説明

ビフィズス菌の種

ビフィドバクテリウム属に属する新規な細菌GC61、上記細菌を含むプロバイオティクス組成物、特に食品製品、及び胃腸疾患等の疾患の処置における上記細菌の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する細菌と、上記細菌を含むプロバイオティクス(probiotic)組成物、特に食品製品と、胃腸疾患等の疾患の治療における上記細菌の使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
ビフィズス菌(すなわち、ビフィドバクテリウム属に属する細菌)は、ヒト及び動物の糞便菌叢の最も重要な集団の1つを構成する。一般的に、これらの細菌が糞便菌叢中に高い割合で存在する場合、良好な健康状態の指標であると考えられる。この理由により、これらは、プロバイオティクス細菌(生きて摂取した場合、腸内菌叢の天然のバランスを改善する有益な微生物)として知られる。既知のビフィズス菌の例は、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(B. adolescentis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(B. animalis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(B. bifidum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B. breve)、ビフィドバクテリウム・カテヌラツム(B. catenulatum)及びビフィドバクテリウム・ロンガム(B. longum)を含み、これらは、有益な技術的効果、官能的(organoleptic)効果及びプロバイオティクス効果を有することが示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ビフィズス菌は、発酵乳(「生きたビフィズス菌(active Bifidus)」を有するヨーグルト)における添加剤として最も一般的に見出されており、したがって、経済的に重要な物品を構成する。乳産業により選ばれた菌株は、製造プロセスに対する耐性、及び食品内での生存のような多数の厳しい要求を満たさなければならない。フランスで最も汎用されている種は、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス(lactis)及びビフィドバクテリウム・アニマリス亜種アニマリスであり、これらは動物起源の亜種であり、決してヒトから単離されない。ビフィズス菌の重要性の観点において、食品産業の要求に最適に適合した特性を有する新種をこの属内で同定する大きな必要性が存在する。例えば、2004年、或るグループが、ブタの盲腸からビフィドバクテリウム・サイクラエロフィルム(Bifidobacterium psychraerophilum)を同定及び単離した(Simpson, PJ. et al. (2004) Int J Syst Evol Microbiol 54:401-6)。これまでに知られているビフィズス菌は、20℃と46℃〜49.5℃との間の温度でしか増殖することができなかった(Biavati, B. et al., (2000), Annals of Microbiology 50:117-131、Dong et al., (2000) Int J Syst Evol Microbiol 50 Pt 1:119-25)が、ビフィドバクテリウム・サイクラエロフィルムは、4℃〜10℃で増殖することにより、これまでの全ての種を凌駕する利点を実証した。この細菌がこのような製品の低い貯蔵温度で生存する可能性がより高く、したがって製品保存期限(shelf-life)を延長するので、このことはプロバイオティクス組成物にとって有益である。したがって、特有の利点を有するだけでなくこれまでに同定されたビフィズス菌の種の有益さも保持する、さらなるビフィズス菌の種の同定に対する大きな必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、ビフィズス菌GC61、又はその相同体、子孫若しくは突然変異体が提供される。
【0005】
GC61は、ビフィズス菌の新種を表す。GC61、GC61群、ビフィズス菌GC61及びビフィドバクテリウム・ヴェルコルセンス(Bifidobacterium vercorsense)という用語は、このビフィズス菌の新種を表すために、交換可能な用語として使用される。
【0006】
本明細書において検討されるGC61の菌株の例は、FR41/2、FR49/f/2、FR101/h/8、MarV3/22、FR39/1、MarV4/2、MarV1/5、FR66/e/1、MarC1/13、MarF/3、PicD/1、FR70/g/2及びFR47/2を含む。FR41/2株、FR49/f/2株及びFR101/h/8株の16S rRNA遺伝子は配列決定されており、FR101/h/8の16S rRNA遺伝子に関しては配列番号1と、FR41/2の16S rRNA遺伝子に関しては配列番号2と、FR49/f/2の16S rRNA遺伝子に関しては配列番号3と、指定される。
【0007】
好ましくはビフィズス菌GC61又はその相同体は、FR41/2、FR49/f/2、FR101/h/8、MarV3/22、FR39/1、MarV4/2、MarV1/5、FR66/e/1、MarC1/13、MarF/3、PicD/1、FR70/g/2及びFR47/2の任意の1つ又は複数から選択される菌株である。
【0008】
ビフィズス菌GC61 FR41/2株の寄託は、2007年1月9日にパリのパスツール研究所のCollection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)に対して為され、この寄託にはアクセッション番号CNCMI−3712が与えられた。
【0009】
ビフィズス菌GC61 FR49/f/2株の寄託は、2007年1月9日にパリのパスツール研究所のCollection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)に対して為され、この寄託にはアクセッション番号CNCMI−3713が与えられた。
【0010】
ビフィズス菌GC61の相同体が、ビフィズス菌GC61(本明細書において以後GC61とも称される)と約60%よりも大きいDNA配列相同性を有するいずれかのビフィズス菌株を表すと理解されることが分かるであろう。好ましくは、言及される配列相同性は全細菌ゲノムにわたるものである。好ましくは、GC61相同体は、GC61に対して約70%よりも大きいDNA配列相同性を有するものであり、より好ましくは相同性は80%よりも大きく、好ましくは90%よりも大きく、より好ましくは約95%よりも大きく、特に好ましくは約98%よりも大きく、若しくは約99%、又は上の値のいずれかの間の任意の範囲である。好ましくはDNA相同性の程度は、2つ以上の細菌の全ゲノムにわたる相同性の程度を確定するDNA−DNA再会合実験により確定される。DNA相同性を確定するために使用され得る方法は実施例で説明されるが、当業者は、任意の他の適切な方法も使用され得ることを理解するだろう。
【0011】
付加的に又は代替的に、GC61に対する相同体は、特定の遺伝子の間の配列相同性の程度を参照することにより規定され得る。例えば、16S rDNA配列がGC61の16S rDNAに対して95.45%より大きい、好ましくは97%より大きい、より好ましくは99%より大きい相同性を有する細菌は、GC61相同体として説明され得る。GC61の16S rDNA配列は、図1Aで言及される16S rDNAコンセンサス配列(配列番号4)であり得るか、又は任意のGC61株由来の16S rDNAの配列を有し得る。同様に又は代替的に、GC61において、hsp60遺伝子の配列に対して、又はhsp60遺伝子由来のコンセンサス配列に対して87%より大きい、好ましくは90%より大きい配列相同性を有するhsp60遺伝子を有する細菌は、GC61相同体として説明され得る。好ましくはhsp60遺伝子のコンセンサス配列は、図3において規定された配列である。好ましくはGC61のFR41/2株又はFR49/f/2株の16S rDNA配列又はhsp60配列は、配列相同性の程度を確定する際に使用される。
【0012】
GC61の相同体は、天然であり得るか、又は例えば遺伝子操作により、人工的に作製され得る。
【0013】
GC61は、伝統的且つ手動のプロセスにより作られるチーズ「L’etoile du Vercors」を作るプロセスの間に生乳から単離された。GC61は、チーズ生産プロセスの間中(すなわち生乳からその熟成の終わりまで)存在しており、該プロセス間に統計的に有意に増大する。これらの細菌は、製品の官能性の発生に関与する天然の微生物集団に属する。
【0014】
過去に単離されたビフィズス菌の種の多くはヒト又は動物の消化管から抽出されているのに対して、GC61は食品生産プロセスから単離されているという利点を有し、したがってGC61は、多くの他のビフィズス菌の種よりも、製造プロセス中に組み込むことが容易であり、また食品及び発酵製品中で安定化させることが容易である。
【0015】
GC61は好冷である(psychotrophic)こと、及び約12℃もの低温で増殖することができることも見出されている。低温での増殖の重要な利点は、GC61細菌がたいていの他のプロバイオティクス細菌組成物よりも低い貯蔵温度で生存する可能性がより高いことであり、したがってその保存期限を延長するだろう。
【0016】
GC61細菌のさらなる利点は、胃の酸性度に、胆汁塩に、及び腸内酵素(ペプシン)に対する、良好な耐性を提供することである。
【0017】
GC61細菌のまたさらなる利点は、空気/酸素に耐性を有すること、すなわち耐気性であることである。
【0018】
GC61細菌、及び特にFR49/f/2株のまたさらなる利点は、驚くべき免疫調節効果を有することであり、サイトカインIL10の高レベルの産生と、しかしIL12の低レベルの産生とをもたらし得る。IL10対IL12のこの比は、抗炎症性の指標となる。抗炎症性は、マウスにおける大腸炎の実験モデルについてin vivoでも実証された。
【0019】
ビフィズス菌GC61は、生細胞の形態であり得る。
【0020】
生細胞に加えて、又はその代替として、ビフィズス菌GC61細胞により発現される有益な因子を含有するビフィズス菌GC61の殺菌した培養物が、有用であり得る。
【0021】
ビフィズス菌GC61は、生物学的に純粋な培養物の形態であり得る。
【0022】
ビフィズス菌GC61の突然変異体は、遺伝コードにおける保存的又は変性的な変化を有する菌株を含む。突然変異体は、天然のものであるか、又は遺伝子工学により作製され得る。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、本明細書において上で規定されたビフィズス菌GC61と、1つ又は複数の許容可能な添加物とを含む組成物が提供される。好ましくは組成物はプロバイオティクス組成物である。
【0024】
許容可能な添加物は、プロバイオティクス組成物の調製の技術分野における当業者に既知であることが分かるであろう。
【0025】
許容可能な添加物の例は、スクロース、異性化糖、グルコース、フルクトース、パラチノース、トレハロース、ラクトース及びキシロース等の糖;ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、パラチノール、還元餅状(glutinous)デンプンシロップ及び還元餅状マルトースシロップ等の糖アルコール;脂肪酸のスクロースエステル、脂肪酸のグリセリンエステル、及びレシチン等の乳化剤;カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、ペクチン及びローカストビーンガム等の増粘剤(安定化剤);クエン酸、乳酸及びリンゴ酸等の酸性化剤;レモン果汁、オレンジ果汁及びベリー果汁等の果汁;ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD及びビタミンE等のビタミン;並びにカルシウム、鉄、マンガン及び亜鉛等のミネラルを含む。
【0026】
本発明の組成物は、適切には常温及び大気圧で、混合により調製することができ、通常経口投与用に適合され得る。このような組成物は、錠剤、カプセル、口腔用液体調製物、従来の食品製品、粉末、顆粒、ロゼンジ、再構成可能な粉末、又は懸濁物の形態であり得る。
【0027】
経口投与用の錠剤及びカプセルは、単位用量形態であってもよく、結合剤、充填剤、錠剤用滑剤、崩壊剤、及び許容可能な湿潤剤等の1つ又は複数の従来の添加物を含有してもよい。これらの錠剤は、製薬業務において既知の方法に従い、コーティングされ得る。
【0028】
口腔用液体調製物は、例えば、水性若しくは油性の懸濁物、溶液、エマルション、シロップ若しくはエリキシルの形態であってもよく、又は使用前に水若しくは別の適切な薬物送達手段(vehicle:ビヒクル)を用いて再構成するための乾燥製品の形態であってもよい。このような液体調製物は、懸濁剤、乳化剤、非水性薬物送達手段(食用油を含み得る)、保存料、及び必要に応じて、従来の香料又は着色料等の従来の添加剤を含有し得る。
【0029】
好ましい一実施の形態では、本発明の組成物は、従来の食品製品、より好ましくは乳製品(例えば、発酵乳、植物乳、豆乳、バター、チーズ若しくはヨーグルト)又は果汁として構築される。組成物は好ましくは、成体及び/又は乳幼児のヒト用及び/又は動物用の食品又は飲料として構築される。代替的な一実施の形態では組成物は、凍結乾燥又は噴霧乾燥した粉末として構築される。プロバイオティクス効果を示すこと(すなわち腸内菌叢のバランスを維持すること)に加え、ビフィズス菌は、また概して、様々な障害、例えば胃腸疾患、クローン病、大腸炎、潰瘍性大腸炎、炎症性障害、免疫不全症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、癌(特に胃腸系及び免疫系の)、下痢性疾患、抗生物質関連下痢症、小児下痢症、虫垂炎、自己免疫障害、多発性硬化症、アルツハイマー病、関節リウマチ、セリアック病、糖尿病(diabetes mellitus)、臓器移植拒絶反応、細菌性感染症、ウイルス性感染症、真菌性感染症、歯周疾患、泌尿生殖器疾患、性感染症、HIV感染症、HIV複製、HIV関連下痢症、外科処置(surgical)関連外傷、外科処置誘発性転移性疾患、敗血症、体重減少、食欲不振症、発熱制御(fever control)、悪液質、創傷治癒、潰瘍、腸バリア機能、アレルギー、喘息、呼吸障害、循環障害、冠動脈心疾患、貧血、血液凝固系の障害、腎疾患、中枢神経系の障害、肝疾患、虚血、栄養障害、骨粗鬆症、内分泌障害、表皮障害、乾癬、尋常性ざ瘡及び/又はコレステロール過剰の処置及び/又は予防に有用な可能性があると考えられる。
【0030】
GC61は、組成物中に1グラム当たり約106cfuより多く存在し得る。
【0031】
本発明のさらなる一態様によれば、特に上記の障害の任意の1つ又は複数の処置及び/又は予防における治療物質又は予防物質としての使用のためのビフィズス菌GC61が提供される。
【0032】
本発明は、上記の障害の任意の1つ又は複数の処置及び/又は予防のための薬物の調製におけるビフィズス菌GC61の使用をさらに提供する。
【0033】
さらなる一態様によれば、本発明は、上記の障害の任意の1つ又は複数の処置及び/又は予防における使用のためのビフィズス菌GC61を提供する。
【0034】
またさらなる一態様によれば、本発明は、ヒト又は動物の被験体において上記の障害の任意の1つ又は複数を処置及び/又は予防する方法を提供し、該方法は、該被験体に治療上の有効量のビフィズス菌GC61を投与することを含む。
【0035】
ビフィズス菌GC61は、他の治療用作用物質(例えば、胃腸疾患(例えば下痢症)、癌、コレステロール過剰、アレルギー、感染症、又は上記の障害の任意の1つ又は複数の処置及び/又は予防において有用であることが既知の他の薬物)と組み合わせて使用することができる。
【0036】
したがって、本発明のさらなる一態様として、ビフィズス菌GC61とさらなる治療用作用物質(単数又は複数)との組み合わせを含む組成物が提供される。
【0037】
上で言及した組合せは便宜上、プロバイオティクス組成物の形態での使用のために表すことができ、したがって、上で規定された組合せを1つ又は複数の添加物と共に含むプロバイオティクス組成物は本発明のさらなる一態様を提供する。このような組合せの個々の成分が、別々の又は組み合わせたプロバイオティクス組成物において連続的に又は同時に、投与され得る。
【0038】
好ましい一実施の形態では、ビフィズス菌GC61は、他のビフィズス菌又は他のプロバイオティクスの細菌、例えばラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ガリナルム(Lactobacillus gallinarum)、ラクトバチルス・アミロボラス(Lactobacillus amylovorus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ケフィル(Lactobacillus kefir)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・クリスパータス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・デルブレッキイ(Lactobacillus delbrueckii)亜種デルブレッキイ、ラクトバチルス・デルブレッキイ亜種ブルガリカス(bulgaricus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ジアエ(Lactobacillus zeae)及びラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivalius)等のラクトバチルス属に属する細菌;ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)等のストレプトコッカス属に属する細菌;ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)亜種クレモリス(cremoris)及びラクトコッカス・ラクティス亜種ラクティス等のラクトコッカス属に属する細菌;バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)等のバチルス属に属する細菌;ビフィドバクテリウム・クルジラクティス(Bifidobacterium crudilactis)等のビフィドバクテリウム属に属する細菌;及び/又はサッカロマイセス・セレビジアエ(Saccharomyces cerevisiae)、トルラスポラ・デルブレッキイ(Torulaspora delbrueckii)及びカンジダ・ケフィル(Candida kefyr)等のサッカロマイセス属、トルラスポラ属及び/又はカンジダ属に属する酵母と共に組み合わせられる、及び/又は使用される。
【0039】
本発明の別の態様によれば、免疫調節性及び/又は抗炎症性のプロバイオティクスとしての使用のための、ビフィズス菌GC61、又はその相同体、子孫若しくは突然変異体が提供される。好ましくはその使用は、哺乳動物の被験体においてIL−10の産生を誘発することである。好ましくはIL−10は、PBMCにより産生される。
【0040】
本発明のさらなる一態様によれば、哺乳動物の被験体における炎症の処置のための薬物の調製における、ビフィズス菌GC61、又はその相同体、子孫若しくは突然変異体の使用が提供される。好ましくは炎症は、胃腸管の炎症である。好ましくは薬物は、大腸炎の処置のためのものである。
【0041】
本発明のまたさらなる一態様によれば、哺乳動物の被験体における炎症の処置における使用のための、ビフィズス菌GC61、又はその相同体、子孫若しくは突然変異体が提供される。好ましくは炎症は、胃腸管の炎症である。好ましくはビフィズス菌GC61、又はその相同体、子孫若しくは突然変異体は、大腸炎の処置における使用のためのものである。
【0042】
本発明の別の態様によれば、哺乳動物の被験体における炎症を処置する方法であって、該哺乳動物の被験体に治療上の有効量のビフィズス菌GC61を投与することを含む、方法が提供される。好ましくは炎症は、胃腸管の炎症である。好ましくは方法は、大腸炎の処置のためのものである。
【0043】
好ましくはビフィズス菌GC61、又はその相同体、子孫若しくは突然変異体は、哺乳動物の被験体におけるIL−10の産生を刺激する。好ましくはビフィズス菌GC61、又はその相同体、子孫若しくは突然変異体は、哺乳動物の被験体におけるIL−12の産生を低減する。好ましくはビフィズス菌GC61、又はその相同体、子孫若しくは突然変異体は、哺乳動物の被験体におけるIL−12の産生を刺激しない。
【0044】
好ましくは哺乳動物の被験体はヒトである。
【0045】
本発明の任意の態様で使用されるビフィズス菌GC61は、前述した菌株のいずれかであり得る。例えば菌株は、FR41/2株又はFR49/f/2株であり得る。ビフィズス菌GC61が、免疫調節性及び/又は抗炎症性のプロバイオティクス/作用物質としての使用のためのもの、及び/又は炎症の処置における使用のためのものである場合には、菌株はFR49/f/2であり得る。
【0046】
本発明の一態様又は一実施の形態の任意の及び/又は好ましい全ての特徴は、本明細書において記載される本発明の他の全ての態様又は実施の形態に適用され得ることが理解される。
【0047】
本発明の実施の形態は、ここで、以下の添付図面を参照して例示のみの目的で記載される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1A−1】GC61の、FR101/h/8株から得られる16S rRNA遺伝子配列(配列番号1)と、FR41/2株から得られる16S rRNA遺伝子配列(配列番号2)と、FR49/f/2株から得られる16S rRNA遺伝子配列(配列番号3)と(それぞれ1、2及び3と呼ばれる)のアライメントを示す図である。アライメントを、ClustalWソフトウェア及びEdtalnソフトウェアを使用して行った。コンセンサス配列(配列番号4)(アライメントではCと呼ばれる)は、塩基番号2から塩基番号1452まで3菌株間で100%の相同性を示す。コンセンサスが文字列により示され、該文字列は、或る所定の位置における状況により、その文字が20%以上の多数代表率(majority representation)を有する場合には「.」を、その文字が40%以上の多数代表率を有する場合には「:」を、その文字が60%以上の多数代表率を有する場合には「+」を、その文字が80%以上の多数代表率を有する場合には「*」を、その文字が全ての配列に関して同じである場合にはその文字自体を、含む。
【図1A−2】図1A−1の続きである。
【図1A−3】図1A−2の続きである。
【図1A−4】図1A−3の続きである。
【図1A−5】図1A−4の続きである。
【図1A−6】図1A−5の続きである。
【図1A−7】図1A−6の続きである。
【図1B】FR101/h/8株、FR41/2株及びFR49/f/2株由来の3つの部分配列に基づく、ビフィドバクテリウム・ヴェルコルセンスにおける16S rRNAをコードする1452bpのDNAコンセンサス配列を示す。
【図2A−1】GC61の16S rRNA遺伝子に関するコンセンサス配列(この図では1番の配列として示される)と、他の既知のビフィズス菌の種のそれとを比較し、それらの間の%相同性/同一性を示すアライメントを示す図である。比較した異なる種の間のコンセンサスが文字列により示され、該文字列は、或る所定の位置における状況により、その文字が20%以上の多数代表率を有する場合には「.」を、その文字が40%以上の多数代表率を有する場合には「:」を、その文字が60%以上の多数代表率を有する場合には「+」を、その文字が80%以上の多数代表率を有する場合には「*」を、その文字が全ての配列に関して同じである場合にはその文字自体を、含む。このコンセンサス配列は、この図では「C」と指定される。
【図2A−2】図2A−1の続きである。
【図2A−3】図2A−2の続きである。
【図2A−4】図2A−3の続きである。
【図2A−5】図2A−4の続きである。
【図2A−6】図2A−5の続きである。
【図2A−7】図2A−6の続きである。
【図2A−8】図2A−7の続きである。
【図2B】GC61と、系統学的に最も近縁なビフィズス菌の種とのコンセンサスツリーを示す。枝上の数は、1.00のツリーのうち(ツリーは重みづけ(fractional weights)を有するものであった)、そのツリーの中でその枝により分かれる2組への種の分割(partition)が生じた回数を示す。
【図3】GC61のFr41/2株、Fr49/f/2株及びFr101/h/8株から配列決定したhsp60遺伝子のコンセンサス配列(配列番号5)を示す。下線を付した塩基はPCRプライマー(配列番号6及び配列番号7)に対応し、強調した塩基はGC61種に特異的なプローブの配列(配列番号8)に対応する。
【図4−1】GC61群の細菌ビフィドバクテリウム・ヴェルコルセンス由来のhsp60部分遺伝子配列と、Genbank(PubMed−BLAST)において見出される他のビフィズス菌の種における近縁な配列とのアライメントを示す図である。ビフィドバクテリウム・ヴェルコルセンス由来の部分hsp60遺伝子配列は、図3で言及したhsp60遺伝子のコンセンサス配列と同一である。 図4中の細菌の名称は以下の通り。ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラツム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)ビフィドバクテリウム・カテヌラツム(Bifidobacterium catenulatum)ビフィドバクテリウム・デンティウム(Bifidobacterium dentium)ビフィドバクテリウム・メリシカム(Bifidobacterium merycicum)ビフィドバクテリウム・アンギュラツム((Bifidobacterium angulatum) DSM 20098ビフィドバクテリウム・プロラム(Bifidobacterium pullorum)ビフィドバクテリウム・ガリナルム(Bifidobacterium gallinarum)ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)ビフィドバクテリウム・ルミナンティウム(Bifidobacterium ruminantium)ビフィドバクテリウム・ロンガム次亜種インファンティス(Bifidobacterium longum bv. infants)ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)ビフィドバクテリウム・ロンガム次亜種スイス(Bifidobacterium longum bv. Suis)ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve) DSM 20213ビフィドバクテリウム・シュードロンガム亜種グロボーサム(Bifidobacterium pseudolongum subsp. globosum)ビフィドバクテリウム・クニクリ(Bifidobacterium cuniculi)ビフィドバクテリウム・コエリナム(Bifidobacterium cheorinum)ビフィドバクテリウム・サーマシドフィルム(Bifidobacterium thermacidophilum)ビフィドバクテリウム・ボウム(Bifidobacterium boum)ビフィドバクテリウム・サーモフィルム(Bifidobacterium thermophilum)ビフィドバクテリウム・マグヌム(Bifidobacterium magnum)ビフィドバクテリウム・ガリクム(gallium)ビフィドバクテリウム・インディカム(Bifidobacterium indicum)ビフィドバクテリウム・アステロイデス(Bifidobacterium asteroides)ビフィドバクテリウム・コリネフォルメ(Bifidobacterium coryneform)ビフィドバクテリウム・サイクラエロフィルム(Bifidobacterium psychraerophilum)ビフィドバクテリウム・ミニマム(Bifidobacterium minimum)ビフィドバクテリウム・ツルミエンス(Bifidobacterium tsurumiense)ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adolescentis)ビフィドバクテリウム・クルジラクティス(Bifidobacterium crudilactis)ビフィドバクテリウム・ヴェルコルセンス(Bifidobacterium vercorsense)
【図4−2】図4−1の続きである。
【図4−3】図4−2の続きである。
【図5】様々な細菌単離株で刺激した場合の、末梢血単核球(PBMC)におけるIFNγ、IL−10及びIL−12に及ぼす効果を研究するために使用した実験手順を示す図である。
【図6A】FR49/f/2(菌株C)、FR101/H/8(菌株F)、FR39/1(菌株I)、FR41/2(菌株M)及びFR66/E/1(菌株N)を含む様々な細菌単離株で刺激した場合の、末梢血単核球におけるIFNγ、IL−10及びIL−12のレベルに及ぼす効果を示す図である。図6Aは、IFNγの誘導を示す。Souche=菌株、Temoin=対照。
【図6B】FR49/f/2(菌株C)、FR101/H/8(菌株F)、FR39/1(菌株I)、FR41/2(菌株M)及びFR66/E/1(菌株N)を含む様々な細菌単離株で刺激した場合の、末梢血単核球におけるIFNγ、IL−10及びIL−12のレベルに及ぼす効果を示す図である。図6Bは、IL−12の誘導を示す。Souche=菌株、Temoin=対照。
【図6C】FR49/f/2(菌株C)、FR101/H/8(菌株F)、FR39/1(菌株I)、FR41/2(菌株M)及びFR66/E/1(菌株N)を含む様々な細菌単離株で刺激した場合の、末梢血単核球におけるIFNγ、IL−10及びIL−12のレベルに及ぼす効果を示す図である。図6Cは、IL−10の誘導を示す。Souche=菌株、Temoin=対照。
【図6D】FR49/f/2(菌株C)、FR101/H/8(菌株F)、FR39/1(菌株I)、FR41/2(菌株M)及びFR66/E/1(菌株N)を含む様々な細菌単離株で刺激した場合の、末梢血単核球におけるIFNγ、IL−10及びIL−12のレベルに及ぼす効果を示す図である。図6Dは、IL−10/IL−12の値を示す。Souche=菌株、Temoin=対照。
【図7】急性大腸炎のTNBS(2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸)誘発に関する標準的な細菌介入研究のデザインを示す図である。
【図8A】急性大腸炎のTNBS誘発の研究の結果を示す図である。図8Aは、様々な菌株に関するWallaceスコアを示す。TEMOIN=対照、Bifide temoin=対照ビフィズス菌。
【図8B】急性大腸炎のTNBS誘発の研究の結果を示す図である。図8Bは、様々な菌株に関するMPOの量(dosage)を示す。TEMOIN=対照、Bifide temoin=対照ビフィズス菌。
【図8C】急性大腸炎のTNBS誘発の研究の結果を示す図である。図8Cは、菌株による相対的保護率を示す。TEMOIN=対照、Bifide temoin=対照ビフィズス菌。
【発明を実施するための形態】
【0049】
ビフィズス菌GC61の表現型の特徴
ビフィズス菌GC61は、数的分析(非加重平均連結及びHartigan’sクラスタリング法に基づく分類)により、表現型として特徴づけられ、同定されている。ビフィドバクテリウム属の別の種に属し、GC61群の特徴を有する他の基準株又は参考株は同定されていない。
【0050】
GC61群を、系統学的に最も近縁な種であると考えられるビフィドバクテリウム・クルジラクティス(Delcenserie V., et al. Systematic and Applied Microbiology (2007) 30, 381-389)及びビフィドバクテリウム・サイクラエロフィルム等の他の種と識別する生化学的特徴を、表1に示す。表1は、GC61(13株)、ビフィドバクテリウム・クルジラクティス(10株)、ビフィドバクテリウム・クルジラクティスLMG 23609T及びビフィドバクテリウム・サイクラエロフィルムLMG 21775Tの間の識別性の表現型特徴を示す。
【0051】
【表1】

【0052】
DNA−DNAハイブリダイゼーション
GC61株と、他のビフィズス菌の種、及びエリスカルドビア・アエリフィラ(Aeriscardovia aeriphila)との全細菌ゲノムにわたるDNA−DNA再会合レベルは、3%〜28%である(表2に例示するように)。GC61群(GC61 FR49/f/2株、MarV3/22株、FR39/1株、MarV4/2株、FR101/h/8株、MarV1/5株、FR66/e/1株、MarC1/13株、MarF/3株、PicD/1株、FR70/g/2株及びFR47/2株を、GC61 FR41/2株と比較した)内で、80%〜100%のDNA−DNA再会合レベルが観察される。
【0053】
DNA−DNA再会合レベルを、ハイブリダイゼーション温度をわずかに変更した(Gavini et al. Ecology in Health and Disease (2001) 12 40-45)、De Ley et al(J Biochem (1970) 12 133-142)により説明された再生速度を確定するための分光光度法を使用して確定した。確定は、温度制御器(Peltier System、Varian)を備えるCary 100分光光度計(Varian)を使用して、63.7℃(FR41/2株のG+C含有量により、Tm−25℃)で行った。
【0054】
【表2−1】

【表2−2】

表2の説明:a、国際的なコレクション基準株は以下に由来する:ATCC、アメリカ培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)(Rockville, Maryland, USA);CCUG、Culture Collection of University of Goeteborg(Sweden);DSMZ、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(Goettingen, Germany);LMG、Laboratorium voor Microbiologie,Universiteit Gent(Belgium);NCFB、National Collection of Food Bacteria(Shinfield, Reading, Berks, England);NCTC、National Collection of Type Cultures(Central Public Health Laboratory, London, England);RU、SU及びMB、B.Biavati(Bologna, Italy);b、ビフィドバクテリウム・ビフィダム DSM 20082と100%のDNA類似性を有する、ヒト糞便から単離された菌株;NT、試験せず。
【0055】
16S rRNA遺伝子配列決定
GC61群のFR41/2株、FR49/f/2株及びFR101/h/8株の16S rRNA遺伝子を増幅し、配列決定した(図1A)。BLAST分析を使用することにより、GC61のFR41/2株、FR49/f/2株及びFR101/h/8株由来の16S rRNA遺伝子に関するコンセンサス配列(図1Bを参照されたい)と、他のビフィズス菌の種由来の16S rRNA遺伝子配列との間の配列同一性の百分率を確定した(図2A)。結果を、表3に要約する。
【0056】
【表3】

【0057】
hsp60配列決定
hsp60遺伝子を、GC61群のFR41/2株、FR49/f/2株及びFR101/h/8株から増幅し、配列決定した。配列を比較し、図3に示すコンセンサス配列を同定した。このコンセンサス配列は、hsp60遺伝子の部分配列を反映する。コンセンサス配列を使用して、GC61株に対する特異的なPCRプライマーと特異的なプローブとを選択した(図3)。プライマー及び/又はプローブにより、リアルタイムPCRを使用してGC61株を検出することが可能になる。
【0058】
BLAST分析を使用して、図3のhsp60遺伝子コンセンサス配列との顕著なアライメントを生成した他のビフィズス菌の種を同定した。
【0059】
表4及び図4は、GC61群の細菌ビフィドバクテリウム・ヴェルコルセンス由来のhsp60遺伝子の部分遺伝子配列(212pb)(図3を参照されたい)と、様々なビフィズス菌の種由来の対応する遺伝子との間の相同性/同一性(%)を示す(図4を参照されたい)。
【0060】
【表4】

【0061】
PCRによるGC61の特異的検出
リアルタイムPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)アッセイを、特異的にGC61群を検出するために開発した。
【0062】
Promega(商標)のWizard(登録商標)ゲノムDNA精製キットを使用して、DNAを調製した。1mlの細菌培養物を、13000×gで2分間遠心分離した。上清を廃棄し、ペレットを480μlのEDTA、60μlのリゾチーム(lysosyme)、及び120μlの細胞溶解溶液中に再懸濁し、37℃で45分間インキュベートした。遠心分離後、600μlの核溶解溶液をペレットに添加し、その後80℃で5分間インキュベートした。冷却時に、200μlのタンパク質溶解溶液を添加し、その後ボルテックス処理した。得られた懸濁物をその後5分間氷上でインキュベートし、13000×gで5分間遠心分離した。上清を600μlのイソプロパノールの入った清潔な管に移し、管をその後遠心分離した。上清をデカンテーションし、600μlの70%エタノールを添加し、管を遠心分離した。エタノールを吸引し、ペレットを10分間風乾した。最終的に、DNAペレットを、100μlの再水和溶液中で、4℃で終夜再水和した。
【0063】
増幅反応混合物は、10ng〜50ngのDNA、12.5μlのTaqMan universal PCR Mastermix(Applied Biosystems, USA)、900nMの各プライマー、200nMの蛍光発生プローブを、総容積25μl中に含有していた。使用したプライマーは、5’TCCGACGCCATCGTCAA 3’(配列番号6)及び5’−CGATCTGCTCCTTGGTTTCC−3’(配列番号7)であった。プローブ配列は、5’−TCGTCGCCTCGGC−3'(配列番号8)であった。対照として、DNA試料を含まない反応混合物を調製した。プライマー及びプローブの配列を、図3に示す。
【0064】
増幅のために、サーマルサイクラーを以下のようにプログラムした:50℃で2分間、95℃で10分間、その後40サイクルの二温度PCR(95℃で15秒間、及び60℃で60秒間)。検出をABI Prism 7000配列検出システム(Applied Biosystems, Foster city, USA)で実施した。試料に関するPCR結果を、デルタRn(deltaRn)(相対感度)蛍光シグナルとして表した。
【0065】
少なくとも1.0の相対蛍光(Rnレベル)値に関してCt値が35より低い場合、試料を陽性であるとみなした。
【0066】
行ったPCR実験では、全てのGC61群の単離株が陽性であり、試験した他の全てのビフィズス菌の種(アニマリス、サーモフィルム、コエリナム、グロボーサム、シュードロンガム、メリシカム、ルミナツム(ruminatum)、ミニマム、クニクリ、アドレスセンティス、ビフィダム、ブレーベ、デンティウム、ロンガム、シュードカテヌラツム及びクルジラクティス)はこのアッセイでは陰性であった。
【0067】
GC61株の胃腸耐性
ビフィズス菌GC61群由来のFR/49/f/2株及びFR/41/2株を、本研究のこの部で試験した。
【0068】
使用した材料は以下を含む:
MRS:Man Rogosa Sharpe培地(Oxoid GmbH, Wesel, Allemagne)、
胃液:HClでpH2及びpH3に調整した、ペプシン(0.3%(w/v))(P7000 Sigma)のNaCl−水(0.5%(w/v))溶液。
膵液:NaOHでpH8に調整した、パンクレアチン(pancreatine)USP(1gr/l)(P1500 Sigma)のNaCl−水(0.5%(w/v))溶液。
胆汁塩:0.3%、0.5%及び1%(w/v)の胆汁(LP0055、Oxoid)を有するMRS培地。
緩衝溶液:K2HPO4 50mM。
【0069】
pH2及びpH3での研究 − GC61の2菌株(FR/49/f/2及びFR/41/2)をMRSブロス中に接種し、37℃で36時間嫌気的にインキュベートした。遠心分離後、細菌を、pH2又はpH3に調整した0.5%NaCl溶液中に再懸濁した。懸濁物を37℃で嫌気的にインキュベートし、試料を1時間ごとに5時間採取した。スパイラルプレータを使用して、試料をMRS寒天培地(Don Whitley Scientific LTD., Shipley, West Yorkshire, UK)上に塗布した(plated)。コロニー数を計測する前に、プレートを37℃で72時間インキュベートした。全ての操作を嫌気キャビネット内で行った。操作は三連で行った。
【0070】
pH2及びpH3での胃液中での研究 − 2菌株(FR/49/f/2及びFR/41/2)をMRSブロス中に接種し、37℃で36時間嫌気的にインキュベートした。遠心分離後、細菌を、pH2又はpH3に調整した胃液溶液中に再懸濁した。懸濁物を37℃で嫌気的にインキュベートし、試料を1時間ごとに5時間採取した。スパイラルプレータを使用して、試料をMRS寒天培地(Don Whitley Scientific LTD., Shipley, West Yorkshire, UK)上に塗布した。コロニー数を計測する前に、プレートを37℃で72時間インキュベートした。全ての操作を嫌気キャビネット内で行った。操作は三連で行った。
【0071】
pH8での膵液中での研究 − 2菌株(FR/49/f/2及びFR/41/2)をMRSブロス中に接種し、37℃で36時間嫌気的にインキュベートした。遠心分離後、細菌を、pH8に調整した膵液溶液中に再懸濁した。懸濁物を37℃で嫌気的にインキュベートし、試料を1時間ごとに5時間採取した。スパイラルプレータを使用して、試料をMRS寒天培地(Don Whitley Scientific LTD., Shipley, West Yorkshire, UK)上に塗布した。コロニー数を計測する前に、プレートを37℃で72時間インキュベートした。全ての操作を嫌気キャビネット内で行った。操作は三連で行った。
【0072】
胆汁塩を有するMRS培地中での研究 − 2菌株(FR/49/f/2及びFR/41/2)をMRSブロス中に接種し、37℃で36時間嫌気的にインキュベートした。遠心分離後、細菌を、0.3%、0.5%及び1%の胆汁塩を有するMRS培地中に再懸濁した。懸濁物を37℃で嫌気的にインキュベートし、実験開始時及び48時間後に試料を採取した。スパイラルプレータを使用して、試料をMRS寒天培地(Don Whitley Scientific LTD., Shipley, West Yorkshire, UK)上に塗布した。コロニー数を計測する前に、プレートを37℃で72時間インキュベートした。全ての操作を嫌気キャビネット内で行った。操作は三連で行った。
【0073】
結果
幾つかの単離株(Fr41/2及びFr49/f/2)の胃腸条件に対する耐性を、in vitroで評価した。表5及び表6に示した結果(log10 cfuの変化)は、GC61のプロバイオティクスとしての使用の可能性を確認する。
【0074】
表5は、嫌気キャビネット中での37℃、5時間後におけるGC61のFr49/f/2株及びFr41/2株の、pH2及びpH3のペプシン溶液と、pH8の膵酵素とに対する耐性を示す。結果は、インキュベーション期間後におけるlog10の低減で表される。良好な耐性がpH3で、及び膵酵素で観察された(1未満のlog10 cfuの低減)。
【0075】
【表5】

【0076】
表6は、嫌気キャビネット中での37℃、48時間後におけるFr49/f/2株及びFr41/2株の、MRS培地中の胆汁塩に対する耐性を示す。結果は、インキュベーション期間後におけるlog10の低減又は増大(growth)で表される。低い数の低減が、pH3で、及び0.3%の胆汁塩で観察された(2未満のlog10 cfuの低減)。
【0077】
【表6】

【0078】
胃腸免疫の調節
GC61群の幾つかの単離株が、サイトカインレベルを調節することによる興味深い免疫調節効果を有することも確定された。
【0079】
IL−10は、T細胞、B細胞、単球及びマクロファージにより産生されるサイトカインである。IL−10は、抗体分泌細胞へのB細胞の増殖及び分化を増強する。IL−10は、主に抗炎症性活性を示し、慢性炎症性疾患で見られる結合組織破壊の重要な負の調節因子であり得る。
【0080】
IL−12は、炎症性カスケード反応の初期に、主に抗原提示細胞(マクロファージ等)により産生されるサイトカインである。IL−12はIFNγ産生の強力な誘導因子であり、ナチュラルキラー細胞の活性化因子である。in vivoでのIL−12の阻害は、多発性硬化症等の炎症性障害の処置において何らかの治療的価値を有し得る。
【0081】
IFNγは、主に活性化Tリンパ球の産物であり、他のサイトカインと協働し、単球、マクロファージ、好中球及び内皮細胞のより強力な刺激をもたらす。
【0082】
IL−10、IL−12及びIFNγの産生に及ぼすGC61の効果を試験するために、健康なドナー(n=5)から密度勾配遠心分離により末梢血単核球(PBMC)を単離した。単離した末梢血単核球をその後、GC61のプロバイオティクス細菌単離株FR49/f/2、FR101/h/8、FR39/1、FR41/2及びFR66/e/1を含む細菌単離株で、72時間の期間37℃で刺激した。上清をその後収集し、遠心分離し、ELISAによりIL−10、IL−12及びIFNγのレベルに関してアッセイした。
【0083】
方法
FR49/f/2、FR101/h/8、FR39/1、FR41/2及びFR66/e/1を含むビフィズス菌の菌株を、ガスパック(GENbag Biomerieux)を備える嫌気ジャーにおいて、システイン(Sigma、0.5g/l)を添加したMRS培地(Difco)中で培養した。全ての菌株が純粋であることが見出された。
【0084】
これらの純粋な菌株の継代培養物を全てのさらなる実験において使用し、予備及び品質制御のために−80℃でグリセロール培養物として保存した。
【0085】
PBMCの調製
図5に例示したように、健康な被験体から得た新たなヒト血液を、PBS−Ca(GIBCO)(図6における試験管A)で1:2の比で希釈し、Ficollグラジエント(GIBCO)で精製した。20℃で30分間、400×gでの遠心分離後、末梢血単核球(PBMC)が血清中に間期環状層(interphase ring layer)を形成した(図5における試験管B)。PBMCを慎重に吸引し、PBS−Caを使用して最終体積50mlに懸濁し、20℃で10分間、350×gでの遠心分離工程を用いて同じ緩衝液中で3回洗浄した。
【0086】
PBMCをその後、10%(w/v)のウシ胎児血清(56℃で30分間不活性化させた)、1%(w/v)のL−グルタミン(GIBCO)、及びゲンタマイシン(150μg/ml)(GIBCO)を添加した完全RPMI培地(GIBCO)を使用して再懸濁した。PBMCを、顕微鏡下で計測し、1ml当たり2×106個の細胞の濃度に調整し、24ウェルの組織培養プレート(Corning, Inc.)中に分注した(1mlの一定分量で)。
【0087】
細菌調製
乳酸桿菌(Lactobacillus)又はビフィズス菌の培養物を終夜増殖させ、その後、2×109cfu/mlの濃度でPBS中に再懸濁する前に、PBS緩衝液(pH7.2)で2回洗浄した。表7は、GC61単離株FR49/f/2(=菌株C)、FR101/h/8 (=菌株F)、FR39/1(=菌株I)、FR41/2(=菌株M)及びFR66/E/1(=菌株N)を含む研究した細菌株を詳述する。GC61株(菌株A〜菌株P)と共に、他のビフィズス菌の種の菌株(菌株Q〜菌株Z)も研究した。
【0088】
【表7】

【0089】
PBMCのインキュベーション
10μlの細菌懸濁物を、その後PBMCの入ったウェル中に移した。プレートをその後、5%CO2/95%空気雰囲気中において37℃でインキュベートした。24時間のインキュベーション後、上清を吸引し、2000rpmで遠心分離(エッペンドルフモデル)し、上清を除去し−20℃で保存した。対照(Temoin)として、細菌懸濁物の代わりに細菌を含まない緩衝液を使用して、手順を行った。
【0090】
サイトカインの定量
炎症促進性/Th1サイトカインIFNγのレベル、IL−12のレベル、及び抗炎症性調節サイトカインIL−10のレベルを、処理したPMBCから除去した上清中において確定した。
【0091】
サイトカイン発現レベルを、ELISAにより確定した。ELISAプレートを、1つ又は複数の特異的抗サイトカイン抗体で(終夜の手順で)コーティングし、抗体をPBS/BSA1%でブロッキングした。
【0092】
サイトカインを、ストレプトアビジン反応を使用して検出及び定量した。TMB(テトラメチルベンジジン)の入ったPharmingenの市販のキットを、製造業者の取扱説明書に従って使用した。
【0093】
結果
サイトカイン分析の結果を、図6A〜図6Dに示す。各データ点は、各々異なるドナーからの5つの血液試料の分析の平均である。
【0094】
図6Cから分かるように、FR49/f/2株(菌株C)、FR39/1株(菌株I)、FR41/2株(菌株M)及びFR66/E/1株(菌株N)は全てが、末梢血単核球との同時インキュベーション(co-incubation)後、IL−10の産生を有意に誘発した。FR101/H/8株(菌株F)は、対照と比較してIL−10レベルを有意に変化させなかった。
【0095】
図6Bから分かるように、FR49/f/2株(菌株C)は、IL−12産生の刺激を誘発せず、高レベルのIL−10/IL−12係数により示されるように(図6D)、興味深い抗炎症効果を示した。FR49/f/2に関して観察されたレベルは、以前に試験した最良のビフィズス菌の種と同程度に高い。
【0096】
FR49/f/2株を除く試験した全ての菌株が、IFNγ産生を誘発した。
【0097】
結論として、FR49/f/2株は、抗炎症性プロバイオティクスの用途における使用のための良好なプロファイルを有する。
【0098】
大腸炎のモデルにおける、免疫調節能に関するFR49/f/2株(菌株C)及びFR66/a/1株(菌株P)の評価
GC61群からの菌株C(FR49/f/2)と、GC61でない群1からの菌株P(FR66/a/1)とが、PBMC試験において反対の特性を示し(図6)、大腸炎の動物モデルにおける免疫調節能を評価するためにさらに研究された。
【0099】
菌株V(C6−20)及び菌株X(C9−5)は、in vitroの研究で高いIL−10/IL−12比を有するので、陽性対照として使用した。
【0100】
化学試薬
化学薬品及び試薬は、他に記載がなければ、Sigma-Aldrich Chemical(France)から購入した。
【0101】
動物
フランス政府の指針(86/609/CEE番)に従い、認可を受けた施設(A59107番、パスツール研究所の動物施設(Lille, France))において動物実験を行った。母乳で育てられ、特定病原体を除去した(SPF)条件下で維持された、均質な菌叢を有する通常の成体の雌BALB/Cマウス(7/8週齢)(Felasa, 1994 - (Federation of European Laboratory Animal Science Associations). Laboratory Animals, 28: 1-12)を、Iffa Credo(Saint-Germain sur l'Arbresle, France)から購入した。マウスを集団で収容し(1ケージ当たり8匹〜10匹)、SPF条件下で、柵(barrier)の後方にフィルタトップフードを設けた状態で維持した。マウスは水道水及びげっ歯類用食餌に自由に接近することができ、任意の介入の前に少なくとも1週間順応させられた。10匹のマウスの群を、各実験群に関して使用した。
【0102】
細菌培養物の調製、及びマウスへの投与
調査した菌株を、PBMC方法において上で説明したように増殖させた1日の投与当たり、108個の細菌を使用した。
【0103】
急性大腸炎のTNBS誘発、及び研究デザイン
標準的な細菌介入研究のデザインを、図7に示す。簡潔には、大腸炎の誘発前−5日から、0日目の大腸炎の誘発後+1日まで、細菌懸濁物をマウスに与えた。死亡率、肉眼による炎症スコア、体重及びMPO(ミエロペルオキシダーゼ活性)を大腸炎の誘発の48時間後に評価した。マウスを、0.9%のNaCl中に溶解した3mgのケタミン(Imalgene 1000;Merial Lyon, France)、46.7μgのジアゼパム(Valium、Roche Diagnostics)、及び15μgのアトロピン(Aguettant Laboratory, Lyon, France)で麻酔した。体重1kg当たり120mgの用量のTNBS(Fluka, France)を、0.9%NaCl/エタノール(50/50(v/v))中に溶解し、50μlを、3.5Fカテーテル(EO 3416−1、Biotrol, Chelles, France)を使用して、肛門の近位4cmで直腸内に投与した。「陰性対照」マウスには50%エタノールのみを投与した(「エタノールマウス」)。「陽性対照」マウス(「TNBS対照」又は「TNBS処理」マウスとも称される)には、或る量のビフィズス菌を付加的に投与した「処理」マウスと比較して、NaHCO3緩衝液のみを与えた。動物を、TNBS投与の2日後に頸椎脱臼により屠殺した。マウスについて、TNBS投与前及び屠殺時に体重を測定した。
【0104】
肉眼による大腸炎の評価
大腸を切り出して脂肪及び腸間膜がない状態としてから取り出し慎重に開きPBSで洗浄した。Wallace基準(Wallace et al. 1989, Gastroenterology.96(l):29-36、表9に要約した)に従い、大腸の損傷及び炎症を、評価した。肉眼によるスコア付け(スコアは0〜10の範囲である)のためのこれらの基準は、ラット及びマウスの研究の両方で十分に確立されており、(i)炎症の強度、(ii)大腸粘膜の肥厚化、及び(iii)潰瘍の範囲を反映する(表9)。
【0105】
【表8】

【0106】
ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性
多形核好中球一次(primary)顆粒のマーカーである酵素MPOの活性を、Bradley et al(1982. J Invest Dermatol. 78(3):206-9)に従い、近位の大腸組織において確定した。屠殺直後に、大腸試料(1cm長)を盲腸結腸(ceco-colonic)接合部から3cmで採取した。試料をリン酸カリウム緩衝液(50mmol/L、pH6.0)中に懸濁し、ポリトロンを使用して氷中で均質化した。3サイクルの凍結及び融解を行った。懸濁物を、10000×gで、4℃で15分間遠心分離した。上清を廃棄し、ペレットをヘキサデシルトリメチルアンモニウム臭化物緩衝液(50mmol/lのリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)中のHTAB0.5%(w/v))、多形核好中球一次(primary)顆粒からMPOの放出を誘導する洗浄剤中に再懸濁した。これらの懸濁物を氷上で超音波処理し、再び4℃で15分間遠心分離した。得られた上清を、0.167mg/mlのO−ジアニシジン二塩酸塩と、0.0005%の過酸化水素(H22)とを含有するリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)中に希釈した。ヒト好中球由来のMPO(0.1U/100ml、Sigma)を、標準として使用した。5分及び10分にわたり、450nmでの吸光度の変化を、マイクロプレート分光光度計(ELX808、Bio-Tek Instrument, CA)を用いて記録した。1単位のMPO活性を、25℃で1分当たり1ml当たり1mmolの過酸化水素を分解するMPOの量と定義する。結果を、平均±SEMとして示す。
【0107】
結果
細菌株により与えられる保護の程度を、本明細書においては、非処理マウス(TNBS対照群)の平均スコアに対する処理マウスの肉眼で認められる炎症の平均の低減率(%)を表す「%相対的保護率」と表現する。%相対的保護率は、以下で詳述するように算出する。
【0108】
%相対的保護率=100×(平均Wallaceスコア「陽性対照」群−平均Wallaceスコア「処理」群)/平均Wallaceスコア「陽性対照」群
【0109】
この算出は、実験内及び実験間でのマウスの群の比較を可能にする。
【0110】
この「相対的保護率」を各「陽性対照」群の平均大腸炎レベルに適用すると、独立の実験間における避けられないWallaceスコアの変動の排除も可能となる。
【0111】
図8A〜図8C及び表10は、10匹のマウスの6つの異なる群を分析したときに得られる結果を示す。
群1:10匹のTNBS処理マウス(細菌なし)
群2:10匹のTNBS処理マウス(+Fr49/f/2株)
群3:10匹のTNBS処理マウス(+Fr66/a/1株)
群4:10匹のTNBS処理マウス(+C6−20株)
群5:10匹のTNBS処理マウス(+C9−5株)
群6:10匹のTNBS処理マウス(−対照ビフィズス菌株)
【0112】
【表9】

【0113】
IL−10/IL−12比から予想されるように、菌株C(FR49/f/2)は大腸炎モデルにおいて十分に保護を与えた。
【0114】
別のGC61群でないビフィズス菌である菌株P(FR66/a/1)も、幾らかの保護を示した。
【0115】
示されたデータは、GC61群の幾つかの単離株、特にFR49/f/2株が抗炎症性を有することを実証し、それらを免疫調節性作用物質として使用することができるという主張を支持する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビフィズス菌GC61、又はその相同体、子孫若しくは突然変異体。
【請求項2】
2007年1月9日にアクセッション番号CNCMI−3712でCNCMに寄託されたビフィズス菌GC61、又はその相同体、子孫若しくは突然変異体。
【請求項3】
2007年1月9日にアクセッション番号CNCMI−3713でCNCMに寄託されたビフィズス菌GC61、又はその相同体、子孫若しくは突然変異体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のビフィズス菌GC61に対して、約60%よりも大きい全細菌ゲノムにわたるDNA配列相同性を有するビフィズス菌株。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のビフィズス菌GC61の16S rRNA遺伝子に対して、95.45%よりも大きいDNA配列相同性を有する16S rRNA遺伝子を有するビフィズス菌株。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のビフィズス菌GC61のhsp60遺伝子に対して、87%よりも大きいDNA配列相同性を有するhsp60遺伝子を有するビフィズス菌株。
【請求項7】
配列番号5の部分配列に対して、87%よりも大きいDNA配列相同性を有するhsp60遺伝子を有する、請求項6に記載のビフィズス菌株。
【請求項8】
ビフィズス菌GC61又は請求項1〜7のいずれか一項に規定される通りのビフィズス菌株と、1つ又は複数の許容可能な添加物とを含むプロバイオティクス組成物。
【請求項9】
前記組成物が食品製品である、請求項8に規定される通りのプロバイオティクス組成物。
【請求項10】
前記食品製品が発酵乳、植物乳、豆乳、バター、チーズ及びヨーグルトから選択される乳製品である、請求項9に規定されるようなプロバイオティクス組成物。
【請求項11】
特に胃腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性障害、免疫不全症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、癌(特に胃腸系及び免疫系の)、下痢性疾患、抗生物質関連下痢症、小児下痢症、虫垂炎、自己免疫障害、多発性硬化症、アルツハイマー病、関節リウマチ、セリアック病、糖尿病、臓器移植拒絶反応、細菌性感染症、ウイルス性感染症、真菌性感染症、歯周疾患、泌尿生殖器疾患、性感染症、HIV感染症、HIV複製、HIV関連下痢症、外科処置関連外傷、外科処置誘発性転移性疾患、敗血症、体重減少、食欲不振症、発熱制御、悪液質、創傷治癒、潰瘍、腸バリア機能、アレルギー、喘息、呼吸障害、循環障害、冠動脈心疾患、貧血、血液凝固系の障害、腎疾患、中枢神経系の障害、肝疾患、虚血、栄養障害、骨粗鬆症、内分泌障害、表皮障害、乾癬、尋常性ざ瘡及び/又はコレステロール過剰の1つ又は複数の処置及び/又は予防における治療物質又は予防物質としての使用のための、ビフィズス菌GC61又は請求項1〜7のいずれか一項に規定される通りのビフィズス菌株。
【請求項12】
胃腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性障害、免疫不全症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、癌(特に胃腸系及び免疫系の)、下痢性疾患、抗生物質関連下痢症、小児下痢症、虫垂炎、自己免疫障害、多発性硬化症、アルツハイマー病、関節リウマチ、セリアック病、糖尿病、臓器移植拒絶反応、細菌性感染症、ウイルス性感染症、真菌性感染症、歯周疾患、泌尿生殖器疾患、性感染症、HIV感染症、HIV複製、HIV関連下痢症、外科処置関連外傷、外科処置誘発性転移性疾患、敗血症、体重減少、食欲不振症、発熱制御、悪液質、創傷治癒、潰瘍、腸バリア機能、アレルギー、喘息、呼吸障害、循環障害、冠動脈心疾患、貧血、血液凝固系の障害、腎疾患、中枢神経系の障害、肝疾患、虚血、栄養障害、骨粗鬆症、内分泌障害、表皮障害、乾癬、尋常性ざ瘡及び/又はコレステロール過剰の1つ又は複数の処置及び/又は予防のための薬物の調製における、ビフィズス菌GC61又は請求項1〜7のいずれか一項に規定される通りのビフィズス菌株の使用。
【請求項13】
ビフィズス菌GC61又は請求項1〜7のいずれか一項に規定される通りのビフィズス菌株とさらなる治療用作用物質(単数又は複数)とを含む組成物。
【請求項14】
免疫調節性及び/又は抗炎症性のプロバイオティクス若しくは薬物としての使用のための、又は該プロバイオティクス若しくは該薬物の調製における使用のための、ビフィズス菌GC61又は請求項1〜7のいずれか一項に記載のビフィズス菌株。
【請求項15】
哺乳動物の被験体における炎症の処置のための薬物の調製における、ビフィズス菌GC61又は請求項1〜7のいずれか一項に記載のビフィズス菌株の使用。

【図1A−1】
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【図1A−2】
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【図1A−3】
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【図1A−4】
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【図1A−5】
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【図1A−6】
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【図1A−7】
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【図1B】
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【図2A−1】
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【図2A−2】
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【図2A−3】
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【図2A−4】
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【図2A−5】
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【図2A−6】
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【図2A−7】
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【図2A−8】
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【図2B】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【公表番号】特表2011−501666(P2011−501666A)
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529308(P2010−529308)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058490
【国際公開番号】WO2009/049932
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(500029925)ユニベルシテ・ド・リエージュ (18)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE LIEGE
【住所又は居所原語表記】Avenue Pre−Aily,4,B−4031 Angleur,Belgium
【出願人】(591282973)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT PASTEUR DE LILLE
【Fターム(参考)】