説明

ビハインドPBXを有する構内自動電話交換システムにおける呼の転送制御方法

【課題】ビハインドPBXを有する構内自動電話交換システムにおいて話中の呼を他の内線端末に転送する場合、内線の収容先に関係ない転送操作を可能とする。
【解決手段】第1のPBX10と第2のPBX20をPBX接続用回路14、22、15、23で互いに接続した構内自動電話交換システムにおける話中の呼を転送する転送制御方法であって、第1のPBX10の内線端末31と通話中の呼を他の内線に転送する際に、第1のPBX10の内線端末からの転送要求と転送先内線番号を検出し、転送先内線が第1のPBX10内にあるか否かを判断する過程と、転送先内線が第1のPBX内にあるときに第1のPBX内の転送先内線に呼を転送する処理を行う過程と、転送先内線が第1のPBX10内にないときに転送先内線が第2のPBX20内にあるとして第2のPBX内の転送先内線に呼を転送する処理を行なう過程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構内自動電話交換機(以下、PBXと略す)における転送制御方式に関する。本発明は、特に第1のPBXと第2のPBXをPBX接続用トランク回路(COT)とPBX接続用ライン回路(LIN)を介して互いに接続した構内自動電話交換システムにおいて、前記第1のPBXの通話端末と外線または他の内線端末との通話をその他の内線端末に転送する構内自動電話交換システムにおける呼の転送制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存のPBXの容量以上の外線や内線端末を増設する場合には、既存のPBXを容量の大きな新たなPBXに置き換える方式や、既存のPBXのほかに第2のPBXを設け、既存のPBXと第2のPBXを、PBX接続用トランク回路を介して相互に接続して使用する構内自動電話交換システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来、ディーリング通話システムなどの多数の外線を必要とする構内自動電話交換システムでは、ディーリング通話端末が収容されるPBXに他のPBXを支援用のPBX(ビハインドPBX)として接続して運用する形態が多く採用されている。このようなビハインドPBXが接続される構内自動電話交換システムでは、外線または他の内線端末と通話中の転送機能を有する内線端末(例えばディーリング通話システムにおける通話台)が、当該内線端末が収容されるPBX(以下、第1のPBXということがある)内の他の内線端末に呼を転送しようとする場合、例えば、当該内線端末の転送釦を押し、続いて相手内線番号をダイヤルすることによって、通話台が収容される第1のPBX内の他の内線端末に転送していた。また、前記第1のPBXに収容された内線端末からビハインドPBX(以下、第2のPBXということがある)内の内線端末に通話を転送する場合には、フッキング釦等を押す操作でフッキング信号をビハインドPBXに送出することにより転送起動をかけ、その後転送先の内線番号をダイヤルする操作でダイヤルされた内線番号を送出して、ビハインドPBX内の該当する内線端末を呼び出し、応答があると呼を接続していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−13095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のビハインドPBXを有する構内自動電話交換システムでは、転送先の内線端末が、第1のPBX内に存在するのか、または第2のPBXに存在するのかで、転送釦またはフッキング釦を選択しなければならず、転送先のPBX毎に操作手順が異なることから、操作者は、内線端末がどのPBXに収容されているかを知らなければならず混乱を招くことや、収容先が不明の場合には誤操作となる問題が発生し、サービス低下になってしまうという欠点があった。
【0006】
すなわち、従来技術は、構内自動電話交換システムの第1のPBXに収容された内線端末が通話中の呼を他の内線端末に転送する場合、第1のPBXシステム内の内線端末に対しては通常の転送操作、例えば“転送釦+内線番号”をダイヤルして第1のPBX内の目的とする内線端末を呼び出し、第2のPBXに収容された内線端末に転送する場合は、例えば“フッキング釦+内線番号”をダイヤルして第2のPBXシステム内の目的とする内線端末を呼び出していた。しかし、これらの操作では、転送先の内線端末が、第1のPBXシステム内にあるかまたは第2のPBXシステムに収容されるのかを意識して操作しなければならず、収容先の認識を誤った場合には誤操作を招くことや、混乱して転送操作に時間がかかるといった問題が生ずる。
【0007】
本発明は、上記問題を解決することを目的とし、特に、第1のPBXと第2のPBXが互いにPBX接続用トランク回路を介して接続された構内自動電話交換システムにおいて、第1のPBXの内線端末が通話中の呼を他の内線端末に転送しようとする場合、転送操作者は、転送先の内線端末が第1のPBX内の内線端末であるか、または、第2のPBX内の内線端末なのかを意識せずに同一操作で、通話中の呼を容易に転送できる呼の転送制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、第1の構内自動電話交換機(以下、第1のPBXということがある)と第2の構内自動電話交換機(以下、第2のPBXということがある)を互いにPBX接続用トランク回路を介して接続した構内自動電話交換システムにおける呼の転送制御方法において、第1のPBXの中央制御装置に、第1のPBXに収容される内線端末の内線番号を管理する内線番号管理データおよび回線制御データならびにそれぞれの内線端末の現在の通話先に関するデータと、転送釦またはフッキング釦が押されたことを認識する手段と、内線端末から送出された信号から内線番号を認識する手段と、転送先の内線番号が第1のPBX内に存在するかどうかを識別する手段と、現在の通話先との通話を接続先の内線番号に転送する手段を設け、現在通話中の内線端末から呼の転送要求があったときに、転送先の内線番号から転送先の内線端末が第1のPBXか第2のPBXのいずれに収容されているかを判断し、目的とする転送先に通話を転送する。
【0009】
すなわち、本発明は、第1のPBXと第2のPBXを互いにPBX接続用トランクを介して接続した構内自動電話交換システムにおける呼の転送制御方法において、第1のPBXに、転送先の内線番号を識別する転送先内線番号識別手段および転送先回線がどのような回線かを識別する転送先回線識別手段ならびに転送先回線に対してフッキングを送出可能かどうかの条件を記憶したデータを設け、外線と通話中のディーリング通話端末が、当該通話を転送キーなどの釦操作に続いて転送先の内線番号をダイヤルするか、或いは転送先の電話番号を記憶しているワンタッチ釦などを操作して他の内線端末に転送する場合、目的とする転送先を決定し、該相手先へ接続する。
【0010】
本発明は、第1のPBXと第2のPBXを互いにPBX接続用トランクを介して接続する所謂ビハインドで接続した構内自動電話交換システムにおける呼の転送制御方法おいて、第1のPBXに収容した内線端末が外線又は他の内線端末と通話中の呼を他の内線端末に転送しようとする場合に、第1のPBX内の内線端末に転送する場合と、第2のPBXに収容する内線端末へ転送する場合の操作を同一にするため、第1のPBX内に、内線番号の管理データと、転送要求および転送先内線番号を抽出する手段と、抽出した内線番号が第1のPBX内に存在するか否かを識別する手段と、現在通話中の相手を記憶する手段を設け、これらの情報を基に第1のPBX内の内線端末に転送するか、またはビハインドPBX内の内線端末に転送するかを決定する手段と、それぞれの転送形態に応じた転送制御を行う制御手段とを備えた。
【0011】
本発明は、第1のPBX内の内線端末が通話中の呼を他の内線に転送する場合、転送要求の後にダイヤルされた内線番号が第1のPBXに収容された内線か否かを識別する手段と、通話中の相手の回線の種別を識別する回線識別手段とを備え、転送先の内線が第1のPBX内に存在する内線番号の場合には該当する内線番号に対して呼び出し信号を送出し着信制御を行う。また、転送先の内線番号が第1のPBX内に存在しない内線番号の場合には第2のPBX(ビハインドPBX)に収容された内線番号と判断し、通話中回線の識別により、フッキング信号を送出するかまたは、PBX転送用回線を捕捉するかを決定し、ダイヤルされた番号を該当するPBXへ送出することによって転送先の内線番号を呼び出し通話することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は通話中の呼を転送する場合、ディーリングシステム内の内線か又はビハインドPBX収容の内線なのかを意識せずに同一操作で行えるので転送操作者は容易に転送できる。これにより誤操作や転送操作にかかる時間をスムーズに行えるのでサービス低下を招くことなく運用することができる。また、本発明によれば、本操作のためのソフトウェアの制御も簡単に行え、開発コストを少量に抑えることができるので本発明の効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の構内自動電話交換システムの構成を説明する中継方式図である。
【図2】本発明の転送制御を実現する際に使用するデータの構成テーブルを示す図である。
【図3】本発明の転送操作を行う通話台の盤面図である。
【図4】本発明の構内自動電話交換システムを構成する第1のPBXの機能構成を説明する図である。
【図5】本発明の動作を説明するフローチャート(その1)である。
【図6】本発明の動作を説明するフローチャート(その2)である。
【図7】本発明の動作を説明するフローチャート(その3)である。
【図8】本発明の動作を説明するフローチャート(その4)である。
【図9】本発明の動作を説明するフローチャート(その5)である。
【図10】本発明のシステムの動作状態を示す状態遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施例は、第1のPBXに収容される内線端末がディーリング通話システム内に収容される通話台(ディーリング通話端末)であり、この通話台が通話中の呼を他の内線へ転送する場合の転送制御を一例に説明する。本発明における内線端末は、上記の通話台に限定されるものではない。
【0015】
[構内自動電話交換システムの構成]
図1は、本発明の構内自動電話交換システム構成を説明する中継方式図である。図1において、本発明の構内自動電話交換システムは、第1の構内自動交換機(以下、第1のPBXまたはディーリング通話システムともいう)10と、第1のPBX10にビハインド接続された第2のPBX(以下、ビハインドPBXとも言う)20を備えている。第1のPBX10は、通話路スイッチ(ネットワーク)11と、中央制御装置(CPU)16と、記憶装置(MEM)17とを備えている。通話路スイッチ11と、中央制御装置160と、記憶装置17は、制御バス18によって接続される。
【0016】
第1のPBX10の通話路スイッチ11のハイウェイには、内線端末である通話台31と接続する通話台用のライン回路(DBL)12、多機能電話機32と接続する多機能電話機用のライン回路(MTL)13、および公衆網40と接続する局線回路(COT)14a、さらにはビハインドPBX20と接続するPBX接続用トランク回路(COT)14b、14c、外線転送用トランク回路(ODT)15を収容している。通話路スイッチ11は、通話台用ライン回路(DBL)12と局線回路(COT)14a間の接続(CON1)およびPBX接続用トランク回路(COT)14b、14c間で自在に接続を行う。また、前記通話台31や多機能電話32が通話するための通話路スイッチ11は、入ハイウェイと出ハイウェイ間で通話路スイッチの接続CON1、CON2、CON3などを行う。
【0017】
中央制御装置16は、転送サービス等の制御を含むシステム全体の動作の制御を行うものであり、この制御は、記憶装置17に格納されている処理手順、処理データに基づいて遂行される。第1のPBX10の各装置は、制御バス18を介して送受信される制御データにより中央制御装置16の制御下で動作している。
【0018】
また、第2のPBX20は第1のPBX10と同様にPBX接続用トランク回路14b、14cに対抗するライン回路(LIN)22a、22bや公衆網40と接続する局線回路(COT)24、外線転送用トランク回路(ODT)23を収容しており、各々のシステムで独立に動作している。
【0019】
すなわち、第2のPBX20は、通話路スイッチ21、第1のPBX10のPBX接続用トランク回路(COT)14b、14cおよび外線転送用トランク回路(ODT)15に対向するライン回路(LIN)22a、22bおよび外線転送用トランク回路(ODT)23、ならびに公衆網40に接続される局線回路(COT)24、内線端末33に接続されるライン回路(LIN)22cを収容している。第2のPBX20は、入ハイウェイと出ハイウェイ間で通話路スイッチの接続CON4、CON5などの接続を行う。第2のPBX20も第1のPBX10と同様に通話路スイッチ21および図示を省略した中央制御装置と記憶装置とを備えている。通話路スイッチ21と中央制御装置と記憶装置は、制御バスによって接続される。
【0020】
[制御データの説明]
図2を用いて、第1のPBX10の記憶装置17に記憶されている回線制御データ171および内線番号管理テーブル173の例を説明する。回線制御データ171は、ルート番号ごとの第1のPBX内の局線回路(COT)14aまたはPBX接続用トランク回路(COT)14b、14cを識別するためのデータとそのルート番号ごとのフッキング信号の送出許容/不許容のデータを格納するテーブルであり、ルート番号1711ごとにフッキング識別データ(HKDAT)1712および回線識別フラグ(PDFLG)1713か記述される。フッキング識別データ1712には、当該ルート番号がフッキング不許可“0”であるかフッキング許可“1”であるかのフラグが記述される。ルート番号は、通話路スイッチ11に接続された局線回路(COT)14a、PBX接続用トランク回路(COT)14b、14cの1回路毎にそれぞれの接続先や利用可能な多機能電話機等を限定するために、グループ化するための番号であり、例えば、局線回路(COT)14aをルート番号1とし、PBX接続用トランク回路(COT)14b、14cをルート番号2としてもよい。
【0021】
また、内線番号管理テーブル173は、第1のPBX10内に収容される通話台31、多機能電話機32などを含む第1のPBX10内に存在する全ての内線端末の内線番号(1731a〜1731n)を格納しており、ダイヤルされた内線番号が同一PBX(第1のPBX)内にあるかどうかを識別し、転送先を選択する際に使用するデータである。
【0022】
[通話台:ディーリング通話端末の構成]
図3は、図1に示す第1のPBX10に収容する通話台31の一例を示す盤面図である。通話台31は、盤面に、ダイヤルキー311と、転送釦312a、保留釦312b、フッキング釦312c、切断釦312dなどの機能キー312と、回線キー313a〜313jと、PBX回線キー314a〜314cと、ハンドセット315などを備えている。
【0023】
図4を用いて、本発明にかかる呼の転送制御方法が適用される第1のPBX10の機能構成を説明する。第1のPBX10は、通常の自動電話交換機としての機能のほかに、中央制御装置16内に、通話中の内線端末の出力信号から転送要求と転送先の内線番号を抽出する転送先番号抽出機能161と、抽出した内線番号が第1のPBX10に収容された内線番号であるか否かおよび第1のPBXの内線番号でないときに第2のPBX20の内線番号であるか否かを認識する転送先PBX認識機能162と、認識した内線番号が第1のPBXに収容された内線番号であるときに通話相手との呼を認識した内線番号に転送する処理を実行し、認識した内線番号が第2のPBXに収容された内線番号であるときに第2のPBX20との間の回線に通話相手との呼を転送する処理を実行する転送処理機能163とを有している。さらに、第1のPBX10は、第1のPBXが収容している回線(ルート番号)がフッキングを許容するか不許容であるかを識別しこの回線が公衆網接続用回線であるかPBX接続用回線であるかを識別する制御データである回線制御データ171と、第1のPBXに収容される内線番号を全て記述した内線番号管理テーブル173と、現在通話中の通話相手の回線が何であるかを記述した通話相手回線データ175を有している。
【0024】
[動作の流れ]
図5〜図9は、本発明の動作の流れを説明するフローチャートである。図10は、第1のPBXおよび第2のPBXの動作状態の遷移を説明する状態遷移図である。
【0025】
以下、図1〜図4および図5〜図9および図10に基づいて本発明の動作を説明する。ここでは、図1に示す第1のPBX10に収容する内線端末31が任意の回線と通話中に転送釦を押し、内線番号をダイヤルして転送先の内線に接続する制御を説明する。
【0026】
[公衆網40との通話を第1のPBX内で転送]
図1の通話台31が局線回路(COT)14aを経由した公衆網40の相手と通話していて、この通話を第1のPBX内の他の内線端末に転送する場合を図5、図6を用いて説明する。図5に示すように、公衆網40と通話中の通話台31が、例えば、転送釦312aを押すと(S01)、第1のPBX10の中央制御装置16の転送先抽出機能161が、通話中状態にある通話台用オンライン回路(DBL)12よりキー情報を検出し、転送釦の押下と識別し、ダイヤル中の状態に遷移するためのタスクを決定しダイヤル受信準備を行う。通話台31が転送釦312aに続いて転送先である多機能電話機32の内線番号、例えば“200”をダイヤルキー311を操作してダイヤルし(S02)、ダイヤル中の状態からダイヤル受信完を検出すると、中央制御装置16の転送先抽出機能161が、受信ダイヤル番号の抽出処理を行う(S03)。続いて、中央制御装置16転送先PBX認識機能162が、図2に示す内線番号管理テーブル173を参照して内線番号データSDNを順次抽出し(S04)、抽出した内線番号と受信した内線番号とを比較して一致するか否かを判断し(S05)、一致したときには、図7に移行して、第1のPBX10内の内線呼び出し処理を行い(S18)、従来の転送処理を行う。
【0027】
すなわち、この転送制御方法は、第1のPBX10に収容される内線端末31が公衆網40と直接通話しており、この呼を第1のPBX10内の他の内線端末32に転送する場合に、公衆網40への回線14aを第1のPBX10内の他の内線端末32に転送する転送制御方法である。
【0028】
[公衆網40との通話を第2のPBXへ転送]
公衆網40と通話中の通話台31が、この通話を第2のPBX20収容の内線端末に転送する場合、第1のPBX内の内線に転送する操作と同様に転送釦の押下(S01)に続き、第2のPBX20の一般電話機33の内線番号、例えば“300”をダイヤルする(S02)と、中央制御装置16の転送先抽出機能161が、転送先の内線番号の抽出処理を行い(S03)、内線番号管理テーブル173の内線番号を順次抽出して(S04)、抽出した内線番号と転送先内線番号が一致するか否かを判定する(S05)。一致しないときには、内線番号管理テーブル内173の内線電話番号との比較を最後まで実施する(S06)。この例では、転送先の内線が第2のPBX20に収容された一般電話機33への転送であるため一致しないので、中央制御装置16は、回線制御データ171を参照して通話相手の回線制御データを抽出する(S07)。その後、転送先が構内自動電話交換システム内の内線であるか否かを判定する処理を実行する(S08)。転送先が構内自動電話交換システム内の内線端末であるか否かの判定(S09)で、転送先が構内自動電話交換システム内の内線端末でないときには、フッキング許容か否かを判定に移り(S10)、フッキング許容であるときには、図9に移行し、不許容であるときには、図6に移行する。ステップS09の判定で、転送先が構内自動電話交換システムの内線端末であるときには、図8に移行する。
【0029】
すなわち、この実施例では、転送先内線が第1のPBX10内にないときに転送先内線が第2のPBX20内にあるとして第2のPBX内の転送先内線に呼を転送する処理を行なう。
【0030】
転送先内線端末が第2のPBX20の内線であるときには、中央制御装置16は、回線制御データ171のHKDAT(フッキング識別データ)1712を抽出しフッキング許容かどうかを判定する(S11)。フッキング識別データが“1”であるときには不許容となり図6に移行して、外線転送用トランク回路(ODT)14を捕捉する外線転送用トランク捕捉特番(ODT特番)を記憶装置17から取り出して(S12)、内線番号の前に付加する(S13)。中央制御装置16は、受信したダイヤルを取り出し(S14)、外線転送用トランク回路(ODT)15捕捉して、捕捉したODT回路15に内線番号を送出する(S16)。ステップS12の処理では通常の外線転送用トランク捕捉特番をダイヤルした場合と同様の操作とするため、受信したダイヤル番号の前にODT捕捉特番を付加することで、ステップ14以降の処理は一般の特番発信処理と同一ルートを利用することができる。
【0031】
第2のPBX20では、外線転送用トランク回路(ODT)23から内線番号“300”を受信し、該当する一般電話機33を呼び出すための制御を行う(S17)。これらの制御は、第2のPBX20側にすれば通常の制御となるため、以降の説明は省略する。
【0032】
このようにして、第1のPBX10の内線端末31が話中の呼を第2のPBX20の一般電話機33に転送する場合にも、操作者は、転送先の内線が同一のPBX内にあるかまたは他のPBX内にあるかにかかわらず、転送釦を押した後転送先の内線番号をダイヤルするだけで、その内線番号に転送することができる。
【0033】
すなわち、この転送制御方法は、第1のPBX10に収容される内線端末31が公衆網40と直接通話しており、この呼を第2のPBX20内の他の内線端末33に転送する場合に、公衆網40への回線14bを第2のPBX20のPBX接続用回路22bに接続された第1のPBX10内のPBX接続用回路14cに接続する話中の呼を転送する転送制御方法である。
【0034】
[第1のPBX内の他の内線端末との通話を第2のPBXの内線へ転送]
第1のPBX10内の通話台31が、第1のPBX10内の多機能電話機32との通話を第2のPBX20収容の内線に転送する場合の動作について説明する。操作者が通話台31の転送釦312aを押し下げた(S01)後、転送先である第2のPBX20内の一般電話機33の内線番号、例えば“300”をダイヤルする(S02)と、ステップS04からステップS06の一連の処理で一致せず、ステップS07の処理に移行する。ここでの処理は転送先が第2のPBX20内の内線なのでステップS09の判定で第2のPBX20内の内線と判定され、図8のステップS20の処理へ移行する。ステップS20では、PBX接続用トランク捕捉特番をダイヤルした場合と同様の操作となり、受信した転送先内線の内線番号の前にPBX接続用トランク捕捉特番を付加することで、ステップS22以降の処理は一般の特番発信処理と同一ルートを利用することができる。これにより第2のPBX20では内線番号“300”を受信し、該当する一般電話機33を呼び出すための制御を行う。
【0035】
すなわちこの転送制御方法は、第1のPBX10に収容される内線端末31が第1のPBX10の他の内線端末32と通話しており、この呼を第2のPBX20内の他の内線端末33に転送する場合に、第1のPBX10の他の内線端末32の回線を第2のPBX20のPBX接続用回路22bに接続された第1のPBX10内のPBX接続用回路14cに接続する話中の呼を転送する転送制御方法である。
【0036】
[第2のPBXを介した公衆網40との通話を第1のPBX内で転送]
第1のPBX10に収容された通話台31が、PBX接続用トランク14b、第2のPBX20のPBX接続用ライン回路(LIN)22a、通話路スイッチ21、局線回路(COT)24を経由した公衆網40の通話を、第1のPBX10内の内線、例えば多機能電話機32に転送する場合について説明する。第2のPBX20を経由した公衆網40との通話を第1のPBX10の内線に転送する場合、操作者が、通話台31の転送釦312aを押す(S01)と、中央制御装置16が、通話中状態にある通話台用ライン回路(DBL)12からキー情報を検出し、キー情報が転送釦と識別すると、ダイヤル中の状態に遷移するためのタスクを決定しダイヤル受信準備を行う。通話台31は転送釦312aに続いて多機能電話機32の内線番号例えば“200”をダイヤルする(S02)と、前記ダイヤル中の状態からダイヤル受信完を検出し、受信ダイヤル番号の抽出処理(転送先内線番号抽出処理)を行う(S03)。中央制御装置16は、続いて、図2に示す内線番号管理テーブル173より内線番号データSDNを順次抽出し(S04)、受信したダイヤル番号と比較する処理を行う(S05)。この転送は、第1のPBX10内の内線に転送する操作であるので、内線管理テーブル173の内線番号と一致するので第1のPBX10内の内線への転送と判断し、タスクを決定し該当する内線“200”に対して着信音を鳴動させるための制御を行う(S18:図7)。これらの制御は前記の局線回路14aを経由した公衆網40の相手と通話していた場合と同様の制御となり、以降は従来の処理をそのまま利用できる。
【0037】
すなわち、この転送制御方法は、第1のPBX10に収容される内線端末31が第2のPBX20を介して公衆網40と通話しており、この呼を第1のPBX10内の他の内線端末32に転送する場合に、公衆網40へ接続されたPBX接続用回路14bを第1のPBX10内の他の内線端末32に接続する話中の呼を転送する転送制御方法である。
【0038】
[第2のPBX20を介した公衆網40との通話を第2のPBXへ転送]
第2のPBX20を経由した公衆網40との通話を第2のPBX20に収容される内線に転送する場合、操作者は、転送釦312aの押下げ(S01)に続き、一般電話機33の内線番号、例えば“300”をダイヤルする(S02)と、ステップ05の一致判定処理で一致せず、ステップS07の処理に移行する。ここでの処理は、回線制御データ171(図2)を参照して転送先回線のルート番号で索引して当該ルートの回線識別フラグ(PDFLG)を抽出し(S07)、転送先内線が第2のPBXに収容される内線であるかを判定する(S09)。転送先が、第2のPBX内の内線であるときには、第2のPBX接続用となり、ステップS10の処理へ移行する。回線制御データ171のフッキング識別データ(HKDAT)を抽出して(S10)、転送先内線がフッキング許容かどうかを判定する(S11)。ステップS11の判定結果がフッキング許容であるときには、図9に移行し、外線転送用トランク(COT)14CとPBX接続用ライン回路(LIN)22bを経由して転送先の回線に対して、フッキング信号を送出する(S26)。このように第2のPBXに収容される内線に外線転送用トランク(COT)14cを介して呼を転送する場合、転送信号の送信はできないためフッキング信号の送出を行う。この処理では通常のフッキング釦操作と同様の制御で通話相手回線に対してフッキング信号を送出する制御を行い、第2のPBX20に対して転送起動をかけるとともに受信した内線番号“300”を送出する(S27)。内線番号“300”を受信した第2のPBX20は、通話路スイッチ21に接続CON5を形成し、ライン回路(LIN)22cを経由して一般電話機33を呼び出すための制御を行う(S28)。
【0039】
すなわち、この転送制御方法は、第1のPBX10に収容される内線端末31が第2のPBX20を介して公衆網40と通話しており、この呼を第2のPBX20内の他の内線端末33に転送する場合に、公衆網40へ接続されたPBX接続用回路14bをPBX接続回路22bに接続されたPBX接続回路14cに接続し、第2のPBX20内の他の内線端末33に転送する転送制御方法である。
【0040】
以上のような転送の態様を説明したように、第1のPBX10に収容される内線端末31が外線または内線との間の通話を、他の内線端末に転送する場合、転送釦と転送先の内線番号をダイヤルすることによって、転送先の内線が、第1のPBX10内の内線であるかまたは第2のPBX20収容の内線であるのかを意識することなく接続できるので、操作性の混乱や、転送操作にかかる時間がスムーズとなる等、操作性が向上する。
【0041】
上記の各転送制御における状態遷移態様を、図10を用いて説明する。第1のPBX10に収容される内線端末(例えば、ディーリング通話システムの通話台)31と公衆網40の通話端末または第1のPBX10に収容される内線端末とが通話中の状態(S101)において、通話中の端末装置との通話を他の内線端末に転送する場合に、操作者が通話端末31の転送釦312aを押下げると(S102)、通話端末31が転送先の内線番号をダイヤル中の状態に遷移する(S103)。ダイヤル番号の受信が完了すると、転送先の内線番号がどこにあるかを判断し(S104)、第1のPBX10内の内線端末であるときには、第1のPBX10内の内線端末を呼び出し(S105)、応答があったときに転送先の内線端末に通話を転送し、転送前の通話相手と転送先の内線端末とを通話中とする(S109)。
【0042】
通話が外線との通話である場合に、ステップS104判断で、転送先が第2のPBX(他のPBX)20内の内線端末であるときには、第2のPBX20の外線転送用トランク回路(COT)14cを捕捉して第2のPBX20の内線を呼び出して(S106)、応答があったときに転送先の内線端末に通話を転送し、転送前の通話相手と転送先の内線端末とを通話中とする(S109)。
【0043】
通話が第1のPBX10内の内線端末との通話である場合に、ステップS104において、転送先が第2のPBX(他のPBX)20内の内線端末であるときには、フッキング送出により第2のPBX20の内線を呼び出して(S107)、応答があったときに転送先の内線端末に通話を転送し、転送前の通話相手と転送先の内線端末とを通話中とする(S109)。
【0044】
通話が第2のPBX20を経由した公衆網40との通話である場合に、ステップS104において、転送先が第2のPBX(他のPBX)20内の内線端末であるときには、外線転送用トランク(ODT)15を捕捉して、第2のPBX20の内線を呼び出して(S108)、応答があったときに転送先の内線端末に通話を転送し、転送前の通話相手と転送先の内線端末とを通話中とする(S109)。
【0045】
上記したように、通話中呼の転送操作において、第1のPBX内の内線端末または第2のPBX内の内線端末に転送する場合でも、同一の操作手順で行い、目的とする内線端末に接続することができ、操作手順を集約することが可能となった。
【符号の説明】
【0046】
10:第1のPBX
11:通話路スイッチ
12:通話台用ライン回路(DBL)
13:多機能電話機用ライン回路(MTL)
14a:局線回路(COT)
14b/14c:PBX接続用トランク回路(COT)
15:外線転送用トランク回路(ODT)
16:中央制御装置
17:記憶装置
18:制御バス
20:第2のPBX(構内自動交換機)
21:通話路スイッチ
22a/22b:PBX接続用ライン回路(LIN)
22c:ライン回路(LIN)
23:外線転送用トランク回路(ODT)
24:局線回路(COT)
31:通話台(内線端末)
32:多機能電話機
33:一般電話機
40:公衆網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のPBXと第2のPBXをPBX接続用回路で互いに接続した構内自動電話交換システムにおける話中の呼を転送する転送制御方法において、
第1のPBXが、構内自動電話交換システムの動作を制御する中央制御装置と、第1のPBXが収容している回線がフッキングを許容するか不許容であるかを識別しこの回線が公衆網接続用回線であるかPBX接続用回線であるかを識別する制御データである回線制御データと、第1のPBXに収容される内線番号を全て記述した内線番号管理テーブルと、現在通話中の通話相手の回線が何であるかを記述した通話相手回線データを有しており、
前記中央制御装置内に、通話中の内線端末の出力信号から転送要求と転送先の内線番号を抽出する転送先番号抽出機能と、抽出した内線番号が第1のPBXに収容された内線番号であるか否かおよび第1のPBXの内線番号でないときに第2のPBXの内線番号であるか否かを認識する転送先PBX認識機能と、認識した内線番号が第1のPBXに収容された内線番号であるときに通話相手との呼を認識した内線番号に転送する処理を実行し、認識した内線番号が第2のPBXに収容された内線番号であるときに第2のPBXとの間の回線に通話相手との呼を転送する処理を実行する転送処理機能とを有しており、
前記第1のPBXの内線端末と通話中の呼を他の内線に転送する際に、
第1のPBXの内線端末からの転送要求と転送先内線番号を検出し、転送先内線が第1のPBX内にあるか否かを判断する過程と、
転送先内線が第1のPBX内にあるときに第1のPBX内の転送先内線に呼を転送する処理を行う過程と、
転送先内線が第1のPBX内にないときに転送先内線が第2のPBX内にあるとして第2のPBX内の転送先内線に呼を転送する処理を行なう過程とを有する
ことを特徴とする話中の呼を転送する転送制御方法。
【請求項2】
請求項1記載の話中の呼を転送する転送制御方法において、
第1のPBXに収容される内線端末が公衆網と直接通話しており、この呼を第1のPBX内の他の内線端末に転送する場合に、
公衆網への回線を第1のPBX内の他の内線端末に接続する
ことを特徴とする話中の呼を転送する転送制御方法。
【請求項3】
請求項1記載の話中の呼を転送する転送制御方法において、
第1のPBXに収容される内線端末が公衆網と直接通話しており、この呼を第2のPBX内の他の内線端末に転送する場合に、
公衆網への回線を第2のPBXのPBX接続用回路に接続された第1のPBX内のPBX接続用回路に接続する
ことを特徴とする話中の呼を転送する転送制御方法。
【請求項4】
請求項1記載の話中の呼を転送する転送制御方法において、
第1のPBXに収容される内線端末が第1のPBXの他の内線端末と通話しており、この呼を第2のPBX内の他の内線端末に転送する場合に、
第1のPBXの他の内線端末の回線を第2のPBXのPBX接続用回路に接続された第1のPBX内のPBX接続用回路に接続する
ことを特徴とする話中の呼を転送する転送制御方法。
【請求項5】
請求項1記載の話中の呼を転送する転送制御方法において、
第1のPBXに収容される内線端末が第2のPBXを介して公衆網と通話しており、この呼を第1のPBX内の他の内線端末に転送する場合に、
公衆網へ接続されたPBX接続用回路を第1のPBX内の他の内線端末に接続する
ことを特徴とする話中の呼を転送する転送制御方法。
【請求項6】
請求項1記載の話中の呼を転送する転送制御方法において、
第1のPBXに収容される内線端末が第2のPBXを介して公衆網と通話しており、この呼を第2のPBX内の他の内線端末に転送する場合に、
公衆網へ接続されたPBX接続用回路を外線転送用回路を介して第2のPBX内の他の内線端末に接続する
ことを特徴とする話中の呼を転送する転送制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−3951(P2011−3951A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142982(P2009−142982)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】