤又は塗料配合物で被覆し、
ii)この被覆剤又は塗料配合物の揮発性の構成成分を、開始剤が依然として実質的にフリーラジカルを形成しない条件下で除去して皮膜を形成させ、
iii)場合により段階ii)において形成された皮膜に高エネルギー放射線を照射し、この皮膜を事前に硬化させ、次いで場合によりこの事前に硬化された皮膜で被覆された対象物を機械的に加工するか又はこの事前に硬化された皮膜の表面と他の基材とを接触させ、
iv)この皮膜を熱により最終硬化させる方法である。
【0218】
この場合、段階iv)とiii)とは、順序を逆にして実施してもよい、すなわち皮膜を最初に熱硬化させ、次いで高エネルギーの放射線により硬化させてよい。
【0219】
本明細書中においては、使用されるppmの記載及び%の記載は、特に記載がない限り、質量%及び質量ppmを示す。
【0220】
以下の実施例は本発明を説明するものであるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0221】
実施例
比較例1
蒸留橋及びリービッヒ冷却器及び撹拌器を備えた250mlの4首反応フラスコ中に、4.74gのn−ブチルアセテート、6.0gの2,4,6−トリス(メチルカルバモイル)−1,3,5−トリアジン、6.97gの2−ヒドロキシエチルアクリレート、12.5mgの4−メトキシフェノール、4mgの2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール及び0.3mgのフェノチアジンを溶解させ、そして内部温度を110℃まで上昇させた。生じたメタノールを留去した。
【0222】
300分後の転化率:2−ヒドロキシエチルアクリレート25%、2,4,6−トリス(2−エトキシアクリラトカルバモイル)−1,3,5−トリアジン4%(HPLC)。
【0223】
実施例1
蒸留橋及びリービッヒ冷却器及び撹拌器を備えた250mlの4首反応フラスコ中に、12.32gのn−ブチルアセテート、6.0gの2,4,6−トリス(メチルカルバモイル)−1,3,5−トリアジン、6.97gの2−ヒドロキシエチルアクリレート、12.5mgの4−メトキシフェノール、4mgの2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール及び0.3mgのフェノチアジン並びに0.96mgのセシウムアセテートを溶解させ、そして内部温度を110℃まで上昇させた。生じたメタノールを留去した。
【0224】
300分後の転化率:2−ヒドロキシエチルアクリレート50%、2,4,6−トリス(2−エトキシアクリラトカルバモイル)−1,3,5−トリアジン17%(HPLC)。
【0225】
実施例2
第1表に挙げたように、0.136gのp−メトキシフェノール、0.045gのジ−t−ブチル−p−クレゾール、0.003gのフェノチアジン、0.016gのジブチルスズジラウレート(DBTL)、2,4,6−トリスアルコキシカルバモイル−1,3,5−トリアジン、ジオール及び/又はポリエステルオール並びにヒドロキシエチルアクリレート(HEA)を30.0mlのメチルイソブチルケトン(MIBK)中に懸濁させた懸濁液を、4時間にわたって112℃の槽温度で撹拌した。次いで、この反応混合物を52℃の槽温度及び750ミリバールの減圧で2時間にわたって蒸留した。澄明な樹脂溶液が得られた。使用されたモル量は、第2表から得ることができる。
【0226】
皮膜試験
この樹脂溶液を、メチルイソブチルケトンの添加によって粘度を約3.5Pasに調節し、そして光開始剤としての4質量%(固体含有率に対して)の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(Firma.Ciba Spezialitaetenchemie社製のDarocur(登録商標)1173)と混合した。この被覆剤を、ボックスドクター(Kastenrakel)を用いてそれぞれの基材上に塗布し、そして30分にわたって60℃で乾燥させて溶剤を除去した。
【0227】
この被覆物を、30分の加熱処理により熱硬化させるか又はドープされていない高圧水銀ランプ(出力120W/cm)で、ランプと基材との距離を12cm、コンベア速度を約10m/分にして、100℃の温度で露光させるか又は最初に露光させ、次いで熱硬化させた。
【0228】
この振子硬度(PD)は、DIN53157により測定し、これは被覆物硬度の基準である。この振子硬度は、振子が静止するまでの秒(s)で示す。
【0229】
この値が高ければ、硬度が大きいことを意味する。振子硬度の測定のための皮膜を、ボックスドクターを用いてガラス上に施与した。この硬化前の層厚は、100μmであった。
【0230】
このエリクセン押出度(ET)は、DIN53156により測定し、これは可撓性及び弾性の基準である。このエリクセン押出値は、ミリメートル(mm)で示す。この値が高ければ、可撓性が大きいことを意味する。エリクセン押出度の測定のための皮膜を、スパイラルドクター(Spiralrakel)を用いて板上に施与した。この硬化前の層厚は、50μmであった。
【0231】
第1表
【0232】
【表1】

1) 2,4,6−トリス(メトキシカルバモイル)-1,3,5−トリアジン
2) 2,4,6−トリス(メトキシ/ブトキシ−カルバモイル)−1,3,5−トリアジン(モル比メチル:ブチル=60:40)
A 1モルのアジピン酸、1モルのイソフタル酸及び2モルの1,6−ヘキサンジオールからのモル質量約1000g/モルのポリエステル
B 1,4−ブタンジオール
これらの実施例は、完全硬化が、熱架橋と光化学的架橋との組み合わせによってはじめて達成されることを示している。このように、本発明にかかる化合物を用いれば、顕著な硬度を示す被覆物が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、R、R及びRは、それぞれ互いに無関係に二価の有機基であり、
、X及びXは、それぞれ互いに無関係に酸素又は置換若しくは非置換の窒素(NR)であり、
Rは、水素又はC−C20−アルキルであり、かつ
、Z及びZは、それぞれ互いに無関係にビニル、メタクリロイル又はアクリロイルである]の1,3,5−トリアジンカルバメート及び−尿素。
【請求項2】
式(II)
【化2】

及び式(III)
【化3】

[式中、X、X、Z、Z、R及びRは、請求項1に挙げられた意味と同じ意味を有し、かつ
及びRは、それぞれ互いに無関係にC−C−アルキルである]の1,3,5−トリアジンカルバメート及び−尿素。
【請求項3】
式(V)
【化4】

及び式(VI)
【化5】

[式中、X、X、Z、Z、R及びRは、請求項1に挙げられた意味と同じ意味を有する]のイソシアネート基を含有する1,3,5−トリアジンカルバメート及び−尿素。
【請求項4】
式(IV)
【化6】

[式中、R、R及びRは、それぞれ互いに無関係にC−C−アルキルであってよい]の化合物、
又は2,4,6−トリイソシアナト−[1,3,5]トリアジンと、
ヒドロキシ基又はアミノ基及び少なくとも1個のビニル基、メタクリロイル基又はアクリロイル基を有する化合物との反応によって得られる放射線硬化性の1,3,5−トリアジンカルバメート及び−尿素。
【請求項5】
ヒドロキシ基又はアミノ基及び少なくとも1個のビニル基、メタクリロイル基又はアクリロイル基を有する化合物が、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリエステルオール(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート及びエポキシ(メタ)アクリレートからなる群から選択されることを特徴とする、請求項4に記載の放射線硬化性の1,3,5−トリアジンカルバメート及び−尿素。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の式(I)、(II)及び(III)の化合物の製造方法において、式(IV)
【化7】

[式中、R、R及びRは、それぞれ互いに無関係にC−C−アルキルであってよい]の化合物と、
式(VII)
−O−R−X−H若しくはZ−O−R−X−H又はZ−O−R−X−H
[式中、X、X、X、Z、Z、Z、R、R及びRは、請求項1に挙げられた意味と同じ意味を有する]のアルコール又はアミンとを反応させることによる方法。
【請求項7】
式(I)、(II)及び(III)の化合物の製造方法において、2,4,6−トリイソシアナト−[1,3,5]トリアジンを、請求項6に定義された式(VII)のアルコール又はアミンと反応させ、かつ化合物(II)及び(III)の場合には、この反応と同時に、この反応前にか又はこの反応後に、式ROH又はROHで示され、その式中、R及びRは、それぞれ互いに無関係にC−C−アルキルであってよいアルコールと反応させることによる方法。
【請求項8】
請求項3に記載の式(V)又は(VI)の化合物の製造方法において、2,4,6−トリイソシアナト−[1,3,5]トリアジンと、請求項6に定義された式(VII)のアルコール又はアミンとを反応させることによる方法。
【請求項9】
少なくとも1種の式(I)及び/又は式(II)及び/又は式(III)及び/又は式(V)及び/又は式(VI)の化合物及び/又は請求項4に記載の放射線硬化性の1,3,5−トリアジンカルバメート又は−尿素を含有する被覆剤。
【請求項10】
請求項1に定義された式(I)の化合物を、放射線硬化に用いる使用。
【請求項11】
式(II)及び/又は式(III)及び/又は式(V)及び/又は式(VI)の化合物及び/又は請求項4に記載の放射線硬化性の1,3,5−トリアジンカルバメート又は−尿素を、デュアルキュア硬化に用いる使用。

【公表番号】特表2007−533664(P2007−533664A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507710(P2007−507710)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003687
【国際公開番号】WO2005/103016
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】